裁決事例 一時所得

裁決事例 一時所得

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平成11年12月6日裁決

交通事故による死亡を基因として支払われた自動車総合保険契約に基づく死亡保険金は、一時所得、みなす相続財産のいずれに該当するかが争われた事例

裁決事例集 第58集 79頁

要旨

 請求人は、長男の交通事故を基因とした自動車総合保険契約に基づく死亡保険金を取得したが、当該保険契約に係る保険料は、請求人の給料から天引きされて支払われているものの、死亡した長男の手帳等の記載内容からみて、長男が全額を負担していたことが認められることから、本件死亡保険金は、一時所得ではなく、みなす相続財産に該当する旨主張する。
 そこで、長男の手帳等の記載内容、長男の資力及び保険契約の経緯等を総合的に判断したところ、支払った保険料のうち一部については長男が負担したと認められ、本件死亡保険金のうち長男が負担していた保険料に対応する部分は、みなし相続財産に該当するから、原処分はその一部を取り消すべきである。
 なお、一時所得の金額の計算上控除する保険料の金額は、請求人が負担していた保険料のうち一時所得の収入金額に対応する部分の金額となる。

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平成15年10月24日裁決

厚生年金基金の解散に伴う残余財産の分配金について、当該分配金には将来支給を受ける加算年金の額が含まれているが、当該加算年金の額は、退職に基因して支払われたものでないとして一時所得であるとした事例

裁決事例集 第66集 134頁

要旨

 年金受給者である請求人は、本件基金の解散に伴う本件分配金には、請求人が本件基金から受給する加算年金のうち、既に受給した加算年金を除き、将来支給をうける加算年金の額(以下「本件加算年金受給残額」という)が含まれ、本件加算年金受給残額は、退職に基因して支払われた一時金に当たり、退職所得である旨及び退職所得として本件分配金の額から控除すべきである旨主張する。
 しかしながら、本件分配金は、本件基金の解散に基因して支払われるものであること及び既に退職した者でなく、引き続き勤務している者であっても支払われるものであることからすれば、退職に基因して支払われたものでないというべきである。また、本件分配金が本件基金の解散に伴う残余財産を分配したものであるのに対し、請求人の主張する本件加算年金受給残額は、請求人の最終基本給を基に算定されており、その計算の算定方法が全く異なる上、関連性のないことが認められる。
 したがって、本件分配金は、本件基金の解散という偶発的事由を発生原因とする一時金であり、請求人の退職に基因して支払われたものでなく、将来の年金給付の総額との関連性を有していないものであることからすれば、所得税法第30条第1項に規定する退職手当等とみなすことはできない。
 また、営利を目的とする継続的行為から生じた所得以外の一時の所得で労務その他の役務又は資産の譲渡の対価としての性質を有しないものであることからその全額が一時所得に当たることとなる。

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平成15年11月20日裁決

取引相場のない株式について、純資産価額(相続税評価額によって計算した金額)を参酌した価額と取引価額の差額に相当する金額を経済的利益として一時所得と認定した事例

裁決事例集 第66集 155頁

要旨

 請求人は、請求人が代表取締役となっているE社の株式をF社から取得した本件取引は、利害関係のない第三者間の自由な経済取引であり、このような取引において成立した価額は客観的交換価値である時価そのものといえるから、請求人には経済的利益は発生しない旨主張する。
 ところで、所得税法第36条第1項に規定する経済的利益には、資産を低い対価で譲り受けた場合におけるその資産のその時における価額、すなわち時価とその対価の額との差額に相当する利益が含まれると解される。また、時価とは、その時点における客観的交換価値を指すものと解すべきであり、この交換価値とは、それぞれの財産の現況に応じ、不特定多数の当事者間において自由な取引が行われる場合に通常成立すると認められる価額であって、いわゆる市場価格をいうものと解される。
 ところが、E社の株式は、取引相場のない株式であり、かつ、適正と認められる売買実例及び類似法人で株式等の価額がある株式とは認められないので、所得税基本通達23~35共-9により純資産価額等を参酌して通常取引されると認められる価額を算定するのが相当であり、その価額の具体的な算定に当たっては、財産評価基本通達178以下の例によるのが相当である。
 そして、財産評価基本通達により算定したE社株式の時価と本件取引価額との差額に相当する金額については、経済的利益として享受したものと認められ、この経済的利益に係る所得は、利子所得、配当所得、不動産所得、事業所得、給与所得、退職所得、山林所得及び譲渡所得のいずれにも該当せず、かつ、営利を目的とする継続的な行為から生じた所得以外の一時の所得であって、労務その他の役務又は資産の譲渡の対価としての性質を有しないものであるから、所得税法第34条第1項に規定する一時所得に該当する。

