裁決事例 損失の帰属事業年度

裁決事例 損失の帰属事業年度

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昭和54年1月24日裁決

ひも付きの見合関係にない営業外損益については特定の期間損益事項に係る取扱いの適用が認められるとした事例

裁決事例集 第17集 48頁

要旨

 本件賃借料が、自己の経理事務の用に供するために賃借している電子計算組織の使用料であるのに対し、本件事務受託手数料は、他の数社からの経理関係の事務の受託契約に基づく役務提供の対価であって、当該地の数社に対する電子計算組織の貸付けによる対価ではなく、したがって、本件賃借料と本件事務受託手数料との間には直接的な関係がないので、本件賃借料の額は、期間損益通達に基づき、その支払をした事業年度の損金の額に算入すべきである。

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平成12年3月7日裁決

みなし寄付金の支出は単なる振替処理では認められず、収益事業から公益事業への区分経理をする必要があるとされた事例

裁決事例集 第59集 143頁

要旨

 法人税法第37条第4項に規定するいわゆるみなし寄付金の場合、収益事業から公益事業への資産の支出とは、現に収益事業に属する資産を公益事業に支出してこれにつき明確に区分経理をし、かつ、その資産がその公益法人等の本来の事業のための資金として使用されることをいうものと解されるから、収益事業から公益事業へ資産を支出したとしても、直ちにその支出した資産の額に相当する金額を元入金として公益事業から収益事業に受け入れた場合には、法人税法第37条第4項にいう支出には当たらず、また、これにつき明確に区分したことにはならないから、本件における当該収益事業から公益事業への支出額(公益事業から収益事業への元入金)は、みなし寄付金には該当しない。

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平成6年4月6日裁決

ゴルフ場開発事業について、その許認可及び土地の取得を請け負った法人が支出した、[1]工事設計申請業務の委託料及び[2]環境影響調査委託手数料等の額は、ゴルフ場開発のために要した費用として棚卸資産に計上すべきであるとした事例

裁決事例集 第47集 271頁

要旨

 請求人は、D社から、本件ゴルフ場開発事業に係る許認可を取得すること及びゴルフ場用地を取得することにより、本件ゴルフ場の建設工事から県知事の検査を受けた後の本件ゴルフ場の引渡しまでの一連の開発行為を行うことを請け負ったものであるから、請求人がD社に引き渡すまでに支出した本件ゴルフ場の開発に係る費用は、棚卸資産として資産計上すべきである。
 したがって、請求人が支出した[1]地権者の同意書を取得するための委託手数料、[2]本件ゴルフ場建設工事の設計申請業務に係る委託手数料及び[3]本件ゴルフ場建設に伴う環境影響調査に係る委託手数料は、ゴルフ場開発のために要した費用として棚卸資産に計上されるべきであって、その支出事業年度の損金の額に算入することはできない。
(一部取消は、本件ゴルフ場開発に要した費用として原処分の否認した経営資料収集費用の損金認容。)

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平成15年2月6日裁決

付保されている車両の盗難に係る損失は、その保険金が確定するまでの間、仮勘定(未決算勘定)として処理すべきであるとした事例

裁決事例集 第65集 366頁

要旨

 請求人は、車両価額協定保険特約が付されていた本件車両の盗難に係る損失(本件盗難損失)及びそれに係る本件保険金収入の計上時期につき、本件盗難損失は盗難が発生した日の属する本件事業年度の損金の額に算入し、他方、本件保険金収入はその通知を保険会社から受けた日の属する翌事業年度の益金の額に算入すべきである旨主張する。
 しかしながら、損失の発生に備えて保険が付されている場合にあっては、損失の発生と同時に保険金等の支払請求権が発生して当該損失額が補填されることになるから、費用収益の原則に準じて、当該損失と当該保険金との間に対応関係を求めることが法人税法第22条第4項にいう「一般に公正妥当と認められる会計処理の基準」によった処理と認められるため、当該損失の額については、当該保険金の額が確定するまで仮勘定(未決算勘定)として処理しておき、当該保険金の額が確定した日の属する事業年度において、それを益金の額に算入するとともに、当該損失の額を損金の額に算入することが妥当である。
 したがって、本件保険金収入が本件事業年度に確定していると認められる本件にあっては、それを本件事業年度の益金の額に算入するとともに、本件盗難損失の額を同事業年度の損金の額に算入すべきことになるから、請求人の主張には理由がない。

