裁決事例 益金の額の範囲及び計算

裁決事例 益金の額の範囲及び計算

原文を表示
昭和60年4月30日裁決

リース会社からオフィスコンピュータをリースするに際して紹介手数料名義で受領した金員は雑収入ではなく借入金であると認定した事例

裁決事例集 第29集 88頁

要旨

 貸金業者である請求人がリース会社からリース契約によりオフィスコンピュータを導入するに際し、オフィスコンピュータの販売会社から紹介手数料名義で支払を受けた金員について、原処分庁は請求人の雑収入として益金の額に算入すべきであると主張するが、当該金員はリース会社及び販売会社の営業政策として請求人に対する融資目的で、販売会社がオフィスコンピュータの本体価格に、それを上回る融資相当額を上乗せしてリース会社に販売し、その販売代金のうち融資相当額を紹介手数料名義で請求人に交付したものであって、請求人は当該金員を借入金として経理し、これを元本の返済及び利息の支払についてはリース会社に対する支払リース料に含めていたものである。したがって、当該金員は、請求人の借入金であるのでこれを雑収入として益金の額に算入した原処分には誤りがある。なお、請求人は借入金元本の返済額をリース料として損金の額に算入している誤りがあるので、結果的に一部取消しとなる。

原文を表示
平成3年11月12日裁決

上場株式の相対取引による取引価額は、特段の事情がない限り証券取引所が公表した最終価格によるべきであるとした事例

裁決事例集 第42集 77頁

要旨

 請求人は、本件上場株式の相対取引の1株当たりの価格を一般に公正妥当と認められる時価すなわち証券取引所が公表した最終価格(公表価格)によらなかったことについて、特段の事情の存することの具体的主張と資料の提出をする必要があると解されるところ、請求人は証券会社に相談の上、公表価格から200円引きしたと主張するのみであるから、特段の事情があったと認めることはできず、本件相対取引の適正価格は、一般に妥当な本則に返って公表価格と認定せざるを得ない。
 なお、本件株式の公表価格がM&A目的下の価格であること及び大量注文を出せば当然下落することの事情については、単に憶測、仮定の域を出ず、かえって、本件株式の公表価格が本件取引日以降大勢として、常に当該公表価格以上を維持していた事実からすると、特段の事情に当たらないというべきである。

原文を表示
昭和56年12月22日裁決

会社更生法による評価益のすべてについて未実現利益であるから課税所得を構成しないとする請求の主張を退けた事例

裁決事例集 第23集 138頁

要旨

 更生会社が会社更生法第177条の規定に基づき義務的に財産の評価換えをしたことにより生じた評価益は、未実現利益であるから当該財産が現実に売却されるまでは益金の額に算入すべきではないと請求人は主張するが、かかる評価についてどの程度を課税の対象外とするのかは立法政策上の問題であり、現行法の適用に関する問題としては、当該評価換えによる益金のうち同法第269条第3項の規定により繰り越された欠損金相当額を越える部分については、当事業年度の益金の額に算入することは適法とされているので、請求人の主張は採用することができない。

原文を表示
昭和45年10月17日裁決

低額譲渡による土地の時価の算定に当たり不動産鑑定士の評価額を採用できないとした事例

裁決事例集 第1集 32頁

要旨

 土地の譲渡価額は、不動産鑑定士の評価に基づいたものであるとしても、その根基が抽象的で具体性と合理性を欠いているときは、これを採用することができない。

原文を表示
昭和58年9月29日裁決

借室の明渡しの際に借入金等名義で収受した金員を立退料と認定した事例

裁決事例集 第26集 119頁

要旨

 借室の明渡しの際にその賃貸人から収受した金員は、借入金並びに請求人が建築予定の自社ビルの一部を賃貸人が借りることとなる部分の保証金及び前受家賃であって、立退料ではないと請求人は主張するが、[1]金銭消費貸借契約書に記載されている返済期限後においても借入金を返済していないこと、[2]保証金及び前受家賃は、上記契約書上において賃貸人が請求人の自社ビル賃貸履行の有無にかかわらず返済義務を負わないこととされていること、[3]請求人は自社ビルの建築を具体化させていないこと、[4]受領した金員は他の賃借人の立退料の額と近似していることなどから、これらの金員は立退料と認められる。

原文を表示
平成9年11月14日裁決

債務者である代表者が債務超過に陥っているか否かの判断に当たり、代表者が所有する個々の資産、負債の評価は、代表者が所有する請求人の株式を含め、時価評価(純資産価額方式)によることが相当であるとした事例

裁決事例集 第54集 274頁

要旨

 請求人は、請求人の代表者は債務超過の状態にあり、同人に対する貸付金に係る利息は回収困難であるから、法人税基本通達2-1-25の(1)及び(3)に該当する旨主張するが、同通達の(1)及び(3)は、元本そのものが不良債権化したという場合であって、そのような危機的状況が生じているかどうかの一つのメルクマ-ルを「債務超過」に求めているものであるから、債務超過の状態は実質的に判断すべきであり、債務者の個々の資産及び負債を時価評価して債務超過の状態にあるか否か、また、債務者の支払能力の有無等を総合して客観的に判断すべきものと解される。
そこで、請求人の株式を純資産価額方式により評価して代表者の資産負債の状況を見ると、同人が到底債務超過の状況にあるとは認められず、しかも債務の大部分は請求人からのものであるから、貸付金の元本自体の回収が危機的状況にあるとは認められない。
また、同人は換金可能な土地等の不動産、株式を有していること等から、利息を支払えないことにつき客観的にやむを得ない事情、すなわち「相当の理由」があるとは認められないから、上記通達の(1)及び(3)に該当しない。

原文を表示
平成11年7月8日裁決

公益法人である請求人が債権未確定であるとして収益に計上しなかった本件賃貸料収入について、賃貸借契約が有効に成立していること等から収益に計上すべきであるとして請求人の主張を斥けるとともに、原処分庁が本件賃貸料収入を収益事業以外の事業のために支出したみなし寄附金に該当するとして行った更正処分について、本件賃貸料収入は収益事業以外の事業に支出したとする経理がなされていないので、原処分庁がみなし寄附金として所得金額を計算したのは誤りであるとした事例

