裁決事例 申告、納付、還付、更正の請求の特例

裁決事例 申告、納付、還付、更正の請求の特例

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平成14年11月13日裁決

国内に住所及び居所を有しなくなった後に納税管理人の届出書が提出されても、所得税法上の出国をしたことになるから、出国後に提出された確定申告書は期限後申告とされるとした事例

裁決事例集 第64集 196頁

要旨

 請求人は、国税通則法第117条には納税管理人の届出期限が定められておらず、請求人は国内に住所及び居所を有しないこととなった時の後ではあるが、納税管理人の届出書を提出し、翌年3月15日までに確定申告書を提出しているのであるから、所得税法上の出国をしたことにならず、当該確定申告書は期限内申告書である旨主張する。
 しかしながら、所得税法上の出国に当たるか否かは、所得税法第2条第1項第42号の規定により、請求人が国内に住所及び居所を有しないこととなった時までに納税管理人の届出書が提出されたか否かで判断すべきであるところ、請求人はその時までに当該届出書を提出しなかったのであり、所得税法上の出国をしたことになるから、出国後に提出された本件申告書は期限後申告書である。したがって、請求人の主張は採用できない。
 また、請求人は、国内に住所及び居所を有しないこととなる時までに納税管理人の届出書が提出されるよう会計事務所に手配したが、会計事務所の担当者がたまたま出勤していなかったため、当該届出書は請求人が国内に住所及び居所を有しないこととなった時の後に提出されたとして、期限後申告となったことには国税通則法第66条第1項ただし書きの正当な理由がある旨主張する。
 しかしながら、請求人の主張する事情は、請求人と担当者又は会計事務所との間の問題にすぎず、申告書を法定申告期限までに提出することを不可能とする真にやむを得ない理由に該当するとは認められないから、請求人の主張は採用できない。

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平成9年4月15日裁決

社会保険診療報酬に係る不正請求金を、事業廃止後に支払った場合の更正の請求は、国税通則法第23条に該当せず、所得税法第152条による更正の請求をすべきであるとした事例

裁決事例集 第53集 115頁

要旨

 請求人は、社会保険診療報酬に係る不正請求について、不正請求金の返還請求と納入通知を受けた段階で債務が確定したのであるから、国税通則法第23条(更正の請求)第2項及び同法施行令第6条(更正の請求)第1項第1号又は第2号に該当し、返還請求を受けた全額について平成3年分及び4年分の更正の請求を認めるべきである旨主張する。
 無効な行為により経済的成果が失われた場合には、所得税法第51条(資産損失の必要経費算入)第2項及び同法施行令第141条(必要経費に算入される損失の生ずる事由)第3号の規定により資産損失に該当し、当該損失の生じた日が事業廃止後である場合は所得税法第63条(事業を廃止した場合の必要経費の特例)及び同法施行令第179条(事業を廃止した場合の必要経費の特例)の規定により、これをまず事業を廃止した年分の事業所得の金額の計算上必要経費に算入し、なお控除しきれない金額については所得税法第152条(各種所得の金額に異動を生じた場合の更正の請求の特例)により前年分にさかのぼって更正の請求ができることとされている。
 請求人は、事業廃止後に不正請求金の一部を返還しており、現実に返還した金額については、まず平成5年分の事業所得の金額の計算上必要経費に算入し、なお控除しきれない金額については所得税法第152条の規定を適用して平成4年分について更正の請求をすべきである。

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平成5年6月18日裁決

租税特別措置法第37条の11第1項に規定する上場株式等の譲渡による譲渡利益金額は個々の取引に係る譲渡利益金額であり、その支払がされる際に所得税を源泉徴収されることにより課税が終了し、確定申告をすることはできないとした事例

裁決事例集 第45集 132頁

要旨

 請求人は、租税特別措置法第37条の11第1項の規定(本件特例)の適用を受けて課税された所得税は、所得税法第120条第1項第5号に掲げる源泉所得税に該当するため、確定申告において、同項第3号に掲げる所得税の額から控除することができ、上場株式等の譲渡による譲渡利益金額は年間を通じての損益の通算もできる旨主張するが、本件特例に関しては、請求人が主張するような精算のための申告手続等についての別段の規定が存しないし、本件特例は暦年の所得金額いかんについてはこれを重要視することなく、源泉徴収のみをもって課税関係の終了を意図したものとみるのが相当であり、本件特例に規定する譲渡利益金額は個々の取引に係る譲渡利益金額と解すべきであって、これを年間を通じての譲渡利益金額等と解する余地はなく、その支払がされる際に所得税を源泉徴収されることにより課税が終了し、確定申告をすることはできないと解されるから、請求人の主張は採用できない。

