裁決事例 譲渡所得の特例

裁決事例 譲渡所得の特例

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平成14年10月24日裁決

あっせん手続等の一部が実施要領に従っていなかったとしても、そのことが特別控除の趣旨目的を滅却させるほど重大であるとまではいえない場合には、あっせん証明書が取り消されない限り、有効な証明書として特別控除の適用は認められるが、実体が伴っているかどうかの判断は最終的には課税庁の判断にゆだねられているとした事例

裁決事例集 第64集 256頁

要旨

 原処分庁は本件譲渡に係る農用地等の権利移動に係るあっせん手続が農水省通達(実施要領)に定める手続に沿ったものではないから農業振興地域の整備に関する法律(農振法)第18条の規定の趣旨に適合したものではなく、本件譲渡について本件特別控除を適用することはできない旨主張する。
 本件特別控除は農振法第23条第1項及び第18条の各規定に該当することを前提とするものであるから、課税庁はその該当性の判断に当たり現実に行われた農業委員会のあっせん事業が上記農振法の各規定に基づいて適正に行われたものかどうかの調査を行う場合も当然にあり得るが、その場合であっても、上記法令に違反することがその趣旨目的を滅却させるほど重大であり、あっせん証明書が無効なものであると評価できる場合はともかく、証明書が取り消されない限り有効な証明書として本件特別控除の適用は認められると解される。
 本件では、あっせん手続や証明書の発行手続に実施要領に従っていなかった点があったとしても、各認定事実によれば、このことが法の趣旨目的を滅却させるほど重大であり、あっせん証明書が無効なものであるとまでは認められないから、本件処分は取り消すのが相当である。

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昭和45年8月12日裁決

一時貸付けに係る土地について事業用資産に当たらないとした事例

裁決事例集 第1集 45頁

要旨

 譲渡した資産は、譲渡時において貸し付けられていたが、当該貸付けは、相当の対価を得て継続的に行われているものとは認められないので、当該資産は事業用資産とはならない。

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昭和47年2月10日裁決

保証債務を履行するために譲渡した資産の長期譲渡所得の計算上収入金額から控除する概算取得費につき原処分を相当でないとした事例

裁決事例集 第4集 1頁

要旨

 本件資産の概算取得費の計算の基礎となる譲渡収入金額について、その譲渡代金から求償権の行使できない保証債務履行額を控除した金額をその譲渡収入代金としていることは誤りである。

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昭和54年6月29日裁決

借家権の譲渡は、受領した立退料が借家権の消滅の対価に当たるとしても、租税特別措置法第35条に規定する居住用財産の譲渡に当たらないとした事例

裁決事例集 第18集 141頁

要旨

 居住の用に供していた家屋の明渡しに際し受領する立退料は、仮にその立退料が借家権の消滅の対価に該当し、譲渡所得に係る収入であるとしても、借家権の譲渡は、租税特別措置法第35条第1項に規定する「土地若しくは土地の上に存する権利又は家屋の譲渡」に当たらないから、同条の規定は適用されない。

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昭和54年6月19日裁決

前年の租税特別措置法第35条の規定の適用について、修正申告により自己否認した者の本年の居住用財産の譲渡所得について、同条の規定の適用を認めた事例

裁決事例集 第18集 140頁

要旨

 請求人は前年にした建物及び土地の譲渡について、当初、居住用財産の譲渡所得の特別控除の規定の適用を受けたが、これについては、後日その建物及び土地が居住用財産に当たらないことに気付き修正申告書を提出しているところであり、本年に譲渡した本件建物及び土地については、譲渡日まで請求人とその家族が日常居住していたことが認められるから、その譲渡につき居住用財産の譲渡所得の特別控除の規定を適用して申告したことは正当である。
 しかしながら、本件建物及び土地は、居住の用と事業の用に供していた事実が認められるから、当該特別控除の規定の適用は、本件建物及び土地の居住用部分に対応する譲渡所得の金額に限られるというべきである。

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昭和59年6月28日裁決

土地の譲渡者が都市計画法に基づく開発行為の許可を受け、造成者が当該許可を受けていない場合には、優良住宅地の造成等のために土地等を譲渡した場合の長期譲渡所得の課税の特例は適用されないとした事例

裁決事例集 第27集 249頁

要旨

 租税特別措置法(昭和57年法律第8号による改正前のもの)第31条の2の規定は土地の譲渡を受けた者が都市計画法に基づく開発行為の許可を受けた場合に限り適用されるものであるところ、請求人は、本件譲渡が特例の施行直後であったため、土地の譲渡をした者が開発行為の許可を受けた場合でも適用があると誤解したものであって、その他の点ではすべての要件を満たしているので特例を適用すべきであると主張するが、租税特別措置法に規定する税負担の軽減の適用要件は厳格に解すべきであり、本件譲渡はその適用要件を欠いたものであるから、請求人の主張は認められない。

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昭和49年11月26日裁決

家屋に係る居住用財産の特別控除不足額をその家屋の敷地の所有者である叔母の譲渡所得金額から控除することはできないとした事例

裁決事例集 第9集 38頁

要旨

 居住用家屋の所有者と土地の所有者とが異なるものを同時に譲渡した場合に、居住用家屋の譲渡に係る特別控除額の控除不足額を土地の譲渡所得の金額から控除できるのは、家屋の所有者と土地の所有者が、夫と妻、親と子又は祖父母と孫の関係にあり、かつ、その家屋に同居して生計を一にしている場合に限られるのであるが、家屋の所有者は請求人の叔母であり、土地の所有者は請求人で、当該家屋に同居して生計を一にしているとは認められないから、家屋に係る特別控除額の控除不足額を土地の譲渡に係る所得金額から控除することはできない。

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昭和60年10月23日裁決

家屋の建築確認を受けた後に取得した当該家屋の敷地と地続きの土地につき、租税特別措置法第36条の2第1項に規定する買換資産に該当するとした事例

裁決事例集 第30集 187頁

要旨

 原処分庁は、請求人が甲土地を取得し家屋の建築確認を受けた後に取得した地続きの土地について、居住用家屋の敷地とはいえないから租税特別措置法(昭和62年法律第96号による改正前のもの)第36条の2に規定する買換資産には該当しないと主張するが、請求人が甲土地と乙土地とを時期を異にして同一人から取得し、甲土地のみを家屋の敷地として建築確認申請を受けたのは、譲渡者の都合によってやむを得ず契約を2回に分けたにすぎないものであり、[1]甲土地と乙土地は、一体となって家屋の敷地として機能していること、[2]市の固定資産税の課税に当たっては、甲土地と乙土地のいずれもが住宅の敷地として減額の対象となっていたことなどから、甲土地と乙土地とはいずれもが居住用家屋の敷地と認められ、同条に規定する買換資産に該当する。

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昭和53年3月15日裁決

居住用部分と非居住用部分の譲渡収入金額のあん分比は当該資産の相続税評価額の比によるのが合理的であるとした事例

裁決事例集 第15集 21頁

要旨

 譲渡資産には、居住用部分と非居住用部分とがあるので、租税特別措置法(昭和49年法律第17号による改正前のもの)第35条第1項に規定する特別控除適用金額を適正に算定するには、当該譲渡資産の相続税評価額の比によるのが最も合理的である。

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平成2年11月22日裁決

昭和62年に譲渡したマンションの取得時期は、建物利用権を取得した昭和45年ではなく、その所有権を取得した昭和58年であるから、その譲渡所得の金額の計算に当たって居住用財産の買換えの場合の長期譲渡所得の課税の特例の適用はないとした事例

裁決事例集 第40集 265頁

要旨

 請求人は、昭和62年2月に譲渡したマンションは昭和45年に1,430万円の金員を支払って取得し、以後居住の用に供していたのであるから、居住用財産の買換えの場合の長期譲渡所得の課税の特例等の適用があると主張するが、請求人とマンションの所有者であった会社との間には昭和45年に「建物利用権設定契約」が締結され、その内容は、[1]請求人は、利用区を自己の持家と同様に居住のために占有使用し、相続その他の包括承継の対象とすることができ、転貸することができること、[2]契約期間は、昭和45年5月1日から昭和60年4月30日までであり、一定の条件のもとに解約でき、契約が終了した場合には保証金(1,430万円)を返還し、請求人は抵当権の設定登記又は代物弁済予約に基づく所有権移転請求権保全の仮登記を付することができること、[3]保証金は無利息であること等が定められており、請求人は、本件マンションについて昭和45年当時、建物利用権と所有権のうちどちらか一方を選択取得できたにもかかわらず、自己の意思で建物利用権を取得したものであって、この建物利用権は、借家権と同一の性格を有しているものと解するほかないから、請求人は昭和45年に建物利用権を取得して以後債権を有していたものであり、昭和58年に至って本件マンションの所有権を取得したものと認められる。そうすると、本件譲渡所得については、譲渡の年1月1日現在において所有期間が10年を超えていないから、居住用財産の買換えの場合の長期譲渡所得の課税の特例等の適用はない。

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昭和52年4月30日裁決

法人から残余財産の分配等により取得した土地は買換取得資産に当たらないとした事例

裁決事例集 第14集 54頁

要旨

 法人の解散に伴い残余財産の分配として請求人が取得した土地は、出資の金額が残余財産の分配によって単に他の資産に化体したものと解するのが相当であり、また、租税特別措置法(昭和43年法律第23号による改正後のもの)第38条の6“事業用資産の買換えの場合の譲渡所得の金額の計算”の規定によれば、買換資産は個人が事業用の特定資産を譲渡し、その譲渡対価により取得したものに限ると解されるところから、請求人の取得した上記の土地は事業用買換資産に当たらないとした原処分は相当である。

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昭和54年12月5日裁決

特定市街化区域農地である旨の書類の交付が受けられない土地の譲渡については租税特別措置法第31条の2の規定の適用はないとした事例

裁決事例集 第19集 132頁

要旨

 租税特別措置法(昭和54年法律第15号による改正前のもの)第31条の2に規定する特定市街化区域農地等を譲渡した場合の長期譲渡所得の課税の特例は、確定申告書に市長の特定市街化区域農地である旨を証する書類の添付がある場合に限り適用されるものであるところ、市長が本件土地は現況宅地であると認定し、当該土地が市街化区域農地である旨を証する書類の交付を拒否している以上、当該土地の譲渡所得については、同条の規定の適用は認められない。

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昭和55年1月11日裁決

相続税の申告期限の翌日から2年を通過した日以後に譲渡された相続により取得した土地の譲渡所得について、租税特別措置法第39条の規定の適用は認められないとした事例

裁決事例集 第19集 139頁

要旨

 相続により取得した土地を相続税の申告期限の翌日から2年を経過した日以後に譲渡した場合において、その譲渡日がその2年を経過した日以後になったことが、仮に当該譲渡の譲受者の資金事情によるものであるとしても、租税特別措置法(昭和51年法律第5号による改正前のもの)第39条の規定の適用について、かかる特別の事情を参酌して同条の規定の適用を認めるべき旨を定めた法令上の規定は存しないので、当該土地の譲渡所得について同条の規定の適用は認められない。

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昭和58年11月28日裁決

租税特別措置法第37条の5の適用があるとした事例

裁決事例集 第26集 185頁

要旨

 請求人は、その有する本件家屋及び転借権を借地人に譲渡し、借地人から交換取得資産を取得したもので、直接建築業者との交換ではないから、租税特別措置法(昭和57年法律第8号による改正前のもの)第37条の5の適用がないと原処分庁は主張するが、請求人の譲渡資産(本件家屋の敷地に係る土地の上に存する権利)と交換取得資産との交換は、借地人を経由した交換ではなく、交換取得資産を建築した業者との間で直接交換したものと認められるから、同条の適用がないとした原処分は相当でない。

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昭和60年11月25日裁決

租税特別措置法第37条第4項に規定する承認に係る通知書が送達されたと推定されるとして、本件更正に更正期限を徒過した違法はないとした事例

裁決事例集 第30集 202頁

要旨

 請求人は、租税特別措置法(昭和55年法律第9号による改正前のもの)第37条第1項の規定の適用を受けるため、買換資産の取得予定年月日等を記載した買換承認申請書を提出したのに、同条第4項に規定する承認に係る通知書を受け取った事実はないから、同条第1項の規定の適用はないこととなり、買換資産を取得予定年月日までに取得しなかったことによりなされた本件更正は、法定申告期限(確定申告書の提出期限)から3年経過後になされたものであって、違法であると主張するが、当該通知書が請求人に送達されなかったとする特段の事情の認められない当該通知書の送達にあっては、税務署長が郵便によって発送した日から起算して通常到達すべきであった時に送達があったと推定するのが相当であり、これにより請求人は同法第37条第4項に規定する承認を受けていると認められるから、当該承認に係る買換資産の取得予定年月日までに買換資産を取得しなかった場合の法定申告期限(同法第37条の2第2項に規定する修正申告書の提出期限)から3年以内になされた本件更正について、更正期限を徒過した違法はない。

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昭和51年9月13日裁決

空家の期間が1年を超える居住用家屋の譲渡について租税特別措置法第35条の規定を適用できないとした事例

裁決事例集 第13集 63頁

要旨

 租税特別措置法(昭和50年法律第16号による改正前のもの)第35条による特別控除の対象となる家屋は、譲渡時において実際に居住の用に供しているものに限るべきところ、譲渡時において当該家屋を空家にした場合においても、執行上は、他の用途に供することなく空家とした日から1年以内に譲渡したものに限り、従前の居住用の用途が継続しているものとして、同条の適用を認めることとしている。執行上、空家の期間を1年と定めているのは、同じく同条に規定されている災害により滅失した居住用家屋の敷地の譲渡における1年の期間制限と比較考量しているためと認められる。すなわち、災害という最悪の事態の場合においても、災害のあった日から1年以内に譲渡されたものに限り、同条の特別控除を認めているのであるから、災害以外の事由による場合に1年を超える期間延長をすることは不相当と認めたためと解され、空家とした期間が1年を超えている本件の場合においては、たとえ空家となった後貸家等の用に供しなかったとしても同条の特別控除の適用は認められない。

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昭和54年9月20日裁決

譲渡した家屋は生活の本拠として居住の用に供していたものではないから租税特別措置法第35条第1項に規定する居住用財産に該当しないとした事例

裁決事例集 第19集 107頁

要旨

 租税特別措置法(昭和53年法律第11号による改正前のもの)第35条第1項の規定の適用について、個人が所有する唯一の居住用家屋を譲渡した場合には、複数所有する家屋のうちの一つを譲渡した場合と異なり、「主として」であると「従として」であろうと、その者が、その家屋に居住している事実が少しでも認められる限り、居住用の認定を緩やかに解釈して特例の適用を認めるべきであると主張するが、「その居住の用に供している家屋」とは、その者が生活の拠点として利用している家屋をいい、これに該当するかどうかは、その家屋への入居の目的、その者及び配偶者等の日常生活の状況その他の事情等を総合勘案して判断すべきであって、本件譲渡家屋は、請求人が管理を兼ねて請求人の仕事を処理するため旅館やホテルの利用に代えて一時的に利用したものであり、生活の拠点として居住の用に供していたものとは認められないから、当該家屋の譲渡所得については、同条同項の規定を適用することはできない。

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平成7年4月28日裁決

譲渡物件は妻との共有ではなく、請求人の単独所有であるから、不動産の譲渡所得はすべて請求人に帰属すると認定した事例

裁決事例集 第49集 267頁

要旨

 請求人は、本件不動産は請求人夫婦の共有であり、本件不動産の譲渡に係る譲渡所得は請求人と妻に帰属するので、租税特別措置法第35条に規定する特別控除の特例は、請求人と妻のいずれにも適用できる旨主張するが、[1]本件不動産の購入時における売買契約書等の名義、[2]本件不動産の登記簿上の所有名義、[3]本件不動産の譲渡時における売買契約書等の名義、[4]本件譲渡代金で購入したマンションの名義、及びその残余の金員を預け入れた貸付信託、定期預金等の口座はいずれも請求人の単独名義であることから、本件不動産は、請求人が単独で所有していたものと認めざるを得ない。
 したがって、本件不動産の譲渡に係る譲渡所得は、すべて請求人に帰属することになる。

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平成3年10月25日裁決

買換えにより取得した診療所の事業使用面積及び診療所の内装工事金額の事業使用面積については、請求人の主張に理由がなく、また、内装工事については、その内装工事をした事実がないとした事例

裁決事例集 第42集 170頁

要旨

  1.  取得した建物の事業使用面積106.5平方メートルのうち、現在台所と納戸として使用されている部分については、いずれも本件建物の裏手の居住専用玄関を入った一角に位置する台所と階段を上がった2階に位置する納戸となっており、診療室からは直接通じる構造にはなっていないこと、また、台所は待合室らしい造りとはなっていないこと及び納戸にはリハビリ用の器具備品も設置されていないこと等から、診療室(一角に患者専用の待合室が設けられている)のみが専ら事業に使用されていたとするのが相当であり、事業使用面積は、72.87平方メートルが相当である。
  2.  関係人の答述によれば、内装工事をしたとするA社は、昭和61年4月11日会社更生手続開始の申立てを行い、昭和63年1月13日に至り更生手続の廃止が決定され、破産した。また、会社更生法の申請時から操業を停止し、閉鎖したままであった。
     また、A社の領収証は、番号を付しており、市販の用紙を使用することはなかったにもかかわらず、請求人提出の本件内装工事に係るA社発行の領収証は、市販の領収証であった。
     以上のとおり、請求人は、本件内装工事を行ったとする主張を認めるに足る証拠を何ら提出せず、また、関係人の答述等からも明らかなとおり、本件内装工事代金を買換対象金額に算入することはできない。
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昭和47年3月31日裁決

郵送による買取申出書が受取拒絶をされた場合の公共事業用資産の買取りの申出日は郵送された日ではないとした事例

裁決事例集 第4集 33頁

要旨

 原処分庁は、本件住宅公社から提出された「公共事業用資産の買取り等の申出証明書」によると買取りの申出日は昭和43年12月29日となっており、買取申出書は同日郵送され、請求人は12月30日ごろにこれを受領し無開封のまま住宅公社に返戻しているから、買取りの申出日は12月30日であると主張するが、住宅公社からの買取申出書は請求人に書留により郵送されたが、請求人にその受取を拒絶された事実が明らかであり、また、受取拒絶があった場合は書類の送達に代わる公告をすることとなっているが、公告をした事実も認められず、その後昭和44年7月14日になって請求人に面接し、口頭をもって買取りの申出がなされていることが交渉記録により認められるので、最初の買取りの申出は、請求人の主張どおり、昭和44年7月14日に請求人にされたと解するのが相当である。

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昭和54年9月28日裁決

長期間借家していた建物及びその敷地を取得しその直後に譲渡した場合の譲渡所得は分離短期譲渡所得に該当するとした事例

裁決事例集 第18集 133頁

要旨

 長期間借家していた建物及びその建物の存する土地を時価より低額で取得し、その取得後、直ちに当該建物及び土地を譲渡した場合においても、借家人の権利は、専ら家主に対する関係において生じている居住の権利であって、借家権の資産としての性質は、一般的には、比較的に稀薄なものであり、その取引の実情からみても、現在の段階では借地権のように普遍的に取引の対象とされる権利として成熟するまでに至っていないから、その譲渡について、借地権につき定められた所得税基本通達33-10の取扱いの類推適用を認める余地はないものといわざるを得ず、したがって、その譲渡による譲渡所得は、当該建物及び土地の所有権の譲渡による譲渡所得となり、当該譲渡所得は分離短期譲渡所得に該当する。

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平成6年3月30日裁決

離婚に伴う裁判上の和解に基づき居住用土地の2分の1を分筆して相手方に所有権の移転登記をしたことにつき、離婚を機会に行った請求人らの共有に属する土地の共有物分割であり、譲渡所得は発生しないとした事例

裁決事例集 第47集 138頁

要旨

 請求人は、離婚に伴う裁判上の和解に基づき財産分与を原因として、本件土地の2分の1を相手方に移転登記をしたが、本件土地は、その取得資金である借入金の返済状況等から、実質は共働きをしていた妻との各2分の1を持分とする共有財産であったものであるから、本件和解では便宜的に財産分与という表現が使われてはいるが、これは共有物の分割であり、譲渡所得は発生しない旨主張する。
 本件土地の購入資金とした住宅金融公庫からの借入金は、請求人と妻が、それぞれ自己の名で支払を受けるほぼ同額の給与を合わせ管理していた生活費から共同で返済しており、また、妻の母からの借入金の返済も同様に請求人らの収入から等しく行われたものとみるのが相当である。そうすると、請求人と妻との間では、本件土地の所有権は両者の共有に属していたとするのが相当である。したがって、本件は、請求人らの共有に属する土地を離婚を機会に分割して清算したものとみるのが相当であり、譲渡所得は発生しないというべきである。