裁決事例集 第58集 149頁

要旨

 公益法人である請求人は、本件賃貸料について、[1]賃借人は請求人の請求に対して、文書でその支払を拒否したこと、[2]請求人の所管行政庁は、賃借人の所管行政庁と協議しなければ本件賃貸料の支払について解決しない旨明言しており、その所管行政庁が賃借人を事実上経営、運営しているから賃借人は当事者能力がないこと、[3]請求人は、文書で本件賃貸借契約を解除する旨賃借人に通知したことから債権として法的に確定していないので、実際に収受するまでは課税対象とはならない旨主張する。
 しかしながら、[1]請求人と賃借人は、賃貸料の額を改定し又は新たに取り決めるなどして賃貸借契約書を作成したこと、[2]賃借人の理事会は本件賃貸料の支払を承認したこと、[3]賃借人は当該土地を事業用地として実際に使用していること、[4]平成8年3月期には一部ではあるが賃貸料の授受が行われ、その後も請求人は賃借人に対し本件賃借料を再三請求していることが認められることから本件賃貸借契約は有効に成立していると認められ、請求人のその他の主張には理由がないので、本件賃貸料は本件事業年度の益金の額に算入すべきである。
 なお、請求人は、本件事業年度の収益事業に係る確定決算において、本件賃貸料の額を収益事業以外の事業に属するものとして区分経理をしなかったのであるから、原処分庁が、本件賃貸料の額をみなし寄附金の額として法人税法第37条第2項の規定を適用して所得金額を計算したのは誤りである。
 しかしながら、同項の規定を適用しないで計算した本件事業年度の所得金額は、本件更正処分の額を上回ることから本件更正処分は適法である。

原文を表示
昭和56年6月29日裁決

土地の賃貸借に伴い地主に対して融資した貸付金の受取利息と支払地代を同額とした相殺取引を認容した事例

裁決事例集 第22集 114頁

要旨

 本件取引は、請求人が15億円を返済期間60年の長期貸付けさせることと関連させて、貸付先が請求人に対し土地を期間も同じく60年、大型店舗建設を目的とし賃貸借するものであり、前者の利息債権と後者の賃料債権を同額とし、将来にわたり、これをその都度個々に取り立てるような意思は毛頭なく、全額相殺勘定によることを当然のことと考えていたものであることが明らかであり、本件取引の実情及び契約の細部等に若干の疑問点が認められるものの、いずれの点も前示判断を左右するものではないから、本件取引については受取利息の額を益金の額に算入するのであれば、他方の同額の相対立する支払地代の額も損金の額に算入すべきであり、その一方の受取利息の額のみを益金の額に算入した原処分は失当である。

原文を表示
昭和51年6月9日裁決

売買価額が国庫補助金相当額を圧縮記帳した簿価相当額であっても低額譲受けに当たらないとした事例

裁決事例集 第12集 21頁

要旨

 中古建物の売買取引においては、公正な市場価額の認定が困難であるところから、減価償却後の簿価による方法も慣行として一般的に肯定されているが、中古建物の譲受けが国庫補助金相当額を圧縮記帳後の取得価額を基礎として減価償却した後の帳簿価額によってなされた場合においても、当該価額が実際取得価額(圧縮記帳前の価額)を基礎として減価償却の計算をしたところによる原処分庁の認定額及び鑑定価額と比し著しい開差がないこと並びに請求人が資産を取得した経緯等を併せ考慮すると、当該譲受価額は取得した時の時価として不相当であるということはできない。

原文を表示
平成15年2月12日裁決

建物建築工事の代金の一部について、裁判上の和解に基づき、工事施工業者から支払を免除された金額は、当該建築工事の瑕疵を理由とする工事代金の値引きではなく、債務免除益であるとした事例

裁決事例集 第65集 329頁

要旨

 請求人は、工事施工業者から支払を免除された本件金員は、実質的に、本件工事の瑕疵を理由とする本件工事代金の値引額として合意されたものであり、本件工事の瑕疵について、将来発生すると見込まれる補修費用を含めて、一切異議を申し立てないことを本件和解において確約したものである旨主張する。
 しかしながら、[1]和解金額は、請求人が本件工事に瑕疵があることを指摘するよりも前に提案されたものであり、その後、和解金額の支払方法について協議されたものの、和解金額自体は変更されることなく、本件和解条項に盛り込まれていることから、この和解金額は、本件工事の瑕疵による損害を見積もって計算されたものでないことは明らかであること、また、和解協議における各上申書の内容から、請求人がその支払能力を考慮して算定したものであり、工事施工業者も代物弁済よりも請求人が支払うことができる範囲で債権を回収することを選択して和解に応じたものと認められること、[2]本件和解条項において、本件工事の瑕疵及び将来発生すると見込まれる補修費用について何ら具体的な記載がないこと等から、本件工事の瑕疵により将来発生すると見込まれる費用が和解協議で問題とされたとは認められないこと、[3]仮に、請求人から、将来発生すると見込まれる補修費用について何らかの指摘がなされたとしても、当該補修費用についての具体的な金額及び資料は工事施工業者に提示されていないというのであり、工事施工業者が何らの資料の提示も受けないで、発生するかどうか不確実な補修を理由に本件工事代金の値引きに応じたとは到底考えられないことから、請求人の主張には理由がなく、本件金員が、本件工事の瑕疵を理由とする値引額として合意されたものとは認められない。

原文を表示
平成13年2月23日裁決

最低資本金を満たすために行った利益等の資本組入れに係る受取配当金について、確定申告書に益金不算入額及びその計算明細の記載がないこは「やむを得ない事情」には該当しないとした事例

裁決事例集 第61集 464頁

要旨

 請求人は、本件受取配当金の益金不算入の申告ができなかった原因は、本件増資法人が支払通知をしなかったことにあり、このことは法人税法第23条第6項に規定する「やむを得ない事情」に該当する旨主張する。
 しかし、この場合の「やむを得ない事情」とは、たとえば、風水害、地震、火災、法令違反の嫌疑等による帳簿書類の押収及びこれらに準ずるもの、即ち、外的要因によって、自己の力だけでは到底申告書の記載ができないような場合であって、自己の責めに帰すべき事情はこれに該当しないと解されるところ、請求人は、[1]本件増資会社の筆頭株主であり、かつ、請求人の代表者は本件増資法人の取締役であること、[2]本件増資に係る定時株主総会議事録には、請求人代表者の記名、押印があることから、確定申告書に益金不算入額及びその計算明細の記載がないことは「やむを得ない事情」には該当しないとした更正処分は適法である。

