裁決事例 更正の請求

裁決事例 更正の請求

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昭和57年7月21日裁決

法人税法犯則事件の判決は国税通則法第23条第2項第1号にいう「判決」に該当しないとした事例

裁決事例集 第24集 1頁

要旨

 請求人に係る法人税法犯則事件判決は、検察官が修正申告と同額で主張、立証した課税標準に対して判断がなされたものであるから、国税通則法第23条第2項第1号にいう「判決」に該当し、同項に規定する「次の各号の一に該当する場合」に当たるとの請求人の主張について、同判決は、法人税法違反被告事件に対する刑事判決であって、課税標準等又は税額等の計算の基礎となった事実に関する訴えについてなされたものではなく、また、課税権の存否、範囲を確定する効力を有するものでもないので、同判決の理由で示された事実の認定が請求人が主張するような事情の下でなされたかどうかを判断するまでもなく、同項第1号にいう「判決」には該当しない。

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昭和56年3月3日裁決

申告後に改正された通達を根拠として法定の期限経過後になされた更正の請求は、不適法であるとした事例

裁決事例集 第21集 1頁

要旨

 原処分庁の申告指導により、昭和52年分の分離短期譲渡所得の金額について、譲渡資産の取得に要した借入金の利子を取得費に算入しないで確定申告をしたところ、その後の通達の改正により当該借入金利子は取得費に算入することに変更されたことに伴い、当該確定申告は過誤のあるものとなったが、その過誤につき請求人に何らの過失はなく、したがって、本件更正の請求は国税通則法第23条第2項の規定に基づく適法なものであるとすべきであり、仮に、当該更正の請求が期限後によるもので不適法であるとしても、原処分庁には申告の過誤を是正すべき職責があり、これをしないのは違法又は不当である旨の主張について、請求人の主張するような抽象的な基準の変更等の場合は、同項各号に規定するいずれの事由にも該当しないものと解されるから、当該更正の請求は不適法というべく、また、職権による更正を求めることは請求人の権利ではなく、これに応じない場合であってもそれが著しく正義公平に反するものでなければ、その不作為をもって直ちに違法とすることはできないものと解すべきであり、原処分庁が行った申告指導は、その当時においては、その解釈、取扱いは多数の判例によって支持されていたところであり、また、その後の改正による通達も、「今後処理するものからこれによることとする。」と定めており、それ以前の解釈、取扱いについては、それなりに正当なものであるとして肯定しているところであるから、原処分庁が職権による更正をしないとしても著しく正義公平に反する場合に該当せず、違法又は不当ではない。

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平成12年12月4日裁決

登録免許税及び不動産取得税を固定資産の取得価額に算入した会計処理の選択の誤りを理由とする更正の請求は認められないとした事例

裁決事例集 第60集 28頁

要旨

 請求人が、固定資産の取得に係る固定資産税精算金を損金の額に算入して申告したところ、原処分庁は、同精算金は取得した固定資産の取得価額に算入すべきものであり、損金算入できないとして更正処分を行った。これに対して、請求人は、当該申告に際して本来損金算入できる登録免許税及び不動産取得税を固定資産の取得価額に算入したことは会計処理の選択誤りであったとして、当該登録免許税等の額のうち更正処分の額について損金算入を求める更正の請求をしたものである。
 しかしながら、請求人は、登録免許税等を固定資産の取得価額に算入することを確定申告において選択しており、当該会計処理に誤りはなかったというべきであり、さらに、請求人が主張する会計処理の選択誤りは、国税通則法第23条第1項第1号により更正の請求が認められる場合に当たらないことは明らかであるから、いずれにしても請求人の主張には理由がないことになるから、当該更正の請求に対する更正すべき理由がない旨の通知処分は適法である。

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昭和56年4月17日裁決

調停により制限超過利息を残存元本に充当したことに伴い受取利息を減額したことは、更正の請求の後発的事由に該当しないとした事例

裁決事例集 第22集 1頁

要旨

 過年度の益金の額に算入した受取利息のうち、制限超過利息を本件調停により残存元本に充当したことに伴い受取利息の額を減額したことが、国税通則法第23条第2項第1号に規定する更正の請求ができる後発的事由に該当する旨の主張について、同項の規定は国税一般についての更正の請求の手続を一般的に定めたものであり、同項各号の一に該当することを理由として更正の請求がなされた場合には、個々の税法の課税要件の実体規定に基づいて課税標準等の変動をどのように取り扱うことが法律の規定に合致するか、その内容をよく吟味して判断すべきであるところ、現行の法人税法は、期間損益課税を建前とし、同法第22条第4項の規定により、一般に公正妥当な会計処理の基準に従って各事業年度の所得の金額の計算をするものとされ、後発的事由が生じた場合には、その事由の発生した事業年度の特別損失として「前期損益修正」の項目で会計処理をすることになり、一般にこの処理が定着しているものとみられるから、このような会計慣行を前提とする法人税法においては、後発的事由が生じたとしても、過年度にさかのぼって所得の金額を修正すべきではないと解するのが相当である。

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昭和61年2月27日裁決

贈与契約が解除権の行使によって解除されたことを理由としてなされた贈与税の更正の請求にやむを得ない理由があるとした事例

裁決事例集 第31集 1頁

要旨

 昭和49年に行われた本件宅地の贈与は、受贈者が贈与者である養父と同居して扶養することを条件とし、かつ、その同居及び扶養をしなくなったときは、その贈与はいつでも解除することができるという解除権留保付きの贈与契約に基づいてなされたものであったところ、請求人がその同居及び扶養をしなくなったことから、当該契約に基づいて昭和59年に当該贈与契約が解除され、本件宅地は養父の相続人に返還されたものであるから、その解除を理由としてなされた贈与税の更正の請求には、国税通則法第23条第2項第3号に定めるやむを得ない理由がある。

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平成2年6月25日裁決

還付申告書に係る更正の請求ができる期間は、法定申告期限から1年以内であるとした事例

裁決事例集 第39集 1頁

要旨

 法定申告期限前に提出された還付申告書に係る更正の請求については、法定申告期限前に提出された還付申告書以外の納税申告書に係る更正の請求の取扱い並びに国税通則法施行令第25条“延滞税の計算期間の起算日の特例”第3号及び第29条“還付金に係る決定等の期間制限の起算日”の各規定における還付申告書の取扱いとの均衡からみて、還付申告書以外の納税申告書の場合と同様に、法定申告期限から1年以内はこれを行うことができるものと解するのが相当である。

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平成25年1月17日裁決

「更正の申出に対してその更正をする理由がない旨のお知らせ」は国税に関する法律に基づく処分に該当しないとした事例

裁決事例集 第90集

要旨

 請求人は、更正の申出に対してその更正をする理由がない旨のお知らせ(以下「更正の申出に対するお知らせ」という。)の取消しを求めて審査請求をしている。
 しかしながら、更正の申出の手続は、更正の請求とは異なり、法令上の根拠に基づくものではないから、更正の申出に対するお知らせは、直接納税者の権利義務を形成し又はその範囲を確定するものではなく、単に、納税者からの減額更正を求める申出を契機として、税務署長が当該納税者の納税申告書に記載された課税標準等又は税額等を更正する理由がない旨を知らせるものに過ぎない。
 したがって、更正の申出に対するお知らせは、国税通則法第75条《国税に関する処分についての不服申立て》第1項に規定する「国税に関する法律に基づく処分」に該当せず、その取消しを求める本件審査請求は不適法である。

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平成8年10月31日裁決

不動産賃貸借契約の合意解除は国税通則法施行令第6条第1項第2号に規定する「当該契約の成立後生じたやむを得ない事情によって解除されたこと」に該当せず、更正の請求をすることはできないとした事例

裁決事例集 第52集 1頁

要旨

 国税通則法第23条第2項第3号を受けた同法施行令第6条第1項第2号に規定する「当該契約の成立後生じたやむを得ない事情」とは、法定の解除事由がある場合、事情の変更により契約の効力を維持するのが不当な場合(契約内容に拘束力を認めるのが不当な場合)、その他これに類する客観的理由がある場合を指すものと解されるところ、本件においては契約の効力を維持したとしても不当とはいえず、他に契約を合意解除せざるを得ない客観的理由があったとは認められないから、請求人の主張する合意解除の事情は、「当該契約の成立後生じたやむを得ない事情」に該当せず、国税通則法第23条第2項に基づく更正の請求をすることはできない。

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昭和62年6月16日裁決

土地売買契約解約条項を含む訴訟上の和解は当該土地譲渡所得金額の計算に影響を及ぼさないとした事例

裁決事例集 第33集 9頁

要旨

 請求人と買受人との間の本件土地売買契約は有効に成立し、履行され、更に買受人は、引渡しを受けた本件土地の造成工事を行っていることから、当該契約に関して取消し又は解除すべき事由は認められないので、本件土地売買契約を解約し、同時に再度売り渡す契約を締結する旨の請求人及び買受人間の訴訟上の和解の実質は、本件土地の売買を確認し、追加金を買受人が請求人に支払う合意が成立したものと解せられる。したがって、本件和解は本件土地譲渡所得金額の計算に影響を及ぼさない。

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昭和62年2月26日裁決

現金主義による所得計算の特例(所得税法第67条の2)を適用して事業所得の計算をした者が発生主義による所得計算と比較して税負担が不利益になるという理由による更正の請求をすることは認められないとした事例

裁決事例集 第33集 1頁

要旨

 現金主義による所得計算の特例の制度は、小規模な個人事業者のうちには発生主義によって所得金額を計算することになじめない者が多く、青色申告の帳簿書類の簡素化とあいまって設けられたもので、納税者の税負担の軽減を目的としたものではない。また、同特例を選択することは納税者の任意であるが、所得税法施行令第197条第2項により、その適用を受けることをやめようとする場合には、その年の3月15日までにその旨の届出書を提出しなければならない旨規定されているから、同特例を選択した場合、その適用をやめる手続を踏まなければ発生主義による所得計算をすることができないところ、請求人は係争年分について上記手続をしていない。したがって、請求人が係争年分の事業所得の金額を現金主義により計算したことは、所得税法の規定に基づいた適法な計算であり、当該計算に誤りがあったことも認められないから、更正の請求には理由がない。

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平成9年7月18日裁決

相続税法第32条第3号に規定する更正の請求をすることができる期間の起算日は、遺留分減殺請求訴訟の和解が成立した日であり、適法な期間内に提出された更正の請求を前提とした同法第35条第3項第1号の規定に基づく原処分も適法であるとした事例