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平成6年10月17日裁決

純損失の繰戻しによる還付請求書が確定申告書と同時に提出されなかったことについて、「やむ得ない事情」があったとは認められないとした事例

裁決事例集 第48集 112頁

要旨

 所得税法第140条第1項は、青色申告書を提出する居住者は、その年において生じた純損失の金額がある場合には、当該申告書の提出と同時に、所得税の還付を請求することができる旨規定し、この規定に関し、基本通達140・141-3では、還付請求書が青色申告書と同時に提出されなかった場合でも、同時に提出されなかったことについて税務署長においてやむを得ない事情があると認めるときは、これを同時に提出されたものとして所得税法第140条第1項の規定を適用して差し支えない旨定めている。
 この通達にいう「やむ得ない事情」とは、納税者の責めに帰すことのできないような特別な事情により、青色申告書の提出と同時に還付請求をなし得なかったと合理的に認められるような例外的な場合をいうのであって、いわゆる法の不知を含まないものと解するのが相当である。
 ところで、請求人は、[1]純損失の繰戻しによる還付請求が可能な期間を5年間であると考えていたことを及び[2]平成3年12月26日から平成4年4月上旬までA国に滞在していたため、平成3年分の確定申告期間中は日本国内にいなかったことから、還付請求書を同時に提出できなかったのであり、基本通達にいう「やむ得ない事情」に該当すると主張する。
 しかしながら、還付請求が可能な期間を5年間であると考えていたという請求人の法の不知は、上記のとおり「やむ得ない事情」に当たらず、また、上記の期間A国に滞在していたため、平成3年分の確定申告期間中は日本国内にいなかったという事情についても、請求人は、長男Cから純損失の繰戻しによる還付の制度があること、また、その制度の適用を受けるためには確定申告と同時に還付請求書を提出しなければならない旨の連絡を受けていながら、何らの確認や問い合せもしなかったことが認められるから、請求人の責めに帰すことのできないような特別な事情とは認められない。

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平成12年12月5日裁決

役員報酬を返還したことを理由として更正の請求ができるか否かが争われた事例

裁決事例集 第60集 335頁

要旨

 請求人は、株式会社の代表取締役であったが、同社の株主総会の決議に基づき役員報酬を返還したことは、所得税法施行令第274条第2号に規定する事実に該当し、更正の請求ができる旨主張するが、当審判所の調査によれば、本件役員報酬の支給につき、一定の場合は、これを減額し、又は返還するなどの特段の定めがあったとは認められず、結局、請求人は経営上の事情から任意に本件役員報酬を返還したものであり、これは、請求人が会社に対し、その財務体質を改善するため私財を提供する旨の新たな合意がなされたことによるべきであるから、請求人が本件役員報酬を返還したことは、取り消すことのできる行為が取り消されたことによるものとはいえず、同号に規定する事実に該当する旨の請求人の主張には理由がない。

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平成8年2月7日裁決

青色申告の対象となる業務を行っていない年分の譲渡損失は、純損失の繰戻しによる還付請求は認められないとした事例

裁決事例集 第51集 198頁

要旨

 請求人は、青色申告の承認を受けているのに平成5年中に青色申告の対象となる所得を生ずべき業務を行っていなかったことのみをもって、純損失の繰戻しによる還付請求を認めないのは不合理であり、還付すべきである旨主張する。
 しかし、請求人の平成5年分以後の所得税については、平成5年中に賃貸用不動産を譲渡した後は不動産所得を生ずべき業務を行っていた事実はなく、また、同年末日までに事業所得等に係る業務を開始した事実も認められないことから、請求人の青色申告の承認は平成5年分以後その効力は失われており、同年分の純損失につき繰戻しによる還付請求をすることは認められない。

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平成27年12月18日裁決

前年分の確定申告書に記載されていない退職所得に係る所得税の額を、純損失の繰戻しによる還付金の額の計算の対象とすることはできないとした事例(平成25年分の純損失の金額の繰戻しによる所得税の還付請求の一部に理由がない旨の通知処分・棄却)

裁決事例集 第101集

要旨

 請求人は、所得税法第140条《純損失の繰戻しによる還付の請求》は、純損失の繰戻しによる還付金の額の計算の対象となる所得税の額について、純損失が生じた前年分の確定申告書に記載した所得に係るものであることを要件とはしていないことから、前年分の確定申告書に記載されていない退職所得に係る所得税の額も対象となる旨主張する。
 しかしながら、純損失が生じた前年分の確定申告について青色申告書の提出が要件とされていることからすると、当該青色申告書に記載されていない退職所得に係る所得税の額を純損失の繰戻しによる還付金の額の計算の対象とすることはできない。

参照条文等

所得税法第140条

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