裁決事例 裁決事例集 第41集

裁決事例 裁決事例集 第41集

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平成3年6月18日裁決

1. 現物出資により取得した出資の価額を純資産価額方式で算定する場合、会社が所有する土地の価額は相続税評価額ではなく通常取引される価額によるべきであるとした事例 2. 現物出資により取得した出資の価額を純資産価額方式で算定する場合、法人税等の税額に相当する金額を控除すべきでないとした事例

裁決事例集 第41集 53頁

要旨

  1.  現物出資により取得した出資の価額を相続税評価通達に定める純資産価額方式に準じて算定する場合、その算定の基礎となる会社が所有する土地の価額は、相続税評価額ではなく通常取引される価額によるべきである。
  2.  現物出資はもともと会社の事業活動の継続を前提として行われるのであるから、現物出資により取得した資産の価額を純資産価額方式で算定する場合、相続税評価通達186-2に定める「法人税等の税額に相当する金額」は控除すべきではない。
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平成3年6月12日裁決

内国法人につき解散等の事実が生じた場合における欠損金の繰戻しによる還付請求は、欠損事業年度の確定申告書を提出期限までに提出することはその要件とされていないとした事例

裁決事例集 第41集 240頁

要旨

 法人税法第81条第4項の規定によれば、内国法人につき解散等の事実が生じた場合における欠損金の繰戻しによる還付請求は、還付所得事業年度から欠損事業年度までの各事業年度について連続して青色申告書である確定申告書を提出し、かつ、解散等の事実が生じた日以後1年以内に還付請求書を提出することは適用要件とされているが、欠損事業年度の確定申告書を提出期限までに提出することはその要件とされていない。

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平成3年6月10日裁決

加算税の賦課決定の取消し又は変更に係る審査請求には請求の利益がないとした事例

裁決事例集 第41集 24頁

要旨

 加算税の賦課決定につき、原処分庁が異議決定で維持した処分の一部を審査請求の継続中に取消し又は変更することは、国税通則法第32条第2項の規定に基づきされたものであり、かつ、当該賦課決定は、当初の賦課決定において納付すべき税額が過大であったため、無申告加算税を過少申告加算税に変更するとともに重加算税の一部を減額したものであるから、これに係る審査請求にはその請求の利益がない。

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平成3年6月5日裁決

専任媒介契約に基づき受領した仲介手数料は、既に、媒介に係る取引当事者間の不動産売買契約が締結され、当該契約の効力は生じているから、当該仲介手数料を受領した日の属する事業年度の益金の額に算入すべきであるとした事例

裁決事例集 第41集 169頁

要旨

 請求人は、本件不動産売買契約は、[1]売買の対象となった土地及び建物のうち、建物は建築予定のものであっていまだ存在しないから、この部分は売買契約の効力が有効に成立していないこと、[2]建築予定の建物については、売買契約となっているが、請負契約と解すべきであること、及び[3]将来、建物が完成した場合に本契約を成立させるという売買予約又は建物完成を停止条件とする停止条件付売買契約とみるべきであることを理由に、媒介に係る役務の提供はいまだ完了していないから、当該売買契約後に受領した仲介手数料に係る収益は、受領日の属する事業年度の益金にはならないと主張するが、[1]建築予定の建物であっても、建築図面、仕様書き等から当該建物を目的物として特定可能な場合には売買契約は有効に成立すること、[2]本件不動産売買契約の形式及び内容からいっても請負契約と解すべき余地はないこと、及び[3]同様に売買予約又は建物完成を停止条件とする停止条件付売買契約とみるべき余地はないことから、本件不動産売買契約は有効に成立し、その効力は発生しているので、媒介に係る役務の提供は完了しているというべきである。したがって、請求人の受領した仲介手数料は、受領日の属する事業年度の益金の額に算入される。

