裁決事例 評価の原則

裁決事例 評価の原則

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平成3年11月30日裁決

数筆の宅地によって形成されている本件土地の評価は、各筆ごとに行うべきではなく、また、本件ため池について、原処分庁が現況により、本件ため池の価額を宅地比準方式によって評価したことは相当であるとした事例

裁決事例集 第42集 199頁

要旨

 請求人は、8筆の宅地によって形成されている一画地の本件土地の価額を評価する場合には、各筆の固定資産税評価額の合計額を基に評価する方法を認めるべきである旨主張するが、利用状況からすると、本件土地の価額は、二つの区画に区分して評価するのが相当である。
 また、本件のため池について、固定資産税が非課税であるとしても、現況が「公共の用に供するため池」でなく、開発規制もないこと、更に、本件ため池の一部が相続開始後に譲渡されている事実からすると、原処分庁が本件ため池の価額を宅地比準方式によって評価したことは相当である。

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平成28年2月4日裁決

米国e州f市に所在する不動産について、その時価をe州遺産税の申告に当たりe州税務当局により是認された鑑定価額により評価した原処分を相当と認めた事例(平成22年3月相続開始に係る相続税の各更正処分及び過少申告加算税の各賦課決定処分・棄却)

裁決事例集 第102集

ポイント

 本事例は、e州遺産税等の適正市場価額とは、相続税法第22条に規定する時価と基本的に同義の価額を指向するものであるとし、対象不動産の鑑定価額を基にしたe州遺産税の申告がe州税務当局によって是認されていることから、同鑑定価額は客観的交換価値を表すものであり、対象不動産の時価と認められると判断したものである。

要旨

 請求人らは、米国e州f市に所在する不動産17物件(本件対象不動産)の価額について、f市財産税の算定の基礎となる財産税評価額(本件財産税評価額)は、財産評価基本通達(評価通達)5-2《国外財産の評価》に定める売買実例価額、精通者意見価格等を参酌して評価した価額であるから、本件財産税評価額から借家権として当該価額に30%の割合を乗じた金額を控除した価額が、本件対象不動産の価額である旨主張する。
 しかしながら、請求人らは、被相続人に係るe州遺産税について、e州認定の鑑定人による鑑定価額(本件鑑定価額)を本件対象不動産の価額として申告しているところ、米国内国歳入法等に規定するe州遺産税における財産の価額である適正市場価額と相続税法第22条《評価の原則》に規定する時価とは同義の価額を指向するものと認められること、本件鑑定価額の算定手順に別段不合理な点は認められないこと、e州遺産税の申告がe州税務当局により是認されていることから、本件鑑定価額は相続税法第22条に規定する時価と認められる。一方で、本件財産税評価額は、収益方式によって評価されており、売買実例価額と比較して大幅に低い価額であること、財産税評価額に関する公的報告書等においても、財産税評価額が相当低額であり市場価格との相関関係が見出せない状況である旨の指摘がされていること等から、相続税法第22条に規定する時価とは認められない。また、借家権の控除は認められるべきとする点については、本件対象不動産は評価通達に定める評価方法に準じて評価することができない財産であるから、借家権の控除に関してのみ評価通達に準じて評価することを許容すべき理由はない。以上のことから、本件対象不動産の価額は、本件鑑定価額によることが相当である。

参照条文等

相続税法第22条 財産評価基本通達5-2

参考判決・裁決

平成10年12月8日裁決(裁決事例集No.56) 平成20年12月1日裁決(裁決事例集No.76)

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平成7年1月31日裁決

評価通達に定める路線価が実勢価格に70パーセントの評価割合を乗じた水準に設定されているから、鑑定評価額に70パーセントを乗じた価額を本件土地の評価額とすべきであるとの主張を退けた事例

裁決事例集 第49集 408頁

要旨

 請求人らは、平成3年分の路線価は前年7月1日時点における実勢価格に70パーセントの評価割合を乗じた水準に設定されていたことは公知の事実であるとし、路線価により評価して申告した相続税について、平成2年秋以降、地価が著しく下落したのは明らかであるとして、本件相続開始時の実勢価格を不動産鑑定士の鑑定により求め、これに70パーセントを乗じた金額を基に評価をし、更正の請求をした。
 これに対し、原処分庁は、本件鑑定評価額による評価により減額更正をしたが、本件鑑定評価額に更に70パーセントの評価割合を乗じる必要はないとした。
 ところで、本件は、更正の請求に対し、原処分庁が本件鑑定評価額により評価して更正したのであるから、請求人は本件土地の価額がこの評価を下回ることを主張、立証することを要すると解すべきであるが、路線価が公示価格水準の70パーセント程度(評価水準)により評価しているのは、評価上の安全性を考慮した計算過程上の一要素にすぎないものであるところ、本件鑑定評価額は、鑑定人が公示価格との均衡を考慮しつつ、本件土地の特殊性をしんしゃくした上で求めた正常価格であって、これに評価水準を乗じなければならない理由はなく、また、そうしなければ課税の公平の原則に反するともいえない。そうすると、請求人の主張、立証をもって、本件土地の価額が本件減額更正に係る価額を下回ると認定することはできない。

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平成7年1月12日裁決

土地の一部を物納する予定につき、物納予定地と残地に分けて評価すべきであるとの請求人の主張について、物納予定の有無は本件土地の相続開始時における現況に影響を及ぼさないから区分して評価することは相当でないとした事例

裁決事例集 第49集 420頁

要旨

 請求人は、本件土地の一部は物納予定地であり、物納により分離されるので、残地は地積が減少して形状も悪化することになり、この事情を無視して相続開始時の形状のままで評価するのは妥当ではない旨主張する。
 しかしながら、土地を評価するに当たっては、相続開始時において物理的に一体として利用されている土地ごとに区分して評価するのが、「相続開始時における財産の現況」に即した評価と解されるところ、本件土地は、相続開始時においてE株式会社にまとめて貸し付けられ、物理的に一体として利用されており、物納予定地と残地に区分して評価するのは相当ではない。
 相続により財産を取得した者が、物納するか否か及び当該財産のどの部分を物納するかについては、相続開始後において、その者の意思、行為等によって決定したり、また、変更することができるものであるから、本件土地の相続開始時における現況に影響を及ぼすものではない。

