裁決事例 雑所得

裁決事例 雑所得

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平成18年2月2日裁決

a国で出資・設立したリミテッド・パートナーシップ(LPS)を介して請求人が得た損益は、当該LPSが利益の処分として行ったものではないから配当所得に当たらず、また、当該LPSが不動産賃貸を目的とする民法上の組合ということができず、請求人が主体的に本件不動産を賃貸に供していたと認められないので不動産所得に当たらないとし、請求人が当該LPSから得た分配金は出資金に対する果実であるから、雑所得に当たるとした事例

裁決事例集 第71集 118頁

要旨

 請求人は、a国のリミテッド・パートナーシップ(以下「本件LPS」という。)を介して得た損益について、本件LPSは民法上の組合に類似するものであってそれが行う不動産賃貸事業に係る損益が請求人自身に帰属するから不動産所得に該当する旨主張し、原処分庁は本件LPSが法人に該当するから本件LPSからの利益の分配は配当所得となる旨主張する。
 しかしながら、本件LPSは法律上の権利義務の帰属主体となり得るものの、本件LPSの活動から生じる損益は、本件LPS契約に基づいてパートナーである請求人に配分されているものであり、それは、本件LPSが利益の処分として行ったものではないから、請求人の得た所得は所得税法第24条が規定する配当所得に当たらない。本件LPSは不動産賃貸を目的とする民法上の組合ということができず、請求人が主体的に本件不動産を賃貸に供していたと認められないので、請求人の得た損益は不動産所得に該当せず、請求人が本件LPSから得た分配金は出資金に対する果実であるから、雑所得と認められる。

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平成8年1月22日裁決

ゴルフ場を経営する法人から謝礼として提供を受けたゴルフ会員証を継続的に譲渡したことによる所得は、一時所得に該当せず、雑所得に該当するとした事例

裁決事例集 第51集 161頁

要旨

 請求人は、本件ゴルフ会員証はゴルフ場のオープン記念として贈与されたものであり、当該会員証は、入会金を払い込めば会員権を取得できるというゴルフ会員権購入選択権を証するものであるので、一時所得に該当する旨主張する。
 しかし、本件ゴルフ会員証は、[1]ゴルフ場を経営するJ社は、請求人が本件ゴルフクラブの理事長等の選任に尽力したこと等に対する謝礼として提供したものであり、[2]同社は、請求人に対し名誉会員証とは別に本件証書を提供していることから、請求人が第三者に本件証書を売却することを前提として提供しているものと認められ、当該証書を継続的に売却したことにより実現した本件所得は雑所得に該当すると解するのが相当である。

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昭和46年5月21日裁決

利息の定めのない一時的な貸付金の元本額を超える返済金額は一時所得ではなく雑所得であるとした事例

裁決事例集 第2集 5頁

要旨

 営利を目的とする継続的行為に当たらない一時的な資金の貸付けであり、かつ、利息の定めがない場合においても、その貸付けの時点において、その貸付先の資金の運用により相当額の利益の分配があることを予測し得る状態におかれ、かつ、これを予期して貸付けを行ったと認められるときは、その貸付金の元本額を超えて返済を受けた部分の金額は、所得源泉を有しない臨時的な所得である一時所得ではなく、雑所得とするのが相当である。

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平成15年6月6日裁決

勤務する内国法人と資本関係がない外国法人から請求人に対し付与された株式購入選択権の行使に係る経済的利益が、所得税法第35条に規定する雑所得に該当するとした事例

裁決事例集 第65集 238頁

要旨

 請求人は、同人の勤務する内国法人L社の業務委託先である米国K社から付与されたストック・オプションの行使に係る経済的利益は、[1]米国K社と雇用関係がなく、また、L社と米国K社は資本関係がないこと、[2]提供した労務の質及び量と相関関係がない偶発的所得であること等から、一時所得に該当する旨主張する。
 しかしながら、当該経済的利益は、請求人が、L社の代表取締役としての地位に基づき、それとともに、個人の責任において本件個人保証を行うことにより、米国K社に対して役務の提供をすることを前提に、米国K社の株式を購入することができる権利を米国K社から付与され、米国K社に対して一定期間役務の提供をすること(本件個人保証を継続すること)により、これを行使して得たもの、換言すれば、請求人の役務の提供の対価としての性質をもった所得ということができることから、一時所得に該当せず、雑所得に該当すると解するのが相当である。
 したがって、請求人の主張は採用できない。