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平成3年5月29日裁決

土地処分益計上の期ずれにより前年度分が減額更正、後年度分が増額更正となった場合、前年度分の過誤納金を後年度分の延滞税に充当したことは適法であるとした事例

裁決事例集 第41集 1頁

要旨

 法人税法は、各事業年度ごとに確定する税額であるから、後年度分の本税の延滞税額について前年度分の過誤納金を充当したことは適法である。

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平成3年5月29日裁決

本件土地の譲渡価額と時価との差額が生ずることについて合理的な理由があるとは認められないから、その差額は寄付金に該当するとした事例

裁決事例集 第41集 229頁

要旨

 原処分庁が採用した取引事例の譲渡価額は、本件土地に隣接し、かつ、大規模地であり本件土地との類似性は高く、当該取引事例を基に時点修正して時価を算定した原処分には合理性がある。本件土地は当該取引事例地よりも街路条件及び交通・接近条件で優れていること及び実測面積よりも少ない公簿面積によって原処分庁の時価算定が行われていることを考慮すると、本件土地の時価は、原処分庁の算定時価を上回るものと推認され、原処分庁の認定した時価は相当である。
 法人税法第37条第6項に規定するいわゆる低額譲渡の場合における「実質的に贈与又は無償の供与をしたと認められる金額」とは譲渡の対価の額と時価との差額が生ずること(無償性)について、合理的な理由が認められない場合のその差額をいうものと解されるところ、本件土地の時価と譲渡価額とに差額が生じることについて合理的な理由があるとは認められないから、この差額は寄付金に該当する。

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平成3年5月28日裁決

関係会社の資金繰りの用に供するため担保に提供した株式が回収不能となった場合に、当該回収不能相当額を、他の株式の譲渡に係る雑所得の収入金額から控除したりあるいは必要経費に算入したりすることはできないとした事例

裁決事例集 第41集 145頁

要旨

 請求人は、担保に提供した株式が担保流れとなった時点で、[1]株式の譲渡があったとみて所得税法第64条第1項の規定を適用し、当該回収不能相当額を他の株式の譲渡に係る雑所得の収入金額から控除するか、[2]貸付けに係る株式に損失が生じたとみて同法第51条第4項の規定を適用し、当該損失相当額を他の株式の譲渡に係る雑所得の必要経費に算入すべきであると主張するが、請求人は、本件株式を、当時利害関係を有していた請求人に立場上、資金繰り上の担保に供するため、関係会社に預けていたものであって、株式を譲渡したり貸し付けたりした事実は認められないから、請求人の主張は前提そのものを誤っており、当該回収不能相当額あるいは当該損失相当額を他の株式の譲渡に係る雑所得の収入金額から控除したり、あるいは必要経費に算入したりすることは認められない。

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平成3年5月16日裁決

外国人出向者の日本における税金を立替払した場合に源泉徴収義務を負うとした事例

裁決事例集 第41集 255頁

要旨

 請求人が、外国法人の出向元法人の依頼により、外国人出向者の日本における租税を日本の税務官署に納付し、これを出向元法人への立替金として経理処理しても、この立替金は、請求人が居住者である外国人出向者に対して給与等を支給したことになるから、請求人はこれに係る源泉徴収義務がある。

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平成3年5月10日裁決

譲渡収入金額を底地部分と権利部分にあん分する場合の更地価額について、売買契約が解除され成立していない契約の契約金額によることは適当でないとした事例

裁決事例集 第41集 103頁

要旨

 譲渡収入金額のあん分の基礎となる底地割合について、請求人は、本件土地の取得(昭和62年9月)後2月経過後に締結した売買契約金額を更地価額として算定した割合を基とすべきであると主張するが、[1]当該売買契約は解除され成立していないこと、また[2]当該契約金額は本件土地を取得した後2月後の価額であるから本件土地の取得時における更地価額と認めるのは適当ではない。原処分庁が更地価額として採用した鑑定評価額は、請求人が本件土地の取得資金を借り入れる際に鑑定したもので、その鑑定に至った事情からみても当該鑑定価額を本件土地の更地価額と認めるのが相当である。

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平成3年4月30日裁決

代償分割により取得した代償金について相続税の課税価格に算入すべき価額は、代償分割時における代償財産の通常取引される価額と相続税評価額の比により圧縮するのが相当であるとした事例

