裁決事例 資産の譲渡

裁決事例 資産の譲渡

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昭和56年6月1日裁決

価額分割により取得した遺留分としての分配金は譲渡所得の収入金額に該当するとした事例

裁決事例集 第22集 29頁

要旨

 遺産分割が家事審判に基づく競売による価額分割の方法により行われ、当該分割の対象となった土地の競売代金のうちから取得した遺留分相当額の金員については、相続財産として取得したものであり、譲渡所得の課税対象とはならない旨の主張について、譲渡所得の課税は、譲渡所得の基因となる資産の値上がりによりその資産の所有者に帰属する増加益を所得として、その資産の所有者の支配を離れて他に移転するのを機会にこれを清算して課税する趣旨のものであり、当該金員については、家事審判に基づく競売による価額分割がなされたことによって、その値上がり益の清算が行われたものと認められるから、所得税法第33条第3項に規定する譲渡所得に係る収入金額に該当するものであり、したがって、原処分は相当である。

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昭和59年3月31日裁決

共同宅地造成によって生じた面積の減少部分の土地は、公共用地として地方公共団体に無償で供与されたものであり、当該土地についての譲渡所得はないものと認定した事例

裁決事例集 第27集 100頁

要旨

 共同宅地造成によって生じた面積の減少部分の土地は、公共用地として地方公共団体に無償で供与されたものであるが、地方公共団体が所有する公道等は私人としてこれを所有してもあまり意味のない無価値のものであって、仮に所有権の移転が行われたとしても対価として収入する金額はないものと考えられること、また、所有地の一部を無償で供与することによって、所有面積は減少しても、残地については反射的利益として公共用地の利用便益を享受することになり、その価値は高まるので、供与者としては減少する土地についての対価を得ようとの認識はないことから当該供与部分の土地については譲渡所得はないものと認めるのが相当である。

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昭和46年3月13日裁決

売買契約が無効であるとして、譲渡所得の課税処分を取り消した事例

裁決事例集 第2集 11頁

要旨

 裁判上の和解により、両当事者は譲渡所得課税(原処分)の基となった売買契約の無効を確認し、この和解条項のとおり、いったん受領した譲渡代金の返済、所有権移転登記の抹消をしているので、原処分を取り消すのが相当である。

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昭和49年5月1日裁決

財産分与を原因として行った土地の所有権移転は特有財産の譲渡に当たるとした事例

裁決事例集 第8集 6頁

要旨

 請求人が取得した不動産については、その取得及び維持管理に関し配偶者の寄与、貢献があったとしても、当該不動産は名実ともに請求人の取得した財産であると認められているので、同人の特有財産であったというほかはない。
 したがって、請求人が離婚に伴う財産分与の調停に基づく債務を履行するために、本件不動産の所有権を配偶者に移転したことは所得税法第33条第1項に規定する資産の譲渡に当たるとした原処分は相当である。

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昭和54年10月12日裁決

代替地提供の条件が履行されなかったとして行われた当該土地に係る取引は再売買によるものではなく譲渡契約の解除によるものであるとした事例

裁決事例集 第19集 34頁

要旨

 譲受人が本件農地の開発許可を受けるに際し提出した書類には、請求人の同意書があり、その開発に当たり地目を宅地に変更する登記をしているから、本件土地は譲受人に引き渡され、所有権が完全に移転していると認められ、また、売買契約書に代替地提供を条件とする条項はなく、覚書には、代替地の提供ができない場合には売買代金と同額で売り戻すとされているから、請求人の譲受人に対する売買代金と同額の金員の支払は、売買契約の解除によるものではなく、再売買によるものであるという原処分について、前記覚書以外の覚書によると代替地の提供が売買契約の条件であったと認められ、その契約時には、所有権移転登記ではなく、譲受人を権利者とする所有権移転請求権仮登記がされているところからみて、譲受人が所有権を確定的に取得したことはなかったことが明らかであるから、仮登記の抹消とともになされた前記金員の支払は、当該土地の再売買によるものではなく、本件譲渡契約を解除したことに伴う返還であると認定するのが相当であるから、原処分は取り消されるべきである。