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昭和62年11月6日裁決

仮装経理に基づく過大申告額を修正経理した場合の損失はその仮装経理を行った事業年度の損金とすべきであり、修正経理を行った事業年度の損金には算入できないとした事例

裁決事例集 第34集 53頁

要旨

 過去8事業年度にわたり、仮装経理に基づき過大に申告した所得金額に相当する金額につき、本件事業年度の確定決算において一括して修正経理を行い特別損失に計上した金額については、その全額を本件事業年度の損金の額に算入すべきであるとの請求人の主張に対して、本件特別損失の額は、本件事業年度に生じたものでないことは明らかであるから、その生じた各事業年度の損金の額に算入すべきものであり、その結果、もし、損金の額に算入する機会を失うこととなる金額が生じたとしても、それは国税通則法に規定する5年の更正の期間制限によるものであるから、このゆえをもって不相当な措置ということはできない。

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平成4年3月19日裁決

分割払の示談金は支払期日の到来する都度その債務が確定するとした事例

裁決事例集 第43集 219頁

要旨

 請求人は、本件分割払の示談金に係る債務は本件和解の成立により、支払期日未到来の分割払額を含む総額について確定している旨主張するが、本件和解により明渡し猶予期間の中途において明け渡した場合には、本件分割払の示談金のうち明渡し時点における残額の支払を免除する旨の合意がされていることから、その明渡しが完了するまでは明渡し猶予期間の経過に応じてその支払期日ごとにその支払義務が確定するものであり、したがって、支払期日未到来の示談金については、当該債務に基づいて具体的な給付をすべき原因となる事実(乙土地の明渡し)が当期末において発生しておらず、当期の債務として確定していることにはならない。

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昭和61年10月23日裁決

山砂売買契約に基づきその事業年度中の山砂採取量に対応する採取跡地の埋戻し費用を原価としてその事業年度の損金に算入することとした事例

裁決事例集 第32集 195頁

要旨

 山砂採取跡地の埋戻し費用について、原処分庁は、契約上、埋戻し期限の定めがなく、かつ、埋戻し作業も行われていないことから、埋戻し義務は債務として確定していないので本件事業年度の損金の額に算入することは認められないと主張するが、請求人と土地所有者との間の埋戻し契約によって、埋戻し義務はその契約上の業務内容が客観的、一義的に明白であり、費用を見積もることができる程度に特定されているので対外的に債務として確定しており、また、この点を否定する格別な事情も存しないと認められるので、本件事業年度の山砂採取量に対応する埋戻し費用の適正見積金額は、原価として損金の額に算入するのが相当である。

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昭和59年12月27日裁決

新製品開発のために支払った費用は当期において相手方から役務の提供を受けていないので当期の損金ではないとした事例

裁決事例集 第28集 175頁

要旨

 請求人が本件技術援助契約等に基づき支払った新製品開発のための費用について、本件契約に係る契約書が作成されたのは契約書に記載の契約年月日(当期)ではなく翌期であると認められること及び契約の相手方である会社が業務を開始したのは翌期であること等から、請求人が当期において本件契約に基づき役務の提供を受けたとは認められないので、当期の損金の額に算入することはできない。

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平成5年3月15日裁決

日経平均株価指数オプション取引に係るオプション料等は当該権利の取得価額を構成するものであるとした事例

裁決事例集 第45集 171頁

要旨

 日経平均株価指数オプションは、日経平均株価指数という商品を一定の条件で買い付け又は売り付ける権利であり、その流通性があるところ、当該オプション取引に係るオプション料及び手数料は、当該オプションを取得するための対価又は一種の無形資産たる権利の取得価額を構成するものとして資産に計上することが相当であるから、当該取引の契約日に損金とすることはできない。

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昭和60年8月31日裁決

法人の代表者が法人の業務に関連してした保証債務を当該法人が無償で引き受けたことによる負担額は、債務の引受けの時ではなく、現実にこれを履行した時の損金の額に算入されるとした事例

