裁決事例 寄付金

裁決事例 寄付金

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昭和53年9月29日裁決

事業を引き継いだ法人が支出した立替金の利息相当額は寄付金ではなく仮払金に該当するとした事例

裁決事例集 第16集 21頁

要旨

 倒産した法人の事業を引き継いだ法人が出捐した立替金の利息相当額を寄付金と認定した原処分について、当該立替金は倒産法人の事業を整理する過程で生じたものであるが関係者間で事実の確認契約に係る調整等が終了せず、債権債務が未確定であるから、当該立替金の出捐は仮払いであり、したがって、利息相当金を寄付金とした認定は違法である。

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昭和52年8月9日裁決

同業数社間で締結している拠出金還元金規約に基づく拠出金について寄付金と認定した事例

裁決事例集 第14集 27頁

要旨

 請求人は、同業のグループ数社と新仕入先の共同開発を目的として、一定の方法により請求人等グループ各社が拠出した金額を新仕入先からの販売金額に応じて還元することを内容とする規約を締結し、拠出金額のうち還元金額を超過する部分の金額を仕入拡張費として損金に計上した。
 しかしながら、請求人等同業グループ数社はいずれも請求人の代表者一族等が株式の大半を所有している同族会社であり、拠出金は請求人等グループ各社以外に流出するおそれは全くないことが認められる。これらの事実によれば、本件規約は新仕入先を開拓した請求人等グループ各社に対する金銭の贈与を目的とした契約というべきである。また、新仕入先を開拓しなかったことによりペナルティとして拠出金を支出することは通常あり得ないことであり、その支出の効果も間接的反射的なものでその支出の対価となるほどの財産上の利益も認められないこと等からすれば本件仕入拡張費は、事業遂行上通常必要な費用とは認められない。したがって、これを寄付金に当たるとした原処分は相当である。

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昭和60年11月21日裁決

子会社の代表取締役に就任した使用人兼務役員に支払った使用人分給与を子会社に対する寄付金と認定したことは相当でないとした事例

裁決事例集 第30集 169頁

要旨

 原処分庁は、請求人の取締役営業部長が子会社の代表取締役として同社の経営に従事していたことは明らかであり、また、同人が子会社と請求人双方の業務を兼ねていたとしても、請求人の使用人としての職務に常時従事することはできないと認められるので、同人は請求人の使用人兼務役員とはなり得ないものであって、請求人が同人に支払った使用人分給与は子会社に対する寄付金となると主張するが、同人は、子会社の代表取締役に就任した後においても子会社の経営に参画し、その業務に従事していたものと認めることはできず、請求人の使用人兼務役員として業務に従事しており、その職務が就任前と格別異なるところは認められず、役員としての報酬及び使用人としての給与も、特別に増額されていないことが認められるから、本件使用人分給与を子会社に対する寄付金と認定したことは、相当でない。

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昭和61年11月29日裁決

特定の政治団体の中傷行為等を排除するためにやむなく支出した金員は交際費ではなく寄付金に該当するとした事例

裁決事例集 第32集 245頁

要旨

 請求人は、特定の政治団体の中傷行為等を排除するためにやむなく支出した金員は、その支出の経緯や当該政治団体が請求人の事業関係者等に当たらないことから、寄付金や交際費等に該当しないと主張するが、一般に寄付金とは、金銭その他資産の贈与又は経済的な利益の供与のうち、事業の遂行に直接関係のあるもの以外のもの、すなわち、事業の遂行に直接関係ないもの及び事業の遂行との関係が明らかでないものと解され、特定の政治団体に対する本件支出金は、請求人の事業遂行に直接関係ないものであるので寄付金に該当すると認めるのが相当である。

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令和6年12月10日裁決

請求人が支払った建物等の請負工事代金のうち請負業者が請求人の関連法人に支払った金額は、寄附金の額に該当すると判断した事例( 平成27年8月1日から平成28年7月31日までの事業年度の法人税の更正処分及び重加算税の賦課決定処分並びに令和3年8月1日から令和4年7月31日までの事業年度の法人税の更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分、 平成27年8月1日から平成28年7月31日まで及び令和3年8月1日から令和4年7月31日までの各課税事業年度の地方法人税の各更正処分、 平成27年8月1日から平成28年7月31日までの課税期間の消費税及び地方消費税の更正処分並びに重加算税の賦課決定処分、 平成27年8月1日から平成28年7月31日までの事業年度以後の法人税の青色申告の承認の取消処分・ 、 及び 一部取消し、 棄却)

裁決事例集 第137集

ポイント

 本事例は、請求人が支払った建物等の請負工事代金のうち請負業者が請求人の関連法人に支払った金額は、請求人が当該請負業者を介して、請求人の関連法人に金銭を対価なく移転するもの(資金の贈与)であると認められ、かつ、請求人が当該資金の贈与を行うことに通常の経済取引として是認することができる合理的理由は認められないから、寄附金の額に該当すると判断したものである。

