裁決事例 裁決事例集 第83集

裁決事例 裁決事例集 第83集

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平成23年6月30日裁決

台帳価格のない建物の登録免許税の課税標準について登記機関が認定した価額が類似する建物の台帳価格を基礎として算定されていない場合は、客観性が認められる当該建物の建築価額によるのが相当であるとした事例

裁決事例集 第83集

要旨

 原処分庁は、請求人が所有権保存登記を受けた倉庫(本件倉庫)は、新築されたものであり、いわゆる台帳価格のない不動産であるから、その課税標準の額の算定に当たっては、認定基準表によるべきである旨主張する。
 しかしながら、登記機関が、台帳価格のない建物について認定基準表に基づき認定する価額は、認定基準表の作成に当たり選定した類似する建物の台帳価格を基礎として合理的に算定されたものであれば適法と解されるものの、台帳価格のない建物が、認定基準表の作成に当たり選定された建物の状況と類似しているとは認められず、認定基準表に基づき認定された価額が、登録免許税法施行令附則第3項に規定する「類似する不動産で台帳価格を基礎として登記機関が認定した価額」を表していない場合には、登記申請人は、当該建物と類似する近傍の建物の台帳価格があればその台帳価格を基にして求めた価額を、当該建物と類似する近傍の建物の台帳価格がなければ他の方法により求めた不動産の価額(時価)を採用できると解するのが相当である。本件倉庫については、一般的な倉庫に比して簡易な仕様・構造の建物であり、認定基準表の作成に当たり選定された建物の状況と類似していないことは明らかであるから、認定基準表に基づく本件倉庫の価額は、「類似する不動産の台帳価格を基礎として登記機関が認定した価額」を表しているとは認められず、また、本件倉庫に類似する建物は、本件倉庫の登記の申請の年の前年12月31日現在において認められないことからすると、請求人は、本件倉庫の課税標準の額の算定に当たり、他の方法により求めた本件倉庫の価額(時価)を採用することができることとなる。そこで、本件倉庫の価額(時価)を検討すると、建築価額(工事費及び設計監理料の合計額)によるのが相当と認められるから、本件倉庫の課税標準の額は、当該建築価額とするのが相当である。

参照条文等

登録免許税法第10条、附則第7条 登録免許税法施行令附則第3項

参考判決・裁決

平成14年11月22日裁決(裁決事例集No.64・565頁)

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平成23年6月30日裁決

請求人が第一種事業として主張する廃油回収販売業は、第一種事業、第四種事業及び第五種事業から成る事業に該当するとした事例

裁決事例集 第83集

ポイント

 簡易課税制度において、2種類以上の事業を営む事業者が控除対象仕入税額を計算する場合は、課税売上高をそれぞれの事業ごとに区分する必要がある。
 この事例は、請求人の売上げに係る取引の形態に応じ、日本標準産業分類の分類を基礎として事業の範囲を判定し、その事業区分に応じたみなし仕入率の適用を判断したものである。

要旨

 請求人は、廃油の回収形態(有償、無償及び処分料を受領の別)にとらわれず、物(廃油)の流れを重要視して事業区分を判断すべきであり、回収した廃油をそのままの状態で販売していることから、当該廃油を事業者に販売する本件事業は卸売業に該当する旨主張する。
 しかしながら、請求人の売上げに係る取引の形態に応じて事業区分を判断すると、本件事業のうち、処分料を徴して廃油を収集する取引及び廃油の収集・運搬業務の委託取引は、消費税法施行令第57条《中小事業者の仕入れに係る消費税額の控除の特例》第5項に規定する第五種事業に、無償又は処分料を徴して収集した廃油を販売する取引は、同項に規定する第四種事業に該当する。

参照条文等

消費税法第37条第1項 消費税法施行令第57条第4項第5項

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平成23年6月28日裁決

医療法人の出資持分の評価に際し、相続開始時点において既に退社した社員が出資金払戻請求権を行使していない場合であっても、当該出資持分については、当該退社社員が退社する直前の出資持分の総口数から当該退社社員が有していた出資持分の口数を控除した後の口数を総口数として、財産評価基本通達194-2の定めにより評価するものとした事例

裁決事例集 第83集

要旨

 原処分庁は、医療法人K会の出資持分(本件出資持分)について、本件相続開始時点で本件被相続人名義でないものも存するが、実質的に支配・管理していたのは本件被相続人であるから、同人に帰属するのは910口である旨主張する。
 しかしながら、財産の帰属については、当該財産の名義のほか、運用状況・取得原資の出えん者と名義人及び管理運用する者との関係・贈与契約の有無等の諸要素を総合勘案して当該財産の実質的な帰属を判定すべきであり、私法上の行為によって当該財産の帰属が変更された場合、当該財産を取得した者は当該財産を自由に利用・処分することができるのであるから、総合勘案に当たっては、当該私法上の行為による担税力の変動を前提に課税関係を判定すべきであり、当事者の実体の伴わない意図で法律行為を行うなど、私法上も当該財産の帰属が変動しないと解すべき特段の事情のない限り、これを否定することは適切ではない。本件においては、K会の設立当初は、本件出資持分910口の全部が本件被相続人に帰属していたと認められるものの、その後、本件被相続人と各相続人との間で本件出資持分合計845口を贈与する旨の契約書が作成されており、当該契約書は真正に作成されたものと認められ、本件被相続人及び当該各相続人との間で実質的にも贈与契約に係る意思が存在していたと認められることから、当該贈与契約は有効に成立しているものと認められる上、当該贈与について社員総会の承認も得ていることからすると、本件出資持分845口については、当該各相続人に移転したと認めるのが相当である。これらのことからすると、本件相続開始時において本件被相続人に帰属する本件出資持分の口数は、65口(910口-845口)となる。
 なお、K会の定款の定めによれば、出資持分を有する社員は、退社により社員たる地位を喪失し、K会に対する出資持分を失うとともに、払込済出資額を限度とする出資金払戻請求権を取得することになるところ、当該各相続人は、いずれの者も本件相続開始前に退社していることからすると、当該各相続人は、本件相続開始時において、K会に対する出資持分を失っていることとなるから、本件相続開始時におけるK会の出資持分の総数は、本件被相続人が保有する65口となる。したがって、本件出資持分の評価は、本件被相続人が保有する65口を総口数として、財産評価基本通達194-2《医療法人の出資の評価》の定めにより評価することとなる。

参照条文等

財産評価基本通達194-2

参考判決・裁決

最高裁平成22年7月16日第二小法廷判決(裁判所Web) 最高裁平成22年4月8日第一小法廷判決(民集64巻3号609頁)

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平成23年6月28日裁決

海外勤務者の帰国後に請求人が負担した外国所得税について、支払事務が国外において行われていたとして所得税の源泉徴収を要しないとした事例

裁決事例集 第83集

ポイント

 この事例は、所得税法183条に規定する「国内において給与等の支払をする」の解釈を示したものである。

要旨

 原処分庁は、請求人の海外事業所に勤務していた海外勤務者本人が納付すべき外国所得税について、請求人が当該海外勤務者の帰国後に同人らに代わり納付したことは、当該海外勤務者に経済的利益の供与(給与等の支払)をしたものであり、当該海外勤務者の海外事業所勤務期間中の所属先が請求人のa本社であったことからすれば、a本社において外国所得税の納付(給与等の支払)事務を行っていたことになるから、支払が国内において行われたこととなり、請求人には源泉徴収義務がある旨主張する。
 しかしながら、当該外国所得税の納付に関しては、①当該海外事業所あるいは当該海外事業所からその事務を委託された現地の会計事務所が、当該海外勤務者の所得税額の計算及び申告・納税の手続を行っていたこと、②当該海外事業所の所長が納付すべき税額の確認及び支出の決定を行っていたこと、③当該海外事業所が当該外国所得税の納税の資金手当を行っていたことからすると、当該外国所得税に係る支払事務は当該海外事業所で行われていたと認めるのが相当である。そうすると、当該外国所得税の納付(給与等の支払)事務は国外において行われていたと認められるから、請求人に源泉徴収義務はないというべきである。

