裁決事例 消費税法関係
要旨
請求人は、パチンコ景品交換所において遊技客から提示を受けた本件景品は、初めから消費を目的としたものではなく、単に金銭の請求権の存在を証明するためのものにすぎず、消費税法別表第1に掲げる消費税が非課税とされるもののうち、例えば、有価証券に類するもの、支払指図、金銭債権の譲渡又は物品切手に類するものなどとその経済的効用は全く同一であるから、請求人とS景品回収業者との本件景品の取引(以下「本件取引」という。)については、消費税法第6条(非課税)第1項の規定を類推適用して非課税とすべきである旨主張する。
しかしながら、S景品回収業者は本件景品を請求人からの買取りとして経理処理していること及び本件景品の取引価格は請求人を含めた当事者間で取り決めていたものであること等から、請求人が行っている本件取引は本件景品の販売行為であり、本件景品は販売を目的とした商品そのものと認められるので、本件取引は非課税取引には該当しない。
そして、本件取引は、消費税法別表第1に規定されている課税の対象とすることになじまない性質の資産の譲渡等とはその性質が異なるのであって、これらに該当しないことは明らかであるから、本件取引について消費税法第6条第1項を類推適用する余地はないというべきである。
要旨
請求人は、本件講習会は本件予備校が設置する課程として行っている授業の一環であり、専ら本校生徒を対象に行っているので、本校生徒から徴収する本件講習料は消費税法に規定する非課税取引に係る対価であると主張する。
しかしながら、本件予備校の学則では教養一般課程に設置された各学科の教科、科目及び授業時間の定めの中に本件講習会の授業時数が含まれておらず、また、休業日の定めの中で教育上必要がありやむを得ない事情があった場合以外は授業を行わないとし、夏期休業及び冬期休業の期間を具体的に規定しているにもかかわらず、本件講習会は本件予備校が授業を行わない休業期間中に開催していること及び受講者を本校生徒に限らず大学入学試験を受験する者を対象に広く一般に募集していることからして、本件予備校の課程とは別枠に設置された独立した授業、講習と認められ、消費税法の非課税規定にある課程における教育としての役務の提供に該当しないから請求人の主張には理由がない。
要旨
請求人は、消費税法施行令第20条《事業を開始した日の属する課税期間等の範囲》第1号に規定する「課税資産の譲渡等に係る事業を開始した日」は、請求人が医院(本件医院)を開業する意思決定後の全ての準備行為を行った日が含まれるのではなく、課税資産の譲渡等を行うために必要な資材や商品に係る仕入れなど、それ自体が課税仕入れに当たる一定の準備行為を行った日のみが該当するとし、本件医院の建物に係る建築設計・監理業務委託契約(本件契約)に係る課税仕入れが発生した日は設計の完了日又は監理業務の完了日であることから、これらの日の属する課税期間(本件課税期間)が「課税資産の譲渡等に係る事業を開始した日」の属する課税期間である旨主張する。
しかしながら、事業者が新たに事業を行うに当たっては、当該事業を遂行するために必要な準備行為を行うのが通常であるところ、消費税法第9条《小規模事業者に係る納税義務の免除》第4項の趣旨に照らせば、事業を遂行するために必要な準備行為を行った日の属する課税期間も「課税資産の譲渡等に係る事業を開始した日」の属する課税期間に該当すると解するのが相当である。そして、事業を遂行するために必要な準備行為であるか否かは、必ずしも個々の行為だけではなく、一連の行為を全体として判断すべき場合もあるところ、請求人は、本件課税期間開始前から、事業に使用するための材料及び器具の購入を繰り返し行うとともに、本件医院を建築するための本件契約を締結しており、このことは請求人の事業開始に向けた一連の行為の一部であって、これら一連の行為が全体として事業に係る準備行為であると認められるから、「課税資産の譲渡等に係る事業を開始した日」の属する課税期間は、事業に使用するための材料及び器具の購入の開始日の属する課税期間(本件課税期間の前課税期間)とするのが相当である。
参照条文等
要旨
請求人は、相続税の物納による資産の譲渡は、事業としての行為ではなく、かつ、本件マンションは、消費税が非課税とされる住宅の貸付けの用に供していた資産であるから事業資産ではないなどとして、本件物納は、消費税の課税対象とはならない旨主張するが、本件物納は、課税事業者である請求人が不動産貸付業の用に供している本件マンションをもって相続税について代物弁済したものであるところ、代物弁済は、資産の譲渡等に該当し、また、事業の用に供している建物の譲渡は、その譲渡の原因が何であるかにかかわらず、事業活動に関連して行われる資産の譲渡として事業に付随したもので、事業として対価を得て行う資産の譲渡等に該当するものと解されるから、本件物納が、請求人の相続税を納付するためのものであったとしても、消費税法第4条第1項にいう事業者の行った資産の譲渡等に該当するものと認めるのが相当である。
なお、消費税法第6条第1項の別表第一の第1号において、土地の譲渡については、消費税を課さないこととされていることから、本件物納のうち、土地に係る部分については、消費税は課されないこととなり、建物に係る部分のみが消費税の課税対象となる。
介護付有料老人ホームにおける住宅の貸付けの範囲の判定に当たっては、賃借人が日常生活を送るために必要な場所と認められる部分はすべて住宅に含まれると解されるから、これらの部分の貸付けは非課税となる住宅の貸付けに該当するとした事例
裁決事例集 第79集
要旨
請求人は、関係法人に有料老人ホーム施設として賃貸した建物のうち、介護職員が使用する事務室、スタッフステーション、宿直室、厨房等は、いずれも当該施設の入居者が使用するものではなく、住宅の貸付けに該当しないから非課税とならない旨主張する。しかしながら、消費税法上、非課税となる住宅の貸付けの範囲の判定に当たっては、住宅に係る賃借人が日常生活を送るために必要な場所と認められる部分はすべて住宅に含まれると解するのが相当であるところ、介護付有料老人ホームは、単なる寝食の場ではなく、入居した老人が介護等のサービスを受けながら日常生活を営む場であるから、介護付有料老人ホーム用の当該建物の内部に設置された事務室、スタッフステーション、宿直室、厨房等の介護サービスを提供するための施設は、入居者が日常生活を送る上で必要な部分と認められることから、これらの部分の貸付けは非課税となる住宅の貸付けに該当する。
参照条文等
消費税法第6条、別表第一第13号
要旨
- 請求人は、本件収入金額に係る廃プラスチックの処理料は県及び市町村の補助対象事業であり、当該処理料は県交付要領等に基づき交付される補助金及び助成分担金たる給付金であるから、課税資産の譲渡等の対価に該当せず、不課税である旨及び当該補助金等は、請求人が県及び市町村から廃プラスチック協議会を通じて受ける間接交付の形態を採っているとしても、補助金等の性格に影響を及ぼすものでない旨主張する。
- しかしながら、補助金等は、反対給付を受けることなく交付されるものであるが、請求人は補助金の交付申請を行っていないところ、廃プラスチック処理料は、県廃プラスチック協議会が各市町村廃プラスチック協議会に請求をし、納入を受けていることから、廃プラスチック処理の実施主体は県廃プラスチック協議会と認められ、同協議会から請求人に対し廃プラスチックの処理料が支払われており、両者の間には廃プラスチックの処理委託契約が存在すると認めるのが相当である。なお、廃プラスチック協議会を通じたからといって、補助金等の性格に影響を及ぼすものでないとの主張は相当でない。
- したがって、県が各市町村に、また、各市町村が各市町村廃プラスチック協議会に交付するものは特定の行政目的のものであり、いずれも補助金に該当すると認められるが、請求人が県廃プラスチック協議会から受領する廃プラスチック処理料は、廃プラスチック処理という役務の提供を行うことの反対給付として受けるものであるから、補助金等又は間接補助金等に当たらず、課税資産の譲渡等に該当することとなる。
原処分調査中に請求人が提示した資料は、消費税法第30条第7項の要件を充たさないので、他の証拠資料によって課税仕入れに係る支払対価の額を合理的に推認できる場合であっても、仕入税額控除は認められないとした事例
裁決事例集 第65集 937頁
要旨
請求人は、仕入税額控除に係る帳簿及び請求書等の保存がない場合であっても、請求人が提出した資料によって、原処分庁は仕入税額を把握できたのであるから、仕入税額控除をすべきである旨主張する。
しかしながら、消費税法第30条第7項の規定は、仕入税額の証明手段を法定の帳簿及び請求書等に限定していると解され、他の証拠資料によって課税仕入れに係る支払対価を合理的に推認できる場合であっても認められないこと、また、帳簿及び請求書等の保存は、法所定の保存期間の始期から全期間にわたって所持・保管を継続することを意味し、帳簿及び請求書等を保存の始期の後に取得しても、その保存の要件を欠き、仕入税額控除が認められないところ、請求人が提出した資料は、その大半が調査の開始後に取引先から取り寄せた元帳のコピーであるなど、いずれも同項に規定する帳簿及び請求書等に該当しないから、仕入税額控除の適用はできない。
取引先である外国法人の発注に基づき第三者を介して当該法人に販売し、輸出代金を受領している取引は、輸出取引に該当するものの、請求人には、輸出証明書が交付されていないことから、消費税法第7条第1項に規定する輸出免税の適用を受けることができないとした事例
裁決事例集 第50集 257頁
要旨
- 本件取引は、取引先である外国法人からの発注に基づき、第三者に納入して当該外国法人から輸出代金を受領していることから、消費税法第7条第1項第1号に規定する輸出取引に該当するものと認められる。
しかし、輸出免税の適用を受けるためには、輸出取引等を行った事業者は、税関長から交付を受ける輸出の許可若しくは積み込みの承認があったことを証する書類又は輸出の事実を税関長が証明した書類の保存が要件とされているところ、請求人に対して本件取引に関する輸出証明書が交付されていないため、輸出取引に該当するとしても、請求人は輸出免税の適用を受けることはできない。 - 請求人は、消費税法施行規則第5条第1項第4号において税関長の証する書類以外であっても取引の事実を証する書類であれば輸出取引を証明するものとする旨の規定をしていることをもって、本件取引も輸出免税の対象となる旨主張するが、本件取引は、同号に規定する取引に該当しないので、請求人主張は採用することができない。
基準期間が免税事業者である場合の消費税法第9条第2項で規定する課税売上高の算出方法については、課税資産の譲渡等の対価の全額の合計額により算定することが相当であるとした事例
裁決事例集 第52集 145頁
要旨
請求人は、消費税の基準期間の課税売上高の算出方法については、消費税法第9条(小規模事業者に係る納税義務の免除)第2項で引用する同法第28条(課税標準)第1項において「課税資産の譲渡等につき課されるべき消費税に相当する額を含まないものとする。」と規定されていることから、基準期間における課税売上高が3,000万円以下であるか否かの判定に当たっては、同法第4条(課税の対象)第1項の規定により、すべての事業者には消費税が課されているので、基準期間において免税事業者に該当する場合であっても、当該課税売上高の算定は税抜き価額で算出すべきである旨主張する。
しかしながら、消費税法第9条第1項で規定する「課税売上高が3,000万円以下である者」に該当するか否かの判定に当たっては、
- 消費税の納税義務を規定する消費税法第5条(納税義務者)第1項の規定は、一般的に納税義務について定めたものであり、この規定のみによって直ちに個々の取引に対する消費税の課税関係が律せられるわけではなく、課されるべき消費税の有無は、同法第4条及び第5条の規定のみならず、同法第7条、同法第9条等の規定を含め、すべての関係規定を適用した結果により決まるものであり、本件の課税売上高の算定方法の解釈に当たっても関係条文を総合的に解釈して判断することが相当であること
- 消費税法第9条第1項の規定の適用があるか否かは、当該課税期間の開始前に既に確定しているのであり、同項の規定の適用がある場合には、その事業者が当該課税期間内に行う「個々の」課税資産の譲渡等のすべてについて消費税を納める義務が免除されていることが当該課税期間の当初から予定されていることからすると、課税資産の譲渡をした時に同法第4条及び第5条の規定によって成立する抽象的な納税義務は、同法第9条第1項の規定により成立と同時に免除されるものと観念することができ、消費税の納税義務は存在しないことになること
- また、消費税法第9条第2項第1号において、同法第28条第1項で規定する「対価の額」を引用しているが、これは、本来の「対価の額」の原則的な定義は「対価として収受する一切の金銭又は金銭以外のもの若しくは権利その他経済的な利益の額=取引の全額」であることを明確にすると同時に、基準期間において課税事業者であった者については、当該期間は消費税が課されているので、当該課されるべき消費税の額を除外したところにより売上高を算定すべきであるとの観点等から、課税標準の計算規定を借用して規定しているものであること
等から、基準期間において免税事業者であった者については、課税資産の譲渡等の対価の全額の合計額により課税売上高を算定して判定することが相当である。
要旨
請求人は、その事業は、他の事業者から購入した塗料を、性質及び形状を変更せずに、特定の事業者に販売するものであるから、卸売業に該当する旨主張するが、請求人の事業は、塗料を材料として得意先から預かった家具に塗装する家具の塗装業であり、塗料それ自体を商品として販売する事業とはいえないから、卸売業には該当しない。
売買契約の買手である審査請求人が金銭を受領することなく当該売買契約に係る権利義務の一切を第三者に移転した取引について、売買契約に係る買主の権利義務を一体として移転したものであって、代金支払債務の引受けを対価として目的物引渡請求権を譲渡したものとは認められないから、対価を得て行われた資産の譲渡等に該当しないとした事例
裁決事例集 第73集 495頁
要旨
請求人は、本件基準期間において、E社に特注した機器に係る代金支払債務の引受けを見合いとして当該機器の引渡請求権をF社に譲渡しており、当該機器の引渡請求権の譲渡は課税売上げに該当するから、本件課税期間については課税事業者に当たる旨主張する。
しかしながら、本件引受書によれば、請求人、F社及びE社の間で、当該機器に係る請求人のE社に対する権利義務を一体としてF社に移転する合意があったものと認められるところ(以下、当該合意に基づく当該権利義務の移転を「本件取引」という。)、本件引受書には、当該権利義務の移転の対価として収受すべき金額の記載がなく、当審判所が本件引受書以外の資料を調査したところによっても、本件取引について対価が授受されたことを示すものは見当たらない。そうすると、本件取引は、対価を得て行われた資産の譲渡等に該当しないから、課税売上げに当たらない。
したがって、請求人は、本件課税期間については課税事業者に該当しない。
なお、本件取引は、契約から生じる個々の債権債務のみならず当該契約の取消権や解除権も包括的に移転する取引で、単なる債権譲渡や債務引受とはその本質を異にするものと認められ、本件取引に係る対価についても個々の債権債務その他の付随的権利関係を一体として評価することが相当であるから、請求人の主張には理由がない。
帳簿等には、仕入先としてその氏名の氏に相当する部分が記載されているのみであり、また、請求人は、本件調査の際に本件仕入先を明らかにして記載不備を補完しようとしなかったことから、帳簿又は請求書等の保存がない場合に該当するとして、仕入税額控除の適用は認められないとした事例
裁決事例集 第48集 411頁
要旨
- 請求人は、[1]本件帳簿等は、消費税法第30条第8項及び第9項に規定する記載要件を充足し、かつ、それを保存しているのであるから、同条第7項に規定する仕入税額控除に係る帳簿又は請求書等を保存しない場合には該当しない、また、[2]請求人は、本件取引の際に、仕入先に消費税を支払ったのであるから、仕入税額控除を認めるべきである旨主張する。
- 審判所の判断は、次のとおりである。
- 本件帳簿等には、仕入先としてその氏名の氏に相当する部分が記載されているのみで、住所、電話番号等の記載もないため、本件帳簿等から仕入先を特定することはできない。消費税法第30条第8項第1号のイは、明確に「課税仕入れの相手方の氏名又は名称」を記載することと規定しているのであるから、当該記載が同項の帳簿としては不備なものであることは明らかである。
- 原処分に係る調査(「本件調査」)の際に、調査担当職員が、請求人に仕入先を特定できない場合には仕入税額控除が適用できない旨説明し、本件取引の仕入先を特定するよう求めたにもかかわらず、請求人が本件仕入先を明らかにして記載不備を補完しようとしなかったことが認められるから、その時点において保存されている帳簿等は、記載不備な状態における本件帳簿等のみであることになる。
- 請求人は、当審判所に対して、仕入先が特定できるものがあっても、仕入先を明らかにすると取引ができなくなるおそれがあるため明らかにすることはできない旨答述しているが、これをもって請求人が適法な帳簿又は請求書等を保存しないことにつき災害その他やむを得ない事情がある旨主張していると解しても、そのような主張は仕入先の相手方の氏名又は名称を記載した帳簿等の保存を求める消費税法第30条第7項ないし第9項の規定の趣旨とまったくあいいれないところであるから、このような理由をもってしては、同条第7項の「その他やむを得ない事情」に該当するとはいえない。
- 本件帳簿等に記載された氏の真偽について検討するまでもなく、本件取引については、消費税法第30条第7項に規定する仕入税額控除に係る帳簿又は請求書等の保存がない場合に該当し、同条第1項の規定による仕入税額控除を適用することはできない。
- 本件取引については、消費税法第30条第7項の規定により、同条第1項の仕入税額控除の規定は適用することができないのであるから、本件取引に係る仕入れの存否、その支払対価の額、消費税相当額の仕入先への支払の有無について検討するまでもなく、仕入税額控除をすることはできない。
本件不動産の譲渡の時期については、請求人は、その経理処理上、本件不動産の譲渡収入を売買契約の効力の発生した日の属する平成元年3月期ではなく、平成2年3月期の収益に計上しているから、契約の効力発生の日を譲渡の時期とすることはできず、原則としての取扱いにより、引渡しがあった平成元年7月17日が譲渡の時期となるとした事例
裁決事例集 第49集 443頁
要旨
請求人は、平成元年3月29日に、収益事業である旅館業の用に供していた本件不動産の売買契約を締結し、消費税法取扱通達9-1-13(固定資産の譲渡の時期)のただし書により、同日を資産の譲渡の日として、本件建物に係る譲渡の対価の額を平成元年4月1日から開始する本件課税期間の消費税の課税標準額に含めないで申告したところ、原処分庁は、平成元年7月1日以降が本件建物の引渡しの時期であるとして、本件建物の譲渡対価の額を本件課税期間の消費税の課税標準に含めて更正処分をした。
請求人は、上記通達のただし書に関し、当該契約の効力発生の日を譲渡の日とすることは、請求人が契約の効力発生の日を譲渡の時期としたことを認識していれば足りる旨主張するが、法人にあっては契約の効力発生の日を譲渡の時期として経理処理をしているときという意味と解される。請求人の経理処理は、平成元年3月31日現在、本件不動産を請求人の基本財産として計上し、本件不動産の譲渡収入を平成元年4月1日から平成2年3月31日までの事業年度の収益として計上していることから、本件建物の譲渡については、事業者が当該固定資産の譲渡に関する契約の効力発生の日を資産の譲渡の時期としているときに該当しないので、原則としての取扱いにより引渡しの日が譲渡をした時となる。
本件不動産は、平成元年7月17日にその引渡しがあったことは明らかであるから、本件不動産の譲渡が消費税の適用日以後の取引であるとして、本件建物の譲渡価額を本件課税期間の課税標準額に加算した原処分は適法である。
本件課税期間の課税売上割合が零パーセントであり、控除税額の計算方法として一括比例配分方式を選択しているから、本件課税期間に係る控除対象仕入税額は零円となるとした事例
裁決事例集 第47集 415頁
要旨
消費税法第30条第2項の規定によれば、課税期間における課税売上割合が95パーセントに満たない場合は、事業者の選択により個別対応方式又は比例配分方式のいずれかの方法により計算した課税仕入に係る消費税額を控除することとされている。
本件課税期間に係る控除対象仕入税額については、請求人が課税資産の譲渡等の対価の額は零円、控除税額の計算方法は一括比例配分方式と記載した本件確定申告書を原処分庁に提出していることから、本件課税期間の課税売上割合は零パーセントとなり、95パーセントに満たないので、消費税法第30条第2項の規定を適用して算定することとなるが、上記選択により算定すれば控除対象仕入税額は零円となる。
なお、請求人は、消費税法第33条第1項の規定により、調整対象固定資産として、仕入れた日の属する課税期間において全額控除し、第3年度で調整すればよいと主張するが、同項は、第3年度における調整の規定であり、本件課税期間においては、控除する仕入税額の調整はできない。
消費税に相当する金額の1円未満の端数処理の計算方法については、個々の商品ごとの代金と、当該個々の商品に課されるべき消費税に相当する額とのそれぞれの合計額と解すべきである旨の請求人の主張は認められないとした事例
裁決事例集 第49集 563頁
要旨
消費税法施行規則第22条第1項に規定する「決済上受領すべき金額」とは、顧客に複数の商品を一括して引き渡した場合には、それらの商品の代金として顧客から一括して受領する領収書ごとの金額をいうものであることは明らかであり、請求人が主張するように個々の商品ごとの代金と、当該個々の商品に課されるべき消費税に相当する額とのそれぞれの合計額と解するのは相当でない。また、「区分して領収する場合」とは、領収する側においてはもちろんのこと、代金を支払う側に対しても課税資産の譲渡の対価の額と課されるべき消費税に相当する額とに区分していることを明示すべきところ、請求人は、代金決済時に発行するレシート上にこのような区分表示をしていないので、請求人の主張は認められない。
消費税の課税仕入れの時期は、建物建築契約にあっては目的物たる建物の引渡日と、また、建物建設に関するコンサルタント契約にあっては役務の全部の提供を受けるのが完了した日と解するのが相当とされた事例
裁決事例集 第58集 276頁
要旨
請求人は、本件課税期間に支払った建物建設工事に係る工事着手金及び当該建物建設工事に係るコンサルタント契約に基づいて支払った契約金等については、請求人において本件課税期間中に「建設仮勘定」に経理しており、このような経理を行った場合の消費税の課税仕入れの時期は当該建設仮勘定に経理した日と解すべきである旨主張する。
しかしながら、請負契約の内容が建築工事等の物の引渡しを要するものであるときの課税仕入れを行った日とは、当該建築工事等の目的物を相手方から引渡しを受けた日と解すべきであり、また、請負契約の内容が設計、作業管理、その他の役務の提供を行うことを目的とするような物の引渡しを要しないものであるときの課税仕入れを行った日とは、当該請負契約で約した役務の全部の提供を受けるのが完了した日と解するのが相当である。
本件建物建築工事の目的物たる建物の引渡しの日及び本件コンサルタント契約に基づく役務の全部の提供を受けるのが完了した日は、いずれも本件課税期間の翌課税期間に属する日と認められ、また、いずれの契約においても部分引渡しや報酬が役務の内容ごとに区分されその支払もそれぞれの部分ごとに完了した都度支払いをするなどとする契約も存しないことから、本件課税仕入れ額は本件課税期間に係る課税仕入れには該当しない。
消費税法第9条の2第1項及び第3項の規定により、基準期間がない場合でも請求人の消費税の納税義務は免除されないとした事例(平成26年4月1日から平成27年3月31日までの課税期間の消費税及び地方消費税の決定処分並びに無申告加算税の賦課決定処分・棄却)
裁決事例集 第110集
ポイント
本事例は、消費税法第9条の2第1項に規定する「法人のその事業年度の基準期間における課税売上高が1,000万円以下である場合」には、「その事業年度の基準期間がない」場合が含まれるとしたものである。
要旨
請求人は、消費税法第9条の2《前年又は前事業年度等における課税売上高による納税義務の免除の特例》第1項の規定は「法人のその事業年度の基準期間の課税売上高が1,000万円以下である場合において」と限定されており、同項の規定を条文に沿って解釈すれば、その事業年度の基準期間がない場合には同項の適用はないところ、請求人の場合、同項の規定の適用はなく、また、同法第12条の2《新設法人の納税義務の免除の特例》第1項の規定の適用もないから、同法第9条《小規模事業者に係る納税義務の免除》第1項本文の規定により、消費税の納税義務はない旨主張する。
しかしながら、消費税法第9条第1項本文に規定する「事業者のうち、その課税期間に係る基準期間における課税売上高が1,000万円以下である者」には、当然に「その事業年度の基準期間がない法人」も含まれ、同法第9条の2第1項に規定する「法人のその事業年度の基準期間における課税売上高が1,000万円以下である場合」についても、同様に「その事業年度の基準期間がない」場合が含まれる。また、同法第12条の2第1項の括弧書において、同条の適用がある法人の課税期間から同法第9条の2第1項の規定により納税義務が免除されないこととなる課税期間が除かれていることからすると、同法第12条の2第1項は、同法第9条の2第1項の規定の適用対象に「その事業年度の基準期間がない法人」が含まれていることを前提に規定されており、このことをみても、同法第9条の2第1項の規定の適用対象に「その事業年度の基準期間がない法人」が含まれることは明らかである。以上のことから、消費税法第9条の2第1項の規定は、その事業年度の基準期間がない場合についても適用があり、同項の規定の適用がある場合、同法第12条の2第1項の規定の適用はないことから、同法第9条の2第1項及び第3項の規定により、請求人の消費税の納税義務は免除されない。
参照条文等
要旨
請求人は、無認可保育所も児童福祉法にいう保育所に該当するから、無認可の保育施設が行う資産の譲渡等は消費税法施行令(平成11年施行令第262号により改正前のもの)第14条の2第1号に規定する児童福祉施設が行う資産の譲渡等に該当し、非課税である旨主張するが、児童福祉法では、国、都道府県及び市町村以外の者については、知事の許可を得て保育所を設置することができる旨規定し、また、保育所と目的を同じくする施設であっても、知事等の認可を受けていない施設については「保育所」といっていないから、児童福祉法にいう「保育所」には無認可の保育施設は含まれないと解するのが相当である。したがって、請求人が経営する無認可保育所の事業として行われた資産の譲渡等には消費税法第6条《非課税》の適用がない、とした原処分は適法である。
要旨
請求人は、他会計からの繰入金の使途を特定した文書がないとしても、消費税法及び消費税法基本通達によりその使途を明らかにできるから、その使途は特定されていることになる旨主張するが、消費税法第60条第4項及び消費税法施行令第75条第1項第6号イ・ロ並びに消費税法基本通達16-2-2は、使途の特定について、文書によるべきこととしているから、請求人の主張には理由がない。
要旨
請求人は、自らは○○士の資格を取得するための講習を行う社団法人であり、請求人が行う講習はその講習を行うことが法令において規定されていることから、当該講習に係る役務の提供は消費税法施行令第12条第2項第2号に掲げる事務に係る役務の提供に該当し、非課税取引である旨主張する。
しかしながら、消費税法施行令第12条第2項第2号の規定は、「国、地方公共団体、法別表第三に掲げる法人その他法令に基づき国又は地方公共団体の委託又は指定を受けた者が法令に基づき行う次に掲げる事務に係る役務の提供」であることを一体のものとして理解すべきであり、同号に掲げる事務(講習)は、これを「国、地方公共団体、法別表第三に掲げる法人その他法令に基づき国又は地方公共団体の委託又は指定を受けた者」が行う旨の規定がされている場合において初めて非課税取引に該当すると解される。本件においては、○○士の資格登録に係る法令において、資格登録の講習を行う者について、「国、地方公共団体、法別表第三に掲げる法人その他法令に基づき国又は地方公共団体の委託又は指定を受けた者」に限る旨の規定等は存在しないことから、請求人の行う当該講習に係る役務の提供は、消費税法施行令第12条第2項第2号に掲げる非課税取引に該当せず、請求人の主張には理由がない。
参照条文等
消費税法第6条第1項、別表第一第5号 消費税法施行令第12条第2項
要旨
請求人は、輸入墓石は、国内において仕入れた原石を中国に輸送し、墓石に委託加工したものであり、この原石については仕入時に消費税等を支払っているから、輸入墓石に係る消費税等の課税価格は、加工賃、船代及び諸費用の合計額によるべきであって、その価格に原石代を含めると、結果的に原石について二度の消費税等が課税されることになり、消費税法違反になる旨主張する。