要旨

 請求人は、取得した建物等の新築工事(本件建物等工事)等につき、これらを請け負った建設会社(本件建設会社)及び建築士(本件建築士)が請求人の関連法人(N社、P社及びQ社)に支払った各金額(本件支払額1及び本件支払額2)は、N社、P社及びQ社による役務の提供の対価であるから、法人税法第37条《寄附金の損金不算入》第7項に規定する寄附金の額に該当しない旨主張する。
 しかしながら、本件支払額1及び本件支払額2については、本件建設会社及び本件建築士がN社、P社及びQ社から何ら役務の提供を受けていないにもかかわらず、請求人の指示に従って支払われたものであることに加え、請求人は、本件建物等工事等に係る契約書等の請負代金等に本件支払額1及び本件支払額2に相当する金額を含めて当該契約書等を作成するとともに、本件建設会社及び本件建築士に対し、本件支払額1及び本件支払額2をN社、P社及びQ社に支払うよう指示していたことを併せ考慮すれば、本件支払額1及び本件支払額2に相当する金額は、請求人が本件建設会社及び本件建築士を介して、N社、P社及びQ社に金銭を対価なく移転するもの(資金の贈与)であると認められ、かつ、請求人が当該資金の贈与を行うことに通常の経済取引として是認することができる合理的理由は認められないから、本件支払額1及び本件支払額2に相当する金額は同項に規定する寄附金の額に該当する。
 また、原処分庁は、請求人が取得した構築物の新設工事(本件構築物工事)につき、これを請け負った本件建設会社が請求人の指示に従ってN社及びP社に支払った金額(本件支払額3)については、本件建設会社がN社及びP社から役務の提供を受けていないこと、また、本件構築物工事に係る契約書記載の請負代金は、請求人が本件建設会社に依頼して本件支払額3に相当する金額を上乗せしたものであることなどの諸事情を総合勘案すると、本件支払額3に相当する金額は、請求人が本件建設会社を介してN社及びP社に対し贈与したものと認められる旨主張する。
 しかしながら、本件支払額3については、本件建設会社がN社及びP社に対し本件構築物工事に係る資材の購入等の対価として支払をしたものと認められることから、本件支払額3に相当する金額は、請求人が本件建設会社を介して行ったN社及びP社に対する資金の贈与の額であると認めることはできない。

参照条文等

法人税法第37条第7項

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平成2年3月8日裁決

公益法人等が収益事業から公益事業へ支出した金額につき、これと見合う金額を元入金として受け入れているときは、いわゆるみなし寄付金に当たらないとした事例

裁決事例集 第39集 297頁

要旨

 法人税法第37条“寄付金の損金不算入”第4項にいう収益事業から公益事業への資産の支出とは、現に収益事業に属する資産を公益事業へ支出して、これにつき明確に区分経理をし、かつ、その資産がその公益法人等の本来の事業のための資金として使用されることをいうものと解されるから、収益事業から公益事業へ資産を支出したとしても、直ちにその支出した資産の額に相当する金額を元入金として公益事業から収益事業へ受け入れた場合には、法人税法第37条第4項にいう支出には当たらず、また、これにつき明確に区分経理したことにはならないから、当該収益事業から公益事業への支出額は、みなし寄付金には該当しない。

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平成3年5月29日裁決

本件土地の譲渡価額と時価との差額が生ずることについて合理的な理由があるとは認められないから、その差額は寄付金に該当するとした事例

裁決事例集 第41集 229頁

要旨

 原処分庁が採用した取引事例の譲渡価額は、本件土地に隣接し、かつ、大規模地であり本件土地との類似性は高く、当該取引事例を基に時点修正して時価を算定した原処分には合理性がある。本件土地は当該取引事例地よりも街路条件及び交通・接近条件で優れていること及び実測面積よりも少ない公簿面積によって原処分庁の時価算定が行われていることを考慮すると、本件土地の時価は、原処分庁の算定時価を上回るものと推認され、原処分庁の認定した時価は相当である。
 法人税法第37条第6項に規定するいわゆる低額譲渡の場合における「実質的に贈与又は無償の供与をしたと認められる金額」とは譲渡の対価の額と時価との差額が生ずること(無償性)について、合理的な理由が認められない場合のその差額をいうものと解されるところ、本件土地の時価と譲渡価額とに差額が生じることについて合理的な理由があるとは認められないから、この差額は寄付金に該当する。

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昭和54年6月28日裁決

経営状態が悪化したことを理由とする子会社に対する経済的利益の供与は寄付金に当たると認定した事例

裁決事例集 第18集 80頁

要旨

 請求人は、製品のすべてを請求人に納入している子会社5社から、従来、売上金額に一定の割合を乗じた額の経営指導料及び技術指導料を収受しており、また、これら子会社に金銭貸付けを行った場合には、契約に基づき一定の率による利子を収受していたところ、これら子会社のうちのA社及びB社の経営状態が悪化し、多額の欠損金額を生ずるに至ったため、既に確定的に発生していたA社及びB社に対する経営指導料の額及び技術指導料の額並びに利息の額の支払を免除した。経済的利益の供与であっても、その経済的利益の供与が合理的な理由に基づくものである場合には寄付金に該当しないと考えるべきことは請求人の主張のとおりであるが、A社及びB社の経営状態が債権者にとってその有する債権につき回収不能が生じたと認定し得るほど悪化しているとは認められず、また、親子会社が全体として統一した経営意思により経営されているいわゆる運命共同体的関係にあるとしても、そのことだけを理由として税務上親子会社個々の所得金額の計算について特別な観点から一般と異なる取扱いをすることは許されていないのであり、さらに、請求人が、本件各免除の代償として、A社及びB社から役務の提供を受け、又は履行すべき取引上の義務を免れるといった何らかの具体的反対給付を得るに至った事実が認められないのであるから、本件各免除によるA社及びB社に対する経済的利益の供与は、寄付金に該当するものといわざるを得ない。

