裁決事例 裁決事例集 第90集
青色申告の承認の取消処分に係る通知書に記載された理由からは、いかなる事実が取消事由に該当するのか了知し得るものとはいえないから、理由付記に不備があるとした事例
裁決事例集 第90集
要旨
原処分庁は、青色申告の承認の取消通知書(本件取消通知書)に、請求人が受領した中間金と仲介手数料を総勘定元帳の売上勘定に計上しなかった行為は、法人税法第127条《青色申告の承認の取消し》第1項第3号に規定する「帳簿書類に取引の全部又は一部を隠ぺいし又は仮装して記載し又は記録し、その他その記載又は記録をした事項の全体についてその真実性を疑うに足りる相当の理由があること」に該当する旨記載しており、請求人がこれにより不服申立ての便宜を損なうことのない程度に具体的事実を摘示していることから、法人税法第127条第2項の要件を充足している旨主張する。
しかしながら、本件取消通知書の記載内容からは、いかなる事実が「隠ぺい」又は「仮装」であるとするのか具体的に特定して摘示しているとはいえないことに加え、原処分庁が中間金の額を売上げに計上すべきと判断した理由も何ら摘示されていないと認められるから、本件取消通知書の記載内容からは、中間金がいかなる事実関係により売上げに該当するとしているのか了知できないばかりか、中間金及び仲介手数料の額を売上勘定に計上しなかったことが、法人税法第127条第1項第3号に規定する「帳簿書類に取引の全部又は一部を隠ぺいし又は仮装して記載し又は記録し」たこと、又は「記載又は記録をした事項の全体についてその真実性を疑うに足りる相当の理由があること」のいずれに該当するのかについても了知することができないものと認められる。したがって、本件取消通知書は、いかなる事実が法人税法第127条第1項第3号に該当するとして青色取消処分がなされたかを請求人においてその記載自体から了知し得るものということはできないから、同条第2項の定める理由付記の要件を欠くものであるとするのが相当である。
参照条文等
参考判決・裁決
最高裁昭和49年4月25日第一小法廷判決(民集28巻3号405頁)
要旨
請求人は、船舶の一部の貸付けによる所得も不動産所得に含まれること、○○国船籍の客船(本件船舶)の一船室の貸付け(本件業務)は、本件船舶に係る居住権の貸付けでありこれは船舶の上に存する権利の貸付けであること、本件業務に係る所得は資産性所得であること、そして、役務の提供は僅かであることなどの理由から本件業務に係る所得は不動産所得であると主張する。
しかしながら、請求人はレンタル利用者に対し単に一船室を利用させているだけではなく相当程度のサービスと一体となったクルーズを提供しているというべきであり、本件業務に係る所得がほとんど又は専ら船舶を利用に供することにより生じたものとはいえないことから、本件業務に係る所得は不動産所得には該当せず、また、本件業務は営利性・有償性及び継続性・反復性を具備しているものの、本件業務の目的は毎年の維持管理費用を少しでも回収すること、請求人は年に4回程度外国送金依頼書に署名するのみであること、本件業務に係る従業員を雇用せず事務的設備を整えていないこと、医療法人の理事長として給与等を得ており生活の資の大部分をこれらの法人から得ていたこと、そして、自己資金の範囲内で本件業務を行っていることなどから、一般社会通念に照らし、本件業務は事業とは認められず、本件業務に係る所得は雑所得に該当する。
参照条文等
要旨
原処分庁は、請求人が、請求人所有の建物の賃借人(本件滞納法人)からの申出により、賃貸借契約(本件賃貸借契約)を賃貸借期間の途中で解約するに当たり、本件滞納法人との間でした、本件滞納法人が請求人に対して敷金(本件敷金)の返還請求権(本件敷金返還請求権)を放棄する旨の合意(本件合意)に基づき、その放棄を受けたことは、本件滞納法人による国税徴収法第39条《無償又は著しい低額の譲受人等の第二次納税義務》に規定する「債務の免除」に該当する旨主張する。
