裁決事例 不納付加算税
所得税法第216条の納期の特例の承認を受けた者(納期の特例適用者)の納税告知に係る不納付加算税の計算の基礎となる税額は、その法定納期限までに納付されなかった税額、つまり、1月から6月まで及び7月から12月までの各期間に支払われた給与等に係る未納の源泉所得税額の合計額となるとした事例
裁決事例集 第53集 106頁
要旨
請求人は、納期の特例適用者であっても、各月の徴収税額を各期間の属する最終月の翌月10日ではなく、それぞれの月の翌月の10日に納付することもでき、各期間の属する最終月の翌月10日までに納付しない月があった場合には、各月ごとの未納源泉所得税額を基礎として不納付加算税額を計算すべきであるとし、請求人の不納付加算税額を各月の源泉所得税額を基礎として計算すると、各月の源泉所得税額は40,000円、不納付加算税の額は各月の源泉所得税額に不納付加算税の割合100分の10を乗じて計算した4,000円となり、同額は国税通則法第119条(国税の確定金額の端数計算等)第4項により全額が切り捨てられることになるので、本件不納付加算税の賦課決定処分は違法である旨主張する。
しかしながら、納税告知に係る不納付加算税の額は納税告知処分によって納税を告知された税額に100分の10の割合を乗じて算出されるのであって、このことは納期の特例適用者であっても異なるところはなく、納期の特例適用者について不納付加算税の計算の基礎となる税額の算定について異なる扱いをする旨定めた規定はなく、所得税法第216条(源泉徴収に係る所得税の納期の特例)は、同法第183条(源泉徴収義務)第1項に規定する法定納期限である徴収月の翌月の10日に代えて、1月から6月まで及び7月から12月までの各期間の属する最終月の翌月10日をもって法定納期限と規定したものであり、法定納期限として各月の翌月の10日を選択できることを意味するものではないと解される。本件端数計算規定は、税負担の公平に反しない限度において計算等の簡易化を図り、税務行政の能率化及び経済化に資しようというものにすぎないから、納期の特例の承認を受けているか否かで本件端数計算規定の適用を受けられるか否かに違いが生じることがあっても、そのことをもって公平さを欠くとまでは言い難く、納税告知処分に係る不納付加算税の額は納税告知処分によって納税を告知された税額に100分の10の割合を乗じて算出すべきであるとした原処分は相当である。
要旨
積雪寒冷地においては、冬季の天候不順による航空機の遅延・欠航等は通常発生し得るものであり、少なくとも週に一度以上航空機を利用する請求人にとっては、このことを考慮して、あらかじめ法定納期限内に納付できるよう必要な措置を家族ないし事務所員に指示しておくことは、社会通念上当然のことと認められるから、請求人が航空機の遅延によって源泉所得税を法定納期限までに納付できなかったことについては、国税通則法第67条第1項に規定する正当な理由がある場合に当たらない。
要旨
源泉徴収に係る所得税の不納付について、請求人は、ストリップショウの出演料について源泉徴収の必要はないとの税理士の説明をいったん信じたが、その後、同税理士独自の法解釈について疑義が生じたので、「ストリップショウの出演者に対する支払報酬、料金が所得税法第204条第1項第5号に規定する報酬、料金に該当するかどうかの取扱いが所轄税務署により異なることについて」なる上申書を原処分庁に提出していること等から、国税通則法第67条第1項に規定する正当な理由があると認められるので、本件不納付加算税の賦課決定は、これを取り消すのが相当である。
要旨
請求人は、形式的審査義務のみを負う源泉徴収義務者において、年末調整における従業員の住宅借入金等特別税額控除額(本件控除額)が過大となったことに気づくことは極めて困難であり、源泉徴収義務者の責めに帰すべき事由がないから、平成23年12月分の源泉所得税の不足額を法定納期限後に自主納付(本件自主納付)したことは国税通則法第67条《不納付加算税》第1項ただし書に規定する「正当な理由があると認められる場合」に該当し、平成24年7月分の源泉所得税の期限後納付について国税通則法第67条第3項が適用される旨主張する。
