裁決事例 令和6年(2024年)

裁決事例 令和6年(2024年)

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令和6年12月10日裁決

請求人が支払った建物等の請負工事代金のうち請負業者が請求人の関連法人に支払った金額は、寄附金の額に該当すると判断した事例( 平成27年8月1日から平成28年7月31日までの事業年度の法人税の更正処分及び重加算税の賦課決定処分並びに令和3年8月1日から令和4年7月31日までの事業年度の法人税の更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分、 平成27年8月1日から平成28年7月31日まで及び令和3年8月1日から令和4年7月31日までの各課税事業年度の地方法人税の各更正処分、 平成27年8月1日から平成28年7月31日までの課税期間の消費税及び地方消費税の更正処分並びに重加算税の賦課決定処分、 平成27年8月1日から平成28年7月31日までの事業年度以後の法人税の青色申告の承認の取消処分・ 、 及び 一部取消し、 棄却)

裁決事例集 第137集

ポイント

 本事例は、請求人が支払った建物等の請負工事代金のうち請負業者が請求人の関連法人に支払った金額は、請求人が当該請負業者を介して、請求人の関連法人に金銭を対価なく移転するもの(資金の贈与)であると認められ、かつ、請求人が当該資金の贈与を行うことに通常の経済取引として是認することができる合理的理由は認められないから、寄附金の額に該当すると判断したものである。

要旨

 請求人は、取得した建物等の新築工事(本件建物等工事)等につき、これらを請け負った建設会社(本件建設会社)及び建築士(本件建築士)が請求人の関連法人(N社、P社及びQ社)に支払った各金額(本件支払額1及び本件支払額2)は、N社、P社及びQ社による役務の提供の対価であるから、法人税法第37条《寄附金の損金不算入》第7項に規定する寄附金の額に該当しない旨主張する。
 しかしながら、本件支払額1及び本件支払額2については、本件建設会社及び本件建築士がN社、P社及びQ社から何ら役務の提供を受けていないにもかかわらず、請求人の指示に従って支払われたものであることに加え、請求人は、本件建物等工事等に係る契約書等の請負代金等に本件支払額1及び本件支払額2に相当する金額を含めて当該契約書等を作成するとともに、本件建設会社及び本件建築士に対し、本件支払額1及び本件支払額2をN社、P社及びQ社に支払うよう指示していたことを併せ考慮すれば、本件支払額1及び本件支払額2に相当する金額は、請求人が本件建設会社及び本件建築士を介して、N社、P社及びQ社に金銭を対価なく移転するもの(資金の贈与)であると認められ、かつ、請求人が当該資金の贈与を行うことに通常の経済取引として是認することができる合理的理由は認められないから、本件支払額1及び本件支払額2に相当する金額は同項に規定する寄附金の額に該当する。
 また、原処分庁は、請求人が取得した構築物の新設工事(本件構築物工事)につき、これを請け負った本件建設会社が請求人の指示に従ってN社及びP社に支払った金額(本件支払額3)については、本件建設会社がN社及びP社から役務の提供を受けていないこと、また、本件構築物工事に係る契約書記載の請負代金は、請求人が本件建設会社に依頼して本件支払額3に相当する金額を上乗せしたものであることなどの諸事情を総合勘案すると、本件支払額3に相当する金額は、請求人が本件建設会社を介してN社及びP社に対し贈与したものと認められる旨主張する。
 しかしながら、本件支払額3については、本件建設会社がN社及びP社に対し本件構築物工事に係る資材の購入等の対価として支払をしたものと認められることから、本件支払額3に相当する金額は、請求人が本件建設会社を介して行ったN社及びP社に対する資金の贈与の額であると認めることはできない。

参照条文等

法人税法第37条第7項

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令和6年11月1日裁決

外国子会社合算税制の特定外国関係会社に該当するかどうかの判定における株式等保有割合は、「出資の金額」により判定すべきとした事例(平成31年4月1日から令和2年3月31日まで及び令和3年1月1日から令和3年12月31日までの各事業年度の法人税の各更正処分及び過少申告加算税の各賦課決定処分、平成31年4月1日から令和2年3月31日まで及び令和3年1月1日から令和3年12月31日までの各課税事業年度の地方法人税の各更正処分及び過少申告加算税の各賦課決定処分・棄却)

裁決事例集 第137集

ポイント

 本事例は、株式等保有割合における「株式又は出資の数又は金額」の読み方は、「株式の数」、「株式の金額」、「出資の数」及び「出資の金額」の4通りの組み合わせがあるが、本件における事業体(米国LLC)の組織形態などを考慮して解釈すると、「出資の金額」により判定すべきとしたものである。

要旨

 請求人は、外国子会社合算税制上、請求人の外国関係会社である複数の米国LLC(本件各社員LLC)が有する、米国の州法であるLLC法に基づき設立された米国LLC(本件各LLC)の株式等の保有割合の判定において、「出資の数」又は「議決権のある出資の数」を用いて判定することができ、当該保有割合はいずれも25%以上であり、本件各社員LLCは、令和2年法律第8号による改正前の租税特別措置法第66条の6第2項第2号イ(3)に規定する外国子会社の株式等の保有を主たる事業とする外国関係会社に該当し特定外国関係会社には該当しないから、外国子会社合算税制の適用はない旨主張する。
 しかしながら、「出資の数」においては、出資を均等の割合的単位に細分化する口数の定めがある場合において基準として用いることができると解されるところ、LLC法には持分を口数として均等の割合的単位によって細分化すべきことや、口数に応じて拠出がなされるべきことを定めた規定はなく、本件各LLCに係る契約書(本件各LLC契約書)にも本件各LLCの拠出資本及び持分に係る口数に関する定めはないことから、本件各LLCにおいては「出資の数」を観念することができない。また、本件各LLC契約書には出資に基づく議決権に係る定めがあるとは認められないことから、本件各LLCにおいては「議決権のある出資」を観念することはできず、本件各LLC契約書には株式に関する定めがないため、当該保有割合は「出資の金額」で判定することになる。これに基づき計算された当該保有割合は25%未満であると認められるため、本件各LLCは外国子会社に該当せず、本件各社員LLCは外国子会社の株式等の保有を主たる事業とする外国関係会社には該当しない。さらに、本件各社員LLCは、租税特別措置法第66条の6第2項第2号イに規定する各要件のいずれにも該当しないことから、本件各社員LLCは、請求人の特定外国関係会社に該当し、請求人は、本件各社員LLCに関して外国子会社合算税制の適用がある。

参照条文等

租税特別措置法第66条の6第2項 租税特別措置法施行令第39条の14の3第5項

参考判決・裁決

最高裁令和5年11月6日第二小法廷判決(民集77巻8号1933頁) 大阪地裁令和3年9月28日判決(訟月69巻1号31頁) 平成30年12月14日裁決(裁決事例集No.113)

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令和6年10月28日裁決

納付すべき国税を一時に納付することにより、生活の維持を困難にするおそれがあったと認められないとした事例(換価の猶予不許可処分・棄却)

裁決事例集 第137集

ポイント

 本事例は、合理性を有する猶予取扱要領の定めに基づき、請求人について納付困難な額が算定されないことから、請求人の国税を一時に納付することにより、その生活の維持を困難にするおそれがあったとは認められず、換価の猶予の申請を不許可とした処分は適法であるとしたものである。

要旨

 請求人は、売上げの減少により納税資金を捻出することが困難であるとして原処分庁に対し行った換価の猶予申請(本件猶予申請)について、原処分庁が、請求人は申請に係る国税を一時に納付することにより生活の維持を困難にするおそれが認められないとして不許可処分を行った(本件不許可処分)ところ、請求人の毎月の収支状況はマイナスであること、資産は資金収支のマイナスを補填するための借入金を原資とするものであることから、本件猶予申請において納付することができる金額の算定に当たっては、納税の猶予等の取扱要領第7章の納付能力調査によらず、相続税の延納と同様に、債務額を財産から控除した純資産で判定すべきである旨、及び事業が好転しなければ今後返済不能となることを考慮して判断すべきである旨主張する。
 しかしながら、国税徴収法施行令第53条《換価の猶予の申請手続等》第3項は、国税徴収法第152条《換価の猶予に係る分割納付、通知等》第1項に規定する納付を困難とする金額の算定に当たっては、滞納者が有する現金、預貯金その他換価の容易な財産から生活維持費等を控除した残額を、納付すべき国税の額から控除する旨規定していること、及び本件猶予申請において検討したつなぎ資金では上記納付を困難とする金額は算定されず、請求人には、納付すべき国税を一時に納付することによりその事業の継続又はその生活の維持を困難にするおそれがあったとは認められないことから、本件不許可処分を不相当とする理由は認められない。
 また、審査請求によって行政処分の取消しを求めるには、当該処分の取消しによって回復すべき法律上の利益が存在していることが必要であるところ、請求人が取消しを求めている債権の差押処分(本件差押処分)は、原処分庁が、差し押さえた債権の一部を取り立てるとともに、取立て後の残額に係る差押えを解除したことによって、その効力が消滅しており、請求人には、本件差押処分の取消しによって回復すべき法律上の利益は存在しないから、本件差押処分の取消しを求める本審査請求は不適法なものである。

参照条文等

国税徴収法第151条の2第1項第152条第1項第67条第1項

参考判決・裁決

令和4年12月9日裁決(裁決事例集No.129)