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平成3年3月6日裁決

土地区画整理組合から「宅地整備補償金」名義で交付を受けた補償金は、一時所得に該当するとした事例

裁決事例集 第41集 69頁

要旨

 請求人は、土地区画整理組合から交付を受けた「宅地整備補償金」について、[1]過大な減歩により生じた保留地の処分を起因としたいわゆる余剰金の返還で、過大減歩部分について現物で返還を受ける代わりに金銭を受領したものであるから課税関係は生じない、[2]仮に課税関係が生じるとしても土地区画整理法第94条“清算金”に規定する清算金と実質異ならないから、租税特別措置法第33条の4“収用交換等の場合の譲渡所得等の特別控除”の特例の適用を認めるべきである旨主張するが、当該補償金は、土地区画整理組合が保留地を売却したことにより生じた余剰金で、土地区画整理法第94条に規定する清算金とは異なる補償金であるので措置法第33条の4の特例の適用はなく、法人から交付を受けたものであるから一時所得の収入金額とするのが相当である。

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昭和52年6月9日裁決

土地等の真正な所有権者が不法転売による取得者から当該土地等の所有権放棄の代償として受けた示談金は譲渡所得の収入金額に当たるとした事例

裁決事例集 第14集 49頁

要旨

 請求人の所有していた土地及び建物(以下「本件物件」という。)の所有権名義は、不法行為により転々と移転し、最終的に請求人と登記名義人との間で、和解が成立した。これによると、請求人は本件物件の真実の所有者であるにもかかわらず、無効又は不正な登記を経て登記名義人となった者に対して真正な登記名義の回復を請求しないまま、示談金の名目で対価の支払を得て所有権を移転し、本件物件を引き渡したことが認められる。
 このことは売買とは何ら異なるところはないものであるから和解に基づく示談金は、所得税法第33条第1項の規定による資産の譲渡に係る収入金額とするのが相当であり、租税特別措置法第31条を適用した原処分は相当である。

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昭和49年1月31日裁決

株主である地位に基づかないで取得した新株引受けに伴う経済的利益は一時所得に当たるとした事例

裁決事例集 第7集 11頁

要旨

 株式会社の増資払込みに際し、当該会社の全株式を所有する親会社が、割当てを受けた新株引受権を失権したため、親会社の社長が株主である地位に基づかないで、当該新株引受権を与えられて払込みを行った場合には、新株引受けによって額面価額を上回る経済的利益を受けているのであるから、この経済的利益は収入金額となり、一時所得として課税することが相当である。

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昭和63年6月13日裁決

請求人が受け取った養老生命共済金は被共済者の法定代理人である請求人が負担した共済掛金に係るものであるから一時所得に該当するとした事例

裁決事例集 第35集 9頁

要旨

 請求人は、本件養老生命共済契約の締結及び共済掛金の支払は、いずれも長男の親権者としての監護行為として行ったものであり、共済掛金の負担者は、長男であるから、本件共済金は長男の相続財産であると主張するが、[1]共済証書の契約者名は、請求人名義であること、[2]契約申込書に、請求人が長男の法定代理人として契約に同意する旨の表示はなく、一方、商法第674条第1項の被共済者の同意について、請求人が法定代理人として記名押印していること、[3]共済掛金を、長男の普通預金口座から支払ったとする事実は認められないこと、[4]その他共済契約及び共済掛金の支払について親権者としての監護行為であるとする事実は認められないことから、共済掛金の負担者は請求人であり、請求人が受領した本件共済金は、請求人の一時所得の収入金額であるとした原処分は相当である。

