裁決事例 裁決事例集 第23集
要旨
原処分庁は、滞納者への公売の通知を欠いた公売は無効であるとして請求人に対する最高価申込者の決定を取り消したが、公売の通知は滞納者等に事前に権利行使の機会を与えるため法定されたものであるから、公売の通知を欠いたかしは公売手続を当然に無効とする程度のものと解すべきでなく、ある場合にはその効力が取り消されることがある程度のものと解すべきところ、本件においては滞納者への通知は正しいあて先に送られ、公売の日までに返戻を受けていなかったこと及び滞納者は公売公告により公売通知の内容を事前に予知していて、公売通知がなかったことに対して異議申立てをしていないことが認められ、したがって、本件のような公売通知に係る形式的な方法を欠いたにとどまる軽微なかしを理由として善意の第三者たる請求人に対する最高価申込者の決定を取り消した原処分は違法である。
要旨
取引相場のない割賦販売会社の出資の評価に当たっては、割賦販売に係る未実現利益の金額を負債として控除すべきであると請求人は主張するが、[1]割賦販売は、契約と同時にその効力が生じるものであり、原則として、その商品等を引き渡した時に法人税法上収益が実現しているものであること、[2]割賦基準は、法人税の課税上特例として認められているものであり、相続税における出資の評価に係る純資産価額の計算についてまで認められているものではないこと、[3]取引相場のない株式又は出資の時価を純資産価額により評価するに当たっては、相続開始時においてその法人に帰属している経済的価値を純資産として評価すべきものと解され、総資産価額から控除されるのは対外負債のみであること、[4]本件会社の直前期末の貸借対照表の負債の部に計上されている未実現利益引当金は、支払先の確定した対外負債ではないことから、未実現利益の金額を負債として控除することは相当でない。
要旨
国税通則法第65条第3項に規定する「更正があるべきことを予知して」とは、課税庁が当該納税申告書に疑惑を抱き、調査の必要を認めて、現実に納税者に対する質問、帳簿調査等の実地調査又は呼出調査等により当該申告が適正でないことを把握するに至ったことを前提として、納税者が修正申告書を提出する時点で更正のあることを察知していたことを指すものと解すべきであるところ、本件においては、原処分庁の調査担当者が電話で調査日時の取決めをした日後2日を経過して修正申告書の提出があり、更に2日を経過した後に調査があった事実などからみて、請求人は、本件修正申告書を提出する時点で、原処分庁がその調査によって請求人の当初の申告が適正でないことを既に把握していたことを察知していたと認めることはできないから、本件修正申告は、国税通則法第65条第3項に規定する「更正があるべきことを予知して」なされた申告ではない。
要旨
不動産の売買契約に関する約定を当事者双方が履行しなかったことを原因としてなされた裁判上の和解により買主である請求人が支払を受けた和解金は、売買契約の合意解除に伴うものと同視できるから、本件不動産の売戻しがあったとして譲渡所得とすることは相当でなく、また、係争期間中の賃料及び金利相当分の損失を補てんするものであり、その実質は所得を得たのと同一の結果に帰着するから非課税とすることも相当でなく、その所得区分については、本件和解金が予期しない事情の発生により生じた一時的なもので、かつ、労務その他の役務又は資産の譲渡の対価としての性質を有しない臨時的、偶発的なものに当たることからして一時所得に該当する。
要旨
請求人は本件交換により取得した土地は、農地として耕作する目的で取得したものであり、その取得後、公共事業施行者により買収されたことと本件交換とは別個の取引であるから、本件取得土地は交換直前の用途と同一の用途に供したことになると主張するが、本件交換は、本件取得土地が公共事業施行者により買収されることを承知の上で行われたものと認められ、たとえ交換後における現況が田であったとしても、それは公共事業施行者による買収があるまでの間、一時的に田であったにすぎず、交換直前の用途と同一の用途に供したとは認められないから、所得税法第58条第1項に規定する固定資産の交換の特例の適用要件を欠き、同条の適用はないとするのが相当である。
