裁決事例 租税特別措置法関係
あっせん手続等の一部が実施要領に従っていなかったとしても、そのことが特別控除の趣旨目的を滅却させるほど重大であるとまではいえない場合には、あっせん証明書が取り消されない限り、有効な証明書として特別控除の適用は認められるが、実体が伴っているかどうかの判断は最終的には課税庁の判断にゆだねられているとした事例
裁決事例集 第64集 256頁
要旨
原処分庁は本件譲渡に係る農用地等の権利移動に係るあっせん手続が農水省通達(実施要領)に定める手続に沿ったものではないから農業振興地域の整備に関する法律(農振法)第18条の規定の趣旨に適合したものではなく、本件譲渡について本件特別控除を適用することはできない旨主張する。
本件特別控除は農振法第23条第1項及び第18条の各規定に該当することを前提とするものであるから、課税庁はその該当性の判断に当たり現実に行われた農業委員会のあっせん事業が上記農振法の各規定に基づいて適正に行われたものかどうかの調査を行う場合も当然にあり得るが、その場合であっても、上記法令に違反することがその趣旨目的を滅却させるほど重大であり、あっせん証明書が無効なものであると評価できる場合はともかく、証明書が取り消されない限り有効な証明書として本件特別控除の適用は認められると解される。
本件では、あっせん手続や証明書の発行手続に実施要領に従っていなかった点があったとしても、各認定事実によれば、このことが法の趣旨目的を滅却させるほど重大であり、あっせん証明書が無効なものであるとまでは認められないから、本件処分は取り消すのが相当である。
要旨
譲渡した資産は、譲渡時において貸し付けられていたが、当該貸付けは、相当の対価を得て継続的に行われているものとは認められないので、当該資産は事業用資産とはならない。
要旨
事業用資産の買換えの特例の適用を受けた新築貸家住宅について、同時に割増償却の特例計算を適用して不動産所得を計算していたところで、事業用資産の買換えの特例の適用を受けたのは誤りであるとして、これを撤回した場合であっても、割増償却の特例計算の規定の適用は認められないとした原処分は相当である。
代替資産として取得した建物及び建物附属設備のうち、建物についてのみ圧縮記帳したために生じた圧縮限度超過額は、建物附属設備に係る圧縮損の計上額として取り扱うことはできないとした事例
裁決事例集 第37集 311頁
要旨
租税特別措置法第64条第1項の規定は、法人がその決算を確定する際に、同項に定める方法により経理上の処理をすることを要件として、その処理をした金額に限り、しかも、圧縮限度額の範囲内で、所得の金額の計算上、損金の額に算入することを認めているものであるところ、請求人は、損金経理により帳簿価額を減額する方法により建物のみを圧縮経理しており、建物附属設備については、その経理をしていないことが認められるから、建物附属設備を圧縮限度額の計算の基礎になる代替資産に含めて圧縮限度額を算定することはできない。
住宅取得資金の借換えのための貸付けに係る債権の担保のために受ける抵当権設定の登記に関する登録免許税については、租税特別措置法第74条の適用はないとした事例
裁決事例集 第64集 583頁
要旨
租税特別措置法第74条に規定する「住宅用家屋の新築若しくは取得をするための資金の貸付け」とは、住宅用家屋を新築又は取得をするために受ける資金の貸付けであり、住宅用家屋の新築または取得をした後に当該貸付けを返済して新たに資金の貸付けを受ける場合の貸付けとは、その目的が明らかに異なるものであるから、本件軽減規定の対象となる住宅用家屋の新築又は取得のための資金の貸付けには含まれないと解するのが相当である。
請求人は、租税特別措置法第41条(所得税の特例である住宅借入金等を有する場合の所得税額の特別控除)の適用において、同条に既定する「当該住宅の取得等に係る借入金又は債務の金額」には、一定の条件を満たす住宅取得資金の借換えによる借入金を含むと解されていることから、本件軽減規定も同様に解釈すべきである旨主張する。
しかしながら、個人の所得に担税力を認めて課される所得税と登記や登録の背後に担税力を認めて課される登録免許税とは、そもそも課税の仕組みが異なるものであり、それぞれの規定ぶりも異にするものである。
また、措置法は特例的な制度であることからすれば、その解釈適用に際しては、むやみに類推解釈や拡大解釈をすべきものではない。
要旨
本件資産の概算取得費の計算の基礎となる譲渡収入金額について、その譲渡代金から求償権の行使できない保証債務履行額を控除した金額をその譲渡収入代金としていることは誤りである。
要旨
居住の用に供していた家屋の明渡しに際し受領する立退料は、仮にその立退料が借家権の消滅の対価に該当し、譲渡所得に係る収入であるとしても、借家権の譲渡は、租税特別措置法第35条第1項に規定する「土地若しくは土地の上に存する権利又は家屋の譲渡」に当たらないから、同条の規定は適用されない。
要旨
請求人は前年にした建物及び土地の譲渡について、当初、居住用財産の譲渡所得の特別控除の規定の適用を受けたが、これについては、後日その建物及び土地が居住用財産に当たらないことに気付き修正申告書を提出しているところであり、本年に譲渡した本件建物及び土地については、譲渡日まで請求人とその家族が日常居住していたことが認められるから、その譲渡につき居住用財産の譲渡所得の特別控除の規定を適用して申告したことは正当である。
しかしながら、本件建物及び土地は、居住の用と事業の用に供していた事実が認められるから、当該特別控除の規定の適用は、本件建物及び土地の居住用部分に対応する譲渡所得の金額に限られるというべきである。
原処分庁の採用した独立企業間価格の算定方式は採用できないが、銀行が行っている保証の保証料率を比較対象として独立企業間価格を算定するのは、独立価格比準法に準ずる方法と同等の方法であり相当であるとした事例
裁決事例集 第63集 454頁
要旨
原処分庁は、格付会社が公表する格付け及びデフォルト確率によって請求人が外国子会社に対して行った保証取引及び保証類似取引の保証料率を求め、同料率によって請求人の保証取引等の保証料の独立企業間価格を算定する方法は、独立価格比準法に準ずる方法と同等の方法に当たるので原処分は相当であると主張し、請求人は、同方法は市場のコンセンサスを得られていたとはいえないので相当でないと主張する。
確かに、原処分庁の採用した方法は、審判所の調査によっても審査請求事業年度において金融市場の参加者が保証料率の算定に使用されていたとはいえず、同方法が合理的であるとするに足りる証拠は認められないので採用できないが、銀行が行っている保証取引の保証料率を比較対象として採用して請求人の保証取引等の保証料の独立企業間価格を算定する方法は、独立価格比準法に準ずる方法と同等の方法に該当するので、同方法により算定した独立企業間価格と原処分庁の認定した価格との差額を取り消すのが相当である。
なお、本件各保証予約念書の差入れ及び本件各経営指導念書の差入れは、各金融機関が行っている保証と同等の法的責任を負っているということはできないので、これを保証取引とみなして独立企業間価格を算定することは相当でない。
台帳価格のない土地の価額の算定に当たって、当該土地の売買価額を不動産の価額であるとした場合にも、当該価額に租税特別措置法第84条の3に規定する特例により100分の40を乗じた額によることができるとする法令上の規定はないから、当該土地の価額の算定に当たっては、分筆前の土地の価額の合計額に当該特例に基づき100分の40を乗じた額によるべきであるとした事例
裁決事例集 第53集 525頁
要旨
請求人は、本件登記申請に係る登録免許税の課税標準の額は、本件土地の売買価額を基礎としてこれに100分の40を乗じて算定すべきであると主張するが、[1]登録免許税法第10条(不動産等の価額)第1項の課税標準たる不動産の価額は、当分の間、台帳価格を基礎として政令で定める価額によることができる旨規定しているものであり、租税特別措置法第84条の3(不動産登記に係る不動産価額の特例)の規定により、当該金額に100分の40を乗じた額が登録免許税の課税標準の額となること及び[2]同規定は、登録免許税法附則第7条(不動産登記に係る不動産価額の特例)の規定により、台帳価格を基礎として登録免許税の課税標準の額を算定する場合に限り適用されるものであって、請求人が主張するところの本件土地の売買価額が課税標準たる不動産の価額であるとした場合についてまでもこれらの規定を適用する旨の法令上の規定はないから、請求人の主張には理由がない。
要旨
請求人がA卸商団地協同組合(以下「組合」という。)を脱退するに際して組合と請求人との間で交わした覚書に基づき、出資の持分、高度化事業団地の割当て等を含む一切の権利を引き渡すことに伴い補償金を受領した場合において、当該補償金は当該割当土地の時価をもって算定されているところからみれば、当該補償金の額から出資持分の払戻しに相当する額を控除した額は、当該割当て土地の上に存する権利を組合に譲渡したことによる対価と認められるから、租税特別措置法(昭和55年法律第9号による改正前のもの)第63条第1項第1号に規定する「土地及び土地の上に存する権利」の譲渡に当たるとして同項の規定を適用した原処分は相当である。
要旨
交換契約により土地とその土地の上に建築した建物の一部を交換した場合における当該交換契約の内容が、土地の譲渡人が所有していた土地と請求人が当該土地の上に建築する建物の一部とを交換することを目的とするものであることにかんがみ、それぞれの交換資産の所有権の移転の時期については、当該交換契約書の文言上、別段の定めがない限り、建物の完成後のしかるべき時期に双方同時に移転することについて契約当事者の合意があったものと解するのが合理的であると認められることから、請求人が取得した当該土地の取得時期は、当該交換契約の締結の日ではなく、交換譲渡資産である建物の完成後、土地の譲渡人に当該建物を引き渡した日であると解するのが相当である。
土地と建物を一括譲渡した場合において、土地譲渡益重課制度の対象となる土地の譲渡対価の額は、建物の未償却残額に建築費上昇率を乗じて得た建物の価額を土地建物の譲渡対価の額から控除して算定すべきものとした事例
裁決事例集 第39集 516頁
要旨
土地と建物を一括譲渡した場合において、土地譲渡益重課制度の対象となる土地の譲渡対価の額を算定するに当たり、請求人主張の譲渡時の土地建物の帳簿価額によりあん分する方法によると、土地と建物の譲渡対価の額が帳簿価額と同じ割合で上昇するので、土地高騰の現状に適しないといえる。
土地価額の上昇率が都市区域において急激であるのに対し、建物価額の上昇率が比較的緩やかである現状からみて、建物価額をまず算定して控除する方式が合理的であり、建物取得価額から定率法による減価償却費を控除した未償却残額に建設省建築動態統計調査による建築価額の上昇率を乗じて計算した建物価額を算定し、これを一括譲渡対価の額から控除して土地の譲渡価額を算定するのが相当である。
要旨
請求人は土地を買い入れた会社の指定業者となっているが、請求人が土地の売買に関与した行為は、契約内容及び取引態様からみて、代理行為ではなく仲介行為であると認められ、また、請求人が本件土地の売買に関与して得た報酬は宅地建物取引業法第64条第1項に定める報酬の額を超えるので、請求人の行為について租税特別措置法(昭和55年法律第9号による改定前のもの)第63条の規定の適用があるとした原処分は相当である。
要旨
原処分庁は、本件山林との交換により取得した本件換地につき当該交換を原因とする所有権移転登記が昭和47年6月になされていることから、その取得時期は昭和47年6月であると認定しているが、本件交換契約の実体をみると、当該交換はK電鉄の一団の土地の造成事業遂行上必要最小限の範囲でやむなくなされたものであって、請求人が交換取得した本件換地は実質上請求人がかねて所有していた本件山林の一部と同一であると解して差し支えないものであるから、本件交換契約による譲渡はなかったものとして扱い、請求人が本件宅地を取得した時期は従前の土地である本件山林を取得した昭和39年5月であるとするのが相当であり、租税特別措置法(昭和57年法律第8号による改正前のもの)第28条の4第1項の規定の適用はないと解するのが相当である。
土地の譲渡者が都市計画法に基づく開発行為の許可を受け、造成者が当該許可を受けていない場合には、優良住宅地の造成等のために土地等を譲渡した場合の長期譲渡所得の課税の特例は適用されないとした事例
裁決事例集 第27集 249頁
要旨
租税特別措置法(昭和57年法律第8号による改正前のもの)第31条の2の規定は土地の譲渡を受けた者が都市計画法に基づく開発行為の許可を受けた場合に限り適用されるものであるところ、請求人は、本件譲渡が特例の施行直後であったため、土地の譲渡をした者が開発行為の許可を受けた場合でも適用があると誤解したものであって、その他の点ではすべての要件を満たしているので特例を適用すべきであると主張するが、租税特別措置法に規定する税負担の軽減の適用要件は厳格に解すべきであり、本件譲渡はその適用要件を欠いたものであるから、請求人の主張は認められない。
要旨
本件契約は形式的には土地の譲渡契約(以下「原契約」という。)の解除契約であるが、その取引は実質的には当該土地を返還したのではなく譲渡したものであるから、当該土地の譲渡損失の額を他の土地の譲渡益と通算し、課税土地譲渡利益金額を算定すべきである旨の主張について、本件契約は、原契約に基づき当事者双方の合意による解除契約であること、その解除契約に基づき譲受人である請求人は原契約に定める違約金を支払って当該土地の所有権を譲渡人に復帰させたものであることが認められるから、実質的にも土地の譲渡には該当しないので、本件契約に係る損失の額が、租税特別措置法(昭和55年法律第9号による改正前のもの)第63条第1項に規定する土地譲渡に係る譲渡損益の金額に該当しないとした原処分は適法である。
要旨
課税土地譲渡利益金額の計算上、土地の譲渡等に係る収益の額から控除する譲渡原価は、租税特別措置法施行令(昭和57年政令第72号による改正前のもの)第38条の4第5項第1号イの規定により「当該譲渡に係る土地等の譲渡直前の帳簿価額(当該帳簿価額のうちに各事業年度において支出した利子の額が算入されている場合には、その額を控除した金額)」と定められており、譲渡した土地が棚卸資産である場合には、法人税法施行令第32条“たな卸資産の取得価額”の規定により取得価額とすべき金額を基礎として適法に算定された税務計算上の帳簿価額をいうものと解され、この帳簿価額に販売費が含まれないことは明らかであるところ、本件仲介料はいずれも土地の譲渡に際し、販売委託による仲介料として支出した費用であることは請求人も自認しているところであるから、本件仲介料を譲渡した土地の収益に対応する譲渡原価に含まれないした原処分は相当である。
家屋について、所有権移転登記を受けた後において、租税特別措置法第74条の2に規定する登録免許税の税率の軽減を受けるために必要な証明書を提出しても、既に納付した登録免許税の還付を受けることはできないとした事例
裁決事例集 第27集 266頁
要旨
租税特別措置法(昭和59年法律第6号による改正前のもの)第74条の2第1項及び第2項に規定する税率の軽減は、同法施行規則(昭和59年大蔵省令第11号による改正前のもの)第26条の2第1項に定めるところによりその登記申請書に、当該登記を受けようとする家屋について同法施行令第42条の2の規定による市町村等の証明書を添付して登記を受けた場合に限り適用するものとされており、かつ、同法第74条の2には、この証明書の添付がなかった場合でも軽減税率の適用を受けることができる旨のいわゆるゆうじょ規定の定めがないことから、所有権移転登記を受けた後に上記証明書を提出して、既に納付した登録免許税の還付を受けることはできない。
要旨
居住用家屋の所有者と土地の所有者とが異なるものを同時に譲渡した場合に、居住用家屋の譲渡に係る特別控除額の控除不足額を土地の譲渡所得の金額から控除できるのは、家屋の所有者と土地の所有者が、夫と妻、親と子又は祖父母と孫の関係にあり、かつ、その家屋に同居して生計を一にしている場合に限られるのであるが、家屋の所有者は請求人の叔母であり、土地の所有者は請求人で、当該家屋に同居して生計を一にしているとは認められないから、家屋に係る特別控除額の控除不足額を土地の譲渡に係る所得金額から控除することはできない。
要旨
原処分庁は、請求人が甲土地を取得し家屋の建築確認を受けた後に取得した地続きの土地について、居住用家屋の敷地とはいえないから租税特別措置法(昭和62年法律第96号による改正前のもの)第36条の2に規定する買換資産には該当しないと主張するが、請求人が甲土地と乙土地とを時期を異にして同一人から取得し、甲土地のみを家屋の敷地として建築確認申請を受けたのは、譲渡者の都合によってやむを得ず契約を2回に分けたにすぎないものであり、[1]甲土地と乙土地は、一体となって家屋の敷地として機能していること、[2]市の固定資産税の課税に当たっては、甲土地と乙土地のいずれもが住宅の敷地として減額の対象となっていたことなどから、甲土地と乙土地とはいずれもが居住用家屋の敷地と認められ、同条に規定する買換資産に該当する。
要旨
譲渡資産には、居住用部分と非居住用部分とがあるので、租税特別措置法(昭和49年法律第17号による改正前のもの)第35条第1項に規定する特別控除適用金額を適正に算定するには、当該譲渡資産の相続税評価額の比によるのが最も合理的である。
支払仲介手数料の額は原価の額に含め、販売費及び一般管理費の額は法定割合で計算して課税土地譲渡利益金額を算出している場合には、実額配賦法を採用したとは認められないとした事例
裁決事例集 第43集 495頁
要旨
請求人は、法人税の確定申告書別表の記載方法の知識不足のこともあって、譲渡経費主要額たる支払仲介手数料の額を原価の額に含めて課税土地譲渡利益金額を計算したが、このことは、販売費及び一般管理費(以下「販管費」という。)の額を実額配賦法により経費に算入する意思を明らかにしているとみるべきである旨主張する。しかしながら、確定申告書の添付資料である実額配賦計算書には、支払仲介手数料の額以外の販管費の額についても何ら記載がなく、また、短期所有土地等の譲渡等に係る譲渡利益金額に対する税額の計算に関する明細書には概算法の計算をして「法定の販売費及び一般管理費」欄に記載があるのみで、「実績による販売費及び一般管理費」欄には何ら記載がないことからも、請求人が実額配賦法を選択したものと認められないから、概算法に基づいて販管費の額を計算し課税土地譲渡利益金額を算定するのが相当である。
要旨
租税特別措置法第47条第1項によれば新築貸家住宅の割増償却は、新築した家屋を貸家の用に供した日以後5年以内で、その用に供している期間に限りすることができるとされているから、貸家の用に供した日から5年(60か月)以内の期間についてのみ割増償却の計算を行うのが相当であり、1か月未満の端数を切り上げることにより、償却期間を5年1か月とする請求人の主張は失当である。
昭和62年に譲渡したマンションの取得時期は、建物利用権を取得した昭和45年ではなく、その所有権を取得した昭和58年であるから、その譲渡所得の金額の計算に当たって居住用財産の買換えの場合の長期譲渡所得の課税の特例の適用はないとした事例
裁決事例集 第40集 265頁
要旨
請求人は、昭和62年2月に譲渡したマンションは昭和45年に1,430万円の金員を支払って取得し、以後居住の用に供していたのであるから、居住用財産の買換えの場合の長期譲渡所得の課税の特例等の適用があると主張するが、請求人とマンションの所有者であった会社との間には昭和45年に「建物利用権設定契約」が締結され、その内容は、[1]請求人は、利用区を自己の持家と同様に居住のために占有使用し、相続その他の包括承継の対象とすることができ、転貸することができること、[2]契約期間は、昭和45年5月1日から昭和60年4月30日までであり、一定の条件のもとに解約でき、契約が終了した場合には保証金(1,430万円)を返還し、請求人は抵当権の設定登記又は代物弁済予約に基づく所有権移転請求権保全の仮登記を付することができること、[3]保証金は無利息であること等が定められており、請求人は、本件マンションについて昭和45年当時、建物利用権と所有権のうちどちらか一方を選択取得できたにもかかわらず、自己の意思で建物利用権を取得したものであって、この建物利用権は、借家権と同一の性格を有しているものと解するほかないから、請求人は昭和45年に建物利用権を取得して以後債権を有していたものであり、昭和58年に至って本件マンションの所有権を取得したものと認められる。そうすると、本件譲渡所得については、譲渡の年1月1日現在において所有期間が10年を超えていないから、居住用財産の買換えの場合の長期譲渡所得の課税の特例等の適用はない。
更正決定の処分に当たって、繰延資産の金額に算入された交際費等の金額のうち損金不算入額に対応する部分の金額を繰延資産の金額から減額しなかったとしても違法ではないとした事例
裁決事例集 第22集 248頁
要旨
交際費等の損金不算入額の計算に当たり、原処分庁が支出交際費等の額に含めた本件交際費等の額のうちには、原価算入額が含まれているから、当該金額のうち損金不算入額から成る部分の金額は、税務調整により減額し、所得の金額の計算上損金の額に算入すべきである旨主張するが、原価に算入された交際費等の額のうち損金不算入額に対応する部分を特定することは非常に手数を要することであるので、法人自らの決算又は申告調整において原価に算入しない旨の処理をした場合には、法人の計算をそのまま認めることとしているところであり、原処分庁が更正又は決定の処分を行うに当たって、必ず損金不算入額に対応する部分の金額を原価外のものとして資産の取得価額又は繰延資産の金額を減額しなければならないという性質のものではなく、原処分庁が減額しなかったからといって違法ないし不当というには当たらず、これを違法とする請求人の主張は独自の見解であって採用できない。
本件取引期間における商品先物取引の差金等決済により生じた損失の金額について、租税特別措置法第41条の15の適用による当該損失の繰越控除及び繰戻控除が認められないとした事例
裁決事例集 第70集 134頁
要旨
請求人は、本件取引期間全体では、総額で多額の損失を被っているのであるから、本件先物取引において、一時的に利益が生じたからといって課税するのは違法である旨主張するが、所得税の納税義務は、暦年の終了の時に成立し(国税通則法第15条第2項第1号)、その年分の各種所得の金額の計算上収入金額とすべき金額又は総収入金額に算入すべき金額は、その年において収入すべき金額とされているところ(所得税法第36条第1項)、請求人は、本件取引期間全体では損失を被っているものの、平成13年中の本件先物取引では利益が生じているのであるから、同年中の本件先物取引による損益は、平成13年分の所得となる。
また、請求人は、本件更正処分に際しても、商品先物取引に係る損失の繰越控除を認めることとした租税特別措置法第41条の15の適用を認めるべきである旨主張するが、平成15年に改正された租税特別措置法第41条の15第1項及び第2項の内容は、平成15年1月1日以後に商品先物取引の差金等決済をしたことにより生じた損失の金額について適用されるものであり、請求人が行った商品先物取引は、平成14年12月以前に行われたものであるところ、平成14年12月31日以前の商品先物取引の差金等決済をしたことにより生じた損失の金額についてもそ及して適用することを定めた規定が存在しない以上、本件取引期間において請求人が行った商品先物取引について、租税特別措置法第41条の15の規定の適用はない。
要旨
租税特別措置法第45条の2が適用されるためには、本件事業年度中に当該機械及び装置を取得し、事業の用に供することが要件とされているところ、本件装置については、[1]請求人の立会いの下に検査及び性能試験を行い、これを確認することをもって引き渡されるものとする旨の取決めがあること、[2]記録上、昭和60年6月27日に行われた本件装置の性能試験の結果に基づき、請求人は昭和60年7月12日に保証性能を確認し、引渡しを受けていることが認められるので、本件装置の取得の日は、翌事業年度中の昭和60年7月12日となり、したがって、本件事業年度において租税特別措置法第45条の2の特別償却を適用することはできない。
株式、転換社債及び新株引受権を売買したことによる損失は、租税特別措置法第37条の10に規定する株式等に係る譲渡所得等に該当するので損益通算はできず、信用取引は同条の適用対象外である先物取引に該当しないとした事例
裁決事例集 第47集 230頁
要旨
請求人は、株式等の売買による所得は、営業による所得であるとして、他の所得との損益通算を認めるべきであると主張するが、租税特別措置法第37条の10の規定により、株式等の取引による所得に係る損失は、その他の所得と損益通算することはできない。
また、請求人は、信用取引については、有価証券先物取引に含まれるから、同条の適用対象外であると主張するが、有価証券先物取引と信用取引は、内容が異なるものであり、信用取引は有価証券先物取引には該当せず、信用取引に係る損失についても、租税特別措置法第37条の10の規定により他の所得と損益通算することはできない。
要旨
法人の解散に伴い残余財産の分配として請求人が取得した土地は、出資の金額が残余財産の分配によって単に他の資産に化体したものと解するのが相当であり、また、租税特別措置法(昭和43年法律第23号による改正後のもの)第38条の6“事業用資産の買換えの場合の譲渡所得の金額の計算”の規定によれば、買換資産は個人が事業用の特定資産を譲渡し、その譲渡対価により取得したものに限ると解されるところから、請求人の取得した上記の土地は事業用買換資産に当たらないとした原処分は相当である。
要旨
請求人は、買換資産の取得期間延長承認申請書の提出について、原処分庁の指導や所定の用紙の送付がなかったため、法定の提出期限内に事業の遅延状況を記載した法人の事業概況説明書を提出した後、所定の取得期間延長承認申請書を提出したので、課税の特例の適用を認めるべきであると主張するが、買換資産の取得期間の延長承認申請は、請求人の判断と責任において、法定事項を記載した申請書を法定提出期限までに提出すべきであり、事業の遅延状況を記載した法人の事業概況説明書は、取得期間延長承認申請書とは認められないから、特定の資産の譲渡に伴い特別勘定を設けた場合の課税の特例の適用は認められない。
海外駐在期間は、「居住の用に供されなくなった日から同日以後3年を経過する日の属する年の12月31日まで」の期間計算から除外することができないことから、租税特別措置法第41条の5の適用はないとした事例
裁決事例集 第79集
要旨
請求人は、租税特別措置法第41条の5に規定する本件特例の適用に当たって、本件特例の立法趣旨が生活環境の向上のための買換えの促進という点にあることを考慮し、杓子定規に文言解釈するのではなく、海外駐在していたという納税者固有の事情を勘案して、海外駐在期間は、「居住の用に供されなくなった日から同日以後3年を経過する日の属する年の12月31日まで」の期間計算より除外し、海外から帰国した時を居住の用に供さなくなった日であるとして本件特例を適用すべきである旨主張する。
しかしながら、本件特例の適用対象を、居住の用に供されなくなった日から同日以後3年を経過する日の属する年の12月31日までの間に譲渡された家屋に限った趣旨は、本件特例の適用対象となる居住用財産の範囲を明確に認識できるようにしたものと解され、この3年の期間計算について、各納税者の個別事情を認識することは予定しておらず、期間計算については形式的に行うことが法の趣旨に合致するというべきであるところ、請求人が譲渡した不動産は、居住の用に供されなくなってから約6年後に譲渡したものと認められるから、本件特例の対象となる居住用財産には該当しないことは明らかであり、本件特例を適用することはできない。
参照条文等
特例物納申請土地である本件貸地は、賃料が近傍類似の民間賃貸実例による平均的賃料と比較して低廉であることから、国において借地契約の円滑な継続が困難な土地に該当し、管理又は処分をするのに不適当な財産と認められるとして、本件特例物納申請土地につき、変更要求通知処分をしたことは相当であるとした事例
裁決事例集 第53集 465頁
要旨
- 本件特例物納申請土地の変更要求通知処分は、本件土地が「借地権者に対する賃貸料の低廉な財産に該当し、国において借地契約の円滑な継続が困難」として、変更を求める理由を具体的に明らかにしており、原処分庁は、その認定した事実に基づき管理又は処分をするのに不適当な財産であると認めて変更要求をしたのであるから、これを違法、不当ということはできない。
- 原処分庁が採用した算定基準は、物納財産の管理官庁である財務局が物納財産を引き受けた後、引き続き権利者に貸付けを行う場合の貸付料の算定基準であるから、原処分庁がこれを採用したことをもって行政指導の範囲の逸脱と認めることはできず、いわんや、その算定の過程においても本件土地の形状等の個別事情を考慮していることが認められるから、何ら違法、不当とはいえない。
さらに、基準貸付料980,000円は、原処分庁が調査した近傍類似の民間賃貸実例に基づく年間賃貸料1平方メートル当たり3,424円に本件土地の面積289.07平方メートルを乗じて求めた金額989,775円と比較してみると、その差はきん差であることから、結果として算定された金額にも妥当性が認められるので、請求人の主張は採用できない。 - 本件土地の賃料相当損害金(年額600,000円)と上記近傍類似の賃貸料989,775円とを比較したところ40パーセントの開差が生じることから、本件賃料相当損害金は低廉であると言わざるを得ない。また、その増額の可能性についてみた場合においても、裁判所における調停で既に7割の増額が行われているなどの事情を勘案すると、適正額への値上げが容易に実現するとは考えられず、特例物納土地として管理又は処分をするのに不適当な財産と認めるのが相当である。
要旨
請求人は、法人税法第69条の規定は所得に対する国際間の二重課税を排除するためのものであり、その立法趣旨から、所得を課税標準として課された我が国の事業税を外国法人税に該当しないとすれば、二重課税となる旨主張するが、本件事業税は、事業そのものの収益収得力に着目して課せられる税であり、所得に課せられる所得税及び法人税とはその性格を異にするものであって、所得計算上必要経費又は損金として認められることとなっており、所得計算上必要経費又は損金とは認められない我が国の所得税、法人税又は地方税とは異なり二重課税のおそれがないから、我が国の事業税は立法趣旨等からみても外国法人税に該当しない。
なお、我が国の事業税は、その性格上、売上金額、資本金額、固定資産の価額及び従業員数等のいわゆる外形標準を課税標準とすることが適当と認められるところ、実務において、特定の業種以外の業種について所得を課税標準としているのは、所得税、法人税と共通する数値を採用することによる行政の簡素化、課税技術上の問題等の見地から売上金額や資本金額等に代えて採用しているものと認められるから、所得税、法人税が所得を課税標準としているのとは意味合いが異なる。
要旨
請求人の香港にある特定外国子会社(租税特別措置法(昭和60年法律第7号による改正前のもの)第66条の6第1項に規定する特定外国子会社をいう。)は、業務執行に関する重要な意思決定機関である取締役会は、すべて請求人の本店所在地である○○(国内)で行われていること、自ら取引の当事者となり貿易業を営んでいるにもかかわらず、取引の基本的事項は請求人により決定され、請求人から指示された業務を行っているにすぎないこと等からすると、貿易取引の支配、管理及び運営を香港において自ら行っているものとは到底認められないから、同項に規定する課税対象留保金額に相当する金額を請求人の各事業年度の所得の金額の計算上益金の額に算入した原処分は相当である。
要旨
請求人は、特定外国子会社等の未処分所得の金額は、本店所在地国の会計制度に基づき行われた決算により作成された損益計算書ではなく、請求人が作成した特定外国子会社等の損益計算書に基づき計算するべきである旨主張する。
しかしながら、租税特別措置法(平成18年法律第10号による改正前のもの)第40条の4《居住者に係る特定外国子会社等の留保金額の総収入金額算入》第2項第2号に規定する特定外国子会社等の未処分所得の金額の計算の基となる特定外国子会社等の各事業年度の決算とは、特定外国子会社等が利害関係者に対して財政状態及び経営成績を明らかにするために行った決算を意味すると解するのが相当であるから、請求人の主張を採用することはできない。
参照条文等
租税特別措置法(平成18年法律第10号による改正前のもの)第40条の4 租税特別措置法関係通達66の6-10
要旨
租税特別措置法(昭和54年法律第15号による改正前のもの)第31条の2に規定する特定市街化区域農地等を譲渡した場合の長期譲渡所得の課税の特例は、確定申告書に市長の特定市街化区域農地である旨を証する書類の添付がある場合に限り適用されるものであるところ、市長が本件土地は現況宅地であると認定し、当該土地が市街化区域農地である旨を証する書類の交付を拒否している以上、当該土地の譲渡所得については、同条の規定の適用は認められない。
現況が山林であり、宅建業法で定める報酬基準では採算が取れないという特殊状況にある仲介手数料については、土地譲渡益重課税の対象とすべきではないとの請求人の主張に対して、当該基準を適用した原処分は相当であるとした事例
裁決事例集 第44集 348頁
要旨
土地譲渡益重課税制度は、土地又は土地の上に存する権利(以下「土地等」という。)の譲渡等により短期間に得た利益に対して重ねて課税することにより土地等の価額の高騰を抑制するために設けられた制度であって、租税特別措置法(以下「措置法」という。)施行令第38条の4第2項は、土地等の売買又は交換に係る仲介手数料を受ける行為についても、その額が宅建業法の報酬の上限の額を超えた場合には土地等の譲渡に準ずるものとして土地譲渡益重課税制度の適用がある旨規定している。また、土地譲渡益重課税制度においては、宅建業法第46条第1項に規定する報酬の上限の額を基準とするのみであって、同法がもっぱら対象とする宅地及び建物に係る仲介行為のみを対象とするものではなく、山林原野等宅地以外の土地等の仲介も含まれるものと解される。
これを本件についてみると、本件各土地の取引が特殊な状況にあるとしても、請求人が受領した本件各仲介手数料の額は、宅建業法の報酬の上限の額を超えており、土地譲渡益重課税制度の適用を免れるべき理由はないから、この点に関する請求人の主張は採用できない。
画像診断ワークステーションは租税特別措置法第10条の3に規定する特定機械装置等には該当しないとした事例(平成21年分の所得税の更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分・棄却)
裁決事例集 第93集
ポイント
本事例は、租税特別措置法第10条の3の規定の内容やその制定経緯等からすれば、同条が、器具及び備品について「事務処理の能率化等に資するもの」として財務省令で定めるものとしたのは、中小企業における不特定の事務の用に供し、その事務処理の能率化等に資する電子計算機等について特別償却ないし税額控除の対象とする趣旨であったものと解され、病院、診療所等において直接診療又は治療の用に供する医療用電子機器は、事務処理の能率化等に資するものではないから、画像診断ワークステーションは、同条に規定する特定機械装置等には該当しないと判断したものである。
要旨
請求人は、本件画像診断ワークステーションは、耐用年数省令別表第一の「器具及び備品」の「医療機器」に含まれるとしても、耐用年数省令は減価償却資産の耐用年数及び償却方法を定めるものであり、資産の属性を定めるものではないから、租税特別措置法施行規則第5条の8《中小企業者が機械等を取得した場合の特別償却又は所得税額の特別控除》に規定する要件からすれば、同条に規定する「電子計算機」に該当し、また、租税特別措置法第10条の3《中小企業者が機械等を取得した場合の特別償却又は所得税額の特別控除》と同法第12条の2《医療用機器等の特別償却》の両方の規定を満たす資産はありえると解釈することができるところ、同法第10条の3に同法第12条の2の適用資産を除く旨の規定はなく、同法第12条の2に、両方において適用可能な資産がある場合には、同法第12条の2を優先する旨の規定もないことからすれば、本件画像診断ワークステーションについて、同法第10条の3に規定する所得税額の特別控除が適用できる旨主張する。
しかしながら、租税特別措置法第10条の3の規定の内容やその制定経緯等からすれば、同条が、工具、器具及び備品について「事務処理の能率化等に資するもの」として財務省令で定めるものとしたのは、中小企業における不特定の事務の用に供し、その事務処理の能率化等に資する電子計算機等について、特別償却ないし税額控除の対象とする趣旨であったものと解され、病院、診療所等において直接診療又は治療の用に供する医療用電子機器は、事務処理の能率化等に資するものではないから、同条に規定する特定機械装置等には該当しない。したがって、本件画像診断ワークステーションについて、租税特別措置法第10条の3に規定する所得税額の特別控除を適用することはできない。
参照条文等
租税特別措置法第10条の3(平成22年法律第6号による改正前のもの)、第12条の2 租税特別措置法施行規則第5条の8(平成24年財務省令第30号による改正前のもの)
相続税の申告期限の翌日から2年を通過した日以後に譲渡された相続により取得した土地の譲渡所得について、租税特別措置法第39条の規定の適用は認められないとした事例
裁決事例集 第19集 139頁
要旨
相続により取得した土地を相続税の申告期限の翌日から2年を経過した日以後に譲渡した場合において、その譲渡日がその2年を経過した日以後になったことが、仮に当該譲渡の譲受者の資金事情によるものであるとしても、租税特別措置法(昭和51年法律第5号による改正前のもの)第39条の規定の適用について、かかる特別の事情を参酌して同条の規定の適用を認めるべき旨を定めた法令上の規定は存しないので、当該土地の譲渡所得について同条の規定の適用は認められない。
要旨
請求人は、相続開始前3年以内に取得した貸家についても相続税財産評価基本通達の93を適用すべきであると主張するが、租税特別措置法第69条の4の規定により採用できない。ただし、返還不要の礼金の額が一戸当たり130,000円(原処分庁の主張は一戸当たり100,000円)であり原処分庁の認定した価額は過大であるとの予備的主張については、理由があるから認容する。
租税特別措置法第26条“社会保険診療報酬の所得計算の特例”を適用しないで申告をした場合には、同条を適用した場合の所得の減少を理由とする更正の請求は認められないとした事例
裁決事例集 第34集 113頁
要旨
租税特別措置法第26条“社会保険診療報酬の所得の計算の特例”第3項には、確定申告書に同条第1項の規定により計算した旨の記載がない場合には、同条の規定は適用されないと明記されているところ、本件申告書には、その旨の記載がない以上、更正の請求によって同条の適用を求めることはできない。
要旨
請求人は、その有する本件家屋及び転借権を借地人に譲渡し、借地人から交換取得資産を取得したもので、直接建築業者との交換ではないから、租税特別措置法(昭和57年法律第8号による改正前のもの)第37条の5の適用がないと原処分庁は主張するが、請求人の譲渡資産(本件家屋の敷地に係る土地の上に存する権利)と交換取得資産との交換は、借地人を経由した交換ではなく、交換取得資産を建築した業者との間で直接交換したものと認められるから、同条の適用がないとした原処分は相当でない。
要旨
請求人は、租税特別措置法(昭和55年法律第9号による改正前のもの)第37条第1項の規定の適用を受けるため、買換資産の取得予定年月日等を記載した買換承認申請書を提出したのに、同条第4項に規定する承認に係る通知書を受け取った事実はないから、同条第1項の規定の適用はないこととなり、買換資産を取得予定年月日までに取得しなかったことによりなされた本件更正は、法定申告期限(確定申告書の提出期限)から3年経過後になされたものであって、違法であると主張するが、当該通知書が請求人に送達されなかったとする特段の事情の認められない当該通知書の送達にあっては、税務署長が郵便によって発送した日から起算して通常到達すべきであった時に送達があったと推定するのが相当であり、これにより請求人は同法第37条第4項に規定する承認を受けていると認められるから、当該承認に係る買換資産の取得予定年月日までに買換資産を取得しなかった場合の法定申告期限(同法第37条の2第2項に規定する修正申告書の提出期限)から3年以内になされた本件更正について、更正期限を徒過した違法はない。
要旨
租税特別措置法(昭和50年法律第16号による改正前のもの)第35条による特別控除の対象となる家屋は、譲渡時において実際に居住の用に供しているものに限るべきところ、譲渡時において当該家屋を空家にした場合においても、執行上は、他の用途に供することなく空家とした日から1年以内に譲渡したものに限り、従前の居住用の用途が継続しているものとして、同条の適用を認めることとしている。執行上、空家の期間を1年と定めているのは、同じく同条に規定されている災害により滅失した居住用家屋の敷地の譲渡における1年の期間制限と比較考量しているためと認められる。すなわち、災害という最悪の事態の場合においても、災害のあった日から1年以内に譲渡されたものに限り、同条の特別控除を認めているのであるから、災害以外の事由による場合に1年を超える期間延長をすることは不相当と認めたためと解され、空家とした期間が1年を超えている本件の場合においては、たとえ空家となった後貸家等の用に供しなかったとしても同条の特別控除の適用は認められない。
競落代金納付前の競落土地の権利(いわゆる競落権)の譲渡は租税特別措置法(昭和55年法律第9号による改正前のもの)第63条の土地譲渡に該当するとした事例
裁決事例集 第12集 67頁
要旨
競売によって土地を競落した後、競落代金を裁判所に支払う前に、いわゆる競落権を第三者に譲渡した場合においても、譲渡契約の目的物は競落土地の所有権であることが当事者間において認識され、売買代金は、当該土地の時価によっていることなどの事実からみれば、当該権利は独立した取引の対象としての財産的価値を有し、その譲渡は実質上土地の売買と変わりないものと認められるから、土地譲渡益重課の対象となる。
船舶の定期検査費用を傭船者が負担する場合には、所有者である法人において当該船舶に係る特別修繕準備金の積立額を損金の額に算入することはできないとした事例
裁決事例集 第67集 476頁
要旨
租税特別措置法第57条の8の規定によれば、特別の修繕の費用の支出に備える必要があることが同規定の適用法人となる要件とされるところ、これは、法律又は契約に基づき特別の修繕の費用を負担すべき法人が適用法人となることを意味していると解するのが相当である。
したがって、特定船舶に係る定期検査費用については、通常は、船舶安全法第5条の規定により定期検査義務が課される特定船舶の所有者が定期検査費用を負担すべき者となると認められるが、契約により定期検査費用を負担すべき者が別途定められている場合には、これに従うべきものと解される。
なお、定期検査費用の支払義務を負う法人であっても、賃貸借契約等により定期検査費用に相当する金額を、定期検査費用が発生する時点で、特定船舶の賃借人等から受領できることが明らかにされている場合には、当該受領する法人は、当該定期検査費用を負担するとは認められず、また、特別の修繕の費用の支出に備える必要があるとも認められないことから、適用法人とはならないと解するのが相当である。
本件定期傭船契約等の定めによれば、請求人は、各船舶に係る定期検査費用の見積額を、定期検査費用の発生前又は発生する年において、臨時的にその傭船者等から受領することができ、最終的に当該見積額と定期検査費用の実額との差額を精算することで、自らが支払うべき定期検査費用の全額について、その負担を各傭船者等へ転嫁できることになると認められるから、請求人は各船舶に係る定期検査費用を負担すべき法人とは認められず、本件特別修繕準備金積立額を損金の額に算入することはできない。
要旨
原処分庁は、請求人が本件ビール券を贈答したとする相手方の氏名等が、相当の理由がなく、請求人の帳簿書類に記載されていないので、本件ビール券の引渡しは、使途秘匿金の支出に該当する旨主張する。
しかしながら、[1]本件ビール券は、購入先を通じて通常の中元又は歳暮時期に配送されたと認められること、[2]本件ビール券の配送先は、請求人が当審判所に提出した購入先保管の最も古い配送申込票の写し及び請求人保管の最新の配送申込票の控に記載されたビール券の送付先がいずれも請求人の取引先の関係者であることから、請求人の取引先の関係者であったと推認されること及び[3]本件ビール券は、配送先1件当たりの配送枚数からみて、中元又は歳暮用品として金額的に相当であると認められることに照らしてみれば、本件ビール券の配送先については、これを帳簿書類に記載しないのが通例であると認められる。
したがって、請求人が本件ビール券の引渡しの相手方の氏名等を帳簿書類に記載していないことに相当の理由があるから、その引渡しは使途秘匿金の支出には当たらないというべきである。
請求人が本件農地に係る特定転用の申請書を提出したのは、特定共同住宅の建築着工後と認められるので、当該転用申請書は不適法なものであるとして請求人の主張を排斥した事例
裁決事例集 第51集 664頁
要旨
請求人は、本件農地に係る特定転用の申請書の提出が平成6年2月22日となったのは、再三の相談に対応した原処分庁の職員が提出期限について指導をしなかったためであり、また、提出期限の遅延を除き、平成5年6月18日に完成した共同住宅は、平成3年法律第16号改正租税特別措置法第70条の6(農地等についての相続税の納税猶予等)改正附則第19条第6項に規定する他の要件を満たしているので、当該申請は認められるべきである旨主張する。
ところで、同法附則第19条第6項は、特例適用農地のうち、平成3年1月1日において特定市街化区域農地等に該当するもの(昭和60年1月1日前に開始した相続に係るもの)については、特定市街化区域農地等の全部又は一部を特定転用の見込みであることにつき、所轄税務署長の同法施行令附則第10条第4項に規定する申請書を提出して承認を受けたときは、特例適用農地については、相続税の納税猶予が継続適用されると規定されていることから、納税猶予が継続適用を受けるためには、特例適用農地の転用前に当該申請書を提出して税務署長の承認を受けなければならないと解される。
しかしながら、G社の担当者であるHは、審判所に[1]原処分庁を訪れたのは本件特例農地に係る担保変更の相談であり、[2]同法附則第19条第6項に規定する特定転用について何も話さなかった旨答述している。
