裁決事例 裁決事例集 第39集
要旨
第二次納税義務の本質は、主たる納税義務者に対する徴収処分の延長あるいは一段階として捕らえるべきものであるから、第二次納税義務は、主たる納税義務の存否と運命を共にするものと考えるのが相当であって、主たる納税義務が存続する限り、第二次納税義務がこれと別個に独立して時効により消滅することはないものと解すべきであるところ、本件納税者に対する納税義務については、昭和59年8月27日に督促状が発付されたことにより同年9月6日に時効が中断され、同日より5年以内である平成元年4月10日に請求人に対する第二次納税義務の告知が行われた事実が認められるから、請求人の第二次納税義務は時効により消滅していないというべきである。
要旨
請求人は、会社更生法第271条第1項の変更許可に基づき、当初計画において計上した土地等の評価益を減額修正し、変更許可を受けた事業年度において減額した差損を損金の額に算入している。しかし、変更許可の効力は、その許可の時から生じるものであり、当初計画にそ及して減額修正する効力を有するものではない。すなわち、請求人が土地等の評価を減額修正したのは、新たに土地等の評価換えをしたものとせざるを得ない。
そこで、資産の評価損の計上が許されるか否かは、法人税法第33条第2項の規定の要件に該当するか否かによるところ、本件ではその要件を満たしていないから、その損失は損金の額に算入できない。
売上げの一部を隠ぺいしたことにより過大に繰り越された欠損金額があった場合には、これを損金の額に算入した事業年度において事実の隠ぺい又は仮装があったことになるとした事例
裁決事例集 第39集 22頁
要旨
前々期の欠損事業年度において売上げの一部を隠ぺいにより脱漏させ、これに基づき翌期以降に欠損金を過大に繰り越す確定申告書を提出し、本件事業年度において欠損事業年度から繰り越されてきた架空の欠損金を損金の額に算入して過少な申告書を提出したのであるから、そのことは本件事業年度において税額等の計算の基礎となるべき事実を隠ぺい又は仮装したことになるというべきである。
農地につき贈与税の納税猶予の適用を受け、引続き農業経営を行っているとしても、相続税の期限内申告においてその農地を相続税の課税価格に算入した上、相続税の納税猶予の適用を受ける旨の記載、担保の提供、農業委員会の証明書の添付等がない場合、相続税の納税猶予の適用はないとした事例
裁決事例集 第39集 545頁
要旨
被相続人からその生前に農地の贈与を受け、租税特別措置法第70条の4の規定による贈与税の納税猶予の特例の適用を受けていた相続人が、被相続人の死亡後も引続き農業経営を行い、当該農地を農業の用に供している場合においても、相続税の課税価格に当該農地の相続開始時の時価を算入して相続税額の計算をするとともに、相続税の期限内申告書に相続税の納税猶予の特例の適用を受ける旨を記載し、かつ、申告期限内において、担保の提供、農業委員会の証明書等の提出がなければ、租税特別措置法第70条の6の規定による相続税の納税猶予の特例の適用を受けることは認められない。
要旨
滞納者(会社)は、土地を譲渡した後代金の一部60,000,000円を第三者(2名)に対する債務の弁済の名目で流出し、これを当該第三者名義の預金に預け入れており、更にその資金が請求人(滞納者の代表取締役の妻が代表取締役である会社)に対し貸付金の名目で移動している。
しかし、[1]滞納者の帳簿には、当該第三者からの借入金の記載はなく、[2]当該第三者は、請求人の代表者の実弟(大学生)又は滞納者の代表者の娘婿であるところ、いずれも滞納者に対する債権及び請求人に対する債権の存在を否定していること等から、当該金員は、実質的には滞納者から請求人に直接渡ったものと認めるのが相当である。
また、請求人から滞納者に対する何らの反対給付もないことから、原処分庁がこの金員の範囲内である58,000,000円の限度で贈与と認定したことは相当である。
そうすると、滞納者についての徴収不足は、上記金員の贈与に基因すると認められるから、国税徴収法第39条に基づく第二次納税義務の告知処分は適法である。
既存住宅の共有持分の追加取得は、租税特別措置法第41条“住宅の取得をした場合の所得税額の特別控除”第1項に規定する「既存住宅」の取得に当たるとした事例
裁決事例集 第39集 505頁
要旨
