裁決事例 裁決事例集 第74集
要旨
請求人は、本件営業譲渡日に滞納法人の個人株主Bらが受領した金員は、滞納法人の株式の譲渡代金であるとともに、同日は滞納法人の解散決議前であるから、当該金員は国税徴収法第34条の「残余財産の分配」によるものではないと主張する。
しかしながら、①本件滞納法人は、本件営業譲渡日に、本件滞納法人の代表者である請求人とその親族が全株式を所有する本件滞納法人の筆頭株主であるC社に対する債務を除き、資産・負債のすべてをD社に譲渡するとともに、従業員もD社に引き継いでいること、②D社は、当該金員を営業譲渡代金の一部と認識し、その旨の経理をしていること、③本件営業譲渡日において本件滞納法人は債務超過と認められ、その株式に経済的価値はなく、D社が当該株式を取得する経済的合理性も必要性も認められないこと、④本件滞納法人の株式の譲渡に必要な取締役会の承認がなされていないこと、⑤請求人は本件営業譲渡に際し、Bら個人株主を含む従業員に迷惑を掛けたくないと考えていたこと、⑥Bら個人株主が受領した金員は、本件滞納法人への出資相当額であること、⑦本件滞納法人は、本件営業譲渡日から解散決議に至るまで何ら資産を有せず、事業活動も行っていないことからすると、本件営業譲渡は解散を前提として行われたものと認められ、Bら個人株主が受領した金員は、株式譲渡代金ではなく、本件営業譲渡の対価の一部を分配したものと認められるから、当該金員の交付は、国税徴収法第34条に規定する「法人が解散した場合における残余財産の分配」に当たり、請求人はその価額を限度として同条の第二次納税義務を負うこととなる。
要旨
請求人は、本件各更正処分が調査を行わずになされた違法な処分である旨主張する。
しかしながら、原処分庁は、査察調査の過程において把握された課税資料と部内資料等とを照合し、その検討結果に基づいて請求人の本件各事業年度の法人税の所得金額及び納付すべき税額を算出して本件各更正処分を行ったと認められるところ、当該課税資料は、適法に行われた査察調査の過程で把握された事実及び証拠等に基づいて作成されたものであり、当該課税資料を本件各更正処分に活用したことに違法はないと解される。また、原処分庁が当該課税資料を基として本件各更正処分をするに至るまでの判断及び認定過程が国税通則法第24条の規定する調査に含まれると解されることから、本件各更正処分は同条が規定するところの調査に基づいて行われたものであると認められる。したがって、本件各更正処分が調査を行わずになされたものである旨の請求人の主張には理由がない。
要旨
請求人は、滞納国税を徴収できるC社からの家賃債権の差押え及びD社に対する貸付金を有している事実の確認を原処分庁が怠っていることから、本件各不動産の差押えは差押財産の選択を誤った不当な処分であると主張するともに、滞納税額と本件各不動産の評価額からみて、過大な差押えであると主張する。
しかしながら、滞納者に属する財産のうち、いかなる財産を差し押さえるかについては徴収職員の合理的裁量に委ねられていると解されるところ、原処分庁所属の徴収担当職員は、請求人から当該家賃収入は全額銀行借入れの返済に充てられ手元に残らない旨の説明を受けたことから、当該家賃収入を差し押さえなかったものと認められ、また、徴収職員が差押処分をするに当たり滞納者の全財産を把握しなければならない旨の法令上の規定はないのであるから、本件各不動産の差押処分が、差押財産の選択についての徴収職員の合理的な裁量の範囲を逸脱したものとは認められない。さらに、原処分庁は、地価公示法により公示された標準地の価額を基に差し押さえた宅地の処分予定価額を算出するとともに、固定資産税評価額を基に差し押さえた建物の処分予定価額を算出しているところ、これらの処分予定価額は客観的な時価から借地権や借家権等による減額調整や公売の特殊性による減額調整を行って算出されたものであるから、相当であると認められ、これらの処分予定価額から滞納国税に優先する被担保債権額を控除した価額は、滞納国税に満たないと認められるから、超過差押えにも該当しない。
毎月の役員報酬の一部を未払計上し、当該未払額を使用人の賞与の支給時期に支払った場合に、当該未払額は法人税法第35条に規定する役員賞与に当たるとした事例
裁決事例集 第74集 133頁
要旨
法人税法第35条第4項に規定する「臨時的な給与」の意義については、法令に格別の規定はないが、同項が、「毎年所定の時期に定額を支給する旨の定めに基づいて支給される給与」も「臨時的な給与」に含まれ得ることを前提として、「他に定額の給与を受けていない者」に対し支給したものについてこれを「臨時的な給与」のうちから除外していること並びに社会通念によって考えれば、単に当該給与の支給時期又は支給額が予め定められているか否かのみによって一律に決まるものではなく、その支給時期、支給回数及び支給の趣旨等を、年間のその他の給与の支給状況全体との関連において考察し、これによって当該給与が経常性のない一時的なものと認められるときは、同項に規定する「臨時的な給与」に該当するものと解するのが相当である。
これを本件についてみると、①本件未払金勘定貸方計上額は、その支給時期及び支給回数が使用人の賞与の支給日及び支給回数と同じであることからすると、その全額が経常性のない一時的なものと認めるのが相当であること、②平成17年7月計上額は、その計上日にその全額が各役員に対し支給されているところ、同人らに対する同月の前3か月及び後4か月の各支給額が、それぞれ定額であることからすると、同人らに対する各支給額のうち当該各定額を超える額は、支給状況全体との関連から、経常性のない一時的なものと認めるのが相当であること、③平成17年12月計上額のうちHに係る計上額は、その計上日にその全額が同人に対し支給されているところ、同人に対する同月の前後3か月の各支給額が定額であることからすると、同人に対する支給額のうち当該定額を超える額は、支給状況全体との関連から、経常性のない一時的なものと認めるのが相当であること、④平成17年12月計上額のうちE、G及びFに係る各計上額は、その計上日にその全額が同人らに対し支給されているところ、同人らに対する同月の前4か月の各支給額が上記②のとおり定額であり、また、同人らに対する同月の後7か月の各支給額も、それぞれ定額であることからすると、同人らに対する各支給額のうち上記各定額(同月の後7か月の各支給額)を超える額は、支給状況全体との関連から、経常性のない一時的なものと認めるのが相当であり、比較する各定額が平成17年12月の後7か月の各支給額ではなく、同月の前4か月の各支給額であることについては、これを認めるに足る証拠はないのであるから、比較する各定額は同月の後7か月の各支給額とするのが相当であることから、本件未払金勘定貸方計上額並びに上記②、③及び④の各超過額は、法人税法第35条第4項に規定する「臨時的な給与」すなわち役員賞与に該当し、本件各事業年度の損金の額に算入することはできない。