しかしながら、輸入貨物に係る消費税の課税標準は、関税定率法により算出される課税価格に個別消費税額と関税額を加算した金額であるところ、本件輸入貨物は、原石を提供した加工賃方式による逆委託加工貿易により輸入された貨物であるから、その課税価格は、関税定率法第4条の4を適用して算出するのが相当である。そうすると、輸入インボイス記載の価格に当該墓石の原材料である原石の仕入価格及び原石の輸出関連費用を加算して算出された原処分の課税価格は輸入貨物の取引形態に合致するものであり、当該規定により合理的かつ適法に算出されたものであると認められる。
また、課税貨物に係る消費税については、消費税法第30条の規定により、税務署長に提出する消費税の確定(中間)申告において、課税標準に対する消費税額から控除されることから、請求人の結果的に二度の消費税等が課税される旨の主張は採用することができない。
要旨
競走馬賞金の「課税資産の譲渡等の対価の額」(消費税法第28条第1項)は、[1]請求人と調教師との預託契約によれば、調教師への進上金は請求人から調教師に対する報償金と認められること、[2]賞金等の支払調書によれば、進上金が競馬主催者から調教師に対する分配金とは認められないこと及び[3]本件進上金は、消費税法第30条第1項の仕入税額控除の対象となるが、請求人は同条の申告もしており二重課税の問題も起らないことから、競走馬主催者から請求人に交付される競走馬賞金全額(調教師に支払う進上金を差し引く前の金額)と解すべきである。
要旨
請求人は、課税事業者が簡易課税制度を選択している場合であっても、本則課税により申告したときは本則課税による申告を認めるべきであると主張するが、いったん簡易課税制度を選択した場合は2年間はこれを継続しなければならないこととされており、請求人は、簡易課税制度選択後2年目であり、基準期間の課税売上高が5億円以下であるから、簡易課税制度を適用して確定申告をすべきである。
約40年に1度行われた立木の譲渡であっても、山林の反復、継続的な育成、管理が行われていた場合には、事業として対価を得て行われる資産の譲渡に該当するとした事例
裁決事例集 第66集 309頁
要旨
請求人は、「事業として行う資産の譲渡」というには、反復、継続が必須であるところ、約40年間立木の譲渡はなく今回初めて譲渡したものであって反復、継続していないこと、今回譲渡した立木は、当初3年程下草刈りをした後、10年後くらいに1回間伐しただけであり、以後27年間程度は何の手入れもしていないなど十分な育成、管理を行っていないことから、反復、継続の蓋然性があるともいえないこと、森林施業計画に係る森林の伐採の届出書は、育成、管理したことを証明するものではなく、森林施業計画の認定を受けたカラマツを伐採、譲渡したことをもって、反復、継続的に育成、管理していたとはいえないことから、本件立木の譲渡は課税資産の譲渡に該当しない旨主張する。
しかしながら、山林の育成には長期間を要するのが通例であることから、山林の伐採又は譲渡が消費税法第2条第1項第8号の「事業として」に該当するかどうかは、伐採又は譲渡の反復性、継続性のみにより判断するのではなく、伐採又は譲渡の準備行為ともいえる山林の育成、管理の度合いも加味して総合的に判断すべきものと解されるところ、請求人は、森林法第11条第1項に規定する森林施業計画を定期的に作成し市町村の長にその認定を求めていること、P市長に対し「立木の伐採(譲渡)証明申請書」を提出し、本件譲渡が森林施業計画に基づくものであるとの証明を受けていること及びT広域森林組合のJ総務部長の「請求人が今回譲渡した立木は成長も悪くなく、手入れをしていたということは、はっきり分かった」との申述からすれば、本件立木の譲渡は、森林施業計画に基づき反復、継続的な育成、管理が行われていたと認めるのが相当である。
以上のとおり、本件立木の譲渡は消費税法第2条第1項第8号に規定する「事業として対価を得て行われる資産の譲渡」に該当するとした本件更正処分は適法である。
複数の商品を顧客に対して一括して引渡し、その代金を顧客から一括して受領する場合の、消費税法施行規則第22条第1項に規定する「決済上受領すべき金額」とは、その受領するときに顧客に交付する領収書(レシート)ごとの金額であると解するのが相当であるとされた事例
裁決事例集 第59集 360頁
要旨
消費税法施行規則第22条第1項は、事業者が、課税資産の譲渡等に係る決済上受領すべき金額を当該課税資産の譲渡等の対価の額と消費税に相当する額とに区分して領収する場合において、消費税に相当する金額の1円未満の端数を処理したときは、当該端数を処理した後の消費税に相当する額を基礎として、課税標準額に対する消費税額の計算を行うことができる旨規定(以下「本件規定」という。)している。
請求人は、食料品については個々の商品ごとに端数処理を行ない、また、食料品以外の商品についてはレシートごとに端数処理を行った上で、これらの事実を記録したレシートの控えを保存しているから本件規定が適用されるべきである旨、及び基本通達で示されている消費税法施行規則第22条第1項に規定する「決済上受領すべき金額」の解釈は、本件課税期間においては公表されておらず、この解釈に沿って申告することは不可能であった旨主張するが、食料品については本件規定の適用要件を満たしているとは認められないが、食料品以外の商品については、本件規定の適用要件を満たしていと認められる。
なお、消費税法施行規則第22条第1項に規定する「決済上受領すべき金額」の解釈に関する基本通達は、消費税法の施行当初から課税庁が有していた解釈を念のため明らかにしたものと認められる。
課税仕入れ等の税額の算出にあたり、個別対応方式による計算は、一括比例配分方式により計算することとする課税期間が2年を経過していないため、当該方式による計算はできないとした事例
裁決事例集 第49集 554頁
要旨
請求人は、原処分庁が、本件課税期間の課税仕入れ等の税額の算出にあたり、一括比例配分方式につき、同方式を継続して2年間適用していないとして本件更正処分を行ったが、前々課税期間においては、一括比例配分方式により確定申告をした後、更正の請求に基づき、原処分庁が、仕入税額控除についてその全額を控除する減額の更正処分をしているから、減額の更正があっても、仕入税額控除の計算方法が変更されたものではないことから、前々課税期間から一括比例配分方式を適用していることになる旨主張するが、請求人の前々課税期間における課税売上割合は、100分の95以上のため、消費税法第30条第2項の一括比例配分方式は適用できないところ、更正の請求に基づき、同条第1項による仕入税額控除の計算方法に基づく減額の更正をしたものであって、前々課税期間においては一括比例配分方式を適用していないことになる。
したがって、一括比例配分方式の適用開始時期は前課税期間となり、消費税法第30条第5項で規定する当該方式により計算することとする課税期間が2年を経過していないため、本件課税期間においては、個別対応方式による計算はできない。
要旨
請求人は、消費税法施行令第8条に規定する駐車場その他の施設の利用に伴って土地が使用される場合とは、アスファルト舗装、料金徴収設備、建物及び屋根などの施設を伴った駐車場を指すものと解され、本件各駐車場は、一般常識的に施設といわれるものは一切ない旨主張する。
しかしながら、消費税法施行令第8条の趣旨及び消費税法基本通達6-1-5の(注)1の定めから、駐車場施設として土地が使用される場合に、請求人が主張するような施設の利用も伴ってはじめて課税対象の取引としたものとまでは解されず、請求人は、本件各契約において、各賃借人に対して区画を指定した上で、車両を駐車させるという目的に限定して本件各駐車場を貸し付けているところ、本件各駐車場には砂利やアスファルトを敷き、場所によってはロープや白線、区画番号表示による区画を設けたり、車止めブロックを設置していることからすれば、請求人は、本件各駐車場につき、駐車場としての用途に応じる地面の整備や区画の設置等をしているものと認められ、本件各駐車場の貸付けは、駐車場その他の施設の利用に伴って土地が使用される場合に該当する。
参照条文等
請求人が行ったとしていた各仕入取引に係る資産の譲受け及び各販売取引に係る資産の譲渡は、請求人に帰属しないとした事例(令和2年10月課税期間から令和4年7月課税期間他の消費税等の各更正処分並びに過少申告加算税の各賦課決定処分・棄却)
裁決事例集 第140集
ポイント
本事例は、請求人は、各販売取引について資産の譲渡等に係る対価を享受していないことから、消費税法第13条《資産の譲渡等又は特定仕入れを行った者の実質判定》の規定に基づき、各仕入取引に係る資産の譲受け及び各販売取引に係る資産の譲渡は、請求人に帰属しないとしたものである。
要旨
請求人は、消費税法第13条《資産の譲渡等又は特定仕入れを行った者の実質判定》は、租税回避を目的とした事案への適用を想定した規定であり、独立した事業者間で締結された契約に沿って行われた取引に適用される余地はないところ、請求人が仕入先又は売上先との間の各契約の中で各取引に係る商品の種類、数量及び金額を定めていること、契約は当事者の自由な意思に基づいて結ぶことができ、当事者の意思どおりの効果が認められることなどから、請求人は、各販売取引に係る対価を売上先から享受し、課税仕入れに係る対価を仕入先に支出しており、各取引に同条は適用されない旨主張する。
しかしながら、消費税法第13条の趣旨は、資産の譲渡等の法形式上の帰属主体と法律的実質的な帰属主体が一致しない場合においては、後者すなわち実質的に資産の譲渡等に係る対価を享受する者を資産の譲渡等の帰属者とするものと解されるところ、法律的実質的にみて、請求人は、各販売取引について資産の譲渡等に係る対価を享受していないから、同条の規定に基づき、請求人以外の者が資産の譲渡をしたものとして同法を適用すべきである。
参照条文等
参考判決・裁決
大阪地裁平成25年6月18日判決(税資263号順号12235) 津地裁令和2年10月1日判決(税資270号順号13457) 広島地裁平成18年6月28日判決(税資256号順号10436) 令和4年11月9日裁決(裁決事例集No.129) 平成28年8月22日裁決(裁決事例集No.104)
請求人は、反復、継続、独立した行為として土地を駐車場用に貸し付けており、これは消費税法上、事業として課税資産を貸し付けていることに該当するので、新規開業者ではなく、本件課税期間においては還付を受けるための申告はできないとした事例
裁決事例集 第46集 225頁
要旨
請求人は、平成2年4月に駐車場を廃業した後、その跡地にマンションを新築し、平成3年6月から事業を開業して、同年7月新規事業の開業届とともに「消費税課税事業者選択届出書」を提出したので、本件課税期間において消費税の還付申告ができると主張するが、請求人は、廃業した駐車場以外の場所で土地を整備して駐車場として貸し付けており、対価を得て同種の行為を反復、継続、独立して行っていると認められるので、これは、所得税法における事業の概念とは異なり、事業の規模までは問わず、消費税法上の事業に該当する。
したがって、請求人は、平成元年から課税資産の譲渡等に該当する事業を継続しており、本件課税期間は消費税法第9条第4項に定める「事業を開始した日の属する課税期間」には当たらない。また、本件課税期間に係る基準期間における課税売上高は959万円で免税事業者であるから、本件届出書の提出により課税事業者とされるのは、本件届出書を提出した日の属する課税期間の翌課税期間以後になるので、還付を受けるための申告はできないとするのが相当である。
貸倒れに係る消費税額の控除について、消費税につき無申告の請求人が、原処分調査において、貸倒れの事実が生じたことを調査担当職員に説明せず、これを証する書類を提示しなかったことをもって、同控除の適用は認められないとした事例
裁決事例集 第48集 458頁
要旨
消費税法第39条の貸倒れに係る消費税額控除の適用を受けるためには、法定申告期限を経過した日から7年間、適法な税務調査に際し、調査担当職員から帳簿又は請求書等の提示を求められたときにはこれに応じ、当該帳簿又は請求書等を当該調査担当職員が閲覧検査できる状態に置くべきことも含め、その保存を継続しなければならないと解される。
なお、確定申告書に記載があるなど明らかな場合以外は一般的に貸倒れの有無を推測することは困難であることからも、事業者がその事実を調査担当職員に説明し、これを証する書類を提示することを要すると解される。
請求人は、調査担当職員が、再三にわたり、課税標準に係る書類等及び帳簿又は請求書等の提示を求めたにもかかわらず、一切の必要書類を提示せず、また、当該期間分の消費税確定申告書を提出していない上、調査担当職員に貸倒れの事実が生じた旨の説明もしていないことが認められる。
したがって、請求人が本件調査の際に貸倒れの事実が生じたことを調査担当職員に説明せず、また、これを証する書類を提示しなかった時点において、当該書類の保存が継続していなかったといわざるを得ず、その後に至り、審判所に当該書類を提出したからといって、貸倒れに係る消費税額の控除の適用が受けられると解することはできない。
金地金が消費税法第36条第5項に規定する「棚卸資産」に該当するとした事例(令和3年3月1日から令和4年2月28日までの課税期間の消費税及び地方消費税の更正処分並びに過少申告加算税の賦課決定処分・棄却)
裁決事例集 第135集
ポイント
本事例は、金地金の売買が請求人の事業目的から離れたところで行われたものとはいえず、請求人が当該金地金を取得した時点においてこれを売却する方針を有していたことから、当該金地金は消費税法第36条第5項に規定する「棚卸資産」に該当すると判断したものである。
要旨
請求人は、金地金の売買を反復継続して行うものではないから、金地金の売買が請求人の営業に当たることはなく、請求人が消費税を納める義務が免除されることとなった課税期間の初日の前日において保有していた金地金(本件金地金)は消費税法第36条《納税義務の免除を受けないこととなった場合等の棚卸資産に係る消費税額の調整》第5項に規定する「棚卸資産」に該当しない旨主張する。
しかしながら、消費税法第36条第5項に規定する「棚卸資産」に該当するか否かについては、会計処理のみにより形式的に判断するのではなく、判断の対象とされている資産と事業者の属性及び事業目的との関係、当該資産の取得時の使用・収益・処分に係る方針等といった客観的な事実に基づき、事業者が、通常の営業過程、すなわち、その事業目的に係る業務の過程において売却することを目的として保有する資産に当たるといえるかどうかにより実質的に判断するのが相当である。そして、請求人が行う金地金の売買に係る取引額が、いずれも、請求人の事業規模に照らして大きなものである等、請求人の事業に及ぼす影響が大きいことからすると、請求人における金地金の売買は、補助ないし付随的な活動とはいえず、定款に明示的に掲げられた事業目的そのものではないとしても、事業目的から離れたところで行われているものとはいえないから、本件金地金は、請求人の事業目的に係る取引の客体にほかならないと認められる。また、本件金地金の取得から売却に至る経緯及び本件金地金を取得するための借入金を返済するためには本件金地金を売却する必要があったこと等からすると、請求人は、本件金地金を取得した時点において、将来、これを売却する方針を有していたと認められる。これらの事実に基づけば、請求人は、その事業目的に係る業務の過程において売却することを目的として本件金地金を保有していたものと認められるから、本件金地金は消費税法第36条第5項に規定する「棚卸資産」に該当する。
参照条文等
E生命保険の営業社員である審査請求人が消費税法上の事業者に該当すること、報酬に含まれる通勤手当等が課税資産の譲渡等の対価の額に含まれること及び報酬明細・収支報告書が消費税法第30条第7項の帳簿には当たらないとして仕入税額控除が認められないことについて判断した事例
裁決事例集 第69集 363頁
要旨
請求人は、E生命保険との営業社員契約等を根拠に、請求人はE生命保険に従属しており、また、同人の営業社員報酬を決定するのはE生命保険であることから、事業者でない旨主張する。
ところで、消費税法第5条第1項は、事業者は課税資産の譲渡等につき消費税を納める義務がある旨規定している。
また、事業者について、消費税法基本通達1-1-1は、事業者とは自己の計算において独立して事業を行う者をいう旨定めているところ、消費税法にいう事業者に関する当該基本通達の解釈については、請求人及び原処分庁とも争いはなく、当審判所においても相当と認められる。
これを本件についてみると、E生命保険は、請求人の仕事のための費用の一部を負担しているものの、請求人は、仕事として保険種類の販売を行い、契約を獲得するに当たり、当該仕事の遂行上の主要な費用である保険募集に係る車両関係費、旅費交通費、接待交際費等の全額を負担していることが認められる。
確かに、[1]請求人はE生命保険G支社への週2回の出社が義務付けられていること、[2]契約第2条には、営業社員の制限事項が定められていることに加え、[3]就業規則には、服務の原則等の規則が定められていることなどにおいては、請求人がE生命保険の指示、命令を受ける一面があることは否定できない。
しかしながら、[1]については、E生命保険が請求人に対し出社を求めるのは、主として営業販売促進を図る目的で行われる打合せ等のためであり、[2]については、契約第2条が保険業法その他関係法令上の要請によるものと認められ、また、[3]については、単に、営業社員の服務及び労働条件について定めたものであるのに対し、請求人の主要な部分である保険募集の地域、保険募集の相手及び販売する保険商品の種類の選択等の保険契約獲得の手段並びに月曜日及び木曜日以外の日の出社の要否、営業所外での就業時間の管理等については、請求人自身の責任と判断に委ねられているものと認められる。
以上のことからすると、営業社員としての請求人は、自己の計算においてその仕事を遂行するものであり、また、役務の提供につきE生命保険の一般的な指揮命令下にあるということはできないから、請求人は自己の計算において独立して事業を営む者であると解するのが相当であり、消費税法上の事業者に当たる。
また、請求人は、営業社員報酬に含まれる通勤手当等については、明らかに実費弁償又は社員サービスとして金銭補助であるから、課税資産の譲渡等の対価の額に含めるべきではない旨主張する。
ところで、消費税法第28条第1項は、課税資産の譲渡等に係る消費税の課税標準は、課税資産の譲渡等の対価の額とする旨規定しており、また、消費税法第2条第1項第9号は、課税資産の譲渡等とは、資産の譲渡等のうち、同法第6条第1項の規定により消費税を課さないこととされるもの以外のものをいう旨規定している。
これを本件についてみると、営業社員としての請求人が消費税法上の事業者に該当し、同人がE生命保険から営業社員報酬として支払を受けた研修手当が、課税資産の譲渡等の対価の額になると認められる以上、研修手当とともに営業社員報酬の一部として支払を受けている通勤手当等についても、その全額が課税資産の譲渡等の対価の額に含まれると解するのが相当である。
したがって、この点に関する請求人の主張には理由がない。
さらに、請求人は、贈答用品等代金(E生命保険は当該代金を営業社員報酬から差し引いている。)に含まれる消費税額及び不動産貸付けにおける課税仕入れに係る消費税額については、報酬明細及び収支報告書により証明できるから、課税期間に係る課税標準額に対する消費税額から控除すべきである旨主張する。
ところで、事業者が、消費税法第30条第7項に規定する帳簿及び請求書等を整理し、これらを所定の期間及び場所において、同法第62条に基づく税務職員による検査に当たって適時にこれらを提示することが可能なように態勢を整えて保存しなかった場合は、同法第30条第7項にいう「事業者が当該課税期間の課税仕入れ等の税額の控除に係る帳簿及び請求書等を保存しない場合」に当たり、同項ただし書にいう事業者が災害その他やむを得ない事情により当該保存をすることができなかったことを証明しない限り、当該保存がない課税仕入れ等の税額については、同条第1項の規定の適用はされないものと解されている。
これを本件についてみると、[1]請求人は当審判所に対し、記帳代行会社の専属税理士から帳簿を返してもらったかどうか記憶がなく、また、不動産貸付けに係る帳簿はない旨答述していること及び審査請求書の「審査請求の理由」欄に調査担当職員が課税仕入れ等の税額に係る帳簿及び請求書等の提示を求めた際に記帳代行会社の専属税理士が書類を紛失して返却されていないため提示が不能であった旨記載があることから、調査担当職員から帳簿及び請求書等の提示を求められた際には、請求人は帳簿の提示が可能なような態勢を整えていなかったことがうかがわれ、[2]請求人は報酬明細及び収支報告書を提示しているとしても、これは帳簿とは認められないことから、課税期間の課税仕入れ等の税額に係る帳簿を保存していなかったものと認められる。
そうすると、本件の場合、課税仕入れに係る消費税額について消費税法第30条第1項の規定の適用はない。
したがって、仮に報酬明細及び収支報告書により課税仕入れに係る消費税額が計算できたとしても、当該消費税額を課税期間に係る課税標準額に対する消費税額から控除することはできないから、この点に関する請求人の主張には理由がない。
アメリカ合衆国の運送業者との契約に基づく引越貨物に係るキャリアー取引は、請求人が米軍又は米軍の公認調達機関に対して米軍の用に供するための役務の提供をなすものとは認められないため、消費税が免除されないとされた事例
裁決事例集 第55集 695頁
要旨
- 請求人は、アメリカ合衆国の運送業者とのキャリアー取引について、キャリアーが米軍に対して行っている取引の一環をなしている取引で、明らかに米軍の用に供する取引であることなどを理由に、所得税等臨特法第7条第1項が適用され、消費税が免除される旨主張するが、同項は、[1]事業者が、[2]米軍及び米軍の公認調達機関に対し、[3]米軍の用に供するため購入する課税資産の譲渡等を行った場合には、消費税を免除する旨規定しているところ、キャリアー取引は、請求人がキャリアーに対して役務の提供を行うものであり、請求人が米軍又は米軍の公認調達機関に対して米軍の用に供するための役務の提供をなすものとは認められず、上記[1]ないし[3]の要件を満たすものとはいえないから、同項の規定は適用されない。
- また、請求人は、アメリカ合衆国の運送業者とのキャリアー取引について、所得税等臨特法第7条第1項の規定は適用されないとしても、キャリアー取引のうち日本国から日本国外への引越しについては、キャリアーとの契約上、日本国外にある目的地の港に到着するまで責任があることから、引越荷物の受渡場所は当該目的港であると考えられるので、消費税法第7条第1項第3号に掲げられている国内及び国内以外の地域にわたって行われる旅客若しくは貨物の輸送又は通信(以下「国際輸送等」という。)に該当するから消費税は免除されるべきである旨主張するが、キャリアー取引は、請求人が事業者として、キャリアーに対して軍人等の国際引越しに係るこん包、運送、保管、通関手続及び船積等の一環作業を行うという役務の提供を対価を得て行う取引であり、当該一環作業は、すべて日本国内において行われているものであるから、国際輸送等に該当するとは認められないこと等から、キャリアー取引のうちの日本国内から日本国外への引越しについて同号の規定は適用されない。
事業を行うために必要な準備行為を行った日の属する課税期間は「課税資産の譲渡等に係る事業を開始した日の属する課税期間」に当たるとした事例(平成26年1月1日から平成26年12月31日までの課税期間の消費税及び地方消費税の更正処分並びに過少申告加算税の賦課決定処分・棄却)
裁決事例集 第107集
ポイント
本事例は、新たに事業を開始した場合にはその事業を開始した日の属する課税期間の末日までに課税事業者選択届出書を提出すればその課税期間から課税事業者となるところ、請求人は、当該届出書を提出した課税期間の前年に新たに事業を行うための必要な準備行為を行っていることから、当該届出書は事業を開始した日の属する課税期間に提出されたものではあるとはいえず、本件課税期間は免税事業者となるとしたものである。
要旨
請求人は、消費税法施行令第20条《事業を開始した日の属する課税期間等の範囲》第1号に規定する「事業者が国内において課税資産の譲渡等に係る事業を開始した日の属する課税期間」の判断に当たっては、「事業を開始した日」について法令等に明確な規定がない以上、納税者の意思を尊重し、かつ、経済活動の実態に即した一般的な社会通念に沿って判断すべきであり、本件では、請求人が事業(本件事業)を開始したと認識し、個人事業開業届出書に本件事業を開始した日として記載した日の属する課税期間(本件課税期間)が同号に規定する「事業を開始した日の属する課税期間」に該当する旨主張する。
しかし、新たに事業を行うに当たり必要な準備行為を行った日の属する課税期間は、同号に規定する「事業を開始した日の属する課税期間」に当たると解するのが相当であり、本件において、請求人は、本件課税期間の前の課税期間中に請負契約を締結してその契約金を支払うなどしており、これらの行為は本件事業を行うために必要な準備行為と認められるから、本件課税期間は、同号に規定する「事業を開始した日の属する課税期間」には該当せず、請求人が本件課税期間中に提出した課税事業者選択届出書の効力は、本件課税期間の翌課税期間から生ずるため、本件課税期間について、請求人は消費税の免税事業者となる。
参照条文等
参考判決・裁決
平成24年6月21日裁決(裁決事例集No.87) 東京高裁平成16年8月31日判決(税資254号順号9731頁)
要旨
請求人は、免税事業者と課税事業者の区分は、基準を課税売上高によるものとしたため、原則として、その課税期間から2年間さかのぼって基準期間を設定したものであり、消費税法の基本構成は、基準期間の存在を前提とした課税期間であるから、基準期間のない法人に対して消費税法等の納税義務を生じさせることはあり得ない旨主張するが、その課税期間に係る基準期間がない法人であっても、課税資産の譲渡等を行っている限り、消費税法第5条第1項の規定により本来消費税等の納税義務が生じるのであり、同法第9条第1項本文の規定により例外的にその納税義務が免除されることになるとしても、同法第12条の2の規定により、基準期間のない法人のうち、当該事業年度開始の日における資本又は出資の金額が千万円以上である法人(新設法人)については、消費税の納税義務が免除されないことになる。
要旨
原処分庁は、請求人(コンビニエンスストア経営)が酒類小売販売の営業権を譲り受けた日は、営業権譲渡契約書に「営業譲渡期日は、酒類販売免許変更通知の日とする。」旨記載されていることから、請求人が税務署長から通知を受けた平成9年12月17日となり、営業権の譲り受けに係る消費税は、同日の属する課税期間の課税仕入れとなる旨主張する。
しかしながら、[1]営業権の譲渡者は、請求人が経営する店舗内で平成9年12月31日まで酒類を販売していたこと、[2]請求人が営業権を資産に計上した日及び営業権の譲渡者が営業権の譲渡対価を雑収入に計上した日は、いずれも平成10年1月1日以後であること、[3]店舗内の酒類の在庫の引継ぎは平成10年1月1日に行われていることが認められるから、営業権の譲渡者が店舗内で酒類の販売をしていた平成9年12月31日以前に営業権の引渡しがあったとすることは相当でなく、請求人による酒類の販売が可能となった酒類販売業免許の日である平成10年1月1日を本件営業権の引渡しの日とするのが相当である。
要旨
請求人は、[1]本件合宿研修は、請求人の本来の目的を達成するために組織的活動の一環として行われているものであるから、本件合宿研修に参加した会員から宿泊代、食事代及び交通費等を賄うために徴収した本件宿泊費には、明白な対価性はなく、消費税の課税対象とはならないこと、[2]本件宿泊費は、合宿研修の計画の初期の段階において参加費を決定しなければならないなどの状況から、ある程度の余裕を持って参加費用を決定することは通常行われていることであり、合宿研修の結果、多少の利益が出たとしても、これをもって対価性があるとは即断できないこと、[3]本件合宿研修は、本来であれば、請求人の本部会館で無料で行うものであるが、会場の関係でやむを得ずホテルの集会場を賃借して行っているものであり、その実費相当額を参加会員に負担してもらっているに過ぎず、収入を得る目的で行うセミナーや研修会とはその性質を異にするものであって、課税資産の譲渡等の対価には該当せず、消費税の課税対象とはならないことから、原処分は違法であり、その一部を取り消すべきである旨主張する。
しかしながら、本件合宿研修は、[1]請求人は法人であるから、その行った役務の提供は、事業として行われたものに該当すること、[2]請求人は、本件合宿研修を企画立案し、その実施を決定した後に、機関紙においてその実施を周知し参加者を募集していると認められること、及び旅行代理店に本件合宿研修に係る往復の交通手段や宿泊先の手配などを請け負わせるとともに、本件宿泊費の額を決定していると認められことから、本件合宿研修を会員に対して提供したのは請求人自身と認められ、このことは請求人の会員に対する役務の提供に該当すること、[3]本件合宿研修は、会員全員を対象に無料で実施するものではなく、参加資格を有する会員といえども本件宿泊費を支払わなければ参加できないことが認められ、また、請求人は参加者以外の会員からは、本件宿泊費を受領していないことが認められるから、本件合宿研修と本件宿泊費との間には明白な対価関係があるから、請求人が、事業として対価を得て行った役務の提供に該当し、消費税の課税対象になると解するのが相当である。
