裁決事例 財産差押えの通則

裁決事例 財産差押えの通則

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平成11年7月14日裁決

バブル崩壊による担保不足を請求人の責任として差押処分等をすることは不合理である等の請求人の主張が排斥された事例

裁決事例集 第58集 339頁

要旨

 請求人は、[1]原処分庁が延納担保物件を適当と認めて延納許可をしたにもかかわらず、バブル崩壊による担保不足を請求人の責任として差押処分等をすることは不合理である、[2]請求人の財産について早期に滞納処分ができたにもかかわらず、請求人の指定した土地以外の土地を参加差押処分したことは不当である、[3]公売された場合に配当が見込めない土地に行った参加差押処分は無益な処分であり不当である、[4]公売物件の見積価額を算定する場合は十分審査して、公売予定価額を決定すべきである旨主張する。
 しかしながら、[1]担保財産について延納税額を担保できなくなる事態の生じることは法律上予定されているものであって、担保評価額の下落の原因に関係なく、担保不足分を徴収するため他の財産の差押処分等を執行したとしても、その処分に違法又は不当な点は認められないこと、[2]請求人の所有する財産のうち、いかなる財産を差し押さえるか又は参加差押えをするかは、国税徴収法等に定めた手続によるほかは、徴収職員の合理的な裁量に委ねられており、請求人の要望に沿って相当の換価努力をした後に当該処分を行っていることから、その時期について特に不当な点は存しないこと、[3]本件参加差押処分は、法定の要件を充たす処分であって、交付要求としての効力を有するから、無益な処分ということはできないこと、[4]見積価額は、売却予定価額ではなく、これを下回る価額での売却は許されないという最低公売価額の性質を有する法定売却条件であって、適正な売却価額を担保するものにすぎず、かつ、公売物件という特殊性を考慮した減価がされるべきものであり、本件公売物件の見積価額は、客観的な時価に比して著しく低簾とは認められないことから、原処分庁が差押物件の評価額では滞納国税等を十分に担保していないとして、差押処分及び参加差押処分を執行したことに違法な点は認められず、差押物件の評価額が低廉であるとの理由もない。

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平成10年4月13日裁決

先の差押調書謄本が送達されたと認定し、これにより滞納国税の徴収権の消滅時効が中断され、その後に行われた差押処分が適法であるとされた事例

裁決事例集 第55集 787頁

要旨

 請求人は、土地権利証と白紙委任状を友人に渡したため、本件土地を譲渡されてしまったが、当該友人を刑事告発はしておらず、かつ、その代償の一部として金銭を受領しており、本件譲渡を事後において容認したものと認められ、課税処分は適法である。したがって、課税処分の違法を理由として本件差押処分の取消しを求めることはできない。
 なお、電話加入権の差押調書謄本は請求人の住所地に適法に送達されたと認められ、滞納国税の徴収権は消滅時効により消滅しておらず、また、請求人が滞納国税を納付しなかったため、原処分庁が本件差押処分を行ったものであり、原処分は適法である。

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平成5年3月15日裁決

原処分庁が差し押さえた滞納会社名義の普通預金は、滞納会社から任意整理の委任を受けた請求人に帰属する債権であるとの主張を退け、滞納会社に帰属するとした原処分に違法はないとした事例

裁決事例集 第45集 285頁

要旨

 請求人は、原処分庁が差し押さえた普通預金は、滞納法人から任意整理の委任を受けた請求人がその業務遂行上の財産として管理しているものであるから請求人に帰属する債権であること、また、仮に、それが認められない場合においても、差押え以前に滞納法人から譲り受けたものであるから請求人に帰属する債権である旨主張する。しかし、業務遂行上の財産として管理している請求人の行為は、いずれも請求人が委任された範囲内の行為であるから、請求人に帰属するとは認められない。また、本件普通預金の譲渡契約により滞納法人の債務者に対する通知又は債務者の承諾がなされたとは認められず、また、譲渡契約後においても、請求人は、譲渡されたとする財産を法人の財産として取り扱っている事実が認められるから、民法第467条《指名債権譲渡の対抗要件》の規定により、請求人は、当該譲渡契約をもって差押債権者たる原処分庁に対抗することはできない。

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昭和58年4月11日裁決

差押えに係る債権の譲渡は第三者たる原処分庁に対抗できないとした事例

裁決事例集 第26集 175頁

要旨

 差押えに係る本件債権の譲渡については、譲渡人たる請求人と債務者との間で民法第467条の規定による確定日付のある証書による通知又は承諾が行われておらず、請求人は本件債権の譲渡を理由として第三者たる原処分庁に対抗できないものであるから、差押えに係る債権が第三者に帰属するとの請求人の主張には理由がない。

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昭和57年6月4日裁決

差押処分が超過差押え又は無益な差押えに該当しないとした事例

裁決事例集 第24集 165頁

要旨

 請求人の滞納国税を徴収するため差し押さえた不動産の価額がその滞納国税の額を超過しても、請求人が当時他に本件滞納国税の額に見合う適当な財産を所有していない上、本件不動産について不動産登記手続上これを分割して差し押さえることができないものであるから、直ちに超過差押えということはできず、また、本件差押処分当時本件不動産上に本件滞納国税より優先する他の国税、地方税、その他の債権について差押処分若しくは担保権の設定行為等がなされておらず、本件不動産の処分予定価額が本件差押処分に係る滞納処分費を超える見込みがないものとは到底考えられないから、本件差押処分は無益な差押えに該当しない。

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平成18年9月8日裁決

差押処分の取消しを求める理由として滞納処分の停止事由に該当する旨の請求人の主張を排斥した事例

裁決事例集 第72集 679頁

要旨

 請求人は、自身の資力からみて国税徴収法第153条に基づいて滞納処分の執行が停止されるべき状態にあることを理由として、本件差押処分の違法又は不当を主張する。
 しかしながら、滞納処分の執行の停止は、国税徴収法第153条第1項に規定された一定の要件に基づき、税務署長又は国税局長の裁量によって行うものであって、これを行わない不作為に対する不服申立てに対する判断は、当審判所の権限に属するものではない。そして、同条第3項は、滞納処分の執行の停止をした場合においては差押えを解除しなければならない旨規定するが、本件においては、いまだ当該滞納処分の執行の停止はなされていないのであるから、差押えを解除しなければならない状態となっているわけでもなく、差押えを取り消す理由はない。
 したがって、滞納処分の執行を停止すべきであることを理由として、本件差押処分の取消しを求める請求人の主張は失当である。

