裁決事例 財産取得の時期

裁決事例 財産取得の時期

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昭和46年9月27日裁決

公正証書による贈与契約は相続税回避のための仮装行為であるとした事例

裁決事例集 第3集 30頁

要旨

 請求人は、本件贈与契約公正証書に記載された財産は相続開始前であるその作成日付の日にその被相続人から贈与を受けた財産であるから、相続財産から除外されるべきであると主張するが、本件各証拠資料により認められる各事実を総合すると、本件贈与契約は、公正証書による贈与契約の形は存在するけれども、当事者の客観的真意とは別になされた仮装の行為とみるのが自然かつ合理的であって、これをこのまま承認することは、租税負担の公平の見地からも採り難いところというほかない。
 したがって、本件公正証書に記載された財産は、相続時において請求人のものではなく、被相続人の相続財産であるとした原処分は相当である。

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平成15年3月25日裁決

死後認知裁判により相続人となった者であっても相続により財産を取得した時及びその財産の評価の時点は相続の開始の時であるとした事例

裁決事例集 第65集 601頁

要旨

 請求人は、認知裁判の確定により初めて相続人の地位を取得したものであるから、本件株式の取得の時期は認知裁判の確定した日と解すべきであり、また、遺産分割請求権の行使や相続財産の換価処分等も認知された日以降でないとでき得ない状況であったことから、その評価時点も、早くても認知裁判が確定した日と解すべきである旨主張する。
 しかしながら、相続は、被相続人の死亡によって開始し、相続人は、被相続人の一切の権利義務を承継し、遺産の分割は、相続開始の時にさかのぼってその効力を生ずるものであることから、相続による財産取得の時期は、相続開始の時であると認められ、また、相続により取得した財産の価額は、当該取得の時における時価による旨の相続税法第22条の規定からすると、相続等により取得した財産の評価時点も相続開始時と解するのが相当である。
 このことは、[1]認知は出生の時にさかのぼってその効力を生ずること、[2]相続税法第2条第15条第2項第16条第17条の各規定からすると、相続税法は民法上の法定相続人が法定相続分に従って遺産を分割取得したものと仮定して相続税の総額を計算し、この相続税額を、実際に遺産を取得した者がその取得分に応じて納付するといういわゆる法定相続分課税方式による遺産取得課税方式を採用しており、また、すべての相続税の納税義務者について、相続開始時を基準とした課税を行うことを予定していること、[3]相続税法第22条において、相続により取得した財産の価額は、当該財産の取得の時における時価による旨規定していること及び[4]被相続人の死亡後における認知裁判の確定により相続人となった者が、当該相続により財産を取得した場合におけるその財産の価額について、相続税法第3条の2のような相続税法第22条の例外としての別段の定めがないことなどからすると、相続人が、被相続人の死亡後に認知裁判が確定したことにより相続人たる地位を取得した場合であっても、同様であると解される。
 以上のことから、これらの点に関する請求人の主張には理由がない。

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平成16年12月22日裁決

裁判上の和解に基づく停止条件付の贈与契約について、停止条件が成就したのは、不動産の売買契約が成立した時と解するのが相当であるとした事例

裁決事例集 第68集 135頁

要旨

 請求人は、裁判上の和解に基づき作成された本件和解調書の趣旨は、贈与者が売却した不動産の売買代金を受領することを停止条件とした贈与契約であり、停止条件付の贈与である場合の財産取得の時期とされる「その条件が成就した時」とは、不動産の売買代金が実際に贈与者に支払われた時である旨主張する。
 しかしながら、本件和解調書によれば、「その条件が成就した時」とは、当該不動産の売買契約が成立した時と解するのが相当であり、請求人の主張は採用できない。

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昭和54年2月14日裁決

不動産贈与の効力は、贈与契約公正証書の作成の時ではなく、被相続人の死亡の時に生じたものと認定した事例

裁決事例集 第17集 57頁

要旨

 被相続人と請求人らは、公正証書によりいったん土地を贈与する旨の合意をしたが、更にその翌日、被相続人はその合意を踏まえた上、遺言書を作成して、被相続人が死亡した時を期限として当該土地を請求人らに贈与する旨の意思を表示し、また、被相続人は公正証書を作成してから死亡するまでの間に、当該土地を名実ともに自己が使用、収益、処分し、請求人らはこれを黙認してきたものであるから、公正証書による合意の真の内容は、被相続人が将来において、所有権を請求人らに移転することを予定したものにすぎないと認められ、当該土地についての贈与の効力は、被相続人の死亡により確定的に生ずることとなったものといわざるを得ない。