宗教法人の消費税の計算上、収益事業部門と非収益事業部門を区分して経理している場合の非収益事業部門の収入であっても、初穂料等の資産の譲渡等の対価以外の収入は、消費税法第60条第4項の適用上、特定収入に該当するとした事例
裁決事例集 第86集
要旨
請求人は、収益事業部門(結婚式場等)と非収益事業部門(神社)における収支を厳密に区分経理しており、非収益事業部門における初穂料等の収入(本件収入)が収益事業部門における課税仕入れに使われることはないなどとして、本件収入が消費税法第60条《国、地方公共団体等に対する特例》第4項に規定する特定収入に該当しない旨主張する。
しかしながら、消費税法施行令第75条《国、地方公共団体等の仕入れに係る消費税額の特例》第1項第6号イは、法令又は交付要綱等によって課税仕入れ等に係る支払対価以外の支出のみに使途が限定されている収入を特定収入から除く旨規定しているところ、本件収入は、法令の規定又は交付要綱等によって拘束されることなく請求人が自らその使途を選択できる収入であり、同号イに掲げる収入に該当しないことは明らかであるから、請求人が収益事業部門と非収益事業部門における収支を厳密に区分経理していたとしても、請求人が任意に本件収入の使途を定めているにすぎず、そのことをもって、本件収入が特定収入から除かれる収入に当たるということはできない。
そうすると、本件収入は、特定収入から除かれる収入について規定する消費税法施行令第75条第1項第1号から第5号まで及び第6号ロに掲げる収入のいずれにも当たらず、同号イに規定する法令又は交付要綱等によって課税仕入れ等に係る支払対価以外の支出のために使用することとされている収入にも当たらないから、消費税法第60条第4項に規定する特定収入に該当する。
参照条文等
市が国民健康保険の被保険者の健康の保持増進を目的とする施策により、施術料の一部を負担している鍼灸師が行う施術は、消費税法施行令第14条第19号に規定する「医療及び療養」に該当しないとした事例
裁決事例集 第75集 680頁
要旨
請求人は、A市の本件施設利用規則の定めに基づく負担金はいわゆる「公費負担」に該当し、また、鍼灸師が行う施術は医療であり、本件施術は消費税法施行令第14条第19号に規定する医療及び療養に該当する旨主張するが、本件施術に係る負担金は、A市の施策に基づきその要する費用の一部をA市が負担しているものであるが、①国民健康保険法の規定に基づく療養費の支給が行われるものではなく、また、②保険者であるA市が、本件条例及び本件施設利用規則に基づき療養費を支給している事実は認められず、さらに、③当該施策は、本件条例、本件施設利用規則などによれば、A市が被保険者の健康の保持増進を目的として行う国民健康保険法第82条の規定に基づく保健事業であると認められることから、本件施術は、国又は地方公共団体の施策に基づく「療養又は医療の給付に係る療養又は医療」及び「療養費又は医療費等の支給に係る医療又は療養」とは認められず、消費税法施行令第14条第19号に規定する「医療及び療養」には該当しないことから、原処分は相当である。
従業員に業績の不振の状況を示す目的で関係書類を処分し、帳簿書類等を調査担当者に対して提示できなかったことは、請求人自身の責めに帰するものであり、消費税法第30条第7項に規定する「やむを得ない事情」とは認めることはできないとした事例
裁決事例集 第68集 246頁
要旨
請求人は、帳簿書類等を保存していなかったのは、廃業状況に追い込まれており、従業員の要請に基づき事業を継続するためには人員の削減が不可欠であることから、「廃業状況にある」ことを示す目的で一部書類を処分したためであり、それほどまでに追い詰められていた経営状況であったという事実以上に、消費税法第30条第7項に規定する「やむを得ない事情」はあり得えない旨主張する。
しかしながら、請求人が業績の不振から会社を閉鎖するために、従業員にその状況を示す目的で関係書類を処分し、本件調査に際し、本件各課税期間に係る帳簿書類等を調査担当者に対して提示できなかったことは、請求人自身の責めに帰するものといわざるを得ず、消費税法第30条第7項に規定する「やむを得ない事情」とは認めることができない。
海砂を採取する権利の取得に際し、利害関係のある漁業協同組合の同意を得るために支払った漁場迷惑料は、仕入税額控除の対象となる課税仕入れの対価とはならないとした事例
裁決事例集 第48集 391頁
要旨
請求人は、A漁業協同組合に漁場迷惑料を支払ったことについて、海砂を採取する権利である資産の取得であるから、消費税法第2条第1項第12号に規定する課税仕入れに該当し、同迷惑料は課税仕入れに係る支払対価の額に該当すると主張する。
しかし、請求人が、海砂採取の許可の申請に当たり、県の指導方針により、A漁業協同組合の同意を得るため漁場迷惑料を支払った事実はあるが、海砂は国有財産であり、A漁業協同組合は海砂の所有権又は海砂を採取し若しくはこれを認める独立の法律上・慣習上の権利等を有していないと認められ、また、A漁業協同組合の有する漁業権には海砂採取及びそれに関する作業を行う権利は含まれていない。したがって、請求人が、利害関係者の同意を得るため何らかの金員を支払うことが実際上必要であるとしても、A漁業協同組合の地位は上記のとおりであるから、当該金員について、資産の譲受けの対価又は借受けの対価に該当するということはできず、仕入税額控除を適用することはできない。
簡易課税制度選択届出書の提出は錯誤によるものであるとして、本則課税を適用し、仕入税額控除をすべきとしてされた更正の請求につき、同届出書の提出は無効でなく、請求は認められないとした事例
裁決事例集 第48集 405頁
要旨
請求人は、消費税法に基づき簡易課税制度選択届出書を提出した上で、当期につき簡易課税に基づいて算出した消費税の確定申告書を提出した。
その後、請求人は、簡易課税制度選択届出書の提出は錯誤によるものであり、本則課税により仕入税額控除を適用すべきとして更正の請求をした。
請求人は、簡易課税制度選択届出書の提出は錯誤に基づくもので無効であると主張するが、同届出書の提出による簡易課税の選択が錯誤により無効となるのは、請求人の錯誤が客観的に明白かつ重大なものである場合に限られると解すべきである。請求人が提出した簡易課税制度選択届出書は、法令の規定に従い記載し提出されており、その記載には明らかな誤りは認められず、仮に請求人に錯誤があったとしても、同届出書上錯誤が表れているとはいえないから、客観的に明白かつ重大な錯誤が存在したと認定することはできない。
したがって、簡易課税制度選択届出書の提出による簡易課税の選択が無効であるという請求人の主張は採用することができず、更正の請求に理由がないとした原処分は相当である。
絵画美術品の仕入先元帳等に記載された取引の相手方の氏名又は名称について、その氏名又は名称が虚偽のものと推定されるとして、消費税の仕入税額控除を適用することはできないとした事例
裁決事例集 第48集 424頁
要旨
- 請求人は、次のとおり主張する。
- 請求人の保存する帳簿及び請求書等には、消費税法第30条第8項又は第9項に定める事項のすべてが記載されている。原処分庁は、仕入先の実在の確認とその特定が当該帳簿及び請求書等によって可能でない限り、課税仕入れに係る消費税額の控除は認められないとして原処分を行ったもので、これは、法令の規定によらない違法な処分である。
- 請求人には、取引の相手方の氏名等が真正なものであるか否かを相手方に問いただす法律上の権限は付与されておらず、請求人の取引先は遠隔地に所在するものも多いことから、請求人は、仕入先の実在の確認も特定も行い得る環境にはないというべきである。
- 請求人は、仕入れにおける後日のトラブルに備えて、当該絵画等の真実の所有者と推認される者の氏名等及び当該絵画等を持ち込んだ者と受領した領収証等の氏名等が相違する場合当該持ち込んだ者の氏名等を記載した手帳(「本件手帳」)を保有しているにすぎない。
- 原処分庁は、次のとおり主張する。
- 消費税法は帳簿方式を採っているから、帳簿によりその取引につきデータを保存し申告や調査の際に資することを求めているのは当然のことであり、その記載内容が真実であって、かつ、「課税仕入れの相手方の氏名又は名称」についても、住所等を記載するなどの方法により、相手方を具体的に特定できる状態におくことが不可欠である。
- 本件取引については、取引の相手方の実在すら確認ができず、課税仕入れの相手方の真正な氏名又は名称が記載されているとは認められないから、消費税法第30条第8項及び第9項の記載要件を具備していず、仕入税額控除をすることはできない。
- 審判所の判断は、次のとおりである。
- 仕入税額控除に関する消費税法第30条第1項の規定が適用されるためには、保存されている帳簿又は請求書等に、真実の課税仕入れの相手方の氏名又は名称が記載されていることを要し、ただ単に課税仕入れの相手方ないし書類作成者の氏名又は名称として何らかの氏名又は名称と覚しきものが形式的に記載されていれば足りるというものではないことは、明らかである。
もっとも、取引の相手側に立って交渉その他の取引に関連する行為を実際に行う者が、相手方本人なのか、その代理人にすぎないのかが判然としない場合もあり、かかる場合でやむを得ないときにおいては、取引の相手側に立って実際に行動する者の氏名又は名称の記載をもって、要件を満たすものと解し得ると認められる。 - 消費税第30条第1項の適用除外事由である法定の要件を具備した帳簿又は請求書等を保存していない事実については、事業者側が、まず、帳簿又は請求書等に課税仕入れの相手方の氏名又は名称として記載されているものが、真実の相手方のそれであることを、相当の根拠、資料に基づいて明らかにする必要があり、事業者がこれを果たさない場合には、当該課税仕入れにつき法定の要件を具備した帳簿又は請求書を保存していないことが、事実上推認されるというべきである。
- 取引の経緯等から、相手側に立って実際に行動する者から交付される請求書等に、真実の取引の相手の氏名又は名称が記載されているか否か、社会通念上要求されるところの注意の範囲内で相当程度疑われるにもかかわらず、あえて、これを確認しようとせず、漫然と当該請求書等を保存し、あるいは、当該請求書等に基づいて帳簿に記載するにとどまるときは、真実の相手方のそれであることを明らかにする必要を果たしたということはできない。
- 他方、原処分庁の主張が、相手方の氏名又は名称のみならず、その住所又は所在地も帳簿又は請求書等自体に記載されていない限り、消費税法第30条第8項、第9項の要件を充足しないというものであるとすれば、これは、明文の規定に反する解釈といわなければならない。真実の相手方の氏名又は名称の記載であることは、帳簿又は請求書以外の資料によっても明らかにし得るものであるからである。
- 本件取引については、請求人は、[1]直接請求人と接触して売買の手続を行う者(「本件持込人等」)が取引対象物件の真正の所有者である場合とない場合とが混在していることを認識しており、また、[2]本件持込人等が記載等した領収書等の書類により取引の相手方の氏名又は住所を本件仕入先元帳に記載していることを自認しているものと認められる。
- もっとも、上記Eの[2]のとおり記載していた場合でも、これが必ずしも真正でない可能性があることを考慮して、本件持込人等の氏名等を記載した書類を別途作成し、保存していた(税務職員の求めに応じて提示することを含む。)ときには、当該書類は、一種の補助帳簿として位置づけられ、帳簿に記載等をした氏名等が真正のものでないと認定された場合でも、当該書類の保存によって、仕入税額控除の適用をすることができるというべきである。
- [1]本件取引において本件仕入先元帳及び本件請求書等に記載されている住所等については、請求人もこれが真偽不明と認識しており、[2]本件持込人等が自身の氏名等を明らかにされることを回避しようとしている以上、経験則上、本件持込人等が記載した氏名等が真正の所有者等の氏名又は名称であるとは考え難く、加えて、[3]請求人は本件手帳を作成し、保管していながら、原処分の調査担当職員、異議担当職員及び当審判所のいずれにも本件手帳を提出しないとしていることが認められるから、上記記載の氏名等は真正の取引の相手先の氏名等ではないと推定され、かつ、本件持込人等の真正の氏名等でもないと推定される。
- そうすると、請求人は、当該事業を営む上で社会通念上要求されるところの相当の注意の範囲で、相手方の氏名等が必ずしも真正なものでないことを認識していたにもかかわらず、本件持込人等が記載等した氏名等を仕入先元帳に記載し、調査担当職員の要求にもかかわらず本件持込人等の氏名等を記載した手帳を提示せず、かつ、相手方の氏名又は名称は虚偽と認定されるのであるから、当該氏名等は、消費税法第30条第8項第1号イ又は同条第9項第1号イの「氏名又は名称」ということはできない。
したがって、同条第7項の「課税仕入れ等の税額の控除に係る帳簿又は請求書等を保存しない場合」に該当し、同条第1項の規定による仕入税額控除を適用することはできない。 - 請求人は、仕入先の真正な氏名の記載がないことをもって、当該仕入れを否定することはできないと主張するが、上記判断は、本件仕入先元帳等が消費税法第30条第7項ないし第9項の帳簿又は請求書等に該当しないと判断したものであり、当該仕入れが同条第1項の課税仕入れに当たらないと判断したものではない。たとえ、同条第1項の課税仕入れに当たっても、同条第7項の要件を満たさなければ仕入税額控除はできない。
しかし、たとえ帳簿等に記載された相手方の氏名等が虚偽の場合であっても、当該事業者がこれを真正と信ずべき相当な理由があり、そのため当該帳簿等が消費税法第30条第7項の帳簿又は請求書等として保存されていると認められる場合には、同条第1項の仕入税額控除は適用される。
- 仕入税額控除に関する消費税法第30条第1項の規定が適用されるためには、保存されている帳簿又は請求書等に、真実の課税仕入れの相手方の氏名又は名称が記載されていることを要し、ただ単に課税仕入れの相手方ないし書類作成者の氏名又は名称として何らかの氏名又は名称と覚しきものが形式的に記載されていれば足りるというものではないことは、明らかである。
要旨
請求人は、賃貸アパートを取得すると同時に、飲料の自動販売機を設置し、販売した飲料に係る販売手数料を受領したことについて、当該手数料は、自動販売機による飲料の販売本数に対して支払われるから、飲料を販売するたびに生じるものであるところ、当該アパートを取得した課税期間にも飲料は販売されていることから、当該課税期間の課税売上割合は100%となり、当該アパートの取得に係る消費税等は仕入税額控除できる旨主張する。
しかしながら、当該手数料は、自動販売機の設置場所の提供、電気の供給及び人的役務の提供が一体となった課税資産の譲渡等の対価である。消費税法上、課税資産の譲渡等の時期についての規定はなく、その時期は、個人事業者の場合には所得税の所得金額を計算する際の収益の認識基準によりこれを把握することとなるが、所得税法第36条で規定する、その年分において収入すべき金額とは、その年において収入すべきことが確定し、相手方にその支払を請求し得ることとなった金額、すなわち、収入すべき権利の確定した金額であると解されるところ、自動販売機の設置に係る協定書に当該手数料の支払条件は、毎月20日締切りの翌月10日振込みとする旨定めていることからすると、毎月20日に収入すべき権利が確定するとみるのが相当であるから、課税資産の譲渡等の時期も毎月20日であり、当該課税期間には、当該締切日が到来しておらず、当該課税期間の課税売上げとはならない。
要旨
請求人は、請求人が境内に所有する会館を請求人の僧侶が出仕しないで檀家以外の者に対し利用させる行為により利用料を受領する際、領収証のただし書に「会館使用布施」と記載し、布施として利用料を受領しており、当該会館を利用させた対価として利用料を受領したものではないから、当該行為により金員を受領していたことは、いわゆる不課税取引に当たり、資産の譲渡等に該当しない旨主張する。
しかしながら、法人が行う全ての資産の貸付けは「事業として」行われるものであるから、当該行為は、「事業として」行われるものに該当し、また、一般的に「対価」とは、資産の譲渡及び貸付け並びに役務の提供に対する反対給付として支払を受けることをいうから、資産の貸付けが無償で行われる場合や支払行為に対価性がない場合には消費税が課されないことになるが、本件においては、請求人は、当該会館を檀家以外の者に利用させ、その対価として当該者からその利用料を受領したものであり、さらに、当該利用料が喜捨等の性格を有するということはできないから、上記の資産の貸付けが無償で行われる場合や支払行為に対価性がない場合には当たらないというべきであり、この判断は、請求人が当該会館の利用者に交付した領収証に「会館使用布施」と記載していたとしても左右されるものではない。そうすると、請求人が当該行為により金員を受領する行為は、「事業として対価を得て行われる資産の貸付け」に該当し、資産の譲渡等に該当すると認めるのが相当である。
参照条文等
参考判決・裁決
請求人が所有する物件の賃貸借に係る契約において、賃借人が当該物件を住宅として転貸することが契約書その他において明らかであるとした事例(平成26年1月1日から平成26年12月31日までの課税期間の消費税及び地方消費税の更正処分並びに過少申告加算税の賦課決定処分・棄却)
裁決事例集 第104集
ポイント
本事例は、消費税法上、非課税とされる住宅の貸付け(消費税法別表第一第13号)には、住宅が転貸借及び再転貸借される場合も含まれると判断したものである。
要旨
請求人は、消費税法基本通達6-13-7《転貸する場合の取扱い》(本件通達)が想定するのは転貸借取引のみであるところ、請求人が不動産販売会社(本件会社)から取得した物件(本物件)を本件会社に賃貸する取引(本件賃貸借取引)は、その契約(本件賃貸借契約)の内容からすれば、本物件が再転貸借されること及び本物件に実際に居住することができない法人が再転貸人になることが想定されているから、本件通達適用の前提を欠いており、また、仮に本件通達適用の余地があるとしても、本件賃貸借契約等において、本件会社が本物件を実際に人の居住の用に供することが明らかでないなどとして、本件賃貸借取引は、非課税取引である「住宅の貸付け」には該当しない旨主張する。
しかしながら、「住宅の貸付け」が非課税とされる趣旨は、住宅の貸付けを行う事業者が賃借人に対し、消費税相当額を転嫁しないことにより、住宅賃借人を政策的に保護することにあるものと解され、消費税法第6条《非課税》に規定する別表第一第13号に掲げる「住宅の貸付け」は、「当該貸付けに係る契約において人の居住の用に供することが明らかにされているものに限る」と規定されていることからすれば、本件通達の適用範囲を限定しようとする請求人の主張に合理性は認められず、また、本物件に係る本件会社との売買契約書及び賃貸借契約書の記載内容、本件賃貸借契約締結時の請求人に対する本件会社の社員の説明などからすれば、本件賃貸借契約における賃借人である本件会社が本物件を住宅(人の居住の用に供する家屋等)として転貸することが契約書その他において明らかであるから、本件賃貸借取引は「住宅の貸付け」に該当し、その全額が非課税取引となる。
参照条文等
消費税法第6条、別表第一第13号 消費税法基本通達6-13-7
請求人が採用した個別対応方式における課税資産の譲渡等に要するものとその他の資産の譲渡等に要するものとの区分方法は合理的基準の一つであるとして、異議決定で採用した一括比例配分方式による計算を排斥した事例
裁決事例集 第62集 462頁
要旨
原処分庁は、請求人が不動産の賃貸収入に係る課税仕入れの消費税額を個別対応方式により計算して申告したことについて、建物の建築費が「課税資産の譲渡等に要するもの」と「その他の資産の譲渡等に要するもの」に明確に区分されていないので、一括比例配分方式により課税仕入れの消費税額を計算すべきであると主張する。
しかしながら、請求人の建物の建築費の区分方法は、当該建築費の大部分を共通の資産の譲渡等に要するものであると認識した上で、これを建物の使用面積割合で課税資産の譲渡等に要するものと、その他の資産の譲渡等に要するものに区分するというものであって、合理的な基準の一つであると認められるところ、請求人の個別対応方式による課税仕入れの消費税の計算は正当である。
請求人が舗装路面等(構築物)を設置し月ぎめ駐車場としていた土地を賃貸し、賃借人がこれを改修して無人時間貸駐車場にしたとしても、駐車場その他の施設の利用に伴って土地が使用される場合に当たるとした事例
裁決事例集 第82集
ポイント
消費税法第6条《非課税》第1項及び同法別表第1第1号は、土地の譲渡及び貸付は非課税である旨規定しているが、同号かっこ書において「一時的に使用させる場合その他の政令で定める場合を除く」とし、これを受けた消費税法施行令第8条《土地の貸付けから除外される場合》は、「土地の貸付けに係る期間が1月に満たない場合及び駐車場その他の施設の利用に伴って土地が使用される場合とする」と規定しているため、この場合には非課税から除外されることとなる。
この事例は、請求人が月ぎめ駐車場としていた土地を賃貸し、賃借人がこれを改修して無人時間貸駐車場(コインパーキング)とした場合に、この「駐車場その他の施設の利用に伴って土地が使用される場合」に該当するか否かにつき判断したものである。
要旨
請求人は、たまたまアスファルトを敷設した土地をL社等に一時使用駐車場用地(土地)として貸し付けたものであり、L社等が、当該土地を無人時間貸駐車場(コインパーキング)として使用するに当たり、当該土地を改修して使用しており、貸し付ける直前の当該土地の形状をそのまま使用したものでないことなどを理由に、当該土地の貸付けは、消費税法上の非課税の土地の貸付けに該当する旨主張する。
しかしながら、消費税法施行令第8条《土地の貸付けから除外される場合》は、土地の貸付けが消費そのものではなく、単なる資本の振替ないし移転であると考えられることから、原則として非課税取引とするものの、「駐車場その他の施設の利用に伴って土地が使用される場合」は、土地そのものの貸付けではなく、駐車場その他の施設の利用に消費としての性格が認められることから、課税取引としたものであると解されるところ、請求人は、L社等との一時使用駐車場用地賃貸借契約(本件各契約)の締結前も駐車場として利用していたアスファルト舗装等の減価償却資産(構築物)が存する土地につき、L社等との間において、当該土地に無人時間貸駐車場の運営上必要な施設が追加された上で、無人時間貸駐車場として利用されることを認識しながら、当該土地上の駐車場として利用可能なアスファルト舗装等の減価償却資産(構築物)が存するまま貸与する旨合意し、実際に貸与したものであるから、本件各契約に基づく賃貸借は、いずれも単なる「土地の貸付け」ではなく、駐車場としての機能を備えた施設の利用に伴って土地が使用される場合に該当するものと認めるのが相当である。
参照条文等
消費税法第6条第1項、別表第1第1号 消費税法施行令第8条
請求人が行ういわゆるエアー・オンチケットと称する格安国際線航空券に係る取引は、取次ぎという役務の提供取引ではなく、国際線航空券の売買取引であると認められ、航空券は消費税第6条第1項に規定する別表第1第4号ハに掲げる物品切手等に該当することから当該取引は非課税取引であるとした事例
裁決事例集 第75集 659頁
要旨
請求人は、外国航空会社のチャーター便取引は、国際航空券を一便ごとに一括で仕入れ、包括旅行を企画する旅行業者に販売しているものであり、当該取引は国際航空券の売買である旨主張する。しかしながら、請求人は、外国航空会社とのチャーター便販売契約の○○地域における代理店として、①包括旅行を企画する旅行会社に対してチャーター便販売の営業活動を行い、②外国航空会社(運航者)と日本における総代理店G社(用機者)との「航空機貸切契約書」には立会人として署名し、③チャーター便の出発までの各種手配等を行い、「チャーター便販売契約附則」に基づき一定の料率で販売手数料の金額が計算されていることからすると、請求人は、外国航空会社の日本総代理店G社からチャーター便の販売を委託され、当該販売業務の対価として手数料を得ていたものと認められる。そうすると、請求人は、外国航空会社の日本総代理店G社に対し、国内において役務の提供を行い、その対価として手数料を得ていたとみることが相当であり、請求人の行ったチャーター便取引は、課税取引に該当すると認められる。
また、原処分庁は、請求人が行う航空券だけ(エアー・オンリー)で取引される本件国際航空券に係る取引は、国際航空券の取次ぎという役務提供であり、売上価格と仕入価格の差額に相当する額が、当該役務提供の対価であると主張する。しかしながら、請求人は、国際航空券の予約申込みを行う本件旅行業者に本件国際航空券を引き渡し、これに対して、本件各旅行業者が請求人の提示した価格表に基づいた金員を支払っている事実が認められる。また、請求人と本件各旅行業者の間では、本件国際航空券販売に関する取次ぎという役務の提供に対する対価を支払う旨の契約等は認められず、本件国際航空券の航空運賃及び航空運送にかかわる諸費用に相当する金額の合計額を取引金額としており、それ以外に本件国際航空券に係る手数料、報酬それらこれに類するものを支払う合意があったと認めるに足る事実は認められない。そうすると、本件国際航空券取引は、本件各旅行業者が請求人に対して、請求人の提示した価格表に基づいた金員を代金として本件国際航空券を購入することを申し込み、請求人がこれを承諾したことにより、請求人と本件各旅行業者との間で本件国際航空券の売買契約が成立したとみるのが相当であり、当該取引は、消費税法上、航空券という物品切手等の譲渡に該当し、非課税取引と認められる。
要旨
請求人は、J社から帳票類を仕入れ、一切手を加えず、得意先に販売しているのみであり、また、得意先は特定の事業者であって一般の消費者ではないから、請求人の業務は、消費税法施行令第57条第2項に規定する卸売業に該当すると主張し、仕入先であるJ社と情報サ-ビス提供の契約をしているのは請求人ではなく、請求人の代表者である税理士であり、また、得意先との関係においても、請求人の業務と代表者たる税理士の業務は明確に区分されていると主張する。
しかし、請求人が行っているのは、得意先が起票した伝票等の資料をJ社の情報処理システムにより整理分析して帳簿等を作成する会計処理業務であり、請求人の主張する帳票類の販売とは、会計処理業務の成果品として作成される帳簿等を引き渡すことである。
したがって、請求人の業務は、消費税の簡易課税制度の適用上、卸売業には該当しない。
軽油引取税の特別徴収義務者に該当しない一般販売店は、同税相当額を価格に上乗せして顧客から対価を受領しているとしても、当該相当額は課税資産の譲渡等の対価の額に含まれるとした事例
裁決事例集 第49集 460頁
要旨
課税資産の譲渡等に関連して取得する金銭のうちに軽油引取税が含まれている場合において、同税の特別徴収義務者(特約店)に該当しない一般販売店は、同税を徴収する者ではなく、納税する者であり、また、一般販売店が、軽油引取税相当額を価格に上乗せして顧客から対価を受領しているとしても、当該相当額は同税自体ではなく、売却価格の一部にすぎず、その対価の受領は同税の徴収ではないことから、課税資産の譲渡等の対価の額に含まれる。
また、特約店との間で軽油に関する委託販売契約を締結している場合、委託販売手数料が役務の対価として課税資産の譲渡等の対価の額となるところ、当該契約にそった取引の処理をしていないことから、委託販売とは認められない。
要旨
要旨
請求人は、信販会社に支払った本件手数料は、業務の対価として支払われるものであり、また、商品の販売に伴い生じた債権は本来信販会社のものであって、請求人との間においては債権の譲渡は行われていないので、非課税取引には該当せず、仕入税額控除の対象とすべきである旨主張する。
しかしながら、請求人と信販会社との間の本件手数料の支払いに関する契約によれば、請求人が商品を販売したことによる売買債権を当該信販会社に譲渡し、又は信販会社に引き継いだ後の商品の販売代金は当該会員に対して請求することはできないこととされていることからすると、当該信販各社は、請求人が有する商品販売債権を引き継いで、請求人に代わって当該債権を集金することの対価として本件手数料が授受されるものであると認められることから、本件手数料は非課税取引に当たることになる。
住宅として賃貸中の建物を譲渡目的で取得した場合には、仕入税額控除における個別対応方式では「課税資産の譲渡等とその他の資産の譲渡等に共通して要するもの」に区分されると判断した事例
裁決事例集 第70集 369頁
要旨
請求人は、本件各信託不動産(土地及び建物)に係る賃貸収入(住宅の貸付けに伴う賃貸収入)は、当該各不動産の取得に伴い付随的に生じたものにすぎず、当該各不動産の取得が当該各不動産の譲渡を目的とするものであることを妨げるものではないから、当該取得に係る課税仕入れは、消費税法第30条第2項第1号(個別対応方式)の適用に当たり、「課税資産の譲渡等にのみ要するもの」に区分されるべき旨主張する。
しかしながら、請求人は、本件各信託不動産を、譲渡する目的だけでなく、その賃貸収入を得る目的を併せ持って取得したものであり、また、本件課税期間において、本件各信託不動産を取得した日から課税資産の譲渡等に該当しない当該各不動産に係る賃貸収入(住宅の貸付け)が生じている以上、本件各信託不動産に係る課税仕入れにつき、個別対応方式において、「課税資産の譲渡等にのみ要するもの」に区分することはできず、「課税資産の譲渡等とその他の資産の譲渡等に共通して要するもの」に区分するのが相当であるから、請求人の主張には理由がない。
ポイント