要旨
借地人以外の第三者が貸地の底地を買うことは、貸地の地代収受権を取得することにほかならないものであり、投資利回りの点からも有利でないことから取引事例は極めて少なく、底地の価額は低くなるものであるにもかかわらず、原処分庁がこれを借地人が底地を取得する場合と同様に考えて一般的な借地権割合を基にその底地価額を評価したことは適当でなく、借地人でない第三者に底地を譲渡する場合に通常成立すると認められる底地価額として不動産鑑定士が評価した価額を時価とするのが適当であって、所得税法第59条第1項第2号の規定に該当するものであるとした原処分は相当でない。
要旨
被相続人が、相続人所有の土地の賃借に当たり権利金等の一時金を支払わずに相当の地代を支払っていた場合、借地法等法律上借地権が設定されたことは否定し得ないとしても、経済的にみて当該借地権に財産的価値の存在を認めることは困難であると認められる。すなわち、税務上相当の地代の授受をもって権利金の授受に代えることを認めているのは、土地の収益還元評価の思想が背景にあるもので、更地の時価に比して十分の利回り採算がとれるほどの高い地代のとれる土地は借地権の設定によりその経済的価値が下落しないという考え方によるものと認められ、この考え方によれば、少なくとも相当の地代の授受が維持されている限り、土地所有者においては土地を更地のまま評価し、逆に借地人においては借地権価額が零又は無視してもよい程度に低いものとされるところ、本件借地権については、相当の地代の授受が維持されているのであるから、相続税の課税価格に算入される価額はないとするのが相当である。
要旨
所得税法第64条第2項に規定する「保証債務の履行」とは、その実質において主たる債務及び主たる債務に従属する利息、違約金、損害金等を保証人が肩代わりして弁済することと解すべきであって、保証債務の履行に関連して支出した訴訟費用、弁護士費用及び不動産鑑定料については、民法上求償権の行使ができるとしてもそのことをもって同条項にいう求償権と同一に解されなければならないというものではなく、それらに係る求償権を同条項にいう「その履行に伴う求償権」の額に含めることはできない。
要旨
請求人は、不動産貸付業及び農業の用に供されている本件土地の相続を原因とする所有権移転の登記に係る登録免許税は、課税の対象とされる収益を生ずる業務の用に供する資産に係るものであり、また、事業遂行上の第三者対抗要件を具備するためのものであるから必要経費に算入されるべきであると主張するが、本件土地は、相続により被相続人から承継したもので、本件登録免許税は、相続に伴い付随して生じたものにすぎず、単なる家事上の費用に属するものというべきであるから、所得税法第37条に規定する必要経費には当たらない。
要旨
請求人の代理人が相続を原因とする所有権の移転登記に係る登録免許税を不動産所得の金額の計算上必要経費に算入して申告をしたことについては、当該代理人が他の納税者の代理人として本件と同じく必要経費に算入することを求めた更正の請求に対して、原処分庁がそれを認めた更正をしたこと及び必要経費に算入した申告について是正がなされていないことから、登録免許税を必要経費に算入することが正当なものと信じてなしたことが認められ、このような事情の下にあっては国税通則法第65条第2項に規定する正当な理由があったものというべきである。
要旨
甲土地の借地権の一部と同土地の底地の一部を交換し、また、甲土地と地続きの乙土地を売買契約により取得した場合において、原処分庁は、実質上、これらを一体とする交換契約が締結され、乙土地の売買代金はその交換差金に当たるとみるべきであり、当該交換差金の額が所得税法第58条第2項所定の割合を超えるから、交換の特例は適用されない旨主張するが、両土地はそれぞれの利用方法、地価、地代及び借地権割合等の評価に懸隔があってその経済的効用を異にしており、一体となって一つの効用を有するものとは認められないこと、並びに前記各契約当事者間においても経済的効用を異にする物件として認識され、かつ、単に事務処理の便宜上の理由から両契約がたまたま同日に締結されたにすぎないことなどの事実が認められるから、本件交換契約は実質的にも前記売買契約とは別個に成立しているものであり、同条第1項に規定する固定資産の交換の特例の適用を認めるのが相当である。