建物貸付けは、同族会社2社及び親族に対する限定的かつ専属的なものであり、貸付けに係る維持管理等の程度が実質的には相当低いとして、不動産所得を生ずべき事業に当たらないとした事例
裁決事例集 第74集 37頁
要旨
請求人は、①資産の取得に係る投資額(借入金)の多寡を重要視すべきであること、②事業とは、社会通念に照らして事業と認められるものすべてを含み、事業所及び人的・物的要素を結合した経済的組織を必ずしも必要とせず、本件貸付けは十分に自己の危険を持ち得る事業といえること、また、③総合ビジネスを視野においた事業を行うという計画を基に建築、事業経営を行っているという現状にかんがみると、本件貸付けは不動産所得を生ずべき事業に該当すること、さらに、④東京高裁平成13年7月11日判決の中で挙げられている事業規模の判断基準に照らし合わせた場合、本件貸付けは事業に該当するとも主張する。
しかしながら、不動産貸付けが不動産所得を生ずべき事業に該当するか否かは、①営利性・有償性の有無、②継続性・反復性の有無、③自己の危険と計算における事業遂行性の有無、④取引に費やした精神的・肉体的労力の程度、⑤人的・物的設備の有無、⑥取引の目的、⑦事業を営む者の職歴・社会的地位・生活状況などの諸点を総合して、社会通念上事業といい得るか否かによって判断するのが相当と解される。
本件貸付けについては、営利性、継続性、人的・物的設備など部分部分としてみた場合は直ちに事業ではないということはできない要素も認められるが、本件貸付けは、本件同族会社2社及び親族に対する限定的かつ専属的なものであり、平成5年借入金は、請求人の税理士事務所等として使用することを目的とした本件建物の建設資金等であったこと及び本件借入金の年間返済額は、本件貸付けの年間賃貸料収入を上回っており、本件貸付けに係る賃貸料収入以外の収入も原資となっていること、また、本件同族会社2社の賃貸料は、それぞれの法人の収入及び人員割合が計算の根拠となっていることからすると、請求人における事業遂行上その企画性は乏しく、危険負担も少ないと認められる。また、本件建物は、その構造からみて他に賃貸が可能である等の汎用性が少ないなど、これらの点における請求人の自己の危険と計算による事業遂行性は希薄であると認められる。
さらに、本件建物の設備等の管理・修理点検等は請求人が行っているものの、清掃及び冷暖房設備点検、ビルの防犯・火災のセキュリティ契約等は本件同族会社2社が行っていること、賃貸料の集金等はインターネットバンキングにより振替処理されていること、また、本件貸付物件は本件同族会社2社及び親族に継続して貸し付けられていることから、請求人にとって賃借人の募集等をする必要はなく、賃貸料の改定交渉等の業務の煩雑さもなく、ビル管理業務等の負担も軽微であることから、本件貸付けに費やす精神的・肉体的労力の程度は、実質的には相当低いと認められる。
これらの諸点を総合勘案すると、本件貸付けは、社会通念上事業と称するに至る程度のものとは認められないと判断するのが相当である。
所得税法第90条に規定する平均課税を適用せずに確定申告が行われた後、平均課税の適用を求めてなされた国税通則法第23条第1項に基づく更正の請求が認められないとした事例
裁決事例集 第74集 88頁
要旨
請求人は、国税通則法第23条に規定する更正の請求は確定申告書の誤りを申告後に変更するための制度であり、確定申告書自体を訂正する意味を持つため、本件規定を適用せずに本件確定申告書を提出しても、本件更正の請求により本件規定の適用が認められるべきである旨主張する。
しかしながら、本件規定の適用を受けるには、所得税法第90条第4項において確定申告書に本件規定の適用を受ける旨及び平均課税の計算明細を記載することが要件とされているところ、本件確定申告書にはこれらの記載はなく、請求人は本件規定を適用せずに税額計算を行ったということとなる。そうすると、本件確定申告書において本件規定を適用せずに税額計算を行ったことは、そのこと自体法律の規定に反するものではなく、また、その計算に誤りはないと認められることから、本件確定申告書には、国税通則法第23条第1項に規定する課税標準等若しくは税額等の計算が国税の法律に従っていなかったこと又は当該計算に誤りがあったとは認められないため、請求人の主張には理由がない。
要旨
請求人は、原処分庁が任意売却の申出を認めずに請求人の居住用財産である本件建物の公売処分を強行したことは、権利の濫用に当たる旨主張する。
しかしながら、差押財産を換価するときは、公売によって行うこととされており、納税者の居住用財産を換価する場合に、納税者の事情を考慮した換価手続を行わなければならない又は公売以外の方法により換価しなければならないとする法令上の規定は存在しない。そして、公売は、差し押さえた財産を買受希望者の自由競争に付し、その結果形成される最高価額により売却価額及び買受人となる者を決定するための一連の手続であり、強制換価手続である国税滞納処分の手続の公正を維持しながらも、なるべく高価で納税者に有利な売却を行うことをある程度まで制度的に保障しようとする手続であると解される。本件において、原処分庁が請求人からの任意売却の申出を認めずに公売を行ったことは、法令上の規定に従ったものであり、また、請求人の申出に係る任意売却による買受希望者が公売に参加し最高価で入札することもできたのであるし、さらに、強制換価手続において納税者の権利利益も保護しようとする上記の公売の趣旨及び目的に反する事実は見当たらないから、本件公売公告処分が権利の濫用に当たり違法又は不当ということはできない。
要旨
請求人は、請求人が行った絵画の譲渡は、その売却資金をすべて宗教活動の資金としている等、宗教法人である請求人の宗教活動の一環として行われたものであること、また、単発的な取引であり、消費税法第2条第1項第8号に規定する「事業として」行われたものに該当しないことから、消費税等の課税対象とはならない旨主張する。