原文を表示
昭和54年10月15日裁決

株式の取得価額の算定に当たり、相続税財産評価通達の例に準じ類似業種比準方式と純資産価額方式との併用方式により算定したことは合理性があるとした事例

裁決事例集 第19集 73頁

要旨

 関連会社から取得した株式の受贈益の価額の認定に関し、当該株式の取得価額の算定について、法人税法上の評価方法とされている法人税基本通達の定めによることなく、相続税法上の評価方法によっていることが、不当であるか否かをみるに、非上場株式で気配相場のない本件株式のように他に時価を算定するに足る具体的な評価方法が見当たらない場合には、相続税法上の評価方法を一つの基準として法人税の計算が行われており、かつ、当該計算方法が特に合理性を欠くものとは認められないことから、原処分庁が当該株式の取得価額を相続税財産評価に関する基本通達の例に準じて類似業種比準方式と純資産価額方式との併用方式により算定したことには合理性が認められる。

原文を表示
平成12年10月31日裁決

請求人が作成した輸出承認申請書に記載された金額のみをもって、譲渡価額と認定することはできないとした事例

裁決事例集 第60集 375頁

要旨

 請求人が作成した輸出承認申請書の記載内容のみをもって、原処分庁は、請求人がフィリピンの現地法人あてに輸出した中古の機械装置は、輸出承認申請書の記載価額148百万円で譲渡されたと認められるから、その対価が増資の支払債務と相殺されているとしても、その譲渡益は111百万円であると主張するが、[1]請求人における当該機械装置の取得価額が72百万円であり、輸出直前の帳簿価額が18百万円であったこと、[2]フィリピン政府の輸入許可が、株式投資のための輸入で為替取引を伴わないものであることを前提としていること、[3]本件機械装置の輸出に関係した荷役業者との通信文書によれば、本件機械装置は現地法人への現物出資資産として手続きが進められてきたことが容易に読み取れるから、本件は、日本における現物出資そのものではないとしても、フィリピン政府当局から指摘された資本金不足を回避するため、本件機械装置の評価額を水増しして増資に係る払込み資産としたものと認めるのが相当である。そうすると、法人税法施行令第38条の規定により、時価を超える払込み価額はなかったものとされるところ、本件機械装置の時価は、その帳簿価額に相当する金額と認められるので、請求人は、この取引による譲渡損益は生じないから、原処分は取り消すのが相当である。

原文を表示
昭和56年3月20日裁決

化粧品の特約店等の店舗内に化粧品メーカー等が設置した広告宣伝用資産は無償貸与されたものではなく受贈益に該当するとした事例

裁決事例集 第21集 81頁

要旨

 請求人と化粧品メーカー等との間で締結されたコーナー設置契約に、契約が終了したときは各化粧品メーカー等に本件広告宣伝用資産を返還する旨の定めがあるとしても、当該契約は化粧品メーカー等が当該資産を請求人に贈与し、中途解約又は倒産等の一定の解除条件が成就した場合には当該資産を請求人から各化粧品メーカー等に返還するという内容を含んだ解除条件付贈与契約とみるのが相当であると認められることから、当該資産は請求人に無償で貸与されているものではなく、請求人が当該資産を贈与により取得したものとしてその経済的利益の額を益金の額に算入すべきであるとした原処分は適法である。

原文を表示
平成4年1月31日裁決

取引実例、買取実例等を基に総合的に判断して決めた取引相場のない株式の譲渡価格は適正と認められた事例

裁決事例集 第43集 206頁

要旨

 本件株式は、公開市場においては取引相場のない株式であるが、[1]本件株式会社の従業員持株会が一般株主から買い取った取引実例価格、[2]本件株式会社が単位未満株式の買取請求に基づいた買取実例価格及び[3]日刊新聞に掲載されている店頭気配値は、それぞれ客観的交換価値を反映しているものであるから、それらの価格を総合判断して決められた価格は、適正価格と認められる。

原文を表示
平成20年3月11日裁決

受取配当等の額から控除する負債の利子の額の計算においては、無配の関係法人株式等の帳簿価額も法人税法施行令第22条第2項第2号に規定する関係法人株式等の帳簿価額に含まれるとした事例

裁決事例集 第75集 297頁

要旨

 請求人は、受取配当等の益金不算入額を算出する際に受取配当等の額から控除する負債の利子の額について、請求人が実際に受領した配当等に係る関係法人株式等の帳簿価額と総資産の帳簿価額との割合を負債の利子の額に乗じて計算すべきである旨主張する。
  しかしながら、昭和40年の税制改正により、請求人が主張するひも付計算は廃止されており、現行法においては、期末に保有する全部の関係法人株式等の帳簿価額と総資産の帳簿価額との割合を負債の利子の額に乗じて計算することとされている。したがって、請求人の主張には理由がない。

原文を表示
昭和60年3月6日裁決

土地の売買代金圧縮額相当額の金員を請求人が取得したとする原処分庁の主張を排斥した事例

裁決事例集 第29集 76頁

要旨

 不動産業を営む請求人が、本件土地の売買の仲介に当たり売買代金の圧縮額相当額の金員を売主に支払わず請求人が取得したと原処分庁は主張するが、売主は請求人から当該金員を数回に分けて受領したと申し立てていること、売主が当該圧縮額相当額について所得税の修正申告書を提出し当該所得税の納税資金を自ら調達していること等の事実が認められ、他に請求人が当該金員を取得したと認定するに足りる証拠はなく、この点に関する原処分庁の主張は採用できない。

原文を表示
昭和60年6月21日裁決

建物の建築による日影補償費等を建物の賃借予定者に負担させたことは建築主がその賃借予定者から経済的利益の供与を受けたことになるとした事例

裁決事例集 第29集 97頁

要旨

 建物の建築による日影補償費等を建物の賃借予定者に負担させたことについて、建築主たる請求人は、契約書において賃借予定者が負担すべき旨を定めていることに基づいて負担させたものであるから、請求人が負担すべきものではなく、経済的利益の供与を受けたことにはならないと主張するが、日影補償費等は、本来土地の利用権者たる建築主が負担すべきものであるから、これを建物の賃借予定者に負担させたことは、同人から経済的利益の供与を受けたことになる。

原文を表示
昭和55年11月19日裁決

所有資産が主として土地である子会社の株式の価額の算定に当たり、土地を時価で評価して、純資産価額方式に準じて算定した価額を時価相当額と認定した原処分は相当であるとした事例

裁決事例集 第21集 89頁

要旨

 所有資産が主として土地である子会社の株式を特殊関係法人に譲渡した場合における譲渡価額の算定の基となった本件株式の評価額について、請求人における評価は、相続税財産評価に関する基本通達(186)に定める純資産価額方式により行われていることが認められるところ、その評価の基礎となる土地の価額をいわゆる路線価方式による評価額によることとしたのは適当ではなく、原処分庁が当該土地の通常の取引価額を基礎として純資産価額方式により算定した評価額をもって本件株式の時価と認定した原処分は適法である。

