裁決事例 役員報酬

裁決事例 役員報酬

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昭和57年6月10日裁決

損益計算法により算定した簿外所得金額と社内に留保された簿外資産との差額を代表者に対する貸付金と認定しその受取利息相当額を役員報酬とした原処分を取り消した事例

裁決事例集 第24集 93頁

要旨

 原処分庁は、甲勘定の金額を代表者甲に対する貸付金と認定しているが、[1]同勘定は、既往の事業年度の更正において原処分庁が損益計算法によって算定した請求人の所得金額と請求人の資産として留保されている金額との差額を仮勘定として処理したものであること、[2]原処分庁は、既往の事業年度については、かかる理由から同勘定の金額に対し受取利息の認定をしていないこと、[3]当事業年度以降の原処分に係る調査において、請求人と代表者甲との間に金銭消費貸借契約が成立していたとする事実は認められないこと等の事実によれば、同勘定の金額を代表者甲に対する貸付金と認定することは相当でない。
 したがって、原処分庁が当該甲勘定の金額を代表者甲に対する貸付金と認定し、これに対して年10パーセントの割合で算定した受取利息の額を代表者甲に対する経済的利益の供与と認め役員報酬として源泉所得税の納税告知をしたことは相当でない。

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昭和56年5月26日裁決

期中にあらかじめ定められた基準に基づいて増額支給した役員報酬の損金算入を認容した事例

裁決事例集 第22集 124頁

要旨

 原処分は、役員報酬の額のうち役員2名に対し増額改訂して支給した本件追加報酬について、臨時的給与であるから役員賞与に当たるとして損金不算入としているが、[1]役員両名に対して、昇格した後も昭和51年4月まで昇給の措置が採られていないこと、[2]本件追加報酬が両名の昇格後支給すべきであった増額報酬の追給であることに関しては、請求人の主張、関係者の答述及び実際支給額がいずれも符合していること、[3]一般企業において、役員が昇任若しくは昇格した場合には権限と責任が加重されることから、その対価として当該昇任者等の給与の額を増額するのが経済界の通例であることからすれば、本件追加報酬は実質的にも役務の対価たる性質を有する根拠のある給与と認めるのが相当であり、また、本件追加報酬はあらかじめ定められた支給基準に基づいて、昭和51年5月から昭和52年4月に至る12か月にわたり、役員両名の定額報酬に上積みして各月定額により支給したものであって、定期の給与と認めるのが相当であるから、これは役員報酬として損金の額に算入するのが相当である。

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平成5年4月19日裁決

株主が一堂に会して株主総会が開催されなかったとしても、請求人のように役員が90パーセント以上の株式を有している同族会社において、当該役員により作成された議事録は、実質的に株主総会が開催され、決議が行われた上で作成されたものとみるべきであり、過大な役員報酬の判定はこの議事録に基づいて行うのが相当であるとした事例

裁決事例集 第45集 213頁

要旨

 請求人は当初、株主総会の議事録であるとして甲議事録を提示し、その後に至って乙議事録を正規のものであるとして提示した。さらに請求人は、実際には株主総会は開催されておらず、株主総会の決議も存在しないので、役員報酬の額が相当な金額であるか否かは株主総会の議事録によるべきではなく、当該役員の職務内容からみて判断すべきであると主張した。しかし、本件においては、請求人の株主が一堂に会して株主総会が開催され決議が行われたと判断することはできないとしても、[1]請求人は、議事録の原案の作成を代理人に依頼していること、[2]代理人は、原案を作成するに当たって代表者に対し、あらかじめ「各事業年度の計算書類の承認は行われたか、役員報酬の額が前事業年度に比べて変更されたか否か、変更後の金額はいくらか」の点について確認していること、[3]原案を請求人の代表者は代理人から受け取り、代表者は原案に押印した後、他の役員にもこれを回付し、同人らも代表者と同様に押印し、議事録を作成していること、[4]役員の有する株式数の合計は、発行済株式総数の90パーセントを超えていること等からみると、実質的に株主総会が開催され、決議に基づいて議事録が作成されたとみるのが相当である。
 そして、株主総会の決議に基づいて作成された議事録は、甲議事録であると認められ、原処分庁が役員報酬が過大かどうかの判断を甲議事録に基づき行ったことは相当である。