裁決事例集 第54集 109頁

要旨

 請求人は、相続税法第32条第3号に規定する更正の請求をすることができる期間の起算日は、同条に定める「遺留分による減殺の請求があったこと」を知った日であり、本件においては、既に期間が徒過してなされた違法な更正の請求であることから、このような違法な更正の請求を前提としてなされた原処分も違法である旨主張する。
 しかしながら、同条に定める「遺留分による減殺の請求があったこと」を知った日の期間の起算日は、遺留分減殺請求訴訟の和解が成立した日と解されることから、本件更正の請求は適法な更正の請求であり、原処分庁が、本件更正の請求があったことにより相続税法第35条第3項第1号の規定に基づき原処分を行ったことは適法である。

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平成3年8月1日裁決

裁判所の関与なくなされた当事者間の合意は、国税通則法第23条第2項第1号の更正の請求の事由(判決と同一の効力を有する和解その他の行為)には該当しないとした事例

裁決事例集 第42集 1頁

要旨

 国税通則法第23条第2項第1号の「判決と同一の効力を有する和解その他の行為」とは、国家機関としての裁判所がする私人間の紛争の法律的解決のための民事訴訟手続等におけるものを意味し、かつ、これに限定されている。

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平成30年6月22日裁決

更正の請求を提出することができる者は、納税申告書を提出した者に限られ、第三者が債権者代位権又は取消権の行使として、更正の請求を提出することはできないとした事例(平成24年分贈与税に係る更正の請求に対してされた更正をすべき理由がない旨の通知処分・棄却)

裁決事例集 第111集

ポイント

 本事例は、国税通則法第23条第1項は、更正の請求をすることができる者として、納税申告書を提出した者と規定しており、その趣旨は、申告納税方式では、納付すべき税額は課税要件に関する事実関係に最も通じている納税者自らの申告により確定することが原則とされており、その税額が過大であった場合の是正手続も、納税申告書を提出した納税者自らが行うことが申告納税方式に適合するからであると解されるとしたものである。

要旨

 請求人らは、贈与税の申告書を提出した者に対し有する金銭債権を保全するため、債権者代位権又は取立権の行使として、更正の請求をすることができる旨主張する。
 しかしながら、国税通則法(平成27年法律第9号による改正前のもの)第23条《更正の請求》第1項は、更正の請求をすることができる者として納税申告書を提出した者と規定しており、その趣旨は、申告納税方式では、納付すべき税額は課税要件に関する事実関係に最も通じている納税者自らの申告により確定することが原則とされており、その税額が過大であった場合の是正手続も、納税申告書を提出した納税者自らが行うことが申告納税方式に適合するからであると解される。また、納税者の債権者等の第三者が更正の請求をすることができるとすると、更正をした場合には納税者の課税標準等又は税額等に係る情報を当該第三者に知らせることになり、国税通則法第126条及び国家公務員法第100条《秘密を守る義務》第1項に規定する守秘義務に抵触することとなるが、その解除を規定した法令は存在しない。したがって、国税通則法は更正の請求をすることができる者を、納税申告書を提出した者に限定していると解するのが相当である。

参照条文等

国税通則法第23条

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平成9年5月15日裁決

期限内又は期限後申告にかかわらず、当初の申告書が提出された場合には、その後に帳簿書類が押収されたとしても、国税通則法施行令第6条第1項第3号に規定する「やむを得ない事情」に該当しないとした事例

裁決事例集 第53集 78頁

要旨

 一般的に、国税通則法第23条(更正の請求)第2項第3号及び同法施行令第6条(更正の請求)第1項第3号は納税申告書を提出した者又は同法第25条(決定)による決定を受けた者が、帳簿書類の押収等の事情により、課税標準等又は税額等を計算することができなかった場合において、その後(ただし、納税申告書を提出した者については、同法第23条第1項所定の期間経過後に限る。なお、上記の者による上記期間経過以前の更正の請求は、同項によりすることができる。)、帳簿書類の押収等の事情が消滅した時は、同項の規定にかかわらず、上記事情消滅の時から2か月以内に更正の請求をすることができると規定しているのであって、上記規定は、納税申告書を提出した者については、その提出前に帳簿書類の押収等の事情が生じていたことを前提としており、その後(同法第23条第1項所定の期間経過後)、押収されていた帳簿書類の還付等により上記事情が消滅して、帳簿書類等に基づいて課税標準等又は税額等を計算することによって、帳簿書類に基づく計算をすることができなかった当初の申告に係る納付すべき税額が過大であったこと等が初めて判明した場合に、帳簿書類等に基づき計算した課税標準等又は税額等に従った更正の請求をすることを認めたものであり、期限内又は期限後申告にかかわらず、当初の申告書が提出された場合には、その後に帳簿書類が押収されたとしても、国税通則法施行令第6条第1項第3号に規定する帳簿書類の押収その他やむを得ない事情に該当しない。

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平成4年11月10日裁決

本件の訴訟上の和解は、国税通則法第23条第2項第1号の更正の請求の事由には該当しないとした事例

裁決事例集 第44集 12頁

要旨

 本件和解は、申告に係る課税標準等又は税額等の基礎となる事実に異動が生じたといえる内容ではないから、国税通則法第23条第2項第1号に掲げる「和解」には該当しない。

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昭和63年12月27日裁決

納税義務に係る課税標準等又は税額等の基礎となる事実について判断されていない確定判決を理由とする更正の請求は認められないとした事例

裁決事例集 第36集 5頁

要旨

 請求人が更正の請求の根拠とする確定判決は、請求人の納税義務に係る課税標準等又は税額等の計算の基礎となる共有持分の範囲、譲渡の有効性、代金等について何ら判断していないことが明らかであり、国税通則法第23条第2項第2号に定める「判決」には当たらないから、更正の請求には理由がない旨の通知処分に違法はない。

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平成元年12月5日裁決

課税土地譲渡利益金額の計算上控除される譲渡経費の算定方法につき、確定申告において概算法を採用したときには、後日、実額配賦法を採用して更正の請求をすることはできないとした事例

裁決事例集 第38集 1頁

要旨

 請求人が、課税土地譲渡利益金額の計算上控除される譲渡経費の額の計算に当たって概算法又は実額配賦法のいずれの方法を用いて申告するかは、専ら請求人の自由な選択にゆだねられているところ、請求人は、確定申告時において概算法を選択しているのであるから、仮に、その後、実額配賦法の方が譲渡経費の額が多くなるとしても、概算法による計算に誤りがない以上、国税通則法第23条第1項第1号に規定する「課税標準等若しくは税額等の計算が国税に関する法律の規定に従っていなかったこと」又は「当該計算に誤りがあったこと」のいずれの要件にも該当せず、したがって、同条に定める更正の請求をすることはできない。

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平成5年12月10日裁決

不動産売買契約の解除に伴う損失は当該契約解除のあった日の属する事業年度の所得金額の計算上、損金の額に算入すべきものであって、国税通則法第23条第2項の規定により、そ及して所得金額を減額修正することはできないとした事例

裁決事例集 第46集 6頁

要旨

 国税通則法第23条第2項の各号に該当する後発的事由が発生しても、個々の税法の課税要件の実体規定に基づき、課税標準等の変動をどう処理すべきかその内容を検討し判断すべきであり、後発的事由が同項の各号に該当することのみをもって当然に更正の請求ができると解すべきでない。
 不動産売買契約の解除に伴う損失は、法人税法第22条第4項の規定による一般に公正妥当と認められる会計処理の基準に従い、当該契約解除のあった日の属する昭和54年4月期の所得金額の計算上、損金の額に算入すべきものであるから、国税通則法第23条第2項の規定を適用し、当該売買契約が締結された昭和49年4月期にそ及して所得金額を減額修正すべきものではない。

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平成15年6月20日裁決

出資口の譲渡について、売買契約の要素に錯誤があるとして契約解除したことが、国税通則法第23条第2項に規定する「やむを得ない理由」に該当しないとした事例

裁決事例集 第65集 9頁

要旨

 請求人は、保有していた同族会社の出資口の譲渡について、本件売買契約に当たっては、譲受人に新たな課税関係が生じないことが重要な要素となっていたのであるから、重要な要素に錯誤があり、当該契約を解除したことが国税通則法第23条第2項に規定する後発的な理由に該当し、更正の請求ができる旨主張する。
 しかしながら、当該契約の要素の錯誤は、[1]当該契約は口頭で行なわれ、請求人の主張する事情が売買契約の条件として表示されていたものとは認められないこと、[2]当該契約の背景には次世代への事業承継及び経営基盤の安定があったものと認められること、[3]出資口の時価の算定方法は財産評価基本通達に明示されていることから、当該契約を成すに当たっての動機が民法第95条の規定により、当該契約の重要な要素として保護しなければならないものとまで解することはできない。そして、当事者の無効確認は、[1]価額があまりにも低いと贈与税等の問題が起きると認識しながらも財産評価基本通達によって評価をしていないのであるから、近隣の法人及び同業種の法人の株価などを参考にして実際の評価の7分の1の価格にしたことは評価方法の不知による個人的判断に基づく計算方法の誤りであって、[2]譲受人に新たな課税関係が発生しないことが本件売買契約の最重要な関心事であったとするならば不正確であることを自認しながら著しく低い価格で当該契約を成したのは法の不知であり、[3]原処分庁からの指摘後に当該契約無効の主張をしていることから、譲受人の贈与税の負担を免れるために行なわれた親族間における当事者の合意による契約解除であると認めるのが相当である。
 そうすると、この合意解除は請求人の個人的、主観的な事由によるものであって、国税通則法施行令第6条第1項第2号に規定する「当該契約成立後生じたやむを得ない事情」に当たらない。したがって、国税通則法第23条第2項第3号に規定する「やむを得ない理由」には該当せず、更正の請求ができる場合には当たらない。

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平成3年11月1日裁決

刑事判決は、国税通則法第23条第2項第1号に規定する「判決等」には当たらないとした事例

裁決事例集 第42集 7頁

要旨

 国税通則法第23条第2項第1号の「判決」は、申告等に係る課税標準又は税額等の計算の基礎となった事実についての、私法行為又は行政行為上の紛争を解決することを目的とする民事事件の判決を意味し、犯罪事実の存否範囲を確定するにすぎない刑事事件の判決は含まれない。

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平成4年12月2日裁決

少額配当等に係る更正の請求は認められないとした事例

裁決事例集 第44集 23頁

要旨

 いわゆる少額配当等を有する者が、少額配当等に係る配当所得の金額を除外したところにより総所得金額を計算して所得税の確定申告書を提出している以上、租税特別措置法第8条の5“確定申告を要しない配当所得”第1項の規定を適用したものとして取り扱われることとなるから、請求人が確定申告において、少額配当等に係る配当所得の金額を失念して申告額に含めなかったことは、国税通則法第23条第1項に規定する「申告書に記載した課税標準等若しくは税額等の計算が国税に関する法律の規定に従っていなかったこと又は当該計算に誤りがあったこと」という場合には該当しないこととなる。
 したがって、原処分庁が本件少額配当等に係る部分の配当について請求人からの更正の請求を認めなかったことは相当である。