以上のことから、本件特例適用農地上に建築された共同住宅は、同法附則第19条第6項に規定する要件を満たしているが、請求人が原処分庁に特定転用に係る承認申請書を提出したのは、当該共同住宅の建築に着手(平成4年11月30日)した後と認められるので、当該承認申請書は同項に規定する要件を満たさない不適法な申請書といわざるを得ないから、同項の適用ができないとした本件却下処分は適法である。
請求人が証券会社から受領した金員の所得税法上の所得区分は雑所得に該当し、また、請求人が支出した寄附金について税額控除規定と所得控除規定との部分的な選択適用は認められないとした事例
裁決事例集 第113集
ポイント
本事例は、請求人が証券会社から受領した金員は役務の対価としての性質を有するから、その所得税法上の所得区分は一時所得ではなく雑所得に該当し、また、請求人が支出した公益社団法人等に対する寄附金については、その一部を税額控除の対象とし、その一部を所得控除の対象とすることはできないとしたものである。
要旨
請求人は、証券会社から受領した金員(証券会社が国債の購入者に現金を提供するというキャンペーン(本件キャンペーン)の景品として提供したもの。本件収入)について、労務その他の役務又は資産の譲渡の対価としての性質を有しないものとして、一時所得に該当する旨主張する。
しかしながら、本件収入は、偶発的に発生したものではなく、請求人が一定期間内に個人向け国債を証券会社から購入し、その後、当該証券会社の口座を一定期間維持するなど、本件キャンペーンが適用される所定の要件が満たされた結果、請求人に交付されたものであるから、役務の対価としての性質を有するものと認められ、所得税法第34条《一時所得》第1項に規定する「労務その他の役務又は資産の譲渡の対価としての性質を有しないもの」には該当せず、利子所得、配当所得、不動産所得、事業所得、給与所得、退職所得、山林所得及び譲渡所得のいずれにも該当しないものとして、雑所得に該当する。
また、請求人は、租税特別措置法第41条の18の3《公益社団法人等に寄附をした場合の所得税額の特別控除》第1項の規定(本件税額控除規定)は、所得税法第78条《寄附金控除》第1項の規定(本件寄附金控除規定)の適用を受けるものを除いたものをその対象としていることから、請求人が支出した寄附金のうち、本件寄附金控除規定の適用を受ける寄附金は本件税額控除規定に規定する税額控除対象寄附金には当たらない旨主張する。
しかしながら、個人がある年中に支出した本件税額控除規定第1号及び第2号の規定に該当する特定寄附金のうちから任意のものについて本件寄附金控除規定を適用し、その他の寄附金に本件税額控除規定を適用することはできないというべきであるところ、請求人は、その支出した一方の寄附金について本件税額控除規定を適用したものの他方については本件寄附金控除規定を適用し、租税特別措置法第41条の18の3第2項に規定する申告手続が行われていない。したがって、本件税額控除規定の適用を受けることはできない。
参照条文等
請求人らから同時にされた各共有地の持分移転登記申請については、その各土地は共同で競落したことに基因しているもので、1筆の共有地からの同一事件に係る分筆登記によって生じたものではないから、租税特別措置法第84条の4第2項の適用はないとした事例
裁決事例集 第61集 721頁
要旨
租税特別措置法第84条の4第2項の特例は、[1]共有物分割による持分移転登記の申請に係る土地全てが、もともと共有の1筆の土地であって、同一の分筆登記によって生じたものであること、[2]共有物分割による持分移転登記が、[1]の分筆で生じた他の土地の共有物分割による持分移転登記と同時に申請されていること、の二つの要件を備えている場合に限って適用されるものであるから、仮に、数筆の土地について共有物分割による持分移転登記が同時に申請された場合であっても、その申請に係る土地が、もともと共有であった1筆の土地から同一事件に係る分筆登記によって生じたものでない場合には適用がないところ、本件申請に係る本件各土地は、請求人らが共同で競落したことに基因して共有することとなったものであって、分筆登記前の土地について共有関係があったものでないから、本件登記申請には本件特例の適用がない。
要旨
租税特別措置法(昭和53年法律第11号による改正前のもの)第35条第1項の規定の適用について、個人が所有する唯一の居住用家屋を譲渡した場合には、複数所有する家屋のうちの一つを譲渡した場合と異なり、「主として」であると「従として」であろうと、その者が、その家屋に居住している事実が少しでも認められる限り、居住用の認定を緩やかに解釈して特例の適用を認めるべきであると主張するが、「その居住の用に供している家屋」とは、その者が生活の拠点として利用している家屋をいい、これに該当するかどうかは、その家屋への入居の目的、その者及び配偶者等の日常生活の状況その他の事情等を総合勘案して判断すべきであって、本件譲渡家屋は、請求人が管理を兼ねて請求人の仕事を処理するため旅館やホテルの利用に代えて一時的に利用したものであり、生活の拠点として居住の用に供していたものとは認められないから、当該家屋の譲渡所得については、同条同項の規定を適用することはできない。
要旨
請求人は、本件不動産は請求人夫婦の共有であり、本件不動産の譲渡に係る譲渡所得は請求人と妻に帰属するので、租税特別措置法第35条に規定する特別控除の特例は、請求人と妻のいずれにも適用できる旨主張するが、[1]本件不動産の購入時における売買契約書等の名義、[2]本件不動産の登記簿上の所有名義、[3]本件不動産の譲渡時における売買契約書等の名義、[4]本件譲渡代金で購入したマンションの名義、及びその残余の金員を預け入れた貸付信託、定期預金等の口座はいずれも請求人の単独名義であることから、本件不動産は、請求人が単独で所有していたものと認めざるを得ない。
したがって、本件不動産の譲渡に係る譲渡所得は、すべて請求人に帰属することになる。
要旨
事業に使用する目的をもって長期間保有されていた土地であっても、その土地を別荘地として分譲する目的で造成し、区画割が行われ、不特定多数の顧客を求めて売却された事実が認められる場合には、かかる目的の下に造成に着手した段階で、その土地は従来からの使用目的から離れて販売を目的とする土地に転換され、その売却時には棚卸資産の範ちゅうに入るものであると判断される。
負債利子損金不算入期間の適用上、長期間にわたって使用される建物又は構築物と一体的に事業の用に供される施設は、現に事業の用に供されていなければならないとした事例
裁決事例集 第51集 407頁
要旨
- 請求人は、新規取得土地等に係る負債の利子の課税の特例制度の趣旨は、法人企業本来の正常な営業活動を逸脱するような土地売買を抑制することにあり、本件土地は正常な営業活動として取得したもので、仮需要によるものではないから、適用除外になると主張するが、法律上の規定は、税負担回避目的等で取得したものでないことが客観的に明らかな場合等を類型化し、適用除外になる場合を個々に定めているから、その規定に該当しない限り、適用除外にはならない。
- 請求人は、負債利子損金不算入期間の適用上、「長期間にわたって使用される建物又は構築物と一体的に事業の用に供される施設の用に供される土地等」は、将来その用に供する目的であれば、現にその用に供されていなくてもよいと主張するが、建物又は構築物の直接的な敷地でさえ事業の用に供されていることが要件とされていることからすれば、それらと一体的に使用される土地等について条件が緩和されているとは解されないから、現にその用に供されていることが必要である。
買換えにより取得した診療所の事業使用面積及び診療所の内装工事金額の事業使用面積については、請求人の主張に理由がなく、また、内装工事については、その内装工事をした事実がないとした事例
裁決事例集 第42集 170頁
要旨
- 取得した建物の事業使用面積106.5平方メートルのうち、現在台所と納戸として使用されている部分については、いずれも本件建物の裏手の居住専用玄関を入った一角に位置する台所と階段を上がった2階に位置する納戸となっており、診療室からは直接通じる構造にはなっていないこと、また、台所は待合室らしい造りとはなっていないこと及び納戸にはリハビリ用の器具備品も設置されていないこと等から、診療室(一角に患者専用の待合室が設けられている)のみが専ら事業に使用されていたとするのが相当であり、事業使用面積は、72.87平方メートルが相当である。
- 関係人の答述によれば、内装工事をしたとするA社は、昭和61年4月11日会社更生手続開始の申立てを行い、昭和63年1月13日に至り更生手続の廃止が決定され、破産した。また、会社更生法の申請時から操業を停止し、閉鎖したままであった。
また、A社の領収証は、番号を付しており、市販の用紙を使用することはなかったにもかかわらず、請求人提出の本件内装工事に係るA社発行の領収証は、市販の領収証であった。
以上のとおり、請求人は、本件内装工事を行ったとする主張を認めるに足る証拠を何ら提出せず、また、関係人の答述等からも明らかなとおり、本件内装工事代金を買換対象金額に算入することはできない。
買換資産の取得価額の変更に伴って生じた圧縮限度超過額は翌期以降における買換資産の取得に充てるための特別勘定として経理したものとすることはできないとした事例
裁決事例集 第36集 187頁
要旨
損金経理をした買換資産の圧縮記帳額のうち、買換資産の取得価額の変更に伴って、圧縮限度額を超えることとなった金額については、その超える金額を特別勘定への繰入額として経理したものとして、所得金額の計算上損金の額に算入し、その課税を翌事業年度以降に繰り延べるとする法令の規定はないから、その繰入限度超過額を特別勘定に経理したものとして取り扱うことはできない。
要旨
被相続人は、本件宅地を含む土地にあった旧建物(1,708平方メートル、居住用の部分を除く)を長期間賃貸していたこと、被相続人は、旧建物の敷地の一部を譲渡したことに伴う買換資産として、相続開始時点において、その残りの本件宅地に新建物を建築中であったこと(新建物の完成後、相続人は直ちに賃貸している)、被相続人は、本件旧建物以外にも24戸のマンションを賃貸していたこと等から、被相続人の旧建物を含む不動産の貸付けは、社会通念上事業というべき規模、対価及び継続性を備えたものとするのが相当である。
本件宅地は、貸家建付地としての評価はできないとしても、被相続人の不動産貸付けは事業というべきであり、新建物は、被相続人が賃貸していた旧建物の敷地の一部の譲渡に伴い建替中であったものであるから、これを被相続人の事業の面からみた場合、その事業には継続性が認められる。
したがって、本件宅地は、相続開始直前においても被相続人の事業の用に供されていたとするのが実態に即しており、租税特別措置法第69条の3の規定による事業用の小規模宅地等としての相続税の課税価格の計算の特例を適用するのが相当である。
要旨
住宅取得控除の対象となる家屋の要件は、1棟の家屋の床面積が租税特別措置法施行令(昭和49年政令第78号による改正前のもの)第26条第1項第1号に規定する床面積以下であり、かつ、その床面積の2分の1以上に相当する部分を自己の居住の用に供していることである。
したがって、1棟の家屋が賃貸用と居住用とに区分されており、それぞれの居住用部分の床面積が同号に規定する床面積以下であっても、その家屋の総床面積が同号の要件を満たさないときは、住宅取得控除の適用はない。
農地につき贈与税の納税猶予の適用を受け、引続き農業経営を行っているとしても、相続税の期限内申告においてその農地を相続税の課税価格に算入した上、相続税の納税猶予の適用を受ける旨の記載、担保の提供、農業委員会の証明書の添付等がない場合、相続税の納税猶予の適用はないとした事例
裁決事例集 第39集 545頁
要旨
被相続人からその生前に農地の贈与を受け、租税特別措置法第70条の4の規定による贈与税の納税猶予の特例の適用を受けていた相続人が、被相続人の死亡後も引続き農業経営を行い、当該農地を農業の用に供している場合においても、相続税の課税価格に当該農地の相続開始時の時価を算入して相続税額の計算をするとともに、相続税の期限内申告書に相続税の納税猶予の特例の適用を受ける旨を記載し、かつ、申告期限内において、担保の提供、農業委員会の証明書等の提出がなければ、租税特別措置法第70条の6の規定による相続税の納税猶予の特例の適用を受けることは認められない。
要旨
請求人は、本件農地において米を栽培するため、Fに耕作及び収穫の作業を委託しているから、租税特別措置法(以下「措置法」という。)第25条《肉用牛の売却による農業所得の課税の特例》の規定による特例(以下「本件特例」という。)の適用要件である「農業を営む個人」に該当する旨主張する。
しかしながら、措置法第25条に規定する肉用牛を売却した個人が本件特例を適用するに当たっては、当該個人は「農業を営む個人」であることが要件とされているところ、「農業を営む個人」とは、自らが栽培の方法等を決定し、栽培し又は他人に栽培させ、その栽培に係る利益又は損失を自己に帰属することを継続的に行う者であると解するのが相当である。
これを本件についてみれば、①本件農地における米の栽培について、農作業の時期、栽培する米の銘柄、苗や肥料の購入及び出荷先等の重要な意思決定はFが自ら行っており、請求人が決定しているとは認められないこと、②本件農地における米の栽培に係る収入や経費については、請求人の各年分の所得金額の計算上一切計上されておらず、本件農地における米の栽培に係る収入や経費はすべて自分のものであるとのFの答述からしても、本件農地から収穫された米の収益及び当該米の栽培に係る費用は、Fに帰属しているものと認められること、そして、③本件農地における米の栽培はFが自ら栽培方法等を決定しており、同人は、請求人に対して、このこと及び収穫した米の数量等の報告は行っていないことなどから、請求人からの委託を受けて行っているものとは認められず、また、④上記のとおり、本件農地における米の栽培はFが自己の計算と危険において継続的に行っているものと認められ、請求人が各年分においてFから受け取った2俵の米は、本件農地の面積に相当するP市内における水稲の標準的な小作料と同程度であることから、当該2俵の米は、Fが請求人から本件農地において米を栽培するよう依頼を受け、その小作料として給付しているものと認められる。
以上を総合すれば、本件農地においては、Fが継続して米の栽培をし、その栽培に係る利益又は損失を自己に帰属させていると認められ、請求人は本件農地をFに貸し付けていると認められるから、請求人は本件農地において農業を営んでいないと認められる。
したがって、請求人は、本件特例の適用を受けるための要件である「農業を営む個人」には該当しないから、請求人に対して本件特例の適用を受けることはできないとした原処分は適法である。
要旨
本件贈与財産は、相続により取得した退職手当金で購入した中期国債ファンドの解約金から支出されていると認められるところ、租税特別措置法第70条“国等に対して相続財産を贈与した場合の相続税の非課税”に規定する相続等により取得した財産とは、原則的には取得した財産そのものをいうが、相続等により取得した財産のうち、現金・預貯金は、その表示された金額が、経済的価値そのものであるから、その他の財産と異なり、個別性・特定性が極めて薄く、取得した後に運用されても最終的にその代替物が現金・預貯金であれば相続財産としての変質を招来するものではないので、相続により取得した財産から贈与されたものと認めるのが相当である。
要旨
原処分庁は、本件住宅公社から提出された「公共事業用資産の買取り等の申出証明書」によると買取りの申出日は昭和43年12月29日となっており、買取申出書は同日郵送され、請求人は12月30日ごろにこれを受領し無開封のまま住宅公社に返戻しているから、買取りの申出日は12月30日であると主張するが、住宅公社からの買取申出書は請求人に書留により郵送されたが、請求人にその受取を拒絶された事実が明らかであり、また、受取拒絶があった場合は書類の送達に代わる公告をすることとなっているが、公告をした事実も認められず、その後昭和44年7月14日になって請求人に面接し、口頭をもって買取りの申出がなされていることが交渉記録により認められるので、最初の買取りの申出は、請求人の主張どおり、昭和44年7月14日に請求人にされたと解するのが相当である。
要旨
請求人が契約した野球場の予約席には、請求人の社名看板が掲示されているとしても、それは小型のものであって入場者の目安のための社名表示にすぎないものと認められるから、野球場予約席料は、広告宣伝効果を意図したものとは認め難く、野球場入場券を取引先に贈答するために支出した費用と認められるので、交際費等に該当する。
要旨
長期間借家していた建物及びその建物の存する土地を時価より低額で取得し、その取得後、直ちに当該建物及び土地を譲渡した場合においても、借家人の権利は、専ら家主に対する関係において生じている居住の権利であって、借家権の資産としての性質は、一般的には、比較的に稀薄なものであり、その取引の実情からみても、現在の段階では借地権のように普遍的に取引の対象とされる権利として成熟するまでに至っていないから、その譲渡について、借地権につき定められた所得税基本通達33-10の取扱いの類推適用を認める余地はないものといわざるを得ず、したがって、その譲渡による譲渡所得は、当該建物及び土地の所有権の譲渡による譲渡所得となり、当該譲渡所得は分離短期譲渡所得に該当する。
離婚に伴う裁判上の和解に基づき居住用土地の2分の1を分筆して相手方に所有権の移転登記をしたことにつき、離婚を機会に行った請求人らの共有に属する土地の共有物分割であり、譲渡所得は発生しないとした事例
裁決事例集 第47集 138頁
要旨
請求人は、離婚に伴う裁判上の和解に基づき財産分与を原因として、本件土地の2分の1を相手方に移転登記をしたが、本件土地は、その取得資金である借入金の返済状況等から、実質は共働きをしていた妻との各2分の1を持分とする共有財産であったものであるから、本件和解では便宜的に財産分与という表現が使われてはいるが、これは共有物の分割であり、譲渡所得は発生しない旨主張する。
本件土地の購入資金とした住宅金融公庫からの借入金は、請求人と妻が、それぞれ自己の名で支払を受けるほぼ同額の給与を合わせ管理していた生活費から共同で返済しており、また、妻の母からの借入金の返済も同様に請求人らの収入から等しく行われたものとみるのが相当である。そうすると、請求人と妻との間では、本件土地の所有権は両者の共有に属していたとするのが相当である。したがって、本件は、請求人らの共有に属する土地を離婚を機会に分割して清算したものとみるのが相当であり、譲渡所得は発生しないというべきである。
騒音防止のために設置された本件しゃ音壁は租税特別措置法第43条第1項の表第1号に規定する公害防止用設備に該当しないから特別償却は認められないとした事例
裁決事例集 第24集 178頁
要旨
騒音規制法施行令で定めた別表第1に掲げる施設から発生する騒音の防止の用に使用するしゃ音壁に限って租税特別措置法(昭和56年法律第13号による改正前のもの)第43条第1項の適用を認めることとしたのは、騒音規制法が工場又は事業場の騒音を発生する施設のすべてを対象として規制するものではなく、著しい騒音を発生する施設であって政令で定められた施設に限って規制しようとしているものであるところ、租税特別措置法においても、騒音規制法施行令で定めた別表第1に掲げる施設を大蔵省告示別表1の1においてそのまま採用したものであり、本件しゃ音壁は、騒音規制法施行令で定めた別表第1に掲げる施設から生ずる騒音を防止するものとは認められず、特別償却を認めないこととした原処分は相当である。
要旨
差金等決済に係る先物取引による雑所得等については、平成17年度の税制改正において、租税特別措置法第41条の14及び同法第41条の15の規定が改正され、先物取引に係る雑所得等の分離課税の適用及び先物取引の差金等決済に係る損失の繰越控除の適用について、その対象に、平成17年7月1日以後に行う取引所金融先物取引の差金等決済に係る雑所得等が追加されている。
請求人が行ったFX取引は、金融商品取引業者との間で相対で行った金融先物取引法第2条第4項に規定する「店頭金融先物取引」であり、金融先物取引所の開設する金融先物市場において行う「取引所金融先物取引」には該当しないのであるから、租税特別措置法第41条の14第1項の規定を適用する余地のないことは、法文に照らし明らかであり、請求人の各年分のFX取引に係る所得は、他の所得と区分して課税されるものではなく、他の所得と総合して課税されることとなるものである。
また、租税特別措置法第41条の15第1項に規定する先物取引の差金等決済に係る損失の繰越控除については、同法第41条の14第1項各号に掲げる先物取引の差金等決済に係る損失に限定してその適用を認めているところ、上記のとおり、請求人の行ったFX取引は取引所金融先物取引には該当しないことから、同法第41条の15第1項の規定は適用されない。
さらに、金融先物取引に係る損失の繰越控除は、平成17年7月1日以後に行う取引所金融先物取引の差金等決済に係る損失に限られるところ、請求人の平成14年分ないし平成16年分に生じたFX取引に係る損失は、平成17年7月1日以後に行われた取引に係る損失ではないことから、FX取引が店頭金融先物取引に該当するか取引所金融先物取引に該当するかにかかわらず租税特別措置法第41条の15第1項の規定を適用する余地はなく当該損失の繰越控除は認められない。
上場株式等に係る譲渡損失の繰越控除の特例について、連続して確定申告書が提出されていないため、上場株式等に係る譲渡損失の金額を翌年に繰り越すことができないとした事例(平成25年分の所得税及び復興特別所得税の更正の請求に対してされた更正をすべき理由がない旨の通知処分・棄却)
裁決事例集 第105集
ポイント
本事例は、上場株式等に係る譲渡損失の繰越控除の特例は、譲渡損失の発生年分以降、確定申告書(更正の請求に基づく更正を含む。)が時系列的に連続して提出されていることが適用要件の一つとなるとしたものである。
要旨
請求人は、租税特別措置法(平成25年法律第5号による改正前のもの。)第37条の12の2《上場株式等に係る譲渡損失の損益通算及び繰越控除》第8項(本件第8項)適用の判断に当たっては、平成25年分の所得税及び復興特別所得税(所得税等)に係る更正請求書(本件更正請求書)は平成26年分の所得税等の申告書(本件申告書)よりも先に作成したものであるから、本件更正請求書及び本件申告書の提出日の先後ではなく、作成順序の先後をもって、実質的に判断されるべきである旨主張する。さらに、本件更正請求書の提出は、平成26年分の所得税等の法定申告期限までに行ったものであるから、当該提出をもって本件申告書について訂正申告書が提出されたものとみなされるのが相当である旨主張する。
しかしながら、本件第8項は「その後において連続して確定申告書を提出している場合」と規定しているのであるから、連続性の有無は、前年分の確定申告書(更正の請求に基づく更正を含む。)と後年分の確定申告書の提出の先後をもって判定すべきことは法文上明らかである。また、本件更正請求書の提出をもって本件申告書についての訂正申告書の提出があったものとみるべき理由もない。したがって、平成25年分の上場株式等に係る譲渡損失の金額は、同条第6項の適用要件を満たさず、やむを得ない事情も認められないから、これを平成26年分以降に繰り越すことはできず、平成25年分の所得税等に係る更正の請求は更正をすべき理由がない。
参照条文等
租税特別措置法第37条の12の2第6項、第8項 租税特別措置法(所得税関係)通達37の12の2-5
参考判決・裁決
要旨
請求人は新築住宅を一括して不動産会社に賃貸し、不動産会社はこれを更に賃借人に賃貸して貸家の用に供しているので請求人が直接貸家の用に供していることは認められない。しかしながら、請求人と不動産会社との間の賃貸借契約によれば、現状の住居の用途以外に使用することはできないとされており、また、不動産会社は管理料相当額を超えて利得しておらず、単なる貸家の管理を行っているものと認められるので、事実上請求人が貸家の用に供している実態に着目して新築貸家住宅の割増償却の規定の適用を認めるのが相当である。
要旨
仮住居補償金及び移転補償金は、仮住居及び建物の移転雑費として一般的に要するものと認められる費用を積算して、あらかじめ契約によりその額を決定したものであるから、補償金の交付を受けた者が営業中であったかどうか並びに実際にこれらのために要した費用の有無及びその多寡によって、その実質が対価補償金になるものではなく、また、一般に、収益補償金名義で交付を受けた補償金のうち、当該収用等をされた建物の対価補償金として交付を受けた金額が当該建物の再取得価額に達するまでの金額については、譲渡所得の金額の計算上、当該建物の対価補償金への流用を認めているが、対価補償金と対価補償金以外の補償金とは、それぞれの補償目的を有する別個なものであるから、それぞれの補償金の性格に応じた課税上の取扱いをするのが原則であるところ、前記取扱いは収益補償金名義の補償金に限られたものであり、仮住居補償金及び移転補償金について、これと同様に取り扱うことは相当でない。
住宅用家屋を取得した請求人が、登記時には住宅用家屋証明書の交付を受けられず、登記完了後に交付を受けた同証明書を添付して行った還付通知すべき請求に対してなされた、還付通知をすべき理由がない旨の通知処分は適法とした事例
裁決事例集 第65集 973頁
要旨
請求人は、本件建物は租税特別措置法施行令第42条第1項に規定する家屋に該当するところ、本件登記申請書提出時には住宅用家屋証明書の交付をしてもらえなかったから本件登記申請書に住宅用家屋証明書を添付できなかったのであり、本件登記完了後ではあるが、本件証明書の交付を受けこれを添付して本件還付請求をしたのであるから、本件登記は本件軽減措置に該当し、本件還付通知請求は認められるべきである旨主張する。
しかしながら、登録免許税は、登記の時に納税義務が成立し、それと同時に特別の手続きを要しないで納付すべき税額が確定するものであるから、本件軽減措置の適用がある場合とは、登記の申請時において、その登記の申請書に当該家屋についての住宅用家屋証明書の添付がある場合に限られるものと解され、本件登記については、本件軽減措置の適用はないこととなる。
また、請求人が主張するような事情があったとしても、租税特別措置法第73条には登記申請時に住宅用家屋証明書の添付がない場合でも本件軽減措置の適用を受けることができるとするゆうじょ規定は存在しないから、請求人の主張には理由がない。
要旨
請求人は、本件のように相続開始の時において既に信託契約により土地及び建物の管理運用が受託者に委ねられている場合には、現に事業の用に供されていなくとも、これは委託者の責めに帰さないことであるから、小規模宅地等の特例を適用しないのは課税の公平を欠くと主張するが、単に信託契約が締結されていることをもって、信託受益権の目的となっている信託財産に属する土地等の取扱いを、所有者が自ら財産の管理及び運用を行う場合の取扱いと異にすべき理由はなく、本件建物1・2階部分については相続開始の直前において被相続人の事業又は居住の用に供されていない以上、当該特例の適用はない。
なお、本件建物1・2階部分は事業の用に供されていないから、この部分は自用家屋として、また、この床面積に対応する宅地については自用地として、それぞれ評価すべきである。
要旨
請求人は、本件建物の売買は契約書に明記されているとおり建物の売買であるから、仮にその対価が社会常識的に不自然であっても、その売買価額の中に借地権に相当する対価は含まれていない旨主張するが、本件建物を請求人が前所有者から取得し、また、本件建物の買主が請求人から買い入れたのは、単に建物自体を目的とするものではなく、本件土地の上に存する権利に経済的価値を認めた故にそれぞれが取引に応じたものであることは明らかであるから、本件建物の売買が土地の上に存する権利を含む売買であるとして、租税特別措置法第63条“土地の譲渡等がある場合の特別税率”に該当するとした原処分は相当である。
要旨
請求人が、昭和22年から土地を賃貸していた借地人に対して立退料名義の金員を支払って借地権を消滅させ直ちに更地として他に譲渡したため、底地の譲渡による所得は長期譲渡所得、借地権相当部分の譲渡による所得は短期譲渡所得に該当することとなった場合における長期譲渡所得の概算取得費については、譲渡収入金額から借地権相当部分の収入金額を控除した長期譲渡所得に係る底地部分の収入金額に100分の5を乗じて計算するのが相当である。
要旨
請求人は、本件買換建物の3分の2を持分としており、当該建物の全延面積に占める事業の用に供している割合は30.36パーセントであるから、本件買換建物の事業の用に供している部分の額は全額取得価額として認めるべきであると主張するが、本件買換建物は、区分所有のできない建物である以上、請求人は事業用部分の全部を取得したものとはいえず、事業用部分のうち請求人の持分である3分の2相当を取得したものとなるから、本件買換建物の取得価額のうち事業用部分に相当する額の3分の2に相当する額が、請求人の事業用部分に係る取得価額となる。
収用等に伴う代替資産の取得の特例の適用に関し、代替資産である賃貸用ビル等の建物は、建物本体と電気、給排水、昇降機等の各設備が一体となってその効用を有する不可分一体のものとみるべきで、一個の代替資産とみるのが相当であるとして、原処分庁の主張を退けた事例
裁決事例集 第48集 295頁
要旨
請求人は、ダム建設事業に伴い土地、立木等を譲渡し、その対価補償金をもって賃貸用ビルを取得し、租税特別措置法第64条“収用等に伴い代替資産を取得した場合の特例”第1項等を適用し、ビルを1個の代替資産として圧縮限度額を計算し、申告した。
原処分庁は、請求人が経理処理上ビルを建物及び付属設備等の複数の資産に区分していることから、個々の代替資産ごとに圧縮限度額を計算すべきである等として更正処分をした。
しかし、代替資産の範囲に関する原則規定である租税特別措置法施行令第39条第2項は、代替資産として「建物(その付属設備を含む。)又は建物に付属する大蔵省令で定める構築物」と規定していることから、代替資産の区分としては付属設備はすべて「建物」に含まれる資産と解していることが明らかであり、同条第4項についても同様に解すべきである。
請求人が、経理処理の各段階でビルを複数の資産に区分したことは原処分庁の主張のとおりであるが、これは、減価償却費の額の計算のための区分に過ぎず、代替資産として区分することを自認したということはできない。
したがって、原処分庁の主張はいずれも採用できず、一方、賃貸用ビル等の建物は、建物本体と電気、給排水、昇降機等の各設備が一体となってその効用を有する不可分一体のものとみるべきであり、これを一個の代替資産とみるのが相当である。
要旨
県企業局も県農林水産部も、それぞれの設置の根拠法令は異なるものの、いずれも県知事の管轄下にある補助機関であり、県の行政組識の一構成機関であると認められる。そうすると、県企業局がその事業の用に供するために、県農林水産部が管理・使用している事業用地を自らの管理下に移転させる場合には、財産管理者である県農林水産部との間で管理換えの手続を取ることとなる。そして、本件においても当該管理換えの手続が取られたものであり、そのことは、本件管理換え協定書からも明らかである。さらに、県農林水産部から県企業局への管理換えがあった平成17年2月7日の前後を通じ、本件事業用地の所有者がA県となっていることからも、収用又は買取りがなされたものではないことが認められる。
以上のことから、県企業局への本件事業用地の管理の移転は、土地収用法等による収用でもなければ、資産についての買取りの申出を拒むときは収用されることとなる場合の買取り、すなわち収用権を背景とした買取りでもないこととなる。
租税特別措置法第34条の2第1項は、個人の有する土地等を特定住宅地造成事業等のために譲渡した場合には、一定の要件の下に譲渡所得の金額の計算上1,500万円が控除される旨を規定しており、この特例(以下「本件特例」という。)の対象となる譲渡として、同条第2項第2号において「(措置法)第33条第1項第1号に規定する土地収用法等に基づく収用(同項第2号の買取り‥‥‥を含む。)を行う者若しくはその者に代わるべき者として政令で定める者によって当該収用の対償に充てるため買い取られる場合」が規定されている。
このような譲渡が本件特例の対象とされているのは、公共事業の施行者が土地等を収用等により円滑に取得するためには、事業用地の譲渡者に対して代替地を提供することが必要不可欠である場合もあることから、公共事業の施行者が代替地として提供するために必要な土地、すなわち対償地を容易に取得できるようにとの趣旨からであると解され、同法第34条の2第1項の規定は、税負担の軽減の特例又は例外規定であって、その解釈及び適用は厳格でなければならないというべきである。
本件についてみると、上記のとおり本件事業用地の管理換えは、収用又は収用権を背景とした買取りではないから、県企業局は、同法第34条の2第2項第2号に規定する収用を行う者若しくはその者に代わるべき者として政令で定める者には該当せず、また、本件譲渡物件の県農林水産部への提供についても、同号に規定する収用の対償に充てるために買い取られる場合に該当しない。よって本件土地の譲渡については、本件特例を適用することはできない。
土地区画整理に伴う保留地を取得し、これを譲渡した場合は、事業施行者から取得した権利の譲渡であり、当該譲渡による所得は分離短期譲渡所得に当たるとした事例
裁決事例集 第45集 87頁
要旨
請求人は、土地区画整理事業地内の本件保留地に係る譲渡は請求人が従来から有していた所有権の譲渡であり、事業施行者から新たに取得した権利の譲渡ではないから、分離長期譲渡所得に該当する旨主張するが、請求人は本件保留地売買契約により昭和63年8月26日に事業施行者から取得した本件保留地に係る権利を昭和63年10月6日に譲渡したものであり、これは、租税特別措置法第32条第3項に規定する所有期間が5年以下であるものの譲渡に該当するから、本件保留地の譲渡による所得は、分離短期譲渡所得に該当する。
要旨
請求人(不動産仲介を業とする法人)が売主から受領した土地売買の仲介に係る手数料が高額になったのは、買主の支払うべき手数料を含んでいるためで、実質的には、宅地建物取引業法に定める報酬の限度を超えていないと主張するが、買主は、評価先例地の価格を基準とし、本件土地の地形、地積、道路の状況、用途地域区分等を考慮して本件土地の買受価額を決定したもので、当該価額に仲介手数料の額を含めていたとは認められず、また、売主は請求人の要求どおりの手数料を支払っても、手取額が納得できる金額であったので、その要求どおり支払ったものであることなどの事実を総合勘案すれば、当該手数料は売主から支払を受けたものであり、かつ、当該金額は宅地建物取引業法第46条第1項に規定する報酬の額を超えているから、請求人の当該手数料の受領は租税特別措置法(昭和55年法律第9号による改正前のもの)第63条第1項に掲げる行為に該当することになるので、同条項の規定を適用して当該手数料の額に係る土地譲渡利益金額を課税土地譲渡利益金額とした原処分は適法である。
要旨
租税特別措置法(昭和51年法律第5号による改正前のもの)第65条の7第1項に規定する「その土地等の取得に伴い取得をされる建物等」の「その土地等」とは、同項の規定に該当する買換資産である土地等をいうものと解されるから、一つの譲渡資産との関係において土地等が同項の規定に該当しても、他の譲渡資産との関係において当該土地等が同項の規定に該当しないときは、当該他の譲渡資産との関係において当該土地上に建築される建物等だけを買換資産として同項の規定に該当するものとすることはできない。
夫婦共有の居住用財産を一体として譲渡して、譲渡益をあん分し、夫婦それぞれの特別控除の限度額の合計額を控除するような恣意的な計算を行うことは許されないとした事例
裁決事例集 第45集 312頁
要旨
請求人は、共有の居住用財産に係る譲渡益のあん分方法について法律の規定はないから、夫婦が共有する場合には各人の特別控除額(3,000万円)の全額を適用できるように所得金額を算定すべきであると主張するが、かかる主張は請求人独自の見解であり、また、その算定方法に合理性があるとは認められない。
そして、本件の場合、譲渡契約書の特約事項において、請求人らが建物を解体した上で更地にして引き渡すことが条件とされていることから、売買代金の総額を土地の譲渡対価とみるのが相当である。
したがって、請求人に係る譲渡収入金額は、譲渡土地の総面積のうち請求人が譲渡した土地の面積の占める割合を譲渡価額の総額に乗じて計算するのが相当である。また、取得費については、本件土地建物の取得時の価額を算定するに足りる証拠もないから、固定資産税評価額を基に算定したことが不合理とはいえない。
さらに、解体した建物に係る未償却残高は、資産の取壊しによる損失とするのが相当であるから、譲渡費用に算入するのが相当である。
要旨
居住の用に供している家屋とその敷地の所有者が異なっている場合においては、居住用財産を譲渡した場合の課税の特例の解釈上、その適用範囲を、その両所有者が親子又は夫婦等の親族関係にあり、かつ、所得税の計算上同一の共同体にあって、その所有形態が同一人の所有形態と同視し得る場合までは許されるとして居住用財産を譲渡した場合の課税の特例に関する租税特別措置法関係通達が定められたものと解されるところ、当審判所においても、その定めは合理的であって相当なものと認められる。
本件譲渡において、本件建物の所有者はA社であって、その敷地である本件土地の所有者である請求人とは、親族関係を有するものでないことはもとより、別人格の法人であるから、そもそも租税特別措置法関係通達の定めには該当しない。したがって、A社が所有する本件建物とともにその敷地の用に供されている請求人所有の本件土地が譲渡されていても、本件譲渡所得には、居住用財産を譲渡した場合の課税の特例を適用することはできない。
要旨
本件家屋の居住用部分と非居住用部分との区分割合につき、原処分庁は、居住用部分は3分の1にすぎないと認定したが、本件家屋の使用状況からみると、非居住用部分と認められるのは物置、土間の一部だけで、居住用部分の占める割合は82.2パーセントと認められるから、この割合により居住用部分に係る譲渡所得の金額を算出し、これにつき租税特別措置法(昭和53年法律第11号による改正前のもの)第35条に規定する居住用財産の譲渡所得の特別控除を認めるのが相当である。
建築条件付土地の譲渡について、一つの売買契約書が作成されていても、取引の経緯等から土地と建物の取引はそれぞれ別個の取引であると認められ、土地と建物の「一括譲渡」には当たらないとした事例
裁決事例集 第46集 191頁
要旨
請求人は、新築した建物を土地とともに一括譲渡したとして、租税特別措置法関係通達63の2(2)-4に定めるいわゆる142パーセント基準を適用して課税土地譲渡利益金額を計算しているが、本件の場合、請求人は、[1]建築条件付である土地の販売価額を記載したチラシを配布して土地の購入者を募集し、その上で土地の購入予定者と新築しようとする建物の額を交渉の上決定していること、[2]建物の建築確認通知書の建築主は、請求人でなく土地の購入者であること、[3]売買契約書は、[1]のチラシに記載された土地の譲渡対価の額及び交渉の上決定した建物の譲渡対価の額並びにそれらの総額を記載したものであること、[4]消費税の確定申告は、売買契約書に記載されている建物の譲渡対価の額により課税標準を計算していることからみると、租税特別措置法関係通達63の2(2)-4にいう「土地と建物の一括譲渡」に該当するとは認められず、原処分庁が売買契約書の土地の譲渡対価の額を基に課税譲渡利益金額を計算したのは相当である。
要旨
租税特別措置法(昭和55年法律第9号による改正前のもの)第41条第1項にいう「新築」の意味は、これを現況に則し実質的に解すべきであって、単に登記簿その他の関係書類の上で、それが「増築」と記載されていることだけを理由として、形式的にその「新築」性を否定するのは相当でなく、本件建物は、旧建物を取り壊し、その場所に立て直したものであると認められるから、これを「増築」とした原処分は相当でない。
要旨
請求人は、その得意先である各旅館等の調理部門の責任者である板前に支払った分銭(各旅館等に対する売上金額に一定率を乗じて算定した金額)は売上戻し手数料であって、交際費等に該当しないと主張するが、本件分銭は取引を円滑に行う目的をもって板前に支出されるものであると認められ、販売収益の一部の還元金として得意先である旅館等に支払われるものでないから、仮にその支出が売上金額に対して比例的であっても交際費等に当たるとみるのが相当である。
昭和59年分の所得税の確定申告書には何ら無効原因となる錯誤の存在は認められず、当該確定申告において既に租税特別措置法第35条第1項の規定の適用を受けていることが明らかであるから、昭和61年分の所得税の確定申告において居住用財産の譲渡所得の特別控除の適用を受けることはできないとした事例
裁決事例集 第37集 259頁
要旨
請求人は、物件甲売買契約が停止条件付売買契約あるいは物件甲の売買予約に該当し、その効力が昭和59年中に発生していないにもかかわらず、重大かつ客観的に明白な錯誤に基づいて昭和59年分の所得税の確定申告書に譲渡所得の金額を記載したのであるから、当該申告は無効であり、昭和61年分の所得税の確定申告において租税特別措置法第35条第1項に定める特別控除の適用が認められる旨主張するが、物件甲売買契約においては、物件甲の引渡しの日を特定の日と定めてはいないが、売買代金等の完済日を引渡しの日としており、そして、物件甲の引渡しを物件甲売買契約の効力の発生に係らせるような約定はなされておらず、譲受人が期日までに転勤しなければ物件甲売買契約の効力は生じないとする約定もなく、また、その他の証拠を総合しても物件甲売買契約が停止条件付売買契約であるとは認められない。
したがって、昭和59年分の所得税の確定申告書には、何ら請求人主張のような無効原因となる錯誤の存在は認められず、当該確定申告書において、既に租税特別措置法第35条第1項の規定の適用を受けたことが明らかであるから、昭和61年分の所得税の確定申告において居住用財産の譲渡所得の特別控除の適用は認められないというべきである。
要旨
租税特別措置法第45条の2に規定する中小企業者の機械等の特別償却が適用されるためには、取得した機械等を適用対象事業の用に供していなければならないところ、リフトについては、[1]ロッヂに来場するにはリフトに搭乗しない限り困難であったとしても、リフトを利用するスキー客はロッヂを利用するか否かを問わずリフト料金を支払っていること、[2]リフトの操業なくしてロッヂ内事業が成り立たない関係にあるとしても、このことは、リフト事業を営業基盤としてロッヂ内事業が成り立っている関係を明らかにしているにすぎず、これらのことをもって、リフトをロッヂ内事業の用に供しているとはいえない。さらに、ロッヂ内事業に必要な資材等の運搬にも本件リフトを使用していないことから、本件リフトについて特別償却を適用することはできない。
なお、クローラーキャリアについては、雪や土砂等の運搬を主目的とするもので車両運搬具に該当するので、特別償却を適用することはできない。
要旨
請求人は、請求人の創業○○周年記念行事に関して支出した交際費等の額は、[1]企業は、記念行事等の費用はその支出総額から受け入れた祝儀の額を控除した額であると認識していること、[2]会費制の記念行事であれば会費を費用の支出総額から控除できるが、独自の記念行事であるとそれを認めないのは、課税上アンバランスであること、[3]祝儀を支出した法人についても交際費課税の特例の対象となるので、二重課税になることなどから、費用の支出総額から記念行事に招待した者から受け入れた祝儀の額を控除した額であると主張するが、交際費課税の特例の対象となる交際費等の額は、[1]法人の交際費等の濫費の抑制等を目的とする制度の趣旨から、交際費等として法人が現実に支出した費用の総額をいうものであること、[2]会員制の記念行事と独自の記念行事とは、その性質を異にするものであり、交際費課税の特例の適用上、両者の取扱いが異なることは当然でバランスを欠くものでないこと、[3]記念行事の開催者及び祝儀を支出した法人の双方に交際費課税の特例が適用されても、それは、それぞれ別個独立した法人の個々の交際、接待等の行為に着目して交際費課税の特例が適用されるもので、祝儀を支出した法人の課税関係のいかんは問わないものであることなどから、祝儀の額を控除する前の費用の支出総額であり、祝儀の額を控除することはできない。
減額更正処分により発生した過誤納金を収納未済額に充当した結果、物納許可を受けた相続税額を超える価額の財産により物納されたこととなり、物納財産の収納許可額と物納許可を受けた相続税額との差額が金銭で還付され、その差額に対して譲渡所得が課税された事例
裁決事例集 第59集 129頁
要旨
請求人は、本件過誤納金について、原処分庁が請求人の納付すべき税額を減少させる更正処分をしたことから、金銭で納付していた税額が還付されたものであり、相続税の物納許可による過誤納金が還付されたものではないことから、譲渡所得の課税対象とはならない旨主張するが、当該更正処分により生じた過納金は、国税通則法第57条第1項の規定に従って適法に請求人の納付すべき税額に充当されているところ、本件過誤納金は、物納許可を受けた相続税額を超える価額の財産により物納されたことから、物納財産の収納価額と物納許可された相続税額との差額が請求人に金銭をもって還付されたものであり、租税特別措置法第40条の3に規定されている物納許可を受けて物納した財産に当たらないから、同条の規定の適用はなく、通常の資産の譲渡と同様に、譲渡所得の課税対象になる。
要旨
当初の契約の解約は、その目的が本件譲渡資産の譲渡の実現のためであり、その効果は専ら次の契約の譲渡に帰属することとなり、かつ、本件違約金は当初契約を合意解約するために支払われたものであるから、本件違約金は、次の契約の譲渡のために直接かつ通常必要な費用であると認めるのが相当である。
そうすると、本件違約金は譲渡に要した経費に該当する。
相続税の納税猶予の特例の適用を受け、その後特定転用の承認の対象となった建物について、納税猶予の期限を確定させることとなる建物の譲渡の事実があったとした事例
裁決事例集 第63集 620頁
要旨
請求人は、相続税の納税猶予の特例の適用を受けていた本件建物を譲渡した事実はないから、納税猶予の期限は確定していない旨主張する。
しかしながら、本件建物については、[1]請求人は資産譲渡の申告を行い、他方、譲渡先法人において資産計上した申告を行っていること、[2]本件建物を含む他の譲渡物件と一括して対価の支払いの事実があったと認められること、[3]本件建物を含む他の譲渡物件に係る収益及び費用は譲渡先法人が一括計上し、その状態が長期間継続していること、[4]譲渡先法人の設立目的(請求人の節税目的)等を総合勘案すると、他の物件と同様に譲渡先法人に対して譲渡されたものと認められる。
したがって、租税特別措置法の一部を改正する法律附則(平成9年法律第22号による改正前のもの)第19条8項第4号に該当し、租税特別措置法70条の6第7項の規定により、納税猶予の期限は確定したと認められる。
