裁決事例 非課税所得

裁決事例 非課税所得

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昭和60年4月19日裁決

受取生命保険金は、被相続人が負担した保険料に係るものであり、みなし相続財産に該当するとして、一時所得の課税処分を取り消した事例

裁決事例集 第29集 12頁

要旨

 原処分庁は、本件生命保険契約の契約者は請求人であり、保険料の負担者も請求人であるから、本件受取生命保険金は請求人の一時所得に係る総収入金額に該当すると主張するが、被相続人(請求人の夫)は過去に保険解約歴があり、同人を保険契約者とすることができなかった事情があったこと、本件生命保険契約は被相続人が自ら締結していること、また、請求人が保険料を支払っていたことを裏付ける資料はなく、むしろ被相続人が、同人の営んでいた事業の収入の中から保険料を支払っていたとみるのが相当であることから、本件受取生命保険金は、相続税法第3条第1項第1号に規定する保険金に該当するというべきであるので、これを請求人の一時所得に係る総収入金額に該当するとしてした課税処分は取り消すのが相当である。

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昭和47年7月21日裁決

執行官が執行官法の規定により受ける旅費、宿泊料は非課税所得ではなく事業所得の収入金額に当たるとした事例

裁決事例集 第5集 11頁

要旨

 執行官がその職務の執行につき、執行官法第7条及び第10条の規定により旅費、宿泊料として受ける金額は、一般の国家公務員がその職務につき支給される旅費、宿泊料とは全く性格を異にし、事業遂行上の対価として事業所得の「収入金額とすべき金額」に該当すると同時に、旅費、宿泊料として現に支払うべき金額については「所得を生ずべき業務について生じた費用」として必要経費に該当する。

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昭和54年6月26日裁決

抵当権付きの土地譲渡代金を債務弁済に充てた場合の当該土地の譲渡による所得は非課税所得に当たると認定した事例

裁決事例集 第18集 7頁

要旨

 抵当権付きの土地を譲渡して、その代価をもって債権者に弁済した場合に、[1]請求人一家の収入は家族の生計を維持するのが限度であって、負債の返済はもちろん、その利息を支払うに足りる資金調達の目途が全くなく、近い将来においてもその資力を回復することができない状態にあったこと、[2]抵当権者の一部から本件土地を競売して債務及び利息の返済をするよう強く迫られていたこと等が認められるから、本件土地の譲渡による所得は、資力を喪失して債務を弁済することが著しく困難であり、かつ、強制換価手続の執行が避けられない場合の資産の譲渡による所得に該当し、非課税所得となる。

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平成23年12月2日裁決

相続により取得した土地に係る譲渡所得につき、その土地の値上がり益のうち相続時までの増加額という経済的価値が相続税の課税対象額とされていたとしても、その増加額を含めて所得税の課税対象額とすることは許されるとした事例

裁決事例集 第85集

ポイント

 この事例は、相続時までの土地の値上がり益という同一の経済価値に対する相続税と所得税の課税(譲渡所得課税)が容認されるか否かにつき判断したものである。

要旨

 請求人は、相続により取得した土地の値上がり益のうち相続時までの増加額という経済的価値については、相続税の課税対象額とその後の譲渡所得の課税対象額に二度含まれることになり、同一の経済的価値に対する相続税と所得税の二重課税が生じることとなるから、所得税法第9条《非課税所得》第1項第15号により非課税とされるところ、非課税所得に該当した場合は、税法の適用上その所得がないものと同等に扱われるべきであるから、これを譲渡所得の収入金額に含めるべきではない旨主張する。
 しかしながら、所得税法第60条《贈与等により取得した資産の取得費等》第1項は、居住者が同項第1号所定の相続(限定承認に係るものを除く。)により取得した資産を譲渡した場合における譲渡所得の金額の計算について、その者が引き続き当該資産を所有していたものとみなす旨規定し、いわゆる取得価額引継方式を採用しているところ、同条により、相続後に相続人が当該資産を譲渡した場合には、当該資産の譲渡による収入金額から被相続人の取得費を控除したいわゆる値上がり益について所得税が課されることになり、この値上がり益には、被相続人が当該資産を取得してから相続開始に至るまでの値上がり益部分も含まれていることからすれば、同条第1項は、当該値上がり益部分についてもまた、所得税を課すことを容認しているものと認めるのが相当である。