しかしながら、宗教法人が宗教活動の一環として行った資産の譲渡等について消費税等を課税しないとする法令上の規定はなく、また、法人はそれ自体が事業を行う目的で設立されることからすれば、法人が行う資産の譲渡等は、そのすべてが事業として行われたものに該当することになると解されるから、法人である請求人が行う絵画の譲渡は、事業として行われたものに該当することになる。したがって、請求人の主張には理由がない。
破産会社が関係会社の負債の弁済義務を負うとした判決に基づき支払われた弁済額は、もはや関係会社に対して求償権を行使できない状況にあるから、支払った事業年度の損金の額に算入することができるとした事例
裁決事例集 第74集 125頁
要旨
原処分庁は、本件判決の確定により、破産会社が本件遅延損害金の支払義務を負うことが確定したとしても、仮に破産会社がA社に本件遅延損害金を弁済すると、破産会社は関係会社に対して求償債権を取得するから、最終的な破産会社の負担額は確定していない。また、仮に関係会社に対する求償債権が事実上貸倒れにあり、回収することができない状態にあったとしても、貸倒損失を損金の額に算入するためには損金経理をしておく必要があるが、破産会社は、本件遅延損害金につき損金経理をしていないから、貸倒損失を計上することができない旨主張する。
この点について、本件判決が確定しただけでは、破産会社が本件遅延損害金の全額を負担することが確定したということはできないから、本件判決の確定のみをもって、本件遅延損害金を、法人税法第22条第3項第2号の費用として、本件事業年度の損金の額に算入することはできない。
しかしながら、A社は、本件事業年度内において、地裁等から強制管理に係る本件配当金を受領してこれを全額貸金債権の元本に充当しているところ、その時点で破産会社は関係会社に対する当該配当金相当額の求償債権を有することになるが、破産会社が上記貸金債権の弁済責任を負うに至った経過や関係会社の財産状況等から、破産会社が当該配当金相当額の最終的な負担者となることは明らかであったと認められるから、そのような求償債権を、形式上、資産として計上しなければならないとすることは相当ではなく、破産会社は、当該配当金相当額を、法人税法第22条第3項第3号の損失として、本件事業年度の損金の額に算入することが許されるというべきである。
要旨
請求人は、法人税法第36条及び法人税法施行令第72条に規定する適正役員退職給与の額の具体的な判断基準としていわゆる功績倍率法を用いることについて争いはないが、原処分庁が類似比較法人として選定した会社は不明であり、その数も少ないこと、代表取締役と取締役の功績倍率が同じというのは不自然であり、社会通念上も余りに低率であること、Fは創業以来の代表取締役であること、Hは創業者の妻であり創業以来の取締役であること、裁判事例や裁決事例でも功績倍率が3.3~3.6倍というのは定着していることなどからすると、Fの功績倍率を3.6、Hの功績倍率を3.3とするのが相当である旨主張する。
原処分庁は、功績倍率を求めるために、請求人の類似比較法人として4社を選定しているところ、その抽出基準は請求人の事業内容や事業規模等を反映させたものであって合理的なものと認められ、実際に比較法人を抽出するに当たって、し意的に抽出した等の事情は認められない。
ただし、比較法人のうち、a法人については、資金繰りのために役員退職給与規定に定められた功績倍率より大幅に低率の功績倍率に基づいて算定した退職給与を支給したとの特殊な事情があり、実際に支給された金額も他の3社に比べて大幅に低いものであることに照らすと、比較法人からa法人を除外した3社を比較法人として、功績倍率を算定するのが相当である。そうすると、平均功績倍率は1.9となる。
確かに、平均功績倍率を算出するに当たっては、比較法人の数が多いことは望ましいが、その数が少ないことのみをもって、算出された平均功績倍率が相当性を欠くということはできず、上記の事情によれば、比較法人を3社として平均功績倍率を算出したことに合理性がないとはいえない。
また、功績倍率を定めるに当たっては、代表取締役か取締役か、また、創業以来の役員であるかどうかなどの名目だけではなく、会社への実際の貢献度等の実質も考慮されるべきであるところ、当審判所の調査によっても、上記の平均功績倍率を本件に当てはめることが相当性を欠くと認められるほどに、F及びHの請求人への貢献度が高かったことを裏付ける事情は認められない。
さらに、本件に関する具体的事情を考慮せず、裁判事例や裁決事例と異なるというだけで、上記の平均功績倍率が社会通念上不相当に低率であるということもできない。
要旨
請求人は、譲渡所得の総収入金額の収入すべき時期は、その資産の支配の移転の事実に基づいて判定した当該資産の引渡しの時により判定すべきところ、①請求人は所有権移転登記に必要な書類を引き渡していないこと、②契約書上、売買代金の全額の支払いと同時に所有権移転及び引渡しを行うこととなっており、また、違約条項があることから契約破棄が理論上可能であることなどから、本件土地に係る譲渡所得の総収入金額の収入すべき時期は平成17年ではないと主張する。
しかしながら、その年分の各種所得の金額の計算上収入金額とすべき金額は、その年において収入すべき金額とされているところ、譲渡者による資産の引渡しがあれば、通常、所有権も移転しているものと考えられ、かつ、譲渡者が資産を引き渡した時には、相手方に対してその譲渡代金を請求できることが確定的となり、譲渡代金相当額を収入すべき金額と認識し得る状態とみることができるから、譲渡所得の総収入金額の収入すべき時期は、原則として、その所得の基因となる資産の引渡しがあった日によるものと解するのが相当である。
そして、その引渡しがあった日の判定に当たっては、必ずしも売買契約書上の引渡しの時期に関する文言にとらわれることなく、本件契約と別件契約はもともと一括の契約であるか否かなどの取引諸事情、契約内容及び買主がその資産の使用を開始した時期などを総合的にみて、実質的にその資産に対する支配管理の変動があった時期がいつかという観点から判断するのが相当である。