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令和6年10月28日裁決

超過差押えを禁止する国税徴収法第48条第1項の規定は、参加差押えには適用又は準用されないとした事例(不動産の参加差押処分・棄却)

裁決事例集 第137集

ポイント

 本事例は、参加差押えは、先行する差押えが解除されない限り交付要求としての効力を有するにすぎず、先行する差押えが進行している限り滞納者に新たな負担を課すものではなく、交付要求及び参加差押えに国税徴収法第48条第1項の規定が準用されるとした規定もないとしたものである。

要旨

 請求人は、原処分庁が行った不動産の参加差押処分(本件参加差押処分)は、滞納国税を徴収するために必要な範囲を超えた違法な処分である旨主張し、これは、本件参加差押処分は、国税徴収法(徴収法)第48条《超過差押及び無益な差押の禁止》第1項が規定する超過差押えに当たるというものであるといえる。
 しかしながら、参加差押えは、滞納者の財産について、既に強制換価手続である滞納処分による差押えがされている場合に、その差押えをした行政機関等に対して交付要求をするものであり、その先行する差押えが解除されたときは、参加差押通知書が滞納者に送達された時に遡って差押えの効力が生ずるものであるから、先行する差押えが解除されない限り、その先行する差押えをした行政機関等に対して配当を求める交付要求としての効力を有するにすぎないというべきであり、このような参加差押えの効力からすると、参加差押えは、強制換価手続である滞納処分による差押えが先行し、これが進行している限り、滞納者に処分制限等の新たな負担を課すものではないし、徴収法第48条第1項の規定が準用されるとした規定もないから、同項の規定は、参加差押えには適用又は準用されない。したがって、本件参加差押処分には、超過差押えに係る規定は適用又は準用されないから、本件参加差押処分が滞納国税を徴収するために必要な範囲を超えた違法な処分ということはできない。

参照条文等

国税徴収法第87条第1項第48条第1項

参考判決・裁決

東京高裁平成30年3月7日判決(租税関係行政・民事判決集(徴収関係判決)平成30年1月~12月順号2018-10)

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令和6年10月22日裁決

国外居住親族に係る書類の添付等がなく扶養控除の適用がないとして更正の請求ができる場合に該当しないとした事例(平成29年分の所得税及び復興特別所得税の更正をすべき理由がない旨の通知処分・棄却)

裁決事例集 第137集

ポイント

 本事例は、請求人が国外居住親族に係る送金関係書類を更正の請求書に添付等しておらず、当該親族に係る扶養控除の適用がないため、更正の請求ができる場合に該当しないとしたものである。

要旨

 請求人は、国外に居住する請求人の母、叔母及び姉(本件各親族)が高齢や病気により銀行に行くことができないこと、また、一人一人に送金することによる銀行送金手数料を節約することができることから、請求人の兄らにまとめて送金をしていたにすぎず、当該送金が、本件各親族を含む国外に居住する親族全員の生活費及び医療費に充てることを目的とするものであることは明らかであり、本件各親族に係る扶養控除の適用が認められるべきであるから、国税通則法第23条《更正の請求》第1項第3号に規定する更正の請求ができる場合に該当する旨主張する。
 しかしながら、国外に居住する親族に係る扶養控除の適用を受けるためには、所得税法施行令(令和2年政令第111号による改正前のもの)第262条《確定申告書に関する書類等の提出又は提示》第3項第2号に規定する書類(送金関係書類)を添付等しなければならないところ、請求人が提出した送金明細は、当該兄らを送金の受取人とするものであり本件各親族に係る送金関係書類とは認められず、請求人は本件各親族に係る送金関係書類を更正の請求書に添付等していないから、本件各親族に係る扶養控除の適用はない。したがって、国税通則法第23条第1項第3号に規定する更正の請求ができる場合に該当しない。

参照条文等

国税通則法第23条第1項 所得税法第120条第3項 所得税法施行令第262条第3項 所得税法施行規則第47条の2第6項

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令和6年10月15日裁決

e-Taxにより確定申告データを法定申告期限内に送信しておらず期限内申告書の提出がなかったことについて正当な理由はないとした事例(令和4年分の所得税及び復興特別所得税に係る無申告加算税の賦課決定処分・棄却)

裁決事例集 第137集

ポイント

 本事例は、請求人がe-Taxにより確定申告データを法定申告期限内に送信しておらず期限内申告書を提出しなかったことについて、国税通則法第66条第1項ただし書に規定する正当な理由があると認められる場合に該当しないとしたものである。

要旨

 請求人は、国税電子申告・納税システム(e-Tax)により確定申告書及び財産債務調書等(本件調書)のデータを送信するつもりであったが、結果として本件調書のデータしか送信できておらず、このような誤操作が生じてしまうe-Taxにはシステム上の問題があるといわざるを得ないこと、上記送信後に完了画面が表示されたことにより、請求人が確定申告書のデータも正常に送信できたと認識したことはやむを得ないことから、期限内申告書の提出がなかったことについて、国税通則法(令和4年法律第4号による改正前のもの)第66条《無申告加算税》第1項ただし書に規定する正当な理由があると認められる場合に該当する旨主張する。
 しかしながら、請求人の期限内申告書の提出がなかったのは、請求人がe-Taxの操作を誤って本件調書のデータの送信しか行っていなかったにもかかわらず、本件調書のデータの即時通知を見て、確定申告書のデータも送信されたと誤って認識したという請求人自身の主観的な事情によるものにほかならない。したがって、期限内申告書の提出がなかったことについて、真に納税者の責めに帰することのできない客観的な事情があったとはいえず、無申告加算税の趣旨に照らしても、なお、納税者に無申告加算税を課することが不当又は酷になる場合に当たるとはいえないから正当な理由があると認められる場合には該当しない。

参照条文等

国税通則法第66条第1項

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令和6年10月7日裁決

特定贈与者である被相続人(本件被相続人)より先に死亡した同人の長女(本件長女)の配偶者について、失踪宣告を受けた事実はないこと等から、当該配偶者は、本件長女の有していた相続時精算課税の適用に伴う権利義務を承継し、本件長女が特定贈与者から贈与により取得した相続時精算課税の適用財産の価額は相続税の課税価格に加算されることとなると判断した事例(令和2年5月相続開始に係る相続税の更正処分・棄却)

裁決事例集 第137集

ポイント

 本事例は、本件長女の配偶者は、失踪宣告を受けた事実はないことから、本件長女及び本件被相続人の相続開始日において生存していたことが推定され、また、本件長女の除籍謄本には離婚の事実の記載がないことから、本件長女の配偶者は本件長女の相続開始日において同人の相続人に該当することとなり、本件長女の有していた相続時精算課税の適用に伴う権利義務を承継するとしたものである。

要旨

 請求人は、相続税法第21条の9《相続時精算課税の選択》に規定する特定贈与者である本件被相続人より先に死亡した同人の長女(本件長女)の配偶者について、①生存し、本件長女の相続人であることを原処分庁は立証しておらず、②不在者財産管理人の選任に係る審判をしたK家庭裁判所は、本件長女の配偶者が生存している事実を証明したわけではなく、真に相続人であることを判断しているわけではないのであるから、本件長女が有していた相続時精算課税の適用に伴う権利義務を本件長女の配偶者は承継せず、相続時精算課税の適用財産(本件贈与財産)の価額は本件被相続人の相続に係る相続税の課税価格に加算されない旨主張する。
 しかしながら、民法が不在者の生存を推定してその者の財産管理制度を用意し、他方で生死不明者を死亡したものと確定する失踪宣告制度を用意していることに鑑みると、失踪宣告がなされない限り生存が推定されると解するのが相当であり、本件長女の配偶者が失踪宣告を受けた事実はないことからすると、同人が本件長女及び本件被相続人の相続開始日において生存していたことが推定され、また、本件長女の除籍謄本には離婚の事実の記載がないことから、本件長女の配偶者は本件長女の相続開始日において同人の相続人であったといえる。したがって、本件長女の配偶者は、本件長女の有していた相続時精算課税の適用に伴う権利義務を承継し、本件贈与財産の価額は本件被相続人に係る相続税の課税価格に加算されることとなる。

参照条文等

相続税法第21条の16第1項第21条の17第1項第13条第1項第14条第1項

参考判決・裁決

名古屋地裁平成3年5月29日判決(税資183号837頁)

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令和6年10月4日裁決

滞納処分において相続財産管理人の報酬が国税債権に優先することが自明の理であるとはいえず、また、差押財産の選択等に関する判断は不合理とは認められないとした事例(債権の差押処分・棄却)

裁決事例集 第137集

ポイント

 本事例は、差押処分時において被差押債権について国税に優先する債権は確認できなかったことから、無益な差押えに該当せず、また、差押えに至る経緯によれば、差押財産の選択等に関する判断は法や制度の趣旨及び目的に照らして不合理とは認められないことから、差押えは不当な処分であるとはいえないとしたものである。

