裁決事例 平成10年9月30日裁決
市街化調整区域内に所在する山林については、高圧線下にあることの影響は皆無であるとはいえないとしても、なおこれをしんしゃくすべき特段の理由があるとは認められないとした事例
裁決事例集 第56集 369頁
要旨
請求人は、山林については租税特別措置法第70条の6(農地等についての相続税の納税猶予)の規定のような相続税の納税を猶予して租税負担を軽減する制度がない以上、本件高圧線下の土地の価額については、同土地が高圧線下であることにかんがみて50パーセント減額すべきである旨主張する。
しかしながら、本件各契約の内容、利用状況等から本件高圧線下土地の価額について検討すると、被相続人が本件高圧線下土地を山林として使用する上では制約がないこと及び本件土地は市街化調整区域内に所在するから、本来建物の建築自体が制約されており、仮に本件高圧線下土地に建物の建築が認められた場合は、高さ10.9メートル又は12.2メートルの建物が建築できるのであるから、この高さ制限は著しい制限とは認められないことから、本件高圧線下土地を評価するに当たり、高圧線下にあることの影響は皆無であるとはいえないとしてもなおこれをしんしゃくすべき特段の理由があるとは認められない。
建物の使用状況が記載された売買契約書に基づき確定申告書を提出したことのみをもって、重加算税の賦課要件(隠ぺい又は仮装)に当たるということはできないとした事例
裁決事例集 第56集 78頁
要旨
原処分庁は、請求人が本件2階建部分を請求人の居住の用に供されていたかのごとく装ったものと認定した。
しかしながら、本件2階建部分が措置法の特例の適用対象となる居住用家屋の範囲に含まれないとしても、賃借人が実際に本件2階建部分をほとんど使用せず、請求人が賃借人ヘの賃貸前と同じように本件2階建部分を使用していたことからすれば、請求人が本件2階建部分を居住用部分として認識していたとしても無理もないと認められ、まして、その認識に基づき本件売買契約書に本件2階建部分を居宅及び応接室として使用している旨の記載をしたことのみをもって、仮装行為とまでいうことはできないから、過少申告加算税相当額を超える部分の重加算税の金額を取り消すべきである。
本件家屋の近隣住民の答述、家屋の電気の使用量や通勤手当の受給状況等からみて、譲渡した土地等は、租税特別措置法第35条等で規定する居住用財産に当たらないとした事例
裁決事例集 第56集 207頁
要旨
請求人は、生まれたときから居住していた本件家屋から、昭和49年にR地の家屋へ妻子と共に転居したが、平成3年に母Mの病気が悪化したので、請求人のみが同年4月から看病のため本件家屋に再度転居して生活の本拠地としていたのであるから、租税特別措置法第31条の3及び同法第35条の各特例が適用されるべきある旨主張する。
しかしながら、請求人の母Mが日常生活に必要な買物等を通常一人で行っていたとの近隣住民の答述、本件家屋の電気の使用量、勤務先からの通勤手当の受給状況及び給与振込口座からの出勤状況等からして、請求人が本件家屋を居住の用に供した事実は認められないから、本件譲渡には租税特別措置法第31条の3及び同法第35条の規定の適用はない。
請求人は、調査担当者から指摘されて提出した被相続人名義の有価証券等について、相続開始後にその利息及び償還金をすべて受領し、現金化して費消していることなどからすると、本件有価証券等の存在を知りながらこれを除外し、過少な相続税の申告書を作成・提出したものと認められ、当該行為は、事実を隠ぺいした場合に当たるとした事例
裁決事例集 第56集 45頁
要旨
請求人は、調査担当者から申告漏れの株式が存在する旨の指摘を受けて、家の中を捜してみた結果、初めて被相続人が使用していたたんすの中にあったアタッシュケースの中から有価証券等を把握したのであるから、隠ぺい又は仮装の事実はない旨主張する。
しかしながら、請求人は、[1]株式の知識をもっていること、[2]相続開始後、被相続人の遺産を一括管理・運営していたこと、[3]本件株式・抵当証券の利息及び償還金をすべて受領し、現金化して費消していること、[4]定期貯金の満期を迎えたものについて、孫の名義に変えていること、[5]本件申告書提出後の所得税の確定申告において、配当金の支払通知書の写しをすべて保存していたにもかかわらず、申告済み株式に係る配当金のみを申告したことが認められ、以上によれば、請求人は、本件有価証券等の存在を知りながらこれを隠ぺいし、過少な本件申告書を作成・提出したもので、その行為は、相続税法第19条の2第5項及び国税通則法第68条第1項に規定する事実の隠ぺいに該当する。
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