裁決事例集 第41集 302頁

要旨

 代償分割の方法により遺産の分割が行われ、代償財産として金銭が交付された場合、代償財産の交付を受けた者及び代償財産の交付をした者の相続税の課税価格の計算については、[1]相続開始の時と代償分割の時との間に遺産の価額が著しく変動しており、[2]その代償分割が裁判所における審判・調停・和解等により行われ、かつ、[3]代償分割の対象となった財産及びその財産の代償分割の時における通常取引される価額がすでに明らかになっており、その価額を明確に把握することができるときは、その相続開始の時における代償債権の価額を求める方法としては、次の算式によるのが相当である。

交付される金銭の額 × 当該金銭の交付者が遺産分割により取得した財産で代償分割
の対象となったものの相続開始時の価格(相続税評価額) 
当該金銭の交付者が遺産分割により取得した財産で代償分割
の対象となったものの代償分割時の通常取引価額
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平成3年4月23日裁決

事業を営む請求人が主宰する法人に対する貸付金(無利子)の資金を借入金でまかなっている場合の借入金利子は、必要経費に該当しないとした事例

裁決事例集 第41集 130頁

要旨

 所得税法第37条第1項に規定する必要経費とは、その支出が「業務について生じた」ものとして、業務との関連性が要求されるとともに、その関連性には通常かつ一般的に必要と認められる客観性がなくてはならないものと解するのが相当であるところ、請求人は自らが主宰する法人に対して無利子で貸し付けた場合の原資となった借入金に対応する借入金利子の額は、請求人の事業と密接な関係にあり、当該事業を遂行する上での必要から本件貸付けを行ったものであるから、本件借入金利子は請求人の事業所得に係る必要経費として認められるべきである旨主張するが、本件貸付けは請求人の事業と当該法人の事業が相互に取引先としての業務上の密接な関係があったことに起因するとは認めがたく、当該法人の代表取締役としての地位と責任に基づいて行われたものと認められるところから、請求人の事業の遂行上必要なものとは認められないので、本件借入金利子は請求人の事業所得の金額の計算上必要経費に算入することはできない。
 なお、原処分は、本件貸付金の原資となった借入金の利子の額の算定額に誤りがあるとして、その一部を取り消した。

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平成3年4月16日裁決

個人に対する土地建物の譲渡が、低額譲渡に該当するから、譲渡損失の金額は損益通算によって差し引くことはできないとした事例

裁決事例集 第41集 115頁

要旨

 譲渡した土地建物のうち、土地の譲渡価額は、地価公示法に規定する公示価格及び国土利用計画法に規定する標準価格を、相続税財産評価基準の路線価で除して求められる、公示価格比準倍率及び標準価格比準倍率を用いて算出した土地の価額の2分の1に満たないから、低額譲渡に該当する。
 したがって、当該土地建物の譲渡によって生じた損失の金額は、所得税法第59条“贈与等の場合の譲渡所得などの特例”第2項の規定により、なかったものとみなされる。

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平成3年3月29日裁決

いわゆる「つまみ申告」が重加算税の課税要件を満たすとした事例

裁決事例集 第41集 15頁

要旨

 認定事実を総合すれば、請求人は、自己の有価証券の継続的取引により多額の所得を得、しかもその所得があることを十分認識しており、かつ、申告の必要があることを十分認識していながら、それが課税の対象となることを回避するため、殊更それを除外して過少な所得金額を記載した内容虚偽の確定申告書を提出して本件雑所得のすべてを故意に秘匿したということができる。
 そうすると、請求人は、税額計算の基礎となるべき事実を隠ぺいしその隠ぺいしたところに基づいて納税申告書を提出したというべきである。

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平成3年3月29日裁決

滞納法人が行った債権放棄と同法人の滞納国税の徴収不足との間に基因関係が認められるとした事例

裁決事例集 第41集 339頁

要旨

 請求人は、滞納法人の滞納国税の徴収不足は、請求人が債権放棄を受けたことに基因するものではない旨主張するが、原処分庁が滞納法人に対し、差押え等の執行ができた昭和59年1月17日の時点における滞納法人の主な資産はB社に対する貸付金及び手形債権であったことが認められるけれども、当時、B社は、事実上の倒産状態にあり、その実質的な資力を喪失していたことが認められ、したがって、原処分庁が、滞納法人がB社に対して有する債権の差押えをしてもその回収が見込めず、本件滞納国税を徴収できなかったことは明らかであるし、また、徴収法第39条に規定する徴収不足と無償譲渡等との間の基因関係について、同条の解釈としては、当該無償譲渡等の処分がなかったならば、徴収不足を生じなかったであろうということができる場合には、基因関係を認めるのが相当であるとされているところ、B社に係る債権債務を除いた滞納法人の純資産は84,297,111円であるのに、滞納法人が行った債権放棄の金額は67,792,041円となることが認められ、この債権放棄がなければ本件滞納国税にかかる徴収不足は生じなかったであろうということがいえるから、本件債権放棄と本件滞納国税の徴収不足との間の基因関係を認めることができるというべきである。

