裁決事例 裁決事例集 第61集
要旨
請求人らは、同人らが所有していた小切手及び現金を、不動産の売買を仲介した者に交付し、これを同人に不法に領得されたことにより生じた損失は、横領による損失であるから、雑損控除の対象となる損失に該当する旨主張する。
しかしながら、当該損失は詐欺による損失であると認められ、また、請求人らが横領行為によって損害を受けたとして賠償を求めた裁判の判決は、被告が口頭弁論期日に出頭せず、答弁書等を提出しないことから、原告である請求人らの請求原因事実を自白したものと擬制したものであって、証拠によって横領の事実を客観的に認定したものではないから、所得税法第72条1項の雑損控除の対象となる損失には該当しない。
本件土地に係る譲渡担保契約が解除されるとともに、土地の譲渡代金の清算が行なわれ所有権移転登記が完了していることから、本件土地は譲渡されたとした事例
裁決事例集 第61集 393頁
要旨
請求人は、本件土地を分譲する際、請求人の名称では分譲しにくいため販売主の名称を換える目的で本件売買契約書を作成したものであり、所有権まで移転させるものではなく、本件土地の譲渡は行っていない旨主張するが、本件売買契約書はそれより以前に締結された譲渡担保契約の解除及び譲渡担保物の清算を目的として作成されたものであり、本件売買契約書作成日に売買代金の清算も了しており、また所有権移転登記も完了していることから、同日に本件土地の引渡があったとするのが相当である。
請求人の譲渡した家屋及びその敷地は、病気の老母の看護のために居住していたとする請求人の主張を排斥して、居住用財産とは認められないから租税特別措置法第35条の特例を適用することはできないとした事例
裁決事例集 第61集 322頁
要旨
請求人は、譲渡した物件(本件家屋及びその敷地)に病気の老母の看護のため居住していたことから、その譲渡については租税特別措置法第35条の特例を適用すべきである旨主張する。
しかしながら、[1]本件家屋及び請求人がS市に有する家屋の電気及びガス等の使用料の状況という客観的数値、[2]双方の家屋の近隣住民の申述内容、[3]請求人の住民登録の状況、[4]請求人の過去の確定申告書の記載内容、[5]老母の居住状況に係る市役所の認定などを併せて判断すると、請求人が主として居住の用に供していたのはS市の家屋であり、本件家屋は仮に使用していたとしても、一時的あるいは臨時的なものであったと判断するのが相当であり、本件譲渡物件は居住用財産とは認められないことから、本件譲渡について本件特例を適用することはできない。
ゴルフ会員権を購入した者からの届出債権が破産債権として債権表に記載されたことは国税通則法第23条第2項第1号に該当するとしてなされた更正の請求につき、当該届出債権は不法行為に基づくものであるから、同号に規定する「課税標準等又は税額等の計算の基礎となった事実に関する訴えについての判決」には該当しないとした事例
裁決事例集 第61集 1頁
要旨
請求人(破産管財人)は、破産前の請求人(ゴルフ会員権販売代行業)を介して会員権を購入した会員がその購入代金相当額を裁判所に届け出、その届出債権が破産債権として確定した旨請求人及びゴルフ場経営会社双方の債権表に記載され、確定判決と同一の効力を有することになったこと(破産法第241条、第242条、第287条)は国税通則法第23条第2項第1号に規定する「課税標準等又は税額等の計算の基礎となった事実に関する訴えについての判決」に該当する旨主張するが、当該届出債権は会員からの不法行為による損害賠償に基づくものであるから、当該届出債権を裁判所に届け出た行為をもって、請求人と当該ゴルフ場経営会社との間で締結された会員募集業務委託契約等、課税標準等又は税額等の計算の基礎となった事実の存否、効力等を直接審判の対象とした訴えがされたと見ることはできないため、そもそも、その事実は国税通則法第23条第2項第1号に規定する「課税標準等又は税額等の計算の基礎となった事実に関する訴えについての判決」に該当せず、請求人の主張には理由がない。
固定資産課税台帳に登録された建物の価格(台帳価格)に基づいて登記を了した者が、その後、その課税標準額は当該建物の売買価額によるべきであるとして行った還付通知すべき請求に対してなされた、還付の通知をすべき理由がない旨の通知処分は適法とした事例
裁決事例集 第61集 693頁
要旨
請求人は、登録免許税の課税標準となる本件建物の価額については、鑑定価額を参考にした公正かつ時価を反映した価額であるその売買価額とすべきである旨、及び台帳価格と売買価額の乖離が明白な場合には、登録免許税法施行令附則第4項にいう「特別の事情」に該当する旨主張する。
しかしながら、請求人は、本件登記申請書に本件建物の台帳価格に基づいて計算した課税標準額と当該課税標準額を基に計算した登録免許税の額を記載しており、その登録免許税の課税標準額及び税額の計算過程に誤りのないことが認められるから、登録免許税法附則第7条の規定に基づき登録免許税を適正に計算、納付していることになるところ、請求人は、鑑定評価額を118百万円も下回った金額で売買しており、また、主張する鑑定評価額については、平成5年の本件建物の大改築(費用約14億円)がどのように反映されたかが明らかでない。
さらに、本件不動産の売買については、売主側の事情による売買という個別的事情が認められ、他方、台帳価格は、いわゆる再建築価額法により評価され、その評価方法は家屋の適正な時価を算出する最も妥当な方法と解されており、そして、平成5年の大規模な改築後、本件登記時迄の間に、増改築、損壊等の事情は認められないから、本件登記時における本件建物の台帳価格を本件建物の時価でないと解するは相当でない。
なお、登録免許税法施行令附則第4項にいう「特別の事情」とは、課税台帳に登録後、当該不動産自体に当該規定が列挙する事由その他これに類する事情により質的又は量的な形状の変化を生じたため、当該不動産の価額が台帳価格により難い程度に変動した場合につき、例外的な取扱を定めたものと解されるが、請求人主張の事情は、本件建物自体の質的又は量的な形状の変化ということはできず、請求人の主張は、いずれも理由がない。
当初申告において補償金が非課税であると誤認して収入にも計上せず修正申告において特別控除を適用してきたが、経理担当者の入院による収入不計上及び収用の特別控除の手続きの不知はやむを得ない事情に当たらず、ゆうじょ規定は適用できないとした事例
裁決事例集 第61集 427頁
要旨
請求人は、租税特別措置法第65条の2(収用換地等の場合の特別控除)第5項のいわゆるゆうじょ規定の適用を修正申告において求めてきたものであるが、同規定における「やむを得ない事情」とは、客観的にみて本人の責めに帰すことのできない事情をいうものと解される。
しかし請求人の主張する、[1]経理担当者が入院したことから本件補償金に係る収入が会計帳簿に計上されなかったこと、[2]市役所から非課税であると聞いたため関与税理士に連絡せず申告もれになったこと及び[3]収用等の特別控除に手続きが必要であることはを知らなかったことは、いずれも請求人の主観的判断、個人的事情に過ぎず、ゆうじょ規定の適用におけるやむを得ない事情があったということはできず、かえって請求人の代表者は請求人の名義で本件補償金に係る契約を締結し、本件補償金が請求人名義の預金口座に振り込まれたことを知っていたのであるから、本件補償金が請求人の収入であることを容易に認識し得たと認められ、これを収入に計上せず、確定申告に収用換地等の場合の特別控除の記載又は明細書の添付をしなかったことは、請求人自身の責めに帰すべき事情により生じたものというべきものである。
また、請求人は、修正申告書において租税特別措置法第65条の2(収用換地等の場合の特別控除)第5項のいわゆるゆうじょ規定の適用を求めたのであるから、当該修正申告書を更正する場合にはゆうじょ規定を適用しない理由を更正理由書に附記すべきである旨主張するが、更正通知書には租税特別措置法第65条の2は確定申告書等において適用されるものであるところ、修正申告書は確定申告書等には該当しないから収用等の特別控除額を損金の額に算入できない旨記載されており、この記載内容は更正の理由附記の趣旨を満たしたものであることが認められる。