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平成21年11月6日裁決

請求人が監査役に対して支出したとする役員報酬は、取締役に対する報酬を監査役に対する報酬と仮装して経理したと認められることから、損金算入は認められないとした事例

裁決事例集 第78集 349頁

要旨

 請求人は、その監査役である代表者の父及び義姉に対する役員報酬について、両監査役が監査役として就任し登記されている以上、報酬の支給が行われて当然であり、両監査役は、商法上の責任の対価としても報酬を受給する権利があるから、当該報酬の額は損金の額に算入されるべきであり、また、当該報酬を代表者の妻である常務が費消していたのは、当該報酬の額の一部を常務を通じて実際に両監査役に対して支給し、その残額を両監査役から代表者が借り受けていたものである旨主張する。
 しかしながら、監査役に対する報酬として請求人が支出した金員の全額について、常務は、現金で直接受領し、自己の預貯金口座に入金するなどして管理し、自らの支払に費消していたこと、本件金員は常務の意思により管理し自由に費消可能な状態にあったこと、代表者と両監査役との間に本件金員に関する金銭消費貸借の事実も認められず、両監査役が実際に監査業務に従事しておらず、常務が監査業務を行っていることなどの諸事情を併せ考慮すれば、本件金員が、常務に対して支給されたものであり、請求人から常務に対する報酬と認めるのが相当であり、また、本件金員を請求人が両監査役に対して支給したとしていたことは、常務に対する報酬を監査役に対する報酬に仮装して経理していたと認められる。

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昭和61年5月30日裁決

役員就任3か月後に一括支給した報酬増加差額は、臨時的な給与ではなく、役員報酬に該当するとした事例

裁決事例集 第31集 108頁

要旨

 原処分庁は、役員報酬のうち新たに役員に就任した者に対して報酬増加差額として支給した本件給与は臨時的な給与と認められ、役員賞与に該当すると主張するが、使用人を役員に登用した場合、従前の給与に役員の職務に対する報酬を加算する慣行は広く認められるところであり、当該役員の報酬月額は他の役員のそれと同額であって、その決定の経緯や事情、支給時期、支給の趣旨等を総合考慮すれば、本件給与は、本来支給すべき通常業務の対価たる役員報酬を役員就任時にさかのぼって支給したものと認めるのが相当であって、一括支給の形態のみを捕らえて臨時的な給与と解するのは相当でない。

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平成23年1月25日裁決

役員給与の減額理由が業績悪化改定事由に該当しないから減額後の定期給与の額を超える部分は定期同額給与とはいえず損金の額に算入することができないとした事例

裁決事例集 第82集

ポイント

 役員給与のうち、定期同額給与、事前確定届出給与及び利益連動給与のいずれにも該当しないものの額は、損金の額に算入されないこととされている。このうち、定期同額給与とは、各支給時期における支給額が同額である定期給与のほか、支給額の改定があった場合において一定の要件を満たす定期給与をいう。
 この事例は、請求人における役員給与の減額改定につき、業績悪化改定事由の存否を判断したものである。

要旨

 請求人は、決算月(平成20年7月)の2か月前において、経常利益が対前年比で6%減少している状況から、代表取締役の給与を減額改定したことは、法人税法施行令第69条《定期同額給与の範囲等》第1項第1号ハに規定する役員給与の減額に係る業績悪化改定事由に該当する旨主張する。
 しかしながら、法人税法施行令第69条第1項第1号ハに規定する業績悪化改定事由とは、法人の経営状況の著しい悪化その他これに類する理由によりやむを得ず役員給与の額を減額せざるを得ない事情があることをいうのであり、本件は、①本件事業年度の売上高、経常利益は過去の業績と比べて何らそん色がないこと、②請求人が設定した業務目標を達成できなかったことが減額の理由であること等からすれば、業績悪化改定事由があるとは認められず、また、上記理由以外に役員給与を減額せざるを得ない特段の事情が生じていたと認めるに足る事実はない。

参照条文等

法人税法第34条第1項第1号 法人税法施行令第69条第1項第1号ハ 法人税基本通達9-2-13

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昭和62年12月24日裁決

請求人が請求人の代表者の母及び義姉に支払った外注費は請求人の代表者に対する経済的利益の供与と認めるのが相当であるが、このうち毎月定額支給した金額は役員報酬として損金算入すべきであるとした事例

裁決事例集 第34集 67頁

要旨

 請求人は請求人の代表者の母及び義姉に外注費を支払っているが、関係者の答述、通勤、勤務状況から、同人らは請求人の業務に従事したとは認められないから、同人らに支給した金員は請求人の代表者に対する経済的利益の供与と認められる。また、このうち毎月定額支給される金額は役員報酬と認定すべきであり、当該役員報酬認定額が法人税法施行令第69条に該当しない以上、損金に算入するのが相当である。