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平成16年11月26日裁決

適格退職年金契約の解約により生命保険会社から支払われた一時金は、請求人の退職により支給された一時金ではないから、所得税法第34条並びに同法施行令第183条第2項及び第3項第3号の規定により一時所得に当たるとされた事例

裁決事例集 第68集 71頁

要旨

 請求人は、生命保険会社から支払われた金員は、請求人の退職により支払われたもので退職所得に該当し、一時所得には該当しない旨主張する。
 しかしながら、当該金員は、請求人が勤務するF社の適格退職年金契約の解約請求に伴い、生命保険会社から請求人に支払われた一時金で、適格退職年金契約の解約により支払われたものと認めるのが相当であり、請求人の退職により支給された一時金ではないから、生命保険会社から支払われた金員は、所得税法第34条並びに同法施行令第183条第2項及び第3項第3号の規定により一時所得に該当する。

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昭和54年6月29日裁決

適法な賃借人の地位に基づかないで取得した立退料は一時所得に当たるとした事例

裁決事例集 第18集 34頁

要旨

 本件家屋の明渡しに際し受領した金員は、請求人が適法な賃借人としてではない居住者として受領したものであるから、その金員は立退料であり、これは営利を目的とする継続的行為から生じたものでなく一時的性質のもので、しかも労務その他の役務の対価たる性質も有しないものであるから、一時所得に係る収入金額に該当する。

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平成18年12月15日裁決

住宅ローンの連帯債務者が、団体信用生命保険に加入していた他の連帯債務者の死亡により住宅ローン債務が消滅したことにより受けた経済的利益は、一時所得に当たるとした事例

裁決事例集 第72集 218頁

要旨

 請求人は、請求人の父の死亡に伴い、G銀行との間で請求人及び父を連帯債務者とする住宅ローン契約(以下「本件ローン契約」という。)の締結の際にG銀行が加入した、G銀行を保険契約者及び保険金受取人、父を被保険者とする団体信用保険契約(以下「本件団信保険契約」という。)により、本件ローン契約に係る債務は消滅したが、請求人と父との連帯債務の負担割合は、父が10割、請求人が零であるとする暗黙の合意(特約)があったから、請求人が負担すべき債務は一切存在せず、請求人には経済的利益は全くなく、一時所得は発生しない旨主張する。
 また、原処分庁は、①本件ローン契約により、請求人には負担すべき債務がある、②団体信用保険制度は、死亡事故を基因として、死亡時における賦払償還債務相当額の保険金が保険会社から債権者である金融機関に対して直接支払われるものであり、債務者が一旦保険金を受領し債務の返済に充てるものではないから、当該債務の消滅は債務の返済ではなく金融機関から債務免除を受けたものと解され、当該債務が連帯債務である場合には、被保険者を除く各連帯債務者が実質的に債務を負っている部分について債務免除を受けたことによる経済的利益(債務免除益)が生じたものとみるのが相当であるから、請求人がG銀行から受けた債務免除益相当額は、法人からの贈与により取得したものであり一時所得に該当する旨主張する。
 しかしながら、①請求人と父との間の負担付贈与契約は、債権者であるG銀行は当該負担付贈与契約を了知していないことから免責的債務引受とみることはできず、請求人と父との間でのローン債務の負担割合を変更したにとどまると認められ、また、②G銀行は本件団信保険契約に係る保険料を全額負担していること、G銀行は受け取った保険金は必ず被保険者の債務に充当するとしていること、被保険者は保険料を負担せず死亡による保険金を受け取る権利を有していないことなどからすれば、本件団信保険契約はG銀行の確実な債権回収を目的とした保険であると認めるのが相当である。
 したがって、被保険者の死亡時点における本件ローン契約の残債務全額に相当する経済的利益は、連帯債務であるという当該債務の性質により、各連帯債務者間における負担割合に応じて生じるものであって、債務免除によるものではなく、また、請求人は父の死亡時点において10割の負担割合を有する連帯債務者であると認められるから、請求人は本件ローン契約の残債務の全額に相当する経済的利益を享受したといえ、当該経済的利益は、営利を目的とする継続的行為から生じたものではなく、役務等の対価性もないから、一時所得に該当する。