請求人から、その主張する本件譲渡土地の取得に係る裏金の支払事実を確認できる資料の提出がないとして、前所有者が有していた同土地に係る請求人との売買契約書及び確定申告額等に基づいて取得費の額を算定した原処分は適法であるとした事例
裁決事例集 第61集 190頁
要旨
請求人は、譲渡した各土地(6筆)の取得に当たって、原処分庁が認めた裏代金以外に多額の裏代金及び造成費の支払があった旨主張し、裏代金の支払いについては、請求人からそれを明らかにする証拠書類の提出があって初めてその事実を確認できるところ、請求人は、本件税務調査に際し、F土地(裏代金の支出を認めたもの)に係る領収証以外の本件土地に係る売買契約書等を提出せず、また、当審判所に対しても、その主張する裏代金及び造成費の内訳を明らかにする証拠書類を提出しないため、請求人の主張は採用できない。
要旨
請求人は、本件土地の寄附に基因してされた譲渡所得の課税は、その後、本件土地の所有権移転登記を抹消すべき旨の確定判決があったから取り消されるべきである旨主張する。
しかしながら、本件判決は、原告と被告が親類関係にあるなどの状況下においてなされ、また、本件登記が無効となるべき事実は認められないから、本件判決があったとしても譲渡所得の課税処分を取り消すべき理由にはならない。
請求人が行った「ゴルフ会員権を会員権業者を介して知人に譲渡した取引」は、請求人が譲渡損失を作り出して所得税の軽減を図ることを目的とした仮装取引であると認められるから、重加算税の賦課決定処分は適法であるとした事例
裁決事例集 第61集 47頁
要旨
請求人は、会員権業者を介在させたゴルフ会員権を請求人の知人へ譲渡した本件取引において、請求人が知人の購入代金を立て替えるとともに担保として会員権を預かっていたとしても、何ら不自然なことはなく通常の取引であるから、仮装取引の認定は誤っている旨主張する。
しかしながら、[1]本件一連の取引後も、本件会員権は、その名義も保管形態もその取引前と変わらず請求人名義のまま同人によって保管され、請求人が本件ゴルフ場でメンバーとしてプレーし、年会費の支払いも請求人が負担していたことから、譲渡の実体を認めることができないこと、[2]取引の相手方である知人は、当該取引を実体のないものと認識していること、[3]請求人が立替金と称して支出した現金は、売却代金として請求人に還流したものであって、本件の一連の取引は経済的合理性に反するものであることから、本件会員権の譲渡に係る一連の行為は、譲渡損失を作り出して所得税の還付を受けるためになされた仮装行為と認めるのが相当である。
要旨
原処分庁は、請求人が生計を別にする父親G(内科医)に支払った給料の額は診療従事の実態等からみて著しく高額であり、Gの診療従事の実態は非常勤医師のそれと同様である旨主張する。
ところで、所得税法第37条第1項に規定する必要経費に該当するためには、業務について生じた費用であること、すなわち、業務との関連性がなければならないとともに、業務の遂行上必要であることを要し、さらに、その必要性の判断においても、単に事業主の主観的判断のみによるのではなく、客観的に必要経費として認識できるものでなければならないと解すべきである。
これを本件についてみると、原処分庁は、客観的に必要経費として認識できる金額を算出するための方法として、非常勤医師の勤務1時間当たりの給料の額の平均を求め、これを基準として認定給料額を算定しているところであるが、Gの診療従事の実態は、原処分庁がGの適正な給与の額を算定するための比準として採用した公立病院等に勤務する非常勤内科医師のそれと類似しておらず、原処分庁の給料の額の算定方法には合理性が認められない。
さらに、当審判所において、請求人と類似する個人医院を調査したところ、請求人の収入金額に対する本件給料の額の割合は、類似する個人医院の収入金額に対する親族の従業員の給料の額の割合と比べて低く、本件給料の額が客観性を欠き不相当に高額とは認められず、また、Gの診療従事の状況に照らしても、本件給料の額が不相当に高額であるとは認められないことから、原処分の全部を取り消すのが相当である。
請求人らから同時にされた各共有地の持分移転登記申請については、その各土地は共同で競落したことに基因しているもので、1筆の共有地からの同一事件に係る分筆登記によって生じたものではないから、租税特別措置法第84条の4第2項の適用はないとした事例
裁決事例集 第61集 721頁
要旨
租税特別措置法第84条の4第2項の特例は、[1]共有物分割による持分移転登記の申請に係る土地全てが、もともと共有の1筆の土地であって、同一の分筆登記によって生じたものであること、[2]共有物分割による持分移転登記が、[1]の分筆で生じた他の土地の共有物分割による持分移転登記と同時に申請されていること、の二つの要件を備えている場合に限って適用されるものであるから、仮に、数筆の土地について共有物分割による持分移転登記が同時に申請された場合であっても、その申請に係る土地が、もともと共有であった1筆の土地から同一事件に係る分筆登記によって生じたものでない場合には適用がないところ、本件申請に係る本件各土地は、請求人らが共同で競落したことに基因して共有することとなったものであって、分筆登記前の土地について共有関係があったものでないから、本件登記申請には本件特例の適用がない。
請求人が、被相続人の財産から親族に支払った金員は、相続開始後に成立した贈与契約に基因するもので、相続開始の際に現に存する確実な債務ではないとした事例
裁決事例集 第61集 560頁
要旨
請求人は、1億円の贈与義務(「本件債務」という。)は相続開始の際に現に存する債務であり、相続税の課税価格の計算上控除すべき金額であると主張する。
しかしながら、贈与債務が、相続税の課税価格の計算上債務として控除するための要件を充たすには、相続開始までにその贈与債務の基礎となる贈与契約が成立しており、かつ、相続開始のときに債務者(贈与者)につきその債務の履行が義務づけられる未履行の贈与債務であることが必要であるところ、本件においては、相続開始の時点においては、被相続人と受贈者の代理人との間で交渉が終了していたとはいえず、相続開始後に取り交わされた基本合意書をもって贈与額が確定し、これにより贈与契約が成立したものと認められることから、本件債務は相続開始の際に現に存する確実な債務には該当しない。
請求人が行った本件ゴルフ会員権の売却及び再取得に関わる一連の行為は、請求人が、所得税の軽減を目的として、虚偽の売却計算書等を作成させ、売買取引の外形を仮装した実態のないものと認められるから、本件譲渡に係る損失の発生及びこれに係る損益通算を認めなかった更正処分並びに重加算税賦課決定処分は適法であるとした事例
裁決事例集 第61集 175頁
要旨
請求人は、本件ゴルフ会員権の相場が購入価額の半額となり、更に下がると考えられたこと等からそれを売却し、その後の事情から同会員権を再取得したものであるから、本件譲渡により譲渡損失が生じている旨主張する。
しかしながら、会員証及びネームプレートの交付がされていないこと、請求人が売却から再取得の間にメンバーとして2回にわたりプレーしていること、年会費の清算がされていないこと等の事実からすると、本件売却及び再取得は、所得税の軽減を目的としてされた、実態のない仮装のものであるから、本件譲渡によって損失が発生したものと認めることはできない。
また、請求人による本件ゴルフ会員権の売却から再取得に至る一連の行為は、所得税の軽減を目的として、本件買取計算書及び本件売却計算書により売買取引の外形を仮装したものであり、そして、請求人は、仮装した本件買取計算書に基づき、本件ゴルフ会員権の譲渡によって損失が生じたとして、他の各種所得の金額と損益通算した確定申告書を提出したものであるから、本件重加算税賦課決定処分は適法である。
要旨
請求人は、ホテルの一室である本件建物を不動産貸付業の用に供するために購入したものであり、生活に通常必要でない資産には該当しないから、賃貸に係る不動産所得の金額の計算上生じた損失の金額については、他の各種所得の金額から控除すべきである旨主張する。
しかしながら、[1]本件建物は、著名なリゾート地に所在し、請求人が別荘等と同様に保養等の用に供し得る性質のものであること、[2]本件分譲案内書によれば、賃貸料収入が得られるほか、ホテルの利用上のメリットや節税対策になることがうたわれていること、[3]請求人は、実質的に一般客に優先して利用することができること及び[4]本件賃貸料の額は、請求人が負担した必要経費の額の2割程度であり、管理費の額にも達しておらず、経済的にみて不合理であること等の事実が認められる。