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平成9年9月29日裁決

非常勤の取締役3名に対して支給した役員報酬額は、当該取締役の職務の内容等に照らし不相当に高額であるので、当該取締役の職務の対価として相当であると認められる金額を超える部分の金額は、損金の額に算入することはできないとした事例

裁決事例集 第54集 306頁

要旨

 代表者の妻ら3名の取締役(以下「本件取締役」という。)に対して支払われた役員報酬額は、[1]本件取締役は業務執行権を有せず具体的な職務執行の内容が不明確であり、また、代表者の答述によれば、役員報酬額等は社員総会において支給総額を決定し、代表者及び他の役員一族でそれぞれ折半することとしていること等を併せ考慮すれば、本件取締役の職務内容は請求人の経営に深くかかわるものとは認められないこと、[2]請求人の各事業年度の売上高・売上総利益の伸び率に比較すると、当該各事業年度の本件取締役の支給額は、相当高い伸び率であると認められること、[3]本件取締役の役員報酬額は、いずれも請求人の類似法人で本件取締役と職務内容が類似すると認められる非常勤の取締役に対する役員報酬額の平均額と比較すると極めて高額であると認められること等から、本件取締役の役員報酬額はその職務の対価として相当ではなく、類似法人の平均的な役員報酬額を超える部分の金額は、不相当に高額な部分の金額であって損金の額に算入されないというべきである。

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平成14年6月13日裁決

取締役会長に支払われた役員報酬及び役員退職給与には、不相当に高額な部分の金額が含まれているとは認められないとした事例

裁決事例集 第63集 309頁

要旨

 原処分庁は、請求人が取締役会長に支払った役員報酬の額及び退職給与の額につき、同人は長期入院のため通常の勤務ができなかったものであり、非常勤取締役と認められ、そして、類似法人の非常勤取締役に対する役員報酬の支給状況によると、同人に対する適正報酬額は50万円と認められるから、それを超える部分は、法人税法第34条第1項に規定する「不相当に高額な部分の金額」に当たるため損金の額に算入できず、また、退職給与の額のうち、この適正報酬額を基礎として算定した金額を超える部分も、法人税法第36条に規定する「不相当に高額な部分の金額」に当たるため、損金の額に算入できない旨主張するが、取締役会長は、入退院を繰り返しているものの、相当程度の頻度で請求人の職務に従事していたもので、同人は常勤の取締役と認められ、そして、類似法人の常勤取締役会長に対する役員報酬の支給状況等に基づき検討すると、同人に対する役員報酬の額が不相当に高額であるとは認められないから、原処分庁の主張は採用できない。
 他方、請求人は、取締役会長に支払った見舞金につき、合理的な社内規定に基づくものであり、その全額が福利厚生費に該当する旨主張するが、類似法人の役員に対する見舞金の支給状況によると、福利厚生費としての見舞金の上限は入院一回当たり5万円と認められるから、当該金額を超える部分は取締役会長に対する賞与に該当する。

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平成24年3月28日裁決

各役員への給与に係る支払債務は実際に確定し、請求人においてその支給事務が行われたのであるから、当該役員給与は架空のものとは認められないとした事例

裁決事例集 第86集

要旨

 原処分庁は、請求人の役員であるJ、N及びP(本件各役員)に対する役員給与(本件各役員給与)について、役員給与を受け取っていない旨のJ及びNの申述などから、本件各役員給与は本件各役員に支給されておらず、架空の役員給与である旨主張する。
 しかしながら、本件各役員はいずれも役員として勤務実態がある上、本件各役員の役員給与の金額が、請求人の取締役会等において承認され、支給時期等は、請求人の従業員と同様に、毎月10日払いとされており、これらの事実に基づいて、請求人は、本件各事業年度において、本件各役員の役員給与の合計額を総勘定元帳の「役員報酬」勘定に計上したのであるから、毎月10日の時点で、請求人の本件各役員の役員給与の当月分の支払債務が実際に確定していたとみるのが相当である。そして、支払債務の確定した本件各役員の役員給与は、請求人において支給事務が行われたと認められるのであるから、本件各役員給与は架空のものとは認められない。

参照条文等

法人税法第127条第130条

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平成24年11月1日裁決

請求人名義の車両を代表者に対し贈与等をした事実はなく給与を支給したのと同様の経済的効果をもたらしたとは認められないとした事例

裁決事例集 第89集

ポイント

 本事例は、代表者の妻が個人的に使用している請求人名義の車両は、代表者の妻が無償で専属的に使用していると認められるから、当該車両の使用につき通常支払うべき使用料の額に相当する経済的な利益を享受していると認められるものの、当該車両を代表者に贈与したとまでは認められないとしたものである。