この事例は、産科、婦人科等の診療の用に供されていた建物及び敷地を請求人が医療法人に譲渡したことにつき、当該建物の譲渡が消費税法第6条第1項及び同法別表第一第8号に規定する非課税取引に当たるか否かが争われたものである。
要旨
請求人は、消費税法別表第一第8号の規定上、助産に係る資産の譲渡等は分娩と直接関連するものに限られるとはいえず、助産に関連する全ての資産の譲渡等をいうのであり、請求人が所有し、産科、婦人科等の診療の用に供されていた本件建物は助産施設であるから、その譲渡は、同号に規定する助産に係る資産の譲渡等に該当する旨主張する。
しかしながら、消費税法別表第一第8号に規定する「助産に係る資産の譲渡等」とは、医師等の資格を有する者の医学的判断及び技術をもって行われる分娩の介助等ないしそれに付随する妊産婦等に対する必要な処置及び世話等をいうものと解されるのであり、助産の用に供されている施設建物の譲渡が「助産に係る資産の譲渡等」に該当すると解することはできない。
参照条文等
消費税法第6条第1項、別表第一第8号
要旨
請求人は、在日米軍基地内にある取引先との取引が、日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第6条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定の実施に伴う所得税法等の臨時特例に関する法律第7条に規定する免税取引に該当する旨主張する。
しかしながら、本件取引先の法的地位は合衆国政府の歳出外資金による機関であり、本件取引先との取引による請求人の課税資産の譲渡等は、上記に規定する合衆国軍隊又は合衆国軍隊の公認調達機関が合衆国軍隊の用に供するために購入するものには該当しないから、同条に規定する消費税の特例は適用できない。
要旨
請求人は、請求人が行った絵画の譲渡は、その売却資金をすべて宗教活動の資金としている等、宗教法人である請求人の宗教活動の一環として行われたものであること、また、単発的な取引であり、消費税法第2条第1項第8号に規定する「事業として」行われたものに該当しないことから、消費税等の課税対象とはならない旨主張する。
しかしながら、宗教法人が宗教活動の一環として行った資産の譲渡等について消費税等を課税しないとする法令上の規定はなく、また、法人はそれ自体が事業を行う目的で設立されることからすれば、法人が行う資産の譲渡等は、そのすべてが事業として行われたものに該当することになると解されるから、法人である請求人が行う絵画の譲渡は、事業として行われたものに該当することになる。したがって、請求人の主張には理由がない。
家庭配置薬の販売業者が製造業者から受け取る手数料は、新規顧客獲得戸数に応じて支払われる出来高払としての報酬の性質を有することから、新規顧客獲得という役務提供の対価であると認めるのが相当であり、仕入れに係る対価の返還等としての販売奨励金等には該当しないとした事例
裁決事例集 第69集 394頁
要旨
請求人は、本件受入手数料は、新規に獲得した顧客宅には薬を配置する必要があり、A社から大量に仕入れが必要となることから、販売促進の目的で販売数量及び販売高等に応じて受け取る販売奨励金等に該当し、また、新規顧客の獲得は請求人自身の顧客獲得であり、A社に対する役務の提供ではなく課税資産の譲渡等の対価には当たらない旨主張する。
しかしながら、請求人が新付けにより獲得した得意先はすべて請求人の得意先となる一方、A社の売上金額の増加にも資することが認められ、また売上増加を期待するA社が支払う本件受入手数料は、新規顧客獲得数に応じて支払う出来高払いとしての報酬の性質を有するもので、新規顧客獲得という役務の提供の対価であると認めるのが相当である。また、請求人が受け取る一戸当たりの本件受取手数料は、請求人が新規顧客宅に配置する薬品の仕入原価の3倍を超えていること、本件受取手数料は課税資産である薬品の仕入れに係る取引の対価の額とは必ずしも対応しない新規顧客獲得戸数を計算基準として算出されて支払われていることからすると、本件受取手数料とA社からの薬品仕入れの対価との間に対応関係は認められない。
そうすると、本件受入手数料は、販売奨励金等には該当せず、むしろ役務の提供の対価として課税資産の譲渡等の対価の額に当たるというべきである。
店頭における商品の仕入れに際し、仕入先が言うままの名称を帳簿等に記載している仕入取引については、その名称が真実のものでないと推認されるとして、消費税の仕入税額控除は適用できないとした事例
裁決事例集 第49集 490頁
要旨
- 請求人は、本件帳簿等は消費税法第30条第8項及び第9項に規定する帳簿及び請求書等の要件を満たし、保存すべき書類としては十分なものであり、本件調査においても本件帳簿等を提示していることから、仕入税額控除を認めるべきである旨主張する。
- 審判所の判断は、次のとおりである。
- 消費税法第30条第1項の適用を受けるためには、課税仕入れの真実の仕入先が記載されていることを要し、ただ単に仕入先の氏名として何らかの氏名が記載されていれば足りるというものではない。
- 仕入先が請求人の店頭に商品を持ち込み、発行者の氏名及び住所等が記載されている請求書及び領収書を持参しないという、通常一般に行われていない形の取引においては、仕入先の言うがままの氏名等が真実かどうか、社会通念上要求されるところの注意の範囲内では相当程度疑われるというべきである。
- しかるに、請求人は、取引の経路等を確認せず、仕入先の言うままの名称を本件請求書に記載していたことは明らかであり、本件帳簿等に記載されている氏名は真実のものではないと推認されるから、本件帳簿等は、氏名等の記載を欠くものと認められ、消費税法に定める帳簿、請求書に該当せず、仕入税額控除の要件とされる帳簿等の保存がなかったことになるので、仕入税額控除をすることはできない。
要旨
請求人は、その事業は、染色加工業であって日本標準産業分類によれば、製造業の中分類(繊維工業)の小分類染色整理業に該当し、請求人自らの名と責任においてすべての加工を外注先に依存する製造業であり、第三種事業に当たる旨主張するが、請求人の事業は、白生地を受注先の小売店から提供されて、それに染色等の加工をしているのであるから、「加工賃その他これに類する料金を対価とする役務の提供事業」に該当し、第四種事業に当たる。
消費税法第9条第1項の規定の適用により免税事業者となる者については、納税義務が発生しないことから、基準期間における課税売上高の計算上課されるべき消費税額等に相当する額は存在しないとした事例
裁決事例集 第61集 623頁
要旨
請求人は、免税事業者の行う取引であっても、非課税取引以外は全て課税の対象であるから、課税資産の譲渡等の対価の額には、課されるべき消費税額等に相当する額が含まれており基準期間の課税売上高は3,000万円以下となることから、本件課税期間は免税事業者である旨主張する。
しかしながら、消費税法第9条第1項は同法第5条第1項に規定された課税要件としての納税者の範囲を限定するものであり、発生した消費税の納税義務を免除することを規定したものではないから、同法第9条第1項の規定の適用により免税事業者となる者については、たとえ課税資産の譲渡等を行ったとしても納税義務が成立せず課されるべき消費税額等に相当する額は存在しないから、本件課税期間は免税事業者とはならない。
税務調査において消費税法第30条第7項に規定する課税仕入れ等の税額の控除に係る帳簿及び請求書等の提示がされなかったとして仕入税額控除の適用が認められないとした事例
裁決事例集 第74集 450頁
要旨
請求人は、帳簿を保存していたのに、調査担当者が第三者の立会い排除要求に請求人が応じないことを理由に帳簿を確認せず仕入税額控除を否認したのは違法である旨主張する。
しかしながら、消費税法第58条は事業者に課税仕入れ等に関する帳簿等の保存を義務付け、同法第62条は税務職員にこれらの帳簿等を検査することを認めている。このように課税仕入れ等に係る帳簿等が税務職員による検査の対象となることを前提に、同法第30条第7項は、事業者が課税仕入れ額に係る帳簿等の保存をしている場合において、税務職員がこれらの帳簿等を検査することができるときに限り、同条第1項の仕入税額控除を適用できる旨明らかにしたものである。
この趣旨からすれば、事業者が仕入税額控除の適用を受けるには、法が定める帳簿等を整理し、これらを所定の期間及び場所において、税務職員による検査に当たり適時に提示することが可能なように態勢を整えて保存することを要し、事業者がこれを行っていなかった場合には、仕入税額控除は適用されないというべきである。
これを本件についてみると、調査担当者は再三にわたって、帳簿等の提示がない場合には仕入税額控除の適用が認められない旨の説明をした上で、第三者を退席させた上で帳簿等を提示することを求めていたところ、これらの提示要求に違法な点は認められない。そして、請求人が専ら立会いなしでは調査に応じられないという理由で帳簿等の提示を拒んでいたことに照らすと、請求人は、帳簿等の提示要求に応じ難いとする格別な理由がなかったにもかかわらず提示しなかったというべきである。
これらから判断すると、本件は同法第30条第7項に規定する「事業者が当該課税期間の課税仕入れ等の税額の控除に係る帳簿又は請求書等を保存しない場合」に当たり、原処分庁が同条第1項の規定を適用せず仕入税額控除を否認した更正処分は適法である。
請求人が行った商品券の販売は物品切手の譲渡に該当し、非課税取引に該当するとした事例(消費税及び地方消費税の各更正処分並びに過少申告加算税の各賦課決定処分・一部取消し)
裁決事例集 第108集
ポイント
本事例は、請求人は、発行を受けた商品券の同一性を保持しつつ、顧客へ販売しているから、当該商品券の販売は、消費税法別表第一第4号ハに規定する物品切手の譲渡に該当し、当該取引は非課税取引であるとしたものである。
要旨
請求人は、①請求人の店舗のみで使用できる商品券(本件商品券)が、資金決済に関する法律(資金決済法)上の自家型前払式支払手段に該当し、②本件商品券は流通している商品券等には該当しないことなどから、本件商品券の発行者は請求人であり、請求人の本件商品券の顧客への販売は、消費税法別表第一第4号ハに規定する物品切手の譲渡に該当しない旨主張する。
しかしながら、請求人と本件商品券の発行会社との間で締結した本件商品券の発行及び販売に関する契約(本件契約)は、当該発行会社が本件商品券を作成・発行の上で請求人に券面金額で販売し、これを請求人が顧客に再販売するものとされていること、請求人が購入代金を支払うまで本件商品券の所有権は当該発行会社に留保されること、本件商品券の裏面に発行元は当該発行会社である旨表示されていることからすれば、当該発行会社が本件商品券を発行し、それを請求人に販売するものとして締結されたと認められる。そして、本件商品券は、資金決済法に規定する前払式支払手段に該当し、その発行者に義務付けられた手続を実際に行っていたのは当該発行会社であったことなどからすると、当該発行会社が資金決済法上の発行者として本件商品券の発行の業務を行っていたといえる。これらの事情から判断すると、本件商品券の発行者は当該発行会社であると認められ、請求人は当該発行会社から発行を受けた本件商品券につきその同一性を保持しつつ顧客へ移転させることにより、資産の譲渡を行ったものであるから、請求人が行った本件商品券の顧客への販売は、物品切手の譲渡に該当する。
ただし、請求人の課税売上割合及び控除対象仕入税額を再計算すると、原処分の一部を取り消すべきである。
参照条文等
消費税法第6条第1項、同法別表第一第4号ハ 消費税法基本通達6-4-5
販売代理店契約の解除に伴う在庫品の返品に係る消費税額を、課税仕入れ等の消費税額から控除すべき時期は、代理店契約の末日を含む課税期間であるとした事例
裁決事例集 第61集 682頁
要旨
請求人は、本件課税期間末日に終了した代理店契約に係る期末在庫品を仕入先へ引き渡したのは翌課税期間であるから、消費税等の計算に当たり、本件在庫品の課税仕入れに係る消費税額を翌課税期間の課税仕入れ等に係る消費税額から控除すべきである旨主張する。
しかしながら、本件在庫品の引き渡し時期を請求人と仕入先とで定めた規定はないことから、本件代理店契約に基づく仕入れ取引の内容、請求人の経理処理、倉庫会社に対する荷渡指図書等関係資料、関係者の認識等を総合的に審理した結果、本件課税期間末日の午後12時の時点において本件代理店契約、保険契約等が終了し、同時に本件在庫品の所有権も相手方に移転したと解するのが相当であり、本件課税期間において本件在庫品に係る消費税額を課税仕入れ等に係る消費税額から控除すべきである。
要旨
請求人は、消費税法取扱通達10-1-10には軽油引取税は利用者等が納税義務者となっているので課税資産の譲渡等の対価の額に含まれないと定めているだけで、特約業者と一般の販売業者が軽油を販売する場合では、軽油引取税を課税資産の譲渡等の対価の額に含むか否かの取扱いが異なる旨を当該通達に明記すべきである旨主張するが、地方税法第700条の3第1項によれば、軽油引取税の納税義務者は特約業者から軽油を引き取る者とされており、また、特約業者は特別徴収義務者として軽油引取税を納税義務者から徴収して都道府県に納付すると規定されていることからすると、特約業者にあっては、軽油引取税の特別徴収義務者として納税義務者から軽油引取税に相当する額を預かったにすぎないのであるから、課税資産の譲渡等の対価の額に含まれないが、一般の販売業者にあっては、納税義務者として特別徴収義務者である特約業者に支払った軽油引取税に相当する額を軽油本体の価格に上乗せしたところで顧客に販売するものであり、軽油引取税に相当する額は販売価格の一部にすぎず、課税資産の譲渡等の対価の額に含まれると解される。
なお、消費税法取扱通達に軽油引取税等個別消費税を限定列挙しているのは、これらの税がすべて特別徴収によって租税を徴収されることにかんがみれば、当該税目の定めは特別徴収義務者に対するものであるものと解するのが相当であり、当該通達に特約業者が販売した場合と一般の販売業者が販売した場合に区別して定める必要はないというべきである。
また、請求人は消費者が特約業者と一般の販売業者から軽油を購入した場合には、同一商品について税法が「一物二価」を強いることになり、社会的に不公平を生じさせる結果となる旨主張するが、法令を適用することが社会的不公平を生むかどうかなど、法令自体の適否を判断することは当審判所の権限に属さない。
さらに、請求人は、予備的に、特約業者と一般の販売業者間で軽油委託販売契約を締結し、また、帳票類の軽油の欄に委託販売であることを明らかにすれば、軽油引取税は課税資産の譲渡等の対価の額に含まれない旨主張するが、請求人の販売形態は委託販売によるものではなく、通常の買取りによるものであるから、請求人の主張は採用できない。
ビール、飲料水メーカーの特約店及び容器問屋に容器を納入する本件取引は、単なる役務の提供ではなく、自己の計算において容器等を売買しているものであるから、特約店等から受領する容器等保証金相当額は、消費税の課税資産の譲渡等の対価の額に該当するとされた事例
裁決事例集 第57集 529頁
要旨
請求人は、ビール及び飲料水メーカーの特約店等との間における容器等に係る取引において、特約店等から容器等保証金と容器等の納入手数料を併せて収受しており、容器保証金については、消費税法基本通達5-2-6で資産の譲渡等の対価の額に該当しないものと取り扱われているのであるから、容器等がどのような流通過程を経ようとも容器等の所有権がメーカーにある以上容器等保証金としての性格が変わるものではなく、流通過程により消費税の取扱いが異なることとなるのは不合理である旨主張する。
しかしながら、本件取引においては、回収先である酒類小売店等から納入先を指定されることもなく、又納入先である特約店等から回収先を指定されることもないこと及び請求人が酒類小売店等に支払う金額、又は特約店等が請求人に支払う金額は、各当事者間において自由に決定していることなどからすると、請求人は酒類小売店等や特約店等からも独立した事業者として酒類小売店等から容器等を買い取り、これを特約店等に売却しているものと認めるのが相当であり、請求人は自己の判断において任意の酒類小売店等から容器等を引き取って、これを自己の判断において任意の特約店等に納入しているのであるから、単なる役務の提供をしているのではなく、自己の計算において容器等の売買をしているのである。
よって、本件取引は、本件通達の適用対象外の取引であり、受領する総額が消費税の課税対象となる。
仕入税額控除に係る請求書等には、真実の仕入先の氏名等が記載されておらず、また、その仕入先が真実であると信じざるを得ない状況にはなかったとして仕入税額控除を否認した事例
裁決事例集 第63集 653頁
要旨
請求人は、[1]本件仕入取引はいずれもMから持ち込まれたもので、請求書等に記載された仕入先(以下「本件各仕入先」)が真実のものと判断して取引を開始し、本件各仕入先の納品書、請求書及び領収書を収受していること、[2]本件仕入取引は現金取引であり、請求書等の氏名等が真実であるか否かは重要な意味を持つものでなく、その実在を徹底的に追及することが商取引の実態にそぐわないことからすれば、本件各仕入先が真実の取引先であったことは明らかであるか、請求人としては、本件各仕入先を真実の仕入先と信じることに相当の理由があったから、仕入税額控除が認められるべきである旨主張する。
しかしながら、本件仕入取引については、請求人の社長がMに商品を発注し、Mから納品があった際、A氏に代金を支払うという流れであり、M以外の者が関わっていた事実はなく、本件各仕入先は存在しないか、存在しても請求人と取引があったとは認められないことからすると、本件仕入取引はMが虚偽の名義を使用して行ったものと認められ、したがって、帳簿等に真実の取引先の氏名等が記載されているとはいえない。
また、社長をはじめ請求人の社員等は、本件各仕入先の所在や業態等をMに確認することなく、当該取引を継続して行っていたものであるから、請求人が、本件各仕入先を真実の取引先であると取り扱わざるを得ない状況であったとか、そのように信じざるを得ない状況であったとは言えないため、本件各仕入先の氏名等を真実と信ずべき相当な理由があったとは認められない。
要旨
消費税法第30条《仕入れに係る消費税額の控除》第2項に規定する課税仕入れ等の税額の計算を行うに当たり、原処分庁は、個別対応方式を選択して申告している請求人が、共通売上対応分とした調剤薬品等の仕入れについて、課税売上げ対応分があったとしても当該売上げは本来の目的とは別途に事後的に発生するものであり、課税仕入れを行った日の状況においては非課税売上対応分とすべきであると主張する。
しかしながら、調剤薬品等は、そのほとんどが非課税売上げとなっているものではあるが、現実的に、課税売上となる販売として[1]他の保険薬局(同業者)への小分け販売、[2]医師の指示書による販売、[3]自費診療(患者負担10割)による販売が発生していることから、その仕入れた時点における区分は、課税売上げのみに要する課税仕入れ又は非課税売上げのみに要する課税仕入れとは認められないから、共通売上対応分の課税仕入れとするのが相当である。
要旨
請求人は、受注先であるM社等に納品した製品の対価には、同社から支給された原材料の部品代金を含めた金額(製品の対価に係る消費税額を含む)を受領し、他方、M社等から製品の加工を受注するに際しては、原材料の部品の対価(製品の対価に係る消費税額を含む)をM社等に支払っていることから、消費税の課税標準額は、M社等から有償支給された原材料部品の金額を加算した金額により計算することが相当である。
帳簿及び請求書等の保存要件を充足するとして消費税の仕入税額控除の適用を認めた事例( 平成26年分以後の所得税の青色申告の承認の取消処分、 平成26年分から平成29年分及び令和元年分の所得税及び復興特別所得税の各更正処分並びに過少申告加算税及び重加算税の各賦課決定処分、 平成30年分の所得税及び復興特別所得税の更正処分並びに重加算税の賦課決定処分、 平成26年分及び令和元年分の所得税及び復興特別所得税の各再更正処分、 平成29年分及び平成30年分の所得税及び復興特別所得税の各再更正処分並びに過少申告加算税の各賦課決定処分、 平成27年分及び平成28年分の所得税及び復興特別所得税の各再更正処分並びに過少申告加算税及び重加算税の各変更決定処分、 平成26年1月1日から平成28年12月31日までの各課税期間の消費税及び地方消費税の各更正処分並びに過少申告加算税及び重加算税の各賦課決定処分、 平成29年1月1日から平成30年12月31日までの各課税期間の消費税及び地方消費税の各更正処分並びに重加算税の各賦課決定処分、 平成26年1月から令和元年6月までの各期間の源泉徴収に係る所得税及び復興特別所得税の各納税告知処分並びに重加算税の各賦課決定処分・ 棄却、 一部取消し、棄却、却下、 一部取消し、棄却、 却下、 一部取消し)
裁決事例集 第129集
ポイント
本事例は、原処分庁が調査を行った日において消費税の請求書等の保存を要する期間を経過していた課税期間について、当該課税期間の帳簿は保存されていたことから帳簿及び請求書等の保存要件を充足しているとして、当該課税期間に係る支払対価の額が3万円以上の取引についても仕入税額控除が適用されるとしたものである。
要旨
請求人は、平成26年1月1日から同年12月31日まで(平成26年課税期間)、平成27年1月1日から同年12月31日まで(平成27年課税期間)及び平成28年1月1日から同年12月31日まで(平成28年課税期間)の各課税期間(本件3課税期間)の消費税法第30条《仕入れに係る消費税額の控除》第7項の規定に係る帳簿(法定帳簿)及び請求書等(法定請求書等)は、消費税等の実地の調査の初日に保存があり、調査担当職員に対し法定帳簿を提示し、また法定請求書等についても提示しようとしていたことなどから、本件3課税期間においては課税仕入れに係る支払対価の額の合計額が3万円以上の取引についても仕入税額控除が適用されるべきである旨主張する。
しかしながら、法定請求書等を実際に保存している場合において、税務職員が法定請求書等を検査することができるときに限り、仕入税額控除の適用が認められるところ、平成27年課税期間及び平成28年課税期間については、請求人は調査担当職員に対して法定請求書等を、その保存を要する期間内に適時に提示しなかったのであるから、課税仕入れに係る支払対価の額の合計額が3万円以上の取引については仕入税額控除が認められない。一方で、原処分庁は、本件3課税期間の法定請求書等の保存はない旨主張するが、平成26年課税期間の処分の適法性に関し具体的に主張しておらず、同課税期間については、調査初日において法定請求書等の保存を要する期間を経過しており、よって、平成26年課税期間の消費税等については、課税仕入れに係る支払対価の額の合計額が3万円以上の取引についても仕入税額控除が適用される。
参照条文等
参考判決・裁決
建物等の譲渡に当たって当事者間で引渡しの日を定めていたとしても、当該建物等の売買契約を締結した日に代金決済及び所有権移転登記等が完了しているのであれば、当該売買契約を締結した日が当該建物等の譲渡の時期であるとした事例
裁決事例集 第73集 519頁
要旨
請求人は、本件建物等の課税仕入れの時期について、①消費税法基本通達9-1-13ただし書において、事業者が建物その他の固定資産の譲渡に関する契約の効力発生の日を資産の譲渡の時期としているときはこれを認める旨定めていること及び②ビジネスホテル業は関係諸官庁の営業許可なしでは営業できないことから、本件建物等の引渡しの日については、本件確認書及び本件合意書で定めた日である旨主張する。
しかしながら、①請求人は、本件売買契約書を締結した日に本件不動産(上記建物及びその敷地)の売買代金の全額を売主へ支払い、同日、所有権移転登記を了しているばかりか、本件不動産の購入資金の借入先(債権者)との間において債務者及び根抵当権設定者をいずれも請求人とする根抵当権設定契約書兼代物弁済予約証書を作成するとともに本件不動産に根抵当権の設定登記を行っていることが認められること及び②本件売買契約書、本件確認書及び本件合意書のいずれにも旅館業の営業許可が下りなければ契約の効力が生じないとする旨の約定がなく、本件売買契約が旅館業の営業許可を受けることを停止条件とする契約であるとは認められないことから、本件不動産の引渡しは、本件売買契約書の契約日に完了していると認めるのが相当である。
また、本件合意書記載の合意が当事者間において真意でなされたとしても、前述した本件事実関係の下においては、本件不動産は、本件合意書に記載された引渡しの期日よりも前に引渡しが完了していることが認められることから、本件のように引渡しの日について合理的と認められる日が存在している場合には、本件不動産の引渡しの時期についての当事者間の合意があるからといって課税仕入れの時期を左右し得ないものというべきである。
消費税につき提出した「簡易課税制度選択届出書」の効力は、課税期間の基準期間における課税売上高が3,000万円以下となった場合に提出することとされている「納税義務者でなくなった旨の届出書」の提出によっては、失効しないとされた事例
裁決事例集 第58集 292頁
要旨
請求人は、消費税法第57条第1項第2号に規定する「納税義務者でなくなった旨の届出書」を提出することにより、それまでに提出していた「簡易課税制度選択届出書」の効力も同時に失効するので、その後に提出される消費税の確定申告については、簡易課税が適用される余地はなく、本則課税方式による仕入税額控除が適用されるべきである旨主張する。
しかしながら、「簡易課税制度選択届出書」の効力は「簡易課税制度選択不適用届出書」を提出しなければ失効せず、「納税義務者でなくなった旨の届出書」は、基準期間の課税売上高が3,000万円以下となったことによりその基準期間に係る課税期間について消費税の納税義務者でなくなった旨を税務署長に届出するもので「簡易課税制度選択不適用届出書」とはその目的を異にし、また、「納税義務者でなくなった旨の届出書」の提出により当然に「簡易課税制度選択届出書」の効力が失効することを定めた法令の規定も存しないことから、請求人の主張には理由がない。
課税期間開始前2年以上の間に営業収入はなかったとしても、多額の課税仕入れが発生しているから、消費税法基本通達1-4-8の適用はなく、本件課税期間は、消費税法施行令第20条に規定する「課税資産の譲渡等に係る事業を開始した日の属する課税期間」に当たらないとした事例
裁決事例集 第64集 531頁
要旨
請求人は、過去2年以上にわたりゴルフ場の開業準備中であったのであるから消費税法基本通達1-4-8《過去2年以上課税資産の譲渡等がない場合の令第20条第1号の適用》の取扱いによるべきであると主張する。
しかしながら、同基本通達は休眠会社が事業を再開した場合などについて、新設法人と同様に、消費税法施行令第20条第1号に規定する「課税資産の譲渡等に係る事業を開始した日の属する課税期間」に含めて取り扱う旨定めたものであり、同基本通達が2年以上にわたって「課税資産の譲渡等」のみならず「課税仕入れ等」がなかった場合を要件としているのは、課税期間開始前2年以上の間、営業収入は発生していなくとも、開業準備のための課税仕入れ等がある場合には、当該課税期間は「事業を開始した日の属する課税期間」に当たらないことを明らかにしたもので、当審判所においても相当な取扱いであると認めることができる。
本件の場合、請求人は平成7年7月課税期間以降継続して本件ゴルフ場を開業するために土地の取得、造成工事等の準備を進め、平成11年4月に開場したことが認められ、この間、いったん事業を休業し平成11年7月課税期間中に事業を再開したという事実はないこと、また、その準備期間中に多額の課税仕入れが発生していることから、請求人の平成11年7月課税期間は上記基本通達の取扱いが適用される場合に当たらないものと認められる。
請求人が、出向契約に基づいて支払った本件業務分担金は、消費税法第2条第1項第12号のかっこ書に規定する「給与等を対価とする役務の提供によるもの」に該当するから、仕入税額控除の対象にはならないとした事例
裁決事例集 第58集 265頁
要旨
請求人は、本件出向契約の実質は業務委託契約であり、請求人と本件従業員の間に雇用関係はなく、本件業務分担金は業務委託契約に基づく役務提供の対価であるから課税仕入れに該当し、したがって、仕入税額控除は認められるべきである旨主張する。
しかしながら、出向契約等に基づき支払われる分担金等であっても、その実質が出向先事業者において支払うべき給与に相当するものである場合には、当該出向先事業者における仕入税額控除の対象とはならない。本件出向契約の契約事項及び労務提供の状況等を見ると、[1]本件従業員は、業務に必要な機械及び器具の自己負担はないこと、[2]請求人の定める勤務時間内において請求人の指揮監督の下に労務を提供していること、[3]請求人は、本件従業員を請求人の従業員であるとして労災保険に加入し、給付手続きを行っていることが認められ、これらを総合すると、本件従業員は、請求人の指揮命令に服して、非独立的に労務、役務を提供しているといえるから、請求人と本件従業員との間には雇用関係があると認めるのが相当である。
したがって、本件業務分担金は、その実質が請求人と本件従業員との間の雇用関係に基づき支払われた給与に相当する金額と認められ、消費税法第2条第1項第12号のかっこ書に規定する給与等を対価とする役務の提供によるものに該当するから、仕入税額控除の対象とはならない。
請求人が締結したビジネス専門学校との講師契約は、請負契約あるいはそれに類似する契約と認められるので、請求人が行った講義は消費税法に規定する「事業として」行われたことに該当するとした事例
