裁決事例 平成23年8月2日裁決
登録免許税の課税標準の額について、請求人が主張する鑑定評価額は合理的なものではなく、原処分庁が採用した近傍類似価格に所要の調整等を行って算定すべきであるとした事例
裁決事例集 第84集
ポイント
本事例は、固定資産課税台帳に登録された価格のない土地の課税標準の額を算定するに当たり、固定資産評価基準における「その他の宅地評価法」を用いることは相当であるものの、原処分庁の採用した近傍類似価格は当該土地の形状等に応じた所要の調整を行って算定されていないため、当該近傍類似価格をそのまま採用することはできないとしたものである。
要旨
原処分庁は、請求人が取得した本件土地の持分の登記に係る登録免許税の課税標準の額について、本件土地が固定資産課税台帳に登録された価格(台帳価格)のない私道の用に供されている宅地であることから、本件土地に係る固定資産評価証明書に記載された近傍類似価格(本件近傍類似価格)を基に、公衆用道路であることの補正のみを行って算定すべきである旨主張する。
しかしながら、台帳価格のない不動産の登録免許税の課税標準の額は、当該不動産に類似する不動産の適正な台帳価格を基礎として合理的に算定するのが相当であると解されるところ、本件近傍類似価格は本件土地の存する状況類似地区内の整形地である標準宅地の単位地積当たりの価額であるのに対し、本件土地は奥行の長大な不整形地であることからすると、本件土地の持分の課税標準の額は、本件近傍類似価格を基に、本件土地の形状等に応じて固定資産評価基準による所要の調整を行った上で、公衆用道路であることの補正を行って算定するのが相当である。
参照条文等
登録免許税法施行令附則第3項
要旨
原処分庁は、請求人の関連会社(H社)が請求人の取締役に対して「褒賞金」の名目で支払った金員(第一金員)は、賞与として経理処理されているものの、当該取締役には当該関連会社の従業員等としての勤務実態はなく、当該取締役が当該関連会社に対し何らかの役務提供等を行ったという事実も認められないことから、請求人が支払うべき取締役に対する給与を当該関連会社が負担したものである旨主張する。
しかしながら、当該取締役が当該関連会社に対して何らかの役務提供をしていないことは推認できるものの、請求人提出資料、原処分関係資料及び当審判所の調査の結果によって認定できる一切の事実をもってしても、第一金員が当該関連会社の取締役の地位にあることを理由に支払われたとまでいうことはできない。したがって、請求人が負担すべき給与を当該関連会社が負担したとは認められないから、請求人に受贈益が生じたとする原処分庁の主張は採用できない。
一方、請求人は、請求人の各関連会社(L社及びK社)が請求人の各取締役に対して「永年勤続賞金」又は「褒賞金」の名目で支払った各金員(第二金員、第三金員及び第四金員)は、当該各関連会社と当該各取締役との間で交わした合意書(本件各合意書)に基づき、営業指導や情報提供を行ったことに対する対価として支払ったものであり、請求人が支払うべき給与を当該各関連会社が負担したものではない旨主張する。
しかしながら、①本件各合意書は調査時に提出されておらず、調査時におけるその存在又は成立に疑義があり、信用できないこと、②当該各取締役が提供した役務は、請求人の業務の一環としてなされたものであって当該各取締役が個人として提供したものとは認められないこと及び③当該各金員の支払が当該各取締役の請求人における永年勤続表彰に関して支払われていることなどを総合すると、当該各関連会社において当該各金員を支払う特段の理由はなく、請求人が支払うべき給与を当該各関連会社が支払ったものと認めるのが相当である。したがって、請求人には受贈益が生じたものと認められる。
参照条文等
ポイント
この事例は、財団不足の場合においても、破産手続によらずに、破産手続開始決定後に確定した還付金等を国税通則法第57条の規定により、財団債権である未納国税に充当することができるとしたものである。
要旨
請求人は、財団不足の場合に財団債権となる租税債権に還付金等の充当をすることは、財団債権者間の優先順位を変更することとなるので、最優先の財団債権である破産手続費用、破産管財人報酬の全額支払が確実になり、各財団債権者に対するあん分支払額が確定するまで還付を留保し、その後、破産管財人からあん分支払額が通知されてから、その通知額に従い充当処理を行うべきである旨主張する。
しかしながら、破産債権は、破産法に特別の定めがある場合を除き、破産手続によらなければ行使できないが、財団債権は、破産手続によらないで破産財団から随時弁済を受けることができる債権であり、破産債権に先立って弁済されるものであるから、破産債権に優先して満足を受けられる債権である。これに財団不足の場合であるか否かを問わず、破産債権となる租税債権に還付金等を充当することができることを併せて考えると、財団債権となる租税債権に還付金等を充当できると解するのが相当である。
ところで、委託納付とは、納税者が、税務署長等に対し、その受領すべき還付金等により未納の国税等の納付を委託したものとみなされ、同委託に基づき税務署長等が同還付金等を同未納国税等に収納する手続を行うことをいい、これにより、法律上当然にその委託納付に相当する額の還付及び納付があったものとみなされるところ、委託納付の効果は、法律上擬制される納税者自らの委託に基づくものであって、税務署長等による公権力の行使によるものではなく、「国税に関する法律に基づく処分」には該当しないことから、本件各委託納付に対する審査請求は不適法なものである。
参照条文等
国税通則法第57条第1項 地方税法附則第9条の10第1項 破産法第2条第7項、第100条第2項2号、第152条
参考判決・裁決
大阪地裁平成15年2月14日判決(税資253号順号9283)
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