要旨
法人税法は、不動産取得税及び固定資産税のような公租公課を棚卸資産である土地の取得価額に算入するかどうかは法人の選択にゆだねているものと解されるところ、従来の請求人の確定した決算における経理処理は、これらの公租公課を、その確定し又は支出した日の属する事業年度の公租公課勘定(販売費及び一般管理費)で処理するいわゆる原価外処理の方法を採用しているから、課税土地譲渡利益金額の計算上未確定の不動産取得税及び固定資産税を原価の額に算入することはできない。
社会保険診療に係る患者の一部負担金のうち、医師が請求しなかった部分も、租税特別措置法第26条“社会保険診療報酬の所得計算の特例”に規定する社会保険診療に係る収入金額に該当するとした事例
裁決事例集 第43集 445頁
要旨
請求人は、支払基金等に対して基金等負担金を請求するに当たり、一診療行為の総点数である厚生省告示額による歯科診療報酬点数表に基づいて、患者が来院した都度の社会保険診療収入を計算しており、自ら行った社会保険診療行為の対価の総額が、厚生省告示額によって計算した金額で確定していることを認識していると認められること及び請求人はこの計算による基金等負担金を受領していることから、請求人が患者に請求すべき金額は患者の一部負担金と同額となり、当該一部負担金と実際に窓口で患者から受領した保険収入との差額は、本来値引きに相当する金額であり、収入すべき金額となる。
租税特別措置法第31条の4で規定する所有期間は、あくまでも譲渡した家屋そのものを取得等した日の翌日から引き続き所有していた期間をもって判断すべきであるとした事例
裁決事例集 第44集 315頁
要旨
請求人は、租税特別措置法第31条の4で規定する所有期間の判断に当たっては、譲渡家屋の所有期間のみでなく、実質上は請求人の所有であり白蟻被害のためやむを得ず取り壊した旧家屋の所有期間と通算すべきであると主張するが、旧家屋の所有者は請求人の妻であると認められ、また、同法の所有期間はあくまでも譲渡をした家屋そのものを取得又は建設した日の翌日から引き続き所有した期間をもって判断すべきであることは明らかであり、何らかの事情があって家屋を建替えたとしても、その故をもって、建替前の家屋の所有期間と通算すべき理由はない。
租税特別措置法第37条の課税の特例を適用して確定申告書を提出した者が、その後に当該特例の適用を取りやめる旨の修正申告書の提出をすることはできないとした事例
裁決事例集 第37集 295頁
要旨
譲渡所得の金額の計算について、納税者が租税特別措置法第37条の特例の適用を受ける旨を記載した確定申告書を提出した以上、やむを得ない事情がある場合のほかは、修正申告書を提出することによってその適用を受けない旨の変更をすることはできないと解されるところ、請求人の当該特例を適用した昭和58年分の確定申告は、適法なものであり、請求人が提出した同年分の修正申告書が同法第37条の2第2項の修正申告書の提出要件にも該当しないことは条文上明らかである上、請求人は、原処分の調査時に、当該特例を適用した場合、昭和61年分の分離短期譲渡所得の金額が増加することを知って、昭和58年分の修正申告書を提出したものであり、当該特例を適用して確定申告書を提出したことについてやむを得ない事情がある場合にも該当するとは認められないから、請求人の主張には理由がない。
租税特別措置法第58条の3第1項に規定する「新鉱床探鉱費の額」とは、現に支出した新鉱床探鉱費の額から新鉱床の探査のため受け入れた補助金の額に相当する金額を控除した額によるべきであるとした事例
裁決事例集 第38集 233頁
要旨
租税特別措置法第58条の3第1項に規定する「新鉱床探鉱費の額」の算定に当たり、新鉱床の探査のために受け入れた補助金の額に相当する金額を控除すべきか否かについては、[1]新鉱床探鉱費の特別控除の制度が探鉱準備金の制度と連動していることから、その計算に当たっても採掘所得金額を計算する場合と同様、補助金の額を控除することが相当であること、[2]補助金交付の実質が国自ら新鉱床探鉱費を支出したことと変わらないことから、補助金によって補てんされた部分についてまで免税効果を与えることは不合理であること、[3]新鉱床探鉱費の額の算定に当たって補助金の額を控除する経理処理は、当該業界における公正妥当な会計処理の基準として定着していることから、新鉱床探鉱費の額は、補助金の額に相当する金額を控除して算定するのが相当である。
租税特別措置法第66条の4第1項に規定する独立企業間価格を算定するために必要と認められる帳簿書類が原処分庁の要求後遅滞なく提出されておらず、原処分庁の行った独立企業間価格の推定も適法であるから、同条第7項の推定規定を適用して移転価格課税を行った原処分は適法であるとした事例
裁決事例集 第72集 424頁
要旨
請求人は、①租税特別措置法(平成16年法律第14号による改正前のもの。以下「措置法」という。)第66条の4第7項に規定する帳簿書類等とは我が国の納税者が作成・保管することを要求されているものをいい、我が国の納税者が保有していない外国で作成されている資料は、同条第8項に規定する帳簿書類等に該当し、あくまでも入手努力義務があるにすぎないこと、②国外関連者との取引価格の算定資料については、同社との取引を独立した第三者間の取引と認識しているため、見積書以外はないところ、当該資料は原処分庁に提出したから、提出すべき資料はすべて提出していること及び③請求人が再販売価格基準法及び取引単位営業利益法により算定した独立企業間価格によれば所得移転はないことから、帳簿書類等を請求人が提示又は提出しないことを理由として原処分庁が同条第7項の推定規定を適用して更正をしたことは違法である旨主張する。
しかしながら、原処分庁の調査担当職員が提示又は提出を求めた資料は国外関連者の財務諸表及び国外関連者との取引価格の算定資料であるところ、これらは、独立企業間価格の検討を行う上で基本となる資料であり、国外関連者が有する帳簿書類等であっても、措置法第66条の4第7項の帳簿書類等に含まれるものと認められるから、これらの独立企業間価格の算定に不可欠な帳簿書類等が遅滞なく提示又は提出されない場合には、同項の推定規定の要件を充足すると解される。また、請求人は、請求人が主張する再販売価格基準法が本件における独立企業間価格の算定方法として合理的であると主張するが、当該方法については、取引段階及び取引市場が国外関連取引とは異なっていることから、比較対象取引としての類似性を有するものとは認められず、請求人が加えた差異の調整も、当該差異の調整の算定根拠が不明で、その合理性が認められないから、請求人の主張は採用できない。さらに、請求人は、取引単位営業利益法により計算したところによれば所得移転はない旨主張するが、請求人が用いた方法は、比較可能性を検証する事項についての言及もないまま、単に請求人と国内関連企業2社の計3社の平均連結営業利益率と請求人が競合他社と認識している2社の営業利益率を比較しているものであり、合理性が認められないから、請求人の主張を採用することはできない。そうすると、原処分庁は、請求人から独立企業間価格の算定に必要な帳簿書類等の提示又は提出を受けることができず、他に比較対象取引となり得る取引も見出せなかったことから、本件国外関連取引に係る独立企業間価格の算定に当たって措置法第66条の4第2項第1号イ、ロ、ハ及びニに掲げる方法のいずれも適用することができなかったものであり、当審判所の調査の結果によっても、当該独立企業間価格の算定について当該各方法のいずれも適用することができないと認められる。
したがって、原処分庁が、本件調査により国外関連者の総原価の額を把握し、措置法第66条の4第7項の規定により独立企業間価格を推定したことは適法である。
試験研究費の額が増額した場合等の法人税の特別控除(租税特別措置法第42条の4)について、修正申告により増加した法人税額に対応する控除の増額は認められないとした事例
裁決事例集 第62集 284頁
要旨
請求人は、租税特別措置法(平成9年法律第22号による改正前のもの)第42条の4《試験研究費の額が増加した場合等の法人税額の特別控除》第3項に規定する法人税の特別控除について、自主的に提出した修正申告により増加した法人税額に対応する金額については控除が認められるべきである旨主張するが、同項の適用については、「確定申告書等」にその控除を受ける金額の記載があり、かつ、当該金額の計算に関する明細書の添付がある場合に限られ、また、その控除される金額は、「当該申告に係るその控除を受けるべき金額」とされており(同条10項)、そして、ここにいう「確定申告書等」については、法人税法第2条第30号に規定する中間申告書及び同法第31号に規定する確定申告書(当該申告書に係る期限後申告書を含む。)とされ(措置法第2条第2項第11号)、「確定申告書等」には修正申告書が含まれないものであるから、請求人の主張には理由がない。
なお、「当該申告に係るその控除を受けるべき金額」とは、当該申告書に記載された控除税額そのものでなく、当該申告書に記載された事項を基礎として計算される正当額をいうものと解される。
請求人が作成した土地売買契約書及び建物売買契約書は、土地の譲渡価額の圧縮を目的として形式的に作成されたもので、建物売買契約は存在せず、土地を譲渡したものであるとした事例
裁決事例集 第54集 344頁
要旨
請求人は、土地及び建物の売買を取り決め、土地売買契約書と倉庫を建築して譲渡する建物売買契約書を取り交わしているが、国土法の規制により、勧告価格を超えて譲渡することができないため、本件倉庫を建築し、当初予定した利益相当額を確保することで合意したもので、実際の契約に基づき作成されており、この記載内容に事実と異なるものはないと主張する。
しかしながら、[1]本件請負契約書に添付されたとする仕様書は存在しておらず、また、契約書の検査引渡しの時期は完成から10日以内と記載されているが、完成時に検査をして引渡しを受けた事実も認められない等、契約が実行されたとは、にわかに信用し難いこと、[2]契約金額の決済については通常あり得ない不自然な決済方法であること、[3]請求人は、工事の進行管理や関係諸官庁への手続きなどの事実行為を一切行っていないことが認められ、発注者としての危険と責任を負っていた客観的事実も認められないこと、[4]本件倉庫の売買先に対しては、積算根拠が細部にわたって記載されている見積書が作成されているのに対して、請求人の見積書には、ほとんどその記載がないことが認められ、そうすると、請求人の見積書は、その見積金額が本件建物売買契約書の契約金額と同額であるところから、この契約金額に合わせて便宜上作成されたものにすぎないと認められる。
以上のことから、本件請負契約書は形式的に作成されたもので実体がなく、実質的には、倉庫の請負契約は請負業者と建物売買契約先との間で行われたと認められ、本件建物売買契約書の実体もありえない。
そうすると、本件建物売買契約書は、本件土地の売買金額の一部を本件倉庫の工事代金に仮託するために形式的に作成されたとみるのが相当である。
請求人が共同相続人と共に相続により取得した建物を単独所有とした登記は共有物の現物分割ではないとして、租税特別措置法第84条の4第4項の適用はないとした事例
裁決事例集 第65集 982頁
要旨
請求人は、判決により持分移転の登記をしたものであり、登録免許税を不当に免れようとしているものではなく、租税特別措置法第84条の4の立法趣旨に反するものではないから、同条第4項の特例の適用を認めるべきである旨主張するが、同条第4項の特例が適用されるためには、共有物分割による持分移転の登記申請に係る建物すべてが、もともと共有の1棟の建物であって、同一の分割登記又は区分登記によって生じたものであること、及び共有物分割による持分移転の登記が、分割又は区分によって生じた他の建物の共有物分割による持分移転の登記と同時に申請されていることが必要であるところ、本件建物は、上記の要件が備わっていないのであるから、同条第4項の特例の適用がないことは明らかである。
また、本件特例の解釈・適用に当たっては、その要件をたやすく拡張することはできないというべきであるので、立法の不備を運用によって補うべきであるとの請求人の主張には理由がない。
請求人が原処分庁に提出した上申書等は租税特別措置法施行令第39条の7第26項の買換資産の取得期間延長申請書としての法定記載事項を欠き、また、最終提出期限を経過した後に提出されたものであるから、適法な取得期間延長申請書とは認められないとした事例
裁決事例集 第37集 320頁
要旨
請求人が原処分庁に提出した上申書及び嘆願書は、租税特別措置法施行令第39条の7第26項の買換資産の取得期間延長申請書としての法定記載事項を欠くものであり、また、仮に同項かっこ書に規定するやむを得ない事情があったとしても、これらの書類は取得期間延長申請書の最終提出期限を経過した後に提出されたものであるから、適法な取得期間延長申請書とは認められない。
請求人が確定申告書に添付した書類には、租税特別措置法第10条の5の4第4項に規定する内容が記載されていないから、同条第1項に規定する特別控除の適用は認められないとした事例(平成26年分の所得税及び復興特別所得税の更正の請求に対してされた更正をすべき理由がない旨の通知処分・棄却)
裁決事例集 第103集
ポイント
本事例は、雇用者給与等支給額が増加した場合の所得税額の特別控除の適用を受けるためには、当初の確定申告書に「雇用者給与等支給増加額」等を記載した明細書の添付が必要であると判断したものである。
要旨
請求人は、租税特別措置法第10条の5の4《雇用者給与等支給額が増加した場合の所得税額の特別控除》第4項後段に規定する「当該確定申告書に添付された書類」には、青色申告決算書など確定申告書に添付すべき書類が含まれると解すべきであり、同条第1項に規定する特別控除(本件特別控除)の金額の計算の基礎となる雇用者給与等支給増加額は、請求人が所得税の確定申告書に添付した書類(本件添付書類)等を基に算出することができるから、更正の請求において本件特別控除の適用を受けることができる旨主張する。
しかしながら、同条第1項の規定により控除を受けることができる金額は、「確定申告書に添付された書類に記載された雇用者給与等支給増加額を基礎として計算した金額」に限られるところ、同条の規定の構造に鑑みれば、同条第4項後段に規定する「当該確定申告書に添付された書類」とは、同項前段に規定する「第1項の規定による控除の対象となる雇用者給与等支給増加額、控除を受ける金額及び当該金額の計算に関する明細を記載した書類」を指すものと解するのが合理的である。そして、本件添付書類には、上記「雇用者給与等支給増加額、控除を受ける金額及び当該金額の計算に関する明細」のいずれの記載もないのであるから、本件添付書類を基に雇用者給与等支給増加額を算出することができたとしても、そのことをもって、本件特別控除の適用を受けることはできない。
参照条文等
租税特別措置法第10条の5の4(平成27年法律第9号による改正前のもの)第1項、第4項
ポイント
租税特別措置法第25条第1項第2号に規定する農業協同組合に委託して行う売却とは、委託者(農家等)が受託者(指定農協等)に売買契約の成立過程に係る業務につき相当の裁量を与え、受託者が肉用子牛の売却代金の回収等のみならず、販売先の勧誘、承諾等に関与して行う売却であると解される。
この事例は、請求人が行った肉用牛の売却取引が、同号に規定する農業協同組合に委託して行う売却に当たるか否か判断したものである。
要旨
請求人は、請求人が行った肉用牛の売却取引が、租税特別措置法第25条《肉用牛の売却による農業所得の課税の特例》第1項第2号に規定する農業協同組合に委託して行う売却に該当することから、同条に規定する肉用牛の免税制度が適用される旨主張する。
しかしながら、請求人がa市農業協同組合に売却を委託したとする取引について、a市農業協同組合が請求人から委託を受けたのは売却代金の回収業務のみであり、当該売却取引の主要部分である子牛購入の申込みの勧誘及び申込みに対する承諾など売買契約の成立過程における業務にa市農業協同組合は関与していなかったと認められることから、当該取引は農業協同組合に委託して行う売却には当たらない。
参照条文等
租税特別措置法第25条第1項、4項(平成23年法律第82号による改正前のもの) 国税通則法第70条第5項(平成23年法律第114号による改正前のもの)
要旨
- 請求人は、法人税法第11条《実質所得者課税の原則》によりパナマ子会社の損失を請求人の所得金額に合算したものであり、また、「船舶所有権等に関する契約公正証書」によれば当該外航船舶の所有権は請求人にあると認められることからも、本件には租税特別措置法(以下「措置法」という。)第66の6条《内国法人に係る特定外国子会社等の留保金額の益金算入》は適用されないと主張する。
しかしながら、船舶は子会社の所有であること、また、法人税法第11条と措置法第66の6とはそれぞれ独立した規定として存在することが意図されているといえ、両者の適用関係が競合する場合には、まず、法人税法の特別法である措置法の規定が適用されることから、請求人の主張には理由がない。 - 請求人は、仮に、措置法第66の6の規定が適用されるとしても、パナマ子会社は株式を発行しておらず、同法第2項第1号の規定によって「発行済株式等」の保有割合を基準に判定される外国関係会社ひいては特定外国子会社等にも当たらないので、この点からも請求人にはタックスヘイブン対策税制の適用はないと主張する。
しかしながら、パナマ会社法は、発起人による「株式を取得することの合意」によって法人が設立でき、株式の発行自体が設立要件となっていないことからすると、パナマ法人が請求人の特定外国子会社等であるというためには、請求人が当該取得に合意した株式を所有していることが要件であるところ、[1]パナマ法人の設立時の役員が請求人の役員であること、[2]請求人が同社設立時の商業登記簿謄本の写しを保管していること、[3]請求人は、同社の発起人からなんらの権利を主張されることなく、支障なく業務運営を遂行していること及び[4]パナマ会社法においては株主が会社運営に直接関与する場合があることからすれば、発起人と請求人との間では、発行予定株式等の全部の譲渡に関する契約ないしこれに類する契約が黙示的にせよ締結されたものと推認されるから、このことによって請求人はパナマ法人を支配し得る単位化された物的持分としての法的地位を承継したものと認めるのが相当であることから、請求人の主張には理由がない。 - 請求人は、原処分は従来の法令の解釈を変更して突如としてなされ、一貫性を欠く恣意的な処分であるとし、また、請求人に対して「タックスヘイブン対策税制により申告すべし」との原処分庁の指導がなかったことから、信義誠実の原則に反すると主張する。
しかしながら、請求人がパナマ子会社の損失を所得金額に合算して申告したのは、請求人自身の独自の法令解釈により判断した結果であり、また、原処分庁は、請求人に対して「パナマ子会社についてタックスヘイブン対策税制が適用されない」という公式見解を示したことはないことから、信義誠実の原則が適用される余地はなく、請求人の主張には理由がない。
請求人は、区分所有建物であるマンションは一戸でも譲渡すれば、これに係る新規取得土地等に係る負債利子の損金不算入額の全額を損金に算入すべき旨主張するが、1棟の建物のうちの一部の区分所有物が譲渡されたというだけで、その敷地全体が譲渡されたと同じに扱うことはできないとした事例
裁決事例集 第54集 323頁
要旨
- 請求人は、[1]租税特別措置法第62条の2の規定の立法趣旨は、租税負担回避の防止、地価の高騰を抑制することにあるが、当該土地は、新築マンションを販売する目的で取得したのであるから租税負担回避目的の土地取得でないこと、また、地価が下落しており地価が高騰するおそれはない、[2]同法の規定の適用を受ける企業と受けない企業とで租税負担が不公平となるから同法の規定の適用はなく、累積損金不算入負債利子の全額を損金に算入すべきである旨主張する。
しかしながら、同法は[1]新たな資金コストが生じないと認められるもの、[2]取得が節税又は投機目的ではないと認められるものを限定的に列挙し、新規取得土地等から除外しているところ、当該土地は除外される土地等に該当せず、請求人が主張する取得目的等の事情によって同法を適用しない規定も存しないから、当該土地は新規取得土地等に該当する。 - 請求人は、区分所有建物であるマンションの1戸でも譲渡すれば、[1]購入者は当該マンションの敷地全体を利用できること、[2]敷地の不動産登記がなされれば土地の所有権移転はできないことなどから、新規取得土地等の一部を譲渡しても全部を譲渡したことと同様に累積負債利子額を譲渡面積で按分して損金の額を計算するのではなく、全額を損金の額に算入すべきである旨主張する。
しかしながら、一部の区分所有建物の所有者が敷地全体を利用できるとしても、1棟の建物のうちの一部の区分所有物が譲渡された場合に譲渡される敷地利用権は一部にとどまり、敷地全体が譲渡されたものとは異なるから、租税特別措置法第62条の2の規定の適用において、新規取得土地等を敷地とする1棟の建物のうち、一部の区分所有建物が譲渡されたというだけでその敷地全体が譲渡されたものと同じに扱うことはできない。
譲渡した土地の譲受人とその土地に関し開発許可を受けて開発行為をした者とが異なっているから、当該譲渡について租税特別措置法第31条の2の規定は適用できないとした事例
裁決事例集 第29集 185頁
要旨
請求人は、本件土地の実質的な譲受人は本件土地に関し開発許可を受けて開発行為をした会社であるから、本件土地の譲渡につき、優良住宅地のための譲渡による課税の特例が適用されるべきであると主張するが、請求人から本件土地を譲り受けた会社は、その土地の転売先である開発会社から本件土地の取得資金の融資を受ける等、本件譲受会社と開発会社との関係が相当密接であったことはうかがえるものの、両者は互いに独立した法人格を有し、本件に関しても独立して意思決定をしており、本件譲受会社は、開発会社の代理人として本件土地を取得したものでなく、又は開発会社のダミーであったとは認められないから、請求人の主張は採用できない。
また、請求人は、本件のように請求人から直接土地を取得した者とその土地につき開発許可を受けて優良住宅地の造成をした者とが異なる場合でも、課税の特例は優良住宅地の供給の促進に資する趣旨で設けられたものであるから、それが適用されるべきであると主張するが、その主張は法の規定を拡大解釈して適用することを求めているものであって採用することはできない。
したがって、本件土地の譲渡について租税特別措置法(昭和56年法律第13号による改正前のもの)第31条の2の規定を適用すべきであるとの請求人の主張には理由がない。
要旨
土地の譲渡に当たって、当該土地を更地とした上で譲渡することが条件となっていたので、当該土地の上にまたがって建っていた居住用家屋の一部を取り壊して譲渡した事実は認められるが、[1]取壊し後において旧家屋の相当部分が残っていたこと、[2][1]の状態となった家屋について増改築を行い引き続き居住の用に供していたこと、[3]その増改築の工事の間も他に移転することなく当該家屋に引き続き居住していたことが認められるから、当該土地の譲渡については、租税特別措置法(昭和49年法律第17号による改正前のもの)第35条第1項の規定の適用はない。
要旨
譲渡した家屋は、請求人が永住する目的で新築し、昭和42年10月から昭和48年3月まで居住していたものであること、請求人が昭和48年4月から昭和51年9月ころまで自己所有の別件家屋に居住した経緯について相当の事情が認められること、当該別件の家屋に居住していた間譲渡した家屋における電話が存置されたままであったこと、譲渡した家屋については改造工事を行い、その後は空家にしていたこと等から請求人の当該別件家屋における居住は、家庭的事情が解消するまでの一時的なものであったと認められ、他方、請求人の昭和51年9月ころから昭和52年4月までの間の譲渡した家屋における居住は、生活に通常必要な電気、水道、ガス及び電話の使用状況並びに請求人の次女及び三女が、譲渡した家屋の所在地を校区とする学校にそれぞれ通学していたこと等から一時的なものでなく、恒久的な居住の状態であったと認められるから、本件譲渡した家屋及びその敷地の譲渡所得については、租税特別措置法(昭和53年法律第11号による改正前のもの)第35条第1項の規定を適用するのが相当である。
要旨
山林からは継続して収益をあげていないこと、所有山林の面積、植林の実施状況等からみて、山林業と称するに足る事業を営んでいるとは認められないので、譲渡した山林素地は事業用資産とはならない。
買換土地のうち買換家屋が建っている部分とはブロックフェンスで区分され、アスファルトで舗装されて請求人の自家用車の駐車場、物干場及び子供の遊び場として利用されている部分も買換家屋の敷地といえるとした事例
裁決事例集 第39集 490頁
要旨
租税特別措置法第36条の2に規定する居住用家屋の敷地に該当するか否かの認定に当たっては、単に居住用家屋が物理的に存立するために必要な部分に限るのではなく、社会通念上当該家屋と一体として利用されている土地かどうかによって認定するのが相当であると解されているところ、(1)乙地は、請求人が本件買換資産を取得して以来、請求人の自家用車の駐車場、物干場及び子供の遊び場として利用されているほか、本件買換家屋の建っている南側土地と乙地とはブロックフェンスに取り付けられた扉を通じて直接往来でき、また、その設置目的も乙地に降った雨水が南側土地へ侵入するのを防ぐためのものと認められ、南側土地と乙地とは機能的には、何ら別個独立のものとは認められないこと、(2)乙地は軟弱な粘土質であり、雨が降ると泥田のようになることから、そのままの状態では、自家用車の駐車場、物干場及び子供の遊び場として利用するのに適していないので、その対策として請求人はこれをアスファルトで舗装したと認められ、乙地がアスファルトで舗装されているからといって、乙地が本件買換家屋と一体として利用されていない根拠にはならないことから、乙地は本件買換家屋と一体として利用されている土地であるとするのが社会通念に照らして相当であり、乙地は本件買換家屋の敷地に該当するというべきである。
要旨
道路用地上(具体的には、道路高架下)に道路管理者の許可を得て建設されたビルの区分所有権を、第三者に道路占有権と共に譲渡したことについて、[1]道路占用権は、道路管理者の許可を受けて譲渡されていること、[2]本件建物の建設が都市再開発の新しい方法として実施されたものであり、当該道路占用許可の取消し等はおよそ考えられないこと、[3]一般に道路占有権は、仮にそれが道路管理者との関係では、公法上の債権と解すべきであるとしても、その実質は私権としての土地使用権に基づく利用形態と同一であり、第三者との関係では私法上の財産権的性質を有し、譲渡可能であり、また、占有侵害者に対しては妨害排除請求や損害賠償請求が認められる権原として承認されていること等から、本件道路占有権の譲渡は、租税特別措置法(昭和55年法律第9号による改正前のもの)第63条第1項第1号規定の「土地の上に存する権利の譲渡」に該当すると解するのが相当である。
遺留分減殺請求により取得した不動産を取得後1月で譲渡しても、その譲渡が相続税の法定申告期限の翌日以後2年経過後である場合には、相続財産を譲渡した場合の取得費の加算の特例の適用がないとした事例
裁決事例集 第40集 272頁
要旨
請求人は、租税特別措置法第39条“相続財産に係る譲渡所得の課税の特例”に規定する「(相続税法)第27条第1項の規定による(相続税の)申告書の提出期限」は、遺留分減殺請求の調停の成立した日、又は遺留分減殺請求の意思表示をした日の翌日から6月以内と解すべきであるから、本件譲渡について、同条を適用すべきであると主張するが、相続税の申告書の提出期限は、被相続人の死亡を覚知することにより、相続財産の一定額を取得し得る地位に立つことを知った日の翌日から6月以内と解すべきである。本件譲渡は相続税の申告書の提出期限の翌日以後2年を経過する日までの間の譲渡に該当しないので、措置法第39条の適用はない。
開発公社等を経由して取得した工業団地内の土地の取得時期について、旧地主から市開発公社が買収した時ではなく、請求人が協同組合から取得した時であるとした事例
裁決事例集 第19集 164頁
要旨
譲渡した土地は、旧地主から市開発公社及び協同組合を経由して請求人が取得したこととなっているが、それは、請求人ら組合員が公社に買収依頼をしたことにより、公社が本件土地を含む工業団地の土地を買収し、それを組合を経由して取得する形式をとったためであるから、当該土地の実質的な取得の日は、公社が取得を完了した昭和43年7月以前であるとの主張について、公社は請求人の代理人としてではなく公社自らが工業団地分譲事業として取得したものであることから、当該土地の取得時期は、公社の取得した日を請求人の取得した日と認めることはできず、組合と請求人との間において売買価額が確定した売買予約契約の締結の日である昭和45年4月1日と解すべきである。
要旨
買換土地の面積制限の計算に当たり、請求人は、原処分庁は租税特別措置法通達37-10に基づきQ市及びM市の土地を平均的に取得したとしているが、本件買換資産は同通達の発遣前に取得しているので、同通達は適用される余地がなく、法人の取扱いと同様に納税者に有利になるよう任意に買換土地を選択できる旨主張するが、次の理由から、買換土地を平均的に取得したとする本件更正処分は適法である。
- 租税特別措置法施行令第25条の2第2項は、租税特別措置法第37条の3第1項の規定を受けて、買換資産が二以上ある場合の各買換資産の取得価額は、各買換資産の買換資産の合計額のうちに占める割合を乗じた金額とする旨規定していることから、買換土地の面積制限の計算も平均的に取得したものと解するのが相当である。
- 租税法規の解釈として、通達が公開されているのは、課税庁内部の取扱いの統一と納税者の申告・納税の便に供していることが認められ、その内容が法律の正しい解釈に合致している以上、法律の根拠に基づくものと解するのが相当である。
- 租税特別措置法通達37-10は、請求人が買換資産を取得した後に発遣されているが、同通達の発遣前から租税特別措置法通達37-19及び37の3-2が存在し、従来から二以上の土地を平均的に買換資産とする取扱いがされていたと認められ、平成3年度の税制改正に伴い、租税特別措置法通達37-10によりそれまでの取扱いが明確にされたものといえる。
- さらに、特定の事業用資産の買換特例に関して、[1]個人は租税特別措置法第37条第1項及び第37条の3第1項において、譲渡所得の金額及び引継価額の計算方法を規定しているが、[2]法人は租税特別措置法第65条の7第1項において、損金の額に算入する金額の計算方法を規定しているのみであり、同法第37条の3第1項及び租税特別措置法施行令第25条の2第2項と同様な規定がなく、その規定振りが異なる。
S線P・T間線路建設工事のための借家権の譲渡は、最初に買取りの申出があった日から6か月を経過した日後に行われているので、租税特別措置法第33条の4の適用はないとした事例
裁決事例集 第47集 196頁
要旨
本件借家権の譲渡については、事業施行者からS線P・T間線路建設工事のための用地買収業務の委託を受けた業者の社員が、業務委託契約書及び委任状等を提示して、同工事のための借家権の買取りの申出を昭和63年6月21日に行っており、その後、事業施行者が事業を円滑に実施するために譲渡人を被告として建物の明渡しを求める訴訟を起こしたからといって、当該買取りの申出を撤回したということはできないので、平成3年5月15日に行われた本件建物の譲渡は、最初の買取りの申出のあった日から6か月を経過した日後に行われていると認められ、租税特別措置法第33条の4は適用されない。
要旨
リフティング・マグネットについて租税特別措置法第42条の7第1項の規定に基づく特別償却の適用が認められるためには、それが機械部品等のように単体として取引の対象となるというだけでは足りず、それ自体独立した機械及び装置といえる程度の固有の機能を有していることを要すると解されるところ、本件リフティング・マグネットは、クレーンに装着して使用されているものの、それ自体単体として取引され、かつ、電力を利用して単体として磁力を発生し、電磁石として、クレーンとは離れて固有の機能を有していることが認められるから、上記特別償却の適用があるものと解すべきである。
要旨
請求人は、リースにより賃借した本件各減価償却資産が、①剛性のある物体から構成されている、②一定の相対運動をする機能を持っている、③それ自体が仕事をする、という機械の判定要件である三つを満たすものであり、法人税法施行令《減価償却資産の範囲》第13条第3号に規定する「機械及び装置」に該当する旨主張する。
しかしながら、請求人の主張する三つの要素は、機械及び装置の一般的な要素とはいえるものの、法人税法施行令第13条第3号に規定する「機械及び装置」というためには、複数のものが設備を形成して、その設備の一部としてそれぞれのものがその機能を果たしていなければならないと認められるところ、本件各減価償却資産は、①検査、分析、判定、測定等を行うことにより、その工程が全て終了するものであること、②それ自体単体で個別に作動するものであり、他の機器と一体となって機能を発揮するものではないことなどの性質を有していることから、上記の要件を満たしているものということはできないので、同号に規定する「機械及び装置」には該当しない。
また、本件各減価償却資産は、それ自体で固有の機能を果たし、独立して使用されるものであるので、法人税法施行令第13条第7号に規定する「器具及び備品」に該当するが、租税特別措置法第42条の6《中小企業者等が機械等を取得した場合等の特別償却又は法人税額の特別控除》第3項の適用対象となる器具及び備品は、事務処理の能率化に資するものとして財務省令に定めるものに限定されているところ、本件各減価償却資産の機能からすれば、同項に規定する「器具及び備品」にも該当しないので、同項の規定は適用できない。
要旨
請求人は、ワラントの権利行使期間が徒過し失効したことによる損失(以下「失効損失」という。)について、ワラントを著しく低い価額で譲渡した場合の取扱い及び法人税法における損金算入との取扱いとの課税の公平から、他の株式等に係る譲渡所得の金額の計算上、取得費又は譲渡費用として控除すべきである旨主張する。
しかしながら、ワラントの失効とは、権利行使期間の徒過により、発行会社の株式を一定の条件で購入することのできる権利が消滅することであって、資産の譲渡には該当しないものであるから、ワラントの取得価額を他の株式等に係る譲渡所得の金額の計算上、取得費又は譲渡費用として控除することはできない。
また、所得税法には、法人税法の取扱いを準用する旨の規定はないことから、請求人の主張には理由がない。
要旨
請求人は、租税特別措置法通達39-14(代償金を支払って取得した相続財産を譲渡した場合の取得費加算額の計算)は、納税者に不利になる取扱いをするものであり、租税法規の解釈に反するものであるから、更正処分は取り消されるべきである旨主張する。
しかしながら、租税特別措置法第39条(相続財産に係る譲渡所得の課税の特例)は、相続により財産を取得した個人で納付すべき相続税額が算出された者が、相続税の課税対象となった財産を一定期間内に譲渡した場合には、相続税と所得税が課税され租税負担が重くなることから、譲渡所得の計算上、譲渡資産に対応する相続税相当額を取得費に準じて扱うことを目的として創設された制度の趣旨からすると、代償金を支払って取得した相続財産を譲渡した場合において、譲渡土地に対応する相続税相当額を上回る部分についてまで同条が認めたものではないと解するのが相当であるから、原処分庁の計算方法は、同条の規定の趣旨に即した合理的なものと認められる。
したがって、原処分庁が譲渡土地の譲渡に係る譲渡所得の金額の計算上、取得費の額に加算される相続税額の算定において、これに相当する代償金を控除した更正処分は適法である。
土地及び建物の一括譲渡契約において、その契約書の特約条項欄に土地及び建物の譲渡価額の記載があるとしても、本件建物の固定資産税の評価額が少額であって固定資産税も賦課されていないこと、本件建物の取得時及び譲渡時の取引先がいずれも本件建物の評価価値はない旨申述していること、請求人自ら確定申告において本件土地建物の取得価額を全額本件土地の原価の額としていること等から本件建物の譲渡価額は零円とするのが相当であるとした事例
裁決事例集 第49集 347頁
要旨
- 請求人は、課税土地譲渡利益金額の計算上、土地及び建物を一括譲渡した場合の土地の譲渡価額はその不動産売買契約書の特約条項欄に売買金額の内訳として記載されている土地及び建物の価格のうちの土地の価格であると主張するが、本件建物の固定資産税の評価額が少額であって固定資産税も賦課されていないこと、本件建物の取得時及び譲渡時の取引先がいずれも本件建物の評価価値は無い旨申述していること、請求人自ら確定申告及び修正申告において本件土地建物の取得価額を全額本件土地の原価の額としていることから本件建物の価額はないものと認められ、また、近隣の土地の売買実例からみて本件物件の譲渡価額の総額は本件土地の譲渡価額と認められ、不動産売買契約書の特約条項欄の売買金額の内訳として記載されている土地及び建物の価格は取引の真実を反映したものではないと認めるのが相当である。
- 本件土地の譲渡費用の算定について、請求人は、実額配賦法によって本件土地の譲渡に係る部分の金額を合理的に計算して申告したと主張しているが、租税特別措置法施行令第38条第8項及び第38条の5第4項の規定は、土地の譲渡等の全てについて支出する経費のうち、当該土地の譲渡等に係る部分の金額を合理的に計算することができるものにあっては、概算法に代えて実額配賦法により計算することを例外的に認めたものと解されるところ、請求人は、実額配賦法により算定した根拠を何ら示さないためそれによる方法が合理的か否か審理できないのであるから概算法により算定したことは相当である。
- 譲渡収益の一部を除外していたことについて、請求人は会計帳簿に正当に記帳さており隠ぺい又は仮装の事実はないこと、また、その除外した金員は代表者からの借入金の返済に充てたものであって代表者が個人的に費消したものではないと主張するが、本件物件について契約価額の違う2通の契約書を作成していること、除外した本件金員の一部を代表者個人の普通預金口座に入金していること、請求人の会計帳簿への記載はなく申告もしていないこと等の行為は国税通則法第69条第1項に規定する隠ぺい又は仮装に該当する。
また、請求人の代表者は、請求人の株式の80パ-セントを所有しており、その代表取締役として請求人を支配・管理していること、その地位を利用して本件金員を受領したと認められること、代表者から請求人に対し返金した事実はないこと等の事実から代表者が当該金員を費消したものと認めるほかはなく、原処分庁が本件金員を代表者に対する賞与と認定したことは相当である。
なお、源泉所得税の計算に当たって、代表者に対する賞与と認定した本件金員の支払確定日は、代表者が本件金員を受領した事実に応じ、現金受領日、代表者個人の普通預金口座に振り替えた日(入金した日)又は当該事業年度終了の日とするのが相当である。
地方税法附則第29条の5第1項に規定する長期営農継続農地として認定を受けた農地につき、その譲渡者が都市計画法に基づく開発行為の許可を受け、譲受者が当該許可を受けていない場合には、その譲渡は租税特別措置法施行令第20条の3第2項第1号に掲げる土地等の譲渡(租税特別措置法第31条の2第2項第4号に掲げる土地等の譲渡)に該当せず、特定市街化区域農地等を譲渡した場合の長期譲渡所得の課税の特例は適用されないとした事例
裁決事例集 第33集 161頁
要旨
本件譲渡は、長期営農継続農地を住宅建設の用に供される一団の宅地として造成するための譲渡であることは認められるが、その譲渡が租税特別措置法(昭和60年法律第7号による改正前のもの)第31条の2第2項第4号に規定する譲渡に該当するためには、その譲受人が開発許可を受けている者であることが要件とされているところ、本件土地について開発許可を受けた者は請求人自身であって譲受人ではない。したがって、本件譲渡は同号に規定する譲渡に該当しない譲渡であるから、特定市街化区域農地等を譲渡した場合の長期譲渡所得の課税の特例(同法第31条の3)が適用されないとして請求人の納付すべき税額を算定した更正は適法である。
要旨
請求人は、昭和54年11月に取得した本件家屋につき住宅取得控除が適用されるべきであると主張するが、本件家屋における昭和54年11月から昭和55年8月ころまでの電気、ガス及び水道の使用状況をみると、電気及びガスは全く使用されておらず、また、水道も極めて少量しか使用されていないこと、請求人は本件家屋に電話を架設しなかったこと及び請求人は本件家屋に居住していないとの近隣居住者の答述があることから、請求人が本件家屋をその取得の日から6か月以内に居住の用に供したとは認められないので、本件家屋につき租税特別措置法(昭和55年法律第9号による改正前のもの)第41条に規定する住宅取得控除の適用がないとした原処分は相当である。
要旨
原処分庁は、本件家屋は1階と2階の床面積が等しく、かつ、1階は居住用、2階は貸間用とされているので、敷地の利用割合も居住用部分、非居住用部分とも50パーセントずつと認定したが、[1]間借人の居住する2階部分から庭園観賞は困難であること、[2]間借人は庭を物置、物干し又は洗濯場として利用していないこと、[3]庭園があることにより賃貸料が他に比し高額になっている因果関係が認められないことから敷地のうち庭の部分は居住専用とし、残りの部分の2分の1を居住用とし、結局敷地の居住用部分の面積割合は64.5パーセントとするのが相当である。
居住用土地建物及び非居住用土地建物と一体で利用されていた私道を譲渡した場合において、当該私道の面積のうち租税特別措置法第35条に規定する特例の適用がある部分は、居住用土地及び非居住用土地の各面積を基にあん分により求めた面積とすることが相当であるとした事例(平成24年分の所得税の更正の請求に対してされた更正をすべき理由がない旨の通知処分及び過少申告加算税の賦課決定処分・一部取消し)
裁決事例集 第98集
要旨
請求人は、居住の用に供していた家屋(本件居住用家屋)の敷地(甲土地)のほか、甲土地に隣接する土地上にあった通路(本件通路)のうち4分の1に相当する部分にも、租税特別措置法第35条《居住用財産の譲渡所得の特別控除》第1項に規定する特例の適用がある旨主張する。
しかしながら、同項に規定する「居住の用に供している家屋の敷地」であるかどうかは、当該土地等が当該家屋と一体として利用されている土地等であったかどうかにより判定することが相当である。これを本件についてみると、本件通路は、本件居住用家屋のほか、本件通路に面している6棟の建物(本件各空家)の出入りにも必要な土地であり、現に、その出入りに利用されてきた土地であることから、本件居住用家屋及び本件各空家と一体で利用されていた土地であると認められる。そうすると、本件通路のうち租税特別措置法第35条第1項に規定する居住の用に供している家屋の敷地に該当していた部分は、本件通路を本件居住用家屋と本件各空家に対応する部分であん分した本件居住用家屋に対応する部分とすることが合理的であると認められる。そして、そのあん分に当たっては、本件通路は甲土地及び本件各空家の敷地への出入りに利用されていた土地であるから、甲土地及び本件各空家の敷地面積を基にあん分することが合理的である。したがって、請求人の主張は採用できない。
参照条文等
租税特別措置法第35条 租税特別措置法通達(山林所得・譲渡所得関係)31の3-12
要旨
得意先の従業員に対するコミッションについて、請求人は、現金仕入れ又は売上割戻金として処理していたが、本件コミッションの支払先は、得意先の担当者であって取引の相手である事業者そのものでなく、また、支払先の決定、支払金額の算出等についてはすべて請求人が任意に行っており、相手方は、この金員を請求する権利があったとは認められないから、交際費等として処理するのが相当である。
本件土地の譲渡は、代物弁済により譲渡した後買い戻して売却したもので、短期譲渡であり、代物弁済をした額が取得費の額であるとの請求人の主張に対し、代物弁済の事実は認められず長期譲渡であり、取得費の額は譲渡価額の100分の5であるとした事例
裁決事例集 第46集 70頁
要旨
請求人は、本件土地は、昭和59年2月1日に代物弁済により譲渡した後、平成3年12月5日に買い戻して譲渡したものであるから、本件土地の譲渡による所得は短期譲渡所得であり、本件土地の買戻し価額は取得費に該当する旨主張する。
しかしながら、請求人が融資を受けた会社との間で売買予約の締結か仮登記担保契約かが争いとなり、訴訟提起の上、和解により融資金額の確認と担保権確保のため各種登記が抹消されたという事実が認められ、代物弁済がされた事実はなく、所有権の移転はなされていない。また、請求人が代物弁済により譲渡したと主張する日以後においても本件土地を含む全土地の使用、収益、処分権は請求人に帰属していたと認められる。
したがって、本件土地について、代物弁済による譲渡及び買戻しの事実があったとは認められないから、本件土地の譲渡による所得は長期譲渡所得であり、本件土地の取得費の額は、租税特別措置法第31条の4の規定により、本件土地の譲渡価額の100分の5に相当する金額となる。
本件船舶の譲渡価額のうちには船舶建造引当権の対価の額が含まれており、当該船舶建造引当権の譲渡対価については、租税特別措置法第65条の7に規定する特定資産の買換えの特例の適用はないとした事例
裁決事例集 第39集 53頁
要旨
請求人は、船舶の譲渡価額は船体価額であって建造引当権の対価は含まれていないと主張するが、[1]内航海運業界では、船腹量調整のため船舶の解撤等を引当てに代替船の建造等を認める方式がとられ、建造引当権を売買の対象とする慣行があること、[2]請求人所在地近辺の取引実例5件では、建造引当権の対価が定められていること、[3]転売に係る譲受人の所持する売買契約書原本には建造引当権の特約があること、及び[4]船舶を建造した造船所及び譲受人の答述を総合すれば、本件船舶の譲渡価額には、建造引当権の対価の額が含まれていることが認められ、その対価は、租税特別措置法(昭和59年法律第6号による改正後のもの)第65条の7“特定の資産の買換えの場合の課税の特例”に規定する特定の資産の買換えの特例の対象とはならず、したがって、同法第65条の8“特定の資産の譲渡に伴い特別勘定を設けた場合の課税の特例”に規定する特別勘定の金額のうち上記建造引当権の対価の額に相当する繰入限度超価額を益金の額に算入した原処分は相当である。
海外子会社から○○用器具を購入する審査請求人の取引について移転価格税制を適用し、当該取引は利益分割法により算定した独立企業間価格で行われたものとみなされるとしてされた更正処分等は適法であるとした事例
裁決事例集 第73集 376頁
要旨
本件審査請求における各争点については、次のとおりであるが、当審判所の調査によれば、移転価格税制を適用すべき取引は、原処分と異なり、平成13年3月期の「b製品」並びに平成14年3月期の「a製品」、「b製品」及び「d製品」の各取引のみと解するのが相当である。