裁決事例集 第30集 113頁

要旨

 請求人は、主たる債務者の死亡等により連帯保証の名義人である請求人の代表者が履行すべきこととなった本件保証債務につき、請求人が負担することとした債務の損金計上時期について、その負担することとした債務は、請求人が債権者と交渉して負担額及び支払方法を決定したのであるから、民法第513条の規定により新たな債務というべきであり、仮に保証債務であるとしても、主たる債務者が存在せず、初めから求償権が発生しないのであるから、いずれにしても、債権者と負担額及び支払方法について合意した時に損金として確定していると主張するが、本件保証債務は、請求人の業務に関連するものと認められるものの、当事者間において債務の要素を変更する契約がなされた事実がないから、請求人の負う債務が新たな債務であるという主張は採用できず、請求人は本件保証債務を代位弁済するにすぎないこと及び代位弁済により生ずる代表者に対する求償権を放棄していることからすると、当該求償権が発生し、これを放棄することとなる代位弁済の実行時点ではじめて損金とすべきである。

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昭和48年11月8日裁決

社債の払込みに充てられた従業員の特別賞与は損金算入できないとした事例

裁決事例集 第7集 31頁

要旨

 社債の払込みに充てることを条件として支給した従業員の特別賞与は、労働協約等によって定められたものではなく、また、その支給額の決定に当たっても、請求人(会社)の一方的意思によるなどし意性があるので、これを支給する具体的な原因があったとは認められない。
 さらに、本件社債については、譲渡制限があり、かつ、会社が社債を買い取る場合の換金割合も会社の一方的な内規によって定められているなど、客観的にみて本来の社債であるとは評価し難い。
 したがって、本件特別賞与について債務が確定しているとは認め難く、損金の額に算入することを否認したのは相当である。

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昭和47年9月13日裁決

納入申告されていない料理飲食等消費税について債務が確定していないとした事例

裁決事例集 第5集 27頁

要旨

 料理飲食等消費税に係る租税債務の確定の時期は、納入申告書に係る税額については当該申告書の提出があった日、更正又は決定に係る不足税額については当該更正又は決定通知書の送達された日であると解されるから、納入申告期限が到来しているにもかかわらず、納入申告又は更正若しくは決定のなされていない料理飲食等消費税は債務として確定したものではないと解すべきである。

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昭和61年12月24日裁決

経営不振のため、支払債務の発生事業年度に損金に算入しなかった借入金の利息を経営好転後に支払っても、その支払の日の属する事業年度の損金には算入されないとした事例

裁決事例集 第32集 204頁

要旨

 請求人は、本件支払利息に係る元本は、請求人が経営不振の時に親会社から受けた借入金であり借入当時には利息を支払える状況になく、本件利息の支払は免除されるものと考えて発生各事業年度の損金の額に算入しなかったものであるが、その後、経営状況が好転したので、親会社と具体的支払期日を定める覚書を取り交わし、それに基づいて本件事業年度に支払ったものであるから本件各事業年度の損金の額に算入されるべきであると主張するが、本件支払利息は、金銭消費貸借契約に基づく借入金の利息であるから、その元本の利用期間に応じて発生し、同時に債務として確定したものと認められるので、その債務の確定した各事業年度の損金とすべきであり、支払った日の属する事業年度の損金に算入することはできない。

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平成13年2月27日裁決

預託金制ゴルフクラブの会員権につき、預託金の据置期間直前に、ゴルフクラブ経営会社との合意に基づいて、会員権が2口に分割され、預託金の一部が返還されたとしても退会したとみることができない以上、資産に計上している入会登録料を損金の額に算入することは認められないとした事例

裁決事例集 第61集 403頁

要旨

 請求人は、保有する預託金制ゴルフクラブの会員権につき、預託金の据置期間(10年間)経過直前において、当該経営会社から[1]預託金の一部は返還する旨、[2]2口の会員権に分割する旨、[3]残余の預託金はさらに10年間据え置く旨の申出を受け、その申出に合意したのであるが、請求人は、資産計上している返還されない入会登録料について、当該合意により当該ゴルフクラブを退会し、新たに入会契約を締結して2口の会員権を取得したのであるから、当該事業年度において入会登録料の損金算入を認めるべきである旨主張する。
 しかし、請求人は、会員(法人正会員)としての地位を有したまま経営会社の申出に応じ、その結果、預託金の一部の返還を受けるとともに、会員としてプレーできるものが1名増加したというのが実態であって、既存の会員権の権利関係が変更されたにすぎず、退会を理由として本件入会契約が解除されたとみるのは相当ではなく、本件変更合意後においても依然として効力を有しているものと認めるのが相当であるから、入会登録料を本件事業年度の所得の金額の計算上、損金の額に算入することは認められないとした本件更正処分は適法である。