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昭和56年10月14日裁決

請求人と株主を同じくする関連会社に対する貸付金の利息免除について寄付金に該当しないとした事例

裁決事例集 第23集 154頁

要旨

 貸付金から生ずる利息は、その利息の計算期間の経過に応じて益金の額に算入するのが原則であるが、債務者が債務超過に陥っていることその他の相当の理由により、その支払を督促したにもかかわらず、相当期間未収が継続し、現実に利息を回収することが極めて困難であり、未収利息を益金の額に算入することが著しく実情に即さないと認められる場合には、実際に利息を回収するまで益金の額に算入しないことも、公正妥当な会計処理の基準に従っているものと解すべきであるところ、請求人が利息を免除した請求人と株主を同じくする関連会社は、業績が逐年悪化し、相当期間債務超過の状態が継続しており、同社から、現実に利息を回収することは極めて困難な状態にあったものと認められる。
 したがって、本件利息を請求人の益金の額に算入すべきものと認定し、当該金額を免除したことは、相手方会社に対する経済的利益の無償供与に当たるから法人税法上寄付金に該当するとした更正は相当でない。

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昭和57年6月22日裁決

いわゆる兄弟会社に対する貸付債権の放棄について寄付金として認定した原処分は相当でないとした事例

裁決事例集 第24集 110頁

要旨

 原処分庁は、本件貸付債権の放棄について、法人税基本通達9-4-1に定める「相当な理由」があるとは認められないと主張するが、[1]請求人は、甲ビルを譲渡して請求人の兄弟会社である乙社に対して資金援助を行ったが、これは、同社が倒産した場合には社会的責任が生ずるのみならず、結局、請求人も共倒れになるという関係会社間におけるより大きな損失を避けるためのものと認められ、かつ、資金援助をする方法として最後に残された唯一の手段であったことが認められること、また、[2]同社の実質的な経営の引継ぎをするに当たり、請求人は本件貸付債権を放棄したが、これは、同社の再建に自信のない丙が経営を丁に引き受けてもらうために、同社の財政状態を改善する必要に迫られてやむを得ず行ったものであると認められることからすれば、当該通達の趣旨に照らして、「相当な理由」があると解すべきであると認められ、本件貸付債権の放棄による損失の額は、寄付金の額に該当しないというべきである。

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平成11年2月8日裁決

請求人が非上場株式を関係会社の代表者に対して額面金額で譲渡した価額は、通常取引価額に比べ低額であるから、その価額と譲渡価額との差額は寄付金であると認定した事例

裁決事例集 第57集 342頁

要旨

 請求人が自己の所有する関係会社の非上場株式を同社の代表取締役に1株当たりの額面金額で譲渡した価額は、法人税基本通達9-1-15を援用し評価通達の例により計算した通常取引価額に比べ低額であるから、その価額と譲渡価額との差額は寄付金であるとした原処分に対し、請求人は、本件株式の通常取引価額を単純に純資産価額方式により算定することは、実態認識を誤るものであり、法人税基本通達の本旨にもとり極めて不合理であるから、本件株式の通常取引価額は、将来の配当期待権の価値を資本還元した価額に重点をおき、市場流通性を考慮した純資産価額方式との併用により算定すべきであると主張する。
 しかしながら、請求人の主張する算定方式には合理性が認められず、また、取引相場のない株式の価額を定める評価通達は、当該株式の価額を合理的、かつ、その実態に即して評価し得るものと認められ、実務上定着しているので一般的に妥当性と合理性を有するものであるから、当該通達により算定された通常取引価額と譲渡価額との差額は寄付金に当たるとした原処分は相当である。

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平成6年3月31日裁決

関係会社に損失が生じたときには請求人がその損失の一切を賠償する旨の契約書を作成し、この契約書に基づきした損失補てんは寄付金に該当するとした事例

裁決事例集 第47集 319頁

要旨

 請求人は、関係会社との間で、両者間における商取引に起因して関係会社が被った一切の損害は請求人が賠償する旨の契約書を作成し、この契約書に基づき、関係会社に対し損失補てんをした金額を雑損失勘定に計上して損金処理をしているが、本件契約における損害賠償の内容は、関係会社の責めに帰すべきものについても賠償を行うこととなっており、請求人が関係会社の損失を一方的に負担するという不自然、不合理なもので経済的合理性を欠くものであり、また、関係会社は、請求人から本件損失補てんを受けなければ直ちに休業、倒産等の事態に陥るとも認められない。
 したがって、請求人がした関係会社に対する損失補てんは、法人税法第37条第6項に規定する寄付金に該当するとした原処分は、相当である。