しかしながら、当該各取引に係る当審判所認定の国外移転所得金額は、いずれの事業年度も原処分額を上回ることとなるから、本件更正処分は適法というべきである。
租税特別措置法関係通達66の4(4)-1は、利益分割法において分割対象とされる租税特別措置法施行令第39条の12第8項第1号に規定する「所得」は、原則として、売上総利益や当期純利益ではなく、事業活動の直接の結果を示す営業利益を用いることが合理的であることを明らかにしたものであって、営業損失を分割の対象から排除すべきか否かについて直接言及したものではない。当該所得とは、本件国外関連取引に参加したすべての関連者に生じた当該取引に係る損益(原則として営業損益)の総和をいうと解するのが相当であり、当該所得には、営業損失も含まれるというべきであり、請求人の主張は採用できない。
また、財務会計上、為替相場の変動による所得とは、取引発生時と決算時又は決済時という2つの時点における為替相場の変動による換算レートの差から算出されるいわゆる為替差損益をいうのであり、財務会計上の営業外損益に属するものである。これに対し、請求人の予算レート(予算策定や事業計画を立てる際に使用するためにあらかじめ定めた円換算レート)と社内レート(外貨建取引を会計帳簿に記録する際の円換算レート)との差により算出される金額は、営業外損益となる為替差損益などではなく、当該所得に含まれるもの(当該所得の計算において除外すべきものではない)というべきであり、請求人の主張は採用できない。
L部門に属する本件国外関連取引とM部門に属するC研究所の業務内容とは、事業セグメントを異にするというべきであり、同研究所の販売費及び一般管理費は、利益分割法の適用に当たり、本件国外関連取引に関連して支出された費用とみるべきではなく、原処分庁の主張は採用できない。
一方、D研究所の研究開発業務には、L部門に属する業務が含まれていたものと認められ、同研究所の販売費及び一般管理費は、利益分割法の適用に当たっては、本件国外関連取引に関連して支出された費用とみて、分割対象利益及び分割要因を計算することが相当であるから、請求人の主張は採用できない。
要旨
請求人は、本件土地に係る貸借は民法に規定する使用貸借ではないから、租税特別措置法第70条の6第7項に規定する相続税の納税の猶予に係る期限の確定事由には当たらない旨主張し、一方、原処分庁は、農業委員会からの「農地等の異動事実の通知書」を原処分庁が収受した日が使用貸借のあった日である旨主張する。
しかしながら、請求人の主張には理由がなく、また、収受した日をもって本件土地につき使用貸借があった日とすることには何ら根拠がないことであるといわざるを得ないから、この点に関する原処分庁の主張は採用できない。
そこで、当審判所は倉庫の建築工事に着工した日に使用貸借の設定があったものと認定し、その認定した猶予期限に基づき利子税の額を計算すると、その額は本件督促処分に係る利子税の額に満たないことになるから、原処分はその一部を取消すべきである。
特定の資産の買換えの課税の特例を適用した船舶の譲渡契約に係る対価の額には、内航貨物船に係る建造引当権が含まれており、当該建造引当権の対価の額につき買換えの特例が適用されないとした事例
裁決事例集 第50集 202頁
要旨
- 請求人は、原処分庁が認定した建造引当権の対価の額は、推定であり根拠とならず、また、高額である旨主張するが、[1]内航海運業界では、建造引当権を売買の対象とする慣行が存在し、その取引相場に基づき売買されていること、[2]取引実例による1重量トン当たりの建造引当権は、いずれも認定額を上回っていること、[3]解撤業者から請求人の代表者の口座へ別途船体に係る購入価額に相当する対価の額が振り込まれており、本件譲渡契約には船体は含まれていないと認められることから、建造引当権の対価の額につき原処分庁の認定は、相当である。
- したがって、建造引当権の対価の額に相当する金額につき、特定の資産の買換えの課税の特例を適用できないとした原処分は相当である。
要旨
租税特別措置法(昭和57年法律第8号による改正前のもの)第63条は、破産宣告を受けた法人の破産管財人が換価のために行う土地の譲渡には適用がないと請求人は主張するが、同条の規定は、法人税の納税義務のあるすべての法人を適用対象としており、これら法人が昭和44年1月1日以後に取得した土地を譲渡した場合は、国、地方公共団体に対する譲渡等特別な場合を除いてすべて同条が適用されるところ、本件土地は破産会社が昭和45年10月31日に取得したものでその譲渡について上記の特別な場合に該当しないことから、本件土地の譲渡が同条の土地重課税の対象となることは明らかである。
租税特別措置法第25条第1項の規定の適用について、免税対象となる所得金額の計算方法が争われた事例(平成25年分から平成27年分の所得税及び復興特別所得税の各更正処分並びに過少申告加算税の各賦課決定処分・棄却)
裁決事例集 第110集
ポイント
本事例は、租税特別措置法第25条《肉用牛の売却による農業所得の課税の特例》第1項の規定の適用に当たり、売却損が生じた肉用牛を除外して免税対象飼育牛の売却に係る所得の金額を計算することは許されないとしたものである。
要旨
請求人は、租税特別措置法(平成29年法律第4号による改正前のもの)第25条《肉用牛の売却による農業所得の課税の特例》第1項に規定する課税の特例(本件特例)の適用に当たり、免税の対象となる事業所得の金額は、売却損の生じた免税対象飼育牛(売却損牛)を含めずに計算すべきである旨主張する。
しかしながら、同項の規定の文理に照らし、同項に規定する「その売却により生じた事業所得」の金額の計算上、売却損牛に係る収入金額及び必要経費を除外してこれを計算することが許容されていると解する余地はなく、したがって、当該事業所得の金額を計算するに当たっては、個々に売却損が生じたか否かにかかわらず、全ての免税対象飼育牛が対象とされるべきである。
参照条文等
要旨
請求人は、租税特別措置法第37条第3項に規定する届出(以下「本件届出」という。)をその提出期限までにしなかったことについては、やむを得ない事情があるとして、租税特別措置法第38条第8項の規定(以下「本件ゆうじょ規定」という。)により、譲渡所得の金額の計算について租税特別措置法第37条第3項の規定を適用すべきである旨主張する。
しかしながら、本件ゆうじょ規定は、確定申告書に租税特別措置法第37条第1項の規定を受ける旨の記載がなかった場合等においてやむを得ない事情があるときに、同項の規定の適用を認めることができる旨を定めたものであり、本件届出を提出期限までにしなかった場合のゆうじょ規定ではないから、たとえ、実質的には本件特例の適用要件を満たしているとしても、本件届出を期限までに行わなかった以上、本件特例の適用を受けることはできない。
租税特別措置法第66条の6に規定する特定外国子会社等の各事業年度の課税対象留保金額の計算上、特定外国子会社等が翌事業年度に行った中間配当の額を、当該各事業年度の未処分所得の金額から控除することはできないとした事例
裁決事例集 第65集 520頁
要旨
特定外国子会社等の各事業年度の課税対象留保金額の計算上、未処分所得の金額から控除される利益の配当等の額に当たるか否かは、当該各事業年度に係る利益の配当等の額であるか否かによるのであり、特定外国子会社等が行う利益の配当等の額が、どの事業年度の繰越利益から構成されるかによるのではない。
したがって、特定外国子会社等が翌事業年度に行った中間配当の額を、当該各事業年度の未処分所得の金額から控除することはできない。
租税特別措置法第69条の3“小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例”の適用に関し、構築物又は建物の敷地の用に供されていないとの理由、また、相当な対価を得て貸し付けられていない等の理由から、同条の対象となる宅地等に該当しないとした事例
裁決事例集 第49集 428頁
要旨
被相続人は、不動産賃貸を事業的規模で行っていたものであり、本件A物件(宅地)は砂利敷きの月ぎめ駐車場として貸し付け、また、本件B物件(宅地)はアスファルト敷きで、長女に賃貸していたので、いずれも、租税特別措置法第69条の3の規定により、小規模宅地等の特例の適用を認めるべきである旨請求人は主張する。
しかし、本件A物件については、砂利を敷設したのは10年くらい前であると認められ、平成5年現在、砂利は地中に埋没して土地の一部とみられる状態になっており、相続開始直前においても当該砂利敷きは構築物とはいえない状態になっていたと推認されるところから、構築物若しくは建物の敷地の用に供されていないので、事業の用に供されていたかどうかを判断するまでもなく小規模宅地等の特例の対象となる宅地等には該当しない。また、本件B物件については、長女に対する賃貸料が付近の通常の賃貸料に比し著しく低廉と認められるので、相当な対価を得て貸し付けられていたとはいえず、さらに、賃貸借契約書は存在せず、賃貸借期間の定めもなかったので継続的に貸し付けられていたとも認められないので、事業の用に供されていたとは認められないから、小規模宅地等の特例の対象となる宅地等には該当しない。
要旨
老年者の判定の基準となる合計所得金額には、長期譲渡所得の金額を含めるべきであることは、租税特別措置法第31条第3項第2号の規定により明らかであり、その規定に従っていない請求人の確定申告に係る課税標準について行った原処分は正当である。
課税土地譲渡利益金額の計算に関し、請求人が提出した物件調査等手数料及び外注工事費に関する関係書類は証拠として認められず、また、これらの支出先であるとする3社の経理事務は、いずれも請求人の本社事務所において請求人の経理課長の責任管理の下で行われている等から、物件調査等手数料及び外注工事費は、そのいずれも支払っていなかったと認めるのが相当であるから、土地等の譲渡原価としては認められないとした事例
裁決事例集 第48集 278頁
要旨
請求人は、課税土地譲渡利益金額の計算上、物件調査等手数料(「本件手数料」)及び外注工事費(「本件外注費」)を譲渡原価として認めるべきである旨主張するが、本件手数料及び本件外注費に関して異議調査時に提出された仕訳日記帳は、本件手数料及び本件外注費の発生のみを記帳したものであり、証拠としては認められない。さらに、本件手数料及び本件外注費の支払先であるとするA株式会社、B株式会社及び株式会社Cの経理事務は、請求人の本社事務所において、請求人の経理課長の責任管理の下で行われており、その会社印等も請求人の管理の下に保管されていることが認められる。
また、[1]本件手数料については、請求人が原処分庁に対して提出した売買契約書に記載されている仲介業者名は、請求人自ら記入したことを自認していることから、当該売買契約書は仲介業者の関与を裏付ける証拠とはならず、また、本件手数料に係る領収書は、請求人が審査請求後に初めて提出したものであること等から、支払を裏付ける証拠とはいえない。[2]本件外注費については、審査請求に至って提出された見積書及び工事図面に記載の有限会社Iは、昭和50年以降無申告で、所在地には存在した形跡が認められないこと及び土地の前所有者の申述等から、造成工事が行われたと認めるのは、あまりにも不合理である。
以上を総合して判断すると、本件手数料及び本件外注費は、いずれも支払っていなかったと認めるのが相当であるから、譲渡原価としては認められない。
請求人が主張する参考文献に漁業補償に係る租税特別措置法第65条の2所定の特別控除の記載がなかったこと、申告時期までに証明書が請求人に届かなかったことは、同条第5項に規定する「やむを得ない事情」に該当しないとした事例
裁決事例集 第65集 511頁
要旨
請求人は、租税特別措置法第65条の2に規定する所得の特別控除(以下「本件特別控除」という。)の適用ができる漁業補償金について、[1]請求人の関与税理士が参考とした文献に本件特別控除の記載がなかったこと、[2]申告期限までにその適用を受けるための証明書が届かなかったことから、その適用をせずに確定申告を行ったものであり、これらの事情は同条第5項に規定する「やむを得ない事情」に該当する旨主張する。
しかしながら、同条第5項に規定する「やむを得ない事情」とは、自然災害、人為的災害、交通途絶等の客観的に見て本人の責めに帰すことのできない事情をいい、個人的な事情はこれに該当しないと解されているところ、本件特別控除の申告記載などのない本件確定申告書を提出したのは、要するに、関与税理士が確認した文献に漁業補償に関する本件特別控除が記載されていなかったことをもって、漁業補償には本件特別控除の適用がないと軽信したことによるのであるから、このことは単に個人的な事情に過ぎず、また、請求人は、申告期限までに本件特別控除の適用を受けるための証明書の発行を請求すれば取得できる状態にあったものであり、それをしなかったのは請求人の責めに帰すべき事情である。
したがって、「やむを得ない事情」はないとして、本件特別控除の適用を認めなかった原処分は適法である。
請求人が取得した新規取得土地等の基準取得価額は、本件土地と造成工事とは一体として取引されたものであるから、本件土地と造成工事代金との合計額であり、また、本件土地の取得日は、造成工事が完了し宅地に地目変更された日であると認められるから、負債利子損金不算入期間の起算日は当該日の翌日であるとした事例
裁決事例集 第55集 391頁
要旨
請求人は、本件土地を取得し、その後、当該土地の造成工事を別の業者に依頼したものであるから、租税特別措置法第62条の2第3項第3号に規定する新規取得土地等の基準取得価額は、土地の代金のみである旨主張するが、[1]当該土地の譲渡法人及び造成業者等との契約内容等から判断すると、当該土地の開発・造成工事等の内容は、当該土地の売買契約時に既に具体化していたこと及び[2]本件土地代金を支払うとともに造成工事代金を造成工事を施工する前に支払ったのは、譲渡法人の事情及び譲渡法人からの指示により行われたことなどから、当該土地と造成工事とは一体として取引されたものと認められるため、基準取得価額は土地代金と造成工事代金との合計額である。
また、請求人及び原処分庁は、本件土地は平成4年3月31日受付で同日の売買を原因として所有権移転登記を経由していることなどから、同日を新規取得土地等の取得日とし、平成4年4月1日から平成5年3月31日までの事業年度について負債利子の損金不算入期間を平成4年4月1日から平成5年3月31日までの12月としているが、新規取得土地等を取得した日とは、当該土地等の引渡しを受けた日であると解されているところ、上記[1]及び[2]の事実並びに造成工事期間は、開発行為の許可を受けた平成4年8月27日から検査を受けた同年12月21日までの期間と認められること及び同年12月21日に宅地に地目変更されていることなどから、請求人は造成工事が完了し宅地に地目変更された平成4年12月21日に本件土地の引渡しを受けたものと認められるため、負債利子の損金不算入期間は、平成4年12月22日から平成5年3月31日までの3月となり、原処分はその全部を取り消すべきである。
請求人が経営する診療所の勤務医を診療協力として別病院の診療に従事させたことに伴い当該別病院から支給を受ける協力金は、措置法第10条の5の3第2項第3号(雇用者等給与支給額が増加した場合の所得税額の特別控除)括弧書きに規定する「その給与等に充てるため他の者から支払を受ける金額」に該当するとした事例
裁決事例集 第120集
ポイント
本事例は、請求人が雇用する勤務医に対して、(賞与を支給する定めがないにもかかわらず)給与とは別に診療協力回数に応じて支給していた賞与が、租税特別措置法(平成29年法律第4号による改正前のもの)第10条の5の3《雇用者給与等支給額が増加した場合の所得税額の特別控除》(本件特別控除)に規定する「その給与等に充てるため他の者から支払を受ける金額」に該当すると判断したものである。
要旨
原処分庁は、請求人が経営する診療所に勤務する医師(勤務医)を診療協力として別病院の外来患者の診療に従事させたことに伴い当該別病院から請求人が支払を受ける協力金(本件協力金)について、①当該別病院が委託費として経理処理していること、また、②当該別病院の経理担当者が「勤務医の給与に充てるために(請求人に)支払ったものではない」旨証言していることを理由に、本件特別控除に規定する「その給与等に充てるため他の者から支払を受ける金額」に該当しないから、請求人は本件特別控除の適用を受けることができない旨主張する。
しかしながら、請求人と勤務医との雇用契約に賞与を支給する定めがないにもかかわらず、請求人が勤務医に対して当該診療協力の回数に応じて賞与を支給していたことは、当該勤務医が診療協力に従事し、本件協力金の支払を受けたために他ならないことから、本件協力金は、勤務医に対する賞与に充てるために当該別病院から支払を受けたものと認められる。
したがって、本件協力金は、租税特別措置法第10条の5の3第2項第3号括弧書きに規定する「その給与等に充てるため他の者から支払を受ける金額」に該当する。
要旨
請求人は、譲渡した本件土地に所在していた本件家屋は居住を目的とした財産であり、租税特別措置法第36条の6及び同法第36条の2の適用要件を満たしている旨主張する。
しかしながら、本件家屋の電気及び水道の各使用料が僅少であること、請求人の通勤届けが本件家屋以外の家屋(家族の居住家屋)の所在地からであること、本件土地に係る境界確認書等の書類には、本件家屋以外の家屋(家族の居住家屋)の所在地を記載してあること、本件家屋の近隣住民が請求人は本件家屋には住んでいなかった旨答述していること、から、本件家屋は、請求人が生活の本拠として居住の用に供していたものとは認められず、租税特別措置法第36条の6及び同法第36条の2の規定を適用することはできないとした。
譲渡された家屋は電話の架設状況等からみて生活の本拠として居住の用に供していたものと認められるから租税特別措置法第35条第1項に規定する居住用財産に該当するとした事例
裁決事例集 第27集 256頁
要旨
請求人は本件家屋のほか居住可能なマンションを所有していて請求人の生活環境や電気等の使用実績からみてそのいずれも住居として利用していたと推認することができるが、[1]昭和52年夏ころマンションから本件家屋に生活用品等の搬入をしていること、[2]同年8月2日マンションに架設していた電話を本件家屋に移設していること、[3]請求人が官公署に提出した文書には本件家屋の所在地を住所として記載しており文書の送達受領にそごを生じたことがないこと、[4]マンションを譲渡した際、その譲渡に係る所得税の確定申告において租税特別措置法第35条の規定の適用を受けていないこと等から、本件家屋を生活の本拠としていたと認められ本件物件の譲渡は租税特別措置法(昭和57年法律第8号による改正前のもの)第35条第1項に規定する居住用財産の譲渡に当たる。
要旨
本件家屋に隣接する家屋が市に買収され、本件家屋だけでは手狭になったため、転勤による帰郷後、本件家屋に居住しなかったものであり、買収されなかったとすれば当然に本件家屋に居住したものであるから、本件家屋は居住用財産に該当すると主張するが、本件家屋を生活の本拠に利用することなく他に賃貸していた以上、本件家屋は居住用財産に当たらないとした原処分は相当である。
賃貸料として6か月分相当額を一括計上しているが、賃貸は一時的なものにすぎず、相当の対価を得て継続的に行う事業に準ずるものに該当しないとして、租税特別措置法第37条第1項の適用を認めなかった事例
裁決事例集 第61集 337頁
要旨
請求人が、事業用資産と主張する本件土地は、Q社との賃貸借契約日からわずか3週間足らずでK社に譲渡の意思表示をしている事実、さらには賃貸借期間を1年としたことについて、賃貸条件を1年ごとに更新するためのものである旨の請求人の主張を裏付けるに足りる証拠も認められないことを総合勘案すると、当該土地の賃貸は一時的なものにすぎず、相当の対価を得て継続的に行う事業に準ずるものに該当するとはいえないから、本件土地の譲渡所得の金額の計算において、租税特別措置法第37条第1項の適用は認められない。
要旨
請求人は農地の譲渡に当たり、その売買契約に先立って、当該農地を埋立造成した上で譲渡する旨の念書を譲受人に差し出しており、その時点では間違いなく農地であり、かつ、その造成も土地の形質変更を伴うような性格のものでなく引渡しまでの期間も短期間であるので、事業の用に供している資産の譲渡と認め、事業用資産の買換えの特例の適用を認めるのが相当である。
要旨
請求人は、原処分庁が請求人とP国国外関連者との使用許諾取引(以下「本件国外関連取引」という。)には比較対象取引が存在せず、基本三法と同等の方法が適用できないとして残余利益分割法と同等の方法により独立企業間価格を算定したことについて、請求人とQ国非関連者との間における使用許諾取引(以下「本件比較対象取引」という。)は、本件国外関連取引と使用許諾に係る製品種別及び技術が同種であり、また、使用許諾に係る条件に差異はあるものの、実質的に同様の状況にあるか、当該差異がロイヤルティ率に影響を及ぼすと結論付ける合理的な理由はないことから、これを比較対象取引として「独立価格比準法と同等の方法」を適用することができる旨主張する。
しかしながら、無形資産の使用許諾取引に「独立価格比準法と同等の方法」を適用する場合の比較対象取引の選定に当たっては、使用許諾に係る無形資産が「同種」であり、かつ使用許諾の時期、使用許諾の期間等の使用許諾に係る条件が「同様」であることが要件であるところ、本件国外関連取引と本件比較対象取引については、使用許諾に係る無形資産は「同種」であるが、①使用許諾開始時期、②使用許諾期間、③独占許諾・非独占許諾の許諾条件、④技術者派遣の有無及び⑤販売地域という使用許諾に係る条件が契約上も実態上も明らかに異なっているものと認められる。そして、本件においては、技術者派遣の有無、許諾条件の相違、許諾期間の制限の有無など、使用許諾に係る条件の差異が明らかに認められ、これらの差異は独立企業間価格(ロイヤルティ率)に影響を及ぼすものであり、その差異による具体的な影響額を調整することもできないものと認められることから、本件比較対象取引を使用して「独立価格比準法と同等の方法」を適用することはできない。
参照条文等
租税特別措置法第66条の4第1項、第2項 租税特別措置法施行令第39条の12第1項、第8項 租税特別措置法関係通達66の4(2)-1、66の4(2)-2、66の4(4)-1、66の4(4)-5、66の4(6)-1、66の4(6)-6
仮換地の指定変更は、土地区画整理事業の遂行の必要性から行われたものではなく、私人間の仮換地の交換に基づく指定変更願により行われたものであるから、租税特別措置法第33条の3の規定の適用はないとされた事例
裁決事例集 第50集 111頁
要旨
請求人は、租税特別措置法第33条の3(換地処分等に伴い資産を取得した場合の課税の特例)は、個人が、その有する土地などにつき土地区画整理法による土地区画整理事業が施行された場合において、当該土地等に係る換地処分により土地等を取得したときは、換地処分により譲渡した土地等の譲渡はなかったものとみなす旨規定しているところ、本件仮換地の指定変更は、土地区画整理審議会の委員から公共性のあるもので、所得税の課税関係は生じないと言われて行ったものであり、土地区画整理事業の終了しない段階で行われたものであるから、租税特別措置法第33条の3の規定により譲渡はなかったとみなされるべきであると主張する。
しかしながら、本件仮換地は指定後10数年の間、特に問題もなく請求人の自動車板金業の敷地として使用されていたものであり、本件仮換地の指定変更は、事業施行者が土地区画整理事業遂行上の必要性から働きかけたものではなく、請求人とF社との間における仮換地が事実上付帯した従前地の交換契約を実現するために行われたものと認められるところ、租税特別措置法第33条の3の規定は、土地区画整理事業施行地内であっても、土地区画整理事業の遂行とは直接関係のない土地等の交換契約を実現するための本件指定変更のようなものまでも、譲渡がなかったとみなす規定ではなく、請求人の主張は採用できない。
要旨
請求人は、請求人の所有する建物及び固定給油設備等(以下「本件建物等」という。)は請求人が営むガソリンスタンドの敷地と一体として使用していたものであり、租税特別措置法(以下「措置法」という。)第64条第2項第2号に規定する「その土地の上にある資産」として取り扱われるべきであるから、土地収用法に定める事業である道路拡幅工事(以下「本件事業」という。)に基因して取得した本件建物等の移転等補償金(以下「本件物件移転等補償金」という。)は、本件特例の対象となる旨主張する。
しかしながら、土地収用法等の規定によって強制的に収用等をされる資産は、原則としてその資産を収用することができる公共事業の用に直接供されるものに限られるところ、本件特例が、収用等をされる土地の上にある資産の取壊し又は除去が土地の収用等と同じ性格のものであり、収用等に準じて課税の特例を認めることが相当であるとの趣旨から、資産の取壊し又は除去であっても、同号に規定する土地の上にある資産について収用等による譲渡があったものとみなし、土地の収用等の場合と同様の課税の特例を認めることとしていることからすれば、同号に規定する「その土地の上にある資産」とは正に収用されることとなる土地自体の上にある資産をいうものと解するのが相当であり、このことは文理上も明らかである。また、租税特別措置法関係通達64(2)-8及び64(2)-9は、公共事業施行者の補償の仕方いかんにより課税上の差異が生じることのないよう措置法第64条第2項第2号の規定との課税の公平を図る趣旨から定められたものであることからすると、同通達64(2)-8に定める「当該土地等の上にある建物又は構築物」も、同通達64(2)-9の対象となる「機械又は装置」も、ともに措置法第64条第2項第2号に規定する「その土地の上にある資産」と同様、収用されることとなる土地自体の上にある物件をいうものと解するのが相当である。そうすると、本件物件移転等補償金は、本件事業用地の地域外に存する資産の移転に要する費用等を補償したものであり、収用されることとなる土地の上の資産について補償したものではないから、本件特例の対象となる補償金に該当しないことは明らかであり、請求人の主張には理由がない。
要旨
請求人は、租税特別措置法第65条の7の解釈及びその立法趣旨から、建物を譲渡し土地を取得した買換えの場合に本件特例が適用される旨主張する。
しかしながら、租税特別措置法第65条の7第2項は、同条第1項の規定を適用する場合の条件を加重的に定めたものであり、第1項に定める表の区分ごとに、買換資産である土地等のうち、譲渡資産である土地等の面積の一定割合を超える部分の面積に対応するものは、買換資産に該当しないものとされている。そうすると、譲渡資産に土地等がない買換えの場合には、譲渡資産である土地等の面積は零となるので、買換資産である土地等のすべての面積が、譲渡資産である土地等の面積の一定割合を超える部分の面積に該当して買換資産に該当しないこととなる。
この解釈は、国土政策に反する不要不急の土地の取得や仮需要の抑制を図り、不要の土地取得を制度上認めないという租税特別措置法第65条の7第2項の立法趣旨にも沿うものである。
既存住宅の共有持分の追加取得は、租税特別措置法第41条“住宅の取得をした場合の所得税額の特別控除”第1項に規定する「既存住宅」の取得に当たるとした事例
裁決事例集 第39集 505頁
要旨
共有持分権は一個独立の所有権たる性質を有するものであって、通常の所有権と同じく目的物を使用・収益・処分する権能を持つものと解されるから、居住の用に供する家屋の共有持分の取得は住宅取得特別控除制度が適用される「既存住宅の取得」に当たると解するのが相当である。共有持分権の取得は既存住宅の取得に当たらないとする原処分庁の主張の趣旨は、同制度が持家促進の目的から設けられた立法趣旨に照らし相当でないということにあるとうかがわれるが、昭和58年の租税特別措置法の一部改正により持家居住者が既存住宅を取得した場合にも同制度の適用を認めることとされた法改正の経緯からみて、上記のとおり解したとしても、その立法の趣旨に反するものとまではいえない。すなわち、既に居住用家屋を有する者が他の居住用家屋を2以上取得することとなる場合のほかは租税特別措置法第41条の適用が認められるものであることから、既に居住用家屋の共有持分を追加取得した場合であっても、同居している夫婦間又は親子間におけるように居住状態の変化の伴わない売買であればともかく、かかる事情がうかがわれない本件にあっては同条の適用があるものと解するのが相当である。
本件土地の取得価額とともに借入金の利子を建設仮勘定に計上しており、新規取得土地等に係る負債の利子の課税の特例の適用上損金不算入金額はないことから、以後の事業年度における累積損金不算入額もないとした事例
裁決事例集 第60集 469頁
要旨
請求人は、本件各事業年度において本件土地の取得価額とともに本件建設仮勘定等に含めて計上していた本件借入金利子の額を、措置法第62条の2(本件特例)を適用して、その後の事業年度である本件事業年度の損金の額に算入すべき旨主張する。
しかしながら、本件特例による累積損金不算入額の適用に当たっては、本件各事業年度及び本件事業年度の確定申告書に本件特例の適用に関する明細書の添付が必要であるところ、請求人の確定申告書にはその明細書の添付がなく、また、その添付がないことについてやむを得ない事情も認められない。
さらに、本件土地は本件特例の対象となる新規取得土地等に該当するのであるが、本件各事業年度において、本件借入金利子の額は損金の額に算入されないで本件建設仮勘定等の資産勘定に計上されていることから、本件各事業年度における本件特例による負債利子の損金不算入額を計算すると、いずれの事業年度においても損金不算入額は算出されず、累積損金不算入額も零円となることから、本件事業年度において本件特例により損金の額に算入される累積損金不算入額もないことになる。
したがって、本件建設仮勘定等に計上していた本件借入金利子の額について、本件事業年度において本件特例を適用して損金の額に算入することはできない。
要旨
請求人は、本件土地の実質的な買主はX社であるから、租税特別措置法第31条の2(優良住宅地の造成等のために土地等を譲渡した場合の長期譲渡所得の課税の特例)第2項第9号に該当する。仮に、本件土地の買主がW社であったとしても、同社が同号に規定する優良住宅を建設しなかったことについて請求人には何ら瑕疵がないので、同条が適用されるべきである旨主張する。
ところで、租税特別措置法第31条の2第2項第9号は、優良住宅の建設を行う個人又は法人に対する土地等の譲渡で、当該土地等が優良住宅の用に供されるものと、また、同号括弧書には、優良住宅の建設を行う法人として「当該建設を行う法人の合併による消滅により当該建設に関する事業を引き継いだ合併法人が当該建設を行う場合には、当該合併により消滅した法人又は当該合併法人」を含む旨規定されている。
- 原処分関係資料及び審判所の調査したところによれば、次の事実が認められる。
- 請求人は平成5年9月3日の契約に基づき売買代金2億6,965万円をW社から、W社は平成5年12月20日の契約に基づき売買代金2億6,262万円をX社から受領していること。
- 請求人は、本件土地の売主を請求人、買主をW社としてP市長に国土利用計画法の届出をし、平成5年9月3日の契約の残金受領時に登記済権利証等をW社に渡した旨答述していること。
- X社の担当者は、本件土地についてW社と平成5年12月20日に売買契約を締結し、即日決済したが、請求人と交渉したことはない旨答述していること。
- W社とX社が合併した事実はないこと。
- 以上の事実によれば、本件土地の買主であるW社が、当該土地をX社に転売していることから、請求人の本件土地の譲渡は、租税特別措置法第31条の2第2項第9号に規定する特例適用要件を欠くこととなるので、本件更正処分は適法である。
本件譲渡価額には、組合の事業地を安価で取得する権利(本件譲受権)の対価の額が含まれ、当該権利は譲受けの場所及び買受価額は予定されているものの、あくまでも譲受けの予約であって、まだ売買契約の締結もなされていないこと等から、土地又は土地の上に存する権利には当たらないとした事例
裁決事例集 第43集 507頁
要旨
請求人が和解に応じた理由は、本件土地の競売により事業継続が困難になり、寄託者との約定の履行ができなくなるためであり、請求人の債権者にとっても本件土地の競売代金のみでは債権の回収が図れないことから、本件土地のほかに、本件譲受権も譲渡の対象としたものと認めるのが相当である。
本件譲受権は、組合から取得した債権であり、譲受けの場所及び買受価額は予定されているものの、あくまでも譲受けの予約であって、まだ売買契約の締結もなされていないこと等から、土地又は土地の上に存する権利には当たらないと解される。
なお、本件譲受権の対価の額は、譲受予定地に係るP組合の坪当たり処分予定価額と請求人と組合との覚書による請求人の購入予定価額との差額によって予想される販売粗利益の額とみれるから、それを下回る寄託金返済債務額を本件譲受権の対価の額とした請求人の主張は認めるべきである。
法人税法施行令第137条は「土地の使用の対価として相当の地代を収受しているときは、当該土地の使用に係る取引については正常な取引条件でなされたもの」と規定しているが、租税特別措置法第69条の3第1項の適用に当たっては、実際の支払地代により判断すべきであるとした事例
裁決事例集 第54集 481頁
要旨
租税特別措置法第69条の3第1項に規定する被相続人の事業について、租税特別措置法施行令第40条第1項は「事業と称するに至らない不動産の貸付けその他これに類する行為で、相当の対価を得て継続的に行うものを含む」旨規定しており、この場合の「相当の対価を得て」とは、貸付等の用に供している資産の賃貸料が、貸付等の用に供している資産の固定資産税その他の必要経費を回収した後において、相当の利益を生ずるような対価を得ていることと解され、相当の対価を得ていたかどうかについては、相続開始の直前において、相当の対価を現実に得ていたかどうかという客観的事実により判断するものと解される。
また、法人税法施行令第137条の規定及び法人税基本通達13-1-2及び13-1-7の取扱いは、いずれも法人が借地権の設定により他人に土地を使用させた場合の規定等であることから、これらの規定等は本件宅地の貸付けに関して適用することはできない。
海外のF島に本店を置くG社が、0%から30%までの間の税率を選択できる制度を利用して26%の税率を選択して納付したF島の法人所得税については、法人税法第69条第1項に規定する外国法人税に該当せず、G社は租税特別措置法第66条の6第1項に規定する特定外国子会社等に該当するとした事例
裁決事例集 第72集 463頁
要旨
法人税法第69条第1項に規定する外国法人税の意義に照らして、G社が納付したF島の法人所得税(以下「本件法人所得税」という。)について審理したところ、次の①から③のとおり、本件法人所得税は当該外国法人税に該当せず、G社は租税特別措置法第66条の6第1項に規定する特定外国子会社等に該当すると解される。
① G社は、免税を選択すれば納付しなくてもよいこととなるものを、あえてF島当局に26%の税率の適用申請をして納付したということができ、本件法人所得税は極めて任意性の強い支出であり、また、発生の避けられない国際的二重課税の排除を目的とした外国税額控除制度の予定する外国法人税とはいえないものというべきである。
② 本件法人所得税は、税率を納税者側で選択してF島当局に申請して承認を受けるものであり、同一の所得に対して同一の税額が算出されるものではないため、納税者間の画一性(公平性)を維持するための強行性を維持するものであるとはいえず、我が国の法人税に相当する税の範疇を逸脱したものと認められる。
③ 本件法人所得税の納付の選択には、タックスヘイブン対策税制の適用(課税)回避以外に合理的理由がないと認められ、タックスへイブン対策税制の適用(課税)回避に資する本件法人所得税は我が国の租税本来の概念とは大きく乖離したものといえ、また、当該F島の税制はタックスへイブン対策税制の適用(課税)の回避を支援する国際的にも有害な税制であるとされていることからみても、このようなものを我が国の法人税に相当する税として取り扱うことは、税負担を著しく害するものとして許されないというべきである。
要旨
本件株式は、請求人がD証券株式会社からA証券B支店に現物を持ち込み、保管委託されていたものが、特定口座の開設とともに同口座に移管されたものであるから、受入非特定上場株式等に該当し、本件株式の譲渡所得の計算上控除される取得価額は、みなし取得価額となる。
請求人は、実際の取得価額が認められないとすれば、当該譲渡により損をしているのに税金を支払わなければならず酷であるとして、みなし取得価額が適用される上場株式について実際の取得価額により所得計算をすべきである旨主張する。
しかしながら、請求人は自ら特定口座により株式等の譲渡所得の計算をすることを選択しているところ、A証券B支店は、特定口座の開設時に請求人に対し受入非特定上場株式等の取得価額がみなし取得価額になるということを説明しており、請求人は、本件株式の取得価額がみなし取得価額の適用を受けることを十分に知りえる状況にあったものと認められ、また、A証券は、平成16年末を期限に実際の取得価額への見直しが可能であるとして請求人に対し再点検をするよう通知していたにもかかわらず、請求人は、取得価額の見直しの申出を行っていないことが認められる。
これらの事情に照らせば、本件株式の譲渡所得の計算上、実際の取得価額が認められないからといって、酷であるとは認められないから、請求人の主張は採用できない。
租税特別措置法第45条に規定する「新設又は増設に係る減価償却資産の取得」とは、その法人の生産量等が具体的な増加に結びつく工業用機械等の取得であるとした事例
裁決事例集 第43集 488頁
要旨
租税特別措置法第45条の立法趣旨は、同条第1項の表に規定する地域内で一定規模以上の設備投資をした場合には、税制上、租税の一部を軽減することにより設備投資の導入あるいは振興開発を行い、低開発地域工業開発促進法等の政策目的である工業の開発、導入あるいは振興開発を行い、もって、雇用の増大、雇用構造の高度化、住民福祉の向上等に寄与し、地域経済の発展に資することにあるから、同条の「新設又は増設に係る減価償却資産の取得」とは、その法人の生産量等が具体的な増加に結びつく工業用機械等の取得であると解するのが相当である。
請求人は、既に賃借により事業の用に供していた本件工業用機械等を取得したもので、その後工場の増築等に伴うレイアウトの変更及び機械等の据付位置の移動が認められるにしても、本件工業用機械等の取得により生産量等に実質的な増加があったとは認められない。したがって、本件工業用機械等は、租税特別措置法第45条に規定する資産の取得には該当しない。
要旨
請求人は、自己の経営するドライブインに駐車する観光バスの運転手等に対する「心付け」を駐車誘致費として損金に算入しており、これを交際費等と認定した原処分は違法であると主張するが、観光バスの運転手等がドライブイン等に立ち寄るのは走行の安全性の確認と観光客の便宜を図る運転手等の本来的任務の遂行そのものであって、当該運転手等が請求人の経営するドライブインに駐車したことにより、そのドライブインにおける商品の販売料が増加し経済的効果があったとしても、それは観光バス等の駐車に伴う副次的効果にすぎず、「心付け」は請求人に対する特定の役務の提供に対する対価とは認められないから、これを運転手等への報酬又は手数料であるとする請求人の主張は認め難い。また、運転手等は、観光バス会社等の指示に基づき請求人の経営するドライブインに観光バスを駐車誘致した者であるから請求人の事業に関係のある者に該当し、当該「心付け」は駐車誘致行為に対する運転手等への謝礼すなわち贈答に該当するから、これらは租税特別措置法第62条第4項に規定する交際費等となる要件に該当することは明らかであり、これを交際費等と認定した原処分は相当である。
請求人がJ社から受領した金員は、請求人及びJ社を含む5社が各1,300万円を出資して構成した本件共同体(民法第667条の組合)が、土地等の譲渡をして得た譲渡益の分配金であるから、その構成員たる請求人が本件共同体から受領すべき金額は請求人の土地等の譲渡益であり、また、当該土地等の取得から譲渡までの期間は2年以下であるから、租税特別措置法第63条の2に規定する超短期所有に係る土地等の譲渡利益に該当するとした事例
裁決事例集 第51集 429頁
要旨
- 本件共同体は、本件土地等の取引のために5社が各1,300万円を出資していること、5社のうち請求人を除く4社は本件土地等の取引を共同事業として認識していたこと、請求人の代表者も出資目的が本件土地等のリゾート開発事業のためであることを認めていること等を併せ考えると、本件土地等の取引について共同事業を営む旨の合意があったと認められるから民法第667条に規定する組合に該当する。また、請求人は、その構成員であると認めるのが相当である。
- 本件金員は、本件共同体により行われた本件土地等の譲渡による譲渡代金30億3,676万円(内砂代金6億円)のうち、請求人が受け取るべき金額6億666万円(内砂代金1億2,000万円)に係る利益の分配金である。
- 本件土地等の取得の日については、本件取得契約書上、土地等の代金の決済期日を昭和62年5月末日とし、引渡しは所有権移転登記申請手続及び売買代金授受の完了後遅滞なく当事者立会いの上これを行う旨定めており、現実には平成元年2月15日に所有権移転登記又は所有権移転請求権仮登記がされていること、売買代金の支払が平成元年2月27日に完結していること、本件清算書上も同日が取得日と記載されていること、請求人を除4社はいずれも同日を取得日と認識していたこと等の事実から、平成元年2月27日に本件土地の取得等があったものと認められる。
また、その譲渡の日については、本件共同体が本件売却契約書の日付である平成2年3月6日に買主との間で土地等の代金の授受が行われたものであるから同日が譲渡の日であると認められる。
そうすると、本件共同体による本件土地等の所有期間は2年以下となるから、租税特別措置法第63条の2(超短期所有に係る土地の譲渡等がある場合の特別税率)に規定する超短期所有に係る土地等の譲渡に該当する。 - 本件土地等の譲渡代金のうち請求人が受け取るべき金額6億666万円のうち砂代金1億2,000万円については、本件共同体において、本件砂が現に採掘・精製されたものであり、本件土地から分離された別個の売買の対象とされていると認められること、また、砂利採取業者に周知されている取引価格に基づいて決定された陸砂の1立方メートル当たりの単価に本件砂の体積を乗じて算定された6億円のうちの請求人の収受すべき金額であることから本件土地等の譲渡代金6億666万円から控除するのが相当である。
そうすると、4億8,666万円が土地の譲渡価額となる。
要旨
原処分庁は、譲渡した本件宅地につき、[1]市販の住宅地図には「○○商店」と表示されており、また、固定資産課税台帳によれば、本件宅地上にあって譲渡時に取り壊した本件家屋は「居宅兼店舗」とされていること、[2]本件宅地には、鉄くずが落ちないように鉄さくが張られ、また、物干場兼物置には、商品が置かれていたこと、[3]本件宅地内に営業用のトラックを駐車していたことから、その一部は請求人の事業の用に供されていたものと認められると主張するが、[1]請求人は本件宅地の周囲の土地を商品置場として借り受け古物業の営業を行っていたが、昭和47年からは現住所地にその営業を移していること、[2]本件家屋に店舗等事業の用に供し得るとみられる部分はなく、また、本件宅地には本件家屋のほか、庭石、庭木等も存したことが認められ、本件宅地の一部を事業の用に供したとするには無理があること、[3]件宅地に鉄さくを張り、商品を置いた事実はなく、また、昭和56年11月以降においては、トラックの駐車場としていた事実はないことから、本件宅地はすべて居住用財産に該当すると認めるのが相当である。
要旨
請求人が居住用財産であると主張する本件家屋は、[1]請求人が本件家屋に転居した目的が、本件家屋内の古い家財道具を処分し、また、本件家屋に居住していた請求人の母らの転居準備を手伝うためであると認められること、[2]請求人と生計を一にする妻子は、請求人が本件家屋に転居した後も、本件家屋に転居するための何らの準備もせず、請求人が転居する以前に居住していた家屋に居住していたこと、[3]請求人は、本件家屋から会社へ通勤していたとはいえ、土曜日及び日曜日はほとんど毎週、それ以外の日も必要に応じて、妻子の居住する家屋に戻って生活していたことなどを総合すると、主として居住の用に供していた一の家屋ということはできないから、本件家屋は租税特別措置法第35条第1項に規定する居住用財産に該当しない。
要旨
本件譲渡について、居住用財産を譲渡した場合の長期譲渡所得の課税の特例を適用するためには、本件譲渡資産の取得時期が昭和55年1月1日以前であることが必要であるところ、[1]本件譲渡者の住民票上における本件譲渡資産の所在地への異動の記載の事実のみをもって当該資産の取得の時期を証明したことにはならず、[2]本件建物の引渡時期及び建築代金の残金の支払状況に照らせば、本件建物の本件譲渡者への引渡しは、早くとも昭和55年2月14日以降になされたものと認められるから、本件譲渡について本件特例を適用することはできない。
要旨
請求人は、確定申告書に添付した買換承認申請書の提出をもって、やむを得ない事情がある場合の延長承認申請書の提出があったものとみなすべきであるから、租税特別措置法第37条の5《既成市街地等内にある土地等の中高層耐火建築物等の建設のための買換え及び交換の場合の譲渡所得の課税の特例》に規定する課税の特例の適用を受けることができる旨主張する。
しかしながら、買換承認申請書を延長承認申請書とみなすことができる規定はなく、請求人が提出した買換承認申請書には延長承認申請書に記載すべき所定の事項の記載もないのであるし、また、請求人が提出した延長承認申請書は、その提出期限後に提出されているから適法なものと認めることはできないのであり、そうすると、請求人は、買換資産を買換承認申請書による取得期限までに取得していないから、租税特別措置法第37条の5の適用を受けることはできない。
要旨
租税特別措置法(昭和53年法律第11号による改正前のもの)第37条第1項に規定する特定の事業用資産については、現実に事業の用に供されているもののほか、事業への現実の供用を了した後においても、相当の期間内はいまだ事業用資産としての性質を失うものではないと解するのが相当であって、どの程度の期間が相当であるかは、個々の事実関係について当該資産の種類、構造等の特性、事業の用に供さなくなった理由、その後における当該資産の現状及び使用目的等を総合判断すべきところ、本件土地は長期間賃貸していたもので賃借人の都合により賃貸借契約が解約されたものであり、請求人は当該契約の解除後も当該土地を継続して貸し付ける意思を保有し、貸付先を探索していたが、貸付先の探索ができなかったことから売却する意思を固め不動産仲介業者に、仲介を依頼して売却したものであること、そして、当該契約が解除された後における貸付先の探索時期、売却する意思を固めた時期及び実際に売却した時期についてみると、それぞれの期間はいずれも比較的短期間であること、なお、この間において当該土地につき事業用資産としての性格を失わせるような格別の事情も見受けられないことから、当該土地は、少なくともその売却時においては事業用資産としての性格を失っていたものとみるのは相当ではないと解する。