要旨

 請求人は、①民法第885条《相続財産に関する費用》本文の「費用」には相続財産管理人(管理人)の報酬や立替経費が含まれ、管理人が同法第929条《公告期間満了後の弁済》ただし書の「優先権を有する債権者」に該当すること、②相続財産の清算手続は破産手続に類似し、国税徴収法(徴収法)第9条《強制換価手続の費用の優先》の準用又は類推適用により、管理人の報酬債権が国税に優先するとした上で、管理人の予定報酬額は、管理人名義預金口座(本件預金口座)の残高を上回ることから、本件預金口座の残高の一部の払戻請求権を差し押さえた(本件差押処分)ことは、無益な差押えに当たり徴収法第48条《超過差押及び無益な差押の禁止》第2項に反する旨主張する。
 しかしながら、①相続財産法人に対する債権者は、相続財産法人について管理人による清算が行われている場合であっても、強制執行や滞納処分を行うことが妨げられないところ 、滞納処分においては、徴収法第8条《国税優先の原則》により、徴収法第2章《国税と他の債権との調整》に別段の定めがある場合を除き国税は他の債権に優先すると規定されているのであるから、上記民法の規定は管理人の報酬が国税に優先することの根拠となるものではなく、②破産手続では国税債権者は滞納処分の執行が制限される一方で破産管財人に交付要求手続を行うことで破産財団から随時弁済や配当を受けることができるのに対し、相続財産の清算手続では、滞納処分の執行は制限されないことや、相続財産をもって相続債権者等に対する債務を完済することができないと認めるときには管理人は破産手続開始の申立てができることに鑑みれば、管理人による清算手続は、破産手続とその性質を異にするものであって、強制換価手続に相当するものとはいえないから、徴収法第9条は準用又は類推適用されない。したがって、管理人の報酬債権は国税に優先せず、他に被差押債権につき国税に優先する債権は確認できなかったから、本件差押処分は無益な差押えに該当しない。
 また、請求人は、管理人の報酬額が差押財産の価額を上回るにもかかわらず滞納処分による差押えを行うという運用が認められてしまうと、管理人の役職を引き受ける者がいなくなるという不当な状況に陥る可能性があり、また、原処分庁は、回収の努力もせずに、管理人の努力の結果集められたものを横取りしているに等しいことなどを理由として、本件差押処分は不当であると主張する。
 しかしながら、請求人は、国税通則法第5条《相続による国税の納付義務の承継》の規定により、被相続人が納付すべきであった滞納国税を納める義務を承継しているところ、本件差押処分までの2年以上の間、原処分庁から複数回の催告を受けたにもかかわらず、国税に充てる金額は残っていないとして当該滞納国税を自主納付しなかったことからすると、当該滞納国税について自主納付による完納の見込みがあったとはいえなかったのであるから、原処分庁としては、当該滞納国税を徴収するためには、財産の差押えによって回収を図らざるを得なかったというべきであり、また、公売手続に時間を要する不動産ではなく預金債権を差押えの対象とした判断が、法や制度の趣旨及び目的に照らして不合理とは認められず、本件差押処分が不当な処分であるとは認められない。

参照条文等

国税徴収法第48条第2項第47条第1項第1号

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令和6年9月26日裁決

請求人が原処分庁からの指摘に従い修正申告をしたところ、原処分庁が過少申告加算税の賦課決定処分をしたことについて、確定申告書を提出した際に、原処分庁が行政指導を行わずに過少申告加算税を賦課したことは不当ではないとした事例(令和4年10月1日から令和5年9月30日までの課税期間の消費税及び地方消費税に係る過少申告加算税賦課決定処分・棄却)

裁決事例集 第136集

ポイント

 本事例は、原処分庁が行政指導を行わずに調査を行い、過少申告加算税の賦課決定処分をしたことにつき、過少申告加算税の賦課決定やその額の計算について、原処分庁に裁量権が付与されたものとは解されず、本件賦課決定処分について処分の不当性を検討する前提が欠けるから、本件賦課決定処分は不当ではないとしたものである。

要旨

 請求人は、原処分庁が行政指導を行わずに調査を行い、過少申告加算税の賦課決定処分(本件賦課決定処分)をしたことは不当である旨主張する。しかしながら、処分の不当とは、処分を行うにつき法の規定から処分行政庁に裁量権が付与されていることを要するものと解されるところ、国税通則法第65条《過少申告加算税》第1項及び第2項は、過少申告加算税の賦課決定やその額の計算について、原処分庁に裁量権が付与されたものとは解されず、本件賦課決定処分について処分の不当性を検討する前提が欠けるから、本件賦課決定処分は不当ではない。
 また、請求人は、仮に原処分庁が行政指導を行わずに本件賦課決定処分をしたことが不当ではなかったとしても、課税売上高に変動がなく、仕入税額控除の計算方式を本則課税制度から簡易課税制度へと変更するのみの修正申告で、納付すべき税額が調査を開始する前から確定しているような場合には、過少申告による納税義務違反に該当しないから、過少申告加算税に同項により計算した金額(加重分)が加算されることは不当である旨主張する。
 しかしながら、過少申告加算税は、過少申告による納税義務違反の事実があれば、原則としてその違反者に対して課されるものであり、加重分は、同条第1項の規定に該当する場合において、修正申告による納付すべき税額が期限内申告税額に相当する金額と50万円とのいずれか多い金額を超えるときに一律に課され、加重分のみが不適用となる場合の規定は存在しないところ、修正申告書を提出したことにより、新たに納付すべき税額が生じたのであるから、請求人には過少申告による納税義務違反の事実があったと認められ、そして、当該新たに納付すべき税額は期限内申告税額に相当する金額を超えるから、加重分を加算した過少申告加算税が賦課されることは不当ではない。

参照条文等

国税通則法第65条第1項第2項第5項第74条の14 行政手続法第3条第1項第6号、第14号、第15号、第16号、第4条第1項、第32条ないし第36条の2

参考判決・裁決

東京地裁平成19年11月16日判決(税資257号順号10825)

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令和6年9月25日裁決

公売公告処分は、差押通知を欠いたまま行われ、また、公売公告処分に、「公売に関し重要と認められる事項」に係る記載が漏れていることから、公売公告処分には取り消し得べき瑕疵があるとした事例(公売公告処分・全部取消し)

裁決事例集 第136集

ポイント

 本事例は、事前手続である差押通知を欠いたまま後続処分である公売公告処分がされた場合には、同処分には取り消し得べき瑕疵があり、また、公売対象の土地上に買受人が引き受けるべき借地権が存在する場合には、公売公告において、借地人が対抗要件を備えていることを記載することを要するとした事例である。

要旨

 原処分庁は、請求人が借地権(本件借地権)を有する土地(本件土地)について、請求人は本件借地権の登記をしておらず、また、本件土地上に請求人名義で登記されていた不動産は、公売公告処分(本件公売公告処分)より前に取り壊された上、滅失登記がされているところ、その後、借地借家法第10条《借地権の対抗力》第2項が規定する掲示等による対抗措置をしていないことから、このように借地権について対抗要件を具備していない請求人は、そもそも権利を保護するに値しないのであり、本件公売公告処分により直接自己の権利又は法律上の利益を侵害されることはないから、本件公売公告処分について、不服申立てをすることができる者に当たらない旨主張する。
 しかしながら、請求人は、原処分庁が行った本件土地の差押処分に際して、本件土地の借地権者として国税徴収法(徴収法)第55条《質権者等に対する差押えの通知》の規定による通知を受けるべき者に該当するにもかかわらず、当該通知を受けておらず、また、請求人は、徴収法第50条《第三者の権利の目的となっている財産の差押換》の規定による差押換請求権を有する者であるにもかかわらず、差押換えを請求できる機会を与えられなかったことから、本件公売公告処分について、不服申立てをすることができる者に該当する。
 また、原処分庁は、請求人が本件借地権を有する本件土地の差押処分に際して、請求人は徴収法第55条に規定する通知を受けるべき者に当たらず、また、公売公告には、徴収法第95条《公売公告》第1項各号所定の事項が不備なく記載されており、賃貸借契約の内容として賃貸借契約書を添付していることから、本件公売公告処分は適法であり、不当でもない旨主張する。
 しかしながら、請求人は徴収法第55条に規定する通知を受けるべき者に該当するところ、当該通知の趣旨は、利害関係人に滞納処分が開始されたことを了知させ、徴収法第50条の規定による差押換請求権を行使する機会を与えることにあり、利害関係人の権利を保護するための重要な意義を有しているにもかかわらず、本件公売公告処分は、当該通知を欠いたまま行われており、また、本件借地権は買受人に対抗することができる権利であるにもかかわらず、公売公告にはその旨が明記されておらず、よって、徴収法第95条第1項第9号の「公売に関し重要と認められる事項」に係る記載が漏れていることから、本件公売公告処分には取り消し得べき瑕疵がある。

参照条文等

国税通則法第75条第1項 国税徴収法第55条第95条第1項

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令和6年9月25日裁決

請求人は差押通知を受けるべき者に当たらず、また、借地権に関する記載が不十分であるとは認められないことから、公売公告処分は違法又は不当ではないとした事例(公売公告処分・棄却)

裁決事例集 第136集

ポイント

 本事例は、請求人は、借地権者ではあるが借地上の建物に所有権の登記をしていないことから、差押通知を受けるべき者に当たらず、また、請求人の借地権については、公売の買受人がこれを引き受けないから、公売公告において、土地上に借地権を主張する者がいること等の記載をもって、買受人がその現況を把握できる程度に記載されたものということができるとした事例である。

