裁決事例 昭和50年(1975年)
要旨
本件宅地について、贈与を原因として請求人に所有権移転登記がなされている事実を捕え、贈与があったものとした原処分に対し、数年来当該宅地上に請求人名義の居宅を建築し居住していたこと、贈与者である叔父名義に所有権が登記されていたのは、第2次大戦後の所有権認定に際し、法定家督相続人たる請求人が未成年者であったため、家産保護の立場からそうしたものであること等の事実が認められるから、真正な土地の所有者は請求人であり、登記事項の異動は、その実質が贈与行為によるものではなく、真正な所有者名義の回復を図るものであると解されるので、請求人の主張は相当である。
要旨
外国銀行本店から供給される資金に係る内部利息は、収益に対応する売上原価等に相当するもので、その利率は本店が資金調達に要した実際利率によるのが相当であることから、実際利率を上回る公定歩合によって計算した利息を超える部分の金額を否認した原処分は相当である。
要旨
相続税法第66条第4項に規定する公益法人に対する贈与が贈与者の相続税又は贈与税の負担を不当に減少させる結果となるかどうかについての判定は、当該法人等の定款、役員の構成、財産管理、収支の状況その他を総合してなされるべきものと解されるところ、本件贈与財産については、贈与者の親族が支配していて、受贈者たる公益法人は名義上の権利者にすぎず、贈与税の負担を不当に減少させる結果になると認められるから同項の規定を適用するのは相当である。
要旨
支給される子女教育費が、臨時的な給与であるかどうかは、受給者における使途とは関係なく、支給の実態により判断すべきところ、請求人が外人役員に対して支給した本件子女教育費は、毎月規則的に、継続して支給されるものではなく、年1回ないし2回支給されており、また、その具体的な数額は支給時に確定するものと解される。従って、支給されたその金員は臨時的な給与、すなわち役員賞与に該当すると認められ、損金の額に算入することはできない。
要旨
請求人が所有する建物を賃貸した事情は、請求人が負担している保証債務を履行するための資金を得ることを目的としたものと認められるが、請求人の負担した保証債務は、当該不動産所得を生ずべき事業の遂行上生じたものではないから、保証債務の履行に伴う求償権の行使不能額は所得税法第51条第2項及び同法施行令第141条第2号に規定する必要経費には当たらない。
要旨
工場建物の敷地に約6トンに及ぶコンクリートをもって3台の圧延機及び熔解炉を定着させ、これに各附属機械を連結させた一個の有機的機能をもたせた工場据付機械は、経済的にみて独立の価値があるものと認められ、民法第86条“不動産、動産”の規定による土地の定著物の一種と認められるから、その賃貸料収入は不動産所得に係る総収入金額とするのが相当である。
要旨
請求人は公認会計士の開業登録は行っているが、会社勤務の余暇を利用して顧客の勧誘をしたのは数社であり、それも単なる勧誘で、固定的な顧客の獲得はなく、当該業務契約の締結に至ったもの及び公認会計士の業務に係る収入金額が皆無である。このような状況においては、請求人の当該業務は社会通念上、いまだ所得税法上の事業と認めるには足りないものとみるのが相当である。
要旨
競輪の予想業者が、競輪の廃止に伴い、地方公共団体から支給された補償金は、競走事業廃止対策審議会条例による廃止対策措置基準に準拠し、売上収益を基にして算定した見舞金として支給されたものであって、予想業者の業務の遂行により生ずべき所得に係る収入金額に代わる性質を有するものと認められるから、この見舞金は、その業務の所得金額(所得税法施行令第8条第3号に規定する臨時所得)に係る収入金額とみるのが相当である。
要旨
請求人は土地を買い入れた会社の指定業者となっているが、請求人が土地の売買に関与した行為は、契約内容及び取引態様からみて、代理行為ではなく仲介行為であると認められ、また、請求人が本件土地の売買に関与して得た報酬は宅地建物取引業法第64条第1項に定める報酬の額を超えるので、請求人の行為について租税特別措置法(昭和55年法律第9号による改定前のもの)第63条の規定の適用があるとした原処分は相当である。
要旨
延滞税の額は、国税通則法第15条第3項第8号の定めるところにより、納税義務の成立と同時に特別の手続を要しないで確定するものであるから、請求人が督促状により、延滞税を納付すべきことを初めて知ったとしても、そのことは延滞税の納税義務の成立及び納付すべき税額の確定には何らの影響を及ぼすものではない。
また、本件更正は、通常必要と思われる調査の所要日数等から考えても特に遅延しているとも認められない。
要旨
堅固な建物の存する他人の土地に隣接し、専らその堅固な建物の駐車場として利用されている貸地が、当該貸地が隣接する建物とその所有者を異にし、賃貸借契約において土地の具体的な使用目的の定めがないような場合においては、たとえ、その貸地の賃貸借契約の解除権及び所有権の譲渡に制限等があっても、その貸地については隣接する堅固な建物の存する土地と同一に評価することはできない。
要旨
請求人が、用船の転貸先から、用船が契約に定める速度が出なかったとしてこれに対する損害賠償金を要求されて支払った金額は、そのスピード低下が請求人の転貸先との用船契約期間中用船を完全な状態に維持すべき義務の履行を怠っていたために負担したものであり、船主に求償できる費用ではないので請求人の損金とすることが相当である。
要旨
起業者が請求人に支払った補償金は、公共事業に伴う地上物件移転期間の一時的な営業休止の損失を補償するための営業補償金として支払われたものであり、永久的な事業縮小に対する補償ではなく、また、この補償金の額は請求人の提出に係る営業決算調書記載の数額を基礎として計算された数か月分の営業休止に見合う損失補償金であり、3年以上の事業所得の補償とは認められないから、所得税法施行令第8条第3号の臨時所得には当たらない。
要旨
売買契約に基づいて、資産(土地及び家屋)を取得し、事業の用に供した後において、売主の内縁の夫の相続人から当該資産の所有権移転につき異議が申し立てられたが、不法行為等による営業継続上の支障等を早期に解消するため、これらの者に対して請求人が支払った和解金は、当該売買契約がかしなく成立した以上、偶発的に生じた事件による損害金として損金に認めるのが相当である。
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