したがって、当該土地は事業用資産に該当しないとしてなされた原処分は、事実を誤認したものであり相当ではない。
要旨
請求人は、本件家屋を、勤務先に借上げ社宅として賃貸していたため、請求人が本社へ復帰後、直ちに本件家屋に居住することができず、いったん勤務先の社宅に家族と共に入居し、その後請求人のみが本件家屋へ引っ越し、それ以後、請求人の生活の拠点として居住していたものであるから、本件家屋は、居住用財産に該当する旨の主張について、請求人が1週間のうち4日ないし5日をA市の社宅で家族と共に生活していたこと、家財道具の大部分がA市の社宅に残されていたこと、本件家屋においては新聞の購読、郵便物の配達、電話の架設等がなかったこと及び請求人のみが家族と別居して通勤に不便な本件家屋に居住しなければならない生活上の必要性が認められないこと等からみて、本件家屋が一時的に使用されていたとしても、これを請求人の生活の拠点として居住の用に供していたものとは認めることはできず、租税特別措置法(昭和57年法律第8号による改正前のもの)第35条第1項の規定を適用しなかった原処分は相当である。
遺留分減殺請求権を行使して取得した宅地を譲渡しても、その譲渡が相続税の法定申告期限の翌日以後2年経過後である場合には、相続財産を譲渡した場合の取得費加算の特例の適用がないとした事例
裁決事例集 第57集 267頁
要旨
請求人は、遺留分減殺請求権を行使して本件宅地を取得したものであるが、遺留分を侵害していた者が相続税法第32条に規定する更正の請求をしたため、遺留分権利者たる請求人も同法第30条に規定する期限後申告を余儀なくされ、その相続税を納付するために本件宅地を譲渡したのであるから、租税特別措置法第39条第1項にいう相続税法第27条第1項の「相続の開始があったことを知った日」は、遺留分減殺請求訴訟の判決が確定した日」と読み替えて租税特別措置法第39条第1項を適用すべきであると主張する。
ところで、相続税法(平成4年法律第16号による改正前のもの。)第27条第1項は、「相続又は遺贈により財産を取得した者は、・・・その相続の開始があったことを知った日の翌日から6月以内」に申告書を提出しなければならないと規定しているところ、この「相続の開始があったことを知った日」とは、相続人が被相続人の自然死又は擬制死亡を覚知することにより、自己のために被相続人の権利義務を包括的に承継し得る地位を取得したことを知った日であり、相続の単純又は限定の承認を行って相続人の地位を確定的に取得した日、あるいは、遺産分割の協議又は調停の成立若しくは審判により、相続人が具体的に相続財産の全部又は一部を取得した日ではないと解されている。
そして、遺留分権利者は、一般の法定相続人と同じく相続の開始により相続財産の一定額を不可侵的に取得し得る地位に立つものであるから、遺留分権利者の相続税の提出期限の起算日についても、一般の相続の場合と同様に考えるべきである。
したがって、遺留分権利者について、相続税法第27条第1項の「相続の開始があったことを知った日」とは、自然死又は擬制死亡を覚知することにより、相続財産の一定額を不可侵的に取得しうる地位に立ったことを知った日と解するのが相当であり、自ら遺留分減殺請求を行ってその遺留分を確定的に確保した日、あるいは、遺留分減殺請求に係る判決が確定しそのことによって具体的な相続財産を取得した日と解するのは相当でない。
本件譲渡は相続税の申告書の提出期限の翌日以後2年(平成6年法律第22号による改正後の措置法では3年。)を経過する日までの間の譲渡に該当しないので、租税特別措置法第39条第1項の適用はない。
要旨
配当控除額の計算の基準となる課税総所得金額には、課税長期譲渡所得の金額を含めるべきであることは、租税特別措置法第31条第3項第3号の規定により明らかであり、その規定に従っていない請求人の確定申告に係る配当控除額について行った原処分は正当である。
「○○」取引を行う特定外国子会社等について、その主たる事業は「卸売業」に当たらず、その事業を主として本店所在地国において行っている場合にも該当しないとした事例
裁決事例集 第74集 226頁
要旨
請求人は、同人の特定外国子会社等に該当するL区の子会社が行う事業(以下「本件事業」という。)は、自らは製造を行わないで、自己の所有に属する原材料をK国の企業に支給して製品を造らせ、これを自己の名称で販売するものであり、日本標準産業分類上卸売業に分類される「製造問屋」であるから、租税特別措置法第66条の6第3項第1号に規定する「卸売業」に該当する旨主張する。
しかしながら、当該製品の製造に係る費用を同子会社が負担していることなどからすると、同子会社は、自己の計算において原材料を仕入れ、加工等をして製品を完成させ、最終消費者以外の事業者に販売する事業を行っていたと認められるところ、同号に規定する「卸売業」とは、有体的商品を仕入れ、物理的又は化学的な変化を加えずに、最終消費者以外の事業者に販売する事業をいうから、本件事業は、同号に規定する卸売業には該当しないと認められる。また、外国子会社合算税制の適用除外要件を適用するために行う事業区分の判定は、租税特別措置法第66条の6第3項各号の立法趣旨・目的等も勘案して判定すべきものであり、必ずしも日本標準産業分類の分類どおりに判定するものではないと解される上、その事業内容の実態に照らしても、本件事業は同項第1号に規定する「卸売業」には該当しないと認められるから、請求人の主張は採用できない。
いわゆる超過物納に係る還付金相当額について譲渡所得の金額を計算する場合において、その物納許可に基づく物納財産の収納が相続税の法定申告期限から2年経過後であっても、本件譲渡が本件特例の適用期間を経過した後にされたものである以上、租税特別措置法第39条第1項の適用はないとされた事例
裁決事例集 第57集 278頁
要旨
- 請求人は、相続の開始があったことを平成3年8月27日に知ったと認められるから、相続税の申告期限は平成4年2月27日となる。そうすると、本件の場合、租税特別措置法第39条第1項の規定による特例を適用することができる譲渡は、平成3年8月28日から平成6年2月27日までの間に行われたものでなければならないところ、本件不動産が国に収納され、還付金が生じて譲渡となったのは、平成8年10月15日で、特例適用期間経過後のことであるから、譲渡所得の計算上、本件特例は適用できないことになる。
- 請求人は、特例の適用期間内に物納申請に対する許可及び本件不動産の収納が行われなかったのは、国税局の事務処理の遅延によるものであって、請求人の落ち度ではないから、本件特例は認められるべきである旨主張するが、同特例は、本来課されるべき税額を政策的見地から特に軽減するものであるから、租税負担公平の原則に照らし、その解釈は厳格になされるべきところ、租税特別措置法第39条第1項が特例の適用期間の徒過について格別の救済措置を設けていないから、上記適用期間について例外を認めることは、法が予定していないことである。
上場株式等に係る譲渡損失の繰越控除の特例について、連続して確定申告書が提出されていないため適用することはできないとした事例(平成24年分の所得税の更正の請求に対してされた更正をすべき理由がない旨の通知処分(平成24年分の所得税の更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分をあわせ審理)、平成25年分の所得税及び復興特別所得税の更正処分・棄却・平成28年3月7日裁決)
裁決事例集 第102集
ポイント
本事例は、上場株式等に係る譲渡損失の繰越控除の特例の適用について、譲渡損失の発生年分以降、確定申告書が時系列的に連続して提出されていることが要件であるとしたものである。
要旨
請求人は、租税特別措置法(平成25年法律第5号による改正前のもの)第37条の12の2《上場株式等に係る譲渡損失の損益通算及び繰越控除》第6項に規定する特例(本件特例)の適用に当たり、その手続要件である同条8項に規定する「連続して確定申告書を提出している場合」とは、更正の請求等により、結果として上場株式等に係る譲渡損失の金額に関して譲渡所得等の金額の計算の連続性が確認できればいいから、上場株式等に係る譲渡損失の金額が生じた年分の確定申告書が、本件特例の適用を受ける年分の確定申告書の後に提出されても、本件特例を適用することができる旨主張する。
しかしながら、同条8項は、「上場株式等に係る譲渡損失の金額が生じた年分の所得税につき・・・確定申告書を提出し、かつ、その後において連続して確定申告書を提出している場合であって」と規定しているところ、上場株式等に係る譲渡損失の金額が生じた年分の確定申告書の提出と本件特例の適用を受ける年分の確定申告書の提出との先後関係については、同項が「その後において」と規定していることからすれば、上場株式等に係る譲渡損失の金額が生じた年分の確定申告書の提出が先であることは、文理上明らかである。したがって、請求人は、本件特例を適用することはできない。
参照条文等
租税特別措置法(平成25年法律第5号による改正前のもの)第37条の12の2
参考判決・裁決
不動産の賃貸事業を目的とする民法上の組合の出資持分及び当該持分に係る組合員たる地位の譲渡による所得について、組合財産のうち現金及び預金に対応する部分を除き、組合財産を構成する土地建物等の譲渡に係る所得として、分離課税の長期譲渡所得に該当するとした事例(平成24年分の所得税の更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分・一部取消し)
裁決事例集 第102集
ポイント
本事例は、任意組合の財産は、任意組合の出資持分及び当該持分に係る組合員たる地位(これらを併せて本件持分という。)と不可分一体のものであるから、本件持分の譲渡は、本件持分が表象する任意組合の財産に対する持分の譲渡という性格を有するものというべきであるとして、本件持分の譲渡に係る所得は、組合財産のうち現金及び預金に対応する部分を除き、組合財産を構成する土地建物等の譲渡に係る所得として、分離課税の長期譲渡所得に該当すると判断したものである。
要旨
請求人は、不動産の賃貸事業を目的とする民法上の組合(本件組合)の出資持分及び当該持分に係る組合員たる地位(これらを併せて本件持分という。)の譲渡による所得については、①その所得の種類及び課税方法(総合課税又は分離課税)が法律上明記されていないこと、②本件持分の価額は、単に不動産等の価値ではなく、「組合員としての地位」たる資産の価値であること及び③本件組合は匿名組合としての性質を有していることから、総合課税の長期譲渡所得に該当する旨主張する。
しかしながら、本件組合は民法上の任意組合であるところ、民法第668条《組合財産の共有》の規定により、本件組合の財産は、総組合員の共有に属し、本件組合の組合契約の定めなどから、本件組合の各組合員は、本件組合の財産に対し、その出資価額の割合に応じて持分を有する。そうすると、本件組合の財産は、本件組合の出資持分及び組合員たる地位である本件持分と不可分一体のものであるから、本件持分の譲渡は、本件持分が表象する本件組合の財産に対する持分の譲渡という性格を有するものというべきである。そして、本件持分の譲渡の日における本件組合の財産は、土地建物等並びに補修等積立金に係る現金及び預金であったところ、当該土地建物等に対する請求人の持分は、租税特別措置法第31条《長期譲渡所得の課税の特例》第1項の規定から、その譲渡による所得は分離長期譲渡所得に当たり、他方、当該現金及び預金に対する請求人の持分については、精算等されていないから、本件持分の譲渡に係る契約に含まれるものの資産価値の増加益を生ずべき資産ではないので、その譲渡の対価は各種所得の金額の計算上、収入金額等に算入することはできない。したがって、本件持分の譲渡に係る所得は、組合財産のうち当該現金及び預金に対応する部分を除き、組合財産を構成する当該土地建物等の譲渡に係る所得として、同条第1項に規定する分離課税の長期譲渡所得に該当する。
参照条文等
民法第668条 租税特別措置法第31条
参考判決・裁決
岐阜地裁平成20年1月24日判決(税資258号順号10870)
要旨
租税特別措置法第41条第1項に規定する借入金とは、その年12月31日における現実の借入金の残高と解するのが相当であるところ、請求人の場合、本件金銭消費貸借契約が成立したのは、本件家屋に居住することとなった年の翌年であるから、当該居住することとなった年分中には借入金債務は成立していないというべきである。
なお、本件家屋に居住することとなった年の12月31日までに、公庫からの融資予約通知の受領、公庫への融資基本約定書の差し入れ及び融資予約金に係る保証料の支払があったとしても、これらはいずれも本件金銭消費貸借契約を締結するための準備手続とみるのが相当であるから、当該事実があることをもって本件金銭消費貸借契約が成立したものとみることはできない。
要旨
借家権に係る建物が、商業地域内の高度利用地区に所在し、また、請求人等が、当該建物を長期にわたって賃借りし、その復旧費又は修繕費の支出をしていたとしても、そのことによって、当該借家権が土地等又は建物の所有権に転化するものではないから、仮に当該借家権が財産としての評価、譲渡性において借地権と本質的な相違がないとしても、その譲渡は、租税特別措置法(昭和49年法律第17号による改正前のもの)第31条第1項に規定する「土地等又は建物等の譲渡」に当たらない。
国外関連者に対する貸付金利息について原処分庁が行った独立企業間価格の算定は相当であるとした事例( 平19.6.1から平25.5.31の各事業年度の法人税の各更正処分、 平19.6.1から平20.5.31、平22.6.1から平23.5.31及び平24.6.1から平25.5.31の各事業年度の法人税に係る過少申告加算税の各賦課決定処分、 平24.6.1から平25.5.31の課税事業年度の復興特別法人税の更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分・棄却)
裁決事例集 第102集
ポイント
本事例は、国外関連者に対する貸付金利息の独立企業間価格について、原処分庁が独立価格比準法に準ずる方法と同等の方法により算定したことは相当であるとした事例である。
要旨
請求人は、国外関連者に対する金銭の貸付け(本件貸付け)に係る利息の独立企業間価格について、原価基準法と同等の方法により算定できる旨主張する。
しかしながら、①当該国外関連者は請求人以外の者から借入れを行ったことはないこと、②原処分庁は本件各貸付けに係る比較対象取引を把握することができず、当審判所の調査の結果によっても当該比較対象取引を見いだすことができないこと、③請求人からも比較対象取引の具体的な提示がないことから、原価基準法と同等の方法を用いることはできず、他の基本三法と同等の方法を用いることもできない。そして、金融市場が存在する通貨の貸借取引について、比較可能な取引が実在しない場合には、融資取引の代表例である金融機関による貸付けを基準とすることにも十分な合理性があるというべきであるところ、本件貸付けの貸手である請求人は、本件貸付けの資金を金融機関からの借入れにより調達しており、当該借入れに係るスプレッド情報を得られるから、原処分庁が本件貸付けに係る利息の独立企業間価格を独立価格比準法に準ずる方法と同等の方法である貸手が金融機関から本件貸付けと同様の状況の下で借り入れたとした場合に付されるであろう利率を用いる方法により算定したことは相当である。
参照条文等
租税特別措置法第66条の4 租税特別措置法関係通達(法人税編)第66条の4関係 移転価格事務運営要領
参考判決・裁決
東京地裁平成18年10月26日判決(訟月54巻4号922頁)
要旨
料理飲食等消費税は、料理店等がその利用料金の領収の際合わせて徴収して納付する間接税であって、通常その利用料金に含まれる性格をもつものであるから請求人が得意先等の事業関係者に対する接待、きょう応のため料理店等においてなした飲食等に伴って支出された料理飲食等消費税は、交際費等に該当することは明らかである。
本件土地の譲渡は、買取り等の申出日から6月経過後の収用であるから、租税特別措置法第33条の4第3項第1号の規定による5,000万円控除の特例が適用できないとした事例
裁決事例集 第53集 234頁
要旨
請求人は、P市土地開発公社による譲渡土地の買取りの申出は、信義誠実に行われず、租税特別措置法第33条の4(収用交換等の場合の譲渡所得等の特別控除)第1項の立法趣旨に照らし著しく不当であるという特段の事情があるので、本件長期譲渡所得の金額の計算上、特別控除の特例を認めるべきである旨主張する。
しかしながら、租税特別措置法第33条の4第3項第1号に規定する「買取り等の申出」は、買取物件の特定及びその対価が明示されておればよいと解されるところ、[1]M国道工事事務所及びP市は、昭和61年6月30日に譲渡土地を含む2.5キロメートル区間の標準地価格を決定したので、P市土地開発公社(代行買収者)は、同年7月から全地権者に用地買収の個別交渉に入り、請求人には、同月24日譲渡土地の買取価格を提示し、買取りの申出から6月以内に譲渡しないと特別控除の特例が適用できなくなるから協力して欲しい旨説得したが、請求人はこれに応じなかったので、昭和61年8月13日付で全地権者に買取申出証明書及び証明書等交付通知書を郵送したこと、[2]P市土地開発公社は、昭和61年8月22日から同62年2月12日の間に請求人に買取りに応ずるよう要請したが、請求人は買取りの申出は脅かしだとして応じなかったこと、[3]M国道工事事務所及びP市は、平成3年2月16日請求人に最終協議額である損失補償額を提示し説明したところ、これに応じなかったので、同事務所は、同月19日付で請求人に譲渡土地の取得に伴う最終損失補償協議書を送付したこと、[4]M県収用委員会は、平成3年12月21日付収用裁決(権利取得日は平成4年2月14日)で、譲渡土地の取得に伴う損失補償額を72,793千円としたことが認められる。
したがって、土地の買取り等の申出のあった日は、買取申出証明書が送達された昭和61年8月14日、土地の収用の日は平成4年2月14日と認められるから、当該土地の譲渡は同号の要件を満たしていないので、特別控除の特例が適用できないとした本件更正処分は適法である。
本件宅地上の建物は相続開始直前において空家であり、賃借人を募集していた等の事実は認められず、その空家の状態も一時的なものとは認められないから、事業用の小規模宅地等の特例の適用はないとした事例
裁決事例集 第60集 567頁
要旨
本件機械装置は、租税特別措置法第42条の7第2項に規定する事業基盤強化設備を取得した場合の特別償却又は法人税額の特別控除の対象となる事業の用に供していると認められないとした事例
裁決事例集 第56集 281頁
要旨
請求人は、化粧品容器の卸売業を主として営む同族会社であるが、化粧品容器を製造する中空成形機及び原材料を乾燥させる除湿乾燥機を取得し、租税特別措置法第42条の7に規定する法人税額の特別控除を適用して申告をしている。請求人は、本件機械装置を生産手段として、純然たる卸売商品と全く同種類の製品を製造販売しているのであるから、小規模かつ部分的に製造部門を有しているとしても、これも卸売業の一環としての、企業活動としてとらえるべきであり、単に製造部門の存在のみをもって、税額控除の適用を認めないのは誤りであると主張する。
しかしながら、本件機械装置は、特定事業者の営む事業すなわち請求人の営む卸売業の用に供されていないのであるから、請求人は各事業年度において税額控除を適用することはできない。
なお、本件機械装置は、専ら製造業の用に供されているものであって、製造された製品が卸売業のために購入した商品と同様に卸売りされているからといって、卸売業を遂行するための方法や手段として使用されているとはいえないから、このような関係をもって、卸売業の用に供されているとは認められない。
請求人が建物補償金などの名義で取得した金員の一部について、収用等の場合の課税の特例を適用することはできないとした事例(平22.4.1~平23.3.31までの事業年度の法人税の更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分・棄却)
裁決事例集 第95集
要旨
請求人は、請求人の建物の敷地として賃借していた土地の一部(本件土地)の公共用地の買取りに伴い起業者(本件起業者)から取得した補償金(本件建物補償金)について、①租税特別措置法関係通達(措置法通達)64(2)-3《対価補償金等の判定》の定めにより本件起業者の判断が尊重されるところ、本件起業者が請求人に交付した「公共事業用資産の買取り等の証明書」に「買取」と記載されていること、また、②本件建物補償金の算定根拠となった建物の庇部分を取り壊していることからすると64(2)-8《ひき(曳)家補償等の名義で交付を受ける補償金》の各定めに該当又は類似し、本件建物補償金の全額が、租税特別措置法第65条の2《収用換地等の場合の所得の特別控除》第1項の規定による所得の特別控除の特例(本件特例)の対象となる補償金に該当する旨主張する。
しかしながら、①措置法通達64(2)-3は、交付の目的が明らかでない補償金について、対価補償金、収益補償金、経費補償金、移転補償金又はその他対価補償金たる実質を有しない補償金のいずれに該当するかの判定が困難な場合に、課税上弊害がない限り、起業者が証明するところによる旨定めているのであって、請求人は、本件起業者から本件建物補償金の算定資料の交付を受けており、本件建物補償金については、その算定の内訳等が明らかであり、いずれの補償金に該当するかが判断できる。また、②請求人が本件起業者から交付を受けた本件建物補償金の算定資料によれば、本件建物補償金のうち、本件土地の買取りによって減少する展示場及び駐車場の代替として本件土地の外に立体駐車場を設置する費用の補償及び当該立体駐車場を設置する際に支障となる建物の移転に要する費用の補償の各金額は、いずれも本件土地の上に存する資産に係るものではないから、措置法通達64(2)-8の定めに該当しない。
参照条文等
租税特別措置法第65条の2 租税特別措置法関係通達64(2)-3、64(2)-8
参考判決・裁決
平成21年5月25日裁決(裁決事例集№77) 福井地裁平成15年12月3日判決(税資253号順号9482)
請求人には生活の本拠とする居宅があるところ、譲渡したマンションへの居住目的は譲渡するまでの間の一時的なものとみるのが相当であり、譲渡所得について租税特別措置法第35条の規定による特別控除はできないとした事例
裁決事例集 第45集 323頁
要旨
請求人は、本件マンションには、借家人が立ち退いた後間もなく居住を開始し、ほぼ毎週月曜日から金曜日まで寝泊まりしたのであるから、本件マンションは特例に規定する居住用財産に該当する旨主張する。
しかしながら、請求人はS市に居宅を有し、同所には生計を一にする家族が居住し、土曜日及び日曜日は毎週、それ以外の日でも必要に応じてS市の居宅で家族と共に過ごすという生活を送っていたこと及びS市に請求人の事務所を有していたこと等を考慮すると、請求人が生活の本拠として居住の用に供していたのは本件マンションではなく、S市の居宅とみるのが相当である。
本件マンションに係る電気、ガス及び水道の使用を開始したのは平成元年11月以降であり、かつ、これらの使用量は極めて少ないことが認められる。特に、平成元年12月から同2年2月までの電気の使用量は零であること及び請求人の住民登録は平成2年3月4日からS市の居宅であること等からみると、その居住目的は、本件マンションを譲渡するまでの間の一時的なものであったとみるのが相当であり、本件特例の規定の適用をすることはできない。
譲渡土地上に建設された中高層の耐火共同住宅に係る検査済証の建築主は、Z社と当該土地の譲受人以外のH社であるから、当該土地の譲渡について租税特別措置法第31条の2第2項第9号(現行法は第11号)の規定が適用できないとして請求人の主張を排斥した事例
裁決事例集 第51集 220頁
要旨
請求人は、譲渡土地上に建設した中高層の耐火共同住宅に係る検査済証の建築主をZ社とH社の連名にしたのは、請求人が関知しないものであり、また、租税特別措置法第31条の2(優良住宅地の造成等のために土地等を譲渡した場合の長期譲渡所得の課税の特例)の立法趣旨である優良住宅地の供給に寄与していることから、同条第2項第9号が適用されるべきである旨主張する。
しかしながら、租税特別措置法第31条の2第2項第9号は、一団の住宅又は中高層の耐火共同住宅(特例建物)の建設を行う個人又は法人に対する土地の譲渡で、当該土地が特例建物の用に供されるもののうち、大蔵省令で定めるところにより証明がされたものをいう旨規定していることから、当該土地の譲受人以外の者が特例建物を建設した場合には、本件特例が適用できないと解される。
また、租税特別措置法施行規則第13条の3第1項第9号ハは「当該一団の住宅又は中高層の耐火共同住宅に係る建築基準法第7条第3項に規定する検査済証の写し」と規定していることから、本件特例適用に係る証明書(適正な申請、届出に基づいて発行されたものに限る。)により、当該土地の譲渡が優良住宅地等の譲渡に該当することについて証明されなければ、本件特例が適用できないと解される。
ところで、請求人が提出した特例建物に係る検査済証によれば、特例建物は、Z社とH社(本件土地の譲受法人でもなく、Z社との合併法人でもない。)の共同建設であることから、本件土地の譲渡は、租税特別措置法第31条の2第2項第9号の適用対象となる譲渡に該当しないこととなるので、同条第1項の規定の適用がないとして行った更正処分は適法である。
要旨
請求人が市街化区域内の農地を譲渡し、その譲渡代金をもって市街化調整区域内にある土地を取得した場合において、当該土地について、請求人は売主に地目を畑から雑種地に変えさせており、また、売主は駐車場の用に供するために工事を施工していること、請求人は取得後農業の用に供することなく、駐車場として賃貸していることが認められるので、当該取得土地は、租税特別措置法(昭和55年法律第9号による改正前のもの)第37条第1項の表第5号に掲げる農業の用に供される土地等には該当しないとして、本件土地の譲渡所得については、同項の規定は適用されないとした原処分は相当である。
要旨
本件建築中の物件は、請求人が転勤前に居住していた旧家屋を、転勤先から戻った後に、建て替えて入居する計画の下に建築中のもので、その建築途中に隣接家屋の所有者から苦情を受け、建築工事を中止したままの状態で譲渡したものであるところ、租税特別措置法(昭和57年法律第8号による改正前のもの)第35条第1項に規定する「居住の用に供している家屋」とは、「譲渡の日若しくはこれに近い所定の時期までに、その者がある程度の期間継続して居住する意思をもってこれに居住し、生活の本拠として利用している家屋をいう」と解されることから、本件建築中の物件の譲渡については、居住用財産の譲渡所得の特別控除の規定の適用はない。
高床式居宅兼共同住宅の床下部分の土地が賃貸駐車場として利用されている場合においてその敷地全体を居住用、事業用の併用であると判定した上、その土地の譲渡価額を居住用部分と事業用部分に区分計算すべきであるとした事例
裁決事例集 第39集 479頁
要旨
一般に、駐車場には土地をそのまま使用するいわゆる青空駐車場から屋根付きの駐車場、更には建物内部に設けられた駐車場等各種の形態があるが、本件の場合は建物の床下部分を駐車場としているのであるから、外壁がない点を除けば2階建ての建物の1階部分を駐車場として使用している場合と基本的には変わらないとみるのが相当であり、そうすると、本件建物は居住用、事業用の併用であることから、その敷地である本件土地も居住用、事業用の併用とみるべきであり、原処分庁において本件土地を本件建物の居住用、事業用それぞれの使用割合に応じて区分計算した方法には合理性があり、これを不相当とする理由は認められない。
住宅取得等特別控除の適用に当たり、事務所等兼用住宅については、床面積240平方メートル以下の要件は、居住の用に供する部分のみでなく、一棟の家屋全体の床面積で判定すべきであるとした事例
裁決事例集 第48集 147頁
要旨
請求人は、本件家屋の居住専用部分の床面積が213.39平方メートルであるとして、自らの持分である6分の5について住宅取得等特別控除を適用し、平成5年分の所得税の確定申告をしたところ、原処分庁は、本件家屋の床面積は244.41平方メートルであり、租税特別措置法施行令第26条第1項に規定する家屋に当たらないので、住宅取得等特別控除の適用は受けられないとして更正処分をした。
請求人は、本件家屋について、その居住の用に供する部分の床面積をもって、措置法施行令第26条第1項第1号に規定する「一棟の家屋で床面積が、240平方メートル以下」の判定をすべきであると主張するが、事務所等兼用住宅について、住宅取得等特別控除の対象となる家屋に該当するためには、その家屋の床面積の2分の1以上の部分が専ら居住の用に供されている必要があることのほか、事務所等の部分を含めたところの一棟の家屋全体の床面積が240平方メートル以下で、かつ、50平方メートル以上であることが必要であると解するのが相当である。
要旨
請求人は、請求人がR市に対して平成6年11月4日の契約により譲渡した乙土地に係る譲渡所得については、収用交換等の場合の譲渡所得等の5,000万円特別控除の特例が認められるべきである旨主張する。
しかしながら、請求人は、本件収用事業のためにR市に対して平成5年3月2日に丙土地を、平成6年11月4日に乙土地をそれぞれ譲渡しているところであるが、乙土地及び丙土地は本件収用事業の事業地に含まれており、これらの譲渡は、一の収用事業に基づくものであると認められることから、租税特別措置法第33条の4第3項第2号に規定する「一の収用交換等に係る事業につき第1項に規定する資産の収用交換等による譲渡が二以上あった場合において、これらの譲渡が二以上の年にわたってされたとき」に該当すると認められる。
そして、請求人は上記のとおり、丙土地を平成5年中に、乙土地を平成6年中に譲渡していることから、乙土地は、同号に規定する「当該資産のうち、最初に当該譲渡があった年において譲渡された資産以外の資産」に該当するので、同条第3項の規定により、本件譲渡に係る長期分離譲渡所得の計算に当たり、収用交換等の譲渡所得の5,000万円特別控除の特例を適用することはできないと認められる。
要旨
原処分庁は、請求人がL国M区に有する子会社J社について、その主たる事業は製造業であると認められるところ、L国P市に所在するL国工場で主として製造行為を行っており、その事業を主として本店の所在地であるM区において行っているとはいえないから、外国子会社合算税制の適用除外要件である所在地国基準を満たさないと主張する。
しかしながら、J社は、M区の下請業者に委託して原材料を半製品に加工製造させ、その半製品をL国工場において組立加工していることから、J社は、M区においても製造行為を行っていると認められる。またM区における半製品の製造費用の額が製造費用の総額の過半を占めていることからすると、J社は、製造行為を主としてM区で行っていると認められる。
そうすると、J社については、外国子会社合算税制の適用除外要件である所在地国基準を満たすことになり、他の適用除外要件も満たしていることから、外国子会社合算税制は適用されない。
居住の用に供していた当該家屋を遺産分割により取得した者は租税特別措置法69条の3第2項に規定する「所有家屋に居住したことがない者」に当たらず、また、遺言執行費用を課税価格の計算上控除することはできないとした事例
裁決事例集 第62集 412頁
要旨
請求人は、本件相続により取得した本件土地につき、租税特別措置法第69条の3に規定する特定居住用宅地等に該当する旨主張するが、本件のように、被相続人と同居していた相続人がいない場合に同特例の適用を受けるには、本件土地を取得した相続人が「相続開始前3年以内に相続税法の施行地内にあるその者又はその者の配偶者の所有する家屋に居住したことがない者」であることが要件となるところ、請求人は、同期間において、前回の相続に係る未分割財産であった本件マンションに配偶者と共に居住し、その後、それに係る遺産分割によって同マンションを取得したもので、民法第896条及び第898条の規定により、請求人は上記要件に該当しないことになるため、本件土地は特定居住用宅地等に該当しない。
請求人は、民法上、遺言の執行に関する費用は相続財産の負担とされているから、本件遺言執行費用は相続税の課税価格の計算上控除できる旨主張するが、本件遺言執行費用は、本件弁護士と請求人との合意に基づき相続開始後に発生するものであるから、被相続人の債務ではなく、また、本件被相続人に係る葬式費用でもないから、課税価格の計算上、取得財産から控除することはできない。
居住の用に供している一構えの家屋の一部を譲渡した場合において、譲渡した部分以外の部分が機能的にみて独立した居住用家屋と認められる場合には、居住用家屋の譲渡には該当しないとした事例
裁決事例集 第35集 175頁
要旨
譲渡建物と隣接建物とが一構えの家屋を構成している場合において、当該隣接建物において請求人とその家族の日常生活の大部分が何ら支障なく営まれている場合には、隣接建物は機能的にみて独立した家屋と認められる。したがって、本件譲渡は、居住の用に供している一構えの家屋の一部を譲渡したにすぎないから、その譲渡をもって居住用家屋の譲渡に該当するとはいえない。
要旨
請求人は、請求人が取得した鋳型造型機及びその附属機器等について、その全てが租税特別措置法第42条の5に規定する特別償却の対象になると主張するが、平成4年3月の通産省告示第145号の別表一では、鋳型造型機本体が租税特別措置法第42条の5の特別償却の対象となる減価償却資産として定められており、その附属機器等については定められていない。
したがって、請求人が取得した附属機器等については、租税特別措置法第42条の5の特別償却の対象とはならない減価償却資産であると解するのが相当である。
要旨
クラブを営む請求人が特定の顧客等に対して市販されているものと何ら異なるところがない美術書を贈呈したのは、これによって受贈者の歓心を買い、その来店を期待したものと認められるので、これに要した費用は、不特定多数の者に対する宣伝的効果を意図した広告宣伝費とは認められず、交際費等に該当する。
租税特別措置法施行令第25条の16第1項第2号所定の「当該譲渡をした資産の当該課税価格の計算の基礎に算入された金額」は本件各土地の相続税の課税価格に算入された価格に基づく金額であるとした事例
裁決事例集 第116集
ポイント
本事例は、租税特別措置法施行令第25条の16第1項第2号所定の「当該譲渡をした資産の当該課税価格の計算の基礎に算入された金額」は本件各土地の自用地としての価額に借地権割合を乗じた金額ではなく、相続税の課税価格に算入された本件各土地の貸家建付地としての価額に借地権割合を乗じた金額となると判断したものである。
要旨
請求人は、各土地(本件各土地)に借地権を設定したのであるから、租税特別措置法施行令第25条の16第1項第2号所定の「譲渡をした資産」は、本件各土地の自用地としての価額に借地権割合を乗じた金額となるのであって、当該金額は、本件各土地の相続税評価額を上回ることとなることから、結局、「譲渡をした資産の当該課税価格の計算の基礎に算入された価額」は、本件各土地の相続税評価額の全額となる旨主張する。
しかしながら、当該課税価格とはあくまで本件各土地に係る相続税の課税価格に算入された価格に基づく金額であって、本件の場合、「当該課税価格の計算の基礎に算入された価額」は貸家建付地評価額である。また、本件においては、各借地権(本件各借地権)が本件各土地の全体に占める割合(本件割合)と本件土地の周辺地域の借地権割合とを併せ考慮すれば、本件各借地権の設定契約により譲渡したものとみなされる本件各借地権の設定に係る対価は、本件各土地の権利の本件割合相当分に当たるものと認められる。したがって、「譲渡をした資産の当該課税価格の計算の基礎に算入された価額」として本件各借地権が本件各土地の相続税の課税価格のうちに占める価額とは、本件各土地が相続税の課税価格の計算の基礎に算入された価額すなわち貸家建付地評価額に本件割合を乗じた価額となる。ただし、譲渡費用の一部が計上漏れとなっていることが認められることから、本件更正処分の一部を取り消すことが相当である。
参考判決・裁決
東京地裁平成12年11月30日判決(訟月48巻1号147頁)
第一種市街地再開発事業に係る権利変換により取得した施設建築物及び施設建築敷地に関する権利を譲渡した場合に、優良住宅地の造成等のために土地等を譲渡した場合の課税の特例を認めなかった事例
裁決事例集 第61集 304頁
要旨
第一種市街地再開発事業は権利変換方式により行われるため、同事業施行地内の土地等は、権利変換期日において施設建築物の権利床及び保留床並びに施設建築敷地に変換され、従前の権利関係は消滅するから、事業施行者にとって事業の用に供すべき土地等は、権利変換期日に確保されたこととなる。
そうすると、租税特別措置法第31条の2第1項の規定(本件特例)及び同条第2項第4号が制定された目的及び経緯並びに第一種市街地再開発事業の目的とを踏まえると、本件特例の適用対象となる租税特別措置法第31条の2第2項第4号に規定する「第一種市街地再開発事業の用に供される土地等の譲渡」とは、第一種市街地再開発事業の施行の前段階である事業用地の確保に資する譲渡、すなわち、権利変換期日以前の譲渡に限られるものと解される。
これを本件についてみると、本件権利の譲渡は、本件権利変換期日後の譲渡であるから、本件権利の譲渡に係る所得税額の計算上、本件特例の適用は認められない。
請求人が、従前家族とともに居住していた借家の近くに取得したマンションは、譲渡時点においては、生活の本拠として認められないので租税特別措置法第35条の適用はないが、かつての居住状態から、同マンションを生活の本拠と理解していたことは相当の理由があると認められる等から、重加算税の賦課は相当でないとした事例
裁決事例集 第47集 216頁
要旨
昭和53年に取得した本件マンションについては、請求人は長男が未成年のころは、その世話のため、本件マンションを主として居住の用に供していたといえる状況にあったとしても、[1]夫と義母が残ったと主張する従前居住していた借家を、請求人が資金を出して取得していること、[2]長男は既に独立した生計を営んでいること等から、本件マンションの譲渡の時点では、これを生活の本拠とする理由等は認められず、上記の取得した借家が請求人の居住の用に供していた家屋と認められる。
しかし、[1]本件マンションを請求人名義で取得し、かつ長男を居住させて、一時的にではあっても長男とともに居住の用に供していたことから、これを生活の本拠と理解していたことには、相当の理由があり、[2]本件マンションの譲渡直前に住民登録を本件マンションの所在地に移したのは、登記簿上の住所に住民登録上の住所を符号させるためにしたもので、そのことをもって仮装行為とは認められない等から、重加算税を賦課することは相当でない。
請求人の国外関連者に当たる子会社に対してされた米ドルの各貸付けにつき、その利息額の独立企業間価格の算定においては、各米国債の利率による方法が相当とした事例( 平成25年7月1日から平成26年6月30日までの事業年度の法人税の更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分、 平成26年7月1日から平成27年6月30日までの事業年度の法人税の更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分、 平成25年7月1日から平成26年6月30日までの課税事業年度の復興特別法人税の更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分、 一部取消し、 全部取消し、平成29年9月26日裁決)
裁決事例集 第108集
ポイント
本事例は、米ドルの各貸付けに係る利息額の独立企業間価格の算定について、借り手の銀行調達利率による方法及び貸手の銀行調達利率による方法を採用することができないときは、各米国債の利率による方法を採用することが相当であるとしたものである。
要旨
原処分庁は、請求人の国外関連者に該当する子会社(本件子会社)に対して請求人が行った米ドルの各貸付け(本件各貸付け)につき、その利息額の独立企業間価格の算定については、独立価格比準法に準ずる方法と同等の方法である貸手の銀行調達利率による方法(米ドルのスワップレートにスプレッドを加えた利率)によることが最も適切である旨主張する。
確かに、借手である本件子会社には非関連者である銀行等からの借入れの実績がなく、本件子会社が非関連者である銀行等から本件各貸付けと同様の状況の下で借り入れたとした場合に付されるであろう利率を見いだすことができないことから、借り手の銀行調達利率による方法を採用することはできない。
しかしながら、原処分庁が用いたスプレッドは、請求人が本件各貸付けと同様の状況で銀行等から借り入れた場合のスプレッドとして正確性を有するものとは認められず、当審判所の調査によっても他に請求人が非関連者である銀行等から本件各貸付けと同様の状況の下で借り入れたとした場合に付されるであろう利率を算定する適切な方法を見いだすことはできないことから、貸手の銀行調達利率による方法を採用することはできない。もっとも、本件各貸付けにおいては、発行日が本件各貸付けの貸付開始日と近接し、発行日から満期償還日までの期間が本件各貸付けの貸付期間に近似する各米国債(本件各米国債)が存在することが認められ、本件各米国債の利率は、本件各貸付けに係る資金を本件各貸付けと通貨、取引時期、期間等が同様の状況の下で国債等により運用した場合に得られるであろう利率に当たると認められることから、本件各米国債の運用利率による方法を採用することが相当というべきである。
参照条文等
租税特別措置法(平成26年法律第10号による改正前のもの)第66条の4 租税特別措置法関係通達(法人税編)66の4(7)-1、66の4(7)-4
譲渡した土地上に存する2棟の家屋は独立しており、租税特別措置法第35条第1項に規定する特例対象土地は、家屋の建築面積に近似する床面積で按分した居住用家屋の敷地部分に限られるとした事例
裁決事例集 第119集
ポイント
本事例は、譲渡した土地上の2棟の家屋が2階部分で接合されていたとしても、それぞれ独立した居住用家屋であり、併せて一構えの一の家屋であるとは認められない。本件特例の対象となる土地に係る譲渡所得の金額は、譲渡した土地の譲渡所得の収入金額に、各家屋の建築面積に近似する床面積の合計に占める本件甲家屋(請求人が所有し居住用に供していた家屋)の建築面積に近似する床面積の割合を乗じて算出することが合理的としたものである。
要旨
請求人は、譲渡した土地上に、請求人が所有し居住用に供していた家屋(本件甲家屋)と子が所有する家屋(本件乙家屋)の2棟が存するが、これらの家屋は併せて一構えの一の家屋と認められるから、いずれの家屋の敷地も租税特別措置法第35条《居住用財産の譲渡所得の特別控除》第1項の規定(本件特例)の適用がある旨主張する。
しかしながら、各家屋は、それぞれ、玄関、台所、風呂及び便所を備え、電気、ガス、水道及び固定電話回線の各設備を有し、その規模、構造、間取り、設備等の状況からすれば、各家屋はそれぞれ独立した居住用家屋であることから、併せて一構えの一の家屋であるとは認められず、本件乙家屋敷地について本件特例を適用することはできない。
そして、本件特例の対象となる土地(本件甲家屋の敷地)に係る譲渡所得の金額は、譲渡した土地の譲渡所得の収入金額に、各家屋における各階の登記上の床面積のうち、建築面積に近似する最も広い床面積を、両家屋の各建築面積として用いるのが合理的であり、各家屋の建築面積に近似する床面積の合計に占める本件甲家屋の建築面積に近似する床面積の割合を乗じて算出することが合理的である。
要旨
農業所得を有する者とは、自らが耕作の方法等を決定して耕作し、又は他人に耕作させ、その耕作の結果生じた利益なり損失を自己に帰属させる者をいうと解すべきところ、請求人は本件買換資産たる農地につきその耕作を他人に一切まかせて、単に小作料に相当する玄米を受け取っているのみであるから、これによる所得は農業所得とするのは相当でなく、したがって、本件買換資産は自己の農業の用に供している農地とは認められず、租税特別措置法(昭和53年法律第11号による改正前のもの)第37条第1項の表第5号に規定する買換資産に該当しないので、本件の譲渡所得については同項の規定の適用は認められない。
二以上の家屋が併せて一構えの家屋であると認められるか否かについては、まず、それぞれの家屋の規模、構造、間取り、設備、各家屋間の距離等の客観的状況によって判断すべきであり、個人及びその家族の使用状況等の主観的事情は二次的に考慮すべき要素にすぎないとした事例
裁決事例集 第78集 289頁
要旨
租税特別措置法施行令第20条の3第2項及び第23条第1項は、個人がその居住の用に供している家屋を二以上有する場合には、本件特例の適用対象となる家屋は、主としてその居住の用に供していると認められる一の家屋に限る旨規定しているところ、本件特例の適用対象となる家屋の判定に当たり、二棟以上の家屋が併せて一構えの家屋であるといえるか否かについては、まず、それぞれの家屋の規模、構造、間取り、設備、各家屋間の距離等の客観的状況によって判断すべきであり、個人及びその家族の使用状況等の主観的事情は二次的に考慮すべき要素にすぎないものと解するのが相当である。したがって、単にこれらの家屋がその者及びその者と同居することが通常である親族等によって機能的に一体として居住の用に供されているのみでは不十分であり、家屋の構造、規模、設備等の状況から判断していずれか又はそれぞれが独立の居住用家屋としては機能できないものでなければならない。そうすると、これらの家屋がそれぞれ独立の家屋としての機能を有する場合には、これらの家屋を併せて一構えの家屋であるとは認められず、その者が主としてその居住の用に供していると認められる一の家屋に限り、本件特例の適用対象となるというべきである。
