裁決事例 総則
不服申立期間徒過を理由とした異議決定を取り消す旨の判決においてされた、送達が適法に行われたとは認められない旨の判断に必要な事実認定は、関係行政庁を拘束するとした事例
裁決事例集 第81集
要旨
原処分庁は、①異議決定を取り消す旨の本件高裁判決は、不服申立期間の起算日の認定に係る判断であり、本件決定処分等自体の効力を認定するための判断ではないから、本件決定処分等自体の効力について、原処分庁を拘束するものではない旨、②請求人がEを納税管理人に選任し、同人を納税管理人として認識していた旨、③本件決定処分等に係る通知書(本件通知書)の送達に瑕疵があるにしても、個人情報保護法に基づく本件決定処分等に係る決議書の開示請求により、請求人がその決議書の写しを入手した時点において、送達の趣旨、目的である納税者に処分の内容を了知させることはできており、当該瑕疵は治癒した旨主張する。
しかしながら、取消判決の拘束力の及ぶ範囲は、判決主文が導き出されるのに必要な事実認定及び法律判断にわたるものと解されることから、本件高裁判決により、Eを請求人の納税管理人とみることはできず、請求人がEを納税管理人として認識していたと認められないという事実認定に拘束力が生じ、この事実認定を前提とするほかなく、社会通念上、Eの住所地に本件通知書が送達されることにより請求人が本件決定処分等の存在を了知し得たとは認められないから、平成18年9月22日にEの住所地に本件通知書が送達されたとしても、これをもって本件通知書が適法に請求人に送達されたということはできない。
したがって、原処分庁による上記①の主張については、本件決定処分等自体の効力を直接的に拘束するものではないとしても、行政処分の効力発生要件に関する事実認定については関係行政庁を拘束するものであること、上記②の主張については、本件高裁判決は、本件通知書送達当時において、請求人がEを納税管理人として認識していたと認めることもできない旨判断しているのであり、本件高裁判決の拘束力に抵触するものであることから、いずれも採用することができない。また、上記③の主張については、送達とは、国税に関する法律の規定に基づいて税務署長が発する書類の到達に関する方法であり、その告知そのものがなされていないときに、単に納税者が個人情報保護法に基づく権利行使により、処分の内容を了知したからといって、これによって告知としての送達の瑕疵が治癒したということもできないことから、その主張には理由がない。
参照条文等
要旨
更正通知書が、住民登録がされ、かつ、確定申告書に記載された住所に送達されることなく、これと異なる居所(マンション)に送達されたとしても、当該住所には送達時において、家屋から電力供給設備のすべてが撤去されているなど請求人の居住の事実が認められず、また、原処分庁の職員は、当該居所において請求人が居住している事実を当該マンションの管理人の答述により確認しているから、当該更正通知書は適法に送達されたものと認めるのが相当である。
要旨
共同相続人の納付義務の承継割合は、民法に規定する相続分の割合によることとなっており、たとえ遺産分割の協議で特定の相続人のみに相続させることとしても、納付義務の承継割合には影響を及ぼさない。
要旨
原処分庁保管の文書発送に関する簿書等の記載は、国税通則法第12条第3項所定の要件を満たしており、同条第2項の規定に基づく到達の推定を履す特別な事情も存しなかったと認められるから、本件更正通知書は、請求人の住所に通常到達すべきであった時に送達があったものと推定され、その時において本件更正の効力が生じたものというべきである。
要旨
相続税に係る重加算税賦課決定通知書が、受領能力のない相続人たる未成年者にあてて送達されたとしても、国税通則法が通知書を納税者に送達するとした目的は、納税者に処分の内容を知らしめ、不服申立ての機会を与えることにあるから、その法定代理人である親権者が未成年者と同居して通知書を受領し、内容を了知し得る状態におかれていれば、その送達は有効である。
要旨
要旨
所得税の申告等の期限の延長は、国税通則法第11条及び同法施行令第3条により、災害その他やむを得ない理由が生じた場合に認められるものであり、ここでいう災害その他やむを得ない理由とは、自然的災害、人為的災害、交通途絶等客観的にみてその申告ができないような状態をいうものと解されるところ、請求人の主張する、未分割の相続財産を売却したため売却年分の所得税の法定申告期限までに請求人に帰属すべき収入金額が確定しなかったというような、いわば主観的な理由はこれに当たらない。
要旨