そうすると、本件建物を賃貸しているのは、単に、本件建物の管理費等の負担を軽減するために過ぎないものであり、また、本件建物の性質及び状況等の諸般の事情を総合的に勘案し、これを客観的にみれば、本件建物は主として保養等の目的で所有していたものと認めるのが相当であり、生活に通常必要でない資産に該当するから、本件損失金額は損益通算が認められない。
請求人が同族グループ法人へ譲渡したとする土地建物等は、引き続き請求人の借入金の担保に供されており、所有権移転の登記もされておらず、請求人名義で他に賃貸されていることから、譲渡はなかったと認定し譲渡損の損金算入を否認した更正処分が適法であるとした事例
裁決事例集 第61集 413頁
要旨
請求人は、自己が所有する土地建物等の同族グループ法人への譲渡により譲渡損を計上したものであって、不動産売買契約は有効に成立しており、その価額も適正で代金決済も行われているので、譲渡損の計上は認められるべきであると主張する。
しかしながら、本件は、[1]不動産売買契約書に記載されている請求人の義務である抵当権の抹消及び所有権の移転登記が履行されていないこと、[2]同契約後においても、引き続き請求人を賃貸人とした賃貸借契約が継続していること、[3]新たな賃借人との賃貸借契約においても請求人が賃貸人となっていること及び[4]請求人が譲渡したとする日の後、原処分庁が請求人の滞納国税の徴収のため本件土地建物等の差押処分を行っているが、本件契約上の譲受人である同族グループ法人から何らの異議が申し立てられていないこと等から、本件土地建物等の譲渡はなかったものといわざるを得ないから、本件土地建物等の譲渡損を損金の額に算入することはできない。
請求人が譲渡したゴルフ会員権の実質は、会員権に内包されているゴルフ場施設の優先利用権が消滅した後の金銭債権である預託金返還請求権と認められ、譲渡所得の基因となる資産には該当しないから、その譲渡による損失の金額は他の所得金額と損益通算することはできないとした事例
裁決事例集 第61集 246頁
要旨
請求人は、預託金会員制のゴルフ会員権である本件会員権に係る当該施設の優先利用権は消滅しておらず、請求人が譲渡した本件会員権はゴルフ会員権であるから、その譲渡による損失の金額は他の所得金額と損益通算を認めるべきである旨主張する。
しかしながら、本件ゴルフ場の敷地及び建物は、競売により第三者の所有となり、かつ、本件ゴルフ場経営会社の本件会員権に係る債権債務が新所有者に引き継がれていないこと等からすると、本件ゴルフ場経営会社が本件ゴルフ場の会員に対して、本件ゴルフ場施設を利用させることができなくなった場合には、当該施設の優先利用権は消滅したものと解される。
そうすると、請求人が譲渡した本件会員権の実質は、本件会員権に内包されている本件ゴルフ場施設の優先利用権が消滅した後の金銭債権である預託金返還請求権と認めるのが相当であり、譲渡所得の基因となる資産には該当しないから、本件損失の金額を他の所得金額と損益通算することはできない。
要旨
請求人は、[1]本件家屋の改修工事費用の全額を実際に負担しているから、請求人の住宅取得等特別控除の対象となる増改築等に要した費用の額は、当該改修工事費用の全額である旨及び[2]当該工事費用の支出があったことにより本件家屋の請求人の持分を変更しているから、登記簿上の持分に基づいて行われた更正処分は事実を誤認している旨主張する。
ところで、本件家屋の改修工事により付加された部分は、本件家屋と一体となっていることから民法第242条により本件家屋に附合したこととなり、その所有権は本件家屋の共有者にそれぞれの持分に応じて帰属することになる。
そうすると、増改築部分についても共有者が各々の持分に応じて所有していると解されるから、請求人の住宅取得等特別控除の対象となる増改築等に要した費用の額は、本件家屋の改修工事に要した費用の額のうち請求人の持分に相当する部分となる。
また、不動産登記はその真正なることを保証するために不動産登記法に規定する厳格な手続きによってなされており、登記には登記簿上表示される法律関係が実体法上も存在するものと推定される効力があり、登記簿上の法律関係が一応真正なものとして取り扱われる。
もとより、反対の証拠によりこの推定を覆すことは可能であるが、請求人は持分変更の登記をしなかった理由を回答するのみで持分が変更されているとする主張を立証するに足りる証拠資料を提出せず、また、当審判所の調査によっても請求人の持分が変更されているとの心証を得ることはできないことから、請求人の本件家屋の持分は登記簿に記載された2分の1であると認めるのが相当である。
したがって、この点に関する請求人の主張は採用することができない。
本件充当処分時において、滞納国税に係る更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分は取り消されておらず、また、本件青色申告承認取消処分及び本件更正処分が無効とは認められないとして、滞納国税に対する還付金の充当処分は適法であるとした事例
裁決事例集 第61集 13頁
要旨
請求人は、本件青色申告承認取消処分及び本件更正処分には重大かつ明白な瑕疵が存在しており無効であるから、本件更正処分等に係る滞納国税に還付金を充当した本件処分は違法である旨主張する。
しかしながら、課税処分と充当処分とは、同一の効果を実現するための一連の手続きを構成するものでなく、それぞれ別個の目的及び効果を有する独立した行政処分であるから、仮に、課税処分が違法であるとしても、それが取り消されるか、又は無効でない限り、充当処分が違法となるものではないところ、本件充当処分時において、本件更正処分は取り消されておらず、また、本件青色申告承認取消処分及び本件更正処分は、いずれも無効な処分と認められないため、本件充当処分は適法である。
請求人の代表者が車両販売業者から新築祝金として受領した金員は、請求人の収益に計上すべきものではなく車両の購入価額を水増してディーラーに支払った上受領したものであるとした事例
裁決事例集 第61集 379頁
要旨
原処分庁は、請求人の代表者が車両の販売業者から受領した金員は、代表者個人に対する新築祝金ではなく、同社が請求人との今後の継続的取引を期待して支払った謝礼的性格を有するいわゆるリベートであり、請求人の雑収入として収益に計上すべきである旨及び当該金員は代表者が自宅新築資金として費消していることから代表者への役員賞与である旨主張する。
しかしながら、当該金員は請求人が車両販売会社から車両を購入する際に車両価格に上乗せして一旦車両販売会社へ預け、同社を通じ新築祝金に仮装して代表者へ支払ったものであるから請求人の収益ではなく、購入した車両の取得価額を過大に計上していたものであると認められる。
よって、当該金員を益金に算入した原処分は取り消されるべきであり、他方、車両の取得価額の過大な部分は減額すべきであるので減価償却超過額相当額を損金の額から減算するのが相当である。
土地の時効取得に係る一時所得の収入金額の発生時期について時効を援用した平成9年分としたことは、課税要件明確主義及び合法性の原則から逸脱したものとはいえないし、税法の不知、誤解等は、国税通則法第65条第4項に規定する「正当な理由」に当たらないとした事例
裁決事例集 第61集 30頁
要旨
請求人は、修正申告の基因となった土地の真実の所有者は現在訴訟中で不確定であるから、当該土地の時効取得に係る一時所得は、租税法律主義からいえば課税要件明確主義及び合法性の原則から逸脱しているし、時効を援用した時が一時所得の収入金額の発生の時であるとの判断は税理士や弁護士等の法律の専門家でも知らないのであるから、一般市民には対処のしようもなく、このような場合にまで過少申告加算税を賦課することは不当若しくは酷であると主張する。
しかしながら、時効による権利の得喪の効果は時効を援用した時に確定的に生ずると解されており、請求人は本件土地に係る調停申立書において、時効取得を原因とする所有権移転登記を求める旨の主張をしているのであるから、本件土地の時効取得に係る一時所得の収入金額の発生時期を時効を援用した本件年分としたことは、課税要件明確主義及び合法性の原則から逸脱したものとはいえないし、税法の不知、誤解等は、国税通則法第65条第4項に規定する「正当な理由」には該当しないことから、請求人の主張には理由がない。