要旨

 原処分庁は、請求人が借地権(本件借地権)を有する土地(本件土地)について、請求人は本件借地権の登記をしておらず、また、本件土地上に請求人名義で登記されている不動産を所有したこともないことから、このように借地権についての対抗要件を具備していない請求人は、そもそも権利を保護するに値しないのであり、公売公告処分(本件公売公告処分)により、直接自己の権利又は法律上の利益を侵害されることはないから、本件公売公告処分について、不服申立てをすることができる者に当たらない旨主張する。
 しかしながら、請求人は、本件公売公告処分に基づく公売の結果、本件借地権を失うことになることから、自己の権利を侵害されるおそれのある者というべきであり、したがって、請求人は、本件公売公告処分について不服申立てをすることができる者に該当する。
 請求人は、請求人が本件借地権を有する本件土地について、原処分庁が差押処分をした際に、国税徴収法第55条《質権者等に対する差押えの通知》の規定による通知を受けておらず、また、本件土地の公売公告において、本件借地権の目的となっていることが明確に記載されていないことから、請求人に不利な内容となっており、本件公売公告処分は違法又は不当である旨主張する。
 しかしながら、請求人は、本件借地権の登記をしておらず、また、本件土地上に請求人名義で登記されている不動産を所有したこともなく、対抗要件を具備していないことからすると、国税徴収法第55条の規定による通知を受けるべき者には当たらず、また、本件借地権に関する記載が不十分であるとは認められないことから、本件公売公告処分は違法又は不当ではない。

参照条文等

国税通則法第75条第1項 国税徴収法第55条第95条第1項

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令和6年8月29日裁決

共同審査請求に関する通知及び口頭意見陳述に関する連絡は、処分についての審査請求の適用除外に該当するとした事例(「口頭意見陳述の開催について」別紙「連絡事項」に記載の総代を解任する旨の行政処分及び「審査請求の総代として認められない旨のお知らせ」記載の行政処分・却下)

裁決事例集 第136集

ポイント

 本事例は、共同審査請求に関する通知は、総代の権限を制限することを確定する行為であり、また、口頭意見陳述に関する連絡は、口頭で意見を述べる地位を与えないことを確定する行為であるから、いずれも処分に該当するものの、審査請求の適用除外によって不服申立てができない処分であるとしたものである。

要旨

 請求人らは、請求人らに対して行われた各配当処分の取消しを求める各審査請求で、請求人の一人が他の一人を総代として選任していたところ、所轄庁が行った、①所轄庁が請求人の一人に送付した書面に記載された「総代を解任する旨の行政処分」及び②所轄庁から送付された口頭意見陳述の開催に関する書面に記載された総代としての出席は認められない旨の「行政処分」の取消しを求めて本件審査請求を行っている。
 しかしながら、上記①については、請求人の一人の総代の権限を制限することを確定する行為であり、また、上記②については、請求人の一人に口頭で意見を述べる地位を与えないことを確定する行為であることから、いずれも国税通則法第75条《国税に関する処分についての不服申立て》に規定する「処分」に該当することとなるが、同法第8章第1節《不服審査》の規定による処分であって、同法第76条《適用除外》第1項の規定によって同法第75条第1項の適用が除外される処分に該当することから、不服申立てができないものである。

参照条文等

国税通則法第76条第1項

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令和6年8月23日裁決

一時所得の金額の計算上、生命保険契約の契約者貸付けによる借入金に係る利息を控除することができないとした事例(令和2年分の所得税及び復興特別所得税の更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分・棄却)

裁決事例集 第136集

ポイント

 本事例は、生命保険契約の契約者貸付けによる借入金に係る利息が、当該保険契約に係る解約返戻金に係る一時所得の金額の計算上、所得税法第34条第2項に規定する「その収入を得るために支出した金額」に含まれないとしたものである。

要旨

 請求人は、生命保険契約(本件保険契約)に係る契約者貸付け(本件契約者貸付け)による借入金(本件借入金)に係る利息(本件利息)は、請求人が受領した本件保険契約に基づく解約返戻金(本件解約返戻金)と相殺されたことなどから、本件解約返戻金に係る一時所得の金額の計算上、所得税法第34条《一時所得》第2項に規定するその収入を得るために支出した金額に含まれる旨主張する。
 しかしながら、本件利息が同項に規定するその収入を得るために支出した金額に含まれるというためには、本件保険契約に係る保険料の支払に本件借入金が充てられたものであることが必要であるところ、請求人は、本件契約者貸付けを利用する前に本件保険契約に係る保険料を完納しており、本件借入金が本件保険契約に係る保険料の支払に充てられていないことは明らかであるから、本件利息は、本件解約返戻金に係る一時所得の金額の計算上、同項に規定するその収入を得るために支出した金額に含まれない。

参照条文等

所得税法第34条第2項

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令和6年7月3日裁決

外国法人から支払われる国外給与が外貨建て円払い取引に該当せず、円換算を要しないと判断した事例( 令和元年分から令和3年分の所得税及び復興特別所得税の各更正処分、 令和2年分から令和3年分の所得税及び復興特別所得税に係る過少申告加算税の各賦課決定処分・ 一部取消し、 棄却)

裁決事例集 第136集

ポイント

 本事例は、雇用契約の定めに従って国外給与を日本円で支払うために作成された所得明細に基づいて日本円で送金された給与につき、当該所得明細に記載された支給総額を給与所得の収入金額とすることが相当であって、当該所得明細は日本円で表示されているから、当該国外給与の支給は外貨建て円払い取引には該当せず、その収入金額の算定に当たって円換算は要しないと判断したものである。

要旨

 原処分庁は、外国法人が請求人に交付した税額計算書(本件計算書)には、請求人の給与(本件国外給与)が外国通貨で記載されており、本件国外給与が請求人の口座に日本円で入金されていることから、いわゆる外貨建て円払い取引に該当するとして、本件国外給与に係る給与所得の収入金額は、所得税基本通達57の3-2《外貨建取引の円換算》の注5の定めに基づき、外貨建取引に準じた方法で本件計算書の総支給額を円換算する必要がある旨主張する。
 しかしながら、本件計算書は、外国法人が請求人から源泉徴収した税金を外国の国税当局に納付する際に使用する書類であって、外国法人は、請求人との雇用契約の定めに従い、請求人に本件国外給与を日本円で支払うため、日本円で算定した所得明細(本件所得明細)を請求人の給与明細として作成し、本件所得明細に基づき、本件国外給与を請求人の口座に日本円で送金していることから、本件国外給与の支給は外貨建て円払い取引には該当せず、本件国外給与の各月の収入金額は、日本円で算定された本件所得明細に記載の総支給額であることから、本件国外給与に係る給与所得の収入金額を算定するに当たり、円換算する必要はない。

参照条文等

所得税法第57条の3第1項 所得税基本通達57の3-157の3-2

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令和6年7月3日裁決

請求人が訴訟上の和解に基づき受領した解決金は、遺留分減殺請求に基づく価額弁償金であると断定することはできないため、更正の特則である相続税法第35条第3項第1号の要件は満たさないと判断した事例(平成28年6月相続開始に係る相続税の更正処分・全部取消し)

裁決事例集 第136集

ポイント

 本事例は、請求人が、訴訟上の和解に基づき受領した解決金は、その全額が遺留分減殺請求に基づく価額弁償金であると認めるに足りる客観的な証拠はなく、価額弁償金以外の法的性質を有する金員が含まれていることを否定できず、遺留分減殺請求に基づく価額弁償金に該当すると断定することはできないことから、更正の特則である相続税法第35条《更正及び決定の特則》第3項第1号の要件は満たさないと判断したものである。

要旨

 原処分庁は、請求人が被相続人が有する一切の財産を請求人の兄に相続させる旨の公正証書遺言の無効を求める訴えを提起したところ、訴訟上の和解により請求人の兄から請求人に対して支払われることとなった解決金(本件解決金)について、①当該訴訟における双方の代理人弁護士の認識、②当該訴訟において請求人が予備的主張として遺留分減殺請求に基づく価額弁償を請求していたこと及び③当該和解後に請求人の兄が本件解決金の全額が請求人の個別的遺留分であることを前提として行動していたことからすると、本件解決金は遺留分減殺請求に基づく価額弁償金であって、その全額が請求人の相続税の課税価格に算入される旨主張する。
 しかしながら、①和解調書には、本件解決金が遺留分減殺請求に基づく価額弁償金であることを示す記載はないこと、②当該訴訟における双方の代理人弁護士のいずれの申述内容も、本件解決金の全額が遺留分減殺請求に基づく価額弁償金であるとするものではなく、担当裁判官の心証も不明であること、③当該訴訟においては、主位的には公正証書遺言の無効を主張しているのであって、予備的な主張を根拠にして本件解決金の性質を判断することはできないこと及び④請求人の兄も、和解当時、本件解決金には遅延利息が含まれていると認識していたと考えられること等からすると、本件解決金は、その全額が遺留分減殺請求に基づく価額弁償金であると認めるに足りる客観的な証拠はなく、価額弁償金以外の法的性質を有する金が含まれていたことを否定できない。したがって、原処分庁の主張には理由がない。

参照条文等

相続税法第35条

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令和6年5月27日裁決

固定資産課税台帳に登録された価格のない土地に類似する不動産は存在せず、当該土地の登録免許税の課税標準たる価額は、当該土地を固定資産評価基準に定める評価方法に則して算定するのが相当であるとした事例(令和4年12月登記により納付された登録免許税に係る還付通知をすべき理由がない旨の通知処分・一部取消し)

