裁決事例 裁決事例集 第126集
請求人が支出したデジタルWEBコンテンツの購入代金等の中には、当該コンテンツの販売のあっせん活動に不可欠と認められる部分の支出があり、当該支出は、客観的にみて、請求人の事業所得を生ずべき業務と直接関係を持ち、かつ、業務の遂行上必要な費用であったといえるから、事業所得の金額の計算上必要経費に算入することができるとした事例(平成29年分の所得税及び復興特別所得税の更正をすべき理由がない旨の通知処分・一部取消し)
裁決事例集 第126集
ポイント
本事例は、デジタルWEBコンテンツの購入代金等のうち、当該コンテンツの販売のあっせん活動に不可欠と認められる部分の支出について、事業所得の金額の計算上必要経費に算入することができると判断した事例である。
要旨
請求人は、連鎖販売取引の方法によりデジタルWEBコンテンツの販売のあっせんを事業(本件事業)として営んでおり、請求人が支払ったデジタルWEBコンテンツの購入代金等(本件支出)は、本件事業を行い、本件事業に係る収入を得るためのものであり、事業所得を生ずべき業務と直接関係を持ち、かつ、業務の遂行上必要な支出であることから所得税法第37条《必要経費》第1項に規定する必要経費に該当する旨主張する。
しかしながら、デジタルWEBコンテンツの購入は、その交換価値が上昇することにより将来的に利益が得られる投機目的にあったと考えられる。もっとも、本件事業を行うためには、デジタルWEBコンテンツの販売会社の会員として会員登録をして会員IDを取得する必要があり、会員IDを取得するためには、デジタルWEBコンテンツを購入しなければならなかった。そして、デジタルWEBコンテンツの購入が連鎖販売取引の特定負担として位置づけられていたことからすると、当該購入にはデジタルWEBコンテンツの販売のあっせん活動に不可欠な会員IDを取得するための条件が含まれていたといえる。そうすると、本件支出のうち、会員IDを取得するためにした支出は、客観的にみて本件事業と直接関係を持ち、かつ、本件事業の遂行上必要な費用であると認められるので、本件支出のうち当該部分は、所得税法第37条第1項に規定する必要経費に該当する。
参照条文等
相続税の申告書に計上された預貯金口座から出金された現金並びに配偶者名義及び次男名義の預貯金は、いずれも被相続人に帰属する相続財産とは認められないとした事例(平成30年2月相続開始に係る相続税の各更正処分及び過少申告加算税の各賦課決定処分・全部取消し)
裁決事例集 第126集
ポイント
本事例は、相続税の申告書に計上された預貯金の口座から出金された現金並びに配偶者名義及び次男名義の預貯金について、いずれも被相続人の収入を原資とするものと断定することができないことなどを理由として、被相続人に帰属する相続財産とは認められないとしたものである。
要旨
原処分庁は、相続税の申告書(本件申告書)に計上されていない現金(本件現金)、被相続人の配偶者(本件配偶者)名義及び次男名義の預貯金(本件預貯金)は、出捐者や被相続人及び本件配偶者の収入比率などからその帰属を判断すると、いずれも被相続人に帰属する財産である旨主張する。
しかしながら、①本件現金の出金元である本件申告書に計上された預貯金口座で管理運用されていた預貯金の原資が特定できないことや、本件配偶者も収入を得ていたと認められることなどからすると、本件現金には被相続人及び本件配偶者の収入が混在している可能性を否定できない中、審判所においても、被相続人及び本件配偶者の収入比率等により本件現金を合理的にあん分することもできず、また、②本件預貯金についても、本件現金と同様、それらの原資を特定することができず、本件配偶者が管理運用しており、被相続人の収入が混在している可能性を否定できない中、被相続人及び本件配偶者の収入比率等により合理的にあん分することができないのであるから、本件申告書に計上された預貯金及び現金の額を超えて、本件現金、本件預貯金が被相続人に帰属する相続財産として存在していたと断定することはできない。
参考判決・裁決
東京高裁平成21年4月16日判決(税資259号順号11182) 平成31年4月19日裁決(裁決事例集No.115)
請求人がふるさと納税を行ったことにより各地方公共団体から送付を受けた各返礼品に係る経済的利益の価額は、当該各地方公共団体の評価額によるのが相当であるとした事例( 平成29年分の所得税及び復興特別所得税の更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分、 平成30年分の所得税及び復興特別所得税の更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分・ 棄却、 一部取消し、棄却)
裁決事例集 第126集
ポイント
本件は、ふるさと納税に係る経済的利益の額は、地方公共団体が謝礼として供与する経済的利益の額であるから、地方公共団体が謝礼のために支出した金額(返礼品調達価格)をその算定の基礎とすることが相当であるとしたものである。