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平成16年7月9日裁決

分離長期譲渡所得等について、保証債務の履行のための譲渡に関する課税の特例を適用すべきであるとしてなされた更正の請求に対し、確定申告書にその旨の記載がなく、また、その旨の記載がなかったことについてやむを得ない事情があるとは認められないとして、当該特例を適用することはできないと判断した事例

裁決事例集 第68集 23頁

要旨

 所得税法第64条第3項及び第4項によれば、同法第152条の規定による更正の請求をする場合を除き、確定申告書に保証債務の特例の適用を受ける旨の記載がある場合に限り本件特例の適用があり、確定申告書にその旨の記載がない場合にも、その旨の記載がなかったことについてやむを得ない事情があると認められるときは、本件特例を適用することができる。
 これを本件についてみると、本件申告書に本件特例の適用を受ける旨の記載がなく、また、その旨の記載がなかったことについてやむを得ない事情があるとは認められないから、本件特例を適用することはできない。
 そうすると、債務保証の事実、求償権行使不能の事実等の本件特例の適用を受けるための実体的要件の有無を判断するまでもなく、本件申告書に記載された課税標準等若しくは税額等の計算は、国税通則法第23条第1項第1号に規定する「国税に関する法律の規定に従っていなかったこと」又は「当該計算に誤りがあったこと」のいずれにも該当しないから、本件更正の請求には理由がない。

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平成9年6月3日裁決

国税通則法第23条第2項第1号及び相続税法第32条第1号に定める更正の請求は、請求人にいずれか有利な規定を適用することはできないとした事例

裁決事例集 第53集 59頁

要旨

  1.  請求人は、本件更正の請求は、国税通則法第23条(更正の請求)第2項第1号及び相続税法第32条(更正の請求の特則)第1号の両規定に基づく請求であり、それらの請求ができることとなった日は本件和解の成立した日の翌日からであるから、その請求の期限は、国税通則法第23条第2項の規定によるのではなく、請求人の有利な相続税法第32条第1号の規定によるべきである旨主張する。
     しかしながら、国税通則法第23条第2項第1号に規定する更正の請求事由と相続税法第32条第1号に規定する更正の請求事由は、その請求事由を異にしていることが認められ、また、相続税法第32条第1号に規定する更正の請求の特則は、相続税法特有の事由であることから、国税通則法第23条に規定する更正の請求の期限後においても後発的事由に基づき更正の請求を認めるために特例的に設けられた特別規定であることからみても、これらの規定は、それぞれ異なった事実関係において適用されるべきものであり、両規定に基づく更正の請求ができると解するのは相当といえない。
  2.  請求人は、本件土地を相続財産から除外すべきであると主張するが、本件土地を相続により取得した財産であるとした当初申告を是正するための更正の請求は、国税通則法第23条第2項第1号の規定に基づくものであり、本件更正の請求は、請求期限を徒過してなされた不適法なものであるから、相続税の課税価格の計算に当たっては、本件土地が相続により取得した財産であることを争い得なくなったことになる。
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平成5年12月13日裁決

相続税の確定申告書において、租税特別措置法第69条の3の適用を受けるために、いったん宅地を適法に選択した以上、後日、他の宅地への選択替えを求めて更正の請求をすることはできないとした事例

裁決事例集 第46集 1頁

要旨

 国税通則法第23条第1項第1号に規定する更正の請求は、納付すべき税額が、納税申告書に記載した課税標準等の計算が国税に関する法律の規定に従っていなかったこと等により過大であるときになしうるものであるから、所得計算の特例等の規定で、納税者に一定事項の申告及び選択等を条件としてその規定の適用を受けることをゆだねている場合に、いったん自由な意思でこれらの規定に従い、かつ、適法な計算に基づいて申告書を提出し税額を確定させたものは、後日その一定事項の申告及び選択等の内容を変更することを理由に更正の請求をすることはできないと解すべきである。
 したがって、相続税の確定申告書において、租税特別措置法第69条の3の適用を受けるために、いったん宅地を適法に選択した以上、後日、他の宅地への選択替えを求めて更正の請求をすることはできない。

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平成6年2月21日裁決

請求人が収受した立退料等に関する納税申告の適否に端を発して関与税理士が請求人を相手として提起した慰謝料請求等事件に係る判決の言渡し(請求人敗訴)があったことを理由に、当該立退料等につき租税特別措置法第37条の適用があるとしてなされた更正の請求には、理由がないとした事例

裁決事例集 第47集 1頁

要旨

 本件慰謝料請求等事件に係る控訴審判決は、請求人が収受した立退料等に関する納税申告の適否に端を発して、関与税理士が請求人を相手として提起した慰謝料請求等の訴訟に対する判決であるから、請求人の昭和59年分所得税の課税標準等又は税額等の計算の基礎となった本件立退料等に係る和解の効力ないし本件立退料等の性格について判断しているものではなく、国税通則法第23条第2項第1号に定める「申告に係る課税標準等又は税額等の計算の基礎となった訴えについての判決」に当たらない。
 したがって、本件更正の請求には、理由がない。

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平成9年11月6日裁決

不動産売買契約の和解に伴う損失は、当該和解のあった日の属する事業年度の所得金額の計算上、損金の額に算入すべきものであって、国税通則法第23条第2項の規定により、そ及して所得金額を減額修正することはできないとした事例

裁決事例集 第54集 46頁

要旨

 法人の所得の計算につき、法人税法第22条第4項は法人の当該事業年度の収益の額及び費用、損失の額について、いわゆる権利確定主義を採っており、それが一般に公正妥当と認められる会計処理の基準であるから、法人の所得の計算については、当期において生じた損失は、その発生事由を問わず、当期に生じた益金と対応させて当期において経理処理すべきものであって、その発生事由が既往の事業年度の益金に対応するものであっても、その事業年度にさかのぼって損金として処理しないというのが一般的な会計処理であるということができる。
 本件和解によって本件譲渡物件に係る譲渡代金が減額されたとしても、その損失額は、本件和解のあった日の属する平成7年10月31日から平成8年9月30日までの事業年度の損金の額に算入すべきものであり、本件事業年度の経理処理及び納税義務には何ら影響を及ぼさないことになるから、本件更正の請求は、課税標準等又は税額等が過大であるとの更正すべき実体要件を欠くものといわざるを得ない。

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平成6年5月31日裁決

土地の譲渡につき、当該土地の前所有者の買戻しの予約完結権を侵害したとして、損害賠償の訴えがあり、これを認める判決があっても、当該判決は、国税通則法第23条第2項に規定する「課税標準等又は税額等の基礎となった事実に関する訴えについての判決」には該当しないとした事例

裁決事例集 第47集 8頁

要旨

 請求人は、本件土地をBから購入価額と同額での買戻し条件付で購入したにもかかわらず、本件土地をCに売却し、そのためBから本件訴訟を提起されたところ、裁判所において、請求人がBの予約完結権を侵害したとして、Bが予約完結権を行使した場合に得ることができた利益相当額(時価から購入価額を控除した額)の損害賠償金を支払う責めがあるとのBの請求を認める本件判決があったものである。
 請求人は、本件判決により、損害賠償金を支払ったことにより、Cへの譲渡による利益を失ったのと同視すべきとして、国税通則法第23条第2項第1号に基づき更正の請求をした。
 しかし、本件訴訟の請求の趣旨及び本件判決は、Cへの譲渡に何ら影響を及ぼすものではないから、国税通則法第23条第2項第1号に規定する「課税標準等又は税額等の基礎となった事実に関する訴えについての判決」に該当せず、更正の請求は要件を欠くものである。

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平成9年5月27日裁決

消費税の仕入税額控除の計算を一括比例配分方式で申告したものについて、更正の請求において、個別対応方式に変更することはできないとした事例

裁決事例集 第53集 49頁

要旨

 請求人がいったん一括比例配分方式を選択適用して申告した場合には、仮に、その後において個別対応方式によって計算した仕入控除税額の方が一括比例配分方式によって計算した仕入控除税額を上回り、その結果、消費税の納付すべき税額が少なくなることが判明したとしても、請求人の本件申告書における仕入控除税額は、消費税法第30条(仕入れに係る消費税額の控除)の規定に従って誤りなく計算されたものである以上、国税通則法第23条(更正の請求)第1項第1号にいう「課税標準等若しくは税額等の計算が国税に関する法律に従っていなかったこと」又は「当該計算に誤りがあったこと」のいずれの要件にも該当せず、したがって、同条に定める更正の請求をすることはできない。

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平成24年3月8日裁決

相続税の連帯納付義務を免れるためになされた遺産分割協議の合意解除は、後発的な更正の請求事由の一つである「やむを得ない事情によって解除」された場合には当たらないとした事例

裁決事例集 第86集

ポイント

 この事例は、私法上、遺産分割協議の合意解除は認められているが、その目的が相続税の連帯納付義務を免れるためのものである場合には、後発的な更正の請求を認めた趣旨に照らして国税通則法施行令第6条第1項2号に規定する「やむを得ない事情」に当たるとは到底解することはできないと判断したものである。

要旨

 請求人らは、被相続人に係る遺産について、代償分割の方法による当初の遺産分割協議(本件当初分割)を行い、代償財産を取得することとなったものの、代償債務を負う者がその債務の履行をせず、更に請求人らに当該代償債務を負う者に係る相続税の連帯納付義務が課されたことから、債務不履行解除の意思表示をして本件当初分割を解除(本件解除)した上で、再度の遺産分割協議を行った結果、請求人らは何らの財産も取得しないこととなったことからすると、本件解除は、国税通則法施行令第6条《更正の請求》第1項第2項に規定する「解除権の行使によって解除され」た場合又は「契約の成立後生じたやむを得ない事情によって解除され」た場合に該当するから、本件各更正の請求は、国税通則法第23条《更正の請求》第2項第3号に規定する事由に基づくものである旨主張する。
 しかしながら、遺産分割協議は、債務不履行解除をすることができないから、本件解除は「解除権の行使によって解除され」た場合には該当しない。また、本件においては、本件当初分割を解除する合意と同時に再度の遺産分割協議を行ったということができるところ、本件解除は、請求人らにおいて、上記代償債務を負う者に係る相続税の連帯納付義務を免れることを目的としたものといわざるを得ず、このような合意をもって、国税通則法第23条第2項に規定する後発的な更正の請求が認められるならば、相続税の連帯納付制度そのものを否定するに等しいというべきであり、同項及び国税通則法施行令第6条が連帯納付義務を免れる目的でされた合意に基づく更正の請求を「やむを得ない事情によって解除」された場合として認めているとは到底解することはできないから、「契約の成立後生じたやむを得ない事情によって解除され」たものと認めることはできない。したがって、本件各更正の請求は、国税通則法第23条第2項第3号に規定する要件を満たさないものである 。