原文を表示
平成18年12月14日裁決

複数の借入金がある場合において、当該各借入金が貸付金の原資となっていると認められるときは、当該各借入金の利率を加重平均した利率をもって当該貸付金に係る通常の利率とすることに合理性があるとした事例

裁決事例集 第72集 382頁

要旨

 原処分庁は、所得税基本通達36-49《利息相当額の評価》について、個人の経済的利益を評価する際の定めであるから、法人の経済的利益を評価する際に直接適用することはできないが、当事者間で通常収受すべき利息相当額を計算するという目的からすれば、特段の事情のない限り、法人の経済的利益の評価に準用するのが相当であるとし、本件債権については、同通達の「その他の場合」の利率(利子税の特例基準割合と同率)を適用すべきである旨主張する。
しかしながら、金銭の貸付けに係る通常の利率については、貸主の借入状況や市中金利の動向等の事情を総合勘案して適正利率を算定することが原則であり、本件債権のように、借入金をもって貸し付けているが、いずれの借入金をもって貸し付けているか特定できず、かつ、借入金の利率が同一でないものについては、当該各借入金の借入利率に基づく平均借入利率をもって適正利率とすることに合理性があると解されるところ、当該各借入金の借入利率に基づいて算定した平均借入利率は、原処分庁が認定した利率を下回っている。したがって、原処分庁が適用した利率は採用できない。

原文を表示
昭和59年9月18日裁決

二輪車販売店のメーカーから無償で供与された資産は専らメーカーの広告宣伝を目的としたものではないとして受贈益を認定した事例

裁決事例集 第28集 163頁

要旨

 二輪車のメーカーが、その販売代理業を営む請求人の店舗に施工した内装設備等について、当該資産は、メーカーが一方的に設計施工したものであり、専らメーカーの広告宣伝用のものであって請求人に経済的利益の額はないと請求人は主張するが、当該資産は請求人がメーカーに要望して無償で取得したものであり、その使用状況等からみて請求人は便益を受けていると認められるので、当該資産のうちブラインドについてはメーカーの製品名等の表示があることからメーカー側の広告宣伝の目的も併せ有していると認められるので、その取得価額の3分の2に相当する額を、それ以外の資産については、その取得価額に相当する額を、それぞれ受贈益として益金の額に算入すべきである。

原文を表示
昭和63年12月15日裁決

土地の売買に当たり、契約書上売買当事者以外の第三者を介在させることにより、譲渡価額を圧縮したものと認定した事例

裁決事例集 第36集 84頁

要旨

 請求人及び請求人の代表取締役であるA(以下「請求人ら」という。)は、持分2分の1で共有する本件土地の譲渡先はE社であり、このことは、本件甲契約書(譲渡人を請求人ら、譲受人をE社、譲渡価額を148,247,190円とする昭和60年3月16日付の売買契約書)から明らかである旨主張するが、E社その他本件土地の売買取引に関係のある多数の者を調査したところによれば、E社は本件土地に係る売買の仲介人に依頼され、本件甲契約書及び本件乙契約書(譲渡人をE社、譲受人をD社、譲渡価額を207,744,390円とする昭和60年3月20日付の売買契約書)に譲受人及び譲渡人として押印したものであり、いわゆる名義貸しをしたにすぎず、本件甲契約書及び本件乙契約書は、Aが本件土地の譲渡利益を圧縮するために当該仲介人等に形式的な中間譲渡人を入れるように要求し、E社を形式的な中間譲渡人として作成されたものであって、本件土地は、請求人らが本件土地を直接D社に譲渡したものと認めるのが相当である。

原文を表示
昭和61年6月30日裁決

宝石の販売代金の一定割合の部分は買換え・買戻しの保証金として購入者から預かったものであるとする請求人の主張を退けた事例

裁決事例集 第31集 99頁

要旨

 請求人は、宝石の販売価額のうちその10パーセント相当額は、購入者との契約によりその宝石の買換え・買戻し等の際に清算する保証金として預かっているものであるから、債務であって販売収入ではないと主張するが、その保証金分を含めた金額を販売価額として正札に明示し、購入者もそれを購入代金と認識しており、保証金分を収受しないで販売した事例はないことや清算の実態等を総合判断すると、宝石の販売価額の全額を販売収入であるとした原処分は相当である。

原文を表示
平成18年9月8日裁決

有価証券の売買契約において、条件付で売買価額を決定し、条件不成就ならば代金の一部を返還することとしている場合、条件不成就により返還された金員は、譲受人に発生した損害の補てん金ではなく、売買代金の返還であるとした事例

裁決事例集 第72集 325頁

要旨

 原処分庁は、請求人が譲渡人との間で行った譲渡人保有株式の売買契約(以下、当該株式を「本件株式」といい、当該売買契約を「本件売買契約」という。)に基づき本件株式の売買代金の返還として譲渡人から受領した金員(以下「本件金員」という。)は、本件売買契約の締結時点ではその発生が不確実であった事象に基因して本件株式の価値が減少したことにより生じた損失に対する一種の補てんであり、受領した事業年度の益金の額に算入されるべきものである旨主張する。
 しかしながら、本件売買契約については、本件株式の売買時点において、本件株式の発行会社の予想利益及び既存債権のデフォルト見込額につき当事者間で合意をすることができなかったことから、本件株式の発行会社が所定の予想利益を達成し、かつ、既存債権が約定どおりに回収されることを前提条件として売買価額を設定し、当該前提条件の一方又は双方が満たされなかった場合には当該売買代金を減額する条件が付されたことが認められる。そして、そのような条件を付すことは、それが違法行為等となる場合を除き、当事者間で自由に決定されるものである。また、本件金員は、本件売買契約に基づいて算出された本件株式の売買代金の返還額であると認められる。
 したがって、本件金員が「損失に対する一種の補てん」であるとする原処分庁の主張は認められない。