要旨
請求人は、請求人の受けたふるさと納税の返礼品(本件各返礼品)について原処分庁が算定した経済的利益の価額(原処分庁認定額)は適正な金額ではなく、その収入すべき時期にも誤りが認められる旨、また、仮に一時所得の金額を計算するとしても、その経済的利益の価額は、事業の広告宣伝のための賞金を受けた場合の評価に関する課税実務上の取扱いに基づき原処分庁認定額に60%を乗じた価額とすべき旨主張する。
しかしながら、ふるさと納税をした個人は地方公共団体からの贈与により返礼品を取得すること、ふるさと納税制度における返礼品の提供が当該個人に対する謝礼であることからすれば、本件各返礼品に係る経済的利益の価額は、地方公共団体が謝礼(返礼品の調達・提供)のために支出した金額(返礼品調達価格)をその算定の基礎とすることが相当である。そして、通常、地方公共団体が返礼品等をその調達時における時価を超えて調達することはないと考えられ、また、本件において、本件各返礼品が不当に高額又は低額で取引されたといった事情は認められない。
これらのことからすると、返礼品調達価格は、地方公共団体が本件各返礼品を調達した時における返礼品の客観的交換価値を示すものと評価できるから、請求人は、本件各返礼品を取得することにより、本件各返礼品につき返礼品調達価格に相当する経済的利益を得たことになる。したがって、本件各返礼品に係る経済的利益の価額は、本件各返礼品の返礼品調達価格によるのが相当である。
この点、原処分庁認定額については、その価額及び収入すべき時期の認定に一部誤りがあると認められたものの、返礼品調達価格を基にして算定されたものであるから、原処分庁認定額が適正でない点に関する請求人の主張は理由がない。また、本件各返礼品はそもそも事業の広告宣伝のための賞品ではないから、当該賞品の評価に関する課税実務上の取扱いに基づいて本件各返礼品を評価すべき旨の請求人の主張を採用することはできない。
参照条文等
請求人とは別の法人名義で行われた取引に係る収入は請求人に帰属するとは認められないとした事例(平成24年4月1日から平成25年3月31日までの事業年度以後の法人税の青色申告の承認の取消処分、平成24年4月1日から平成25年3月31日まで及び平成27年4月1日から平成29年3月31日までの各事業年度の法人税の各更正処分並びに過少申告加算税及び重加算税の各賦課決定処分並びに平成25年4月1日から平成26年3月31日まで及び平成29年4月1日から平成30年3月31日までの各事業年度の法人税の各更正処分及び重加算税の各賦課決定処分、平成24年4月1日から平成26年3月31日までの各課税事業年度の復興特別法人税の各更正処分及び重加算税の各賦課決定処分、平成27年4月1日から平成29年3月31日までの各課税事業年度の地方法人税の各更正処分並びに過少申告加算税及び重加算税の各賦課決定処分並びに平成29年4月1日から平成30年3月31日までの課税事業年度の地方法人税の更正処分及び重加算税の賦課決定処分、平成24年4月1日から平成30年3月31日までの各課税期間の消費税及び地方消費税の各更正処分並びに重加算税の各賦課決定処分、平成25年7月から平成29年6月までの各期間分の源泉徴収に係る所得税及び復興特別所得税の各納税告知処分並びに重加算税の各賦課決定処分・全部取消し)
裁決事例集 第126集
ポイント
本事例は、別法人の代表者及び請求人の関係者の申述の信用性を検討した上で、事業の経緯、業務の遂行状況、費用の支払状況などから、別法人名義で行われた取引に係る収入が請求人に帰属するとは認められないと判断したものである。
要旨
原処分庁は、請求人とは別法人(本件法人)名義で行われた土地売買取引等(本件取引)について、本件法人の代表者や請求人の関係者などの各申述から、請求人が主体となって本件取引に係る業務を遂行し、請求人の代表者が本件法人名義の預金通帳を管理し、本件法人の代表者は請求人の代表者の指示により本件法人名義の預金口座から現金を引き出し同人に渡していたのであり、請求人が本件取引に係る収益を享受していたというべきであるから、本件法人の総勘定元帳に記載された売上高(本件収入)は請求人に帰属する収益である旨主張する。
しかしながら、本件法人の代表者や請求人の関係者などの各申述を的確に裏付ける証拠資料がなく、本件法人の代表者は後に当初の申述を全面的に否定しており、当該申述をそのまま信用することはできない。そのほかに審判所に提出された証拠資料等を精査しても、請求人が本件取引に係る業務を主体的に行った事実や請求人が本件取引に係る収益を享受した事実は認められず、本件法人の事業の経緯、本件取引に係る業務の遂行状況、当該業務に係る費用の支払状況などを総合的に判断すると、本件収入が請求人に帰属する収益であるとは認められない。
参照条文等
参考判決・裁決
東京地裁平成22年9月15日判決(税資260号順号11512)
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