国税通則法第77条第2項において審査請求をすることができる期間は、「異議決定書の謄本の送達があった日の翌日から起算して1月以内にしなければならない」旨規定されており、「送達があった日」とは、書類が社会通念上送達を受けるべき者の支配下に入り、その内容を了知し得る状態になったと認められる時をいうと解されており、送達を受けるべき者が現実に書類の内容を了知していなくても送達の効力が生じることとなる。
郵便規則第90条によれば、郵便物の受取人があらかじめ当該配達を受け持つ郵便局に旅行その他の事由によって不在となる期間(30日を限度とする。)を届け出ている場合には、その期間の郵便物を当該郵便局に留め置くことになっているものの、受取人が当該郵便局に出向けばいつでも自由に受領できる取扱いとなっており、当該郵便局に郵便物が留め置きされた時以後、その郵便物は受取人がいつでも受領可能であることからして、受取人は当該郵便物をその支配下に置き、その内容を了知し得る状態になったものと認められるから、郵便物が郵便局に留め置かれた時に送達の効力が生ずるものと解される。
住民票を異動したり、郵便受箱を撤去するなどした行為は、通知書の送達を回避することを意図してなされたものであり、請求人の住所は本件住所にあるとして、差置送達の効力を認めた事例
裁決事例集 第54集 4頁
要旨
請求人は、平成8年3月14日にその住所を移転しており、本件通知書が送達された同月15日においては本件住所に請求人の住所はなかったのであるから、本件通知書の送達は無効である旨主張する。
しかしながら、住所がどこにあるかについては、その場所に生活の本拠と認められるべき実質的な生活関係があるか否かによって判断すべきであるところ、具体的には、その者及び配偶者等家族構成員らの生活状況、その住所への移転目的その他の諸事情を総合的に勘案し、社会通念に照らして判断するのが相当である。本件は、請求人が住民票を異動したり、郵便受箱を撤去するなどした行為は、本件通知書の送達を回避することを意図してなされたものと認められ、請求人の住所は本件住所にあると認めるのが相当である。また、本件通知書は、透明なビニールケースに入れて密封した上、門柱に貼り付ける方法により送達されていることが認められるところ、同通知書はこれをもって請求人の了知し得べき状態に置かれたものとみるのが相当であり、かつ、同時点をもってその効力が生じたものと判断される。
以上のことから、本件通知書は適法に送達されており、有効であると認められる。
要旨
原処分の通知書を受け取った者が、小学校6年生の子であったとしても、年齢、小学校の教育課程の状況からみて、その子は、書類の受領につき事理を弁識する能力を有すると認められるから、原処分の通知書の送達は有効である。
所得税の納税地とは、生活の本拠をいうと解されるところ、各地に住居を有していると認められる納税義務者の生活の本拠は、単に住民登録が異動していることやそこに住居があるといったことのみによることなく、納税義務者の資産の所有状況及びその所在、家族の居住状況、夫婦の同居の推認及び職業等の客観的な事実を総合して判定するのが相当であり、また、国税に関する税務署長の発する書類の送達の効力は、その書類が社会通念上送達を受けるべき者の支配下に入ったと認められる時、すなわち、書類の名あて人がその書類を了知し得る状態になった時にその効力が生ずるとした事例
裁決事例集 第53集 1頁
要旨
所得税の納税地とは、所得税法第15条(納税地)第1項により、国内に住所を有する納税者にあってはその者の住所地とされており、さらに、その住所とは民法第21条に規定する住所の意義である生活の本拠をいうと解されるところ、所得税法の解釈上、各地に住居を有していると認められる納税義務者の生活の本拠がいずれの土地にあると認めるべきかは、単に住民登録が異動していることやそこに住居があるといったことのみによることなく、納税義務者の資産の所有状況及びその所在、家族の居住状況、夫婦の同居の推認並びに職業等の客観的な事実を総合して判定するのが相当であって、これらの事情を総合判断すれば、請求人が住民登録を異動したことは認められるが、納税地が異動したとはいえない。