裁決事例集 第135集

ポイント

 本事例は、原処分庁が主張する固定資産課税台帳に登録された価格のない土地に類似する不動産は、当該土地に類似する不動産とは認められず、当審判所における調査の結果においても、当該土地に類似する不動産は存在しないため、当該土地の登録免許税の課税標準たる価額は、本件各土地を固定資産評価基準に定める評価方法に則して算定するのが相当であるとしたものである。

要旨

 請求人は、所有権移転登記(本件登記)を受けた各土地(本件各土地)には、本件登記の時に固定資産課税台帳に登録された価格(台帳価格)があったとして、当該価格をもって登録免許税の課税標準たる価額とすべきである旨主張する。一方、原処分庁は、本件各土地には台帳価格がなく、登記官が登録免許税法施行令附則第3項の規定により、本件各土地に類似する不動産の台帳価格を基に算定した価額(本件登記官認定額)を登録免許税の課税標準たる価額としたことは適正である旨主張する。
 しかしながら、本件登記の時に本件各土地の台帳価格はなく、請求人の認識には誤りがある。また、原処分庁が主張する本件各土地に類似する不動産は、本件各土地とは形状が大きく異なるほか、地積や接道状況等にも違いがあるため、本件各土地に類似する不動産とは認められないから、本件登記官認定額は、登録免許税法施行令附則第3項に規定する登記機関が認定した価額として適正なものとはいえない。そして、当審判所における調査の結果においても、本件各土地に類似する不動産は存在しないから、本件各土地の登録免許税の課税標準たる価額は、本件各土地を固定資産評価基準に定める評価方法に則して算定した台帳価格相当額とすべきである。

参照条文等

登録免許税法第10条、附則第7条 登録免許税法施行令附則第3項

参考判決・裁決

平成30年6月14日裁決(裁決事例集No.111) 令和3年6月25日裁決(裁決事例集No.123)

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令和6年4月25日裁決

金地金が消費税法第36条第5項に規定する「棚卸資産」に該当するとした事例(令和3年3月1日から令和4年2月28日までの課税期間の消費税及び地方消費税の更正処分並びに過少申告加算税の賦課決定処分・棄却)

裁決事例集 第135集

ポイント

 本事例は、金地金の売買が請求人の事業目的から離れたところで行われたものとはいえず、請求人が当該金地金を取得した時点においてこれを売却する方針を有していたことから、当該金地金は消費税法第36条第5項に規定する「棚卸資産」に該当すると判断したものである。

要旨

 請求人は、金地金の売買を反復継続して行うものではないから、金地金の売買が請求人の営業に当たることはなく、請求人が消費税を納める義務が免除されることとなった課税期間の初日の前日において保有していた金地金(本件金地金)は消費税法第36条《納税義務の免除を受けないこととなった場合等の棚卸資産に係る消費税額の調整》第5項に規定する「棚卸資産」に該当しない旨主張する。
 しかしながら、消費税法第36条第5項に規定する「棚卸資産」に該当するか否かについては、会計処理のみにより形式的に判断するのではなく、判断の対象とされている資産と事業者の属性及び事業目的との関係、当該資産の取得時の使用・収益・処分に係る方針等といった客観的な事実に基づき、事業者が、通常の営業過程、すなわち、その事業目的に係る業務の過程において売却することを目的として保有する資産に当たるといえるかどうかにより実質的に判断するのが相当である。そして、請求人が行う金地金の売買に係る取引額が、いずれも、請求人の事業規模に照らして大きなものである等、請求人の事業に及ぼす影響が大きいことからすると、請求人における金地金の売買は、補助ないし付随的な活動とはいえず、定款に明示的に掲げられた事業目的そのものではないとしても、事業目的から離れたところで行われているものとはいえないから、本件金地金は、請求人の事業目的に係る取引の客体にほかならないと認められる。また、本件金地金の取得から売却に至る経緯及び本件金地金を取得するための借入金を返済するためには本件金地金を売却する必要があったこと等からすると、請求人は、本件金地金を取得した時点において、将来、これを売却する方針を有していたと認められる。これらの事実に基づけば、請求人は、その事業目的に係る業務の過程において売却することを目的として本件金地金を保有していたものと認められるから、本件金地金は消費税法第36条第5項に規定する「棚卸資産」に該当する。

参照条文等

消費税法第2条第1項第15号第36条第5項 消費税法施行令第4条

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令和6年4月23日裁決

消費税の申告納税義務を免れることを積極的に意図し、収支内訳書等に過少な記載を行って免税事業者であると装い続けたことは仮装隠蔽行為に該当すると判断した事例( 平成27年1月1日から同年12月31日までの課税期間の消費税及び地方消費税の決定処分、 平成28年1月1日から令和元年12月31日までの消費税及び地方消費税の各決定処分、 平成27年1月1日から令和3年12月31日までの消費税及び地方消費税の重加算税の各賦課決定処分・ 一部取消し、 棄却)

裁決事例集 第135集

ポイント

 本事例は、請求人による継続した収支内訳書等の過少記載行為は、消費税の申告納税義務を免れることを積極的に意図して免税事業者であることを装い続けたものであり、仮装隠蔽行為に該当するとしたものである。

要旨

 請求人は、①請求人による消費税等の認識ある無申告は無申告行為そのものであることや、②何ら根拠のない収入金額及び必要経費の額を収支内訳書に記載することは、過少申告行為そのものであって、隠蔽行為又は仮装行為に該当せず、特段の行動に当たるとも評価できない旨主張する。
 しかしながら、請求人は、何ら根拠のない収入金額等を収支内訳書に記載したのではなく、課税期間に係る基準期間の売上げが1,000万円以下となれば、消費税等の申告義務を負わないと認識した上で、平成25年以降比較的長期間にわたって、消費税等の申告納税義務を免れることを積極的に意図し、故意に事業所得の総収入金額が1,000万円を超えないように所得税等の確定申告書及び収支内訳書に過少な収入金額を記載して原処分庁に提出することで、課税標準等の計算の基礎となるべき事実である、基準期間中における課税資産の譲渡等の対価の額を故意に脱漏し、課税期間において消費税法上の免税事業者であることを装い続け、本件の各課税期間の消費税等の確定申告をしなかったのであるから、かかる行為は隠蔽又は仮装と評価すべき行為であり、単なる無申告行為や過少申告行為そのものと評価することはできない。

参照条文等

国税通則法第68条第2項

参考判決・裁決

最高裁平成6年11月22日第三小法廷判決(民集48巻7号1379頁)

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令和6年4月22日裁決

特定口座内で譲渡した上場株式等の取得費を概算取得費とすることはできないとした事例(令和元年分の所得税及び復興特別所得税の更正処分並びに過少申告加算税の賦課決定処分・棄却)

裁決事例集 第135集

ポイント

 本事例は、特定口座内で譲渡した上場株式等の取得費については、当該特定口座内における当該上場株式等の受入れに係る記録を基礎として金融商品取引業者等において当該上場株式に関する固有の計算方法により一元的に計算されることを予定しているのであって、納税者が申告するに当たり概算取得費とすることはできないとしたものである。

要旨

 請求人は、①源泉徴収選択口座に係る特定口座内保管上場株式等の譲渡所得の金額を申告するに当たり、租税特別措置法第37条の11の3《特定口座内保管上場株式等の譲渡等に係る所得計算等の特例》第1項が特定口座内保管上場株式等の譲渡による譲渡所得の金額とそれ以外の株式等の譲渡による譲渡所得の金額とを区分して、これらの金額を計算する旨規定したのは、特定口座創設の趣旨等からすれば、投資家の所得計算の負担を軽減するために金融商品取引業者等が計算を代行したにすぎないから、納税者が確定申告において取得費等を含めて譲渡所得の金額を再計算することができる旨、②租税特別措置法関係通達(措置法通達)37の11の3-14《株式等に係る譲渡所得等の課税の特例に関する取扱い等の準用》は計算代行者である金融商品取引業者等の計算等に関する定めであって、納税者が概算取得費を譲渡所得に係る取得費として譲渡所得の金額を計算することは妨げられない旨それぞれ主張する。
 しかしながら、①特定口座内保管上場株式等の譲渡による譲渡所得の金額の計算上取得費に算入する金額は、当該上場株式等の特定口座への受入れに係る記録を基礎として金融商品取引業者等が固有の計算方法により一元的に計算することが予定されており、②措置法通達37の11の3-14が、概算取得費による取得費を認める旨を定めた措置法通達37の10・37の11共-13《株式等の取得価額》を準用していないのは、特定口座内保管上場株式等の譲渡による譲渡所得の金額の計算に当たり、概算取得費を取得費とすることを認めない趣旨であると解すべきであるから、納税者が源泉徴収選択口座に係る特定口座内保管上場株式等の譲渡による譲渡所得の金額を申告するに当たり、概算取得費を取得費とすることはできない。

参照条文等

所得税法第48条第3項 所得税法施行令第118条第1項 租税特別措置法(令和2年法律第8号による改正前のもの)第37条の11の3第1項、第3項 租税特別措置法施行令(令和3年政令第119号による改正前のもの)第25の10の2第1項

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令和6年4月15日裁決

他人による確定申告書の作成・提出について、国税通則法第24条の「納税申告書の提出があった場合」に該当するとした事例(平成28年分から令和2年分の所得税及び復興特別所得税の各更正処分並びに過少申告加算税の賦課決定処分・棄却)