しかしながら、国税徴収法第39条にいう債務の免除とは、広く第三者に利益を与えるものというと解されるところ、本件合意は、本件滞納法人がその賃借する建物を本件合意で定めたとおり明け渡すことを条件として、本件賃貸借契約の解約によって発生する損害賠償の額を予定し、その損害賠償請求権と本件敷金返還請求権等とを相殺することを定めたものであり、社会通念上、損害賠償の額を予定し、相殺することについて合理的な期待を有すると認められる範囲内にあるから、本件合意による約定は有効と認められ、これにより請求人の損害賠償の額が本件敷金等に相当する額に制限された上、その損害賠償請求権と本件敷金返還請求権等とが相殺されて消滅することとなることからすると、本件合意により請求人が利益を受けたということはできない。
参照条文等
要旨
原処分庁は、請求人が取引先に請負に係る報酬を請求した時に、収入すべき権利が確定したといえるから、請求人の事業所得の金額の計算上総収入金額に算入すべき金額は、その年中に請求人が取引先に請求した役務の提供に係る対価の合計額となる旨主張する。
しかしながら、請求人と取引先との間の請負契約は、請求人及びその従業員が、取引先から指示されたブロックの溶接等を行うというものであるから、物の引渡しを要しない役務の提供を内容とする請負契約であると認められる。そして、取引先は、請求人の報酬を日々の作業時間から算出していたこと、また、請求人は既に完了した溶接等の報酬の支払を随時請求することができたことからすれば、請求人と取引先は、日々の役務の提供が完了するごとに報酬請求権が発生、確定する旨の請負契約を締結していたと認めるのが相当である。そうすると、請求人が取引先との間で締結した請負契約に基づく報酬請求権の収入すべき時期は、その役務の提供が完了した日の属する年分となり、本件各年分の事業所得の金額の計算上総収入金額に算入すべき金額は、それぞれ暦年の1月1日から12月31日までになされた役務の提供に係る対価の合計額となる。
参照条文等
参考判決・裁決
最高裁昭和53年2月24日第二小法廷判決(民集32巻1号43頁) 大阪地裁昭和38年3月19日判決(行集14巻3号480頁)
要旨
原処分庁は、本件契約に基因する未収リース料相当額の債権は、被相続人(請求人らの父)の事業の遂行上及び事業の遂行に付随して生じたものと認められず、同債権に係る貸倒損失の額は、事業所得の金額の計算上必要経費に算入できず、雑所得の金額の計算上必要経費に算入される金額であり、雑所得の金額を限度として必要経費に算入すべきであると主張する。
しかしながら、本件契約に係るリースは、取引先の事業に対する支援の一環として行われたものであると認められるとともに、当該リースを含む被相続人の設備・装置等の販売・設置やリース等に係る業務は、営利性、有償性を有することはもとより、反復継続して遂行する意思と社会的地位とが客観的に認められ、未収リース料相当額の債権に係る所得は、事業から生じる所得として、同人の事業所得に該当するものというべきであり、そして、未収リース相当額の債権は貸倒れになったと認められるから、同人の事業所得の金額の計算上、必要経費に算入される。
参照条文等
所得税法第27条、第35条、第37条、第51条、第52条 所得税法施行令第63条、第144条、第184条の2(平成19年政令第82号による改正前のもの)
参考判決・裁決
名古屋高裁平成5年9月30日判決(税資198号1213頁)
業務に関連する資格取得のために専門学校に入学した従業員に対して、請求人が奨学金として負担した金員は貸付金と認められるから、当該奨学金は損金の額に算入されないとした事例
裁決事例集 第90集
要旨
《要旨》
請求人は、請求人に勤務する職員で看護師等の資格取得のために看護専門学校に入学した者に対し奨学金として負担した金員については、当該奨学金に係る奨学金貸与規則どおりに運用されている実態がなく、奨学金の返還を目的としていないことなどから、支出した事業年度の損金に算入することも認められるべきである旨主張する。