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平成12年12月18日裁決

移転補償金のうち、移転先土地に要した造成費は一時所得の総収入金額に算入されないとの請求人の主張が排斥された事例

裁決事例集 第60集 256頁

要旨

 請求人は、公共事業の施行に伴いM市から建物等の移転補償金として交付された金額のうち、移転先土地に要した造成費は、移転先土地が田であり、宅地造成しなければ移転できない事情を考慮し、所得税法第44条に規定する資産の移転等の費用とみるべきであり、一時所得に係る総収入金額に算入されない旨主張するが、本件造成費は、工事内容及び工事費の額並びに移転先土地の状況に照らすと、田を宅地化するという土地の価値を高める工事に当たり、結果的にも移転先土地の価値の増加をきたしたものと認められるから、本件造成費は資本的支出に当たるとみるのが相当であり、移転補償金をその交付の目的に従って資産の移転等の費用に充てた以外の金額となり、一時所得の総収入金額に算入される。

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昭和57年3月26日裁決

裁判上の和解により買主である請求人が支払を受けた和解金を一時所得に該当するものであるとした事例

裁決事例集 第23集 28頁

要旨

 不動産の売買契約に関する約定を当事者双方が履行しなかったことを原因としてなされた裁判上の和解により買主である請求人が支払を受けた和解金は、売買契約の合意解除に伴うものと同視できるから、本件不動産の売戻しがあったとして譲渡所得とすることは相当でなく、また、係争期間中の賃料及び金利相当分の損失を補てんするものであり、その実質は所得を得たのと同一の結果に帰着するから非課税とすることも相当でなく、その所得区分については、本件和解金が予期しない事情の発生により生じた一時的なもので、かつ、労務その他の役務又は資産の譲渡の対価としての性質を有しない臨時的、偶発的なものに当たることからして一時所得に該当する。

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平成24年3月21日裁決

賃借した建物の明渡しに際して建物所有者から補償金として受領した金員は、その性質及び使途等について特定されていない金員であると認められることから、一時所得の収入金額に該当するとした事例

裁決事例集 第86集

ポイント

 この事例は、建物の一部を賃借し転貸を行っていた請求人が、当該賃借部分の明渡しに際して建物所有者から受領した金員について、その使途、賃貸借契約の解約合意に至る交渉の経緯等の事実により、所得区分を判断したものである。

要旨

 原処分庁は、建物の一部を賃借し転貸を行っていた請求人が、当該賃借部分の明渡しに際して建物所有者から受領した金員(本件受領金員)は、転借人に明渡し補償金として支払った金員(本件支払金員)を補償するための金員及びその他これに類するものであることから不動産所得の収入金額となる旨主張する。
 また、請求人は、本件受領金員は、請求人が退去するための単なる明渡し料等であることから一時所得になる旨主張する。
 しかしながら、本件受領金員のうち本件支払金員に相当する金員は、請求人の不動産所得の必要経費を補填する金員であるから、不動産所得の収入金額となる。他方、本件受領金員と本件支払金員に相当する金員との差額の金員(本件差額金員)は、請求人の不動産所得に係る業務の収益若しくは本件支払金員以外の必要経費の補償等ではなく、その性質及び使途等について特定されていない金員であると認められることから、営利を目的とする継続的行為から生じた所得以外の一時の所得であり、労務その他の役務又は資産の譲渡の対価としての性質を有しないものに該当し、一時所得の収入金額に該当する 。

