裁決事例 平成23年3月23日裁決

裁決事例 平成23年3月23日裁決

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平成23年3月23日裁決

滞納者が受け取るべき信託受益権の譲渡代金の残余金等のうち、滞納者の債務を弁済した後に生じた余剰金は、実質的に滞納者から請求人に対する無償譲渡と認められるとした事例

裁決事例集 第82集

ポイント

 この事例は、滞納者と滞納者が主宰する法人が共有していた財産の譲渡代金が当該法人の預金口座に振り込まれた後、その一部が滞納者名義の預金口座、請求人名義の預金口座、請求人の妻名義の預金口座を経由して請求人の定期預金等の財産となったところ、滞納者は上記譲渡代金から自己及び上記法人の債務を弁済して余剰が出た場合には、請求人に贈与する意思を有し、当該余剰の交付や返還を求めていないから、実質的に滞納者の財産が無償譲渡されたと認定したものであり、また、その額が原処分の限度を超えるから、原処分は適法であるとしたものである。

要旨

 請求人は、本件滞納者と本件滞納者が代表取締役を務めていた本件法人の双方から、両者が共有していた不動産の信託受益権の譲渡代金の残余金等(本件残余金等)の管理処分を任され、本件残余金等が振り込まれた本件法人の預金口座をはじめ、本件滞納者、請求人及び請求人の妻名義の預金口座のすべてを請求人の管理下に置いて入出金を行っていた。また、本件滞納者は、上記譲渡代金によって、自己及び本件法人の債務を弁済して余剰が出た場合には、請求人に贈与する意思を有し、請求人に対し、当該余剰の交付や返還を求めていないところ、本件残余金等のうち本件滞納者が取得すべき額の金員が、本件法人の取得すべき額の金員とともに本件法人の預金口座に振り込まれ、その後、その一部が、請求人の管理下にあった本件滞納者名義の預金口座、請求人名義の預金口座及び請求人の妻名義の口座に振り替えられ、さらに、請求人名義の定期預金等として請求人の管理下に移転したと認められる。
 このような一連の事実経過をみると、実質的に、本件滞納者の財産が請求人に対して無償譲渡されたと認められ、その額は原処分の限度を超えるから、原処分は適法である。

参照条文等

国税徴収法第39条

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平成23年3月23日裁決

請求人が取得した建物及び水道施設利用権に係る個別対応方式における課税仕入れの用途区分について、それぞれ取得の日の状況で判断した事例

裁決事例集 第82集

ポイント

 個別対応方式により仕入れに係る消費税額を計算する場合において、課税仕入れを課税資産の譲渡等にのみ要するもの、その他の資産の譲渡等のみに要するもの及び課税資産とその他の資産の譲渡等に共通して要するものに区分する場合の当該区分(用途区分)は、課税仕入れを行った日の状況により行うこととなる。
 この事例は、マンションの取得に際し、建物部分と水道施設利用権をそれぞれ別の時期に取得していたことから、それぞれ取得の日の状況で用途区分を判断したものである。

要旨

 請求人は、本件建物の取得目的がF社に対して本件建物及びこれに付属する機械式駐車場(本件マンション)に係る信託受益権を売買することにあり、また、本件建物の取得に係る課税仕入れのあった日において、F社との間の信託受益権売買契約の法的な解除やテナントとの間の賃貸借契約の締結がされていなかったとして、本件建物及び本件水道施設利用権の取得に係る課税仕入れが課税資産の譲渡等にのみ要するもの(課税用)に該当する旨主張し、一方、原処分庁は、本件マンションの取得目的は販売及び住宅として貸し付けることであったことから本件建物及び本件水道施設利用権の取得に係る課税仕入れは課税資産の譲渡等とその他の資産の譲渡等に共通して要するもの(共通用)に該当する旨主張する。
 請求人は、本件建物の取得に係る課税仕入れのあった日において、F社による信託受益権の売買残代金の支払が事実上不可能で、F社との間の信託受益権売買契約を解消することとなり、同契約において予定されていた日に信託受益権の譲渡が行われないとの認識を有していたといえ、さらに、請求人は、F社が破産手続開始の決定を受ける以前に、本件マンションの新たな売却先を探すため、L社に本件マンションの再査定を依頼したことが認められ、本件マンションの売却先及び売却時期が未定の状況下で、請求人自らがH社との間で本件マンションの管理委託契約を締結し、入居者の募集を開始したという賃料収入を得ることを前提とした行為をしていることを考え併せると、本件建物の取得に係る課税仕入れのあった日において、請求人は、本件マンションの新たな売却先が見つかるまでの間、本件マンションを住宅として貸し付け、これによる賃料収入を得ることを予定していたと認めることができる。そうすると、本件建物の取得に係る課税仕入れを本件信託受益権の売買にのみ要する課税仕入れとして、課税用として区分したことには合理性がないというべきであり、本件建物の取得に係る課税仕入れは、共通用に該当すると認めるのが相当である。
 一方、本件水道施設利用権の取得に係る課税仕入れのあった日においては、請求人に帰属すべき賃料収入が生ずる可能性は、具体的なものではなかったというべきであり、同日における状況からすれば、請求人に賃料収入が帰属することが予定されていたということはできず、本件水道施設利用権の取得に係る課税仕入れを信託受益権の売買にのみ要する課税仕入れとして、課税用として区分したことが不合理な区分とまではいうことはできないから、本件水道施設利用権の取得に係る課税仕入れは、課税用と認めるのが相当である。

参照条文等

消費税法第30条第2項

参考判決・裁決

平成18年2月28日裁決(裁決事例集No.71・719頁)

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平成23年3月23日裁決

請求人の預金口座に入金された滞納者が受領すべき譲渡代金の一部については、当該預金口座の入出金状況等から当該金員が請求人の処分権限内に移転したとはいえず、滞納者から請求人への財産の無償譲渡があったということはできないとした事例

裁決事例集 第82集

要旨

 原処分庁は、本件滞納者が受領すべき譲渡代金の一部が、本件滞納者が代表取締役を務めていた法人の普通預金口座から請求人の普通預金口座(本件請求人口座)に振り替えられたことにより、当該振替金(本件振替金)は本件滞納者から請求人の処分権限内に移り、本件振替金が本件滞納者に還流した事実も本件滞納者に対する対価等の支払の事実も認められないから、本件振替金は、本件滞納者から請求人に無償で譲渡された旨主張する。
 しかしながら、本件請求人口座については、本件振替金の入金当時、本件滞納者の子であり請求人の配偶者であるEにおいて自由に出金できる状態にあり、入出金のすべてをEが行っているだけでなく、その口座の動向について、請求人が何ら把握していないのであって、引き出された金員が請求人個人の用途に使用されたことを認めるに足りる証拠がないだけでなく、かえって出金のあった日にE名義の預金口座に相応額の入金があるという同人のために費消されたことをうかがわせる事実が認められるのであり、Eが請求人の配偶者であることを併せて考えると、本件請求人口座が請求人に帰属すると認定することはできず、同口座はEの管理下にあったいわゆる借名口座であるとみるのが相当である。そうすると、本件請求人口座に本件振替金が入金されたことをもって、請求人の処分権限内に本件振替金が移転したとはいえないから、本件滞納者から請求人への財産の無償譲渡があったということはできず、ほかにこれを認めるに足りる証拠もない。

参照条文等

国税徴収法第39条

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