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昭和54年7月31日裁決

滞納者への所有権移転登記の無効の主張について、民法第94条第2項の規定により原処分庁に対抗できないとした事例

裁決事例集 第18集 117頁

要旨

 差押えに係る建物の実質的な所有者は、登記簿上の所有者たる滞納者ではなく、請求人であるとする主張について、所有者名義が滞納者となっているのは、請求人が債権者からの追求を免れるために通謀して行った虚偽の意思表示に基づくものであるとしても、[1]原処分庁が本件物件の所有者が外形と異なるかどうかについて関係者等を調査したのは原処分を行った後であること、[2]請求人が本件不動産の譲受けの対価の支払調書の照会に対して何らの回答もしていないこと等から、原処分庁は原処分当時に請求人等の真意につき悪意であったとは認められず、したがって、民法第94条第2項の規定により、滞納者への所有権移転登記の無効の主張は、これをもって原処分庁に対抗できず、本件差押処分に影響を及ぼすものではない。

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昭和55年7月9日裁決

相続財産について破産宣告がなされたとしても相続により承継した国税の納付義務は消滅しないとした事例

裁決事例集 第20集 267頁

要旨

 相続財産について破産の宣告がなされても、相続人が承継した国税の納付義務は破産管財人に承継されるものでないから、請求人の承継した納付義務は消滅せず、また、請求人は単純承認による相続をしているので、請求人が承継した国税の納付義務は無限に納付する責任を負っている。したがって、請求人が相続によって承継した国税を滞納している以上、請求人の固有財産に対してなされた差押処分は相当である。

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平成4年5月29日裁決

不動産に係る建築資金の負担割合により滞納者の共有持分を認定した上、その認定に基づいてした差押えは相当であるとした事例

裁決事例集 第43集 427頁

要旨

 請求人は、原処分庁が差し押さえた不動産には滞納者の共有持分はない旨主張するが、[1]滞納者は請負契約の注文者及び建築申請の建築主であり、かつ、不動産の引渡しを受けていると認められることから、不動産に係る法律上の一切の権利義務は滞納者に帰属すること、[2]滞納者が請求人の建築資金を立て替えた事実が認められないこと、[3]請求書及び領収書が滞納者あてになっていること及び[4]滞納者に対し固定資産税及び不動産取得税が課税されていることを総合すると、不動産の建築資金100,000,000円の負担額を滞納者分は5,000万円と認定した上、不動産に係る滞納者の共有持分を10分の5と認定したことは相当である。

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平成20年8月11日裁決

不動産の差押処分が無益な差押えに当たるとした事例

裁決事例集 第76集 583頁

要旨

 公売の特殊性に伴う減価割合を仮に10%として差押処分時における本件テナントビルの処分予定価額を算出すると、その価額は○○○○円となる。一方、本件テナントビルについては本件滞納国税に優先する第1抵当権と第2抵当権が設定されているので、本件テナントビルの差押処分が国税徴収法第48条第2項にいう無益な差押えに当たるか否かを判断するためには、差押処分時におけるこれらの被担保債権の額と上記処分予定価額を比較する必要があるが、差押処分時における本件第1抵当権の被担保債権の額は○○○○円であり、本件第2抵当権の被担保債権の額は○○○○円である。そうすると、本件第1抵当権の被担保債権の額が弁済などによって減少する可能性があることを考慮しても、本件テナントビルの処分予定価額が本件第1抵当権の被担保債権の額を超える見込みのないことが一見して明らかであるといわざるを得ない。

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昭和58年10月4日裁決

供託金の取戻請求権及び供託金利息の支払請求権は供託書上の供託者である滞納者に帰属するとした事例

裁決事例集 第26集 181頁

要旨

 請求人は、差し押さえられた供託金の取戻請求権及び供託金利息の支払請求権が、当該供託金の出捐者及び実質上の供託者である請求人に帰属すると主張するが、供託法上は第三者供託の手続を経ない限り、供託名義人が本件請求権を有するものと解されるところ、供託書によれば供託名義人は滞納者であって、請求人による第三者供託はなされていないこと及び滞納者が本件請求権を原処分庁により差し押さえられる前に、請求人に対し譲渡した事実は認められないことなどから、本件請求権は滞納者に帰属するものと認定するのが相当である。

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平成13年12月19日裁決

差押調書の滞納税額の記載の一部に誤りがあっても差押処分が無効であるということはできないとした事例

裁決事例集 第62集 513頁

要旨

 請求人は、差押調書に記載された滞納税額に誤りがあるので、差押調書に瑕疵があり、瑕疵ある差押調書に基づいて行われた差押処分は無効である旨主張する。
 しかしながら、数個の租税債権を差押債権として行われた差押処分は、各租税債権ごとに数個の差押処分が競合するものではなく、差押処分は1個であり、従って、原因となった租税債権の一部に数額の誤りがあっても、そのことによって、直ちに差押処分の効力が左右されるものではないと解されるところ、本件については、本件差押調書に記載された滞納国税の合計額は、その誤りが特に大きいとはいえないこと、及び滞納税額に誤りがなければ本件差押物件を差し押さえなかったであろう特段の事情があるとは認められないことからすれば、本件差押調書の滞納税額の記載の一部に誤りがあったというだけで、本件差押処分が無効ということはできない。

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平成12年4月11日裁決

滞納会社に対する滞納処分として差し押さえられた請求人名義の定期預金の払戻請求権について、預金の原資となっている滞納会社から振り込まれた金員は請求人に対する役員報酬ということはできないこと等から、滞納会社に帰属すると認めるのが相当であるとした事例

裁決事例集 第59集 450頁

要旨

 請求人は、同人名義の本件定期預金口座に係る払戻請求権は請求人に帰属しており、これが滞納会社に帰属するものとしてなされた本件差押処分は違法である旨主張する。
 本件定期預金口座は、滞納会社から請求人名義の普通預金口座(以下「本件普通預金口座」という。)に振り込まれた金員(以下「本件金員」という。)により開設されたものであることから、まず、本件普通預金口座の預金者について検討すると、[1]請求人は、本件金員は請求人が滞納会社から支給を受けた役員報酬である旨主張するが、請求人が滞納会社に対し役員としての役務を提供した事実は認められず、本件金員が役員報酬であると認められないから、本件普通預金口座は、滞納会社の出捐によって開設されたものというべきであり、また、[2]本件普通預金口座の開設手続等は、滞納会社の実質的経営者の指示でその社員が行っていたこと及び本件普通預金口座の届出印は滞納会社によって管理保管していたことが認められることから、本件普通預金口座は、滞納会社が自らの預金とする意思で開設したものというべきであり、したがって、本件普通預金口座の預金者は請求人ではなく滞納会社というべきである。
 次に、本件定期預金口座の預金者について検討すると、本件定期預金口座の届出印には請求人の印章が用いられており、このことからは、本件定期預金口座は請求人が自らの預金とする意思で開設したとみる余地もある。しかしながら、その原資となった本件普通預金口座の預金者は元々請求人ではないし、本件定期預金口座の開設に当たり、滞納会社が請求人に対し本件普通預金口座に係る払戻請求権を譲渡した事実も、請求人が本件普通預金口座から払戻を受けた金員を自己のものとした上、自らの預金とする意思で本件定期預金口座に入金したなどの特段の事情も認められないことから、本件定期預金口座の預金者は、やはり滞納会社というべきである。
 したがって、本件定期預金の払戻請求権は、請求人ではなく、滞納会社に帰属するものであり、請求人の主張には理由がない。