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昭和55年4月30日裁決

仮住居補償金及び移転補償金を対価補償金と認めず、また、収益補償金と同様な取扱いをすることはできないとした事例

裁決事例集 第20集 285頁

要旨

 仮住居補償金及び移転補償金は、仮住居及び建物の移転雑費として一般的に要するものと認められる費用を積算して、あらかじめ契約によりその額を決定したものであるから、補償金の交付を受けた者が営業中であったかどうか並びに実際にこれらのために要した費用の有無及びその多寡によって、その実質が対価補償金になるものではなく、また、一般に、収益補償金名義で交付を受けた補償金のうち、当該収用等をされた建物の対価補償金として交付を受けた金額が当該建物の再取得価額に達するまでの金額については、譲渡所得の金額の計算上、当該建物の対価補償金への流用を認めているが、対価補償金と対価補償金以外の補償金とは、それぞれの補償目的を有する別個なものであるから、それぞれの補償金の性格に応じた課税上の取扱いをするのが原則であるところ、前記取扱いは収益補償金名義の補償金に限られたものであり、仮住居補償金及び移転補償金について、これと同様に取り扱うことは相当でない。

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昭和51年7月7日裁決

借地権を消滅させ更地として譲渡した土地の概算取得費は総収入金額から借地権相当部分の収入金額を控除して計算すべきであるとした事例

裁決事例集 第12集 61頁

要旨

 請求人が、昭和22年から土地を賃貸していた借地人に対して立退料名義の金員を支払って借地権を消滅させ直ちに更地として他に譲渡したため、底地の譲渡による所得は長期譲渡所得、借地権相当部分の譲渡による所得は短期譲渡所得に該当することとなった場合における長期譲渡所得の概算取得費については、譲渡収入金額から借地権相当部分の収入金額を控除した長期譲渡所得に係る底地部分の収入金額に100分の5を乗じて計算するのが相当である。

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平成4年1月20日裁決

区分所有登記のできない本件買換建物の取得価額は、事業の用に供されている部分の額のうち、請求人の所有持分に相当する額によるとした事例

裁決事例集 第43集 479頁

要旨

 請求人は、本件買換建物の3分の2を持分としており、当該建物の全延面積に占める事業の用に供している割合は30.36パーセントであるから、本件買換建物の事業の用に供している部分の額は全額取得価額として認めるべきであると主張するが、本件買換建物は、区分所有のできない建物である以上、請求人は事業用部分の全部を取得したものとはいえず、事業用部分のうち請求人の持分である3分の2相当を取得したものとなるから、本件買換建物の取得価額のうち事業用部分に相当する額の3分の2に相当する額が、請求人の事業用部分に係る取得価額となる。

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平成20年3月11日裁決

土地の譲渡が「収用の対償に充てるために買い取られる場合」に該当しないとして、租税特別措置法第34条の2の規定の適用が認められないとした事例

裁決事例集 第75集 274頁

要旨

 県企業局も県農林水産部も、それぞれの設置の根拠法令は異なるものの、いずれも県知事の管轄下にある補助機関であり、県の行政組識の一構成機関であると認められる。そうすると、県企業局がその事業の用に供するために、県農林水産部が管理・使用している事業用地を自らの管理下に移転させる場合には、財産管理者である県農林水産部との間で管理換えの手続を取ることとなる。そして、本件においても当該管理換えの手続が取られたものであり、そのことは、本件管理換え協定書からも明らかである。さらに、県農林水産部から県企業局への管理換えがあった平成17年2月7日の前後を通じ、本件事業用地の所有者がA県となっていることからも、収用又は買取りがなされたものではないことが認められる。
  以上のことから、県企業局への本件事業用地の管理の移転は、土地収用法等による収用でもなければ、資産についての買取りの申出を拒むときは収用されることとなる場合の買取り、すなわち収用権を背景とした買取りでもないこととなる。
  租税特別措置法第34条の2第1項は、個人の有する土地等を特定住宅地造成事業等のために譲渡した場合には、一定の要件の下に譲渡所得の金額の計算上1,500万円が控除される旨を規定しており、この特例(以下「本件特例」という。)の対象となる譲渡として、同条第2項第2号において「(措置法)第33条第1項第1号に規定する土地収用法等に基づく収用(同項第2号の買取り‥‥‥を含む。)を行う者若しくはその者に代わるべき者として政令で定める者によって当該収用の対償に充てるため買い取られる場合」が規定されている。
  このような譲渡が本件特例の対象とされているのは、公共事業の施行者が土地等を収用等により円滑に取得するためには、事業用地の譲渡者に対して代替地を提供することが必要不可欠である場合もあることから、公共事業の施行者が代替地として提供するために必要な土地、すなわち対償地を容易に取得できるようにとの趣旨からであると解され、同法第34条の2第1項の規定は、税負担の軽減の特例又は例外規定であって、その解釈及び適用は厳格でなければならないというべきである。
  本件についてみると、上記のとおり本件事業用地の管理換えは、収用又は収用権を背景とした買取りではないから、県企業局は、同法第34条の2第2項第2号に規定する収用を行う者若しくはその者に代わるべき者として政令で定める者には該当せず、また、本件譲渡物件の県農林水産部への提供についても、同号に規定する収用の対償に充てるために買い取られる場合に該当しない。よって本件土地の譲渡については、本件特例を適用することはできない。

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平成5年3月31日裁決

土地区画整理に伴う保留地を取得し、これを譲渡した場合は、事業施行者から取得した権利の譲渡であり、当該譲渡による所得は分離短期譲渡所得に当たるとした事例

裁決事例集 第45集 87頁

要旨

 請求人は、土地区画整理事業地内の本件保留地に係る譲渡は請求人が従来から有していた所有権の譲渡であり、事業施行者から新たに取得した権利の譲渡ではないから、分離長期譲渡所得に該当する旨主張するが、請求人は本件保留地売買契約により昭和63年8月26日に事業施行者から取得した本件保留地に係る権利を昭和63年10月6日に譲渡したものであり、これは、租税特別措置法第32条第3項に規定する所有期間が5年以下であるものの譲渡に該当するから、本件保留地の譲渡による所得は、分離短期譲渡所得に該当する。

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平成5年6月23日裁決

夫婦共有の居住用財産を一体として譲渡して、譲渡益をあん分し、夫婦それぞれの特別控除の限度額の合計額を控除するような恣意的な計算を行うことは許されないとした事例

裁決事例集 第45集 312頁

要旨

 請求人は、共有の居住用財産に係る譲渡益のあん分方法について法律の規定はないから、夫婦が共有する場合には各人の特別控除額(3,000万円)の全額を適用できるように所得金額を算定すべきであると主張するが、かかる主張は請求人独自の見解であり、また、その算定方法に合理性があるとは認められない。
 そして、本件の場合、譲渡契約書の特約事項において、請求人らが建物を解体した上で更地にして引き渡すことが条件とされていることから、売買代金の総額を土地の譲渡対価とみるのが相当である。
 したがって、請求人に係る譲渡収入金額は、譲渡土地の総面積のうち請求人が譲渡した土地の面積の占める割合を譲渡価額の総額に乗じて計算するのが相当である。また、取得費については、本件土地建物の取得時の価額を算定するに足りる証拠もないから、固定資産税評価額を基に算定したことが不合理とはいえない。
 さらに、解体した建物に係る未償却残高は、資産の取壊しによる損失とするのが相当であるから、譲渡費用に算入するのが相当である。

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平成16年3月31日裁決

居住の用に供していた建物が法人の所有である場合には、その敷地の譲渡について居住用財産を譲渡した場合の課税の特例の適用はないとした事例

裁決事例集 第67集 421頁

要旨

 居住の用に供している家屋とその敷地の所有者が異なっている場合においては、居住用財産を譲渡した場合の課税の特例の解釈上、その適用範囲を、その両所有者が親子又は夫婦等の親族関係にあり、かつ、所得税の計算上同一の共同体にあって、その所有形態が同一人の所有形態と同視し得る場合までは許されるとして居住用財産を譲渡した場合の課税の特例に関する租税特別措置法関係通達が定められたものと解されるところ、当審判所においても、その定めは合理的であって相当なものと認められる。
 本件譲渡において、本件建物の所有者はA社であって、その敷地である本件土地の所有者である請求人とは、親族関係を有するものでないことはもとより、別人格の法人であるから、そもそも租税特別措置法関係通達の定めには該当しない。したがって、A社が所有する本件建物とともにその敷地の用に供されている請求人所有の本件土地が譲渡されていても、本件譲渡所得には、居住用財産を譲渡した場合の課税の特例を適用することはできない。

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昭和56年10月15日裁決

建物の居住用部分と非居住用部分との区分割合について原処分庁の主張を退けた事例

裁決事例集 第23集 238頁

要旨

 本件家屋の居住用部分と非居住用部分との区分割合につき、原処分庁は、居住用部分は3分の1にすぎないと認定したが、本件家屋の使用状況からみると、非居住用部分と認められるのは物置、土間の一部だけで、居住用部分の占める割合は82.2パーセントと認められるから、この割合により居住用部分に係る譲渡所得の金額を算出し、これにつき租税特別措置法(昭和53年法律第11号による改正前のもの)第35条に規定する居住用財産の譲渡所得の特別控除を認めるのが相当である。

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平成元年3月15日裁決

昭和59年分の所得税の確定申告書には何ら無効原因となる錯誤の存在は認められず、当該確定申告において既に租税特別措置法第35条第1項の規定の適用を受けていることが明らかであるから、昭和61年分の所得税の確定申告において居住用財産の譲渡所得の特別控除の適用を受けることはできないとした事例

裁決事例集 第37集 259頁

要旨

 請求人は、物件甲売買契約が停止条件付売買契約あるいは物件甲の売買予約に該当し、その効力が昭和59年中に発生していないにもかかわらず、重大かつ客観的に明白な錯誤に基づいて昭和59年分の所得税の確定申告書に譲渡所得の金額を記載したのであるから、当該申告は無効であり、昭和61年分の所得税の確定申告において租税特別措置法第35条第1項に定める特別控除の適用が認められる旨主張するが、物件甲売買契約においては、物件甲の引渡しの日を特定の日と定めてはいないが、売買代金等の完済日を引渡しの日としており、そして、物件甲の引渡しを物件甲売買契約の効力の発生に係らせるような約定はなされておらず、譲受人が期日までに転勤しなければ物件甲売買契約の効力は生じないとする約定もなく、また、その他の証拠を総合しても物件甲売買契約が停止条件付売買契約であるとは認められない。
 したがって、昭和59年分の所得税の確定申告書には、何ら請求人主張のような無効原因となる錯誤の存在は認められず、当該確定申告書において、既に租税特別措置法第35条第1項の規定の適用を受けたことが明らかであるから、昭和61年分の所得税の確定申告において居住用財産の譲渡所得の特別控除の適用は認められないというべきである。

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平成12年3月14日裁決

減額更正処分により発生した過誤納金を収納未済額に充当した結果、物納許可を受けた相続税額を超える価額の財産により物納されたこととなり、物納財産の収納許可額と物納許可を受けた相続税額との差額が金銭で還付され、その差額に対して譲渡所得が課税された事例

裁決事例集 第59集 129頁

要旨

 請求人は、本件過誤納金について、原処分庁が請求人の納付すべき税額を減少させる更正処分をしたことから、金銭で納付していた税額が還付されたものであり、相続税の物納許可による過誤納金が還付されたものではないことから、譲渡所得の課税対象とはならない旨主張するが、当該更正処分により生じた過納金は、国税通則法第57条第1項の規定に従って適法に請求人の納付すべき税額に充当されているところ、本件過誤納金は、物納許可を受けた相続税額を超える価額の財産により物納されたことから、物納財産の収納価額と物納許可された相続税額との差額が請求人に金銭をもって還付されたものであり、租税特別措置法第40条の3に規定されている物納許可を受けて物納した財産に当たらないから、同条の規定の適用はなく、通常の資産の譲渡と同様に、譲渡所得の課税対象になる。

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平成4年7月9日裁決

租税特別措置法第31条の4で規定する所有期間は、あくまでも譲渡した家屋そのものを取得等した日の翌日から引き続き所有していた期間をもって判断すべきであるとした事例

裁決事例集 第44集 315頁

要旨

 請求人は、租税特別措置法第31条の4で規定する所有期間の判断に当たっては、譲渡家屋の所有期間のみでなく、実質上は請求人の所有であり白蟻被害のためやむを得ず取り壊した旧家屋の所有期間と通算すべきであると主張するが、旧家屋の所有者は請求人の妻であると認められ、また、同法の所有期間はあくまでも譲渡をした家屋そのものを取得又は建設した日の翌日から引き続き所有した期間をもって判断すべきであることは明らかであり、何らかの事情があって家屋を建替えたとしても、その故をもって、建替前の家屋の所有期間と通算すべき理由はない。

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平成元年6月30日裁決

租税特別措置法第37条の課税の特例を適用して確定申告書を提出した者が、その後に当該特例の適用を取りやめる旨の修正申告書の提出をすることはできないとした事例

裁決事例集 第37集 295頁

要旨

 譲渡所得の金額の計算について、納税者が租税特別措置法第37条の特例の適用を受ける旨を記載した確定申告書を提出した以上、やむを得ない事情がある場合のほかは、修正申告書を提出することによってその適用を受けない旨の変更をすることはできないと解されるところ、請求人の当該特例を適用した昭和58年分の確定申告は、適法なものであり、請求人が提出した同年分の修正申告書が同法第37条の2第2項の修正申告書の提出要件にも該当しないことは条文上明らかである上、請求人は、原処分の調査時に、当該特例を適用した場合、昭和61年分の分離短期譲渡所得の金額が増加することを知って、昭和58年分の修正申告書を提出したものであり、当該特例を適用して確定申告書を提出したことについてやむを得ない事情がある場合にも該当するとは認められないから、請求人の主張には理由がない。

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昭和60年3月7日裁決

譲渡した土地の譲受人とその土地に関し開発許可を受けて開発行為をした者とが異なっているから、当該譲渡について租税特別措置法第31条の2の規定は適用できないとした事例

裁決事例集 第29集 185頁

要旨

 請求人は、本件土地の実質的な譲受人は本件土地に関し開発許可を受けて開発行為をした会社であるから、本件土地の譲渡につき、優良住宅地のための譲渡による課税の特例が適用されるべきであると主張するが、請求人から本件土地を譲り受けた会社は、その土地の転売先である開発会社から本件土地の取得資金の融資を受ける等、本件譲受会社と開発会社との関係が相当密接であったことはうかがえるものの、両者は互いに独立した法人格を有し、本件に関しても独立して意思決定をしており、本件譲受会社は、開発会社の代理人として本件土地を取得したものでなく、又は開発会社のダミーであったとは認められないから、請求人の主張は採用できない。
 また、請求人は、本件のように請求人から直接土地を取得した者とその土地につき開発許可を受けて優良住宅地の造成をした者とが異なる場合でも、課税の特例は優良住宅地の供給の促進に資する趣旨で設けられたものであるから、それが適用されるべきであると主張するが、その主張は法の規定を拡大解釈して適用することを求めているものであって採用することはできない。
 したがって、本件土地の譲渡について租税特別措置法(昭和56年法律第13号による改正前のもの)第31条の2の規定を適用すべきであるとの請求人の主張には理由がない。

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昭和53年12月11日裁決

譲渡した土地は、居住用家屋の一部を取り壊して更地とした部分であり、居住用財産に該当しないとした事例

裁決事例集 第17集 76頁

要旨

 土地の譲渡に当たって、当該土地を更地とした上で譲渡することが条件となっていたので、当該土地の上にまたがって建っていた居住用家屋の一部を取り壊して譲渡した事実は認められるが、[1]取壊し後において旧家屋の相当部分が残っていたこと、[2][1]の状態となった家屋について増改築を行い引き続き居住の用に供していたこと、[3]その増改築の工事の間も他に移転することなく当該家屋に引き続き居住していたことが認められるから、当該土地の譲渡については、租税特別措置法(昭和49年法律第17号による改正前のもの)第35条第1項の規定の適用はない。

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昭和55年1月24日裁決

譲渡した家屋は生活の本拠として居住の用に供していたものであるから租税特別措置法第35条第1項に規定する居住用財産に該当するとした事例

裁決事例集 第19集 117頁

要旨

 譲渡した家屋は、請求人が永住する目的で新築し、昭和42年10月から昭和48年3月まで居住していたものであること、請求人が昭和48年4月から昭和51年9月ころまで自己所有の別件家屋に居住した経緯について相当の事情が認められること、当該別件の家屋に居住していた間譲渡した家屋における電話が存置されたままであったこと、譲渡した家屋については改造工事を行い、その後は空家にしていたこと等から請求人の当該別件家屋における居住は、家庭的事情が解消するまでの一時的なものであったと認められ、他方、請求人の昭和51年9月ころから昭和52年4月までの間の譲渡した家屋における居住は、生活に通常必要な電気、水道、ガス及び電話の使用状況並びに請求人の次女及び三女が、譲渡した家屋の所在地を校区とする学校にそれぞれ通学していたこと等から一時的なものでなく、恒久的な居住の状態であったと認められるから、本件譲渡した家屋及びその敷地の譲渡所得については、租税特別措置法(昭和53年法律第11号による改正前のもの)第35条第1項の規定を適用するのが相当である。

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昭和46年6月8日裁決

譲渡した山林素地について事業用資産に当たらないとした事例

裁決事例集 第2集 35頁

要旨

 山林からは継続して収益をあげていないこと、所有山林の面積、植林の実施状況等からみて、山林業と称するに足る事業を営んでいるとは認められないので、譲渡した山林素地は事業用資産とはならない。

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平成2年6月11日裁決

買換土地のうち買換家屋が建っている部分とはブロックフェンスで区分され、アスファルトで舗装されて請求人の自家用車の駐車場、物干場及び子供の遊び場として利用されている部分も買換家屋の敷地といえるとした事例

裁決事例集 第39集 490頁

要旨

 租税特別措置法第36条の2に規定する居住用家屋の敷地に該当するか否かの認定に当たっては、単に居住用家屋が物理的に存立するために必要な部分に限るのではなく、社会通念上当該家屋と一体として利用されている土地かどうかによって認定するのが相当であると解されているところ、(1)乙地は、請求人が本件買換資産を取得して以来、請求人の自家用車の駐車場、物干場及び子供の遊び場として利用されているほか、本件買換家屋の建っている南側土地と乙地とはブロックフェンスに取り付けられた扉を通じて直接往来でき、また、その設置目的も乙地に降った雨水が南側土地へ侵入するのを防ぐためのものと認められ、南側土地と乙地とは機能的には、何ら別個独立のものとは認められないこと、(2)乙地は軟弱な粘土質であり、雨が降ると泥田のようになることから、そのままの状態では、自家用車の駐車場、物干場及び子供の遊び場として利用するのに適していないので、その対策として請求人はこれをアスファルトで舗装したと認められ、乙地がアスファルトで舗装されているからといって、乙地が本件買換家屋と一体として利用されていない根拠にはならないことから、乙地は本件買換家屋と一体として利用されている土地であるとするのが社会通念に照らして相当であり、乙地は本件買換家屋の敷地に該当するというべきである。

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平成2年7月3日裁決

遺留分減殺請求により取得した不動産を取得後1月で譲渡しても、その譲渡が相続税の法定申告期限の翌日以後2年経過後である場合には、相続財産を譲渡した場合の取得費の加算の特例の適用がないとした事例

裁決事例集 第40集 272頁

要旨

 請求人は、租税特別措置法第39条“相続財産に係る譲渡所得の課税の特例”に規定する「(相続税法)第27条第1項の規定による(相続税の)申告書の提出期限」は、遺留分減殺請求の調停の成立した日、又は遺留分減殺請求の意思表示をした日の翌日から6月以内と解すべきであるから、本件譲渡について、同条を適用すべきであると主張するが、相続税の申告書の提出期限は、被相続人の死亡を覚知することにより、相続財産の一定額を取得し得る地位に立つことを知った日の翌日から6月以内と解すべきである。本件譲渡は相続税の申告書の提出期限の翌日以後2年を経過する日までの間の譲渡に該当しないので、措置法第39条の適用はない。