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平成29年5月23日裁決

相続財産のうち一部の不動産については、財産評価基本通達によらないことが相当と認められる特別の事情があると認められることから、ほかの合理的な時価の評価方法である不動産鑑定評価に基づいて評価することが相当であるとした事例(平成24年6月相続開始に係る相続税の各更正処分及び過少申告加算税の各賦課決定処分・棄却)

裁決事例集 第107集

ポイント

 本事例は、被相続人による各不動産の取得から借入れまでの一連の行為は、他の納税者との間での租税負担の公平を著しく害し、富の再分配機能を通じて経済的平等を実現するという相続税の目的に反するものであるから、各不動産について、財産評価基本通達に定める評価方法を画一的に適用するという形式的な平等を貫くことによって、かえって実質的な租税負担の公平を著しく害することが明らかであり、財産評価基本通達によらないことが相当と認められる特別の事情があると認められると判断したものである。

要旨

 請求人らは、相続財産のうち一部の不動産(本件各不動産)については、財産評価基本通達(評価通達)に定める評価方法によらないことが相当と認められる特別の事情がないから、評価通達6《この通達の定めにより難い場合の評価》を適用することはできず、評価通達に定める評価方法により評価すべきである旨主張する。
 しかしながら、被相続人による本件各不動産の取得から借入れまでの一連の行為は、被相続人が、多額の借入金により不動産を取得することで相続税の負担を免れることを認識した上で、当該負担の軽減を主たる目的として本件各不動産を取得したものと推認されるところ、結果としても、本件各不動産の取得に係る借入金が、本件各不動産に係る評価通達に定める評価方法による評価額を著しく上回ることから、本件不動産以外の相続財産の価額からも控除されることとなり、請求人らが本来負担すべき相続税を免れるものである。このような事態は、相続税負担の軽減策を採らなかったほかの納税者はもちろん、被相続人が多額の財産を保有していないために同様の軽減策によって相続税負担の軽減という効果を享受する余地のないほかの納税者との間での租税負担の公平を著しく害し、富の再分配機能を通じて経済的平等を実現するという相続税の目的に反するものであるから、本件各不動産について、評価通達に定める評価方法を画一的に適用するという形式的な平等を貫くことによって、かえって実質的な租税負担の公平を著しく害することが明らかであり、評価通達によらないことが相当と認められる特別の事情があると認められることから、ほかの合理的な時価の評価方法である不動産鑑定評価に基づいて評価することが相当である。

参照条文等

相続税法第22条 財産評価基本通達6

参考判決・裁決

東京地裁平成4年3月11日判決(判時1416号73頁、税資188号639頁) 東京地裁平成5年2月16日判決(判タ845号240頁、税資194号375頁) 東京高裁平成5年3月15日判決(行集44巻3号213頁、税資194号743頁)

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平成8年2月29日裁決

路線価は、1年間適用されることとされているため評価上の安全性等を考慮して、毎年1月1日現在の公示価格水準の価格の80パーセント程度で評定されているので、路線価を1月1日から相続開始日までの地価変動率により修正した価額をもって時価であるということはできないとされた事例

裁決事例集 第51集 528頁

要旨

 請求人は、更正の請求において、相続税法第22条(評価の原則)によれば、相続等により取得した財産の価額は時価による旨規定されているところ、路線価はその年の1月1日現在の価額であるから、大幅な地価の下落があった場合には、路線価を1月1日から相続開始時までの地価下落率により修正した価額を時価とすべきであると主張する。
 ところで、更正の請求をする場合は、更正の請求をする者が、まず、自ら記載した申告内容が真実に反するものであることを主張・立証すべきであると解されるところ、路線価は、売買実例価額の収集等技術的な理由から1年間適用されることとされており、毎年1月1日を評価時点として、1年間の地価変動にも耐え得るものであることの必要性など評価上の安全性等を考慮して公示価格水準の価格の80パーセント程度により評定されているので、路線価を1月1日から相続開始時までの地価変動率により修正した価額は、相続税法第22条の時価であるということはできないから、請求人の主張をもって、本件土地の価額が、本件減額更正処分に係る価額を下回るという事実を証明したことにはならない。

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平成11年1月25日裁決

本件土地の価額は、近隣の公示価格から推定した公示価格水準の額に80パーセントを乗じた額により評価すべきであるとの請求人の主張が排斥された事例

裁決事例集 第57集 462頁

要旨

 請求人らは、公示価格から推定した本件土地の公示価格水準の額に80パーセントを乗じた額により本件土地の価額を算定すべきである旨主張するが、公示価格水準の額に80パーセントを乗じることは、課税庁内部の時価の評価に関する取扱いを統一するに当たり、評価上の安全性等を考慮して取り入れられているのであって、課税庁が実務上少なくともこれを乗じた額を下回ることは通常ないであろうと認めるところにより、課税処分等をするための計算過程上の一要素にすぎないものである。
 一方、請求人らの主張する公示価格から推定した本件土地の価額は、公示価格との均衡を考慮しつつ、本件土地の特殊性をしんしゃくした上で求めた価額であるとするならば、これに80パーセントを乗じる理由はなく、また、そうしなければ課税の公平の原則に反するともいえないから、請求人らの主張は採用できない。

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平成30年10月17日裁決

請求人らが相続税の申告において、不動産鑑定士の鑑定評価等(本件鑑定評価等)に基づいて評価額を算定した土地及び建物については、財産評価基本通達(評価通達)に定める評価方法に拠ることのできない特別の事情があるとは認められず、本件鑑定評価等には客観的合理性を直ちに肯定することができない部分があることから、評価通達に定める評価方法によるべきであるとした事例(平成26年12月相続開始の相続税の各更正処分及び過少申告加算税の各賦課決定処分・棄却)