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平成12年12月14日裁決

外国子会社に対する業務委託費として経費に計上した金員は、外国子会社に対する資金援助に当たり、寄附金と認定された事例

裁決事例集 第60集 394頁

要旨

 請求人は、請求人の製品を韓国市場に広めるため、外国子会社を設立、発行済株式の総数を保有して同社との間で業務委託契約を締結し、その契約に基づく役務の提供に対して毎月100万円の業務委託費を支払ったと主張するが、請求人が審査請求に及んで本件業務委託の役務提供の事実を証明する資料として提出した証拠書類は、その資料内容及び業務内容において外国子会社の従業員から同社の社長に対する通常業務の一貫としての連絡、伺いの域を超えない報告書等であることから、外国子会社は、請求人に対し、役務の提供をしていたとはいえず、業務委託費は本件契約に基づく役務の提供の対価とは認められない。
 したがって、本件業務委託費は、法人税法第37条第6項措置法第66条の4第1項及び第3項の規定により、外国子会社に対する寄附金と認めるのが相当である。

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昭和61年4月30日裁決

寄付金と認定されたいわゆる姉妹会社の清算に伴う支出金額についてその一部は寄付金に該当しないとした事例

裁決事例集 第31集 147頁

要旨

 原処分庁は、本件支出金額のうち姉妹会社の債務について物上保証をしていたことにより負担すべき額を超える部分の金額は、同社に対して債権放棄を前提にしてなされた資金供与であるから、請求人の清算所得の金額の計算上、寄付金として残余財産の価額に算入すべきであると主張するが、同社は業績不振により解散整理に至ったものであるから、物上保証によるもののほか、保証債務の履行による支出金額のうち共同保証人に対して求償権を行使することができる部分以外の部分の金額及び同社の従業員退職金の一部を負担した部分の金額は、法人税基本通達9-4-1の制定の趣旨に照らし、これを負担したことについて「相当な理由」があると認められるので、寄付金の額には該当しないというべきである。

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平成11年12月22日裁決

請求人が財団法人に対して支出した本件出捐金は基本財産とすることを指定して支出したものであるから、寄付金に該当するとした原処分が適法とされた事例

裁決事例集 第58集 180頁

要旨

 請求人は、振興協会に対する出捐金について、[1]振興協会は請求人らが便益を受けるために出捐金を支出して設立した財団法人であること、[2]振興協会の事業のすべてが請求人らが便益を受ける事業であり、振興協会が存続する限り、その事業から、請求人らは便益を受けるものであることから、本件出捐金は自己が便益を受けるために支出する費用で、その支出の効果が支出の日以後1年以上に及ぶものと認められるので、繰延資産に該当する旨主張する。
 しかしながら、本件出捐金は、請求人の臨時総会の決議を経て任意に拠出されたものであること、一定の公益目的のために提供される財産である公益法人の基本財産とすることを指定して拠出され、基本財産として組み入れられていることが認められる。
 さらに、振興協会の基本財産は、原則として処分し、又は担保に供することができず、解散時においても請求人に返還されないこと、振興協会の行う事業は、基本財産以外の財産である運用財産によって運営されることが認められる。また、請求人が本件出捐金の拠出によって振興協会から特別の利益を受けるとも認められない。
 したがって、本件出捐金の拠出は、請求人から振興協会に対してなされた金銭の贈与に当たり、本件出捐金は法人税法第37条第6項に規定する寄付金となり、繰延資産には該当しない。

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昭和62年3月30日裁決

債務保証契約に基づく保証債務の履行に伴う損失が寄付金に当たるとした事例

裁決事例集 第33集 94頁

要旨

 請求人は、本件債務保証契約は請求人の主力取引銀行の強い要請に基づくものであり、かつ、可能な限りの債権保全策を講じた上で締結したものであるから、当該契約に基づく保証債務の履行に伴う損失は貸倒損失として損金の額に算入されるものであると主張するが、当該契約は請求人の事業と直接関係しないものであり、また、当該契約の締結時に保証債務の履行に伴う債権は回収不能となることが予想されていたものであるから、本件損失は貸倒損失として損金の額に算入されるものでなく、主たる債務者に対する経済的利益の供与と認められ、寄付金とするのが相当である。

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平成23年3月8日裁決

外注費として支出した工事代金等につき対価性がなく寄附金に該当するとした原処分の一部を取り消した事例

裁決事例集 第82集

ポイント

 一般に、会計帳簿は業務上の金員の動きがそのまま記載されるものであるから、特段の事情のない限り、会計帳簿に記載されたとおりの事実を認めることができるところ、原処分庁が会計帳簿に記載された事実(費用)について対価性がないと認定する場合には、原処分庁がその立証責任を負うことになる。
 この事例では、請求人が会計帳簿に記載された事実と異なる事実を主張したことから、請求人において、かかる事実の存在や異なる事実を会計帳簿に記載することとなった事情などの特段の事情を立証する必要があるとしたものである。