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令和5年3月8日裁決

仕入金額の一部は寄附金の額に該当しないとした事例( 平成25年11月1日から平成26年10月31日までの事業年度の法人税の更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分、 平成26年11月1日から平成27年10月31日までの事業年度の法人税の更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分(重加算税の賦課決定処分を併せ審理)、 平成25年11月1日から平成26年10月31日までの課税事業年度の復興特別法人税の更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分、 平成26年11月1日から平成27年10月31日までの課税事業年度の地方法人税の更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分・全部取消し、一部取消し)

裁決事例集 第130集

ポイント

 本事例は、原処分庁が算出した仕入金額が時価相当額であるとはいえず、仕入金額に時価相当額よりも不相当に高額な部分があるとは認められないから、仕入金額の一部が寄附金の額に該当するとはいえないと判断した事例である。

要旨

 原処分庁は、請求人が取締役(本件取締役)と親族関係にある業者(本件業者)から仕入れた資材の仕入金額は時価相当額と比較して不相当に高額であるから、時価相当額を超える部分の金額は法人税法第37条《寄附金の損金不算入》に規定する寄附金の額に該当する旨主張する。
 しかしながら、原処分庁が時価相当額を算出するために用いた計算式には合理性が認められるものの、原処分庁が計算に用いた具体的な数値については、これを用いることが相当であるとはいえないから、原処分庁が算出した仕入金額は時価相当額とは認められない。また、原処分庁は、本件業者に対する仕入単価は、一定の金額が上乗せされた「いわゆる親戚価格」である旨主張するが、仕入単価の決定は、本件業者と本件業者とは親族関係にない営業部長との間で交渉により決められており、本件取締役が仕入単価の決定に介入したとは認められないから、本件業者に係る仕入金額は、時価に比して不相当に高額であったとは認められない。

参照条文等

法人税法第37条第7項第8項

参考判決・裁決

大分地裁平成8年2月27日判決(訟月46巻10号3896頁)

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平成14年10月2日裁決

代表者へのゴルフ会員権の譲渡は、名義変更停止期間中であったとはいえ、実体を伴った取引であるので、その譲渡に係る損失の計上は相当であるとした事例

裁決事例集 第64集 287頁

要旨

 請求人が、その所有していたゴルフ会員権を請求人の代表者に名義変更手続の停止中に譲渡し、その後、倶楽部側の都合により行われた預託金の償還期限の延長及び会員権の分割の手続きに請求人が同意をし、請求人名で手続きが行われているが、これをもって本件ゴルフ会員権の譲渡はなかったものというのは相当でなく、当倶楽部との関係においては名義人である請求人は将来名義変更が可能となった時点で、名義変更承認願い手続きに協力する義務を負っていたことから、代表者に代わって当該手続きを行ったにすぎないと解すべきである。
 また、本件ゴルフ会員権の譲渡は、単に税額を軽減させるために行った不自然かつ不合理な譲渡であるとは認められず、正常な経済行為と認められることから、本件譲渡に係る固定資産売却損の金額は、本件事業年度の所得金額の計算上損金の額に算入するのが相当である。

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平成27年11月30日裁決

建物附属設備の除却損について、当該建物附属設備に係る建物が売却された日の属する事業年度の損金の額に算入されるとした事例(平24.3.1~平25.2.28事業年度の法人税の更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分・全部取消し)

裁決事例集 第101集

要旨

原処分庁は、請求人が建物についてした造作(本件建物附属設備)を固定資産除却損(本件除却損)として損金の額に算入したことについて、本件建物附属設備は、本件除却損を計上した事業年度(本件事業年度)前の事業年度において、当該建物の売却とともに売却されていることから、本件除却損を本件事業年度に計上することはできない旨主張する。

しかしながら、本件建物附属設備は、当該建物とは別の建物(本件建物)の造作であり、本件事業年度において本件建物が売却された日に、請求人がその所有権を放棄し処分を委ねたものと認められることから、本件除却損は、本件事業年度の損金の額に算入することができる。

参照条文等

法人税法第22条第3項

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昭和57年1月21日裁決

従業員に対する決算賞与について期末までに債務が確定しているとして損金算入を認めた事例

裁決事例集 第23集 126頁

要旨

 従業員に対する決算賞与の支給に当たり、期末に未払金経理により損金に計上した決算賞与は、[1]期末に従業員ごとの賞与の額が決定されていること、[2]決算期賞与明細書を作成していること、[3]当該明細書に従業員の各人が確認印を押印していること、[4]翌期おいて決定額どおりに支給されていることなどの事実から、当該事業年度終了の日までに債務として確定していたものと認めるのが相当である。