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平成3年3月29日裁決

特定資産の買換えの場合の圧縮記帳に伴う差益割合の計算に際し、解約違約金を譲渡費用に含めた事例

裁決事例集 第41集 381頁

要旨

 当初の契約の解約は、その目的が本件譲渡資産の譲渡の実現のためであり、その効果は専ら次の契約の譲渡に帰属することとなり、かつ、本件違約金は当初契約を合意解約するために支払われたものであるから、本件違約金は、次の契約の譲渡のために直接かつ通常必要な費用であると認めるのが相当である。
 そうすると、本件違約金は譲渡に要した経費に該当する。

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平成3年3月29日裁決

相続人らの名義の株式等について、相続財産と認定した事例

裁決事例集 第41集 290頁

要旨

 相続人らの名義の株式について、被相続人が生前配当金等の法定果実を収受していたこと、各名義人の印鑑が被相続人自身の取引に使用されていた印鑑と同一であること、及び各名義人はこれらの株式等の取得の時期に取得資金を有していたとは認め難いことから、被相続人の財産と認めるのが相当である。

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平成3年3月27日裁決

水産物地方卸売市場に出荷し歩戻しを受ける特定荷主に係る営業権の譲受け対価を事後に修正し追加払した場合、当該金員は営業権の対価とは認められず、寄付金に当たるとした事例

裁決事例集 第41集 219頁

要旨

 請求人は、営業権の売買価格について不確定要素があったことから、将来において売買価額を修正する補足的契約を締結することを前提に本件売買契約を締結したものであるから、その補足的契約として本件覚書を取り交わして支払った本件金員は営業権譲受けの対価である旨主張するが、そもそも将来における売買価額の修正を前提とした営業権の売買契約などというものは基本的にあり得ないと解されるところ、本件売買契約の締結に当たり将来における売買価額の修正を前提とされていたことを認めるに足りる証拠もなく、また、請求人は営業権を60,000,000円で譲り受ける旨の臨時株主総会の決議に基づき本件売買契約を締結し、締結後直ちに特定荷主として市場に参入していることからすれば、営業権の売買は、本件売買契約により完結したものと認めるのが相当である。
 また、売買契約締結後に生じた事情とされた譲渡人の資金需要と譲受人(請求人)の営業権譲受け後の販売実績なるものは、いずれも営業権の対価を増額して支払う理由とはなり得ない。
 そうすると、本件金員の支払は、譲渡人に対する長期貸付金との相殺によってされているところ、これは、譲渡人に対する経済的利益を無償で供与したものであるから寄付金に当たる。

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平成3年3月20日裁決

土地信託に係る建物の減価償却費を損金経理していないので認めなかった事例

裁決事例集 第41集 193頁

要旨

 減価償却費の損金算入は、法人税法第31条第1項の規定により、簿外資産であるか否かを問わず損金経理することを要件とし、損金経理には、その性質上損金経理がされたとみなす場合及び減価償却資産の全部又は一部を資産に計上しないで損金経理し、法人税法施行令第63条に規定する明細書にその資産の償却費の計算明細を記載して申告調整した場合が含まれるところ、本件信託建物は財務諸表に記載されておらず、その償却費は損金経理もされていないことから、いずれにも該当せず、償却費の損金算入は認められない。