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平成8年12月11日裁決

面積制限を超えて取得した二以上の買換土地の面積は、当該土地を平均的に取得したものとして計算するのが正当であるとして請求人の主張を排斥した事例

裁決事例集 第52集 64頁

要旨

 買換土地の面積制限の計算に当たり、請求人は、原処分庁は租税特別措置法通達37-10に基づきQ市及びM市の土地を平均的に取得したとしているが、本件買換資産は同通達の発遣前に取得しているので、同通達は適用される余地がなく、法人の取扱いと同様に納税者に有利になるよう任意に買換土地を選択できる旨主張するが、次の理由から、買換土地を平均的に取得したとする本件更正処分は適法である。

  1.  租税特別措置法施行令第25条の2第2項は、租税特別措置法第37条の3第1項の規定を受けて、買換資産が二以上ある場合の各買換資産の取得価額は、各買換資産の買換資産の合計額のうちに占める割合を乗じた金額とする旨規定していることから、買換土地の面積制限の計算も平均的に取得したものと解するのが相当である。
  2.  租税法規の解釈として、通達が公開されているのは、課税庁内部の取扱いの統一と納税者の申告・納税の便に供していることが認められ、その内容が法律の正しい解釈に合致している以上、法律の根拠に基づくものと解するのが相当である。
  3.  租税特別措置法通達37-10は、請求人が買換資産を取得した後に発遣されているが、同通達の発遣前から租税特別措置法通達37-19及び37の3-2が存在し、従来から二以上の土地を平均的に買換資産とする取扱いがされていたと認められ、平成3年度の税制改正に伴い、租税特別措置法通達37-10によりそれまでの取扱いが明確にされたものといえる。
  4.  さらに、特定の事業用資産の買換特例に関して、[1]個人は租税特別措置法第37条第1項及び第37条の3第1項において、譲渡所得の金額及び引継価額の計算方法を規定しているが、[2]法人は租税特別措置法第65条の7第1項において、損金の額に算入する金額の計算方法を規定しているのみであり、同法第37条の3第1項及び租税特別措置法施行令第25条の2第2項と同様な規定がなく、その規定振りが異なる。
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平成6年6月21日裁決

S線P・T間線路建設工事のための借家権の譲渡は、最初に買取りの申出があった日から6か月を経過した日後に行われているので、租税特別措置法第33条の4の適用はないとした事例

裁決事例集 第47集 196頁

要旨

 本件借家権の譲渡については、事業施行者からS線P・T間線路建設工事のための用地買収業務の委託を受けた業者の社員が、業務委託契約書及び委任状等を提示して、同工事のための借家権の買取りの申出を昭和63年6月21日に行っており、その後、事業施行者が事業を円滑に実施するために譲渡人を被告として建物の明渡しを求める訴訟を起こしたからといって、当該買取りの申出を撤回したということはできないので、平成3年5月15日に行われた本件建物の譲渡は、最初の買取りの申出のあった日から6か月を経過した日後に行われていると認められ、租税特別措置法第33条の4は適用されない。

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平成12年5月22日裁決

ワラントの権利行使期間が徒過したことによる損失について取得費又は譲渡費用として控除することを認めなかった事例

裁決事例集 第59集 137頁

要旨

 請求人は、ワラントの権利行使期間が徒過し失効したことによる損失(以下「失効損失」という。)について、ワラントを著しく低い価額で譲渡した場合の取扱い及び法人税法における損金算入との取扱いとの課税の公平から、他の株式等に係る譲渡所得の金額の計算上、取得費又は譲渡費用として控除すべきである旨主張する。
 しかしながら、ワラントの失効とは、権利行使期間の徒過により、発行会社の株式を一定の条件で購入することのできる権利が消滅することであって、資産の譲渡には該当しないものであるから、ワラントの取得価額を他の株式等に係る譲渡所得の金額の計算上、取得費又は譲渡費用として控除することはできない。
 また、所得税法には、法人税法の取扱いを準用する旨の規定はないことから、請求人の主張には理由がない。

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平成9年1月21日裁決

代償金を支払って取得した相続土地を譲渡した場合の取得費の額に加算する相続税額の計算に当たり、当該代償金の額を圧縮した原処分は相当であるとした事例

裁決事例集 第53集 275頁

要旨

 請求人は、租税特別措置法通達39-14(代償金を支払って取得した相続財産を譲渡した場合の取得費加算額の計算)は、納税者に不利になる取扱いをするものであり、租税法規の解釈に反するものであるから、更正処分は取り消されるべきである旨主張する。
 しかしながら、租税特別措置法第39条(相続財産に係る譲渡所得の課税の特例)は、相続により財産を取得した個人で納付すべき相続税額が算出された者が、相続税の課税対象となった財産を一定期間内に譲渡した場合には、相続税と所得税が課税され租税負担が重くなることから、譲渡所得の計算上、譲渡資産に対応する相続税相当額を取得費に準じて扱うことを目的として創設された制度の趣旨からすると、代償金を支払って取得した相続財産を譲渡した場合において、譲渡土地に対応する相続税相当額を上回る部分についてまで同条が認めたものではないと解するのが相当であるから、原処分庁の計算方法は、同条の規定の趣旨に即した合理的なものと認められる。
 したがって、原処分庁が譲渡土地の譲渡に係る譲渡所得の金額の計算上、取得費の額に加算される相続税額の算定において、これに相当する代償金を控除した更正処分は適法である。

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昭和62年4月24日裁決

地方税法附則第29条の5第1項に規定する長期営農継続農地として認定を受けた農地につき、その譲渡者が都市計画法に基づく開発行為の許可を受け、譲受者が当該許可を受けていない場合には、その譲渡は租税特別措置法施行令第20条の3第2項第1号に掲げる土地等の譲渡(租税特別措置法第31条の2第2項第4号に掲げる土地等の譲渡)に該当せず、特定市街化区域農地等を譲渡した場合の長期譲渡所得の課税の特例は適用されないとした事例

裁決事例集 第33集 161頁

要旨

 本件譲渡は、長期営農継続農地を住宅建設の用に供される一団の宅地として造成するための譲渡であることは認められるが、その譲渡が租税特別措置法(昭和60年法律第7号による改正前のもの)第31条の2第2項第4号に規定する譲渡に該当するためには、その譲受人が開発許可を受けている者であることが要件とされているところ、本件土地について開発許可を受けた者は請求人自身であって譲受人ではない。したがって、本件譲渡は同号に規定する譲渡に該当しない譲渡であるから、特定市街化区域農地等を譲渡した場合の長期譲渡所得の課税の特例(同法第31条の3)が適用されないとして請求人の納付すべき税額を算定した更正は適法である。

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昭和59年4月20日裁決

居住用及び貸間用に併用されている家屋の敷地のうち観賞用の庭園等として利用されている部分を居住専用部分と認定した事例

裁決事例集 第28集 302頁

要旨

 原処分庁は、本件家屋は1階と2階の床面積が等しく、かつ、1階は居住用、2階は貸間用とされているので、敷地の利用割合も居住用部分、非居住用部分とも50パーセントずつと認定したが、[1]間借人の居住する2階部分から庭園観賞は困難であること、[2]間借人は庭を物置、物干し又は洗濯場として利用していないこと、[3]庭園があることにより賃貸料が他に比し高額になっている因果関係が認められないことから敷地のうち庭の部分は居住専用とし、残りの部分の2分の1を居住用とし、結局敷地の居住用部分の面積割合は64.5パーセントとするのが相当である。

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平成27年1月23日裁決

居住用土地建物及び非居住用土地建物と一体で利用されていた私道を譲渡した場合において、当該私道の面積のうち租税特別措置法第35条に規定する特例の適用がある部分は、居住用土地及び非居住用土地の各面積を基にあん分により求めた面積とすることが相当であるとした事例(平成24年分の所得税の更正の請求に対してされた更正をすべき理由がない旨の通知処分及び過少申告加算税の賦課決定処分・一部取消し)

裁決事例集 第98集

要旨

 請求人は、居住の用に供していた家屋(本件居住用家屋)の敷地(甲土地)のほか、甲土地に隣接する土地上にあった通路(本件通路)のうち4分の1に相当する部分にも、租税特別措置法第35条《居住用財産の譲渡所得の特別控除》第1項に規定する特例の適用がある旨主張する。
 しかしながら、同項に規定する「居住の用に供している家屋の敷地」であるかどうかは、当該土地等が当該家屋と一体として利用されている土地等であったかどうかにより判定することが相当である。これを本件についてみると、本件通路は、本件居住用家屋のほか、本件通路に面している6棟の建物(本件各空家)の出入りにも必要な土地であり、現に、その出入りに利用されてきた土地であることから、本件居住用家屋及び本件各空家と一体で利用されていた土地であると認められる。そうすると、本件通路のうち租税特別措置法第35条第1項に規定する居住の用に供している家屋の敷地に該当していた部分は、本件通路を本件居住用家屋と本件各空家に対応する部分であん分した本件居住用家屋に対応する部分とすることが合理的であると認められる。そして、そのあん分に当たっては、本件通路は甲土地及び本件各空家の敷地への出入りに利用されていた土地であるから、甲土地及び本件各空家の敷地面積を基にあん分することが合理的である。したがって、請求人の主張は採用できない。

参照条文等

租税特別措置法第35条 租税特別措置法通達(山林所得・譲渡所得関係)31の3-12

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平成5年10月28日裁決

本件土地の譲渡は、代物弁済により譲渡した後買い戻して売却したもので、短期譲渡であり、代物弁済をした額が取得費の額であるとの請求人の主張に対し、代物弁済の事実は認められず長期譲渡であり、取得費の額は譲渡価額の100分の5であるとした事例

裁決事例集 第46集 70頁

要旨

 請求人は、本件土地は、昭和59年2月1日に代物弁済により譲渡した後、平成3年12月5日に買い戻して譲渡したものであるから、本件土地の譲渡による所得は短期譲渡所得であり、本件土地の買戻し価額は取得費に該当する旨主張する。
 しかしながら、請求人が融資を受けた会社との間で売買予約の締結か仮登記担保契約かが争いとなり、訴訟提起の上、和解により融資金額の確認と担保権確保のため各種登記が抹消されたという事実が認められ、代物弁済がされた事実はなく、所有権の移転はなされていない。また、請求人が代物弁済により譲渡したと主張する日以後においても本件土地を含む全土地の使用、収益、処分権は請求人に帰属していたと認められる。
 したがって、本件土地について、代物弁済による譲渡及び買戻しの事実があったとは認められないから、本件土地の譲渡による所得は長期譲渡所得であり、本件土地の取得費の額は、租税特別措置法第31条の4の規定により、本件土地の譲渡価額の100分の5に相当する金額となる。

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平成13年2月26日裁決

租税特別措置法第37条第3項に規定する届出をその提出期限までにしなかった場合には、同条第8項のゆうじょ規定を適用することはできないとした事例

裁決事例集 第61集 355頁

要旨

 請求人は、租税特別措置法第37条第3項に規定する届出(以下「本件届出」という。)をその提出期限までにしなかったことについては、やむを得ない事情があるとして、租税特別措置法第38条第8項の規定(以下「本件ゆうじょ規定」という。)により、譲渡所得の金額の計算について租税特別措置法第37条第3項の規定を適用すべきである旨主張する。
 しかしながら、本件ゆうじょ規定は、確定申告書に租税特別措置法第37条第1項の規定を受ける旨の記載がなかった場合等においてやむを得ない事情があるときに、同項の規定の適用を認めることができる旨を定めたものであり、本件届出を提出期限までにしなかった場合のゆうじょ規定ではないから、たとえ、実質的には本件特例の適用要件を満たしているとしても、本件届出を期限までに行わなかった以上、本件特例の適用を受けることはできない。

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昭和53年7月19日裁決

老年者の判定の基準となる合計所得金額には長期譲渡所得の金額を含めるべきであるとした事例

裁決事例集 第16集 75頁

要旨

 老年者の判定の基準となる合計所得金額には、長期譲渡所得の金額を含めるべきであることは、租税特別措置法第31条第3項第2号の規定により明らかであり、その規定に従っていない請求人の確定申告に係る課税標準について行った原処分は正当である。

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平成15年11月5日裁決

請求人が譲渡した土地に所在していた建物は、請求人が生活の本拠として使用していたとは認められないとした事例

裁決事例集 第66集 224頁

要旨

 請求人は、譲渡した本件土地に所在していた本件家屋は居住を目的とした財産であり、租税特別措置法第36条の6及び同法第36条の2の適用要件を満たしている旨主張する。
 しかしながら、本件家屋の電気及び水道の各使用料が僅少であること、請求人の通勤届けが本件家屋以外の家屋(家族の居住家屋)の所在地からであること、本件土地に係る境界確認書等の書類には、本件家屋以外の家屋(家族の居住家屋)の所在地を記載してあること、本件家屋の近隣住民が請求人は本件家屋には住んでいなかった旨答述していること、から、本件家屋は、請求人が生活の本拠として居住の用に供していたものとは認められず、租税特別措置法第36条の6及び同法第36条の2の規定を適用することはできないとした。

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昭和59年4月28日裁決

譲渡された家屋は電話の架設状況等からみて生活の本拠として居住の用に供していたものと認められるから租税特別措置法第35条第1項に規定する居住用財産に該当するとした事例

裁決事例集 第27集 256頁

要旨

 請求人は本件家屋のほか居住可能なマンションを所有していて請求人の生活環境や電気等の使用実績からみてそのいずれも住居として利用していたと推認することができるが、[1]昭和52年夏ころマンションから本件家屋に生活用品等の搬入をしていること、[2]同年8月2日マンションに架設していた電話を本件家屋に移設していること、[3]請求人が官公署に提出した文書には本件家屋の所在地を住所として記載しており文書の送達受領にそごを生じたことがないこと、[4]マンションを譲渡した際、その譲渡に係る所得税の確定申告において租税特別措置法第35条の規定の適用を受けていないこと等から、本件家屋を生活の本拠としていたと認められ本件物件の譲渡は租税特別措置法(昭和57年法律第8号による改正前のもの)第35条第1項に規定する居住用財産の譲渡に当たる。

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昭和55年7月29日裁決

譲渡した家屋は、隣接家屋が市に買収されたため居住しなかったとしても、租税特別措置法第35条第1項に規定する居住用財産に該当しないとした事例

裁決事例集 第20集 275頁

要旨

 本件家屋に隣接する家屋が市に買収され、本件家屋だけでは手狭になったため、転勤による帰郷後、本件家屋に居住しなかったものであり、買収されなかったとすれば当然に本件家屋に居住したものであるから、本件家屋は居住用財産に該当すると主張するが、本件家屋を生活の本拠に利用することなく他に賃貸していた以上、本件家屋は居住用財産に当たらないとした原処分は相当である。

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平成13年3月29日裁決

賃貸料として6か月分相当額を一括計上しているが、賃貸は一時的なものにすぎず、相当の対価を得て継続的に行う事業に準ずるものに該当しないとして、租税特別措置法第37条第1項の適用を認めなかった事例

裁決事例集 第61集 337頁

要旨

 請求人が、事業用資産と主張する本件土地は、Q社との賃貸借契約日からわずか3週間足らずでK社に譲渡の意思表示をしている事実、さらには賃貸借期間を1年としたことについて、賃貸条件を1年ごとに更新するためのものである旨の請求人の主張を裏付けるに足りる証拠も認められないことを総合勘案すると、当該土地の賃貸は一時的なものにすぎず、相当の対価を得て継続的に行う事業に準ずるものに該当するとはいえないから、本件土地の譲渡所得の金額の計算において、租税特別措置法第37条第1項の適用は認められない。

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昭和49年7月5日裁決

農地を雑種地に地目変更の上宅地造成して譲渡した土地は事業用資産に当たるとした事例

裁決事例集 第8集 52頁

要旨

 請求人は農地の譲渡に当たり、その売買契約に先立って、当該農地を埋立造成した上で譲渡する旨の念書を譲受人に差し出しており、その時点では間違いなく農地であり、かつ、その造成も土地の形質変更を伴うような性格のものでなく引渡しまでの期間も短期間であるので、事業の用に供している資産の譲渡と認め、事業用資産の買換えの特例の適用を認めるのが相当である。

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平成7年7月3日裁決

仮換地の指定変更は、土地区画整理事業の遂行の必要性から行われたものではなく、私人間の仮換地の交換に基づく指定変更願により行われたものであるから、租税特別措置法第33条の3の規定の適用はないとされた事例

裁決事例集 第50集 111頁

要旨

 請求人は、租税特別措置法第33条の3(換地処分等に伴い資産を取得した場合の課税の特例)は、個人が、その有する土地などにつき土地区画整理法による土地区画整理事業が施行された場合において、当該土地等に係る換地処分により土地等を取得したときは、換地処分により譲渡した土地等の譲渡はなかったものとみなす旨規定しているところ、本件仮換地の指定変更は、土地区画整理審議会の委員から公共性のあるもので、所得税の課税関係は生じないと言われて行ったものであり、土地区画整理事業の終了しない段階で行われたものであるから、租税特別措置法第33条の3の規定により譲渡はなかったとみなされるべきであると主張する。
 しかしながら、本件仮換地は指定後10数年の間、特に問題もなく請求人の自動車板金業の敷地として使用されていたものであり、本件仮換地の指定変更は、事業施行者が土地区画整理事業遂行上の必要性から働きかけたものではなく、請求人とF社との間における仮換地が事実上付帯した従前地の交換契約を実現するために行われたものと認められるところ、租税特別措置法第33条の3の規定は、土地区画整理事業施行地内であっても、土地区画整理事業の遂行とは直接関係のない土地等の交換契約を実現するための本件指定変更のようなものまでも、譲渡がなかったとみなす規定ではなく、請求人の主張は採用できない。

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平成8年1月26日裁決

本件土地の買主が当該土地を転売しているので、租税特別措置法第31条の2第2項第9号に該当しないとして請求人の主張を排斥した事例

裁決事例集 第51集 208頁

要旨

 請求人は、本件土地の実質的な買主はX社であるから、租税特別措置法第31条の2(優良住宅地の造成等のために土地等を譲渡した場合の長期譲渡所得の課税の特例)第2項第9号に該当する。仮に、本件土地の買主がW社であったとしても、同社が同号に規定する優良住宅を建設しなかったことについて請求人には何ら瑕疵がないので、同条が適用されるべきである旨主張する。
 ところで、租税特別措置法第31条の2第2項第9号は、優良住宅の建設を行う個人又は法人に対する土地等の譲渡で、当該土地等が優良住宅の用に供されるものと、また、同号括弧書には、優良住宅の建設を行う法人として「当該建設を行う法人の合併による消滅により当該建設に関する事業を引き継いだ合併法人が当該建設を行う場合には、当該合併により消滅した法人又は当該合併法人」を含む旨規定されている。

  1.  原処分関係資料及び審判所の調査したところによれば、次の事実が認められる。
    1.  請求人は平成5年9月3日の契約に基づき売買代金2億6,965万円をW社から、W社は平成5年12月20日の契約に基づき売買代金2億6,262万円をX社から受領していること。
    2.  請求人は、本件土地の売主を請求人、買主をW社としてP市長に国土利用計画法の届出をし、平成5年9月3日の契約の残金受領時に登記済権利証等をW社に渡した旨答述していること。
    3.  X社の担当者は、本件土地についてW社と平成5年12月20日に売買契約を締結し、即日決済したが、請求人と交渉したことはない旨答述していること。
    4.  W社とX社が合併した事実はないこと。
  2.  以上の事実によれば、本件土地の買主であるW社が、当該土地をX社に転売していることから、請求人の本件土地の譲渡は、租税特別措置法第31条の2第2項第9号に規定する特例適用要件を欠くこととなるので、本件更正処分は適法である。
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平成18年9月5日裁決