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平成18年11月21日裁決

本件事業年度の損金の額に算入した過年度棚卸資産廃棄損は、本件事業年度前の仮装経理における棚卸資産過大計上額であって、本件事業年度において生じた損失ではないから、本件事業年度の損金の額には算入されないとした事例

裁決事例集 第72集 404頁

要旨

 請求人は、本件事業年度において、民事再生法に基づく再生手続開始の申立てを行い、同法に基づく財産価額の評定の準備を始めていたのであるから、評価損として計上した過年度棚卸資産廃棄損の額を本件事業年度の損金の額に算入すべきである旨主張する。
 しかしながら、過年度棚卸資産廃棄損の額は、請求人が本件事業年度前の各事業年度の棚卸資産に係る粉飾額を計上したものにすぎず、その全額が本件事業年度において生じたものでないことが明らかであるから、過年度棚卸資産廃棄損の額を本件事業年度の損金の額に算入することはできない。

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平成12年4月26日裁決

本店ビルの新築工事に際し、その共同事業者に支払った竣工時までの建中金利相当額は本店ビルの取得価額に算入すべきものとされた事例

裁決事例集 第59集 154頁

要旨

  1.  請求人は、本店ビルの新築工事に際し、財団法人H機構(以下「H機構」という。)が共同事業者として参加したのは、H機構の成立経緯等から共同事業という法律的形式をとらざるを得なかっためであり、H機構が負担した共同事業に係る分担金の経済的実質は資金融資であるから、本店ビルの建築中にH機構に対して支払った建中金利相当額は、支払利息である旨主張する。法律的形式と経済的実質とが異なるような場合には、単に当事者によって選択された法律的形式だけでなく、その経済的実質をも検討すべきことは当然であるが、当事者によって選択された法律的形式が経済的実質からみて通常採られるべき法律的形式と明らかに一致しないものであるなどの特段の事情がない限り、当事者によって選択された法律的形式は、原則として経済的実質をも表現しているものと解される。
     そこで、H機構との取引についてみると、法律的形式は、H機構が本店ビルの建築費の一部を負担して共同事業者として参加し、本店ビルの竣工後に共有持分を請求人に譲渡したものであるが、この法律的形式が経済的実質からみて通常採られるべき法律的形式と明らかに一致しないものとは認められない。そうすると、請求人には特段の事情は認められず、H機構との共同事業の法律的形式は経済的実質をも表現していると認められる。
  2.  請求人は、本店ビルの新築工事に際し、その共同事業者であるH機構が負担した共同事業に係る分担金の実質は資金融資であるから、本店ビルの建築中にH機構に対して支払った建中金利相当額は、支払利息である旨主張するが、H機構との共同事業協定書、建物延払条件付譲渡契約書等の各契約内容及びH機構の答述等を勘案するとH機構は本店ビルの建築費の一部を負担して共同事業者として事業に参加し、本店ビルの竣工後にH機構の本店ビルの共有持分を請求人に譲渡したものと認められること及び共同事業協定書等には、建中金利相当額はH機構の本店ビルの共有持分の譲渡代金の前払金であることが明記されていることから、共同事業に係る分担金は本店ビルの建築費であり、建中金利相当額は本店ビルの取得代金であると認めるのが相当である。
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平成14年12月19日裁決

旧養老保険契約から新養老保険契約への転換がその後取り消されても、転換に伴って発生した収益を転換時に遡って修正するのではなく、取り消されたときの事業年度の損金として処理するとした事例

裁決事例集 第64集 301頁

要旨

 請求人は、税務上の課税関係が発生しないとの認識で、旧養老保険契約から新養老保険契約への転換を行ったものであり、税務上の課税関係が発生することが判明した後、本件契約転換を取り消したことにより、旧養老保険契約が復元されて新養老保険契約は本件転換時に遡って取り消され、本件転換時には収益及び費用は発生していないと主張する。
 しかしながら、法人の各事業年度の収益の額及び費用、損失の額は、法人税法第22条第4項において一般に公正妥当と認められる会計処理の基準に従って計算されると規定されており、この場合の各事業年度の収益又は費用、損失については、その発生原因が何であるかを問わず、当該事業年度中に生じたものはすべて当該事業年度に属する損益として認識することになる。
 したがって、既往の事業年度において収益に計上された取引が当該事業年度において契約解除等により取り消されたとしても、収益に計上された事業年度に遡ってその収益を取り消すという修正処理をするのではなく、当該事業年度の損失として処理するというのが一般的な会計処理であり、これを本件についてみると、本件契約転換は本件事業年度において行われ、本件事業年度末までに取り消された事実はないことから、本件契約転換によって発生した収益及び費用、損失の額は本件事業年度の益金及び損金の額に算入されることになる。