参照条文等

民法第541条 国税通則法第23条第2項第3号 国税通則法施行令第6条第1項第2号 相続税法第34条第1項

参考判決・裁決

最高裁平成元年2月9日第一小法廷判決(民集43巻2号1頁) 最高裁平成2年9月27日第一小法廷判決(民集44巻6号995頁) 東京地裁平成11年2月25日判決(税資240号902頁)

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平成10年4月24日裁決

土地譲渡益重課制度の適用除外に該当する旨の申告をしなかった場合には、同制度を適用して法人税額を減額することを求める旨の更正の請求は認められないとした事例

裁決事例集 第55集 16頁

要旨

 国税通則法第23条第1項第1号に規定する更正の請求は、納税申告書に記載した課税標準等若しくは税額等の計算が国税に関する法律の規定に従っていなかったこと等により過大であるときになしうるものであるから、所得計算の特例等で、一定事項の申告等を条件に所得金額、税額の減免をすべきものとされているものについて、その申告等をしなかった者は、後日その特例の適用を求めるために更正の請求をすることはできないと解すべきである。
 したがって、確定申告に際し、租税特別措置法第62条の3第4項又は第5項に規定する優良住宅地等のための譲渡等に対する土地譲渡益重課制度の適用除外に該当する旨の申告等をしなかった場合には、後日それらの規定を適用し、法人税額を減額すべきであるとする旨の更正の請求は認められない。

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平成8年4月24日裁決

当該和解は、当事者間に権利関係の争いがあったことを起因としてなされたものではないから、国税通則法第23条第2項第1号に規定する「判決と同一の効力を有する和解」には当たらないとした事例

裁決事例集 第51集 489頁

要旨

 請求人は、当初遺産分割協議に法律行為の要素に重要な錯誤があったので、本件起訴前の和解をしたのであるから、当該和解は、国税通則法第23条(更正の請求)第2項第1号に規定する「判決と同一の効力を有する和解」に該当するものであり、したがって、本件更正の請求は認められるべきであると主張するが、当初遺産分割協議は、請求人を含む相続人らの自由意思に基づき適正に行われたものと認められ、また、本件起訴前の和解は、もっぱら当初遺産分割協議後の当事者の事情によってなされたものであって、当事者間に権利関係の争いがあったことを起因としてなされたものではないことが認められるから、上記の条項に規定する「和解」には当たらない。

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平成12年4月26日裁決

後発的事由(判決)に基づく更正の請求に対して、請求人が申告当時、課税標準等又は税額等の計算の基礎となった事実に変更を来すことを予想し得たとして、重加算税の賦課決定処分を認容した事例

裁決事例集 第59集 1頁

要旨

 国税通則法第23条第1項に規定する期限徒過後に、課税標準等又は税額等の計算の基礎となった事実に関する訴えに対する判決により当該事実が申告と異なることとなった場合、納税者において、申告当時に、課税標準等又は税額等の計算の基礎となった事実に変更を来すことを予測し得た場合においては、同条第2項第1号に規定する判決には当たらないと解すべきである。
 これを本件についてみると、請求人は、相続財産である宅地及び建物を単独相続するに当たり、未分割の相続財産である本件小作権を将来解約する場合には、これに係る本件補償金を相続人全員に分配することを他の相続人らに約束し、さらに本件補償金を受領した当時においては、これを他の相続人らに分配する意思があったにもかかわらず、それを誠実に履行しなかったために、他の相続人らから本件小作権に係る遺産分割の調停の申立て及び不当利得返還請求等各訴訟が順次提起され、本件判決が確定して、本件補償金のうちの他の相続人らの相続持分に相当する金員を支払ったものであると認められる。
 そうすると、本件補償金に係る譲渡所得の確定申告時である平成3年3月の時点において、請求人は、本件補償金は他の相続人らにも分配しなければならないことをすでに認識していたこと及び本件小作権に係る訴訟が係争中であったことなどからみると、請求人は、本件補償金のうち、自己の相続持分に相当する金額のみが自己に帰属するものであることを十分に認識していた上、仮に、本件補償金の全額が自己に帰属するものとしてこれに係る譲渡所得の確定申告をすれば、後日、当該申告に係る課税標準等又は税額等の計算の基礎となった事実に変更を来すことを確定申告時には十分に予測し得たものと認められるから、本件判決は、国税通則法第23条第2項第1号に規定する判決には当たらないといわざるを得ない。
 したがって、本件判決を理由として本件更正の請求はできないから、本件通知処分は適法である。

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平成12年8月31日裁決

国税通則法第23条第2項ないし同法施行令第6条に規定のない納税者の主観的な事由は、同項の後発的事由に該当しないとした事例

裁決事例集 第60集 8頁

要旨

 請求人らは、無道路地に誤って付された路線価に基づき相続税の申告をしたため納付すべき税額が過大となったのであるから、請求人がこの誤りを知ったことをもって通則法第23条第2項に規定する後発的事由による更正の請求を認めるべきである旨主張する。
 しかしながら、通則法第23条第2項においては、第1号及び第2号で判決、和解、更正、決定といった外部的ないし客観的な事由を規定し、同項第3号の「やむを得ない理由があるとき」をこれらに類するものとしていることなどから、納税者の主観的な事由をもって、同項の後発的事由に該当すると解釈することはできないというべきである。したがって、「本件土地に平成9年分以降路線価が付されていないことを請求人が知った」という主観的な事由は、通則法第23条第2項のいう「後発的事由」に当たらないから、請求人の主張には理由がない。

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平成11年2月26日裁決

後日確定した代金の返還を事由とする更正の請求は認められないとした事例

裁決事例集 第57集 1頁

要旨

 請求人は、[1]代金請求時に重量計算の誤りがあり、代金の一部を返還したのであるから、更正の請求は認められるべきである、[2]原処分庁は法人税基本通達2-2-16を適用して更正をすべき理由がないとしているが、代金の返還は国税通則法施行令第6条第1項第2号に該当するから、更正の請求は認められるべきである旨主張する。
 しかしながら、[1]返還金を支払うことを確定したのは翌事業年度であるから、返還金に相当する損失は翌事業年度の損金の額に算入すべきであり、更正の請求の要件を欠くこと、[2]法人税基本通達2-2-16は、当期に発生した損失は既往の事業年度の益金に対応するものであっても当期の損失に計上するという、一般に公正妥当な会計処理の基準の考え方を表したものであることから、更正の請求の要件を欠いており、請求人の主張には理由がない。

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平成11年1月28日裁決

本件判決は、国税通則法第23条第2項第1号に規定する判決には該当せず、本件判決を基にして、同規定による更正の請求はできないとした事例

裁決事例集 第57集 11頁

要旨

 請求人は、自己が雑所得の金額の計算の基礎とした本件収入に関し、請求人の勤務先が法人税の課税標準の適否をめぐって提起した法人税更正処分等取消請求事件の訴訟において、本件収入は勤務先の取引先から同社が返還を受けたものと同視できるため、法人税の計算に当たっては同社の収入であると判示され本件判決が確定したことから、本件収入について請求人と勤務先との二重課税の状態を解消するため本件更正の請求をしたものであるが、国税通則法第23条第2項第1号に規定する判決とは、請求人の申告した課税標準等又は税額等の計算の基礎となった事実の得喪変更に関する訴訟に係る確定判決を意味するところ、本件判決は請求人の勤務先が提起した訴訟に係るものであるから、本件判決によって、請求人が本件収入について各年分の雑所得の金額の計算の基礎として申告している事実そのものが影響を受けるものではなく、同条の規定による更正の請求をすることはできない。

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平成13年6月27日裁決

ゴルフ会員権を購入した者からの届出債権が破産債権として債権表に記載されたことは国税通則法第23条第2項第1号に該当するとしてなされた更正の請求につき、当該届出債権は不法行為に基づくものであるから、同号に規定する「課税標準等又は税額等の計算の基礎となった事実に関する訴えについての判決」には該当しないとした事例

裁決事例集 第61集 1頁

要旨

 請求人(破産管財人)は、破産前の請求人(ゴルフ会員権販売代行業)を介して会員権を購入した会員がその購入代金相当額を裁判所に届け出、その届出債権が破産債権として確定した旨請求人及びゴルフ場経営会社双方の債権表に記載され、確定判決と同一の効力を有することになったこと(破産法第241条、第242条、第287条)は国税通則法第23条第2項第1号に規定する「課税標準等又は税額等の計算の基礎となった事実に関する訴えについての判決」に該当する旨主張するが、当該届出債権は会員からの不法行為による損害賠償に基づくものであるから、当該届出債権を裁判所に届け出た行為をもって、請求人と当該ゴルフ場経営会社との間で締結された会員募集業務委託契約等、課税標準等又は税額等の計算の基礎となった事実の存否、効力等を直接審判の対象とした訴えがされたと見ることはできないため、そもそも、その事実は国税通則法第23条第2項第1号に規定する「課税標準等又は税額等の計算の基礎となった事実に関する訴えについての判決」に該当せず、請求人の主張には理由がない。

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平成12年10月30日裁決

平成8年分の所得税の確定申告において、措置法第36条の6第1項の特例の適用を受けた結果、8年分と10年分の所得税の合計額が、適用を受けなかった場合の合計額よりも過大になったとしても、更正の請求はできないとされた事例

裁決事例集 第60集 1頁

要旨

 請求人は、平成8年分の所得税の確定申告において特定居住用財産の買換えの特例(以下「本件特例」という。)の適用を選択し、平成10年において本件特例の適用を受けた買換資産を譲渡したが、本件特例の適用を受けた場合の平成8年分と平成10年分の納付すべき税額の合計額が本件特例の適用を受けなかった場合の納付すべき税額の合計額に比較して過大となるから、更正の請求を認めるべきである旨主張するが、本件特例の適用を受けたことにより納付すべき税額が過大であったとしても、このことは、通則法第23条第1項第1号に規定する更正の請求事由に該当しない。

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平成12年6月26日裁決

遺贈の効力は認められるものの、請求人がその効力の有無について疑問を抱いたとしてもやむを得ない客観的な事情が認められるとして、遺贈に関する調停の成立により国税通則法第23条第2項第1号の規定による更正の請求を認めた事例