参照条文等

所得税法第26条第34条第1項

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平成18年12月13日裁決

適格退職年金制度から確定拠出年金制度への移行に際し、請求人に支払われた適格退職年金契約の解約に伴う分配金は、一時所得に該当するとした事例

裁決事例集 第72集 203頁

要旨

 請求人は、適格退職年金制度から確定拠出年金制度への移行に際し支払われた本件一時金は、①所得税基本通達30-2《引き続き勤務する者に支払われる給与で退職手当等とするもの》の(1)の定めは、内部積立方式による退職一時金制度を改廃した場合とは示していないから、適格退職年金制度を改廃したことによって引き続き勤務する従業員に対して支払われた本件一時金についても同通達を適用すべきであること、②転籍とは、請求人が籍を有していたA社と合併し存続会社となったB社との雇用関係を解消しC社との新たな雇用契約を結ぶということであり、A社の適格退職年金はC社へ継続されず、本件一時金はB社からの退職に基因して支払われたものであるから、所得税法第31条《退職手当等とみなす一時金》第3号の規定に該当すること、③過去の勤務期間が継続されない退職金前払い制度の選択により、勤務期間の通算の優遇措置がなくなることから、本件一時金は退職所得に当たる旨主張する。
 しかしながら、①本件一時金は、外部拠出型の退職金制度から支払われたものであるため給与としての性質を有しておらず、所得税法第30条《退職所得》第1項に規定する「これらの性質を有する給与」に当たらないので、所得税基本通達30-2の(1)の適用はなく、退職所得とは取り扱われないと解されること、②C社は、同社への転籍前にB社の適格退職年金制度の加入者であった者については、B社の勤続年数を通算する旨を退職慰労金規定において定め、転籍者に係る同制度の年金資産を退職年金規約に基づきD信託銀行(運用機関)に移換しており、請求人には、転籍によるB社との雇用関係の解消は認められるが、B社の適格退職年金制度に基づいて支給を受ける一時金の受給権は発生せず、転籍後は、C社の適格退職年金制度が適用されることとなったことから、本件一時金は、転籍によるB社との雇用関係の解消に基因して支払われたものではないから、退職所得には当たらないこと、③本件一時金は、適格退職年金契約の解約に基づく分配金が退職金前払い制度を選択したことにより支払われたものであるから、退職所得には当たらないことから、請求人のいずれの主張にも理由がない。
 以上のとおり、本件一時金は、請求人の退職により支給された分配金ではないから、所得税法第30条第1項及び同法第31条第3号の規定には当たらず、C社の適格退職年金契約の解約に伴い、D信託銀行から支払を受けたものであるから、所得税法第34条《一時所得》並びに同法施行令第183条《生命保険契約等に基づく年金に係る雑所得の金額の計算上控除する保険料等》第2項及び第3項第3号の規定により一時所得に該当する。

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平成元年3月31日裁決

長男の死亡に伴い父親が受け取った保険金は、被保険者である長男が負担した保険料に係るものであるから、みなし相続財産に該当するとした事例

裁決事例集 第37集 65頁

要旨

 税法上、保険金受取人の取得した保険金が、一時所得として所得税の課税対象となるのか、相続財産とみなされて相続税の課税対象となるのかは、その保険金に対応する保険料の負担者が何人であるかによって判定されるべきものであり、その保険料負担者とは単に保険契約者をいうのではなく、実質上の負担者をいうものと解されるところ、長男の死亡に伴い父親(請求人)が受け取った本件生命保険金は、長男を被保険者とし、父親を保険契約者及び保険金受取人とする生命保険契約に基づくものではあるが、その保険料は、親せきなどから被保険者である長男に贈られた就職祝金をもって長男が全額負担したものと認めるのが相当であり、相続税法第3条第1項に規定する相続財産とみなされる場合に当該するというべきであるから、一時所得に当たるとした原処分はその全部を取り消すべきである。