要旨
請求人は、簡易課税制度適用課税期間に取得した建物を、本則課税適用課税期間に売却したため、本件更正処分は、結果的に仕入税額が控除されていない不当な課税であると主張するが、請求人の場合、本件課税期間に係る基準期間の課税売上高が2億円を超えていることから、消費税法第37条第1項かっこ書の規定により簡易課税による仕入税額控除の計算を行うことはできず、同法第30条に定める本則課税の方法によらざるを得ないこととなる。
そうすると、仕入税額控除の額の計算の基礎とすべきと主張する本件建物は、本件課税期間前に仕入れられたものであるから、本件課税期間において仕入税額控除の対象とすることはできないことは明らかであり、また、簡易課税によった場合に比べて税負担が大きくなることをもって本件更正処分が不当な課税であるということもできない。
請求人が父から売買契約により譲り受けた土地の対価は、当該土地の時価に比して著しく低い価額であると認められ、相続税法第7条の規定により贈与があったものとした事例
裁決事例集 第61集 533頁
要旨
相続税法第7条は、著しく低い価額で財産の譲渡を受けた場合においては、法律的には贈与といえないとしても、経済的には対価と時価との差額について実質的に贈与があったと同視することができるため、この経済的実質に着目して、課税負担の公平の見地からその差額について贈与があったものとみなして贈与税を課税する趣旨のものと解されるところ、請求人及び原処分庁の主張する時価額はいずれも採用できない。
そこで、当審判所において、公示価格を基に土地価格比準表に準じて地域要因及び個別的要因等の格差補正をして本件土地の時価額を算定したところ、その価額は45,661,363円と算定された。
そうすると、本件土地の時価と売買価額との差額は18,501,363円に達するものであることから、本件土地の売買価額は、相続税法第7条に規定する著しく低い価額の対価であると認めるのが相当である。
不動産所得の基因となる資産の取壊しにより生じた損失の金額が、所得税法第51条第4項に該当し、本件損失を不動産所得の必要経費に算入しないで計算したところの不動産所得の金額を限度として必要経費に算入されるとした事例
裁決事例集 第61集 118頁
要旨
不動産の貸付けが不動産所得を生ずべき事業といえるか否かは、社会通念上、事業と言い得るか否かによって判断するのが相当と解されているところ、請求人の不動産貸付けは、[1]貸付物件は本件不動産のみで、その貸付先は請求人が主宰するK社のみであること、[2]本件不動産の賃貸料は請求人の預金口座に振込入金されており、賃貸料収入の受領等に係る役務の提供は極めてきん少であること、[3]本件建物の日常の清掃は、K社の従業員が行っていること、また、本件不動産に係る必要経費についても、本件建物の減価償却費以外には固定資産税があるのみで、その支払については、請求人の預金口座からの自動引き落としになっていることから、本件不動産に係る維持管理の程度は極めて低いと認められること、[4]本件建物の取壊しは、K社の営業方針に基づくものであると認められること、[5]請求人は生活の資金の大部分をK社の給与から得ていることなどを総合して判断すると、社会通念上、事業と称するに至る程度のものとは認められない。
したがって、その業務の用に供されていた本件建物の取壊しによる資産の損失の金額は、所得税法第51条第4項の規定が適用され、本件損失を不動産所得の必要経費に算入しないで計算したところの不動産所得の金額を限度として必要経費に算入される。
原処分庁の調査担当職員が請求人の消費税に係る経理処理を是正しなかったとしても、国税通則法第65条第4項及び第66条第1項ただし書に規定する「正当な理由」に当たらないとした事例
裁決事例集 第61集 20頁
要旨
請求人は、税務調査において、調査担当職員から、外航航路に就航している航空機(以下、「外航機」という。)のハンドリング業務について消費税の免税に該当する旨回答を受けたと主張する。
この点について、本件調査担当職員は、当審判所に対し、税務調査の際に、請求人から外航機のハンドリング業務に係る消費税について、元請先の航空会社の指導に基づき免税の経理処理をしているとの説明を受け、それ以上の確認を行わないまま、調査を終了した旨答述している。
ところで、税務官庁が、税務調査において、納税者の経理処理について、特に指摘をしなかったからといって、当該経理処理を公的あるいは確定的に是認したものでないことは明らかであり、その後の税務調査において、当該経理処理の誤りが判明した場合に、その是正を求めることはむしろ当然である。
そうすると、本件調査担当職員が請求人の消費税に係る経理処理を是正しなかった事実のみを持って、請求人に対して誤った指導を行ったというのは相当でない。
要旨
請求人は、本件講習会は本件予備校が設置する課程として行っている授業の一環であり、専ら本校生徒を対象に行っているので、本校生徒から徴収する本件講習料は消費税法に規定する非課税取引に係る対価であると主張する。
しかしながら、本件予備校の学則では教養一般課程に設置された各学科の教科、科目及び授業時間の定めの中に本件講習会の授業時数が含まれておらず、また、休業日の定めの中で教育上必要がありやむを得ない事情があった場合以外は授業を行わないとし、夏期休業及び冬期休業の期間を具体的に規定しているにもかかわらず、本件講習会は本件予備校が授業を行わない休業期間中に開催していること及び受講者を本校生徒に限らず大学入学試験を受験する者を対象に広く一般に募集していることからして、本件予備校の課程とは別枠に設置された独立した授業、講習と認められ、消費税法の非課税規定にある課程における教育としての役務の提供に該当しないから請求人の主張には理由がない。
衣料品の輸入販売業を営む請求人が海外の取引先に支払った金員は、所得税法第161条第7号イに規定する工業所有権等の使用料に該当し、源泉徴収に係る所得税の納税告知処分は適法であるとした事例
裁決事例集 第61集 293頁
要旨
請求人は、海外の取引先から提供を受けるデザイン画等の対価として契約に基づき支払った金員について、[1]当該デザイン画等は鑑定、調査の結果が図面化されたものにすぎず、[2]取引先のデザイン画等の作成の実費相当額を支払ったものであり、また、[3]当該デザイン画等を基に製作される衣料品はイタリアで製造され、請求人の日本国内業務に該当しないから、所得税法第161条第7号イに規定する使用料に該当しないと主張する。
しかしながら、当該金員は、[1]デザイナーの創作によるデザイン画等の対価であり、[2]契約書等から実費相当額とは認められず、[3]請求人が日本国内で販売するための衣料品製作に係るデザイン画等の提供の対価であると認められる。
したがって、当該金員は同号イに規定する使用料と認められるから、原処分庁が行った源泉徴収に係る所得税の告知処分は適法である。
請求人が支出した諸会費等が家事関連費に該当するとしても、業務の遂行上直接必要な部分を明らかにすることができないから、必要経費の額に算入することはできないとした事例
裁決事例集 第61集 129頁
要旨
請求人は、同人が支出した諸会費等(同窓会費、共済負担金、英会話研修費、旅費交通費、同窓会主催旅行の参加費用等)は、請求人の業務の遂行上必要な経費であるから、必要経費の額に算入すべきである旨主張する。
しかしながら、支出した経費が、業務の遂行上直接必要である場合はもちろんのこと、それが家事関連費であっても、[1]その主たる部分が業務の遂行上必要であり、かつ、その必要である部分を明らかに区分できる場合、及び[2]青色申告であれば取引の記録等に基づき業務の遂行上直接必要な部分を明らかにすることができる場合に、それぞれその明らかな部分を必要経費に算入することができることとされているところ、請求人の主張する諸会費等はいずれも家事費又は家事関連費と認められ、家事関連費に該当するとしても、業務の遂行上直接必要な部分を明らかにすることはできないから、これを必要経費の額に算入することはできない。
要旨
