裁決事例 引当金
要旨
賞与支給規定に賞与の受給資格、支給期、支給対象期間、支給額の算定の根基が定められており、かつ、この規定により継続的に賞与の支給が行われている事実が認められる場合には、その規定が労働基準法による届出がされていないものであるとしても、その規定は法人税法施行令第103条第2項に規定する「賞与の支給に関する規程」に該当すると認めるのが相当である。
要旨
請求人は、申告後の臨時株主総会で承認された新計算書類において新たに損金経理が要件とされる貸倒引当金の繰入損等の損失を計上しているが、法人税法上当初決算を修正、変更した後の決算を「確定した決算」とみるかどうかについては、商法の規定による決議の無効若しくは決議の取消しに基づく決算の変更又は行政官庁の命令等特別な事由に基づく決算の変更があった場合以外には法人税法上の「確定した決算」は、依然として当初の決算を指すものと解されるところ、本件はこれら特別な事由に基づく決算の変更ではないから、請求人が新計算書類において、これらの損失を計上しても損金経理要件を充足したことにならない。
要旨
退職給与引当金勘定を有する請求人が、退職従業員の一部の者に退職給与を支給しなかったのは、当該従業員が会社の退職金規定及び就業規則による正規の手続を経ないで、無断退職したことに起因するものであるから、退職給与を支給しないことについて「正当の理由」があったと認めるのが相当である。
事業年度末までに担保不動産の競売が実行されて売却価額が確定している金銭債権の個別評価額の計算においては、競落価額から競売予納金を控除した額が担保権実行による取立見込額となるとした事例
裁決事例集 第79集
要旨
原処分庁は、法人税法施行令第96条第1項第3号に規定する、個別評価金銭債権の額から控除する「担保権の実行により取立て等の見込みがあると認められる部分の金額」とは、貸金等のうち担保物の処分見込額に相当する金額をいうものと解されることから、当該金額の計算上、競売予納金を控除すべきでない旨主張する。
しかしながら、本件各貸出金の担保不動産のうちq物件及びs物件については、事業年度末までに競売が実行され、売却価額が確定しており、申立債権者(請求人)にはその売却価額から債務者が負担すべき競売費用が優先的に償還され、担保権者である請求人にはその残額が配当されることになるが、債務者から競売費用相当額部分を回収する見込みがない本件各貸出金については、q物件及びs物件の担保権によって担保されている部分の金額は、その売却価額から競売費用相当額を控除した残額とみるのが相当である。そして、各執行裁判所は競売手続上の費用に充てるものとして合理的と認められる金額を競売予納金の額としていることからすれば、本件事業年度末において見込まれるq物件及びs物件の競売費用相当額は競売予納金の額とするのが相当であり、請求人自らが競売予納金の額を取立不能の競売費用相当額であると認識して担保不動産に係る担保権によって担保されている部分の金額を算出していることを踏まえると、本件事業年度末において本件各貸出金のうち「担保権の実行により取立て等の見込みがあると認められる部分の金額」については、q物件及びs物件の売却価額から両物件に係る競売予納金の額を控除した額とみるのが相当である。
参照条文等
要旨
法定申告期限までに提出のあった確定申告書に添付されている貸借対照表は、適法に成立した定時株主総会において承認されたものであり、その貸借対照表においては、退職給与引当金勘定の金額は、当事業年度開始の日における金額をそのまま計上し、また、価格変動準備金の計上はなく、これらの繰入れ額及び積立額の損金算入に関する明細等の記載もなかったが、その後、原処分庁が本件更正に係る調査に着手したころまでに、退職給与引当金については所定額を取り崩すとともに新たに所定額を繰入れ計上し、また、価格変動準備金については新たに所定額を積立て計上するなど、計算誤りを是正する修正決算書類を作成し、これを調査担当者に提出したとしても、これは確定申告において不備であった資料を整備していたことの域を出ないもので、これにより当初決算が左右されるとは認められず、当該繰入れ額及び積立額について損金経理をしていたとは認められないので、これを当該事業年度の損金の額に算入すべきでないとした原処分は正当である。
また、退職給与引当金勘定について、所定の取崩し額を調査により認定し、益金の額に算入するとともに繰入れ額は請求人が損金経理をしていなかったことなどの事実に基づき損金算入の要件を欠くとして当該繰入れ額を損金の額に算入しないこととした原処分も正当である。
要旨
特定現物出資により設立された請求人が、出資の対象となった事業部門に係る従業員の全員を転籍させて営業を開始した事業年度において、賞与引当金の繰入限度額の計算上、請求人とは別の法人格を有する親会社が支給し、かつ、親会社の繰入限度額の算定の基礎にされている賞与の額を、前1年間に支給した賞与の額に含めて法人税法施行令第103条第1項に規定する「前1年間の1人当たり賞与支給額」を計算することは、法の規定に反し認められない。
要旨
当該事業年度の確定した決算において、退職給与引当金勘定の金額を任意に取り崩して営業外収益に計上した場合に当該金額を申告調整の方法で当期利益から減算することは、退職給与引当金取崩し額を益金の額から減算することを認める法令の規定がない点や法人税法第55条第3項が退職給与引当金の任意取崩し額を益金に算入すべきことを規定している趣旨からみれば、法令の予定しないところであり、認められないと解するのが相当である。
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