国税通則法第12条(書類の送達)第1項により、書類を交付送達すべき場所はその送達を受けるべき者の住所又は居所(事務所及び事業所を含む)とされ、原処分に係る通知書(本件通知書)の送達場所が請求人の妻の事業所であることが認められるから、本件通知書の交付送達は当該規定に抵触する意味で違法である。しかし、国税通則法において送達に関する規定を設けた趣旨は、国税に関する税務署長の発する書類が、名あて人のもとに確実に、かつ速やかに送達され、その送達によりじ後の手続が適正に進行することを確保することにあるものであって、その書類が社会通念上送達を受けるべき者の支配下に入ったと認められる時、すなわち、書類の名あて人がその書類を了知し得る状態になった時に、書類送達の効力が生ずるものと解されるところ、調査担当職員が請求人の次男に交付した本件通知書は請求人のもとに確実に、かつ速やかに送達されたこと、本件店舗は請求人の妻が請求人と同居している住所地と同じ町内のすぐ近くに所在し、その敷地は請求人の所有名義の土地であることが認められるから、送達に関する瑕疵は極めて軽微なものにとどまり、本件通知書の送達の効力に影響を及ぼすものではなく、原処分の取消事由にはならない。
要旨
相続人が国税通則法第5条の規定により被相続人の国税の納付義務を承継する場合において、相続人が2人以上あるときは、同条第2項の規定により各相続人の国税の承継額は民法第900条から第902条までの規定によるその相続分によりあん分計算することとなっているが、被相続人が外国人である場合には、法令第25条の規定により相続は被相続人の本国法によるものであるから、国税通則法第5条第2項の規定の適用については、被相続人の本国法による相当規定により承継額を計算することが相当である。
請求人がした青色申告承認申請書の提出期限の延長申請に関し、原処分庁が先にした同延長申請の承認を取り消した処分について、請求人が青色申請を期限までにすることができなかったことに通則法第11条規定の「災害その他やむを得ない理由」はなく、同承認は同条に適合しないにもかかわらずされたものだから、同取消処分が適法とした事例(災害による申告、納付等の期限延長申請の承認取消処分・棄却)
裁決事例集 第133集
ポイント
本事例は、原処分庁が先にした青色申告承認申請書の提出期限の延長申請についての承認処分について、当該延長承認の要件を満たさないことから、職権で取り消したことが適法と判断したものである。
要旨
請求人は、「新型コロナウイルスによる外出自粛の影響で提出が遅れました」と記載した青色申告承認申請書(本件青色申請書)の提出が提出期限後となったのは、新型コロナウイルスによる緊急事態宣言や自治体の外出自粛要請を受けて外出自粛等をしていたためであり、これらの事情は、国税通則法第11条《災害等による期限の延長》に規定する「災害その他やむを得ない理由により、国税に関する法律に基づく申告、申請、請求、届出その他書類の提出、納付又は徴収に関する期限までにこれらの行為をすることができないと認めるとき」に該当するから、原処分庁が、上記記載による同申請書の提出期限の延長申請に係る承認(本件延長承認)を後日取り消した処分(本件取消処分)は違法である旨主張する。
しかしながら、本件取消処分の適否を判断するに当たっては、本件延長承認がされた時点における事情に照らし、本件延長承認に違法等が認められるか否かを審理判断すべきであり、具体的には、本件延長承認が国税通則法第11条に適合するものであったか否かを検討すべきであるところ、本件青色申請書の提出が提出期限後になったのは、提出期限後になって特別償却の適用を受けるために青色申告の承認を受けようとしたという理由によるものであり、新型コロナウイルスの感染拡大を理由とするものではないから、「災害その他やむを得ない理由により、国税に関する法律に基づく申告、申請、請求、届出その他書類の提出、納付又は徴収に関する期限までにこれらの行為をすることができないと認めるとき」には該当しない。
参照条文等
参考判決・裁決
最高裁平成28年12月20日第二小法廷判決(民集70巻9号2281頁)
外国人であり日本で翻訳・通訳業に従事する請求人について、納税地特定のための住所の認定、各課税通知書及び繰上請求書を差置送達の方法で送達したことの適法性、請求人への繰上請求の適法性、差押処分の適法性などについて、請求人の主張を排斥した事例
裁決事例集 第71集 1頁
要旨