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平成22年9月29日裁決

申告相談時の事情や、事前に差押えをする旨の話がなかったことをもって分割納付継続中に行われた差押処分が違法又は不当であるとはいえないとした事例

裁決事例集 第80集

要旨

 請求人は、申告に先立ち申告相談をした際に、当初、原処分庁所属の職員が税金はかからないと言ったのに、申告時には税金がかかることになった事情及び滞納国税の分割納付を約10年間継続して行い、その間、差押えの話もないまま一方的に差押えが行われた事情をもって、本件差押処分は信義則に反して違法又は不当である旨主張する。
 しかしながら、本件差押処分は、国税徴収法第47条《差押の要件》に基づき適法に行われており、また、原処分庁が請求人に対して差押処分をしないことを公的見解として表示したなど、租税法規の適用における納税者間の平等、公平という要請を犠牲にしてもなお本件差押処分を取り消して請求人の信頼を保護しなければ正義に反するといえるような特別の事情は認められない。
 更に、請求人は分割納付を継続してはいるものの、納付計画に従ったものではなく、その納付状況や滞納国税の額に照らせば、滞納国税の完納までに相当期間が必要であり、本件差押処分の直後に自主納付により滞納国税が完納される可能性は著しく低かったといわざるを得ないから、請求人の財産を保全する必要性があったということができ、そうすると、本件差押処分の実施時期の判断については差押処分の趣旨及び目的に沿った合理的なものということができる。
 また、納税者の財産保全が差押処分の目的であり、差押えについて予告することはその目的の達成を不可能にするおそれがある行為であるから、事前に差押えの話をしないことは、このような差押処分の目的に反するものではなく、差押処分を不当とする理由にはなり得ない。

参照条文等

国税徴収法第47条第1項第1号

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昭和60年9月10日裁決

課税処分の違法を理由として差押処分の取消しを求めることはできず、本件差押処分は超過差押えとはならないとした事例

裁決事例集 第30集 181頁

要旨

 請求人は、本件差押処分について、請求人が審査請求中である違法な本件課税処分に対応する部分は違法であること及びその結果、本件課税処分に対応する部分以外の部分については国税徴収法第48条第1項に規定する超過差押えに該当することから、本件差押処分はその全部を取り消すべきであると主張するが、課税処分が当然無効である場合又は違法を理由として取り消された場合は、これに基づく差押処分の違法を招来するものであるところ、本件課税処分について重大かつ明白なかしがあるとは認められず、また、本件課税処分は取り消されていないから、本件課税処分に係る滞納国税に対する差押処分の取消しを求める請求人の主張には理由がなく、また、それを前提として超過差押えとなるという請求人の主張にも理由がない。

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昭和61年1月24日裁決

企業組合が理事会の承認を受けることなく退任理事に譲渡した協同組合の組合員の持分は企業組合の所有に帰するとしてした差押処分が適法であるとした事例

裁決事例集 第31集 185頁

要旨

 請求人は、本件差押処分の対象となった協同組合の組合員の持分は、請求人が企業組合の理事を辞任した後、企業組合の専務理事の承認を受け組合から譲り受けており、本件差押処分時には、請求人の所有となっていたものであると主張するが、請求人が企業組合の理事を辞任した結果、組合の定款に定めた理事の定数を欠くことになり、請求人は、中小企業等協同組合法第42条の規定により理事辞任後もなお理事としての権利義務を有していたものと解され、したがって、同法第38条の規定により組合の理事会の承認を受けないでした協同組合の組合員の持分の譲渡契約は無効となることから、請求人の主張には理由がない。

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平成14年2月8日裁決

原処分庁が差し押さえた滞納者が裁判上請求している貞操侵害を理由とする慰謝料請求権は、差押えの時点においては、いまだ行使上の一身専属性が失われたとはいえないから、差押えの対象とすることができない財産に当たるとして、差押処分を取り消した事例

裁決事例集 第63集 718頁

要旨

 原処分庁は、請求人が加害者を被告として提起していた損害賠償請求訴訟の第1審において認容された「貞操を侵害されたことにより請求人が被った精神的苦痛に対する慰謝料請求権」を、判決の言い渡しの日に差押さえた処分は、慰謝料請求権が差押禁止財産に当たらないから適法である旨主張する。
 しかしながら、貞操を侵害されたことを理由とする被害者の慰謝料請求権は、被害者が慰謝料請求権を行使する意思を表示しただけでいまだその具体的な金額が当事者間において客観的に確定しない間は、被害者がなおその請求意思を貫くかどうかをその自律的判断に委ねるのが相当であるから、なお行使上の一身専属性を有するものというべきであって、被害者の債権者はこれを差押えの対象とすることはできないものと解される。
 これを本件についてみると、本件慰謝料請求権については、加害者が控訴して、その後において裁判上の和解がされているから、差押処分の時点においては行使上の一身専属性が失われたとはいえないから、差押えの対象とすることができないものというべきである。
 よって、本件差押処分は、違法であるといわざるを得ない。

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平成20年2月19日裁決

差押不動産の売買契約における買主は滞納者であり、その購入資金である住宅ローンの返済は滞納者が行い、差押え前に請求人が差押不動産の共有持分を取得した事実は認められないことからすれば、差押不動産の取得に滞納者の妻であった請求人の協力、寄与が認められたとしても、差押不動産は夫婦共有財産ではなく、その所有権を有しているのは滞納者であるとした事例

裁決事例集 第75集 779頁

要旨

 民法は、夫婦間の財産関係について夫婦別産制(同法第762条第1項)を採用し、婚姻費用の分担(同法第760条)及び日常家事債務の連帯責任(同法第761条)の両規定をもって婚姻共同生活に対して配慮するとともに、離婚の場合につき財産分与請求権(同法第768条)を認めていることからすれば、婚姻生活中に形成された財産について、直ちに物権としての共有持分を認めているとは解されない。そうすると、婚姻生活中に夫婦の一方が対外的にその者の名義をもって取得した財産について、その取得に他方の配偶者の協力があったからといって、直ちにその者に物権としての共有持分を認めるのは相当でなく、その者のその財産に対する権利は飽くまで潜在的な権利にすぎないと解され、離婚に至って初めて、潜在的な権利の具現化としての財産分与により、物権としての権利を取得するものと解するのが相当である。
  請求人は、本件不動産の購入資金は、夫婦共有財産から支出されたものであるから、本件不動産の取得時より共有持分を有しており、物権を取得し得ない差押債権者は民法第177条の第三者に該当しないのであるから、本件差押処分は違法である旨主張する。
  しかしながら、上記のとおり、本件不動産の取得に当たり、請求人の協力、寄与が認められたとしても、請求人に直ちに物権としての共有持分が認められているとは解されず、本件不動産の売買契約における買主が本件滞納者であること、その購入資金である住宅ローンの返済は本件滞納者が行っていたこと、本件不動産の管理費は本件滞納者が負担していたことからすれば、実体的にも本件滞納者が本件不動産の所有権の全部を取得し、保有していたことが認められ、本件差押処分前に請求人が本件不動産の共有持分を取得した事実は見当たらず、財産分与を原因として請求人への所有権移転登記手続を命ずる本件差押処分後の家裁判決に当たり請求人が本件不動産の所有権を取得したものというのが相当である。したがって、本件差押処分時の本件不動産の所有権を有しているのは滞納者であり、原処分庁は、本件滞納者に帰属する本件不動産を差し押さえたのであるから、民法第177条に係る検討を行うまでもなく、本件不動産を本件滞納者に帰属するものとして行われた本件差押処分に違法な点は見当たらないというべきである。