参照条文等

所得税法(平成22年法律第6号による改正前のもの)第9条第1項第15号、第60条第1項

参考判決・裁決

最高裁平成22年7月6日第三小法廷判決(民集64巻5号1277頁) 最高裁平成17年2月1日第三小法廷判決(訟月52巻3号1034頁) 最高裁平成4年11月16日第一小法廷判決(判時1441号66頁)

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平成22年4月22日裁決

請求人に支払われた弁護士費用賠償金に係る遅延損害金は、元勤務先の不法行為によって、請求人が支出を余儀なくされる弁護士費用という財産的損害を補てんするための賠償金であるから、非課税所得であるとした事例

裁決事例集 第79集

要旨

 原処分庁は、弁護士費用賠償金に係る遅延損害金は、請求人が弁護士費用を支払わなければ得られたであろう利益(利息に相当する額)を補てんしているといえるから、所得(雑所得)を構成する旨主張する。
 しかしながら、弁護士費用賠償金及び弁護士費用賠償金に係る遅延損害金は、判決において、請求人の元勤務先会社の不法行為と相当因果関係のある損害と認められて同社の負担とされ、同社に対し請求人への支払を命じられ、請求人は、その支払を受けたことにより、担税力を増加させる経済的利益を得たといえ、請求人の所得を構成するが、請求人は、同社の不法行為により、弁護士に訴訟の提起とその追行を委任することを余儀なくされたことによって、当該訴訟に係る弁護士費用の支払をしたことが認められる。
 そうすると、弁護士費用賠償金及び弁護士費用賠償金に係る遅延損害金は、同社の不法行為によって、請求人が支出を余儀なくされる弁護士費用という財産的損害を補てんするための賠償金であるから、所得税法施行令第30条第2号に規定する非課税所得であると認められる。

参照条文等

所得税法(平成22年法律第6号による改正前のもの)第9条第1項第16号 所得税法施行令(平成22年政令第50号による改正前のもの)第30条第1号及び第2号

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平成23年6月23日裁決

外国為替証拠金取引の取扱業者らの不法行為により請求人の資産である金銭等に加えられた損害に基因して支払を受けた損害賠償金は非課税所得に当たるとした事例

裁決事例集 第83集

ポイント

 所得税法は、不法行為その他突発的な事故により資産に加えられた損害につき支払を受ける損害賠償金であっても、課税されるべき所得に係る収入金額に代わる性質を有する休業補償や収益補償等を非課税所得から除くこととし、それ以外の本来課税することが適当でない実損害を補てんするための損害賠償金を非課税所得としている。
 この事例は、外国為替証拠金取引の取扱業者らから支払われた金員が、当該取扱業者らの不法行為により、請求人に相当額の実損害を被らせたことにより支払われた損害賠償金であるか否かが争われたものである。

要旨

 原処分庁は、本件金員(請求人が、外国為替証拠金取引の取扱業者らに対し、不法行為による損害賠償金の支払を求める訴訟を提起し、同訴訟の裁判上の和解により得た金員)は、本件FX取引(請求人が行った店頭外国為替証拠金取引(店頭FX取引)及び取引所FX取引)による売買損益を補てんする機能を有するものであるから、雑所得に係る総収入金額に算入すべきものである旨主張する。
 しかしながら、所得税法第9条第1項第16号《非課税所得》及び所得税法施行令第94条《事業所得の収入金額とされる保険金等》第1項第2号は、不法行為その他突発的な事故により資産に加えられた損害につき支払を受ける損害賠償金について、課税されるべき所得に係る収入金額に代わる性質を有する休業補償や収益補償等以外の本来課税することが適当でない「実損害を補てんするための損害賠償金」を非課税所得としているところ、本件FX取引においては、説明義務違反及び誠実義務違反というH社らの不法行為により請求人の資産に損害が加えられたものと認めるのが相当であることからすると、本件金員は、H社らの不法行為により請求人の資産に加えられた実損害(本件FX取引において証拠金として預託した金銭の一部を失った損害)を補てんするために支払を受けた損害賠償金、つまり「実損害を補てんするための損害賠償金」に該当するものと認められる。したがって、本件金員は非課税所得に該当するから、これを雑所得に係る総収入金額に算入すべきとする原処分庁の主張は、採用できない。

