裁決事例 平成16年3月30日裁決

裁決事例 平成16年3月30日裁決

原文を表示
平成16年3月30日裁決

取引相場のない株式の発行会社と店頭登録株式の発行会社との合併等の契約締結後、それぞれの期日までの間に課税時期がある場合において、取引相場のない株式についての評価額は、店頭登録株式の取引価格を合併比率等により調整した価額ではなく、財産評価基本通達に基づき評価した価額によるべきであるとした事例

裁決事例集 第67集 679頁

要旨

 請求人は、相続開始時において、既に合併契約及び株式交換契約が締結されている非上場会社のB社株式及びC社株式(いずれも取引相場のない株式)の価額は、合併及び株式交換の相手会社のD社株式(店頭登録株式)の相続開始時の取引価格を基にそれぞれ合併比率及び株式交換比率を適用して合理的に算定することができるので、財産評価基本通達で定められた評価方式により難い特別の事情がある旨主張する。
 しかしながら、一般に、合併若しくは株式交換の一方の当事者が非上場会社である場合、まず、当該取引相場のない株式の価額を算定した上で、相手会杜の市場価格(取引価格)と比較するなどして合併比率若しくは株式交換比率を算定することとなる。この場合に当該取引相場のない株式の価額を算定する目的は、客観的交換価値を算定するためのものではなく、あくまでも合併比率若しくは株式交換比率を算定するためのものであり、評価時点における当事者の思惑が介在する余地も考えられるから、このようにして算定された合併比率若しくは株式交換比率が必ずしも純粋に株式の時価を反映しているとはいえず、また、合併比率若しくは株式交換比率に沿った価額で株式の取引がなされるとも言い得ない。
 本件において、合併比率若しくは株式交換比率を算定するに当たって採用した株式の評価方法は、評価時点や比準割合などに問題があり、算定された価額が適正に時価を示していると評価し得るか疑問があるから、これにより算定された本件合併比率及び本件株式交換比率も、適正に時価が反映されたものとも言い切れず、また、合併比率及び株式交換比率に基づく価格に市場価格が従うとも限らないと認められるから、請求人の主張する評価方式が、財産評価基本通達による以上の合理性があるとも、同通達により難い特別の事情があるとも認められない。

原文を表示
平成16年3月30日裁決

時価と著しく乖離する売買価額で被相続人と同族会社が交わした不動産売買取引について、原処分庁が相続税の課税価格を相続税法第64条第1項の規定を適用して計算したことは適法であるとした事例

裁決事例集 第67集 718頁

要旨

 相続税法第64条第1項の規定は、同族会社を一方の当事者とする取引当事者が経済的動機に基づき自然・合理的に行動したならば通常採ったはずの行為形態を採らず、ことさら不自然・不合理な行為形態を採ることにより、その同族会社の株主その他所定の者の相続税又は贈与税の負担を不当に減少させると認められる場合には、税務署長は、この同族会社の行為計算を否認し、取引当事者が経済活動に基づき自然・合理的に行動していれば、通常採ったであろうと認められる行為計算に従って相続税または贈与税を課することができるというものであり、同条がこのように規定する趣旨は、私法上許された法形式を濫用することにより、租税負担を不当に回避し又は軽減することが企図されている場合には、実質的にみて租税負担の公平の原則に反することになるから、このような行為又は計算をいわゆる租税回避行為として、税法上は、これを否認して本来の実情に適合すべき法形式の行為に引きなおし、その結果に基づいて課税しようというものである。したがって、当該規定の適用に当たっては、その行為計算が単に結果において相続税又は贈与税の軽減を来たすということのみによってこれを決すべきではなく、当該行為計算が経済的、実質的にみて、経済人の行為として、不自然・不合理なものと認められるか否かにより判断すべきである。
 本件についてみると、被相続人が本件不動産を同族法人G社から譲り受け、G社の借入金債務を被相続人が承継することにより、その売買代金の支払に充当するとした本件売買契約は、請求人が自認するとおり、G社の再建と相続税対策を同時に可能にする方法として考案し、実行したものであるが、通常、不動産売買における価格の決定は、利害関係を共通しない経済人の間では、近隣の売買価額や公示価額を参考として形成されるのが通例であるところ、本件売買契約の当事者間では、本件不動産の時価と本件借入金債務の残高が大幅に乖離していることを認識しながら本件借入金債務の残高をもって売買価額としたことが認められる。
 したがって、本件売買価額の決定は、経済人の行為として、ことさら不自然・不合理なもので、利害関係を共通にしない経済人の間では通常行なわれ得なかったものといわざるを得ず、売買代金債務のうち本件不動産の時価を超える部分については、債務控除が過大となり、請求人の相続税を不当に減少させるものと認められるから、原処分庁が相続税法第64条第1項の規定を適用して課税価格を計算したことは適法である。

原文を表示
平成16年3月30日裁決

請求人が組合員となっている民法上の任意組合からの船舶の賃貸事業に係る損益であるとする金額は、所得税法第26条第1項に規定する不動産所得の金額の計算上、総収入金額又は必要経費に当たらないとした事例