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平成27年6月1日裁決

差押処分の直後に自主納付により滞納国税が完納される可能性は著しく低く、請求人の財産を早期に保全する必要性があったと認められることからすると、差押処分に係る徴収職員の裁量権の行使は差押処分の趣旨及び目的に反して不合理なものであったとはいえず、差押処分は不当なものではないとされた事例(債権の差押処分・棄却)

裁決事例集 第99集

要旨

 原処分庁が、請求人の滞納国税(本件滞納国税)を徴収するために債権の差押処分(本件差押処分)をしたことに対し、請求人は、原処分庁との納付相談において請求人の申し出た分割納付が認められたと理解して分割納付をしていたにもかかわらず、また、分割納付を依頼する各種事情を説明したにもかかわらず、これらの事情を一切考慮せずに行った本件差押処分は不当である旨主張する。
 しかしながら、本件滞納国税の納付状況等からすると、本件差押処分の直後に自主納付により本件滞納国税が完納される可能性は著しく低かったといわざるを得ず、請求人の財産を早期に保全する必要性があったと認められるから、本件差押処分に係る裁量権の行使は、差押えの趣旨及び目的に反して不合理なものであったとはいえず、本件差押処分は不当なものではない。

参照条文等

国税徴収法第47条第1項第1号 行政事件訴訟法第30条 行政不服審査法第1条第1項

参考判決・裁決

平成21年5月11日裁決(裁決事例集No.77) 平成22年9月29日裁決(裁決事例集No.80)

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平成14年5月31日裁決

滞納会社の任意整理を受任した滞納会社代理人(弁護士)名義の預金が滞納会社に帰属するとした事例

裁決事例集 第63集 728頁

要旨

 預金債権の帰属の認定に当たっては、特段の事情のない限り、出捐者、すなわち、預金に係る資産を現実に拠出した者に預金債権が帰属すると解されるところ、[1]本件預金口座は、請求人が、本件任意整理の業務を遂行するための資金を管理するために開設したものであること、[2]本件預金口座の入出金は、滞納法人の売掛債権の回収又は債務の弁済という専ら滞納法人関連のものであること、[3]請求人が、本件預金口座に係る通帳及び届出印の保管、入出金等の管理を行っていたのは、同人にとってこれらの行為が本件任意整理の業務を遂行する上で必要であったからにほかならないこと、[4]本件預金口座の名義人は、社会通念上滞納法人であると解されるところ、請求人であると解する特段の事情が存すると認められないこと等を併せ考えると、本件預金口座の預金者は、その出捐者である滞納法人であるというべきであり、したがって、本件預金債権は滞納法人に帰属すると認めるのが相当である。

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令和6年10月4日裁決

滞納処分において相続財産管理人の報酬が国税債権に優先することが自明の理であるとはいえず、また、差押財産の選択等に関する判断は不合理とは認められないとした事例(債権の差押処分・棄却)

裁決事例集 第137集

ポイント

 本事例は、差押処分時において被差押債権について国税に優先する債権は確認できなかったことから、無益な差押えに該当せず、また、差押えに至る経緯によれば、差押財産の選択等に関する判断は法や制度の趣旨及び目的に照らして不合理とは認められないことから、差押えは不当な処分であるとはいえないとしたものである。

要旨

 請求人は、①民法第885条《相続財産に関する費用》本文の「費用」には相続財産管理人(管理人)の報酬や立替経費が含まれ、管理人が同法第929条《公告期間満了後の弁済》ただし書の「優先権を有する債権者」に該当すること、②相続財産の清算手続は破産手続に類似し、国税徴収法(徴収法)第9条《強制換価手続の費用の優先》の準用又は類推適用により、管理人の報酬債権が国税に優先するとした上で、管理人の予定報酬額は、管理人名義預金口座(本件預金口座)の残高を上回ることから、本件預金口座の残高の一部の払戻請求権を差し押さえた(本件差押処分)ことは、無益な差押えに当たり徴収法第48条《超過差押及び無益な差押の禁止》第2項に反する旨主張する。
 しかしながら、①相続財産法人に対する債権者は、相続財産法人について管理人による清算が行われている場合であっても、強制執行や滞納処分を行うことが妨げられないところ 、滞納処分においては、徴収法第8条《国税優先の原則》により、徴収法第2章《国税と他の債権との調整》に別段の定めがある場合を除き国税は他の債権に優先すると規定されているのであるから、上記民法の規定は管理人の報酬が国税に優先することの根拠となるものではなく、②破産手続では国税債権者は滞納処分の執行が制限される一方で破産管財人に交付要求手続を行うことで破産財団から随時弁済や配当を受けることができるのに対し、相続財産の清算手続では、滞納処分の執行は制限されないことや、相続財産をもって相続債権者等に対する債務を完済することができないと認めるときには管理人は破産手続開始の申立てができることに鑑みれば、管理人による清算手続は、破産手続とその性質を異にするものであって、強制換価手続に相当するものとはいえないから、徴収法第9条は準用又は類推適用されない。したがって、管理人の報酬債権は国税に優先せず、他に被差押債権につき国税に優先する債権は確認できなかったから、本件差押処分は無益な差押えに該当しない。
 また、請求人は、管理人の報酬額が差押財産の価額を上回るにもかかわらず滞納処分による差押えを行うという運用が認められてしまうと、管理人の役職を引き受ける者がいなくなるという不当な状況に陥る可能性があり、また、原処分庁は、回収の努力もせずに、管理人の努力の結果集められたものを横取りしているに等しいことなどを理由として、本件差押処分は不当であると主張する。
 しかしながら、請求人は、国税通則法第5条《相続による国税の納付義務の承継》の規定により、被相続人が納付すべきであった滞納国税を納める義務を承継しているところ、本件差押処分までの2年以上の間、原処分庁から複数回の催告を受けたにもかかわらず、国税に充てる金額は残っていないとして当該滞納国税を自主納付しなかったことからすると、当該滞納国税について自主納付による完納の見込みがあったとはいえなかったのであるから、原処分庁としては、当該滞納国税を徴収するためには、財産の差押えによって回収を図らざるを得なかったというべきであり、また、公売手続に時間を要する不動産ではなく預金債権を差押えの対象とした判断が、法や制度の趣旨及び目的に照らして不合理とは認められず、本件差押処分が不当な処分であるとは認められない。