裁決事例集 第113集

要旨

 請求人らは、本件鑑定評価等による鑑定評価額等をもって相続税の申告をした土地(本件土地)及び建物(本件建物)について、本件土地は、標準的な画地の地積の2倍以上の規模があり、標準的な画地に比して市場性が劣ることなど、本件建物は、老朽化が激しく、それぞれの敷地の最有効使用の観点から取り壊すべきものであることなどの減価要因があるが、評価通達には、これらの点を反映させる定めがないことから、評価通達の定める評価方法によって評価された原処分庁が主張する評価額(原処分庁主張価額)は本件土地及び本件建物の時価を超え、原処分には本件土地及び本件建物の価額を過大に評価した違法がある旨主張する。
 しかしながら、地積規模の大きな土地であっても、土地の取引価格は、最終的には取引当事者の合意によって定まるものであることからすれば、当然に当該土地の取引価格が低下するものではなく、本件建物は、一般的な合理性を肯定され、適正な時価と推認される固定資産税評価額に依拠して評価されている。したがって、請求人らの主張するような事情をもって、本件土地及び本件建物に適用される評価通達の定める評価方法が適正な時価を算定する方法として一般的な合理性が失われているということはできないし、評価通達の定める評価方法によっては適正な時価を適切に算定することのできない特別の事情があると認めることはできず、本件鑑定評価等には客観的合理性を直ちに肯定することができない部分があることからすれば、評価通達の定める評価方法により評価した原処分庁主張価額が時価を超え、過大に評価している違法はない。

参照条文等

相続税法第22条 地方税法第341条第403条

参考判決・裁決

東京高裁平成27年12月17日判決(税資265号順号12771) 東京地裁平成27年6月25日判決(税資265号順号12683) 平成29年4月7日裁決(裁決事例集№107)

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平成10年6月23日裁決

貸し付けている宅地の評価に当たって、借地権者が3棟の建物を建築しそれぞれ別の事業の用に供していたとしても、その土地全体が一人の借地権者に貸し付けられており、かつ分割されることなく相続されていることから、その土地全体を1画地の宅地として評価することが相当であるとした事例

裁決事例集 第55集 479頁

要旨

 請求人は、本件土地は借地権者の所有するガソリンスタンド、パチンコ店及びボウリング場に係る建物の敷地として最有効使用されているものであるから、建物の事業の用に供されている状況ごとに区分し、それぞれを1画地として評価すべきである旨主張する。
 しかしながら、本件土地はその全体が借地権者の事業に係る建物の敷地として一体として貸し付けられ、現実に借地権者の事業の用に供されていることが明らかであり、また、本件土地は分割されることなく、その全部を相続人が相続していることから、貸し付けられている土地全体を1利用単位、すなわち1画地の宅地と判断するのが相当である。

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平成13年3月5日裁決

請求人及び原処分庁の行った両鑑定額とも採用できないとして、審判所において取引事例比較法による比準価格及び公示価格を規準とした価格により本件土地の価額を算定した事例

裁決事例集 第61集 579頁

要旨

 請求人及び原処分庁とも、路線価が時価を上回るとして、これを採用しないことには争いがないが、本件土地の価額につき、請求人と原処分庁のそれぞれが鑑定評価額をもって本件土地の価額であると主張する。
 しかしながら、審判所の調査によると、請求人と原処分庁のそれぞれが主張する鑑定額はいずれも採用できないから、当審判所において本件土地の価額を算定することとするが、開発法による価格は、その計算過程に想定部分も多く、合理性を欠くことも否定できないので、取引事例比較法による比準価格及び公示価格を規準とした価格により、本件土地の価額を算定するのが相当と認められる。
 そこで、当審判所において採用した取引事例及び公示価格をもとに、当審判所においても相当と認める規準の一つである土地価格比準表に準じ、地域要因及び個別要因等の格差補正を行って本件土地の価額を算定したところ、請求人申告額を下回るので、本件更正処分はその全部を取り消すのが相当である。

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平成22年7月22日裁決

遺産分割の一部が財産評価基本通達7-2(1)注書に定める不合理分割に当たる場合には、その不合理分割に当たる部分のみ分割前の画地により評価単位を判定し、それ以外の部分は分割後の画地により評価単位を判定するのが相当であるとした事例

裁決事例集 第80集

要旨

 請求人らは、相続開始前までは被相続人が一団の農地として利用していた本件各土地について、本件各土地の一部の遺産分割は財産評価基本通達7-2《評価単位》(1)注書に定める不合理分割に該当するから、同定めのとおり、分割前の利用の単位である本件各土地の全体を1つの評価単位として評価すべきである旨主張する。
 しかしながら、財産評価基本通達7-2(1)注書の趣旨は、不合理分割された土地をそのまま評価した場合、実態に即した評価がなされないため、課税の公平に資する目的で評価単位を是正することにあると解されることからすると、遺産分割の一部が不合理分割である場合には、不合理分割に当たる部分についてのみ是正すれば足りるから、その部分のみ分割前の画地により評価単位を判定し、その余の部分については、分割後の画地により評価単位を判定するのが相当である。

参照条文等

相続税法第22条 財産評価基本通達77-224-44040-3

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平成23年12月6日裁決

建物の一部が収用に伴い取り壊された前後を通じて、評価対象地の利用状況及び権利関係に変化がなかったことから、評価単位は1つとすべきとした事例

裁決事例集 第85集

要旨

 請求人は、本件土地は、その一部が過去の収用により買い取られたことに伴い、建物の一部が取り壊されており、当該収用後に未利用の状態であった空き地部分と建物の敷地として使用貸借していた部分との2つの利用単位からなっているので、それぞれ別の評価単位として評価すべきである旨主張する。
 しかしながら、本件土地は、当該収用以前から1棟の建物の敷地として一体として利用されており、当該収用に伴い建物の一部が取り壊された後も、その利用状況及び権利関係に変化がないことからすれば、財産評価基本通達7-2《評価単位》の定めに基づき1つの評価単位(1画地)として評価すべきである。