参照条文等

所得税法(平成22年法律第6号による改正前のもの)第9条第1項第16号 所得税法施行令(平成22年政令第50号による改正前のもの)第30条第2号、第94条第1項第2号

参考判決・裁決

名古屋高裁平成22年6月24日判決(先物取引裁判例集60号40頁) 福岡高裁平成22年10月12日判決(先物取引裁判例集61号59頁)

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昭和49年3月12日裁決

役員及び使用人に支給した休暇帰国のための旅費は請求人の業務上必要な旅費に当たるとした事例

裁決事例集 第8集 1頁

要旨

 請求人がその役員及び使用人に対して与えた休暇帰国のための旅行は、一定期間(約3年)を超える勤務の後に従来からの慣例に従い、請求人の業務を兼ねて行われたものであり、本人の業績によって休暇帰国の認否及び旅費の支給額が左右されるような報償的性格を持つものではなく、また、その支給内容は、直行往復の航空券の現物交付であること等の事実が認められるもので、休暇帰国のための旅費については、役員等の分はもとより、その家族分をも含め、請求人の業務上の支出として認めるのが相当である。

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平成24年11月14日裁決

相続によって取得した株式の発行会社から交付を受けた残余財産分配金のうち、剰余金の配当とみなされる金銭は、非課税所得には該当しないとした事例

裁決事例集 第89集

ポイント

 本事例は、破産手続中であった株式会社の株式を相続により取得し、当該株式に係る分配見込額を時価として相続税の課税対象とされたものについて、その後、当該株式の発行会社から交付を受けた残余財産分配金のうち剰余金の配当とみなされる金銭は、所得税法第9条《非課税所得》第1項第16号の非課税所得には該当しないとしたものである。

要旨

 請求人らは、各みなし配当金(請求人らが相続によって取得した株式の発行会社から交付を受けた残余財産分配金のうち、剰余金の配当とみなされる金銭)は、所得税法第9条《非課税所得》第1項第16号の非課税所得に該当する旨主張する。
 しかしながら、①上記規定にいう「相続、遺贈又は個人からの贈与により取得するもの」とは、相続を直接の原因として相続人の下で実現した所得に限られ、相続後に相続とは別の原因で相続人の下で実現した所得は該当しないと解するのが相当であるところ、本件において、各みなし配当金を取得したことによって請求人らに帰属した所得は、相続後3年以上の期間が経過してから、相続とは別の事由、すなわち、上記会社の清算手続において、債務を完済し、残余財産が最終的に確定したことによって、初めて請求人らの下で実現したものであり、また、相続の開始時には各みなし配当金の支払原因となる具体的な残余財産分配請求権は確定的に発生していなかったから、相続を直接の原因として実現があったものとできないことや、②上記各みなし配当金が「相続、遺贈又は個人からの贈与により取得するもの」に該当するためには、各みなし配当金の額に相当する経済的価値が、相続開始時における上記株式の価値に相当する経済的価値と同一のものと評価できることが必要となるところ、上記会社については、相続の開始後に収支及び資産の状況に種々の変動があり、当該変動後の最終的な清算価値を具現化した残余財産分配金の額に相当する経済的価値は、当該変動前の清算価値に基づいて評価された上記株式の価額に相当する経済的価値と同一と評価できないことからすれば、上記各みなし配当金が「相続、遺贈又は個人からの贈与により取得するもの」に該当すると認めることはできない。

参考判決・裁決

最高裁平成22年7月6日第三小法廷判決(民集64巻5号1277頁)