本件買受会社は、本件土地及び別件土地を一括して買い受け、本件開発区域の一団の土地の一部として、宅地造成をすることを予定していたと認められる。また、請求人は、本件買受会社の開発行為に全面的に協力する旨を約した上で契約し、本件契約の直後に同社に開発行為施行同意書を提出していること、仮登記以後の本件土地の危険負担等は、同社が負うことになっていることからすると、請求人と本件買受会社の間では、本件契約の締結時に本件土地の支配管理が請求人から本件買受会社に移転する旨の合意があり、本件買受会社は本件土地の使用収益が可能となったものと認められる。そして、本件開発区域の造成工事は、平成17年10月初旬に着工された上、請求人ら地権者の立ち入りもできなかったことから、本件買受会社が現実に使用収益を開始し、実質的に支配管理の移転があったと認められる。
以上のことからすると本件土地の譲渡の時期は平成17年10月初旬とするのが相当である。
修正申告のしょうように至るまでの過程において、原処分庁が当初保有していた情報とは異なる申告漏れが判明した事情がある場合において、修正申告は更正があるべきことを予知してなされたものであると認めた事例
裁決事例集 第74集 27頁
要旨
課税庁が申告内容について調査を行い、その結果に基づき修正申告のしょうようをした後に、修正申告書の提出があった場合には、自発的な修正申告があったとはいえないから、かかる修正申告書の提出は国税通則法第65条第5項に規定する「更正があるべきことを予知してされたものでないとき」に当たらない。
本件では、①原処分庁は請求人の所得税に関する調査を行うために呼び出したこと、②その日に請求人に対する調査が行われたこと、③その結果、その場で配当所得の申告漏れになっていた正しい事実が明らかになったこと、④調査担当職員が調査の経過に照らし、上記配当所得以外の申告漏れは見込まれないと判断したことが認められ、修正申告のしょうようがあったものといえる。
そして、原処分庁は、本件調査日以前に何度か請求人に対してC社との取引内容を明らかにする文書を提出するように求め、当初入手情報の存否の当否を確認するよう努めており、また、調査担当者は、本件調査日において、D社の株式に係る配当金が本件取引口座に入金されているにもかかわらず、当該収入が申告されていなかったという正確な情報を把握した上で修正申告をしょうようしたのであるから、請求人の主張は前提を欠いており理由がない。
譲渡契約の日以降も不動産所得を生ずべき業務の用に供される建物の未償却残高について、譲渡所得の計算上、取得費として既に必要経費に算入されていることから、譲渡の日以後生ずる不動産所得の計算上、減価償却費には算入されないとした事例
裁決事例集 第74集 66頁
要旨
請求人は、建物移転補償金は、実際に建物を取り壊したときに対価補償金に当たるものとして取り扱うことができることからすると、本件建物等移転料については、本件建物を取り壊した平成16年分の所得として申告すべきであり、平成14年には本件建物の譲渡所得の総収入金額は発生していないから、本件修正申告は、申告義務のない違法な申告であり、本件各土地及び本件建物等移転料に係るいずれの譲渡所得も平成16年分となるべきである旨主張する。
しかしながら、譲渡所得の総収入金額の収入すべき時期は、譲渡所得の基因となる資産の引渡しがあった日によるが、納税者が当該資産の譲渡に関する契約の効力発生の日により総収入金額に算入して申告があったときは、これを認めることと取り扱われている。
そして、一の契約において、2以上の資産の譲渡が行われた場合、一部の資産について、その引渡しがあった日を譲渡の日とし、他の資産について、契約の効力が発生した日を譲渡の日として申告することは、納税者の選択により、契約の効力発生の日を譲渡の日として選択することを認めた趣旨に合致しない不合理なものであることから、認められないと解すべきである。
これを本件についてみると、請求人は、本件建物等移転料については租税特別措置法通達33-14の定めに従い、本件修正申告において、これを対価補償金として申告することを選択しており、その後、本件建物は平成16年3月下旬に取り壊されている。
また、本件建物等移転料の支払いに係る契約は、本件各土地の譲渡と一体不可分の契約であると認められ、本件各土地の対価補償金と本件建物等移転料のいずれもがこの契約により平成14年において、収入すべきことが確定した金額であると認められる。
そして、少なくとも、本件建物等移転料を対価補償金として譲渡所得の総収入金額に算入することを選択した場合には、本件各土地の対価補償金と本件建物等移転料の収入すべき金額に係る譲渡所得の収入すべき時期については、同一の基準で判断すべきであると認められるところ、請求人は本件各土地の対価補償金、残地補償金及び建物等移転料について、契約の効力発生の日の属する平成14年分の譲渡所得の総収入金額として修正申告しており、これは適法な申告であると認められる。
加えて、請求人は、本件修正申告において、譲渡所得の金額の計算上、本件建物等移転料の対象となった本件建物について、平成14年9月末現在の未償却残高を取得費として控除していることが認められ、これは所得税法第38条の規定に照らして適正なものであると認められるから、本件建物の取得に要した金額のすべては、請求人の平成14年分までの不動産所得及び譲渡所得の所得金額の計算上、その各所得の総収入金額から控除されている。
したがって、平成15年分の所得税の不動産所得の金額の計算において、本件減価償却費を必要経費とすることは、本件建物の取得に要した金額を超える金額を、所得の計算上控除することとなり、すなわち、投下資本の回収部分を超える金額を控除することになるから、本件減価償却費を必要経費に算入することは認められない。
倍率方式で評価する地域内に所在する市街地農地を評価するに当たり、当該農地が宅地であるものとした場合における固定資産税評価額が明らかな場合には、当該固定資産税評価額を基として当該農地が宅地であるものとした場合の価額を算定すべきであり、また、 控除すべき造成費に給水管等敷設費は含まれないとした事例
裁決事例集 第74集 357頁
要旨