要旨

《裁決の要旨》
 請求人は、各事業年度に追加の外注費として支出し損金の額に算入した金員(本件支出金)は、①過去に施工された工事に係る追加の支払を現場名を付け替えて支出したもの、及び②実際の工事対価の支払として支出したものであり、対価性があることから、法人税法第37条《寄附金の損金不算入》第7項に規定する寄附金には当たらない旨主張し、一方、原処分庁は、本件支出金にはいずれも対価性がなく寄附金に当たる旨主張する。
 上記①に係る本件支出金については、請求人の会計帳簿等に記載された現場と関係がない上、請求人が主張する追加支払に合理的理由や支払うべき特段の事情があったとはいえず、対価性のない支出であると認められることから寄附金に該当する。一方、②に係る本件支出金については、実際に工事が行われており、当該工事に係る対価であると認められることから寄附金に該当しない。

参照条文等

法人税法第37条第7項

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平成18年6月23日裁決

紛争を回避するために支払う金員は当該紛争を回避することにより利益を受ける者が負担すべきであるところ、請求人が支払手数料名目で支払った金員は受注先が紛争を回避するための支出であって請求人が負担すべき費用ではないから、受注先への経済的利益の供与であり、寄付金に該当するとした事例

裁決事例集 第71集 429頁

要旨

 請求人は、H社に対して支払った金員(以下「本件金員」という。)について、請求人がG社から受託した宗教法人F会の施設の建設に係る近隣対策等業務に対するH社の妨害を排除するために支払ったもので、業務遂行上必要な費用であり、寄付金の額には該当しない旨主張する。
 しかしながら、請求人の上記近隣対策等業務をH社が妨害した事実は認められず、本件金員はH社とG社との間で生じた紛争を回避するためにH社へ支払われたものと認めることが相当である。そして、紛争を回避するための費用は特段の事情がない限り紛争当事者が負担すべきものであるところ、本件において請求人が当該費用を負担すべき特段の事情は認められず、本件金員がG社との間で清算された事実もない。
 したがって、請求人による本件金員の支出はG社に対する経済的利益の供与に当たるから、本件金員の額は法人税法第37条第3項に規定する寄附金の額に該当する。

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昭和63年9月13日裁決

請求人がその子会社に対する売上値引及び売買損失として損金経理した金額は、いずれも子会社に対する経済的利益の無償の供与であり、寄付金の額に該当するとした事例

裁決事例集 第36集 145頁

要旨

 法人がその有する債権を放棄し又は他人の債務を負担したような場合には、それは一般的には経済的な利益の無償の供与に当たることとなるから、これらの行為により生じた損失の額は、寄付金の額に該当するというべきであるが、法人がこれらの行為をした場合でも、それが例えばその法人自体の経営危機を回避するためにやむを得ず行ったものであること等、そのことについて相当な理由があると認められるときは、その行為により生じた損失の額は、寄付金の額に該当しないものと解されるところ、請求人は、本件売上値引及び本件売買損失については、法人税基本通達9-4-1に定める相当な理由があるといえるから、これらの額は寄付金の額に該当しないと主張するが、本件売上値引は、通常の売上値引とは認められず、かえって、売上値引の名義をもってした子会社に対する欠損金補てんのための援助であると認められ、また、本件売買損失は、通常の取引の結果生じたものとは認められず、かえって、子会社の負担すべき損失を代わって負担することにより、子会社に対し経済的な利益の無償供与をしたものであると認められることから、請求人がその援助をしたこと又は経済的な利益の無償の供与をしたことについては、同通達に定める相当な理由があるとはいえず、いずれも寄付金の額に該当するというべきである。

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平成23年8月23日裁決

請求人が損金の額に算入したグループ法人に対する業務委託料は、当該グループ法人に対する資金援助を仮装して計上されたものであり、対価性がなく寄附金の額に該当するとした事例

裁決事例集 第84集

ポイント

 この事例は、グループ法人に対する各業務委託料は、当該各業務委託料に係る各契約に基づく役務提供が認められないこと及び委託先法人に対する貸付債権と相殺されていることから、グループ法人に対して債務を消滅させる経済的利益の無償の供与と判断し、グループ法人への貸付金には該当しないと判断したことにより、原処分のうち、貸付金としてその利息を計上すべきとした部分を取り消したものである。

要旨

 請求人は、グループ法人との間で締結した各業務委託契約に基づく業務は行われているから、費用計上した各業務委託料は損金の額に算入されるべきである旨主張し、原処分庁は、当該契約は実体のない架空の業務委託契約であり、当該各委託料は請求人の会長が実質支配するグループ法人への貸付金等であるとした上、当該貸付けに係る利息相当額は益金の額に算入すべきである旨主張する。
 当該各委託料は、①役務提供の有無にかかわらずに支払われている対価性のないものであること②当該各委託料がグループ法人に対する貸付債権と相殺されていることからすると、その計上額は、請求人がグループ法人に対して債務消滅という経済的利益を無償で供与したこととなり、法人税法第37条《寄附金の損金不算入》第7項に規定する寄附金の額に該当すると認めるのが相当である。
 したがって、請求人の主張には理由がなく、また、当該各委託料が貸付金に当たるとして利息相当額を益金の額に算入すべきであるとする原処分庁の主張にも理由がない。