裁決事例集 第59集 14頁

要旨

  1.  本件遺言は、その文言からみる限りでは、[1]財産を与える旨の具体的な記載がないこと、[2]相続財産に属する特定の財産の処分でないこと、[3]本件遺言書の文言からみると継続的に金銭を給付する金銭債権の遺贈ともみられるが、必ずしも十分な記載がないこと、[4]仮に、継続的に金銭を給付する金銭債権の遺贈だとしても、いつまで金銭を交付すればよいのか、何ら給付期間に関する記載がないこと等遺贈としての効力を巡って、判断の分かれる余地が大きいものであると認めざるを得ない。
     ところで、遺言の解釈に当たっての基本的な考え方(最判昭和58年3月18日)を踏まえて本件遺言に係る遺言者である被相続人の真意を推認すると、被相続人は、本件受遺者に恩義を感じ、感謝の気持ちから、本件受遺者に相当額の財産を遺贈する意思を有していたことは確実であり、本件遺言は、本件受遺者を信頼し、屋敷、墓等の管理を依頼するため、将来にわたり受遺者の生活を安定させ得る程度の金銭を取得させる意図の下に記載されたものと認めるのが相当である。
     したがって、このような被相続人の真意を踏まえれば、本件遺言は、単なる被相続人の希望の表明と解するのは相当でなく、毎年金銭を継続的に給付することを内容とする金銭債権の遺贈と解するのが相当である
  2.  請求人は、相続税の期限内申告の時点で既に承知していた本件遺言書の内容に基づき、本件受遺者に対して実現すべき金銭債権の相続開始時の価額を評価し、それを相続財産の価額から控除して課税価格を計算すべきであったにもかかわらず、これをしなかったにすぎないのであるから、本件調停の成立によりその具体的な内容が確定したことを理由として、当然に国税通則法第23条第2項第1号の規定による更正の請求ができると解するのは相当ではない。
     しかしながら、遺言の解釈において、結果的には遺贈の効力を認めるべきではあるものの、納税者がその効力の有無につき疑問を抱いたとしてもやむを得ないと認められる客観的な事情が認められることにより、申告等の時点において、遺贈の実現義務の負担を確実には予想し得ず、相続財産の価額からその義務の金額を控除しないところにより課税価格を計算したことにつき納税者に責めを負わせることが酷と認められる事情が存する場合には、国税通則法第23条第2項第1号の規定による更正の請求を認めるのが相当である。
     本件遺言については、文言からみる限りでは、遺贈としての効力を巡って、判断の分かれる余地の大きいものであると認められ、原処分庁も、不確実なもので、そもそも遺言としての効力はないとの判断にたっていることを踏まえれば、請求人が、期限内申告の時点において、遺贈の実現義務の負担を確実には予想し得なかったとしてもやむを得なかったものと認められる。
     したがって、本件更正の請求は、国税通則法第23条第2項第1号に該当し、適法なものと解するのが相当である。
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平成12年4月28日裁決

合併無効の判決が確定しても遡及効はないから当該合併により発生したみなし配当には何ら影響がなく、更正の請求の要件を充足していないとして、請求人の主張を排斥した事例

裁決事例集 第59集 28頁

要旨

 商法第110条は、「合併を無効とする判決は合併後存続する会社又は合併に因りて設立したる会社、其の社員及第三者の間に生じたる権利義務に影響を及ぼさず」としており、合併無効の判決が将来に向かって合併を無効とする効力を有するに止まり、合併のときにさかのぼって合併を無効とするものではないことを規定している。
 そして、当該判決によって、合併後存続する会社又は合併によって設立した会社は、無効判決確定のときに将来に向かって合併前の数社に分けられ、同時に合併により消滅した会社は、将来に向かって復活することになる。
 また、上記規定は、商法第415条第3項において、株式会社に準用する旨規定しているから、ここにいう社員には株式会社における株主が含まれると解されている。
 これを本件についてみると、本件合併は、本件判決により無効とされ、そのことが確定したのであるが、本件判決の確定日の前日である平成11年4月3日までは有効であったのと同様にその効力を保持していたものであり、当該確定日以後において、合併前の状態に回復され、解散会社も当該確定日から将来に向かって復活するにすぎないのである。
 そうすると、本件合併は、合併の日にさかのぼって無効となるのではないから、当該合併に基づき行われた株式の割り当て交付及びそれによって発生した本件みなし配当には何ら影響がないといえる。
 したがって、本件判決の確定は、国税通則法第23条第2項第1号にいう「その事実が当該計算の基礎としたところと異なることが確定した」ことには該当せず、更正の請求の要件を充足していないというべきである。

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平成19年2月19日裁決

更正の請求で、住宅借入金等特別控除の適用を求めることはできないとした事例

裁決事例集 第73集 1頁

要旨

 請求人は、青色申告者からの更正の請求が認められない場合には、国税通則法第23条第4項及び所得税法第155条第2項の規定の精神を酌み、通知書に理由を附記すべきである旨主張する。
 しかしながら、国税通則法第23条第4項によれば、税務署長は、更正の請求があった場合には、調査の結果、更正をすべき理由がないと判断したときは、請求者にその旨を通知すれば足り、更正をすべき理由がない旨の通知書に理由を附記すべきことを定めた法令の規定はないから、本件通知処分に係る通知書に理由の附記がないことに違法はない。また、本件通知処分は、所得税法第155条第2項が前提とする同条第1項の更正処分とは法的に全く異なり、実質的にみても、所得税法第155条第2項が青色申告書に係る更正処分に理由附記を要求している趣旨は、納税者が提出した申告書の誤りを税務署長が指摘するときに理由附記を義務付けることにより、その慎重な処分を期するとともに、不服申立てに際しての判断材料を与えようとする点にあると解されるところ、国税通則法第23条第4項に基づく更正をすべき理由がない旨の通知処分については、納税者の更正の請求に対する応答としてなされるものであるから、上記の趣旨が当てはまるものではないと解される。
 したがって、請求人の主張は、法の要請を超える独自の見解であり、採用できない。
 また、請求人は、住宅借入金等特別控除の適用要件を実質的に満たしているから、国税通則法第23条第1項にいう課税標準等若しくは税額等の計算が国税に関する法律の規定に従っていなかったことに該当する旨主張する。
 しかしながら、申告納税方式における納税義務者は、申告行為によって具体的な租税債務を負担することになるが、納税者が申告をした後、その申告内容に変更を加える必要の生ずる場合があることは否定できず、このような場合にはその修正を認めるべきであるが、あらゆる場合にこれを自由に認めることは、申告の性格に照らして適当といえないのみならず、納税義務の具体的内容を不安定にさせ、行政を混乱に陥れる弊害もあるから、国税通則法第23条第1項は、これに一定の制限を加え、一定の期間内に限り特定の手続によってのみ是正することができるものとしたと解される。このような見地からすると、一定事項の申告等を条件に所得金額、税額の減免をすべきこととされているものについてその申告等をしなかった者が、後日その特例の適用を求めるために更正の請求をすることは、許されないと解することが相当である。それは、上記一定事項の申告等を付さないでした納税の申告といえども、法律の規定に従っていなかったり、計算に誤りがあったりしたわけではなく、実体的に不当であるとはいえないからである。
 これを本件についてみるに、住宅借入金等特別控除は、申告等を条件に適用され、所得税額が減免される規定であるところ、請求人は、平成17年分の所得税の確定申告を行うに当たり、同控除の適用を申告しておらず、本件更正の請求は、申告後に同控除の実体的要件を満たしているとして、その適用を求めようとしているものであるから、国税通則法第23条第1項による更正の請求ができる場合に該当せず、その理由がないというべきである。

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平成12年7月31日裁決

国税通則法第23条第2項第1号にいう「判決」に該当しないとした事例

裁決事例集 第60集 15頁

要旨

 国税通則法第23条第2項第1号に規定する「判決」は、当事者間に権利関係の争いがあり、その後の判決(判決と同一の効力を有する和解その他の行為を含む。)により申告等があった当時の権利関係と異なった権利関係が生じたような場合の判決を指し、請求の認諾があった場合もそれが調書に記載されると確定判決と同一の効力を有するので同様であるが、請求の認諾による結果が訴訟当事者間で当初から予定されていたもので、専ら租税負担を回避する目的で実体とは異なる内容のものは含まれないと解されるところ、本件の請求の認諾は、本件贈与税更正処分により、請求人及び贈与者が贈与契約の際に予定していたものより重い納税義務が生ずることが判明したため、本件贈与を実質的に合意解除し、専ら租税負担を回避する目的で錯誤を理由とする本件の贈与の無効確認訴訟を提起したうえで得たもの、すなわち実体とは異なるものであると認めるのが相当であり、また、本件贈与により請求人に生ずることとなった賃貸収入等の経済的利益が請求の認諾があっても消滅していないことも踏まえれば、本件の請求の認諾は、国税通則法第23条第2項第1号に規定する「判決」に該当せず、本件の更正すべき理由のない旨の通知処分は適法である。

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平成20年8月6日裁決

株主総会において支給が確定した退職金の一部を受領しなかったのは、相続人たる請求人らが退職金の支払義務の一部を免除したものであるから更正の請求は認められないとした事例

裁決事例集 第76集 1頁

要旨

 請求人らは、相続税の課税財産として申告した退職手当金等について、その算定根拠に誤りがあったことから相続税の法定申告期限後に減額され、一部しか受領していない旨主張する。
 しかしながら、株主総会における本件被相続人に係る退職金及び弔慰金の本件支給決議は、その議事録等から、定款の定めに従って満場一致で承認されていると認められる。また、取締役会議事録には本件被相続人に対する退職金の金額の計算根拠に誤りがあったと記載されているもののその誤りについて具体的な記載がなく、請求人らからも本件支給決議の際の意思表示に要素の錯誤があった等の主張はされておらず、当審判所の調査によっても、本件支給決議を無効ならしめるような事由は認められない。そうすると、D社が本件被相続人に係る退職金及び弔慰金を支給すること並びにその額は、本件支給決議によって確定したとするのが相当である。
 そして、請求人らが退職金の一部しか受領しなかったことについて、請求人らによる債務免除の意思表示があったとすれば、いったん有効に確定した退職金を遡及的に訂正して減額するのではなく、新たな法律行為により請求人らがD社の退職金の支払義務の一部を免除したものであると解するのが相当である。