共有持分権は一個独立の所有権たる性質を有するものであって、通常の所有権と同じく目的物を使用・収益・処分する権能を持つものと解されるから、居住の用に供する家屋の共有持分の取得は住宅取得特別控除制度が適用される「既存住宅の取得」に当たると解するのが相当である。共有持分権の取得は既存住宅の取得に当たらないとする原処分庁の主張の趣旨は、同制度が持家促進の目的から設けられた立法趣旨に照らし相当でないということにあるとうかがわれるが、昭和58年の租税特別措置法の一部改正により持家居住者が既存住宅を取得した場合にも同制度の適用を認めることとされた法改正の経緯からみて、上記のとおり解したとしても、その立法の趣旨に反するものとまではいえない。すなわち、既に居住用家屋を有する者が他の居住用家屋を2以上取得することとなる場合のほかは租税特別措置法第41条の適用が認められるものであることから、既に居住用家屋の共有持分を追加取得した場合であっても、同居している夫婦間又は親子間におけるように居住状態の変化の伴わない売買であればともかく、かかる事情がうかがわれない本件にあっては同条の適用があるものと解するのが相当である。
要旨
法定申告期限前に提出された還付申告書に係る更正の請求については、法定申告期限前に提出された還付申告書以外の納税申告書に係る更正の請求の取扱い並びに国税通則法施行令第25条“延滞税の計算期間の起算日の特例”第3号及び第29条“還付金に係る決定等の期間制限の起算日”の各規定における還付申告書の取扱いとの均衡からみて、還付申告書以外の納税申告書の場合と同様に、法定申告期限から1年以内はこれを行うことができるものと解するのが相当である。
保証債務の履行をC銀行からの借入れで行い、その後本件資産を譲渡した後にD銀行から借入れを行ってC銀行に対する借入金を返済した上、分割受領した本件資産の譲渡代金でD銀行に対する借入金を分割返済した場合には、所得税法第64条第2項の適用がないとした事例
裁決事例集 第39集 133頁
要旨
所得税法第64条第2項の規定が適用されるためには、資産の譲渡と保証債務の履行との間に強い因果関係が必要であるというべきであって、保証債務の履行と資産の譲渡とが、たまたま時期を同じくして行われたとしても、保証債務の履行が保証人の譲渡代金以外の資金、信用によって行われたときは、同条項の適用がないものと解すべきであり、ただ、保証債務の履行を求められたため、やむを得ず譲渡代金を受領するまでのつなぎ資金として、一時的に借入金でその保証債務を履行しておき、その後短期間のうちに資産を譲渡して、その譲渡代金をもって遅滞なくその借入金を返済するなど、資産の譲渡と保証債務の履行との間に強い因果関係があると認められる場合にも同条項の適用があるものと解する。
本件については、分割受領した譲渡代金の流れ等からみて、資産を譲渡した後に借り入れた資金は本件土地の譲渡代金を受領するまでの一時的なつなぎ資金であるとは認められず、土地の譲渡と保証債務の履行との間に強い因果関係があるとは認められないから、所得税法第64条第2項の適用はない。
要旨
所得税法第33条第3項に規定する譲渡取得の金額の計上総収入金額から控除すべき「資産の譲渡に要した費用」とは、譲渡を実現するため直接必要な経費(測量費、仲介手数料等)を指すものと解するのが相当であるところ、請求人が資産の譲渡に要した費用に当たると主張する請求人が支払った金員についてみると、金額的な区分は必ずしも明確ではないが、元本である借入金に対して本来支払うべき支払利息及び延滞損害金部分と本件土地等に係る抵当権の抹消手続をスムーズに行うための支出金部分を合わせたものということができるが、このうち、利息及び延滞損害金部分は、本件譲渡の有無にかかわりなく、借入れの際の約定に基づいて請求人が支払の義務を負うものであり、借入金の使途に応じて、その使途に係る業務の所得計算上必要経費に算入するなどの措置を講ずれば足りるのであって、その支払が本件譲渡を機になされたとしても、これを本件譲渡に係る譲渡費用とみる余地はなく、また、抵当権の抹消手続をスムーズに行うための支出金部分についても、抵当権を抹消することが本件譲渡の前提として事実上必要であり、これを促進するために支払われたものであるとしても、このことをもって、本件譲渡のために直接必要な経費に当たると解することはできない。
土地と建物を一括譲渡した場合において、土地譲渡益重課制度の対象となる土地の譲渡対価の額は、建物の未償却残額に建築費上昇率を乗じて得た建物の価額を土地建物の譲渡対価の額から控除して算定すべきものとした事例