参照条文等

国税徴収法第48条第2項第47条第1項第1号

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平成4年4月8日裁決

滞納処分により債権差押えをする場合、全額差押えを原則としており、被差押債権の範囲を一部とするか否かは徴収職員の裁量に任されていて、その濫用が認められない限り、債権の全額差押えは違法とはいえないとした事例

裁決事例集 第43集 439頁

要旨

 請求人は、原処分庁が第三債務者に対して、請求人が有する株式全部についての株券交付請求権を差し押さえたことは、滞納国税の額をはるかに上回る差押えであり、このことは、国税徴収法第63条ただし書の規定を無視した違法、不当なものである旨主張するが、本件株式については、請求人と第三債務者の間で株券が発行済みか否か訴訟系属中であり、同株券が原処分庁へいつ交付可能となるのか、その時期が特定できない状況からすると、原処分庁が国税徴収の確実を期するため、徴収すべき滞納国税の額にかかわらず株券交付請求権の全部を差し押さえたとしても、違法とはいえない。

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平成26年2月19日裁決

価額弁済者も特段の事情のない限り、差押処分をした国に対し登記なくして対抗することができないことを明らかにした事例(不動産の各差押処分・棄却)

裁決事例集 第94集

要旨

 請求人らは、原処分庁が、被相続人から請求人らが承継した滞納国税を徴収するため、請求人らが相続によって取得した各不動産の各共有持分を差し押さえた(本件各差押処分)のに対し、当該各不動産の各共有持分は、民法第932条《弁済のための相続財産の換価》ただし書に基づく価額弁済(本件価額弁済)により請求人らのうちの1人が固有財産として取得していることから、本件各差押処分は財産の帰属を誤ってなされた違法又は不当な処分である旨主張する。
 しかしながら、民法第177条《不動産に関する物権の変動の対抗要件》は、不動産に関する物権の得喪及び変更について、登記をしなければ、第三者に対抗することができない旨規定しており、滞納処分による差押えの関係においても同条の適用があり、価額弁済者も特段の事情がない限り、差押処分をした国に対し、登記なくして不動産を取得したことを対抗することができないものと解するのが相当である。もっとも、本件価額弁済の公示に当たっての登記手続において、価額弁済者以外の共同相続人の持分については、価額弁済者へ持分移転登記手続が可能であるが、価額弁済者の持分については、相続人本人が価額弁済をしたことになり、価額弁済者の固有財産に切り替わったことを公示する手段がないが、価額弁済者以外の共同相続人の持分の移転登記を経由することで、価額弁済者の固有財産へと切り替わったことを第三者からみて推測可能なように公示できる以上、移転登記がされていない本件価額弁済に関し、固有財産として取得したことを対抗できないとしても民法第177条の趣旨に反するとまではいうことはできない。以上のとおりであるから、本件各差押処分が財産の帰属を誤った違法又は不当な処分であるということにはならない。

参照条文等

民法第177条、第932条

参考判決・裁決

最高裁昭和31年4月24日第三小法廷判決(民集10巻4号417頁)

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平成13年8月8日裁決

土地と建物の差押えが超過差押えに該当しないとした事例

裁決事例集 第62集 521頁

要旨

 請求人は、原処分庁は滞納国税を相当額上回る価額の土地3筆と建物を差し押さえたのであるから、国税徴収法第48条《超過差押及び無益な差押の禁止》第1項に規定する超過差押えに該当する旨主張する。
 しかしながら、当審判所の調査によれば、請求人は本件差押財産のほかに換価できる財産を有しておらず、差押財産である土地と建物は一体として請求人の居住の用に供されており、また、これらの全部に差押国税に優先する根抵当権が設定されていると認められるところ、仮に、原処分庁が差押財産のうちの一部の財産を差し押さえるとすると、分割することによって差押財産の経済的価値が害されることになり相当ではない。
 以上のことからすれば、原処分庁のした差押処分は、差押財産の担保価値の維持、有効利用の見地、優先債権者への配当等を考慮した妥当なものといえるから、国税徴収法第48条第1項に規定する超過差押えには該当しない。

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平成6年11月18日裁決

滞納処分により差し押さえられた滞納会社の代表者名義の預託金制ゴルフ会員権につき、取得資金の全額が滞納会社の資金により支払われていること、滞納会社の決算報告書に本件会員権が資産として計上されていること等から、滞納会社に帰属すると認めるのが相当である等とした事例

裁決事例集 第48集 489頁

要旨

 原処分庁は、滞納会社の滞納国税を徴収するため、同社の代表者名義のゴルフ会員権(「本件会員権」)を差し押さえるとともに、本件会員権の会員証書(「本件会員証書」)を占有している貸金業者である請求人に対し、本件会員証書の引渡命令をした。
 請求人は、差し押さえられた本件会員権は、仮にその購入資金が滞納会社から出捐されていたとしても、それは代表者と滞納会社の内部関係にとどまり、本件会員権は代表者とゴルフ場の契約によって代表者個人の権利として生じたものであり、請求人は、差押え前に代表者から譲渡担保設定契約により適法に本件会員権の譲渡を受けていると主張し、本件会員権の法律上の権利者でない滞納会社の滞納による差押えは違法であって、違法な差押えには民法第467条の指名債権譲渡の対抗要件は不要である等と主張する。
 しかし、預託金制ゴルフ会員権は、債権的法律関係を包含しているところ、名義人以外に実質的権利者がいる場合には、当該権利者に帰属する財産として滞納処分を行い得ることは当然である。
 本件会員権については、[1]その取得資金の全額が滞納会社の資金により支払われていること、[2]取締役会の承認を経た滞納会社の決算報告書に本件会員権が資産として計上されていること及び[3]本件会員権の名義人である個人が滞納会社の代表取締役の地位にあり、取締役会で異議なく滞納会社の当該決算報告書を承認していたこと等からすると、滞納会社に帰属すると認めるのが相当であるから、差押えに違法な点はない。
 なお、(仮に滞納会社が代表者に本件会員権の処分権を与えていたとしても)預託金制ゴルフ会員権の譲渡をもって第三者に対抗するためには、指名債権譲渡の対抗要件である確定日付のある証書による譲渡通知又は承認が必要であるところ、請求人が第三者対抗要件を備えたのは、差押え後であることが明らかであるから、請求人は、本件会員権の譲渡を受けたことをもって差押債権者たる原処分庁に対抗できない。
 また、本件会員証書は、有価証券ではなく単なる証拠証券であるから、本件会員権の権利者と認められない以上、本件会員証書自体の占有をもって何ら権利を取得したことにはならず、さらに、本件会員証書自体につき、独立して民法第192条の規定による即時取得をすることもない。