1 財産評価基本通達40において、市街地農地の価額は、その農地が宅地であるとした場合の1平方メートル当たりの価額から宅地に転用する場合に通常必要と認められる造成費に相当する金額を控除して評価することとしており、倍率方式によって評価する地域内に所在する場合には、その農地が宅地であるとした場合の価額の算定をどのように行うかが問題となるところ、財産評価基本通達では、その農地が宅地であるとした場合の1平方メートル当たりの価額は、その付近にある宅地について同通達11に定める方式によって評価した1平方メートル当たりの価額を基とし、その宅地とその農地との位置、形状等の条件の差を考慮して評価するとして実務上の取扱いを定めている。
X市においては、市街化区域内に所在する田及び畑の固定資産税評価額は、その農地が宅地であるとした場合の価額から造成費相当額を控除することによって求められているから、原則として、市街化区域内に所在する農地の固定資産税評価額の算出過程においては、評価対象地が宅地であるとした場合の固定資産税評価額そのものが算定されていることになるのであり、評価対象地が宅地であるとした場合の固定資産税評価額そのものが算定可能である場合には、あえて付近の宅地の価額を基に算定するまでもなく、その固定資産税評価額を基に評価するのが相当である。
2 農地を宅地に転用するとは、農地を建築物の建築の用に供するためにその地面や地盤の変更を行うことをいうものと解されるが、実際にはその地域、土質、造成規模、造成目的などの条件によってその内容は種々異なることになる。その具体的な内容としては、宅地以外の土地を宅地化するために土地の形質を変更するために行われる整地、土盛り又は土止めに係る工事と、②造成の目的が、戸建住宅、アパート、マンション、工場、倉庫、構築物の敷地などの各用途の別により必要とされる個別の工事とが考えられる。このうち、②の造成工事については、その土地上にどのような建物等を建築するかの個別事情に左右される部分が大きいことから各建築物に附属する費用とも捕らえることができる。市街地農地を評価するに当たって造成費相当額を控除するのは、市街地農地の価額の形成要因が、農地としての利用ではなく宅地としての利用を前提としたものであり、その要因は近隣の更地である宅地と変わりがなく、また、更地である宅地との比較においては、宅地造成費相当額分だけの格差があるものと認められることによる。そのために通常必要とされる宅地造成費とは、どのような建築物が建築されるかにかかわらず必要とされる整地、土盛り又は土止めに要する金額を指すものと解するのが相当である。
この点について、請求人らは、宅地造成費に給水管等敷設費を含めているが、給水管等敷設費は、宅地を戸建住宅の敷地として利用するための個別の費用であり、このような費用は上記②の造成工事費に該当すると認められるから、宅地比準方式により土地を評価する上で控除の対象となる宅地に転用する場合において通常必要と認められる造成費には当たらないものと認められる。
相続により取得した財産に係る相続開始前における所有権の取得時効の完成、所有権の取得という事実が判決により後発的に確定した場合、当該判決は、国税通則法第23条第2項第1号にいう判決に当たり、当該事情を財産の価額に与える影響要因として考慮した場合には、その財産の価額は零円とみるのが相当とした事例
裁決事例集 第74集 1頁
要旨
請求人らは、本件相続に係る相続税の申告に当たり、本件相続開始日において、本件土地は相手方に対して使用貸借により貸し付けているという事実、換言すると、相手方による取得時効の完成が認められないという事実を基礎とし、そのため本件土地を自用地としての価額で評価して申告したが、その後の本件判決によって、本件相続開始日前には既に所有権の取得時効の期間が満了し、本件土地の取得時効は完成していたという事実が確定したものであり、このことは、申告の基礎とした事実と本件判決で確定した事実とに相違があるといえる。
また、本件判決で確定した事実は、本件相続開始日において、本件土地には、時効の援用以外の取得時効の要件が満たされており、請求人らの意思いかんにかかわらず、相手方の時効の援用があれば一方的に所有権を時効取得される状態にあったということであり、これは、本件土地の価額に影響を及ぼすべき事情として、相続税の課税標準、ひいては税額の計算に影響を与えるものといえる。
そして、その財産の評価に当たっては、その財産の価額に影響を及ぼすべきすべての事情を考慮するものであり、本件土地については、相続開始時において既に時効期間が経過しており、相続人にとっては、所有権を確保すべき攻撃防御方法がないために、相手方に時効を援用されれば所有権の喪失を甘受せざるを得ない状態の土地であることが本件判決の確定によって明らかとなったところ、このような状態の土地は、相続人が所有権を確保しようとすれば、時効を援用する相手方に対し、課税時期現在における当該土地の客観的交換価値に相当する金員の提供を要するのが一般的である土地ということができるから、そのことを価額に影響を与える要因として考慮すると、土地の価額と提供を要する金額が同額であるから、結局のところ、その財産の価額は零円になると理解するのが相当と認められる。
要旨
請求人は、リースにより賃借した本件各減価償却資産が、①剛性のある物体から構成されている、②一定の相対運動をする機能を持っている、③それ自体が仕事をする、という機械の判定要件である三つを満たすものであり、法人税法施行令《減価償却資産の範囲》第13条第3号に規定する「機械及び装置」に該当する旨主張する。
しかしながら、請求人の主張する三つの要素は、機械及び装置の一般的な要素とはいえるものの、法人税法施行令第13条第3号に規定する「機械及び装置」というためには、複数のものが設備を形成して、その設備の一部としてそれぞれのものがその機能を果たしていなければならないと認められるところ、本件各減価償却資産は、①検査、分析、判定、測定等を行うことにより、その工程が全て終了するものであること、②それ自体単体で個別に作動するものであり、他の機器と一体となって機能を発揮するものではないことなどの性質を有していることから、上記の要件を満たしているものということはできないので、同号に規定する「機械及び装置」には該当しない。
また、本件各減価償却資産は、それ自体で固有の機能を果たし、独立して使用されるものであるので、法人税法施行令第13条第7号に規定する「器具及び備品」に該当するが、租税特別措置法第42条の6《中小企業者等が機械等を取得した場合等の特別償却又は法人税額の特別控除》第3項の適用対象となる器具及び備品は、事務処理の能率化に資するものとして財務省令に定めるものに限定されているところ、本件各減価償却資産の機能からすれば、同項に規定する「器具及び備品」にも該当しないので、同項の規定は適用できない。