本件家屋の規模、構造、間取り、設備、各家屋間の距離並びに通常考えられる用法及び機能等を考慮すれば、本件A家屋と、本件BC家屋とは、それぞれ別個独立の家屋であると認められ、これらの各家屋を併せて一構えの家屋であるということはできない。そして、請求人は、妻及び長男と共に本件A家屋で日常生活を営んでいたのに対し、本件BC家屋は、もともと飲食店の店舗等として使用し、廃業後は、一部に荷物等をおいて物置に使用していたにすぎないから、請求人が主として居住の用に供していた家屋は本件A家屋であると認められ、本件BC家屋は本件特例の適用対象となる居住用家屋には該当しない。また、租税特別措置法施行令第20条の3第2項及び第23条第1項は、家屋のうちにその居住の用以外の用に供している部分があるときは、その居住の用に供している部分に限り、本件特例の適用がある旨規定しているところ、本件A家屋の2階の3室のうち、Kに賃貸していた1室及びLに賃貸し、同人の退去後に使用していなかった1室は、本件譲渡の以前に貸室とされており、請求人がこれを居住の用に転用し、ある程度の期間継続して居住の用に供していたとは認められないから、当該部分は「居住の用に供している部分」に当たらない。
したがって、本件A家屋の1階の全部及び2階の1室並びに本件A家屋の敷地の用に供されている本件借地権のうちその居住の用に供していた部分に限り、本件特例を適用するのが相当である。
要旨
請求人は、居住用家屋を取り壊した日から1年6か月後にその敷地を譲渡する売買契約を締結して譲渡しているものの、当該契約に先立ってその取り壊した日から1年以内に他の者と売買契約を締結し、請求人の責めに帰さない理由により先発契約が解除された事情があるのであるから、両契約を一体のものとみれば租税特別措置法第35条の居住用財産の譲渡所得の特別控除等が適用されるべきであると主張するが、両契約はそれぞれ別個の契約であり、居住用家屋を取り壊した日から1年以内に締結した契約は解除されているものであるから、同特別控除等の適用はない。
年末近くに入居したため、その年に融資が間に合わず借入金の年末残高証明書の発行を受けられなかった場合、住宅取得等特別控除は結果的に4年間しか適用がないとされた事例
裁決事例集 第51集 272頁
要旨
請求人は、請求人のように年末近くに新築住宅に入居したため、住宅金融公庫からの融資が翌年になり、入居した年の年末残高証明書の交付を受けることができない場合、住宅取得等特別控除(平成元年改正前のもの)の適用を4年間しか受けられず、5年間の適用を受けた者に比べ、不公平、不平等であるから、「年末残高証明書が交付された日の属する年以後5年間」は適用があるものと解し、その適用を認めるべきである旨主張する。
しかし、住宅取得等特別控除は「当該居住の用に供した日の属する年以後5年間の各年」について適用される旨規定されており、この規定は特則・例外規定であり厳格に解すべきものであるから、請求人が主張するように解することはできず、請求人の主張は採用できない。
要旨
租税特別措置法第62条第1項の規定は、支出された個々の費用の額の多寡により適用されるものではなく、請求人が昼食弁当等の少額なものを除外して交際費等の損金不算入額を計算したことは失当である。
請求人が行った土地の譲渡は、租税特別措置法第31条の2第1項に規定する「優良住宅地等のための譲渡」には該当しないとした事例(平成23年分の所得税の更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分・棄却)
裁決事例集 第93集
要旨
請求人は、譲渡した土地(本件土地)の譲受人(本件譲受人)が開発許可申請を行い、それに基づく開発許可を受け、本件土地の造成工事(本件造成工事)を業者に行わせていることから、実質的に本件造成工事を行っているのは本件譲受人であるので、本件土地の譲渡は、租税特別措置法(措置法)第31条の2《優良住宅地の造成等のために土地等を譲渡した場合の長期譲渡所得の課税の特例》第2項第13号に掲げる土地の譲渡に該当する旨主張する。
しかしながら、①請求人は、注文者として本件造成工事の請負契約をしてその代金を負担し、一方、請求人から請け負った業者が本件造成工事を行ったこと、②開発許可を容易に得るために、建設業者である本件譲受人が、農地転用申請及び開発許可申請をしたこと、③本件土地の所有権について、売買契約のとおり、開発許可に係る宅地造成がなされた後に請求人から本件譲受人に所有権が移転していること、④請求人は所得税の譲渡所得の計算において、本件造成工事の代金を取得費に計上しており、本件造成工事が完了した後に本件土地を譲渡した旨の認識を表明したことが、それぞれ認められ、これらを総合すると、本件造成工事は、本件土地の所有者である請求人の負担と責任おいて行われたというべきであるから、本件造成工事を本件譲受人自らが行ったものではないと認められる。したがって、本件土地の譲渡は、措置法第31条の2第2項第13号に掲げる土地の譲渡には該当しない。
参照条文等
参考判決・裁決
東京地裁平成13年3月29日判決(税資250号順号8869)
請求人の各E国子会社は、個々の法人としての実体を有していることから、当該各子会社の損益を請求人の所得金額と合算して申告することは認められず、また、当該各子会社は、租税特別措置法第66条の6第1項に規定する特定外国子会社等に該当するから、同項の適用があるとした事例
裁決事例集 第75集 447頁
要旨
請求人は、①各E国子会社を設立した目的は租税回避目的ではないこと、②各E国子会社は実体を有さず単なる名義人であり請求人がその損益を請求人の損益と合算経理して申告しており各E国子会社には未処分所得はないこと、③租税特別措置法第66条の6の規定は合算経理を禁じたものではなく法人税法第11条の規定により各E国子会社の実質所得者は請求人であると自認して合算申告していることを否定する理由はないこと、④租税特別措置法第66条の6の規定が法人税法第11条の特別法として優先的に適用される関係にはないこと等から、租税特別措置法第66条の6の規定は適用されない旨主張する。
しかしながら、各E国子会社は、契約上の地位を有し、自ら船舶を所有して定期傭船契約を結び収益を得るなど個々の法人としての実体を有していると認められるので、法人税法第11条の規定を適用して当該各会社の損益を請求人の所得金額と合算して申告することは認められず、また、当該外国法人は租税特別措置法第66条の6に規定する特定外国子会社等の所定の要件を満たすことから、原処分は適法である。
また、請求人は、確定申告書に添付した「減価償却費明細書」に誤りがあったとして減価償却費の総額は変更せずに個々の船舶の償却費を加減算した訂正後の「減価償却費明細書」を提出し、特定外国子会社等の課税対象留保金額の算定に当たっては当該訂正後の「減価償却費明細書」に基づくべきである旨主張する。
しかしながら、その後の事業年度の確定申告書に添付された「減価償却費明細書」をみると、確定申告書に添付された「減価償却費明細書」との連続性があること、さらに、請求人は租税特別措置法第66条の6の規定を適用して更正処分が行われることを前提に個々の船舶の償却費の訂正を求めていることからしても、確定申告書に添付された「減価償却費明細書」の記載内容には誤りはなかったものと認められ、各船舶の減価償却費の計算は確定申告書に添付された「減価償却明細書」に記載された金額に基づき行われることとなる。
請求人らのうちの一人とともに本件宅地上の建物に居住していた被相続人は、病院を退院後、相続開始の直前においては、長女の住所地に居住していたと認めるのが相当であるとして、本件宅地に小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例を適用することはできないとした事例
裁決事例集 第64集 519頁
要旨
請求人らは、被相続人の住民票上の住所は、相続の開始の約1年前に被相続人の長女の住所地に変更しているものの、被相続人の生活の本拠は、本件宅地上の建物に被相続人の備品等が残されているなど、相続が開始するまで当該建物にあったのであるから、租税特別措置法第69条の3第1項の規定が適用されるべきである旨主張する。
しかしながら、[1]被相続人は、退院後、当該長女の住所地において日常生活を送っていたこと、[2]被相続人は、所得税の申告等において、当該長女の夫の扶養親族となっていることなどから総合的に判断すると、被相続人は、相続開始の直前においては当該長女の住所地に居住していたと認めるのが相当であるので、請求人の主張を採用することはできない。
要旨
請求人は、収用による譲渡が買取りの申出があった日から6か月を経過した日後にされたことについては争わず、[1]確定申告書に本件事業施行者が発行した本件収用証明書を添付したこと、[2]R県収用委員会が収用裁決の審理のために6か月以上を要したこと、[3]収用による譲渡が買取りの申出があった日から6か月を経過した日後にされた場合であっても、特別控除の適用が認められるとする通達の定めがあること及び[4]本件譲渡については本件特例の適用がある旨の税務相談室職員の指導を受けたことから、本件譲渡については本件特例を適用すべきである旨主張する。
しかしながら、請求人は、[1]最初に買取りの申出があった日から6か月を経過した日後に本件土地を収用により譲渡したこと及び[2]本件事業施行者に対して補償金の支払請求をしていないことが認められるから、請求人の主張にはいずれも理由がなく、本件譲渡について本件特例を適用することはできない。
要旨
譲渡した土地は、前年7月から駐車場として賃貸していたが、当該土地の譲渡契約締結の話合いの状況及び当該土地の上に建設されるマンションの建設計画の進ちょくの状況に照らし当該賃貸は一時的なものにすぎず、相当の対価を得て継続的に行う事業に準ずるものに該当するとはいえないから、租税特別措置法(昭和55年法律第9号による改正前のもの)第37条第1項の規定の適用は認められない。
要旨
請求人は、中古住宅の取得に際して支払った不動産仲介手数料や不動産登記費用等は、家屋の取得に伴う経済的負担を構成する以上、仲介手数料等を家屋の取得の対価の額に含めることは租税特別措置法第41条(住宅の取得等をした場合の所得税額の特別控除)の立法の趣旨に沿うというべきであると主張する。
ところで、租税特別措置法第41条第1項は、居住用家屋を取得した場合にその取得に係る資金を一定の金融機関等から借り入れた場合には、住宅取得等特別控除の適用がある旨規定している。
ある支出が「居住用の家屋の取得等に係る請負代金若しくは取得等の対価の額」とするためには、当該支出が居住用に係る構築物等の取得の対価の額に充てられることが一つの要件と解されているところ、仲介手数料等は、家屋と併せて同一の者から取得した対価の額に充てられたものでないこと、また、家屋と仲介手数料等とは実務的に区分計算が困難であるとも認められないから、仲介手数料等は家屋の取得の対価の額に含まれないと解するのが相当である。
要旨
原処分において使途不明金として認定した取引先の板前等に対して支払った本件手数料のうち、板前等の一部の者に係る手数料については、領収書等によりその板前等に支出した事実が認められ、その支出は取引を円滑に行う目的で支払われたものであり、かつ、その金額は売上金額に比例したものでないこと、また、販売額の還元金として取引先である旅館等に支払われたものでないことが認められるところから、請求人の主張する販売促進費ではなく交際費等として損金算入を認めるのが相当である。
要旨
請求人は、租税特別措置法(以下「措置法」という。)第33条の規定は、[1]公共用地の取得に伴う損失補償基準要綱の趣旨からの帰結、[2]取得時期引継ぎの有無や通達選択等の差による課税の不公平、[3]措置法第33条の2以下の規定の適用場面との権衡を根拠として、譲渡損失の場合にも適用できる旨主張し、また、所得税法第33条第3項の「譲渡所得の金額」は、譲渡益の金額及び譲渡損失の金額の両方を含むものとして定義されている旨主張する。
しかしながら、措置法第33条の趣旨は、土地収用等その他の法令の規定に基づき所有資産を強制的に譲渡させられることとなる者について、その収用等によって譲渡した資産のうち再投資によって取得した代替資産の取得価格に相当する部分について、譲渡がなかったものとみなして課税を延期する措置を講じることにより、課税による現実の収入の減少によってその個人が従前と同様の生活を維持すること又は生活保持のための再投資(代替資産の取得)をすることを阻害する結果となることを防止するとともに、公共事業の円滑な推進を図る点にあることから、このような趣旨にかんがみれば、措置法第33条は、課税により現実の収入の減少が生じる場合、すなわち、譲渡益が発生する場合に適用される規定であると解するのが相当である。
また、所得税法第33条は、同法第22条第2項の規定を受け、譲渡所得の課税標準を定めることを目的として、課税標準を算出するための計算方法を規定したにすぎないと解されるから、所得税法第33条に規定する「譲渡所得の金額」は、まさに課税標準を意味するものであり、譲渡所得の計算の結果が譲渡益となった場合のみを指すものと解するのが相当である。したがって、計算過程において譲渡損失がでることがあり得ることをもって、所得税法第33条の「譲渡所得の金額」は譲渡損失が生じる場合をも含むと解することはできない。
本件家屋は同一世帯に属する長男及び義母等の居住の用に供されていたが、請求人は、本件家屋を相続により取得してから一度も居住しないまま譲渡しているので、本件譲渡は居住用財産の譲渡に当たらないとした事例
裁決事例集 第43集 468頁
要旨
請求人の本件譲渡時における生活の本拠は、請求人が日常実際に起居し、住民登録もしていた勤務先の社宅であり、請求人が所有者として本件家屋を居住の用に供していたとは認められず、また、請求人と社会通念上同居を通常とする妻及び次男も長期間居住していない本件家屋については、永続的な利用を目的として請求人及び妻等の日常生活に利用されていたとは到底いえず、請求人らの生活の本拠が本件家屋にあったとは認められない。
要旨
請求人は、租税特別措置法第66条の6《内国法人に係る特定外国子会社等の留保金額の益金算入》第1項の規定による課税の特例(外国子会社合算税制)は、内国法人に租税回避行為がある場合にのみ適用すべきであり、外国子会社合算税制の適用により我が国の国際競争力を弱めるような事態が生じる場合には適用されない旨主張する。
しかしながら、外国子会社合算税制は、租税特別措置法第66条の6第1項において外国子会社合算税制が適用される特定外国子会社等を定義した上で、同条第4項において適用除外要件を定め、特定外国子会社等が独立企業としての実体を備え、かつ、その本店又は主たる事務所の所在する国又は地域で事業活動を行うことについて十分な経済的合理性がある場合には、同条第1項の規定を適用しないとして、課税要件を具体的かつ明確に定め、その適用範囲を国際的な租税回避行為の事案に限定するとともに、法の適正な執行が担保されるようにした規定であると解され、同条がそれ以上に、「租税回避行為がある場合」といった要件まで要求していないことは、条文の文言上、明らかであるから、外国子会社合算税制は、租税回避行為がある場合に限定して適用されるべきであるということはできない。
参照条文等
租税特別措置法第66条の6(平成21年法律第13号による改正前のもの(適用事業年度によっては、平成18年法律第10号、平成19年法律第6号、平成20年法律第23号による各改正前となる。))
参考判決・裁決
被相続人の居住の用に供されていた宅地等は、相続人等の生活基盤の維持に必要なものに限定されるべきであり、被相続人が生前に居住用の宅地を複数保有していた場合であっても、正に相続開始の直前において現に居住の用に供していた宅地の部分に限られるとした事例
裁決事例集 第71集 706頁
要旨
「居住の用に供されていた宅地等」とは、相続の開始の直前において、被相続人等が現に居住の用に供していた宅地等を意味し、被相続人の死亡直前に現に生活の拠点として使用していたことが必要であり、具体的には、被相続人のその建物への入居目的、日常生活の状況、その建物の構造及び設備の状況、生活の拠点となるべき他の建物の有無その他の事実を総合勘案して、社会通念に照らして客観的に判断すべきであると解される。
これを本件についてみると、本件被相続人が相続開始の直前において本件マンションを生活の拠点として使用していたとは認められないことから、本件宅地には本件特例を適用することはできない。
なお、請求人らは、本件宅地及びQ市宅地とも本件被相続人が居住の用に供していた宅地であることを前提に、両方の宅地の地積の合計が200平方メートル以下であるので、本件宅地についても、本件特例の適用を認めるべきである旨主張する。
しかしながら、本件特例は、被相続人等の事業の用又は居住の用に供されていた宅地等は、一般にそれが相続人等の生活基盤の維持のために欠くことのできないものであって、相続人において事業の用又は居住の用を廃してこれを処分することに相当の制約があるのが通常であることから、相続税の課税上特別の配慮を加えることとしたものであり、このような本件特例の立法趣旨からすれば、本件特例の対象となる被相続人の居住の用に供されていた宅地等は、相続人等の生活基盤の維持に必要なものに限定すべきであると認められ、被相続人が生前において居住用の宅地を複数保有していた場合であっても、正に相続開始の直前において現に居住の用に供していた宅地の部分に限って本件特例の適用があると解するのが相当であり、この点に関する請求人らの主張は採用できない。
要旨
請求人は過去4年間、山林の伐採又は譲渡による山林所得の申告をしておらず、過去における土地の譲渡に山林の譲渡が含まれていたとしても、その価格は格別取り上げる必要がない程度のものであると認められること及び本件譲渡直前において請求人が所有していた土地の面積は事業たる林業を経営している程度のものとは認められないことなどから請求人は林業を営んでいたとは認められないから、本件山林素地の譲渡は、租税特別措置法(昭和55年法律第9号による改正前のもの)第37条に規定する事業用資産の譲渡とは認められない。
開発許可を受けたのは受託者であって、不動産信託の受益者としての権利(受益権)の譲受人でないため、優良住宅地の造成等のために土地等を譲渡した場合の長期譲渡所得の課税の特例の適用はないとした事例(平成25年分の所得税及び復興特別所得税の更正処分並びに過少申告加算税の賦課決定処分・棄却)
裁決事例集 第103集
ポイント
本事例は、信託財産に属する資産が土地等である所得税法第13条第1項に規定する受益者等課税信託の信託受益権が譲渡された場合には、当該信託財産に属する資産である土地等が譲渡されたことになるところ、当該土地等の開発許可を受けたのは受託者であって、当該信託受益権の譲受人でないため、優良住宅他の造成等のために土地等を譲渡した場合の長期譲渡所得の課税の特例の適用はないと判断したものである。
要旨
請求人らは、信託法第16条《信託財産の範囲》第1項及び所得税法第13条《信託財産に属する資産及び負債並びに信託財産に帰せられる収益及び費用の帰属》第1項の規定からすると、信託財産に関する受託者の行為は受益者の行為と同一人格の行為であるとみなされることから、当該信託の受託者が都市計画法第29条《開発行為の許可》第1項に基づく開発許可を取得すれば、当該許可を受けた地位は、信託受益権が譲渡された場合の受益者である譲受人も有するというべきであり、当該譲受人は、租税特別措置法第31条の2《優良住宅地の造成等のために土地等を譲渡した場合の長期譲渡所得の課税の特例》第2項第13号(本件特例)の「開発許可を受けて住宅建設の用に供される一団の宅地の造成を行う」法人に該当するなどと主張する。
しかしながら、本件特例は本来課されるべき租税を政策的な見地から特に軽減するものであるから、租税公平主義に照らし、その解釈は条文の文言に即して厳格にされるべきであり、条文の文言を離れてみだりに拡張解釈や類推解釈をすることは許されないことに鑑みれば、本件が対象土地に係る信託受益権(本件受益権)の譲渡であり、本件受益権の譲受人自身が開発許可を取得していない以上は、開発許可を受けた者に対する譲渡との要件を満たさないものとして、本件特例の適用を受けることはできない。
参照条文等
参考判決・裁決
東京地裁平成13年3月29日判決(税資250号順号8869)
要旨
請求人が外注費として支出した調整金員については、[1]請求人が公共工事の落札時に、次点入札業者との間で互いに実体のない工事の架空伝票を起票して調整金員(請負金額の約10パーセントから15パーセント程度)を次点入札業者に支払っていること、[2]業者間における競争入札による出血工事等の問題を避けるために、入札業者間で慣行により支出されていること等事業関係者間での取引を円滑化するために支払われる一種の謝礼金とみることができ、事業に関係のある者等に対する贈答その他これに類する行為のために支出する費用といい得るのであって、租税特別措置法(昭和57年法律第8号による改正前のもの)第62条第4項に規定する交際費等に該当する。
外国子会社合算税制の適用において法人税法第12条第1項の規定が適用されるとした事例( 令和2年1月1日から令和2年12月31日までの連結事業年度の法人税の更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分 令和2年1月1日から令和2年12月31日までの課税事業年度の地方法人税の更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分・ 一部取消し)
裁決事例集 第134集
ポイント
本事例は、外国私法により成立した法律関係が信託に該当し、外国子会社合算税制の適用において法人税法第12条第1項の規定が適用されることから、特定外国関係会社の基準所得金額の計算上、信託財産たる株式に係る配当に相当する金額は、子会社から受ける配当等の額として控除されると判断したものである。
要旨
原処分庁は、オランダ王国で設立された財団が株式(本件株式)と引き換えにデポジタリー・レシートを発行する契約(本件発行契約)により成立した法律関係は、法人税法(令和2年法律第8号による改正前のもの)第12条《信託財産に属する資産及び負債並びに信託財産に帰せられる収益及び費用の帰属》第1項に規定する信託に該当せず、また、外国子会社合算税制における基準所得金額の計算において、同項の規定は適用されないから、本件株式に係る配当(本件配当)に相当する金額は、租税特別措置法施行令(令和2年政令第207号による改正前のもの)第39条の115第1項第4号に規定する子会社から受ける配当等の額に該当せず、請求人の特定外国関係会社(本件h法人1)の基準所得金額の計算上控除することはできない旨主張する。
しかしながら、本件発行契約等における合意のうち我が国の信託法第3条《信託の方法》第1号に規定する内容に当てはまる部分については、我が国の信託法上の信託契約に相当し、本件発行契約等により成立した法律関係は、法人税法第12条第1項に規定する信託に該当するものと認められる。また、外国子会社合算税制における基準所得金額を計算する場合においても、法人税法第12条第1項本文の規定の適用により、同項本文に規定する信託の受益者が当該信託の信託財産に属する資産及び負債を有するものとみなされると解される。したがって、本件h法人1は、同項本文の規定により、信託財産に属する資産である本件株式を有するものとみなされ、かつ、本件配当は受益者である本件h法人1の収益とみなされるから、本件h法人1の基準所得金額の計算上、本件配当に相当する金額は、租税特別措置法施行令第39条の115第1項第4号に規定する子会社から受ける配当等の額に該当し、控除される。
参照条文等
法人税法(令和2年法律第8号による改正前のもの)第12条第1項 租税特別措置法(令和2年法律第8号による改正前のもの)第68条の90第1項 租税特別措置法施行令(令和2年政令第207号による改正前のもの)第39条の115第1項第4号 信託法第2条、第3条、第4条
参考判決・裁決
名古屋地裁平成23年3月24日判決(訟月60巻3号655頁)
要旨
請求人は、自己の所有家屋と妻の所有家屋を一体として居住の用に供していたから、自己の所有不動産についても措置法第35条の適用があると主張するが、[1]両家屋は各々独立しており、[2]両家屋を一体として利用しなければ居住の用に供せない事情もなく、[3]電気量も大半が妻の所有家屋で消費されていることから、請求人の所有不動産は居住の用に供していたものとは認められない。
要旨
請求人は、国の水田利用再編対策実施要綱に基づく水田預託契約により農協に預託した水田について、同農協から請求人自らが委託を受けて、除草、害虫駆除等を行って保全管理をしたものであること等から、当該水田は租税特別措置法(昭和58年法律第11号による改正前のもの)第37条第1項に規定する事業用資産に該当する旨主張するが、[1]請求人は自らの意思に基づいて耕作することを停止し農協に預託したものであり、資産の買換えのために耕作を停止したものではないこと、[2]請求人は耕作可能な状態に管理していたが、これは農協から委託を受け、その受託者としての保全管理作業であって農業経営のための業務とは認められないこと、[3]請求人は本件土地について農協と水田預託契約を締結したことによって自ら本件土地を耕作する意思を放棄したというべきであることなどから、本件土地は事業用資産とは認められない。
要旨
請求人は、租税特別措置法第41条第3項に規定する「増改築等」には、既に所有している家屋に係る増改築のみならず、増改築後に当該家屋を取得するに至った場合も含まれると解すべきである旨主張するが、同条項は「当該居住者が所有している家屋につき増築、改築その他政令で定める工事」と規定しており、増改築時点で当該家屋を所有していることが適用要件と解されることから、請求人の見解は現行法上採り得ない。
また、請求人は、以前に行ったリフォームにより共有状態となった旨、増改築の計画段階で父から2分の1の持分を譲り受けた旨主張するが、請求人は主張を裏付ける的確な証拠を提出しておらず、また、他人所有の不動産を増改築した場合には、原則として、その増改築部分の建物の所有権は建物に附合し建物本体の所有者の所有に帰することとなるのであるから、リフォームあるいは増改築を行ったこと自体から当然に請求人に共有持分が発生すると解することはできない。
要旨
請求人は、租税特別措置法第33条の4第3項第1号に規定する「公共事業施行者から最初に買取り等の申出のあった日」について、民間企業が事業認定を受けて行う事業の場合、当該民間企業は、事業認定を受け収用権が発生したことによって初めて同号に規定する公共事業施行者としての地位を得られるのであるから、本件における公共事業施行者は事業認定を受けた後のT社であって、本件土地の買取りの申出のあった日は平成14年8月30日であり、譲渡の日(同年9月20日)の6か月以内に買取りの申出があったことになるから、収用交換等の場合の5,000万円の特別控除の特例が適用できる旨主張する。
しかしながら、租税特別措置法第33条の4第3項第1号に規定する買取り等の申出の主体である公共事業施行者については、事業認定を要しない事業(いわゆる特掲事業)を施行する者も含まれており、また、事業認定を受けた後の事業者とは規定されていないことから、事業認定を受けた後の事業者が同号でいう公共事業施行者であると限定的に解することはできない。また、同号に規定する「買取り等の申出のあった日」とは、公共事業施行者が、資産の所有者に対し、買取り等の資産を特定し、対価を明示してその買取り等の意思表示をした日をいうものと解されるところ、本件についてみると、事業施行者であるT社が、請求人に対して、最初に買取りの意思表示を行ったのは、平成13年6月17日とするのが相当であり、本件土地はこの日から6か月以上経過した後において譲渡されているから、収用交換等の場合の5,000万円の特別控除の特例を適用することはできない。
請求人の多忙及び共同相続人の通院加療等を理由に、請求人が行った相続税の申告期限から3年以内に遺産が分割されなかったことについてのやむを得ない事由の承認申請を却下した処分が適法であるとした事例
裁決事例集 第73集 483頁
要旨
請求人は、本件特例の適用を受けようとする遺産が未分割であることについて、①相続人が関係していた法人と原処分庁との間の訴訟が係属中であること、②請求人は、自ら当事者となっている訴訟事件7件、雑事件10件、その他9件を抱えて多忙であったこと、③遺産の一部については分割を了するなど、請求人は分割協議の完了に努力していること及び④共同相続人のうちの1名が病気のため通院加療中であったことから同人に配慮する必要があったこととのやむを得ない事由が存在するので、原処分は違法であると主張する。
しかしながら、請求人が主張する事由は、いずれも租税特別措置法施行令第40条の2第12項で準用する相続税法施行令第4条の2第1項第1号ないし第3号に規定する本件相続に関する訴えの提起、和解、調停の申立て等の事由には該当しない。また、同項第4号に規定する「税務署長においてやむを得ない事情がある場合」については、個々の具体的事例に即し、税務署長が客観的な事実に基づいて認定することとなり、その判断のよりどころとして相続税法基本通達19の2-15(以下「本件通達」という。)において例示を掲げているところ、その取扱いは相当であると認められるので、請求人が主張する上記事情について、これに照らして判断すると次のとおりである。
①ないし③の事情は、当該事情が未分割の前提としてあったとしても、いずれも本件通達に定めるような客観的に遺産分割ができないと認められる事情には該当しない。
また、④の事情は、共同相続人のうちの1名が病気療養中であったとはいえ精神的又は身体の重度の障害疾病のため遺産分割ができなかったとはいえず、本件通達に定めるような客観的に遺産分割ができないと認められる事情には該当しない。
以上のとおり、本件特例の適用を受けようとする遺産が未分割であることについて、相続税法施行令第4条の2第1項各号に規定するやむを得ない事情があったとは認められないから、本件却下処分に違法はない。
収用等がされる土地の上に存しない建物に係る移転補償金は、収用交換等の場合の譲渡所得等の特別控除の特例の適用対象となる補償金には該当しないとした事例
裁決事例集 第77集 256頁
要旨
租税特別措置法(以下「措置法」という。)第33条の4第1項本文のかっこ書により本件特例が適用されることとなる同法第33条第3項第2号の規定は、同号の規定に該当する場合にあっては、収用等をされる土地の上にある資産の取壊し又は除去が土地の収用等と同じ性格のものであり、収用等に準じて課税の特例を認めることが相当であるとの趣旨から、資産の取壊し又は除去であっても、同号に規定する土地の上にある資産について、収用等による譲渡があったものとみなし、土地の収用等の場合と同様の課税の特例を認めることとしているものと解されることからすれば、同号に規定する「その土地の上にある資産」とは、正に、収用されることとなる土地自体の上にある資産を、あるいは土地の上に存する権利が収用されることとなる場合にはその権利の存する土地自体の上にある資産をいうものと解するのが相当であり、このことは文理上も明らかである。
ところで、土地が収用等をされた場合、その上にある建物等に対して交付される補償金には、その取壊し又は除去により生ずる損失の補償として交付されるものと、その移転に要する費用の補償として交付されるものとがあるが、建物等の取壊しによる損失補償金は、措置法第33条第3項第2号の規定により本件特例の対象となる補償金とみなされるのに対し、建物等の移転補償金については、このような特別の規定はなく、現実に建物等を取り壊した場合であっても本件特例の適用がないことになり、実情に即さないところがあることから、公共事業施行者の補償の仕方いかんにより課税上の差異が生じることのないよう同号の規定との課税の公平をも図る趣旨から租税特別措置法関係通達(以下「措置法通達」という。)33-14が定められているものと考えられる。したがって、この措置法通達の取扱いが定められた趣旨からすると、措置法通達33-14に定める「当該土地等の上にある建物又は構築物」も、措置法第33条第3項第2号に規定する「その土地の上にある資産」と同様、収用されることとなる土地自体の上にある建物又は構築物を、あるいは土地の上に存する権利が収用されることとなる場合にはその権利の存する土地自体の上にある建物又は構築物をいうものと解するのが相当である。
本件建物移転補償金は、本件事業の施行により本件土地及び本件国有地が道路用地とされたことに伴い、A社のガソリンスタンドの用に供されていた本件建物について、その移転に要する費用として補償されたものではあるが、本件事業により収用されることとなる土地又は土地の上に存する権利は、本件土地のみであり、本件土地の上には、本件建物を含めガソリンスタンドの用に供されていた既存の施設等はなかったものと認められる。
すなわち、本件建物移転補償金は、土地の収用等に伴って支払われた補償金ではあるものの、本件事業用地の地域外に存する資産の移転に要する費用を補償したものであると認められ、収用されることとなる本件土地の上の資産について補償したものではないから、本件特例の対象となる補償金に該当しないことは明らかであり、請求人が主張するように、本件建物が本件土地を含むA社のガソリンスタンドの敷地と一体として使用されていたことのみをもって、本件特例を認める余地はないというべきである。
外国子会社合算税制の特定外国関係会社に該当するかどうかの判定における株式等保有割合は、「出資の金額」により判定すべきとした事例(平成31年4月1日から令和2年3月31日まで及び令和3年1月1日から令和3年12月31日までの各事業年度の法人税の各更正処分及び過少申告加算税の各賦課決定処分、平成31年4月1日から令和2年3月31日まで及び令和3年1月1日から令和3年12月31日までの各課税事業年度の地方法人税の各更正処分及び過少申告加算税の各賦課決定処分・棄却)
裁決事例集 第137集
ポイント
本事例は、株式等保有割合における「株式又は出資の数又は金額」の読み方は、「株式の数」、「株式の金額」、「出資の数」及び「出資の金額」の4通りの組み合わせがあるが、本件における事業体(米国LLC)の組織形態などを考慮して解釈すると、「出資の金額」により判定すべきとしたものである。
要旨
請求人は、外国子会社合算税制上、請求人の外国関係会社である複数の米国LLC(本件各社員LLC)が有する、米国の州法であるLLC法に基づき設立された米国LLC(本件各LLC)の株式等の保有割合の判定において、「出資の数」又は「議決権のある出資の数」を用いて判定することができ、当該保有割合はいずれも25%以上であり、本件各社員LLCは、令和2年法律第8号による改正前の租税特別措置法第66条の6第2項第2号イ(3)に規定する外国子会社の株式等の保有を主たる事業とする外国関係会社に該当し特定外国関係会社には該当しないから、外国子会社合算税制の適用はない旨主張する。
しかしながら、「出資の数」においては、出資を均等の割合的単位に細分化する口数の定めがある場合において基準として用いることができると解されるところ、LLC法には持分を口数として均等の割合的単位によって細分化すべきことや、口数に応じて拠出がなされるべきことを定めた規定はなく、本件各LLCに係る契約書(本件各LLC契約書)にも本件各LLCの拠出資本及び持分に係る口数に関する定めはないことから、本件各LLCにおいては「出資の数」を観念することができない。また、本件各LLC契約書には出資に基づく議決権に係る定めがあるとは認められないことから、本件各LLCにおいては「議決権のある出資」を観念することはできず、本件各LLC契約書には株式に関する定めがないため、当該保有割合は「出資の金額」で判定することになる。これに基づき計算された当該保有割合は25%未満であると認められるため、本件各LLCは外国子会社に該当せず、本件各社員LLCは外国子会社の株式等の保有を主たる事業とする外国関係会社には該当しない。さらに、本件各社員LLCは、租税特別措置法第66条の6第2項第2号イに規定する各要件のいずれにも該当しないことから、本件各社員LLCは、請求人の特定外国関係会社に該当し、請求人は、本件各社員LLCに関して外国子会社合算税制の適用がある。
参照条文等
参考判決・裁決
最高裁令和5年11月6日第二小法廷判決(民集77巻8号1933頁) 大阪地裁令和3年9月28日判決(訟月69巻1号31頁) 平成30年12月14日裁決(裁決事例集No.113)
要旨
請求人の前代表者の死亡による社葬費用を法人の損金に算入することは妥当であるが、葬儀に引続き場所をホテルに移して行った「おとき」は、死者に対する追善供養を目的とする法会の一環であり、主として請求人の取引先の者に飲食を供したものであるから、それに係る費用を社葬費用に当たるものとみることはできない。
したがって、「おとき」に係る費用のうち、取引先の者を対象とするものは交際費等、また現代表者の親族、友人を対象とするものは現代表者個人の負担とするのが相当である。
要旨
請求人は、[1]本件家屋の改修工事費用の全額を実際に負担しているから、請求人の住宅取得等特別控除の対象となる増改築等に要した費用の額は、当該改修工事費用の全額である旨及び[2]当該工事費用の支出があったことにより本件家屋の請求人の持分を変更しているから、登記簿上の持分に基づいて行われた更正処分は事実を誤認している旨主張する。
ところで、本件家屋の改修工事により付加された部分は、本件家屋と一体となっていることから民法第242条により本件家屋に附合したこととなり、その所有権は本件家屋の共有者にそれぞれの持分に応じて帰属することになる。
そうすると、増改築部分についても共有者が各々の持分に応じて所有していると解されるから、請求人の住宅取得等特別控除の対象となる増改築等に要した費用の額は、本件家屋の改修工事に要した費用の額のうち請求人の持分に相当する部分となる。
また、不動産登記はその真正なることを保証するために不動産登記法に規定する厳格な手続きによってなされており、登記には登記簿上表示される法律関係が実体法上も存在するものと推定される効力があり、登記簿上の法律関係が一応真正なものとして取り扱われる。
もとより、反対の証拠によりこの推定を覆すことは可能であるが、請求人は持分変更の登記をしなかった理由を回答するのみで持分が変更されているとする主張を立証するに足りる証拠資料を提出せず、また、当審判所の調査によっても請求人の持分が変更されているとの心証を得ることはできないことから、請求人の本件家屋の持分は登記簿に記載された2分の1であると認めるのが相当である。
したがって、この点に関する請求人の主張は採用することができない。
請求人は被相続人と生計を一にしていた親族とは認められないから、請求人が相続により取得した請求人の居宅の敷地は小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例の対象とはならないとした事例
裁決事例集 第75集 645頁
要旨
本件被相続人の生活の本拠は本件被相続人の居宅であり、また、請求人は請求人居宅を建築した後は請求人居宅に居住しており、請求人の答述のとおり、請求人と本件被相続人は、請求人居宅を建築した後は別居し、それぞれ独立した生活を営んでいたと認められることから、請求人が本件被相続人と別居してから同人がC病院に入院するまでの間、請求人と被相続人が生計を一にしていたと認めることはできない。
そして、本件被相続人はC病院に入院後は複数の病院を転院しながら入院生活を継続しており、本件相続の開始の直前においても、請求人と本件被相続人は別居していたものと認められるところ、同人に係る入院費の支払状況及び同人名義の普通預金口座の出金状況に照らせば、請求人の答述のとおり、本件被相続人に係る入院費は同人名義の普通預金口座から出金された金員で支払われたものと推認することができ、また、本件被相続人居宅に係るガス料金等は、同人名義の預貯金口座から引き落とされていることからすれば、請求人と本件被相続人は、本件相続の開始の直前において、日常生活に係る費用の全部又は主要な部分を共通にしている関係にはなく、請求人が本件被相続人の「生計を一にしていた」親族であると認めることはできない。
要旨
譲渡された土地の利用状況は、特定の者の駐車場としての表示や施設が設置されることもなく、その近隣へ勤務する者や所用のあった者が随時、必要に応じて自動車を駐車していた程度であり、また、本件譲渡土地を事業の用に供する積極的な意図は認められず、近い将来貸付けの用に供されることが客観的に明白でないと認められるから、本件土地は租税特別措置法第37条第1項に規定する事業の用に供していた資産に該当しない。
譲渡物件は居宅新築のための仮住まいと認められ、譲渡所得について租税特別措置法第35条の規定による特別控除はできず、また、居住期間を偽った住民票の添付は重加算税の対象になるとした事例
裁決事例集 第45集 295頁
要旨
- 請求人は、本件資産の譲渡所得の計算に当たり、本件資産は居住の用に供していたものであり、仮住まい、あるいは特例の適用を受けるためのみの目的で入居したものではないから、租税特別措置法第35条の規定を適用すべきであると主張する。
しかしながら、本件資産は、居宅を新築する資金に充てるため、それまで貸家にしていたものを売ることとしたが、当該譲渡に係る譲渡所得について租税特別措置法第35条の規定の適用を受けんがため、住民票上、居住期間を仮装したものであり、電気の使用量等から居宅が完成するまでの仮住まいであったと認められる。したがって、本件資産は本件特例に規定する居住用財産に該当しないことは明らかであり、居住用財産の売却に係る特別控除の適用はできない。 - 本件資産の賃貸期間を偽って確定申告をするとともに、本件資産について、虚偽の居住の為の補修工事をしたこと等の申立てをし、また、実際の居住期間とは異なる住民登録をした住民票を確定申告書に添付し本件特例を適用したことは、通則法第68条第1項の規定に該当し、重加算税の賦課決定は適法である。
要旨
請求人が譲渡した土地は、その土地の上にあった建物と共に、請求人から管理を委任された兄がその経営する会社の従業員に固定資産税及び修繕費を負担させて居住させていたものであるところ、[1]賃貸借期間、賃貸料等についての取決めがないこと、[2]請求人は、本件土地を譲渡した後に兄から報告を受けるまで、その従業員への貸付けの事実を報告されていなかったこと等の事実を総合勘案すると、その貸付けは、維持・管理の目的で従業員に使用させていたと認めるのが相当であるから、相当の対価を得る目的で貸し付け、かつ、相当の対価を得ていたものとは認められない。
また、その土地の上にあった建物を取り壊した後、その土地は建設会社に貸し付けられたが、それは、貸付期間が6か月間延長されたものの1年6か月であったこと及び使用目的が橋梁架換工事のための仮設道路用地であったこと等からすると、一時的に貸し付けていたにすぎないと認めるのが相当である。
したがって、本件土地の貸付けは、事業に準ずるものとは認められず、原処分庁が本件土地が事業用資産には該当しないとして、その譲渡につき租税特別措置法第37条の規定を適用しなかったことは相当である。
外国子会社合算税制における「非関連者基準」の規定である「当該各事業年度の収入保険料」のうちに「関連者以外の者から収入する収入保険料」の占める割合が50%を超えないと判断した事例(平成30年9月21日から令和3年9月20日までの各事業年度の法人税の各更正処分及び過少申告加算税の各賦課決定処分並びに平成30年9月21日から令和3年9月20日までの各課税事業年度の地方法人税の各更正処分及び過少申告加算税の各賦課決定処分・棄却)
裁決事例集 第139集
ポイント
本事例は、請求人の自社キャプティブ保険会社(主たる事業は保険業)である外国関係会社に係る外国子会社合算税制の「非関連者基準」の判定における租税特別措置法施行令第39条の14の3《特定外国関係会社及び対象外国関係会社の範囲》第28項第5号に規定する「当該各事業年度の収入保険料」の金額については、本事例の事実関係の下、同社が引き受けた請求人の保険リスクに係る収入保険料とすべきであり、当該保険リスクの一部を他社へ移転するための保険料を差し引いて計算すべきではないと判断したものである。
要旨
請求人の自社キャプティブ保険会社である外国関係会社(K社)は、スポンサードキャプティブ保険会社(M社)を通じて第三者である各U社と請求人に係る保険リスクを引き受ける再保険契約を締結し、さらにM社を通じて第三者であるR社と引き受けた請求人に係る保険リスクの一部を非関連者に係る保険リスクと交換する契約を締結しているところ、請求人は、K社が外国子会社合算税制の非関連者基準を満たすか否かの判断に当たって、租税特別措置法施行令第39条の14の3《特定外国関係会社及び対象外国関係会社の範囲》第28項第5号に規定する「当該各事業年度の収入保険料」の金額については、①d州法上、K社は直接保険リスクを引き受けることができないこと、M社は受け取った収入保険料の全額をK社に支払っていないという金銭の流れや、K社はそれを前提とした会計処理を行っていること、また、②関係当事者が真に意図していたのは、最終的にK社は請求人に係る保険リスクのうち一部のみを引き受けるものであったため、監督官庁の承認を得た上で、再保険契約等の内容を遡及的に修正したことなどからすれば、請求人に係る保険リスクの一部をR社に移転するための保険料(本件保険料)を除いた金額(再保険契約修正後の収入保険料の金額と同額となる。)とすべきである旨主張する。
しかしながら、①K社が請求人に係る保険リスクを引き受けるために締結した再保険契約等においては、K社が引き受ける請求人に係る保険リスクが一部であるとの記載がないことなどからすれば、K社の各事業年度の収入保険料の計算において本件保険料を除く理由はなく、また、②再保険契約が変更されたのは、K社の各事業年度の終了後であって、K社の各事業年度において有効に存在していたのは変更前の再保険契約であることなどからすれば、本件においては、変更前の再保険契約に基づいて、K社の収入保険料の金額を判断するのが合理的であると認められる。
参照条文等
租税特別措置法第66条の6(令和2年法律第8号による改正前のもの)第2項第3号柱書及び同号ハ 租税特別措置法施行令第39条の14の3(令和2年政令第207号による改正前のもの)第28項柱書、同項第5号柱書及び同号イ
参考判決・裁決
最高裁令和6年7月18日第一小法廷判決(民集78巻3号1097頁)
要旨
海運代理業を営む請求人は、本件交際費について、外国法人の船主らが負担する旨の包括的承認契約により立替払をしたにすぎないから、請求人の費用ではないと主張するが、個々の荷主の接待等は、船主らの指示によるのではなく専ら請求人の裁量により行われていること等から、請求人の費用として交際費等の損金不算入額の計算の対象とすることが相当である。
租税特別措置法第41条第1項及び租税特別措置法施行令第26条第2項に規定する建築の意義には増改築も含まれると解すべきであるから住宅借入金等特別控除の適用要件に該当するとの請求人の主張を排斥した事例
裁決事例集 第62集 173頁
要旨
請求人は、建築基準法における建築には増改築が含まれるから、租税特別措置法(以下「措置法」第41条第1項及び租税特別措置法施行令(以下「措置法施行令」第26条第2項(以下、両規定を併せて「本件措置法規定等」という。)に規定する建築にも増改築が含まれると解すべきである旨主張する。