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平成17年5月18日裁決

譲渡土地は換価分割されたものであり、請求人の譲渡収入金額は同人が換価分割により取得した換価代金の額であるとした事例

裁決事例集 第69集 93頁

要旨

 請求人は、相続した本件土地を各共同相続人均等の相続登記をした上で譲渡したことについて、共同相続人間における遺産分割協議の内容は代償分割であり、当該譲渡により請求人が取得した代金には他の共同相続人から受け取るべき代償金が含まれているから、請求人の譲渡所得に係る総収入金額は、本件土地の譲渡代金に請求人の当該相続登記による持分を乗じて算定すべきであると主張するが、[1]共同相続人間において、被相続人の遺産は各共同相続人が全体として均等に分割することとし、本件土地は売却換価して、その代金を分割することに合意していること、[2]各共同相続人は、その合意事項に基づき本件土地の売買契約を締結し譲渡代金を確定させたこと、[3]譲渡代金の確定後、遺産分割協議により各相続人が具体的に受領する代金の額を定めており、当該遺産分割協議の内容は調停条項に反映されていること、[4]合意事項、遺産分割協議及び調停条項において、財産(現物)を取得した相続人が他の相続人に対して代償債務を負担するという合意はなされていないこと、及び[5]請求人以外の共同相続人は換価分割として譲渡価額を算定していることを総合すると、本件土地はいわゆる換価分割の方法により分割されたものと認められるから、請求人の譲渡所得に係る総収入金額は、同人が換価分割により取得した換価代金とすべきである。

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昭和60年11月26日裁決

離婚に伴う財産分与として、特有財産である土地の所有権を被分与者に移転したことは、譲渡所得課税の対象となるとした事例

裁決事例集 第30集 1頁

要旨

 請求人は、離婚に伴う財産分与として本件土地の所有権を被分与者に移転したことにつき、その実質は共有財産中の所有地を特定し、真正な登記名義を回復したにすぎず、仮に本件土地が請求人の特有財産であったとしても、財産分与は対価を伴わない無償譲渡であり、被分与者の潜在的持分に着目して共有財産を分割するという清算的性格を有するものであるから、財産分与に譲渡所得の概念を持ち込むことには無理がある旨主張するが、本件土地の取得について被分与者が何らかの形で貢献していることは否定できないとしても、そのことをもって本件土地が直ちに被分与者との共有になるものとはいい得ず、本件土地は、請求人の特有財産であったものと認められ、また、夫婦の一方がその特有財産である不動産を財産分与として他方に譲渡した場合、そこに資産の移転が存することは明らかであって、その譲渡は、分与義務の消滅という経済的利益の享受を伴うものであるから有償の譲渡と認めるのが相当であり譲渡所得課税の対象となる。

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昭和55年4月14日裁決

土地の譲渡につき子が無断で譲渡したものであり譲渡所得は存在しない旨の主張を退けた事例

裁決事例集 第20集 100頁

要旨

 請求人名義の土地の譲渡を、たとえ、同人の子が無断で行ったものであるとしても、その後、当該土地の面積及び売買価額を改める変更契約書を請求人、買主及び当該子が協議して作成していることから、請求人は本件譲渡を追認していると認められること、請求人が無断譲渡に関して法的手段に出ていないこと、譲渡代金は当該子が受領済みであることなどから、請求人が本件土地を譲渡したものとして行った原処分は適法である。

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平成4年11月25日裁決

請求人が調停離婚により前配偶者に分与した不動産は、請求人の特有財産と認められるから、共有財産(持分各2分の1)の譲渡には当たらないとした事例

裁決事例集 第44集 61頁

要旨

 請求人が調停離婚により前配偶者に分与した不動産は、その取得に関して前配偶者の協力があったとしても、当該不動産は名実ともに請求人の名で取得した財産であるから、同人の特有財産であったというほかなく、したがって、共有財産の譲渡には当たらないので、その資金の全部について請求人が譲渡したこととなる。

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昭和59年7月11日裁決

売買契約が法的に有効なものとしては存在しなかったとして譲渡所得の課税処分を取り消した事例

裁決事例集 第28集 1頁

要旨

 請求人は、商品取引上の損失についての支払のために、商品取引の委託を業とする会社に土地を譲渡する旨の契約を一度は締結したものの、当該土地の引渡し等に係る紛争についての訴訟上の和解の結果、請求人は、買受人に対し紛争解決金を支払って両者間の売買契約は実質的に解消されていること、本件土地の引渡し、所有権移転登記等が一度も行われないまま請求人がその所有権を確保していることに照らし、結果的に売買契約が法的に有効なものとしては存在しないことを確認したのと同様の内容の和解が成立したものと解されることから本件土地についての譲渡所得はないことになり、原処分を取り消すのが相当である。