特定口座内において受入非特定上場株式等を譲渡した場合におけるその取得価額は、実際の取得価額ではなく、みなし取得価額であるとした事例

裁決事例集 第72集 184頁

要旨

 本件株式は、請求人がD証券株式会社からA証券B支店に現物を持ち込み、保管委託されていたものが、特定口座の開設とともに同口座に移管されたものであるから、受入非特定上場株式等に該当し、本件株式の譲渡所得の計算上控除される取得価額は、みなし取得価額となる。
 請求人は、実際の取得価額が認められないとすれば、当該譲渡により損をしているのに税金を支払わなければならず酷であるとして、みなし取得価額が適用される上場株式について実際の取得価額により所得計算をすべきである旨主張する。
 しかしながら、請求人は自ら特定口座により株式等の譲渡所得の計算をすることを選択しているところ、A証券B支店は、特定口座の開設時に請求人に対し受入非特定上場株式等の取得価額がみなし取得価額になるということを説明しており、請求人は、本件株式の取得価額がみなし取得価額の適用を受けることを十分に知りえる状況にあったものと認められ、また、A証券は、平成16年末を期限に実際の取得価額への見直しが可能であるとして請求人に対し再点検をするよう通知していたにもかかわらず、請求人は、取得価額の見直しの申出を行っていないことが認められる。
 これらの事情に照らせば、本件株式の譲渡所得の計算上、実際の取得価額が認められないからといって、酷であるとは認められないから、請求人の主張は採用できない。

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昭和60年1月9日裁決

譲渡した宅地の一部分は租税特別措置法第35条第1項の規定の適用のない非居住用部分であるとの原処分庁の主張を退けた事例

裁決事例集 第29集 193頁

要旨

 原処分庁は、譲渡した本件宅地につき、[1]市販の住宅地図には「○○商店」と表示されており、また、固定資産課税台帳によれば、本件宅地上にあって譲渡時に取り壊した本件家屋は「居宅兼店舗」とされていること、[2]本件宅地には、鉄くずが落ちないように鉄さくが張られ、また、物干場兼物置には、商品が置かれていたこと、[3]本件宅地内に営業用のトラックを駐車していたことから、その一部は請求人の事業の用に供されていたものと認められると主張するが、[1]請求人は本件宅地の周囲の土地を商品置場として借り受け古物業の営業を行っていたが、昭和47年からは現住所地にその営業を移していること、[2]本件家屋に店舗等事業の用に供し得るとみられる部分はなく、また、本件宅地には本件家屋のほか、庭石、庭木等も存したことが認められ、本件宅地の一部を事業の用に供したとするには無理があること、[3]件宅地に鉄さくを張り、商品を置いた事実はなく、また、昭和56年11月以降においては、トラックの駐車場としていた事実はないことから、本件宅地はすべて居住用財産に該当すると認めるのが相当である。

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平成元年10月30日裁決

譲渡した家屋は、主として居住の用に供していたものとはいえないから、租税特別措置法第35条第1項に規定する居住用財産に該当しないとした事例

裁決事例集 第38集 221頁

要旨

 請求人が居住用財産であると主張する本件家屋は、[1]請求人が本件家屋に転居した目的が、本件家屋内の古い家財道具を処分し、また、本件家屋に居住していた請求人の母らの転居準備を手伝うためであると認められること、[2]請求人と生計を一にする妻子は、請求人が本件家屋に転居した後も、本件家屋に転居するための何らの準備もせず、請求人が転居する以前に居住していた家屋に居住していたこと、[3]請求人は、本件家屋から会社へ通勤していたとはいえ、土曜日及び日曜日はほとんど毎週、それ以外の日も必要に応じて、妻子の居住する家屋に戻って生活していたことなどを総合すると、主として居住の用に供していた一の家屋ということはできないから、本件家屋は租税特別措置法第35条第1項に規定する居住用財産に該当しない。

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平成9年1月24日裁決

譲渡資産の所有期間が譲渡の年の1月1日において10年を超えているかどうかについて、譲渡資産の取得時期を引渡しを受けた時期により判定した事例

裁決事例集 第53集 220頁

要旨

 本件譲渡について、居住用財産を譲渡した場合の長期譲渡所得の課税の特例を適用するためには、本件譲渡資産の取得時期が昭和55年1月1日以前であることが必要であるところ、[1]本件譲渡者の住民票上における本件譲渡資産の所在地への異動の記載の事実のみをもって当該資産の取得の時期を証明したことにはならず、[2]本件建物の引渡時期及び建築代金の残金の支払状況に照らせば、本件建物の本件譲渡者への引渡しは、早くとも昭和55年2月14日以降になされたものと認められるから、本件譲渡について本件特例を適用することはできない。

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平成14年6月13日裁決

買換承認申請書の買換期限の延長承認申請書が提出期限までに提出されていないので買換特例の適用はないとした事例

裁決事例集 第63集 236頁

要旨

 請求人は、確定申告書に添付した買換承認申請書の提出をもって、やむを得ない事情がある場合の延長承認申請書の提出があったものとみなすべきであるから、租税特別措置法第37条の5《既成市街地等内にある土地等の中高層耐火建築物等の建設のための買換え及び交換の場合の譲渡所得の課税の特例》に規定する課税の特例の適用を受けることができる旨主張する。
 しかしながら、買換承認申請書を延長承認申請書とみなすことができる規定はなく、請求人が提出した買換承認申請書には延長承認申請書に記載すべき所定の事項の記載もないのであるし、また、請求人が提出した延長承認申請書は、その提出期限後に提出されているから適法なものと認めることはできないのであり、そうすると、請求人は、買換資産を買換承認申請書による取得期限までに取得していないから、租税特別措置法第37条の5の適用を受けることはできない。

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昭和55年2月5日裁決

賃貸借契約の解除後相当期間内にした土地の譲渡について、租税特別措置法第37条第1項に規定する事業用資産の譲渡に該当するとした事例

裁決事例集 第19集 124頁

要旨

 租税特別措置法(昭和53年法律第11号による改正前のもの)第37条第1項に規定する特定の事業用資産については、現実に事業の用に供されているもののほか、事業への現実の供用を了した後においても、相当の期間内はいまだ事業用資産としての性質を失うものではないと解するのが相当であって、どの程度の期間が相当であるかは、個々の事実関係について当該資産の種類、構造等の特性、事業の用に供さなくなった理由、その後における当該資産の現状及び使用目的等を総合判断すべきところ、本件土地は長期間賃貸していたもので賃借人の都合により賃貸借契約が解約されたものであり、請求人は当該契約の解除後も当該土地を継続して貸し付ける意思を保有し、貸付先を探索していたが、貸付先の探索ができなかったことから売却する意思を固め不動産仲介業者に、仲介を依頼して売却したものであること、そして、当該契約が解除された後における貸付先の探索時期、売却する意思を固めた時期及び実際に売却した時期についてみると、それぞれの期間はいずれも比較的短期間であること、なお、この間において当該土地につき事業用資産としての性格を失わせるような格別の事情も見受けられないことから、当該土地は、少なくともその売却時においては事業用資産としての性格を失っていたものとみるのは相当ではないと解する。
 したがって、当該土地は事業用資産に該当しないとしてなされた原処分は、事実を誤認したものであり相当ではない。

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昭和56年1月29日裁決

転勤に伴って賃貸した家屋をその後居住の用に供さないで譲渡した当該譲渡所得について租税特別措置法第35条第1項の規定の適用は認められないとした事例

裁決事例集 第21集 237頁

要旨

 請求人は、本件家屋を、勤務先に借上げ社宅として賃貸していたため、請求人が本社へ復帰後、直ちに本件家屋に居住することができず、いったん勤務先の社宅に家族と共に入居し、その後請求人のみが本件家屋へ引っ越し、それ以後、請求人の生活の拠点として居住していたものであるから、本件家屋は、居住用財産に該当する旨の主張について、請求人が1週間のうち4日ないし5日をA市の社宅で家族と共に生活していたこと、家財道具の大部分がA市の社宅に残されていたこと、本件家屋においては新聞の購読、郵便物の配達、電話の架設等がなかったこと及び請求人のみが家族と別居して通勤に不便な本件家屋に居住しなければならない生活上の必要性が認められないこと等からみて、本件家屋が一時的に使用されていたとしても、これを請求人の生活の拠点として居住の用に供していたものとは認めることはできず、租税特別措置法(昭和57年法律第8号による改正前のもの)第35条第1項の規定を適用しなかった原処分は相当である。

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平成11年5月20日裁決

遺留分減殺請求権を行使して取得した宅地を譲渡しても、その譲渡が相続税の法定申告期限の翌日以後2年経過後である場合には、相続財産を譲渡した場合の取得費加算の特例の適用がないとした事例

裁決事例集 第57集 267頁

要旨

 請求人は、遺留分減殺請求権を行使して本件宅地を取得したものであるが、遺留分を侵害していた者が相続税法第32条に規定する更正の請求をしたため、遺留分権利者たる請求人も同法第30条に規定する期限後申告を余儀なくされ、その相続税を納付するために本件宅地を譲渡したのであるから、租税特別措置法第39条第1項にいう相続税法第27条第1項の「相続の開始があったことを知った日」は、遺留分減殺請求訴訟の判決が確定した日」と読み替えて租税特別措置法第39条第1項を適用すべきであると主張する。
 ところで、相続税法(平成4年法律第16号による改正前のもの。)第27条第1項は、「相続又は遺贈により財産を取得した者は、・・・その相続の開始があったことを知った日の翌日から6月以内」に申告書を提出しなければならないと規定しているところ、この「相続の開始があったことを知った日」とは、相続人が被相続人の自然死又は擬制死亡を覚知することにより、自己のために被相続人の権利義務を包括的に承継し得る地位を取得したことを知った日であり、相続の単純又は限定の承認を行って相続人の地位を確定的に取得した日、あるいは、遺産分割の協議又は調停の成立若しくは審判により、相続人が具体的に相続財産の全部又は一部を取得した日ではないと解されている。
 そして、遺留分権利者は、一般の法定相続人と同じく相続の開始により相続財産の一定額を不可侵的に取得し得る地位に立つものであるから、遺留分権利者の相続税の提出期限の起算日についても、一般の相続の場合と同様に考えるべきである。
 したがって、遺留分権利者について、相続税法第27条第1項の「相続の開始があったことを知った日」とは、自然死又は擬制死亡を覚知することにより、相続財産の一定額を不可侵的に取得しうる地位に立ったことを知った日と解するのが相当であり、自ら遺留分減殺請求を行ってその遺留分を確定的に確保した日、あるいは、遺留分減殺請求に係る判決が確定しそのことによって具体的な相続財産を取得した日と解するのは相当でない。
 本件譲渡は相続税の申告書の提出期限の翌日以後2年(平成6年法律第22号による改正後の措置法では3年。)を経過する日までの間の譲渡に該当しないので、租税特別措置法第39条第1項の適用はない。

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昭和53年7月19日裁決

配当控除額の計算の基準となる課税総所得金額には課税長期譲渡所得の金額を含めるべきであるとした事例

裁決事例集 第16集 76頁

要旨

 配当控除額の計算の基準となる課税総所得金額には、課税長期譲渡所得の金額を含めるべきであることは、租税特別措置法第31条第3項第3号の規定により明らかであり、その規定に従っていない請求人の確定申告に係る配当控除額について行った原処分は正当である。

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平成11年5月24日裁決

いわゆる超過物納に係る還付金相当額について譲渡所得の金額を計算する場合において、その物納許可に基づく物納財産の収納が相続税の法定申告期限から2年経過後であっても、本件譲渡が本件特例の適用期間を経過した後にされたものである以上、租税特別措置法第39条第1項の適用はないとされた事例

裁決事例集 第57集 278頁

要旨

  1.  請求人は、相続の開始があったことを平成3年8月27日に知ったと認められるから、相続税の申告期限は平成4年2月27日となる。そうすると、本件の場合、租税特別措置法第39条第1項の規定による特例を適用することができる譲渡は、平成3年8月28日から平成6年2月27日までの間に行われたものでなければならないところ、本件不動産が国に収納され、還付金が生じて譲渡となったのは、平成8年10月15日で、特例適用期間経過後のことであるから、譲渡所得の計算上、本件特例は適用できないことになる。
  2.  請求人は、特例の適用期間内に物納申請に対する許可及び本件不動産の収納が行われなかったのは、国税局の事務処理の遅延によるものであって、請求人の落ち度ではないから、本件特例は認められるべきである旨主張するが、同特例は、本来課されるべき税額を政策的見地から特に軽減するものであるから、租税負担公平の原則に照らし、その解釈は厳格になされるべきところ、租税特別措置法第39条第1項が特例の適用期間の徒過について格別の救済措置を設けていないから、上記適用期間について例外を認めることは、法が予定していないことである。
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平成28年3月7日裁決

上場株式等に係る譲渡損失の繰越控除の特例について、連続して確定申告書が提出されていないため適用することはできないとした事例(平成24年分の所得税の更正の請求に対してされた更正をすべき理由がない旨の通知処分(平成24年分の所得税の更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分をあわせ審理)、平成25年分の所得税及び復興特別所得税の更正処分・棄却・平成28年3月7日裁決)

裁決事例集 第102集

ポイント

 本事例は、上場株式等に係る譲渡損失の繰越控除の特例の適用について、譲渡損失の発生年分以降、確定申告書が時系列的に連続して提出されていることが要件であるとしたものである。

要旨

 請求人は、租税特別措置法(平成25年法律第5号による改正前のもの)第37条の12の2《上場株式等に係る譲渡損失の損益通算及び繰越控除》第6項に規定する特例(本件特例)の適用に当たり、その手続要件である同条8項に規定する「連続して確定申告書を提出している場合」とは、更正の請求等により、結果として上場株式等に係る譲渡損失の金額に関して譲渡所得等の金額の計算の連続性が確認できればいいから、上場株式等に係る譲渡損失の金額が生じた年分の確定申告書が、本件特例の適用を受ける年分の確定申告書の後に提出されても、本件特例を適用することができる旨主張する。
 しかしながら、同条8項は、「上場株式等に係る譲渡損失の金額が生じた年分の所得税につき・・・確定申告書を提出し、かつ、その後において連続して確定申告書を提出している場合であって」と規定しているところ、上場株式等に係る譲渡損失の金額が生じた年分の確定申告書の提出と本件特例の適用を受ける年分の確定申告書の提出との先後関係については、同項が「その後において」と規定していることからすれば、上場株式等に係る譲渡損失の金額が生じた年分の確定申告書の提出が先であることは、文理上明らかである。したがって、請求人は、本件特例を適用することはできない。

参照条文等

租税特別措置法(平成25年法律第5号による改正前のもの)第37条の12の2

参考判決・裁決

平成20年3月14日裁決(裁決事例集No.75)

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平成28年3月7日裁決

不動産の賃貸事業を目的とする民法上の組合の出資持分及び当該持分に係る組合員たる地位の譲渡による所得について、組合財産のうち現金及び預金に対応する部分を除き、組合財産を構成する土地建物等の譲渡に係る所得として、分離課税の長期譲渡所得に該当するとした事例(平成24年分の所得税の更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分・一部取消し)

裁決事例集 第102集

ポイント

 本事例は、任意組合の財産は、任意組合の出資持分及び当該持分に係る組合員たる地位(これらを併せて本件持分という。)と不可分一体のものであるから、本件持分の譲渡は、本件持分が表象する任意組合の財産に対する持分の譲渡という性格を有するものというべきであるとして、本件持分の譲渡に係る所得は、組合財産のうち現金及び預金に対応する部分を除き、組合財産を構成する土地建物等の譲渡に係る所得として、分離課税の長期譲渡所得に該当すると判断したものである。

要旨

 請求人は、不動産の賃貸事業を目的とする民法上の組合(本件組合)の出資持分及び当該持分に係る組合員たる地位(これらを併せて本件持分という。)の譲渡による所得については、①その所得の種類及び課税方法(総合課税又は分離課税)が法律上明記されていないこと、②本件持分の価額は、単に不動産等の価値ではなく、「組合員としての地位」たる資産の価値であること及び③本件組合は匿名組合としての性質を有していることから、総合課税の長期譲渡所得に該当する旨主張する。
 しかしながら、本件組合は民法上の任意組合であるところ、民法第668条《組合財産の共有》の規定により、本件組合の財産は、総組合員の共有に属し、本件組合の組合契約の定めなどから、本件組合の各組合員は、本件組合の財産に対し、その出資価額の割合に応じて持分を有する。そうすると、本件組合の財産は、本件組合の出資持分及び組合員たる地位である本件持分と不可分一体のものであるから、本件持分の譲渡は、本件持分が表象する本件組合の財産に対する持分の譲渡という性格を有するものというべきである。そして、本件持分の譲渡の日における本件組合の財産は、土地建物等並びに補修等積立金に係る現金及び預金であったところ、当該土地建物等に対する請求人の持分は、租税特別措置法第31条《長期譲渡所得の課税の特例》第1項の規定から、その譲渡による所得は分離長期譲渡所得に当たり、他方、当該現金及び預金に対する請求人の持分については、精算等されていないから、本件持分の譲渡に係る契約に含まれるものの資産価値の増加益を生ずべき資産ではないので、その譲渡の対価は各種所得の金額の計算上、収入金額等に算入することはできない。したがって、本件持分の譲渡に係る所得は、組合財産のうち当該現金及び預金に対応する部分を除き、組合財産を構成する当該土地建物等の譲渡に係る所得として、同条第1項に規定する分離課税の長期譲渡所得に該当する。

参照条文等

民法第668条 租税特別措置法第31条

参考判決・裁決

岐阜地裁平成20年1月24日判決(税資258号順号10870)

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昭和53年9月21日裁決

借家権の譲渡は、長期間保有等の事情があっても、租税特別措置法第31条に規定する「土地等又は建物等の譲渡」に当たらないとした事例

裁決事例集 第17集 67頁

要旨

 借家権に係る建物が、商業地域内の高度利用地区に所在し、また、請求人等が、当該建物を長期にわたって賃借りし、その復旧費又は修繕費の支出をしていたとしても、そのことによって、当該借家権が土地等又は建物の所有権に転化するものではないから、仮に当該借家権が財産としての評価、譲渡性において借地権と本質的な相違がないとしても、その譲渡は、租税特別措置法(昭和49年法律第17号による改正前のもの)第31条第1項に規定する「土地等又は建物等の譲渡」に当たらない。

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平成9年3月10日裁決

本件土地の譲渡は、買取り等の申出日から6月経過後の収用であるから、租税特別措置法第33条の4第3項第1号の規定による5,000万円控除の特例が適用できないとした事例

裁決事例集 第53集 234頁

要旨

 請求人は、P市土地開発公社による譲渡土地の買取りの申出は、信義誠実に行われず、租税特別措置法第33条の4(収用交換等の場合の譲渡所得等の特別控除)第1項の立法趣旨に照らし著しく不当であるという特段の事情があるので、本件長期譲渡所得の金額の計算上、特別控除の特例を認めるべきである旨主張する。
 しかしながら、租税特別措置法第33条の4第3項第1号に規定する「買取り等の申出」は、買取物件の特定及びその対価が明示されておればよいと解されるところ、[1]M国道工事事務所及びP市は、昭和61年6月30日に譲渡土地を含む2.5キロメートル区間の標準地価格を決定したので、P市土地開発公社(代行買収者)は、同年7月から全地権者に用地買収の個別交渉に入り、請求人には、同月24日譲渡土地の買取価格を提示し、買取りの申出から6月以内に譲渡しないと特別控除の特例が適用できなくなるから協力して欲しい旨説得したが、請求人はこれに応じなかったので、昭和61年8月13日付で全地権者に買取申出証明書及び証明書等交付通知書を郵送したこと、[2]P市土地開発公社は、昭和61年8月22日から同62年2月12日の間に請求人に買取りに応ずるよう要請したが、請求人は買取りの申出は脅かしだとして応じなかったこと、[3]M国道工事事務所及びP市は、平成3年2月16日請求人に最終協議額である損失補償額を提示し説明したところ、これに応じなかったので、同事務所は、同月19日付で請求人に譲渡土地の取得に伴う最終損失補償協議書を送付したこと、[4]M県収用委員会は、平成3年12月21日付収用裁決(権利取得日は平成4年2月14日)で、譲渡土地の取得に伴う損失補償額を72,793千円としたことが認められる。
 したがって、土地の買取り等の申出のあった日は、買取申出証明書が送達された昭和61年8月14日、土地の収用の日は平成4年2月14日と認められるから、当該土地の譲渡は同号の要件を満たしていないので、特別控除の特例が適用できないとした本件更正処分は適法である。

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平成5年6月25日裁決

請求人には生活の本拠とする居宅があるところ、譲渡したマンションへの居住目的は譲渡するまでの間の一時的なものとみるのが相当であり、譲渡所得について租税特別措置法第35条の規定による特別控除はできないとした事例