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平成3年3月13日裁決

株券発行がない場合の株式の譲渡にあっては株券の交付を必要とせず、売買契約成立の日にその譲渡の効力が生ずるとした事例

裁決事例集 第41集 94頁

要旨

 請求人は、商法第205条“株式の譲渡方法”第1項の規定によれば、株式を譲渡する場合には株券の交付を要するものとされているところ、本件株式の場合は株券の発行がないから、請求人は株券を交付しておらず、したがって本件株式譲渡の効力は生じていない旨主張するが、そもそも同条項は、同法第226条“株券発行の時期”第1項の規定に基づき会社が遅滞なく株券を発行している場合に適用があるものと解され、会社はその設立以来、特段の合理的な理由もなく株券を発行していなかったものであるから、その譲渡に株券の交付を必要せず、本件株式の譲渡は売買契約成立の日にその効力が生じたものとみるべきである。

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平成3年3月6日裁決

土地区画整理組合から「宅地整備補償金」名義で交付を受けた補償金は、一時所得に該当するとした事例

裁決事例集 第41集 69頁

要旨

 請求人は、土地区画整理組合から交付を受けた「宅地整備補償金」について、[1]過大な減歩により生じた保留地の処分を起因としたいわゆる余剰金の返還で、過大減歩部分について現物で返還を受ける代わりに金銭を受領したものであるから課税関係は生じない、[2]仮に課税関係が生じるとしても土地区画整理法第94条“清算金”に規定する清算金と実質異ならないから、租税特別措置法第33条の4“収用交換等の場合の譲渡所得等の特別控除”の特例の適用を認めるべきである旨主張するが、当該補償金は、土地区画整理組合が保留地を売却したことにより生じた余剰金で、土地区画整理法第94条に規定する清算金とは異なる補償金であるので措置法第33条の4の特例の適用はなく、法人から交付を受けたものであるから一時所得の収入金額とするのが相当である。

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平成3年2月27日裁決

建物をその敷地の借地権とともに取得した後、短期間のうちに建物を取り壊した場合、当該借地権につきいわゆる無償返還の届出がされていても、当該建物の取得代価及び取壊し費用は、借地権の取得価格を構成するとした事例

裁決事例集 第41集 211頁

要旨

 同一所有者に属する土地及び建物のうち建物のみが譲渡された場合には、特段の事情がない限り、当然に敷地に対する借地権の設定があったものと推認される。また、建物を敷地の所有権又は借地権とともに取得した後、短期間内に当該建物の除却に着手するなど当初からその建物を除却してその敷地を利用することが明らかである場合には、当該建物の取得代価又はその未償却残額及び取壊し費用は、実質的にその敷地の所有権又は借地権の対価的性質をもつとみられるから、その取得価額を構成する。
 なお、土地賃貸借契約において、契約期間満了及び解除による契約終了時に、土地所有者に対して借地人が借地権の対価その他の名目を問わず何らの金員を請求しない旨の特約があったとしても、それは借地人が借地権価額を回収し得ないというだけであって、これがため、借地権取得のために投下された金員が借地権の取得価額でないという理由とはならない。

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平成3年2月27日裁決

租税特別措置法第37条の2第2項の規定による修正申告書の提出が「その申告に係る国税についての調査があったことにより当該国税について更正があるべきことを予知してされたものでないとき」に当たらないとした事例

裁決事例集 第41集 5頁

要旨

(1)請求人は、修正申告書の提出以前においては、課税標準が未確定というべきであるから、所得金額に対する調査が行われることはあり得ないと主張するが、租税特別措置法第37条第4項の適用を受けた場合においては、買換資産の取得価額の見積額によって譲渡所得の金額を計算して確定申告をすることによって課税標準は確定すると解すべきであるし、また、同法第37条の2の規定は、修正申告書の提出以前において所得金額に対する調査ができない旨を規定したものではないこと、及び、(2)[1]原処分庁は、本件調査を行う時点において、本件譲渡物件について、請求人が確定申告書に添付した売買代金を700,000,000円とする売買契約書のほかに、売買代金を800,000,000円とする売買契約書が存在することを把握しており、[2]調査担当職員は、本件調査において[1]の事実を念頭において本件譲渡物件の取引経過及び売買契約書の作成経過並びに譲渡代金の受領経過等の調査を行っていることから、本件譲渡物件の分離課税の長期譲渡所得の金額についての調査があったと認めるのが相当であるし、また、売買代金を700,000,000円とした売買契約書に基づき、本件譲渡に関する売買契約書の作成経過等を調査されたことによって、請求人は、調査担当職員の調査が進行するに従い、本件譲渡物件の譲渡価額を除外して確定申告した事実が発覚し、やがて原処分庁によって更正されることを認識したと認めるのが相当であること等から、本件修正申告書の提出は、「その申告に係る国税についての調査があったことにより当該国税について更正があるべきことを予知してされたものでないとき」に当たらないというべきである。