請求人は、本件給料については、外注工賃に科目を変えていたため、経理担当者が単純に誤って源泉徴収を行わず、消費税及び地方消費税の申告の際にも、本件給料を課税仕入れとしていたものである旨主張する。
しかしながら、本件給料の経理に当たり、意図的に科目を偽り、外注工賃として継続的に処理することが企図されているのであるから、むしろ、本件給料について所得税の源泉徴収が行われず、あるいは課税仕入れとして税額控除の処理がなされることは、請求人において当然に予定されていたものとみるのが自然であって、当審判所の調査によっても、代表者が経理担当者に対して、税務上は本件給料を外注工賃勘定から給料手当勘定に訂正計上し、真実の給料支給の額に見合った源泉所得税を納付するなど、適法に処理するよう特段の指示をしたというような形跡もうかがわれない。
そうすると、経理担当者の単純な誤りによって、法定納期限までに源泉所得税が納付されず、また、消費税及び地方消費税の申告が過少申告となっていたとする請求人の当該主張は、採用することができない。
離婚成立前に登記原因を贈与とする所有権移転登記をした上で行った贈与税の申告について、その後裁判上の離婚をしたことを理由とする国税通則法第23条第2項による更正の請求を認めなかった事例
裁決事例集 第61集 550頁
要旨
請求人は、離婚を条件として前夫から取得することとなっていた土地について、離婚前に登記原因を贈与とする贈与税の申告をしたが、その後の裁判により離婚が確定したことをもって、当該土地は財産分与であるとして、国税通則法第23条第2項を適用して、更正の請求が認められる旨主張する。
しかしながら、請求人が当該土地の所有権移転登記をしたのは、裁判離婚を提訴する前で、婚姻状態が継続していたこと、また、提訴の内容は離婚を求めるものであり、財産分与の額を決定したものではないことから、当該土地の取扱いは、財産分与とは認められず、相続税法第9条の規定により、贈与として取り扱うのが相当であるから、更正の請求は認められない。
要旨
原処分庁は、[1]被相続人とその妻には退職までほぼ同等の収入があったこと、[2]請求人等が金融機関に提出した相続関係届出書に使用した印鑑と預金証書の印鑑が異なること、[3]本件全定期預金の満期日が同一日であること、[4]金融機関職員の申述によると、被相続人の妻が本件全定期預金の印鑑を所有しており、この妻のみに会って、その指示の下で取引をしていたこと、[5]本件全定期預金は、出金されることはほとんどなく、請求人らがその資金を提供したり、あるいはその一部を費消したことを裏付ける事実はないこと、[6]相続人の申述によると、被相続人の妻が請求人らの名義を自由に使用し、本件定期預金をすべて一体のものとして管理していたことなどから、本件全定期預金は贈与前にすべて被相続人及びその妻に帰属していた旨主張する。
しかしながら、[4]及び[5]の事実は、本件全定期預金がすべて被相続人の妻に帰属することの根拠にはなり得ても、被相続人に帰属することの根拠とはならないし、[5]の事実は、本件全定期預金が請求人らに帰属するものではないことを推測させる一事情にすぎず、被相続人に帰属することを推測させる理由とはならない。
また、被相続人とその妻には退職までほぼ同等の収入があったことは、両者にそれぞれ固有の財産形成があったことを推測させる事実ではあるが、そのことのみをもって、本件全定期預金の具体的な帰属を推測することはできない。
賃貸料として6か月分相当額を一括計上しているが、賃貸は一時的なものにすぎず、相当の対価を得て継続的に行う事業に準ずるものに該当しないとして、租税特別措置法第37条第1項の適用を認めなかった事例
裁決事例集 第61集 337頁
要旨
請求人が、事業用資産と主張する本件土地は、Q社との賃貸借契約日からわずか3週間足らずでK社に譲渡の意思表示をしている事実、さらには賃貸借期間を1年としたことについて、賃貸条件を1年ごとに更新するためのものである旨の請求人の主張を裏付けるに足りる証拠も認められないことを総合勘案すると、当該土地の賃貸は一時的なものにすぎず、相当の対価を得て継続的に行う事業に準ずるものに該当するとはいえないから、本件土地の譲渡所得の金額の計算において、租税特別措置法第37条第1項の適用は認められない。
物納申請土地は、無道路地であったり、市道に接してはいるがのり地やがけ地であったり、あるいは、物件の所在も特定できないものであり「管理又は処分をするのに不適当」な財産に当たると判断した事例
裁決事例集 第61集 614頁
要旨
請求人は、相続税を金銭で納付する資力がないからこそ物納申請したのであり、本件物納申請土地以外に物納できる財産がないにもかかわらず、却下処分をしたことは不合理である旨主張するが、物納制度は、物納申請財産を国に帰属させるのが目的ではなく、相続税の納付の単なる手段であり、国がこれを換価し、その代金をもって財政収入に充てることを目的としているものと解されるから、物納財産は、管理又は処分を通じて金銭納付があったと同等の経済的利益を確保し得るものでなければならないから、たとえそのような事情があったとしても、右の目的を達成できない財産である以上、却下はやむを得ないというべきである。
また、請求人は、本件物納申請土地について、一方で相続税の規定に基づき課税を行い、もう一方で物納を認めないとするのは不合理である旨主張するが、相続税の課税は、相続による財産の取得というその財産的価値に担税力を認めて行われるものであり、一方、物納財産の管理又は処分の適否は、これらを通じて、金銭による納付があった場合と同等の経済的利益を将来現実に確保できるかという観点から判断されるのであって、ある相続財産について、それが課税計算の基礎となった財産であっても、そのことから直ちに物納財産として管理又は処分に適するということを意味するものではなく、管理又は処分をするのに不適当であるとされることもあり得るというべきである。
本件物納申請土地は、無道路地であったり、市道に接してはいるがのり地やがけ地であったり、あるいは、物件の所在も特定できないものであることから、原処分庁が管理又は処分をするのに不適当な財産であると認定したことは相当であると認められる。
要旨
公図は一般に土地の面積、形状を必ずしも正確に表現しているとはいえないが、公図上の本件土地と、現実に存在する「A土地」との位置関係を道路との関係において比較すると、明らかに一致しておらず、かつ、その不一致は無視できないほど顕著であるといわざるを得ない。
さらに、被相続人作成の遺言公正証書等の記載から、被相続人らは、「A土地」が地番「727番1」の土地の一部であり、本件土地は所在不明である旨の認識を有していたことがうかがわれ、そうした認識は、P市が本件土地の評価を留保していること等に照らすと、客観的な根拠のないものと断じることはできない。
また、直ちに「A土地」が、地番「727番1」の土地の一部でないと断ずることもできない。
以上のことから、「A土地」が本件土地であるとする事実を認めることはできず、むしろ「A土地」は地番「727番1」の土地の一部と認めるのが相当であり、本件土地は、現時点においてその存在を確定できないから、相続財産には含まれないと解するのが相当である。
第一種市街地再開発事業に係る権利変換により取得した施設建築物及び施設建築敷地に関する権利を譲渡した場合に、優良住宅地の造成等のために土地等を譲渡した場合の課税の特例を認めなかった事例
裁決事例集 第61集 304頁
要旨
第一種市街地再開発事業は権利変換方式により行われるため、同事業施行地内の土地等は、権利変換期日において施設建築物の権利床及び保留床並びに施設建築敷地に変換され、従前の権利関係は消滅するから、事業施行者にとって事業の用に供すべき土地等は、権利変換期日に確保されたこととなる。
そうすると、租税特別措置法第31条の2第1項の規定(本件特例)及び同条第2項第4号が制定された目的及び経緯並びに第一種市街地再開発事業の目的とを踏まえると、本件特例の適用対象となる租税特別措置法第31条の2第2項第4号に規定する「第一種市街地再開発事業の用に供される土地等の譲渡」とは、第一種市街地再開発事業の施行の前段階である事業用地の確保に資する譲渡、すなわち、権利変換期日以前の譲渡に限られるものと解される。