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平成22年4月1日裁決

申告行為の無効は国税通則法第23条及び相続税法第32条の更正の請求の事由とすることはできないとした事例

裁決事例集 第79集

要旨

 請求人は、請求人の贈与税及び相続税の申告書はいずれも請求人が関知しないものであるなどとして、これらの申告書による各申告は無効であるから、贈与税及び相続税の更正の請求を認めるべきである旨主張する。
 しかしながら、贈与税及び相続税の更正の請求については、国税に共通の更正の請求の規定である国税通則法第23条第1項及び第2項と、贈与税及び相続税に特有の更正の請求の規定として相続税法第32条が規定されており、それ以外には規定はないところ、国税通則法第23条第1項各号に規定する更正の請求が認められる事由は、いずれも当該申告書に記載した、課税標準等若しくは税額等(第1号)、純損失等の金額(第2号)及び還付金の額に相当する税額(第3号)の計算が国税に関する法律の規定に従っていなかったこと又は当該計算に誤りがあったこととされており、当該申告書及びその申告自体が無効であることは更正の請求の事由とされていない。
 また、国税通則法第23条第2項各号に規定する事由も、その申告の基礎となった事実に関する訴えについての判決等により当該基礎となった事実が申告と異なることとなったこと等であり、いずれも、その申告自体が無効であることは更正の請求の事由とされていない。
 さらに、相続税又は贈与税の申告書を提出した者に係る更正の請求の特則である相続税法第32条に規定する更正の請求が認められる事由も、同条各号のいずれかに該当する場合であって、かつ、その申告に係る課税価格及び相続税額又は贈与税額が過大となったときとされているので、その申告自体が無効であることは、更正の請求の事由とされていない。
 したがって、請求人が主張する「申告の無効」はこれら更正の請求の事由には該当しないので、「申告の無効」を事由とした更正の請求はいずれも不適法であり、請求人の主張は採用することができない。

参照条文等

国税通則法第23条第1項第2項 相続税法第32条

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平成14年10月2日裁決

相続により取得した財産に係る相続開始前における賃借権の取得時効の完成、賃借権の取得という事実が判決により後発的に確定した場合、当該判決は、取得時効の完成の確定という意味において、国税通則法第23条第2項1号にいう「判決」に当たり、当該事情は当該財産の評価上、しんしゃくすべきであるとした事例

裁決事例集 第64集 1頁

要旨

 本件において、請求人は、相続により取得した本件土地に係る立退請求訴訟において、同土地の耕作者から賃借権の取得時効を援用されたがそれを争い、同土地を何らの負担のない自用地として評価し、申告していたところ、相続開始前における賃借権の取得時効の完成を認定し、賃借権の取得を認容した本件判決が確定したものであるから、同判決は、請求人が申告に当たり本件土地の評価の基礎とした事実(何らの負担のない)と異なる事実、すなわち、相続開始時に取得時効が完成していたという事実が確定されたという意味において、国税通則法第23条第2項第1号にいう「判決」に当たり、そして、当該事情は、本件土地の評価上、しんしゃくされるべきであるから、本件判決が同号の「判決」に当たるとしてなされた本件更正の請求には、理由がある。

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平成23年3月1日裁決

個別対応方式における用途区分の方法に誤りがあったとしてされた更正の請求について、確定申告において採用した用途区分の方法に合理性がある場合には、国税通則法第23条第1項第1号の適用はないとした事例

裁決事例集 第82集

要旨

 請求人は、消費税法第30条《仕入れに係る消費税額の控除》第2項第1号の規定(個別対応方式)の適用に当たり、医薬品の課税仕入れに係る消費税額の用途区分の方法について、課税資産の譲渡等と課税資産の譲渡等以外の資産の譲渡等に共通して要するものに区分すべきところ、課税仕入れの都度、課税資産の譲渡等以外の資産の譲渡等にのみ要するものに区分した上で、課税期間の末日の決算修正により、当該課税期間の医薬品に係る課税売上げの額に基づいて課税資産の譲渡等にのみ要するものと課税資産の譲渡等以外の資産の譲渡等にのみ要するものとに区分したために、納付すべき消費税及び地方消費税の額を過大に算定する誤りがあったのであり、国税通則法第23条《更正の請求》第1項第1号の規定の適用がある旨主張する。
 しかしながら、個別対応方式が適用される場合に、用途区分の方法に誤りがあったとして同号の規定が適用される場合とは、申告当時に納税義務者が採用した用途区分の方法に合理性がなく、合理性のない用途区分の方法を採ることによって納付すべき消費税等の税額が過大となる場合をいい、他の合理的な用途区分の方法を採っていた場合と比較して単に納付すべき消費税等の税額が過大となる場合をいうものではないと解するのが相当であるところ、請求人が行っていた用途区分の方法は、医薬品の課税仕入れについて、その課税売上対応分を個別に把握可能な課税売上げに係る医薬品名及び数量又は金額を基準として、売上実績に基づいて区分する方法であり、合理性があると認められることから、国税に関する法律の解釈適用についての誤りがあった場合には該当せず、また、当審判所が請求人の納付すべき消費税等の税額を算出したところ、その計算過程に誤りがあった場合にも該当しない。したがって、国税通則法第23条第1項第1号の規定の適用はない。

参照条文等

国税通則法第23条第1項 消費税法第30条第2項

参考判決・裁決

最高裁昭和62年11月10日第三小法廷判決(昭和60年(行ツ)第81号) 平成22年5月17日裁決(裁決事例集No.79)

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平成15年9月5日裁決

株式の売買代金が時価相当額より低額であるとして類似業種比準価額方式により評価し、売主に対して所得税更正処分等、買主に対して法人税更正処分等がそれぞれなされた場合において、売主側が提起した所得税更正処分等取消訴訟において当該処分等の取消判決が確定しても、買主側は国税通則法第23条第2項第1号に基づく更正の請求をすることはできないとした事例

裁決事例集 第66集 9頁

要旨

 請求人は、株式の売主側が提起した所得税更正処分等取消訴訟において株式の評価方法が否定されて取消判決(以下「本件判決」という。)が確定したことから、本件判決が国税通則法第23条第2項第1号に規定する判決に該当するとして本件更正の請求をしたものであるが、同項に規定する判決とは、申告等に係る課税標準等又は税額等の計算の基礎となった事実の得喪変更に関する訴訟に係る判決を意味するところ、本件判決は、株式の売主側が提起した所得税更正処分等取消訴訟についてなされた判決であり、本件判決によって、株式の買主である請求人に対する法人税更正処分等に係る課税標準等又は税額等の計算の基礎となった事実そのものを左右するものではないから、同項の規定による更正の請求をすることはできない。

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平成24年5月29日裁決

報酬金額が事業所得の総収入金額と給与所得の収入金額とに二重計上されているとして更正の請求を認めた事例

裁決事例集 第87集

要旨

 原処分庁は、請求人が提示した書類等だけでは、社会保険労務士報酬(本件金員)が事業所得の総収入金額と給与所得の収入金額とに二重計上されていること、及び請求人の事業所得の金額がいくらであるかを認定することができないから、更正の請求は認められない旨主張する。
 しかしながら、当審判所の調査の結果によれば、本件金員が事業所得の総収入金額と給与所得の収入金額とに二重計上されていること、及び本件金員が事業所得に係る収入金額であることが認められ、当審判所において請求人の総所得金額及び還付金の額に相当する税額を算定すると、総所得金額は更正の請求の額と同額となり、還付金の額に相当する税額は更正の請求の額を上回るから、本件通知処分はその全部を取り消すべきである。

参照条文等

国税通則法第23条第1項

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平成15年7月18日裁決

社会福祉法人の理事が県等から不正受給した補助金の一部を当該法人からの賞与とした所得税の申告について、当該不正受給に係る刑事事件の判決の確定を理由として更正の請求をすることはできないとした事例

裁決事例集 第66集 19頁

要旨

 A会の理事であった請求人は、請求人を被告とする刑事事件の判決が、請求人がA会の施設建設工事費を水増し請求し、県等から補助金を不正に受給した疑いについての審理を訴因とするものであり、原処分庁が当該補助金の一部を請求人が受領したことについて、賞与と認定したことと繋がるものであるから、当然に国税通則法第23条第2項第1号に規定する判決に該当するので、更正の請求を認めるべきである旨主張する。
 また、請求人が補助金を不正に受給したことは、刑事事件の判決により公序良俗に反するもので無効であるとされ、それにより、請求人は、私的に受領した補助金の返還をA会から請求されているのであるから、正に請求人に行った本件不正受給等の経済的成果がその行為の無効であることに基因して失われたものであり、このことは、取り消すことのできる行為が取り消されたものでもあるから、所得税法施行令第274条第1号及び第2号に規定する事由が生じ、所得税法第152条に規定する更正の請求の特例に該当するので、更正の請求を認めるべきであると主張する。
 しかしながら、国税通則法第23条第2項第1号にいう判決とは、申告等に係る課税標準等又は税額等の計算の基礎となった事実についての私法行為又は行政行為上の紛争を解決することを目的とする民事事件の判決を意味し、犯罪事実の存否範囲を確定するに過ぎない刑事事件の判決はこれに含まれないと解するのが相当であるところ、本件判決は請求人を被告人とする刑事事件の判決であるから、同号に規定する判決には該当しないことは明らかである。
 また、本件判決は、請求人の不正受給についての犯罪事実の存否範囲を判断したに過ぎず、認定賞与として課税した処分の計算の基礎となった事実である請求人の本件金員の受領について、民事上無効な行為であるか又は取り消すことができる行為であるかを判断したものではない。また、請求人は、A会から本件金員の返還を請求されているが、当審判所の調査の結果によっても、請求人が本件金員を返還した事実は認められないことから、請求人の本件金員の受領による経済的成果は未だ失われていないというべきである。しかも、同様に、請求人の本件金員の受領が取り消された事実も認められない。
 したがって、所得税法施行令第274条第1号及び第2号に規定する事由が生じたとは認められないので、この点に関する請求人の主張には理由がない。

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平成16年10月29日裁決

判決理由中で認定された事実に基づいてなされた更正の請求について、国税通則法第23条第2項第1号に規定する「判決」には当たらないと判断した事例

裁決事例集 第68集 1頁

要旨

 請求人らは、国税通則法第23条第2項第1号にいう「判決」をもって、いわゆる「主文」を指すものと限定的に解釈すべき必然性はなく、理由中において本件土地譲渡が無効であることを確認した本件判決も同号にいう判決に該当する旨主張する。
 しかしながら、同号にいう判決とは、当事者間に権利関係の争いがあり、その後、判決により申告等があった当時の権利関係と異なる事実関係が生じた場合の判決をいうと解するのが相当である。
 これを本件についてみると、土地譲渡の有効性については、既に当事者間で和解の成立により解決が図られており、また、本件判決の理由中において、土地譲渡の無効が確認されたとしても、そのことは、土地譲渡の当事者間の法律関係に何ら影響を及ぼし得ない以上、本件判決が同号にいう「判決」に当たるということはできない。