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昭和63年12月27日裁決

未払金経理により損金の額に算入した従業員賞与の額は当期末までに債務が確定していないから、損金算入は認められないとした事例

裁決事例集 第36集 99頁

要旨

 未払金として当期に損金の額に算入した従業員に対する総額5,000万円の賞与(本件従業員賞与)について、請求人は、当期末までに、[1]支給総額及び[2]各人別支給額を決定し、かつ、[3]各人別支給額を口頭で各人に通知していたから、当期末までに債務が確定していたと主張するが、未払金内訳書、未払賞与額算定基準書及び関与税理士あて連絡票は、その作成日付のころに経理担当者が作成したものと認められるところ、未払金内訳書には本件従業員賞与の記載がなく、また、同連絡票には支払賞与額5,000万円との記載があるだけであること及び同算定基準書の記載内容からすると、本件従業員賞与の支給総額は翌期以降に決定されたと推認するのが相当であるから、当期末までに債務が確定していたとすることはできず、したがって、本件従業員賞与の損金算入は認められない。

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平成19年2月27日裁決

信用保証料は、一定の契約に従い継続して役務の提供を受けるために支出した費用に当たるというべきであり、事業年度末において未経過の保証期間に対応する額は、前払費用とすることが相当であるとした事例

裁決事例集 第73集 353頁

要旨

 本件各信用保証は、請求人が本件銀行から融資を受けるに際し、信用保証協会に信用保証を委託し、同協会が本件銀行に信用保証書を交付することにより成立したものであり、保証債務の履行は保証期間が満了するまでの間は有効に成立している。そして、本件各信用保証料の額は、それぞれ、保証金額、保証期間(日数)、保証料率及び分割返済回数別係数を基に算定されている。
 これらの事実を総合考慮すれば、本件各信用保証料が、本件各信用保証の保証期間の始期から満了時までの費用であることは明らかであるから、本件各信用保証料は、一定の契約に従い継続して役務の提供を受けるために支出した費用に当たるというべきである。
 また、信用保証協会による本件各信用保証は、融資実行時に本件銀行に対して保証承諾をすることのみではその役務の提供は終了しておらず、本件銀行からの融資が実行された後も、その融資が継続している全期間にわたって信用保証を行うという役務を提供しているのであるから、「本件各信用保証料は、保証の承諾をしたことに対する対価で一時に損金の額に算入すべきである」とする請求人の主張は採用できない。
 以上のとおり、本件各信用保証料は一定の契約に従い継続して役務の提供を受けるために支出した費用に当たるところ、本件各信用保証料には、本件各事業年度末において未経過の保証期間に係るものがあるので、未経過期間に対応する額は、前払費用として経理処理することが相当である。
 なお、原処分庁は、前期に繰上完済した場合に返済を受ける信用保証料の額と当期に繰上完済した場合に返済を受ける信用保証料の額との差額を当期の損金の額に算入すべき費用の額と算定しているが、その算定方法は合理的であると認められる。
 そうすると、本件各事業年度の所得金額及び納付すべき税額は、いずれも原処分の額と同額となる。

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平成15年2月20日裁決

当該事業年度末に約束手形で支給された翌事業年度の年俸制に係る役員報酬及び従業員給与については、当該事業年度内に具体的な役務提供がされておらず、また、会計上重要性の乏しい費用とは認められないから、当該事業年度の損金の額に算入できないとした事例