これを本件についてみると、本件権利の譲渡は、本件権利変換期日後の譲渡であるから、本件権利の譲渡に係る所得税額の計算上、本件特例の適用は認められない。
消費税法第9条第1項の規定の適用により免税事業者となる者については、納税義務が発生しないことから、基準期間における課税売上高の計算上課されるべき消費税額等に相当する額は存在しないとした事例
裁決事例集 第61集 623頁
要旨
請求人は、免税事業者の行う取引であっても、非課税取引以外は全て課税の対象であるから、課税資産の譲渡等の対価の額には、課されるべき消費税額等に相当する額が含まれており基準期間の課税売上高は3,000万円以下となることから、本件課税期間は免税事業者である旨主張する。
しかしながら、消費税法第9条第1項は同法第5条第1項に規定された課税要件としての納税者の範囲を限定するものであり、発生した消費税の納税義務を免除することを規定したものではないから、同法第9条第1項の規定の適用により免税事業者となる者については、たとえ課税資産の譲渡等を行ったとしても納税義務が成立せず課されるべき消費税額等に相当する額は存在しないから、本件課税期間は免税事業者とはならない。
所得税法第62条第2項の規定(保証債務)の適用に当たっては、確定申告書等にその適用を受ける旨の記載が必要とされているところ、その記載がないことを理由に棄却した事例
裁決事例集 第61集 235頁
要旨
請求人は、本件譲渡に係る譲渡所得の金額の計算上、所得税法第64条第2項の課税の特例を適用すべき旨主張するが、本件特例は、保証債務を履行するために資産を譲渡し、その履行に伴う求償権の全部又は一部を行使することができなくなった場合において、[1]求償権を行使することができなくなった事実が確定申告前に生じているときには、確定申告書に本件特例の適用を受ける旨の記載がある場合、又は、[2]その事実が確定申告後に生じた場合には、当該事実が生じた日から2月以内に、当該事実が生じた日を記載した更正の請求書により更正の請求をする場合に適用を受けることができるものと解される。
これを本件についてみると、求償権の行使が不能か否か明らかでないところ、請求人は、上記[1]及び[2]のいずれの手続もしていないから、本件譲渡に係る譲渡所得の金額の計算上、本件特例を適用することはできない。
いわゆる台帳価格のない建物の価額について、原処分庁がA法務局の部長通達による認定基準に基づき認定したのに対し、同認定基準は一般的な建物に適用されるものであるから、本件建物のような特殊な建物に適用すべきではないとして、本件建物と類似する建物の台帳価格によるべきであるとした事例
裁決事例集 第61集 705頁
要旨
原処分庁は、本件建物は本件登記の申請日において台帳価格のない不動産であるから、昭和60年2月28日付1不登4第151号A法務局民事行政部長依命通達「不動産登記法の登録免許税課税標準価格の認定基準」に基づいて認定した価額が本件建物の価額となる旨主張する。
しかしながら、本件認定基準は、一般的な建物について適用されることを前提に、建物の構造、種類の区分ごとに、画一的にその基準となる単価を定めているものにすぎないのであって、本件のように、特殊な建物についてなされた本件認定基準に基づく認定を、本件建物と類似する建物の台帳価格を基礎として登記機関が認定した価額ということはできない。
共同抵当権の設定登記をして納付した登録免許税については、その後、抵当権の追加担保の設定登記をすべきであったとして、錯誤を登記原因として更正登記がなされても、登録免許税の過誤納には当たらないとした事例
裁決事例集 第61集 713頁
要旨
請求人は、当初、共同抵当権の設定登記をした後、抵当権の追加担保の設定登記をすべきであったとして更正登記申請をしたのに対し、登記官が登記原因を錯誤として当該更正登記を認めたのであるから、当初の共同抵当権の設定登記に係る登録免許税については、登録免許税法第31条第2項に規定する過誤納に当たると主張するが、登記官においては、形式的審査権による審査の結果に基づき、当該更正登記申請に形式的な無効原因がないため、申請書記載の登記原因をそのまま認容したにすぎないと認められるから、更正登記申請が受理されたことをもって、当初の登記時に遡及して、登記申請行為及び登記を受けたこと自体が変更され、登録免許税の額が減額変更されるものではないので、請求人の主張には理由がない。
商品先物取引による所得は請求人に帰属すると認められ、また、年末における建玉に係る値洗い損の額は単なる計算上の金額に過ぎず、これを必要経費に算入することはできないとした事例
裁決事例集 第61集 83頁
要旨
請求人は、本件商品先物取引の委任契約は請求人の手仕舞いの依頼により終了したというべきであるから、当該取引に係る所得は請求人に帰属しない旨主張するが、本件委任契約は、当該取引に係るすべての決済が終了した日まで継続しており、それまでの間の当該取引が一任売買であるということもできず、仮に一任売買であったとしても、請求人が当該取引から生じた利益を現実に享受している以上、当該取引に係る所得は、請求人に帰属すると認めるのが相当である。
また、請求人は、仮に、本件商品先物取引に係る所得が請求人に帰属するとしても、年末における建玉に係る値洗い損の額は、雑所得の金額の計算上必要経費に算入すべきである旨主張するが、値洗い損の額は単なる計算上の金額にすぎず、その年において債務が確定したということはできないから、雑所得の金額の計算上必要経費に算入することはできない。
請求人及び原処分庁の行った両鑑定額とも採用できないとして、審判所において取引事例比較法による比準価格及び公示価格を規準とした価格により本件土地の価額を算定した事例
裁決事例集 第61集 579頁
要旨
請求人及び原処分庁とも、路線価が時価を上回るとして、これを採用しないことには争いがないが、本件土地の価額につき、請求人と原処分庁のそれぞれが鑑定評価額をもって本件土地の価額であると主張する。
しかしながら、審判所の調査によると、請求人と原処分庁のそれぞれが主張する鑑定額はいずれも採用できないから、当審判所において本件土地の価額を算定することとするが、開発法による価格は、その計算過程に想定部分も多く、合理性を欠くことも否定できないので、取引事例比較法による比準価格及び公示価格を規準とした価格により、本件土地の価額を算定するのが相当と認められる。
そこで、当審判所において採用した取引事例及び公示価格をもとに、当審判所においても相当と認める規準の一つである土地価格比準表に準じ、地域要因及び個別要因等の格差補正を行って本件土地の価額を算定したところ、請求人申告額を下回るので、本件更正処分はその全部を取り消すのが相当である。
相続人以外の者が市街化調整区域内の農地の特定遺贈を受けた場合において、受遺者の責めに帰さない事情により当該農地が非農地化されたときには、農地法上の許可を受けていなくても、非農地となった時点において所有権移転の効力が生ずるというべきであるから、受遺者については、その非農地化の事実を知った日をもって相続税法第27条第1項に規定する「相続開始があったことを知った日」と解すべきであるとした事例
裁決事例集 第61集 604頁
要旨
農地法上の許可等は法定条件であるとはいえ、農地の場合、農地法上の許可等のない限り、所有権移転の効力は生じないのであるから、この意味においては、停止条件付遺贈と同様に考えることができるのであって、本件遺贈は、当該条件が成就したときからその効力が生じるというべきである。
遺贈の目的である土地が農地であるか否かは、現況により判断すべきであることからすれば、少なくとも受遺者の責めに帰さない事情により非農地となった以上、農地法上の許可等を受けていなくても、非農地となった時に所有権移転の効力が生ずるというべきであり、同法に、違反転用に対する処分が規定されているからといって、所有権移転の効力が否定されるものではない。
本件の場合、客観的な使用状況に照らすと、遅くとも平成3年2月15日までには非農地になっていたと考えられ、その経緯からすると、同日に所有権移転の効力が生じたというべきである。
そして、請求人は、平成3年10月には非農地化した事実を知ったのであるから、請求人について相続税法第27条第1項に規定する「相続開始があったことを知った日」は、平成3年10月となる。