可分債権である貸付金債権については、可分債権であることをもって分割の対象とならない財産とみるのは相当ではなく、 共同相続人間で実際に分割が行われた場合、 実際に分割が行われないまでも、相続分に応じて取得する旨の共同相続人全員の合意がされた場合、 一部の相続人が可分債権に対する自己の相続分相当の権利を行使した場合など、明らかにその全部又は一部の帰属が確定している場合を除き、他の未分割財産と一体として取り扱うのが相当であるとした事例
裁決事例集 第74集 274頁
要旨
本件は、原処分庁が申告漏れ財産が存在するとして第一次更正処分を行うとともに、遺産の一部未分割の場合には、分割済財産を特別受益と同じように考慮に入れ、いわゆる穴埋方式により課税価格を計算すべきであるとして第二次更正処分を行ったところ、請求人が、①遺産の一部未分割の場合の課税価格は、分割済財産を考慮することなく、いわゆる積上方式で課税価格を計算すべきである、②関係法人に対する貸付金債権(以下「本件貸付金債権」という。)の評価額は○○○○円である等として、原処分の全部の取消しを求めている事案であり、争点は、次の5点である。
① 未分割財産がある場合の相続税の課税価格の計算方法
② 本件貸付金債権の評価額
③ 土地の評価額(広大地評価の適用の有無)
④ 小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例の適用の有無
⑤ 第二次賦課決定処分の適否
最高裁判決によれば、相続人が数人ある場合において、相続財産中に金銭その他の可分債権があるときには、その債権は法律上当然に分割され、各相続人がその相続分に応じて権利を取得するものと解される。
しかしながら、遺産の分割は、遺産に属する物又は権利の種類及び性質、各相続人の年齢、職業、心身の状態及び生活の状況その他一切の事情を考慮してこれをするとされるところ、金銭等の可分債権については、その他の財産の分配における過不足を調整させる意味合いから、一般的には、これらを一体と捕らえた遺産分割が行われているところであり、また、家庭裁判所の実務においても、最高裁判決を前提としながらも、遺産を総合的に分割するためには、預金等を含めた方が合理的であり、その実際的必要性が高いため、預金等の可分債権を遺産分割の対象にしている例が多いと認められる。
このような実体を相続税賦課の観点からみるときは、最高裁判決を前提として相続財産が可分債権であることを考慮に入れてもなお、当該財産をもって分割の対象とはならない財産とみることは相当ではないから、当該可分債権について、①共同相続人間で実際に分割が行われた場合、②実際に分割が行われないまでも、相続分に応じて取得する旨の共同相続人全員の合意がされた場合、③一部の相続人が可分債権に対する自己の相続分相当の権利を行使した場合など、明らかにその全部又は一部の帰属が確定している場合を除き、他の未分割財産と一体として取り扱うのが相当である。
要旨
国税通則法第46条第2項の規定に基づく納税の猶予制度は、一定の事由により納付困難となった納税者を救済するものであるとしても、それは他の一般の納税者との租税負担の公平の実現の上において認められる納税者救済制度であるから、納税の猶予を申請した納税者が、他の一般の納税者からみても、納税の猶予を相当とする程度の状態にあることが必要であると解するのが相当であり、同項第4号が「著しい損失を受けたこと」と規定していることも併せ考えると、同項第5号に規定する「第4号に該当する事実に類する事実」について定めた猶予取扱要領の第2章第1節1の(3)のヘの(ハ)にいう「売上げの減少等」とは、その売上げの減少等が著しい状態にあることが必要と解される。
これを本件についてみると、原処分庁における審査過程において、請求人の妻は原処分庁に対し、平成17年1月から平成18年3月までの各月別の売上金額に関する資料を提出しているが、平成16年分の売上金額に関する資料は提出していないことから、原処分庁は、提出された資料では売上金額が前年より減少した事実を確認することができないので、同項第4号に類する事実がないと判断したものであり、その判断は当審判所においても相当と認められる。
また、請求人から当審判所に提出された資料によれば、売上金額は前年より増加しており、売上げが減少している事実が認められない以上、猶予取扱要領の第2章第1節1の(3)のヘの(ハ)にいう「売上げの減少等の影響を受けた」と認めることはできない。
「○○」取引を行う特定外国子会社等について、その主たる事業は「卸売業」に当たらず、その事業を主として本店所在地国において行っている場合にも該当しないとした事例
裁決事例集 第74集 226頁
要旨
請求人は、同人の特定外国子会社等に該当するL区の子会社が行う事業(以下「本件事業」という。)は、自らは製造を行わないで、自己の所有に属する原材料をK国の企業に支給して製品を造らせ、これを自己の名称で販売するものであり、日本標準産業分類上卸売業に分類される「製造問屋」であるから、租税特別措置法第66条の6第3項第1号に規定する「卸売業」に該当する旨主張する。
しかしながら、当該製品の製造に係る費用を同子会社が負担していることなどからすると、同子会社は、自己の計算において原材料を仕入れ、加工等をして製品を完成させ、最終消費者以外の事業者に販売する事業を行っていたと認められるところ、同号に規定する「卸売業」とは、有体的商品を仕入れ、物理的又は化学的な変化を加えずに、最終消費者以外の事業者に販売する事業をいうから、本件事業は、同号に規定する卸売業には該当しないと認められる。また、外国子会社合算税制の適用除外要件を適用するために行う事業区分の判定は、租税特別措置法第66条の6第3項各号の立法趣旨・目的等も勘案して判定すべきものであり、必ずしも日本標準産業分類の分類どおりに判定するものではないと解される上、その事業内容の実態に照らしても、本件事業は同項第1号に規定する「卸売業」には該当しないと認められるから、請求人の主張は採用できない。
要旨