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昭和54年5月31日裁決

商品先物取引の所得について、事業所得ではなく雑所得に当たるとした事例

裁決事例集 第18集 17頁

要旨

 請求人の商品先物取引は、取引回数、取引数量等からみると、営利性・有償性及び継続性・反復性が認められるが、それが事業というためには、更に事業としての社会的客観性を要するものと解されるところ、商品の先物取引は投機性の強いものであって本来事業になじみ難い性格を有すること、請求人は生活の資のほとんどを畳製造業からの所得により得ていたこと、商品先物取引は商品取引所取引員所属の外務員の勧奨を受けて始め、その助言を受けて行っていたこと、商品の先物取引を行うために特別の人的物的施設を設けていなかったこと、必要経費も当該取引に直接要した費用以外に通常事業に付随する必要経費をほとんど要しなかったこと等の諸点を総合勘案すると、請求人の商品の先物取引程度のものは、一般社会通念に照らし、いまだ事業とは認められないものと解するのが相当である。

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昭和45年9月30日裁決

有価証券の売買による所得を雑所得とした事例

裁決事例集 第1集 9頁

要旨

 有価証券の売買は、継続的に行われているが、売買の実態を総合的に勘案すると、その所得は事業所得ではなく雑所得とすることが相当である。

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平成2年2月2日裁決

本件競走馬の保有等は事業所得の基因となる事業に当たらないとした事例

裁決事例集 第39集 69頁

要旨

 請求人の保有する競走馬の頭数は各年分とも極めて少なく、また、競走馬の保有等に係る所得は、請求人が自らこれを申告し始めた年分以降、損失を計上するのみであったことからみると、請求人が競走馬の保有等により継続的に相当程度安定した収益を得ていたものということはできず、むしろ請求人が代表取締役を務める会社からその地位に基づいて受ける給与収入により生計を賄っていたことが明らかであること等からすると、請求人の競走馬の保有等は、事業所得の基因となる事業といえるための諸要素を欠くものというほかなく、いまだ所得税法施行令第63条第12号の定める「対価を得て継続的に行う事業」とはいえないというべきである。

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平成21年4月23日裁決

職務発明・考案に係る権利の譲渡の対価として支払われた和解金については、職務発明に関する「相当の対価」の追加分として受け取ったものと認められることなどから、譲渡所得に該当せず、雑所得に該当するとした事例

裁決事例集 第77集 72頁

要旨

 請求人は、職務発明の対価支払請求訴訟における和解により得た和解金は和解調書の記載のとおり、請求人が和解当日までにF社でした職務発明・考案に係る権利を同社に譲渡した対価として受領したものであり、このような権利の譲渡により得た所得は譲渡所得に該当する旨主張する。
 しかしながら、①請求人は本件職務発明につき「特許を受ける権利」をF社に承継し、出願報償金を受け取ったこと、②請求人が同社を被告として提起した相当の対価の支払請求訴訟は同社から受領した本件職務発明についてのロイヤリティ報償金及びクロスライセンス報償金が特許の実施開始以後に同社が得たロイヤリティ収入及びクロスライセンス収入のうち本件職務発明に関して請求人が得るべき「相当の対価」の額に満たないとしたものであり、その和解が成立し本件和解金が支払われたことが認められることなどから、本件和解金は、本件職務発明に関する「特許を受ける権利」の譲渡後に、同社がこの権利を独占的に利用するなどして得た利益の実績等を前提にして、両者が合意の上で定めた金額による本件職務発明に関する「相当の対価」の追加分相当の金員であると認めるのが相当である。
 また、F社がこの権利を独占的に利用するなどして得た利益の実績等に基づいて算定された使用料と同様のものであるから、本件和解金に係る所得は、雑所得となる。

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平成20年8月21日裁決

航空機リース事業に係る匿名組合の組合員に配分されたとする損失は出資額の減少にすぎず、その所得区分は雑所得に該当するとした事例

裁決事例集 第76集 110頁

要旨

 請求人は、営業者と請求人との間の匿名組合契約の営業者の事業が航空機リース事業であり、所得税法第26条の不動産所得(損失)に該当するから、請求人の所得も営業者と同じ不動産所得(損失)である旨主張する。
 しかしながら、本件匿名組合契約により営業者から請求人に配分される損益の内容を吟味すると、請求人が自ら又は営業者と共同して主体的に本件航空機を賃貸していたとか、それによる収益の稼得や費用の負担を行っていたとはいえず、請求人は、本件航空機リース事業に対する単なる出資者という立場で、本件匿名組合契約に基づいて営業者から損益の配分を受けるものであると認められる。そうすると、営業者から請求人に配分される損益は、営業者への出資に対するもので、請求人が不動産等を利用に供したことにより生じる所得であるとはいえないから、不動産所得に該当するものではなく、また、利子所得、配当所得、事業所得、給与所得、退職所得、山林所得、譲渡所得及び一時所得のいずれにも該当しないことから、雑所得に該当する。
 次に、請求人が本件各年分の確定申告において本件航空機リース事業に係る不動産所得の損失としている金額は、営業者から送付された本件各期間の会計報告書の記載に基づくものであって、本件航空機リース事業に係る損失について、本件匿名組合契約に基づき、請求人が分担するものとして出資割合に応じて配分されたものである。そして、ここでいう損失とは、本件各期間における本件匿名組合契約の各年分における財産の減少額のことであり、損失の分担があることによって、請求人の営業者に対する出資額が計算上その分担する損失の額だけ減少することを意味しているにすぎず、現実の支払によってこれを補てんするものではない。そうすると、請求人に配分された損失は、現実の負担ではなく計算上のものであり、課税上は、本件各年分においていまだ確定しているとはいえないから、請求人の本件各年分の雑所得とすべき金額はない。