裁決事例集 第45集 323頁

要旨

 請求人は、本件マンションには、借家人が立ち退いた後間もなく居住を開始し、ほぼ毎週月曜日から金曜日まで寝泊まりしたのであるから、本件マンションは特例に規定する居住用財産に該当する旨主張する。
 しかしながら、請求人はS市に居宅を有し、同所には生計を一にする家族が居住し、土曜日及び日曜日は毎週、それ以外の日でも必要に応じてS市の居宅で家族と共に過ごすという生活を送っていたこと及びS市に請求人の事務所を有していたこと等を考慮すると、請求人が生活の本拠として居住の用に供していたのは本件マンションではなく、S市の居宅とみるのが相当である。
 本件マンションに係る電気、ガス及び水道の使用を開始したのは平成元年11月以降であり、かつ、これらの使用量は極めて少ないことが認められる。特に、平成元年12月から同2年2月までの電気の使用量は零であること及び請求人の住民登録は平成2年3月4日からS市の居宅であること等からみると、その居住目的は、本件マンションを譲渡するまでの間の一時的なものであったとみるのが相当であり、本件特例の規定の適用をすることはできない。

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平成8年5月20日裁決

譲渡土地上に建設された中高層の耐火共同住宅に係る検査済証の建築主は、Z社と当該土地の譲受人以外のH社であるから、当該土地の譲渡について租税特別措置法第31条の2第2項第9号(現行法は第11号)の規定が適用できないとして請求人の主張を排斥した事例

裁決事例集 第51集 220頁

要旨

 請求人は、譲渡土地上に建設した中高層の耐火共同住宅に係る検査済証の建築主をZ社とH社の連名にしたのは、請求人が関知しないものであり、また、租税特別措置法第31条の2(優良住宅地の造成等のために土地等を譲渡した場合の長期譲渡所得の課税の特例)の立法趣旨である優良住宅地の供給に寄与していることから、同条第2項第9号が適用されるべきである旨主張する。
 しかしながら、租税特別措置法第31条の2第2項第9号は、一団の住宅又は中高層の耐火共同住宅(特例建物)の建設を行う個人又は法人に対する土地の譲渡で、当該土地が特例建物の用に供されるもののうち、大蔵省令で定めるところにより証明がされたものをいう旨規定していることから、当該土地の譲受人以外の者が特例建物を建設した場合には、本件特例が適用できないと解される。
 また、租税特別措置法施行規則第13条の3第1項第9号ハは「当該一団の住宅又は中高層の耐火共同住宅に係る建築基準法第7条第3項に規定する検査済証の写し」と規定していることから、本件特例適用に係る証明書(適正な申請、届出に基づいて発行されたものに限る。)により、当該土地の譲渡が優良住宅地等の譲渡に該当することについて証明されなければ、本件特例が適用できないと解される。
 ところで、請求人が提出した特例建物に係る検査済証によれば、特例建物は、Z社とH社(本件土地の譲受法人でもなく、Z社との合併法人でもない。)の共同建設であることから、本件土地の譲渡は、租税特別措置法第31条の2第2項第9号の適用対象となる譲渡に該当しないこととなるので、同条第1項の規定の適用がないとして行った更正処分は適法である。

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昭和55年4月11日裁決

買換えにより取得した土地が農業の用に供されていない場合の譲渡所得について、租税特別措置法第37条第1項の規定は認められないとした事例

裁決事例集 第20集 279頁

要旨

 請求人が市街化区域内の農地を譲渡し、その譲渡代金をもって市街化調整区域内にある土地を取得した場合において、当該土地について、請求人は売主に地目を畑から雑種地に変えさせており、また、売主は駐車場の用に供するために工事を施工していること、請求人は取得後農業の用に供することなく、駐車場として賃貸していることが認められるので、当該取得土地は、租税特別措置法(昭和55年法律第9号による改正前のもの)第37条第1項の表第5号に掲げる農業の用に供される土地等には該当しないとして、本件土地の譲渡所得については、同項の規定は適用されないとした原処分は相当である。

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昭和56年4月27日裁決

転勤前に居住していた旧家屋を除却し、建替え中であった建築中の家屋を譲渡した場合、租税特別措置法第35条の規定の適用はできないとした事例

裁決事例集 第22集 237頁

要旨

 本件建築中の物件は、請求人が転勤前に居住していた旧家屋を、転勤先から戻った後に、建て替えて入居する計画の下に建築中のもので、その建築途中に隣接家屋の所有者から苦情を受け、建築工事を中止したままの状態で譲渡したものであるところ、租税特別措置法(昭和57年法律第8号による改正前のもの)第35条第1項に規定する「居住の用に供している家屋」とは、「譲渡の日若しくはこれに近い所定の時期までに、その者がある程度の期間継続して居住する意思をもってこれに居住し、生活の本拠として利用している家屋をいう」と解されることから、本件建築中の物件の譲渡については、居住用財産の譲渡所得の特別控除の規定の適用はない。

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平成2年4月13日裁決

高床式居宅兼共同住宅の床下部分の土地が賃貸駐車場として利用されている場合においてその敷地全体を居住用、事業用の併用であると判定した上、その土地の譲渡価額を居住用部分と事業用部分に区分計算すべきであるとした事例

裁決事例集 第39集 479頁

要旨

 一般に、駐車場には土地をそのまま使用するいわゆる青空駐車場から屋根付きの駐車場、更には建物内部に設けられた駐車場等各種の形態があるが、本件の場合は建物の床下部分を駐車場としているのであるから、外壁がない点を除けば2階建ての建物の1階部分を駐車場として使用している場合と基本的には変わらないとみるのが相当であり、そうすると、本件建物は居住用、事業用の併用であることから、その敷地である本件土地も居住用、事業用の併用とみるべきであり、原処分庁において本件土地を本件建物の居住用、事業用それぞれの使用割合に応じて区分計算した方法には合理性があり、これを不相当とする理由は認められない。

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平成10年6月24日裁決

収用交換等による譲渡が二以上の年にわたって行われた場合に当たるとして、収用交換等の譲渡所得の5,000万円特別控除の適用は受けられないとした事例

裁決事例集 第55集 292頁

要旨

 請求人は、請求人がR市に対して平成6年11月4日の契約により譲渡した乙土地に係る譲渡所得については、収用交換等の場合の譲渡所得等の5,000万円特別控除の特例が認められるべきである旨主張する。
 しかしながら、請求人は、本件収用事業のためにR市に対して平成5年3月2日に丙土地を、平成6年11月4日に乙土地をそれぞれ譲渡しているところであるが、乙土地及び丙土地は本件収用事業の事業地に含まれており、これらの譲渡は、一の収用事業に基づくものであると認められることから、租税特別措置法第33条の4第3項第2号に規定する「一の収用交換等に係る事業につき第1項に規定する資産の収用交換等による譲渡が二以上あった場合において、これらの譲渡が二以上の年にわたってされたとき」に該当すると認められる。
 そして、請求人は上記のとおり、丙土地を平成5年中に、乙土地を平成6年中に譲渡していることから、乙土地は、同号に規定する「当該資産のうち、最初に当該譲渡があった年において譲渡された資産以外の資産」に該当するので、同条第3項の規定により、本件譲渡に係る長期分離譲渡所得の計算に当たり、収用交換等の譲渡所得の5,000万円特別控除の特例を適用することはできないと認められる。

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昭和63年6月14日裁決

居住の用に供している一構えの家屋の一部を譲渡した場合において、譲渡した部分以外の部分が機能的にみて独立した居住用家屋と認められる場合には、居住用家屋の譲渡には該当しないとした事例

裁決事例集 第35集 175頁

要旨

 譲渡建物と隣接建物とが一構えの家屋を構成している場合において、当該隣接建物において請求人とその家族の日常生活の大部分が何ら支障なく営まれている場合には、隣接建物は機能的にみて独立した家屋と認められる。したがって、本件譲渡は、居住の用に供している一構えの家屋の一部を譲渡したにすぎないから、その譲渡をもって居住用家屋の譲渡に該当するとはいえない。

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令和元年7月5日裁決

租税特別措置法施行令第25条の16第1項第2号所定の「当該譲渡をした資産の当該課税価格の計算の基礎に算入された金額」は本件各土地の相続税の課税価格に算入された価格に基づく金額であるとした事例

裁決事例集 第116集

ポイント

 本事例は、租税特別措置法施行令第25条の16第1項第2号所定の「当該譲渡をした資産の当該課税価格の計算の基礎に算入された金額」は本件各土地の自用地としての価額に借地権割合を乗じた金額ではなく、相続税の課税価格に算入された本件各土地の貸家建付地としての価額に借地権割合を乗じた金額となると判断したものである。

要旨

 請求人は、各土地(本件各土地)に借地権を設定したのであるから、租税特別措置法施行令第25条の16第1項第2号所定の「譲渡をした資産」は、本件各土地の自用地としての価額に借地権割合を乗じた金額となるのであって、当該金額は、本件各土地の相続税評価額を上回ることとなることから、結局、「譲渡をした資産の当該課税価格の計算の基礎に算入された価額」は、本件各土地の相続税評価額の全額となる旨主張する。
 しかしながら、当該課税価格とはあくまで本件各土地に係る相続税の課税価格に算入された価格に基づく金額であって、本件の場合、「当該課税価格の計算の基礎に算入された価額」は貸家建付地評価額である。また、本件においては、各借地権(本件各借地権)が本件各土地の全体に占める割合(本件割合)と本件土地の周辺地域の借地権割合とを併せ考慮すれば、本件各借地権の設定契約により譲渡したものとみなされる本件各借地権の設定に係る対価は、本件各土地の権利の本件割合相当分に当たるものと認められる。したがって、「譲渡をした資産の当該課税価格の計算の基礎に算入された価額」として本件各借地権が本件各土地の相続税の課税価格のうちに占める価額とは、本件各土地が相続税の課税価格の計算の基礎に算入された価額すなわち貸家建付地評価額に本件割合を乗じた価額となる。ただし、譲渡費用の一部が計上漏れとなっていることが認められることから、本件更正処分の一部を取り消すことが相当である。

参考判決・裁決

東京地裁平成12年11月30日判決(訟月48巻1号147頁)

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平成13年3月15日裁決

第一種市街地再開発事業に係る権利変換により取得した施設建築物及び施設建築敷地に関する権利を譲渡した場合に、優良住宅地の造成等のために土地等を譲渡した場合の課税の特例を認めなかった事例

裁決事例集 第61集 304頁

要旨

 第一種市街地再開発事業は権利変換方式により行われるため、同事業施行地内の土地等は、権利変換期日において施設建築物の権利床及び保留床並びに施設建築敷地に変換され、従前の権利関係は消滅するから、事業施行者にとって事業の用に供すべき土地等は、権利変換期日に確保されたこととなる。
 そうすると、租税特別措置法第31条の2第1項の規定(本件特例)及び同条第2項第4号が制定された目的及び経緯並びに第一種市街地再開発事業の目的とを踏まえると、本件特例の適用対象となる租税特別措置法第31条の2第2項第4号に規定する「第一種市街地再開発事業の用に供される土地等の譲渡」とは、第一種市街地再開発事業の施行の前段階である事業用地の確保に資する譲渡、すなわち、権利変換期日以前の譲渡に限られるものと解される。
 これを本件についてみると、本件権利の譲渡は、本件権利変換期日後の譲渡であるから、本件権利の譲渡に係る所得税額の計算上、本件特例の適用は認められない。

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平成6年3月23日裁決

請求人が、従前家族とともに居住していた借家の近くに取得したマンションは、譲渡時点においては、生活の本拠として認められないので租税特別措置法第35条の適用はないが、かつての居住状態から、同マンションを生活の本拠と理解していたことは相当の理由があると認められる等から、重加算税の賦課は相当でないとした事例

裁決事例集 第47集 216頁

要旨

 昭和53年に取得した本件マンションについては、請求人は長男が未成年のころは、その世話のため、本件マンションを主として居住の用に供していたといえる状況にあったとしても、[1]夫と義母が残ったと主張する従前居住していた借家を、請求人が資金を出して取得していること、[2]長男は既に独立した生計を営んでいること等から、本件マンションの譲渡の時点では、これを生活の本拠とする理由等は認められず、上記の取得した借家が請求人の居住の用に供していた家屋と認められる。
 しかし、[1]本件マンションを請求人名義で取得し、かつ長男を居住させて、一時的にではあっても長男とともに居住の用に供していたことから、これを生活の本拠と理解していたことには、相当の理由があり、[2]本件マンションの譲渡直前に住民登録を本件マンションの所在地に移したのは、登記簿上の住所に住民登録上の住所を符号させるためにしたもので、そのことをもって仮装行為とは認められない等から、重加算税を賦課することは相当でない。

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令和2年6月19日裁決

譲渡した土地上に存する2棟の家屋は独立しており、租税特別措置法第35条第1項に規定する特例対象土地は、家屋の建築面積に近似する床面積で按分した居住用家屋の敷地部分に限られるとした事例

裁決事例集 第119集

ポイント

 本事例は、譲渡した土地上の2棟の家屋が2階部分で接合されていたとしても、それぞれ独立した居住用家屋であり、併せて一構えの一の家屋であるとは認められない。本件特例の対象となる土地に係る譲渡所得の金額は、譲渡した土地の譲渡所得の収入金額に、各家屋の建築面積に近似する床面積の合計に占める本件甲家屋(請求人が所有し居住用に供していた家屋)の建築面積に近似する床面積の割合を乗じて算出することが合理的としたものである。

要旨

 請求人は、譲渡した土地上に、請求人が所有し居住用に供していた家屋(本件甲家屋)と子が所有する家屋(本件乙家屋)の2棟が存するが、これらの家屋は併せて一構えの一の家屋と認められるから、いずれの家屋の敷地も租税特別措置法第35条《居住用財産の譲渡所得の特別控除》第1項の規定(本件特例)の適用がある旨主張する。
 しかしながら、各家屋は、それぞれ、玄関、台所、風呂及び便所を備え、電気、ガス、水道及び固定電話回線の各設備を有し、その規模、構造、間取り、設備等の状況からすれば、各家屋はそれぞれ独立した居住用家屋であることから、併せて一構えの一の家屋であるとは認められず、本件乙家屋敷地について本件特例を適用することはできない。
 そして、本件特例の対象となる土地(本件甲家屋の敷地)に係る譲渡所得の金額は、譲渡した土地の譲渡所得の収入金額に、各家屋における各階の登記上の床面積のうち、建築面積に近似する最も広い床面積を、両家屋の各建築面積として用いるのが合理的であり、各家屋の建築面積に近似する床面積の合計に占める本件甲家屋の建築面積に近似する床面積の割合を乗じて算出することが合理的である。

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昭和56年3月5日裁決

買換資産として取得した農地が自己の農業の用に供されていない場合の譲渡所得について租税特別措置法第37条第1項の規定の適用は認められないとした事例

裁決事例集 第21集 249頁

要旨

 農業所得を有する者とは、自らが耕作の方法等を決定して耕作し、又は他人に耕作させ、その耕作の結果生じた利益なり損失を自己に帰属させる者をいうと解すべきところ、請求人は本件買換資産たる農地につきその耕作を他人に一切まかせて、単に小作料に相当する玄米を受け取っているのみであるから、これによる所得は農業所得とするのは相当でなく、したがって、本件買換資産は自己の農業の用に供している農地とは認められず、租税特別措置法(昭和53年法律第11号による改正前のもの)第37条第1項の表第5号に規定する買換資産に該当しないので、本件の譲渡所得については同項の規定の適用は認められない。

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平成21年11月20日裁決

二以上の家屋が併せて一構えの家屋であると認められるか否かについては、まず、それぞれの家屋の規模、構造、間取り、設備、各家屋間の距離等の客観的状況によって判断すべきであり、個人及びその家族の使用状況等の主観的事情は二次的に考慮すべき要素にすぎないとした事例

裁決事例集 第78集 289頁

要旨

 租税特別措置法施行令第20条の3第2項及び第23条第1項は、個人がその居住の用に供している家屋を二以上有する場合には、本件特例の適用対象となる家屋は、主としてその居住の用に供していると認められる一の家屋に限る旨規定しているところ、本件特例の適用対象となる家屋の判定に当たり、二棟以上の家屋が併せて一構えの家屋であるといえるか否かについては、まず、それぞれの家屋の規模、構造、間取り、設備、各家屋間の距離等の客観的状況によって判断すべきであり、個人及びその家族の使用状況等の主観的事情は二次的に考慮すべき要素にすぎないものと解するのが相当である。したがって、単にこれらの家屋がその者及びその者と同居することが通常である親族等によって機能的に一体として居住の用に供されているのみでは不十分であり、家屋の構造、規模、設備等の状況から判断していずれか又はそれぞれが独立の居住用家屋としては機能できないものでなければならない。そうすると、これらの家屋がそれぞれ独立の家屋としての機能を有する場合には、これらの家屋を併せて一構えの家屋であるとは認められず、その者が主としてその居住の用に供していると認められる一の家屋に限り、本件特例の適用対象となるというべきである。
 本件家屋の規模、構造、間取り、設備、各家屋間の距離並びに通常考えられる用法及び機能等を考慮すれば、本件A家屋と、本件BC家屋とは、それぞれ別個独立の家屋であると認められ、これらの各家屋を併せて一構えの家屋であるということはできない。そして、請求人は、妻及び長男と共に本件A家屋で日常生活を営んでいたのに対し、本件BC家屋は、もともと飲食店の店舗等として使用し、廃業後は、一部に荷物等をおいて物置に使用していたにすぎないから、請求人が主として居住の用に供していた家屋は本件A家屋であると認められ、本件BC家屋は本件特例の適用対象となる居住用家屋には該当しない。また、租税特別措置法施行令第20条の3第2項及び第23条第1項は、家屋のうちにその居住の用以外の用に供している部分があるときは、その居住の用に供している部分に限り、本件特例の適用がある旨規定しているところ、本件A家屋の2階の3室のうち、Kに賃貸していた1室及びLに賃貸し、同人の退去後に使用していなかった1室は、本件譲渡の以前に貸室とされており、請求人がこれを居住の用に転用し、ある程度の期間継続して居住の用に供していたとは認められないから、当該部分は「居住の用に供している部分」に当たらない。
 したがって、本件A家屋の1階の全部及び2階の1室並びに本件A家屋の敷地の用に供されている本件借地権のうちその居住の用に供していた部分に限り、本件特例を適用するのが相当である。

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平成4年4月23日裁決

居住用家屋を取り壊した日から1年以内にその敷地の譲渡契約が締結されていないとした事例

裁決事例集 第43集 459頁

要旨

 請求人は、居住用家屋を取り壊した日から1年6か月後にその敷地を譲渡する売買契約を締結して譲渡しているものの、当該契約に先立ってその取り壊した日から1年以内に他の者と売買契約を締結し、請求人の責めに帰さない理由により先発契約が解除された事情があるのであるから、両契約を一体のものとみれば租税特別措置法第35条の居住用財産の譲渡所得の特別控除等が適用されるべきであると主張するが、両契約はそれぞれ別個の契約であり、居住用家屋を取り壊した日から1年以内に締結した契約は解除されているものであるから、同特別控除等の適用はない。

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平成25年12月12日裁決

請求人が行った土地の譲渡は、租税特別措置法第31条の2第1項に規定する「優良住宅地等のための譲渡」には該当しないとした事例(平成23年分の所得税の更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分・棄却)

裁決事例集 第93集

要旨

 請求人は、譲渡した土地(本件土地)の譲受人(本件譲受人)が開発許可申請を行い、それに基づく開発許可を受け、本件土地の造成工事(本件造成工事)を業者に行わせていることから、実質的に本件造成工事を行っているのは本件譲受人であるので、本件土地の譲渡は、租税特別措置法(措置法)第31条の2《優良住宅地の造成等のために土地等を譲渡した場合の長期譲渡所得の課税の特例》第2項第13号に掲げる土地の譲渡に該当する旨主張する。
 しかしながら、①請求人は、注文者として本件造成工事の請負契約をしてその代金を負担し、一方、請求人から請け負った業者が本件造成工事を行ったこと、②開発許可を容易に得るために、建設業者である本件譲受人が、農地転用申請及び開発許可申請をしたこと、③本件土地の所有権について、売買契約のとおり、開発許可に係る宅地造成がなされた後に請求人から本件譲受人に所有権が移転していること、④請求人は所得税の譲渡所得の計算において、本件造成工事の代金を取得費に計上しており、本件造成工事が完了した後に本件土地を譲渡した旨の認識を表明したことが、それぞれ認められ、これらを総合すると、本件造成工事は、本件土地の所有者である請求人の負担と責任おいて行われたというべきであるから、本件造成工事を本件譲受人自らが行ったものではないと認められる。したがって、本件土地の譲渡は、措置法第31条の2第2項第13号に掲げる土地の譲渡には該当しない。

