裁決事例 一時所得

裁決事例 一時所得

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令和6年8月23日裁決

一時所得の金額の計算上、生命保険契約の契約者貸付けによる借入金に係る利息を控除することができないとした事例(令和2年分の所得税及び復興特別所得税の更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分・棄却)

裁決事例集 第136集

ポイント

 本事例は、生命保険契約の契約者貸付けによる借入金に係る利息が、当該保険契約に係る解約返戻金に係る一時所得の金額の計算上、所得税法第34条第2項に規定する「その収入を得るために支出した金額」に含まれないとしたものである。

要旨

 請求人は、生命保険契約(本件保険契約)に係る契約者貸付け(本件契約者貸付け)による借入金(本件借入金)に係る利息(本件利息)は、請求人が受領した本件保険契約に基づく解約返戻金(本件解約返戻金)と相殺されたことなどから、本件解約返戻金に係る一時所得の金額の計算上、所得税法第34条《一時所得》第2項に規定するその収入を得るために支出した金額に含まれる旨主張する。
 しかしながら、本件利息が同項に規定するその収入を得るために支出した金額に含まれるというためには、本件保険契約に係る保険料の支払に本件借入金が充てられたものであることが必要であるところ、請求人は、本件契約者貸付けを利用する前に本件保険契約に係る保険料を完納しており、本件借入金が本件保険契約に係る保険料の支払に充てられていないことは明らかであるから、本件利息は、本件解約返戻金に係る一時所得の金額の計算上、同項に規定するその収入を得るために支出した金額に含まれない。

参照条文等

所得税法第34条第2項

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平成13年12月12日裁決

一時払いの生命保険契約上の権利を退職金の一部として受領し、その後当該生命保険契約を解約したことにより解約返戻金を受領した場合の一時所得の金額の計算上控除する金額は、一時払いした保険料に限られず、退職所得として課税された退職時における当該生命保険契約の解約返戻金相当額であるとした事例

裁決事例集 第62集 161頁

要旨

 原処分庁は、請求人が法人役員を退任した際に生命保険契約上の権利を退職金の一部として一時払いの生命保険契約の契約者及び受取人の名義を請求人に変更することにより受領し、その後当該生命保険契約を解約したことにより解約返戻金を受領した場合、所得税法第34条第2項に規定する一時所得の金額の計算上控除する金額は、所得税法施行令第183条第2項に規定するとおり法人が一時払いした保険料に限られ、請求人が退職所得として課税された退職時における当該生命保険契約の解約返戻金相当額ではない旨主張する。
 しかしながら、所得税法施行令第183条第2項は、生命保険契約等に基づく一時金に係る一時所得の金額の計算方法を完結的・網羅的に規定したものではなく、同項第2号は、生命保険契約等に基づく一時金に係る一時所得の金額の計算上、保険料総額のみしか控除できない旨を規定した特例規定ではないものと解され、当該一時金に係る一時所得の金額の計算に当たっては、保険料総額以外に所得税法第34条第2項に規定する収入を得るために支出した金額がある場合には、その支出した金額を一時所得に係る総収入金額から控除できるものと解される。
 一時所得の金額の計算上控除する金額については、一般には保険料の額と解するのが相当であるとしても、本件においては、本件退職時解約返戻金相当額が保険料総額を上回っており、その上回った金額を含めて退職所得課税の対象となっていることから、その上回った金額は、所得税法第34条第2項に規定する一時所得の金額の計算上収入を得るために支出した金額に含まれると解するのが相当である。

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昭和54年6月29日裁決

家屋の明渡しに際し支出した弁護士費用は立退料を取得するための必要経費に当たるとした事例

裁決事例集 第18集 50頁

要旨

 請求人が支出したとする弁護士費用は、その支出の事実が認められ、かつ、本件家屋の所有者から提起された明渡しを求める訴訟において、弁護士によって請求人の立場が有利になるように訴訟が進められ、和解に際し立退料の支払が行われたものと認められるから、その収入を得るために直接要した支出と認められる。

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平成2年12月21日裁決

所有不動産を売却する目的の甲売買契約が相手方都合により解約されたので、買換資産を取得する目的の乙売買契約をやむを得ず解約したとしても、両契約の売買物件、売主、買主、解約事情等は異なるから、甲売買契約の解約と乙売買契約の解約とは別々の行為と認められ、乙売買契約に係る解約違約金は甲売買契約に係る解約違約金収入を得るために支出した金額には該当しないとした事例