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平成2年4月19日裁決

覚せい剤の密輸入、密売に係る所得についての所得税の決定は適法であるとした事例

裁決事例集 第39集 41頁

要旨

 請求人は、暴力団の配下組員と共謀の上、大量の覚せい剤を密輸入・密売し、係争年分中に多額の利益を得ていたにもかかわらず、これを申告しなかったものであり、請求人に対する所得の決定及び重加算税の賦課決定は適法である。

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平成12年7月7日裁決

請求人が受領している適格退職年金に係る原資の拠出者が、勤務していた法人、請求人のいずれであるかが争われた事例

裁決事例集 第60集 266頁

要旨

 請求人が従前勤務していた法人(以下「本件法人」という。)において加入していた適格退職年金制度の掛金等の負担について、退職手当規程上、当該退職年金制度の加入者が定年により退職した場合、退職手当の金額からその基準額の全額を控除すると規定されているのみで、基準額と退職年金制度の原資との関係について明文で定めた規定は見当たらない。
 しかしながら、[1]基準額は年金の原資に「移行」することとされていること、また、年金月額の算定方法が基準額の算定方法と相応していることからすると、当該退職年金制度の加入者についてみる限り、その基準額に相応する金額が年金の原資として本件法人により継続的に拠出され年金資産となっているものと解されること、[2]請求人の署名、押印のある退職年金給付申請書をみても、年金についての従業員の拠出総額を零円と記載していること、[3]本件法人の経理処理上も基準額相当額については会社拠出金として処理されていること、[4]そもそも適格退職年金制度においては、退職の際、当該制度の加入者の退職年金の原資となる掛金が加入者に帰属しないことを前提として、退職年金の実際の支給時に課税されていることを考え併せると、本件の年金原資の拠出者(負担者)は請求人でなく、本件法人であると認めるのが相当であり、請求人が受領している退職年金は雑所得の収入金額となる。

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平成25年6月19日裁決

請求人が行った社債の換金手続は、社債の譲渡に当たらず、社債の償還に当たると認められることから、雑所得に該当するとした事例

裁決事例集 第91集

ポイント

 本事例は、請求人が行った社債の換金手続(redemption)は、目論見書の定めに基づいて行われたものであり、目論見書の定めから、社債の譲渡に当たらず、社債の償還と認めるのが相当であるとして、当該換金手続(redemption)による所得は、雑所得に該当すると判断したものである。

要旨

 請求人は、保有する社債(本件社債)の換金手続(redemption)に係る請求人の申込みに基づく取引(本件取引)は、満期償還に伴う償還手続に従ってされたものではなく、請求人が、当該社債の発行会社のホームページに公表されている買入価格を基に売却の意思決定を行い、その旨の請求人の申出に同社が同意して行われたものであるとみることができるから、本件取引は、同社による社債の任意買入れにほかならず、租税特別措置法(平成22年法律第6号による改正前のもの)第37条の15《公社債等の譲渡等による所得の課税の特例》第1項第1号の社債の譲渡に当たる旨主張する。
 しかしながら、本件取引は、本件社債の目論見書(本件目論見書)の定めに基づいて行われた社債の「redemption」であると認められるところ、本件目論見書の定めから、本件取引である「redemption」は社債の償還と認めるのが相当であり、また、本件目論見書には、社債保有者による譲渡に当たる場合を想定していたと認められる記載があるものの、本件取引がこの場合における取引ではないことが明らかであるから、社債の譲渡には当たらない。