裁決事例集 第39集 516頁
要旨
土地と建物を一括譲渡した場合において、土地譲渡益重課制度の対象となる土地の譲渡対価の額を算定するに当たり、請求人主張の譲渡時の土地建物の帳簿価額によりあん分する方法によると、土地と建物の譲渡対価の額が帳簿価額と同じ割合で上昇するので、土地高騰の現状に適しないといえる。
土地価額の上昇率が都市区域において急激であるのに対し、建物価額の上昇率が比較的緩やかである現状からみて、建物価額をまず算定して控除する方式が合理的であり、建物取得価額から定率法による減価償却費を控除した未償却残額に建設省建築動態統計調査による建築価額の上昇率を乗じて計算した建物価額を算定し、これを一括譲渡対価の額から控除して土地の譲渡価額を算定するのが相当である。
要旨
法人がその役員に対して、月俸、年俸等の固定給のほかに歩合給又は能率給を支給している場合において、これらの支給が使用人に対する支給基準と同一の基準によっているときは、これらの給与は法人税法第35条第4項に定める臨時的な給与としないで定期の給与とするのが相当と解されるところ、本件役員に対して、収入保険料に基づく歩合給は毎月支給されていないし、本件一時金の額は同人らの収入保険料の実績額に基づいて算定されていないから歩合給ではなく、かえって、一時金の支給を受けていない他の使用人については同時期に賞与を支給しているから、本件一時金は夏期、冬期、決算期等通常賞与を支給すべき時期に、一時金の名目で支給した臨時的な給与すなわち賞与に該当する。
要旨
被相続人が所有する取引相場のない株式につき、当該株式の発行会社に対して「退職した場合には、会社の指示に従い、額面価額をもって所有する株式を譲渡する」という誓約書を提出していること等から、相続人としてその誓約書どおりに額面価額により相続した当該株式を譲渡せざるを得ない状況にあったとしても、当該誓約は、会社と従業員という特定の関係にある当事者間の契約であり、当該契約による譲渡価額は、被相続人の自由意思により決定された額とは認められないから、仮に、額面価額が唯一の処分可能価額であったとしても、その価額は、当該株式の客観的交換価値を表した価額とは認められない。
相続税法第22条に規定する「時価」とは、利害関係のない当事者間における客観的交換価値と解されるから、当該制約された譲渡価額は、同条に規定する時価に当たらない。
本件株式については、被相続人及び請求人らの所有形態からみて、配当還元方式により評価するのが客観的で合理的である。
要旨
固定資産課税台帳に登録された価格のない建物の登録免許税の課税標準額について、請求人は当該建物の建築価額によるべきであると主張するが、当該建築価額には、本来建物の価額として当然に含まれるべき電気設備、ガス設備、衛生設備、給排水設備等、建物に附属して建物の機能を発揮するための設備に要する費用及び設計管理費用の額が含まれていないため採用することができない。また、本件建物は、簡易な種類の店舗であることが認められ、一般的な店舗についての適用を予定している「登録免許税課税標準額認定基準」の価格を適用して認定した原処分庁の課税標準も採用することができない。本件建物は登記申請時に固定資産課税台帳に登録された価格のない建物であるから、登録免許税法施行令附則第3項第2号の規定により、固定資産課税台帳に登録された本件建物と類似した建物の価格を基礎として認定するのが相当である。
要旨
課税処分の適否は、客観的な課税標準等の額が原処分において認定した額を上回るか否かにあること、また、行政手続において証拠能力の制限規定が設けられていないこと等に照らすと、仮に原処分の認定根拠とした資料の収集過程に違法があったとしても、その違法が刑罰法規に抵触するなど、著しい違法性を有する場合はともかく、そうでない場合には課税処分を取り消す必要はないと解すべきであるところ、本件資料は、収税官吏が裁判官の許可状を得て行った国税犯則取締法に基づく強制調査により収集したものであって、その強制調査に当たって行ったガラス戸の破壊や警察官の立合い・援助等の行為は、同法に基づく臨検・捜索・差押に際しての正当な行為であると認められ、その他当該収税官吏の行為が著しい違法性を有するとする証拠は認められない。
買換土地のうち買換家屋が建っている部分とはブロックフェンスで区分され、アスファルトで舗装されて請求人の自家用車の駐車場、物干場及び子供の遊び場として利用されている部分も買換家屋の敷地といえるとした事例