しかしながら、源泉徴収義務者として従業員から提出された事項に関して通常程度の注意ないし確認等を行いさえすれば適切に本件控除額の計算を行うことができたと認められるから、本件控除額が過大になったことについて、請求人の責めに帰すべき事由があるというべきであり、「正当な理由があると認められる場合」には該当しない。そうすると、本件自主納付は、国税通則法施行令第27条の2《期限内申告書を提出する意思等があったと認められる場合》第2項に規定する場合に該当せず、平成24年7月分の源泉所得税の期限後納付について、国税通則法第67条第3項の規定は適用されない。
参照条文等
要旨
原処分庁は、請求人が法定納期限を徒過して源泉所得税等を納付したことについて、当該納付は調査担当職員が実地調査の日程調整を依頼した際に行った源泉徴収義務の存否に関する発言(本件発言)を起因としたものであり、その後の調査が進行すれば告知に至るであろうことを予知して行ったものであるから、国税通則法第67条《不納付加算税》第2項に規定する「当該国税についての調査があったことにより当該告知があるべきことを予知してされたものでないとき」に該当しない旨主張する。
しかしながら、当該規定の適用に係る判断に当たっては、調査の内容・進捗状況、それに関する納税者の認識、納付に至る経緯、納付と調査の内容との関連性等の事情を総合考慮して判断するのが相当であるところ、調査担当職員が署内調査を行い、実地調査の日程調整を依頼した時点では、その後の調査の進行により、やがて納税の告知に至る可能性が高い状況にあったといえるものの、本件発言からは、具体的な取引内容や調査対象期間も示されず、そのため、請求人は署内調査の内容・進捗状況を具体的に認識していないと認められ、さらに、請求人が当該納付を自主的に行ったと認められるから、当該納付と署内調査との関連性も乏しいと言わざるを得ない。したがって、当該納付は、同項に規定する「当該国税についての調査があったことにより当該国税について当該告知があるべきことを予知してされたものでないとき」に該当する。
参照条文等
要旨
原処分庁は、請求人が賃借する店舗及びその敷地(本件店舗等)の賃貸人が非居住者となった日以後に支払った賃借料についての源泉徴収に係る所得税(源泉所得税)を法定納期限後に納付したことについて、請求人には本件店舗等の賃借料の支払の都度、当該賃貸人が居住者か非居住者かを確認する義務があり、請求人は、単にその確認を怠ったものであると認められるから、国税通則法第67条《不納付加算税》第1項ただし書の「正当な理由があると認められる場合」には当たらない旨主張する。
しかしながら、不動産の賃貸借等において、賃借料の支払の都度、居住者・非居住者の別を確認することを義務付けた明文の規定はなく、また、本件のように、賃貸人等との接触をほとんど必要としない取引について、そのような煩雑な手続を採ることが必要であるとするのは合理的でないというべきであるところ、請求人は、本件店舗等の賃貸借に係る取引において、当該賃貸人が非居住者に該当することになったことを直ちに知り得る状況になかったと認められ、源泉所得税の納付が法定納期限後となった原因は、当該賃貸人からの連絡が遅れたためであると認められるから、請求人には、真に納税者の責めに帰することのできない客観的な事情があったというべきであり、源泉所得税を法定納期限までに納付しなかったことについて、「正当な理由があると認められる場合」に該当するとするのが相当である。
参照条文等
要旨
源泉所得税の納付が遅延したのは、原処分庁から当納期分に係る納付書の送付がなく、また、納付書用紙は税務署等の窓口に備え付けてあることを全く知らなかったためであるから、国税通則法第67条第1項ただし書にいう「正当な理由」に該当するとの主張について、請求人へ送付した「年末調整用紙の配付及び年末調整説明会のお知らせ」状における記事及び請求人の代表者が自発的に原処分庁へ赴き、関係用紙の交付を受けたことがあること、さらに、原処分庁において通常実施している関係諸用紙の送付事務は、源泉徴収義務者に対するサービスの一環として行われているものであることからすると、請求人の「正当な理由」に当たるとする主張は失当である。
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