参照条文等

所得税法第35条第1項 租税特別措置法(平成22年法律第6号による改正前のもの)第37条の15第1項第1号

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平成20年5月13日裁決

請求人と雇用関係にない会社から付与された新株予約権の行使に係る経済的利益は、一時所得ではなく雑所得と認めた事例

裁決事例集 第75集 229頁

要旨

 請求人は、請求人と雇用関係がないA社から付与された本件新株予約権の行使に係る本件権利行使益は、役務その他の労務の対価ではなく、一時的、偶発的な所得であるから、一時所得に該当する旨主張する。
 しかしながら、本件新株予約権の付与に当たって、具体的な役務の提供が明示的に合意されていたとはいえないとしても、請求人は、A社に対する社外協力者として同社の必要に応じて協力し、仮に、将来転職する場合には同社への入社を優先するなどの義務を負う社外協力者としての地位にあり、同社は、このような義務を伴う地位に就いていることを継続することの見返りとして本件各新株予約権を付与ないし割り当てたものということができる。
 そして、本件新株予約権については、その権利を譲渡し又は処分等することはできないものとされており、請求人は、これを行使することによって、初めて経済的利益を受けることができるものとされているのであるから、A社は、請求人に対し、本件新株予約権に係る付与契約により本件新株予約権を付与し、その約定に従って所定の権利行使価格である株式を取得させたことによって、本件権利行使益を得させたものということができる。
 したがって、本件権利行使益は、A社から請求人に与えられた給付に当たるものというべきで、本件各新株予約権を行使して得た本件権利行使益は、労務その他の役務の提供の対価としての性質を有するというべきである。
 以上によると、本件権利行使益は、利子所得、配当所得、不動産所得、事業所得、給与所得、退職所得、山林所得及び譲渡所得のいずれにも該当せず、また、労務その他の役務の対価として供与されたものであるから、一時所得には該当せず、雑所得に該当する。

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平成元年6月23日裁決

請求人の本件不動産の譲渡による所得は、営利を目的として継続的に行ったものと認めるのが相当であるから、譲渡所得に該当せず、かつ、その売買は、社会通念上事業と認めるに足りないので、事業所得ではなく雑所得に該当するとした事例

裁決事例集 第37集 48頁

要旨

 請求人は、本件不動産は不動産賃貸業の用に供していたものであり、また、本件不動産を譲渡したのは、より条件の良い賃貸物件の取得及びローンの負担の軽減を図るためであり、その結果として売買回数が多くなり、所有期間が短くなったにすぎず、したがって、本件不動産の売買は、売買による営利を目的としたものではなく、賃貸経営を目的としたものであるから、本件不動産の譲渡による所得は譲渡所得とすべきであると主張するが、請求人は、[1]いわゆるワンルームマンションを主とする不動産の購入及び売却をして売買利益を得ており、また、受領した売却代金の大部分と多額の借入金で新規の不動産を購入するなどして、相当数の不動産の売買を繰り返していること、[2]売却した物件の所有期間は極めて短期間であること等から、営利を目的として継続的に本件不動産の譲渡を行ったものと認めるのが相当であるから、本件不動産の譲渡による所得は、所得税法第33条第2項第1号の規定により譲渡所得に該当せず、事業所得又は雑所得に該当するところ、請求人は、不動産の売買取引のあっせん及び仲介をしたことがなく、その取引の仲介を不動産業者に依頼していること、不動産取引のための雇人及び物的施設も有していないこと、別会社の代表取締役の地位にあることを総合勘案すると、請求人が行った不動産の売買は、社会通念上事業と認めるに足りないので、雑所得に該当すると解するのが相当である。

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昭和53年7月19日裁決

還付加算金は損害賠償金に類する非課税所得ではなく雑所得に該当するとした事例

裁決事例集 第16集 12頁

要旨

 還付加算金は、過誤納の原因となった賦課徴収手続のかし等それ自体を原因として、その賠償として支払うという性質のものではなく、納税者を当該過誤納がなかったものと同じ経済的立場におこうとする配慮及び納税者が国税を滞納した場合に延滞税が課せられることとのバランスを考慮して支払われるものと解するのが相当であり、これを所得税法第9条第1項第21号に規定する非課税所得に該当しないとして行った原処分は相当である。

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平成24年7月2日裁決

LPSから分配される収益金について、配当所得、不動産所得のいずれにも該当せず、雑所得に該当するとした事例

裁決事例集 第88集

ポイント

 本事例は、LPSから分配される収益金(LPS収益金)に係る所得について、LPSが、我が国の租税法上の法人に該当し、出資者の地位に基づいて分配を受ける剰余金であって、配当所得に該当するのか、又は我が国の民法上の組合と同様のものであって、不動産所得に該当するのかが争われ、その法律的経済実質的関係を個別具体的にみて、雑所得に該当するとしたものである。