参照条文等

所得税法第183条第1項

参考判決・裁決

東京地裁平成18年1月24日判決(訟月54巻2号531頁) 東京地裁昭和59年10月16日判決(訟月31巻6号1448頁、行集35巻10号1636頁)

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平成23年6月24日裁決

原処分庁は、各店舗の水道光熱費を基礎として同業者比率法により各店舗ごとの所得金額を算定しているが、各店舗の水道光熱費の合計金額を基礎とする推計方法がより合理的であるとした事例

裁決事例集 第83集

ポイント

 請求人が原処分庁と異なる推計方法を主張した場合には、裁決において、いずれがより合理的な推計方法であるかを判断し、他に、より合理的な推計方法があればそれを採用することとしているところ、この事例は、請求人が主張する推計方法により所得金額が算定できるか否か、また、どのような推計方法(何を推計の基礎とするか)がより合理的であるかを判断したものである。

要旨

 請求人は、所得金額の推計方法は資産負債増減法によるべき旨主張し、一方、原処分庁は、請求人と同業種であると認められる個人事業者のうち、水道光熱費の金額が請求人の各店舗ごとに0.5倍以上、2倍以下である青色申告者を類似同業者として抽出し、当該類似同業者の水道光熱費の総収入金額に占める割合の平均値(平均水道光熱費率)を求め、請求人のそれぞれの店舗ごとの水道光熱費の金額を平均水道光熱費率で除して店舗ごとの総収入金額を算出し、さらに類似同業者の所得率の平均値(平均所得率)を乗じて算出する方法によるべきである旨主張する。
 しかしながら、請求人から提出された貸借対照表は請求人の資産をすべて網羅したものであるとは認められないから、当該貸借対照表に基づいた資産負債増減法による推計の方法を採用することはできない。
 また、原処分庁は、店舗ごとに水道光熱費を推計の基礎として所得金額を算出して合計する方法を採っているが、請求人は、近接する地域内の各店舗において「スナック」という同一の業種を営んでいるから、請求人が営む事業全体を事業規模の判断要素とし、それとの近似性という観点から、各店舗の水道光熱費の合計金額を基礎として、これにより「スナック」を営む同業者の中から類似同業者を選定し、当該類似同業者の平均水道光熱費率及び平均所得率を適用して、請求人の総収入金額及び事業所得の金額を算定する方法がより合理的である。

参照条文等

所得税法第156条

参考判決・裁決

東京地裁昭和61年5月26日判決(税資152号192頁)

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平成23年6月23日裁決

外国為替証拠金取引の取扱業者らの不法行為により請求人の資産である金銭等に加えられた損害に基因して支払を受けた損害賠償金は非課税所得に当たるとした事例

裁決事例集 第83集

ポイント

 所得税法は、不法行為その他突発的な事故により資産に加えられた損害につき支払を受ける損害賠償金であっても、課税されるべき所得に係る収入金額に代わる性質を有する休業補償や収益補償等を非課税所得から除くこととし、それ以外の本来課税することが適当でない実損害を補てんするための損害賠償金を非課税所得としている。
 この事例は、外国為替証拠金取引の取扱業者らから支払われた金員が、当該取扱業者らの不法行為により、請求人に相当額の実損害を被らせたことにより支払われた損害賠償金であるか否かが争われたものである。

要旨

 原処分庁は、本件金員(請求人が、外国為替証拠金取引の取扱業者らに対し、不法行為による損害賠償金の支払を求める訴訟を提起し、同訴訟の裁判上の和解により得た金員)は、本件FX取引(請求人が行った店頭外国為替証拠金取引(店頭FX取引)及び取引所FX取引)による売買損益を補てんする機能を有するものであるから、雑所得に係る総収入金額に算入すべきものである旨主張する。
 しかしながら、所得税法第9条第1項第16号《非課税所得》及び所得税法施行令第94条《事業所得の収入金額とされる保険金等》第1項第2号は、不法行為その他突発的な事故により資産に加えられた損害につき支払を受ける損害賠償金について、課税されるべき所得に係る収入金額に代わる性質を有する休業補償や収益補償等以外の本来課税することが適当でない「実損害を補てんするための損害賠償金」を非課税所得としているところ、本件FX取引においては、説明義務違反及び誠実義務違反というH社らの不法行為により請求人の資産に損害が加えられたものと認めるのが相当であることからすると、本件金員は、H社らの不法行為により請求人の資産に加えられた実損害(本件FX取引において証拠金として預託した金銭の一部を失った損害)を補てんするために支払を受けた損害賠償金、つまり「実損害を補てんするための損害賠償金」に該当するものと認められる。したがって、本件金員は非課税所得に該当するから、これを雑所得に係る総収入金額に算入すべきとする原処分庁の主張は、採用できない。

参照条文等

所得税法(平成22年法律第6号による改正前のもの)第9条第1項第16号 所得税法施行令(平成22年政令第50号による改正前のもの)第30条第2号、第94条第1項第2号

参考判決・裁決

名古屋高裁平成22年6月24日判決(先物取引裁判例集60号40頁) 福岡高裁平成22年10月12日判決(先物取引裁判例集61号59頁)

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平成23年6月23日裁決

請求人の事業所得の金額を推計により算定する際に用いた同業者率の算定が合理的でないとした事例

裁決事例集 第83集

ポイント

 この事例は、同業者比率法による推計課税において、損失の金額が生じている同業者の所得率につき、原処分庁がこれをゼロとして計算したことには合理性がなく、当該同業者については損失率をそのまま用いて計算することが合理的であるとしたものである。

要旨

 原処分庁は、①営業を開始した平成17年分ないし平成20年分のいずれの年分についても、本件店舗事業に係る売上原価の額を、同業者13件の収入金額に対する売上原価の額の割合の平均値で除して収入金額を算定し、②当該収入金額に同業者13件の収入金額に対する青色申告特別控除前の所得金額の割合(同業者所得率)の平均値を乗じて本件店舗事業に係る所得金額を算定する方法が合理的である旨主張する。
 しかしながら、原処分庁が同業者所得率の算定に当たり採用した同業者のうちの一部の者について、所得金額がマイナス(すなわち、損失の金額が生じている。)であるにもかかわらず、推計の過程においてこれをゼロとしているところ、特にこれらの同業者の所得金額がマイナスとなっていることが、特殊な事情に基づくものであると認めるに足りる証拠はないことから、推計の過程においてはこれらのマイナスの所得金額はそのまま適用するのが合理的である。

参照条文等

所得税法第156条

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平成23年6月21日裁決

被相続人の相続開始数日前に相続人によって引き出された多額の金員は、被相続人によって費消等された事実はないことから相続財産であると認定した事例

裁決事例集 第83集

ポイント

 本事例は、相続開始数日前に相続人によって引き出された50,000,000円もの金員の使途について、相続人は不自然、あいまいな申述をするのみで、不明のままであったが、被相続人が費消等した事実は認められなかったために、被相続人の相続財産であると認定したものである。