請求人らは、相続財産である貸付金債権について、①債務者である同族会社は、年商の約8倍もの銀行借入金を有していること、②返済期限の迫っている銀行借入金を返済する原資を有しておらず、賃貸用建物の売却代金をもってしてもなお銀行借入金を完済することができなかったこと等からして、当該会社の事業経営は、相続開始日において実質的に破綻しており、本件貸付金は回収不能債権であると認められる旨主張する。
しかしながら、①会社の借入金が多額であっても返済条件に従った返済がなされている限り、債権者がそれ以上の返済を求めることはなく、事業経営を継続することは可能であり、現に、会社の借入金については相続開始日において返済期限は到来しておらず、また、過去において返済が滞ったことはなく、銀行から臨時弁済を求められた事実もないこと等からすれば、借入れ金額が多額であることをもって事業経営が実質的に破綻しているとは言えず、②会社の収入は年々減少しているものの、相続開始後解散までの間は営業を継続しているから、収入が減少していることをもって事業経営が実質的に破綻しているともいえず、さらに、③本件において、相続開始後会社の賃貸用建物が請求人の一人に譲渡され、当該譲渡代金をもって銀行借入金が繰上げ返済され、その結果、会社の主たる資産及び収入の手段がなくなり、会社を解散するに至ったこと等を総合勘案すれば、相続開始日において、債務者である会社につき事業経営が破綻していることが客観的に明白であると認めることはできない。
外国に所有するマンションに係る譲渡所得を申告しなかったため平成16年分の所得税の更正処分を受けた請求人が外国税額控除の適用があるとして同処分の取消しを求め、また、外国税額控除が平成16年分の所得税において適用されないなら、平成17年分において適用すべきとの主張を排斥した事例
裁決事例集 第74集 98頁
要旨
請求人は、A国に所在する不動産を平成16年に譲渡した所得は日本とA国の両方で課税対象となっており、二重課税の状況にあることから平成16年分の所得税において外国税額控除を適用すべきであり、また、平成16年分の所得税において外国税額控除が適用されないのであれば、平成17年分の所得税において外国税額控除を適用すべきであるから、請求人の更正の請求に対する更正をすべき理由がない旨の通知処分を取り消すべきである旨主張する。
しかしながら、請求人の場合、A国で納付すべき外国所得税の額が確定したのは平成17年中であり、平成16年中に納付する外国所得税の金額はないから、平成16年分の所得税額の計算において外国税額控除の適用を認める余地はなく、平成16年分の所得税の更正処分は適法である。
また、請求人が提出した平成17年分の所得税の確定申告書及びこれに添附された外国税額控除に関する明細書には、適法に計算された金額が記載されているから、更正の請求に理由がないとする当該通知処分は適法である。
要旨
請求人らは、本件預貯金等のうち、①妻名義のものは、妻が被相続人との婚姻前から保有していた預貯金及び妻固有の収入並びに生活費を節約して貯めたヘソクリを原資として形成されたものである、②子名義のものは、子が両親との同居期間中に子固有の収入から生活費として家計に入れていた金員等を原資として形成されたものである、また、③一部のものについては被相続人から生前に贈与を受けたものである旨主張する。
しかしながら、①本件預貯金等のうち妻及び子名義の郵便貯金の一部については、「郵便貯金メモ」等により被相続人が管理しており、被相続人がその処分権を有していたと認められること、②本件預貯金等のうち①以外の預貯金等についても原資は被相続人が出捐したものであり、その管理も被相続人により行われていたと認められること、③妻の固有収入は本件預貯金等以外の預金に化体しており、本件預貯金等の原資たり得ないこと、④子が固有収入を生活費として家計に入れていた事実を認めるに足る客観的証拠はないこと、⑤生前に贈与を受けたと請求人らが主張する預貯金等について妻は贈与を受けたことはない旨答述している上、贈与されたと主張する預貯金等の管理運用は被相続人が行っており、贈与の事実は認められないこと等から判断すると本件預貯金等は相続財産であると認めるのが相当であり、請求人らの主張は採用できない。
なお、妻名義の普通預金1口については、原資が不明である上、口座開設時の印鑑届の筆跡も妻であり相続財産とは認められないから、原処分はその一部を取り消すべきである。
要旨
請求人は、零細企業で、賞与を支給できる財務内容ではなく、請求人の代表者(以下「本件代表者」という。)が自由に費消できる資金などは全くないこと、また、請求人には本件代表者に対して賞与を支給する意思はなく、同人も賞与を受けた認識はないことから、請求人が仕入れ等のために振り出した小切手を本件代表者が現金化し、同人が所持していた現金(以下「本件各現金」という。)を本件代表者への賞与とする納税告知処分は取り消されるべきである旨主張する。
しかしながら、①本件代表者は、請求人の事業経営及び経理の実権を有する唯一の者であると認められること、②請求人は、青色申告法人であり、取引に関係する帳簿の記録及び資料の保存が必要であるところ、本件各現金の使途を明らかにする帳簿の記録や資料等の保存が一切なく、当該小切手を現金化した後の本件各現金の使途が不明であること、及び③本件代表者が、当該小切手を現金化した後に本件各現金に相当する金員を会社のために支出した事実が認められないことからすれば、本件各現金は、本件代表者が取得したとみるほかなく、請求人から本件代表者に対して支給された臨時的な給与、すなわち役員賞与に当たるものと認められる。したがって、本件各現金を本件代表者に対する賞与とした原処分は適法である。
税務調査において消費税法第30条第7項に規定する課税仕入れ等の税額の控除に係る帳簿及び請求書等の提示がされなかったとして仕入税額控除の適用が認められないとした事例
裁決事例集 第74集 450頁
要旨
請求人は、帳簿を保存していたのに、調査担当者が第三者の立会い排除要求に請求人が応じないことを理由に帳簿を確認せず仕入税額控除を否認したのは違法である旨主張する。
しかしながら、消費税法第58条は事業者に課税仕入れ等に関する帳簿等の保存を義務付け、同法第62条は税務職員にこれらの帳簿等を検査することを認めている。このように課税仕入れ等に係る帳簿等が税務職員による検査の対象となることを前提に、同法第30条第7項は、事業者が課税仕入れ額に係る帳簿等の保存をしている場合において、税務職員がこれらの帳簿等を検査することができるときに限り、同条第1項の仕入税額控除を適用できる旨明らかにしたものである。