要旨

 原処分庁は、米国においてリミテッド・パートナーシップ契約(LPS契約)によって組成されるLPSは我が国の租税法上の法人に該当するから、請求人は出資者としての地位にあり、また、請求人がこの地位に基づいて分配を受けるLPS収益金は、本件各LPSの剰余金であるから、配当所得に該当する旨主張する。一方、請求人は、LPS収益金は、本件各LPSに帰属せず、民法上の組合と同様、損益分配割合に応じて配分され、請求人に直接帰属するから、不動産所得に該当する旨主張する。
 しかしながら、配当所得とは、法人から受ける剰余金の配当、利益の配当及び剰余金の分配等に係る所得で、剰余金又は利益の処分として配当又は分配したものだけでなく、出資者に対しその出資者である地位に基づいて供与した経済的な利益も含まれると解され、法人に帰属する利益の処分としての性質を有するものである。これを本件についてみると、本件各LPS契約における収益金定義条項及び分配額保証条項によれば、その分配額は毎年所定の額となることを保証されており、計算上の分配可能な額が保証された金額に満たない場合にも、毎年所定の額の分配を受けられるものとされているところ、現に、請求人は、この分配額保証条項に基づいて毎年所定の額のLPS収益金の分配を受けているのであるから、LPS収益金に係る所得は、本件各LPSに帰属する利益の処分としての性質を有するものでないことが明らかであり、配当所得には該当しない。また、LPS収益金は、請求人が、本件各LPS契約における分配額保証条項に基づいて毎年所定の額の分配を受けているものであり、請求人が、自ら、又は本件各LPSないしオーナーLPSを自らの代理人として、主体的に本件各物件を賃借人に対して賃貸し、それによる収益の稼得や費用の負担を行っているということはできず、LPS収益金に係る所得は、請求人が、不動産所得を生ずべき業務(不動産等の貸付業務)の遂行により、あるいはそれに伴い得た所得とはいえないから、不動産所得には該当しない。したがって、LPS収益金は、本件各LPS契約における分配額保証条項に基づいて分配を受けているものであるから、LPS収益金に係る所得は、利子所得、事業所得、給与所得、退職所得、山林所得、譲渡所得及び一時所得のいずれにも該当せず、雑所得に該当する。

参照条文等

所得税法第2条第1項第6号第7号第24条第26条第35条 民法(平成18年法律第50号による改正前のもの)第33条、第43条

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昭和63年6月30日裁決

商品先物取引により生じた損失の所得区分は雑所得に属するとした事例

裁決事例集 第35集 19頁

要旨

 請求人は、本件商品先物取引に係る所得は、[1]営利性、有償性、[2]継続性、反復性、[3]自己の危険と計算による企画遂行性、[4]精神的、肉体的労力の程度、[5]人的、物的設備、[6]資金調達方法及び[7]職業、経歴及び社会的地位からみて事業所得であると主張するが、請求人の社会的地位(商品先物取引が禁止されている登録外務員であり、かつ、商品先物取引業を営む会社の役職ある地位にある)及び商品先物取引が一般的に極めて投機性の強い射こう的な取引であって、元来、事業としてなじみ難い取引であること等から総合的に判断すれば、本件商品先物取引は所得税法にいう対価を得て継続的に行う事業とは認められず、本件商品先物取引に係る損失は、雑所得に属する。

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平成20年10月30日裁決

新株予約権の行使に伴い生じた経済的利益は雑所得に該当し、また、新株予約権の取得についての情報提供者に支出した手数料は雑所得の金額の計算上必要経費に算入されるとした事例

裁決事例集 第76集 136頁

要旨

 請求人は、民法上の組合を通じて取得した新株予約権の行使による経済的利益は一時所得に該当する旨主張する。しかしながら、新株予約権を有利発行した法人は、その新株予約権の発行に当たり、事業拡大等のための資金調達のほか、投資家による新規事業への支援も計画し、これらの確実な実現を図るために本件組合を引受先とし、また、本件組合の出資者の投資リスク等も考慮して有利発行したものと認められることから、当該経済的利益は出資の対価としての性質を有しているといえる。したがって、当該経済的利益は、対価性が認められることから一時所得には当たらないことになり、また、請求人は、当該法人の役員等でもないことから給与所得にも当たらず、営利を目的とする継続的行為から生じた所得ではないから事業所得にも当たらず、さらには利子所得、配当所得、不動産所得、退職所得、山林所得及び譲渡所得のいずれにも当たらないので、雑所得となる。
 また、原処分庁は、請求人が本件組合を通じた新株予約権の取得についての情報提供者に支出した手数料は、株式の譲渡と密接に関連した費用であり、上場株式等の譲渡所得の金額の計算上、譲渡費用となる旨主張する。しかしながら、請求人が本件手数料を支払わなければ、当該株式の売却ができなかったわけではなく、また、情報提供者において、当該株式の売却に関与した事実も認められないことから、本件手数料は、請求人にもたらされた投資情報に基づき、当該組合に対する出資により、結果的に、請求人が得た経済的利益について生じた費用であると解するのが相当である。そして、当該経済的利益は雑所得に区分されるから、本件手数料は、雑所得の金額の計算上必要経費に算入される。