参照条文等

租税特別措置法第31条の2第2項第13号

参考判決・裁決

東京地裁平成13年3月29日判決(税資250号順号8869)

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平成10年1月30日裁決

買取りの申出のあった日から6か月を経過した後に譲渡した場合は、収用交換等の場合の特別控除を適用することはできないとした事例

裁決事例集 第55集 304頁

要旨

 請求人は、収用による譲渡が買取りの申出があった日から6か月を経過した日後にされたことについては争わず、[1]確定申告書に本件事業施行者が発行した本件収用証明書を添付したこと、[2]R県収用委員会が収用裁決の審理のために6か月以上を要したこと、[3]収用による譲渡が買取りの申出があった日から6か月を経過した日後にされた場合であっても、特別控除の適用が認められるとする通達の定めがあること及び[4]本件譲渡については本件特例の適用がある旨の税務相談室職員の指導を受けたことから、本件譲渡については本件特例を適用すべきである旨主張する。
 しかしながら、請求人は、[1]最初に買取りの申出があった日から6か月を経過した日後に本件土地を収用により譲渡したこと及び[2]本件事業施行者に対して補償金の支払請求をしていないことが認められるから、請求人の主張にはいずれも理由がなく、本件譲渡について本件特例を適用することはできない。

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昭和56年3月31日裁決

駐車場として賃貸していた土地の譲渡所得について租税特別措置法第37条第1項の規定の適用は認められないとした事例

裁決事例集 第21集 257頁

要旨

 譲渡した土地は、前年7月から駐車場として賃貸していたが、当該土地の譲渡契約締結の話合いの状況及び当該土地の上に建設されるマンションの建設計画の進ちょくの状況に照らし当該賃貸は一時的なものにすぎず、相当の対価を得て継続的に行う事業に準ずるものに該当するとはいえないから、租税特別措置法(昭和55年法律第9号による改正前のもの)第37条第1項の規定の適用は認められない。

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平成18年1月10日裁決

収用等された資産が譲渡損失となっている場合には収用等に伴い代替資産を取得した場合の課税の特例は適用できないとした事例

裁決事例集 第71集 394頁

要旨

 請求人は、租税特別措置法(以下「措置法」という。)第33条の規定は、[1]公共用地の取得に伴う損失補償基準要綱の趣旨からの帰結、[2]取得時期引継ぎの有無や通達選択等の差による課税の不公平、[3]措置法第33条の2以下の規定の適用場面との権衡を根拠として、譲渡損失の場合にも適用できる旨主張し、また、所得税法第33条第3項の「譲渡所得の金額」は、譲渡益の金額及び譲渡損失の金額の両方を含むものとして定義されている旨主張する。
 しかしながら、措置法第33条の趣旨は、土地収用等その他の法令の規定に基づき所有資産を強制的に譲渡させられることとなる者について、その収用等によって譲渡した資産のうち再投資によって取得した代替資産の取得価格に相当する部分について、譲渡がなかったものとみなして課税を延期する措置を講じることにより、課税による現実の収入の減少によってその個人が従前と同様の生活を維持すること又は生活保持のための再投資(代替資産の取得)をすることを阻害する結果となることを防止するとともに、公共事業の円滑な推進を図る点にあることから、このような趣旨にかんがみれば、措置法第33条は、課税により現実の収入の減少が生じる場合、すなわち、譲渡益が発生する場合に適用される規定であると解するのが相当である。
 また、所得税法第33条は、同法第22条第2項の規定を受け、譲渡所得の課税標準を定めることを目的として、課税標準を算出するための計算方法を規定したにすぎないと解されるから、所得税法第33条に規定する「譲渡所得の金額」は、まさに課税標準を意味するものであり、譲渡所得の計算の結果が譲渡益となった場合のみを指すものと解するのが相当である。したがって、計算過程において譲渡損失がでることがあり得ることをもって、所得税法第33条の「譲渡所得の金額」は譲渡損失が生じる場合をも含むと解することはできない。

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平成4年1月20日裁決

本件家屋は同一世帯に属する長男及び義母等の居住の用に供されていたが、請求人は、本件家屋を相続により取得してから一度も居住しないまま譲渡しているので、本件譲渡は居住用財産の譲渡に当たらないとした事例

裁決事例集 第43集 468頁

要旨

 請求人の本件譲渡時における生活の本拠は、請求人が日常実際に起居し、住民登録もしていた勤務先の社宅であり、請求人が所有者として本件家屋を居住の用に供していたとは認められず、また、請求人と社会通念上同居を通常とする妻及び次男も長期間居住していない本件家屋については、永続的な利用を目的として請求人及び妻等の日常生活に利用されていたとは到底いえず、請求人らの生活の本拠が本件家屋にあったとは認められない。

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昭和56年12月28日裁決

譲渡した山林素地は事業(林業)用資産に当たらないとした事例

裁決事例集 第23集 247頁

要旨

 請求人は過去4年間、山林の伐採又は譲渡による山林所得の申告をしておらず、過去における土地の譲渡に山林の譲渡が含まれていたとしても、その価格は格別取り上げる必要がない程度のものであると認められること及び本件譲渡直前において請求人が所有していた土地の面積は事業たる林業を経営している程度のものとは認められないことなどから請求人は林業を営んでいたとは認められないから、本件山林素地の譲渡は、租税特別措置法(昭和55年法律第9号による改正前のもの)第37条に規定する事業用資産の譲渡とは認められない。

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平成28年6月3日裁決

開発許可を受けたのは受託者であって、不動産信託の受益者としての権利(受益権)の譲受人でないため、優良住宅地の造成等のために土地等を譲渡した場合の長期譲渡所得の課税の特例の適用はないとした事例(平成25年分の所得税及び復興特別所得税の更正処分並びに過少申告加算税の賦課決定処分・棄却)

裁決事例集 第103集

ポイント

 本事例は、信託財産に属する資産が土地等である所得税法第13条第1項に規定する受益者等課税信託の信託受益権が譲渡された場合には、当該信託財産に属する資産である土地等が譲渡されたことになるところ、当該土地等の開発許可を受けたのは受託者であって、当該信託受益権の譲受人でないため、優良住宅他の造成等のために土地等を譲渡した場合の長期譲渡所得の課税の特例の適用はないと判断したものである。

要旨

 請求人らは、信託法第16条《信託財産の範囲》第1項及び所得税法第13条《信託財産に属する資産及び負債並びに信託財産に帰せられる収益及び費用の帰属》第1項の規定からすると、信託財産に関する受託者の行為は受益者の行為と同一人格の行為であるとみなされることから、当該信託の受託者が都市計画法第29条《開発行為の許可》第1項に基づく開発許可を取得すれば、当該許可を受けた地位は、信託受益権が譲渡された場合の受益者である譲受人も有するというべきであり、当該譲受人は、租税特別措置法第31条の2《優良住宅地の造成等のために土地等を譲渡した場合の長期譲渡所得の課税の特例》第2項第13号(本件特例)の「開発許可を受けて住宅建設の用に供される一団の宅地の造成を行う」法人に該当するなどと主張する。
 しかしながら、本件特例は本来課されるべき租税を政策的な見地から特に軽減するものであるから、租税公平主義に照らし、その解釈は条文の文言に即して厳格にされるべきであり、条文の文言を離れてみだりに拡張解釈や類推解釈をすることは許されないことに鑑みれば、本件が対象土地に係る信託受益権(本件受益権)の譲渡であり、本件受益権の譲受人自身が開発許可を取得していない以上は、開発許可を受けた者に対する譲渡との要件を満たさないものとして、本件特例の適用を受けることはできない。

参照条文等

所得税法第13条第1項 租税特別措置法第31条の2第2項第13号

参考判決・裁決

東京地裁平成13年3月29日判決(税資250号順号8869)

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平成4年9月30日裁決

夫婦が隣接して各自所有していた不動産の一方は居住用財産に当たらないとした事例

裁決事例集 第44集 327頁

要旨

 請求人は、自己の所有家屋と妻の所有家屋を一体として居住の用に供していたから、自己の所有不動産についても措置法第35条の適用があると主張するが、[1]両家屋は各々独立しており、[2]両家屋を一体として利用しなければ居住の用に供せない事情もなく、[3]電気量も大半が妻の所有家屋で消費されていることから、請求人の所有不動産は居住の用に供していたものとは認められない。

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昭和60年10月31日裁決

水田預託契約に基づいて農協に預託していた水田の譲渡は事業用資産の譲渡に当たらないとした事例

裁決事例集 第30集 195頁

要旨

 請求人は、国の水田利用再編対策実施要綱に基づく水田預託契約により農協に預託した水田について、同農協から請求人自らが委託を受けて、除草、害虫駆除等を行って保全管理をしたものであること等から、当該水田は租税特別措置法(昭和58年法律第11号による改正前のもの)第37条第1項に規定する事業用資産に該当する旨主張するが、[1]請求人は自らの意思に基づいて耕作することを停止し農協に預託したものであり、資産の買換えのために耕作を停止したものではないこと、[2]請求人は耕作可能な状態に管理していたが、これは農協から委託を受け、その受託者としての保全管理作業であって農業経営のための業務とは認められないこと、[3]請求人は本件土地について農協と水田預託契約を締結したことによって自ら本件土地を耕作する意思を放棄したというべきであることなどから、本件土地は事業用資産とは認められない。

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平成18年7月5日裁決

租税特別措置法第33条の4第3項第1号に規定する公共事業施行者とは事業認定を受けた後の事業者であると限定的に解することはできないとした事例

裁決事例集 第72集 305頁

要旨

 請求人は、租税特別措置法第33条の4第3項第1号に規定する「公共事業施行者から最初に買取り等の申出のあった日」について、民間企業が事業認定を受けて行う事業の場合、当該民間企業は、事業認定を受け収用権が発生したことによって初めて同号に規定する公共事業施行者としての地位を得られるのであるから、本件における公共事業施行者は事業認定を受けた後のT社であって、本件土地の買取りの申出のあった日は平成14年8月30日であり、譲渡の日(同年9月20日)の6か月以内に買取りの申出があったことになるから、収用交換等の場合の5,000万円の特別控除の特例が適用できる旨主張する。
 しかしながら、租税特別措置法第33条の4第3項第1号に規定する買取り等の申出の主体である公共事業施行者については、事業認定を要しない事業(いわゆる特掲事業)を施行する者も含まれており、また、事業認定を受けた後の事業者とは規定されていないことから、事業認定を受けた後の事業者が同号でいう公共事業施行者であると限定的に解することはできない。また、同号に規定する「買取り等の申出のあった日」とは、公共事業施行者が、資産の所有者に対し、買取り等の資産を特定し、対価を明示してその買取り等の意思表示をした日をいうものと解されるところ、本件についてみると、事業施行者であるT社が、請求人に対して、最初に買取りの意思表示を行ったのは、平成13年6月17日とするのが相当であり、本件土地はこの日から6か月以上経過した後において譲渡されているから、収用交換等の場合の5,000万円の特別控除の特例を適用することはできない。

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平成21年5月25日裁決

収用等がされる土地の上に存しない建物に係る移転補償金は、収用交換等の場合の譲渡所得等の特別控除の特例の適用対象となる補償金には該当しないとした事例

裁決事例集 第77集 256頁

要旨

 租税特別措置法(以下「措置法」という。)第33条の4第1項本文のかっこ書により本件特例が適用されることとなる同法第33条第3項第2号の規定は、同号の規定に該当する場合にあっては、収用等をされる土地の上にある資産の取壊し又は除去が土地の収用等と同じ性格のものであり、収用等に準じて課税の特例を認めることが相当であるとの趣旨から、資産の取壊し又は除去であっても、同号に規定する土地の上にある資産について、収用等による譲渡があったものとみなし、土地の収用等の場合と同様の課税の特例を認めることとしているものと解されることからすれば、同号に規定する「その土地の上にある資産」とは、正に、収用されることとなる土地自体の上にある資産を、あるいは土地の上に存する権利が収用されることとなる場合にはその権利の存する土地自体の上にある資産をいうものと解するのが相当であり、このことは文理上も明らかである。
 ところで、土地が収用等をされた場合、その上にある建物等に対して交付される補償金には、その取壊し又は除去により生ずる損失の補償として交付されるものと、その移転に要する費用の補償として交付されるものとがあるが、建物等の取壊しによる損失補償金は、措置法第33条第3項第2号の規定により本件特例の対象となる補償金とみなされるのに対し、建物等の移転補償金については、このような特別の規定はなく、現実に建物等を取り壊した場合であっても本件特例の適用がないことになり、実情に即さないところがあることから、公共事業施行者の補償の仕方いかんにより課税上の差異が生じることのないよう同号の規定との課税の公平をも図る趣旨から租税特別措置法関係通達(以下「措置法通達」という。)33-14が定められているものと考えられる。したがって、この措置法通達の取扱いが定められた趣旨からすると、措置法通達33-14に定める「当該土地等の上にある建物又は構築物」も、措置法第33条第3項第2号に規定する「その土地の上にある資産」と同様、収用されることとなる土地自体の上にある建物又は構築物を、あるいは土地の上に存する権利が収用されることとなる場合にはその権利の存する土地自体の上にある建物又は構築物をいうものと解するのが相当である。
 本件建物移転補償金は、本件事業の施行により本件土地及び本件国有地が道路用地とされたことに伴い、A社のガソリンスタンドの用に供されていた本件建物について、その移転に要する費用として補償されたものではあるが、本件事業により収用されることとなる土地又は土地の上に存する権利は、本件土地のみであり、本件土地の上には、本件建物を含めガソリンスタンドの用に供されていた既存の施設等はなかったものと認められる。
 すなわち、本件建物移転補償金は、土地の収用等に伴って支払われた補償金ではあるものの、本件事業用地の地域外に存する資産の移転に要する費用を補償したものであると認められ、収用されることとなる本件土地の上の資産について補償したものではないから、本件特例の対象となる補償金に該当しないことは明らかであり、請求人が主張するように、本件建物が本件土地を含むA社のガソリンスタンドの敷地と一体として使用されていたことのみをもって、本件特例を認める余地はないというべきである。

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平成元年3月31日裁決

譲渡土地は租税特別措置法第37条第1項に規定する事業の用に供していた資産に該当しないとした事例

裁決事例集 第37集 269頁

要旨

 譲渡された土地の利用状況は、特定の者の駐車場としての表示や施設が設置されることもなく、その近隣へ勤務する者や所用のあった者が随時、必要に応じて自動車を駐車していた程度であり、また、本件譲渡土地を事業の用に供する積極的な意図は認められず、近い将来貸付けの用に供されることが客観的に明白でないと認められるから、本件土地は租税特別措置法第37条第1項に規定する事業の用に供していた資産に該当しない。

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平成5年5月21日裁決

譲渡物件は居宅新築のための仮住まいと認められ、譲渡所得について租税特別措置法第35条の規定による特別控除はできず、また、居住期間を偽った住民票の添付は重加算税の対象になるとした事例

裁決事例集 第45集 295頁

要旨

  1.  請求人は、本件資産の譲渡所得の計算に当たり、本件資産は居住の用に供していたものであり、仮住まい、あるいは特例の適用を受けるためのみの目的で入居したものではないから、租税特別措置法第35条の規定を適用すべきであると主張する。
     しかしながら、本件資産は、居宅を新築する資金に充てるため、それまで貸家にしていたものを売ることとしたが、当該譲渡に係る譲渡所得について租税特別措置法第35条の規定の適用を受けんがため、住民票上、居住期間を仮装したものであり、電気の使用量等から居宅が完成するまでの仮住まいであったと認められる。したがって、本件資産は本件特例に規定する居住用財産に該当しないことは明らかであり、居住用財産の売却に係る特別控除の適用はできない。
  2.  本件資産の賃貸期間を偽って確定申告をするとともに、本件資産について、虚偽の居住の為の補修工事をしたこと等の申立てをし、また、実際の居住期間とは異なる住民登録をした住民票を確定申告書に添付し本件特例を適用したことは、通則法第68条第1項の規定に該当し、重加算税の賦課決定は適法である。
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平成元年6月20日裁決

兄の経営する会社の従業員に固定資産税及び修繕費の負担をさせて居住させていた土地建物は事業用資産に該当しないとした事例

裁決事例集 第37集 282頁

要旨

 請求人が譲渡した土地は、その土地の上にあった建物と共に、請求人から管理を委任された兄がその経営する会社の従業員に固定資産税及び修繕費を負担させて居住させていたものであるところ、[1]賃貸借期間、賃貸料等についての取決めがないこと、[2]請求人は、本件土地を譲渡した後に兄から報告を受けるまで、その従業員への貸付けの事実を報告されていなかったこと等の事実を総合勘案すると、その貸付けは、維持・管理の目的で従業員に使用させていたと認めるのが相当であるから、相当の対価を得る目的で貸し付け、かつ、相当の対価を得ていたものとは認められない。
 また、その土地の上にあった建物を取り壊した後、その土地は建設会社に貸し付けられたが、それは、貸付期間が6か月間延長されたものの1年6か月であったこと及び使用目的が橋梁架換工事のための仮設道路用地であったこと等からすると、一時的に貸し付けていたにすぎないと認めるのが相当である。
 したがって、本件土地の貸付けは、事業に準ずるものとは認められず、原処分庁が本件土地が事業用資産には該当しないとして、その譲渡につき租税特別措置法第37条の規定を適用しなかったことは相当である。

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平成21年10月8日裁決

請求人がした国に対する土地の譲渡は、国からの買取り等の申出のあった日から6か月を経過した日までに行われたものではないので、収用交換等の場合の譲渡所得等の特別控除の特例は適用できないとした事例

裁決事例集 第78集 275頁

要旨

 租税特別措置法第33条の4第3項第1号は、公共事業施行者から当該資産につき最初に買取り等の申出のあった日から6か月を経過した日までに当該資産が譲渡されなかった場合には、同法第1項に規定する特別控除の特例(以下「本件特例」という。)は適用されない旨規定しているが、これは、公共事業施行者の申出に応じて資産の早期譲渡に協力した者に対してのみ、その補償金等に対する所得税について特別の優遇措置を講じることにより、公共事業の円滑な施行を図ることとした趣旨であり、ここにいう「買取り等の申出のあった日」とは、原則として、公共事業施行者が、資産の所有者に対し、①買取り資産を特定し、②その対価を明示して、③その買取り等の意思表示をした日をいうものと解するのが相当である。
 これを本件についてみると、本件公共事業施行者は、請求人に対し、本件買取り申出書面及び本件補償額明細書において、①買取り資産を特定し、②その買取り等の意思表示をし、請求人は、平成15年5月31日にこれを受け取ったことが認められるから、本件譲渡資産について買取り等の申出のあった日は平成15年5月31日であると認められる。そして、請求人が本件売買契約を締結したのは、平成16年3月29日である。そうすると、請求人は、本件譲渡資産を、最初に買取り等の申出のあった日から6か月を経過した日までに譲渡していないから、本件土地代金に係る譲渡所得の金額の計算上、本件特例を適用することはできない。

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平成7年12月18日裁決

譲渡土地1,567平方メートルのうちゲートボール場として使用されていた397平方メートルは、居住用家屋の敷地に該当しないので、この部分の譲渡については、租税特別措置法第35条の適用がないとした事例

裁決事例集 第50集 140頁

要旨

 請求人は、そもそもゲートボール場は、請求人及び家族が使用するものとして居住用家屋に隣接して設置したものであるから、当該土地も租税特別措置法第35条に規定する「居住用家屋の敷地の用に供されている土地」に該当する旨主張する。
 しかしながら、原処分関係書類及び請求人の答述によれば、ゲートボール場として使用されていた部分の土地について、[1]請求人は、昭和56年9月以降Q町長寿会と無償貸借契約を締結していること、[2]P市長は、昭和56年10月Q町自治会から受けた同場設置の陳情に基づき同場の整地工事を行ったこと、[3]同場の出入口は、居住用家屋の出入口と別であること、[4]請求人は、平成3年1月17日P市長に対し同場の設置されている土地の固定資産税免除申請を行い、[5]市長は、平成3年2月~5年2月までの間総額322千円の固定資産税を免除していること、[6]道具用倉庫は、Q町長寿会の会員が設置管理していることが認められる。
 ところで、租税特別措置法第35条第1項に規定する「譲渡土地が居住用家屋」の敷地に該当するか否かの判定は、社会通念に従い当該家屋と一体として利用されていたか否かにより、具体的には、敷地と当該家屋の位置、面積及び利用状況等を総合して、当該家屋と一体として利用されている土地をいうものと解されるところ、本件ゲートボール場として使用されていた部分の土地は、居住用家屋の敷地の用に供されていた土地に該当しないというべきであるから、当該土地が居住用財産に当たらないとした本件更正処分は、適法である。