原文を表示
平成24年8月15日裁決

請求人が子会社から受けた利益剰余金を配当原資とする剰余金の配当及び資本剰余金を配当原資とする剰余金の配当は、その全額が資本の払戻しによるものに該当するとした事例

裁決事例集 第88集

要旨

 請求人は、請求人の子会社からの利益剰余金を原資とする剰余金の配当及び資本剰余金を原資とする剰余金の配当について、会社法上別々の法律行為として成立しているのであるから、利益剰余金を原資とする剰余金の配当は法人税法第23条《受取配当等の益金不算入》第1項第1号の剰余金の配当に、資本剰余金を原資とする剰余金の配当は同法第24条《配当等の額とみなす金額》第1項第3号の資本の払戻しによるものにそれぞれ該当する旨、また、当該剰余金の配当の全額を同号に規定する資本の払戻しによるものとして取り扱うと、法人税法施行令第23条《所有株式に対応する資本金等の額又は連結個別資本金等の額の計算方法等》第1項第3号の「払戻し等に係る株式の総数」に、利益剰余金を原資とする剰余金の配当の対象となった種類株式数が含まれるため、種類株式ごとの対応が図れないこととなる点からも当該剰余金の配当の全額が資本の払戻しによるものに該当しない旨主張する。
 しかしながら、当該子会社は、剰余金の配当の原資となる利益剰余金及び資本剰余金を同一の効力発生日に同時に減少して剰余金の配当を行っているから、当該剰余金の配当は、その全額が資本剰余金の額の減少に伴うものに該当し、法人税法第24条第1項第3号に規定する資本の払戻しとして同条が適用されることとなる。また、上記「払戻し等に係る株式の総数」の「払戻し等」には同号の資本の払戻しが含まれ、当該剰余金の配当の全額が資本の払戻しによるものに該当するから、当該子会社から当該剰余金の配当の支払を受けた株主が所有する当該子会社発行済株式の総数が上記「払戻し等に係る株式の総数」となる。

参照条文等

法人税法(平成21年法律第13号による改正前のもの)第23条、第24条

原文を表示
平成元年3月6日裁決

交換により取引の相手方に譲渡した資産の価額は、交換契約において確定している交換取得資産の価額を基として算定すべきであるとした事例

裁決事例集 第37集 117頁

要旨

 請求人は、本件交換譲渡資産の譲渡の対価として、本件交換取得資産及び本件交換差金を取引の相手方から取得又は収受したものと認められるところ、本件交換譲渡資産の価額は、本件交換契約書の一部である付表に749,776,000円と記載されており、また、同額と評価した本件交換取得資産(受入れ交換差金を含む。)の価額も近隣類似土地の売買実例価額からみて相当であるから、本件交換譲渡資産は、その対価の額749,776,000円で譲渡としたものと認めるのが相当である。

原文を表示
平成28年3月25日裁決

残余財産の分配に係るみなし配当の額の計算における資本金の額は、確定決算において資本金として計上された金額を意味すると解するのが相当であるとした事例( 平23.8.1から平24.7.31の事業年度の法人税の更正処分、 平24.8.1から平25.7.31の事業年度の法人税の更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分、 平24.8.1から平25.7.31の課税事業年度の復興特別法人税の更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分・棄却)

裁決事例集 第102集

ポイント

 本事例は、外国子会社の残余財産の分配に係るみなし配当の額の計算における資本金の額は、確定決算において資本金として計上された金額を意味すると解するのが相当であるとしたものである。

要旨

 請求人は、外国の子会社(本件子会社)の残余財産の分配に係るみなし配当の額の計算において、法人税法施行令第23条《所有株式に対応する資本金等の額又は連結個別資本金等の額の計算方法等》第1項第3号でいう直前資本金額等は、請求人が本件子会社に払い込んだ米ドルで表示された金額に基づき算定すべきである旨主張する。
 しかしながら、直前資本金額等とは、残余財産の分配を行った法人の当該分配の直前の資本金等の額をいうものであるところ、資本金の額については、法人税法に資本金等として払い込まれた額又は法人の財務諸表に表示された額のいずれをいうのかを判断するための明確な定義が置かれていないことから、会社法における資本金の額、すなわち、確定決算において資本金として計上された金額を意味すると解するのが相当であり、本件における直前資本金額等は、本件子会社の貸借対照表に資本金として計上された人民元で表示された金額に基づき算定するのが相当である。

参照条文等

法人税法第2条第16号第23条第23条の2第24条 法人税法施行令第23条第1項第3号

原文を表示
平成元年5月26日裁決

請求人が前代表者から購入した土地の譲受価額は、その土地の時価に比し低廉であることから、時価と譲受価額との差額は受贈益として益金の額に算入されるとした事例

裁決事例集 第37集 153頁

要旨

 法人が資産を時価より低額で譲り受けた場合には、時価と譲受価額との差額について無償による財産の取得があったものとし、その譲受価額が時価より著しく低いか否かを問わず、益金の額に算入すべきものと解されるところ、本件土地の時価について、請求人の主張するホフマン式計算方法により算定することは、土地の評価方法として適当でなく、また、原処分庁の評価も、売買実例価額、精通者意見価格、公示評価を基に算定しているが、一部適当でない取引事例が含まれているなど適切でなく、審判所において算定したところ、70,982,700円と認められるから、この額と譲受価額30,000,000円との差額40,982,700円は請求人が実質的に贈与を受けたものとして益金の額に算入されるというべきである。

原文を表示
平成16年3月30日裁決

香港子会社による第三者株式割当てにより、請求人が所有する当該香港子会社の株式の資産価値の一部が無償で他社に移転したことは、当該第三者株式割当てが請求人の株主と割当先との合意に基づくものと認められることから、法人税法第22条第2項に該当し、益金の額に算入されるとした事例

裁決事例集 第67集 433頁

要旨

 請求人は、本件増資は、本件新株割当てを行ったE社(香港に設立された請求人の子会社)と本件新株払込みをしたH社の間の取引にほかならず、請求人は、H社と何らの取引をしておらず、実質的にみて、請求人が保有していたE社株式の資産価値の一部がH社に移転したとしても、それは請求人の行為によるものではないから、法人税法第22条第2項に規定する「資産の譲渡」又は「その他の取引」に当たらないと主張する。
 しかしながら、一般に株主は、株式を通じ、株式会社の資産を所有し、支配するのであり、清算を待つまでもなく、株式の移転を通じ、株式に表象された株式会社の資産価値を取得することができ、株式の価額は、額面金額ではなく、上場株式の場合は市場において定まる価額により、非上場株式の場合は、株式会社の資産の実態に基づいて評価される価額により定まると解される。
 法人税法第22条第2項に規定する「取引」とは、その文言及び規定における位置付けから、関係者間の意思の合致に基づいて生じた法的及び経済的な結果を把握する概念として用いられていると解するのが相当であるから、請求人が何ら対価を得ることなく、所有していたE社株式の資産価値の一部を喪失し、H社がこれを取得した事実は、それが両社の合意に基づくと認められる以上、法人税法第22条2項に規定する無償による「資産の譲渡」又は「その他の取引」に当たると認められる。