要旨

 原処分庁は、請求人の実質経営者(実質経営者)の妻が個人使用するために請求人名義で取得した車両(本件車両)について、請求人が実質経営者の指示により本件車両の取得費等を費用に計上していること、実質経営者の妻は請求人の役員又は従業員ではなく、実質経営者が請求人の100%株主であることからすれば、本件車両の取得費等は、実質経営者に対する役員給与に当たり、また、個人で使用する目的で取得した本件車両の取得費等を請求人の費用に計上したことは、法人税法第34条《役員給与の損金不算入》第3項に規定する隠ぺい又は仮装による役員給与に当たる旨主張する。
 しかしながら、請求人は、①本件車両の購入に関する注文の当事者であり、②信販会社を通じて本件車両の売買代金を支払い、③自動車車検証に使用者として記載されていることからすると、本件車両の所有者は請求人であると認めるのが相当であり、請求人から実質経営者に対して本件車両の贈与があった等、請求人が一定の行為をしたことにより実質的に実質経営者に対して給与を支給したのと同様の経済的効果をもたらしたとまでは認めることができず、仮装隠ぺいと認めるに足る証拠もない。ただし、実質経営者の妻は、実質経営者の権限を利用して、本件車両を専属的に利用していることが認められるから、実質経営者は、本件車両の使用につき通常支払うべき使用料の額に相当する経済的な利益を享受しているというべきであり、当該経済的な利益の額は、実質経営者に対する役員給与に当たる。

参照条文等

法人税法第34条

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平成17年12月19日裁決

非常勤取締役に対する役員報酬について、類似法人から算出した報酬額を適正と判断した事例

裁決事例集 第70集 215頁

要旨

 請求人は、非常勤取締役である代表者の母に対する適正報酬額は、当該取締役が代表取締役のよき相談相手として経営に参画していることから、請求人の従業員に対する給与の支給額を参酌して算定することが最も妥当であり、原処分庁が不相当に高額な部分として損金の額に算入できないとした額は過大であると主張する。
 しかしながら、法人税法施行令第69条第1号に照らしてみると、[1]よき相談相手というのも客観性・具体性に欠け、その裏づけとなる確たる証拠資料はないこと、また、当該取締役には決められた仕事はないこと、[2]特定の従業員の給与の支給額に照らすことについては、当該従業員の職務の内容や勤務の状況等を明らかにしないこと及び請求人の収益の状況如何にかかわらず本件取締役の職務の内容からして、当該従業員に支給されている給与額をもってその根拠とならないこと、そして、[3]原処分庁が、請求人と業種、事業規模などが類似し、請求人の所在する地域の非常勤取締役が存する法人を選定したこと及び当該類似法人に存する非常勤取締役に支給された年間報酬額の平均額をもって本件取締役に対する適正報酬額を算出した方法は妥当なものと認められることなどを勘案すると、原処分庁が、本件役員報酬のうち、不相当に高額な部分として算定した金額は相当と認められる。

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平成20年11月14日裁決

役員報酬の金額のうち、請求人と同種の事業を営み事業規模が同程度の類似法人の適正報酬額を超える部分の金額は不相当に高額であるから損金の額に算入されないとした事例

裁決事例集 第76集 285頁

要旨

 請求人は、請求人の代表者の妻である役員Hは、請求人の重要な職務に常に従事し、請求人の業績に多大な貢献をしており、常勤役員に該当する旨主張する。
 しかしながら、①Hの職務内容及び役員報酬の支給状況、②請求人の売上高及び収益の状況、③請求人の使用人に対する給料の支給状況、④類似法人の役員報酬の支給状況等をみると、Hは、特に重要な職務には従事しておらず、その従事日数も1か月のうち2日から3日と職務の従事程度が低いにもかかわらず、その報酬額は、請求人の売上高及び収益並びに使用人給与に比し相当高い伸び率を示しており、さらに、類似法人の平均役員報酬額に比しても極めて高額であることから、類似法人の平均役員報酬額を超える金額は、法人税法第34条第1項に規定する「不相当に高額な部分の金額」に該当する。