要旨

 請求人らは、相続開始の数日前に被相続人名義の預金から相続人が出金した50,000,000円(本件金員)について、出金された当日に被相続人に引き渡され、相続開始日までに被相続人によって費消されて存在していなかったから、本件相続に係る相続財産ではない旨主張する。
 しかしながら、被相続人が、50,000,000円という高額な金員を家族に知られないまま費消することは通常であれば考えられないことに加え、本件金員をギャンブル等の浪費によってすべて費消するには相続開始前の数日間では短すぎるのであって、被相続人の消費傾向に照らしても、本件金員がすべて費消されたとは考え難く、また、被相続人自身、数日後に死亡するとは考えておらず、多額の費用が必要な手術の準備をしていた時に、本件金員を引き出す直前の預貯金残高の8割を超え、総所得金額の2倍以上に相当する50,000,000円もの金員が、そのような短期間で軽々に費消されたとも考え難い。さらに、原処分庁及び当審判所の調査の結果によっても、本件金員が、相続開始日までに、他の預金等に入金された事実、債務の返済や貸付金に充てられた事実、資産の取得又は役務の提供の対価に充てられた事実、その他何らかの費用に充てられた事実はなく、家族以外の第三者に渡されたような事実もない。以上のとおり、通常想定し得る金員の流出先についてみても、本件金員が費消等された事実はなかったのであるから、本件金員は被相続人によって費消等されなかったと認めることができ、ほかにこれを覆すに足りる証拠はない。したがって、本件金員は、本件相続の開始時点までに被相続人の支配が及ぶ範囲の財産から流出しておらず、本件相続に係る相続財産であると認められる。

参考判決・裁決

昭和54年6月21日裁決(裁決事例集No.18・97頁)

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平成23年6月17日裁決

請求人の売上金額を割箸の仕入本数から推計により算定することは必ずしも合理的であるとはいい難いとした事例

裁決事例集 第83集

ポイント

 この事例は、割箸の仕入本数を推計の基礎項目とする原処分庁主張の推計方法が必ずしも合理的とはいい難いとして、水道光熱費の金額を推計の基礎項目とし、事業所得の収入金額及び課税資産の譲渡等の対価の額を推計したものである。

要旨

 原処分庁は、焼肉店を営む請求人の事業所得の収入金額を推計する方法として、割箸の年間仕入本数から客数への反映のない本数を5%として控除した本数を推定客数とし、客1人当たりの平均単価を乗じて算定する方法が合理的である旨主張する。
 確かに、来客数が増加すれば、割箸の消費量も増加し、それに伴い収入金額も増加することから、店舗で費消された割箸と当該店舗の収入金額には、一定の相関関係があるといえる。このことから、推計課税において割箸を効率項目として用いる計算方法は、一応の合理性が認められる。
 しかしながら、原処分庁が採用したロス率(5%)それ自体について合理的な算定根拠を確認することができないのみならず、割箸の仕入れの態様等にもかんがみると、ある年における割箸の実際の費消本数とその年の割箸の年間仕入本数(1,000本単位での仕入れがされている。)との間の相関関係は概括的、近似的にしか把握し得ないのが通常であると考えられるから、割箸の年間仕入本数のうちその年の客数に反映しない本数を当該年間仕入本数に基づいて割合的に把握する推計方法自体が必ずしも合理的とはいい難い。
 飲食店営業の場合、類似同業者にあっては、特段の事情がない限り、同程度の水道光熱費の割合に対し、同程度の収入を得、同程度の収入に対し、同程度の所得を得るのが通例であり、請求人の営む事業についても上記特段の事情はうかがわれないことからすれば、請求人の事業所得の金額を算定するに当たっては、請求人の水道光熱費の金額を類似同業者の収入金額に対する水道光熱費の金額の占める割合の平均値で除すことにより、収入金額を算定し、同業者所得率を乗じる方法が、他により合理的な推計の方法が見当たらない本件においては合理的であるということができる。

参照条文等

所得税法第156条

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平成23年6月14日裁決

旅行者に対して行われる日本国内での飲食、宿泊、輸送等の役務の提供は、非居住者である外国法人に対する販売であっても、輸出免税取引に該当しないとした事例

裁決事例集 第83集

ポイント

 この事例は、旅行会社等が企画、手配するいわゆるパック旅行等における日本国内での飲食、宿泊、輸送等の役務提供は、販売先が国内に支店又は出張所を有しない外国法人であっても、当該旅行の参加者が国内において直接便益を享受する取引に当たる場合には、輸出免税取引に該当しないとしたものである。

要旨

 請求人は、請求人が旅行業を営む非居住者である外国法人に対して販売した国内パッケージツアーは、請求人が国内の各種サービス提供機関から、ホテル、レストラン、バス等の利用につき購入して作成した国内旅行を販売(本件取引)しているものであり、当該外国法人に対して飲食、宿泊、輸送等の役務の提供をしていないこと、また、当該外国法人は飲食、宿泊、輸送等の役務を国内において直接享受するものではないことから、消費税法施行令第17条《輸出取引等の範囲》第2項第7号のロ又はハに該当せず、消費税法第7条《輸出免税等》第1項に規定する輸出免税取引に該当し、原処分は違法である旨主張する。
 しかしながら、請求人が当該外国法人から受領する本件取引に係る対価の額には、旅行者が各種サービス提供機関から直接便益を享受する飲食、宿泊、輸送等の役務の提供の対価に相当する金額が含まれていると認められるところ、当該旅行者が飲食、宿泊、輸送等について国内において直接便益を享受していることは、消費税法施行令第17条第2項第7号のロ又はハに該当する輸出免税の対象となるものから除かれる非居住者に対する役務の提供に当たる。したがって、本件取引に係る対価の額のうち請求人が支払った飲食、宿泊、輸送等の役務提供に係る対価の額に相当する金額は、輸出免税取引の対価の額には該当しない。

参照条文等

消費税法第7条第1項第5号 消費税法施行令第17条第2項 消費税法基本通達7-2-16

参考判決・裁決

平成15年4月24日裁決(裁決事例集No.65・864頁)

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平成23年6月10日裁決

被相続人が配偶者のために負担した有料老人ホームの入居金は、贈与税の非課税財産に該当しないから、当該入居金は相続開始前3年以内の贈与として相続税の課税価格に加算する必要があるとした事例

裁決事例集 第83集

ポイント

 被相続人が配偶者のために負担した有料老人ホームの入居金が贈与税の非課税財産(相続税法第21条の3第1項第2号)に該当するか否かについて、平成22年11月19日裁決(裁決事例集No.81)では非課税財産に該当すると判断したのに対し、本事例は、非課税財産に該当しないと判断したものである。

要旨

 請求人は、請求人及び本件被相続人が本件相続開始の約2か月半前に入居した老人ホーム(本件老人ホーム)の入居金(本件入居金)を本件被相続人が支払ったことについて、本件入居金の性質は終身利用権の対価であり、請求人は本件被相続人から終身利用権を死因贈与により取得したことになるところ、終身利用権は一身専属権であって贈与税の対象とはならないから、相続開始前3年以内の贈与として本件相続税の課税価格に加算されない旨主張する。
 しかしながら、本件被相続人は、自らに支払義務のない請求人に係る入居金のうちの一部に相当する金額を支払ったものであり、これによって請求人は、入居金全額の支払によって初めて取得することのできる施設利用権を、低廉な支出によって取得したものと認められることからすると、請求人は著しく低い対価で本件老人ホームの施設利用権に相当する経済的利益を享受したものということができ、本件被相続人と請求人との間に実質的に利益の移転があったことは明らかであるから、相続税法第9条により、請求人は、その利益を受けた時における当該利益の価額に相当する金額を本件被相続人から贈与により取得したものとみなすのが相当である。また、本件入居金は極めて高額であり、請求人に係る居室面積も広く、本件老人ホームの施設の状況等をかんがみれば、本件老人ホームの施設利用権の取得のための金員は、社会通念上、日常生活に必要な住の費用であるとは認められないから、相続税法第21条の3《贈与税の非課税財産》第1項第2号の規定する「生活費」には該当せず、贈与税の非課税財産に該当しない。したがって、贈与により取得したものとみなされた金額は、相続開始前3年以内の贈与として本件相続税の課税価格に加算されることとなる。