参照条文等

相続税法第22条 財産評価基本通達7-2

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平成13年9月25日裁決

評価基本通達に定める路線価等を適用しないで土地の時価を算定するときは路線価の評価水準等を考慮する必要はなく、また、相続税法第17条に定めるあん分割合につき請求人らが申告に使用した端数処理の方法には合理性が認められないとした事例

裁決事例集 第62集 352頁

要旨

 請求人らは、本件土地の価額は時価である取引価額に路線価の評価水準を乗じ、さらに、評価基本通達に定める各種減額を適用すべきである旨、また、原処分庁が更正する場合の相続税法第17条に規定するあん分割合は相続税法基本通達17-1の定めにより、請求人らが申告に使用した端数処理の方法を適用すべきである旨主張する。
 しかしながら、評価基本通達に定める路線価等を適用しないで土地の時価を算定する場合に、路線価の評価水準を考慮する必要はなく、路線価等を基に画一的に時価を算定する場合に適用するものとしている各種の減額を適用する余地もない。
 また、相続税法基本通達17-1は、合理的な端数処理を行っている場合には、納税者によって選択されたその端数処理によって相続税額を計算することができることとした取扱いであるが、本件は、請求人らが選択した端数処理の方法に明確な基準は見出せず、合理性があるものとは認められないから、原処分庁はその方法を選択できないのであって、相続税法17条の規定に基づいてした原処分庁のあん分割合に違法はなく、請求人の主張には理由がない。

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平成14年7月22日裁決

原処分庁が財産評価基本通達に基づき評価した土地の価額はその土地の時価を上回るとした事例

裁決事例集 第64集 416頁

要旨

 請求人は、同族法人の株式の評価に当たり、当該同族法人の所有する本件土地の価額は、本件鑑定評価書を基に広大地補正率を適用して評価すべき旨主張し、これに対し、原処分庁は、当該土地の最有効利用は中高層の耐火共同住宅の敷地と認められ、戸建宅地開発を前提とする広大地補正率の適用はなく、路線価に基づき計算した当該土地の価額は、原処分庁が時価として試算した価額を下回るから適法である旨主張する。
 しかしながら、双方が主張する価額は、いずれも相続税法第22条に規定する時価として採用することはできないので、当審判所が採用した近隣の取引事例の取引価格及び公示地の公示価格を基に、本件相続開始時における本件土地の時価を算出したところ、当該価額は、原処分庁が財産評価基本通達に基づいて評価した価額を下回ることから、原処分庁の評価に係る価額は時価を超えているものと認められるので、本件更正処分はその一部を取り消すべきである。

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平成24年12月13日裁決

相続人の一人が遺産分割により取得し同族会社に一括貸ししていた単独所有地及び共有地の評価単位は、全体を一画地として評価するのが相当とした事例

裁決事例集 第89集

ポイント

 本事例は、相続人の一人が遺産分割により取得した単独所有地及び共有地(いずれも立体駐車場の敷地)について、当該共有地が、遺産分割の前後を通じて当該単独所有地と同一の用途に供される蓋然性が高いと認められる場合には、共有地であることによる使用等の制約は実質的には認められないから、当該単独所有地と区分して評価する必要はないとしたものである。

要旨

 ①原処分庁は、請求人らが相続により取得した一団の雑種地(本件各雑種地)は、その一部について、共有者の有無及び共有持分の割合が異なるため、5区画に区分した評価単位により評価すべきとし、開発許可を要する面積の基準を上回る1区画のみを財産評価基本通達24-4《広大地の評価》に定める広大地として評価すべきである旨主張し、他方②請求人らは、本件各雑種地については、一部の雑種地が共有となっているものの、全体が同族法人に賃貸され、当該法人が立体駐車場の敷地として利用していた土地であることから、全体を一つの評価単位により評価すべきであり、広大地として評価すべきである旨主張する。
 しかしながら、①本件各雑種地は、堅固な立体駐車場の敷地として一括で貸し付けられ、一括して貸付けの用に供されていたことなどから、当該相続に係る遺産分割後も同一の用途に供される蓋然性が高いと認められる状況にあり、一部が共有地であることによる使用、収益及び処分の制約が実質的にないものと認められ、その利用状況、権利関係等から、全体を一つの評価単位により評価すべきであるが、②本件各雑種地の属する幹線道路沿いの地域における標準的使用は、商業施設等の敷地であり、本件各雑種地を当該地域の標準的使用に係る敷地の地積に区分したとしても、開発行為を行うに際して公共公益的施設用地の負担が必要であるとは認められないことから、本件各雑種地は、広大地には該当しないものとして評価すべきである。

参照条文等

相続税法第22条 財産評価基本通達77-2

参考判決・裁決

静岡地裁平成19年7月12日判決(税資257号順号10752) 平成22年7月22日裁決(裁決事例集No.80)

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平成25年10月1日裁決

登記簿上、主たる建物及び附属建物と記載されているとしても、当該各建物の機能、配置及び貸付けの状況などから、当該各建物の敷地を区分して評価することが相当であるとした事例(平成22年4月相続開始に係る相続税の各更正処分及び過少申告加算税の各賦課決定処分・一部取消し)

裁決事例集 第93集

ポイント

 本事例は、登記簿に主たる建物及び附属建物と記載されているとしても、当該各建物が、独立して機能すること、接していないこと及び別の第三者に貸し付けられていることからすると、当該各建物の敷地を区分し、2画地の宅地として評価すべきであるとしたものである。