参照条文等

法人税法第22条第37条

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平成19年4月10日裁決

請求人が業務委託費の精算されていない費用として国外関連者に支払った金員は、国外関連者の欠損を補てんするための寄附金であるとした事例

裁決事例集 第73集 405頁

要旨

 請求人は、本件サービス業務の未精算費用があった旨主張する。
 しかしながら、本件サービス業務に関する料金及び支払条件は、本件旧契約に準じて、その都度、両当事者間で検討及び合意されていたと認められ、K社は、本件事業年度における本件サービス業務の精算として、既に毎月ごとに精算金を受領している。
 また、請求人は、本件見直しを行った結果、本件サービス業務の未精算費用があった旨主張するが、一般の取引通念に照らせば、取引上、未精算費用があった場合には、会社間で当該未精算費用の額、支払方法等についての検討や話し合いがされてしかるべきであり、その結果を両社ともに文書で記録しておくのが通常である。
 ところが、本件の場合、本件調査担当職員が、M課長に対して本件金員の計算根拠について説明を求めても具体的な計算根拠の説明及び資料の提出はなく、また、T部長は、本件サービス業務の未精算費用は積み上げて計算したものではなく、具体的に計算した資料はない旨答述しており、両社間で当該未精算費用の額、支払方法等について具体的に検討などをした事実は認められない。
 そして、本件金員の支払原因については、M課長の各メールの記載内容の信用性は、その作成時期等から極めて高く、それに加えて、K社の各事業年度の決算状況、本件業績レビューの記載内容及びM課長の答述からすると、①K社は、設立以来3期連続欠損の状況にあり、平成15年3月期の決算も○○○○ドルの欠損が見込まれたため、これを解消し単年度でいわゆる黒字化するための方策として、請求人が業務委託費を支払うことで支援することとし、②幹部職員の話し合いで、当該業務委託費を○○○○円とすることに決まり、本件新契約書が作成され、請求人が本件金員を支払ったものと認められる。
 そうすると、本件サービス業務の未精算費用があったとは認められず、本件金員の支払原因は、K社の欠損を補てんするために援助としてされた金銭の贈与であると認められる。
 以上、検討の結果、本件金員を支払った行為は、金銭の贈与に該当するというべきであるから、本件業務委託費は法人税法第37条第7項に規定する寄附金に該当する。

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平成3年3月27日裁決

水産物地方卸売市場に出荷し歩戻しを受ける特定荷主に係る営業権の譲受け対価を事後に修正し追加払した場合、当該金員は営業権の対価とは認められず、寄付金に当たるとした事例

裁決事例集 第41集 219頁

要旨

 請求人は、営業権の売買価格について不確定要素があったことから、将来において売買価額を修正する補足的契約を締結することを前提に本件売買契約を締結したものであるから、その補足的契約として本件覚書を取り交わして支払った本件金員は営業権譲受けの対価である旨主張するが、そもそも将来における売買価額の修正を前提とした営業権の売買契約などというものは基本的にあり得ないと解されるところ、本件売買契約の締結に当たり将来における売買価額の修正を前提とされていたことを認めるに足りる証拠もなく、また、請求人は営業権を60,000,000円で譲り受ける旨の臨時株主総会の決議に基づき本件売買契約を締結し、締結後直ちに特定荷主として市場に参入していることからすれば、営業権の売買は、本件売買契約により完結したものと認めるのが相当である。
 また、売買契約締結後に生じた事情とされた譲渡人の資金需要と譲受人(請求人)の営業権譲受け後の販売実績なるものは、いずれも営業権の対価を増額して支払う理由とはなり得ない。
 そうすると、本件金員の支払は、譲渡人に対する長期貸付金との相殺によってされているところ、これは、譲渡人に対する経済的利益を無償で供与したものであるから寄付金に当たる。

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平成3年7月18日裁決

寄付金と認定されたグループ3社の共同社員旅行に係る請求人の負担額は、著しく合理性を欠く配分によるものであるとは認められないから、その全額が福利厚生費として損金の額に算入されるのが相当であるとした事例

裁決事例集 第42集 128頁

要旨

 企業グループに属する関係会社が共同して行事を行う場合、その共同行為により生じた経費は、合理的な基準により関係会社に配分されることを要するが、その配分比率は、必ずしも算術的に平等である必要はなく、合理的な理由がある限り、傾斜配分することも認められるものと解されるところ、本件グループ3社の共同社員旅行は、その目的・規模・行程、従業員の参加割合・負担額等からみて、社会通念上一般的に行われているレクリェーションのための旅行であること、その一人当たりの費用も通常要する額を著しく上回るものとは認められないこと、及びグループの中心となる法人が企画立案等を行っていることを総合すると、請求人の負担額は、著しく合理性を欠く配分によるものであるとは認められない。

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平成4年3月31日裁決

請求人が本件退職金を支出したのは、新出資者が支払うべき本件出資持分の譲受代金の一部を負担した行為に当たるから、本件退職金は新出資者に対する寄付金と認めるのが相当であるとした事例