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昭和55年11月3日裁決

有価証券の売買による所得が事業所得ではなく雑所得であるとした事例

裁決事例集 第21集 19頁

要旨

 株式の取引が事業に当たるか否かは、一般社会通念に照らして判断するほかはないが、そのためには事業としての社会的客観性が問われるべきであり、この観点からすれば、その取引の種類、取引におけるその者の役割、取引のための人的、物的設備の有無、資金の調達方法その他諸般の状況等を総合勘案して判断すべきものであり、単に所得税法施行令第26条第2項各号に規定する株式の売買回数及び売買株数を充足しているだけでは足りず、株式のために投下若しくは動員された資金の額及び人的物的設備等が相当程度の規模によっていることを要すると解されるところ、請求人の株式取引のために費やした精神的、肉体的労力の程度、取引のための資金調達の方法、その人的、物的設備の組織的な利用状況、請求人の社会的地位等から判断して、本件の株式取引は事業に当たるとする社会的客観性を有しているものとは認められないので、当該株式取引から生じた損失の額を、雑所得を生ずべき営利を目的とした継続的行為から生じた損失の額と認定した原処分は適法である。

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平成13年9月14日裁決

本件競走馬の保有は事業所得の基因となる事業に当たらないとした事例

裁決事例集 第62集 65頁

要旨

 請求人は、本件競走馬の保有に係る所得は事業所得に該当すると主張する。
 しかしながら、競走馬の保有に係る業務が所得税法第27条第1項にいう事業に該当するかどうかは、単に、その営利性、有償性、継続性、反復性の有無のみならず、業務に費やした精神的・肉体的労力の程度、業務のための人的・物的設備の有無、投下資本の調達方法、その者の職業(職歴)、社会的地位、生活状況及び当該業務から相当程度の期間継続して安定した収益が得られる可能性が存するか否か等を総合的に検討し、一般社会通念に照らして判断するのが相当であるところ、平成6年から平成10年までの間における請求人の保有する本件登録馬の頭数は、登録期間が6月以上のものは1頭ないし3頭と少数である上、請求人は、本件競走馬の保有に当たり、特別な事業所や設備は設置していなく、請求人は、専属の従業員も雇用しておらず、その管理運営は専ら第三者に委託していること、請求人は、主として建設工事業の業務に基づく所得により生計を賄っていたこと、請求人の本件競走馬に係る所得は、平成10年分こそ利益を計上したが、平成5年分ないし平成9年分は専ら損失の金額を計上するのみであったこと等からすると、本件競走馬の保有は、事業所得の基因となる事業といえるための諸要素を欠くものというほかなく、いまだ所得税法施行令第63条第12号に規定する「対価を得て継続的に行う事業」とは認められないというべきである。

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平成21年10月9日裁決

職務発明に係る特許を受ける権利を勤務先に承継させた者の相続人が、特許を受ける権利の対価に係る訴訟上の和解により取得した金員は、その相続人の雑所得に該当するとした事例

裁決事例集 第78集 172頁

要旨

 請求人は、E社との和解によって受領した金員は、請求人の死亡した子Dがした職務発明による特許を受ける権利のE社への承継に際し一時に受けるべき対価の修正追加支払額であることから、Dに帰属し、Dの当該権利の承継が行われた年分の譲渡所得であるので請求人には課税されない旨、及び、請求人に所得税が課税されるとしても、発明者の相続人である請求人にとっては対価性がなく、訴訟により請求人が獲得したもので継続性がないから、当該金員は一時所得に該当する旨主張する。
 しかしながら、当該職務発明に係る対価請求権のうち、特許を受ける権利を使用者等に承継した後に支払われる不足額部分については、承継時には、対価の額は未実現(未確定)であるため、直ちにその全部について権利行使(権利の実現)することは困難であり、このような段階では、当該対価請求権は法的には発生していても、いまだ権利実現の可能性を客観的に認識することができるとはいえず、当該金員は、和解成立時に収入の原因となる権利が確定したと認められるから、請求人の平成19年分の所得とみるのが相当である。
 また、対価性とは、専ら、当該給付が役務行為又は資産と対価性があるか否かによって定められるべきであり、当該役務行為又は資産の譲渡の主体が相続人たる請求人であるか被相続人であるかはその判断に影響を与えるものではない。
 そうすると当該金員は、特許法第35条第3項の相当の対価の不足額を求めた訴訟により金額が確定した金員であり、特許を受ける権利を使用者に承継したことに伴い、使用者が当該権利を独占的に利用する権利を取得し、その金額は承継後に使用者が獲得した利益の実績に基づいて算定されるべきものであり、その実質は使用者に承継した特許を受ける権利の対価であることに疑いはないから、対価性があると認められ、これを一時所得と解することは相当でない。
 したがって、当該金員は、利子所得ないし一時所得のいずれにも該当しない所得であるから、雑所得に該当する。