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平成21年2月17日裁決

被相続人が生前に行った譲渡が所得税法施行令第26条に規定する「資力を喪失して債務を弁済することが著しく困難である場合」の譲渡には該当しないとした事例

裁決事例集 第77集 31頁

要旨

 所得税法第9条第1項第10号の趣旨が、譲渡所得が発生した際に納税資力がない者に対して租税を免除するものであることからすると、所得税法施行令第26条に規定する債務を弁済することが著しく困難である場合に該当するかどうかは、譲渡所得が発生した際に、債務者の債務超過の状態が著しく、その者の信用、才能等を活用しても、現にその債務の全部を返済するための資金を調達することができないのみならず、近い将来においても調達することができない場合をいうと解される。そして、上記のとおり、同条第1項第10号の趣旨が納付困難な納税者に対して租税を免除するものであることからすれば、資力を喪失して債務の弁済が著しく困難である場合に該当するか否かの判断は厳格に行われるべきであり、弁済可能な金額を客観的、かつ、具体的な金額をもって算定し、その上で、さらにどれだけの返済資金を調達することができるかについて認定していくことが所得税法第9条第1項第10号の趣旨にかなうものである。
 これを本件についてみると、被相続人の資産の価額の評価に当たり、譲渡物件については、譲渡時において、譲渡の対価、すなわち譲渡価額として弁済可能な金額が客観的、かつ、具体的な金額として把握できるのであり、譲渡物件は譲渡以前においても譲渡価額と同額の価額を有していたと認めるのが相当であることから、譲渡価額に相当する価額で評価すべきである。そうすると、請求人らの主張する負債の額の合計額は464,853,670円であるところ、本件譲渡物件の譲渡価額は、520,000,000円であるから、負債に係る請求人らの主張を全て認めたとしても、資産の額が、負債の額を上回ることは明らかである。したがって、被相続人は、所得税法施行令第26条に規定する資力を喪失して債務を弁済することが著しく困難である場合には当らない。

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平成11年9月27日裁決

年俸契約による給与等を得ている請求人の単身赴任費相当額又は通勤費相当額が非課税所得に当たるとの請求人の主張が排斥された事例

裁決事例集 第58集 23頁

要旨

 請求人と請求人が雇用されている会社との給与に関する契約は年俸契約であり、単身赴任手当や通勤手当等は一切支給されていないところ、請求人は、単身赴任費相当額又は通勤費相当額は所得税法第9条第1項第5号の課税されない通勤手当に類するものであるから、給与所得の金額は、これらの金額を給与等の金額から控除した後の金額を基礎として算出すべきである旨主張する。
 しかしながら、所得税法第9条第1項第5号は、給与所得を有する者で通勤するものがその通勤に必要な交通機関の利用又は交通用具の使用のために支出する費用に充てるものとして通常の給与に加算して受ける通勤手当(これに類するものを含む。)のうち、一般の通勤者につき通常必要であると認められる一定の部分を非課税所得とする旨規定しており、この規定の「これに類するもの」とは、現金支給に代えて支給される通勤用定期乗車券の現物等がこれに当たるものと解されているところ、請求人にあっては、給与等のほかに通常の給与に加算して受けるものは一切なく、本件非課税規定による通勤手当は存在しないのであるから、請求人の主張には理由がない。
 なお、給与所得の金額の計算上収入金額から控除すべき金額は、所得税法第28条の規定による給与所得控除額及び所得税法第57条の2の規定による特定支出の額の合計額が給与所得控除額を超えたときの超えた部分の金額とされているところ、本件単身赴任費相当額は、特定支出の控除の対象となる特定支出とは認められず、本件において給与所得の収入金額から控除できる金額は、給与所得控除額のみである。

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平成24年12月3日裁決

贈与を受けた債券に係る償還額のうち、当該債券(元本)に対する利息部分の額は、運用益に相当するものであり、非課税所得には該当しないとした事例

裁決事例集 第89集

ポイント

 本事例は、贈与を受けた債券(元利均等償還が行われる社債)の利子に係る所得は、年金受給権に関する相続税と所得税の二重課税についての最高裁平成22年7月6日第三小法廷判決の射程等が及ばないと判断したものである。