原文を表示
平成元年5月23日裁決

不動産業を営む請求人が不動産の販売について、他の不動産業を介在させることによって、販売代金の一部を除外していたものと認定した事例

裁決事例集 第37集 128頁

要旨

 [1]本件土地の売買交渉は、不動産業を営む請求人と最終取得者との間で行われ、その売買交渉により売買代金額を合意したものであり、[2]最終取得者及び仲介人は、請求人を本件土地の売主と認識して取引に臨んだことが認められる。また、[3]最終取得者が支払った土地代金は、すべて請求人が受領したことが認められ、しかも、[4]請求人の主張に係る中間に介在する不動産業者は、請求人の依頼を受けて自己の名義を貸したにすぎず、請求人と右業者との売買は架空の取引と認められる。さらに、[5]請求人と右業者との間の金銭借用書なる書面は、本件売買日以後に請求人が無断で作成したものと認められる。これらの事実によれば、本件土地は、請求人が最終取得者に対しその合意された売買代金額をもって譲渡したものと認めるのが相当である。

  •  
  •  
  •  
  •  
平成30年12月14日裁決

外国法人が株式会社である場合、外国子会社配当益金不算入制度の対象となる外国子会社に該当するかどうかは、「株式の数」により判断すべきとした事例(平成25年6月1日から平成26年5月31日までの事業年度の法人税の更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分、平成25年6月1日から平成26年5月31日までの課税事業年度の復興特別法人税の更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分・棄却)

裁決事例集 第113集

ポイント

 本事例は、法人税法施行令第22条の4第1項第1号の「株式又は出資の数又は金額」の読み方は、「株式の数」、「出資の金額」、「株式の金額」及び「出資の数」の四通りの組合せがあるが、外国法人が株式会社である場合、外国法人の経営判断への内国法人の支配力(影響力)を示すのは「株式の数」であるとしたものである。

要旨

 請求人は、請求人に剰余金の配当を行った海外法人(本件法人)が法人税法施行令第22条の4《外国子会社の要件等》第1項第2号に規定する要件を満たす外国子会社に該当するか否かは、「議決権のある株式の金額」等を判断基準とするものと解され、これによれば同号に規定する割合は100分の25以上となるから、当該配当を行った日において本件法人は外国子会社に該当する旨主張する。
 しかしながら、外国法人が株式会社である場合、外国子会社の判断基準は「株式の数」であると解するのが相当であるところ、これによれば本件法人の同項各号に規定する割合は、当該配当を行った日においていずれも100分の25未満であると認められるのであるから、本件法人は外国子会社には該当しない。

参照条文等

法人税法第23条の2第1項 法人税法施行令第22条の4第1項

原文を表示
平成30年9月12日裁決

請求人が裁判上の和解に基づいて受領した解決金は、株式の公開買付けの対象となった法人の不適切な会計処理に起因し、当該公開買付け等により請求人に生じた損害を当該法人の役員らが連帯して支払った損害賠償金と認められ、益金の額に算入されるとした事例( 平成27年4月1日から平成28年3月31日までの事業年度の法人税の更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分、 平成27年4月1日から平成28年3月31日までの課税事業年度の地方法人税の更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分・ 棄却)

裁決事例集 第112集

ポイント

 本事例は、裁判上の和解に基づく解決金の性質の検討に当たっては、和解調書に記載された条項の文言解釈が中心となることはもちろんであるが、一般法律の解釈と同様、文言とともにその解釈に資するべき他の事情、特に裁判上の和解であることからこそ、訴訟の経過等をも十分に参酌して、当事者の真意を探求してなされるべきであるとしたものである。

要旨

 請求人は、法人(本件法人)の株式を公開買付け等(本件公開買付け等)により取得した際に算定した株式価額について、本件法人において不適切な会計処理があったことから過大に算定していたとして、本件法人の代表取締役ら(本件役員ら)を相手に訴訟(本件訴訟)を提起した後、裁判上の和解(本件和解)により本件役員らから受け取った解決金(本件解決金)は、本件法人の代表取締役から本件公開買付け等により取得した株式(本件株式)の売買代金の減額調整金として支払われたものであり、株式の取得価額を減額すべきものである旨主張する。
 しかしながら、本件和解の和解調書の条項の文言は、本件解決金を支払うことになった理由を示したものであり、本件解決金が本件株式の売買代金の返還であるとの記載ではない。本件和解の協議においても、本件解決金が本件株式の売買代金の返還である旨の合意はなされていない。また、本件和解に至る経過等によると、①本件訴訟の請求は損害賠償請求であり、②本件法人の代表取締役以外の株主からも取得した全ての株式の取得対価の過大支払額を損害額として請求するとともに、③株式の取得対価とは異なる損害額(調査委員会費用、追加監査費用及び課徴金の損害額)についても請求し、④本件解決金の支払義務を負う者として本件法人の代表取締役のほか本件法人の役員が含まれ、⑤実際に本件法人の役員も本件解決金の一部を支払っていることから、本件解決金は、本件法人の不適切な会計処理に起因し、本件公開買付け等により請求人に生じた損害を本件役員らが連帯して支払った損害賠償金と認められることから、本件解決金の額は、益金の額に算入される。

参照条文等

法人税法第22条

原文を表示
平成14年5月21日裁決

譲受株式の時価と譲受価額との差額は益金の額に算入すべきであるとした事例

裁決事例集 第63集 269頁

要旨

 請求人は、相続税法第7条及び所得税基本通達40-2の取扱いを引用し、本件株式の時価と譲受価額との差額は「著しく低い」に該当しないから、受贈益が発生しない旨主張する。
 しかしながら、法人がある資産を時価より低額で譲受けた場合、時価と譲受価額との差額については無償による財産の取得があったものと考えられ、これを放置することは租税負担の公平を失することになるから、その差額について、法人税法第22条第2項により各事業年度の所得の計算上益金の額に算入すべきであり、この点において、法人税法と相続税法等との間に考え方の差異があるとしても、各々の租税の性質、目的等が異なる以上、やむを得ないものである。
 したがって、本件株式の時価と譲受価額との差額を益金の額に算入した原処分は、相当である。