裁決事例集 第39集 490頁
要旨
租税特別措置法第36条の2に規定する居住用家屋の敷地に該当するか否かの認定に当たっては、単に居住用家屋が物理的に存立するために必要な部分に限るのではなく、社会通念上当該家屋と一体として利用されている土地かどうかによって認定するのが相当であると解されているところ、(1)乙地は、請求人が本件買換資産を取得して以来、請求人の自家用車の駐車場、物干場及び子供の遊び場として利用されているほか、本件買換家屋の建っている南側土地と乙地とはブロックフェンスに取り付けられた扉を通じて直接往来でき、また、その設置目的も乙地に降った雨水が南側土地へ侵入するのを防ぐためのものと認められ、南側土地と乙地とは機能的には、何ら別個独立のものとは認められないこと、(2)乙地は軟弱な粘土質であり、雨が降ると泥田のようになることから、そのままの状態では、自家用車の駐車場、物干場及び子供の遊び場として利用するのに適していないので、その対策として請求人はこれをアスファルトで舗装したと認められ、乙地がアスファルトで舗装されているからといって、乙地が本件買換家屋と一体として利用されていない根拠にはならないことから、乙地は本件買換家屋と一体として利用されている土地であるとするのが社会通念に照らして相当であり、乙地は本件買換家屋の敷地に該当するというべきである。
要旨
外国保険会社に係る本件駐在員の事業活動は、駐在員事務所開設届の記載にかかわらず、日本及び太平洋地域の営業体制の強化のための分析、研究等本店のための補助活動にとどまるものではなく、日本支店の所得の稼得のために行われたものと認められ、駐在員経費の額に駐在員の実働時間のうちに日本支店の業務に関する時間の占める割合を乗じて計算した金額は、日本支店に係る国内源泉所得の金額の計算上損金の額に算入するのが相当である。
要旨
本件浮桟橋は鉄骨枠の中に発砲スチロールのブロックを納め、その枠の上部に鋼板を据え付け、更に、その鋼板の上にコンクリートパネルを張ったものを連結したものであるから、工作物に当たり、また、釣堀の水面に浮いているが、浮遊しないようにその一端を釣堀の周囲の岸に固着させるとともに、要所に支柱を立てて固定されており、土地に定着するものであることが認められるから、その種類を「構築物」とするのが相当である。更に、本件浮桟橋の主要な材料は発砲スチロールであり、その構造を「合成樹脂造のもの」とするのが相当である。したがって、本件浮桟橋は減価償却資産の耐用年数等に関する省令別表第一に掲げる「構築物」の「合成樹脂造のもの」に該当し、その耐用年数は10年とするのが相当である。
本件船舶の譲渡価額のうちには船舶建造引当権の対価の額が含まれており、当該船舶建造引当権の譲渡対価については、租税特別措置法第65条の7に規定する特定資産の買換えの特例の適用はないとした事例
裁決事例集 第39集 53頁
要旨
請求人は、船舶の譲渡価額は船体価額であって建造引当権の対価は含まれていないと主張するが、[1]内航海運業界では、船腹量調整のため船舶の解撤等を引当てに代替船の建造等を認める方式がとられ、建造引当権を売買の対象とする慣行があること、[2]請求人所在地近辺の取引実例5件では、建造引当権の対価が定められていること、[3]転売に係る譲受人の所持する売買契約書原本には建造引当権の特約があること、及び[4]船舶を建造した造船所及び譲受人の答述を総合すれば、本件船舶の譲渡価額には、建造引当権の対価の額が含まれていることが認められ、その対価は、租税特別措置法(昭和59年法律第6号による改正後のもの)第65条の7“特定の資産の買換えの場合の課税の特例”に規定する特定の資産の買換えの特例の対象とはならず、したがって、同法第65条の8“特定の資産の譲渡に伴い特別勘定を設けた場合の課税の特例”に規定する特別勘定の金額のうち上記建造引当権の対価の額に相当する繰入限度超価額を益金の額に算入した原処分は相当である。
要旨
宗教法人が檀家以外の者に対して、当該法人に所属する僧侶が出仕しないで、告別式等の行事のため本堂等を利用に供し金員を収受していることは、宗教法人が他の者に単に本堂等を利用させる行為にすぎないから、収益事業である席貸業に該当する。