裁決事例集 第67集 165頁

要旨

 請求人は、本件船舶の賃貸事業は、請求人が投資商品の販売者から船舶の共有持分権を購入し、これを民法上の任意組合L及びケイマン諸島のリミテッド・パートナーシップPを通じて行っているのであるから、L組合の船舶賃貸事業を通じて得られる所得は、不動産所得に当たる旨主張し、原処分庁は、本件船舶の賃貸事業は、[1]請求人が本件事業に係る業務執行権を有さず、経営に参画していないこと、[2]請求人が本件船舶を実質的に保有していないこと、[3]請求人の負う本件事業のリスクが出資した船舶の持分を限度とするものであること等の理由により、請求人ら組合員の共同事業であるとは認められないから、L組合の船舶賃貸事業を通じて得られる所得は、不動産所得に当たらない旨主張する。
 しかしながら、[1]G社が企画した船舶に係る投資商品は、G社から一体の投資システムとして請求人らに示されていたものであり、[2]その内容を構成する各一連の行為において、本件船舶の売却を切り離した場合には、本件船舶の賃貸事業は収益面で全く成り立ち得ない一方で、[3]L組合の出資者には、実質的に組合への事業参加の機会は全く予定されておらず、[4]しかも、不動産投資に伴う通常のリスク負担も予定されていないことから、当該投資商品は、本件船舶の賃貸とその売却とが一体不可分にセットされ、それらに係る収入金額から投資資金が回収され、収益の分配を受けるという経済的成果をもたらすものであることが明らかである。
 したがって、L組合の船舶賃貸事業は、船舶の賃貸借という法形式に伴う実質的な経済的成果が発生していないと認められることから、本件船舶の賃貸事業に係る損益は、請求人の不動産所得とすることはできない。

原文を表示
平成16年3月30日裁決

請求人に帰属する歯科医業に係る所得を、請求人の親族に帰属するがごとく装うために親族名義の確定申告書及び決算書を税務署長に提出したことが、国税通則法第68条第1項に規定する隠ぺい又は仮装に当たると判断した事例

裁決事例集 第67集 57頁

要旨

 本件事業は、請求人の親族の名義で行われているが、当該親族は、医院の経営に関与せず、毎月定額の報酬を受領しているのみで、本件事業から生じた収入金額を費消したとは認められず、一方、請求人は、本件事業の遂行上生じた収入金額を請求人名義の預金口座に入金し、この金員を費消していることから、請求人が本件事業を経営し、その収益を享受していると認められるので、本件事業の遂行上生じた所得は、請求人に帰属すると認められる。
 請求人は、収入金額の一部を隠匿し、また、架空の経費を計上することにより所得金額を過少に申告したことに加え、本件事業の遂行上生じた所得が自己に帰属するにもかかわらず、親族に帰属するがごとく装うため同人に秘して、同人名義の所得税の確定申告書及び所得税青色申告決算書を税務署長に提出したことは、本件各年分において税額を免れる意図の下に事実を隠ぺいし、又は仮装したところに基づき申告したものと認められる。

原文を表示
平成16年3月30日裁決

香港子会社による第三者株式割当てにより、請求人が所有する当該香港子会社の株式の資産価値の一部が無償で他社に移転したことは、当該第三者株式割当てが請求人の株主と割当先との合意に基づくものと認められることから、法人税法第22条第2項に該当し、益金の額に算入されるとした事例

裁決事例集 第67集 433頁

要旨

 請求人は、本件増資は、本件新株割当てを行ったE社(香港に設立された請求人の子会社)と本件新株払込みをしたH社の間の取引にほかならず、請求人は、H社と何らの取引をしておらず、実質的にみて、請求人が保有していたE社株式の資産価値の一部がH社に移転したとしても、それは請求人の行為によるものではないから、法人税法第22条第2項に規定する「資産の譲渡」又は「その他の取引」に当たらないと主張する。
 しかしながら、一般に株主は、株式を通じ、株式会社の資産を所有し、支配するのであり、清算を待つまでもなく、株式の移転を通じ、株式に表象された株式会社の資産価値を取得することができ、株式の価額は、額面金額ではなく、上場株式の場合は市場において定まる価額により、非上場株式の場合は、株式会社の資産の実態に基づいて評価される価額により定まると解される。
 法人税法第22条第2項に規定する「取引」とは、その文言及び規定における位置付けから、関係者間の意思の合致に基づいて生じた法的及び経済的な結果を把握する概念として用いられていると解するのが相当であるから、請求人が何ら対価を得ることなく、所有していたE社株式の資産価値の一部を喪失し、H社がこれを取得した事実は、それが両社の合意に基づくと認められる以上、法人税法第22条2項に規定する無償による「資産の譲渡」又は「その他の取引」に当たると認められる。

【 税務法規集に掲載する法令等の情報に関する注意事項 】

  • 本サービスは、デジタル庁が管理するe-Gov法令検索のデータ、国税庁がホームページを通じて提供する通達等の情報および国税不服審判所の公表裁決事例・裁決要旨を利用しています。
  • 法律の専門家が分類・整理した情報を元に、プログラムで自動的に法令等を解析し、関連する情報を統合的に閲覧できるように再編集していますが法令等の内容については、明白な誤りや文字種の統一などの形式的な点を除き、変更しておりません。
  • 各法令等の施行日等の情報は法令等の名称の横にある マークのボタンからご覧いただけます。また、当該法令の元データにもその情報表示部分からアクセスすることができます。
  • 本サービスの提供者は、デジタル庁および国税庁とは関係がなく、またこれらの機関を代表するものでもありません。
  • 本サービスの提供者は、表示される情報に誤りがないように努めていますが、利用者による本サービスの利用に関する結果に対して一切の責任を負いません。