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平成20年5月30日裁決

同族会社が請求人の父から借地権の無償設定を受けたことにより出資者である請求人が利益を受けた時期は、土地賃貸借契約で定められた賃貸借の始期であるとした事例

裁決事例集 第75集 481頁

要旨

  1.  賃貸借契約は、民法第601条において、当事者の一方がある物の使用及び収益を相手方にさせることを約し、相手方がこれに対してその賃料を支払うことによって、その効力を生ずる契約である旨規定されており、両当事者の合意によって成立する。そして、土地の賃貸借契約が成立した場合には、特段の事情のない限り、当該契約成立の時に借主が借地権の設定を受けたとみるのが相当である。
     これを本件についてみると、Y社は請求人の父Eとの間で、平成13年5月24日に土地賃貸借契約を締結し、当該契約に基づき、平成13年6月分から、Y社はEに賃料の支払いを開始している。一方、当該契約の締結前に本件土地に係る賃料の授受がなされたことはなく、Y社とEとの間で、当該契約の締結前に土地賃貸借契約に係る基本的な事項である賃料の支払の有無、支払う場合におけるその金額、賃貸借する土地の面積及び賃貸借の期間等について、具体的に合意に至っていたとの事実は認められない。
     また、建物の保有を目的とする土地の賃貸借に当たり、権利金の授受を行うか否か及び授受を行う場合におけるその金額については、通常、賃貸借契約時までに両当事者間で取り決められるところ、本件においては、当該契約書に権利金授受に関する規定はなく、また、当該契約締結時までに、権利金の授受をしないとの取決めがあったと認められる証拠はない。しかしながら、権利金の授受について具体的な取決めをしないことは、本件が同族会社とその代表取締役の父との間の土地の貸借に係るものであることに照らせば、当該契約締結時までに権利金の授受を行うか否かについての取決めがなかったとしても何ら当事者に不都合はなく、特に不自然なものとも考えられない。
     そうすると、土地賃貸借契約書に権利金の授受の条項を設けない土地賃貸借契約を締結したことにより、権利金の授受をしないこと、すなわち、Y社がEから無償で借地権の設定を受けることが明確にされたと考えるのが相当である。
     以上のことから、本件土地に係る賃貸借契約が成立したのは、Y社とEとの間において当該契約を締結した平成13年5月24日と考えるのが相当であり、本件借地権は、本件土地賃貸借契約書における賃貸借期間の開始の日である平成13年6月1日に無償で設定されたということができ、この日が、請求人がEから贈与を受けたとみなされる日となる。
  2.  財産評価基本通達185のかっこ書きの趣旨が、評価する会社が課税時期の直前に取得し価額が明らかになっている土地等については、純資産価額の計算上、その価額で行うことが合理的であるということに照らせば、少なくとも課税の基因となった無償移転に係る土地等について同かっこ書きを適用することは予定されていないと解されること、また、同かっこ書きは、「評価会社が課税時期前3年以内に取得した土地及び土地の上に存する権利等」と限定しており、会社に対し無償で財産の提供があった時に贈与があったとみなされ当該提供のあった日が課税時期となる本件のような場合においては、課税時期が同かっこ書きにおける課税時期前に含まれないことは文理上も明らかであることから、同かっこ書きは、本件のような課税時期において無償取得された財産については適用されないと解することが相当である。
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昭和57年10月8日裁決

公正証書を作成して被相続人の生前に贈与を受けたものであるとする不動産について、生前贈与ではなく死因贈与により取得したものと認定した事例

裁決事例集 第25集 89頁

要旨

 被相続人と請求人らは、公正証書を作成し、不動産を贈与する旨の合意をしたが、被相続人は公正証書を作成してから死亡するまでの約6年間不動産を従前どおり自己の所有物として管理し、使用収益していたこと、被相続人には公正証書作成当時同人の死亡後、同人の財産の分割等が支障なく行われるであろうという思惑が存在したことが十分うかがわれることなどから、公正証書による合意の真の内容は公正証書記載の贈与を即時に行うというものではなく、むしろ、死因贈与契約をしたものと認めるのが相当であり、贈与の効力は被相続人の死亡により生ずることとなったものといわざるを得ない。