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平成9年6月26日裁決

優良再開発建築物整備事業における譲渡契約の締結日は、当該事業の事業計画の同意書を作成、提出した日であるとして、居住用財産の譲渡所得の特別控除及び居住用財産を譲渡した場合の長期譲渡所得の課税の特例の適用を認めた事例

裁決事例集 第53集 253頁

要旨

 原処分庁は、居住用財産を譲渡した場合の課税の特例における居住用財産とは、居住の用に供している家屋及びその土地等をいい、敷地であった土地等のみを譲渡した場合は、土地等の譲渡に関する契約が家屋を取り壊した日から1年以内に締結されている場合に特例を適用できるとされているところ、本件は、平成5年12月20日作成の売買契約書により本件譲渡資産を譲渡する旨の契約を締結したものと認められるが、本件建物は平成4年3月31日に取り壊されているから、本件売買契約書により請求人が譲渡したのは本件借地権のみと認められ、かつ、本件売買契約は本件建物を取り壊した日から1年以内に締結されていないことから、特例の適用はできない旨主張する。
 しかしながら、本件再開発事業において、本件共同事業施行者が平成3年6月30日付で作成提出した事業計画の同意書には、本件共同事業施行者が保有する資産の価額等、同資産の価額等で取得可能な再開発ビルの区分所有建物等を取得する方法及び譲渡の相手方等が定められており、本件同意書は、本件共同事業施行者がその保有する資産を譲渡する旨の譲渡契約を締結したものと認めるのが相当である。また、平成5年12月20日付で作成された売買契約書は、その作成時点で本件再開発事業がほぼ完了している事実からすると、本件再開発事業の清算の過程を明らかにするために作成されたものと認めるのが相当である。
 そうすると、請求人は、平成3年6月30日に、本件建物及び借地権を譲渡する旨の譲渡契約を締結したものであり、本件建物及び借地権で請求人が居住の用に供していた部分は、居住の用に供さなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までにこれを引き渡したのであるから、居住用財産を譲渡した場合の各特例を適用することができる。

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平成3年2月5日裁決

同族会社への土地の貸付けは使用貸借による貸付けと認められ当該土地は事業用資産には該当しないと認定した事例

裁決事例集 第41集 355頁

要旨

 請求人は、[1]本件土地の借受人である同族会社が業績不振であることから賃料を免除しているが、賃貸料の授受がないとしても、賃貸であることには変わりはない、また、[2]租税特別措置法第69条の3“小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例”の取扱上、同族会社に貸し付けられている土地は、その貸付けが使用貸借であっても「事業の用に供されていた宅地等」に該当するものとして取り扱っているので、同法第37条“特定の事業用資産の買換えの場合の譲渡所得の課税の特例”の適用に当たってもこれと同様に取り扱うべきある旨主張するが、同法第69条の3と第37条の規定はその趣旨、目的を本質的に異にするものであるから、この点に関する請求人の主張は採用できない。当該土地の貸付けが賃貸借によるものではなく使用貸借による貸付けと認められる以上、当該土地の譲渡については、措置法第37条の適用はない。

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平成10年3月20日裁決

本件譲渡家屋における電気・ガス・水道の使用状況等から判断すると、本件譲渡家屋に居住したとしても一時的な目的で入居したものと認められるので、居住用財産の課税の特例の適用はできないとした事例

裁決事例集 第55集 316頁

要旨

 請求人は本件土地を売却する契約をしたが、市街化調整区域に存する畑であった本件土地上に建物を建築できないことから、本件建物を請求人名義で建築した後、本件資産として売買の形式を採るとともに、本件特例を適用することにより租税負担の軽減を企図したものであり、本件工事請負契約書及び本件資産売買約定書に係る売買は真実の売買ではないとする請求人の主張は採用することがきない。
 請求人は、電気の使用開始が平成6年6月3日になったのは、請求人が入居したとする同年4月25日から6月3日までの間工事用配線を使用していたためであると主張しているが、建物が完成して入居した後1か月以上も工事用配線が存在することは通常考えにくく、むしろ、生活に必要な電気及び水道に加え、ガスの使用が可能となった同年7月2日以降が入居日と考えるのが自然であること及び同年4月25日には、電気、水道及びガスがすべて使える状態であったとする請求人の答述は信用できず、この点からも請求人の主張を採用することはできない。
 請求人は、生まれた時から本件資産の所在地と同じ町内に居住する両親及び弟と同居していたところ、結婚後の生活を営むために本件建物に入居した旨主張するが、通常、結婚が決まったとはいえ結婚前に、しかも建物完成前で、なおかつ電気及びガスが調う前に、それまで同居していた親元を離れ、急きょ独り住まいをしなければならない必要性はないものと認められ、仮に、住民登録の異動のとおり請求人が本件建物へ入居していたとしても、本件借入れの申込みは、請求人が本件特例の適用を受ける目的で行われていることから、請求人は本件建物へは本件特例の適用を受けるためのみの一時的な目的で入居したものと認められる。
 本件借入れを行った以前の段階で、すでに本件資産は売却する予定であり、購入者も決まっていたのであるから、請求人の婚約解消後は継続して生活することに堪え難い事情が生じたことから本件資産を売却したとの主張は採用できない。
 請求人の主張はいずれも理由がなく、本件建物は本件特例の対象となる居住用家屋とは認められないから、本件譲渡について本件特例を適用することはできない。

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平成3年7月15日裁決

譲渡物件は、譲渡時まで約1年10か月の間空閑地であったが、譲渡に至る経緯等を総合すると、いまだ事業用資産としての従前の性質を失っていなかったと判断されるが、しかしながら、本件買換物件の賃貸料の額は相当の対価とはいえず、したがって、本件買換物件は事業用資産には該当しないので租税特別措置法第37条第1項の規定の適用は認められないとした事例

裁決事例集 第42集 259頁

要旨

 譲渡物件のうち、甲土地上にあった共同住宅がすべて取り壊され、譲渡時まで約1年10か月の間空閑地のままであったが、譲渡に至る経緯等を総合すると、この期間は「相当の期間」の範囲を超えていないものと認められるので、本件土地は、譲渡時には事業用資産としての従前の性質を失っていなかったと判断されるが、しかしながら一方、買換資産として取得した貸店舗の年間賃貸料1,200,000円は、取得価額の0.3パーセントにしかならず、普通預金の利率に比しても極めて低廉であり、かつ、本件賃貸料の額から固定資産税及び借入金利息を控除すれば利益が生じないことが明らかであるから、相当の対価とはいえず、本件買換物件は事業用資産には該当しない。したがって、租税特別措置法第37条第1項の規定の適用を認めなかった原処分は相当である。

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平成10年4月30日裁決

被相続人が所有していた建物が火災で焼失した後に当該建物の敷地を相続により取得し、当該敷地をその後に譲渡した場合、相続人は、当該建物の所有者として居住の用に供していた事実は認められず、3,000万円特別控除の対象となる居住用財産の譲渡には該当しないとした事例

裁決事例集 第55集 341頁

要旨

 請求人は、本件建物が焼失するまでの間、当該建物で被相続人と生計を一にしており、被相続人が生存中に本件土地を所定の期限内に譲渡すれば特例の適用が受けられるところであり、被相続人の死亡により本件土地の現実の占有を承継し、また、財産的地位を包括的に承継しているから、相続により被相続人に属していた特例の適用を受けられる地位を承継しているので居住用財産の譲渡所得の特別控除の適用が認められるべきである旨主張する。
 しかしながら、本件特例は、譲渡所得者の帰属者の立場において適用されるべきものであるところ、請求人において本件建物を居住の用に供していたというためには、単に請求人が本件建物に居住していたあるいは被相続人と生計を一にしていたというだけでは足りず、請求人が本件建物の所有者として居住の用に供していたことを要件として判断すべきである。
 本件建物の所有者は被相続人であり、請求人は本件建物の所有者として居住の用に供していたとは認められないから、本件特例の適用は認められないと解するのが相当である。

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平成3年10月9日裁決

駐車場として貸し付けていた本件土地は、事業に準ずるものの用に供する資産として政令で定めるものに該当せず、租税特別措置法第37条第1項の規定の適用は認められないとした事例

裁決事例集 第42集 271頁

要旨

 本件土地の駐車場としての貸付状況等は、[1]貸付契約が専ら口頭によるものであって契約書の作成もなく、契約期間の定めもないこと、[2]駐車場に係る施設等は、砕石敷き、フェンス、ラインロープ及び立て看板等であること、[3]貸付期間は昭和59年7月から昭和62年2月までで、貸付台数は2台から4台、各年の利益(収入金額から固定資産税、減価償却費等の経費を控除した金額)は、昭和59年が△15,451円、昭和60年が1,345円、昭和61年が27,155円であること等から、本件土地の貸付けは、租税特別措置法施行令第25条第2項に規定する「事業と称するにいたらない不動産の貸付け・・・で・・・相当の対価を得て継続的に行う」ものには該当せず、したがって、本件土地については租税特別措置法第37条第1項の規定の適用は認められない。

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平成10年9月30日裁決

本件家屋の近隣住民の答述、家屋の電気の使用量や通勤手当の受給状況等からみて、譲渡した土地等は、租税特別措置法第35条等で規定する居住用財産に当たらないとした事例

裁決事例集 第56集 207頁

要旨

 請求人は、生まれたときから居住していた本件家屋から、昭和49年にR地の家屋へ妻子と共に転居したが、平成3年に母Mの病気が悪化したので、請求人のみが同年4月から看病のため本件家屋に再度転居して生活の本拠地としていたのであるから、租税特別措置法第31条の3及び同法第35条の各特例が適用されるべきある旨主張する。
 しかしながら、請求人の母Mが日常生活に必要な買物等を通常一人で行っていたとの近隣住民の答述、本件家屋の電気の使用量、勤務先からの通勤手当の受給状況及び給与振込口座からの出勤状況等からして、請求人が本件家屋を居住の用に供した事実は認められないから、本件譲渡には租税特別措置法第31条の3及び同法第35条の規定の適用はない。

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平成4年12月9日裁決

賃貸借契約の解除後に取得した土地の譲渡は、租税特別措置法第37条第1項に規定する事業用資産の譲渡に当たらないとした事例

裁決事例集 第44集 337頁

要旨

 本件土地は、相続開始当時、被相続人の三女の夫名義であったところ、[1]相続開始後に三女の夫によって賃貸借契約を解除された後は事業の用に供することを停止し、[2]請求人らは、被相続人に登記名義が回復された後も、新たに賃貸することもなく空閑地として放置したままで、事業を行う意図が近い将来において実現されることが客観的に明白であったという状況になく、[3]調停後直ちに作成した合意書に従って譲渡していることから、駐車場としての事業への共用は賃貸借契約を解除した時点をもって終了し、その時点での事業用資産としての性格を失ったと解するのが相当である。

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平成10年12月18日裁決

本件旧家屋と新家屋の水道と電気の使用量の状況、ガス会社との供給契約の終了時期や電話の移設の状況等から判断すると、本件の課税の特例が適用される期限を徒過した以後に本件譲渡が行われているものと認められるとして、居住用財産の課税の特例は適用されないとした事例

裁決事例集 第56集 220頁

要旨

 請求人は、旧家屋から新家屋に家財道具等を搬出したのは、祖母が死亡した日(平成6年9月14日)以降であり、平成6年に生活の本拠が新家屋に移っているので、本件の旧家屋について租税特別措置法第35条第1項で規定する「居住の用に供されなくなった日から同日以後3年を経過する日の属する年の12月31日」は、平成9年12月31日となるところ、本件旧家屋の譲渡はこれ以前に行われているから、居住用財産の特別控除の適用が認められるべきである旨主張する。
 しかしながら、[1]旧家屋と新家屋の水道と電気の使用状況をみると、平成3年3月以降は旧家屋での使用実績はなく、同年1月以降の新家屋の使用量は、新家屋に生活の本拠を移したことに争いのない時期である平成7年の使用量と同程度であると認められること、[2]旧家屋におけるガス会社との間の取引は平成3年2月28日で終了していること、[3]旧家屋の電話は、平成2年11月20日に他の場所に移されていることの各事実を総合すれば、請求人が平成3年3月以降旧家屋に居住していた事実はなく、生活の本拠は、遅くとも同月までに新家屋に移っていたと認めるのが相当である。
 したがって、旧家屋が請求人の「居住の用に供されなくなった日から同日以後3年を経過する日の属する年の12月31日」は、平成6年12月31日となり、甲土地はこの日以前(同月2日)に譲渡契約がなされ、乙土地はこの日以後(平成7年1月10日)に譲渡契約がなされているが、これらの土地の引渡しは、いずれも平成7年1月になされており、また、本件土地の譲渡所得についての確定申告も平成7年分の所得として申告されていることからみて、本件譲渡は、平成6年12月31日までに行われた取引とは認められず、本件土地等の譲渡所得に居住用財産の課税の特例は適用できない。

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平成6年6月1日裁決

譲渡された土地は、譲渡を前提として一時的に短期間貸し付けられたものであり、租税特別措置法第37条第1項に規定する事業用資産(租税特別措置法施行令第25条第2項に規定する事業に準ずるものを含む。)とは認められないとした事例

裁決事例集 第47集 205頁

要旨

 請求人は、長期の賃貸を予定した借地を譲渡したとして、当該土地が租税特別措置法第37条に規定する事業用資産又は同法施行令第25条第2項に規定する準事業用資産に該当する旨主張するが、請求人は売買交渉の段階において、買受人において当該土地を取得しなければならない事情を承知の上で賃貸借をし、賃貸借を継続するのであれば通常必要でない当該土地の分筆登記を、賃貸借と同一時期にしていることから、当該分筆登記はその後の譲渡の準備のために行ったと認められ、賃貸借開始当時の請求人の真意は土地の譲渡を前提としたものであると推認されるから、当該土地は、相当期間継続して賃貸することを予定したものではなく、譲渡が成立するまでの間、一時的に賃貸したにすぎず、このことは、事業と称するにいたる不動産の貸付けに当たるとはいえず、また、租税特別措置法施行令第25条第2項に規定する相当を対価を得て継続的に行う事業に準ずるものにも該当しない。

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平成10年12月22日裁決

請求人が相続により取得した甲建物及び本件宅地は、同人が取得後一度も居住しないままに譲渡しており、また、乙建物等は買主が取得後すぐに取り壊していることに加え、本件土地の売買価額の清算条項の土地清算単価に宅地の面積を乗じた価額は売買代金に一致していること等から、譲渡対価はすべて宅地の対価と認められ、居住用財産の課税の特例は適用されないとした事例

裁決事例集 第56集 235頁

要旨

 請求人は、本件譲渡資産については、[1]昭和48年に父F所有の甲建物を増築し、当該増築部分を請求人所有の乙建物として登記して、以後これらの建物を一体として居住の用に供しており、また、事実上父母の生活費を負担していたこと、[2]その後、請求人は転勤のため昭和50年以降本件建物に居住できなくなったが、生計を一にしていた父Fは死亡時まで、母Gは本件譲渡時まで本件建物に引き続き居住しており、請求人とその親族は本件譲渡資産を一体として居住の用に供していたのであるから、措置法第31条の3第1項及び第35条第1項の規定による課税の特例を適用すべきである旨主張する。
 ところで、居住の用に供していた家屋の敷地である土地については、家屋の所有者と土地の所有者は同一人であることを前提として、居住用財産の課税の特例は規定されているものと解され、また、「居住の用に供されていた家屋等」であっても、居住しなくなった後の一定期間内の譲渡であれば、本件の特例が適用されるのであるが、その要件の解釈に当たっては、いずれも所有者として家屋等を所有している期間において居住の用に供していたことを要するものと解されており、かつて居住の用に供していた家屋等を居住の用に供しなくなった後、当該家屋等を相続により取得して譲渡した場合には、本件の特例の対象となる居住用財産には当たらないと解すべきである。
 また、乙建物は、請求人が居住の用に供しなくなった後も、請求人が生活費を負担していたGが譲渡時まで引き続き居住していたことから、居住用財産に該当すると認められるとしても、[1]本件譲渡に係る売買契約書には、本件宅地の公簿面積と建築確認対象面積とに差があった場合には、売買代金の額を本件宅地の面積で除した金額に相当する金額の割合により売買代金を清算する旨の特約が付されていること及び[2]本件建物は買主において取得後すぐに取り壊されていること等からみて、本件譲渡資産の譲渡対価は、すべて居住用財産には該当しない本件宅地の対価であると認めることが相当である。
 したがって、本件譲渡資産の譲渡所得金額について本件特例を適用することはできない。

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平成7年6月14日裁決

買換資産の同族会社に対する貸付けは、無償貸付けであることから、特定の事業用資産の買換特例の適用がないと認定した事例

裁決事例集 第49集 281頁

要旨

 特定の事業用資産の買換特例は、買換資産を取得した日から1年以内に事業又は事業に準ずるものの用に供されなければならないところ(租税特別措置法第37条第1項租税特別措置法施行令第25条第2項)、請求人らは「事業に準ずるもの」とは、買換資産の機能からみて自家用にも事業用にも使用される可能性のある資産の貸付けをいうものであり、本件買換資産は、賃借人であるL社がカラオケボックス事業として使用していることは明らかであることから、本件買換特例の適用対象資産に該当する旨主張する。
 しかしながら、租税特別措置法施行令第25条第2項に規定する「事業に準ずるもの」とは、事業と称するに至らない不動産等の貸付けで相当の対価を得て継続的に行うものとされていることから、賃貸された買換資産の機能によって本件買換特例の適否が判断されるべきものではない。
 ところで、被相続人は、買換資産を取得した日に当該資産をL社に賃貸しているものの、同社から賃貸料を収受していないことから、被相続人の本件買換資産の貸付行為は、L社に対する無償貸付けと認められるので、本件買換特例の適用要件である事業用又は事業に準ずるものの用にも該当しないと認めるのが相当である。
 したがって、譲渡資産に係る課税長期譲渡所得金額の計算上、本件買換特例の適用がないとした原処分は相当である。

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平成11年3月15日裁決

譲渡した土地及び建物は、請求人の生活の本拠ではなく、居住用財産の譲渡とは認められず、請求人が住民票を異動したことは、特例の適用を受けるための事実を仮装するために行ったものであるから、重加算税の賦課決定処分は適法であるとした事例

裁決事例集 第57集 224頁

要旨

  1.  請求人が、本件家屋及び長男家族の家財道具の管理等のために、昭和63年頃から本件家屋を譲渡した直前までにおいて、時折本件家屋に住んでいたことを否定することはできないが、[1]請求人の住所が本件家屋の所在地となっているものは、平成7年8月10日から同年9月29日までの住民登録及び本件売買契約書の請求人の住所のみで、他はすべてS町の家屋の所在地であったこと、[2]本件家屋における水道及び電気の使用量並びに電話の利用料金は、長男家族が帰省したお盆、正月の時期等はそれなりに使用されていたことは認められるが、その他の月のこれらの使用量及び利用料金は僅少又は使用されていなかった月があること、[3]本件家屋及びS町の家屋の近隣住民等の申述からすれば、請求人は、S町の家屋を生活の本拠としていたことがうかがえること、[4]仏壇は、生活の本拠である家屋に置き、先祖を供養するのが一般的であるが、請求人は、S町の家屋に置いていたことが認められ、これらを総合すると、請求人は、本件家屋及び長男家族の家財道具の管理等のために本件家屋を一時的に利用したにすぎず、請求人の生活の本拠はS町の家屋と認められる。
  2.  請求人が住民登録を本件家屋所在地に転居の届出をしたときは、すでに本件譲渡資産を譲渡する認識をもっていたとみるのが相当であり、請求人が、本件家屋を真に居住の意思をもって、生活の本拠として居住していたという事実及び請求人の住民登録の住所を異動しなければならなかった合理的な理由が認められない以上、この届出は、本件特例の適用を受けるための事実を仮装するためにあえて届出したものと認められ、この事実に反する住民票の写しを本件申告書に添付して提出したことは、国税通則法第68条第1項の課税標準の基礎となるべき事実を仮装し隠ぺいしたことに該当する。
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平成7年7月31日裁決