要旨

 請求人は、父から贈与を受けた本件債券(元利均等償還が行われる社債)に係る第1回目の償還額(本件償還額)のうち、当該債券に係る償還予定表において利息相当額とされる部分(本件金員)について、本件債券に係る贈与税及び所得税の課税関係は、年金受給権に関する相続税と所得税の二重課税についての最高裁判所判決(平成22年7月6日第三小法廷判決・民集64巻5号1277頁。(本件最高裁判決))の射程に含まれるものであり、同判決の内容に沿った課税処理がなされるべきであるから、本件金員は、その一部が所得税法(平成22年法律第6号による改正前のもの)第9条《非課税所得》第1項第15号に規定する非課税所得に該当する旨主張する。
 しかしながら、本件債券は、本件最高裁判決における年金受給権とは、ある期間定期的に金銭の給付を受けるという形態は類似するものの、①当該年金受給権は相続税法(平成22年法律第6号による改正前のもの)第24条《定期金に関する権利の評価》に規定する「定期金給付契約に関する権利」に該当するものであるのに対し、本件債券は「社債」に該当するものであり「定期金給付契約に関する権利」に該当しないものであること、②当該年金受給権は元本部分と運用益部分とが区分されていないものであるのに対し、本件債券の各償還額は元本部分と利息(運用益)部分とが約定において明確に区分されているものであることからすれば、その権利の性質・内容が明らかに異なるものというべきである。そうすると、本件債券及び本件償還額について、本件最高裁判決の解釈をそのまま当てはめて、本件最高裁判決の示した課税関係と同様の課税処理をするのは相当ではない。そして、本件債券は、第1回目の償還日から最終回の償還日まで各元本の償還額及び各利息額等があらかじめ元利均等償還となるように組成され、発行時に償還予定表によってそれらの各金額を明示した金融商品であるから、本件金員は、本件債券(元本)に対する利息であり、運用益に相当するものであるから、非課税所得に該当しない。

参照条文等

所得税法(平成22年法律第6号による改正前のもの)第9条第1項第15号 相続税法(平成22年法律第6号による改正前のもの)第24条 財産評価基本通達197-4

参考判決・裁決

最高裁平成22年7月6日第三小法廷判決(民集64巻5号1277頁)

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平成20年6月19日裁決

人材派遣会社から支払われた給与のうちの通勤費相当額は非課税所得に該当しないとした事例

裁決事例集 第75集 176頁

要旨

 人材派遣業を営むA社の派遣社員である請求人は、同社から支払われた給与のうち、請求人が負担した自宅から派遣先までの通勤費相当額は、非課税とすべき旨主張する。
  しかしながら、A社は、請求人に対して通勤手当を給与に加算して別途支給しておらず、請求人に所得税法第9条第1項第5号にいう「通常の給与に加算して受ける通勤手当」に該当するものがあるとは認められない。この他、請求人が負担した通勤費相当額を非課税所得とする規定はないから、これを非課税所得として、各年分の給与所得の金額の計算上、給与等の収入金額から除外することはできないとした本件各更正処分はいずれも適法である。

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平成27年7月28日裁決

請求人が行った株式の譲渡による所得は、資力を喪失して債務を弁済することが著しく困難である場合における資産の譲渡による所得には当たらないとした事例(平成22年分の所得税の決定処分及び無申告加算税の賦課決定処分・棄却)

裁決事例集 第100集

要旨

 請求人は、資産を譲渡した時(本件譲渡時)において、資産を譲渡することとなった原因と密接に関連した請求人を被告とする損害賠償請求訴訟(本件訴訟)が係属中であり、敗訴の可能性が高かったことからすれば、本件譲渡時の現況において、当該資産の譲渡による所得は、所得税法第9条《非課税所得》第1項第10号に規定する資力を喪失して債務を弁済することが著しく困難である場合の資産の譲渡による所得に該当する旨主張する。
 しかしながら、本件訴訟は、本件譲渡時において係属中であり、請求人の本件訴訟に係る債務については、その存否も額も明らかではなく、債務として確定していないから、かかる未確定の債務をもって債務超過の状態が著しいと認めることはできないし、また、課税しても結果的に徴収不能となることが明らかな場合に譲渡所得等を非課税とする上記規定の趣旨に照らしても、これを考慮することはできないというべきであるから、請求人の主張には理由がない。