しかしながら、請求人は、当該奨学金貸与規則に基づき、奨学金申請書を提出した者に対し奨学金を支給していることが認められ、また、奨学金の返還については、当該奨学金貸与規則は規定どおり一定期間の勤務を条件に免除されることが予定されていることから、その奨学金は、支給時点においては債務免除の条件が付された貸付金であり、損金の額に算入することはできず、また、各事業年度終了の日までに、その返還免除の意思表示がされていないことから、各事業年度の損金の額に算入することはできない。
参照条文等
相続人らから本件被相続人への本件各金員の支出は、本件被相続人が相続税対策のために相続人らに贈与を行っていたことなどからすると、相続人らから本件被相続人への贈与であったとみることは困難であるから、本件各金員は、相続人らから本件被相続人に貸し付けられたものと認められるとした事例
裁決事例集 第90集
要旨
原処分庁は、請求人らが主張する、本件被相続人が負っていた請求人らを含む相続人らからの借入金債務(本件各借入金債務)は、相続開始日において存在していない旨主張する。
しかしながら、本件各借入金債務の原資(本件各金員)は、相続人らが支出したものと認められることに加え、当該支出について、相続人らは、本件被相続人が同人の営む病院(本件病院)の建物建築資金等に係る銀行借入を返済するために本件被相続人へ貸し付けたものである旨答述するところ、本件病院は本件被相続人から建物を賃借して営業を行っていたこと、相続人らは本件病院の経営に関わるとともに、本件病院からの報酬で生計を維持していたこと、本件病院の収入は年々減収しており、当該建物の賃借料や当該報酬も引き下げていること、本件被相続人の法定相続人は同人の配偶者又は子である相続人らのみであり、相続人らが本件被相続人の財産及び債務を相続することが予定されていたこと並びに過去において、本件被相続人から相続人ら及び孫らに対し定期的に贈与がされていたことからすると、上記の銀行借入の返済が滞る事態が生じれば、本件病院の維持継続が困難となり、相続人らの生活に直接大きな影響を与えることとなることが容易に想定されることなどから、当該答述内容は相続人らが本件被相続人に対して本件各金員を支出するに至った経緯として自然なものということができる。なお、本件各金員は孫らの進学資金などとして積み立てていたものであること並びに上記の本件被相続人から相続人ら及び孫らに対する定期的な贈与は相続税対策のためのものと推認されることからすると、本件各金員の支出が相続人らから本件被相続人への贈与であったとみるのは困難である。したがって、本件各金員は、相続人らから本件被相続人に貸し付けられたものと認めるのが相当である。
参照条文等
相続税法第13条第1項第1号、第14条第1項 民法第545条、第587条
要旨
原処分庁は、請求人の賃貸している建物等(本件各物件)の管理業務を、請求人が代表取締役を務める法人(本件同族会社)に委任する旨の契約(本件契約)を締結しているが、他に同管理業務を網羅的に委託している法人があるから、同じ業務を本件同族会社に重複して委託する必要性がないこと、また、原処分に係る調査段階では、請求人から、本件同族会社が本件各物件の管理業務を行ったことを示す資料が一切提示されなかったことなどからすれば、本件同族会社による本件各物件の管理業務が日常的に行われていたとはいえないから、請求人が本件各物件の管理委託料として本件同族会社に支払った金額(本件金員)は、請求人の不動産所得の金額の計算上必要経費に算入すべきではない旨主張する。