買主が売主に交付する金銭の額と買主が負担する売主の譲渡所得税相当額との合計額をもって土地の売買価額とする旨の特約条項付の売買契約に係る「売買価額」を一定の算式により計算し、その計算後の価額が著しく低い価額の対価の譲渡に該当するとした事例
裁決事例集 第39集 18頁
要旨
買主が売主に交付する金銭の額と買主が負担する売主の譲渡所得税相当額との合計額をもって土地の売買価額とする旨の特約条項が付されている売買契約に係る当該譲渡資産の売買価額及び売主の短期譲渡所得の譲渡所得税額は、次の算式により計算される。
売買価格=交付する金銭の額+譲渡所得税額‥‥‥‥‥‥‥‥式1
譲渡所得税額=(売買価格-取得額-譲渡経費)×税率‥‥‥式2
式1を式2に代入すると、
譲渡所得税額=
| 交付する金銭の額-取得額-譲渡経費 | ×税率‥式3 |
| 1-税率 |
本件の場合、交付する金銭の額が取得費に満たないところから、式3の譲渡所得税額がマイナスとなり、交付する金銭の額に加算すべき金額と請求人が納付することとなる譲渡所得税額とが一致する数値は存在しないこととなる。
結局、式1の交付する金銭の額7,700,000円に加算すべき金額は零という結果になるから、本件土地の売買価額は、交付する金銭の額の7,700,000円ということになる。
他方、買主は、本件契約の日の3日後に、第三者に対し18,000,000円で本件土地を転売しており、その転売価額には特別な条件が付されているとは認められないこと等から、当該転売価額は、本件土地の客観的な交換価値を示すものということができ、本件土地の時価は、18,000,000円と認められる。
そうすると、本件土地の売買価額は、7,700,000円であり、その結果、当該売買価額は、時価18,000,000円の2分の1未満となるから、本件譲渡は、著しく低い価額の対価による譲渡に該当する。したがって、所得税法第59条第1項の低額譲渡の規定を適用した原処分は、相当である。
要旨
国税通則法第70条第5項の規定は、「偽りその他不正の行為」によって国税の全部若しくは一部を免れた納税者がある場合、これに対して適正な課税を行うことができるように、同条第1項各号に掲げる更正又は賦課決定の除斥期間を同項の規定にかかわらず7年とすることを定めたものであるが、「偽りその他不正の行為」によって免れた税額に相当する部分のみにその適用範囲が限られるものではないと解されている。そうすると、「偽りその他不正の行為」によりその税額を免れていた本件リベート収入のみならず「偽りその他不正の行為」に基づかずにその税額を免れていた本件給与についても、その法定申告期限から7年を経過する日まで更正できることは明らかである。
要旨
法人税法上役員に支給される給与が報酬となるか賞与となるかは、実際に支給される給与が定期の給与か臨時的な給与かという支給の形態をもって判断することとなり、請求人は、役員に対し毎月規則的に反復継続して給与を支給しているから当該金額をもって役員報酬と認めるのが相当であり、請求人が取締役会の決議に基づき未払として一括損金の額に算入した改訂差額は、役員賞与と認めるのが相当である。
値下がりしている保有株式を売却すると同時に、同一銘柄の株式を同株数、同価額で購入する取引によって生じた売却損について、これを租税回避行為として否認することはできないとした事例
裁決事例集 第39集 106頁
要旨
値下がりしている保有株式を売却すると同時に、同一銘柄の株式を同株数、同価額で購入する取引によって生じた売却損について、原処分庁は、かかる取引は手数料等の実損を生じるだけ積極的な利益追求としてのメリットは全くない、株式売却損を発生させ、他の売買益と通算して税負担を減少させる目的で行ったものと認められるから、所得税法に内在する実質課税の条理に基づき、本件取引はなかったものとして雑所得の金額を計算すべきである旨主張する。
しかし、[1]本件売却損は、保有株式の値下がりによる損失を現実の売却により顕在化させただけであって、意図的に作り出したものではないから、結果として損失が生じたとしても、不自然、不合理なものとはいえないし、[2]保有株式の値下がりによる損失を顕在化させる目的で本件取引をしたものであっても、株式取引が極めて経済的危険の多い取引であり、所得税が経済取引上考慮されるべき経済的負担であることを考えると、そのような目的があるからといって、これを不自然、不合理として否定することはできず、[3]現実の取引によって値下がり損失を実現している以上、評価損と同視することはできず、仮装ないし不自然な取引とはいえないから、その行為は租税回避行為に当たらない。