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平成3年2月25日裁決

借地上の建物を譲渡した場合には、土地の上に存する権利も譲渡されたものとして租税特別措置法第63条の規定が適用されるとした事例

裁決事例集 第41集 365頁

要旨

 請求人は、本件建物の売買は契約書に明記されているとおり建物の売買であるから、仮にその対価が社会常識的に不自然であっても、その売買価額の中に借地権に相当する対価は含まれていない旨主張するが、本件建物を請求人が前所有者から取得し、また、本件建物の買主が請求人から買い入れたのは、単に建物自体を目的とするものではなく、本件土地の上に存する権利に経済的価値を認めた故にそれぞれが取引に応じたものであることは明らかであるから、本件建物の売買が土地の上に存する権利を含む売買であるとして、租税特別措置法第63条“土地の譲渡等がある場合の特別税率”に該当するとした原処分は相当である。

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平成3年2月5日裁決

同族会社への土地の貸付けは使用貸借による貸付けと認められ当該土地は事業用資産には該当しないと認定した事例

裁決事例集 第41集 355頁

要旨

 請求人は、[1]本件土地の借受人である同族会社が業績不振であることから賃料を免除しているが、賃貸料の授受がないとしても、賃貸であることには変わりはない、また、[2]租税特別措置法第69条の3“小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例”の取扱上、同族会社に貸し付けられている土地は、その貸付けが使用貸借であっても「事業の用に供されていた宅地等」に該当するものとして取り扱っているので、同法第37条“特定の事業用資産の買換えの場合の譲渡所得の課税の特例”の適用に当たってもこれと同様に取り扱うべきある旨主張するが、同法第69条の3と第37条の規定はその趣旨、目的を本質的に異にするものであるから、この点に関する請求人の主張は採用できない。当該土地の貸付けが賃貸借によるものではなく使用貸借による貸付けと認められる以上、当該土地の譲渡については、措置法第37条の適用はない。

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平成3年2月1日裁決

物上保証人である請求人が債務額を代位弁済した場合の所得税法第64条第2項の規定の適用上、物上保証人である請求人は代位弁済額のうち自己の負担割合を超える部分について連帯保証人に対して求償権を取得し、連帯保証人のうち償還をなす資力のないものがある場合においても、その償還資力がない者の負担部分も他の連帯保証人の間で分割負担されるものとして、求償権行使可能額を計算すべきであるとした事例

裁決事例集 第41集 160頁

要旨

 物上保証人であった請求人は、その所有する土地を譲渡し、その譲渡代金をもって保証債務額35,392,179円を代位弁済したとして、その弁済額全額について所得税法第64条“保証債務の履行のための譲渡の場合の課税の特例”第2項の規定を適用すべきであると主張するが、本件金銭消費貸借には、物上保証人のほかに連帯保証人が三名存し、物上保証人である請求人と連帯保証人との間には保証に際しての負担部分の特約が存在しないことから、物上保証人・連帯保証人相互間においてはその頭数に応じて平等に負担することになり、請求人は代位弁済額のうち自己の負担割合である4分の1に相当する部分を超える部分について連帯保証人に対して求償権を取得し、そして、連帯保証人のうちに償還をなす資力のない者がある場合においても、その償還資力がない者の負担部分も他の連帯保証人の間で分割負担することとされているから、結局、請求人の求償権行使可能額は、代位弁済額35,392,179円のうち自己の負担部分である4分の1に相当する額8,848,044円を控除した残額26,544,135円とするのが相当であり、同金額については保証債務の履行のための譲渡の場合の課税の特例の規定の適用はない。

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平成3年1月29日裁決

同族会社の判定の基礎となった株主が、その同族会社の滞納国税の内容及び発生過程を知らされていなくとも、国税徴収法第37条に規定する第二次納税義務は成立するとした事例