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平成8年3月28日裁決

保険契約に係る保険料の負担者は死亡者であり、死亡保険金は相続税の課税対象とされるべきである旨の請求人主張の事実は認められず、一時所得に該当するとした事例

裁決事例集 第51集 149頁

要旨

 請求人は、本件保険契約に係る契約者及び保険料の負担者は、いずれも死亡者である長男であるので、本件死亡保険金は相続財産として相続税の課税対象とされるべきであると主張する。
 しかしながら、[1]第1回の保険料は長男が支払った事実はあるものの、請求人の妻がその支払いの直後に長男に小遣いを渡していることから、同人が当該保険料を実質的に負担したとは必ずしもいえないこと、[2]長男の預金口座から本件保険料が支払われている事実は認められないこと等から、本件保険料の負担者が長男であるとは認められない。
 したがって、本件の死亡保険金は、相続財産には該当せず、一時所得に該当するものと認めるのが相当である。

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昭和58年4月22日裁決

隣接地のマンション建設工事に伴い収受した補償料名義の金員は一時所得に当たるとした事例

裁決事例集 第26集 51頁

要旨

 請求人の所有に係る本件土地は、都市計画法の規定による近隣商業地域内にあり建築基準法等の規定による中高層建築物の高さについての制限も受けていないことから、本件建物の建築により具体的な土地の利用価値が低下したとする因果関係の存在は、明確でなく、仮に若干の土地の利用価値の低下があったとしても社会通念上、この程度のものは受忍すべき範囲内であると考えられ、また、建築業者と請求人との間に当該金員の授受の合意が行われるに際して日照阻害に基因する具体的な損害の予測やその額の見積りを行っていない事実から、隣接地のマンション建築工事に伴い授受した補償料の金員は本件建物の建設に反対を受けた建築業者が請求人の同意を受けるために支払った一種の紛争解決金とみるのが相当であり所得税法第34条に規定する一時所得に該当する。

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平成30年3月22日裁決

馬券の的中によって得た払戻金に係る所得について、請求人の一連の馬券購入行為をもって一体の経済活動の実態を有するものとはいえないから、営利を目的とする継続的行為から生じた所得とは認められず、一時所得に該当するとした事例( 平成24年分の所得税の更正の請求に対してされた更正をすべき理由がない旨の通知処分、 平成25年分及び平成26年分の所得税及び復興特別所得税の各更正の請求に対してされた更正をすべき理由がない旨の各通知処分・棄却)

裁決事例集 第110集

要旨

 請求人は、競馬の勝馬投票券(馬券)の的中によって得た払戻金に係る所得(本件競馬所得)は、営利を目的とする継続的行為から生じた所得として雑所得に該当する旨主張する。
 しかしながら、請求人は、馬券を自動的に購入するソフトを使用してインターネットを介して多数回かつ頻繁に馬券を購入していたと認められるものの、請求人による一連の馬券の購入行為は、その損益の状況をみると、確定申告をした各年で大きく変動しているのみならず、そのうちの1年は損失が発生しており、また、請求人は、的中確率が低い反面、一口で高額の払戻金が得られる可能性のある五重勝単勝式勝馬投票法に係る馬券を多数回購入し、その的中による利益が当該損益の額に一定割合を占めるなどしていることからすると、その期間、頻度、購入規模の大きさなどの点を考慮してもなお、客観的にみて多額の利益が恒常的に上がると期待し得る行為であったとは認められない。加えて、個々の購入馬券の種類やその金額の全てが明らかにされていない以上、請求人が主張する独自の条件設定と計算式に基づき個々の馬券の的中に着目しない網羅的な購入をしていたものと認めることはできない。したがって、請求人による一連の馬券の購入行為をもって一体の経済活動の実態を有するとまではいえないから、本件競馬所得は、営利を目的とする継続的行為から生じた所得であるとは認められず、また、労務その他の役務又は資産の譲渡の対価としての性質を有しないから、一時所得に該当する。

参考判決・裁決

最高裁平成27年3月10日第三小法廷判決(刑集69巻2号434頁)

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平成10年9月2日裁決

生命保険契約に係る保険料の負担者は被相続人であり、死亡保険金は相続税の課税対象とすべき旨の請求人の主張は認められず、請求人が保険料の負担者であるとして一時所得に該当するとした事例