要旨

 原処分庁は、請求人Dと被相続人の共有であった家屋(本件家屋)の敷地(本件土地)の評価単位について、①本件家屋は、登記簿上、主である建物(本件主建物)を「共同住宅」、附属建物(本件附属建物)を「店舗・共同住宅」として記載されているので、本件附属建物は、効用上、本件主建物と一体のものとする登記がされていること、②住宅地図においては、本件主建物と本件附属建物は接していること、③請求人Dと被相続人は、本件家屋を共同住宅及び店舗として賃貸していることから、1画地の宅地として評価すべきである旨主張する。
 しかしながら、1画地の宅地の判定は、その宅地を取得した者が、その宅地を使用、収益及び処分をすることができる利用単位又は処分単位であって、原則として、①宅地の所有者による自由な使用収益を制約する他者の権利(原則として、使用貸借による使用貸借権を除く。)の存在の有無により区分し、②他者の権利が存在する場合には、その権利の種類及び権利者の異なるごとに区分して行うものと解されるところ、本件主建物と本件附属建物は別棟で接しておらず、それぞれが独立して機能する建物と認められ、また、本件主建物は共同住宅として、本件附属建物は店舗付住宅として、それぞれ別の第三者に貸し付けられていたことから、本件主建物の敷地部分と本件附属建物の敷地部分は別の利用単位と認められるので、本件土地は、2画地の宅地として評価するのが相当である。

参照条文等

財産評価基本通達7-2

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平成16年12月3日裁決

請求人が、相続により取得した土地及び建物の価額は、財産評価基本通達により評価すべきであり、請求人の主張する不動産鑑定評価額には合理性が認められないとした事例

裁決事例集 第68集 170頁

要旨

 請求人は、相続により取得した土地及び建物の価額について、路線価は相続開始日現在までの地価下落が反映されておらず、実際の取引において路線価では売却できないこと、また、建物に居住するためには相当の修理費用が必要であること等から、財産評価基本通達によらず、不動産鑑定士による鑑定評価額により評価すべきであると主張する。
 しかしながら、本件土地の所在する地域の地価は平成14年1月1日から相続開始日までの間に20%を超える下落があったものとは認められないなど、本件土地及び建物の価額については、財産評価基本通達を適用して評価することが著しく不適当と認められる特別の事情は認められず、更に、請求人提出の不動産鑑定士による鑑定評価書の評価額は適正な時価であるとはいえないことから、財産評価基本通達の定めに従って評価するのが相当である。

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平成26年4月22日裁決

所有する宅地とその宅地に隣接する相当の地代を支払って借り受けている借地権は、一体で評価することが相当であるとした事例(平成22年8月相続開始に係る相続税の各更正処分及び過少申告加算税の各賦課決定処分・棄却)

裁決事例集 第95集

ポイント

 本事例は、所有する宅地に隣接する宅地を相当の地代を支払い借り受けている場合において、相当の地代を支払って借り受けている借地権の価額は零と評価されるが、当該借地権は土地を専属的に利用できる権利であるから、所有する宅地と当該借地権が一体で利用されている場合には、これらを併せた全体を評価単位(1画地の宅地)として一体で評価することが相当であるとしたものである。

要旨

 請求人らは、相続により取得し、隣接する各借地(本件各借地)とともに貸家の敷地として利用していた宅地(本件宅地)の価額について、本件各借地に係る借地権は、相当の地代の支払により、その価額が零とされ財産的価値がないものであるから、財産的価値がない使用借権が設定された場合と同様に、本件宅地のみを財産評価基本通達7-2《評価単位》(1)に定める評価単位(1画地の宅地)として評価すべきと主張する。
 しかしながら、本件各借地に係る借地権は、借地借家法上の借地権であり、被相続人は、本件各借地を継続的かつ専属的に利用できる権利を有し、相続開始日において、本件宅地と本件各借地を併せて、貸家の敷地としてその全体を一体として利用していたものであるから、借主の死亡が終了原因とされ、人的つながりのみを基盤とする使用借権が設定された場合と同一にみることはできないので、本件宅地の価額は、隣接する本件各借地と併せた全体を評価単位(1画地の宅地)として評価することが相当である。

参照条文等

相続税法第22条 財産評価基本通達7-2 昭和60年6月5日付直資2-58ほか「相当の地代を支払っている場合等の借地権等についての相続税及び贈与税の取扱いについて」 昭和48年11月1日付直資2-189ほか「使用貸借に係る土地についての相続税及び贈与税の取扱いについて」

参考判決・裁決

静岡地裁平成19年7月12日判決(税資257号順号10752) 千葉地裁平成15年4月22日判決(税資253号順号9330)

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平成18年3月15日裁決

請求人が相続により取得した土地の時価について、請求人の主張する不動産鑑定評価額には合理性が認められず、財産評価基本通達等により難い特別な事情は認められないから、一般的に合理性を有するものと解される財産評価基本通達等に基づき評価した評価額が相当であるとした事例

裁決事例集 第71集 505頁

要旨

 本件各土地の時価について、請求人は、原処分庁評価額は、相続税法第22条に規定する時価を適正に反映しておらず、時価を超えており違法であるから請求人鑑定評価額である旨主張する。
 ところで、財産評価基本通達及び同通達に基づき国税局長が定めた財産評価基準(以下、これらを併せて「評価通達等」という。)による評価は、一般的に合理性を有するものと解され、評価通達等を適用して評価することが著しく不適当と認められる特別な事情が存する場合、すなわち、評価通達等により算定される土地の評価額が客観的交換価値を上回る場合には他の合理的な評価方法により時価を求めるべきものと解されている。この場合の評価通達等により算定される土地の評価額が客観的交換価値を上回っているといえるためには、これを下回る不動産鑑定評価が存在し、その鑑定評価が一応公正妥当な鑑定理論に従っているというのみでは足りず、同一の土地について他の不動産鑑定評価があればそれとの比較において、また、周辺における公示価格や都道府県地価調査による基準地の標準価格の状況、近隣における取引事例等の諸事情に照らして、評価通達等により算定された土地の評価額が客観的交換価値を上回ることが明らかであると認められることを要するものと解されている。
 これを本件についてみると、請求人鑑定評価額は、更地価格の算定に当たり、公示価格との規準による規準価格を採用せずに比準価格のみを採用し、規準価格との均衡を図っているとはいい難く相当ではないこと、また、請求人鑑定の個別格差補正等による減価に合理性は認められないこと等から、請求人鑑定評価額が時価であるとは認められない。
 したがって、本件各土地について評価通達等により難い特別な事情は認められないから、本件各土地の評価額は、一般的に合理性を有するものと解されている評価通達等に基づき評価するのが相当である。