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平成4年12月9日裁決

請求人は貸金業の登録はしているものの、請求人の金銭の貸付行為は、営利を目的とした社会通念上の事業として行われているとは認め難いとした事例

裁決事例集 第44集 41頁

要旨

 金銭の貸付行為が所得税法上の事業に該当するか否かは、その貸付先との関係、貸付けの目的、貸付金額、貸付利息の収入状況、担保権設定の有無、貸付資金の調達方法、貸付けのための広告宣伝の状況その他諸般の事情を総合して判断すべきであると解されるところ、請求人は貸金業の登録はしているものの、[1]貸付先は、請求人が大株主で代表取締役をしている同族法人2社のみであり、担保権の設定等貸付金の保全措置を講じていないこと、[2]貸付金に係る受取利子の金額よりも当該貸付資金調達のための借入金に対する支払利子の金額が多額であること、[3]事業所と称する程度の店舗を有していないこと及び[4]金融業の看板の掲示及び広く一般に顧客を求めるための広告宣伝を行ったことを証明するに足る証拠がないことから、請求人の金銭の貸付行為は、所得税法上の事業には該当しない。

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平成元年12月25日裁決

有価証券の売買及び商品先物取引により生じた損失を雑所得を生ずべき業務から生じた損失の額と認定した原処分を適法とした事例

裁決事例集 第38集 36頁

要旨

 一定の具体的取引行為が「事業所得を生ずべき事業」に該当するか否かは、結局一般社会通念に照らし当該取引が事業として行われているか否かによって決せられるべきものであるが、有価証券の売買及び商品先物取引は投機性の強いものであるから、その判断においては、単に当該取引の営利性、有償性、継続性及び反復性の有無のみならず、事業としての客観性の有無が問題とされるべきであり、この観点からは、当然にその取引のための人的・物的設備の有無、資金調達方法、取引に費やした精神的、肉体的労力の程度、その者の職歴、社会的地位などのほか、当該取引によって相当期間継続して安定した収益を得られる可能性があるかどうかについて考察せざるを得ないものというべきである。
 本件において、請求人が、長期間にわたって有価証券の売買及び商品先物取引を大規模、かつ、継続的に反復して行っていたことが認められ、取引に費やした精神力、肉体的労力の程度も軽視し難いものがあったことは認められるものの、請求人は大規模な病院を経営し、その傍ら本件有価証券の売買及び商品先物取引を行っていたものであり、結局、請求人の趣味と実益を兼ねた投機により損失を被ったにすぎないから、本件有価証券の売買及び商品先物取引は、いまだ社会通念上事業と認められるに足りるものとはいえず、所得税法上の事業には該当しないものというべきであり、したがって、本件有価証券の売買及び商品先物取引から生じた損失を雑所得を生ずべき業務から生じた損失の額と認定した原処分は適法である。

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平成22年2月16日裁決

請求人が行った外国為替証拠金取引は、事業として社会的客観性がいまだ認められず、「対価を得て継続的に行う事業」には該当しないとした事例

裁決事例集 第79集

要旨

 請求人は、請求人が行った外国為替証拠金取引はその取引回数が約1,400回で、取引金額にすると130,000,000円を超える規模であり、1日に費やす時間も平均15時間に及ぶことからみて事業所得を生ずべき事業に該当する旨主張する。
 しかしながら、ある経済的行為が所得税法施行令第63条第12号の「対価を得て継続的に行う事業」に該当するか否かは、当該経済的行為の営利性・有償性の有無、継続性・反復性の有無のほかに事業としての社会的客観性の有無が問題とされるべきであり、この観点からは、当該経済的行為の種類、自己の役割、人的・物的設備の有無、資金の調達方法、費やした精神的・肉体的労力の程度、その者の職業・社会的地位などの諸点を検討する必要がある。そして、一定の経済的行為が反復・継続して行われることによって事業として社会的客観性が認められるには、相当程度安定した収益を得られる可能性がなければならない。
 これを本件についてみると、①一般に外国為替証拠金取引は投機性の高い取引であり、継続的に相当程度安定した収入が得られる可能性が乏しく、本来事業になじみがたい性格を有するものであること、②請求人は、自らが代表取締役を務める法人2社からの役員報酬により生計を立てていること、③請求人は、インターネット情報などを参考に取引を行っているが、外国為替証拠金取引の企画遂行に当たって相当程度の精神的・肉体的労力を要していると認められないこと、④外国為替証拠金取引のための積極的な資金調達が認められないこと、及び⑤外国為替証拠金取引を反復継続して行うための人的物的設備を有していないことが認められ、これらのことを考慮すると、請求人が行った外国為替証拠金取引は、事業として社会的客観性がいまだ認められず、「対価を得て継続的に行う事業」に該当するということはできない。