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令和5年4月12日裁決

給与を返還した場合には源泉徴収の規定により正当に徴収された又はされるべき所得税等の額も減少するとした事例( 平成28年分の所得税及び復興特別所得税の更正の請求に対する理由なし通知処分、 平成29年分の所得税及び復興特別所得税の更正の請求に対する理由なし通知処分・ 一部取消し、 棄却)

裁決事例集 第131集

ポイント

 本事例は、給与の返還に伴って源泉徴収の規定により正当に徴収された又はされるべき所得税等の額が減少した場合には、その減少後の正当に徴収された又はされるべき所得税等の額を超える金額を算出所得税額から控除し、又は還付を受けることはできないとしたものである。

要旨

 請求人は、役員給与につき源泉徴収された所得税等(本件各源泉所得税)について、当該役員給与を一部返還したことにより過大となったにもかかわらず、源泉徴収義務者が源泉徴収税額の精算をしない場合には、源泉徴収義務者が請求人に役員給与を支払う際に徴収した源泉所得税を国は収納し利益を得ているのであるから、所得税法(平成31年法律第6号による改正前のもの)第120条《確定所得申告》第1項第5号の「源泉徴収された又はされるべき所得税の額」は、実際に源泉徴収された所得税等の額と解するのが相当であり、請求人は、本件の各更正の請求により本件各源泉所得税の額の還付を受けることができる旨主張する。
 しかしながら、同号にいう「源泉徴収をされた又はされるべき所得税の額」とは、所得税法の源泉徴収の規定に基づき正当に徴収をされた又はされるべき所得税等の額を意味するものであり、役員給与が減額された以上、源泉徴収の規定により正当に徴収された又はされるべき所得税等の額も減少するのであるから、請求人が主張する事情があったとしても、請求人は、本件の各更正の請求において、本件各源泉所得税の額のうち、「正当に徴収された又はされるべき所得税等の額」を超える金額を算出所得税額から控除し、又は還付を受けることはできない。
 なお、原処分庁は、請求人の源泉徴収による所得税等の額は原処分庁ではなく源泉徴収義務者が再計算すべきものであり、また、請求人は源泉徴収義務者が発行した訂正後の源泉徴収票又はこれに代わる書類を提出していないから、源泉徴収義務者によって再計算された請求人の給与所得に係る源泉徴収された所得税等の額や所得控除の額を確認することができない旨主張する。
 しかしながら、所得税法第120条第1項第5号の「正当に徴収された又はされるべき所得税等の額」の意味を踏まえると、請求人が本件の各更正の請求に関して提出した資料から正当に徴収されるべき所得税等の額が計算できる場合には、その計算をした所得税等の額を基に確定申告書に記載された納付すべき税額が過大となっているか否かを判断することが相当である。

参照条文等

国税通則法第23条第1項 所得税法第120条第1項第5号(平成31年法律第6号による改正前のもの)

参考判決・裁決

最高裁平成4年2月18日第三小法廷判決(民集46巻2号77頁) 東京高裁昭和55年10月27日判決(訟月27巻1号211頁) 平成24年12月20日裁決(裁決事例集No.89)

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令和6年10月22日裁決

国外居住親族に係る書類の添付等がなく扶養控除の適用がないとして更正の請求ができる場合に該当しないとした事例(平成29年分の所得税及び復興特別所得税の更正をすべき理由がない旨の通知処分・棄却)

裁決事例集 第137集

ポイント

 本事例は、請求人が国外居住親族に係る送金関係書類を更正の請求書に添付等しておらず、当該親族に係る扶養控除の適用がないため、更正の請求ができる場合に該当しないとしたものである。

要旨

 請求人は、国外に居住する請求人の母、叔母及び姉(本件各親族)が高齢や病気により銀行に行くことができないこと、また、一人一人に送金することによる銀行送金手数料を節約することができることから、請求人の兄らにまとめて送金をしていたにすぎず、当該送金が、本件各親族を含む国外に居住する親族全員の生活費及び医療費に充てることを目的とするものであることは明らかであり、本件各親族に係る扶養控除の適用が認められるべきであるから、国税通則法第23条《更正の請求》第1項第3号に規定する更正の請求ができる場合に該当する旨主張する。
 しかしながら、国外に居住する親族に係る扶養控除の適用を受けるためには、所得税法施行令(令和2年政令第111号による改正前のもの)第262条《確定申告書に関する書類等の提出又は提示》第3項第2号に規定する書類(送金関係書類)を添付等しなければならないところ、請求人が提出した送金明細は、当該兄らを送金の受取人とするものであり本件各親族に係る送金関係書類とは認められず、請求人は本件各親族に係る送金関係書類を更正の請求書に添付等していないから、本件各親族に係る扶養控除の適用はない。したがって、国税通則法第23条第1項第3号に規定する更正の請求ができる場合に該当しない。

参照条文等

国税通則法第23条第1項 所得税法第120条第3項 所得税法施行令第262条第3項 所得税法施行規則第47条の2第6項

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平成16年11月10日裁決

執行不能調書は、国税通則法第23条第2項第1号に規定する「判決等」には当たらないとした事例

裁決事例集 第68集 15頁

要旨

 請求人らは、本件各執行不能調書をもって、国税通則法第23条第2項第1号に規定する「申告等に係る課税標準等又は税額等の計算の基礎となった事実に関する訴えについての判決」に該当する旨主張するが、本件各執行不能調書は、民事執行規則第13条第1項第7号及び執行官規則第17条に基づくもので、民事訴訟に係る判決ではなく、当該調書について判決と同一の効力を有する旨の規定がなく、また、本件各執行不能調書に記載されている内容は、本件債務者等に対する強制執行の結果であり、申告等に係る課税標準等の基礎となる事実、すなわち、本件相続開始日における現況には変更がないのであるから、国税通則法第23条第2項第1号の判決又は判決と同一の効力を有する和解その他の行為には該当しないものと認められる。

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令和7年9月26日裁決

更正の請求ができる場合に当たらず、租税特別措置法第41条第10項に規定する省エネ住宅特別控除を適用することはできないとした事例(令和5年分の所得税及び復興特別所得税の更正をすべき理由がない旨の通知処分・棄却)

裁決事例集 第140集

ポイント

 本事例は、請求人が租税特別措置法第41条第1項に規定する住宅借入金等特別控除を適用した確定申告書について、国税に関する法律の規定に従っていなかったこと又は当該計算に誤りがあったことには該当しないから、更正の請求ができる場合に当たらず、同条第10項に規定する省エネ住宅特別控除を適用できないとしたものである。

要旨

 請求人は、租税特別措置法(令和6年法律第8号による改正前のもの)第41条《住宅借入金等を有する場合の所得税額の特別控除》第1項に規定する住宅借入金等特別控除(一般の住宅借入金等特別控除)を適用した確定申告(本件確定申告)をしたものの、請求人が取得した家屋は同条第10項に規定するエネルギー消費性能向上住宅に該当するから、国税通則法第23条《更正の請求》に規定する更正の請求により、一般の住宅借入金等特別控除ではなく租税特別措置法第41条第10項に規定する住宅借入金等特別控除(省エネ住宅特別控除)を適用することができる旨主張する。
 しかしながら、一般の住宅借入金等特別控除及び省エネ住宅特別控除の各要件をいずれも充足する場合には、そのいずれを適用するかを選択して確定申告をすることができるところ、本件確定申告の内容は、一般の住宅借入金等特別控除の適用要件を満たすものであり、その計算にも誤りがないことからすると、本件確定申告は、客観的にみれば税法の規定に従ったものであるから、国税通則法第23条の要件に該当せず、省エネ住宅特別控除を適用することはできない。

参照条文等

国税通則法第23条第1項 租税特別措置法(令和6年法律第8号による改正前のもの)第41条第1項、第10項

参考判決・裁決

東京高裁平成23年7月29日判決(税資261号順号11724)

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平成18年7月6日裁決

相続回復請求権は実質的にみて被相続人の遺産であるから、和解の成立時に現に取得した相続回復請求権の範囲内で課税すべきである旨の請求人の主張を排斥した事例

裁決事例集 第72集 1頁

要旨

 請求人らは、相続回復請求権は実質的にみて被相続人の遺産であるから、請求人らが本件和解の成立時に現に取得した相続回復請求権の範囲内で課税すべきであって、本件和解の結果、回復できなかった相続回復請求権に相当する額について、相続税の課税標準等に異動が生じたといえるから、更正の請求を認めるべき旨主張する。
 しかしながら、相続回復請求権の趣旨、請求人らの相続回復請求の訴えの内容からすれば、当該訴えは、相続人であった者(以下「僣称相続人」という。)が占有・管理している被相続人の遺産全部を請求人らに返還するよう求めたもので、遺産の帰属が争われているものではないこと、請求人らと僣称相続人との間の本件和解は、僣称相続人の資力等にかんがみ、相続回復請求権に基づいた和解金を超える請求権を和解期日以降放棄する旨のものであり、請求人らが相続開始時点に取得した相続財産を増減させるものでなく、単に相続回復請求権の一部を和解期日以降放棄したに過ぎない。そうすると、本件和解は、新たな権利関係等を創設する趣旨で行われたものと解するほかないから、これにより、請求人らが原処分庁に提出した相続税の申告書に係る課税標準等又は税額等の計算の基礎となった事実関係にさかのぼって異動を来すものではないと認めるのが相当である。したがって、本件和解は、国税通則法第23条第2項第1号に規定する「和解」には該当しないというべきである。

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平成19年1月23日裁決

国税通則法第23条第2項第1号の「判決」に基づいた更正の請求であると認容した事例

裁決事例集 第73集 16頁

要旨

 国税通則法第23条第2項第1号の規定は、納税者において、申告時には予測し得なかった事態が後発的に生じたため、課税標準等又は税額等の計算の基礎に変更をきたし、税額の減額をすべき場合に、法定申告期限から1年を経過していることを理由に更正の請求を認めないとすると、帰責事由のない納税者に酷な結果となることから、例外的に更正の請求を認めて納税者の保護を拡充しようとしたものと解される。上記規定の趣旨及び国税通則法第23条第2項各号の列挙事由の内容にかんがみれば、同項第1号の「判決」に基づいた更正の請求が認められるためには、判決を得るための訴訟が申告等に係る課税標準等又は税額等の基礎となった事実の存否、効力等を直接審判の対象とし、判決により課税標準等の基礎となった事実と異なることが確定されるとともに、納税者が申告時において、課税標準等の基礎となった事実と異なることを知らなかったことが必要であると解される。
 これを本件についてみると、請求人は、被相続人が死亡するまで、V社の経営に全く関与しておらず、本件売買契約にも全く関与していなかったものと認められる。他に請求人が申告時までに本件土地の売買の目的や経緯、ないしは本件売買契約が仮装であること等を知っていたと認めるに足りる証拠はない。そうすると、請求人は申告時において本件売買代金債権が存在しなかったことを知っていたとは認められない。