裁決事例集 第78集 473頁
要旨
消費税法第2条第1項第9号は、「課税資産の譲渡等」とは、「資産の譲渡等のうち、同法第6条第1項の規定により消費税を課さないこととされるもの以外のものをいう」とし、同法第2条第1項第8号は、「資産の譲渡等」とは、「事業として対価を得て行われる資産の譲渡及び貸付け並びに役務の提供をいう」と定義している。
そして、消費税法第2条第1項第8号に規定する「事業として」につき、消費税法基本通達5-1-1は、「対価を得て行われる資産の譲渡及び貸付け並びに役務の提供が反復、継続、独立して行われることをいう」と定めているところ、消費に広く負担を求める消費税法の趣旨・目的に照らして、当審判所においても、この解釈は妥当と認められる。
請求人は、本件講義を反復、継続して行っていたと認められる。また、本件講義については、請求人の裁量が広く認められており、本件講師契約の実質が雇用契約あるいはそれに類似するものではなく、請負契約あるいはそれに類似するものであることからすれば、請求人の役務の提供については消費税法における「事業」というに足りる独立性が認められるというべきである。
したがって、請求人が本件講義を行ったことは、消費税法基本通達5-1-1に定める対価を得て行われる役務の提供が反復、継続、独立して行われたことに該当するのであるから、消費税法第2条第1項第8号に規定する「事業として」行ったことに該当する。
請求人が職員を社会福祉法人が行う通所介護業務に従事させて社会福祉法人から得た金員は、出向契約に基づく給与負担金ではなく業務委託契約に基づく対価と認められることから、課税資産の譲渡等の対価に該当するとした事例
裁決事例集 第77集 482頁
要旨
請求人は、請求人の職員を社会福祉法人Eが行う通所介護業務に従事させて社会福祉法人Eから得た金員は、社会福祉法人Eに出向させた職員(以下「本件職員」という。)の給与を収受したものであり、消費税法基本通達5-5-10に定める給与負担金に該当するから課税資産の譲渡等の対価には該当しない旨主張する。
ところで、出向とは、出向者が出向元との労働契約を維持して雇用関係が存続する一方、出向先の指揮命令に服して就労することから、出向先とも雇用関係に基づいて勤務する形態であると解されるところ、本件職員との雇用関係は請求人との間にのみ存在することからすれば、請求人が本件職員を社会福祉法人Eに出向させていたとみることはできず、社会福祉法人Eから収受した金員は、出向に基づく給与負担金とは認められない。
また、請求人は、社会福祉法人Eとの間において上述した通所介護業務に係る業務委託契約書を作成しているところ、当該契約書に実用性はなく本件金員は上記通達にいう給与負担金であるとも主張するが、実際に当該契約書の契約内容に基づいて職員を社会福祉法人Eの通所介護業務に従事させて役務を提供し、その対価として本件金員を収受しているのであるから、本件金員は、課税資産の譲渡等に係る対価に該当する。
輸出証明書はあるものの、請求人が輸出したのはダミーであり、実物は輸出されずに国内において引渡しが行われていたことから輸出免税は適用できないとした事例
裁決事例集 第65集 851頁
要旨
請求人が輸出したとする本件部品は、国内において相手方に引き渡されており、実際に輸出されたのは本件部品のダミーであったことが明らかであるので、消費税法第7条第2項に規定する輸出証明書類が形式的に整っているとしても同条第1項の規定を適用して消費税等を免除することはできない。
また、課税事業者は、実際に消費者等から消費税相当額を預かったか否かに関係なく、課税標準等を基礎にして算出された消費税等の額を納付することが義務付けられているので、請求人が本件部品の取引において消費税等に相当する金員を相手方から預かっていなかったとしても当該取引に係る納税義務を免れることはできない。
いわゆる個別対応方式により課税仕入れに係る消費税額を計算する場合における「課税資産の譲渡等にのみ要するもの」、「その他の資産の譲渡等にのみ要するもの」及び「課税資産の譲渡等とその他の資産の譲渡等に共通して要するもの」の区分は個々の課税仕入れについて行う必要があるとした事例
裁決事例集 第73集 536頁
要旨
請求人が、本件不動産を信託財産とする信託受益権を取得し、本件不動産の取得に係る本件付随費用の消費税額について、個別対応方式により仕入控除税額を計算するに当たり、本件付随費用の総額を、本件不動産を構成する本件個々の資産の取得価額の比で本件個々の資産に配賦し、本件個々の資産の取得目的に応じ「課税対応」及び「共通対応」に区分したところ、原処分庁は、本件付随費用はいずれも「共通対応」に区分すべきであるとして消費税等の更正処分を行った。
これに対し、請求人は、消費税の課税対象となる一の取引金額の内訳又は複数の取引金額の合計の内訳について、個別対応方式における対応区分が明らかにされていれば、その明らかとなっている区分に応じて対応関係を判定すべきであり、本件付随費用は本件個々の資産にそれぞれの取得価額の比で配賦されているから、個別対応方式における区分は明らかである旨主張する。
しかしながら、課税仕入れとは、「事業者が、事業として他の者から資産を譲り受け、若しくは借り受け、又は役務の提供を受けること」のそれぞれの取引を指すことから、消費税法第30条第2項第1号に規定する「課税仕入れにつきその区分が明らかにされている場合」とは、課税仕入れである個々の取引についての対応区分が明らかにされている必要があるものと解される。
そうすると、請求人は、本件付随費用について、その総額を一つの単位とし、各付随費用の合計額を本件個々の資産の取得価額により按分した結果をもって「課税対応」及び「共通対応」に係る課税仕入れの額として集計したに過ぎず、個々の課税仕入れにつきその区分を判定していないことは明らかであるから、請求人の主張は採用できない。
マッサージ師に支払った外注費は、所得税法第28条に規定する給与等に該当するので、消費税法第2条第1項第12号に規定する課税仕入には該当しないとされた事例
裁決事例集 第59集 372頁
要旨
請求人は、請求人がマッサージ師に支払った外注費は、所得税法第28条に規定する給与等を対価とする役務の提供に係るものではないので、消費税法第2条第1項第12号に規定する課税仕入には該当する旨主張する。
しかしながら、請求人と各マッサージ師との契約書等によれば、各マッサージ師はマッサージ業務を遂行するに当たって[1]営業時間、施術コース及び施術料金、業務時間、服装、休憩等の各項目にわたって定められた規則に従って業務に従事していること、[2]顧客に対する事故の責任は請求人にあることなどから、請求人と各マッサージ師との間には雇用関係があるということができ、本件外注費は給与等を対価とする役務の提供に係るものに該当し消費税法第2条第1項第12号に規定する課税仕入には該当しないと認められる。
また、請求人は、請求人がマッサージ師に支払った外注費は、給与ではないから給与等に係る所得税を徴収する義務を負わない旨主張するが、上記のとおり本件外注費は給与等に該当すると認められ、請求人は、所得税を徴収する義務を負うことになる。
なお、本件源泉所得税納税告知処分等には税額計算誤りがあるのでその一部を取り消す。
免税事業者に該当するか否かを判定する際の課税売上高は、請求人が基準期間の確定申告において選択した課税売上高の算出方法によるのであり、それ以外の方法で算出した場合に課税売上高が3,000万円以下となるとしても、そのことは更正の請求をすることができる事由に該当しないとした事例
裁決事例集 第67集 735頁
要旨
請求人は、委託販売における課税資産の譲渡等の対価の算定を総額主義の方法によるか純額主義の方法によるかは、納税者の選択に委ねられているものと解され、そして、純額主義の方法によれば、本件課税期間に係る基準期間の課税売上高は3,000万円以下であり、本件課税期間においては、免税事業者となるから、本件更正の請求を行ったものであり、このことは、国税通則法第23条第1項第1号に該当するから、その全部を取り消すべきであると主張する。
しかしながら、請求人は委託販売手数料を損益計算書上で国内旅行売上高とは区分して経理していると認められるものの、消費税等の申告に係る基準期間の課税売上高の算定根拠に国内旅行売上高の額を含めたこと、また、課税仕入れに係る支払対価の額として国内旅行に係る仕入高について航空会社等に支払う総額を記載していることからみて、消費税法基本通達10-1-12が定める総額主義の方法を選択したものと解される。
したがって、請求人は、自ら選択して採用した総額主義の方法に基づいて本件基準期間の申告書及び本件課税期間の申告書を作成したものと認めるのが相当であり、総額主義の方法によって計算すると、本件基準期間の課税売上高は3,000万円を超えることは明らかであるから、請求人は、免税事業者に該当しない。
また、いったん総額主義の方法を選択適用して申告した場合には、仮に、その後において受託販売手数料を対価として消費税額を計算した結果、課税売上高が3,000万円以下となって免税事業者に該当するとしても、課税標準等若しくは税額等の計算が国税に関する法律の規定に従っていなかったことにはならず、又は当該計算に誤りがあったとはいえないので、更正の請求をすることができる場合に当たらないとするのが相当である。
すなわち、納税者に一定事項の申告及び選択等を条件としてその規定の適用を受けることを委ねている場合においては、いったん自由な意思でこれらの規定に従い、かつ、適法な計算に基づいて消費税法第45条の規定に従って申告書を提出し、税額を確定させた後において、その一定事項の申告及び選択等の内容を変更することを理由に更正の請求をすることはできないものと解される。
要旨
請求人は、本件浜買いの相手先は、請求書、納品書等の必要性や知識に乏しく、領収書の発行すら行っておらず、浜買いの相手先に住所、氏名を問い質すことは困難であり、強行すれば商取引の危機を招き、さらに、零細漁師、半漁で他に勤めている者など多種多様であって、概ね不特定多数の部類に属し、取引金額もほとんど3万円未満が多いから、消費税法施行令第49条第2項に該当すると主張する。
しかしながら、消費税法施行令第49条第2項にいう再生資源卸売業とは、日本産業標準分類の中分類に規定されている空瓶・空缶等空容器卸売業、鉄スクラップ卸売業、非鉄金属スクラップ卸売業及び古紙卸売業等であり、また、再生資源卸売業に準ずるものとは、不特定かつ多数の者から課税仕入れを行う事業のうち、取引の実態から仕入れの相手方の氏名又は名称を確認することが不可能に近いという点で再生資源卸売業に準ずるものをいうと解されるところ、本件において、請求人がその帳簿書類に、浜買いに係る仕入れの相手先を記載していない理由は、請求人と当該相手先との関係及び請求人の営業上の問題に起因しているものであるから、本件浜買いは相手方の氏名又は名称を確認することができない取引実態にあると認めることはできず、再生資源卸売業に準ずるものに該当しない。
ポイント
資産の譲渡等には、事業活動の一環として又はこれに関連して行われる資産の譲渡を含み、事業の用に供している土地等の譲渡は、事業に付随して対価を得て行われる資産の譲渡に該当するものと解される。
この事例は、秋の収穫後の冬季の休作期間に売却を目的として整地工事をした稲作農地であった土地につき、売却時点において、事業の用に供する資産に当たるか否かが争われたものである。
要旨
請求人は、稲作農地であった本件土地は、宅地に整地した時点で稲作ができなくなり、その時点で家庭用資産になったのであるから、本件土地の譲渡は「資産の譲渡等」に当たらない旨主張する。
しかしながら、本件土地は稲作農地として請求人の事業の用に供されていた土地であって、例年どおり冬季の休作状態にあった時期に、本件土地の売却の話があり、それを受けて宅地に整地するための工事が行われたことからすれば、当該工事は、請求人の事業用資産である本件土地の売却を目的として行われたものにすぎず、事業用資産としての性格を失わせる事情にはならない。また、他に本件土地の事業用資産としての性格を失わせる事情は認められないことを併せて考えると、本件土地は、売却時点において、請求人が営む事業の用に供していた資産であったと認めるのが相当であり、本件土地の譲渡は、請求人の事業活動に関連して行われる資産の譲渡であって、「資産の譲渡等」に該当するものと認められる。
参照条文等
参考判決・裁決
富山地裁平成15年5月21日判決(税資253号9349)
要旨
請求人は、簡易課税制度適用課税期間に取得した建物を、本則課税適用課税期間に売却したため、本件更正処分は、結果的に仕入税額が控除されていない不当な課税であると主張するが、請求人の場合、本件課税期間に係る基準期間の課税売上高が2億円を超えていることから、消費税法第37条第1項かっこ書の規定により簡易課税による仕入税額控除の計算を行うことはできず、同法第30条に定める本則課税の方法によらざるを得ないこととなる。
そうすると、仕入税額控除の額の計算の基礎とすべきと主張する本件建物は、本件課税期間前に仕入れられたものであるから、本件課税期間において仕入税額控除の対象とすることはできないことは明らかであり、また、簡易課税によった場合に比べて税負担が大きくなることをもって本件更正処分が不当な課税であるということもできない。
要旨
請求人は、フランチャイズチェーン本部に紳士服等の縫製加工を委託しているとはいえず、本部から購入した商品をその性質や形状を変更しないで販売しており、小売業(第二種事業)に当たる旨主張するが、請求人の事業形態は、紳士服等の縫製を現実に行うのは本部であっても、顧客との間においては、当該紳士服等の縫製は請求人の行為として行われているものであって、本部が縫製した紳士服等の製品を請求人が購入して顧客に販売しているとみることはできないことから、請求人の事業内容は、製造業(第三種事業)に該当すると認めることが相当である。
請求人が取得したマンションの売買代金の支払日、所有権移転登記をした日、抵当権が設定された日、合鍵等の引渡しの日等によれば、当該マンションは本件課税期間より前に引渡しを受けたものと認められるから、当該マンションの取得は本件課税期間の課税仕入れには該当しないと判断した事例
裁決事例集 第81集
要旨
事業者が、国内において課税仕入れ等を行った場合は、当該課税仕入れ等を行った日の属する課税期間の課税標準額に対する消費税額から控除対象仕入税額を控除するところ、不動産に係る課税仕入れを行った日については、引渡しのあった日と解するのが相当であり、引渡しの有無については、登記の有無、代金の支払状況などの客観的な取引実態によって引渡しが完了し、その取引に係る経済的効果が実現しているか否かにより判断すべきであるところ、請求人が取得したマンションの売買代金の支払日、売買を原因として所有権移転登記をした日、抵当権が設定された日、合鍵等の引渡しの日等によれば、当該マンションは本件課税期間より前の平成19年9月28日に引渡しを受けたものと認められるから、当該マンションの取得は本件課税期間の課税仕入れには該当しない。
参照条文等
請求人の課税売上げは受託販売の手数料収入ではなく卸売販売による売上であり、各課税期間の基準期間の課税売上高が3,000万円を超えているので消費税を納める義務は免除されないとした事例
裁決事例集 第65集 878頁
要旨
請求人は、同人が営む青果物の集荷業の業態は受託販売であり、基準期間における受託販売に係る仲介手数料の課税売上高は3,000万円以下であるので、消費税の納税義務はない旨主張する。
しかしながら、請求人は農家から青果物を仕入れ、その青果物を漬物会社へ卸しているものと認められ、受託販売に係る仲介手数料のみを収受していたとは認められず、各課税期間の基準期間の課税売上高は、いずれも3,000万円を超えることとなるから、請求人には消費税の納税義務があるので、請求人の主張には理由がない。
賃貸借契約終了時に原状回復費用に充当することが合意された敷金と追加金の合計額は、「原状回復義務」を消滅させることを「役務の提供」とする対価であり、課税資産の譲渡等の対価に該当するとした事例
裁決事例集 第77集 495頁
要旨
請求人は、本件賃借人は建物の賃貸借契約の終了に伴う原状回復費用に充当するために本件合意金を請求人に預託したもので、原状回復工事をしなくてよいという「便益」は享受していないし、仮にそれを便益の享受とみても、本件合意金の大部分は原状回復工事業者に支払われるべき性質のものでその対価ではなく、本件合意金は預り金である旨主張する。
しかしながら、消費税は、消費行為そのものに担税力を見いだすものであり、「対価を得て行われる」消費行為が課税の対象となり得るものであり、「役務の提供」の範囲は、「対価を得て行われる」と認められる「便益」の提供等、消費の対象となる「サービスの提供」を広く包含すると解されるところ、請求人は、建物賃貸借契約の終了に係る本件合意により、本来であれば本件賃借人において負担すべきであった「原状回復義務」を消滅させることを「便益」の提供として消費税法上の「役務の提供」を行ったことになり、また、そのために原状回復費用に充当されることとなる本件合意金が、本件賃借人の「原状回復義務を消滅させる」という「便益」を提供するための反対給付、すなわち「対価」に該当することから、本件合意金は、消費税の課税資産の譲渡等の対価に該当する。
また、本件合意金の支払により、本件賃借人、請求人間にその余の債務関係が存在しないことが確認されており、実際に原状回復工事を行っても、その費用を本件賃借人との間で清算することは予定されていないのであるから、本件賃借人は、本件合意により原状回復義務の消滅という「便益」を受けているというべきであり、本件合意金の大部分が原状回復工事業者に支払われるとしても、それは、当該支払に対する消費税が課税仕入れとして仕入税額控除の対象になり得るものであることを意味するに過ぎない。
したがって、本件合意金を預り金とする請求人の上記主張には理由がない。
非居住者である外国法人の従業員を対象に国内で行う現場改善等のセミナーは、消費税法施行令第17条第2項第7号ハに規定する国内における飲食又は宿泊に準ずるもので、国内において直接便益を享受するものに該当することから、輸出免税等には当たらないとした事例
裁決事例集 第65集 864頁
要旨
請求人は、本件セミナーは、その内容が主として講義及び現場実習等であり、日常生活の中で行われるサービスとは全く異なるものであるから国内飲食等に準ずるものとはいえず、また、その目的が現場改善、生産性向上であるから、その効果は国外に所在する本件外国法人の工場等の現場において完結し、本件外国法人は、国内において直接便益を享受しているとはいえないことから、消費税の輸出免税取引に該当するので、その代金は消費税の課税標準から減算すべきであると主張する。
しかしながら、本件セミナーは本件外国法人の従業員に対して国内で行われる講義、現場実習、国内観光等であり、その代金には開催期間中の国内における食事代金、宿泊代金及び交通費が含まれ、いずれも国内で本件セミナーの参加者に対して行われる役務の提供であるから、日常生活において居住者、非居住者の区別なく同じサービスをするものか否かにかかわらず、国内飲食等に準ずるものに該当するものと認められ、また、本件セミナーは国内において実施され、かつ、国内において終了しているから、非居住者に対する国内における役務の提供であり、その便益を本件セミナーの参加者である従業員が国内で享受することにより本件外国法人が国内において直接享受するものとなり、役務の提供を享受した後の効果が国内で発現するものか否かを考慮する必要はなく、ともに国内において完結していると認められる。
以上のことから、本件セミナーは、消費税法施行令第17条第2項第7号ハに該当し、輸出免税取引には該当しないから請求人の主張には理由がない。
要旨
請求人は、本件独占販売権は、E国のG社から取得したものであるが、本件独占販売権に基づき、本件譲受け直前まで日本国内で営業活動をしていたのはG社の日本子会社H社であり、H社のノウハウ、人的資源等も引き継いでいることから「これらの権利に係る事業を行う者の住所地」は、H社の住所地(日本)であると認められ、本件独占販売権を取得した取引は、消費税法上、国内取引に当たると主張する。
しかしながら、本件支払金は、G社が保有する本件製品の独占販売店の権利の価値(独占販売により稼得することができる将来の収益)を認めてG社へ支払われたものであり、G社が本件独占販売権をH社又は請求人に付与することによって、G社自体が本件独占販売権に係る事業を行っていると認められる。そうすると、本件独占販売権の譲渡者であるG社の所在地はE国であるので国外取引となり、課税仕入れに該当しない。
消費税の控除対象仕入税額の計算方式について、一括比例配分方式を選択して申告した後に、更正の請求により個別対応方式に変更することはできないとした事例
裁決事例集 第78集 500頁
要旨
請求人は、①消費税の導入の趣旨に反して、消費税等相当額の負担を強いられていること、②一括比例配分方式は簡便法であって、個別対応方式こそが原則的な控除対象仕入税額の計算方法であること、③請求人の控除対象仕入税額は、本件税理士の責めに帰すべき事由により、請求人に不利な計算方法により算定されていることから、本件更正の請求において、控除対象仕入税額の計算方法を一括比例配分方式から個別対応方式へ変更することができる旨主張する。
しかしながら、納税者が消費税法第30条第4項の規定の適用を選択して一括比例配分方式により控除対象仕入税額を算定し確定申告をした場合には、更正の請求において、控除対象仕入税額の計算方法を一括比例配分方式から個別対応方式へ変更することはできないと解されるところ、請求人は、同項の規定の適用を選択して一括比例配分方式により控除対象仕入税額を算定し確定申告をしたものと認められることから、本件更正の請求において、控除対象仕入税額の計算方法を変更することはできない。
また、上記①については、請求人が、課税仕入れについて、用途区分を明らかにしてさえいれば、いずれの計算方法を選択するのが税負担の面で有利であるかは、法定申告期限までに容易に判明することであること、上記②については、本件両方式のいずれの計算方法により控除対象仕入税額を算定すべきかは、いずれの計算方法が原則的な計算方法であるかによって決せられるものではなく、請求人がいずれの計算方法により控除対象仕入税額を算定して確定申告をしたかによって決せられるものであること、上記③については、請求人は、自己の意思と責任において本件税理士に税務代理を委任したものである以上、受任者である本件税理士の行為は委任者である請求人の責任の範囲内の行為と認められることから、請求人の主張にはいずれも理由がない。
真実の仕入先の名称等が記載されていない帳簿等は消費税法第30条第7項に規定する帳簿保存要件を満たす帳簿等には該当しないから、これに係る消費税の仕入税額控除は認められないとした事例
裁決事例集 第77集 518頁
要旨
請求人は、軽油の仕入先G社、H社及びJ社(以下「本件仕入先3社」という。)はいずれも実在していた会社であり、取引当時の状況から本件仕入先3社を架空の会社などと疑う余地は全くなく、消費税法第30条は納税者が帳簿等の記載内容の真実性を調査し確認する義務まで規定していない旨主張する。
しかしながら、G社は、商業登記がなく、領収証と請求書の住所が異なっており、H社は、商業登記はあるが、その住所地には別人が居住しており、J社は、商業登記がなく、領収書記載の住所が住居表示上存在しないことなどから、本件仕入先3社は実体のない会社であることが認められ、請求人の帳簿等には真実の仕入先の名称が記載されていないこととなる。
そして、①軽油をとりまく業界においてはかつてから不正軽油の問題があることは公知の事実であり、取引当時も不正軽油の販売が行われていたこと、②本件仕入先3社へ注文する際の電話番号が同じであったこと、③本件仕入先3社の集金担当者が同一人物であったことなど、各仕入先の名称が真実のものかどうか、社会通念上からみて相当程度疑われる状態であったといえ、加えて、請求人と本件仕入先3社との取引は、回数も多く、金額も多額であり、すべて現金決済であることからすると、請求人が積極的に確認するのが自然であるところ、これを確認することなく漫然と請求書等を保存し、帳簿に記載していたといわざるを得ないから、請求人において、本件仕入先3社が真実のものと信ずべき相当の理由があったとはいえない。また、請求人は、真実の仕入先の名称等を記載した帳簿等の保存をすることができなかったことにつきやむを得ない事情があったという主張及び立証をしていない。
したがって、本件仕入先3社の名称が記載されている請求人の帳簿及び請求書等は、いずれも真実の仕入先の名称が記載されていないことから、消費税法第30条第8項及び第9項に規定する記載要件を満たした帳簿及び請求書等に該当せず、同条第7項に規定する帳簿及び請求書等の保存がなかったものということとなり、本件仕入先3社との取引については、同条第1項に規定する課税仕入れ等の消費税額の控除を適用することができないとした原処分は適法である。
簡易課税制度選択届出書の提出があり、その後簡易課税制度不適用届出書の提出がないので、本件課税期間については簡易課税制度を適用した更正処分等は適法であるとした事例
裁決事例集 第62集 435頁
要旨
請求人は、設備投資に係る消費税等の還付を受ける目的で、本則課税を適用して申告したものであるが、消費税等の還付が受けられないのであれば本件申告書の取り下げを認めるべきであり、簡易課税制度を適用して行った更正処分等は違法、不当であると主張するが、本件申告書は、法令の規定に従った適法なものであり、自ら自由に取り消し、撤回をすることは許されず、また、請求人は簡易課税制度選択届出書を提出しているが、その後簡易課税制度不適用届出書の提出がないので、簡易課税制度を適用して行った更正処分等は適法である。
要旨
原処分庁は、請求人が注文者として締結した工事請負契約により取得した賃貸用建物(本件建物)は、本件課税期間内には共同住宅として使用できる状態にはなく、工事が完了していたとは認められないから、請求人が本件建物の引渡しを受けた日の属する課税期間は本件課税期間ではないこととなり、本件建物の取得費用に係る消費税額を本件課税期間の消費税の計算において課税仕入れに係る消費税額として控除することはできない旨主張する。
しかしながら、本件課税期間内に本件建物の大部分は完成しており、請求人は、本件課税期間内に、①権利保全のために所有権保存登記をしていること、②金融機関との間で本件建物に抵当権を設定して自己の所有物として処分していること、③本件建物の工事請負業者に対し請負代金の全部の支払を終えたことなどを併せ考えれば、本件建物の工事に若干の工事が残存して未完成であったとしても、本件課税期間内に本件建物が完成し引渡しがあったものと同視できるから、請求人が本件建物の引渡しを受けた日の属する課税期間は、本件課税期間であると認めるのが相当である。
参照条文等
参考判決・裁決
東京地裁昭和55年6月12日判決(判タ428号208頁)
請求人は注文主から建築工事の全体を請け負っているから、当該工事に係る収入金額の全額が消費税の課税売上高であるとして、当該工事に係る自己の実質収入金額は設計・監理料のみであるとの請求人の主張を排斥した事例
裁決事例集 第68集 217頁
要旨
請求人は、本件工事に係る自己の実質の収入金額は、設計・監理料のみであるから、本件各基準期間の課税売上高は3,000万円以下で、本件各課税期間に係る消費税の納税義務がない旨主張する。
しかしながら、請求人は、建築工事の全体を請け負っているものと認めるのが相当であるから、請求人の本件工事に係る収入金額の全額が課税売上高となり、設計・監理料のみを課税売上高とする請求人の主張は、採用することができない。
要旨
請求人は、本件機械はいまだ国内に存しているものの輸出される予定であり、契約にある本件機械の指定港までの輸送、その輸出手続及び船積みが履行されていないことから、本件取引は、今現在(審判所調査時点)輸出途上にあるものであり、消費税法第7条第1項第1号に規定する輸出取引に該当する旨主張する。
しかしながら、請求人において、R社との契約にある指定港までの輸送、輸出手続及びR社が手配した船舶への船積みが、輸出先予定のK国の事情によりできなかったとしても、①本件機械は製造が完了し、販売先であるR社の検収も了していること、②請求人はR社が検収した本件機械の一時保管を依頼され、保管料を受領して日本国内の倉庫に保管していること、③請求人とR社との間で交わされた交渉記録には引渡が行われた旨記載されていること、④請求人は本件機械の対価を事業年度末において売上げに計上していることから、本件取引は、国内において行われた課税資産の譲渡等に該当する。また、消費税法第7条第1項第1号に規定する「本邦から輸出として行われる資産の譲渡」とは、資産の譲渡取引のうち、当該資産を外国に仕向けられた船舶又は航空機に積み込むことによって当該資産の引渡しが行われるものをいうのであるから、本件取引はこの輸出取引に該当せず、輸出免税の適用はないため、請求人の主張には理由がない。
適法な競売手続により落札された競落代金は、裁判所が評価した最低競売価額より相当高額になったとしても、課税資産の譲渡等の対価の額として相当であるとした事例
裁決事例集 第66集 322頁
要旨
請求人は、裁判所の競売による建物の売却価額は創出された特異な価額であるから、裁判所評価額を税務計算における譲渡対価の額にすべきである旨主張する。