参照条文等

所得税法第27条第1項第69条第1項 所得税法施行令第63条

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平成23年9月22日裁決

請求人が裁判上の和解により取得した職務発明に係る和解金は、譲渡所得ではなく、雑所得に該当するとした事例

裁決事例集 第84集

ポイント

 この事例は、職務発明をした従業員等が使用者等に特許を受ける権利等を承継させたときに保障される「相当の対価の支払を受ける権利」(特許法第35条第3項)に基づき、裁判上の和解により支払われた和解金の所得区分につき、請求人が、当該和解金のうち外国特許に係る部分は譲渡所得に該当すると主張したのに対し、特許を受ける権利が通常同一の職務発明から生じるものであることを説示した最高裁平成18年10月17日第三小法廷判決を参考に、この事例における社内規定の内容から、当該和解金の全部が譲渡所得には当たらない旨判断したものである。

要旨

 請求人は、国内特許と外国特許とに係る相当の対価の支払を請求する権利は、それぞれ別個の請求権であって、F社から外国特許に係る承継の対価は一切受け取っておらず、F社に対し、在職中の職務発明について特許を受ける権利をF社に承継させたことにつき、特許法第35条《職務発明》第3項の規定に基づき、相当の対価の支払を求めて提起した訴訟において成立した訴訟上の本件和解によって得た本件和解金によって当該外国特許に係る承継の対価を初めて受け取ったのであるから、少なくともその部分に関しては譲渡所得に該当する旨主張する。
 しかしながら、我が国又は外国の特許を受ける権利の基となる職務発明は、共通する一つの技術的創作活動の成果であり、当該職務発明については、その基となる雇用関係等も同一であって、これに係る国内外の特許を受ける権利は、社会的事実としては、実質的に1個と評価される同一の職務発明から生じたものということができ、そして、F社の発明考案取扱規定(本件規定)は、F社が日本国及び外国での職務発明に係る特許等を受ける権利等を承継する旨定めており、その趣旨は、国内外の特許を受ける権利の上記のような性格等に鑑み、当該権利の基となる職務発明をした従業者等とF社との間の当該発明に関する法律関係を一元的に処理しようとしたものであるということができる。このことに加えて、本件規定において、出願数は国内出願の件数により認定し、複数の出願に基づく国内優先権出願及び外国出願は全てこれを一つの出願とみなす旨規定していることを併せ考えると、本件規定が定める出願補償金、登録補償金及び実績報償金は、いずれも、国内における特許を受ける権利と外国における特許を受ける権利のいかんを問わず、本件規定の定める一つの出願に対するものとして規定されているものと解するのが相当である。そうすると、F社から請求人に対して支払われた出願補償金及び登録補償金は、職務発明に係る国外の特許を受ける権利の承継の対価を含むものというべきであるから、本件和解金に係る所得は譲渡所得には当たらない。

参照条文等

所得税法第33条第35条 所得税基本通達23~35共-1

参考判決・裁決

最高裁平成18年10月17日第三小法廷判決(民集60巻8号2853頁) 東京(知財)高裁平成21年2月26日判決(判時2053号74頁・判タ1315号198頁) 平成21年4月23日裁決(裁決事例集77号72頁) 平成21年10月9日裁決(裁決事例集78号172頁)

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平成2年4月19日裁決

値下がりしている保有株式を売却すると同時に、同一銘柄の株式を同株数、同価額で購入する取引によって生じた売却損について、これを租税回避行為として否認することはできないとした事例

裁決事例集 第39集 106頁

要旨

 値下がりしている保有株式を売却すると同時に、同一銘柄の株式を同株数、同価額で購入する取引によって生じた売却損について、原処分庁は、かかる取引は手数料等の実損を生じるだけ積極的な利益追求としてのメリットは全くない、株式売却損を発生させ、他の売買益と通算して税負担を減少させる目的で行ったものと認められるから、所得税法に内在する実質課税の条理に基づき、本件取引はなかったものとして雑所得の金額を計算すべきである旨主張する。
 しかし、[1]本件売却損は、保有株式の値下がりによる損失を現実の売却により顕在化させただけであって、意図的に作り出したものではないから、結果として損失が生じたとしても、不自然、不合理なものとはいえないし、[2]保有株式の値下がりによる損失を顕在化させる目的で本件取引をしたものであっても、株式取引が極めて経済的危険の多い取引であり、所得税が経済取引上考慮されるべき経済的負担であることを考えると、そのような目的があるからといって、これを不自然、不合理として否定することはできず、[3]現実の取引によって値下がり損失を実現している以上、評価損と同視することはできず、仮装ないし不自然な取引とはいえないから、その行為は租税回避行為に当たらない。

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