しかしながら、証拠によれば、本件同族会社は、請求人から本件各物件の管理業務の委託を受けて、当該各物件に係る消防・防災設備の点検業務並びに給湯設備の修理及び取替工事の発注を行うなどした事実、また、本件同族会社は、当該工事等を委託又は依頼した各業者と連絡を取り合い、工事等の実施内容や状況等の報告を受けていた事実が認められる。さらに、本件同族会社の取締役であった請求人の亡妻が、同社の業務に係る出来事をノートに記載しており、そのノートによれば、同社は随時、上記の各業者等からの連絡等を受け付け、必要な対応等を行っていたものと認められる。以上を総合すれば、本件同族会社は、本件契約に基づき、請求人から委託を受けた本件各物件の管理業務を行っていたと認めるのが相当である。したがって、本件金員は、本件同族会社が行った本件各物件の管理業務の対価であると認められるから、請求人の不動産所得の金額の計算上必要経費に算入すべきである。
参照条文等
参考判決・裁決
源泉徴収の対象となる匿名組合契約に基づく利益の額の計算上、契約内容の異なる別個の匿名組合契約に係る損失の額及び別途支払うこととされている管理費用の額を控除することはできないとした事例
裁決事例集 第90集
ポイント
本事例は、源泉徴収の対象となる支払には、現実に金銭を交付する行為のほか、支払の債務が消滅する一切の行為が含まれるから、新たな匿名組合契約に係る出資金等への充当は支払に当たるとするのが相当であるが、当該充当後の残額の支払は翌月に行われているから、本件匿名組合契約の利益の全額が当月に支払われたとして行われた納税告知処分の一部を取り消したものである。
要旨
請求人は、自己を営業者とする匿名組合契約(本件匿名組合契約)に基づく利益の分配の額の計算上、本件匿名組合契約は、本件匿名組合契約の締結前に締結していた匿名組合契約(旧匿名組合契約)と実質的に同一の匿名組合契約であるから、旧匿名組合契約による事業から生じた損失の額及び旧匿名組合契約に基づいて営業者に支払うこととされていた管理費用の額は、本件匿名組合契約の利益の額から控除すべきである旨主張する。
しかしながら、本件匿名組合契約と旧匿名組合契約とは契約内容が同一であったと認めることはできず、また、旧匿名組合契約は契約に定められた期間にそれぞれ終了し、当該契約に従って行われた運用結果報告により返還される出資金の額が通知されたことが認められ、これらによれば、本件匿名組合契約と旧匿名組合契約とは形式的にも実質的にも別個の匿名組合契約としてそれぞれ締結され、終了したものと認めるのが相当である。そうすると、当該損失の額及び当該管理費用の額は、旧匿名組合契約に係るものであるから、本件匿名組合契約に基づく利益の分配の額の計算上、利益の額から控除することはできないというべきである。
参照条文等
請求人名義の預貯金口座への各入金の事実によって、その原資が請求人の母の預貯金口座からの各出金に係る金員であると推認することはできないから、当該各入金に係る金員は贈与により取得したとは認められないとした事例
裁決事例集 第90集
ポイント
本事例は、原処分庁が請求人の母と請求人との間で贈与があったことを示す証拠として主張するその母の相続に係る相続税の調査段階における請求人の申述又は提出資料の内容について、当該調査段階においてさえ変遷が認められる上、審判所の調査によっても、当該申述又は提出資料の内容を直接裏付けるような客観的な証拠や、当該変遷に合理的な理由があることをうかがわせる証拠の存在が見当たらないから、その信用性を認めることはできないと判断したものである。
要旨
原処分庁は、請求人の母名義の預貯金口座からの各出金に係る金員が請求人名義の預貯金口座への各入金に係る金員に対応する関係(本件対応関係)にあるとして、請求人が、母から、当該各出金に係る金員を取得した旨主張する。
しかしながら、①当該各出金日から当該各入金日までの間隔は、長いものでは約1年10か月もあいている上、②当該各出金に係る金員の管理・保管状況は明らかではなく、③当該各入金日と同日に、請求人名義の預金口座からそれぞれの日の入金額を上回る出金がされている場合もあることのほか、④本件対応関係にない請求人名義の預貯金口座への入金の事実があることも踏まえると、当該各入金の事実のみから、直ちにその原資の全てが当該各出金に係る金員であると推認することはできない。