法第46条第2項の「納付することができないと認められる金額」とは、損失の復旧費等の支出を必要やむを得ないものに限ってもなお納付することができないと認められる金額のうち、同項各号に掲げる事実と因果関係を有する範囲の金額をいう。
第2項の猶予
(猶予金額)
(猶予期間)
法第46条第2項の規定により猶予する期間は、1年を限度として、納税者の財産の状況その他の事情からみて、その猶予に係る国税を完納することができると認められる最短期間とする。
(猶予期間の始期)
法第46条第2項の規定により猶予する期間の始期は、猶予の申請書に記載された日とする。ただし、その日が同項各号に掲げる事実が生じた日より前であるなど、その日を始期とすることが適当でないと認めるときは、別にその始期を指定することができる。
また、災害を受けた場合など、同項各号の事実が生じた日が明らかであると認められる場合は、その事実が生じた日を猶予する期間の始期とすることができる。
(納税者の帰責性)
法第46条第2項各号に該当する事実は、納税者の責めに帰することができないやむを得ない理由により生じたものに限る。
(その他の災害)
法第46条第2項第1号の「その他の災害」は、1と同様である。
(生計を一にする)
法第46条第2項第2号の「生計を一にする」とは、納税者と有無相助けて日常生活の資を共通にしていることをいい、納税者がその親族と起居を共にしていない場合においても、常に生活費、学資金、療養費等を支出して扶養している場合が含まれる。
なお、親族が同一の家屋に起居している場合には、明らかに互いに独立した生活を営んでいると認められる場合を除き、これらの親族は生計を一にするものとする。
(親族)
法第46条第2項第2号の「親族」とは、民法第725条各号(親族の範囲)に掲げる六親等内の血族、配偶者及び三親等内の姻族をいう。
なお、婚姻又は縁組の届出はしていないが、事実上、納税者と婚姻関係又は養親子関係にある者は、親族と同様に取り扱うものとする(民事執行法第97条第1項参照)。
(事業の休廃止)
法第46条第2項第3号の「事業を廃止し、又は休止した」とは、法令の規定又は業績の著しい悪化等のやむを得ない理由により、事業の全部又は一部を廃止(転業したものを含む。)又は休止したことをいう。
(事業上の著しい損失)
法第46条第2項第4号の「事業につき著しい損失を受けた」とは、猶予期間の始期の前日以前1年間(以下11-2及び第46条の2関係1において「調査期間」という。)の損益計算において、調査期間の直前の1年間(以下11-2及び第46条の2関係1において「基準期間」という。)の税引前当期純利益の額の2分の1を超えて税引前当期純損失が生じていると認められる場合(基準期間において税引前当期純損失が生じている場合は、調査期間の税引前当期純損失の額が基準期間の税引前当期純損失の額を超えているとき)をいう。
(その他の事実)
法第46条第2項第5号の「前各号のいずれかに該当する事実に類する事実」とは、おおむね次に掲げる事実をいう。
第1号又は第2号に類するもの
詐欺、横領等により財産を喪失したこと。
交通事故の損害賠償(使用者責任による場合を含む。)をしたこと。
公害の損害賠償をしたこと。
納税者の取引先等である債務者について、おおむね次に掲げる事実が生じたため、その債務者に対する売掛金等(売掛金のほか、前渡金、貸付金その他これらに準ずる債権を含み、また、これらの債権について受領した受取手形のうち割り引かれていない部分の金額及び割り引かれているものであっても、不渡り等のため買戻しを行ったものを含む。)の回収が不能又は著しく困難になったと認められること(従前に比べて決済に要する期間が著しく長期化したと認められる場合を含む。)。
所在不明又は無財産になったこと。
事業の不振又は失敗により休廃業に至ったこと。
企業担保権の実行手続の開始決定があったこと。
破産手続開始の決定があったこと。
会社法の規定による特別清算開始の命令があったこと。
法律の定める整理手続によらないが、債権者集会による債務整理の決定があったこと。
手形交換所において取引の停止処分を受けたこと。
災害、盗難、詐欺、横領により財産の大部分の喪失があったこと。
会社更生法又は金融機関等の更生手続の特例等に関する法律の規定による更生手続開始の決定があったこと。
民事再生法の規定による再生手続開始の決定があったこと。
外国倒産処理手続承認の決定があったこと。
納税者と生計を一にしない親族(納税者の親族と同視できる特殊の関係にある者を含む。)が病気にかかり、又は負傷したこと。
第3号又は第4号に類するもの
納税者の経営する事業に労働争議があり、事業を継続できなかったこと。
事業は継続しているものの、交通、運輸若しくは通信機関の労働争議又は道路工事若しくは区画整理等による通行路の変更等により、売上の著しい減少等の影響を受けたこと。
市場の悪化、取引先の被災、親会社からの発注の減少等により、従前に比べ納税者の事業の操業度の低下又は売上の著しい減少等の影響を受けたこと。
著しい損失の状態が生じたとまではいえないものの、それに近い税引前当期純損失の状態が生じる原因となった売上の著しい減少又は経費の著しい増加が生じたこと。
納税者が著しい損失(事業に関するものを除く。)を受けたこと。
「売上の著しい減少」とは、単に従前に比べて売上が減少したというだけでは足りず、事業の休廃止若しくは事業上の著しい損失があったのと同視できる か又はこれに準ずるような重大な売上の減少があったことをいう(平成23.5.26名古屋高判参照)。
(猶予該当事実と納付困難の関係)
法第46条第2項の「その該当する事実に基づき」納付することができないとは、納税者に同項各号に掲げる事実があったことにより、資金の支出又は損失があり、その資金の支出又は損失のあることが国税を一時に納付することができないことの原因となっていることをいう。
(納付困難)
法第46条第2項の「国税を一時に納付することができない」とは、納税者に納付すべき国税の全額を一時に納付する資金がないこと、又は納付すべき国税の全額を一時に納付することにより納税者の事業の継続若しくは生活の維持を困難にすると認められることをいう。
【 税務法規集に掲載する法令等の情報に関する注意事項 】
- 本サービスは、デジタル庁が管理するe-Gov法令検索のデータおよび国税庁がホームページを通じて提供する通達等の情報を利用しています。
- 法律の専門家が分類・整理した情報を元に、プログラムで自動的に法令等を解析し、関連する情報を統合的に閲覧できるように再編集していますが法令等の内容については一切変更しておりません。
- 各法令等の施行日等の情報は法令等の名称の横にある マークのボタンからご覧いただけます。また、当該法令の元データにもその情報表示部分からアクセスすることができます。
- 本サービスの提供者は、デジタル庁および国税庁とは関係がなく、またこれらの機関を代表するものでもありません。
- 本サービスの提供者は、表示される情報に誤りがないように努めていますが、利用者による本サービスの利用に関する結果に対して一切の責任を負いません。