この趣旨からすれば、事業者が仕入税額控除の適用を受けるには、法が定める帳簿等を整理し、これらを所定の期間及び場所において、税務職員による検査に当たり適時に提示することが可能なように態勢を整えて保存することを要し、事業者がこれを行っていなかった場合には、仕入税額控除は適用されないというべきである。
これを本件についてみると、調査担当者は再三にわたって、帳簿等の提示がない場合には仕入税額控除の適用が認められない旨の説明をした上で、第三者を退席させた上で帳簿等を提示することを求めていたところ、これらの提示要求に違法な点は認められない。そして、請求人が専ら立会いなしでは調査に応じられないという理由で帳簿等の提示を拒んでいたことに照らすと、請求人は、帳簿等の提示要求に応じ難いとする格別な理由がなかったにもかかわらず提示しなかったというべきである。
これらから判断すると、本件は同法第30条第7項に規定する「事業者が当該課税期間の課税仕入れ等の税額の控除に係る帳簿又は請求書等を保存しない場合」に当たり、原処分庁が同条第1項の規定を適用せず仕入税額控除を否認した更正処分は適法である。
要旨
審査請求によって処分の取消しを求めるには、請求人にその取消しを求める利益があることが必要であるところ、本件国税の本税は既にその全額が納付されている上、延滞税についても、本件換価の猶予によって、納税の猶予が許可されたとした場合の免除額に相当する額が免除されていることから、請求人には原処分の取消しを求める利益はないといわざるを得ず、したがって、本件審査請求は請求の利益を欠く不適法なものである。
親会社からの劣後特約付借入れが法人税の負担を不当に減少させる行為に当たるとして、当該借入れに係る支払利息の額のうち適正利率により計算した額を超える部分の損金算入を否認した事例
裁決事例集 第74集 197頁
要旨
請求人は、親会社からの劣後特約付の借入れ(本件借入れ)は、①請求人の組織再編に伴うメーカーや卸業者からの保証金差し入れ要求に備えるため、②設備投資(リース)及び新店舗の展開を行うため、並びに③請求人の財務体力・信用力の維持を同時に実現するために行ったのであるから、合理性があった旨主張する。
しかしながら、請求人は、本件借入れ時点において十分な事業資金を有しており、請求人には劣後特約を付した高率の利息を支払ってまで借入れを行う必要性は全く認められないことからすれば、請求人が本件借入れを行ったことは、通常の経済人を基準にすれば、経済的合理性のない不自然・不合理な行為と認められ、結果的に法人税の負担を不当に減少させるものと認められる。したがって、法人税法第132条の規定を適用して劣後特約を否認し、通常あるべき行為(劣後特約の付されていない借入れ)に引き直すと、本件借入れの適正な利率は、請求人の当時の取引銀行からの平均調達金利とするのが相当であるから、それを超える支払利息は、何ら対価性がなく、法人税法第37条第7項に規定する寄附金と認めるのが相当である
要旨
本件土地が属する地域は、①幹線道路沿であることから、規模に規制のない店舗等を許容する第二種住居地域に指定され、その結果、幹線道路の交通量を勘案して、沿道の後背地にある主に第一種中高層住居専用地域の住環境を保護する効果をもたらしている地域であり、②商業・文化機能等を強化した建造物の誘導等を推進する地域にあり、駅前商業地域に隣接して極めて交通の便も良く、中高層の集合住宅等のほか大規模な店舗や事務所の建築に適した地域で、③現に戸建住宅の他、アパート、マンション、店舗併用住宅などの中高層の集合住宅及び事務所、大規模な店舗などの商業施設が混在し、④加えて、建築物の建築をするために開発許可が必要となる地積500平方メートル以上の土地に係る建築物の建築状況をみると、集合住宅等や商業施設などが建築されている状況にあり、特に、本件土地と幹線道路を挟んで南側に位置する本件土地と規模、形状、接道状況が酷似する土地には、7階建ての分譲マンションが建築されている。
そうすると、本件土地は、社会的・経済的・行政的見地から総合的にみても、マンション適地等に該当するものと認められ、財産評価基本通達24-4に定める広大地には該当しない。
評価対象地につき、路地状開発により戸建分譲を行うことが経済的に最も合理性のある開発に当たる場合には、公共公益的施設用地の負担の必要性がないため、財産評価基本通達24-4(広大地の評価)の適用はないとした事例
裁決事例集 第74集 342頁
要旨
①本件土地は、路地状開発により、本件地域における標準的な宅地の地積に分割することが可能であり、②本件分割図による路地状開発が路地状部分の幅員を満たすなど都市計画法等の法令などに反しておらず、③容積率及び建ぺい率の算定に当たって、路地状部分の地積もその基礎とされ、さらに、④本件隣接地が道路を開設することなく路地状開発されているという各事実が認められることからすると、本件土地については、路地状開発により戸建分譲を行うことが経済的に最も合理性のある開発に当たると認めるのが相当であり、公共公益的施設用地の負担が必要と認められるものには該当しないから、財産評価基本通達24-4(広大地の評価)の定めの適用はない。
【 税務法規集に掲載する法令等の情報に関する注意事項 】
- 本サービスは、デジタル庁が管理するe-Gov法令検索のデータ、国税庁がホームページを通じて提供する通達等の情報および国税不服審判所の公表裁決事例・裁決要旨を利用しています。
- 法律の専門家が分類・整理した情報を元に、プログラムで自動的に法令等を解析し、関連する情報を統合的に閲覧できるように再編集していますが法令等の内容については、明白な誤りや文字種の統一などの形式的な点を除き、変更しておりません。
- 各法令等の施行日等の情報は法令等の名称の横にある マークのボタンからご覧いただけます。また、当該法令の元データにもその情報表示部分からアクセスすることができます。
- 本サービスの提供者は、デジタル庁および国税庁とは関係がなく、またこれらの機関を代表するものでもありません。
- 本サービスの提供者は、表示される情報に誤りがないように努めていますが、利用者による本サービスの利用に関する結果に対して一切の責任を負いません。