裁決事例集 第56集 144頁

要旨

 請求人は、本件保険契約に係る保険料の負担者は死亡した妻であり、また、保険契約者が請求人となっていたことは知らなかったので、本件死亡保険金は相続財産として相続税の課税対象とすべきである旨主張する。
 しかしながら、[1]死亡した妻は無収入であること、[2]請求人は妻に対する労務の対価を支払ったことの事実を証する帳簿書類を提出しないこと、[3]妻名義預金には、労務の対価としての定期・定額の入金はなく、請求人の営む事業に係る収入金が入金されており、かつ、当該預金からの出金には、本件保険料のほか、請求人に係る国民年金の掛金や家電製品の支払があること等を勘案すると、当該預金は請求人の家事費等の支払の一部に充てるために、請求人の営む事業に係る収入金の一部を入金していたものと推認され、妻に対する労務の対価を入金していたものとは認められないから、当該預金は、名義は妻であったとしても請求人に帰属する預金であると認められる。また、請求人は本件保険契約に係る保険会社から自ら保険契約者であることを証明の上、借入れを行っていることから本件保険契約の保険契約者が請求人であることを認識していたことが認められる。
 したがって、請求人の主張にはいずれも理由がなく、妻名義預金から支払われていた本件保険料の実質負担者は請求人と解するのが相当であり、原処分庁が本件保険金を請求人の一時所得として所得税の課税対象としたことは相当と認められる。

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平成11年11月9日裁決

個人年金保険契約の解約に伴い支払われた解約返戻金等を他の年金保険契約の保険料に充てた場合、その解約返戻金等が一時所得の総収入金額に算入されるか否かが争われた事例

裁決事例集 第58集 71頁

要旨

 請求人は、本件解約返戻金は生命保険会社の年金契約を解約し郵便局の年金契約へ契約替えした結果生じたにすぎない等の理由から課税されない旨主張するが、所得税法施行令第183条第2項の規定により本件解約返戻金等が一時所得に該当することは明らかであり、また、現に生命保険会社から本件解約返戻金等の支払いを受けているのであるから、それを郵便局の年金保険の原資として払い込んだとしても所得が実現したことには変わりがないこと等から、請求人の主張には理由がない。

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平成12年11月8日裁決

生命保険契約を解約したのではなく満期保険金を据置したにすぎないから一時所得の発生はないとの請求人の主張を排斥した事例

裁決事例集 第60集 237頁

要旨

 本件契約は養老保険契約であり、本件保険金は被保険者である請求人が保険期間満了日まで生存していたことによって支払を受けるべき満期保険金等であることが認められる。
 また、据置契約は、本件保険金を原資として、請求人の意思によって新たに締結されたものであり、本件契約とは別個の預金契約であると認められる。
 そうすると、本件保険金は、本件契約の保険期間満了後、請求人側に現実に金員が支払われることなく、新たに締結した別個の契約に引き継がれたものにすぎないと認められ、いずれも平成10年中にその支払を受けるべき権利が確定していることが認められるから、平成10年分の一時所得となり、この点に関する請求人の主張は採用できない。

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平成12年10月30日裁決

生命共済契約により受領した死亡共済金について、非課税所得となるのか、一時所得として課税対象となるのかが争われた事例

裁決事例集 第60集 247頁

要旨

 請求人は、同人を契約者、その妻を被共済者とする生命共済契約により受領した死亡保険金について、本件共済掛金の負担者は妻であるから、みなし相続財産に該当し非課税所得となる旨主張する。
 しかしながら、本件共済契約の契約者及び本件死亡保険金の受取人は請求人であり、本件共済掛金は請求人名義の預金口座から口座振替の方法により支払われていることは、請求人及び原処分庁の双方に争いがなく、特に反証のない限り、本件共済契約の契約者である請求人が、本件共済掛金の実質的な負担者であると事実上推定され、当審判所の調査によっても、この推定を覆すに足りる証拠資料は見当たらなかったから、本件死亡保険金は、みなし相続財産には該当せず、非課税所得にも該当しないこととなり、一時所得に該当することとなる。

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