参照条文等

相続税法第21条の3第1項第2号第19条第1項 相続税法基本通達21の3-321の3-6

参考判決・裁決

平成22年11月19日裁決(裁決事例集No.81)

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平成23年6月9日裁決

原処分庁が用いた同業者比率法による推計において、同業者の選定漏れがあったとした事例

裁決事例集 第83集

ポイント

 裁決においては、請求人が特に推計方法に合理性がない旨を主張していない場合であっても、必ずその合理性につき判断することとしているところ、この事例は、争点とはなっていなかったが、同業者比率法による推計の合理性について審理し、原処分庁の選定した類似同業者以外にも、請求人の事業所得の金額を推計する際に選定されるべき類似同業者の存在を認めたものである。

要旨

 原処分庁は、請求人の本件各年分の事業所得の金額を、総収入金額に類似同業者の平均特前所得率(類似同業者の青色申告特典控除前の事業所得の金額を総収入金額で除した数値の平均値)を乗じて推計の方法により算定しているところ、およそ業種、業態に類似性のある同業者にあっては、特段の事情がない限り、同程度の収入に対して同程度の所得を得るのが通例であり、このことは請求人の営む事業の場合にあっても例外ではなく、かつ、請求人に特段の事情があるとは認められないから、原処分庁の用いた推計方法には合理性があると認められる。
 ところで、原処分庁は、国税局管内に事業所を有し、請求人と同業種の者で、かつ、その年分の総収入金額が請求人のそれの0.5倍以上2倍以下であるなど事業規模の類似する事業を営む青色申告者を類似同業者として、本件各年分について各5件を選定しているところ、原処分庁の類似同業者の選定方法についてその適否を審理した結果、類似同業者の選定漏れが平成18年分については1件、平成19年分及び平成20年分については各6件認められることから、本件各年分の平均特前所得率を再計算すると、いずれも原処分庁の主張する率を下回ることとなる。

参照条文等

所得税法第156条

参考判決・裁決

東京地裁昭和61年5月26日判決(税資152号192頁)

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平成23年6月7日裁決

派遣医に支払う給与等の源泉徴収につき、勤務した日ごとに定額の給与を支給していた場合であっても、月間の給与総額をあらかじめ定めておき、これを月ごとに又は派遣を受ける都度分割して支払うこととするものとして月額表の乙欄に掲げる税額を源泉徴収すべきとした事例

裁決事例集 第83集

ポイント

 所得税法上、居住者に対し支払う給与等につき源泉徴収すべき税額を求める際に適用すべき税額表は、支給期が毎月、毎半月、毎旬及び月の整数倍ごとと定められているものは月額表、支給期が毎日と定められているものは日額表とされており、求めるべき税額は、扶養控除等申告書の提出の有無に応じ、それぞれ、甲欄、乙欄に掲げる税額とされている。また、労働した日又は時間によって算定され、かつ、労働した日ごとに支払われる給与等で一定のものは、日額表の丙欄に掲げる税額とされている。
 この事例は、いわゆる派遣医に対して支払う給与について、派遣医との契約内容等に応じ、月額表又は日額表の乙欄、あるいは日額表丙欄が適用されると判断したものである。

要旨

 原処分庁は、請求人に大学から派遣される医師(大学派遣医)及び請求人と医師個人との契約等により勤務する医師(個人契約医)に請求人が支払う給与について、源泉徴収税額表の日額表が適用される旨主張し、これに対し請求人は月額表が適用される旨主張するところ、大学派遣医については、大学との間で勤務1回当たりの額という形で給与の額を定め、勤務予定については四半期ないし半年という期間ごとに一応決定されていたものの、実際に勤務する医師が誰であるか勤務直前になるまで分からないのであるから、勤務回数が一定の期間で何回になるか事前に確定しているとはいえない。したがって、勤務した日ごとに支払っている大学派遣医の給与は、勤務した日ごとに定められているということができ、「給与等の支給期が毎日と定められている場合」に該当すると認められるから、日額表の乙欄に掲げる税額を源泉徴収すべきである。
 また、勤務日を毎週木曜日として1年間継続して請求人に勤務する旨の契約を取り交わし、その後勤務を続け、平成17年3月から同年12月までの間は、継続して第2及び第4木曜日に勤務していた個人契約医は、請求人との間において、毎月一定日数勤務することをあらかじめ取り決めてあったということができ、同人の給与については、「月間の給与総額をあらかじめ定めておき、これを月ごとに又は派遣を受ける都度分割して支払うこととするもの」と認められるから、月額表の乙欄に掲げる税額を源泉徴収すべきである。
 一方、請求人の病院に継続して勤務する取決めはなく、請求人の依頼に基づいて臨時的に勤務していた個人契約医は、勤務1回当たりの給与についてもその都度取り決めていたというのであるから、日日雇い入れられる者に対して労働した日によって算定した額を労働した日ごとに支払っている給与であると認められるので、日額表の丙欄に掲げる税額を源泉徴収すべきである。

参照条文等

所得税法第185条第1項 所得税法施行令第309条

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平成23年6月7日裁決

私道の評価において、一方が行き止まりのいわゆる袋小路であるにもかかわらず、不特定多数の者が通行の用に供されているとした鑑定評価額は採用できず、財産評価基本通達に定める評価額が適当であるとした事例

裁決事例集 第83集

ポイント

 この事例は、評価対象地の地目は公衆用道路であるとしても、当該評価対象地は、道路交通法による位置指定道路(その維持管理は原則として所有者に任され、処分権が所有権に属し、抵当権の設定等も可能)であり、不特定多数の者の通行の用に供されていない部分の評価額は零円とはならないと判断したものである。

要旨

 請求人らは、本件土地について不動産鑑定士が作成した不動産鑑定評価書(本件鑑定書)における鑑定評価額は零円(本件鑑定評価額)であって、この価額が本件土地の客観的な交換価値を示すものであるから、本件土地の価額は、本件鑑定評価額を基礎とすべきである旨主張する。
 しかしながら、本件鑑定書においては、本件土地が不特定多数の者の通行の用に供されている私道であることを前提に鑑定評価が行われているが、本件土地の大部分は一方が行き止まりのいわゆる袋小路であり、専ら本件土地に隣接する土地上の居宅及びアパートの居住者という特定の者の通行の用に供されているものと認められることからすると、本件鑑定書は本件土地を評価する上で前提となる事実の評価を誤ったものであり、その内容に合理性があると認めることはできず、本件鑑定評価額が本件土地の客観的な交換価値を示しているということはできない。また、ほかに本件土地の価額を評価するに当たって財産評価基本通達の定めによることが著しく不適当と認められる特別な事情があるとは認められないから、本件土地の価額は同通達の定めにより算定される評価額をもって時価とすることが相当である。
 なお、本件土地の一部については、不特定多数の者の通行の用に供されているものと認められるから、その部分の価額は評価しない。

参照条文等

財産評価基本通達24

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平成23年6月7日裁決

請求人の子が代表取締役を務める法人は、賃貸の目的物に係る管理業務を行っているから、同法人に対して支払った管理費は、請求人の不動産所得の金額の計算上必要経費に算入されるとした事例