裁決事例集 第65集 343頁

要旨

 請求人は、臨時株主総会又は従業員との間の合意による役員報酬又は従業員給与の年俸額(以下「本件役員報酬等」という。)に係る損金算入につき、本件役員報酬等を12で除した月割額から社会保険料等を控除した金額を券面額とする12枚の約束手形を振り出し、当該各事業年度内に支払っているから、その債務は当該事業年度の終了の日までに確定しており、仮にそうでないとしても、本件役員報酬等は支払いの日から1年以内に役務提供を受ける短期前払費用であり、法人税法基本通達2-2-14の後段の取扱い(以下「本件取扱い」という。)が適用されるから、たとえそれがその翌事業年度の業務執行等の役務に対応するものであっても、それは当該事業年度の損金の額に算入される旨主張する。
 しかしながら、本件役員報酬等については、その具体的な給付をなすべき原因である役員の職務執行又は従業員の役務提供が当該事業年度の終了の日までになされていないから、その債務が確定しているとは認められず、また、本件役員報酬等は、請求人の財務内容に占める割合などからして、重要性の乏しい費用とは認められないため、本件役員報酬等には本件取扱いの適用がなく、したがって、それを当該事業年度の損金の額に算入することはできない。

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平成21年10月16日裁決

公正処理基準に反しない会計処理の方法により決算を確定させて確定申告を行った後に、その会計処理方法を遡及して変更することは許されないとした事例

裁決事例集 第78集 340頁

要旨

 請求人は、確定申告において本件事業年度の決算月(12月)の給与計算期間の締切日後の期間(12月16日から同月31日)に係る期末未払給与の額は期中に債務として確定しているから、前事業年度の期末未払給与の額との差額(以下「本件期末未払給与差額」という。)を当事業年度の損金の額に算入すべきである旨主張する。
 しかしながら、法人税法第22条第4項に収益の額及び損金の額は「一般に公正妥当と認められる会計処理の基準」(以下「公正処理基準」という。)に従って計算されるものとするとあるのは、法人が採用した会計処理の方法に客観的、常識的にみて規範性があり、これが公正処理基準に該当すると認められるものであれば、法人の会計がそれに従っている限り、それを認めていこうとする態度を明らかにしたものであると解するのが相当であるが、請求人が多年にわたり採用してきた経理慣行に従って、期末未払給与の額を現実に支払った日の属する事業年度の損金の額に算入することは、客観的、常識的にみて規範性があると認められ、また、企業会計原則に定める重要性の乏しいものは未払費用等として処理しないことができるとするいわゆる重要性の原則に照らしてみても公正処理基準に反するものということはできない。そして、法人税法第74条第1項において、確定した決算に基づき当該事業年度の課税標準である所得の金額又は欠損金額及び所得の金額に対する法人税額を記載した申告書を提出しなければならないと規定されており、確定申告後に確定申告の基礎とされた決算における会計処理の方法を変更することは原則として許されないものというべきであるところ、請求人が、多年にわたって採用してきた公正処理基準に反しない経理慣行に従って損益計算をし、これに基づいて確定申告をした後に至って、本件事業年度にさかのぼって会計処理の方法を変更し、改めて損益計算をして本件期末未払給与差額を本件事業年度の損金の額に算入することは認められず、請求人の主張には理由がない。

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平成19年11月20日裁決

破産会社が関係会社の負債の弁済義務を負うとした判決に基づき支払われた弁済額は、もはや関係会社に対して求償権を行使できない状況にあるから、支払った事業年度の損金の額に算入することができるとした事例

裁決事例集 第74集 125頁

要旨

 原処分庁は、本件判決の確定により、破産会社が本件遅延損害金の支払義務を負うことが確定したとしても、仮に破産会社がA社に本件遅延損害金を弁済すると、破産会社は関係会社に対して求償債権を取得するから、最終的な破産会社の負担額は確定していない。また、仮に関係会社に対する求償債権が事実上貸倒れにあり、回収することができない状態にあったとしても、貸倒損失を損金の額に算入するためには損金経理をしておく必要があるが、破産会社は、本件遅延損害金につき損金経理をしていないから、貸倒損失を計上することができない旨主張する。
 この点について、本件判決が確定しただけでは、破産会社が本件遅延損害金の全額を負担することが確定したということはできないから、本件判決の確定のみをもって、本件遅延損害金を、法人税法第22条第3項第2号の費用として、本件事業年度の損金の額に算入することはできない。
 しかしながら、A社は、本件事業年度内において、地裁等から強制管理に係る本件配当金を受領してこれを全額貸金債権の元本に充当しているところ、その時点で破産会社は関係会社に対する当該配当金相当額の求償債権を有することになるが、破産会社が上記貸金債権の弁済責任を負うに至った経過や関係会社の財産状況等から、破産会社が当該配当金相当額の最終的な負担者となることは明らかであったと認められるから、そのような求償債権を、形式上、資産として計上しなければならないとすることは相当ではなく、破産会社は、当該配当金相当額を、法人税法第22条第3項第3号の損失として、本件事業年度の損金の額に算入することが許されるというべきである。