要旨
請求人は、暴力団の配下組員と共謀の上、大量の覚せい剤を密輸入・密売し、係争年分中に多額の利益を得ていたにもかかわらず、これを申告しなかったものであり、請求人に対する所得の決定及び重加算税の賦課決定は適法である。
本件契約は、借家人の立退業務に係る請負契約ではなく、通常の不動産の売買契約であると認定した上、その収益の計上時期は、売買代金のおおむね95パーセントを収受した時であるとした事例
裁決事例集 第39集 158頁
要旨
請求人は、本件契約書の形式は不動産売買契約書であるが実質は本件家屋から借家人を立ち退かせるという業務に係る請負契約であり、いまだその業務を完了していないから当期に収益を計上すべきでないと主張するが、本件契約は通常の売買契約であると認められ、請求人は当期中に売買代金の95パーセントを受領し、所有権移転登記を了しており、その登記名義人が所有者としての立場で本件家屋の借家人に対する明渡し交渉を第三者に委託していることからすると、本件譲渡収益は当期に計上すべきである。
高床式居宅兼共同住宅の床下部分の土地が賃貸駐車場として利用されている場合においてその敷地全体を居住用、事業用の併用であると判定した上、その土地の譲渡価額を居住用部分と事業用部分に区分計算すべきであるとした事例
裁決事例集 第39集 479頁
要旨
一般に、駐車場には土地をそのまま使用するいわゆる青空駐車場から屋根付きの駐車場、更には建物内部に設けられた駐車場等各種の形態があるが、本件の場合は建物の床下部分を駐車場としているのであるから、外壁がない点を除けば2階建ての建物の1階部分を駐車場として使用している場合と基本的には変わらないとみるのが相当であり、そうすると、本件建物は居住用、事業用の併用であることから、その敷地である本件土地も居住用、事業用の併用とみるべきであり、原処分庁において本件土地を本件建物の居住用、事業用それぞれの使用割合に応じて区分計算した方法には合理性があり、これを不相当とする理由は認められない。
農地の一部を宅地に造成し分譲した際に取り付けた公衆用道路の取得費(道路用地の取得費及び工事費)は、分譲宅地に係る譲渡所得の金額の計算上、総収入金額から控除する取得費に該当するとした事例
裁決事例集 第39集 81頁
要旨
一団地の宅地を造成して分譲する場合、団地経営に必要な道路等は、現実には地方公共団体に容易に採納されず、分譲したものが名目的に所有せざるを得ないことが多く見受けられる。このような場合、その道路等の経済的価値は、すべて分譲された土地の効用に吸収されているとみることができ、その費用は、その道路等が地方公共団体に寄付されたと同様に、分譲宅地の取得費に算入すべきであると解される。
本件道路は、本件分譲宅地に不可欠かつ必要最小限のものであり、公衆用道路として一般通行の用に供されるものであって、これを譲渡し、その取得費を回収することが期待できない点を考慮すると、その経済的価値は、分譲宅地の効用に吸収されたというべきであり、地方公共団体に寄付したと同様に、本件道路の取得費は、分譲宅地の取得費に算入するのが相当である。
また、本件道路は、分譲宅地の価値を高めていると同時に、残地たる農地の価値をも高めているから、本件道路の取得費は、分譲宅地及び残地の面積比に応じてあん分すべきであるとの原処分庁の主張については、本件残地は、宅地転用の予定のない農地であり、現に耕作されていること、残地と公道との間には農道があること等を考慮すると、本件道路の設置により本件残地の価値が高められたとしても、それは本件宅地造成により付随的にもたらされたものにすぎす、その取得費を本件残地に配賦すべき理由に乏しく、採用することはできない。
不動産売買業を営む法人が、土地売買により生じた簿外収益の一部を同法人の実質的代表者に賞与として支給したものと認定し、源泉徴収に係る所得税の納税告知処分をしたことは適法であるとした事例
裁決事例集 第39集 332頁
要旨