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平成8年3月4日裁決

平成2年分土地及び平成3年分土地の売主は請求人、買主はT社、譲渡収入金額は3億68万円及び1,670万円であるとして請求人の主張を排斥した事例

裁決事例集 第51集 65頁

要旨

 請求人は、平成2年分土地(P市R町241田2,840平方メートル)の買主はN社で、譲渡収入金額は1億4,604万円及び平成3年分土地(P市S町1893田168平方メートル)の買主はE社で、譲渡収入金額は969万円である旨主張する。
 しかしながら、次の事実によれば、請求人は、平成2年分土地及び平成3年分土地をいずれもT社に3億68万円及び1,670万円で譲渡したと認めるのが相当である。
【平成2年分土地譲渡】

  1.  T社は、[1]平成2年6月7日K銀行e支店から引き出した6,155万円により作成した保証小切手2,900万円、現金3,100万円及びX社(仲介業者)が用意した現金100万円により手付金6,100万円を、[2]同年10月11日同支店から引き出した2億3,963万円により作成した保証小切手1億2,263万円及び現金1億1,700万円により残金2億3,968万円を支払っていること。
  2.  上記[1]の保証小切手は請求人名義で裏書し、[2]の保証小切手はN社(平成元年2月6日銀行取引停止)名義で裏書してJ銀行a支店のN社名義の普通預金口座に入金された後、平成2年10月中にほぼ全額が引き出され、また、同普通預金口座の開設申込書(平成2年6月7日)には請求人の電話番号が記載されていること。
  3.  N社の代表者は、調査担当者に[1]T社との売買契約書を作成したが、代金は受領しておらず、[2]売買交渉は請求人が行った旨申述していること。
  4.  X社の代表者は、調査担当者に[1]平成2年6月8日に請求人とT社は、譲渡価額を3億68万円とする売買契約を締結して手付金を授受したが、[2]残金の決済時に売主名を請求人からN社への変更要望があり、[3]T社は渋ったが、平成3年分の土地の購入予定があったので、要望に応じた旨申述していること。
  5.  X社の代表者は、審判所に[1]請求人が審判所に提出したX社の代表者に対する質問調書の内容は、請求人から何とか助けてくれとの依頼により署名押印したものであって、事実と異なる虚偽のものであること、[2]平成2年6月8日付の売主を請求人、買主をT社及び譲渡価額を3億68万円とする売買契約書は、平成2年10月12日の残金決済時にT社の代表者の目前で廃棄した旨答述していること。
  6.  T社の代表者が審判所に提出した書面には、[1]X社を仲介業者として請求人と売買契約を締結し、手付金及び残金をいずれも請求人に支払い、領収書を受領したこと、[2]手付金を現金3,200万円、保証小切手2,900万円及び残金を現金1億1,700万円、保証小切手1億2,263万円としたのは、請求人からの強い要請によるものである旨記載されていること。

【平成3年分土地譲渡】

  1.  T社は、平成3年12月18日K銀行e支店から引き出した1,670万円により土地代金を支払っていること。
  2.  T社とX社との間で、[1]平成3年分土地の売買契約書の作成は、売主名が決まらないという請求人の事情により遅れていること、[2]売主名を空欄の重要事項説明書を送付するので、後日補完記載の上返送して欲しい旨の文書(平成4年1月14日付)があること。
  3.  T社の代表者が審判所に提出した書面には、[1]平成3年分土地は、平成2年分土地に継続して請求人から購入したこと、[2]平成3年12月18日に売主を請求人、買主をT社及び譲渡価額を1,670万円とする売買契約を締結し、[3]同日全額現金で支払った旨記載されていること。
  4.  X社の代表者は、調査担当者に[1]売主をE社、買主をT社とした売買契約書は、請求人から平成4年1月頃に売主名を請求人からE社に書き替えてほしい旨の要望があったので、[2]売主名を請求人からE社に書き替えた売買契約書をT社に郵送して差し替えた売買契約書である旨申述していること。

【重加算税】

 請求人は、[1]平成2年分土地をT社に3億68万円で譲渡したにもかかわらず、後日N社がT社に3億68万円で譲渡したとする虚偽の売買契約書を作成し、また、[2]平成3年分土地をT社に1,670万円で譲渡したにもかかわらず、後日E社がT社に1,670万円で譲渡したとする虚偽の売買契約書を作成し、当該売買契約書に基づき平成2年分及び平成3年分の確定申告書を提出したことは、国税通則法第68条(重加算税)第1項に規定する仮装・隠ぺいに該当するので、重加算税の賦課決定処分は適法である。

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