ところで、本件対応関係の存在を認めることができるか否かは、請求人の母の相続税の調査段階における請求人の申述又は提出資料の信用性を認めることができるか否かに帰着するが、当該調査段階における請求人の申述又は提出資料の内容は、そもそも当該調査段階においてさえ変遷がみられるものである上、当該申述又は提出資料の内容を裏付ける客観的な証拠や当該変遷に合理的な理由があることをうかがわせる証拠の存在は見当たらないから、原処分庁がその主張の根拠とした当該申述又は提出資料についてはその信用性を認めることはできず、本件対応関係の存在を認めることもできない。そして、当審判所の調査の結果によっても、他に母から請求人に対する金員の受渡しがされた事実を認めるに足りる証拠は見当たらない。したがって、請求人が母から当該各出金に係る金員を取得したとは認められない。
要旨
請求人は、過少申告の原因は単なる計算誤りであり隠ぺい仮装の行為はない旨主張する。
しかしながら、請求人は、出面帳に毎日の業務及び売上金額等を記載し、また、預金通帳で入金状況をチェックしてその入金状況を更に出面帳に記すなどし、日頃から収入の管理に努めており、自己の収入金額を正しく把握していたものと認められるところ、7年にわたりほぼ連続して、各収支内訳書の「上記以外の売上先」欄のみ過少に記載することにより多額の収入を申告せず、さらに、調査当初において過少である理由について曖昧な説明に終始していたものである。そうすると、請求人は、作為的に収入金額を過少に記載した各確定申告書及び各収支内訳書を提出して多額の収入を意図的に申告せず、更には調査当初において過少申告の意図を隠そうとしていたものと認められる。したがって、請求人の過少申告は、当初から所得を過少に申告することを意図し、その意図を外部からもうかがい得る特段の行動をした上で行われたものといえるから、重加算税の賦課要件を満たすと認めるのが相当である。もっとも、必要経費については、本人所得率を基に算出した必要経費の額が、当初申告額を下回る年分と上回る年分があり、このような必要経費の額の動きをみると、特段、請求人において必要経費を過大に計上しようとした意図を推認することはできず、他に必要経費につき、請求人に同意図を認めるに足りる証拠もないから、必要経費部分に関する請求人の過少申告行為は、重加算税の賦課要件を満たさない。
参照条文等
参考判決・裁決
最高裁平成7年4月28日第二小法廷判決(民集49巻4号1193頁)
要旨
請求人は、債権の差押処分等(本件各滞納処分)に係る国税の一部について、その前提となる源泉徴収に係る所得税の納税告知処分(本件告知処分)が違法であるから、本件各滞納処分は違法である旨主張する。
しかしながら、請求人が違法であると主張する本件告知処分については、その処分に重大かつ明白な瑕疵があったとは認められず、また、違法を理由として権限ある機関によって取り消された事実もないと認められることから、請求人の主張には理由がない。
参考判決・裁決
最高裁昭和45年12月24日第一小法廷判決(民集24巻13号2243頁) 平成3年12月18日裁決(裁決事例集No.42・245頁)
要旨
請求人は、請求人が境内に所有する会館を請求人の僧侶が出仕しないで檀家以外の者に対し利用させる行為により利用料を受領する際、領収証のただし書に「会館使用布施」と記載し、布施として利用料を受領しており、当該会館を利用させた対価として利用料を受領したものではないから、当該行為により金員を受領していたことは、いわゆる不課税取引に当たり、資産の譲渡等に該当しない旨主張する。
しかしながら、法人が行う全ての資産の貸付けは「事業として」行われるものであるから、当該行為は、「事業として」行われるものに該当し、また、一般的に「対価」とは、資産の譲渡及び貸付け並びに役務の提供に対する反対給付として支払を受けることをいうから、資産の貸付けが無償で行われる場合や支払行為に対価性がない場合には消費税が課されないことになるが、本件においては、請求人は、当該会館を檀家以外の者に利用させ、その対価として当該者からその利用料を受領したものであり、さらに、当該利用料が喜捨等の性格を有するということはできないから、上記の資産の貸付けが無償で行われる場合や支払行為に対価性がない場合には当たらないというべきであり、この判断は、請求人が当該会館の利用者に交付した領収証に「会館使用布施」と記載していたとしても左右されるものではない。そうすると、請求人が当該行為により金員を受領する行為は、「事業として対価を得て行われる資産の貸付け」に該当し、資産の譲渡等に該当すると認めるのが相当である。