不動産売買業を営む法人である請求人は、土地の売買により生じた簿外収益の一部とその収益を預け入れた簿外の請求人名義の普通預金の払戻金との合計金員3,200万円余を請求人の会計帳簿に計上せず、かつ、当該土地取引の代金の授受及び簿外普通預金の管理をしていた請求人の代表取締役の夫は、その使途を説明しないのであるが、[1]代表取締役の夫は、請求人の業務の指揮・監督をするなど実質的に請求人の経営の一切を支配しており、かつ、当該土地取引の代金の授受及び簿外普通預金の払出しを自ら行うなど、本件金員を自由に処分できる立場にあったこと、[2]本件金員は、その用途が明らかでないこと、及び[3]本件金員が請求人の費用等に充てられたとする証拠資料はないこと等の事実を総合すれば、本件金員は代表取締役の夫が個人的に費消したものと推認され、したがって、請求人は同人に対し賞与を支給したものと認められるので、その賞与について源泉徴収に係る所得税の納税告知処分をしたことは適法である。
税務署長に対し底地の取得者と借地権者との連署による借地権者の地位に変更がない旨の申出書を提出している場合において、底地の取得者である相続人が借地権者である被相続人の建物を取り壊して建物を新築しても被相続人の借地権者の地位に変更はないというべきであり、借地権は相続開始まで被相続人に留保されたものと認められるとした事例
裁決事例集 第39集 369頁
要旨
借地権の目的となっている土地(底地)を借地権者以外の者が取得し、地代の授受が行われないこととなった場合において、地代の授受が行われなくなった理由が使用貸借に基づくものでないとして、土地(底地)取得者と借地権者との連署による借地権者の地位に変更がない旨の申出書の提出があったときは、借地権は従来どおり存在するものとし、その借地権者が死亡したときにその相続財産を構成するものとする取扱いは、その申出に即したものであり、当事者の意思を尊重した合理的な取扱いと認められる。
この申出書の提出がされ、その12日後に借地権者たる被相続人の建物が取り壊され、翌年に土地(底地)取得者たる相続人の建物がその土地に新築された場合は、申出書の提出時点で既に建物の取壊しと新築が予定されていたものと認められるから、当事者間では、取壊し後も引続き被相続人の借地権者としての地位に変更はない旨の了解があったと認められる。被相続人は、取壊し後も借地権を留保することを前提として、相続人がその土地に建物を新築することを認めたものとみるのが相当であり、借地権は、相続開始まで被相続人に留保されたものと認められるから、本件借地権が相続財産を構成するものであるとした原処分は相当である。
要旨
法人税法第37条“寄付金の損金不算入”第4項にいう収益事業から公益事業への資産の支出とは、現に収益事業に属する資産を公益事業へ支出して、これにつき明確に区分経理をし、かつ、その資産がその公益法人等の本来の事業のための資金として使用されることをいうものと解されるから、収益事業から公益事業へ資産を支出したとしても、直ちにその支出した資産の額に相当する金額を元入金として公益事業から収益事業へ受け入れた場合には、法人税法第37条第4項にいう支出には当たらず、また、これにつき明確に区分経理したことにはならないから、当該収益事業から公益事業への支出額は、みなし寄付金には該当しない。
要旨
原処分庁は本件建物の価額の認定が登録免許税法施行令附則第3項に規定する類似不動産の登録価格を基礎としたことの主張・立証をせず、また、原処分庁の認定額と本件登記直後における本件建物の登録価格とは著しい開差があり、原処分庁の認定価額は類似不動産の登録価格を基礎としたものと認められず、請求人の主張する本件建物の建築価額は通常の取引による客観的な価額と認められ、本件建物の課税標準価額は、登録免許税法第10条第1項の規定に照らし、請求人の主張する本件建物の建築価額と認めるのが相当である。
要旨
請求人が債務控除の対象となる債務に該当するとして申告した借入金は、[1]被相続人が借り入れたとする金員についての異動の形跡が認められないこと、[2]被相続人は、生前無職で、高齢かつ病弱であったものであり、一方、請求人は、貸金を業とする者であること、[3]請求人が主張する貸金返還請求訴訟は、相続税対策上提起されたことは疑いを入れる余地がないこと等の事実から、被相続人の借入金として存在したとは認められず、あたかもその借入金が存在するがごとく仮装して、相続税の課税価格の計算をして相続税の申告を行ったのであるから、重加算税の賦課決定をしたことは適法である。
銀行業における貸付資金の調達原価の額について、ある取入店の原価の額をロイターレートにより算定した場合、その超過額を他の取入店の不足額と相互に通算することはできないとした事例
裁決事例集 第39集 308頁
要旨