参照条文等

所得税法第9条第1項第10号 所得税法施行令第26条 所得税基本通達9-12の2

参考判決・裁決

東京高裁平成23年2月23日判決(訟月58巻1号193頁、ジュリ1455号132頁)

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令和5年2月16日裁決

破産財団に属する株式に係る剰余金の配当は、強制換価手続による資産の譲渡による所得として非課税とはならないとした事例(令和2年分の所得税及び復興特別所得税の決定処分並びに無申告加算税の賦課決定処分・棄却)

裁決事例集 第130集

ポイント

 本事例は、破産財団に属する株式の配当請求権を行使したことにより支払を受ける剰余金の配当は、その権利の行使により資産の帰属主体である地位や所有権が破産者から移転するとは認められないため、強制換価手続による資産の譲渡による所得として非課税とはならないとしたものである。

要旨

 請求人は、破産手続において破産管財人が破産財団に属する財産の換価や処分をするための手段は、狭義の売買だけではなく、管理処分権に基づく破産法第78条列挙の処分などがあり、所得税法第9条《非課税所得》第1項第10号の規定(本件非課税規定)は、これらの手段を包括的に表現するために、処分や換価の代表的行為である「譲渡」に着目して「資産の譲渡」との名称を用いているのであるから、破産管財人が、破産財団に属する株式を売買する場合のみならず、剰余金の配当請求権を行使して支払を受ける場合も本件非課税規定の「資産の譲渡」に該当する旨主張する。
 しかしながら、本件非課税規定の趣旨及び文理に照らすと、「資産の譲渡」とは、資産の帰属主体たる地位や所有権を移転させる行為を指すと解されるところ、請求人が配当請求権を行使して剰余金の配当を受けることにより資産の帰属主体たる地位や所有権が請求人から移転したとは認められないから、当該配当は本件非課税規定の「資産の譲渡」には該当しない。
 また、請求人は、請求人の破産管財人(本件破産管財人)が国内において破産財団に属する株式の管理処分権の一環として国外の関連会社の取締役に就任し、その株式の剰余金の配当(本件各配当)に関する政策と実務を決定し、その資金管理や支払をしており、本件各配当の原資も国内にあるから、本件破産管財人が所得税法第181条《源泉徴収義務》第1項に規定する「支払をする者」(支払をする者)に該当することから、本件破産管財人が源泉徴収義務を負う旨主張する。
 しかしながら、本件各配当は、本件破産管財人が、破産管財人としての地位に基づき行ったものであり、本件各配当の支払における本件破産管財人と請求人の関係は、直接の債権債務関係に立たないことはもとより、これに準ずるような特に密接な関係にあるということもできないから、本件破産管財人は本件各配当の「支払をする者」に該当しない。よって、本件破産管財人は源泉徴収義務を負わない。

参照条文等

所得税法第9条第1項第10号第181条第1項所得税法施行令第26条 租税特別措置法第9条の2第2項租税特別措置法施行令第4条の5第1項 破産法第2条第5項及び第7項、第34条第1項、第78条第1項、第97条第4号、第148条第1項第3号、第151条

参考判決・裁決

東京高裁平成23年2月23日判決(税資261号順号11620) 平成27年7月28日裁決(裁決事例集No.100) 最高裁昭和37年2月28日大法廷判決(刑集16巻2号212頁) 最高裁平成23年1月14日第二小法廷判決(民集65巻1号1頁) 最高裁昭和43年10月8日第三小法廷判決(民集22巻10号2093頁) 名古屋高裁金沢支部平成20年6月16日判決(税資258号順号10970)

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