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平成15年4月7日裁決

差押不動産は一筆の土地で分割できないものであり、滞納国税の額に比較して差押不動産の処分予定価額が合理的な裁量の範囲を超え著しく高額であるとは認められないから、超過差押えに当たらないとした事例

裁決事例集 第65集 1095頁

要旨

 請求人は、差押処分の対象となった自宅底地以外に不動産を所有していたので当該不動産を差し押さえるべきであったと主張する。しかしながら、差押財産の選択については、徴収職員の合理的判断にゆだねられているところ、請求人が差し押さえるべきであったと主張する不動産は換価に不適又は不便な財産であるから、本件自宅底地の差押えには合理性を欠いた点はなく、違法ではない。
 国税徴収法第48条第1項が規定する超過差押えとなるか否かを判断する場合、一般的には、差押財産の処分予定価額と徴収すべき滞納国税(延滞税等の附帯税も含む。)の額とを比較して判定すべきものであるとしても、差押財産の処分予定価額が滞納国税の額を超過した場合に、直ちに当該差押えが超過差押えとして違法となるものではなく、他に滞納国税を満足できる換価に見合う財産があるにもかかわらず、滞納国税の額に比較して差押財産の処分予定価額が合理的な裁量の範囲を超え著しく高額であると認められるような財産を差し押さえたというような特段の事情がある場合に、初めて当該差押えが違法となるものと解される。
 また、複数の財産を差し押さえた場合において、そのうちの一部の差押えによって国税徴収の目的が十分達成できるにもかかわらず、あえて他の財産も差し押さえたときは、超過差押えとなる余地もあり得るが、差押えに係る財産が法律上分割できない場合、あるいは分割することはできるが、分割することにより物の経済的価値を著しく害する場合には、たとえその財産の価額の合計額が滞納国税の額を超過したとしても違法とはならないと解される。
 原処分時の本件差押自宅敷地の処分予定価額は、処分予定価額が上回っているが、本件差押自宅敷地は一筆の土地で分割できないものであり、本件滞納国税の額に比較して本件差押自宅敷地の処分予定価額が合理的な裁量の範囲を超え著しく高額であるとは認められない。

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平成10年4月15日裁決

預託金会員制ゴルフクラブの会員権証書の担保権者に対する引渡命令が適法であるとされた事例

裁決事例集 第55集 798頁

要旨

 預託金会員制ゴルフクラブの会員権証書は、商法第519条の有価証券には当たらないことから、本件ゴルフ会員権に対する質権設定を第三者に対抗するためには、民法第364条第1項に規定する指名債権質の対抗要件に基づき、質権設定者が確定日付ある証書によりこれをゴルフ場経営会社に通知し又は同社が確定日付ある証書によりこれを承諾することを要する。
 しかしながら、請求人及び滞納者は、これらの手続を経ていないことから、差押債権者たる原処分庁に対抗できず、原処分庁が請求人に対して行った本件会員証書の引渡命令は適法である。

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平成10年8月25日裁決

債権譲渡は民法第467条第2項に規定する第三者対抗要件を具備しておらず、債権譲渡の効力を差押債権者である国に対して主張できないとされた事例

裁決事例集 第56集 427頁

要旨

 差押えに係る賃料請求権は、請求人の滞納者に対する貸金を回収するため、合意契約により譲渡したものと認められるが、本件合意契約書には確定日付が附されていないから、本件債権譲渡は第三者対抗要件を具備していないものであり、第三者である国に対抗することができないので、本件差押処分時における本件賃料請求権は、滞納者に帰属するとしてされた本件差押処分は適法である。

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平成22年2月16日裁決

裁決により第二次納税義務の限度額の一部が取り消されることによって超過差押えになるとしても、審判所は差押処分を取り消すことはできないとした事例

裁決事例集 第79集

要旨

 本件各預貯金の差押時点において、本件各差押財産の処分予定価額の合計額は滞納額を下回っていたと認められるが、本件納付告知処分の一部が取り消されることによって、本件各差押財産の処分予定価額が第二次納税義務の限度額を超過する状態になると認められる。
 ところで、先行する課税処分と後続の徴収処分との関係については、課税処分が租税確定手続であり、後者が租税徴収手続であって、両者は別個の法律的効果の発生を目的とする別個独立の行為であるから、前者の違法は後者に承継されないと解するのが相当であり、第二次納税義務の徴収手続の場合も同様に、先行する納付告知処分に違法があったとしても、その違法性は当該第二次納税義務に係る国税を徴収するための滞納処分には直ちに承継されないと解するのが相当であるから、第二次納税義務に係る納付告知処分の一部が取り消されたとしても、そのことをもって直ちに当該第二次納税義務に係る国税を徴収するための滞納処分を違法ということはできない。
 そして、国税徴収法第79条第2項第1号は、差押えに係る国税の一部の納付、充当、更正の一部の取消し、差押財産の値上りその他の理由により、その価額が差押えに係る国税及びこれに先立つ他の国税、地方税その他の債権の合計額を著しく超過すると認められるに至ったときは、差押財産の全部又は一部について、その差押えを解除することができる旨規定しており、後発的事由により超過差押えとなった場合の違法状態の是正措置が設けられているところ、同号の規定により差押えを解除するか否か、また、解除する場合に、どの財産の差押えを解除するかは徴収職員の合理的な裁量にゆだねられていると解されることからすれば、後発的事由により超過差押えとなった場合に、審判所が差押えを取り消す財産を選択し、当該財産の差押えを取り消すことは許されないと解される。
 また、差押えの解除と取消しの法律的効果の相違も考慮すれば、後発的事由により超過差押えとなったとしても、審判所は差押処分の取消しをすることはできないと解される。
 したがって、本件納付告知処分は一部を取り消すべきであるものの、これを理由として本件各差押処分の一部又は全部を取り消すことはできない。

参照条文等

国税徴収法第48条第1項第79条第2項第1号

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平成12年11月27日裁決

滞納者に対する滞納処分として差し押さえられた滞納者名義の養老生命共済に係る満期共済金の支払請求権及び解約返戻金の支払請求権について、滞納者の父である請求人がした自己に帰属する旨の主張を排斥した事例