本件においては、(1)請求人は、本件各課税処分を免れるために一時的に外国人登録上の住所のみを変更していたと推認することができ、請求人が本件住所以外に転居したとは認められないから、請求人の生活の本拠は本件住所であると認められ、(2)請求人が出国して本件住所にいなかったとしても、本件各課税通知書及び本件繰上請求書は、請求人の納税地である本件住所に差置送達されたことで請求人の支配下に入ったものといえるから差置送達は適法である、(3)調査担当職員が平成16年12月に請求人に対して調査額の提示を行った後に、請求人が、[1]原処分庁への連絡を絶って外国人登録を本件住所から他へ移し友人宅などを転々と移動していること、[2]請求人名義の銀行口座から短期間に多額の預金を引き出していること、[3]本件住所の不動産の請求人の区分所有権を弟名義に変更していることなどは、請求人が本件課税通知書に係る滞納処分の執行を免れるために行ったものであると認められ、またこれらの事実から、納期限まで待っていては、国税債権の満足な実現を図られないおそれがあり、国税通則法第38条第1項第5号に該当する、[4]国税徴収法第144条に規定する同居の親族でない者を捜索に立ち会わせたこと及び本件捜索調書謄本の納期限と本件繰上請求書に記載された納期限が異なっていたとしても、本件差押処分は、本件捜索により判明した資料に基づいて行われたものではなく、本件捜索以前に既に原処分庁が把握していた資料に基づいて行われたものであるから、本件捜索の適否が本件差押処分の適法性に影響を与えるものではない。
請求人に相続による納付義務の承継があったことを前提として行われた本件差押処分について、請求人が相続放棄をしているから違法である旨の主張が認められなかった事例
裁決事例集 第55集 1頁
要旨
請求人は、被相続人の死亡当時被相続人と住所を同じくしており、また、請求人が被相続人の死亡当日に死亡届出を行っているのであるから、被相続人の死亡の日にその事実を知ったものと認めるのが相当である。
また、請求人らがJセンターへ売却した不動産は、被相続人の死亡により相続財産となり、平成7年3月31日受付で相続を原因として請求人の法定相続分とは異なる持分による所有権移転登記がなされているから、請求人は、遅くとも当該登記受付の日までに、遺産分割協議書に署名捺印することにより被相続人が死亡した事実を知ったことになる。
以上のとおり、請求人は民法第921条第2号に規定する同法第915条第1項の期間内に相続の放棄をしなかったときに該当するから、請求人がW家裁に相続放棄申述書を提出してなした相続の放棄は、同家裁の受理審判にかかわらず、それが効力を有するための実体的要件を欠いて無効であり、同法第921条の規定により単純承認したものとみなされる。
したがって、請求人は、民法第920条の規定により、無限に被相続人の権利義務を承継し、相続人として国税通則法第5条第1項及び第2項の規定に基づき、法律上当然に被相続人の滞納国税のうち請求人の法定相続分である4分の1の額725,825円を承継し、この納付義務を負う。
また、本件差押処分の手続に違法な点はない。
原処分庁に所属する職員が原処分に係る各通知書を歯科医院を営む請求人の自宅兼事業所に持参した際に、請求人が診療中であり対応することができないとして各通知書を受け取らなかった事情は、国税通則法第12条《書類の送達》第5項第2号に規定する「正当な理由」には該当しないとした事例
裁決事例集 第121集
ポイント
本事例は、国税通則法の送達に関する規定の趣旨を紐解き、その趣旨に照らせば、受送達者が診療中であったとしても、送達場所におり、原処分庁職員が交付送達のため来訪したことを現に認識していた場合には、(法が、その診療終了を待って出会送達をすることや、再度の送達を行うことまでを求めていると解することは困難であるとして)差置送達を行うことができると判断したものである。
要旨
請求人は、原処分庁に所属する職員が原処分に係る各通知書を自宅兼事業所に持参した際、歯科医師として診療中であり対応することができなかったから、国税通則法第12条《書類の送達》第5項第2号に規定する「正当な理由」に該当するため、原処分庁が差置送達を行ったことは同条に規定する差置送達の要件に該当しないから、原処分を取り消すべき違法がある旨主張する。
しかしながら、差置送達は、書類の送達を受けるべき者等が送達すべき場所にいない場合、又はこれらの者が正当な理由がなく書類の受領を拒んだ場合に行うことができる送達方法であり、差置送達の制度が認められた趣旨に照らせば、請求人の診療中であるという事情は、国税通則法第12条第5項第2号に規定する「正当な理由」には該当しないと解すべきであるから、原処分庁による差置送達は法令上の要件を満たしたものであるから、原処分庁が差置送達を行ったことにつき、原処分を取り消すべき違法はない。
参照条文等
参考判決・裁決
東京地裁平成23年10月25日判決(税資261号順号11796)
相続放棄の申述をした請求人に対して、原処分庁が相続放棄の無効を前提として行った不動産の差押処分について、相続人である請求人の口座に振り込まれた被相続人の顧問料相当額を引き出した事実は法定単純承認事由となる相続財産の処分に該当しないとした事例