しかしながら、本件措置法規定等に規定する建築には、下記のとおり、増改築は含まれず、建築基準法における建築の意義とは別意に解するのが相当であり、請求人の主張は採用できない。
(1)措置法第41条第1項は、居住者が、[1]居住用家屋の新築、[2]居住用家屋で建築後使用されたことのないものの取得、[3]居住用家屋で建築後使用されたことのある家屋で政令で定めるものの取得、[4]その者の居住の用に供している家屋で政令で定めるものの増改築等をし、これらの家屋をその者の居住の用に供した場合において、一定の要件の下に、住宅借入金等特別控除の適用をする旨規定している。
(2)上記(1)の[3]の政令で定めるものは、措置法施行令第26条第2項第3号の規定によれば、当該家屋が耐火建築物である場合には、その取得の日以前25年以内に建築されたものであるとされている。
(3)上記(1)の[4]の「増改築等」とは、措置法第41条第4項において、当該居住者が所有している家屋につき行う増築、改築その他の政令で定める工事で当該工事に要した費用の額が百万円を超えるものであることその他の政令で定める要件を満たすものである旨規定している。
(4)措置法第41条第1項の規定から判断すると、上記(1)の[1]は、居住者自らが建築主となって新築した建物について規定し、[2]及び[3]は、居住者以外の者が建築した建物で居住者が承継取得したものについてそれぞれ規定したものであって、建物の建築後、居住の用に供されたことのない建物は[2]に、居住の用に供されたことのある建物は[3]に該当し、また、現に居住している者がその建物に増改築等をした場合が[4]に該当することになる。
(5)また、住宅借入金等特別控除は、住宅政策の一環として、個人の持家取得の促進及び居住水準の向上を図ることなどを目的として設けられた制度であり、上記(1)の[3]の既存住宅の取得については、その良質性を確保する趣旨から、上記(2)のとおり、建築後の経過年数に一定の制限が加えられている。
(6)ところで、建築基準法第1条《目的》は、同法は国民の生命、健康及び財産の保護を図るため、建築物の敷地、構造、設備及び用途に関して守られるべき最低の基準を定めた法律である旨規定しており、その趣旨目的は、上記(4)の住宅借入金等特別控除のそれとは異にしているから、本件措置法規定等の適用については必ずしも建築基準法における用語の意義をそのまま引用しなければならないものではない。
(7)上記(2)から(6)までに述べたことから判断すると、本件措置法規定等に規定する建築には増改築は含まれないと解するのが相当である。
被相続人の老人ホームへの入所は一時的なものとはいえないから、入所前に居住していた家屋の敷地は居住の用に供されていた宅地等には該当せず、小規模宅地等の特例の適用対象とはならないとした事例
裁決事例集 第76集 450頁
要旨
小規模宅地等の特例の適用対象となる租税特別措置法第69条の4第1項に規定する被相続人等の居住の用に供されていた宅地等とは、相続開始の直前において、被相続人等が現に居住の用に供していた宅地等をいうものと解され、当該特例対象宅地等を敷地とする建物が現に存在し、これを居住の用に供している場合がこれに当たると解される。
ただし、被相続人の相続開始直前に当該建物を居住の用に供していない場合であっても、当該建物が一時的に空き家になっていると認められる客観的事情、例えば、相続開始前に病気療養のため入院していたなどの事情があれば、その建物が入院後他の用途に供されているなど、空き家を再び居住の用に供する予定がなかったと認めるに足る特段の事情がない限り、社会通念上、被相続人の生活の拠点がなおその建物に置かれていたと解することができ、当該建物を居住の用に供していると認めるのが相当である。
本件被相続人の相続開始直前において、被相続人は本件家屋を現に居住の用に供していなかったので、本件老人ホームへの入所が本件家屋を空き家にしていたのが一時的であるとする客観的事情に該当するかを検討すると、まず、本件老人ホームへの入所目的は、被相続人が日常生活動作について介護を必要とし、要介護認定を受けており、同居していない請求人ら親族において介護することが困難であったことから、本件被相続人の介護を目的としたものであったと認められるが、本件老人ホームは、要介護1から5の介護が必要な者でも終身入居可能な介護付終身利用型有料老人ホームであり、入所者は、終身にわたって十分な広さと生活に必要な施設を完備した専用居室を利用でき、食事、家事、健康管理などに関するサービス、生活全般にわたる介護サービスの提供を受けることができたのであるから、本件被相続人は本件老人ホームで終身生活することが可能であったということができ、また、本件被相続人は、入所の対価として、3年間で○○○○円全額が償却される預り金を入所時に支払っており、その他月額利用料は、介護保険等からの給付金及び年金で賄うことができたから、経済的にも終身にわたって本件老人ホームを利用することが可能であり、しかも、実際に、本件被相続人は、相続開始まで本件老人ホームから、入院治療を受けた以外に外出したことはなく、同ホームで生活していた。
そうすると、本件被相続人は、終身の介護を受けることを前提として、本件老人ホームに入所したものといわざるを得ず、本件老人ホームへの入所は、客観的に見て一時的なものであったとはいえない。したがって、本件相続開始の直前において、本件被相続人が本件家屋を居住の用に供していたとはいえず、本件宅地について小規模宅地等の特例を適用することはできない。
請求人がした国に対する土地の譲渡は、国からの買取り等の申出のあった日から6か月を経過した日までに行われたものではないので、収用交換等の場合の譲渡所得等の特別控除の特例は適用できないとした事例
裁決事例集 第78集 275頁
要旨
租税特別措置法第33条の4第3項第1号は、公共事業施行者から当該資産につき最初に買取り等の申出のあった日から6か月を経過した日までに当該資産が譲渡されなかった場合には、同法第1項に規定する特別控除の特例(以下「本件特例」という。)は適用されない旨規定しているが、これは、公共事業施行者の申出に応じて資産の早期譲渡に協力した者に対してのみ、その補償金等に対する所得税について特別の優遇措置を講じることにより、公共事業の円滑な施行を図ることとした趣旨であり、ここにいう「買取り等の申出のあった日」とは、原則として、公共事業施行者が、資産の所有者に対し、①買取り資産を特定し、②その対価を明示して、③その買取り等の意思表示をした日をいうものと解するのが相当である。
これを本件についてみると、本件公共事業施行者は、請求人に対し、本件買取り申出書面及び本件補償額明細書において、①買取り資産を特定し、②その買取り等の意思表示をし、請求人は、平成15年5月31日にこれを受け取ったことが認められるから、本件譲渡資産について買取り等の申出のあった日は平成15年5月31日であると認められる。そして、請求人が本件売買契約を締結したのは、平成16年3月29日である。そうすると、請求人は、本件譲渡資産を、最初に買取り等の申出のあった日から6か月を経過した日までに譲渡していないから、本件土地代金に係る譲渡所得の金額の計算上、本件特例を適用することはできない。
譲渡土地1,567平方メートルのうちゲートボール場として使用されていた397平方メートルは、居住用家屋の敷地に該当しないので、この部分の譲渡については、租税特別措置法第35条の適用がないとした事例
裁決事例集 第50集 140頁
要旨
請求人は、そもそもゲートボール場は、請求人及び家族が使用するものとして居住用家屋に隣接して設置したものであるから、当該土地も租税特別措置法第35条に規定する「居住用家屋の敷地の用に供されている土地」に該当する旨主張する。
しかしながら、原処分関係書類及び請求人の答述によれば、ゲートボール場として使用されていた部分の土地について、[1]請求人は、昭和56年9月以降Q町長寿会と無償貸借契約を締結していること、[2]P市長は、昭和56年10月Q町自治会から受けた同場設置の陳情に基づき同場の整地工事を行ったこと、[3]同場の出入口は、居住用家屋の出入口と別であること、[4]請求人は、平成3年1月17日P市長に対し同場の設置されている土地の固定資産税免除申請を行い、[5]市長は、平成3年2月~5年2月までの間総額322千円の固定資産税を免除していること、[6]道具用倉庫は、Q町長寿会の会員が設置管理していることが認められる。
ところで、租税特別措置法第35条第1項に規定する「譲渡土地が居住用家屋」の敷地に該当するか否かの判定は、社会通念に従い当該家屋と一体として利用されていたか否かにより、具体的には、敷地と当該家屋の位置、面積及び利用状況等を総合して、当該家屋と一体として利用されている土地をいうものと解されるところ、本件ゲートボール場として使用されていた部分の土地は、居住用家屋の敷地の用に供されていた土地に該当しないというべきであるから、当該土地が居住用財産に当たらないとした本件更正処分は、適法である。
優良再開発建築物整備事業における譲渡契約の締結日は、当該事業の事業計画の同意書を作成、提出した日であるとして、居住用財産の譲渡所得の特別控除及び居住用財産を譲渡した場合の長期譲渡所得の課税の特例の適用を認めた事例
裁決事例集 第53集 253頁
要旨
原処分庁は、居住用財産を譲渡した場合の課税の特例における居住用財産とは、居住の用に供している家屋及びその土地等をいい、敷地であった土地等のみを譲渡した場合は、土地等の譲渡に関する契約が家屋を取り壊した日から1年以内に締結されている場合に特例を適用できるとされているところ、本件は、平成5年12月20日作成の売買契約書により本件譲渡資産を譲渡する旨の契約を締結したものと認められるが、本件建物は平成4年3月31日に取り壊されているから、本件売買契約書により請求人が譲渡したのは本件借地権のみと認められ、かつ、本件売買契約は本件建物を取り壊した日から1年以内に締結されていないことから、特例の適用はできない旨主張する。
しかしながら、本件再開発事業において、本件共同事業施行者が平成3年6月30日付で作成提出した事業計画の同意書には、本件共同事業施行者が保有する資産の価額等、同資産の価額等で取得可能な再開発ビルの区分所有建物等を取得する方法及び譲渡の相手方等が定められており、本件同意書は、本件共同事業施行者がその保有する資産を譲渡する旨の譲渡契約を締結したものと認めるのが相当である。また、平成5年12月20日付で作成された売買契約書は、その作成時点で本件再開発事業がほぼ完了している事実からすると、本件再開発事業の清算の過程を明らかにするために作成されたものと認めるのが相当である。
そうすると、請求人は、平成3年6月30日に、本件建物及び借地権を譲渡する旨の譲渡契約を締結したものであり、本件建物及び借地権で請求人が居住の用に供していた部分は、居住の用に供さなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までにこれを引き渡したのであるから、居住用財産を譲渡した場合の各特例を適用することができる。
共同相続人や遺産の範囲は確定しており、客観的に遺産分割ができ得る状態であったから、請求人が行った相続税の申告期限から3年以内に遺産が分割されなかったことについてのやむを得ない事由の承認申請を却下した処分は適法であるとした事例(平成21年4月相続開始に係る相続税について遺産が未分割であることにつきやむを得ない事由がある旨の各承認申請の各却下処分・棄却)
裁決事例集 第95集
要旨
請求人らは、本件相続に係る財産が本件相続に係る申告期限の翌日から3年を経過する日(本件申告期限3年経過日)までに分割されなかったことにつき、租税特別措置法施行令(平成22年3月政令第58号による改正前のもの)第40条の2《小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例》第11項の規定により準用される相続税法施行令第4条の2《配偶者に対する相続税額の軽減の場合の財産分割の特例》第1項第4号に規定する「税務署長においてやむを得ない事情があると認められる場合」に該当する旨主張する。
しかしながら、同号に規定する「税務署長においてやむを得ない事情があると認められる場合」に該当するか否かは、相続に係る財産が当該相続に係る相続税の申告期限の翌日から3年を経過する日において、客観的に遺産分割ができないと認められる状態にあったといえるか否かにより行うことが相当であるところ、本件申告期限3年経過日の前に本件相続に係る共同相続人の範囲や本件相続に係る遺産の範囲は確定していたことが認められ、また、請求人らの遺産分割協議において協議された事項は、①別件第一次相続により取得した預金の一部に係る返済の問題、②本件相続に係る遺産のうち賃貸不動産からの収入の清算等の問題、③本件相続に係る代償金の額の問題(本件相続に係る代償金の額の決定に当たり、その対象不動産の評価額は算定されていたにもかかわらず、当該価額に納得しない者がいた。)であったと認められる。そうすると、本件においては、本件申告期限3年経過日において、客観的に遺産分割ができないと認められる状態にあったとはいえないから、本件申告期限3年経過日までに分割されなかったことにつき、同号に規定する「税務署長においてやむを得ない事情があると認められる場合」には該当しない。
参照条文等
租税特別措置法(平成22年3月法律第6号による改正前のもの)第69条の4第4項 租税特別措置法施行令(平成22年3月政令第58号による改正前のもの)第40条の2第11項 相続税法施行令第4条の2第1項第4号 相続税法基本通達19の2-15
参考判決・裁決
要旨
請求人は、[1]本件土地の借受人である同族会社が業績不振であることから賃料を免除しているが、賃貸料の授受がないとしても、賃貸であることには変わりはない、また、[2]租税特別措置法第69条の3“小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例”の取扱上、同族会社に貸し付けられている土地は、その貸付けが使用貸借であっても「事業の用に供されていた宅地等」に該当するものとして取り扱っているので、同法第37条“特定の事業用資産の買換えの場合の譲渡所得の課税の特例”の適用に当たってもこれと同様に取り扱うべきある旨主張するが、同法第69条の3と第37条の規定はその趣旨、目的を本質的に異にするものであるから、この点に関する請求人の主張は採用できない。当該土地の貸付けが賃貸借によるものではなく使用貸借による貸付けと認められる以上、当該土地の譲渡については、措置法第37条の適用はない。
土地の売買契約と家屋の請負契約は措置法施行令第26条第7項第5号の要件を満たさないから、請求人の借入金は住宅借入金等特別控除の対象とならないとした事例
裁決事例集 第63集 255頁
要旨
請求人は、[1]本件土地の売買契約と本件家屋の請負契約は、同時に同じ場所で締結されており、当該売買契約は租税特別措置法施行令第26条第7項第五号の要件(建築条件付契約)を満たすものであり、また、[2]本件借入金の保証人との保証契約により本件家屋を目的とする抵当権は実質的に設定されており、本件借入金は同項第六号の要件(抵当権の設定)を満たすものであるから、本件借入金の金額のうち本件土地の取得に要した資金に充てた部分の金額は、租税特別措置法第41条第1項に規定する住宅借入金等に該当する旨主張する。
しかしながら、当該請負契約と別個の契約である当該売買契約が租税特別措置法施行令第26条第7項五号の要件を満たさないのは明らかであり、また、本件家屋を目的とする抵当権は、本件年分の翌々年において設定されていることが認められるから、請求人の主張には理由がない。
要旨
請求人は、代理店を対象とする表彰制度に基づき支出した本件支払手数料について、金銭の支払に代えて海外旅行を実施したものではなく、当該金員は銀行振込みの方法によって直接入賞代理店に支払っていること及び海外旅行の参加を強制したものではないことなどを理由として、売上割戻しであると主張するが、請求人は入賞代理店に対して、賞品として海外旅行招待の目録を渡して海外旅行を実施していること及び本件支払手数料は、その旅行の実施の前後にわたって支払われ、かつ、支払金額が、その団体旅行費用相当額であること等に照らすと、本件支払手数料は、もともと、得意先である代理店を海外旅行に招待することを目的として支出されたものであるから、本件支払手数料は、租税特別措置法第62条第3項に規定する交際費等に該当すると認めるのが相当である。
住宅借入金等特別控除の対象となる家屋に該当するか否か(床面積基準)の判定に当たり、同一人の所有に属する一棟の建物は、区分所有建物として表示登記又は保存登記がなされていない限り、一個の建物であると解するのが相当であるとした事例
裁決事例集 第64集 274頁
要旨
請求人は、本件家屋(鉄筋コンクリート造陸屋根7階建ての建物)は、その構造上区分された数個の部分を独立して住居、その他の用途に供することができるものであるから、住宅借入金等特別控除の対象となる家屋の床面積基準の判定に当たっては、本件家屋の登記簿等の形式的な記載ではなく、実質主義に照らし、本件居住用部分(本件家屋の6階及び7階部分)の床面積により判断されるべきである旨主張する。
しかしながら、一棟の建物につき区分所有が成立するためには、建物の各部分が独立の構造を有し、構造上区分された各部分が独立して住居、店舗、事務所又は倉庫その他建物としての用に供することができるだけでは足りず、その各部分が所有権の客体として、取引上、別個のものとされることが必要で、その前提として、所有者において各部分を別個の建物とする意思が必須の要件であるとされている。
そして、その意思が客観的に外部から認識され得るものでなければ、区分された部分が別個のものとして取引の対象とはなり得ないから、一棟の建物が同一人の所有に属するときは、区分された部分が別個のものであることを客観的に認識し得るものとして区分建物の表示登記又は保存登記がなされることを要すると解される。
したがって、その登記がなされていない限り、同一人の所有に属する一棟の建物は一個の建物であるとするのが相当である。
本件において請求人は、本件居住用部分を区分せず、本件家屋を一棟の建物として表示登記をし、請求人を所有者とする所有権保存登記をしているのであるから、本件居住用部分につき区分所有が成立していると解することはできず、本件家屋が一棟の建物を区分したものであると認めることはできない。
そうすると、本件家屋が租税特別措置法施行令第26条第1項に規定する要件に該当するか否かの判定に当たっては、本件居住用部分のみで判断すべきでなく、本件家屋の床面積の2分の1以上に相当する部分が専ら居住の用に供されているか否かにより判断することとなる。
要旨
請求人と得意先の代表者等との間におけるコミッション及びロイヤリティ契約は、得意先の代表者等が所有するブランド商品の販売に係るコミッションないしロイヤリティの支払に関して、請求人と得意先の代表者等との間で正当に取り交わされたものであると認められるから、この契約等に基づき、請求人が当該ブランド名を使用して商品販売を行ったことによりそのコミッションないしロイヤリティとして支払った手数料及び販売した商品のクレーム費用は、交際費等には該当しない。
本件譲渡家屋における電気・ガス・水道の使用状況等から判断すると、本件譲渡家屋に居住したとしても一時的な目的で入居したものと認められるので、居住用財産の課税の特例の適用はできないとした事例
裁決事例集 第55集 316頁
要旨
請求人は本件土地を売却する契約をしたが、市街化調整区域に存する畑であった本件土地上に建物を建築できないことから、本件建物を請求人名義で建築した後、本件資産として売買の形式を採るとともに、本件特例を適用することにより租税負担の軽減を企図したものであり、本件工事請負契約書及び本件資産売買約定書に係る売買は真実の売買ではないとする請求人の主張は採用することがきない。
請求人は、電気の使用開始が平成6年6月3日になったのは、請求人が入居したとする同年4月25日から6月3日までの間工事用配線を使用していたためであると主張しているが、建物が完成して入居した後1か月以上も工事用配線が存在することは通常考えにくく、むしろ、生活に必要な電気及び水道に加え、ガスの使用が可能となった同年7月2日以降が入居日と考えるのが自然であること及び同年4月25日には、電気、水道及びガスがすべて使える状態であったとする請求人の答述は信用できず、この点からも請求人の主張を採用することはできない。
請求人は、生まれた時から本件資産の所在地と同じ町内に居住する両親及び弟と同居していたところ、結婚後の生活を営むために本件建物に入居した旨主張するが、通常、結婚が決まったとはいえ結婚前に、しかも建物完成前で、なおかつ電気及びガスが調う前に、それまで同居していた親元を離れ、急きょ独り住まいをしなければならない必要性はないものと認められ、仮に、住民登録の異動のとおり請求人が本件建物へ入居していたとしても、本件借入れの申込みは、請求人が本件特例の適用を受ける目的で行われていることから、請求人は本件建物へは本件特例の適用を受けるためのみの一時的な目的で入居したものと認められる。
本件借入れを行った以前の段階で、すでに本件資産は売却する予定であり、購入者も決まっていたのであるから、請求人の婚約解消後は継続して生活することに堪え難い事情が生じたことから本件資産を売却したとの主張は採用できない。
請求人の主張はいずれも理由がなく、本件建物は本件特例の対象となる居住用家屋とは認められないから、本件譲渡について本件特例を適用することはできない。
相続税の小規模宅地等の特例について、特例適用対象土地を取得した相続人全員の同意を証する書類の提出がないことから、同特例の適用はないとした事例(平成22年2月相続開始に係る相続税の更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分・棄却)
裁決事例集 第96集
要旨
請求人は、同人に相続させる旨の遺言により相続した宅地について、①他の相続人は、遺言無効確認等訴訟が終了したときには、当該宅地に租税特別措置法(平成22年法律第6号による改正前のもの)第69条の4《小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例》第1項の規定(本件特例)を適用することに反対していない、②遺言書の効力について訴訟で争われている場合には、当該宅地を選択特例対象宅地等とすることについて相続人全員の同意を必要とすることは、不可能なことを要求するものであるなどとして、当該宅地には、相続人全員の同意を証する書類の提出がなくても本件特例の適用が認められるべきである旨主張する。
しかしながら、本件特例を適用するためには、租税特別措置法施行令(平成22年政令第58号による改正前のもの)第40条の2《小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例》第3項第3号により、特例対象宅地等のうち本件特例の適用を受けるものの選択について、当該特例対象宅地等を取得した全ての個人の同意を証する書類の提出が必要とされているところ、請求人は、当該宅地につき特例対象宅地等を取得した全ての個人の同意を証する書類を提出していないから、当該宅地に本件特例を適用することはできない。なお、請求人の主張するような個別事情がある場合において、例外的に同意を証する書類の提出が必要でないとする規定はなく、また、租税特別措置法の規定をみだりに拡張解釈することは許されない。
参照条文等
譲渡物件は、譲渡時まで約1年10か月の間空閑地であったが、譲渡に至る経緯等を総合すると、いまだ事業用資産としての従前の性質を失っていなかったと判断されるが、しかしながら、本件買換物件の賃貸料の額は相当の対価とはいえず、したがって、本件買換物件は事業用資産には該当しないので租税特別措置法第37条第1項の規定の適用は認められないとした事例
裁決事例集 第42集 259頁
要旨
譲渡物件のうち、甲土地上にあった共同住宅がすべて取り壊され、譲渡時まで約1年10か月の間空閑地のままであったが、譲渡に至る経緯等を総合すると、この期間は「相当の期間」の範囲を超えていないものと認められるので、本件土地は、譲渡時には事業用資産としての従前の性質を失っていなかったと判断されるが、しかしながら一方、買換資産として取得した貸店舗の年間賃貸料1,200,000円は、取得価額の0.3パーセントにしかならず、普通預金の利率に比しても極めて低廉であり、かつ、本件賃貸料の額から固定資産税及び借入金利息を控除すれば利益が生じないことが明らかであるから、相当の対価とはいえず、本件買換物件は事業用資産には該当しない。したがって、租税特別措置法第37条第1項の規定の適用を認めなかった原処分は相当である。
外注費として計上された本件利益金は、工事受注の際のいわゆる降り賃として、共同企業体の入札を有利に進めるための請託に関連して支出された談合金等であるから、交際費等の額に該当するとの原処分庁の主張が排斥された事例
裁決事例集 第58集 188頁
要旨
原処分庁は、3社共同企業体の構成員である請求人がJ社に支出した本件利益金は、本件工事の受注の際のいわゆる降り賃として、本件共同企業体の工事の入札を有利に進めるための請託に関連して支出された談合金等であって、本件外注費は交際費等の額に該当する旨主張する。
しかしながら、[1]J社は、本件共同企業体の運営委員会等に社員を出席させ、本件共同企業体の意思決定及び現場の業務運営に参加している事実があること、[2]J社は本件工事の瑕疵に対して責任割合相当の負担をしている事実があることを総合すれば、本件工事は、J社を加えた実質4社の共同企業体によって施工されたものであり、J社に支出した外注費は、J社が実質4社の共同企業体の構成員たる地位に基づいて得た利益金の分配であるとするのが相当である。
したがって、3社共同企業体がJ社に支出した金額のうち、その構成員たる請求人がその出資割合に応じて負担した金額を交際費等の額に当たるとして損金不算入とした原処分は、その全部を取り消すべきである。
小規模宅地等の特例の適用に当たり、各相続人が、複数の利用区分が存する一の宅地を相続により共有で取得した場合、当該特例を適用できる部分は、当該宅地の面積に、当該各相続人(被相続人の一定の親族)が取得した宅地の持分を乗じた面積となるとした事例(平成22年7月相続開始に係る相続税の各更正処分及び過少申告加算税の各賦課決定処分・棄却)
裁決事例集 第99集
要旨
請求人らは、租税特別措置法(平成23年法律第114号改正前のもの)(措置法)第69条の4《小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例》第1項の規定(本件特例)の適用につき、本件被相続人の所有する宅地(本件宅地)の上に存する一棟の建物が利用上及び構造上独立しており、本件被相続人及びその配偶者(本件配偶者)の居住の用並びに本件被相続人が主宰する法人(本件同族会社)の事業の用に供されていたという利用実態に応じて、本件宅地のうち、本件被相続人等の居住の用に供されていた部分に相当する宅地を本件配偶者が取得し、本件同族会社の事業の用に供されていた部分に相当する宅地を本件同族会社の役員である本件被相続人の子ら(本件子ら)が取得するとして、共有としたことから、本件配偶者が取得した本件宅地の持分の全てが特定居住用宅地等に該当し、本件子らが取得した各持分の全てが特定同族会社事業用宅地等に該当する旨主張する。
しかしながら、被相続人が所有していた宅地を相続人が共有で取得した場合には、各共有者の権利は単独所有の権利、性質、及び内容と異ならず、共有物全体に及ぶと解されている。また、特定居住用宅地等又は特定同族会社事業用宅地等に該当する各部分は、租税特別措置法施行令(平成25年政令第169号改正前のもの)第40条の2《小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例》第7項又は第11項において、措置法第69条の4第3項第2号又は同項第3号に定める要件に該当する者が相続により取得した持分に応ずる部分とする旨規定されている。そうすると、①特定居住用宅地等として本件特例を適用できる部分は、本件被相続人等の居住の用に供されていた部分に相当する本件宅地の面積に、本件配偶者が取得した本件宅地の持分を乗じた面積となり、②特定同族会社事業用宅地等として本件特例を適用できる部分は、本件同族会社の事業の用に供されていた部分に相当する本件宅地の面積に、本件子らが取得した本件宅地の各持分を乗じた面積となる。
参照条文等
租税特別措置法(平成23年法律第114号改正前のもの)第69条の4第1項、第3項第2号・第3号 租税特別措置法施行令(平成25年政令第169号改正前のもの)第40条の2第7項、第11項
参考判決・裁決
大審院判大正8年11月3日、民録25輯1944頁
被相続人が所有していた建物が火災で焼失した後に当該建物の敷地を相続により取得し、当該敷地をその後に譲渡した場合、相続人は、当該建物の所有者として居住の用に供していた事実は認められず、3,000万円特別控除の対象となる居住用財産の譲渡には該当しないとした事例
裁決事例集 第55集 341頁
要旨
請求人は、本件建物が焼失するまでの間、当該建物で被相続人と生計を一にしており、被相続人が生存中に本件土地を所定の期限内に譲渡すれば特例の適用が受けられるところであり、被相続人の死亡により本件土地の現実の占有を承継し、また、財産的地位を包括的に承継しているから、相続により被相続人に属していた特例の適用を受けられる地位を承継しているので居住用財産の譲渡所得の特別控除の適用が認められるべきである旨主張する。
しかしながら、本件特例は、譲渡所得者の帰属者の立場において適用されるべきものであるところ、請求人において本件建物を居住の用に供していたというためには、単に請求人が本件建物に居住していたあるいは被相続人と生計を一にしていたというだけでは足りず、請求人が本件建物の所有者として居住の用に供していたことを要件として判断すべきである。
本件建物の所有者は被相続人であり、請求人は本件建物の所有者として居住の用に供していたとは認められないから、本件特例の適用は認められないと解するのが相当である。
要旨
請求人は、増改築等の工事前に、本件借家から家財等の搬入を開始したこと及び本件家屋のガス、水道等が本件家屋の取得時点において使用可能であったこと等を理由に、本件家屋を居住の用に供したのは増改築等の工事前である旨主張する。
しかしながら、請求人が届け出た住民票には、増改築等工事後に転居した旨記載されていること、ガス、水道の両方が開栓されたのは増改築等工事終了後であること、大型家具類等は、増改築等工事後に運送業者によって本件家屋に搬入されていること、増改築等工事は、増築した場所に風呂及び洗面所を移設する工事であること、及び増改築等工事の期間中に請求人の実家において寝泊りしていたことを考え併せると、請求人が増改築等工事の開始前に真に居住の意思をもって客観的にもある程度の期間継続し、本件家屋を生活の拠点として利用していたと認めることはできず、この点に関する請求人の主張は採用できない。
駐車場として貸し付けていた本件土地は、事業に準ずるものの用に供する資産として政令で定めるものに該当せず、租税特別措置法第37条第1項の規定の適用は認められないとした事例
裁決事例集 第42集 271頁
要旨
本件土地の駐車場としての貸付状況等は、[1]貸付契約が専ら口頭によるものであって契約書の作成もなく、契約期間の定めもないこと、[2]駐車場に係る施設等は、砕石敷き、フェンス、ラインロープ及び立て看板等であること、[3]貸付期間は昭和59年7月から昭和62年2月までで、貸付台数は2台から4台、各年の利益(収入金額から固定資産税、減価償却費等の経費を控除した金額)は、昭和59年が△15,451円、昭和60年が1,345円、昭和61年が27,155円であること等から、本件土地の貸付けは、租税特別措置法施行令第25条第2項に規定する「事業と称するにいたらない不動産の貸付け・・・で・・・相当の対価を得て継続的に行う」ものには該当せず、したがって、本件土地については租税特別措置法第37条第1項の規定の適用は認められない。
同一日に宅地と居住用家屋を異なる業者から取得した請求人が、宅地の取得に係る債務のみを有している場合には、住宅借入金等特別控除の適用はないとした事例
裁決事例集 第66集 182頁
要旨
請求人は、本件家屋及び本件土地を、同一日にそれぞれ異なる業者から取得しているが、これは土地・建物の一括購入で、租税特別措置法施行令第26条第18項ではなく、同条第10項の同時取得に該当し、同時取得・一体借入れとして住宅借入金等特別控除の適用がある旨主張する。
しかしながら、請求人は、住宅借入金等特別控除の適用の前提となる居住用家屋の取得に要する資金に充てるための借入金を有しておらず、また、請求人の場合、適用対象となる住宅借入金等を土地等の取得又は借入金等の形態による4つに分類されたグループ(同時取得・一体借入れ型、先行取得・一体借入れ型、先行取得・分離借入れ型、建築条件付以外の先行取得・分離借入れ型)のいずれにも該当しないので、住宅借入金等特別控除の適用をすることはできない。
小規模宅地等の特例について、建物が区分登記され、各々が独立して生活できる構造になっている場合、被相続人が居住していた当該建物の区分所有に係る部分の敷地のみが被相続人の居住の用に供していた宅地に当たるとした事例(平成22年10月相続開始に係る相続税の各更正の請求に対する各更正処分・棄却)
裁決事例集 第104集
ポイント
本事例は、小規模宅地等の特例について、建物が区分登記され、各々が独立して生活できる構造になっている場合、被相続人が居住していた当該建物の区分所有に係る部分の敷地が被相続人の居住の用に供していた宅地に当たり、被相続人と生計を一にしていない者が居住していた当該建物の部分の敷地に相当する宅地は、被相続人等の居住の用に供されていた宅地に当たらないと判断したものである。
要旨
請求人らは、請求人の一人である兄E及びその弟Gが2分の1ずつ相続により取得した宅地(本件宅地)について、本件宅地を敷地とする建物(本件建物)の2階部分に居住していた兄Eが、1階部分に居住していた被相続人(本件被相続人)及び弟G(本件被相続人ら)の面倒を見ていたという事情を踏まえ、本件建物の1階部分と2階部分を区別せずに1棟の建物として考えれば、建物全体が、租税特別措置法(平成23年法律第114号による改正前のもの)(措置法)第69条の4《小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例》(本件特例)第1項に規定する「被相続人等の居住の用に供されていた家屋」に該当し、さらに、兄Eが、措置法第69条の4第3項第2号イに規定する本件被相続人らと同居していた親族に該当するので、本件宅地の全体を措置法第69条の4第3項第2号に規定する特定居住用宅地等として本件特例が適用できる旨主張する。
しかしながら、本件建物はその構造上1階部分及び2階部分に区分でき、それぞれが独立して居住の用に供することができる設備・構造を備えている上、区分登記されていることからすれば、本件被相続人の居住の用に供されていた「家屋」は、本件建物の1階部分に限られる。また、実際の生活状況をみても、兄Eは本件被相続人と同居していた親族、あるいは生計を一にしていた親族とは認められない。したがって、本件宅地のうち、本件被相続人らの居住の用に供されていた1階部分の敷地に相当する宅地で、本件被相続人と同居していた弟Gが相続した部分のみが、特定居住用宅地等として本件特例の適用対象となり、その他の部分は本件特例を適用することができない。
参照条文等
租税特別措置法(平成23年法律第114号改正前のもの)第69条の4第1項、第3項 租税特別措置法通達69の4-21
参考判決・裁決
要旨
請求人(旅行業者)は、自ら主催する旅行において、目的地への運行を依頼したバス会社の乗務員に対して支払った心付けにつき、[1]旅行パンフレット等に旅行代金に心付けが含まれている旨記載されていること、[2]心付けの金額は内規的に設けられた一定の基準を基礎として、あらかじめ旅行原価の中に見積もり、当該金額を旅行費用の一部として見積書を作成していることから、旅行客から預かって支払ったものであると主張する。
しかしながら、[1]旅行パンフレット等には心付けの金額が記載されておらず、また、[2]見積書は社内用に作成されたものであり、旅行客は当該見積書に記載された心付けの金額を確認することができないことからすれば、本件心付けの金額は旅行客の具体的な意思によって決定されるのでなく、請求人の判断と責任において決定されるというべきであり、さらに、請求人は、旅行客から本件心付けに相当する金額を別に預かるような手続をしておらず、旅行客からの預り金として実質的に管理していたと認められないから、本件心付けは旅行客が支払ったものでなく、請求人が、他の旅行原価と同様、旅行客から受取った旅行代金の中から支払ったものと認められる。
そして、本件心付けは、事業に関係のある者に対して支払われ、何らかの収益効果を期待して支払ったものでもなく、請求人が主催旅行における旅程の管理の一環として、当該旅行を円滑に進行させるための謝礼金として支払った金員と認められることから、租税特別措置法第61条の4《交際費の損金不算入》第3項に規定する交際費等に当たる。
本件家屋の近隣住民の答述、家屋の電気の使用量や通勤手当の受給状況等からみて、譲渡した土地等は、租税特別措置法第35条等で規定する居住用財産に当たらないとした事例
裁決事例集 第56集 207頁
要旨
請求人は、生まれたときから居住していた本件家屋から、昭和49年にR地の家屋へ妻子と共に転居したが、平成3年に母Mの病気が悪化したので、請求人のみが同年4月から看病のため本件家屋に再度転居して生活の本拠地としていたのであるから、租税特別措置法第31条の3及び同法第35条の各特例が適用されるべきある旨主張する。
しかしながら、請求人の母Mが日常生活に必要な買物等を通常一人で行っていたとの近隣住民の答述、本件家屋の電気の使用量、勤務先からの通勤手当の受給状況及び給与振込口座からの出勤状況等からして、請求人が本件家屋を居住の用に供した事実は認められないから、本件譲渡には租税特別措置法第31条の3及び同法第35条の規定の適用はない。
要旨
本件土地は、相続開始当時、被相続人の三女の夫名義であったところ、[1]相続開始後に三女の夫によって賃貸借契約を解除された後は事業の用に供することを停止し、[2]請求人らは、被相続人に登記名義が回復された後も、新たに賃貸することもなく空閑地として放置したままで、事業を行う意図が近い将来において実現されることが客観的に明白であったという状況になく、[3]調停後直ちに作成した合意書に従って譲渡していることから、駐車場としての事業への共用は賃貸借契約を解除した時点をもって終了し、その時点での事業用資産としての性格を失ったと解するのが相当である。
要旨
原処分庁は、請求人が本件各卒業式において供する昼食費用は、「卒業祝賀パーティー」と称して、出席者に酒食の提供が行われており、請求人が出席者との親睦を深めることなどを目的に酒食のもてなし、すなわち、供応、接待のために行われているものと認められるから、租税特別措置法第61条の4第3項に規定する交際費等に該当する旨主張する。
しかしながら、請求人は全国に約数千の○○校にて○○教室を営む法人であり、本件各卒業式は、①所定の授業課程を修了した者が、請求人における講師の資格を取得して今後受講生を指導する立場になることについての区切りの行事として、免状授与式を中心に行われること、②規模の拡大等に伴いホテルを会場とするに至ったこと、③請求人の教室が全国に存在し、遠距離から出席する者もいることを考慮して開始時間及び終了時間が設定されていることに併せて、卒業式が長時間に及ぶため、昼食時間帯をまたがって行われていること、及び④供与される食事は、社会通念上供与されると認められる通常の昼食の範囲内にあり、酒類は、儀礼的な乾杯のためにのみ供与されていること等の事情を総合的に判断すると、免状を本件卒業生に授与することを目的とした区切りの行事であり、本件各卒業式の中間に出席者に昼食等を供与する行為は、本件各卒業式の式次第を構成する一要素にすぎないというべきであり、本件各卒業式において昼食等を供与する目的は、事業関係者等との間の親睦の度を密にして取引関係の円滑な進行を図ることにあるとは認められない。
したがって、本件各卒業式の昼食費用等は、租税特別措置法第61条の4第3項に規定する交際費等には該当しないものと認められるから、本件更正処分についてはその全部を取り消すべきである。
本件土地は既存家屋とともに取得したものとして、住宅借入金等特別控除の適用を受けていることから、本件土地の取得に係る借入金をその後に新築した本件家屋の取得に係る借入金に含めて住宅借入金等特別控除の適用を受けることはできないとした事例
裁決事例集 第68集 115頁
要旨
審査請求人は、本件土地を取得した日以後2年以内に本件家屋を新築したから、本件土地の取得に係る借入金は、住宅借入金等特別控除の適用対象となる旨主張する。
しかしながら、審査請求人は、本件土地を本件既存家屋とともに取得したものとして、本件既存家屋及びその敷地の用に供されている本件土地の取得に係る借入金について、住宅借入金等特別控除を受けていることから、本件土地の取得に係る借入金をその後に新築した本件家屋の取得に係る借入金に含めて住宅借入金等特別控除の適用を受けることはできない。
本件旧家屋と新家屋の水道と電気の使用量の状況、ガス会社との供給契約の終了時期や電話の移設の状況等から判断すると、本件の課税の特例が適用される期限を徒過した以後に本件譲渡が行われているものと認められるとして、居住用財産の課税の特例は適用されないとした事例
裁決事例集 第56集 220頁
要旨
請求人は、旧家屋から新家屋に家財道具等を搬出したのは、祖母が死亡した日(平成6年9月14日)以降であり、平成6年に生活の本拠が新家屋に移っているので、本件の旧家屋について租税特別措置法第35条第1項で規定する「居住の用に供されなくなった日から同日以後3年を経過する日の属する年の12月31日」は、平成9年12月31日となるところ、本件旧家屋の譲渡はこれ以前に行われているから、居住用財産の特別控除の適用が認められるべきである旨主張する。
しかしながら、[1]旧家屋と新家屋の水道と電気の使用状況をみると、平成3年3月以降は旧家屋での使用実績はなく、同年1月以降の新家屋の使用量は、新家屋に生活の本拠を移したことに争いのない時期である平成7年の使用量と同程度であると認められること、[2]旧家屋におけるガス会社との間の取引は平成3年2月28日で終了していること、[3]旧家屋の電話は、平成2年11月20日に他の場所に移されていることの各事実を総合すれば、請求人が平成3年3月以降旧家屋に居住していた事実はなく、生活の本拠は、遅くとも同月までに新家屋に移っていたと認めるのが相当である。
したがって、旧家屋が請求人の「居住の用に供されなくなった日から同日以後3年を経過する日の属する年の12月31日」は、平成6年12月31日となり、甲土地はこの日以前(同月2日)に譲渡契約がなされ、乙土地はこの日以後(平成7年1月10日)に譲渡契約がなされているが、これらの土地の引渡しは、いずれも平成7年1月になされており、また、本件土地の譲渡所得についての確定申告も平成7年分の所得として申告されていることからみて、本件譲渡は、平成6年12月31日までに行われた取引とは認められず、本件土地等の譲渡所得に居住用財産の課税の特例は適用できない。
相続開始後3年以内に遺産分割された土地について、租税特別措置法第69条の4の適用を受ける場合の更正の請求の期限は、当該土地の遺産分割の日から4か月以内であるとした事例
裁決事例集 第123集
ポイント
本事例は、租税特別措置法第69条の4の適用について準用される相続税法第32条第1項に規定する更正の請求は、本件特例対象宅地等の遺産分割の日の翌日から4月以内にしたものに限られるとしたものである。
要旨
請求人らは、租税特別措置法第69条の4《小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例》第4項ただし書にある「特例対象宅地等が申告期限から3年以内に分割された」というのは、「全ての相続財産が申告期限から3年以内に分割された」と解釈して、相続税法第32条《更正の請求の特則》第1項の更正の請求を認めるべきであるから、本件の各更正の請求(本件各更正請求)は、相続税法第32条第1項所定の期限内にされたものである旨主張する。
しかしながら、請求人らによって、租税特別措置法第69条の4第1項の規定による特例(本件特例)の対象とした土地(本件土地)は、遺産分割協議書の作成日付の日において遺産分割がされたものと認められるところ、本件各更正請求は、本件特例対象宅地等の価額の計算における本件特例の適用について、申告の時点では未分割であったが、本件土地の遺産分割により「申告期限から3年以内に分割された場合」に該当したことによりされたものであるから、相続税法第32条第1項第1号及び第8号に規定する課税価格及び相続税額が異なることとなったことを知った日についても、本件土地の遺産分割の日(遺産分割協議書が作成された日)であるというべきであり、本件特例の適用についてされる相続税法第32条第1項に規定する更正の請求は、本件土地の遺産分割の日の翌日から4月以内にしたものに限られることとなり、請求人らは、これをしなかったものであるから、その後にされた本件各更正請求が相続税法第32条第1項所定の期限内にされたものに該当することはない。
参照条文等
租税特別措置法第69条第4項、第5項 相続税法第32条第1項
譲渡された土地は、譲渡を前提として一時的に短期間貸し付けられたものであり、租税特別措置法第37条第1項に規定する事業用資産(租税特別措置法施行令第25条第2項に規定する事業に準ずるものを含む。)とは認められないとした事例
裁決事例集 第47集 205頁
要旨
請求人は、長期の賃貸を予定した借地を譲渡したとして、当該土地が租税特別措置法第37条に規定する事業用資産又は同法施行令第25条第2項に規定する準事業用資産に該当する旨主張するが、請求人は売買交渉の段階において、買受人において当該土地を取得しなければならない事情を承知の上で賃貸借をし、賃貸借を継続するのであれば通常必要でない当該土地の分筆登記を、賃貸借と同一時期にしていることから、当該分筆登記はその後の譲渡の準備のために行ったと認められ、賃貸借開始当時の請求人の真意は土地の譲渡を前提としたものであると推認されるから、当該土地は、相当期間継続して賃貸することを予定したものではなく、譲渡が成立するまでの間、一時的に賃貸したにすぎず、このことは、事業と称するにいたる不動産の貸付けに当たるとはいえず、また、租税特別措置法施行令第25条第2項に規定する相当を対価を得て継続的に行う事業に準ずるものにも該当しない。
父親が所有する家屋について増改築工事を行い、増改築工事後にその家屋に居住を開始したとしても、「居住の用に供している家屋で政令に定めるものの増改築等」に該当しないから租税特別措置法第41条(住宅借入金等を有する場合の特別税額控除)の適用はないとした事例