裁決事例集 第60集 612頁

要旨

 請求人は、本件養老生命共済契約は滞納者の父である請求人が滞納者の名義を借りて契約したものであり、また、共済掛金も請求人が支払っていることから、本件債権(滞納者が契約した養老生命共済に係る満期共済金の支払請求権及び解約返戻金の支払請求権)は請求人に帰属する旨主張する。
 しかしながら、当該共済約款によればいずれも滞納者に帰属するものと認められるのであり、仮に請求人主張のものであっても、請求人には虚偽の外形を自己の意思で作出したことが認められることから、民法第94条第2項の類推適用により、請求人は本件債権が請求人に帰属することをもって善意の第三者である差押処分庁に対抗することはできない。
 したがって、この点に関する請求人の主張は採用することができない。

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平成19年3月30日裁決

請求人は、原処分庁に対して、信義則上、請求人が滞納会社と別異の法人格であることを主張して被差押債権の帰属を争うことができないとした事例

裁決事例集 第73集 565頁

要旨

 請求人は、原処分庁が被差押債権は滞納会社に帰属するものであるとして行った債権差押処分に対して、自社が被差押債権の帰属主体であることを主張する。
 しかしながら、会社が法令の規定に準拠して比較的容易に設立され得ることに乗じ、取引の相手方からの債務履行請求手続を誤らせ時間と費用とを浪費させる手段として、旧会社の営業財産をそのまま流用し、商号、代表取締役、営業目的、従業員などが旧会社のそれと同一の新会社を設立したような場合には、形式的には新会社の設立登記がなされていても、新旧両会社の実質は前後同一であり、新会社の設立は旧会社の債務の免脱を目的としてなされた会社制度の濫用であって、このような場合、会社は、この取引の相手方に対し、信義則上、新旧両会社が別人格であることを主張できず、相手方は、新旧両会社のいずれに対しても上記債務についてその責任を追及することができると解されている。
 したがって、いわゆる支配要件と目的要件の2つの要件を満たした場合には、信義則上、新会社は、債権者に対して旧会社とは別人格であることを主張できないと解するのが相当である。
 そして、本件においては、請求人について上記2つの要件をいずれも満たすと認められることから、請求人は、原処分庁に対して、信義則上、請求人が本件滞納会社とは別異の法人格であることを主張し、本件各債権を自己の財産であって本件滞納会社の財産ではないと主張することは許されないというべきである。

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平成22年6月10日裁決

差し押さえた株券に係る権利が滞納者に帰属するとの推定を覆す事実は認められず、また、当該株券に係る権利の取得につき滞納者に悪意又は重過失があったことを認めるべき証拠もないとして、当該権利が自己に帰属する旨の請求人の主張を排斥した事例

裁決事例集 第79集

要旨

 滞納者の子である請求人は、原処分庁が差し押さえた株券に係る株式についての真の権利者は請求人である旨主張し、請求人の祖母が請求人に当該株式に係る株券を引き渡した旨記載されている文書が存在する。
 ところで、当該原処分庁が差し押さえた株券は、請求人の祖母が、当該株式に係る株券についての除権判決を得るとともに、当該株式を滞納者に譲渡することについて、その発行会社であるC社の取締役会の承認を経た上で再発行された株券が滞納者に交付された後、滞納者が当該再発行株券のすべてを亡失したとして、C社に対してなされた平成20年4月23日付の株券喪失登録の申請に基づき、同社が滞納者に対して発行し、滞納者のために保管していたものであるところ、原処分庁所属の徴収職員が、滞納者がC社に対して有する当該株式に係る株券の再発行請求権を差し押さえた上で、C社が滞納者に対し発行し、滞納者に交付すべきものとして保管していた再発行株券を占有して差し押さえたものである。
 そうすると、商法(平成17年法律第87号による改正前のもの。)第205条第2項の規定により、上記再発行株券が滞納者に交付された時点で、滞納者が当該再発行株券に係る株式についての権利を有すると推定され、また、会社法第131条第1項の規定により、当該株式についての権利は滞納者に帰属すると推定されることから、この推定を覆す事実が認められない限り、差押処分に当該株式についての権利の帰属を誤った違法があるということはできないこととなる。しかるに、滞納者が当該株式を祖母から譲り受けたこと及びその後における滞納者による株券喪失登録の申請に不自然な点は見当たらず、滞納者が当該株式についての権利が祖母から請求人に移転していることを知りながら、あるいは、重大な過失によってそのことを知らないままに、当該再発行株券の交付を受けたと認めるべき証拠も見当たらない上、請求人が当該株式についての権利を有していたことをうかがわせる証拠もないから、当該株式についての権利が滞納者に帰属するとの推定を覆す事実は認められず、したがって、請求人が当該株式の真の権利者である旨の請求人の主張には理由がない。

参照条文等

国税徴収法第56条第1項 商法(平成17年法律第87号による改正前のもの。)第205条 会社法第128条、第131条、第228条

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平成22年6月16日裁決

請求人は、差し押さえられた債権に付されていた譲渡禁止特約につき悪意の譲受人と認められるから、滞納者から請求人への当該債権の譲渡は無効であり、当該債権が請求人に帰属することを前提に当該債権の差押処分の取消しを求める請求人の主張は、その前提を欠き採用できないとした事例

裁決事例集 第79集

要旨

 請求人は、原処分庁が差し押さえた各債権は、当該差押処分の前に、滞納者から譲渡担保として譲り受け、債権譲渡登記により第三者対抗要件を具備したものとみなされたから、当該各債権は請求人に帰属する旨主張する。
 しかしながら、原処分庁が差し押さえた各債権の一部については、原処分庁の取立て、差押えの解除、消滅、不存在により、差押えの効力が消滅したか生じなかったのであるから、請求人は、その部分についての差押えの取消しを求める法律上の利益を有せず、他の債権については、譲渡禁止特約が付されているところ、滞納者と請求人との間で交わされた集合債権譲渡契約書の「譲渡禁止特約の有・無」欄の「有」に丸印が付されていることからすれば、請求人は当該譲渡禁止特約につき悪意の譲受人と認められることから、滞納者から請求人への当該債権の譲渡は無効であり、当該債権が請求人に帰属することを前提に当該債権の差押処分の取消しを求める請求人の主張は、その前提を欠き採用できない。

参照条文等

国税徴収法第24条 民法第466条

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平成24年7月3日裁決

自動車の差押処分について、その財産の帰属を誤ったとした事例

裁決事例集 第88集

要旨

 原処分庁は、原処分庁が行った第三者名義で登録されていた自動車(本件自動車)に対する差押処分(本件差押処分)は、その所有権が滞納法人にあるのだから適法である旨主張する。
 しかしながら、本件自動車は、本件差押処分の前に、請求人が滞納法人に対する貸付金の代物弁済として、滞納法人からその所有権を取得したものである。また、請求人は審査請求中に自己の所有権に基づき本件自動車の登録を行っており、それに対して原処分庁は本件自動車について差押えの登録を行っていないから、請求人は、登録を行うことにより本件自動車の所有権を確定的に取得したことになり、その反面で滞納法人はその所有権を確定的に喪失したことに帰着するので、本件差押処分は違法な処分として取り消されるべきである。