裁決事例集 第119集
ポイント
本事例は、法定単純承認事由となる相続財産の処分がされたか否かについて、請求人及び関係者の答述並びに帳簿等の広範囲な証拠に基づき、請求人が相続財産を費消(処分)したと認められるか否か、総合的かつ慎重に認定し、相続放棄の申述が有効であると判断したものである。
要旨
原処分庁は、①請求人名義の金融機関の口座(本件口座)に振り込まれた金員(本件金員)は、請求人の配偶者(本件被相続人)と本件金員の支払者との間の委任契約(本件委任契約)に基づき、本件被相続人に対する未払報酬が請求人名義の本件口座に振り込まれたもので、相続財産に該当するところ、請求人が本件金員を受領、出金及び返納した行為は、いずれも民法第921条《法定単純承認》第1号に規定する相続財産の「処分」に該当する旨、②請求人名義の土地及び建物(本件各不動産)の取得資金は、本件被相続人が出捐し、又は本件被相続人の意思により関係会社等が支出していることから、本件各不動産は本件被相続人に帰属する財産であり相続財産に該当するところ、請求人が本件各不動産について、同条第3号に規定する「隠匿」及び同条第1号に規定する「処分」に該当する行為をしている旨、上記①及び②の事実は法定単純承認事由に該当するから、請求人の相続放棄は認められず、請求人は本件被相続人の納付義務を承継する旨主張する。
しかしながら、①については、本件金員が相続財産に該当することが認められるものの、本件金員が本件委任契約に基づいて本件口座に振り込まれたものにすぎず、請求人が出金した本件金員を一部でも費消した事実は認められないこと、請求人が振込名義人あてに送金したのは相続放棄の申述が受理された後であることから、これらはいずれも相続財産の処分には該当しないこと、②については、本件各不動産が本件被相続人に帰属する財産であることを認めるに足りる証拠はなく、相続財産に該当すると認められないことから、本件金員及び本件各不動産について、請求人に法定単純承認事由に該当する事実はなく、請求人の相続放棄の申述は有効であり、請求人は本件被相続人の納付義務を承継しない。
参照条文等
国税通則法第5条第1項、第2項 民法第921条第1号、第3号、同法第938条、同法第939条、家事事件手続法第201条第5項、第7項
参考判決・裁決
最高裁昭和42年4月27日第一小法廷判決(民集21巻3号741頁) 大審院昭和5年4月26日判決(大審民集9巻427頁)
特定記録郵便により発送された処分に係る通知書は、配達完了の記録がされた日に納税者がその通知書を了知し得る客観的状態になり、送達されたものとなるとした事例(令和元年分の所得税及び復興特別所得税の更正処分並びに過少申告加算税の賦課決定処分・却下)
裁決事例集 第130集
ポイント
本事例は、処分に係る通知書が特定記録郵便により発送された場合には、その通知書は、その配達が完了した旨が記録された日に請求人の支配下に入ってその内容を了知し得る状態に置かれたものと評価でき、同日に送達されたと認められるとしたものである。
要旨
請求人は、原処分に係る通知書(本件通知書)を受け取った日からすれば、本審査請求は、不服申立てをすることができる期間内にされたものである旨主張する。
しかしながら、本件通知書は、特定記録郵便により請求人の住所に発送されているところ、本件通知書が返戻された事実はなく、当審判所の調査の結果によっても本件通知書が誤配達されたこと等をうかがわせる証拠は見当たらないことからすると、その配達が完了した旨が記録された日に送達を受けるべき請求人の住所に設置された郵便受箱に配達されたと認められ、同日に請求人の支配下に入ってその内容を了知し得る状態に置かれたものと評価できるから、本件通知書は、同日に請求人に送達されたと認められる。そうすると、本審査請求は、本件通知書が送達された日の翌日から起算して3月を経過した後にされたものであり、また、請求人が法定の不服申立期間内に本審査請求をしなかったことについて、国税通則法第77条《不服申立期間》第1項ただし書に規定する正当な理由があるといえる事情は認められないから、本審査請求は、不服申立てをすることができる期間を経過した後にされた不適法なものである。
参照条文等
参考判決・裁決
最高裁昭和52年2月17日第一小法廷判決(民集31巻1号50頁) 最高裁昭和55年1月11日第三小法廷判決(税資110号1頁) 最高裁平成3年12月12日第一小法廷判決(税資187号334頁)
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