参照条文等
参考判決・裁決
要旨
請求人は、更正の申出に対してその更正をする理由がない旨のお知らせ(以下「更正の申出に対するお知らせ」という。)の取消しを求めて審査請求をしている。
しかしながら、更正の申出の手続は、更正の請求とは異なり、法令上の根拠に基づくものではないから、更正の申出に対するお知らせは、直接納税者の権利義務を形成し又はその範囲を確定するものではなく、単に、納税者からの減額更正を求める申出を契機として、税務署長が当該納税者の納税申告書に記載された課税標準等又は税額等を更正する理由がない旨を知らせるものに過ぎない。
したがって、更正の申出に対するお知らせは、国税通則法第75条《国税に関する処分についての不服申立て》第1項に規定する「国税に関する法律に基づく処分」に該当せず、その取消しを求める本件審査請求は不適法である。
遺留分権利者が遺留分減殺を原因とする土地の共有持分移転登記請求訴訟によって同土地の共有持分権を取り戻したことは、遺留分義務者の相続税法第32条第3号の更正の請求事由に当たるとした事例
裁決事例集 第90集
ポイント
本事例は、遺留分権利者が遺留分減殺請求の目的物について現物返還と価額弁償とを同時に求めていた場合において、遺留分義務者から現物返還が行われたことは、相続税法第32条第3号の更正の請求事由に当たることなどを初めて明らかにしたものである。
要旨
原処分庁は、請求人以外の共同相続人ら(本件遺留分権利者ら)が、遺産である土地(本件土地)について、①請求人に対して、遺留分減殺請求訴訟において、価額弁償の請求をしながら、同時に、②本件土地について請求人の債務に係る譲渡担保権に基づき所有権移転登記を受けていたK社に対して、共有持分移転登記請求訴訟において、現物返還の請求として所有権一部移転登記手続の請求をしており、K社が当該請求を認諾(本件認諾)したという事実関係の下、請求人が本件認諾を事由としてした更正の請求(本件更正の請求)は、相続税法(平成18年法律第10号による改正前のもの)第32条《更正の請求の特則》第3号事由(遺留分減殺請求に基づき返還すべき又は弁済すべき額が確定したこと)に該当しないものである旨主張する。
しかしながら、本件認諾は、K社が、本件土地に設定されていたK社の譲渡担保権に基づく所有権移転登記について、本件遺留分権利者ら各共有持分10分の1の所有権移転登記手続をすることを認めたものであり、また、本件認諾の前に、請求人が本件遺留分権利者らの遺留分割合が各10分の1であると認めていたことからすると、本件遺留分権利者らは、本件認諾により、本件土地の遺留分に係る各共有持分の登記を回復することができたものと認められる。そして、民法第1040条《受贈者が贈与の目的を譲渡した場合等》第1項本文の規定は、遺留分権利者が、遺留分減殺請求によって目的物を取り戻して登記を回復することができた場合に、これに加えて価額弁償の請求も認めるものと解することはできないことからすると、本件遺留分権利者らは、本件認諾の後本件土地に係る価額弁償を請求することはできないから、本件認諾の日に、本件土地について遺留分に相当する共有持分権を取り戻すことが確定し、これにより、請求人が遺留分減殺請求に基づき返還すべき又は弁償すべき額が確定したというべきである。したがって、本件更正の請求は、相続税法第32条第3号に規定する事由に該当するものである。
参照条文等
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