裁決事例集 第40集 33頁

要旨

 請求人は、その所有不動産を売却する目的の甲売買契約を締結するとともに、その売却代金で買換資産を取得する目的の乙売買契約を締結したところ、甲売買契約が相手方都合により解約されたので、やむを得ず乙売買契約を解約したが、甲売買契約と乙売買契約とは関連して発生した取引で因果関係があるから、甲売買契約の解約により受領した違約金3,700万円の一時所得としての課税上、乙売買契約の解除に伴い支払った1,000万円をその総収入金額から控除すべきである旨主張するが、甲売買契約及び乙売買契約をみるに、たとえ請求人が甲物件の売却代金を乙物件の購入資金に充てることを予定していたとしても、それぞれの契約の売買物件、売主、買主、解約された事情等が異なるから、甲売買契約の解約と乙売買契約の解約とは別々の行為であると認められ、支払った解約違約金が甲売買契約を解約するため又は甲売買契約の解約に伴い直接必要であったとは認められず、乙売買契約に係る解約違約金は甲売買契約に係る解約違約金収入を得るために支出した金額には該当しない。

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平成22年2月19日裁決

死亡保険金に係る一時所得の金額の計算上、借入金利息の支払のための借入金及び当該借入金に係る抵当権設定費用等は収入を得るために支出した金額に該当しないとした事例

裁決事例集 第79集

要旨

 請求人は、①各変額保険契約の保険料の支払に充てる目的で借り入れた本件借入金の利息の支払のために締結した本件当座貸越契約に係る第二借入金は、当該各変額保険契約と別個独立のものではなく、一体のものとして捉えるべきであること、②本件借入金に係る本件長期総合ローン契約及び本件当座貸越契約の各融資契約につき本件借入金から支出した抵当権設定費用等は、当該各融資契約をしなければ変額保険契約に基づく本件保険金等を受け取ることができなかったものであるから、いずれも本件保険金等を得るために必要不可欠な支出であり、所得税法第34条第2項に規定する「その収入を得るために支出した金額」に該当する旨主張する。
 しかしながら、所得税法第34条第2項が、一時所得の金額の計算における控除の対象を、「収入を得るために支出した金額(その収入を生じた行為をするため、又はその収入を生じた原因の発生に伴い直接要した金額に限る。)」と規定している趣旨は、一時所得に係る支出には、収入が得られた時はその控除項目としての意味をもつと同時に、一種の消費支出としての側面があることから、一時所得に係る収入、支出については、収入を生じた各行為又は各原因ごとに個別対応的に計算し、その反面、収入を生じない行為又は原因に係る支出は控除項目から除外することにあると解される。
 このような趣旨にかんがみれば、「その収入を生じた原因の発生に伴い直接要した金額」とは、収入を得るために直接支出した金額など収入を生じた各原因ごとに直接支出した金額に限られると解するのが相当である。
 そうすると、本件当座貸越契約は、本件長期総合ローン契約とは別個独立の契約であり、本件当座貸越契約に係る利息債務は、本件当座貸越契約を前提として発生する債務であるから、本件当座貸越契約に係る利息の支払は、収入を生じた原因の発生、すなわち、本件保険金等に係る変額保険契約の締結とは直接の関連性を有しないというべきである。
 また、抵当権設定費用等は、いずれも、当該各融資契約の実行のために支出したものであり、これは、収入を生じない行為又は原因に係る支出であるから、そもそも控除項目に該当しないというべきである。

参照条文等

所得税法第34条第2項 所得税法施行令第183条第2項第2号

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平成24年2月8日裁決

土地の時効取得に係る一時所得の金額の計算上、弁護士費用等は、総収入金額から控除することができないとした事例

裁決事例集 第86集

ポイント

 この事例は、請求人が同人の夫の父の後妻名義の土地を取得したことにつき、①請求人の夫から相続により取得したものか、時効により取得したものか、②仮に、時効により取得した場合には、訴訟追行のための弁護士費用等は、一時所得の金額の計算上、総収入金額から控除できるか否かが争われたものである。
 なお、①については、請求人の夫から相続により取得したものではなく、時効の援用により取得したものとして一時所得に該当すると判断している。

要旨

 請求人は、所有権移転登記請求訴訟(本件訴訟)により、時効取得が認められた土地の取得が一時所得に該当する場合、本件訴訟に係る弁護士費用等は、一時所得の金額の計算上収入を得るために支出した金額に当たる旨主張する。
 しかしながら、時効取得による一時所得の金額の計算上、総収入金額から控除できる金額は、取得時効の援用の意思表示を相手方へ明らかにするために直接要した費用のみであるところ、本件訴訟に係る弁護士費用等は、登記の変更を求めるためのもので取得時効を援用するために直接要した費用とは認められないから、一時所得の収入を得るために支出した金額には当たらない。