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平成22年10月13日裁決

請求人らが贈与により取得した中古マンションの評価に当たり、財産評価基本通達により難い特別の事情はなく、建替えが行われる蓋然性が極めて高い事情等を考慮していない鑑定評価額は採用できないとした事例

裁決事例集 第81集

要旨

 請求人らは、贈与により取得したマンション住戸である本件各不動産について、建物の専有部分の床面積に対応するその敷地面積が広大であるから、本件各不動産の時価を財産評価基本通達の定めにより算定すると、売買の実態と乖離した高い評価額が算定されること及び本件各不動産は、住戸面積は狭く、建物等も老朽化していることなどの特別な事情があるから、本件各不動産の価額は鑑定評価額によるべきである旨主張する。
 しかしながら、①本件各不動産の敷地部分について、本件贈与者の有する共有持分が他の区分所有者が有する共有持分と質的に異なることもないのであるから、建物の専有部分の床面積に対応するその敷地の共有持分が広大であれば、それに連動して本件各不動産の価額も上昇又は下落することになること、②財産評価基本通達においては、土地の形状等に応じて、奥行距離に応じた奥行価格補正率を適用したりするなどして、土地の減価要素を考慮した評価方法が採られていること、及び③同通達は、家屋の評価については、固定資産税評価額に1.0の倍率を乗じて計算した金額によって評価する旨定めており、この固定資産税評価額は、請求人らが主張する事情については、それを織り込んで評価していることからすれば、同通達の定めにより本件各不動産を評価した場合に、適正な時価が求められず、著しく課税の公平を欠くことが明らかな場合に当たるとはいえない。他方、本件各不動産の評価に際しては、贈与の日において建替えの蓋然性が極めて高く、その場合には敷地の持分価額に見合う既存建物の2倍以上の面積の建物を取得することが予定されていたことなどの事情を考慮して価額を算定すべきところ、請求人らの主張する鑑定評価額は、これらの事情が十分に考慮されておらず、不動産鑑定評価基準に定める予測の原則に基づく分析検討が客観的かつ十分にされていないといわざるを得ないから、本件各不動産の客観的な交換価値を表しているとは認められない。
 したがって、本件各不動産の評価に当たり、財産評価基本通達の定めにより難い特別な事情は認められず、同通達の定めにより評価した価額をもって本件各不動産の時価と認めることが相当である。

参照条文等

相続税法第22条

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平成28年12月7日裁決

青地(旧水路)により分断されている2つの土地についてその利用状況等から1つの評価単位とすると判断した事例(平成24年11月相続開始に係る相続税の再更正処分及び更正処分並びに過少申告加算税の各賦課決定処分・一部取消し)

裁決事例集 第105集

ポイント

 本事例は、青地(旧水路)により分断されている2つの土地についてその利用状況等(物理的及び法的)から1つの評価単位として取り扱うのが相当であると判断した上で、各土地を評価するに当たっては、まず青地部分の土地を含む各土地全体の評価額を算出し、その後、当該評価額から青地部分の土地の価額を控除して評価するのが相当であると判断したものである。

要旨

 原処分庁は、本件1土地(生産緑地)と本件2土地(生産緑地)は、市が所有する青地(旧水路)により分断されており、各土地は別個の評価単位として取り扱うべきである旨主張する。
 しかしながら、相続開始日において、①本件1土地と本件2土地との間には青地が介在していたものの、当該青地は全て埋め立てられており、水路としての機能を失っていたこと、②本件1土地及び本件2土地は、青地部分の土地を含めて一体の畑として耕作されていたこと、③市は、本件1土地、本件2土地及び青地部分の土地を一体の生産緑地地区に定める都市計画を決定していたことなどの各事実が認められる。したがって、本件1土地及び本件2土地の各土地は、物理的にも法的にも分断されておらず、また、その利用も一体であったと認められるため、一団の生産緑地、すなわち1つの評価単位として取り扱うのが相当である。そして、本件1土地及び本件2土地の各土地を評価するに当たっては、まず青地部分の土地を含む各土地全体の評価額を算出し、その後、当該評価額から青地部分の土地の価額を控除して評価するのが相当であり、その場合、①当該青地部分の土地の売買が成立し得るのは請求人らと市の間に限定されること、②市が当該青地部分の土地を請求人らに売却した場合の売買代金である払下げ費用相当額は、国有財産評価基準によりその算定方法が画一的に決められていることからすると、青地部分の土地の価額については、相続開始日において当該青地が請求人らに払い下げられたとした場合の払下げ費用相当額とするのが相当である。

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平成28年12月20日裁決

使用貸借により貸し付けている土地の評価単位について判断した事例(平成23年6月相続開始に係る相続税の各更正の請求に対する各更正処分・一部取消し、棄却)

裁決事例集 第105集

ポイント

 本事例は、所有する土地(雑種地)の一部を自ら使用し、他の部分を使用貸借により宅地又は雑種地として貸し付けている場合に、地目が相違しても、その全体を一団の雑種地として評価するのが相当であると判断したものである。