裁決事例集 第135集

ポイント

 本件は、納税義務者以外の者による納税申告について、納税義務者が明示又は黙示に当該納税申告をする権限を与えていたとは認められないものの、納税義務者が、当該納税申告について追認していると認められるとしたものである。

要旨

 請求人は、請求人名義の納税申告書は、他人が成りすまして提出されたものであり、当該納税申告は無効であるため、国税通則法第24条《更正》に規定する納税申告書を提出した場合に該当しない旨主張する。
 しかしながら、納税義務者以外の者が申告書を作成及び提出した場合であっても、その者が納税義務者から明示又は黙示に当該申告行為をする権限を与えられている場合や、納税義務者が当該申告行為を追認した場合は、その納税申告は有効となると解されるところ、請求人は、明示又は黙示に当該納税申告をする権限を与えていたとは認められないが、権限なくされた他人による当該納税申告を当該納税申告書が提出された後に追認したと認められるから、当該納税申告は有効となり、当該納税申告書の提出は、同条の納税申告書を提出した場合に該当する。

参照条文等

国税通則法第24条

参考判決・裁決

高松高裁昭和58年3月9日判決(税資129号467頁) 平成22年8月23日裁決(裁決事例集No.80)

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令和6年4月11日裁決

事業協同組合の出資持分の価額は財産評価基本通達196に定める評価方法(純資産価額)に基づき評価するのが相当であるとした事例(平成29年4月相続開始に係る相続税の更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分・棄却)

裁決事例集 第135集

ポイント

 本事例は、本件における事業協同組合の出資持分が究極的には当該組合の純資産価額を体現したものといえるものであり、評価に当たって財産評価基本通達196《企業組合等の出資の評価》の定めを適用することが合理的であると判断したものである。

要旨

 請求人は、その主張する相続により取得した事業協同組合の出資持分(本件持分)の価額は、当該組合の定款(本件定款)に定める脱退組合員の払戻金を根拠として組合員の間でも適正価額として流通していたものであるから、当該価額をもって評価すべき旨主張する。
 しかしながら、本件定款に当該組合を脱退した際の払戻金を定めていることを前提としても、当該組合の純資産価額を基礎とした持分の価額が出資額を上回っていれば、その差額は当該組合の内部に留保された状態であり、最終的に解散して清算することになれば、純資産価額に基づく財産が分配されることになるから、本件持分は究極的には当該組合の純資産価額を体現したものといえる。
 したがって、本件持分の評価に当たっては、財産評価基本通達196《企業組合等の出資の評価》の定めを適用することが合理的であることに加え、本件持分の譲渡には当該組合の承諾が必要であり、市場を通じた不特定多数の当事者間の自由な取引が行われるものではなく、本件持分の価額が組合員の間において請求人が主張する価額と認識されていたとしても、その価額は当事者間において限定的に形成されたものであって、これを本件持分の時価と認めることはできない。

参照条文等

相続税法第22条 財産評価基本通達196

参考判決・裁決

名古屋高裁平成16年2月19日判決(税資254号順号9566) 平成14年12月16日裁決(裁決事例集No.64)

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令和6年3月25日裁決

取引相場のない株式の価額を国税庁長官の指示を受けて評価した価額によるものとすることが租税法上の一般原則としての平等原則に違反するということはできないとした事例(平成29年7月相続開始に係る相続税の更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分・棄却)

裁決事例集 第134集

ポイント

 本事例は、会社の事業年度の変更及び剰余金の配当が、請求人の相続税の負担を著しく軽減し、これを意図してされたものであり、財産評価基本通達の定める画一的な評価を行うことが実質的な租税負担の公平に反するため、当該評価による価額を上回る価額とすることに合理的な理由があると判断したものである。

要旨

 請求人は、原処分庁が、財産評価基本通達(評価通達)6《この通達の定めにより難い場合の評価》の定めに基づき、請求人の祖母(本件被相続人)が保有していた取引相場のない株式(本件株式)の価額を評価通達の定める方法により評価した価額を上回る価額(原処分庁評価額)によるものとしたことが租税法上の一般原則としての平等原則に違反する旨主張する。
 しかしながら、①本件株式を発行する会社(本件会社)の事業年度の変更及びその決算期中の剰余金の配当(本件各行為)を行ったことによって、請求人の納付すべき税額は、本件各行為が行われなかった場合に比べて、約50%もの減少となることから、請求人の相続税の負担は著しく軽減されたといえ、また、②請求人は、本件各行為が近い将来発生することが予想される本件被相続人からの相続において請求人の相続税の負担を減じさせるものであることを知り、かつ、これを期待して、本件各行為に係る各々の臨時株主総会を開催し、本件被相続人らと意思を相通じて賛成の議決権を行使したと推認できるから、本件各行為は請求人の租税負担の軽減をも意図して行われたものということができ、上記①及び②の事情の下においては、本件株式の価額について評価通達の定める方法による画一的な評価を行うことが、本件各行為のような行為をせず、又はすることのできない他の納税者と請求人との間に看過し難い不均衡を生じさせ、実質的な租税負担の公平に反するというべきであり、合理的な理由があると認められるから、本件株式の価額を国税庁長官の指示を受けて評価した価額によるものとすることが平等原則に違反するということはできない。

参照条文等

相続税法第22条 財産評価基本通達6

参考判決・裁決

最高裁令和4年4月19日第三小法廷判決(民集76巻4号411頁)

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令和6年3月25日裁決

請求人は、会計伝票等を捨てることで、故意に真実の本件各年分の本件事業に係る売上金額及び必要経費を隠匿し、かつ、故意に真実の本件各課税期間に係る課税売上高を隠匿したといえるとして、国税通則法第68条第2項に規定する「隠蔽し、又は仮装し」に該当する事実があったとした事例(平成27年分から令和3年分までの所得税及び復興特別所得税並びに平成27年課税期間から令和3年課税期間までの消費税及び地方消費税に係る重加算税の各賦課決定処分・棄却)

裁決事例集 第134集

ポイント

 本事例は、無申告加算税に代えて課される重加算税の課税等要件に係る主観的要件について、法令解釈の上、具体的にその該当性に係る事実認定をしたものである。

要旨

 請求人は、請求人には税務に関する相応の知識がなく、事業に係る売上金額は概算で把握していたにとどまり、本件事業に利益があったとは認識しておらず、帳簿書類等を作成せず、各会計伝票、感染拡大防止対策協力金に係る支払決定通知書及び事業に関する支払に係る領収書等(各会計伝票等)を保存せずに廃棄していたのは、ひとえに請求人の無知が招いた結果であり、意図的に申告をしなかったのではないから、請求人には国税通則法(令和4年法律第4号による改正前のもの)第68条《重加算税》第2項に規定する「隠蔽し、又は仮装し」に該当する事実はなかった旨主張する。
 しかしながら、請求人は、青色申告に係る帳簿の備付け、記録及び保存をしていなかった上、各会計伝票等を保管することなく全て捨てることで、各年分の事業に係る売上金額(雑収入を含む。)及び必要経費の金額を不明にしていたところ、請求人自身、当該各会計伝票等を捨てることで、各年分の事業に係る売上金額及び必要経費の金額を不明になることを認識していたといえるから、故意に真実の各年分の事業に係る売上金額(雑収入を含む。)及び必要経費を隠匿し、かつ、故意に真実の各課税期間に係る課税売上高を隠匿したというべきであり、「隠蔽し、又は仮装し」に該当する事実があったと認められる。

参照条文等

国税通則法第68条第2項

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令和6年3月14日裁決

外国子会社合算税制の適用において法人税法第12条第1項の規定が適用されるとした事例( 令和2年1月1日から令和2年12月31日までの連結事業年度の法人税の更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分 令和2年1月1日から令和2年12月31日までの課税事業年度の地方法人税の更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分・ 一部取消し)

裁決事例集 第134集

ポイント

 本事例は、外国私法により成立した法律関係が信託に該当し、外国子会社合算税制の適用において法人税法第12条第1項の規定が適用されることから、特定外国関係会社の基準所得金額の計算上、信託財産たる株式に係る配当に相当する金額は、子会社から受ける配当等の額として控除されると判断したものである。

要旨

 原処分庁は、オランダ王国で設立された財団が株式(本件株式)と引き換えにデポジタリー・レシートを発行する契約(本件発行契約)により成立した法律関係は、法人税法(令和2年法律第8号による改正前のもの)第12条《信託財産に属する資産及び負債並びに信託財産に帰せられる収益及び費用の帰属》第1項に規定する信託に該当せず、また、外国子会社合算税制における基準所得金額の計算において、同項の規定は適用されないから、本件株式に係る配当(本件配当)に相当する金額は、租税特別措置法施行令(令和2年政令第207号による改正前のもの)第39条の115第1項第4号に規定する子会社から受ける配当等の額に該当せず、請求人の特定外国関係会社(本件h法人1)の基準所得金額の計算上控除することはできない旨主張する。
 しかしながら、本件発行契約等における合意のうち我が国の信託法第3条《信託の方法》第1号に規定する内容に当てはまる部分については、我が国の信託法上の信託契約に相当し、本件発行契約等により成立した法律関係は、法人税法第12条第1項に規定する信託に該当するものと認められる。また、外国子会社合算税制における基準所得金額を計算する場合においても、法人税法第12条第1項本文の規定の適用により、同項本文に規定する信託の受益者が当該信託の信託財産に属する資産及び負債を有するものとみなされると解される。したがって、本件h法人1は、同項本文の規定により、信託財産に属する資産である本件株式を有するものとみなされ、かつ、本件配当は受益者である本件h法人1の収益とみなされるから、本件h法人1の基準所得金額の計算上、本件配当に相当する金額は、租税特別措置法施行令第39条の115第1項第4号に規定する子会社から受ける配当等の額に該当し、控除される。