参照条文等

所得税法第34条第36条

参考判決・裁決

東京地裁平成4年3月10日判決(訟月39巻1号139頁) 静岡地裁平成8年7月18日判決(行集47巻7・8号632頁、裁Web)

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平成18年6月30日裁決

満期生命保険金に係る一時所得の計算上、受取人以外の法人が負担した保険料は、受取人が実質的に負担したものではないから、収入を得るために支出した金額には含まれないとした事例

裁決事例集 第71集 299頁

要旨

 請求人は、契約者及び死亡保険金の受取人を法人とし、満期保険金の受取人を請求人とする養老保険契約の満期保険金に係る一時所得の計算において、所得税法第34条《一時所得》第2項、同法施行令第183条《生命保険契約等に基づく年金に係る雑所得の金額の計算上控除する保険料等》第2項第2号及び所得税基本通達34-4《生命保険契約等に基づく一時金又は損害保険契約等に基づく満期返戻金等に係る所得金額の計算上控除する保険料等》の規定等の文理から解釈して、所得税法第34条第2項に規定する「収入を得るために支出した金額」とは、所得者である請求人自らが負担した金額であるか否かは問わず、支払保険料の総額であるから、保険契約者である法人が支払い費用処理した保険料(以下「本件費用処理保険料」という。)を当該「収入を得るために支出した金額」に算入すべきである旨主張する。
 しかしながら、[1]所得税法第34条第2項が「収入を得るために支出した金額」を「その収入を生じた行為をするため、又はその収入を生じた原因の発生に伴い直接要した金額に限る」としているのは、一時所得に係る収入に関連して、あるいは収入があったことに起因して所得者が負担したようなものは収入を得るために支出した金額とするものであると解され、このことは、個人を納税義務者とし、当該個人の収入から支出を差し引いた純所得に課税するという所得税の本旨からすれば、条理上当然であると認められること、[2]所得税法施行令第183条第4項においては、所得者自らが負担したと認められる保険料等に限って「収入を得るために支出した金額」に算入することとしていること、及び[3]所得税基本通達34-4は、一時金の支払を受ける者(所得者)以外の者が保険契約者として保険料等を負担した場合も、当該所得者である使用人が実質的にその保険料相当額を負担しているときには、当該保険料等は当該所得者の収入を得るために支出した金額と認めるという趣旨で定められたものと解されることからすると、本件費用処理保険料を所得税法第34条第2項の「収入を得るために支出した金額」に算入できるか否かについては、本件費用処理保険料を請求人自らが負担したかどうかにより判断することが相当である。
 本件費用処理保険料は、保険契約者である法人の「保険料」として費用処理され、当該金額を請求人に対する経済的利益として(給与)課税した事実もないことから、請求人自らが負担したものとは認められず、所得税法第34条第2項に規定する「収入を得るために支出した金額」に算入することはできない。

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平成27年4月21日裁決

法人の代表取締役である請求人が、当該法人から契約上の地位を譲り受けた生命保険契約を解約したことにより受領した解約払戻金に係る一時所得の金額の計算上、当該法人が支払った保険料を一時所得の金額の計算上控除することはできないとした事例(平成22年分の所得税の更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分・棄却)

裁決事例集 第99集

要旨

 法人の代表取締役である請求人は、同人が当該法人から契約上の地位を譲り受けた生命保険契約を解約したことにより受領した解約払戻金に係る一時所得の金額の計算上、当該法人が支払った保険料を含む当該生命保険契約に係る保険料の総額を控除すべきである旨主張する。
 しかしながら、一時所得に係る支出が所得税法第34条《一時所得》第2項にいう「その収入を得るために支出した金額」に該当するためには、それが当該収入を得た個人において自ら負担して支出したものといえる場合でなければならないと解するのが相当である。なお、所得税法施行令(平成23年6月改正前のもの)第183条《生命保険契約等に基づく年金に係る雑所得の金額の計算上控除する保険料等》第2項第2号についても、以上の理解と整合的に解釈されるべきものであり、同号が一時所得の金額の計算において支出した金額に算入すると定める「保険料…の総額」とは、保険金の支払を受けた者が自ら負担して支出したものといえる金額をいうと解すべきであって、同号が、このようにいえない保険料まで上記金額に算入し得る旨を定めたものということはできない。したがって、当該解約払戻金に係る一時所得の金額の計算上、当該法人がその名義により支払った保険料は、これを控除することはできない。

参照条文等

所得税法第34条第2項 所得税法施行令第183条第2項第2号(平成23年6月政令第195号による改正前のもの) 所得税基本通達34-4(平成24年2月10日付課個2-11・課審4-8による改正前のもの)

参考判決・裁決

最高裁平成24年1月13日第二小法廷判決(民集66巻1号1頁)

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