裁決事例集 第83集

ポイント

 この事例は、請求人の子が代表取締役を務める法人の業務を認定し、請求人が当該法人に対して支払った管理料相当額の必要経費算入及び課税仕入れを認めたものである。

要旨

 原処分庁は、店舗用建物たる本件建物及びその敷地たる本件各土地を併せた本件各土地建物に係る管理全般についてN社が行っており、請求人の子が代表取締役を務める本件法人は、請求人ら及びN社に対する金銭の支払行為を行っているものの、本件建物に係る共有持分(本件建物持分)及び本件各土地の一部である本件土地の管理業務を行っているとはいえないため、本件法人に請求人が支払った管理費相当額(本件管理費)は請求人の不動産所得の金額の計算上必要経費に算入できない旨主張する。
 しかしながら、ある支出が不動産所得における必要経費に該当するためには、業務関連性がなければならないとともに、その必要性の判断においても、単に事業主の主観的判断のみによるものではなく、客観的に必要経費として認識できるものでなければならないと解されるところ、請求人の不動産所得の総収入金額に算入すべき金額は、賃借人をK社として本件建物を賃貸する旨の本件契約に係る賃料であることから、必要経費に算入すべき金額も本件契約に関して支出された費用に限られることとなる。そして、本件法人は、請求人らから本件建物持分及び本件土地の管理業務を受託し、本件契約の更新及び補修工事等に係る各種連絡を受けてK社及びN社と協議し、本件法人名議で本件契約に係る各種の支払を行うなどしてこれらに対処している事実が認められることから、本件建物持分及び本件土地に対する管理業務を行っているものと認められる。
 そうすると、請求人から本件法人に対して支払われた本件管理費は、請求人のN社に対する本件建物持分の賃貸業務の遂行上必要な支出であると認められることから、請求人の不動産所得の金額の計算上、必要経費に算入されるものと認められる。

参照条文等

所得税法第37条第1項

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平成23年6月3日裁決

請求人は、当初から課税標準等及び税額等を申告しないことを意図し、その意図を外部からもうかがい得る特段の行動をしたものといえるので、その意図に基づき期限内申告書を提出しなかったことにつき、重加算税の賦課要件を満たすとした事例

裁決事例集 第83集

ポイント

 この事例は、無申告加算税に代えて課される重加算税につき、最高裁平成7年4月28日第二小法廷判決と同様の法令解釈を行うとともに、法定申告期限までに納税申告書を提出しなかった請求人の行動を総合勘案し、その賦課要件を満たすと判断したものである。

要旨

 請求人は、法定申告期限までに所得税並びに消費税及び地方消費税(消費税等)の各確定申告書を提出しなかったことについて、所得税については申告する意思があってその準備をしていた、消費税等については、経理業務の委託先が申告してくれるものと誤認していた、などとして、重加算税の賦課要件を満たさない旨主張する。
 しかしながら、架空名義の利用や資料の隠匿等の積極的な行為が存在しない場合であっても、納税者が、当初から課税標準等及び税額等を申告しないことを意図し、その意図を外部からもうかがい得る特段の行動をした上、その意図に基づき期限内申告書を提出しなかった場合には、重加算税の賦課要件が満たされるものと解するのが相当であるところ、請求人は、法定申告期限から7年を経過すれば所得税等の納付から免れることができるとの認識を持った上、請求人の経理業務の委託先から確定申告手続の税理士への委任の要否を問われて、これを断り、連年にわたり多額の収入金を得ていながら無申告を続けていたことなど、当初から課税標準等及び税額等を申告しないことを意図し、その意図を外部からもうかがい得る特段の行動をしたものといえるから、その意図に基づき期限内申告書を提出しなかったことについては、国税通則法第68条《重加算税》第2項に規定する重加算税の賦課要件を満たすというべきである。

参照条文等

国税通則法第68条第2項

参考判決・裁決

最高裁平成7年4月28日第二小法廷判決(民集49巻4号1193頁)

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平成23年5月31日裁決

契約期間を満了して退職する期間契約社員に対し慰労金名目で支給された金員は、退職により一時に受ける給与というための要件を満たしているから、退職所得に該当するとした事例

裁決事例集 第83集

ポイント

 この事例は、契約期間を満了して退職する期間契約社員に対し支給された慰労金名目の金員につき、その支払者が給与所得に該当するとして所得税の源泉徴収をしたものの、その支給基準、支給実態からみて、最高裁昭58.9.9第二小法廷判決(民集37巻7号962頁)で示された、退職所得に当たるというための三つの要件を満たしていると判断したものである。

要旨

 原処分庁は、F社の期間契約社員就業規則によると、F社は、期間契約社員に対する退職金を支給しないこととされていることなどから、慰労金名目で支払われた金員(本件慰労金)に係る所得は給与所得に該当する旨主張する。
 しかしながら、ある金員が、「退職手当、一時恩給その他の退職により一時に受ける給与」に当たるというためには、それが、①退職、すなわち勤務関係の終了という事実によって初めて給付されること、②従来の継続的な勤務に対する報償ないしその間の労務の対価の一部の後払の性質を有すること、③一時金として支払われることの各要件を備えることが必要であると解されるところ、本件慰労金のうち、労働慰労金として支給された金員は、請求人が契約期間を満了して退職するという事実によって支給され、請求人が契約期間における出勤すべき日数の90パーセント以上を出勤し、勤務成績が良好な者に該当するとして、契約期間における勤務日数に応じて一時に支給されたこと、有給休暇手当金として支給された金員は、請求人が契約期間を満了して退職するという事実によって支給され、契約期間中に生じる有給休暇について請求人がこれを取得しなかったことを支給の根拠として一時に支給されたことからすると、本件慰労金は上記①ないし③の各要件をいずれも満たすものと認められることから、退職所得に該当する。

参照条文等

所得税法第30条

参考判決・裁決

最高裁昭58.9.9第二小法廷判決(民集37巻7号962頁)

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平成23年5月30日裁決

法人税法施行令第136条の4第1項の規定は、新たに設立された医療法人がその設立について贈与を受けた場合の課税関係について定めた規定であり、定款変更の方法により組織変更した場合には適用されないとした事例

裁決事例集 第83集

ポイント

 この事例は、定款変更の方法により、社団である医療法人で出資持分の定めのあるものから定めのないものへ組織変更したことが、法人税法施行令第136条の4第1項に規定する「設立」に当たるか否かが争われたものである。

要旨

 請求人は、定款を変更して組織変更し、社団である医療法人で持分の定めのあるものから持分の定めのないものになったことは、事実上、持分の定めのある医療法人が清算され、持分の定めのない医療法人として請求人が設立されたものといえることから、定款変更による組織変更の際に贈与を受けた土地(本件各土地)の価額は、法人税法施行令第136条の4第1項に規定する「医療法人がその設立について贈与を受けた資産の価額」に該当し、当該贈与があった事業年度の所得の金額の計算上、益金の額に算入されない旨主張する。
 しかしながら、法人税法施行令第136条の4第1項の規定は、社団である医療法人については、新たに設立された医療法人がその設立について贈与を受けた場合の課税関係について定めた規定であると解されるところ、請求人は、医療法施行規則第30条の39《持分の定めのある医療法人から持分の定めのない医療法人への移行》第1項の規定に基づき、定款変更の方法により持分の定めのない医療法人へ組織変更したものであり、従前の医療法人の解散、清算に係る各手続を経た上で新たに設立されたものではないから、本件各土地の価額は、法人税法施行令第136条の4第1項に規定する「医療法人がその設立について贈与を受けた資産の価額」には該当しない。