そうすると、本件決定処分は、国税通則法第70条第3項に違反し、違法である。
預託金制ゴルフクラブの会員権につき、預託金の据置期間直前に、ゴルフクラブ経営会社との合意に基づいて、会員権が2口に分割され、預託金の一部が返還されたとしても退会したとみることができない以上、資産に計上している入会登録料を損金の額に算入することは認められないとした事例
裁決事例集 第61集 403頁
要旨
請求人は、保有する預託金制ゴルフクラブの会員権につき、預託金の据置期間(10年間)経過直前において、当該経営会社から[1]預託金の一部は返還する旨、[2]2口の会員権に分割する旨、[3]残余の預託金はさらに10年間据え置く旨の申出を受け、その申出に合意したのであるが、請求人は、資産計上している返還されない入会登録料について、当該合意により当該ゴルフクラブを退会し、新たに入会契約を締結して2口の会員権を取得したのであるから、当該事業年度において入会登録料の損金算入を認めるべきである旨主張する。
しかし、請求人は、会員(法人正会員)としての地位を有したまま経営会社の申出に応じ、その結果、預託金の一部の返還を受けるとともに、会員としてプレーできるものが1名増加したというのが実態であって、既存の会員権の権利関係が変更されたにすぎず、退会を理由として本件入会契約が解除されたとみるのは相当ではなく、本件変更合意後においても依然として効力を有しているものと認めるのが相当であるから、入会登録料を本件事業年度の所得の金額の計算上、損金の額に算入することは認められないとした本件更正処分は適法である。
要旨
請求人は、租税特別措置法第37条第3項に規定する届出(以下「本件届出」という。)をその提出期限までにしなかったことについては、やむを得ない事情があるとして、租税特別措置法第38条第8項の規定(以下「本件ゆうじょ規定」という。)により、譲渡所得の金額の計算について租税特別措置法第37条第3項の規定を適用すべきである旨主張する。
しかしながら、本件ゆうじょ規定は、確定申告書に租税特別措置法第37条第1項の規定を受ける旨の記載がなかった場合等においてやむを得ない事情があるときに、同項の規定の適用を認めることができる旨を定めたものであり、本件届出を提出期限までにしなかった場合のゆうじょ規定ではないから、たとえ、実質的には本件特例の適用要件を満たしているとしても、本件届出を期限までに行わなかった以上、本件特例の適用を受けることはできない。
米国で出資・設立したリミテッド・ライアビリティ・カンパニー(LLC)の事業につき生じた損失は、当該LLCの構成員である請求人に帰属するのではなく、外国法人たる当該LLC自体に帰属するとした事例
裁決事例集 第61集 102頁
要旨
請求人は、米国の事業体であるリミテッド・ライアビリティ・カンパニー(LLC)は、法人格を有しないことは米国の解説マニュアルからも明らかであることなどから、本件LLCにつき生じた損失は、民法上の組合又は匿名組合に準じて構成員らに直接帰属する旨主張する。
しかしながら、本件LLCは、[1]商行為をなすを業とする目的でニューヨーク州LLC法に従った設立手続を経て設立されていること、[2]契約、財産の所有、裁判、登記等の当事者となる資格が与えられていること、[3]ニューヨーク州LLC法で「LLCは(構成員とは別個の)独立した法的主体である」と規定されていること、また、[4]本件LLCの事業活動の実態面でも本件LLCは構成員とは異なる権利義務の主体として活動していることなどからして、本件LLCは設立準拠法であるニューヨーク州LLC法の下で法人格を付与された事業体であり、係る法律上の資格と実態を有する本件LLCは我が国の租税法上の外国法人に該当し、本件LLCが行う事業から生じる損益は、本件LLCに帰属すると認めるのが相当である。
最低資本金を満たすために行った利益等の資本組入れに係る受取配当金について、確定申告書に益金不算入額及びその計算明細の記載がないこは「やむを得ない事情」には該当しないとした事例
裁決事例集 第61集 464頁
要旨
請求人は、本件受取配当金の益金不算入の申告ができなかった原因は、本件増資法人が支払通知をしなかったことにあり、このことは法人税法第23条第6項に規定する「やむを得ない事情」に該当する旨主張する。
しかし、この場合の「やむを得ない事情」とは、たとえば、風水害、地震、火災、法令違反の嫌疑等による帳簿書類の押収及びこれらに準ずるもの、即ち、外的要因によって、自己の力だけでは到底申告書の記載ができないような場合であって、自己の責めに帰すべき事情はこれに該当しないと解されるところ、請求人は、[1]本件増資会社の筆頭株主であり、かつ、請求人の代表者は本件増資法人の取締役であること、[2]本件増資に係る定時株主総会議事録には、請求人代表者の記名、押印があることから、確定申告書に益金不算入額及びその計算明細の記載がないことは「やむを得ない事情」には該当しないとした更正処分は適法である。
販売代理店契約の解除に伴う在庫品の返品に係る消費税額を、課税仕入れ等の消費税額から控除すべき時期は、代理店契約の末日を含む課税期間であるとした事例
裁決事例集 第61集 682頁
要旨
請求人は、本件課税期間末日に終了した代理店契約に係る期末在庫品を仕入先へ引き渡したのは翌課税期間であるから、消費税等の計算に当たり、本件在庫品の課税仕入れに係る消費税額を翌課税期間の課税仕入れ等に係る消費税額から控除すべきである旨主張する。
しかしながら、本件在庫品の引き渡し時期を請求人と仕入先とで定めた規定はないことから、本件代理店契約に基づく仕入れ取引の内容、請求人の経理処理、倉庫会社に対する荷渡指図書等関係資料、関係者の認識等を総合的に審理した結果、本件課税期間末日の午後12時の時点において本件代理店契約、保険契約等が終了し、同時に本件在庫品の所有権も相手方に移転したと解するのが相当であり、本件課税期間において本件在庫品に係る消費税額を課税仕入れ等に係る消費税額から控除すべきである。
要旨
請求人は、在日米軍基地内にある取引先との取引が、日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第6条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定の実施に伴う所得税法等の臨時特例に関する法律第7条に規定する免税取引に該当する旨主張する。
しかしながら、本件取引先の法的地位は合衆国政府の歳出外資金による機関であり、本件取引先との取引による請求人の課税資産の譲渡等は、上記に規定する合衆国軍隊又は合衆国軍隊の公認調達機関が合衆国軍隊の用に供するために購入するものには該当しないから、同条に規定する消費税の特例は適用できない。
要旨
請求人は、請求人の営む歯科技工所は、社会通念上、製造業というべきである旨主張する。
しかしながら、歯科技工は、免許を受けた歯科技工士でなければ業として行うことができないとされ、また、設計、作成の方法、使用材料等が記載された指示書によらなければならないとされるのは、これを行うには相当高度な専門知識、技能・技術が必要とされるためだけでなく、歯科技工士は歯科医師の補助者として歯科医療行為の一環としてこれを行うものであるから、たとえ請求人において材料を購入し、その技術を駆使して義歯を作成しているとしても、本件事業の本質は、歯科医師が患者に対してする医療行為と同様、専門的な知識、技能等を提供することにあるということができ、以上からすると、本件事業は、社会通念上もサービス業に該当すると解するのが相当である。
貸金庫内に保管されていた株券は、貸金庫の開閉状況、株券の管理・処分の決定方法等の状況からみて、本件被相続人名義分も含めて、その全部が、本件被相続人の被相続人である父親の未分割遺産であるから、そのうち本件被相続人の法定相続分相当のみが本件被相続人の相続財産であると認定した事例
裁決事例集 第61集 496頁
要旨
原処分庁は、貸金庫内に保管されていた甲社株券のうち、本件被相続人の父母名義分に係る本件被相続人の法定相続分相当及び本件被相続人名義の全部は、本件被相続人の相続財産であるから、請求人が本件被相続人から遺贈により取得した財産である旨主張する。