要旨
本件自動車は、給与所得である請求人が主として勤務先へ通勤する際に利用していたものであり、それに基づいて通勤手当の支給を受けていたことからすれば、同人にとって生活に通常必要な動産であったと認めるのが相当であり、その譲渡による損失の金額は、所得税法第9条第2項第1号の規定によりないものとみなされ、給与所得の金額から控除することはできない。
要旨
従業員に対する決算賞与の支給に当たり、期末に未払金経理により損金に計上した決算賞与は、[1]期末に従業員ごとの賞与の額が決定されていること、[2]決算期賞与明細書を作成していること、[3]当該明細書に従業員の各人が確認印を押印していること、[4]翌期おいて決定額どおりに支給されていることなどの事実から、当該事業年度終了の日までに債務として確定していたものと認めるのが相当である。
要旨
請求人は、相続開始前3年以内の贈与により取得した財産の価額を相続税の課税価格に加算するのは、当該財産に係る贈与税について国税通則法第70条の規定による除斥期間が経過していないものに限ると主張するが、贈与財産の加算に関して、相続税法第19条には、相続開始前3年以内に被相続人から贈与によって取得した財産を相続財産に加算する旨規定されているのみで、その加算される贈与財産に係る贈与税額それ自体につき更正の期間を徒過したものを除く旨の規定がないのであるから、贈与税額の更正についてその制限期間を徒過したか否かにかかわりなく、贈与財産の全額を加算すべき法意と解するほかなく、したがって請求人の主張には理由がない。
要旨
請求人が当事業年度の取締役会において役員報酬を既往の月分にさかのぼって増額改定することを決議し、これに基づいて当事業年度末に一括支給した本件追加支給額は、役員別の具体的支給額の決定を一任されている役員が報酬の定例支給日までにこれを決定していなかったことなどからあらかじめ定められた支給基準に基づいて支給された給与と認めることができず、たとえ過去における役員報酬の減額部分を補てんする目的で追加支給したとしても、年度末に一括支給した支給形態からみて臨時的な給与であることに変わりなく役員賞与に該当する。
要旨
請求人が支出の目的及び支出先を明らかにしなかったため損金の額に算入することを認められなかった使途不明金については、[1]その支出があらかじめ定められた支払基準に基づくものであること、[2]提供を受ける役務の内容が支払基準において具体的に明らかにされていること、[3]相手先は支払基準の内容について請求人から知らされていたこと及び[4]各支出金額がその提供を受けた役務の内容に照らして相当であることが認められるから、これを販売手数料として損金の額に算入するのが相当である。
要旨
請求人(大学教員)の長男の入学金及び授業料等につき、大学に設けられている学費減免規定に基づき、減額免除されたことによる利益は、使用者である同大学から勤労者の地位にある請求人が受けた経済的利益であるから、当該経済的利益に係る所得は、所得税法第28条第1項にいう給与所得に該当する。
要旨
原処分においては、本件借入金は被相続人と受遺者(被相続人の孫)との連帯債務であるとし、その負担割合は被相続人と受遺者とが等分であって、当該借入金につき相続税の課税価格の計算上債務控除すべき金額は、当該借入金の2分の1相当額であるとしているが、一般に連帯債務者間の負担部分は当該債務者の特約(合意)によって定まるのであり、特約がないときは連帯債務により受けた利益の割合によって定まり、なおこれによっても定まらないときは各自が平等の割合により負担するものと解されるところ、本件の場合は、連帯債務者間において負担部分に関する特約は認められないが、当該借入金の運用状況をみると、すべて被相続人が運用し、その運用で得た財産はほとんどが相続財産として申告されており、また、受遺者が運用した事実は認められず、実際に連帯債務により利益を享受したのは被相続人であると認められるから、当該借入金の全額は、被相続人の債務として債務控除するのが相当である。
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