参照条文等

法人税法(令和2年法律第8号による改正前のもの)第12条第1項 租税特別措置法(令和2年法律第8号による改正前のもの)第68条の90第1項 租税特別措置法施行令(令和2年政令第207号による改正前のもの)第39条の115第1項第4号 信託法第2条、第3条、第4条

参考判決・裁決

名古屋地裁平成23年3月24日判決(訟月60巻3号655頁)

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令和6年3月11日裁決

公売公告処分は、原処分庁が公売に付した時期の判断において、租税公平主義に反する違法はないと判断した事例(公売公告処分・棄却)

裁決事例集 第134集

ポイント

 本事例は、公売実施の判断について、滞納整理の経緯、納付状況、差押財産の換価の見込額等を考慮すると、その裁量権の行使が租税公平主義に反しているとは認められないと判断したものである。

要旨

v請求人は、原処分庁がした公売公告処分(本件公売公告処分)について、同処分に先行して行われた差押処分(本件差押処分)に違法があるから、本件公売公告処分に係る財産のうち、買受申込みがないまま買受申込期間が満了した財産又は買受申込期間満了後に最高価申込者が買受申込みの取消しをした財産についても、当該処分の取消しを求める請求の利益がある旨主張する。
 しかしながら、これらの各財産を再び公売するには改めて買受申込期間を定めて公売公告以下の公売手続を踏まなければならないから、本件公売公告処分に係る財産のうち、当該各財産に係る部分はその法的効果を失い、その取消しを求める法律上の利益は消滅したものというべきである。
 また、請求人は、徴収法第48条《超過差押及び無益な差押の禁止》第2項の無益な差押えとは、差押時における対象財産の処分予定価額が滞納処分費及び優先債権額の合計額を超える見込みがない場合だけでなく、差押財産の見積価額が分割納付額に満たない場合も含むと広く解釈されるべきであり、そうすると本件差押処分は無益な差押えの禁止に反し違法であるから、これに続く本件公売公告処分は取り消されるべきである旨主張する。
 しかしながら、差押えの対象となる財産の価額がその差押えに係る滞納処分費及び優先債権額の合計額を超える見込みのないことが一見して明らかでない限り、直ちに当該差押えが違法となるものではないと解するのが相当であるところ、本件差押処分当時、その対象となる財産の処分予定価額が滞納処分費及び優先債権額の合計額を超える見込みのないことが一見して明らかではないことから、本件差押処分に無益な差押えの禁止に反する違法はない。
 おって、請求人は、徴収法に公売をしなければならない旨の規定があるが、実際にそのとおりに行われているわけではなく、滞納国税を完納する目途が立っている場合には公売をしないという基準があるはずであるから、本税が完納となっており、延滞税等も最長でも6年以内の完納の目途が立っていたにもかかわらず行われた本件公売公告処分は、この基準に反し、租税公平主義に反する違法がある旨主張する。
 しかしながら、公売の実施については、滞納整理の経緯、納付状況、差押財産の換価の見込額等を踏まえた上での税務署長等の合理的な裁量に委ねられているから、差押財産について公売が一律に実施されるわけではない。加えて、換価事務提要において、本税が完納で延滞税等も完納の目途が立っている場合には公売をしないという基準は存在せず、本件公売公告処分に関する原処分庁の判断は、換価事務提要の合理性を有する定めに従ったものであるから、租税公平主義に反するものではない。

参照条文等

国税徴収法第48条第2項第95条第1項第96条

参考判決・裁決

高松高裁平成11年7月19日判決(租税判例年報11・791頁) 東京地裁平成30年9月6日判決(金法2119号86頁) 東京地裁平成28年12月21日判決(租税関係行政・民事判決集(徴収関係)平成28年1月~平成28年12月順号28-42) 名古屋地裁平成25年4月26日判決(税資(徴収関係判決)平成25年順号25-17)

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令和6年3月6日裁決

市街化調整区域内に所在する宅地について、「地積規模の大きな宅地」に準じて評価することはできないとした事例(令和2年8月相続開始に係る相続税の各更正の請求に対してされた更正をすべき理由がない旨の各通知処分・棄却)

裁決事例集 第134集

ポイント

 本事例は、市街化調整区域のうち都市計画法第34条第12号の規定に基づき開発行為の対象となる宅地は、仮に宅地分譲に係る開発行為が可能な区域に所在していたとしても、財産評価基本通達20-2《地積規模の大きな宅地の評価》に定める「地積規模の大きな宅地」に準じて評価することはできないとしたものである。

要旨

 請求人らは、相続により取得した各土地(本件各土地)は、市街化調整区域のうち都市計画法第34条第12号の規定に基づき宅地分譲に係る開発行為を行うことができる区域(12号区域)に所在しており、宅地の分割分譲が可能であって、分割分譲に伴う減価が発生する土地であるため、財産評価基本通達20-2《地積規模の大きな宅地の評価》(本件通達)に定める「地積規模の大きな宅地」に準じて評価することができる旨主張する。
 しかしながら、本件通達に定める「地積規模の大きな宅地」は、「戸建住宅用地としての分割分譲が法的に可能であり、かつ、戸建住宅用地として利用されるのが標準的である地域に所在する宅地」の範囲をもって定められているところ、都市計画法第34条第12号に相当する開発行為としては、分家に伴う住宅、収用対象事業の施行による移転等による建築物、社寺仏閣、研究施設等の建築物の用に供するものが予定されているのであるから、同号の規定に基づく開発行為の対象となる宅地は、仮に宅地分譲に係る開発行為が可能な区域に所在していたとしても、本件通達が適用対象とする当該範囲に含むべきものではないとしたものと解するのが相当である。したがって、当該範囲に含まれるとする市街化調整区域のうち都市計画法第34条第10号及び第11号の各規定に基づき宅地分譲に係る開発行為を行うことができる区域に所在する宅地と当該範囲に含まれないとする12号区域に所在する宅地とで本件通達上異なる取扱いを定めていることは合理的なものであって、本件各土地を「地積規模の大きな宅地」に準じて評価することはできない。

参照条文等

相続税法第22条 財産評価基本通達20-2

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令和6年2月26日裁決

保険金を支払通知日の属する事業年度の収益に計上した請求人の会計処理を正当と判断した事例( 令和3年1月1日から令和3年12月31日までの事業年度の法人税の更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分、 令和3年1月1日から令和3年12月31日までの課税事業年度の地方法人税の更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分・ 全部取消し)

裁決事例集 第134集

ポイント

 本事例は、請求人の前代表者を被保険者とした生命保険契約に係る保険金の額について、当該保険金の支払通知日の属する事業年度の雑収入に計上した請求人の会計処理は、取引の経済的実態からみて合理的な収益計上の基準に即したものであるから、法人税法上も正当なものとして是認すべきと判断したものである。

要旨

 原処分庁は、請求人の前代表者を被保険者とした生命保険契約において、前代表者の死因は当該保険契約に係る保険金の支払事由に該当するとともに、免責事由のいずれにも該当しないことからすると、請求人は、前代表者の死亡日において、当該保険金に係る保険金請求権の実現可能性を客観的に認識でき、その行使が可能となったといえるから、請求人が受領した死亡保険金(本件保険金)の額は、前代表者の死亡日の属する事業年度の益金の額に算入すべきである旨主張する。
 しかしながら、本件保険金は、保険会社の確認調査等の結果次第では支払われないこともあり得たこと、請求人が恣意的に本件保険金の額の収益計上時期を繰り延べようと企図した事実は認められないことを踏まえれば、本件保険金の額を支払通知日の属する事業年度の雑収入に計上した請求人の会計処理は、取引の経済的実態からみて合理的な収益計上の基準に則したものであり、法人税法上も正当なものとして是認すべきと認められる。

参照条文等

法人税法第22条第2項第4項

参考判決・裁決

最高一小判平5.11.25、民集47巻9号5278頁

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令和6年2月13日裁決

未経過固定資産税等相当額は、譲渡所得の金額の計算上、総収入金額に算入されるとした事例( 令和3年分の所得税及び復興特別所得税の更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分、 令和3年1月1日から令和3年12月31日までの課税期間の消費税及び地方消費税の更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分・ 棄却)

裁決事例集 第134集

ポイント

 本事例は、不動産の譲渡に際して買主から売主に支払われた未経過固定資産税等相当額について、譲渡所得の課税の趣旨及び固定資産税等の納税義務者の規定内容から検討し、譲渡所得の金額の計算上、総収入金額に算入されるとしたものである。