原文を表示
平成5年4月30日裁決

土地の譲渡に当たり、架空の契約書及び架空の土地付建物の販売代理契約書を作成することにより、譲渡価額を過少に申告していたとした事例

裁決事例集 第45集 177頁

要旨

 請求人は、本件土地を譲渡するに当たりa契約書、b契約書及び土地付建物の販売代理契約書を作成しているが、a契約書及び土地付建物の販売代理契約書は請求人の依頼により作成された架空の契約書と認められ、本件土地の譲渡がb契約書により行われたにもかかわらず、架空の契約書を作成することにより、本件土地の譲渡価額の一部を販売代理報酬のごとく装い収益に計上し、本件土地の譲渡にかかる収益の額を過少に計上したことが認められる。

原文を表示
平成23年5月30日裁決

法人税法施行令第136条の4第1項の規定は、新たに設立された医療法人がその設立について贈与を受けた場合の課税関係について定めた規定であり、定款変更の方法により組織変更した場合には適用されないとした事例

裁決事例集 第83集

ポイント

 この事例は、定款変更の方法により、社団である医療法人で出資持分の定めのあるものから定めのないものへ組織変更したことが、法人税法施行令第136条の4第1項に規定する「設立」に当たるか否かが争われたものである。

要旨

 請求人は、定款を変更して組織変更し、社団である医療法人で持分の定めのあるものから持分の定めのないものになったことは、事実上、持分の定めのある医療法人が清算され、持分の定めのない医療法人として請求人が設立されたものといえることから、定款変更による組織変更の際に贈与を受けた土地(本件各土地)の価額は、法人税法施行令第136条の4第1項に規定する「医療法人がその設立について贈与を受けた資産の価額」に該当し、当該贈与があった事業年度の所得の金額の計算上、益金の額に算入されない旨主張する。
 しかしながら、法人税法施行令第136条の4第1項の規定は、社団である医療法人については、新たに設立された医療法人がその設立について贈与を受けた場合の課税関係について定めた規定であると解されるところ、請求人は、医療法施行規則第30条の39《持分の定めのある医療法人から持分の定めのない医療法人への移行》第1項の規定に基づき、定款変更の方法により持分の定めのない医療法人へ組織変更したものであり、従前の医療法人の解散、清算に係る各手続を経た上で新たに設立されたものではないから、本件各土地の価額は、法人税法施行令第136条の4第1項に規定する「医療法人がその設立について贈与を受けた資産の価額」には該当しない。

参照条文等

法人税法施行令第136条の4第1項 医療法施行規則第30条の39第1項

原文を表示
平成5年6月17日裁決

原処分庁の認定した土地の譲渡価額は過大であるとした事例

裁決事例集 第45集 189頁

要旨

 原処分庁は、国土利用計画法に係る土地売買等の届出の経緯、譲受人の取引銀行に対する融資申込みの状況、請求人の従業員の説明、譲渡代金及び建物請負代金の決済状況により、本件土地の譲渡価額は、472,226,000円(坪当たり700,000円)であると認定したが、譲受人の代表者の答述及び帳簿書類の記載事実等に照らし、本件土地の譲渡価額は、請求人の主張のとおり、不動産売買契約書に記載された404,766,000円(坪当たり600,000円)であると認めるのが相当である。

原文を表示
平成23年8月2日裁決

請求人が負担すべき給与を関連会社が負担したとは認められないことから、請求人に受贈益が生じていないとした事例

裁決事例集 第84集

要旨

 原処分庁は、請求人の関連会社(H社)が請求人の取締役に対して「褒賞金」の名目で支払った金員(第一金員)は、賞与として経理処理されているものの、当該取締役には当該関連会社の従業員等としての勤務実態はなく、当該取締役が当該関連会社に対し何らかの役務提供等を行ったという事実も認められないことから、請求人が支払うべき取締役に対する給与を当該関連会社が負担したものである旨主張する。
 しかしながら、当該取締役が当該関連会社に対して何らかの役務提供をしていないことは推認できるものの、請求人提出資料、原処分関係資料及び当審判所の調査の結果によって認定できる一切の事実をもってしても、第一金員が当該関連会社の取締役の地位にあることを理由に支払われたとまでいうことはできない。したがって、請求人が負担すべき給与を当該関連会社が負担したとは認められないから、請求人に受贈益が生じたとする原処分庁の主張は採用できない。
 一方、請求人は、請求人の各関連会社(L社及びK社)が請求人の各取締役に対して「永年勤続賞金」又は「褒賞金」の名目で支払った各金員(第二金員、第三金員及び第四金員)は、当該各関連会社と当該各取締役との間で交わした合意書(本件各合意書)に基づき、営業指導や情報提供を行ったことに対する対価として支払ったものであり、請求人が支払うべき給与を当該各関連会社が負担したものではない旨主張する。
 しかしながら、①本件各合意書は調査時に提出されておらず、調査時におけるその存在又は成立に疑義があり、信用できないこと、②当該各取締役が提供した役務は、請求人の業務の一環としてなされたものであって当該各取締役が個人として提供したものとは認められないこと及び③当該各金員の支払が当該各取締役の請求人における永年勤続表彰に関して支払われていることなどを総合すると、当該各関連会社において当該各金員を支払う特段の理由はなく、請求人が支払うべき給与を当該各関連会社が支払ったものと認めるのが相当である。したがって、請求人には受贈益が生じたものと認められる。

参照条文等

法人税法第22条

原文を表示
平成7年3月15日裁決

請求人が、代表者の借地権に係る立退料として代表者が受領したものである旨主張する金員は、請求人が譲渡した本件不動産(借地権と建物)の譲渡価額に含まれるとした事例

裁決事例集 第49集 293頁

要旨

  1.  請求人は、本件金員93,383,000円は、代表者の借地権に係る立退料であって、請求人に帰属するものではない旨主張するが、[1]本件不動産の譲渡価額は、当初、請求人と買主の間で本件金員を含む価額で合意していたこと、[2]国土法に基づく届け出は、[1]と合意価額でされたこと、[3]市長の指導により予定価格を変更したこと、[4]契約書は、変更後の価格で作成したが、当初の合意価額との差額は別途支払う旨の確約書が差し入れられていること、[5]本件金員は、代表者が受領し、領収書を発行しているが、市長の指導があった後、契約当事者を変更する合意があったとは認められないこと等からすると、本件不動産の譲渡価額は、当初に合意された価額が不変であったと判断される。
     そうすると、本件不動産の譲渡価額は、本件金員を含む1,134,000,000円となる。
  2.  また、請求人は、借家人である代表者に当然支払われるべき立退料があるはずである旨の主張をするので、立退料の損金認容につき判断する。
     代表者は本件建物に永年居住していたのであり、請求人が本件建物を譲渡するという請求人の事情により、これを明け渡すこととなったのであるから、何らかの支払があっても特に異とするにはあたらない。
     しかし、[1]本件金員は約1億円と多額であるところ、これを立退料として支払うという明確な意思は、代表者による買主からの受領まで認めることはできないこと、[2]その金額は、国土法に基づく市長からの指導による引下げ額と同額であり、これを立退料として支払うべき合理的な説明がなされていないこと等からすると、本件金員は単に市長の指導に基づく引下げ分を給付したものにすぎず、本件金員の立退料としての支払を相当とするものではない。
     また、請求人は、購入したマンションを権利金等なく賃貸していること及び引っ越し費用を負担していることからみても、これをもって立退料相当の経済的利益の供与は終了していると考えても不自然ではない。
原文を表示
平成7年12月21日裁決