しかしながら、競売手続は、裁判所により適法に行なわれており、また、民事執行法60条1項及び同法63条3項からみれば、裁判所評価額は落札可能な最低限度額を示したものであり、実際に売却された価額、すなわち、競売価額でないことは明らかである。
さらに、譲渡とは、権利を他に移転することをいい、競売、公売、収用、物納又は現物出資等も含まれると解されるところ、抵当権を実行するための競売は、担保権の内容を実現する換価行為であり、競落人は、目的不動産の所有権を承継取得するものであるから、「資産の譲渡」に該当し、競落代金が譲渡対価の額となる。
なお、請求人は、落札価額が特異な価額である旨主張するが、不動産の売買に当たっては、買主にとってその取得の必要性が大きければ大きいほど通常の取引価額を超えた売買が行なわれ、売買価額が高額になることは一般に見られるところであり、高額であるからといって、その売買価額が当該不動産の売買価額に当たらないという理由にはならない。
要旨
請求人は、請求人自らは印刷そのものを行っておらず、単に他の者から購入した商品をその性質及び形状を変更しないで顧客に販売しているだけであるから、卸売業に当たる旨主張するが、請求人の事業形態は、顧客の注文に応じて自己の計算と危険において外注先に印刷加工を行わせることにより、印刷物の性質及び形状を変更して付加価値を高め、完成された印刷物を顧客に納品することにより対価を受領していることから、請求人の事業内容は、印刷業(製造業)に該当すると認めるのが相当である。
国外向けに出航する船舶の外国人乗組員に対する中古車販売は、輸出の許可を受ける前に引渡しが完了していることなどから、輸出免税が適用される外国貨物の譲渡に該当しないとした事例
裁決事例集 第77集 508頁
要旨
請求人は、国外に向け出港する船舶の外国人乗組員(以下「本件各購入者」という。)に販売した中古自動車等を、本船船側に移動することによって引渡し、消費税法基本通達9-1-2の定めに従って、継続的にこの引渡しの日を譲渡の日とする経理処理を行っており、この引渡しの時点では、当該中古自動車等は輸出の許可を受けた外国貨物であるから、その販売は、外国貨物の譲渡に該当し輸出免税の対象となる旨主張する。
しかしながら、当該中古自動車等に係る取引は、請求人の中古自動車の展示場において売買価格を合意したことにより売買契約が成立し、本件各購入者が、代金の支払をしてそのフロントガラスにサインをしたときに引渡しが完了していると認められ、また、輸出の許可は、その後、本件各購入者が、当該中古自動車等を自己の携帯品等として旅具通関の手続により受けたものであり、単に請求人がそれを本船船側に移動した日を譲渡の日とすることは合理的とは認められないことから、当該中古自動車等の販売を外国貨物の譲渡ということはできない。
控除対象仕入税額の計算方法につき個別対応方式を選択してなされた申告に対して、課税仕入れの用途区分が誤っているとして同方式により再計算して行われた更正処分につき、錯誤を理由として一括比例配分方式に選択を変更して控除対象仕入税額の再計算を行うべきとして、その違法性を主張することは許されないとした事例
裁決事例集 第79集
要旨
請求人は、課税上の選択権を行使する過程において錯誤により選択を誤った場合には、法が定める更正の請求等の救済方法以外にも先例(最高裁平成2年6月5日判決)による救済が認められるべきであり、本件においては、請求人が納付税額が少なくなる方法を選択するという内心の意思を実行する過程において、単純な計算誤りにより仕入れに係る消費税額の計算方法の選択を誤ったものであるから、請求人が錯誤に基づいてした個別対応方式の選択の是正が認められるべきであるにもかかわらず、原処分庁が、確定申告における請求人の選択のまま個別対応方式により本件更正処分を行ったことは違法である旨主張する。
しかしながら、請求人において仕入れに係る消費税額の計算で個別対応方式を選択する過程において過誤又は勘違いがあったという事情は認められるものの、仮に当該事情が錯誤に当たるとしても、国税通則法においては、納税者が自主的判断によって提出した申告納税方式による国税の確定申告書に記載した課税標準等又は税額等の是正については、まず、修正申告又は更正の請求の手続を通じて行うべきことが予定されているところ、請求人は、当該事由に基づいて一括比例配分方式に選択を変更して仕入れに係る消費税額を計算したところで修正申告も更正の請求も行っていないのであるから、原処分庁が本件確定申告書において請求人が選択した個別対応方式によって仕入れに係る消費税額を再計算した本件更正処分を違法とする理由はない。
参照条文等
新築アパートに係る消費税及び地方消費税の還付申告に対し、課税売上げの基となった新築アパート完成見学会のための賃貸借契約は架空であるとしてなされた更正処分及び重加算税の賦課決定処分は適法であるとした事例
裁決事例集 第72集 605頁
要旨
請求人は、本件賃貸借契約は存在しており、それに基づき本件賃貸料を受領し領収証をF社の従業員Hに交付しているから、本件賃貸料は課税資産の譲渡等の対価の額として存在する旨主張する。
しかしながら、F社の備付け帳簿書類等には、本件建物の完成見学会が開催された旨や本件賃貸料が支払われた旨の記載はなく、また、本件賃貸借契約書は、本件建物の完成引渡し後に、請求人の関与税理士からの再三の申出により、Hが、請求人及びF社の記名・押印箇所に他の書類の記名・押印部分をコピーし、切り貼りするなどして作成した架空のものであることなどからすれば、本件賃貸借契約の締結、本件建物の完成見学会の開催及び本件賃貸料の授受の事実は認められないから、本件賃貸料は課税資産の譲渡等の対価の額として存在せず、本件課税期間の課税資産の譲渡等の対価の額及び消費税の課税標準額はいずれも零円となる。
また、本件課税期間の課税資産の譲渡等の対価の額は零円であるから、課税売上割合は零%となるところ、本件建物は、人の居住の用に供する住宅であると認められるから、本件建物の取得価額等は非課税資産の譲渡等にのみ要する課税仕入れの額となり、個別対応方式又は一括比例配分方式のいずれの方式によって算定しても、本件課税期間の消費税の仕入税額控除額は零円となる。したがって、本件課税期間の消費税等の納付すべき税額を零円とした本件更正処分は適法である。
そして、上記のとおり、本件賃貸借契約の締結及び本件賃貸料の授受の事実が存在しないにもかかわらず、請求人は、Hに依頼して本件賃貸借契約書を作成させ、さらに、本件賃貸料を受領したかのように領収証を作成するなど、課税資産の譲渡等の対価の額を架空に作出したものであり、本件建物の取得価額等は、本来非課税資産の譲渡等にのみ要する課税仕入れの額となるところ、請求人は、消費税等の還付を受けるため、あたかも本件賃貸借契約及びそれに係る金銭の授受が存在したかのごとく仮装した事実に基づいて、本件建物の取得価額等を課税資産の譲渡等にのみ要する課税仕入れの額として本件課税期間の確定申告書を提出したと認められ、これら請求人の行為は、国税通則法第68条第1項に規定する隠ぺい又は仮装行為に該当すると認められるから、重加算税の賦課決定処分は適法である。
横断地下道の便益は、請求人のように負担金を支払った者のみが支払っていない者に比して有利な条件で利用できるものとなっていないので、課税仕入れに該当しないとした事例
裁決事例集 第65集 920頁
要旨
請求人は、賃貸用大規模小売店舗を建設するに当たり、進入道路について国道直下を横断する地下道を設置する必要が生じたことから、F市及びM工事事務所と協議し、請求人が事業費の全額を負担したものであるから、F市に対して納入した工事負担金については、その名目が何であれ実質は工事代金で、工事負担金と地下道の設置とは明白な対価関係があり、また、F市からは課税仕入れに係る支払対価に該当する旨指導されたと主張する。
しかしながら、請求人は本件地下道工事の工事主体とも工事委託者ともなり得ないことから、やむなく「事業費の全額負担」を条件にF市及びM工事事務所に同工事の施工を要請した者であり、また、本件地下道は完成後にF市道として認定されており請求人だけが便益を受けるものとは認められない。
さらに消費税法基本通達5-5-6《公共施設の負担金等》注2に定める取扱い通知は必須条件ではないから請求人の主張には理由がない。
簡易課税制度選択事業者が、消費税の経理処理につき税抜経理方式をとっているからといって、本則課税による仕入れ税額控除が認められることにはならないとした事例
裁決事例集 第62集 444頁
要旨
新設法人で、かつ、簡易課税制度選択届出書を提出している請求人は、消費税等の経理処理について税抜経理方式をとっているから本則課税を認めるべきであると主張するが、当該届出書は本件課税期間を適用開始課税期間として適法にその効力を有しており、かつ、本件課税期間から事業を開始しているから、基準期間のない本件課税期間においては簡易課税制度を適用しなければならず、本則課税を適用する余地はない。
請求人が提示した出面帳に記載された事項のうち、法定記載要件を具備している部分については、課税仕入れ等の税額に係る帳簿に該当するとして、消費税の納付すべき税額の計算上、当該部分に係る仕入税額控除の適用を認めた事例
裁決事例集 第82集
ポイント
消費税法第30条《仕入れに係る消費税額の控除》第1項は、国内において行う課税仕入れについては、課税標準額に対する消費税額から課税仕入れに係る消費税額を控除する旨規定しているところ、同条第7項において、第1項の規定は、事業者が課税仕入れの税額に係る帳簿及び請求書等を保存しない場合には、当該保存がない課税仕入れに係る課税仕入れの税額については、適用しない旨規定している。そして、消費税法第30条第8項第1号においては課税仕入れに係る帳簿の記載事項を、また、同条第9項第1号及び第2号においては請求書等の記載事項をそれぞれ規定しているところである。
この事例は、請求人が職人に支払った対価が課税仕入れに係る支払対価に該当し、課税仕入れに係る消費税額の控除が認められるか否か等が争われたものであり、請求人の出面帳が上記消費税法第30条第8項第1号の法定記載事項を具備したものか否か、また、当該出面帳に基づく課税仕入れに係る消費税額の控除の範囲を判断したものである。
要旨
原処分庁は、本件出面帳について、その大半につき、消費税法第30条《仕入れに係る消費税額の控除》第8項第1号に規定する法定記載事項のうち課税仕入れに係る支払対価の額の記載がないことから、法定記載事項が記載された法定帳簿の保存を定めた同条第7項の趣旨に照らして、これを法定帳簿と認める余地はない等と主張する。
確かに、法定帳簿については、課税仕入れに係る①相手方氏名等、②課税仕入れの年月日、③その役務等の内容及び④支払対価の額の法定記載事項の各記載が必要であり、これらの要件を欠く帳簿は法定帳簿として認めることはできないものの、本件出面帳の記載内容等を法定帳簿の保存を法が定めた趣旨に照らせば、本件出面帳のうち、法定記載事項のすべてを満たしていると認められる部分のみを法定帳簿と認めることが法定帳簿の保存を定めた法の趣旨に反するとはいえない。したがって、当該原処分庁の主張を採用することができない。
参照条文等
請求人の行っている事業は、第三種事業に該当するものではなく、加工賃その他これに類する料金を対価とする役務の提供を行う事業であり、第四種事業に該当するとした事例
裁決事例集 第53集 491頁
要旨
請求人は、消費税の簡易課税制度の適用についての事業区分において、得意先から表生地の無償支給を受け、自己調達した裏生地及び芯地材並びにその他の副資材を用いてプレタポルテを製造するものであるが、裏生地及び芯地材もプレタポルテの主要な原材料であるから、本件事業は、第三種事業に該当すると主張する。
しかしながら、裏生地及び芯地材は、あくまでも表生地に付属するものであって、プレタポルテの主要な原材料である表生地の持っている特性を増補あるいは補完することにより衣服としての価値観、機能性を高めるものであるにすぎないから、プレタポルテの主要な原材料であるとは認められないので、本件事業は、加工賃その他これに類する料金を対価とする役務の提供を行なう事業に該当し、第四種事業とするのが相当である。
要旨
請求人は、[1]被相続人名義預金に振り込まれた売上代金は、被相続人の妻が全額受け取ったこと、[2]被相続人の事業廃止届を提出したこと、[3]被相続人の雇用していた従業員は、本人の意向を確かめた上で改めて請求人の事業に勤務させたことから、被相続人の事業を承継していない旨主張する。
しかしながら、消費税法第10条の相続により事業が承継されたか否かについては、請求人及び被相続人が営んでいた労働者の派遣業において、事業遂行上不可欠な要素である取引先及び取引先に派遣する塗装工が、被相続人から請求人に承継されているか否かで判断するのが相当であると解されるところ、取引先に関しては、[1]被相続人の事業を行う上で一身専属的な性質を有するものは必要でないこと、[2]請求人は被相続人の取引先との取引を継続していること、[3]請求人と取引先との取引条件は、被相続人が取引していた時と変更されていないことから、被相続人から請求人に承継されていると認めるのが相当である。また、取引先に派遣する塗装工に関しては、[1]被相続人の相続に際し、被相続人が取引先に派遣していた塗装工を請求人が解雇した具体的事実はないこと、[2]請求人は、塗装工を継続して取引先に派遣していること、[3]請求人が取引先に派遣している塗装工の雇用条件は、被相続人の事業に従事していた時と変更されていないことから、実態として、被相続人から請求人に承継されていると認めるのが相当である。
そうすると、本件においては、事業遂行上の要素である取引先、取引先に派遣する塗装工が共に本件被相続人から請求人に承継されているので、請求人は消費税法第10条第2項に規定する、相続により被相続人の事業を承継した相続人に該当すると認められ、請求人に納税義務があるとしてされた原処分は相当である。
仕入れに係る歩引き及び売上げに係る歩引きは、金融取引(非課税取引)に該当せず、消費税法第32条第1項及び同法第38条第1項に規定する「対価の返還等」に該当するとした事例
裁決事例集 第70集 381頁
要旨
請求人は、請求人の仕入れに係る歩引き(以下「本件仕入歩引」という。)及び売上げに係る歩引き(以下「本件売上歩引」という。)は、財務取引及び金融取引であるから、消費税法第32条第1項に規定する「仕入れに係る対価の返還等」及び同法第38条第1項に規定する「売上げに係る対価の返還等」には該当しない旨主張する。
しかしながら、本件仕入歩引の額又は本件売上歩引の額は、市中金利の変動や通常の支払期日と実際に支払われた日との期間の日数の長短に対応して各月別に具体的に計算するのではなく、単に各月の取引金額に対して請求人と仕入先又は売上先との間で取り決めた歩引率を乗じて計算しているものにほかならない。
本件仕入歩引又は本件売上歩引は、請求人と仕入先又は売上先との間において、手形ではなく現金で早期代金決済を行うことに対する奨励的な意味合いのもとに、買掛金又は売掛金の一部を減額するという決済条件の一つになっているものであり、その実質が値引き又は割戻しと同様であることから、消費税法第32条第1項に規定する「仕入れに係る対価の返還等」及び同法第38条第1項に規定する「売上げに係る対価の返還等」に該当すると認められる。
公演に係る主要な事項は請求人個人が行っていること、入場券の販売代金の取扱いは過去に請求人個人が行っていたとする公演時のものと異ならないことなどから、事業者は人格なき社団ではなく請求人個人であるとした事例
裁決事例集 第77集 469頁
要旨
平成15年及び平成16年に「Rの会」の名称をもって行われた伝統芸能の催しは請求人が主催したとして所得税の確定申告を行っているところ、平成17年及び平成18年に行われた本件公演は、①会場の手配、出演料の支払といった主要な事項、入場券の販売代金の取扱いは、平成16年までに行われた催しと異ならないこと、②公演の際に来場者に配付されたパンフレットの「あいさつ文」には請求人の個人名のみの記載があること、③請求人は、本件公演の出演者であるところ、本件公演が請求人以外により主催されたとした場合に、通常支払われることとなる出演料を受領していないこと及び④本件公演により発生した損失の額を、請求人の事業所得の金額の計算上、必要経費の額に算入していることからすれば、本件公演の主催者と平成15年及び平成16年に行われた催しの主催者は同一であると推認される。
また、Rの会代表S(請求人)名義の普通預金からのすべての出金を請求人自らが行っていることに加えて、出金に必要な印鑑についても請求人のものであることからすると、当該預金の管理は請求人が行っていたと認めるのが相当であり、さらに、当該預金の帰属が請求人からRの会に移転したとすれば請求人に交付されるべき当該預金の残高相当額を受領した形跡がないことからすると、当該預金は請求人に帰属していたと推認することができる。
そうすると、本件公演の主催者が平成15年及び平成16年に行われた催しの主催者である請求人からRの会に変更されたと認めることはできず、本件公演は、請求人が行っていたというべきであり、請求人が本件公演に係る資産の譲渡等に係る対価を享受していると認められるから、請求人が行った課税資産の譲渡等であるとするのが相当である。
請求人は、人格なき社団であるRの会が本件公演を行った旨主張するが、人格なき社団に当たるというためには、団体としての組織を備え、そこには多数決の原則が行われ、構成員の変更にもかかわらず団体そのものが存続し、そして、その組織によって代表の方法、総会の運営、財産の管理その他団体としての主要な点が確立しているものでなければならないと解されるところ、当審判所の調査において、Rの会の事務局長であると自認するNが、Rの会の規約、総会の議事録及び活動を証する資料について、その存在を明確に示すことができないこと並びにRの会の唯一の財産であるとする預金をNが管理していたとは認められないことからすると、Rの会が人格なき社団であるとは到底認めることはできず、請求人の主張は採用することができない。
要旨
請求人は、土地とともに取得した建物の取得価額は、時価により合理的に算定すべきであるから、売買契約書に記載された建物の価額によらず、売買代金総額を土地及び建物の各固定資産税評価額の価額比であん分して算定した価額によるべきであり、また、本件建物の課税仕入れに係る支払対価の額も、消費税法施行令第45条第3項及び租税特別措置法関係通達62の3(2)-3の規定等の趣旨に照らし、上記の方法により合理的に算定すべきである旨主張する。
しかしながら、本件の売買契約は、請求人及びA社が、契約当事者として本件契約書に記載された内容で合意し、本件契約の締結に至ったものと認められ、両者の間に、同族会社であるなど特殊な利害関係あるいは租税回避の意思や脱税目的等の下に故意に実体と異なる内容を契約書に表示したなどの事情は認められず、また、本件契約書に記載された本件建物の価額は、売主が不動産売買の仲介業者に本件土地建物の売却価額の査定を依頼し、その報告書を参考に決定したものであって、当審判所の調査によっても特段不合理なものとは認められないから、本件建物の減価償却に係る取得価額は、本件契約書に記載された本件建物の価額を基に算定するのが相当である。
また、本件建物の課税仕入れに係る支払対価の額も、本件契約書に記載された本件建物の価額が、契約当事者双方の契約意思を表示するものであり、本件契約書に実体と異なる内容を表示したなどの特段の事情もなく、また、その価額に特段不合理な点が認められないから、本件契約書に記載された本件建物の価額を基に算定するのが相当である。
旅券の番号、購入者の氏名及び生年月日が記載されていない購入者誓約書は、その提出した者が非居住者であることが確認できず、消費税法第8条第2項に規定する書類に当たらないことから、輸出物品販売場の免税の適用はできないとした事例
裁決事例集 第79集
要旨
請求人は、旅券の番号、購入者の氏名及び生年月日が記載されていない購入者誓約書は、たまたま、一部記入漏れとなっていたものにすぎないから、消費税法第8条第2項に規定する「当該物品が非居住者によって同条第1項に規定する方法により購入されたことを証する書類」に当たる旨主張する。
しかしながら、当該購入者誓約書の販売者氏名、上陸地、国籍、購入年月日、上陸年月日、品名、数量、単価及び販売価額の各欄には記載があるものの、当該購入者誓約書の「署名」欄はいずれも○○文字1文字しか記載されてないこと、当該購入者誓約書の旅券等の「番号」欄及び「購入者氏名及び生年月日」欄にはいずれも記載がないことからすれば、当該購入者誓約書では、当該購入者誓約書を請求人に提出した者が非居住者であるか否かを確認することができず、当該購入者誓約書は、記載された物品が非居住者によって消費税法第8条第1項に規定する方法により購入されたことを証する書類とはいえないから、請求人がこれを整理して保存していたとしても、当該購入者誓約書は、消費税法第8条第2項に規定する書類に当たらない。
参照条文等
歯科技工を営む者が自ら原材料等を購入して、歯科補てつ物を製作し受注先に納入している場合の消費税の簡易課税制度における事業区分は、第四種事業(サ-ビス業)に該当するとした事例
裁決事例集 第54集 493頁
要旨
請求人は、請求人の歯科技工所の事業形態は、原材料、中間材料、機械設備などをすべて自ら調達し、原材料等に物理的、科学的、機械的変化を施した歯科補てつ物を患者固有の口腔内に適合、機能できるように製作して受注先へ納入していることから第三種事業(製造業)に該当する旨主張する。
しかしながら、請求人の事業をみると、もっぱら歯科医師等の受注先から補てつ物等を作成するうえでの具体的指示事項が記載されている技巧伝票及び石こうの歯形の提供を受けて歯科補てつ物等を作成して納入しているのであり、同物を何の制約等を受けることなく自由に作成できるものではない。請求人は、歯科医師が指示する形状、サイズ、材質等に従って歯科補てつ物を作成しなければならないのであり、歯科医師の指示によらず作成する歯科材料製造業等とは全く異なっている。
また、請求人の事業は誰でも自由に行い得るものではなく、歯科医師ないし歯科技工士としての国家資格が認められた者でなければ行い得ないものであって、歯科医師は歯科医師及び歯科技工士以外の誰にも事業としての歯科補てつ物等の作成を依頼することができないことから、本件事業は歯科医師の指示に基づいて歯科医療に係る知識若しくは技能、技術を提供するものであり、歯科補てつ物等の作成も歯科医療行為の一環として行っているものと解するのが相当である。
そうすると、本件事業は、歯科補てつ物等を製作する製造業としてよりも、歯科補てつ物等の製造、納入による歯科医療行為に付随するサービス提供事業である点にその本質があるものと解されることから、第四種事業(サービス業)に該当する。
要旨
請求人は、簡易課税制度選択届出書の提出に当たって、原処分庁から簡易課税に関する説明が一切なかったことから、簡易課税とは単に消費税を算出する計算過程が簡単になるという認識しかなく、その提出は錯誤によるものであり無効であるから、本件課税期間について本則課税を認めるべきであると主張する。
しかしながら、簡易課税制度選択届出書が錯誤により無効となるのは、請求人の錯誤が、客観的に明白かつ重大なものである場合に限られると解すべきところ、本件簡易課税制度選択届出書は、本件課税期間から適法にその効力を有しているものと認められ、また、請求人はグループの営業担当者から消費税等の届出書の提出について指導を受けていることから、簡易課税制度の内容については十分知りえたものと認められる。
したがって、本件簡易課税制度選択届出書の提出は、請求人自身の判断に基づいてなされたものであり、提出に当たって請求人に本件簡易課税制度選択届出書の提出が無効となるような客観的に明白かつ重大な錯誤があったとは認められないから、請求人の主張には理由がない。
要旨
請求人は、本件課税期間においては介護保険法上の指定を受けていないため、請求人が取得した認知症対応型共同生活介護を内容とする地域密着型サービス事業(本件介護事業)に対応し得る本件施設において本件介護事業を行うことは不可能であり、本件課税期間における本件施設に係る課税資産の譲渡等は自動販売機手数料のみしかなく、本件施設は飽くまで課税資産の譲渡等にのみ要するもの(課税用)として供したから、本件施設に係る課税仕入れの用途区分は課税用に区分される旨主張する。
しかしながら、消費税法基本通達11-2-20《課税仕入れ等の用途区分の判定時期》が定める、課税仕入れを行った日の状況とは、当該課税仕入れを行う目的や当該課税仕入れに対応する資産の譲渡等がある場合には、その資産の譲渡等の内容等を勘案して判断するのが相当である。
請求人は、①本件課税期間より前に本件介護事業の適正事業者の決定を受け、本件施設の新築工事に着工し、本件課税期間中にその引渡しを受けたこと及び、②本件課税期間中に介護保険法に規定する地域密着型サービス事業を行う事業所の指定を受けるための指定申請書を提出し、同期間内にその指定通知書を受理していることからすれば、請求人は本件施設の取得日において、介護保険法の規定に基づく介護事業を行う目的で本件施設を取得したものと認められる。
そして、本件介護事業に係る資産の譲渡等については原則として消費税は課されないこと、請求人は本件課税期間内において本件施設に関し自動販売機設置手数料を得ていることから、本件施設に係る課税仕入れの用途区分については、課税資産の譲渡等とその他の資産の譲渡等に共通して要するもの(共通用)に区分するのが相当である。
参照条文等
消費税法第6条第1項、第30条、別表第一第7号イ 消費税法施行令第14条の2第3項第2号 消費税法基本通達11-2-20
要旨
請求人は、自己が営む個人事業を法人組織とするに当たり、まず金銭の出資により法人を設立し、その後、個人事業に係る資産及び資産と同額の負債を当該法人に引き継いだところ、原処分庁が、本件法人成りは「対価を得て行われる課税資産の譲渡」であるとして消費税等の更正処分をしたのに対し、本件法人成りは、「営業」という組織的有機的一体物の譲渡であるから「営業」それ自体を一個の資産ととらえて課税すべきである。したがって、原処分庁が、かかる「営業」を資産と負債に分離・分解した上で、負債の引受額を消費税法上の資産の譲渡等の反対給付と認定し課税したのは違法である。すなわち、本件法人成りの実態は現物出資と同様であるから、消費税法の適用においても現物出資に準じて取り扱うべきで、そうすると、その対価となるべき取得する株式がない本件法人成りにおいて消費税額は発生しない旨主張する。
しかしながら、消費税の課税対象は、「国内において事業者が事業として対価を得て行われる資産の譲渡等」と解されるところ、消費税法において、資産(非課税取引を含む)及び負債が一体となった「営業」それ自体を一つの課税客体ととらえて課税対象とする規定は存在せず、譲渡された資産の相手勘定を負債とした法人における仕訳処理は、本件法人成りにおいて負債の引受けが資産の引受けの反対給付である証であり、請求人は、資産の譲渡の対価として法人から金銭を収受する代わりに負債を引き受けさせ、債務の支払義務の消滅という経済的利益を得たものであるから、当該負債の引受額は消費税法における資産の譲渡の対価の額に相当する。
労働者派遣事業を営む審査請求人が派遣労働者に支払う金員は、雇用契約又はこれに類する原因に基づき、労務の対価として請求人から本件派遣労働者に支給されたものであり、所得税法第28条第1項に規定する給与等に該当するものと認められることから、 課税仕入れに当たらないとした事例
裁決事例集 第78集 488頁
要旨
請求人は、本件派遣労働者に対する業務上の指揮命令権はすべて本件派遣先にゆだねられており、また、労働者派遣法において派遣先にも一定の義務を課しているのは、請求人が本件派遣労働者に対してすべての責任を負うものではないことを裏付けたものであるから、請求人と本件派遣労働者との関係は、雇用として認識するより業務請負と考えるべきであり、本件金員は外注費(本件派遣労働者からのサービスの提供に対する対価)である旨主張する。
しかしながら、請求人と本件派遣労働者との間には雇用関係が成立しており、本件派遣労働者は、請求人との雇用関係の下に、請求人の指揮命令に従うほか、本件派遣先の指揮命令を受けて、当該派遣先のために労働に従事していたものと認められ、本件金員は、請求人と本件派遣労働者との雇用契約又はこれに類する原因に基づき、請求人の指揮命令に服して提供した労務の対価として請求人から本件派遣労働者に支給されたものであり、所得税法第28条第1項に規定する給与等に該当するものと認めるのが相当である。
したがって、本件金員を対価とする役務の提供を受けることは、消費税法第2条第1項第12号に規定する課税仕入れに当たらないので、同法第30条第1項に規定する課税仕入れに係る消費税額の控除をすることはできず、請求人の主張は、独自の見解というべきであって、採用することはできない。
ポイント
この事例は、旅行会社等が企画、手配するいわゆるパック旅行等における日本国内での飲食、宿泊、輸送等の役務提供は、販売先が国内に支店又は出張所を有しない外国法人であっても、当該旅行の参加者が国内において直接便益を享受する取引に当たる場合には、輸出免税取引に該当しないとしたものである。
要旨
請求人は、請求人が旅行業を営む非居住者である外国法人に対して販売した国内パッケージツアーは、請求人が国内の各種サービス提供機関から、ホテル、レストラン、バス等の利用につき購入して作成した国内旅行を販売(本件取引)しているものであり、当該外国法人に対して飲食、宿泊、輸送等の役務の提供をしていないこと、また、当該外国法人は飲食、宿泊、輸送等の役務を国内において直接享受するものではないことから、消費税法施行令第17条《輸出取引等の範囲》第2項第7号のロ又はハに該当せず、消費税法第7条《輸出免税等》第1項に規定する輸出免税取引に該当し、原処分は違法である旨主張する。