要旨

 請求人らは、テニスクラブ(本件テニスクラブ)の敷地の一部として利用している各土地の価額は、本相続財産以外の土地を含む本件テニスクラブの敷地として利用されていた土地全体を一つの「評価単位」として財産評価基本通達24-4《広大地の評価》(本件通達)に定める広大地補正率を適用すべきである旨、及びf市との締結に基づく各協定書において、開発行為を行おうとした場合に制約を受けたことを理由にその協定に関する区域を一つの評価単位として、居宅として利用されていた土地(本件B区画)及び駐車場として利用されていた土地(本件C区画)を評価する際に、本件通達に定める広大地補正率を適用して評価すべきである旨主張する。
 しかしながら、土地の評価単位は、原則として、遺産分割後の取得者ごとに区分した後、利用の単位となっている土地ごとに判定した評価単位を基に評価すべきであり、本件の場合、取得者別、利用の単位別に区分した4区画の土地をもって、それぞれを一つの評価単位として評価すべきである。また、本件B区画及び本件C区画について、協定を締結したとの事実関係を前提としても、本件通達の定めに照らし、何ら影響を及ぼすものではない。したがって、請求人らの各主張は認めることはできない。
 なお、本件に係る各相続財産の土地の評価単位の認定につき、当該土地の使用貸借に係る利用状況などに照らせば、使用貸借に基づく権利は、貸主、借主間の人的なつながりのみを基盤とするもので借主の権利が極めて弱いことから、自己の所有する雑種地の一部を自ら使用し、他の部分を使用貸借により宅地又は雑種地として貸し付けている場合には、たとえ地目が相違しても、その全体を一団の雑種地として評価するのが相当であり、また、同様に、自己の所有する宅地又は雑種地に隣接する宅地又は雑種地を使用貸借により借り受け、自己の所有する宅地又は雑種地と一体として利用している場合であっても、所有する宅地又は雑種地のみを1画地の宅地又は一団の雑種地として評価するのが相当である。

参照条文等

財産評価基本通達7-2

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平成24年8月16日裁決

請求人が主張する本件土地の売却価額及び鑑定評価額をもって、本件土地の価額について、財産評価基本通達の定めによらないことが正当と認められる特別の事情があるとは認められないとした事例

裁決事例集 第88集

要旨

 請求人は、相続財産である本件土地の価額について、①遺言(本件遺言)により換価による分割方法の指定及び遺言執行者の指定がされており、請求人が売却に参加できないという事情があり、また、本件土地の最有効使用が区画分譲地であって、購入者が不動産業者に限定されるという実情があり、当該換価による価額(本件換価価額)は、当該実情に合ったところで決定されたものであるから、相続税法第22条《時価》に規定する時価であること及び②本件換価価額が時価であることは、請求人の依頼に基づく不動産鑑定評価額(請求人鑑定額)からも明らかであることから、本件土地の価額は本件換価価額とすべきである旨主張する。
 しかしながら、①相続税法第22条に規定する時価とは、「取得の時」における「不特定多数の当事者間で自由な取引が行われる場合に通常成立すると認められる価額」を示すものであるから、「特定の者の間で限定的に行われた取引」における価額は、時価としての前提を欠くものであり、また、本件相続開始日の後にされた本件遺言に基づく換価による分割などが本件土地の価額を減ずる要因となるものでもない。そして、②請求人鑑定額は、その算定過程に不合理な点が認められ、本件換価価額が時価であることを明らかにしたものであるとは認められない。さらに、③異議審理庁が財産評価基本通達に基づいて算出した価額は、当審判所が近隣の地価公示地の公示価格に基づいて算出した本件土地の時価を超えるものではない。したがって、本件土地の価額について、財産評価基本通達の定めによらないことが正当と認められる特別の事情はないから、本件相続税の課税価格に算入されるべき本件土地の価額は、同通達の定めによる価額を基礎とすべきである。

参照条文等

相続税法第22条

参考判決・裁決

東京高裁平成17年2月23日判決(税資255号順号9941) 東京高裁平成12年9月12日判決(税資248号711頁)

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平成25年5月28日裁決

財産評価基本通達に定められた評価方法により算定される価額が時価を上回る場合、同通達の定めにより難い特別な事情があると認められることから、他の合理的な評価方法により評価することが許されるとした事例

裁決事例集 第91集

要旨

 原処分庁は、請求人らが相続により取得した土地(本件土地)の相続開始時(本件相続開始時)における価額は、財産評価基本通達(評価通達)による評価額(原処分庁通達評価額)によるべきである旨主張し、請求人らは、本件土地の時価を評価するに当たり評価通達の定めにより難い特別な事情があることから、請求人らが依頼した不動産鑑定士による鑑定評価額(請求人鑑定評価額)によるべきである旨主張する。
 しかしながら、本件の場合、請求人鑑定評価額は、開発法につき都市計画法第33条《開発許可基準》に関する審査基準(本件審査基準)を満たしていないなどの理由により、本件土地の本件相続開始時における時価とは認められないが、他方、本件土地の開発に際しては、袋路状道路の敷設は認められないなど特殊な制約が本件相続開始時にあったことから、当審判所において不動産鑑定士に鑑定評価を依頼し、その評価額(審判所鑑定評価額)を検討したところ、開発法につき本件審査基準を満たしているなどの理由により、本件相続開始時における時価として妥当なものと認められた。そして、評価通達に定められた評価方法により算定された価額が時価を上回る場合には、評価通達の定めにより難い特別な事情がある場合に該当するといえ、その場合には、他の合理的な評価方法により評価することが許されると解されるところ、原処分庁通達評価額は審判所鑑定評価額を上回るものであることからすると、本件土地の価額を評価するに当たっては、評価通達の定めにより難い特別な事情があると認められる。したがって、本件土地の本件相続開始時における価額は、審判所鑑定評価額とするのが相当である。

参照条文等

相続税法第22条

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平成25年7月5日裁決

請求人らの主張する鑑定評価額は、相続開始日現在の時価を表しているとは認められないことから、財産評価基本通達に定める評価方法により評価することが相当であるとした事例