参照条文等

国税徴収法第47条第1項第71条

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平成24年12月6日裁決

債権の差押処分について、その財産の帰属を誤ったとした事例

裁決事例集 第89集

ポイント

 本事例は、会社分割(新設分割)の対象とされた敷金返還請求権の帰属を、新設会社である請求人にあるとしたものである。

要旨

 原処分庁は、会社分割(新設分割)の対象とされた敷金返還請求権(本件債権)には、賃貸借契約において譲渡禁止の特約が定められている上、第三債務者は本件債権の承継について承諾していないことからすれば、本件債権は滞納法人に帰属する財産である旨主張する。
 しかしながら、譲渡禁止特約のある指名債権を譲受人が特約の存在を知って譲り受けた場合でも、債務者がその譲渡について承諾を与えたときは、当該債権譲渡は譲渡の時に遡って有効となると解されるところ、滞納法人は、第三債務者に対し本件債権を請求人に承継した旨の通知を行い、第三債務者は原処分庁の行った債権差押え(本件差押処分)より前に、本件債権が滞納法人から請求人に承継されたことについて書面による承諾をしたものと認めるのが相当である。したがって、本件差押処分は本件債権の移転に劣後しているので、本件差押処分は請求人に帰属する財産に対してなされた違法な処分である。

参照条文等

国税徴収法第62条

参考判決・裁決

最高裁昭和52年3月17日第一小法廷判決(民集31巻2号308頁)

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平成29年10月18日裁決

原処分庁による動産の差押処分が行われた時点において、当該動産は既に第三者へ譲渡されており、第三者対抗要件である引渡しも完了していたとして、当該差押えを取り消した事例(動産の差押処分・全部取消し)

裁決事例集 第109集

ポイント

 本事例は、原処分庁が行った動産の差押処分につき、当該動産は差押処分の時点で既に第三者へ譲渡されていたところ、第三者対抗要件たる引渡しについては占有改定により完了していたと認定したものである。

要旨

 原処分庁は、請求人と滞納法人との間で締結された合意書(本件合意書)には、建物(本件建物)の占有移転に係る記載はあるが、本件建物内にあった動産(本件動産)の占有移転に係る記載はなく、本件動産に対する差押処分(本件差押処分)時に、本件動産が請求人の所有物であったことを第三者が知り得るような明示もされていなかったことから、本件動産に係る占有改定の合意があったとはいえない上、本件建物の賃貸人は滞納法人が本件建物の賃借人であると認識していたことからしても、請求人は本件動産の引渡しを受けていない旨主張する。
 しかしながら、そもそも動産の引渡しには第三者が知り得るような明示が必要であるとする民法の条文や判例は見当たらないところ、請求人と滞納法人は、関係者への影響を最小限にすべく、事業の承継に必要な本件建物と本件動産を滞納法人から滞りなく請求人に承継させることを企図していたことからすると、請求人と滞納法人が、この企図に反して本件動産のみの占有を移転しないことは考えられず、たとえ、本件合意書にそのことが明示的に記載されていなくとも、本件建物の占有の移転だけでなく、本件建物内に存する本件動産の占有の移転にも合意するとともに、本件動産が現実に引き渡されるまでは本件動産を請求人のために占有することに合意したものと解するべきであり、さらに本件動産の引渡し(占有改定)は、請求人及び滞納法人間でできるものであって、上記認定が賃貸人の認識により左右されるものではないことからしても、請求人は、本件差押処分の前に、占有改定により本件動産の引渡しを受けていたといえるから、原処分庁の主張は採用できない 。

参照条文等

民法第178条、第182条、第183条 国税徴収法第47条第56条第60条

参考判決・裁決

大審院明治43年2月25日判決(民録16輯153頁)

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令和元年7月8日裁決

差押処分の前に差押財産を商品売買契約により取得し、引渡しを受け対抗要件を備えたとの請求人の主張について、商品売買契約書により売買の意思表示は認められるものの、売買の意思表示が同契約書作成時にされたとは認められないとした事例(動産の差押処分・棄却)

裁決事例集 第116集

ポイント

 本事例は、直接証拠として提出された商品売買契約書について、その証拠力の適切な検討を踏まえて、請求人と滞納法人との商品売買契約の成否について、当事者の真意を事実認定のプロセスに則り適切に認定し、書証の区分による判断の枠組みに従い適切な法的構成により判断したものである。

要旨

 請求人は、原処分庁が差し押さえた各動産のうち動産1(動産1)の所有権は、請求人が徴収職員に提示した商品売買契約書(本件商品売買契約書)による契約(本件商品売買契約)により当該各動産の各差押処分時(本件各差押処分時)までに、滞納法人から請求人に移転している旨主張する。
 しかしながら、①本件商品売買契約書によって本件商品売買契約が本件各差押処分より前に成立しているとは認められないこと、②本件商品売買契約書に滞納法人の代表取締役として記名のある者は、本件商品売買契約時において滞納法人の業務について執行する権限を有していないこと、③本件商品売買契約に基づき滞納法人から請求人に対し本件各差押処分より前に動産1の引渡し(占有改定)が行われていたと認められないこと、以上から、本件商品売買契約により本件各差押処分時までに、動産1の所有権が滞納法人から請求人に移転していたとは認められない。
 また、請求人は、原処分庁が差し押さえた各動産のうち動産2(動産2)は、請求人から滞納法人に販売を委託したものであるとも主張するが、この主張を認めるに足りる証拠はないことから、本件各差押処分時における、動産2の所有者は滞納法人であると認められる。

参照条文等

民法第186条 国税徴収法第56条第1項 会社法第363条第1項 会社法第362条第2項第3号、第3項

参考判決・裁決

民法第186条 最高裁昭和41年12月20日第三小法廷判決(民集20巻10号2160頁)

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令和7年3月17日裁決

引渡命令処分の対象となった動産は、同処分時において滞納者の所有財産であったと認められるとした事例(財産の引渡命令処分・棄却)

裁決事例集 第138集

ポイント

 本事例は、引渡命令処分の対象となった動産は、滞納者が取得したものと認められ、その後、第三者に譲渡したとは認められないから、同処分時において滞納者の所有財産であったと認められるとしたものである。

要旨

 請求人は、原処分庁が行った国税徴収法第58条《第三者が占有する動産等の差押手続》第2項の規定に基づく動産(本件動産)の引渡命令処分(本件処分)について、本件動産は、請求人が寄託契約に基づき参加人から寄託を受けて保管していることからすると、参加人の所有財産である可能性がある旨主張する。
 しかしながら、本件動産は、滞納者が取引先から購入して所有権を取得したと認められ、その後、滞納者が本件処分までの間に、参加人を含む第三者に所有権を移転したとは認められないから、本件動産は、本件処分時において滞納者の所有財産であったと認められる。

参照条文等

国税徴収法第58条第1項第2項

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