裁決事例 登録免許税法の特例
住宅取得資金の借換えのための貸付けに係る債権の担保のために受ける抵当権設定の登記に関する登録免許税については、租税特別措置法第74条の適用はないとした事例
裁決事例集 第64集 583頁
要旨
租税特別措置法第74条に規定する「住宅用家屋の新築若しくは取得をするための資金の貸付け」とは、住宅用家屋を新築又は取得をするために受ける資金の貸付けであり、住宅用家屋の新築または取得をした後に当該貸付けを返済して新たに資金の貸付けを受ける場合の貸付けとは、その目的が明らかに異なるものであるから、本件軽減規定の対象となる住宅用家屋の新築又は取得のための資金の貸付けには含まれないと解するのが相当である。
請求人は、租税特別措置法第41条(所得税の特例である住宅借入金等を有する場合の所得税額の特別控除)の適用において、同条に既定する「当該住宅の取得等に係る借入金又は債務の金額」には、一定の条件を満たす住宅取得資金の借換えによる借入金を含むと解されていることから、本件軽減規定も同様に解釈すべきである旨主張する。
しかしながら、個人の所得に担税力を認めて課される所得税と登記や登録の背後に担税力を認めて課される登録免許税とは、そもそも課税の仕組みが異なるものであり、それぞれの規定ぶりも異にするものである。
また、措置法は特例的な制度であることからすれば、その解釈適用に際しては、むやみに類推解釈や拡大解釈をすべきものではない。
台帳価格のない土地の価額の算定に当たって、当該土地の売買価額を不動産の価額であるとした場合にも、当該価額に租税特別措置法第84条の3に規定する特例により100分の40を乗じた額によることができるとする法令上の規定はないから、当該土地の価額の算定に当たっては、分筆前の土地の価額の合計額に当該特例に基づき100分の40を乗じた額によるべきであるとした事例
裁決事例集 第53集 525頁
要旨
請求人は、本件登記申請に係る登録免許税の課税標準の額は、本件土地の売買価額を基礎としてこれに100分の40を乗じて算定すべきであると主張するが、[1]登録免許税法第10条(不動産等の価額)第1項の課税標準たる不動産の価額は、当分の間、台帳価格を基礎として政令で定める価額によることができる旨規定しているものであり、租税特別措置法第84条の3(不動産登記に係る不動産価額の特例)の規定により、当該金額に100分の40を乗じた額が登録免許税の課税標準の額となること及び[2]同規定は、登録免許税法附則第7条(不動産登記に係る不動産価額の特例)の規定により、台帳価格を基礎として登録免許税の課税標準の額を算定する場合に限り適用されるものであって、請求人が主張するところの本件土地の売買価額が課税標準たる不動産の価額であるとした場合についてまでもこれらの規定を適用する旨の法令上の規定はないから、請求人の主張には理由がない。
家屋について、所有権移転登記を受けた後において、租税特別措置法第74条の2に規定する登録免許税の税率の軽減を受けるために必要な証明書を提出しても、既に納付した登録免許税の還付を受けることはできないとした事例
裁決事例集 第27集 266頁
要旨
租税特別措置法(昭和59年法律第6号による改正前のもの)第74条の2第1項及び第2項に規定する税率の軽減は、同法施行規則(昭和59年大蔵省令第11号による改正前のもの)第26条の2第1項に定めるところによりその登記申請書に、当該登記を受けようとする家屋について同法施行令第42条の2の規定による市町村等の証明書を添付して登記を受けた場合に限り適用するものとされており、かつ、同法第74条の2には、この証明書の添付がなかった場合でも軽減税率の適用を受けることができる旨のいわゆるゆうじょ規定の定めがないことから、所有権移転登記を受けた後に上記証明書を提出して、既に納付した登録免許税の還付を受けることはできない。
請求人らから同時にされた各共有地の持分移転登記申請については、その各土地は共同で競落したことに基因しているもので、1筆の共有地からの同一事件に係る分筆登記によって生じたものではないから、租税特別措置法第84条の4第2項の適用はないとした事例
裁決事例集 第61集 721頁
要旨
租税特別措置法第84条の4第2項の特例は、[1]共有物分割による持分移転登記の申請に係る土地全てが、もともと共有の1筆の土地であって、同一の分筆登記によって生じたものであること、[2]共有物分割による持分移転登記が、[1]の分筆で生じた他の土地の共有物分割による持分移転登記と同時に申請されていること、の二つの要件を備えている場合に限って適用されるものであるから、仮に、数筆の土地について共有物分割による持分移転登記が同時に申請された場合であっても、その申請に係る土地が、もともと共有であった1筆の土地から同一事件に係る分筆登記によって生じたものでない場合には適用がないところ、本件申請に係る本件各土地は、請求人らが共同で競落したことに基因して共有することとなったものであって、分筆登記前の土地について共有関係があったものでないから、本件登記申請には本件特例の適用がない。
住宅用家屋を取得した請求人が、登記時には住宅用家屋証明書の交付を受けられず、登記完了後に交付を受けた同証明書を添付して行った還付通知すべき請求に対してなされた、還付通知をすべき理由がない旨の通知処分は適法とした事例
裁決事例集 第65集 973頁
要旨
請求人は、本件建物は租税特別措置法施行令第42条第1項に規定する家屋に該当するところ、本件登記申請書提出時には住宅用家屋証明書の交付をしてもらえなかったから本件登記申請書に住宅用家屋証明書を添付できなかったのであり、本件登記完了後ではあるが、本件証明書の交付を受けこれを添付して本件還付請求をしたのであるから、本件登記は本件軽減措置に該当し、本件還付通知請求は認められるべきである旨主張する。
しかしながら、登録免許税は、登記の時に納税義務が成立し、それと同時に特別の手続きを要しないで納付すべき税額が確定するものであるから、本件軽減措置の適用がある場合とは、登記の申請時において、その登記の申請書に当該家屋についての住宅用家屋証明書の添付がある場合に限られるものと解され、本件登記については、本件軽減措置の適用はないこととなる。
また、請求人が主張するような事情があったとしても、租税特別措置法第73条には登記申請時に住宅用家屋証明書の添付がない場合でも本件軽減措置の適用を受けることができるとするゆうじょ規定は存在しないから、請求人の主張には理由がない。
請求人が共同相続人と共に相続により取得した建物を単独所有とした登記は共有物の現物分割ではないとして、租税特別措置法第84条の4第4項の適用はないとした事例
裁決事例集 第65集 982頁
要旨
請求人は、判決により持分移転の登記をしたものであり、登録免許税を不当に免れようとしているものではなく、租税特別措置法第84条の4の立法趣旨に反するものではないから、同条第4項の特例の適用を認めるべきである旨主張するが、同条第4項の特例が適用されるためには、共有物分割による持分移転の登記申請に係る建物すべてが、もともと共有の1棟の建物であって、同一の分割登記又は区分登記によって生じたものであること、及び共有物分割による持分移転の登記が、分割又は区分によって生じた他の建物の共有物分割による持分移転の登記と同時に申請されていることが必要であるところ、本件建物は、上記の要件が備わっていないのであるから、同条第4項の特例の適用がないことは明らかである。
また、本件特例の解釈・適用に当たっては、その要件をたやすく拡張することはできないというべきであるので、立法の不備を運用によって補うべきであるとの請求人の主張には理由がない。
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