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平成19年11月1日裁決

相続により取得した財産に係る相続開始前における所有権の取得時効の完成、所有権の取得という事実が判決により後発的に確定した場合、当該判決は、国税通則法第23条第2項第1号にいう判決に当たり、当該事情を財産の価額に与える影響要因として考慮した場合には、その財産の価額は零円とみるのが相当とした事例

裁決事例集 第74集 1頁

要旨

 請求人らは、本件相続に係る相続税の申告に当たり、本件相続開始日において、本件土地は相手方に対して使用貸借により貸し付けているという事実、換言すると、相手方による取得時効の完成が認められないという事実を基礎とし、そのため本件土地を自用地としての価額で評価して申告したが、その後の本件判決によって、本件相続開始日前には既に所有権の取得時効の期間が満了し、本件土地の取得時効は完成していたという事実が確定したものであり、このことは、申告の基礎とした事実と本件判決で確定した事実とに相違があるといえる。
 また、本件判決で確定した事実は、本件相続開始日において、本件土地には、時効の援用以外の取得時効の要件が満たされており、請求人らの意思いかんにかかわらず、相手方の時効の援用があれば一方的に所有権を時効取得される状態にあったということであり、これは、本件土地の価額に影響を及ぼすべき事情として、相続税の課税標準、ひいては税額の計算に影響を与えるものといえる。
 そして、その財産の評価に当たっては、その財産の価額に影響を及ぼすべきすべての事情を考慮するものであり、本件土地については、相続開始時において既に時効期間が経過しており、相続人にとっては、所有権を確保すべき攻撃防御方法がないために、相手方に時効を援用されれば所有権の喪失を甘受せざるを得ない状態の土地であることが本件判決の確定によって明らかとなったところ、このような状態の土地は、相続人が所有権を確保しようとすれば、時効を援用する相手方に対し、課税時期現在における当該土地の客観的交換価値に相当する金員の提供を要するのが一般的である土地ということができるから、そのことを価額に影響を与える要因として考慮すると、土地の価額と提供を要する金額が同額であるから、結局のところ、その財産の価額は零円になると理解するのが相当と認められる。

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平成20年4月25日裁決

相続財産の一部は被相続人の遺産ではないこと及び被相続人と他の相続人との死因贈与契約は有効であるとした判決は、国税通則法第23条第2項第1号に規定する「判決」に該当するとした事例

裁決事例集 第75集 1頁

要旨

 原処分庁は、請求人は本件被相続人の遺産として本件被相続人名義の土地及び本件被相続人名義の預金のうち59,055千円(本件被相続人名義の土地と併せて「本件H名義資産」という。)を申告しており、相続人Kの被相続人に係る相続税の申告内容からも、本件H名義資産が被相続人の遺産であることについては、共同相続人の間で争いがなかったものと認められる旨主張するが、請求人は、本件訴訟において本件H名義資産は亡き実父Gの遺産であると主張し、Kは、本件H名義資産はすべて本件被相続人の遺産であると主張しており、両者がこのような主張を行うのは、請求人にとっては本件H名義資産が本件被相続人の遺産であると認められると、死因贈与契約公正証書が有効であるとの前提にたてば当該資産はすべてKに死因贈与され、請求人の相続分がなくなることとなり、また、Kにとっては、本件H名義資産が実父Gの遺産であると認められると、当該遺産は実父Gの共同相続人間で分割することになるため、Kが一人で本件H名義資産を取得することができないこととなるからである。そうすると、本件H名義資産の帰属について争いがあったと認めるのが相当であり、本件判決は、馴れ合いによる判決ではないことが明らかであるので、その実質において、客観的、合理的根拠を欠くような判決ではないことが認められる。
 原処分庁は、本件H名義資産の購入資金が実父Gから出えんされていることを請求人は知っていたものと認められることなどから、国税通則法第23条第1項の規定による更正の請求が可能であり、同条第2項による更正の請求をすることはできない旨主張するが、請求人は、本件H名義資産には亡き実父Gの遺産が含まれている可能性があると考える余地はあったものの、請求人が具体的にその確証を有していたとは認められず、本件H名義資産をその名義のとおり本件被相続人の遺産として申告したとしても何ら不自然なものではないとするのが相当であり、請求人の申告時には予測し得なかった事由が後発的に生じたと認めるのが相当である。
 原処分庁は、本件訴訟については、本件H名義資産の購入資金及び原資の出えん者がだれであるかを争ったものであり、本件判決はこれが示されたものであるから、本件H名義資産の権利関係の帰属を明確にするものではない旨主張するが、本件判決により、本件H名義資産は実父の遺産であることが確認され、さらに本件被相続人の遺産としての預金債権の帰属についても併せて判示されているのであるから、本件判決は、本件被相続人の遺産の範囲を確認するための権利関係の帰属に関する判決であり、本件判決により確定した内容は、申告に係る課税標準等又は税額等の計算の基礎となった事実と異なるものであることが認められる。

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平成20年8月4日裁決

本件出資口数の売買契約が錯誤により無効である旨を確認した判決があったとしても、そのことにより国税通則法第23条第2項第1号に該当することとなったとは認められないとした事例

裁決事例集 第76集 15頁

要旨

 請求人らは、別件判決(平成18年)において錯誤無効の主張が是認されたことから、国税通則法第23条第1項所定の期間内に更正の請求をしなかったことにつき「やむを得ない理由」があり、また、本件判決(平成19年)により本件売買契約が錯誤により無効であったことが確認されたのであるから、国税通則法第23条第2項第1号に規定する「更正又は決定に係る課税標準等又は税額等の計算の基礎となった事実に関する訴えについての判決により、その事実が当該計算の基礎となったところと異なることが確定したとき」に該当する旨主張する。
 しかしながら、請求人らは、当該錯誤無効を理由に本件決定処分等及び別件通知処分に係る争訟手続を行い、外形的にも錯誤無効の主張に沿うようにB社の出資口○○○○口をAに戻すなどの原状回復を行っていることからすると、請求人らの間では平成13年当時において既に本件売買契約が無効であるという事実関係は形成されていたと認められ、また、本件訴訟においても請求人らの間に本件売買契約が錯誤無効であるとの事実関係の外形自体に争いはないことから、本件判決によって初めて本件売買契約が無効と確認され更正の請求の要件を満たすこととなったわけではないから、本件判決をもって、国税通則法第23条第2項第1号に規定する「課税標準等又は税額等の計算の基礎となった事実に関する訴えについての判決により、その事実が当該計算の基礎としたところと異なることが確定したとき」に該当するとは認められない。

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平成21年11月16日裁決

本件和解は、本件不動産の持分2分の1が被相続人の相続開始日にさかのぼって利害関係人に帰属することを認めたものと解する余地はなく、将来に向かって新たな権利関係等を創設する趣旨のものであることから、国税通則法第23条第2項第1号にいう「和解」に当たらないとした事例

裁決事例集 第78集 1頁

要旨

 請求人らは、①本件和解調書には、利害関係人に対する本件死因贈与契約を無効である旨の一条項があるものの、実質的には本件不動産の持分2分の1が、相続人たる請求人らではなく、利害関係人に帰属することを認めたものというべきである、②仮に本件和解条項の文言のとおり、本件死因贈与契約が無効であるとしても、本件和解により請求人らが利害関係人に支払う解決金は、療養看護の対価であり、被相続人が負担すべき債務として相続開始日において存在したものというべきであると主張し、本件和解により、申告に係る課税標準又は税額の計算の基礎となった事実が当該計算の基礎としたところと異なることが確定したと主張する。
 しかしながら、本件和解条項は、本件死因贈与契約が無効であること及び本件不動産が請求人ら及び共同相続人Jに帰属することを確認したものであることが明確であり、これは、請求人らが申告の基礎とした事実と同一であり、本件和解条項を、本件不動産の持分2分の1が被相続人の相続開始日にさかのぼって利害関係人に帰属することを認めたものと解する余地はない。また、本件解決金は、請求人ら及び共同相続人Jが、利害関係人に対し、同人が被相続人の療養看護をしてきたことを認めて支払うことを合意したものであって、被相続人が、相続開始時において、利害関係人に支払うべきであったものとは認められない。したがって、本件和解により、申告に係る課税標準又は税額の計算の基礎となった事実が当該計算の基礎としたところと異なることが確定したとは認められない。

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平成26年5月13日裁決

被相続人の遺産を構成しないことを確認する和解は、国税通則法第23条第2項第1号に規定する判決等に当たるとした事例(平成21年11月相続開始に係る相続税の更正の請求に対してされた更正をすべき理由がない旨の通知処分・全部取消し)

裁決事例集 第95集

ポイント

 本事例は、請求人が当事者となっている訴訟に関して成立した裁判上の和解が、いわゆる「馴れ合い訴訟」の結果であるとはいえないとしたものである。

要旨

 原処分庁は、受遺者である請求人が被相続人から遺贈により取得したとして相続税の修正申告に計上した各土地(本件各土地)について、請求人、R社及び相続人の間で成立した、平成13年頃に被相続人からR社に譲渡されたもので被相続人の遺産を構成しない旨を確認した裁判上の和解(本件和解)は、当事者が租税回避目的等から馴れ合いと評価されるような和解をしたにすぎず、国税通則法第23条《更正の請求》第2項第1号かっこ書に規定する和解に該当しない旨主張する。
 しかしながら、①本件各土地の一部には請求人の兄名義の居宅が存在すること、②平成13年にR社を権利者とする所有権移転請求権仮登記がされていること、③売買代金に相当する金員が貸付金名目でR社等から被相続人に交付されていることからすれば、本件各土地が、被相続人の遺産を構成しないことを確認した本件和解の内容について、証拠等からうかがわれる客観的事実関係に明らかに反していると認めるに足らない。そうすると、本件和解は、相続開始時に所有権の帰属に関して当事者間に争いのあった本件各土地について、平成13年頃に被相続人からR社に対して譲渡されていたことが相応の根拠をもって認められ、実質的にみても客観的、合理的根拠を欠くということはできない。したがって、本件和解は、国税通則法第23条第2項第1号かっこ書に規定する和解に該当するというべきである。

参照条文等

国税通則法第23条第2項第1号

参考判決・裁決

名古屋高裁平成2年7月18日判決(税資180号85頁)

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