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平成29年4月25日裁決

請求人の代表取締役に対する役員給与の額のうち、同業類似法人の代表者に対する役員給与の額の最高額を超える部分の金額は不相当に高額な部分の金額であるとした事例( 平成25年8月1日から平成27年7月31日までの各事業年度の法人税の各更正処分及び過少申告加算税の各賦課決定処分並びに平成25年8月1日から平成26年7月31日までの課税事業年度の復興特別法人税の更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分、 平成22年8月1日から平成25年7月31日までの各事業年度の法人税の各更正処分及び過少申告加算税の各賦課決定処分ほか・ 一部取消し、 棄却)

裁決事例集 第107集

要旨

 原処分庁は、請求人の同業類似法人における代表者に対する役員給与の最高額と比較すると、請求人の代表取締役(本件代表者)に対する役員給与(本件役員給与)の額は、極めて高額であり、明らかに不相当に高額な部分があるから、当該最高額を本件代表者に対する役員給与相当額とし、本件役員給与の額のうち役員給与相当額を超える部分の金額は、不相当に高額な部分の金額として損金の額に算入されない旨主張し、請求人は、本件代表者の職務は格別であり、原処分庁が採用した同業類似法人の抽出基準は合理性を有するものではないから、本件役員給与の額について不相当に高額な部分の金額はない旨主張する。
 しかしながら、審判所の調査の結果、本件代表者の職務の内容が特別に高額な役員給与を支給すべきほどのものとは評価し難く、原処分庁が採用した同業類似法人の抽出基準は合理性があるものと認められる。そして、本件代表者の職務内容に大きな変化はなく、請求人の収益の状況及び使用人給与の支給状況もおおむね一定であるところ、本件役員給与の額は同業類似法人の代表者に対する役員給与の額の最高額を上回るものであり、しかも当該最高額を支給する法人は、請求人よりも相当に経営状況が良好と評価される点を鑑みれば、本件役員給与の額のうち当該最高額を超える部分の金額は不相当に高額な部分の金額であるといえる。ただし、原処分庁が抽出した同業類似法人の中に、請求人とは業種の異なる法人が認められることから、同社を同業類似法人から除外した上で役員給与相当額を算定し、不相当に高額な部分の金額として損金の額に算入されない金額を計算すると、原処分の額を下回ることから、原処分の一部を取り消すのが相当である。

参照条文等

法人税法第34条第2項 法人税法施行令第70条第1項

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令和4年7月1日裁決

請求人の取締役に対する給与の額に不相当に高額な部分はないとした事例( 平成27年12月1日から平成28年11月30日まで、平成28年12月1日から平成29年11月30日まで、平成29年12月1日から平成30年11月30日まで、平成30年12月1日から令和元年11月30日まで及び令和元年12月1日から令和2年11月30日までの各事業年度の法人税の各更正処分及び過少申告加算税の各賦課決定処分(平成30年12月1日から令和元年11月30日までの事業年度の法人税の更正をすべき理由がない旨の通知処分を併せ審理)、 平成27年12月1日から平成28年11月30日まで、平成28年12月1日から平成29年11月30日まで、平成29年12月1日から平成30年11月30日まで及び令和元年12月1日から令和2年11月30日までの各課税事業年度の地方法人税の各更正処分及び過少申告加算税の各賦課決定処分、 平成30年12月1日から令和元年11月30日までの課税事業年度の地方法人税の更正処分(更正をすべき理由がない旨の通知処分を併せ審理)・ 全部取消し、一部取消し、 全部取消し、 一部取消し)

裁決事例集 第128集

ポイント

 本事例は、法人税法上の使用人兼務役員に該当しない取締役に対する役員給与について、請求人の代表者が作成した書面に当該取締役の役員報酬として記載された金額は、その算出過程及び書面の作成過程から、当該取締役に対する給与の積算根拠にすぎず、いわゆる形式基準限度額には当たらないと判断した事例である。

要旨

 原処分庁は、各取締役が受けるべき報酬の割当額の決定を一任された代表取締役が作成した「取締役の報酬金額に対する決定書」(本件決定書)に記載された報酬金額は、法人税法施行令(令和3年政令第39号による改正前のもの。)第70条《過大な役員給与の額》第1号ロの「金銭の額の限度額」(形式基準限度額)に当たり、法人税法上の使用人兼務役員に該当しない取締役(本件取締役)に対しこれを超えて支給された金額は、不相当に高額な役員給与である旨主張する。
 しかしながら、当該代表取締役は、本件取締役に対する役員給与について、取締役分と使用人分を勘案した上で、その合計額を支給額として決定したと認められ、本件決定書に記載された金額は本件取締役に対する給与の額の積算根拠にすぎず、本件取締役の給与に係る形式基準限度額とは認められない。

参照条文等

法人税法第34条第2項 法人税法施行令第70条第1号

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