参照条文等

法人税法施行令第136条の4第1項 医療法施行規則第30条の39第1項

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平成23年5月23日裁決

いわゆる振り込め詐欺の被害に遭い、だまし取られた金額分の損失は、雑損控除の対象となる災害又は盗難若しくは横領による損失には当たらないとした事例

裁決事例集 第83集

ポイント

 所得税法第72条に規定する雑損控除は、同条第1項により、「居住者又はその者と生計を一にする配偶者その他の親族で政令に定めるものの有する資産について災害又は盗難若しくは横領による損失が生じた場合において」適用するものである。
 この事例は、いわゆる振り込め詐欺の被害に遭い、だまし取られた金額分の損失が、雑損控除制度の趣旨・目的に照らし「災害又は盗難若しくは横領」による損失に当たるか否か、又は「災害」による損失、「盗難」による損失若しくは「横領」による損失のいずれかの損失に当たるか否かが争われたものである。

要旨

 請求人は、いわゆる振り込め詐欺の被害に遭い、だまし取られた金額分の損失(本件損失)が、雑損控除制度の趣旨・目的に照らせば所得税法第72条《雑損控除》第1項に規定する「災害又は盗難若しくは横領」による損失、又は「災害」による損失、「盗難」による損失若しくは「横領」による損失のいずれかの損失に当たる旨主張する。
 しかしながら、「災害」、「盗難」及び「横領」はいずれも別個の概念であること、また、①上記詐欺の犯人が指定した口座に3回にわたり振込送金した請求人の行為(本件各振込み)自体が、請求人の意思に基づいてなされているから、本件損失は「災害」による損失に当たらないこと、②「盗難」の意義は「財物の占有者の意に反する第三者による当該財物の占有の移転」と解されるところ、本件各振込みが請求人の意思に基づいてなされているから、本件損失は「盗難」による損失に当たらないこと、③「横領」の意義は「他人の物の占有者が委託の任務に背いて、その物につき権限がないのに所有者でなければできないような処分をすること」と解されるところ、請求人が振り込んだ金銭に対する所有権は本件各振込みを終えた時点で、当該金銭に対する占有とともに上記詐欺の犯人側へ移転したと認められ、当該犯人はそもそも請求人の物の占有者ではないから、本件損失は「横領」による損失に当たらないことから、本件損失は、所得税法第72条第1項に規定する「災害又は盗難若しくは横領による損失」には当たらない。

参照条文等

所得税法第2条第1項第27号第72条第1項 所得税法施行令第9条

参考判決・裁決

最高裁平成19年4月17日第三小法廷判決(民集61巻3号1026頁) 京都地裁平成8年6月7日判決(税資216号511頁) 最高裁昭和24年3月8日第三小法廷判(刑集3巻3号276頁) 大審院明治42年8月31日判決(刑録15輯1097頁) 平成21年2月16日裁決(裁決事例集No.77)

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平成23年5月18日裁決

営業譲渡契約による包括的な指名債権の移転を第三者に対抗するためには、民法第467条が規定する方法により、第三者対抗要件を具備する必要があるとした事例

裁決事例集 第83集

要旨

 請求人は、原処分庁が、滞納者が第三債務者に対して債権を有するとして当該各債権(本件各債権)を差し押さえたことに対し、本件各債権は、請求人と滞納者との間の営業譲渡契約により、包括的に請求人に移転しており、このような包括的な移転については民法第467条《指名債権譲渡の対抗要件》の適用がないから、同条第2項が規定する第三者対抗要件を具備しなくても、本件各債権の移転を原処分庁に対抗することができる旨主張する。
 しかしながら、営業譲渡契約により譲受人に承継されることとなった指名債権について二重譲渡や差押えとの競合が生じることは通常の債権譲渡の場合と同様であることからすれば、営業譲渡契約による指名債権の移転を第三者に対抗するためには、民法第467条が規定する方法により第三者対抗要件を具備する必要があると解されるのであり、本件各債権の移転については、いずれも第三者対抗要件を具備していないから、請求人は、本件各債権の移転を原処分庁に対抗することはできない。

参照条文等

民法第467条第2項

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平成23年5月16日裁決

被相続人以外の者の名義である財産について、その財産の原資の出捐者及び取得の状況、その後の管理状況等を総合考慮して、相続開始時において被相続人に帰属するものと認定した事例

裁決事例集 第83集

ポイント

 ある財産が被相続人以外の者の名義となっていたとしても、当該財産が相続開始時において被相続人に帰属するものであったと認められるものであれば、当該財産は、相続税の課税対象となる。
 この事例は、被相続人以外の者の名義である財産が相続開始時において被相続人に帰属するものであったか否かについて、その名義のみならず、当該財産又はその購入原資の出捐者、当該財産の管理及び運用状況、当該財産から生ずる利益の帰属者、被相続人と当該財産の名義人並びに当該財産の管理及び運用をする者との関係等を総合考慮して判断したものである。

要旨

 請求人らは、請求人ら名義の各有価証券及び各預貯金等(本件請求人ら名義財産)について、これらの全部が請求人ら固有の財産である旨主張する。
 しかしながら、預貯金や有価証券等の財産の帰属を判断するためには、その名義が重要な要素となることはもちろんであるが、それら原資の負担者、取引や口座開設の意思決定を行った者、その手続を実際に行った者、その管理又は運用による利得を収受している者などの諸要素、その他名義人と管理又は運用をしている者との関係等を総合的に考慮すべきであるところ、本件請求人ら名義財産については、本件被相続人の妻である請求人G名義の一部の財産を除き、①原資の負担者は、本件被相続人であったと認めるのが相当であること、②取引や口座開設等の手続の遂行者は、実質的に本件被相続人であったと認めるのが相当であること、③本件被相続人自身又は本件被相続人が請求人Gを通じて、管理していたと認めるのが相当であること、④本件請求人ら名義財産の基となった財産の運用については、本件被相続人の指図によって行われていたとみるのが相当であること及び⑤本件請求人ら名義財産の基となった請求人らの名義の上場株式のうち、配当金に係る利得を享受し得る立場にあったのは、本件被相続人であったと認められることからすれば、いずれも本件被相続人の相続財産と認めるのが相当である。ただし、本件請求人ら名義財産のうち請求人G名義の一部の財産については、同人の所得から形成されたものと認められ、また、同人によって運用されていたものと認められるから、請求人G固有の財産であると認めるのが相当である。

参考判決・裁決

東京地裁平成18年9月22日判決(税資256号順号10512) 千葉地裁平成8年7月15日判決(税資220号91頁)

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平成23年5月11日裁決

相続税の申告に当たり、相続財産の一部について、相続人がその存在を認識しながら申告しなかったとしても、重加算税の賦課要件は満たさないとした事例

裁決事例集 第83集

ポイント

 この事例は、相続税の申告に当たり、相続財産の一部である被相続人名義の株式について、請求人がその存在を認識しながら申告に至らなかった事情について個別に検討したところ、請求人が当初から相続財産を過少に申告することを意図した上、その意図を外部からうかがい得る特段の行動をしたとまでは認められないとしたものである。

