裁決事例 平成9年11月6日裁決
不動産売買契約の和解に伴う損失は、当該和解のあった日の属する事業年度の所得金額の計算上、損金の額に算入すべきものであって、国税通則法第23条第2項の規定により、そ及して所得金額を減額修正することはできないとした事例
裁決事例集 第54集 46頁
要旨
法人の所得の計算につき、法人税法第22条第4項は法人の当該事業年度の収益の額及び費用、損失の額について、いわゆる権利確定主義を採っており、それが一般に公正妥当と認められる会計処理の基準であるから、法人の所得の計算については、当期において生じた損失は、その発生事由を問わず、当期に生じた益金と対応させて当期において経理処理すべきものであって、その発生事由が既往の事業年度の益金に対応するものであっても、その事業年度にさかのぼって損金として処理しないというのが一般的な会計処理であるということができる。
本件和解によって本件譲渡物件に係る譲渡代金が減額されたとしても、その損失額は、本件和解のあった日の属する平成7年10月31日から平成8年9月30日までの事業年度の損金の額に算入すべきものであり、本件事業年度の経理処理及び納税義務には何ら影響を及ぼさないことになるから、本件更正の請求は、課税標準等又は税額等が過大であるとの更正すべき実体要件を欠くものといわざるを得ない。
地価の急落により時価が路線価を下回る、いわゆる逆転現象が生じているとして、鑑定評価額による申告がなされたが、相続開始日における時価は相続税評価額を上回っていることが認められるとして、原処分庁が相続税評価額により評価したことを相当と認めた事例
裁決事例集 第54集 375頁
要旨
請求人は、本件各土地の存する地域は地価が急落しており、時価が路線価を下回る、いわゆる逆転現象が生じているので、不動産鑑定士の鑑定評価額による申告を認めるべきである旨主張する。
しかしながら、本件鑑定評価額には次のとおり種々の不適切な点が認められることから、本件鑑定評価額が相続税法第22条に規定する時価を表しているものとは認められない。
- 本件鑑定評価書が採用した各取引事例は、その属する地域と本件各土地の近隣地域との特性に相当の相違がみられること及び底地の取引事例を活用していることなどから、不適切なものと認められる。
- 本件鑑定評価書が採用した収益事例は、その属する地域が本件各土地の近隣地域と同一需給圏とはいえないことから、不適切なものと認められる。
- 本件鑑定評価書が採用した公示地は、その属する地域と本件各土地の近隣地域との特性に相当の相違がみられることから、不適切なものと認められる。
そこで、当審判所において本件各土地の相続開始日における価額について検討したところ、本件各土地の価額は、原処分庁が評価基本通達に基づいて評価した価額をいずれも上回っていることが認められた。
よって、原処分庁が本件各土地の価額を相続税評価額により評価したことは相当と認められる。
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