譲渡土地は平成元年から耕作放棄されているので、特定の事業用資産の買換特例の適用がないと認定した事例

裁決事例集 第50集 151頁

要旨

 請求人は、平成3年1月に譲渡した農地は親子3人の生活を賄うとともに減反政策にも協力してきたことを考慮し、本件買換特例の適用対象資産に該当する旨主張する。
 しかしながら、租税特別措置法は一定の政策目的で定められた特則・例外規定であるから、その解釈適用は、厳格にされなければならないところ、特定の事業用資産の買換特例は、譲渡資産が事業の用に供されていることを大前提としている。
 ところで、請求人は、水田農業確立対策要綱に基づき、譲渡土地を預託水田として助成金の交付を受けていたが、市道工事の終了した昭和62年頃、譲渡土地に土盛を行い自家用の野菜を植栽し昭和63年11月頃の収穫を最後に耕作を止め、放置していた旨審判所に答述していることから、当該土地の譲渡時(平成3年1月)において、当該土地は事業(農業)の用に供されていないことが明らかである。
 したがって、譲渡土地が租税特別措置法第37条に規定する買換特例の適用対象資産に該当しないとした更正処分は相当である。

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平成11年2月25日裁決

本件建物の2階を居住用とし、1階を店舗工場として同族会社に賃貸していた請求人が、当該同族会社の倒産後において1階部分を居住用に改装した事実はなく、また、居住用として利用する必然性も認められないので、1階部分については、居住用財産の課税の特例の適用はできないとした事例

裁決事例集 第57集 239頁

要旨

 請求人は、本件建物の1階は賃貸していた同族会社の倒産後は空家同然となったので、同社所有の備品等を整理して、車庫、倉庫及び物干し場等居住用としての利用をしていたのであるから、本件建物の全部について居住用財産の譲渡所得の特別控除等の特例の適用が認められるべきである旨主張する。
 しかしながら、本件建物2階は、家族構成からみても一般家庭の居宅としての広さや設備を十分備えた構造となっており、同族会社の倒産後に1階を居住の用に供さなければならないという特段の事情は認められず、また、1階部分を家族が起居するために改装した事実は認められない。
 また、請求人は、賃貸していた同族会社の倒産後は1階を生活の拠点として利用していた旨主張するが、[1]2階には台所があるにもかかわらず、その機能のない店舗工場を台所として使用することは考えにくいこと、[2]金融機関から倒産会社の保証債務の履行を迫られている中で、本件建物を相続すれば債務の弁済をしなければならず、他方、相続登記をしなければ譲渡することができないという状況にあって、本件建物を相続すると同時に譲渡をする必要があったものと認められることからすれば、相続後に本件建物の1階を居住用として利用する必然性はなく、例え生活用資産を保管していたとしても、それは一時的なものであり、居住用とは認められないことから、本件建物の1階部分について本件特例を適用することはできない。

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平成8年3月1日裁決

譲渡土地に係る賃貸契約は実態を伴わないものであるから、特定の事業用資産の買換特例が適用できないとして請求人の主張を排斥した事例

裁決事例集 第51集 236頁

要旨

 請求人は、昭和63年9月1日付でS社と締結した譲渡土地に係る賃貸契約に基づく地代収入について平成元年分及び平成2年分の確定申告を行っており、当該土地は租税特別措置法施行令第25条第2項に規定する事業に準ずる資産に該当するので、租税特別措置法第37条(特定の事業用資産の買換えの場合の譲渡所得の課税の特例)第1項が適用されるべきである旨主張する。
 しかしながら、次の事実によれば、昭和63年9月1日付の譲渡土地に係る賃貸契約は、平成元年10月頃に租税特別措置法第37条第1項の規定を受けんがために日付を遡及して作成されたものであって、その実態を伴わないものであるから、譲渡土地が同条に規定する買換特例の適用対象資産に該当しないとした更正処分は相当である。

  1.  請求人は、昭和58年に大学を卒業した後、譲渡土地上にある賃貸建物の所有者であるLと生計を一にしたことがなく、また、海外勤務地であるa国から昭和63年9月14日に帰国していること。
  2.  Lは、平成元年8月にg県の計量保安課の立入調査を受けた際、担当官から移転の指導を受けたので、1の賃貸建物の移転を決意した旨答述していること。
  3.  譲渡土地の仲介業者であるFは、[1]譲渡土地の売りの具体的な話は平成元年8月ないし9月に受けて、同年10月に専任媒介契約を締結し、[2]その際、Lから税金の相談も受けたが、土地と建物の所有者が異なっていたので、顧問税理士と良く相談するようにと説明した旨答述していること。
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平成12年11月10日裁決

居住用財産の譲渡と認めなかった事例

裁決事例集 第60集 362頁

要旨

 請求人は、空き家となっていた本件家屋が傷むのを防ぐため、妻とともに本件マンションから本件家屋に転居して住民票を移し、居住の用に供していたので、措置法35条の特別控除を適用できる旨主張するが、[1]本件家屋には、ほぼ同時期から譲受人の娘夫婦が居住していること、[2]本件家屋及び本件マンションの近隣住民らの申述、及び[3]本件家屋及び本件マンションの電気・ガスの使用量などから総合判断すると、請求人が本件家屋を主たる生活の本拠として居住していたとは認められないので、本件特例の対象となる居住の用に供していた家屋には該当しない。

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平成8年4月11日裁決

譲渡土地は、昭和63年9月1日から譲渡(平成2年4月24日)するまで事業の用に供していないので、特定の事業用資産の買換特例が適用できないとして請求人の主張を排斥した事例

裁決事例集 第51集 258頁

要旨

 請求人は、譲渡資産を事業の用に供しなくなっても相当の期間(おおむね3年間)内は事業用資産としての性質を失うものでないから、譲渡土地のうち565平方メートルは、租税特別措置法第37条(特定の事業用資産の買換えの場合の譲渡所得の課税の特例)第1項に規定する事業用資産に該当する旨主張する。
 ところで、租税特別措置法第37条第1項に規定する事業の用に供しているものの譲渡とは、原則として、譲渡の時点において現に事業又は事業に準ずるものの用に供されている資産に限られている。しかし、事業用資産として供用が停止された場合には、その時点で直ちに非事業用資産となるのではなく、供用停止後も事業継続の意図があると認められるものについては、相当の期間内は、いまだ事業用資産としての性質を失うものではないと解するのが相当であって、この相当の期間とは、客観的に明白な事業継続の意思の有無、事業用資産の種類、構造等の特性、事業の用に供しなくなった具体的な理由、供用停止後の資産の状況及び供用停止後の買換えの準備活動等を総合して判断するのが相当である。
 しかしながら、譲渡土地上にある事務所兼工場及びプレハブ建物の利用状況について、請求人の長男及びJ社(譲渡土地の前賃借人)の代表者であるZは、審判所に対し、[1]昭和63年8月31日以後は空家の状態であったこと、[2]本件建物の1階はメッキ工場と事務所、2階は食堂、プレハブは汚水処理等に使用していたが、昭和61年6月に移転した後は保守管理や除雪等を一切行っていなかったため窓やシャッターが壊れ、昭和63年8月の時点では使用不能の状態であった旨答述している。
 以上のことから、譲渡土地は、譲渡時点において事業用資産としての性質を既に失っていたと認めるのが相当であるから、原処分庁が譲渡土地に係る譲渡所得金額の計算に当たり、租税特別措置法第37条第1項の適用がないとした更正処分は適法である。

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平成13年6月28日裁決

請求人の譲渡した家屋及びその敷地は、病気の老母の看護のために居住していたとする請求人の主張を排斥して、居住用財産とは認められないから租税特別措置法第35条の特例を適用することはできないとした事例

裁決事例集 第61集 322頁

要旨

 請求人は、譲渡した物件(本件家屋及びその敷地)に病気の老母の看護のため居住していたことから、その譲渡については租税特別措置法第35条の特例を適用すべきである旨主張する。
 しかしながら、[1]本件家屋及び請求人がS市に有する家屋の電気及びガス等の使用料の状況という客観的数値、[2]双方の家屋の近隣住民の申述内容、[3]請求人の住民登録の状況、[4]請求人の過去の確定申告書の記載内容、[5]老母の居住状況に係る市役所の認定などを併せて判断すると、請求人が主として居住の用に供していたのはS市の家屋であり、本件家屋は仮に使用していたとしても、一時的あるいは臨時的なものであったと判断するのが相当であり、本件譲渡物件は居住用財産とは認められないことから、本件譲渡について本件特例を適用することはできない。

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平成20年10月27日裁決

請求人は事業として山林業を営んでいたとは認められないことから、譲渡した山林素地は事業用資産とはいえず、特定の事業用資産の買換えの場合の譲渡所得の課税の特例は適用できないとした事例

裁決事例集 第76集 270頁

要旨

 請求人は約○○ヘクタールの山林素地を所有していたが、過去7年間において、請求人に山林の伐採又は譲渡による所得があったのは、平成15年分、平成17年分及び平成18年分の3年分であり、いずれも森林組合又は下草刈りを行う業者からの依頼に応じて山林を伐採したことによる所得である。そして、山林所得がある各年分でいずれも山林所得の金額の計算上損失が生じており、収入金額を見ても、平成15年分は約○○○○円あるものの、平成17年分は約○○○○円、平成18年分は○○○○円と僅少であるから、請求人が、営利を目的として反復継続して、山林の伐採又は譲渡を行っていたとはいえない。
 さらに、請求人は、山林素地を遅くとも平成3年1月までには取得しており、その所有期間は長期間に及んでいたにもかかわらず、その間、新たな植林をしていないと認められる。したがって、請求人が植林を計画的に企画遂行していたともいえない。
 以上のとおり、請求人は、営利を目的とした山林の伐採又は譲渡を反復継続して行っておらず、長期間にわたって植林をしていないから、請求人が下草刈りなどの山林の管理を行っていたとしても、これに費やす労務もまた僅少であったと認められる。加えて、請求人には、平成18年分の所得税の確定申告において、事業所得(農業)、不動産賃貸による不動産所得、給与所得を申告したことに照らすと、山林所得の基因となる業務は従たる経済活動であったとみるべきである。
 そうすると、山林の伐採又は譲渡の反復継続性及びその金額、植林の計画的な企画遂行、さらに、これらに費やす労務の程度、社会的地位などのいずれの観点から見ても、請求人が、本件譲渡の当時において、自己の計算と危険において独立して、営利性、有償性を有し、かつ、反復継続して遂行する意思と社会的地位とが客観的に認められる山林業を営んでいたとはいえない。
 したがって、請求人が事業として山林業を営んでいたとは認められないから、本件山林素地は、事業の用に供する資産とはいえず、本件譲渡に係る譲渡所得の金額の計算上、特定事業用資産の買換えの特例を適用することはできない。

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平成19年2月7日裁決

二以上の家屋が併せて一構えの一の家屋であると認められるか否かについては、まず、それぞれの家屋の規模、構造、間取り、設備、各家屋間の距離等客観的状況によって判断すべきであり、個人及びその家族の使用状況等主観的事情は二次的に参酌すべき要素にすぎないものと解するのが相当であるとした事例

裁決事例集 第73集 326頁

要旨

 請求人は、本件Y家屋の敷地は、隣接する本件X家屋の敷地と地続きであり、また、本件Y家屋は、その設備状況からして、独立した1棟の居住用家屋としての機能を有していなかった上、主として居室としての用途で利用していたものであるから、一体として居住の用に供していた本件X家屋及び本件Y家屋(以下、これらを併せて「本件各家屋」という。)は、一構えの一の家屋として、それらの敷地とともに本件特例が適用されるべきである旨主張する。
 ところで、二以上の家屋が併せて一構えの一の家屋であると認められるか否かについては、まず、それぞれの家屋の規模、構造、間取り、設備、各家屋間の距離等客観的状況によって判断すべきであり、個人及びその家族の使用状況等主観的事情は二次的に参酌すべき要素にすぎないものと解するのが相当である。
 したがって、単にこれらの家屋がその者及びその者と同居することが通常である親族等によって機能的に一体として居住の用に供されているのみでは不十分であり、家屋の構造、規模、設備等の状況から判断していずれか又はそれぞれが独立の居住用家屋としては機能できないものでなければならない。
 そうすると、これらの家屋がそれぞれ独立の家屋としての機能を有する場合には、これらの家屋を併せて一構えの一の家屋であるとは認められず、その者が主としてその居住の用に供していると認められる一の家屋に限り、本件特例の適用対象となるというべきである。
 これを本件についてみると、本件各家屋の規模、構造、間取り、設備、両家屋間の距離並びに通常考えられる用法及び機能等を考慮すれば、本件各家屋は、それぞれ独立して居住の用に供し得る機能を有する居住用家屋であることは明らかであり、本件各家屋を併せて一構えの一の家屋であると認めることはできない。
 また、請求人が本件Y家屋の台所や風呂を老朽化を理由として使用せず、一方、居室については修繕を行って使用していたのは、そもそも請求人の本件Y家屋の使用目的が、居室としてのみ利用することにあったためであり、請求人の主観的事情にすぎないというべきである。
 そうすると、請求人の主観的事情は二次的に参酌すべき要素にすぎないから、本件各家屋を機能的に一体として利用していたことをもって、本件各家屋が併せて一構えの一の家屋であると認めることはできない。よって、請求人の主張には理由がない。
 そして、本件特例の適用対象となる家屋は、租税特別措置法施行令第23条第1項の規定により、その者が主として居住の用に供していると認められる一の家屋に限られるところ、主として居住の用に供していた家屋は、本件X家屋と認められることから、本件特例の適用対象となるのは、本件X家屋及びその敷地である本件X土地に限られる。

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平成22年6月24日裁決

10年以上居住の用に供していた家屋及びその敷地について、贈与を受けた直後に譲渡した場合には、租税特別措置法第35条の適用を受けることはできないとした事例

裁決事例集 第79集

要旨

 請求人は、譲渡したA建物を、10年以上にわたって生活の拠点としており、また、贈与により取得して所有者になった日から売買契約締結の日の前後を通じて5か月の間、居住の意思を持って居住の用に供していたところ、租税特別措置法第35条第1項には、所有期間及び居住期間についての定めはないから、A建物の所有者になってからの居住期間が短いとしても、A建物は、同項に規定する個人が居住の用に供している家屋に該当する旨主張する。
 しかしながら、租税特別措置法第35条第1項に規定する個人がその居住の用に供している家屋に該当するというためには、当該家屋を所有者として居住する意思を持って、客観的にもある程度の期間継続して生活の本拠としていたことを要すると解すべきであるところ、請求人がA建物の所有者となる前の居住期間は、同項の適用を判断するに当たり考慮すべき事実とはならず、また、請求人がA建物の所有者となった日前にA土地建物の買主から諸条件の提示を受けて購入申込みを受諾していることからすれば、同受諾した日以降は、A土地建物は買主に譲渡されることが予定されていたものといえるから、請求人がA建物の所有者となった日以降において、請求人は、A建物を所有者として居住する意思を持って居住の用に供していたものとは認められない。
 したがって、請求人がA建物に居住していた全期間について、A建物を租税特別措置法第35条第1項に規定する個人が居住の用に供している家屋であると認めることはできない。

参照条文等

租税特別措置法第35条第1項

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平成26年2月17日裁決

居住用家屋の一部を取り壊し、その取壊し部分の敷地の用に供されていた土地の譲渡に係る譲渡所得について、租税特別措置法第35条を適用することができないとした事例(平成22年分の所得税の更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分・一部取消し)

裁決事例集 第94集

要旨

 請求人は、居住の用に供している家屋の一部を取り壊し、その取り壊した部分の敷地の用に供されていた土地の譲渡について、当該家屋の取壊し後の残存家屋は、改修工事をしなければ機能的にみて居住可能な独立した家屋とはいえず、その物理的形状に照らし、居住の用に供しえなくなったものといえるのであるから、租税特別措置法第35条《居住用財産の譲渡所得の特別控除》の規定を適用できる旨主張する。
 しかしながら、当該残存家屋には、人が居住して日常生活を送るのに必要な台所、便所、浴室及び居室の全てを備えており、当該家屋の一部取壊し及び残存家屋の改修工事の各工事期間中も請求人は居住していたのであるから、家屋の一部取壊しによって、当該残存家屋がその物理的形状等に照らし居住の用に供しえなくなったということはできない。したがって、当該譲渡に租税特別措置法第35条の規定を適用することはできない。

参照条文等

租税特別措置法第35条 租税特別措置法通達(山林所得・譲渡所得関係)31の3-10、35-2、35-5

参考判決・裁決

東京地裁昭和54年11月19日判決(裁Web) 東京地裁平成21年11月4日判決(税資259号順号11304) 東京高裁平成22年7月15日判決(税資260号順号11479)

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平成28年3月16日裁決

請求人が譲渡した土地上にある家屋は、請求人が真に居住の意思をもって客観的にもある程度の期間継続して生活の本拠としていたとは認められないから、租税特別措置法第35条の適用はないとした事例(平成24年分の所得税の更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分・棄却)

裁決事例集 第102集

要旨

 請求人は、譲渡した土地上に存していた家屋(本件家屋)が、租税特別措置法(平成25年法律第5号による改正前のもの)第35条《居住用財産の譲渡所得の特別控除》第1項に規定する「居住の用に供している家屋」に該当する旨主張する。
 しかしながら、本件家屋におけるガス及び水道の使用実績がなく、電気の使用量は極めて少ないこと、本件家屋の窓ガラスが割れたまま放置され、複数の近隣住民が人の住める建物ではなかったと評していること、また、請求人が住民票上の住所を本件家屋とは別の借家の所在地に置いていたこと、当該借家に係る賃貸借契約及びその更新の際に、請求人が同居人として名を連ねていたことなどからすれば、請求人が本件家屋を真に居住の意思を持って客観的にもある程度の期間継続して生活の本拠としていたとは認められない。以上によれば、本件家屋は、請求人の「居住の用に供している家屋」に該当しない。

参照条文等

租税特別措置法(平成25年法律第5号による改正前のもの)第35条第1項

参考判決・裁決

東京地裁昭和54年11月19日判決(税資109号396頁) 大阪地裁平成8年3月19日判決(税資215号922頁) 神戸地裁平成10年12月16日判決(税資239号458頁) 平成22年6月24日裁決(裁決事例集No.79)

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令和7年6月20日裁決

請求人が譲渡した家屋は「請求人が主としてその居住の用に供していると認められる一の家屋」には該当しないとした事例(令和2年分の所得税及び復興特別所得税の更正処分並びに過少申告加算税の賦課決定処分・棄却)

裁決事例集 第139集

ポイント

 本事例は、請求人が譲渡した家屋の住所に移転した際、一般に生活の本拠を異動する際に行う各手続を行わず、譲渡した家屋と移転前の住所地であるマンションにおける水道等の使用状況が移転前後において大差がないこと等の事実を総合的に考慮すると、主たる生活の拠点はマンションであり、譲渡した家屋は「請求人が主としてその居住の用に供していると認められる一の家屋」には該当しないとしたものである。

要旨

 請求人は、請求人が譲渡した土地の上に存していた家屋(本件家屋)が、租税特別措置法施行令第20条の3《居住用財産を譲渡した場合の長期譲渡所得の課税の特例》第2項に規定する「その者が主としてその居住の用に供していると認められる一の家屋」に該当する旨主張する。
 しかしながら、請求人は、請求人が請求人の妻と二人で居住していたマンション(本件マンション)の住所から請求人のみが本件家屋の住所に移転した際、一般に生活の本拠を異動する際に行う各手続を行わず、また、本件家屋において日常生活を送る上で必要になる設備が故障していたにもかかわらずその修繕も行っていなかった一方で、本件マンションは、請求人の妻が引き続き居住し、日常生活を送るのに十分な状態が保たれ、当該移転後も請求人宛の各種配送物の配達先でもあった。また、本件家屋及び本件マンションの水道等の使用状況は、当該移転前後において大差はない。したがって、これらの事実を総合的に考慮すると、請求人の主たる生活の拠点は本件マンションであり、本件家屋は、「請求人が主としてその居住の用に供していると認められる一の家屋」には該当しない。

参照条文等

租税特別措置法第35条 租税特別措置法施行令第20条の3第23条

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