裁決事例集 第43集 260頁

要旨

 総会議事録及び覚書によれば、旧出資者は本件退職金の額を含めたところで出資持分を新出資者に譲渡する旨記載されている。更に、本件退職金は、旧出資者の家庭単位の出資口数に比例して支出されており、それ以外の算定根拠が明らかでないから、請求人の損金の額に算入されるべき退職金とは認められない。
 そうすると、本件退職金は、新出資者が旧出資者に支払うべき本件出資持分の譲受代金の一部を退職金名目で旧出資者に支払ったものとなるから、本件退職金は、請求人から新出資者に対して経済的利益の供与をしたことになり、寄付金と認めるのが相当である。

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平成7年2月10日裁決

鋼板加工販売業を営む請求人の元代表者(故人)の個人的な借入金を請求人が肩代わりしたことによる本件借入金に係る支払利息等の額については、これを請求人の経費として損金の額に算入することはできず、元代表者の相続人に対する寄付金と認めるべきであるとした事例

裁決事例集 第49集 311頁

要旨

 本件借入金は、請求人が請求人の業務に全く関係のない請求人の元代表者A(故人)の個人借入金を肩代わり返済するために借り入れたものであり、請求人固有の借入金とは認められないことから、本件借入金に係る支払利息等の支出金(以下「本件支出金」という。)は、請求人が負担すべきものではない。
 また、請求人が本件支出金を支払利息等として損金の額に算入していることから、Aの相続人に対する債権の一部を放棄したものと認められ、本件支出金の額につき、Aの相続人に対する経済的な利益の供与があったとして寄付金と認定した原処分庁の判断は相当である。

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平成9年6月2日裁決

請求人がその子会社の債務超過などを理由として売掛金及び貸付金を放棄したことは、いずれも子会社に対する経済的な利益の無償の供与であり、寄付金の額に該当するとした事例

裁決事例集 第53集 293頁

要旨

 法人がその有する債権を放棄し又は他人の債務を負担したような場合には、それは一般的には経済的な利益の無償の供与に当たることとなるから、これらの行為により生じた損失の額は、寄付金の額に該当するというべきであるが、法人がこれらの行為をした場合でも、それが例えばその法人自体の経営危機を招くことを回避するためにやむを得ず行ったものであること等、そのことについて相当の理由があると認められるときは、その行為により生じた損失の額は、寄付金の額に該当しないものと解されるところ、請求人は本件売掛金及び貸付金を放棄したことについては、法人税基本通達9-4-1に定める相当の理由があるといえるから、これらの額は寄付金の額に該当しないと主張するが、請求人は100パーセントの株式を保有する同一商号の新子会社を設立し、対外的には表面上何ら変わらないようにして旧子会社に債務を負わせたまま営業を譲渡したものであるところから、本件売掛金の放棄は、旧子会社に実質的に負債のみを残す内容のものであること、当該譲渡が行われなければ回収も不可能ではなかったと認められることなど、両会社がいずれも請求人の支配する子会社であるためになしえたものと認められる。
 また、本件貸付金は、融資が行われた時点で既に旧子会社から融資金を回収することは困難であったと認められること、さらには、貸付けは旧子会社の解散後に行われており、請求人は当初から回収する意思はなかったと推認されることから、旧子会社の負担すべき損失を代わって負担することにより、旧子会社に対し経済的な利益の無償の供与をしたものであると認められることから、請求人が経済的な利益の無償の供与をしたことについては、同通達に定める相当な理由があるとはいえず、いずれも寄付金の額に該当するというべきである。

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平成11年6月30日裁決

不採算又は事業後継者難の特約店4社に対して、請求人が行った売掛金の減額処理は、請求人の経営遂行上真にやむを得ない費用であるから寄付金課税の対象にはならないとされた事例

裁決事例集 第57集 357頁

要旨

 原処分庁は、法人税法第37条第6項に規定する寄付金とは、どのような名義をもってするかに関係なく、対価性のない金銭その他の資産又は経済的な利益の贈与又は無償の供与とされているところ、請求人の行った売掛金の減額処理は、廃業等の諸費用を支援するためであり、また、その算出根拠も明確でなく、対価性がない利益の無償供与にすぎないことから、同項に規定する寄付金に該当する旨主張する。
 しかしながら、[1]石油業界における石油卸業者の特約店は、縦の取引で系列以外の商品は扱えない仕組みとなっているところ、特約店の営業状態が悪化すれば将来、請求人に負担が掛かることは社会通念上当然のことであり、業界紙等からも石油業界の経営は今後一段と厳しく、石油スタンドの統廃合は必然的な状況にあることは十分うかがえること、[2]本件特約店4社の平成9年3月を含む事業年度の所得金額はいずれも欠損であり、うち3社は売上、所得とも毎期減少し、平成9年中に実際に廃業等の事実があること、[3]本件売掛金の減額処理の決定は、当事者間でそれぞれ経済的折衝を経て確定したものであり、金額も本件特約店ごとに個々に算定したものであること、[4]請求人は本件特約店と資本系列等特殊な関係になく、経営支配権も有していないこと等から、請求人が将来の石油業界の経済環境等を踏まえ、特約店側の事情というより、請求人における総合的経営戦略として、不採算特約店に対して行ったこれらの行為は、経営遂行上、真にやむを得ないものであり、客観的にみて経済的合理性を有し、社会通念上も相当な処理と認められる。また、請求人は支援の方法として売掛金の減額処理の方法を採ったもので、実質的には債権放棄と認められ、その債権放棄をしなければ、今後より大きな損失を蒙ることが予想され、債権放棄したことによって請求人もメリットがあると判断できる。
 したがって、本件売掛金の減額処理は、請求人自らの経営改善策の一方策であり、事業遂行上、真にやむを得ない費用であるから、寄付金には該当しないものと認められる。

