共同審査請求に関する通知及び口頭意見陳述に関する連絡は、処分についての審査請求の適用除外に該当するとした事例(「口頭意見陳述の開催について」別紙「連絡事項」に記載の総代を解任する旨の行政処分及び「審査請求の総代として認められない旨のお知らせ」記載の行政処分・却下)
- 令和6年8月29日裁決
- 裁決事例集 第136集
ポイント
本事例は、共同審査請求に関する通知は、総代の権限を制限することを確定する行為であり、また、口頭意見陳述に関する連絡は、口頭で意見を述べる地位を与えないことを確定する行為であるから、いずれも処分に該当するものの、審査請求の適用除外によって不服申立てができない処分であるとしたものである。
要旨
請求人らは、請求人らに対して行われた各配当処分の取消しを求める各審査請求で、請求人の一人が他の一人を総代として選任していたところ、所轄庁が行った、①所轄庁が請求人の一人に送付した書面に記載された「総代を解任する旨の行政処分」及び②所轄庁から送付された口頭意見陳述の開催に関する書面に記載された総代としての出席は認められない旨の「行政処分」の取消しを求めて本件審査請求を行っている。
しかしながら、上記①については、請求人の一人の総代の権限を制限することを確定する行為であり、また、上記②については、請求人の一人に口頭で意見を述べる地位を与えないことを確定する行為であることから、いずれも国税通則法第75条《国税に関する処分についての不服申立て》に規定する「処分」に該当することとなるが、同法第8章第1節《不服審査》の規定による処分であって、同法第76条《適用除外》第1項の規定によって同法第75条第1項の適用が除外される処分に該当することから、不服申立てができないものである。
参照条文等
裁決本文
《裁決書(抄)》
1 基礎事実及び審査請求に至る経緯等
(1) 令和5年9月4日の審査請求について
(2) 令和6年2月24日の審査請求について
請求人らが、請求人らにされた各配当処分の取消しを求めて令和6年2月24日に行った審査請求(以下「令和6年2月審査請求」という。)について、請求人Aを総代として選任する旨の総代選任届出書を併せて提出していたところ、所轄庁は、令和6年3月1日付で、令和6年2月審査請求の対象は各請求人を対象とした処分であり、共同不服申立てに当たらないため、総代の選任は認められないことを理由に審査請求の総代として認めない旨を通知する「審査請求の総代として認められない旨のお知らせ」と題する書面を請求人B宛に送付した(以下「本件お知らせ②」といい、本件連絡と併せて「本件各通知」という。)。
(3) 所轄庁は、下記のとおり請求人ごとに審理手続を併合し、請求人らに通知した。
(4) 請求人らは、令和6年3月25日、令和5年9月審査請求及び令和6年2月審査請求について、所轄庁には総代を解任する権限がないから、所轄庁が送付した本件連絡に係る書面に記載された「総代を解任する旨の行政処分」及び本件お知らせ②に係る書面に記載された「行政処分」は法的効力を有しないなどとして、本件各通知の取消しを求めて審査請求をした(以下「本件審査請求」という。)。
2 当審判所の判断
(1) 法令解釈
通則法第75条《国税に関する処分についての不服申立て》第1項柱書は、国税に関する法律に基づく処分(後記のとおり、通則法第76条第1項各号に掲げる処分を除く。)で次の各号に掲げるものに不服がある者は、当該各号に定める不服申立てをすることができる旨規定するところ、「国税に関する法律」とは、国税について、課税標準、税率、納付すべき税額の確定、納付、徴収、還付等国と納税者との間の権利義務に関する事項を規定している法律をいうと解されている。また、「処分」とは、行政庁が行政法規の具体的な適用又は執行として、公権力の行使として国民に対し優越的な立場で行う、権利義務その他法律上の地位の形成若しくは変動又はその存否範囲の具体的確認等の法律上の効果を発生させる行為であると解されている。
他方、通則法第76条《適用除外》第1項柱書及び第1号は、同法第8章第1節《不服審査》の規定による処分その他同法第75条の規定による不服申立てについてした処分については、同条の規定は適用しない旨規定しているところ、同法第76条第1項で同法第75条の適用を除外する処分は、同条第1項所定の「国税に関する法律に基づく処分」であることが前提となっている。