資金取入店における調達原価の額として損金の額に算入される金額は、実際調達原価の額(又はこれに代わるものとしての仮定計算上の調達原価の額)を限度とすべきであるから、不足額の生じた資金取入店の当該不足額と超過額の生じた資金取入店の当該超過額とを相互に通算することは、不足額の生じた資金取入店の実際調達原価の額に内部利益相当額を加算した金額を損金の額に算入することとなるので、現行の法解釈としては到底認められない。
要旨
請求人の保有する競走馬の頭数は各年分とも極めて少なく、また、競走馬の保有等に係る所得は、請求人が自らこれを申告し始めた年分以降、損失を計上するのみであったことからみると、請求人が競走馬の保有等により継続的に相当程度安定した収益を得ていたものということはできず、むしろ請求人が代表取締役を務める会社からその地位に基づいて受ける給与収入により生計を賄っていたことが明らかであること等からすると、請求人の競走馬の保有等は、事業所得の基因となる事業といえるための諸要素を欠くものというほかなく、いまだ所得税法施行令第63条第12号の定める「対価を得て継続的に行う事業」とはいえないというべきである。
要旨
- 寄付の目的が、社主及びその父が生来崇拝してきた地元神社の改築資金の大部分を負担するものであること
- 神社の氏子・信徒の広がりは、その地域に限定されていること
- 宗教等の喜捨は、自然人に期待されるものであること
- 芳名碑及び顕彰之碑には、社主の個人名が刻され感謝状も社主個人に与えられたこと、また、募金者側は、個人の篤行に感謝の念を抱くものであること
- 寄付金の額が多額で、募金総額の大部分を占めること
- その支出決定は、社主の敬神崇祖の念に由来すること
- 社主の寄付申出の確言は、取締役会の決議時期よりもかなり早くなされ、その確言により、神社の奉賛会が結成され、神社改築工事に着手したものであるからその支出決定は、社主個人の判断と認められること
- 取締役会の決議は、本件寄付金をするかどうかというよりも、その資金負担について承認したものと認められること
等の事実からすれば、営利法人たる請求人がしたものとしては、あまりにも高額で不自然であり、社主個人が寄付を実行し、請求人が代わってその資金を提供したものと認めるのが相当である。
要旨
減価償却資産の耐用年数に関する省令別表第一にいう「器具及び備品」は、建物とは構造上独立・可分のものであり、かつ、機能上建物の用途及び使用の状況に即した建物本来の効用を維持する目的以外の固有の目的により設置されたものであることを要するものと解するのが相当である。本件建具等のうち、鋼製建具、木製建具、硝子工事及び畳敷物は、建物と構造上独立・可分のものとは認められないから、「器具及び備品」に該当しないことは明らかであり、また、ユニットバスについては、建物内の浴室と予定され、給湯及び給排水設備が施工された場所に、浴室ユニット部材を結合させて一個の浴室を形成しているもので、本件建物の部屋の一つであるから「器具及び備品」に該当しないことは明らかである。
有限会社の出資の評価に当たって、賃借人である評価会社が賃借建物に設置した附属設備は、工事内容及び賃貸借契約からみて有益費償還請求権を放棄していると認められるから、資産として有額評価することは相当でないとした事例
裁決事例集 第39集 380頁
要旨
有限会社の出資の評価に当たって、賃借人である評価会社が賃借建物(工場)に施した附属設備の工事内容は、壁及び床の断熱工事、塗装工事、電気工事、水道工事、ホイストのレール工事等であるが、これら附属設備は、賃借建物の従たるものとしてこれに付合したことが明らかであり、かつ、それ自体建物の構成部分となって独立した所有権の客体とならないから、評価会社の資産として計上することはできないというべきである。もっとも、そうすると本件建物の所有者は、本件附属設備相当額を不当利得する結果となるから、評価会社は、建物所有者に対し有益費償還請求権を有するはずである。本件賃貸借契約によれば、建物内部改造費、造作、模様替えについて、借主は貸主に対してその買取り請求を一切行わないこと、原状回復は借主の費用負担において行うことが定められているので、評価会社は、有益費償還請求権を放棄したといえるから、本件附属設備の相続税評価額の計算に当たり、有益費償還請求権を有額評価することは相当でない。
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