裁決事例集 第92集

要旨

 請求人らは、請求人らの一人が相続により取得した土地(本件土地)について、請求人らの依頼による鑑定評価額(本件鑑定評価額)は、本件相続開始日における本件土地の時価であり、財産評価基本通達(評価通達)による評価額は本件鑑定評価額を上回っているから、評価通達の定めによらないことが正当と認められる特別の事情があるので、本件土地の価額は、本件鑑定評価額に基づき評価すべきである旨主張する。
 しかしながら、本件鑑定評価額は、開発法による価格を重視し、比準価格を比較考量して決定されているところ、①比準価格及び規準価格の試算において考慮されている減価40%(当該宅地の画地規模が大きいことに伴い市場参加者が限定されることによる減価)の必要性が認められないこと、②開発法による価格は上記①の減価40%を除いて試算した比準価格及び規準価格と大きく乖離することから、いずれの試算価格も合理性が認められないので、本件鑑定評価額は、本件相続開始日における本件土地の客観的交換価値を表しているとは認められない。したがって、本件土地の価額について、評価通達の定めによらないことが正当と認められる特別の事情はないといえるので、本件土地の価額は、評価通達に定められた評価方法により評価すべきである。

参照条文等

相続税法第22条

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平成31年2月20日裁決

請求人らが、相続により取得した建物の価額は、固定資産評価基準を基に財産評価基本通達に従って評価すべきであり、請求人の主張する不動産鑑定評価額には合理性が認められないとした事例(平成27年12月相続開始に係る相続税の各更正処分及び過少申告加算税の各賦課決定処分・一部取消し)

裁決事例集 第114集

ポイント

 本事例は、請求人が相続により取得した建物は、機能的、経済的観点から市場性が全く認められないため解体除去を要し、このことを前提として算定された不動産鑑定評価額が時価であるとの主張に対し、当該不動産鑑定評価額には合理性が認められないとした上で、固定資産評価基準が定める評価の方法によっては再建築費を適切に算定することができない特別の事情等は認められないから、同基準に従って決定した固定資産税評価額に依拠した相続税評価額は適正な時価であると判断したものである。

要旨

 請求人らは、相続により取得した家屋(本件家屋)及びその敷地(本件土地)について、本件家屋は、大改修を行っても収益性回復は困難で、機能的、経済的観点から市場性が全く認められないため、解体除去が必要であるとして本件家屋及び本件土地(併せて本件不動産)の最有効使用を判定した不動産鑑定士による鑑定評価書(本件鑑定評価書)には合理性があり、本件鑑定評価書に基づく価額が時価である旨、また、本件家屋の固定資産税評価額は一般常識からかけ離れた評価がされている旨主張する。
 しかしながら、本件家屋は、相続の開始時において、その一部が貸店舗や被相続人等の居宅として利用されていたことからすると、本件家屋には相応の経済価値があったと認められる。一方、本件鑑定評価書における最有効使用の判定に当たっては、不動産鑑定評価基準に定める現実の本件家屋の用途等を継続する場合の経済価値と本件家屋を解体除去した場合の解体除去費用等を適切に勘案した経済価値との十分な比較考量がされているとは認め難いことなどから、本件鑑定評価書に合理性があるとは認めるに足りず、本件土地の更地価格から本件家屋の解体除去費用を控除した本件鑑定評価書による価額が、本件不動産の時価を適正に評価したものであるとは認め難い。したがって、本件鑑定評価書に基づく請求人らの主張立証によって、財産評価基本通達の定めに従って評価した本件不動産の価額が時価であるとの事実上の推認を覆すには至らない。また、本件家屋の固定資産税評価額については、その価額を求めるに当たり、固定資産評価基準が定める評価の方法によっては再建築費を適切に算定することができない特別の事情又は固定資産評価基準が定める減点補正を超える減価を要する特別の事情は認められないから、固定資産評価基準に従って決定した固定資産税評価額が適正な時価であると推認される。ところで、当審判所の調査によると、本件家屋の固定資産税評価額は相続開始日前に遡及して一部減額されており、その減額前の固定資産税評価額に依拠した相続税評価額によりなされた原処分は、その一部を取り消すこととなる。

参照条文等

相続税法第22条

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令和元年5月29日裁決

請求人の主張する各種事情によっても、相続により取得した土地の財産評価基本通達の定めに従った原処分庁の評価額は時価であるとの推認を覆されないから、不動産販売業者が試算した価格によって評価することはできないとした事例

裁決事例集 第115集

ポイント

 本事例は、評価通達の定めに従って相続財産を評価したものと認められる場合には、当該評価額は事実上の時価と推認され、請求人において当該評価額が当該財産の客観的交換価値を上回るものであることを主張立証するなどして、上記推認を覆すことがない限り、当該評価額を時価と認めるのが相当であると判断したものである。

要旨

 請求人は、相続により取得した土地(本件土地)について、原処分庁が財産評価基本通達(評価通達)の定めに従って評価した価額(本件通達評価額)は、本件土地の客観的交換価値に影響を及ぼす各事情を看過しており、請求人が売買価格の見積りを依頼した不動産販売業者が試算した価格を上回ることから、時価を上回る違法がある旨主張する。
 しかしながら、評価通達の定めに従って相続財産を評価したものと認められる場合には、当該評価額は事実上の時価と推認され、請求人において当該評価額が当該財産の客観的交換価値を上回るものであることを主張立証するなどして、上記推認を覆すことがない限り、当該評価額を時価と認めるのが相当である。この点、本件通達評価額は、評価通達の定めに従っており、時価と推認されるところ、請求人の主張する各事情は、本件土地の客観的交換価値に影響を及ぼす事情とは認められず、不動産販売業者の試算価格も本件土地の客観的交換価値とは認められないことからすれば、本件通達評価額が時価であることの推認は覆えることはなく、本件通達評価額に時価を上回る違法はないが、原処分庁のした過少申告加算税の賦課決定処分は、過少申告加算税の加重分の計算に誤りがあることから、その一部を取り消すべきである。

参照条文等

相続税法第22条

参考判決・裁決

最高裁平成22年7月16日第二小法廷判決(集民234号263頁)

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