課税仕入れとは、事業者が、事業として資産を譲り受け、若しくは借り受け、又は役務の提供を受けることをいうから、個人事業者が家事消費又は家事使用をするために資産を譲り受け、若しくは借り受け、又は役務の提供を受けることは、事業として行われるものではないから、課税仕入れに該当しないことに留意する。(平27課消1-17により改正)
第1節 通則
(課税仕入れ)
課税仕入れには特定課税仕入れも含まれることに留意する。
(給与等を対価とする役務の提供)
法第2条第1項第12号(課税仕入れの意義)の規定により、課税仕入れの範囲から除かれる「給与等を対価とする役務の提供」とは、雇用契約又はこれに準ずる契約に基づき給与等を対価として労務を提供することをいうのであるが、この場合の給与等には、俸給、給料、賃金、歳費、賞与及びこれらの性質を有する給与のほか、過去の労務の提供を給付原因とする退職金、年金等も該当することに留意する。
(課税仕入れの相手方の範囲)
法第2条第1項第12号(課税仕入れの意義)に規定する「他の者」には、課税事業者及び免税事業者のほか消費者が含まれる。(平27課消1-17、令5課消2-9により改正)
令第57条第6項(事業の種類)に規定する「他の者」についても同様である。
適格請求書発行事業者以外の者からの課税仕入れは、原則として、消費税法第30条第1項(仕入れに係る消費税額の控除)の規定は適用されないことに留意する。
(家事共用資産の取得)
個人事業者が資産を事業と家事の用途に共通して消費し、又は使用するものとして取得した場合、その家事消費又は家事使用に係る部分は課税仕入れに該当しないことから、令第46条第1項第1号から第5号まで(課税仕入れに係る消費税額の計算)に掲げる消費税額等のうち課税仕入れに係る部分の金額又は同項第6号に掲げる課税仕入れに係る支払対価の額は、事業の用途に消費し、又は使用する部分の金額として、当該資産の消費又は使用の実態に基づく使用率、使用面積割合等の合理的な基準により計算することとなることに留意する。
なお、個人事業者が、課税仕入れに係る資産を一時的に家事使用しても、当該家事使用について法第4条第5項第1号(みなし譲渡)の規定の適用はないのであるから留意する。(平27課消1-17、令5課消2-9により改正)
(水道光熱費等の取扱い)
個人事業者が行う水道光熱費等の支払のうち課税仕入れに該当するのは、所法令第96条各号(家事関連費)に掲げる経費に係る部分に限られるのであるから留意する。(令5課消2-9により改正)
(実質的な輸入者と輸入申告名義人が異なる場合の取扱い)
課税貨物について、関税定率法第9条の2(関税割当制度)の規定により割当てを受け又は関税暫定措置法の規定により関税の軽減若しくは免除を受ける場合には、当該割当てを受けた者又は軽減若しくは免除を受けようとする者(当該課税貨物を使用又は消費する者)の名をもって輸入申告をしなければならないこととされている(いわゆる「限定申告」)が、当該輸入申告を行う者(以下「輸入申告者」という。)が単なる名義人であって当該課税貨物を実質的に輸入する者(以下「実質的な輸入者」という。)が別に存在する場合において、次の全てに該当するときは、実質的な輸入者が当該課税貨物を保税地域から引き取ったものとして法第30条から第36条(仕入れに係る消費税額の控除等)の規定を適用する。(平9課消2-5、平23課消1-35により改正)
実質的な輸入者が、輸入申告者が引き取ったものとされる当該課税貨物を輸入申告後において輸入申告者に有償で譲渡する。
実質的な輸入者が、当該課税貨物の引取りに係る消費税額及び地方消費税額を負担する。
実質的な輸入者が、輸入申告者名義の輸入許可書及び同名義の引取りに係る消費税等の領収証書の原本を保存する。
(新規に開業をした事業者の仕入税額控除)