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昭和60年3月25日裁決

贈与により取得した財産の取得時期は贈与証書による贈与契約の時ではなく贈与登記の時であると認定した事例

裁決事例集 第29集 141頁

要旨

 請求人は、公証人の確定日付のある本件贈与証書によって財産を取得したと主張するが、本件贈与証書は将来における租税回避を意図して作成された実態の伴わない形式的文書にすぎず、本件贈与証書によって贈与契約が成立したとは認めることはできないこと及び贈与者が贈与登記に至るまでの間、贈与財産の管理処分をしていることなどから、本件贈与財産の取得の時期は、本件贈与登記の時であると認めるのが相当である。

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平成9年1月29日裁決

公正証書による財産の贈与時期は、公正証書が作成された日ではなく、本件不動産に係る所有権の移転登記がされた日であるとした事例

裁決事例集 第53集 381頁

要旨

 請求人は、公正証書による財産の贈与時期は、本件不動産に係る所有権の移転登記がされた日ではなく、公正証書が作成された日である旨主張する。
 しかしながら、[1]贈与税課税の除斥期間が経過するまで所有権の移転登記がされていないこと、[2]公正証書の作成目的が租税回避以外の必要性がないこと及び[3]公正証書の記載内容と異なる行為が行われていることから、当該公正証書は実態を伴わない形式的な文書と認めるのが相当であり、これにより贈与が成立したとは認められない。
 したがって、本件不動産の贈与の成立した日は、第三者に対抗するための法律要件が成就した日(所有権移転登記が行われた日)と認めるのが相当であるから、本件決定処分は適法である。

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平成15年3月25日裁決

1. 書面による贈与契約であってもその契約の効果が真実生じているか否かを実質的に判断するべきであるとした事例 2. 複数の連帯保証人と物上保証人がある場合の負担割合は平等であるとした事例

裁決事例集 第65集 533頁

要旨

  1.  請求人は、本件不動産について、本件相続開始前に本件公正証書に基づいて請求人の子らが被相続人から生前贈与を受けたものであり、本件相続財産ではない旨主張する。
     しかしながら、本件不動産の所有権移転登記手続および使用収益の状況などに照らすと、被相続人は、本件公正証書に基づいて、孫らに対し本件不動産を真に贈与する意思を有していたとは認め難く、孫らも、本件不動産を取得したとする認識があったとは認められない。
     また、公正証書を作成した目的が、請求人が主張するように、孫らに対する相続税の節税のための生前贈与にあるとするならば、孫らの親権者である請求人を含めた当事者は、本件不動産についての贈与税の申告が必要であるとの認識を有していたとみるのが自然であるところ、本件不動産に係る贈与税の申告はされていない。
     そうすると、本件公正証書は将来の相続税の負担を回避するなど、何らかの意図を持って作成された、実体を伴わない形式的な文書であるとみるのが自然かつ合理的であり、本件公正証書によって被相続人と孫らの間に贈与の合意が成立していたものとは到底認められず、請求人の主張には理由がない。
  2.  請求人は、本件連帯保証債務について、銀行取引約定書における連帯保証人としての署名・押印は請求人の承諾なく被相続人が無断で行ったものであり、請求人の保証人としての責任はもとより発生しておらず、本件借入金に係る保証人は被相続人一人であるから本件連帯保証債務の全額を債務控除すべきである旨主張する。
     しかしながら、銀行取引約定書には請求人の実印が押印されていること、主たる債務者である関係法人の当時の代表者が請求人自身であること、また、請求人は銀行から請求人あてに発せられた催告書に対して異議を述べた形跡がないことなどからみて、請求人は保証人であることを十分に認識していたと認めるのが相当であり、請求人の主張は採用できない。
     また、本件借入金については、連帯保証人以外に物上保証人がいることから保証人は3名となり、その負担額は均等であると認められることから、本件相続について債務控除すべき被相続人の保証債務の額は、本件連帯保証債務の額の3分の1とするのが相当である。

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