しかしながら、貸金庫内に保管されていた甲社株券は、貸金庫の開閉状況、貸金庫内に甲社株券とともに保管されていた甲社株券以外の株式の売却譲渡及びその代金の帰属先の決定が、相続人の協議により行われており、当該株式名義人単独では行われていないこと、本件被相続人が貸金庫保管の株券については自由に出し入れを行えなかったこと等を総合すると、本件被相続人名義分も含めて、その全部が本件被相続人の被相続人である父親に係る未分割遺産と認めるのが相当である。
そうすると、請求人は、名義いかんを問わず、貸金庫内に保管されていた甲社株券のうち、本件被相続人の父親の相続に係る本件被相続人の法定相続分相当のみを本件被相続人から遺贈により取得したものと認められる。
本件被相続人の被相続人である母の相続に係る遺産分割協議書は真正に成立したものと推定されるから、請求人は、この遺産分割協議書に基づき本件被相続人が相続した本件土地を、本件被相続人に係る遺産分割協議書に基づき相続したものと認めるのが相当であるとした事例
裁決事例集 第61集 473頁
要旨
請求人は、本件被相続人の被相続人である母親の相続に係る遺産分割協議書は、分割の対象となる相続財産の記載に誤りがあるほか、共同相続人の一人であった本件被相続人が詐術により共同相続人に白紙に署名押印させた上これに分割内容を記載して作成したものである等の理由により無効であるから、この遺産分割協議書により本件被相続人が取得したとされる本件土地を遺産に含めた本件被相続人に係る遺産分割協議書も無効であり、本件被相続人から請求人は本件土地を相続により取得していない旨主張する。
しかしながら、本件被相続人の被相続人である母親の相続に係る遺産分割協議書は、本件被相続人を含めその共同相続人全員が署名押印しており、特段の反証のない限り真正に成立したものと推定され、この推定を動揺させる事実は認められないから、この遺産分割協議は真正に成立したものと認められる。
そうすると、この遺産分割協議書に基づき本件被相続人は本件土地を取得したのであり、請求人は、本件被相続人に係る遺産分割協議書に基づき本件被相続人から本件土地を相続により取得したものと認めるのが相当であるから、請求人の主張には理由がない。
要旨
譲渡所得計算上の譲渡費用は、資産の譲渡のために直接かつ通常必要な費用又は資産の譲渡価額を増加させるために譲渡に際して支出した費用と解されている。
本件農地転用決済金(以下「決済金」という。)は、[1]土地改良法第42条第2項の定めにより、土地改良区の組合員たる資格の喪失に際して、組合員が有していた土地改良区の事業に関する権利義務が新たな権利者に移転がない場合に、その権利義務を清算するために徴収されるものであって、土地の譲渡とは直接関係がないことは明らかであり、[2]本件決済金の内訳は、長期借入金の返済に充当すべき将来の負担金や維持管理費といったいずれも本件土地の譲渡とは直接の対応関係がない、いわゆる期間対応費用であり、土地の譲渡のために直接かつ通常必要な費用とは認められず、[3]本件決済金は、土地改良区の決済金徴収規程に基づいて徴収されたものであり、請求人が本件決済金を支払ったことをもって、本件土地の譲渡価額が増加したとは認められないから、いずれにしても、譲渡費用には当たらない。
滞納処分により差し押さえた預託金会員制ゴルフ会員権の換価(取立て)等のため必要があるとして、譲渡担保契約に基づき同会員権に関する入会保証金証書を占有する請求人に対してされた同証書の引渡命令は適法であるとした事例
裁決事例集 第61集 735頁
要旨
請求人は、本件ゴルフ会員権は請求人が滞納者から譲り受けた財産であるから、請求人は滞納者の財産を占有する第三者には当たらないこと、また、債権証書の取上げができる場合は差押えのため必要があるときであるところ、引渡命令が出された当時既に本件差押処分がされていたから、必要があったとはいえないことから、同会員権に関する入会保証金証書についての本件引渡命令処分は違法である旨、さらには、そもそも本件ゴルフ会員権は、請求人が滞納者から譲り受けた譲渡担保財産であるので、請求人に対して国税徴収法第24条“譲渡担保権者の物的納税責任”第4項に規定する告知がされなければならないにもかかわらず、これを欠いていることから本件差押処分は違法であり、本件差押処分を前提としてされた本件引渡命令処分は違法である旨を主張する。
しかしながら、預託金会員制ゴルフ会員権の譲渡については、当該譲渡をもってゴルフ場経営会社以外の第三者に対抗するためには、民法第467条に規定する指名債権の譲渡の場合に準じて、譲渡人が確定日付のある証書によりこれをゴルフ場経営会社に通知し、又は確定日付のある証書によりゴルフ場経営会社がこれを承諾することを要し、これと滞納処分による差押えとが競合した場合の優劣は、確定日付の譲渡通知書がゴルフ場経営会社に到達した日時(又は確定日付のあるゴルフ場経営会社の譲渡の承諾の日時)と、差押通知書がゴルフ場経営会社に到達した日時との先後により決せられるところ、本件においては、譲渡通知書より先に差押通知書がゴルフ場経営会社に到達しており、請求人は譲渡担保契約に基づく譲渡担保権の設定をもって差押権者に対抗することができないから、国税徴収法第24条の規定を適用する余地はなく告知をする必要がないというべきであり、また、本件入会保証金証書を占有する請求人は、国税徴収法第58条に規定する滞納者の財産を占有する第三者に該当することになる。
また、国税徴収法第65条に規定する債権証書の取上げができる場合の「差押えのため必要があるとき」には、その債権の取立て、換価、権利の移転及び配当等のため必要と認められるときも含まれると解される。
したがって、本件引渡命令処分は適法である。
休業中法人を合併存続法人、稼働法人を被合併法人としたいわゆる逆合併につき、法人税法第132条を適用し、合併存続法人の繰越欠損金を損金の額に算入することはできないとした事例
裁決事例集 第61集 440頁
要旨
法人税法第57条趣旨、目的から、同条の適用には、繰越欠損金の控除に係る各事業年度の間において、経営実体の統一性が継続維持されていることが当然の前提とされているから、被合併法人の繰越欠損金は、合併法人の所得金額の計算上損金の額に算入することはできないと解される。
本件合併はその実体において、合併法人の経営実体が消滅し、被合併法人の経営実体のみが存続しているものであるから、合併法人の既往の繰越欠損金を損金の額に算入することは、法人税法第57条の規定に反するものであり、その結果、請求人が本来負担すべき法人税額を不当に減少させることになるのであるから、これは、正に同法第132条第1項によって否認されるべき法人税の負担を不当に減少させる行為又は計算に該当する。
要旨
請求人は、本件ゴルフ会員権をゴルフ場経営法人に譲渡したと主張するが、請求人の行った一連の行為は、ゴルフ倶楽部からの退会が承認されたことにより、預託金返還請求権をその預託先であるゴルフ場経営法人に対して行使したにすぎず、資産の譲渡には該当しないから、譲渡損失を前提とした損益通算の規定の適用はないとした本件更正処分は相当である。
要旨
請求人は、重加算税は故意に脱税の目的で積極的な不正行為をもって所得税をほ脱している場合に課されるものであり、売上げを除外した資金で取得した事業用資産の取得価額等を立証できなかったために修正申告した場合は、積極的な不正行為があったとはいえず、重加算税を賦課すべきでない旨主張する。
しかし、請求人は、売上除外に係る売掛帳及び請求書控等を別管理として関与税理士に提出せず、代金決済後に破棄し、除外売上金の決済手段として受領した約束手形又は小切手の一部を公表外預金口座で取り立てていることなどから、賦課要件となる事実を隠ぺいし、これに基づき納付すべき税額を過少に記載して、申告書を提出したものと認められ、国税通則法第68条第1項の規定に該当する。
なお、請求人は、原処分庁が除外売上金の使途について立証責任を負っているのであるから、事業用資産が存在しないこと又は個人的に費消したことを明らかにすべきである旨主張するが、除外売上金で事業用資産を取得していたか否かについては、その支出の支払先等が明らかになってはじめてその当否が判断できるのであるから、請求人が修正申告と異なる必要経費の存在を主張するからには、請求人自らがその必要経費に関し具体的な立証を行うべきである。
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