超過差押えを禁止する国税徴収法第48条第1項の規定は、参加差押えには適用又は準用されないとした事例(不動産の参加差押処分・棄却)
- 令和6年10月28日裁決
- 裁決事例集 第137集
ポイント
本事例は、参加差押えは、先行する差押えが解除されない限り交付要求としての効力を有するにすぎず、先行する差押えが進行している限り滞納者に新たな負担を課すものではなく、交付要求及び参加差押えに国税徴収法第48条第1項の規定が準用されるとした規定もないとしたものである。
要旨
請求人は、原処分庁が行った不動産の参加差押処分(本件参加差押処分)は、滞納国税を徴収するために必要な範囲を超えた違法な処分である旨主張し、これは、本件参加差押処分は、国税徴収法(徴収法)第48条《超過差押及び無益な差押の禁止》第1項が規定する超過差押えに当たるというものであるといえる。
しかしながら、参加差押えは、滞納者の財産について、既に強制換価手続である滞納処分による差押えがされている場合に、その差押えをした行政機関等に対して交付要求をするものであり、その先行する差押えが解除されたときは、参加差押通知書が滞納者に送達された時に遡って差押えの効力が生ずるものであるから、先行する差押えが解除されない限り、その先行する差押えをした行政機関等に対して配当を求める交付要求としての効力を有するにすぎないというべきであり、このような参加差押えの効力からすると、参加差押えは、強制換価手続である滞納処分による差押えが先行し、これが進行している限り、滞納者に処分制限等の新たな負担を課すものではないし、徴収法第48条第1項の規定が準用されるとした規定もないから、同項の規定は、参加差押えには適用又は準用されない。したがって、本件参加差押処分には、超過差押えに係る規定は適用又は準用されないから、本件参加差押処分が滞納国税を徴収するために必要な範囲を超えた違法な処分ということはできない。
参照条文等
参考判決・裁決
東京高裁平成30年3月7日判決(租税関係行政・民事判決集(徴収関係判決)平成30年1月~12月順号2018-10)
裁決本文
《裁決書(抄)》
1 事実
(1) 事案の概要
本件は、原処分庁が、審査請求人(以下「請求人」という。)の滞納国税を徴収するため、請求人が所有する不動産について参加差押処分をしたのに対し、請求人が、当該参加差押処分は滞納国税を徴収するために必要な範囲を超えた違法な処分であるとして、その一部の取消しを求めた事案である。
(2) 関係法令
(3) 基礎事実及び審査請求に至る経緯
当審判所の調査及び審理の結果によれば、以下の事実が認められる。
2 争点
本件参加差押処分は本件滞納国税を徴収するために必要な範囲を超えた違法な処分か否か。
3 争点についての主張
| 原処分庁 | 請求人 |
|---|---|
| 徴収法第87条第1項は、参加差押えをした場合において、その参加差押えに係る財産についてされた滞納処分による差押えが解除されたときは参加差押通知書が滞納者に送達された時等まで遡って差押えの効力が生ずる旨規定していることから、参加差押えは、先行の差押えが存在する限りにおいては差押えの執行機関に対する交付要求としての効力を有するにとどまる。 そして、徴収法第48条第1項は、国税を徴収するために必要な財産以外の財産は、差し押さえることができない旨規定しているところ、同項の規定は参加差押えに準用されていないから、本件参加差押処分に同項の規定は適用されない。 したがって、本件参加差押処分は、本件滞納国税を徴収するために必要な範囲を超えた違法な処分とはいえない。 |
本件各不動産の価額は、周辺地域における不動産の取引状況からすると、1坪当たり約○○○○円であり、本件滞納国税の金額を徴収するために必要な不動産の面積は約100坪で足りるはずである。 したがって、本件参加差押処分は、本件滞納国税を徴収するために必要な範囲を超えた違法な処分であり、その必要な範囲を超えた部分に相当する財産である別表2の順号1及び2に記載の各不動産に係る参加差押処分は取り消されるべきである。 |
4 当審判所の判断
(1) 検討及び請求人の主張について
上記1(2)ロのとおり、徴収法第48条第1項は、国税を徴収するために必要な財産以外の財産は、差し押さえることができない旨を規定しているところ、請求人の上記主張は、本件参加差押処分は同項が規定する超過差押えに当たるというものであるといえる。
このような参加差押えの効力からすると、参加差押えは、強制換価手続である滞納処分による差押えが先行し、これが進行している限り、滞納者に処分制限等の新たな負担を課すものではないし、交付要求及び参加差押えの規定をみても、徴収法第48条第1項の規定が準用されるとした規定もない。
したがって、徴収法第48条第1項の規定は、参加差押えには適用又は準用されないと解するのが相当である。
したがって、請求人の主張には理由がない。
(2) 本件参加差押処分の適法性について
上記(1)のとおり、本件参加差押処分は、違法な処分であるということはできない上、上記1(3)イ及びロによれば、本件参加差押処分は徴収法第86条の要件を充足していると認められる。
また、本件参加差押処分のその他の部分については、請求人は争わず、当審判所に提出された証拠資料等によっても、これを不相当とする理由は認められない。
したがって、本件参加差押処分は適法である。
5 結論
よって、審査請求は理由がないから、これを棄却することとする。
別表1 本件滞納国税の明細(令和5年12月8日現在)(省略)
別表2 本件各不動産の内訳(省略)
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