裁決事例 平成23年1月25日裁決
会社員である請求人が、勤務の傍ら個人的に行った取引に係る事業所得の申告を怠ったことに関して、当初から当該事業所得を申告しないとの意図を外部からもうかがい得る特段の行動は認められないとした事例
裁決事例集 第82集
要旨
会社員である請求人が、勤務の傍ら個人的に行った取引に係る事業所得があるとして、所得税の期限後申告書を提出したところ、原処分庁は、請求人が当初から当該事業所得を申告しないことを意図し、その意図を外部からもうかがい得る特段の行動をした上で、その意図に基づき法定申告期限までに申告しなかったものであり、国税通則法第68条《重加算税》第2項に規定する重加算税の賦課要件を満たす旨主張する。
しかしながら、原処分庁が上記「特段の行動」に当たるとした、①請求人は、勤務先等に当該取引が露見しないようにするため、取引先の従業員に対して、リベートと称する金員を支払ったこと、②請求人は、勤務する営業所の売上げを記載した「請求書明細」を週1回本社に報告する際に、当該取引を記載せずに報告したことについては、請求人が当該取引を秘匿することを意図して行ったものとはいえず、ほかに請求人が当該取引及びこれに係る事業所得を隠ぺい又は仮装したと評価すべき事実は認められないことから、原処分については、無申告加算税相当額を超える部分の金額を取り消すのが相当である。
参照条文等
国税通則法第68条第2項 《参考判例・裁決》 最高裁平成7年4月28日第二小法廷判決(民集49巻4号1193頁)
ポイント
役員給与のうち、定期同額給与、事前確定届出給与及び利益連動給与のいずれにも該当しないものの額は、損金の額に算入されないこととされている。このうち、定期同額給与とは、各支給時期における支給額が同額である定期給与のほか、支給額の改定があった場合において一定の要件を満たす定期給与をいう。
この事例は、請求人における役員給与の減額改定につき、業績悪化改定事由の存否を判断したものである。
要旨
請求人は、決算月(平成20年7月)の2か月前において、経常利益が対前年比で6%減少している状況から、代表取締役の給与を減額改定したことは、法人税法施行令第69条《定期同額給与の範囲等》第1項第1号ハに規定する役員給与の減額に係る業績悪化改定事由に該当する旨主張する。
しかしながら、法人税法施行令第69条第1項第1号ハに規定する業績悪化改定事由とは、法人の経営状況の著しい悪化その他これに類する理由によりやむを得ず役員給与の額を減額せざるを得ない事情があることをいうのであり、本件は、①本件事業年度の売上高、経常利益は過去の業績と比べて何らそん色がないこと、②請求人が設定した業務目標を達成できなかったことが減額の理由であること等からすれば、業績悪化改定事由があるとは認められず、また、上記理由以外に役員給与を減額せざるを得ない特段の事情が生じていたと認めるに足る事実はない。
参照条文等
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