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平成14年6月28日裁決

請求人が子会社支援損とした同社に対する貸付債権の放棄額は、寄附金に該当するとした事例

裁決事例集 第63集 341頁

要旨

 請求人は、子会社であるH社に対する債権放棄につき、銀行から同社の債務超過の解消を求められ、それができないとすると、同社の銀行借入金の返済を請求人が肩代わりしなければならないという状況の中で、合理的な再建計画に基づいてなされたもので、その負担をしなければより多くの金銭的負担をしなければならないことはもとより、グループ企業全体への信用収縮という重大な結果を招き、請求人がより大きな損失を被ることが明らかであるから、本件債権放棄は寄附金に該当しない旨主張する。
 しかしながら、銀行がH社の債務超過の解消を求められていた事実は認められず、むしろ、H社自身の判断により請求人に本件債権放棄を要請していたこと、請求人は、翌期において、1億4,000万円をH社に貸付けており、H社が資金ショートにより倒産する状況にあったとは認められないこと、請求人がH社に対する貸付金の元本の返済猶予と金利の棚上げを行った場合と本件債権放棄を行った場合とで、H社の資金効果は何ら異ならないこと、H社は、請求人及び銀行からの金利減免を受け、再建に係るリストラ等の自助努力を推進することにより、自力再建が可能であると認められること等からすれば、本件債権放棄は、H社の倒産を防止するためにやむを得ず行われたものであるとか、合理的な再建計画に基づいてなされたものと認められないため、その放棄した額は寄附金に該当する。

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平成18年11月27日裁決

請求人が債権を放棄した時点において、債務者は70パーセント完成した建物を有しており、その処分につき請求人を含めて協議中であったから、当該債権が回収不能であったとは認められないとした事例

裁決事例集 第72集 410頁

要旨

 請求人は、同人が放棄した債権(以下「本件債権」といい、本件債権の放棄を「本件債権放棄」という。)は、本件債権放棄の当時、回収不能であったといえるから、本件債権放棄に係る債権額は貸倒損失の額に該当する旨主張する。
 しかしながら、本件債権の債務者が施主である本件建物は、約70%程度完成していて既に建物として成立し、何らの担保も設定されておらず、本件債権放棄の前後を通じ、その処分についての協議が請求人を交えて継続されていたことからすると、本件債権放棄の当時において、本件建物自体に資産価値がないことが最終的に明らかとはなっていなかったものということができ、そうすると、本件債権放棄の当時、本件債権の回収不能の事態が客観的に明らかであったということはできないから、同放棄に係る債権額は「寄附金の額」に当たる。

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平成25年7月5日裁決

子会社に対する仕入れの値増し金は当該子会社の資金不足を補うための資金供与としての寄附金であると認定した事例

裁決事例集 第92集

要旨

 原処分庁は、請求人の中国の子会社への送金(本件送金)は、請求人と当該子会社との間の金銭消費貸借契約に基づく貸付けである旨主張し、請求人は、本件送金に係る金員は、当該子会社からの仕入れに係る値増し金であって損金の額に算入されるものであり、仮に、本件送金が経済的利益の無償の供与等とされる場合であっても、合理的な経済目的に基づいて行ったものであるから寄附金には該当しない旨主張する。
 しかしながら、請求人及び当該子会社が金銭消費貸借契約書を作成したことは、請求人が中国の外貨管理局の許可を得て当該子会社に必要な資金を送付するために、金銭消費貸借契約の形式を採用したにすぎないと認められ、請求人と当該子会社との間に当該金銭消費貸借契約に基づく貸付けがあったと認めることはできず、一方、本件において作成された値増しに係る合意書及び覚書に記載された値増し金の算定根拠によれば、本件送金は、当該子会社の為替差損、諸経費の増加、裁判費用、建物の補修費及び赤字補填のために行われたとみるのが相当であり、親会社である請求人が、資金不足に陥った当該子会社に対し、金銭の贈与(本件金銭贈与)を行ったものと認めるのが相当である。そして、本件金銭贈与がなければ当該子会社が倒産する状況にあったとは認められないから、本件金銭贈与が当該子会社の倒産を防止するなどのためにやむを得ず行われたものとはいえず、また、合理的な再建計画に基づくものであるなど、本件金銭贈与をしたことについて、相当な理由があるとは認められないから、本件金銭贈与の額は、租税特別措置法第66条の4《国外関連者との取引に係る課税の特例》第3項に規定する寄附金の額に該当し、その全額が損金の額に算入されない。

参照条文等

国税通則法第68条 法人税法第37条 租税特別措置法第66条の4

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