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平成22年9月2日裁決

請求人が損金の額に算入した使用人に対する未払の決算賞与は、労働協約又は就業規則で定められた支給予定日が到来しているとは認められず、事業年度終了の日の翌日から1月以内に支払われていないことから、実際に支払った日の属する事業年度において損金の額に算入すべきであるとした事例

裁決事例集 第80集

要旨

 請求人は、本件各事業年度において計上した使用人に対する決算賞与(本件各決算賞与)については、利益調整でないことが明らかであり、本件各事業年度末日における税引前利益から自動的に算出され債務が確定するから、本件各事業年度において損金の額に算入すべきである旨主張する。
 しかしながら、平成22年改正前の法人税法施行令第72条の5《使用人賞与の損金算入時期》(本件施行令)は、使用人賞与の実情や支給実態にかんがみ、使用人賞与の損金算入時期を具体的に定めるとともに、これを使用人賞与一般についての統一的な基準として規定することにより課税の明確性及び統一性を図ったものであり、使用人賞与の損金算入に関し、法人税法第22条第3項第1号及び第2号について、その施行のために必要な技術的、細目的事項を定めたものと解されるから、使用人賞与については、本件施行令の規定に従って損金算入時期を判断することになるところ、本件各決算賞与は、労働協約又は就業規則で定められた支給予定日が到来しているとは認められず、また、本件各事業年度終了の日の翌日から1月以内に使用人へ支払われていないことから、本件施行令の第3号に規定する賞与として、実際に支払われた日の属する事業年度において損金の額に算入されることとなる。

参照条文等

法人税法施行令第72条の5(平成22年政令第51号による改正前のもの)、第134条の2(平成18年政令第125号による改正前のもの)

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平成20年6月26日裁決

請求人が有する売掛債権は、その債権が消滅した事業年度の貸倒損失となるとした事例

裁決事例集 第75集 314頁

要旨

 請求人は、破産法人の破産について疑念を持ち、最後配当がされた後も売掛債権の回収を図ろうとし、最終的に当事業年度において回収不能と判断したことから、当事業年度の貸倒損失である旨主張する。
  しかしながら、破産法人に係る破産手続はすべて適法に行われ、破産手続の終結決定があった日に法人格が消滅したものと認められることから、請求人が有する破産法人に対する売掛債権は当該終結決定の日に消滅したと認められる。そうすると、本件売掛債権は、当該終結決定の日を含む事業年度における貸倒損失であり、当事業年度の貸倒損失とすることはできない。

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平成20年5月30日裁決

死亡保険金から支払義務を負う遺族補償金の最低限度である死亡保険金の50%相当額は、死亡保険金を受け取った事業年度において損金の額に算入されるとした事例

裁決事例集 第75集 327頁

要旨

 原処分庁は、本件傷害保険契約締結に関する本件同意書には従業員の死亡により受け取った保険金の50%以上を遺族補償に充てる旨記載されているが、本件同意書には具体的な金額は記載されておらず、また、遺族に対して具体的な支払金額を提示していないから、遺族補償金を受け取った事業年度の損金の額に算入することはできない旨主張する。
 しかしながら、①本件同意書は、従業員に対する災害補償規定を兼ねており、雇用者である請求人は従業員に対して保険死亡事故が生じた場合に死亡保険金の50%以上の金額を遺族補償として支払う旨を保証したものと認められ、(保険事故の発生に伴い)遺族補償金を支払う債務が成立していること、②本件傷害保険契約の被保険者である従業員Mは、平成17年7月に交通事故により死亡しており、本件傷害保険契約に基づき遺族に対して具体的な給付をすべき原因となる事実が発生していること、③死亡保険金の請求に際し傷害保険金請求書兼同意書の「受給者(法定相続人)」欄に、死亡したMの法定相続人の親権者の署名押印があることから、被保険者の遺族は少なくとも本件同意書に基づき死亡保険金の50%以上を請求する権利を有していると推認され、具体的に死亡保険金の50%相当額は算定できることから、死亡保険金を受け取る事業年度において当該保険金の50%相当額は損金の額に算入されるべきである。

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