しかしながら、請求人が当該外国法人から受領する本件取引に係る対価の額には、旅行者が各種サービス提供機関から直接便益を享受する飲食、宿泊、輸送等の役務の提供の対価に相当する金額が含まれていると認められるところ、当該旅行者が飲食、宿泊、輸送等について国内において直接便益を享受していることは、消費税法施行令第17条第2項第7号のロ又はハに該当する輸出免税の対象となるものから除かれる非居住者に対する役務の提供に当たる。したがって、本件取引に係る対価の額のうち請求人が支払った飲食、宿泊、輸送等の役務提供に係る対価の額に相当する金額は、輸出免税取引の対価の額には該当しない。
参照条文等
参考判決・裁決
要旨
請求人は、請求人の営む歯科技工所は、社会通念上、製造業というべきである旨主張する。
しかしながら、歯科技工は、免許を受けた歯科技工士でなければ業として行うことができないとされ、また、設計、作成の方法、使用材料等が記載された指示書によらなければならないとされるのは、これを行うには相当高度な専門知識、技能・技術が必要とされるためだけでなく、歯科技工士は歯科医師の補助者として歯科医療行為の一環としてこれを行うものであるから、たとえ請求人において材料を購入し、その技術を駆使して義歯を作成しているとしても、本件事業の本質は、歯科医師が患者に対してする医療行為と同様、専門的な知識、技能等を提供することにあるということができ、以上からすると、本件事業は、社会通念上もサービス業に該当すると解するのが相当である。
ポイント
個別対応方式により仕入れに係る消費税額を計算する場合において、課税仕入れを課税資産の譲渡等にのみ要するもの、その他の資産の譲渡等のみに要するもの及び課税資産とその他の資産の譲渡等に共通して要するものに区分する場合の当該区分(用途区分)は、課税仕入れを行った日の状況により行うこととなる。
この事例は、マンションの取得に際し、建物部分と水道施設利用権をそれぞれ別の時期に取得していたことから、それぞれ取得の日の状況で用途区分を判断したものである。
要旨
請求人は、本件建物の取得目的がF社に対して本件建物及びこれに付属する機械式駐車場(本件マンション)に係る信託受益権を売買することにあり、また、本件建物の取得に係る課税仕入れのあった日において、F社との間の信託受益権売買契約の法的な解除やテナントとの間の賃貸借契約の締結がされていなかったとして、本件建物及び本件水道施設利用権の取得に係る課税仕入れが課税資産の譲渡等にのみ要するもの(課税用)に該当する旨主張し、一方、原処分庁は、本件マンションの取得目的は販売及び住宅として貸し付けることであったことから本件建物及び本件水道施設利用権の取得に係る課税仕入れは課税資産の譲渡等とその他の資産の譲渡等に共通して要するもの(共通用)に該当する旨主張する。
請求人は、本件建物の取得に係る課税仕入れのあった日において、F社による信託受益権の売買残代金の支払が事実上不可能で、F社との間の信託受益権売買契約を解消することとなり、同契約において予定されていた日に信託受益権の譲渡が行われないとの認識を有していたといえ、さらに、請求人は、F社が破産手続開始の決定を受ける以前に、本件マンションの新たな売却先を探すため、L社に本件マンションの再査定を依頼したことが認められ、本件マンションの売却先及び売却時期が未定の状況下で、請求人自らがH社との間で本件マンションの管理委託契約を締結し、入居者の募集を開始したという賃料収入を得ることを前提とした行為をしていることを考え併せると、本件建物の取得に係る課税仕入れのあった日において、請求人は、本件マンションの新たな売却先が見つかるまでの間、本件マンションを住宅として貸し付け、これによる賃料収入を得ることを予定していたと認めることができる。そうすると、本件建物の取得に係る課税仕入れを本件信託受益権の売買にのみ要する課税仕入れとして、課税用として区分したことには合理性がないというべきであり、本件建物の取得に係る課税仕入れは、共通用に該当すると認めるのが相当である。
一方、本件水道施設利用権の取得に係る課税仕入れのあった日においては、請求人に帰属すべき賃料収入が生ずる可能性は、具体的なものではなかったというべきであり、同日における状況からすれば、請求人に賃料収入が帰属することが予定されていたということはできず、本件水道施設利用権の取得に係る課税仕入れを信託受益権の売買にのみ要する課税仕入れとして、課税用として区分したことが不合理な区分とまではいうことはできないから、本件水道施設利用権の取得に係る課税仕入れは、課税用と認めるのが相当である。
参照条文等
参考判決・裁決
請求人が提出した消費税法第9条《小規模事業者に係る納税義務の免除》第4項に規定する消費税課税事業者選択届出書は、事業者ではない者が提出したものであり、同項の適用は認められないと認定した事例(平24.1.1~平24.12.31の課税期間の消費税及び地方消費税の更正処分・棄却)
裁決事例集 第99集
要旨
請求人は、課税期間(本件課税期間)の開始の日の前日までに、消費税法第9条《小規模事業者に係る納税義務の免除》第4項に規定する同条第1項本文の適用を受けない旨の届出書(本件選択届出書)を提出しているから、本件課税期間において納税義務は免除されず、消費税及び地方消費税(消費税等)の還付を受けることができる旨主張する。
しかしながら、請求人は、本件選択届出書を提出した日の属する課税期間において、消費税法上の事業者ではなく、本件選択届出書は、事業を行う個人以外の個人から提出されたものであって、その届出の実体的効果は、本件選択届出書が提出された時から生じていないというべきである。したがって、請求人は、本件課税期間において消費税を納める義務が免除される事業者であるから、本件課税期間における消費税等の還付を受けることはできない。
参照条文等
要旨
請求人は、送付されてきた消費税の届出書に関する案内チラシは簡易課税の選択を誘導する内容のものであったので、消費税簡易課税制度の仕組みをよくわからないまま消費税簡易課税制度選択届出書を提出したのであり、また、同届出書の「事業内容等」欄の「事業区分」の記載漏れは重要事項であるのに、原処分庁はその連絡をせず同届出書を撤回する機会を失ったのであるから、本則課税によって課税仕入れに係る消費税額を計算し、納付すべき消費税額を算出した申告は認められるべきであると主張する。
しかしながら、本件案内チラシは、簡易課税の選択を誘導するような内容ではなく、また、撤回するかどうかは、事業者本人の判断と責任においてなされるべきであり、記載漏れがあったことについて原処分庁からの連絡があったかどうかによって左右されるものでないことは明らかである。
また、いったん消費税簡易課税制度選択届出書を提出し、簡易課税を選択した以上、簡易課税の適用をやめようとする旨の届出書を提出しない限り本則課税が適用されることはないので、請求人の主張には理由がない。
住宅の貸付け等の用に供している建物を販売用として取得したとしても、課税仕入れの用途区分は、課税資産の譲渡等とその他の資産の譲渡等に共通して要するものに該当するとした事例
裁決事例集 第86集
ポイント
個別対応方式により仕入れに係る消費税額を計算する場合において、課税仕入れを「課税資産の譲渡等にのみ要するもの」、「その他の資産の譲渡等にのみ要するもの」及び「課税資産の譲渡等とその他の資産の譲渡等に共通して要するもの」に区分する場合の当該区分(いわゆる用途区分)は、課税仕入れを行った日の状況により行うと解されている(消費税法基本通達11-2-20)ところ、この事例は、住宅の貸付け等の用に供している建物を販売用として取得した場合の用途区分について判断を示したものである。
要旨
請求人は、販売する目的で本件各建物を取得したのであるから、その取得に伴い住宅貸付けによる収入が発生する場合であっても、その取得は、消費税法第30条《仕入れに係る消費税額の控除》第2項第1号に規定する個別対応方式による課税仕入れ等に係る消費税の控除額の計算において、「課税資産の譲渡等にのみ要する課税仕入れ」に該当する旨主張する。
しかしながら、課税仕入れ等の用途区分の判定は、課税仕入れ等を行った日の状況により、当該課税仕入れ等の目的及び当該課税仕入れ等に対応する資産の譲渡等の内容を勘案して行うのであるから、本件各建物の取得は、たとえその取得目的が販売用であったとしても、その取得の時点において本件各建物は住宅の貸付け等の用に供されていたのであるから、「課税資産の譲渡等と課税資産の譲渡等以外の資産の譲渡等に共通して要する課税仕入れ」に該当する。
参照条文等
参考判決・裁決
信用を出資の目的とした出資の額は消費税法上の出資の金額に含まれ、請求人は消費税法上の新設法人に該当するため消費税等を納める義務が免除されないとした事例(消費税及び地方消費税の更正の請求に対してされた更正をすべき理由がない旨の通知処分・棄却)
裁決事例集 第107集
ポイント
本事例は、信用を出資の目的とした出資の額は消費税法第12条の2《新設法人の納税義務の免除の特例》第1項に規定する「出資の金額」に該当するとしたものである。
要旨
請求人は、消費税法第12条の2《新設法人の納税義務の免除の特例》第1項に規定する「事業年度開始の日における資本金の額又は出資の金額」について、消費税法に定義規定が置かれていないから会社計算規則第30条《資本金の額》第1項の規定を借用すべきであり、これを借用すると信用を出資の目的とした出資(以下「信用出資」という。)は資本金概念に含まれないから、当該課税期間において消費税及び地方消費税(以下「消費税等」という。)を納める義務はない旨主張する。
しかしながら、関係法令の規定からすると、請求人が受け入れた信用出資は消費税法第12条の2第1項に規定する「出資の金額」に該当するものと解され、当該信用出資の額は1千万円以上であることから、請求人は当該課税期間において消費税等を納める義務を免除されない。
参照条文等
消費税法第9条第1項、第12条の2第1項 行政書士法第13条の21第1項 会社法第580条第1項、第622条第1項、第666条 会社計算規則第30条第1項
海外の旅行者向けの訪日旅行のうち当該旅行者が国内において飲食等のサービスを受ける対価に相当する部分の金額は輸出免税の対象とはならないとした事例(平22.6.1~平23.5.31の課税期間の消費税及び地方消費税の更正の請求に対する更正をすべき理由がない旨の通知処分・一部取消し)
裁決事例集 第93集
ポイント
本事例は、争点に関する請求人の主張については排斥したものの、請求人が、当初申告において国内における飲食等のサービスの対価に相当する金額について、課税売上げ及び課税仕入れのどちらにも含めずに納付すべき消費税等の額を計算していたことから、当該金額を課税売上げ及び課税仕入れの双方に含めて再計算した結果、課税売上割合が変動したことに伴い、更正の請求の一部が認められるとしたものである。
要旨
請求人は、請求人が訪日旅行を主催する海外の旅行会社(本件海外旅行会社)に対して提供した当該訪日旅行の国内旅行部分(本件取引)は、旅行の企画、手配等とともに当該訪日旅行に参加した旅行者(本件旅行者)が国内において各種サービス提供機関から飲食、宿泊、輸送等の各種サービスを受けられるという地位を設定する包括的な役務提供であって、本件取引に係る対価の額には、飲食、宿泊、輸送等の役務の提供の対価に相当する金額は含まれていないこと、また、本件海外旅行会社は、国外において当該地位の設定を受け、訪日旅行を販売できるという便益を国外で享受していることから、消費税法施行令第17条《輸出免税取引の範囲》第2項第7号イないしハのいずれにも該当せず、消費税法第7条《輸出免税等》第1項に規定する輸出免税に該当し、原処分は違法である旨主張する。
しかしながら、請求人が本件海外旅行会社から受領する本件取引に係る対価の額には、本件旅行者が各種サービス提供機関から直接便益を享受する飲食、宿泊、輸送等の役務の提供に係る対価に相当する金額が含まれていると認められるところ、本件旅行者が飲食、宿泊、輸送等について国内において直接便益を享受していることは、消費税法施行令第17条第2項第7号ロ又はハに該当し、輸出免税の対象となるものから除かれる役務の提供に該当する。また、本件海外旅行会社が受ける便益に関し、仮に請求人から提供を受ける包括的な役務というものを考えるとしても、請求人が本件旅行者に対し各種サービス提供機関をして各種サービスを提供させるのは、請求人の本件海外旅行会社に対する役務の提供と評価することが適当であり、本件海外旅行会社が国内において直接享受していると評価されることから、本件取引に係る対価の額のうち、請求人が各種サービス提供機関に支払った飲食、宿泊、輸送等の役務の提供に係る対価の額に相当する金額は、輸出免税取引の対価の額に該当しない。
参照条文等
参考判決・裁決
簡易課税制度を選択していた課税事業者が、免税事業者に該当する課税期間について課税事業者選択届出書を提出したとしても、当該課税期間において本則課税を適用して消費税の仕入れに係る消費税額を算出することは認められないとした事例
裁決事例集 第66集 341頁
要旨
請求人は、課税事業者に該当することから簡易課税制度を選択したものであり、免税事業者であれば簡易課税制度を選択することもないし、消費税法第37条は法的効力も有しないところ、請求人の本件課税期間に係る基準期間の課税売上高は3000万円以下であり、免税事業者であるにもかかわらず、本件課税期間について課税事業者選択届出書を提出することにより、消費税法第9条第1項本文の特例規定の適用を放棄して課税事業者となったのであるから、本件課税期間の仕入れに係る消費税額の計算においては、消費税法第37条の規定の適用はなく、原則計算である同法第30条の規定により行うこととなる旨主張する。
しかしながら、[1]請求人は平成7年3月23日に簡易課税選択届出書を提出した後、平成14年12月24日に簡易課税制度選択不適用届出書を提出しているが、それ以前に簡易課税制度選択不適用届出書を提出した事実は認めらないこと、[2]平成14年6月24日に適用開始日を本件課税期間の開始日とする課税期間特例選択届出書を提出した上で、本件課税期間について課税事業者選択届出書を提出していること及び[3]本件課税期間に係る基準期間における課税売上高は2億円以下であることから、期間において簡易課税制度の適用を受ける事業者であることは明らかである。
消費税法第9条第4項に規定する課税事業者選択届出書を提出した事業者は、同条第1項本文の規定の適用はないのであるから同法第37条第1項のかっこ書きにある「同法第9条第1項本文の規定により消費税を納める義務を免除される事業者を除く」の規定により同法第37条の規定が適用されないと解する余地はないといわざるを得ず、請求人の主張は独自の見解に基づくものであるから、採用することはできない。
以上のとおり、原処分庁が、請求人の本件課税期間の消費税等について簡易課税制度を適用して仕入れに係る消費税額を算出したことは相当と認められる。
要旨
請求人は、自己が営む事業につき、顧客先との間で取り交わした契約書の表題は「請負契約書」であり、その「業務の内容」の項において具体的な作業内容が明記されるとともに、請負金額は生産状況により調整する旨記載されており、この契約に基づいて役務を提供して対価を受け取っていたものであるから、製造業のうち役務の提供を行う事業に該当することとなり、消費税の簡易課税制度における事業区分上、第四種事業に該当する旨主張する。
しかしながら、消費税の簡易課税制度を公平に適用するためには、日本標準産業分類を基礎として判定することが有用であるところ、請求人が顧客先に派遣する社員は、顧客先の社員の指揮命令を受けて作業に従事していること、請求人は、顧客先との間で、別途「覚書」を交わしており、それによれば、顧客先へ請求する役務の対価の額は派遣した社員の勤務時間や時間給を基礎として算定するとされ、実際にもこれによっていること等からすれば、当該役務の対価の額は、民法第632条が規定する請負契約において予定されている仕事の結果に対する報酬でなく、派遣した社員の労働の対価と認められることから、当該取引は、形式上、請負契約の体裁をとるものの、実質的には請負といえず、日本標準産業分類の大分類「サービス業」の中分類「その他の事業サービス業」の細分類の「労働者派遣業」(派遣するために雇用した労働者を、派遣先事業所からその業務の遂行等に関する指揮命令を受けてその事業所のための労働に従事させること)に該当し、事業区分について、より合理的な他の基準がないことから、請求人の営む事業は第五種事業に区分されるサービス業に当たると認められる。
請負代金のうちに法人税法上寄附金の額に含まれるとされる金額があるとしても、当事者間で取り決めた実際の取引額として受領した金額であれば、消費税法上は課税資産の譲渡等の対価の額に含まれるとした事例
裁決事例集 第80集
要旨
請求人は、関係法人C社から受領した賃貸用マンション(本件建物)の新築工事に係る請負代金(本件請負代金)のうち、C社に対する税務調査により通常の取引価額を超え実質的に贈与したと認められるため法人税法上請求人に対する寄附金とされた部分の金額(本件寄附金)は、請求人においても対価性がないことになるから、消費税法上、資産の譲渡等の対価の額に該当せず消費税の課税対象外となる旨主張する。
しかしながら、消費税の課税標準である課税資産の譲渡等の対価の額は、その取引額が時価であるか否かにかかわらず、その譲渡に係る当事者間で取り決めた実際の取引額であると解されるところ、本件請負代金は、請求人とC社との間で有効に成立した請負契約に基づき、請求人が本件建物を完成させ引渡しをし、それに対してC社が対価として支払ったものであるから、本件請負代金のうち本件寄附金に相当する金額は、法人税法上は寄附金の額に含まれるとしても、消費税法上は課税資産の譲渡等の対価の額に含まれると認められ、消費税等の課税対象になる。
参照条文等
ポイント
軽油引取税は、特約業者等(地方税法第144条に規定する特約業者又は元売業者をいう。)から軽油を引き取る者に対し課される税であり、当該特約業者等が特別徴収の方法により、当該引き取る者から徴収することとなっている税であるところ、この事例は、軽油取引税名目の支払額につき、軽油の販売業者が特約業者等であるか否かによって、消費税法上の課税仕入れに係る支払対価の額に該当するか否かを判断したものである。
要旨
納税義務者の租税の支払は、課税仕入れに係る支払対価の額には該当しないから、軽油引取税を納税義務者として支払う場合には、軽油引取税に相当する金額は課税仕入れに係る支払対価の額には該当しないと解するのが相当である。
軽油引取税に関する地方税法の規定によれば、軽油引取税の特別徴収義務者である特約業者等又は特約業者等との間で委託販売契約を締結した受託販売業者から軽油を引き取る者が、当該特約業者等又は受託販売業者に支払う軽油引取税相当額は、納税義務者としての租税である軽油引取税の支払であるから課税仕入れに係る支払対価の額には該当せず、一方、当該特約業者等又は受託販売業者ではない者から軽油を引き取る者が支払う軽油引取税相当額は、課税仕入れに係る支払対価の額に該当すると解するのが相当である。
請求人の取引先の一については、上記特約業者等又は受託販売業者ではない者であり、請求人が支払う軽油引取税相当額は課税仕入れに係る支払対価の額に当たるが、他の取引先については、軽油引取税の特別徴収義務者である特約業者等に該当することから、請求人が納税義務者として軽油取引税を支払うことになり、課税仕入れに係る支払対価の額には当たらない。
参照条文等
参考判決・裁決
ポイント
本事例は、原処分庁が、請求人を名宛人とする外国からの郵便物に添付された税関告知書記載の価格に基づき消費税の課税標準を算出するなどした上で、請求人に消費税等の賦課決定処分を行ったところ、当該郵便物の内容品の価格は、請求人が購入した商品の価格であると認められ、当該税関告知書に記載された価格は誤りであると判断して、原処分を取り消したものである。
要旨
原処分庁は、外国から発送された請求人を名宛人とする郵便物(本件郵便物)の内容品の価格は、税関告知書に記載された金額(本件金額)と認められることから、関税定率法(定率法)第4条の6《航空運送貨物等に係る課税価格の決定の特例》第2項の適用がある場合における本件郵便物の課税価格は本件金額に基づいて算出すべきである旨主張する。
しかしながら、請求人は中古のミニカー1個(本件商品)を購入していたところ、①請求人による本件商品の発注から本件郵便物の受取までを一連の手続としてみた場合に時系列の点で矛盾点がなく、かつ、不自然な点がないことに加え、請求人と本件商品の譲渡人との電子メールの件名や添付された画像データからも、本件郵便物の内容品は本件商品であったと考えるのが自然であること、②本件郵便物の内容品及び本件商品の原産国や重量などをみても、本件郵便物の内容品は本件商品であったと考えるのが自然であること、③請求人と本件商品の譲渡人との電子メールでのやり取りから、本件郵便物の内容品が本件商品以外の別の貨物である可能性は極めて低いことを総合勘案すると、本件郵便物の内容品は本件商品であったと認められる。したがって、本件郵便物の課税価格を本件金額に基づいて算出した賦課決定処分はその全部を取り消すべきである。
区分所有者たる請求人の建物管理組合に対する管理費の支払は、当該管理組合の構成員たる地位に基づいて負担するものであるから、資産の譲渡等の対価には該当しないとした事例
裁決事例集 第89集
ポイント
本事例は、区分所有者として請求人が支払ったと認められる管理費の額の算定については、当該管理費の額が建物の区画(部屋番号)に応じて計算されていることから、共有持分割合によらず、区分所有する部分に対応するものとして算定するのが合理的として、処分の一部を取り消したものである。
要旨
請求人は、請求人が区分所有する建物(本件建物)の管理組合(本件管理組合)に対して負担すべき管理費(本件管理費)は、本件管理費の額が本件建物の店舗、事務所等の使用形態による受益に応じて算定されていること及び本件管理組合は本件建物の維持管理が業務(本件管理業務)であることから、本件管理業務という役務の提供の対価として支払ったものであり、消費税法第30条《仕入れに係る消費税額の控除》第1項に規定する課税仕入れに該当する旨主張する。
しかしながら、本件管理費の支払は、本件管理業務に要する費用を、請求人が本件管理組合の構成員たる地位に基づき負担するにすぎず、本件管理組合が本件管理業務を行う上において、請求人は、何らかの資産の譲渡等の反対給付として対価を支払っているものではないから、本件管理組合にとって本件管理費の収受は、資産の譲渡等の対価には該当せず、消費税法上はいわゆる不課税取引となり、請求人がこれを課税仕入れにすることはできない。
参照条文等
既製服プレス加工業は、日本標準産業分類五十音索引表の「プレス仕上げ業(既製服などの仕上げ工程として行うもの)」(大分類L-サービス業)と同一の事業を意味するものと認められることからサービス業に該当し、簡易課税制度における事業区分は第五種事業であるとした事例
裁決事例集 第67集 758頁
要旨
請求人は、本件事業は、既製服製造業者より依頼を受け、既製服製造工程の一部であるプレス加工を営むものであり、加工賃等を対価とする役務の提供を行う事業に該当するから、第四種事業となる旨主張する。
課税事業者が簡易課税制度選択届出書を届け出た場合には、実際の仕入れに係る消費税額を計算することなく、その事業者の営む事業の種類の区分に応じたみなし仕入率を乗じて計算した金額を仕入れに係る消費税額とみなして控除することができることとされているが、消費税法及び施行令には、具体的にどの業種が何業に該当することになるかについては、格別規定がないため、社会通念に照らして判定することになる。
日本標準産業分類は、統計調査の結果を産業別に表章する場合に用いる分類として定められたものであり、日本の産業に関する統計の正確性と客観性を保持し、産業統計の信頼性を高めるために広く定着しているものであるといえ、事業の範囲を判定するのに当たり日本標準産業分類の大分類に掲げる分類を基礎とする旨の消費税法基本通達13-2-4は、当審判所においても相当と認められる。
一般に既製服は、[1]裁断、[2]縫製、[3]ボタン付け、[4]マトメ、[5]検針、[6]プレス(アイロンかけ)[7]値札等の取付けの各工程を経て、商品が製造されるが、本件事業の主たる作業は、商品価値を高めるために請負元から受け取った製品のしわを取り除き、膨らみを持たせるために行う[6]プレス(アイロンかけ)による仕上げであると認められるところ、日本標準産業分類五十音索引表の「プレス仕上げ業(既製服などの仕上げ工程として行うもの)」(大分類L-サービス業)と同一の事業を意味するものと認められるから、本件事業はサービス業に該当し、簡易課税制度における事業区分は第五種事業であると認められる。
消費税の確定申告書を法定申告期限までに提出できなかったこと及び簡易課税制度選択届出書を提出できなかったことは、原処分庁の説明及び周知努力の不足のためであるから、簡易課税制度を適用して消費税等の納付すべき税額を計算すべきであり、無申告加算税の賦課決定処分も違法であるとの請求人の主張を、確定申告書の提出及び簡易課税制度の選択は請求人自身の責任と判断においてなされるべきであり、税法の単なる不知により不利益を受けたとしても、納税者自身が甘受せざるを得ないとして排斥した事例
裁決事例集 第68集 276頁
要旨
- 請求人は、簡易課税制度選択届出書を提出できなかったのは、[1]会社設立時の届出をした際に、原処分庁から簡易課税制度について説明が一切なかったこと、[2]会社設立時の届出書類一式の中に簡易課税制度選択届出書の用紙がなかったこと、[3]簡易課税制度について原処分庁が十分な周知を行わなかったことが原因であるから、原処分庁は、簡易課税制度を適用して消費税等の納付すべき税額を計算すべきである旨主張する。
しかしながら、税務署長が納税者に対して、簡易課税制度について周知しなければならないとする法令上の規定はなく、また、申告納税制度の下における消費税等の確定申告、申請及び届出等の手続は納税者自身の責任と判断においてなされるべきであり、税法の単なる不知により納税者自身不利益を受けたとしても、それは納税者自身において甘受せざるを得ないと解されるから、この点に関する請求人の主張には理由がない。 - 請求人は、消費税等の確定申告書を法定申告期限までに提出できなかったのは、原処分庁が、[1]申告書用紙を送付してこなかったこと、[2]当該申告が必要であることを事前に通知しなかったことが原因であるから、これらをしないで行った本件各賦課決定処分は違法である旨主張する。
しかしながら、消費税は、税務署長からの通知、案内等の有無にかかわりなく、法定の期限内に確定申告書を提出することを義務付けられているのであり、原処分庁による申告書用紙の送付は、国民の納税義務の適正かつ円滑な履行を確保するため、行政上任意的に行われる納税者に対するサービスの一環にすぎず、消費税法その他の関係法令の規定に基づくものではないから、申告書用紙の送付がなかったからといって、それが法定申告期限内に提出ができなかったことの正当な理由にはならない。
米軍基地内における資産の譲渡等は非課税取引に該当するとした事例(平22.5.1~平24.4.30の各課税期間の消費税及び地方消費税の各更正処分並びに過少申告加算税の各賦課決定処分・棄却)
裁決事例集 第95集
要旨
請求人は、在日米軍基地内の営業店舗におけるアメリカ合衆国軍隊の構成員等に対する物品の販売(本件米軍基地内取引)については、日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定(日米地位協定)第15条の規定により消費税法が適用されないから、消費税法上の「国内において行った資産の譲渡等」に該当せず、また、消費税法別表第一にも掲げられていないため、課税売上割合の計算において分母及び分子のいずれにも算入されない旨主張する。
しかしながら、消費税法第2条《定義》第1項第1号が「国内」を「この法律の施行地」と定義しており、在日米軍基地が日本の領土内にあることは明らかであるから、本件米軍基地内取引は、消費税法上の国内における資産の譲渡等に該当する。そして、条約である日米地位協定は国内法である消費税法に優先して適用されることになるところ、本件米軍基地内取引は、日米地位協定第15条第2項前段に規定する諸機関による商品等の販売に該当し消費税が課されないが、本件米軍基地内取引に係る商品の購入については、同項後段の規定により消費税が課されることとなる。ところで、仕入税額控除の制度は、多段階課税である消費税の累積を避けるため仕入れに含まれている消費税額を控除するという制度であるから、消費税が課されない売上げに対応する課税仕入れに係る消費税は本来的に仕入税額控除の対象とはなり得ないものであるところ、日米地位協定第15条第2項が「諸機関による商品及び需品の日本国内における購入」には日本の租税である消費税を課する旨規定していることからすると、本件米軍基地内取引は、消費税法における仕入税額控除に関する規定の適用上、同法別表第一に掲げられているか否かとは関わりなく、国内において行った資産の譲渡等には該当するものの、国内において行った課税資産の譲渡等には該当しないものと取り扱うのが相当であり、その対価の額は課税売上割合の計算において分母に算入され、かつ、分子に算入されないこととなる。
参照条文等