要旨

 原処分庁は、請求人が、当初申告において計上していなかった被相続人名義の株式(本件株式)を相続財産であると認識していたにもかかわらず、関与税理士に対しその存在を秘匿し、過少な申告額を記載した本件相続税の申告書を作成させ、これを原処分庁に提出したものであるから、当初から相続財産を過少に申告することを意図した上、その意図を外部からうかがい得る特段の行動をしたもので、国税通則法第68条《重加算税》第1項に規定する隠ぺい又は仮装の行為に当たる旨主張する。
 しかしながら、確かに、請求人は、法定申告期限前に本件株式の存在を相続財産として認識していたと推認できるものの、原処分庁の主張する①請求人が関与税理士から証券会社の残高証明書を入手するように指示されたにもかかわらず、それに従わなかったこと、②請求人が関与税理士から申告書案記載の財産について個々に説明を受けていたにもかかわらず、本件株式の記載漏れを指摘しなかったこと、③本件相続税の調査の際、請求人が虚偽答弁を行ったことについては、それぞれ、①請求人が、本件相続税の申告に当たって、関与税理士が本件株式を把握するために必要な資料を既に所持しており、改めて提出する必要がないと考えた可能性を否定しえないこと、②請求人は、関与税理士から申告書案記載の財産について個々に説明を受けていたとは認められず、また、申告書案に本件株式が相続財産として当然記載されていると誤認したまま、記載内容を十分に確認せず、その誤りに気付かなかったという可能性を否定しえないこと、③請求人が虚偽答弁を行ったと認めるに足りる証拠がないことから、これらのことをもって、請求人が当初から相続財産を過少に申告することを意図した上、その意図を外部からうかがい得る特段の行動をしたとまでは認められない。

参照条文等

国税通則法第68条

参考判決・裁決

最高裁平成7年4月28日第二小法廷判決(民集49巻4号1193頁)

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平成23年5月11日裁決

請求人による修正申告書の提出は、自発的な決意を有していたことが客観的に明らかであるから、更正があるべきことを予知してなされたものではないとした事例

裁決事例集 第83集

ポイント

 この事例は、元事務員による給与支給額の水増しを把握した請求人が、原処分庁に事前説明に赴いたことを契機として税務調査がされ、修正申告に至ったことについて、請求人の具体的な事前説明に、請求人が自発的に修正申告を提出する決意を有していたと認めることができると判断して、加算税の賦課決定処分を取り消したものである。

要旨

 原処分庁は、本件修正申告書は、調査において調査担当職員が請求人の元事務員による給料支給額の水増し(本件水増し)を確認した結果判明した横領の事実に基づき提出されたものであり、また、調査に先立つ事前説明時には請求人が横領の事実を確定的に認識していたとは認められず自発的に提出されたものではないから、国税通則法第65条《過少申告加算税》第5項に規定する「調査があったことにより当該国税について更正があるべきことを予知してされたものでないとき」には該当しない旨主張する。
 しかしながら、請求人は、少なくとも事前説明時までに本件水増しのすべてを把握して修正申告をする決意をし、事前説明の際には面談職員らに対して本件水増しについて説明した上で調査を求めており、それに基づいて調査が行われたと認められることから、請求人は自発的に修正申告書を提出する決意を有しており、その決意は事前説明において客観的に明らかになったものということができる。そうすると、本件修正申告書の提出は、調査があったことにより更正があるべきことを予知してされた修正申告書の提出には当たらない。

参照条文等

国税通則法第65条第5項

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平成23年5月9日裁決

評価対象地は、道路を開設するなどした開発を行うことが最も合理的であり、「広大地」として評価するのが相当であるとした事例

裁決事例集 第83集

ポイント

 この事例は、広大地通達の適用について、評価対象地の属する地域内の開発事例を詳細かつ具体的に調査し、その調査結果と評価対象地の状況とを併せ検討することにより、公共公益的施設用地の負担の要否を判断し、評価対象地は「広大地」に該当するとしたものである。

要旨

 原処分庁は、本件土地が属する財産評価基本通達24-4《広大地の評価》(本件通達)に定める「その地域」(本件地域)の標準的な宅地の地積に基づき区画割をすると、本件土地は4区画に分割して路地状開発することが可能であること、路地状開発を行うとした場合は、路地状部分の土地は、通路に限らず駐車場として利用でき、建ぺい率・容積率の算定上道路を開設するよりも有利な点があること、また、本件地域に路地状開発の事例もあることから、路地状開発による開発が経済的に最も合理的な開発であるとして、本件土地は本件通達に定める広大地に当たらない旨主張する。
 しかしながら、原処分庁の主張する本件地域の標準的な宅地の地積の算定は誤っており、正しい地積に基づき区画割をすると本件土地は4区画又は5区画に分割して開発するのが経済的に合理的であると認められる。また、本件地域においては、路地状開発による事例もみられるものの、当該事例は道路の開設による開発がもとより困難な土地の事例であり、本件土地とは条件を異にする。他方、本件地域において本件土地と地積、形状及び公道との接続状況及び面積等並びに本件地域における近年の土地の開発状況等からすれば、本件土地については、道路を開設して戸建住宅の敷地として分譲開発するのが経済的に最も合理的な開発方法であると認められる。
 したがって、本件土地は、本件通達に定める広大地として評価するのが相当である。

参照条文等

財産評価基本通達24-4

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平成23年4月27日裁決

請求人の青色申告書は、その提出期限後に提出されたものであるから、これに記載された純損失の金額は、翌年に繰り越すことができないとした事例

裁決事例集 第83集

ポイント

 所得税法第70条第1項及び第4項の規定によれば、総所得金額の計算上純損失の金額を控除するには、純損失の金額が生じた年分において、青色申告書をその提出期限内に提出しなければならないとされているところ、第4項かっこ書において、やむを得ない事情があると認められる場合には、その提出期限後に提出した場合を含むとされている。
 この事例は、青色申告書を提出期限までに提出しなかった請求人の事情がこの「やむを得ない事情」に当たるか否かが争われたものである。

要旨

 請求人は、平成20年分の所得税の青色の確定申告書をその提出期限後に提出したのは、顧問税理士の業務用パソコンが故障したことに基因しており、このような事情は所得税法第70条《純損失の繰越控除》第4項の「やむを得ない事情」に該当する旨主張するが、「やむを得ない事情」とは、天災、交通や通信の途絶等、納税者の責めに帰すことができない外的事情など、その提出期限までに確定申告書を提出することを不可能とする真にやむを得ない客観的事情をいうものであり、請求人が主張するパソコンの故障は、請求人及び顧問税理士の個人的事情又は主観的事情にとどまるものであって、その提出期限までに確定申告書を提出することを不可能とする真にやむを得ない客観的事情には該当しないというべきである。

参照条文等

所得税法第70条第1項第4項

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平成23年4月21日裁決

評価対象地は、既に開発行為を了した共同住宅の敷地として有効に利用されていることから、「広大地」には当たらないとした事例

裁決事例集 第83集

ポイント

 この事例は、既に開発行為を了した共同住宅用地について、その共同住宅(建物)の状況から近い将来の開発行為を要しないこと及びその存する地域の標準的使用形態の一つに適合していることから、当該共同住宅用地は有効利用されているとして、「広大地」には当たらないと判断したものである。

要旨

 請求人らは、相続により取得した各土地(本件各土地)は、賃貸マンションの敷地となっているところ、地価公示法によれば賃貸マンションを建築することが地域の標準的使用とはなり得ないこと及び本件各土地が所在する地域の近傍地域が一群の戸建住宅分譲用地へと移行しつつあることからすると、本件各土地は「現に宅地として有効利用されている建築物等の敷地」には該当しないなどと主張して、本件各土地は、財産評価基本通達24-4《広大地の評価》(広大地通達)に定める広大地に該当する旨主張する。
 しかしながら、広大地通達の趣旨に照らすと、評価対象宅地につき、評価時点における当該宅地の属する地域の標準的使用に照らして、当該宅地を分割することなく一体として使用することが最有効使用であると認められる場合には、広大地に該当しないと解するのが相当であり、既に開発行為を了しているマンションなどの敷地や現に宅地として有効利用されている建築物の敷地用地などについては、特段の事情がない限り、広大地には該当しないものと解せられるところ、本件各土地は、既に開発行為を了した共同住宅の敷地として使用されており、本件各土地について、近い将来において新たな開発行為を行うべき事情も認められない上、本件各土地の存する地域においては、戸建住宅用地、共同住宅用地、法人等事業用地、倉庫・車庫・工場用地の各用途のいずれもが標準的な使用形態であると認められることからすると、本件各土地は、既に開発行為を了した共同住宅の敷地として、その周辺地域の標準的な使用状況に照らして有効に利用されているものと認められる。
 したがって、本件各土地は、広大地には該当しないものと認めるのが相当である。