裁決事例集 第41集 335頁

要旨

 同族会社の判定の基礎となった株主である請求人は、第二次納税義務の告知の原因となった同社の滞納国税について、その内容及び発生過程を全く知らされていないため、右告知は納得できない旨主張するが、国税徴収法第37条の規定によれば、納税者(滞納会社)が同族会社で、その判定の基礎となった株主が当該納税者の事業の遂行に欠くことができない重要な財産を有し、かつ、当該財産に関して生ずる所得が当該納税者の所得となっている場合において、当該納税者がその供されている事業に係る国税を滞納し、その国税につき滞納処分をしても、なおその徴収すべき額に不足すると認められるときは、当該株主は、当該財産を限度として、その滞納に係る国税の第二次納税義務を負うものとされ、当該第二次納税義務を負うこととなる者が、第二次納税義務の告知の原因となった滞納国税について、その内容及び発生過程を知り得たか否かをその成立要件としているものではないと解されるところ、本件告知は、国税徴収法第37条の規定に従い適法に行われていることが認められ、したがって、この点に関する請求人の主張は失当である。

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平成3年1月25日裁決

1. 請求人が土地の価額に影響を及ぼすと主張する諸要因は、路線価額に折込み済みであるとした事例 2. 借地権の目的となっている宅地は、評価通達によって評価すべきであり、収受している地代を基にして収益還元法によって評価すべきでないとした事例

裁決事例集 第41集 313頁

要旨

  1.  請求人は、本件宅地は、下水処理場に近接し、かつ、駅から遠い等地理的条件が悪いので、路線価額の2分の1相当額で評価すべきであると主張するが、本件宅地の正面路線価とした路線価額は、隣接する路線の価額に比べていずれも相当程度低くなっており、下水処理場に近接していること等の評価に影響する諸々の事情が折り込まれていることは明らかで、請求人の主張は採用できない。
  2.  請求人は、貸宅地は、自用地の場合と異なり、市場性又は換金性に欠けるとともに土地の価額が上昇しても地代の値上げもできない状況にあり、また、土地所有者が地代以外の収益を受領し得るのは借地権の譲渡承諾料あるいは増改築時の承諾料であるが、いずれも何十年に1回あるかないかわからないものであるから、実際に収受している地代を基として収益還元方式で評価すべきであると主張する。
     しかしながら、収益還元方式による評価は、対象不動産が将来生み出すであろうと期待される純収益を算定するために予測される諸要素を的確に把握すること、及び収益還元率を正しく定めなければならないが、これらの諸要素を客観的に把握することが困難であることから、これによる評価額は、相続財産の取得時の時価を性格に反映しているものとは認められず、理論的にはともかく、本件貸宅地の評価方法としては採用することができない。
     原処分は、本件貸宅地の価額を、評価通達及び評価基準に従って評価しているが、評価基準は、借地権及び底地部分の売買実例及び精通者の意見価格等を参考にして類似する地域ごとに定められており、特段不合理な点があるとは認められない。
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平成3年1月23日裁決

合資会社の無限責任社員の死亡退社により生じた持分払戻請求権に含まれるみなし配当相当額について源泉徴収義務を負うとした事例

裁決事例集 第41集 246頁

要旨

 合資会社の無限責任社員が死亡した場合、法定退社事由が生じ、その社員は退社するが、その有していた社員権は持分払戻請求権に転換し、これを相続人が承継取得することとなるところ、当該持分払戻請求権に含まれる所得税法第25条第1項第2号に規定するみなし配当は、死亡社員について社員権が持分払戻請求権に転換した時点において発生するものである。
 また、同法(昭和63年法律第109号による改正前のもの)第9条第1項第20号に規定する非課税所得は、相続人の相続及び受贈者の受贈自体による利得並びに相続人等が原始取得する利得で、相続、贈与財産とみなされるものに限られ、持分払戻請求権は、これに核当しない。
 したがって、退社社員の相続人に対し、払戻金を支払う会社は、それに含まれるみなし配当相当額について源泉徴収義務を負うこととなる。