消費税法第30条 日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定第15条
参考判決・裁決
神戸地裁平成14年7月1日判決(税資252号順号9154)
請求人が合衆国軍隊と請求人との間に介在する米国法人と行った取引が日米地位協定の所得税等特例法に規定する免税取引には該当しないとした事例(平成23年4月1日から平成27年3月31日までの各課税期間の消費税及び地方消費税の各更正処分並びに過少申告加算税の各賦課決定処分・棄却)
裁決事例集 第105集
ポイント
本事例は、請求人が合衆国軍隊と請求人との間に介在する米国法人と行った取引について、日米地位協定の所得税等特例法及びそれを受けた所得税等特例法施行令に定める免税証明書の保存要件を満たしていないことから、所得税等特例法に規定する免税取引には該当しないとしたものである。
要旨
請求人は、請求人とアメリカ合衆国(合衆国)軍隊の調達機関との間に合衆国の法人(本件米国法人)が介在する商品販売取引(本件取引)について、本件米国法人は合衆国軍隊の公認調達機関であり、合衆国軍隊の権限ある官憲の発給する免税証明書(本件免税証明書)が発給されたのであるから、日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第6条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定の実施に伴う所得税法等の臨時特例に関する法律(日米地位協定の所得税等特例法)第7条《消費税法の特例》第1項が適用され、消費税及び地方消費税が免除される旨主張する。
しかしながら、同条第2項では、同条第1項の適用を受けるには政令で定めるところによる証明が必要である旨規定し、その委任を受けた日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第6条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定の実施に伴う所得税法等の臨時特例に関する法律施行令第2条《消費税の免税手続》では、事業者が、同条に規定する免税証明書を日米地位協定の所得税等特例法第7条第1項の免税取引を行った日の属する課税期間の末日の翌日から2月を経過した日から7年間、所定の方法で保存することを手続要件としているところ、本件免税証明書は審査請求後に発給されたものであり、本件取引においては、免税証明書の保存要件を満たしていないから、日米地位協定の所得税等特例法第7条第1項の適用を受けることはできない。
参照条文等
日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第6条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定の実施に伴う所得税法等の臨時特例に関する法律第7条 日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第6条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定の実施に伴う所得税法等の臨時特例に関する法律施行令第2条
事業を廃止した場合において、簡易課税制度選択の届出の効力が失われるのは事業廃止届出書の提出があった日の属する課税期間の末日の翌日であり、事業を廃止した日の属する課税期間の末日の翌日と解することはできないとした事例
裁決事例集 第69集 402頁
要旨
請求人は、事業廃止届出書の提出がなかったとしても、事業の廃止という事実が否定されるものではないから、消費税法第37条第2項に規定する事業廃止届出書提出の有無にかかわらず、事業を廃止した日の属する課税期間の末日の翌日に、簡易課税制度選択届出書の効力は喪失すると解すべきである旨主張する。
しかしながら、消費税法第37条第2項及び同条第4項には、簡易課税制度を選択した事業者が事業を廃止した場合は、事業廃止届出書を提出しなければならず、当該届出書が提出された日の属する課税期間の末日の翌日以後、簡易課税制度選択届出書の効力が失われると規定されているのであるから、簡易課税制度選択届出書の効力が喪失するのは、事業廃止届出書の提出があった日の属する課税期間の末日の翌日と解するほかないというべきであり、消費税法第37条第2項に規定する事業廃止届出書を提出しない限り、事業を廃止した日の属する課税期間の翌課税期間以後も、簡易課税制度を適用しなければならないこととなる。
請求人は、いずれも消費税法第37条第2項に規定する事業廃止届出書等と認められる「簡易課税税制度選択不適用届出書」及び「事業廃止届出書」を平成14年8月30日に提出しており、これらの届出書はいずれも、本件各課税期間の開始の日の前日までに提出されていないことから、本件各課税期間については、本件簡易課税制度選択届出書の効力は存続しているものといわざるを得ない。
したがって、請求人の主張は、消費税法第37条第2項及び同条第4項の解釈上、採用することはできない。
価格が20万円を超える郵便物として資産を輸出した場合に消費税の輸出免税規定が適用されるには、税関長が証明した書類の保存を要するとした事例(平成23年10月1日から平成27年6月30日までの各課税期間の消費税及び地方消費税の各更正処分並びに当該各課税期間のうち特定の課税期間を除く各課税期間の消費税及び地方消費税に係る過少申告加算税の各賦課決定処分・棄却又は却下)
裁決事例集 第108集
ポイント
本事例は、関税法上の郵便物の輸出入に係る簡易手続を経て資産を輸出した場合であっても、その郵便物の現実の取引価格が20万円を超えるものである場合には、消費税の輸出免税規定の適用に当たり、税関長が証明した書類の保存が要件とされるとしたものである。
要旨
請求人は、その現実の取引価格が20万円を超えていた郵便物(本件郵便物)について、郵便発送伝票に20万円以下の金額が記載され、税関長の管理の下、何らの指摘もなく輸出されたものである以上、関税法第76条《郵便物の輸出入の簡易手続》第1項に規定する郵便物(簡易郵便物)として輸出されたものとして、消費税法施行規則第5条《輸出取引等の証明》第1項第1号に規定する輸出許可書等の保存がなくても、消費税法第7条《輸出免税等》第1項第1号の規定(輸出免税規定)が適用される旨主張する。
しかしながら、関税法第76条第1項に規定する「価格」とは、現実の取引価格であると解されることなどからすると、ある郵便物が簡易郵便物に該当するか否かは、当該郵便物の現実の取引価格を基準として判断されるべきであり、また、簡易郵便物として資産を輸出した場合に当たるか否かは、当該郵便物が簡易郵便物に該当するか否かにより判断されるべきである。本件郵便物は、現実の取引価格が20万円を超えていることから、簡易郵便物として輸出したことには該当せず、したがって、輸出許可書等の一定期間の保存がない限り、輸出免税規定の適用はない。
参照条文等
消費税法第7条第1項及び第2項 消費税法施行規則第5条第1項 関税法第76条第1項
売上先において課税仕入れの過大計上額と認定した金額を、請求人における課税売上額の過大計上額と認定した事例( 平成28年4月1日から平成29年3月31日までの事業年度以後の法人税の青色申告の承認の取消処分、 平成28年4月1日から平成29年3月31日まで及び平成29年4月1日から平成30年3月31日までの各事業年度の法人税の各更正処分、 平成28年4月1日から平成28年6月30日まで、平成28年7月1日から平成28年9月30日まで、平成28年10月1日から平成28年12月31日まで、平成29年1月1日から平成29年3月31日まで、平成29年4月1日から平成29年6月30日まで、平成29年7月1日から平成29年9月30日まで、平成29年10月1日から平成29年12月31日まで及び平成30年1月1日から平成30年3月31日までの各課税期間の消費税及び地方消費税の各更正処分及び過少申告加算税の各賦課決定処分・ 棄却、 却下、 全部取消し、一部取消し、棄却)
裁決事例集 第129集
ポイント
本事例は、当審判所が認定した請求人の売上先における請求人からの課税仕入れの過大計上額が、請求人における課税売上の過大計上額に該当すると判断したものである。
要旨
原処分庁は、原処分庁が請求人の売上先の更正処分において過大であると認定した課税仕入れの額は、間接的な資料を用いて所得金額を認定する推計課税の方式により算出したものであり、請求人と当該売上先との取引に係る実額で認定された課税仕入れの額とは性質が異なるから、当該売上先の課税仕入れの額を過大であると認定したとしても、請求人の課税売上額が過大であるとは認められない旨主張する。
しかしながら、当審判所は、当該売上先の課税仕入れの過大計上額を実額で認定しているところ、請求人と当該売上先との間の売買取引が私法上同一の取引であることは明らかであり、当該売上先における課税仕入れの金額と請求人における課税売上の金額とは一致しているから、当該売上先における課税仕入れの過大計上額は、請求人における課税売上の過大計上額と認められ、請求人の課税売上額から減額することが相当である。
請求人が行った建物のリース取引に係る課税仕入れの用途区分については、共通用に区分するのが相当であると認定した事例( 平22.9.1~平23.8.31の課税期間の消費税及び地方消費税の更正処分並びに過少申告加算税の賦課決定処分、 平23.9.1~平24.8.31の課税期間の消費税及び地方消費税の更正処分並びに過少申告加算税の賦課決定処分・ 一部取消し、却下、 棄却、却下)
裁決事例集 第97集
ポイント
本事例は、請求人が賃借する建物の賃貸借契約に係る取引は、法人税法上売買があったものとされるリース取引に該当し、当該リース取引に係る課税仕入れの用途区分は、非課税用ではなく共通用に該当するとして、原処分の一部を取り消したものである。
要旨
原処分庁は、請求人が締結した有料老人ホーム(本件物件)の賃貸借契約については、法人税法上売買があったものとされるリース取引に該当するところ、本件物件は、入居者が生活を営む場所及び日常生活を送る上で必要不可欠な場所で構成されており、その全体が住宅に該当することから、本件物件に係る課税仕入れの用途区分は、個別対応方式の計算上、非課税売上げのみに要するものに該当する旨主張する。
しかしながら、本件物件においては、入居者に対して、非課税売上げである居住スペースの貸付け及び介護サービスの提供だけでなく、課税売上げである居室清掃や洗濯等の各種サービスの提供が予定されていた上、実際にこれらの売上げに必要な設備を備えていたことが認められるから、本件物件に係る課税仕入れの用途区分は、個別対応方式の計算上、課税売上げと非課税売上げに共通して要する課税仕入れに該当する。
参照条文等
参考判決・裁決
ポイント
本事例は、百貨店の物産展において弁当の調理・販売を行っている請求人が、職業紹介事業者等を介して手配した各販売員(いわゆるマネキン)に支払った金員について、当該販売業務の具体的態様等に基づき、所得税法第28条第1項に規定する給与等に該当するとして、消費税の課税仕入れに係る支払対価の額に該当しないと判断したものである。
要旨
請求人は、マネキン紹介所等からの紹介に基づいて請求人に対する役務の提供を行った販売員(本件各販売員)に金員を支払っていたところ、当該金員に関して、㋑本件各販売員は販売のプロであること、㋺販売業務に必要なエプロン等は本件各販売員が用意していたこと、㋩本件各販売員は他者をして代わりに販売に当たらせることができること、㋥請求人は業務委託契約を締結する意思であったこと等から、本件各販売員は業務委託契約に基づき役務の提供を行っていたのであり、請求人が本件各販売員に支払った金員は給与等に該当しない旨主張する。
しかしながら、給与等とは、雇用契約又はこれに類する原因に基づき、自己の危険と計算によることなく、使用者の指揮命令に服して提供した労務の対価として使用者から受ける給付をいうものと解され、具体的には、受給者が①指揮監督を受けているかどうか、②時間的な拘束を受けているかどうか、③材料や用具等の供与を受けているかどうか、④自己の責任において他者を手配して役務の提供に当たらせることが認められるものではないかどうか等の事情を総合勘案して判断するのが相当であると解されるところ、販売業務を行う際に必要なエプロン等については請求人が用意したものでなかったことが認められるが、本件各販売員は、請求人の指揮監督を受けるとともに、時間的拘束を受け、役務の提供の代替が認められていなかったこと、さらに、本件各販売員の役務提供に至る経緯等を併せ考慮すれば、本件各販売員に支払われた金員は、いずれも雇用契約に基づき、自己の危険と計算によることなく、使用者の指揮命令に服して提供した労務の対価として支給されたものといえ、給与等に該当すると認められる。
参照条文等
参考判決・裁決
最高裁昭和56年4月24日第二小法廷判決(民集35巻3号672頁)
要旨
請求人は、自ら営む事業は、時間的観点からいえば、セキュリティ工事のうち配線工事が主であり、また、施工に必要とされるコードケーブル等の資材は自ら全部調達して配線工事を行っているから、第四種事業には該当しない旨主張する。
しかしながら、当該事業は、発注者からセキュリティ機器の提供を受け、当該機器の設置、配線、調整等を行い、セキュリティシステムを正常に稼動させるまでの工事を行うものであり、また、当該事業は、電気工事士2種以上、電話工事担任者及び消防設備士甲4類の各資格保持者の技術を提供するものであること、かつ、請求人が受領する工事代金が配線工事、機器設置工事、機器調整等の作業に対する対価であると認められることからすれば、請求人が受領する工事代金は、人的役務の提供に対する対価であると認めるのが相当である。したがって、当該事業は、他の者の原材料等に加工等を施して、当該加工等の対価を受領する役務の提供又はこれに類する役務の提供に当たり、消費税法施行令第57条《中小事業者の仕入れに係る消費税額の控除の特例》第5項第3号かっこ書の「加工賃その他これに類する料金を対価とする役務の提供を行う事業」に該当する事業というべきであるから、同項第5号に規定する第四種事業に該当するものと認められる。
参照条文等
消費税法第12条第1項から第4項までに規定する「分割等」として、同条第7項第3号に規定するのは、一の法人により行われる事後設立であると解するのが相当とした事例
裁決事例集 第86集
要旨
請求人は、請求人の被合併法人であるD社は、消費税の控除対象仕入税額の算定において、消費税法第37条《中小事業者の仕入れに係る消費税額の控除の特例》第1項に規定するいわゆる簡易課税方式を適用しているところ、D社の設立形態は、同法第12条《分割等があった場合の納税義務の免除の特例》第7項第3号に規定する分割等に該当するから、D社の本件課税期間の基準期間における課税売上高は、消費税法施行令第55条《仕入れに係る消費税額の控除の特例の適用がない分割等に係る課税期間》第1項第3号の規定に基づき、D社及び同社の親法人であるGホールディングスの課税売上高の合計額によるべきであり、そうすると、当該合計額は5,000万円を超え、かつ、同号に規定する特定要件も満たすから、本件課税期間は、同法第37条第1項に規定する分割等に係る課税期間に該当し、同法第30条《仕入れに係る消費税額の控除》第1項に規定するいわゆる本則課税方式を適用すべきである旨主張する。
しかしながら、消費税法第12条第7項第3号に規定する分割等は、金銭を出資する法人と資産を譲渡する法人が同一であること、金銭を出資する法人の設立時の持分割合が100%であることを要件としているから、一の法人により行われる事後設立であると解するのが相当であるところ、D社の設立形態は、金銭を出資したのはGホールディングスである一方、D社に資産を譲渡したのはGホールディングスの子会社である合併前の請求人であり、同一の法人によるものではないから、同号に規定する分割等には該当しない。
参照条文等
消費税法第30条第2項第1号の規定により控除する課税仕入れに係る消費税額を計算するに当たり、調剤薬品等の課税仕入れは、課税資産の譲渡等とその他の資産の譲渡等に共通して要するものに区分すべきと判断した事例
裁決事例集 第116集
ポイント
本事例は、請求人が問屋から医薬品等を仕入れた日の状況等を客観的にみれば、仕入れた医薬品等を全て非課税となる売上げのために使用するとは限らず、課税となる売上げのために使用する場合もあったと認められるから、当該問屋からの課税仕入れについては、課税資産の譲渡等のみに要するものにも、その他の資産の譲渡等のみに要するものにも区分することができず、課税資産の譲渡等とその他の資産の譲渡等に共通して要するものに区分するのが相当であると判断したものである。
要旨
原処分庁は、請求人が消費税法第30条《仕入れに係る消費税額の控除》第2項第1号に基づき医薬品等の課税仕入れの用途区分を課税資産の譲渡等以外の資産の譲渡等(その他の資産の譲渡等)のみに要するものに区分したことは、その目的等に照らして合理的であるから、用途区分を誤っていたことを理由とする請求人の更正の請求は、国税通則法第23条《更正の請求》第1項第1号の要件を満たさない旨主張する。
しかしながら、請求人が問屋から医薬品等を仕入れた日の状況等を客観的にみれば、仕入れた医薬品等を全て非課税となる売上げのために使用するとは限らず、課税となる売上げのために使用する場合もあったと認められるから、当該問屋からの課税仕入れについては、課税資産の譲渡等のみに要するものにも、その他の資産の譲渡等のみに要するものにも区分することができず、課税資産の譲渡等とその他の資産の譲渡等に共通して要するものに区分するのが相当である。よって、請求人が、問屋からの医薬品等の課税仕入れをその他の資産の譲渡等のみに要するものに区分したことは、消費税法第30条第2項第1号の適用を誤ったものと認められ、国税通則法第23条第1項第1号に規定する国税に関する法律の規定に従っていなかった場合に該当する。
参照条文等
請求人が国際郵便により輸出した資産の譲渡については、消費税法第7条《輸出免税等》第2項に規定する証明がされていないため、輸出免税規定の適用はないとした事例(平成25年8月1日から平成26年7月31日まで、平成26年8月1日から平成27年7月31日まで及び平成27年8月1日から平成28年7月31日までの各課税期間の消費税及び地方消費税の 各更正処分並びに 過少申告加算税の各賦課決定処分・ 棄却、 却下)
裁決事例集 第111集
ポイント
本事例は、輸出申告時点で資産の価格が未確定である郵便物については、郵便物1個当たりの輸出時見積価格をもって当該郵便物の価格とみるのが相当であるとした事例
要旨
請求人は、国際便物により輸出した資産の譲渡(本件取引)について、郵便物1個当たりの価格が20万円を超えないことから消費税法施行規則第5条《輸出取引等の証明》第1項第2号(本件条文)に規定する郵便物(簡易郵便物)として資産を輸出した場合に該当し、同号に規定する帳簿又は郵便物受領証等を保存をしているのだから、消費税法第7条第2項に規定する証明がされている旨主張する。
しかしながら、本件取引の輸出申告時点では、取引の対象となる資産の価格が未確定の状態であり、そのような場合には郵便物1個当たりの輸出時見積価格(調達原価に通常の利潤、一般管理費等を加えた額又は値引き等の調整が加えられる前の額)をもって当該郵便物の価格とみるのが相当であるところ、本件取引においては、1個の郵便物にまとめられた各資産のそれぞれの仕入金額の合計額は、最も少ないもので20万円の2倍超であることから、郵便物1個当たりの輸出時見積価格は、いずれも20万円を上回ると認められ、本件取引は、本件条文に規定する簡易郵便物としての資産の輸出には該当せず、消費税法第7条第2項に規定する証明がされているとは認められない。
参照条文等
消費税法第7条第1項及び第2項 消費税法施行規則第5条第1項 消費税法基本通達7-2-23 関税法第67条及び第76条 関税法基本通達67-1-4
参考判決・裁決
請求人が土地及び建物を信託財産とする信託受益権の取得に要した手数料に係る課税仕入れの用途区分については、共通用に区分するのが相当であるとした事例(平成26年4月1日から平成27年3月31日まで及び平成27年4月1日から平成28年3月31日までの各課税期間の消費税及び地方消費税の各更正処分並びに過少申告加算税の各賦課決定処分・棄却)
裁決事例集 第111集
ポイント
本事例は、請求人の信託受益権の取得時においては、信託財産である土地及び建物の事業用資産の賃貸のみではなく、当該信託受益権を譲渡することを目的としていたと認められることから、当該信託受益権の取得に要した手数料に係る課税仕入れの用途区分は、課税用ではなく共通用に該当するとしたものである。
要旨
請求人は、土地及び建物(本件各物件)を信託財産とする各信託受益権(本件各信託受益権)の取得に要した各手数料(本件各手数料)に係る課税仕入れについて、消費税法第30条《仕入れに係る消費税額の控除》第2項第1号に規定する個別対応方式による用途区分の判定をするに当たっては、その用途区分は、当該課税仕入れをした事業者が有する、その課税仕入れを行った日における確定的な状況の下においての、目的、意図等をも勘案した上で、なお客観的に判断すべきであり、また、本件各物件はその取得時には事業用に賃貸されており、決算上も有形固定資産に計上しているから、本件各手数料に係る課税仕入れは課税資産の譲渡等にのみ要するものに該当する旨主張する。
しかしながら、個別対応方式による用途区分の判定は、課税仕入れを行った日の状況により行うこととされ、課税仕入れを行った日の状況とは、当該課税仕入れの目的及び当該課税仕入れに対応する資産の譲渡等がある場合にはその資産の譲渡等の内容等を勘案して判断するのが相当であり、本件各信託受益権の取得時においては、本件各物件の賃貸のみではなく本件各信託受益権を譲渡することを目的としていたと認められること及び会計上の科目の判定が課税仕入れの用途区分の判定につながるものではないことなどからすれば、本件各手数料に係る課税仕入れは、課税資産の譲渡等と課税資産の譲渡等以外の資産の譲渡等に共通して要するものに区分するのが相当である。
参照条文等
参考判決・裁決
名古屋地裁平成26年10月23日判決(税資264号順号12553) さいたま地裁平成25年6月26日判決(税資263号順号12241) 平成26年12月10日裁決(裁決事例集No.97)
ポイント
簡易課税制度において、2種類以上の事業を営む事業者が控除対象仕入税額を計算する場合は、課税売上高をそれぞれの事業ごとに区分する必要がある。
この事例は、請求人の売上げに係る取引の形態に応じ、日本標準産業分類の分類を基礎として事業の範囲を判定し、その事業区分に応じたみなし仕入率の適用を判断したものである。
要旨
請求人は、廃油の回収形態(有償、無償及び処分料を受領の別)にとらわれず、物(廃油)の流れを重要視して事業区分を判断すべきであり、回収した廃油をそのままの状態で販売していることから、当該廃油を事業者に販売する本件事業は卸売業に該当する旨主張する。
しかしながら、請求人の売上げに係る取引の形態に応じて事業区分を判断すると、本件事業のうち、処分料を徴して廃油を収集する取引及び廃油の収集・運搬業務の委託取引は、消費税法施行令第57条《中小事業者の仕入れに係る消費税額の控除の特例》第5項に規定する第五種事業に、無償又は処分料を徴して収集した廃油を販売する取引は、同項に規定する第四種事業に該当する。
参照条文等
請求人が自家栽培したさつま芋を干し芋に加工して販売する事業は、消費税法施行令第57条《中小事業者の仕入れに係る消費税額の控除の特例》第5項第3号に規定する第三種事業(製造業)に該当するとした事例(令和2年1月1日から令和4年12月31日までの各課税期間の消費税及び地方消費税の各更正処分並びに過少申告加算税の各賦課決定処分・棄却)
裁決事例集 第140集
ポイント
本事例は、請求人が自家栽培したさつま芋を干し芋に加工して販売する事業は、日本標準産業分類の大分類「製造業」に分類されるから、当該事業は、簡易課税制度の適用において第三種事業に分類される製造業に該当するとしたものである。
要旨
請求人は、自家栽培したさつま芋を干し芋に加工して販売する事業(本件干し芋事業)は、日本標準産業分類の大分類に掲げる「農業」に該当するから、消費税法施行令第57条《中小事業者の仕入れに係る消費税額の控除の特例》第5項第3号に規定する第三種事業(製造業)に該当しない旨主張する。
しかしながら、消費税法施行令第57条第5項第3号の規定により第三種事業に該当することとされている事業の範囲は、おおむね日本標準産業分類の大分類に掲げる分類を基礎として判定することが合理的であるところ、日本標準産業分類の総説には、農家が自家栽培した原材料を使用して製造活動を行っている場合は原則として農業に分類されるが、①同一構内に工場、作業所とみられるもの(作業所等)があり、かつ、②その製造活動に専従の常用従業者がいる場合には農業には分類されず製造業に分類される旨が記載されている。そして、①請求人の自宅敷地内にある建物には、干し芋の加工のための機械等が設置され、作業所等の機能を有していたといえること、②請求人が干し芋の加工時期のみ雇用し、加工作業に従事している者は、雇用期間及び作業内容からすると、本件干し芋事業の製造活動に専従する常用従業者に該当することからすれば、本件干し芋事業は、日本標準産業分類の大分類に掲げる「製造業」に該当し、消費税法施行令第57条第5項第3号に規定する第三種事業(製造業)に該当する。
参照条文等
消費税法第37条(令和6年法律第8号による改正前のもの)第1項 消費税法施行令第57条第1項及び第5項 消費税法施行令等の一部を改正する政令(平成28年政令第148号)附則第11条の2第1項 消費税法基本通達(令和5年8月10日付課消2-9ほか5課共同による改正前のもの)13-2-4
請求人が輸出者として輸出免税の適用を受けることができるとした事例( 平成29年1月〇日から平成29年12月31日までの事業年度以後の法人税の青色申告の承認の取消処分、 平成29年1月〇日から平成29年12月31日まで及び平成30年1月1日から平成30年12月31日までの各事業年度の法人税の各更正処分、 平成29年1月〇日から平成29年12月31日まで及び平成30年1月1日から平成30年12月31日までの各課税事業年度の地方法人税の各更正処分、 平成30年1月1日から平成30年12月31日まで及び平成31年1月1日から令和元年12月31日までの各事業年度の法人税の更正の請求に対してされた更正をすべき理由がない旨の各通知処分、 令和2年1月1日から令和2年12月31日までの事業年度の欠損金の繰戻しによる平成31年1月1日から令和元年12月31日までの事業年度の法人税の還付請求に理由がない旨の通知処分、 平成29年1月〇日から令和元年5月31日までの各課税期間の消費税及び地方消費税の各更正処分並びに過少申告加算税及び重加算税の各賦課決定処分、 平成30年1月1日から平成30年12月31日まで及び平成31年1月1日から令和元年12月31日までの各課税事業年度の地方法人税の更正の請求に対する更正をすべき理由がない旨の各通知処分・ 棄却、 却下、 一部取消し、棄却)
裁決事例集 第129集
ポイント
本事例は、本邦からの輸出取引について、輸出許可の申請や、輸出許可通知書の保存状況から、請求人において輸出免税の適用を受けることができると判断した事例である。
要旨
原処分庁は、本件における輸出取引(本件取引)は、請求人から商品を仕入れた取引先が国外に販売したものであるから、請求人が、消費税法第7条《輸出免税等》第1項第1号に規定する本邦からの輸出として行われる資産の譲渡を行ったものではない旨主張する。
しかしながら、請求人は、取引先から受注した商品を国内でコンテナに積載し、自らの名義で輸出許可を申請して国外へ搬出しているのであり、本件取引は、請求人による本邦からの輸出として行われる資産の譲渡であると認められる。そして、請求人は、請求人名義の輸出許可通知書を保存していることから、請求人において、輸出免税の適用を受けることができる。
参照条文等
ポイント
本事例は、原処分庁が、請求人が取引先の法人から軽種馬を購入する取引に係る売買契約は、通謀虚偽表示により無効であるとして、請求人の課税仕入れに係る支払対価の額の一部を認めない旨の更正処分をしたところ、本件における売買契約は、契約内容のとおり履行されており、また、請求人と当該法人との間に通謀虚偽表示を行う十分な動機があったとまでいえない上、これを基礎付ける証拠もないから、通謀虚偽表示により無効であると認めることはできないと判断して、原処分を取り消したものである。
要旨
原処分庁は、請求人が取引先の法人(本件法人)から軽種馬(本件軽種馬)を購入する取引(本件各取引)に係る売買契約は、通謀虚偽表示により無効であり、実体は、請求人が軽種馬生産に関する農業協同組合を通じて直接本件軽種馬を購入したものであるから、本件法人が当該農業協同組合から落札し購入した金額と、本件各取引に係る売買金額の差額分に相当する金額(本件各差額)は、請求人の課税仕入れに係る支払対価の額に該当しない旨主張する。
しかしながら、本件各取引に係る売買契約については、契約内容のとおり履行されており、また、請求人と本件法人との間に通謀虚偽表示を行う十分な動機があったとまでいえない上、これを基礎付ける証拠もないから、通謀虚偽表示により無効であると認めることはできない。したがって、本件各差額は課税仕入れに係る支払対価の額に該当する。
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