法第30条(仕入れに係る消費税額の控除)の規定の適用があるのは、課税事業者に限られるのであるが、新たに事業を開始した個人事業者又は新たに設立した法人は、法第9条の2(前年又は前事業年度等における課税売上高による納税義務の免除の特例)から法第12条の4(高額特定資産等を取得した場合の納税義務の免除の特例)までの規定により納税義務が免除されない者を除き、法第9条第1項本文(小規模事業者に係る納税義務の免除)の規定により納税義務が免除されることとなるため、法第9条第4項(課税事業者の選択)の規定により課税事業者を選択しない限り、課税仕入れ等の税額を控除することはできないのであるから留意する。(平9課消2-5、平13課消1-5、平22課消1-9、平23課消1-35、平25課消1-34、平28課消1-57、令5課消2-9、令6課消2-13により改正)
所得税法等の一部を改正する法律(平成28年法律第15号)(以下「28年改正法」という。)附則第44条第4項(適格請求書発行事業者の登録等に関する経過措置)の規定の適用がある場合の新規に開業した事業者の納税義務については、21-1-1による。
(相続等により課税事業者となった場合の仕入税額控除)
法第9条第1項本文(小規模事業者に係る納税義務の免除)の規定により消費税を納める義務が免除される事業者が、法第10条第1項(相続があった場合の納税義務の免除の特例)、第11条第1項(合併があった場合の納税義務の免除の特例)、第12条第1項若しくは第5項(分割等があった場合の納税義務の免除の特例)又は第57条の3第3項(適格請求書発行事業者が死亡した場合における手続等)の規定により、その課税期間の中途において法第9条第1項本文の規定の適用を受けないこととなった場合には、その適用を受けないこととなった日から、法第30条(仕入れに係る消費税額の控除)及び法第32条(仕入れに係る対価の返還等を受けた場合の仕入れに係る消費税額の控除の特例)の規定を適用することとなるのであるから留意する。(平13課消1-5、令5課消2-9により追加)
法第12条第1項の規定により、その課税期間の中途において法第9条第1項本文の規定の適用を受けないこととなった場合とは、法第12条第7項第3号(分割等の意義)に該当する分割等による設立がこれに該当する。
(課税仕入れに係る消費税額の計算)
その課税期間に係る法第45条第1項第2号(課税資産の譲渡等及び特定課税仕入れについての確定申告)に掲げる税率の異なるごとに区分した課税標準額に対する消費税額の計算につき、同条第5項(消費税額の積上げ計算)の規定の適用を受ける場合には、法第30条第1項(仕入れに係る消費税額の控除)に規定する課税仕入れに係る消費税額の計算につき、令第46条第1項(課税仕入れに係る請求書等による消費税額の積上げ計算)に規定する計算の方法(以下11-1-9において「請求書等積上げ方式」という。)又は同条第2項(課税仕入れに係る帳簿による消費税額の積上げ計算)に規定する計算の方法(以下11-1-10までにおいて「帳簿積上げ方式」という。)によることとなることに留意する。
また、その課税期間に係る法第45条第1項第2号に掲げる税率の異なるごとに区分した課税標準額に対する消費税額の計算につき、同条第5項の規定の適用を受けない場合には、法第30条第1項に規定する課税仕入れに係る消費税額の計算に関し、請求書等積上げ方式又は帳簿積上げ方式のほか、令第46条第3項(課税仕入れに係る支払対価の合計額から割り戻す方法による消費税額の計算)に規定する計算の方法(以下11-1-9において「総額割戻し方式」という。)によることもできるのであるが、請求書等積上げ方式又は帳簿積上げ方式と総額割戻し方式との併用はできないことに留意する。(令5課消2-9により追加)
請求書等積上げ方式と帳簿積上げ方式との併用は可能である。
(帳簿積上げ方式における「課税仕入れの都度」の意義)
令第46条第2項(課税仕入れに係る帳簿による消費税額の積上げ計算)に規定する「その課税仕入れの都度、……法第30条第7項に規定する帳簿に記載している場合」には、例えば、課税仕入れに係る適格請求書その他の書類等の交付又は提供を受けた際に、これらの書類等を単位として帳簿に記載している場合のほか、課税期間の範囲内で一定の期間内に行った課税仕入れにつきまとめて交付又は提供を受けた適格請求書その他の書類等を単位として帳簿に記載している場合がこれに含まれる。(令5課消2-9により追加)
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