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平成3年1月18日裁決

他人名義となっている定期貯金の真実の所有者は被相続人であると認定した事例

裁決事例集 第41集 271頁

要旨

 請求人は、本件定期貯金は被相続人の孫のものであり、その資金源は孫の母が毎月1~2万円の積立貯金をしてその満期時の昭和58年4月11日に本件定期貯金を設定したものである旨主張するが、本件定期貯金は同日以前からあった定期貯金が継続されているもので、また、主張する積立金額では孫の年齢からして、到底本件定期貯金の基となった定期貯金の額に達しないので、その主張は失当といわざるを得ない。
 [1]被相続人名義の他の定期貯金と本件定期貯金の届出住所、届出印鑑及び申込書の筆跡が同一であること、[2]本件定期貯金の利息と被相続人名義の定期貯金の利息とを合わせて別段預金とした上で現金にしているが、これに使用された印鑑がすべて同一であること、[3]被相続人には、本件定期貯金の基となった定期貯金と被相続人名義の定期貯金を設定した頃、土地譲渡代金が入金していたこと等からすると、本件定期貯金の資金源は譲渡代金と認められ、被相続人が非課税貯蓄に着目して孫の名義を使用して、本件定期貯金を設定したものと推認することができ、原処分は相当である。

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平成3年1月11日裁決

売上除外を行っていたと認定した上、売上除外金額については前2事業年度は売上除外した商品梱包個数から推計し、後2事業年度については前2事業年度の公表売上金額に対する売上除外割合を基礎として推計した事例

裁決事例集 第41集 178頁

要旨

 請求人が、仮名取引により売上除外を行っていることは明らかであり、納品書等資料の保存が十分でないことから、前2事業年度については発注伝票(控)に記載されている商品梱包個数と運送会社の運賃請求伝票に記載されている梱包数との開差個数を算出し、それに公表売上金額の1梱包当たりの平均単価を乗じて売上除外金額を推計しているのは合理性が認められ、かつ、計算は適正である。後2事業年度については前2事業年度の公表売上金額に対する売上除外割合を基礎として、売上除外金額を推計するのがより合理的である。

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平成3年1月11日裁決

相続税の納税猶予に係る猶予期限が確定した旨の通知は国税に関する法律に基づく処分には該当しないとした事例

裁決事例集 第41集 22頁

要旨

 相続税の納税猶予は、相続人が相続等により取得した農地を農業の用に供していく場合には、一定の要件の下にその農地の価額のうち、農業投資価格を超える部分に対する相続税の納税を猶予し、その相続人が死亡した場合等にその猶予分の相続税を免除する制度であるが、相続人の死亡等の前に農地を譲渡したり、農業を廃止した場合には、その納税猶予の期限が確定することとされている。請求人は、納税猶予の適用を受けたものの、その後において農業経営を廃止したことにより、租税特別措置法第70条の6第1項の規定に基づき納税猶予の期限が、特別の手続を必要とせずに当然に確定したものであって、「猶予期限が確定した相続税額の通知書」は、納税猶予の期限が確定した旨を念のため通知したものにすぎないから、この通知は、審査請求の対象となる処分ではない。

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平成3年1月7日裁決

国が請求人所有土地を駐留軍用地として10年間強制使用するについて請求人に対し損失補償金として一括で支払われた10年間の地代の収入すべき時期は、収用裁決に基づく請求人所有土地明渡しの日及び損失補償金全額の受領の日の属する年分であるとした事例

裁決事例集 第41集 78頁

要旨

 国が請求人所有土地を駐留軍用地として10年間強制使用するについて請求人に対して支払われた損失補償金の収入すべき時期について、請求人は、損失補償金は10年間の地代の一括前払であり前受収益に該当するものであるから、損失補償金を収受した昭和62年分の不動産所得の総収入金額とされる金額は収用裁決に基づく請求人所有土地明渡しの日である昭和62年5月15日から同年末までの期間に対応する金額とされるべきである旨主張するが、請求人は土地明渡しの時期において損失補償金の全額についてその支払を請求し得ることとなったものと認められ、また、請求人は、昭和62年3月25日、損失補償金の全額を受領したことから、請求人はその受領の時点で当該利得の全額を現実に支配管理し、自己のためにこれを享受しているというべきであり、したがって本件損失補償金はその全額が昭和62年分の不動産所得の総収入金額に算入されるべきである。

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