参照条文等

財産評価基本通達24-4

参考判決・裁決

東京地裁平成20年8月29日判決(税資258号順号11014) 東京地裁平成17年11月10日判決(税資255号順号10199)

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平成23年4月19日裁決

免税事業者であるにもかかわらず課税事業者であるかのように装い、基準期間の課税売上高が1,000万円を超えている旨の虚偽の記載をして修正申告書を提出した行為は、重加算税の賦課要件である「隠ぺい又は仮装の行為」に当たるとした事例

裁決事例集 第83集

ポイント

 この事例は、重加算税の賦課要件である「隠ぺい又は仮装の行為」の該当性の判断に当たり、平成12年7月3日付課消2-17ほか5課共同「消費税及び地方消費税の更正等及び加算税の取扱いについて(事務運営指針)」の第2のⅣの5の趣旨を明確にした上で、その該当性を認めたものである。

要旨

 請求人は、基準期間の課税売上高は、当該課税期間の課税標準等又は税額等の計算の基礎となるべき事実ではないから、基準期間の課税売上高が1,000万円を超えているかのように装った同期間の修正申告書を提出した行為は、重加算税の賦課要件である隠ぺい又は仮装行為に当たらず、また、平成12年7月3日付課消2-17ほか5課共同「消費税及び地方消費税の更正等及び加算税の取扱いについて(事務運営指針)」の第2のⅣの5の定め(本件留意事項)に準じて解釈すれば、本件は「重加算税を課すべきこととならない」ときに該当するから、重加算税の賦課決定処分は違法である旨主張する。
 しかしながら、国税通則法第68条《重加算税》第1項に規定する事実の隠ぺいとは、売上除外、証拠書類の廃棄等、課税要件に該当する事実の全部又は一部を隠すことをいい、事実の仮装とは、架空仕入れ、架空契約書の作成、他人名義の利用等、存在しない課税要件事実が存在するように見せかけることをいうと解するのが相当であるところ、請求人が免税事業者であるか課税事業者であるかは、消費税等の納税義務者に該当するか否かという課税要件事実そのものであり、不正に消費税の還付を受けるため、免税事業者であるにもかかわらず課税事業者であるかのように装って確定申告書を提出した行為は、重加算税の賦課要件を充足する。
 なお、本件留意事項は、基準期間の隠ぺい又は仮装行為が、客観的にみて課税期間の課税標準等又は税額等の計算の基礎となるべき事実の隠ぺい又は仮装行為と評価できない場合には、重加算税の賦課要件を満たさないことに留意すべき旨を定めたものにすぎないと解すべきであり、基準期間の課税売上高の仮装行為が、課税期間の課税標準等又は税額等の計算の基礎となるべき事実の仮装に該当すると評価できる本件は、本件留意事項が定める場合とは前提を異にするというべきである。

参照条文等

国税通則法第68条第1項 平成12年7月3日付課消2-17ほか5課共同「消費税及び地方消費税の更正等及び加算税の取扱いについて(事務運営指針)」

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平成23年4月18日裁決

平成18年分については、請求人が養育費の送金は行っておらず長男と「生計を一にするもの」には該当しないことから、また、平成19・20年分については、元妻が請求人より先に勤務先に対し長男を扶養親族とする旨の扶養控除等申告書を提出していることから、いずれの年分も請求人において長男を扶養親族とする扶養控除の適用は認められないとした事例

裁決事例集 第83集

ポイント

 所得税法第2条第1項第34号に規定する「生計を一にするもの」とは、一般に親族が同一の生活共同体に属して日常生活の資を共通にしていることをいうものと解される。また、所得税法施行令第219条第1項は、二以上の居住者の扶養親族に該当する者があるときは、その所属は原則として居住者の自由な選択に委ね、いずれの居住者の扶養親族であるか定まらない場合には同条第2項により、いずれの居住者の扶養親族であるかを決することとしている。
 この事例は、離婚後、元妻と同居している長男について、請求人と生計を一にしているか、また、元妻が請求人に先立って長男を扶養親族とする扶養控除等申告書を勤務先に提出している場合に請求人の扶養親族となるか否かが争われたものである。

要旨

 請求人は、裁判により本件養育費の債務を負うことが確定していることから、送金がなくても、長男は請求人と「生計を一にするもの」に該当する旨主張するが、「生計を一にするもの」とは、常に生活費等の送金が行われている場合のように、日常生活の資を共通にしているものをいうと解すべきところ、請求人が平成18年中に本件養育費を送金していない以上、長男が請求人と日常生活の資を共通にしているとはいえない。
 また、請求人は、裁判離婚した元妻との間には相互に意思の連絡がないから、所得税法施行令第219条《二以上の居住者がある場合の扶養親族の所属》第2項第1号は適用されず、同項第2号を適用すべきである旨主張するが、二以上の居住者の間に意思の連絡があるか否かによって同項第1号の適用が左右されるものではない。そして、本件では、平成19年分及び平成20年分とも、元妻が、請求人より先に、勤務先に対し、長男を扶養親族とする旨の扶養控除等申告書を提出しているから、所得税法施行令第219条第2項第1号により、長男は元妻の扶養親族に該当することとなり、同項第2号が適用される余地はない。

参照条文等

所得税法第2条第1項第34号 所得税法施行令第219条

参考判決・裁決

徳島地裁昭和59年5月30日判決(税資136号594頁) 平成20年10月29日裁決(裁決事例集No.76) 平成元年1月12日裁決(裁決事例集No.37)

原文を表示
平成23年4月1日裁決

評価対象地は、道路を開設するなどした開発を行うことが最も合理的であり、広大な市街地農地として評価するのが相当であるとした事例

裁決事例集 第83集

ポイント

 この事例は、評価対象地である市街地農地が宅地であるとした場合に「広大地」に該当するか否かについて、評価対象地の属する地域内の開発事例を詳細かつ具体的に調査し、その調査結果を評価対象地の状況と併せ検討することにより、公共公益的施設用地の負担の適否を判断し、評価対象地は「広大地」に該当するとしたものである。

要旨

 原処分庁は、本件土地は、路地状開発によれば容積率及び建ぺい率の算定に当たって、路地状部分の地積もその算定の基礎とすることができること及び本件土地の属する地域(本件地域)内には路地状開発の事例が複数見受けられることから、路地状開発により戸建分譲を行うことが経済的に最も合理的な開発方法に当たると認めるのが相当で、開発行為を行うとした場合に公共公益的施設用地の負担の必要は認められないから、財産評価基本通達40-2《広大な市街地農地》に定める広大な市街地農地として評価することはできない旨主張する。
 しかしながら、本件地域内の開発状況を見ると、①本件土地と同規模程度の面積の土地で公共公益的施設用地の負担をしないで開発された事例がないこと、②周辺地域の路地状開発において見られる路地状敷地の数は2ないし4であり、原処分庁主張の開発想定図にある7つもの連続した路地状敷地を配置した開発事例はない。加えて、本件土地の形状、他の道路との接続状況及び面積等を総合的に勘案すると、本件土地は、道路を開設して開発するのが経済的に最も合理的な開発方法と認められる。
 したがって、本件土地は、広大な市街地農地として評価するのが相当である。

参照条文等

財産評価基本通達40-2

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