通則法第80条《行政不服審査法との関係》第1項は、国税に関する法律に基づく処分に対する不服申立ては、別段の定めがあるものを除いて、行政不服審査法(以下「審査法」という。)の定めるところによる旨規定し、審査法第2条《処分についての審査請求》は、行政庁の処分に不服がある者は、審査請求をすることができる旨規定しているところ、どのような行政上の決定が審査法第2条に規定する「処分」に該当するかは、同じ行政争訟の制度に係る規定として、「処分」の概念を特に別異に解する必要性は乏しいことから、行政事件訴訟法第3条《抗告訴訟》第2項に規定する「行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為」に関する解釈と同様であると解されている。同項の「処分」とは、「公権力の主体たる国または公共団体が行う行為のうち、その行為によって、直接国民の権利義務を形成しまたはその範囲を確定することが法律上認められているもの」(最高裁昭和39年10月29日第一小法廷判決)をいうと解されることから、取消訴訟の対象となる処分性の有無は、①行政庁による、②法律に基づく公権力の行使としてなされる、③直接に国民の権利義務を形成し又はその範囲を具体的に確定する行為に該当するものであるか否かによって決せられることになる。そうすると、本件各通知の処分性の有無を検討するに当たっても、法律の規定に基づくものであるか、国民の権利義務に変動が生じるものであるか及び法律上の地位に対する直接具体的な影響を及ぼすものであるかという観点から判定することが相当である。
(2) 検討
所轄庁は、令和5年9月審査請求及び令和6年2月審査請求の対象となった各配当処分が、請求人ら各自が所有する財産に対して執行された滞納処分であり、画一的に処理される必要のある事件ではないことから、共同不服申立てをすることができないものと判断した上で、請求人らに本件各通知を行ったものである。
本件各通知は、所轄庁が審理手続上の事務処理として行ったものであるところ、本件各通知が、通則法第75条第1項に規定する「国税に関する法律に基づく処分」に該当するか否かについて検討する。
本件連絡は、令和5年9月審査請求に関して、請求人Aを総代として認めない旨を知らせる本件お知らせ①を前提として行われたものであるところ、通則法第108条は、共同不服申立てに関し、総代の選任、解任及び総代の権限について規定している。同条第1項は、「総代を互選することができる」と規定し、「互選」とは、選任権の要件と被選任権の要件が一致する場合の選任であると解されるが、共同不服申立てを認めるべき範囲や総代を認めるべき資格の有無は、同条により一義的に明確になっているとはいい難く、同条所定の要件の該当性は法律上審査を主宰する所轄庁の判断に委ねられているといえる。
そして、本件お知らせ①は、上記(1)のロに当てはめると、上記要件の該当性を所轄庁が判断し、「多数人が共同して不服申立てをするとき」に当たらないとの意思決定を通知したものであり、令和5年9月審査請求について、請求人Aの総代の権限を制限することを確定する行為であるから、処分に該当するということができる。
そうすると、本件お知らせ①を前提として行われた本件連絡についても、令和5年9月審査請求について、請求人Aに口頭で意見を述べる地位を与えないことを確定する行為であるから、処分に該当するということができる。
本件お知らせ②は、本件お知らせ①と性質を同じくすることから、上記(イ)と同様の理由により、処分に該当するということができる。
以上によれば、本件各通知は、通則法第75条第1項に規定する「国税に関する法律に基づく処分」に該当する。
上記(1)のイのとおり、通則法第76条第1項柱書及び第1号は、同法第75条の適用が除外される処分として、同法第8章第1節の規定による処分その他同法第75条の規定による不服申立てについてした処分を掲げている。
上記イの(ハ)のとおり、本件各通知は、通則法第75条第1項に規定する処分に該当するものの、同(イ)及び(ロ)のとおり、同法第8章第1節の規定による処分(同法第108条第1項)であって、同法第76条第1項の規定によって同法第75条第1項の適用が除外される処分に該当することから、不服申立てができない処分となる。
上記のとおり、本件各通知は、通則法第8章第1節の規定による処分であって同法第75条第1項に規定する「国税に関する法律に基づく処分」に該当するものの、同法第76条第1項の規定による適用除外に該当することから、同項の規定により、不服申立てをすることができないものである。
したがって、本件審査請求は不適法なものである。
別紙 審査請求人明細(省略)
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