裁決事例集 第70集 189頁
要旨
請求人は、増改築後にしか所有権を取得できないにもかかわらず、増改築前に所有権を有していない場合には住宅借入金等特別控除の適用を認めないとする租税特別措置法第41条第4項の規定は、当該控除の制度の趣旨に反し著しく不当であり、一戸建ての建物を第三者から購入した者よりも不利な扱いをすることになるので、不合理な差別を禁止し、法の下の平等を規定した憲法に違反する。
したがって、本件増改築に対して住宅借入金等特別控除が適用されるべきである旨主張する。
しかしながら、租税特別措置法第41条第1項は、居住者が、国内において、その者の居住の用に供している家屋の増改築等をした場合、同条第4項は、第1項に規定する住宅借入金等特別控除が適用される増改築等の目的となる家屋は、当該居住者が所有している家屋である旨それぞれ規定しており、居住の用に供し、かつ、所有しているか否かの判断の基準となる時は、増改築等の工事がされた時であることは文理上明らかである。
本件では、請求人は、本件増改築の工事がされた時点で本件家屋に居住しておらず、所有もしていないのであるから、本件家屋は、住宅借入金等特別控除が適用される増改築等の目的となる家屋に当たらず、本件増改築に対して住宅借入金等特別控除を適用する余地はない。
したがって、本件増改築に対して住宅借入金等特別控除が適用されるべきであるとの請求人の主張には理由がない。
なお、租税特別措置法第41条第4項の規定が憲法に違反するか否かの判断は、当審判所の権限に属さない事項であるので、審理の限りでない。
相続開始時に共同住宅の貸室の一部が空室であったことは、一時的に賃貸されていなかったものとは認められないため、その敷地の当該空室に対応する部分は、貸付事業用宅地等に該当せず、小規模宅地等の特例の適用はないとした事例(令和元年10月相続開始に係る相続税の更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分・棄却)
裁決事例集 第131集
ポイント
本事例は、共同住宅の貸室のうち、相続開始の時に5部屋が空室であったところ、うち3室は、その状態が長期にわたっており、残る2室についても積極的に新たな入居者を募集していたとはいえないことなどから、賃貸されていたのと同視し得る状況にはなく、一時的に賃貸されていなかったものとは認められないと判断したものである。
要旨
請求人は、相続開始の直前において、被相続人が所有していた建物(本件共同住宅)の8部屋あるうち5部屋が空室(本件各空室部分)であったが、被相続人は、本件共同住宅を貸付事業以外の用に供さず維持管理を行い、インターネットサイトで本件各空室部分の入居者の募集をしていたことから、その敷地(本件宅地)の全てが貸付事業の用に供されていたとして、本件宅地の全てに租税特別措置法第69条の4《小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例》第1項に規定する特例(本件特例)の適用がある旨主張する。
しかしながら、本件各空室部分のうち3部屋については、相続開始の時に長期にわたって空室の状態が続き、客観的に空室であった期間だけみても、相続開始の時に賃貸されていたのと同視し得る状況になく、一時的に賃貸されていなかったものとは認められない。また、本件各空室部分のうち残る2部屋については、相続開始の時に空室であった期間は長期にわたるものではなく、インターネットサイトに入居者を募集する旨の広告が掲載されていたものの、①その問合せ先である被相続人と一般媒介契約を締結していた不動産業者は本件共同住宅に関して入居者を仲介した実績がないこと、②当該不動産業者は被相続人と連絡が取れなかったことにより平成27年以降の本件共同住宅の空室の状況を把握していなかったこと、③当該不動産業者ではオーナーから広告の掲載を取りやめたい旨の申出がない限りその掲載を継続する扱いをしていたことからすれば、被相続人が上記一般媒介契約及び上記広告を放置していたにすぎず、積極的に新たな入居者を募集していたとはいえないし、現に相続税の申告期限までの期間をみても、新たな入居者はなく、空室のままだったものである。したがって、当該2部屋についても、相続開始の時に賃貸されていたのと同視し得る状況になく、一時的に賃貸されていなかったものとは認められない。以上のとおり、本件各空室部分は、被相続人の貸付事業の用に供されていたとは認められないから、本件宅地のうち、本件各空室部分に対応する部分に本件特例の適用はない。
参照条文等
租税特別措置法第69条の4第1項、第3項第4号イ 租税特別措置法施行令第40条の2第4項 租税特別措置法通達69の4-24の2
参考判決・裁決
東京地裁平成6年7月22日判決(税資205号209頁) 大阪地裁平成28年10月26日判決(税資266号順号12923)
要旨
原処分庁は、請求人の前代表者に支給された給与等(本件各金額)について、同人は請求人に対して人的役務の提供を行っておらず、地元対策等を目的とする同人の影響力に対する謝礼であるから交際費等に該当する旨主張する。
しかしながら、前代表者は、取締役を退任する際に現在の代表者から、請求人と事業所周辺の住民との協調関係を維持すること、同業者及び取引先との調整等に協力すること、及び、請求人の従業員から相談を受けることや指導をすることなどの業務の依頼を受けており、代表取締役を退任した後、請求人の事務所に毎日出勤してこれらの業務を行っていたと認められる。そうすると、請求人と前代表者との間には雇用契約又はこれに類する合意が成立していると認められ、前代表者は、請求人の事務所等において、請求人の指揮命令に服して、継続的又は断続的に労務の提供を行っていたと認められることから、本件各金額は、労務の対価として支給した給与等に該当し、謝礼金(交際費等)には該当しない。
参照条文等
租税特別措置法第61条の4 所得税法第28条 租税特別措置法関係通達61の4(1)-12
請求人が相続により取得した甲建物及び本件宅地は、同人が取得後一度も居住しないままに譲渡しており、また、乙建物等は買主が取得後すぐに取り壊していることに加え、本件土地の売買価額の清算条項の土地清算単価に宅地の面積を乗じた価額は売買代金に一致していること等から、譲渡対価はすべて宅地の対価と認められ、居住用財産の課税の特例は適用されないとした事例
裁決事例集 第56集 235頁
要旨
請求人は、本件譲渡資産については、[1]昭和48年に父F所有の甲建物を増築し、当該増築部分を請求人所有の乙建物として登記して、以後これらの建物を一体として居住の用に供しており、また、事実上父母の生活費を負担していたこと、[2]その後、請求人は転勤のため昭和50年以降本件建物に居住できなくなったが、生計を一にしていた父Fは死亡時まで、母Gは本件譲渡時まで本件建物に引き続き居住しており、請求人とその親族は本件譲渡資産を一体として居住の用に供していたのであるから、措置法第31条の3第1項及び第35条第1項の規定による課税の特例を適用すべきである旨主張する。
ところで、居住の用に供していた家屋の敷地である土地については、家屋の所有者と土地の所有者は同一人であることを前提として、居住用財産の課税の特例は規定されているものと解され、また、「居住の用に供されていた家屋等」であっても、居住しなくなった後の一定期間内の譲渡であれば、本件の特例が適用されるのであるが、その要件の解釈に当たっては、いずれも所有者として家屋等を所有している期間において居住の用に供していたことを要するものと解されており、かつて居住の用に供していた家屋等を居住の用に供しなくなった後、当該家屋等を相続により取得して譲渡した場合には、本件の特例の対象となる居住用財産には当たらないと解すべきである。
また、乙建物は、請求人が居住の用に供しなくなった後も、請求人が生活費を負担していたGが譲渡時まで引き続き居住していたことから、居住用財産に該当すると認められるとしても、[1]本件譲渡に係る売買契約書には、本件宅地の公簿面積と建築確認対象面積とに差があった場合には、売買代金の額を本件宅地の面積で除した金額に相当する金額の割合により売買代金を清算する旨の特約が付されていること及び[2]本件建物は買主において取得後すぐに取り壊されていること等からみて、本件譲渡資産の譲渡対価は、すべて居住用財産には該当しない本件宅地の対価であると認めることが相当である。
したがって、本件譲渡資産の譲渡所得金額について本件特例を適用することはできない。
要旨
特定の事業用資産の買換特例は、買換資産を取得した日から1年以内に事業又は事業に準ずるものの用に供されなければならないところ(租税特別措置法第37条第1項、租税特別措置法施行令第25条第2項)、請求人らは「事業に準ずるもの」とは、買換資産の機能からみて自家用にも事業用にも使用される可能性のある資産の貸付けをいうものであり、本件買換資産は、賃借人であるL社がカラオケボックス事業として使用していることは明らかであることから、本件買換特例の適用対象資産に該当する旨主張する。
しかしながら、租税特別措置法施行令第25条第2項に規定する「事業に準ずるもの」とは、事業と称するに至らない不動産等の貸付けで相当の対価を得て継続的に行うものとされていることから、賃貸された買換資産の機能によって本件買換特例の適否が判断されるべきものではない。
ところで、被相続人は、買換資産を取得した日に当該資産をL社に賃貸しているものの、同社から賃貸料を収受していないことから、被相続人の本件買換資産の貸付行為は、L社に対する無償貸付けと認められるので、本件買換特例の適用要件である事業用又は事業に準ずるものの用にも該当しないと認めるのが相当である。
したがって、譲渡資産に係る課税長期譲渡所得金額の計算上、本件買換特例の適用がないとした原処分は相当である。
要旨
原処分庁は、妻と共有していた居住用の家屋に関し、住宅借入金等特別控除を適用して所得税の確定申告をしていた請求人が、その後離婚し、財産分与により取得した前妻の持分を含めて同控除を適用して所得税の申告をしたことについて、共有持分の追加取得は既存住宅の取得に当たり、租税特別措置法施行令第26条第2項が「居住の用に供する家屋を2以上有する場合」に住宅借入金等特別控除の重複適用を認めていないことから、請求人は当初の持分取得に係る控除と共有持分の追加取得に係る控除を重複して受けることはできないと主張する。
しかしながら、既に居住の用に供する家屋の共有持分を有する者が他の共有持分を追加取得したとしても、それは、新たに別の家屋を有することとなるものではなく、既に居住の用に供する家屋の持分を追加取得したことにすぎず、共有持分の追加取得後の所有権の及ぶ対象は当該家屋の一個のみである。また、持分の取得後の前後を通じて、当該家屋を主としてその居住の用に供している実態に変わりはない。
したがって、請求人の共有持分の追加取得は、租税特別措置法施行令第26条第2項の「居住の用に供する家屋を2以上有する場合」に該当しない。
譲渡した土地及び建物は、請求人の生活の本拠ではなく、居住用財産の譲渡とは認められず、請求人が住民票を異動したことは、特例の適用を受けるための事実を仮装するために行ったものであるから、重加算税の賦課決定処分は適法であるとした事例
裁決事例集 第57集 224頁
要旨
- 請求人が、本件家屋及び長男家族の家財道具の管理等のために、昭和63年頃から本件家屋を譲渡した直前までにおいて、時折本件家屋に住んでいたことを否定することはできないが、[1]請求人の住所が本件家屋の所在地となっているものは、平成7年8月10日から同年9月29日までの住民登録及び本件売買契約書の請求人の住所のみで、他はすべてS町の家屋の所在地であったこと、[2]本件家屋における水道及び電気の使用量並びに電話の利用料金は、長男家族が帰省したお盆、正月の時期等はそれなりに使用されていたことは認められるが、その他の月のこれらの使用量及び利用料金は僅少又は使用されていなかった月があること、[3]本件家屋及びS町の家屋の近隣住民等の申述からすれば、請求人は、S町の家屋を生活の本拠としていたことがうかがえること、[4]仏壇は、生活の本拠である家屋に置き、先祖を供養するのが一般的であるが、請求人は、S町の家屋に置いていたことが認められ、これらを総合すると、請求人は、本件家屋及び長男家族の家財道具の管理等のために本件家屋を一時的に利用したにすぎず、請求人の生活の本拠はS町の家屋と認められる。
- 請求人が住民登録を本件家屋所在地に転居の届出をしたときは、すでに本件譲渡資産を譲渡する認識をもっていたとみるのが相当であり、請求人が、本件家屋を真に居住の意思をもって、生活の本拠として居住していたという事実及び請求人の住民登録の住所を異動しなければならなかった合理的な理由が認められない以上、この届出は、本件特例の適用を受けるための事実を仮装するためにあえて届出したものと認められ、この事実に反する住民票の写しを本件申告書に添付して提出したことは、国税通則法第68条第1項の課税標準の基礎となるべき事実を仮装し隠ぺいしたことに該当する。
要旨
請求人は、平成3年1月に譲渡した農地は親子3人の生活を賄うとともに減反政策にも協力してきたことを考慮し、本件買換特例の適用対象資産に該当する旨主張する。
しかしながら、租税特別措置法は一定の政策目的で定められた特則・例外規定であるから、その解釈適用は、厳格にされなければならないところ、特定の事業用資産の買換特例は、譲渡資産が事業の用に供されていることを大前提としている。
ところで、請求人は、水田農業確立対策要綱に基づき、譲渡土地を預託水田として助成金の交付を受けていたが、市道工事の終了した昭和62年頃、譲渡土地に土盛を行い自家用の野菜を植栽し昭和63年11月頃の収穫を最後に耕作を止め、放置していた旨審判所に答述していることから、当該土地の譲渡時(平成3年1月)において、当該土地は事業(農業)の用に供されていないことが明らかである。
したがって、譲渡土地が租税特別措置法第37条に規定する買換特例の適用対象資産に該当しないとした更正処分は相当である。
本件建物の2階を居住用とし、1階を店舗工場として同族会社に賃貸していた請求人が、当該同族会社の倒産後において1階部分を居住用に改装した事実はなく、また、居住用として利用する必然性も認められないので、1階部分については、居住用財産の課税の特例の適用はできないとした事例
裁決事例集 第57集 239頁
要旨
請求人は、本件建物の1階は賃貸していた同族会社の倒産後は空家同然となったので、同社所有の備品等を整理して、車庫、倉庫及び物干し場等居住用としての利用をしていたのであるから、本件建物の全部について居住用財産の譲渡所得の特別控除等の特例の適用が認められるべきである旨主張する。
しかしながら、本件建物2階は、家族構成からみても一般家庭の居宅としての広さや設備を十分備えた構造となっており、同族会社の倒産後に1階を居住の用に供さなければならないという特段の事情は認められず、また、1階部分を家族が起居するために改装した事実は認められない。
また、請求人は、賃貸していた同族会社の倒産後は1階を生活の拠点として利用していた旨主張するが、[1]2階には台所があるにもかかわらず、その機能のない店舗工場を台所として使用することは考えにくいこと、[2]金融機関から倒産会社の保証債務の履行を迫られている中で、本件建物を相続すれば債務の弁済をしなければならず、他方、相続登記をしなければ譲渡することができないという状況にあって、本件建物を相続すると同時に譲渡をする必要があったものと認められることからすれば、相続後に本件建物の1階を居住用として利用する必然性はなく、例え生活用資産を保管していたとしても、それは一時的なものであり、居住用とは認められないことから、本件建物の1階部分について本件特例を適用することはできない。
請求人が取得した家屋を1棟の建物として登記した上で、その一部を居住用部分としている場合において、区分所有の意思表示が客観的に認識できないことから、住宅借入金等特別控除の適用は認められないとした事例
裁決事例集 第79集
要旨
請求人は、租税特別措置法第41条第1項の適用に当たっては、取得した建物が、借入金、面積、使用割合の3条件についてその適否が判断されれば足り、所有権が登記されているか否かが問われるものではない旨主張する。
しかしながら、一棟の建物につき区分所有が成立するためには、建物の各部分が独立の構造を有し、区分された数個の部分で、独立して住居、店舗、事務所又は倉庫その他建物としての用に供することができるだけでは足らず、その各部分が所有権の客体として、取引上、別個の物とされることが必要であり、その前提として、所有者の各部分を各別の建物とする意思が必須の要件であるところ、右意思は客観的に外部から認識され得るものでなければ別個の物として取引の対象となり得ないから、一棟の建物が同一人の所有に属するときは、右意思を客観的に認識し得るものとして区分建物の表示登記又はその保存登記がなされることを要すると解すべく、右登記が経由されない限り同一人の所有に属する一棟の建物は一個の建物であると解するのが相当である。
本件家屋については、平成19年6月○日にこれを一棟の建物として表示登記が経由され、同月○日、一棟の建物として請求人のために所有権保存登記がなされたものであるから、本件家屋は一棟の建物として登記された一個の建物といわざるを得ず、本件居住用部分を区分所有したものと認めることはできない。
そして、請求人が居住の用に供している部分の割合は、本件家屋の床面積の2分の1以上でないことから、請求人は、住宅借入金等特別控除の適用を受けることができる家屋を取得したことにはならないので、同控除の適用はできない。
参照条文等
要旨
請求人は、昭和63年9月1日付でS社と締結した譲渡土地に係る賃貸契約に基づく地代収入について平成元年分及び平成2年分の確定申告を行っており、当該土地は租税特別措置法施行令第25条第2項に規定する事業に準ずる資産に該当するので、租税特別措置法第37条(特定の事業用資産の買換えの場合の譲渡所得の課税の特例)第1項が適用されるべきである旨主張する。
しかしながら、次の事実によれば、昭和63年9月1日付の譲渡土地に係る賃貸契約は、平成元年10月頃に租税特別措置法第37条第1項の規定を受けんがために日付を遡及して作成されたものであって、その実態を伴わないものであるから、譲渡土地が同条に規定する買換特例の適用対象資産に該当しないとした更正処分は相当である。
- 請求人は、昭和58年に大学を卒業した後、譲渡土地上にある賃貸建物の所有者であるLと生計を一にしたことがなく、また、海外勤務地であるa国から昭和63年9月14日に帰国していること。
- Lは、平成元年8月にg県の計量保安課の立入調査を受けた際、担当官から移転の指導を受けたので、1の賃貸建物の移転を決意した旨答述していること。
- 譲渡土地の仲介業者であるFは、[1]譲渡土地の売りの具体的な話は平成元年8月ないし9月に受けて、同年10月に専任媒介契約を締結し、[2]その際、Lから税金の相談も受けたが、土地と建物の所有者が異なっていたので、顧問税理士と良く相談するようにと説明した旨答述していること。
要旨
請求人は、空き家となっていた本件家屋が傷むのを防ぐため、妻とともに本件マンションから本件家屋に転居して住民票を移し、居住の用に供していたので、措置法35条の特別控除を適用できる旨主張するが、[1]本件家屋には、ほぼ同時期から譲受人の娘夫婦が居住していること、[2]本件家屋及び本件マンションの近隣住民らの申述、及び[3]本件家屋及び本件マンションの電気・ガスの使用量などから総合判断すると、請求人が本件家屋を主たる生活の本拠として居住していたとは認められないので、本件特例の対象となる居住の用に供していた家屋には該当しない。
ポイント
この事例は、住宅借入金等特別控除の対象となる既存住宅(いわゆる中古住宅)は取得の日から6月以内に居住の用に供したものに限るという要件における「取得の日」とは、既存住宅の引渡しを受けた日か、その既存住宅の引渡し後に行われた改装工事等の完了の日かが争われたものである。
要旨
請求人は、請求人が居住の用に供した既存住宅(本件建物)の取得の日は、本件建物の改装工事及び外装工事並びに追加変更工事の完了の日である旨主張する。
しかしながら、住宅借入金等特別控除の適用要件とされる家屋の取得の日とは、居住の用に供することが可能となったと認められる日、すなわち、その家屋の所有者が住宅としての機能を有する状態でその家屋の引渡しを受けた日を指すものと解するのが相当であるところ、本件建物は既存住宅であるから、請求人が住宅借入金等特別控除の適用を受けるためには、本件建物を、その取得の日から6月以内に請求人の居住の用に供していなければならないが、請求人が本件建物を取得した日は、上記各工事が完了した日ではなく、本件建物の引渡しを受けた日であり、請求人が本件建物を居住の用に供した日は、取得した日から9月を経過した日であるから、請求人は、住宅借入金等特別控除の規定を適用することはできない。
参照条文等
租税特別措置法(平成22年法律第6号による改正前のもの)第41条第1項
譲渡土地は、昭和63年9月1日から譲渡(平成2年4月24日)するまで事業の用に供していないので、特定の事業用資産の買換特例が適用できないとして請求人の主張を排斥した事例
裁決事例集 第51集 258頁
要旨
請求人は、譲渡資産を事業の用に供しなくなっても相当の期間(おおむね3年間)内は事業用資産としての性質を失うものでないから、譲渡土地のうち565平方メートルは、租税特別措置法第37条(特定の事業用資産の買換えの場合の譲渡所得の課税の特例)第1項に規定する事業用資産に該当する旨主張する。
ところで、租税特別措置法第37条第1項に規定する事業の用に供しているものの譲渡とは、原則として、譲渡の時点において現に事業又は事業に準ずるものの用に供されている資産に限られている。しかし、事業用資産として供用が停止された場合には、その時点で直ちに非事業用資産となるのではなく、供用停止後も事業継続の意図があると認められるものについては、相当の期間内は、いまだ事業用資産としての性質を失うものではないと解するのが相当であって、この相当の期間とは、客観的に明白な事業継続の意思の有無、事業用資産の種類、構造等の特性、事業の用に供しなくなった具体的な理由、供用停止後の資産の状況及び供用停止後の買換えの準備活動等を総合して判断するのが相当である。
しかしながら、譲渡土地上にある事務所兼工場及びプレハブ建物の利用状況について、請求人の長男及びJ社(譲渡土地の前賃借人)の代表者であるZは、審判所に対し、[1]昭和63年8月31日以後は空家の状態であったこと、[2]本件建物の1階はメッキ工場と事務所、2階は食堂、プレハブは汚水処理等に使用していたが、昭和61年6月に移転した後は保守管理や除雪等を一切行っていなかったため窓やシャッターが壊れ、昭和63年8月の時点では使用不能の状態であった旨答述している。
以上のことから、譲渡土地は、譲渡時点において事業用資産としての性質を既に失っていたと認めるのが相当であるから、原処分庁が譲渡土地に係る譲渡所得金額の計算に当たり、租税特別措置法第37条第1項の適用がないとした更正処分は適法である。
新たに建築された家屋は、登記上、増築を原因としているものの、既存家屋の残存部分とは別棟であり、既存家屋と一体となっているとは認められないことから、新築住宅として住宅借入金等特別控除の適用を受けることができるとした事例
裁決事例集 第85集
ポイント
租税特別措置法第41条に規定する「新築」に該当するか否かについて、登記簿その他の関係書類に記載された内容が実情にそぐわない場合には、建築家屋の現況及び建築経過等を総合し、判断するべきである。
この事例は、新たに建築した家屋は、増築が登記原因となっているものの、既存家屋の残存部分と一体となったものではなく、新たに建築した家屋と既存家屋の残存部分とを事後的に廊下により接合したものであることから、新築住宅と認めるのが相当としたものである。
要旨
原処分庁は、新たに建築された家屋(本件建築家屋)は、既存家屋の一部に増築したものであるとして建築確認申請及び登記がされているだけではなく、本件建築家屋と既存家屋の残存部分は、木製廊下を介して建物内部の移動ができる一体的な構造であり、また、請求人が本件建築家屋に居住を開始した時点においては、木製廊下が建築されていなかったとする事実は確認できないことから、本件建築家屋は新築でなく増築に当たる旨主張する。
しかしながら、新たに建築された家屋は、家屋として、請求人夫妻とその子、両親及び祖母の全員が十分生活できる設備が整っている一方、既存家屋の残存部分は、居住に必要な設備として電灯設備及びトイレがあるだけで、既存家屋の残存部分のみで生活ができる設備が整っているとはいえない。また、①本件建築家屋と既存家屋の残存部分の梁は一体となっていないこと、②木製廊下と本件建築家屋の床の高さは約18センチメートルの段差が生じていることからみても、本件建築家屋は木製廊下によって既存家屋の残存部分とつながっているものの、本件建築家屋と既存家屋の残存部分とは、構造的に一体となっているとは認めらない。すなわち、本件建築家屋は、既存家屋の残存部分とは別棟であり、これは正に新築住宅にほかならない。
参照条文等
参考判決・裁決
東京高裁平成14年2月28日判決(訟月48巻12号3016頁) 昭和57年8月10日裁決(裁決事例集No.24・173頁)
請求人の譲渡した家屋及びその敷地は、病気の老母の看護のために居住していたとする請求人の主張を排斥して、居住用財産とは認められないから租税特別措置法第35条の特例を適用することはできないとした事例
裁決事例集 第61集 322頁
要旨
請求人は、譲渡した物件(本件家屋及びその敷地)に病気の老母の看護のため居住していたことから、その譲渡については租税特別措置法第35条の特例を適用すべきである旨主張する。
しかしながら、[1]本件家屋及び請求人がS市に有する家屋の電気及びガス等の使用料の状況という客観的数値、[2]双方の家屋の近隣住民の申述内容、[3]請求人の住民登録の状況、[4]請求人の過去の確定申告書の記載内容、[5]老母の居住状況に係る市役所の認定などを併せて判断すると、請求人が主として居住の用に供していたのはS市の家屋であり、本件家屋は仮に使用していたとしても、一時的あるいは臨時的なものであったと判断するのが相当であり、本件譲渡物件は居住用財産とは認められないことから、本件譲渡について本件特例を適用することはできない。
請求人は事業として山林業を営んでいたとは認められないことから、譲渡した山林素地は事業用資産とはいえず、特定の事業用資産の買換えの場合の譲渡所得の課税の特例は適用できないとした事例
裁決事例集 第76集 270頁
要旨
請求人は約○○ヘクタールの山林素地を所有していたが、過去7年間において、請求人に山林の伐採又は譲渡による所得があったのは、平成15年分、平成17年分及び平成18年分の3年分であり、いずれも森林組合又は下草刈りを行う業者からの依頼に応じて山林を伐採したことによる所得である。そして、山林所得がある各年分でいずれも山林所得の金額の計算上損失が生じており、収入金額を見ても、平成15年分は約○○○○円あるものの、平成17年分は約○○○○円、平成18年分は○○○○円と僅少であるから、請求人が、営利を目的として反復継続して、山林の伐採又は譲渡を行っていたとはいえない。
さらに、請求人は、山林素地を遅くとも平成3年1月までには取得しており、その所有期間は長期間に及んでいたにもかかわらず、その間、新たな植林をしていないと認められる。したがって、請求人が植林を計画的に企画遂行していたともいえない。
以上のとおり、請求人は、営利を目的とした山林の伐採又は譲渡を反復継続して行っておらず、長期間にわたって植林をしていないから、請求人が下草刈りなどの山林の管理を行っていたとしても、これに費やす労務もまた僅少であったと認められる。加えて、請求人には、平成18年分の所得税の確定申告において、事業所得(農業)、不動産賃貸による不動産所得、給与所得を申告したことに照らすと、山林所得の基因となる業務は従たる経済活動であったとみるべきである。
そうすると、山林の伐採又は譲渡の反復継続性及びその金額、植林の計画的な企画遂行、さらに、これらに費やす労務の程度、社会的地位などのいずれの観点から見ても、請求人が、本件譲渡の当時において、自己の計算と危険において独立して、営利性、有償性を有し、かつ、反復継続して遂行する意思と社会的地位とが客観的に認められる山林業を営んでいたとはいえない。
したがって、請求人が事業として山林業を営んでいたとは認められないから、本件山林素地は、事業の用に供する資産とはいえず、本件譲渡に係る譲渡所得の金額の計算上、特定事業用資産の買換えの特例を適用することはできない。
二以上の家屋が併せて一構えの一の家屋であると認められるか否かについては、まず、それぞれの家屋の規模、構造、間取り、設備、各家屋間の距離等客観的状況によって判断すべきであり、個人及びその家族の使用状況等主観的事情は二次的に参酌すべき要素にすぎないものと解するのが相当であるとした事例
裁決事例集 第73集 326頁
要旨
請求人は、本件Y家屋の敷地は、隣接する本件X家屋の敷地と地続きであり、また、本件Y家屋は、その設備状況からして、独立した1棟の居住用家屋としての機能を有していなかった上、主として居室としての用途で利用していたものであるから、一体として居住の用に供していた本件X家屋及び本件Y家屋(以下、これらを併せて「本件各家屋」という。)は、一構えの一の家屋として、それらの敷地とともに本件特例が適用されるべきである旨主張する。
ところで、二以上の家屋が併せて一構えの一の家屋であると認められるか否かについては、まず、それぞれの家屋の規模、構造、間取り、設備、各家屋間の距離等客観的状況によって判断すべきであり、個人及びその家族の使用状況等主観的事情は二次的に参酌すべき要素にすぎないものと解するのが相当である。
したがって、単にこれらの家屋がその者及びその者と同居することが通常である親族等によって機能的に一体として居住の用に供されているのみでは不十分であり、家屋の構造、規模、設備等の状況から判断していずれか又はそれぞれが独立の居住用家屋としては機能できないものでなければならない。
そうすると、これらの家屋がそれぞれ独立の家屋としての機能を有する場合には、これらの家屋を併せて一構えの一の家屋であるとは認められず、その者が主としてその居住の用に供していると認められる一の家屋に限り、本件特例の適用対象となるというべきである。
これを本件についてみると、本件各家屋の規模、構造、間取り、設備、両家屋間の距離並びに通常考えられる用法及び機能等を考慮すれば、本件各家屋は、それぞれ独立して居住の用に供し得る機能を有する居住用家屋であることは明らかであり、本件各家屋を併せて一構えの一の家屋であると認めることはできない。
また、請求人が本件Y家屋の台所や風呂を老朽化を理由として使用せず、一方、居室については修繕を行って使用していたのは、そもそも請求人の本件Y家屋の使用目的が、居室としてのみ利用することにあったためであり、請求人の主観的事情にすぎないというべきである。
そうすると、請求人の主観的事情は二次的に参酌すべき要素にすぎないから、本件各家屋を機能的に一体として利用していたことをもって、本件各家屋が併せて一構えの一の家屋であると認めることはできない。よって、請求人の主張には理由がない。
そして、本件特例の適用対象となる家屋は、租税特別措置法施行令第23条第1項の規定により、その者が主として居住の用に供していると認められる一の家屋に限られるところ、主として居住の用に供していた家屋は、本件X家屋と認められることから、本件特例の適用対象となるのは、本件X家屋及びその敷地である本件X土地に限られる。
住宅借入金等特別控除の対象となる「居住用家屋」とは、個人が当該家屋を2以上有する場合には、「その者が主としてその居住の用に供すると認められる一の家屋」をいうとした事例
裁決事例集 第89集
ポイント
本件は、「居住用家屋」を複数有している場合には、①「主たる居住用家屋」をその取得の日から6月以内に居住の用に供し、かつ、②①の居住日以後その年の12月31日まで引き続き当該「主たる居住用家屋」を居住の用に供している場合にのみ、住宅借入金等特別控除の適用があるとした事例である。
要旨
請求人は、住所地であるⅰ県所在の家屋(本件D家屋)のほかに、平成20年にa市所在の家屋(本件E家屋)を取得し、かつ、本件E家屋をその取得の日から6月以内に居住の用に供しているから、住所地をⅰ県からa市に異動した日の属する平成22年分の所得税について、本件E家屋を対象として住宅借入金等特別控除の適用を認めるべきである旨主張する。
しかしながら、租税特別措置法第41条《住宅借入金等を有する場合の所得税額の特別控除》第1項に規定する住宅借入金等特別控除の対象となる「居住用家屋」とは、租税特別措置法施行令第26条《住宅借入金等を有する場合の所得税額の特別控除》第1項に規定する「個人がその居住の用に供する家屋」を指し、個人が当該家屋を2以上有する場合には、「その者が主としてその居住の用に供すると認められる一の家屋」(主たる居住用家屋)をいうものと解されるところ、請求人は、本件E家屋の取得後6月以内に居住の用に供したときまでの間に、同家屋の生活環境を整え、その後、定期的にa市へ赴いた際に、日常生活の拠点として同家屋を利用していたものの、毎月の大半の日を本件D家屋で起居していたのであるから、上記期間中、請求人は、各家屋相互間の比較において、本件D家屋を中心として日常生活を送っていたものであり、同家屋が請求人の主たる生活の拠点として利用されていた家屋、すなわち「主たる居住用家屋」であったと認められる。他方で、上記期間中、本件E家屋は、請求人の「主たる居住用家屋」ではなく、住宅借入金等特別控除の対象となる「居住用家屋」には当たらないから、請求人は、本件E家屋を対象として住宅借入金等特別控除の適用を受けることができない。
参照条文等
租税特別措置法(平成21年法律第13号による改正前のもの)第41条第1項 租税特別措置法施行令第26条第1項
要旨
請求人は、譲渡したA建物を、10年以上にわたって生活の拠点としており、また、贈与により取得して所有者になった日から売買契約締結の日の前後を通じて5か月の間、居住の意思を持って居住の用に供していたところ、租税特別措置法第35条第1項には、所有期間及び居住期間についての定めはないから、A建物の所有者になってからの居住期間が短いとしても、A建物は、同項に規定する個人が居住の用に供している家屋に該当する旨主張する。
しかしながら、租税特別措置法第35条第1項に規定する個人がその居住の用に供している家屋に該当するというためには、当該家屋を所有者として居住する意思を持って、客観的にもある程度の期間継続して生活の本拠としていたことを要すると解すべきであるところ、請求人がA建物の所有者となる前の居住期間は、同項の適用を判断するに当たり考慮すべき事実とはならず、また、請求人がA建物の所有者となった日前にA土地建物の買主から諸条件の提示を受けて購入申込みを受諾していることからすれば、同受諾した日以降は、A土地建物は買主に譲渡されることが予定されていたものといえるから、請求人がA建物の所有者となった日以降において、請求人は、A建物を所有者として居住する意思を持って居住の用に供していたものとは認められない。
したがって、請求人がA建物に居住していた全期間について、A建物を租税特別措置法第35条第1項に規定する個人が居住の用に供している家屋であると認めることはできない。
参照条文等
住宅借入金等特別控除の適用を受ける場合の書類の添付がないとして住宅借入金等特別控除を適用することができないとした事例(平成23年分及び24年分の所得税の各更正処分及び過少申告加算税の各賦課決定処分、平成23年分の所得税に係る還付金の充当処分・棄却)
裁決事例集 第94集
ポイント
本事例は、租税特別措置法第41条第17項に規定するとおり、住宅借入金等特別控除は、居住用家屋の取得等を明らかにする書類を確定申告書に添付している場合に限り適用することができるところ、登記事項証明書は添付書類の例示として規定しているものであり、登記事項証明書の添付がないことのみをもって住宅借入金等特別控除の書類添付の要件を満たさないというものではなく、それに代わる書類の提出があれば住宅借入金等特別控除の適用を受けることができるのであるが、請求人の提出した各書類のいずれによっても、当該居住用家屋の取得した日は明らかではないから、住宅借入金等特別控除を適用することはできないと判断したものである。
要旨
請求人は、登記された事実を証明することを租税特別措置法施行規則第18条の21《住宅借入金等を有する場合の所得税額の特別控除の適用を受ける場合の添付書類等》第9項は求めていないことから、確定申告書に、住民票、売買契約書、司法書士に対する登記申請手続の依頼書、住宅取得資金に係る借入金の年末残高証明書等を添付していれば、登記事項証明書を添付していなくても、住宅借入金等特別控除を適用すべきである旨主張する。
しかしながら、租税特別措置法第41条《住宅借入金等を有する場合の所得税額の特別控除》第1項に規定する居住用家屋の取得の日とは、現実に自己の居住の用に供することが可能となったと認められる日、すなわち、その家屋について、支配が移転したときを指し、例えば、その家屋の所有権を有することを前提として、その家屋の引渡しないし所有権移転登記がされた日はこれに該当すると解するのが相当であるところ、請求人の提出した各書類のいずれによっても、少なくとも、請求人が本件物件を取得した日は明らかではないから、住宅借入金等特別控除を適用することはできない。
また、請求人は、審判所に提出した物件の引渡証及び登記事項証明書のとおり、物件の引渡しを受け、共有持分割合を2分の1とする登記が完了しており、請求人に、住宅借入金等特別控除の適用を受ける権利が実体法上あることは明らかである旨主張する。しかしながら、住宅借入金等特別控除に係る制度が、その適用を受けるに当たり、確定申告書に適用金額記載と書類添付をすることを手続上の要件として法定したものであるから、確定申告書に書類添付のない場合には、実体法上の適用要件を満たすかどうかにかかわらず、住宅借入金等特別控除の適用は認められない。
参照条文等
租税特別措置法第41条(平成25年法律第5号による改正前のもの) 租税特別措置法施行規則第18条の21(平成24年財務省令第65号による改正前のもの)
住宅借入金等特別控除制度の適用に関し、その対象とされた住宅の取得は、租税特別措置法(平成28年法律第15号による改正前のもの)第41条《住宅借入金等を有する場合の所得税額の特別控除》第5項に規定する特定取得には当たらないとした事例(平成27年分の所得税及び復興特別所得税の更正処分並びに過少申告加算税の賦課決定処分・棄却)
裁決事例集 第112集
ポイント
本件は、審査請求人がその居住用家屋の取得の際に支払った仲介手数料は、租税特別措置法(平成28年法律第15号による改正前のもの)第41条《住宅借入金等を有する場合の所得税額の特別控除》第5項に規定する「住宅の取得等に係る対価の額又は費用の額」には当たらないから、当該家屋の取得は同項に規定する特定取得には該当しないとしたものである。
要旨
請求人は、租税特別措置法(平成28年法律第15号による改正前のもの)(措置法)第41条《住宅借入金等を有する場合の所得税額の特別控除》第5項に規定する「住宅の取得等に係る対価の額又は費用の額」には定義規定は置かれておらず、請求人が既存住宅(本件住宅)の取得(本件取得)の際に支払った仲介手数料(本件仲介手数料)は同項に規定する住宅の取得等に係る費用の額に含まれるところ、本件仲介手数料には新消費税率による消費税等の額が含まれているから、本件取得は同項に規定する特定取得に該当する旨主張する。
しかしながら、同項に規定する「住宅の取得等に係る対価の額又は費用の額」とは、居住用家屋の新築又は既存住宅の取得に係る対価の額又は増改築等に係る費用の額をいうと解するべきであるから、請求人の主張は採用できない。そして、請求人は、本件住宅を消費税等の負担なく取得したのであるから、本件取得は、同項に規定する特定取得には該当せず、このことは、本件仲介手数料に含まれる消費税等の額の合計額が新消費税率により課されるべき消費税等の額に相当する税額であるか否かによって左右されない。
参照条文等
租税特別措置法(平成28年法律第15号による改正前のもの)第41条第1項、同条第5項
居住用家屋の一部を取り壊し、その取壊し部分の敷地の用に供されていた土地の譲渡に係る譲渡所得について、租税特別措置法第35条を適用することができないとした事例(平成22年分の所得税の更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分・一部取消し)
裁決事例集 第94集
要旨
請求人は、居住の用に供している家屋の一部を取り壊し、その取り壊した部分の敷地の用に供されていた土地の譲渡について、当該家屋の取壊し後の残存家屋は、改修工事をしなければ機能的にみて居住可能な独立した家屋とはいえず、その物理的形状に照らし、居住の用に供しえなくなったものといえるのであるから、租税特別措置法第35条《居住用財産の譲渡所得の特別控除》の規定を適用できる旨主張する。
しかしながら、当該残存家屋には、人が居住して日常生活を送るのに必要な台所、便所、浴室及び居室の全てを備えており、当該家屋の一部取壊し及び残存家屋の改修工事の各工事期間中も請求人は居住していたのであるから、家屋の一部取壊しによって、当該残存家屋がその物理的形状等に照らし居住の用に供しえなくなったということはできない。したがって、当該譲渡に租税特別措置法第35条の規定を適用することはできない。
参照条文等
租税特別措置法第35条 租税特別措置法通達(山林所得・譲渡所得関係)31の3-10、35-2、35-5
参考判決・裁決
東京地裁昭和54年11月19日判決(裁Web) 東京地裁平成21年11月4日判決(税資259号順号11304) 東京高裁平成22年7月15日判決(税資260号順号11479)
換価代金等の配当処分の取消しを求める審査請求は、換価代金等の交付期日が経過し、換価代金等の交付が終了した後においても不服申立ての利益が認められるとした事例(配当処分・棄却)
裁決事例集 第113集
ポイント
本事例は、税務署長は、配当処分の取消しにより、再度適法な配当処分をすべき地位に置かれることになることから、換価代金等の配当処分の取消しを求める審査請求は、換価代金等の交付期日が経過し、換価代金等の交付が終了した後においても不服申立ての利益が認められるとしたものである。
要旨
原処分庁は、配当処分(本件配当処分)は、換価代金等の交付期日に配当が実施され、その効力が消滅していること、処分の効力が消滅した後において、処分の取消しによって得られる実益がないことから、本審査請求は不服申立ての利益を欠く不適法なものである旨主張する。
しかしながら、換価代金等の交付期日が経過し、換価代金等の交付が終了すると、配当処分はその目的を完了して処分の効力が消滅したと解されるが、その場合であっても、配当処分の取消しにより、税務署長は、再度適法な配当処分をすべき地位に置かれることになると解されるから、処分の名宛人は、配当金額の交付を受け得るべき地位を回復することとなり、処分の取消しによって回復すべき法律上の利益を有するということができる。したがって、請求人は、換価代金等が交付された後においても、本件配当処分の取消しを求めるにつき不服申立ての利益を有するから、本審査請求は適法なものである。
参照条文等
請求人が譲渡した土地上にある家屋は、請求人が真に居住の意思をもって客観的にもある程度の期間継続して生活の本拠としていたとは認められないから、租税特別措置法第35条の適用はないとした事例(平成24年分の所得税の更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分・棄却)
裁決事例集 第102集
要旨
請求人は、譲渡した土地上に存していた家屋(本件家屋)が、租税特別措置法(平成25年法律第5号による改正前のもの)第35条《居住用財産の譲渡所得の特別控除》第1項に規定する「居住の用に供している家屋」に該当する旨主張する。
しかしながら、本件家屋におけるガス及び水道の使用実績がなく、電気の使用量は極めて少ないこと、本件家屋の窓ガラスが割れたまま放置され、複数の近隣住民が人の住める建物ではなかったと評していること、また、請求人が住民票上の住所を本件家屋とは別の借家の所在地に置いていたこと、当該借家に係る賃貸借契約及びその更新の際に、請求人が同居人として名を連ねていたことなどからすれば、請求人が本件家屋を真に居住の意思を持って客観的にもある程度の期間継続して生活の本拠としていたとは認められない。以上によれば、本件家屋は、請求人の「居住の用に供している家屋」に該当しない。
参照条文等
租税特別措置法(平成25年法律第5号による改正前のもの)第35条第1項
参考判決・裁決
東京地裁昭和54年11月19日判決(税資109号396頁) 大阪地裁平成8年3月19日判決(税資215号922頁) 神戸地裁平成10年12月16日判決(税資239号458頁) 平成22年6月24日裁決(裁決事例集No.79)
請求人が譲渡した家屋は「請求人が主としてその居住の用に供していると認められる一の家屋」には該当しないとした事例(令和2年分の所得税及び復興特別所得税の更正処分並びに過少申告加算税の賦課決定処分・棄却)
裁決事例集 第139集
ポイント
本事例は、請求人が譲渡した家屋の住所に移転した際、一般に生活の本拠を異動する際に行う各手続を行わず、譲渡した家屋と移転前の住所地であるマンションにおける水道等の使用状況が移転前後において大差がないこと等の事実を総合的に考慮すると、主たる生活の拠点はマンションであり、譲渡した家屋は「請求人が主としてその居住の用に供していると認められる一の家屋」には該当しないとしたものである。
要旨
請求人は、請求人が譲渡した土地の上に存していた家屋(本件家屋)が、租税特別措置法施行令第20条の3《居住用財産を譲渡した場合の長期譲渡所得の課税の特例》第2項に規定する「その者が主としてその居住の用に供していると認められる一の家屋」に該当する旨主張する。
しかしながら、請求人は、請求人が請求人の妻と二人で居住していたマンション(本件マンション)の住所から請求人のみが本件家屋の住所に移転した際、一般に生活の本拠を異動する際に行う各手続を行わず、また、本件家屋において日常生活を送る上で必要になる設備が故障していたにもかかわらずその修繕も行っていなかった一方で、本件マンションは、請求人の妻が引き続き居住し、日常生活を送るのに十分な状態が保たれ、当該移転後も請求人宛の各種配送物の配達先でもあった。また、本件家屋及び本件マンションの水道等の使用状況は、当該移転前後において大差はない。したがって、これらの事実を総合的に考慮すると、請求人の主たる生活の拠点は本件マンションであり、本件家屋は、「請求人が主としてその居住の用に供していると認められる一の家屋」には該当しない。
参照条文等
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