要旨

 請求人は、請求人が譲渡した土地建物(本件土地建物)に課された固定資産税及び都市計画税(固定資産税等)のうち本件土地建物の引渡日からその年の12月31日までの期間に対応する固定資産税等に相当する額(本件未経過固定資産税等相当額)は、売主である請求人に納税義務はなく、本来買主が負担すべきものを請求人が立て替えているにすぎないものであることなどから、譲渡所得の金額の計算上、総収入金額には算入されない旨主張する。
 しかしながら、譲渡所得に対する課税の趣旨からすると、資産の譲渡の対価として収入すべき金額については、その名目いかんにかかわらず、譲渡所得の金額の計算上、総収入金額に算入されるべきであると解するのが相当である。また、固定資産税等は、その賦課期日である毎年1月1日現在における固定資産の所有者に対して課されるものであって、賦課期日後に当該固定資産の所有者に異動が生じたとしても、新たな所有者が当該固定資産のその年の固定資産税等の納税義務を負担するものではないから、本件土地建物の売買契約における固定資産税等の負担及び清算に関する定めは、新たな債権債務関係を発生させる合意内容の一つというべきである。したがって、当該合意に基づいて買主から請求人に支払われた本件未経過固定資産税等相当額は、本件土地建物の譲渡の対価の一部であると認められることから、請求人の譲渡所得の金額の計算上、総収入金額に算入されることとなる。

参照条文等

所得税法第33条第36条 地方税法第343条第1項及び第2項第359条第702条第1項及び第2項第702条の6

参考判決・裁決

東京高裁平成28年3月10日判決(訟月63巻1号70頁) 平成14年8月29日裁決(裁決事例集No.64)

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令和6年2月7日裁決

財産債務調書に、有価証券の種類別にまとめて用途、所在等が記載され、その銘柄及び数量等の記載がない場合は、「重要なものの記載が不十分であると認められる場合」に該当して財産債務に係る過少申告加算税等の特例による加重措置の対象となるとした事例( 令和3年分の所得税及び復興特別所得税に係る過少申告加算税の賦課決定処分、 過少申告加算税の変更決定処分・ 却下及び棄却、 却下)

裁決事例集 第134集

ポイント

 本事例は、財産債務に係る過少申告加算税等の特例による加算税の対象となる「重要なものの記載が不十分であると認められる場合」に該当するか否かの判断は財産債務調書の記載自体から行うべきであり、財産債務調書以外の書類の記載や調査の際に確認できる事項を加味してこれを判断すべきではないとしたものである。

要旨

 請求人は、修正申告(本件修正申告)の基因となった有価証券(本件有価証券)について、①請求人が提出した財産債務調書(本件財産債務調書)に本件有価証券の銘柄の記載はないものの、種類別、用途別、所在別に記載され、財産の価額も一括で記載されていること、②本件財産債務調書に一括で記載されている価額と証券会社が発行した残高報告書に記載されている残高が一致するため本件有価証券を容易に特定できること、③令和4年法律第4号による改正前の内国税の適正な課税の確保を図るための国外送金等に係る調書の提出等に関する法律第6条の3《財産債務に係る過少申告加算税又は無申告加算税の特例》第2項第2号に規定する重要なものの記載が不十分であると認められる場合に該当するか否かは、調査の際に、銘柄ごとの区分ができ、残高が一致することが確認できればいいことなどから、本件修正申告による過少申告加算税の計算において、同項の規定による加重措置は適用されず、むしろ同条第1項の規定による軽減措置が適用される旨主張する。
 しかしながら、加算税の加重措置及び軽減措置の適用の可否の判断は、財産債務調書の記載内容自体から行うべきであるところ、本件財産債務調書には、本件有価証券の銘柄及び数量の記載がないため、本件財産債務調書の記載内容からは本件有価証券を特定することは困難であると認められる。したがって、本件財産債務調書の記載は同号に規定する重要なものの記載が不十分であると認められる場合に該当し、過少申告加算税の計算において加重措置が適用され、軽減措置は適用されない。

参照条文等

国税通則法第65条第1項 内国税の適正な課税の確保を図るための国外送金等に係る調書の提出等に関する法律(令和4年法律第4号による改正前のもの)第6条の3 内国税の適正な課税の確保を図るための国外送金等に係る調書の提出等に関する法律施行規則(令和4年財務省令第27号による改正前のもの)第15条、別表第三 内国税の適正な課税の確保を図るための国外送金等に係る調書の提出等に関する法律(国外財産調書及び財産債務調書関係)の取扱いについて(法令解釈通達)6の3-3

参考判決・裁決

令和5年12月7日裁決(裁決事例集No.133)

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令和6年1月29日裁決

滞納者から請求人に対する振込みによる送金は、国税徴収法第39条に規定する無償による譲渡に該当するとした事例(第二次納税義務の納付告知処分・棄却)

裁決事例集 第134集

ポイント

 本事例は、生活費及び学資の前払としての送金が、社会通念上相当と認められる範囲の金銭の交付とは認められないとしたものである。

要旨

 請求人は、滞納者(本件亡滞納者)が、生前に請求人に対し行った請求人名義口座への振込みによる金銭の交付(本件金銭交付)は、別居していた請求人に対する将来の生活費及び医学部に進学する子のための学資等である婚姻費用の前払であり、社会通念上相当と認められる範囲の金銭の交付であるから、国税徴収法第39条《無償又は著しい低額の譲受人等の第二次納税義務》に規定する無償による譲渡に該当しない旨主張する。
 しかしながら、本件亡滞納者は、請求人に対し、本件金銭交付に先立ち、相当程度に高額な金銭を送金し、本件金銭交付後も生活費として毎月一定額の送金を継続していること、本件金銭交付に係る金員が、将来的には、子の学資等の原資となるとしても、本件金銭交付の時点においては、学資等として具体的な支払の予定があったとはいえないことからすると、請求人親子と本件亡滞納者が別居し、請求人に収入がなかったために、本件亡滞納者において婚姻費用あるいは生活費及び学資等を負担する必要があったとしても、その前払として本件金銭交付をすべき必要があったとは認められない。したがって、本件金銭交付は、生活費及び学費等に充てるためにした社会通念上相当と認められる範囲の金銭交付に該当せず、無償による譲渡に該当する。
 また、請求人は、本件亡滞納者の各滞納国税(本件各滞納国税)に係る第二次納税義務の納付告知処分(本件納付告知処分)について、本件亡滞納者が、株式の売却代金や相当程度の給与収入を得ていたことからすると、原処分庁が遅滞なく滞納処分を行っていれば、徴収不足を生じることはなかったにもかかわらず、原処分庁が換価の猶予を行って本件亡滞納者の財産の散逸を見過ごしたために徴収不足となったのであるから、本件各滞納国税の徴収不足は、本件金銭交付に基因しない旨主張する。
 しかしながら、徴収不足が認められる場合とは、第二次納税義務に係る納付告知処分時の現況において、本来の納税義務者の財産で滞納処分により徴収することのできるものの価額が、同人の滞納国税の総額に満たないと客観的に認められる場合をいうものと解され、さらに、徴収不足が無償譲渡等の処分に基因すると認められるときとは、当該無償譲渡等の処分がなかったならば当該納付告知処分時現在の徴収不足を生じなかったであろうということができる場合をいうものと解するのが相当であるところ、本件各滞納国税の納付義務を承継した相続財産法人は、本件納付告知処分時において徴収不足であると認められ、本件金銭交付に係る金額は、本件各滞納国税の金額を上回ることからすると、本件金銭交付がなかったならば本件納付告知処分時の徴収不足を生じなかったであろうということができるから、本件各滞納国税の徴収不足は本件金銭交付に基因すると認められる。

参照条文等

国税徴収法第39条

参考判決・裁決

東京地裁昭和45年11月30日判決(行集21巻11・12号1392頁) 東京高裁昭和52年4月20日判決(訟月23巻6号1117頁)

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令和6年1月10日裁決

請求人の従業員が工事業者と通謀して虚偽の工事完了日を記載した工事完了報告書等を作成した行為は、事実の仮装に該当するところ、当該従業員の行為は、請求人の行為と同視でき、重加算税の賦課要件を満たすとした事例(令和2年4月1日から令和3年3月31日までの課税期間の消費税及び地方消費税に係る重加算税の賦課決定処分・棄却)

裁決事例集 第134集

ポイント

 本事例は、請求人の従業員がした仮装行為について、同従業員の地位・権限は一使用人として限定されたものであったが、同行為は、請求人から付与された権限の範囲内において行われたものであり、請求人が不正の事実を把握して是正措置を講ずることは可能であったと認められ、また、請求人における管理・監督体制が十分であったとは認められないことからすれば、請求人の行為と同視できるとしたものである。

要旨

 請求人は、請求人の従業員(本件従業員)が工事業者と通謀して虚偽の工事完了日を記載した工事完了報告書等を作成した行為(本件行為)は、事実の仮装に該当するが、①本件従業員は、請求人の一使用人として限定的な地位・権限を有していたにすぎないこと、②本件行為は、本件従業員の独断的な不正行為であったこと、③請求人は、本件従業員に対して一定の管理・監督を行っていたことなどから、本件行為を請求人の行為と同視することはできない旨主張する。
 しかしながら、本件従業員の地位・権限は一使用人として限定されたもので、また、本件従業員による本件行為は、本件従業員が自身の業務負荷の増大を避けるための独断的な行為ではあるものの、本件行為は、請求人から付与された権限の範囲内において行われたものであり、請求人が不正の事実を把握して是正措置を講ずることは可能であったと認められ、また、請求人における管理・監督体制が十分であったとは認められない。以上の点を総合考慮すれば、本件行為を納税者たる請求人の行為と同視することができると判断するのが相当である。

参照条文等

国税通則法第68条第1項

参考判決・裁決

令和元年10月4日裁決(裁決事例集No.117)

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