本件土地の譲渡価額は、請求人の主張する不動産売買契約書(甲契約書)に基づく金額ではなく、これとは別に存在する不動産売買契約書(乙契約書)が真正なものと認められるから、同契約書上の金額から実測により減額された金額を差し引いた金額とするのが相当であるとした事例

裁決事例集 第50集 163頁

要旨

 本件土地の譲渡価額について、請求人は、不動産売買契約書(甲契約書)のとおり3,966万円であると主張するが、甲契約書とは別に、譲渡価額を5,020万円とする不動産売買契約書(乙契約書)が存在するところ、[1]買主代表者のメモに実測に基づき54万円を減額する旨の記載があり、5,020万円から同額を差し引くと4,966万円となること、[2]買主の帳簿上、本件土地の支払代金として4,966万円が支払われていること、[3]仲介手数料の額が4,966万円に見合うものと認められること及び[4]買主の代表者の答述によると、甲契約書は仲介業者から裏契約の話を持ちかけられて作成したものであることから乙契約書が真正なものと認められるので、本件土地の譲渡価額は乙契約書に基づく4,966万円とするのが相当である。

原文を表示
平成16年3月16日裁決

建物の譲渡価額の算定に当たり、リゾート地内に所在する特殊仕様の建物であることから鑑定評価を依頼し、この鑑定評価額を時価相当と判断した事例

裁決事例集 第67集 447頁

要旨

 請求人は、本件建物の譲渡価額は、一般市場における時価として適正なものである旨主張し、原処分庁は、本件建物は取得の日から5年半しか経っておらず、再取得価額は取得価額と同一であるから、その再取得価額に定率法により償却を行った場合の未償却残高が本件建物の時価である旨主張する。
 しかしながら、本件建物はリゾート地内にあり、同地内の不動産売買に関しては土地付建物に市場価値があり、建物だけでは売買の対象とならず、また、本件建物の用途が社員研修所又はモデルハウス等であって特殊性が認められるため、本件建物の価額を求めるためには、建物及びその敷地が一体として市場性を有する場合における市場価額から建物評価額を算出し、さらに本件建物自体の用途等の特殊性を考慮する必要がある。そうすると、原処分庁及び請求人が主張する価額算定方法には合理性が認められないので、当審判所で、不動産鑑定士に、本件建物自体の特殊性を前提にした鑑定を依頼し、提出された鑑定書について鑑定経緯等から検討したところ、相当と認められるので、当該鑑定評価額が本件建物等の「適正な時価」を示すものであると認定できる。

原文を表示
平成29年8月21日裁決

請求人の行った土地の売買取引について、請求人と最終取得者との間で売買契約が成立しているとは認められないとした事例( 平成24年11月1日から平成25年10月31日までの事業年度の法人税の更正処分、 平成24年11月1日から平成25年10月31日までの事業年度の法人税に係る重加算税の賦課決定処分、 平成24年11月1日から平成25年10月31日までの課税事業年度の復興特別法人税の更正処分、 平成24年11月1日から平成25年10月31日までの課税事業年度の復興特別法人税に係る重加算税の賦課決定処分、 平成25年11月1日から平成26年10月31日までの事業年度の法人税の更正処分及び重加算税の賦課決定処分、 平成25年11月1日から平成26年10月31日までの課税事業年度の復興特別法人税の更正処分及び重加算税の賦課決定処分、 平成25年11月1日から平成26年10月31日までの課税期間の消費税及び地方消費税の更正処分並びに重加算税の賦課決定処分・ 棄却、 一部取消し、 全部取消し)

裁決事例集 第108集

ポイント

 本事例は、請求人と中間取得者は、当該土地について売買する旨合意し、売買契約を締結したと認められ、また、中間取得者と最終取得者の売買契約も有効に成立しているものと認められるから、本件土地取引は請求人と中間取得者との間で有効に成立しているとしたものである。

要旨

 原処分庁は、請求人の行った土地の売買取引(本件土地取引)について、最終取得者の妻が中間取得者の担当者とは会っていない旨の申述をしていること等を理由として、請求人が中間取得者に売却した事実は認められず、最終取得者に対し売却されたものである旨主張する。
 しかしながら、中間取得者には、本件土地取引について包括的に委任していた者がおり、同人主導の下、請求人と中間取得者は、当該土地について売買する旨合意し、売買契約を締結したと認められる。また、最終取得者は中間取得者を売買契約の相手方と認識し、かつ、当該土地の売買代金が中間取得者に支払われていることからすれば、中間取得者と最終取得者の売買契約は有効に成立しているものと認められる。したがって、本件土地取引は有効に成立しているから、原処分の一部を取り消すべきである。

参照条文等

法人税法第22条第2項第37条第8項

【 税務法規集に掲載する法令等の情報に関する注意事項 】

  • 本サービスは、デジタル庁が管理するe-Gov法令検索のデータ、国税庁がホームページを通じて提供する通達等の情報および国税不服審判所の公表裁決事例・裁決要旨を利用しています。
  • 法律の専門家が分類・整理した情報を元に、プログラムで自動的に法令等を解析し、関連する情報を統合的に閲覧できるように再編集していますが法令等の内容については、明白な誤りや文字種の統一などの形式的な点を除き、変更しておりません。
  • 各法令等の施行日等の情報は法令等の名称の横にある マークのボタンからご覧いただけます。また、当該法令の元データにもその情報表示部分からアクセスすることができます。
  • 本サービスの提供者は、デジタル庁および国税庁とは関係がなく、またこれらの機関を代表するものでもありません。
  • 本サービスの提供者は、表示される情報に誤りがないように努めていますが、利用者による本サービスの利用に関する結果に対して一切の責任を負いません。