裁決事例 裁決事例集 第79集
要旨
請求人は、税理士事務所においては、税理士、従業員(補助)税理士、従業員及び顧問先と税理士事務所独自のノウハウ等が一体となって税理士事務所の運営がなされていることに着目して営業権あるいは企業権というものを認識することができ、請求人はこの営業権という資産を譲渡したものであるから、その対価として受領した金員に係る所得は、所得税法第33条に規定する譲渡所得に該当する旨主張する。
しかしながら、①税理士と顧問先との関係において、税理士のノウハウや顧問先との信頼関係は、当該税理士個人に帰属し、一身専属性の高いものであり、税理士とその顧問先が両者の委任契約の上に成り立っていることからすれば、当該税理士を離れて営業組織に客観的に結実することにはなじまないこと、②補助税理士及び従業員と顧問先との関係において、請求人の補助税理士は、請求人から事業を承継する税理士Aのみであり、かつ、事業承継時においてAに引き継がれた従業員はいなかったのであるから、当該事業承継では補助税理士及び従業員と顧問先との関係は生じないこと、③税理士事務所独自のノウハウ、これと税理士や従業員等が一体となって行われる運営、その他、超過収益を稼得できる無形の財産的価値を有していた旨の請求人の主張については、請求人から具体的な主張や証拠の提出はなく、また、請求人が経営していた税理士事務所に超過収益を稼得できる無形の財産的価値があったと客観的に認めることができないことから、請求人が経営する税理士事務所において、譲渡所得の基因となる資産としての営業権若しくはこれに類する権利が存在していたことを認識することはできない。
参照条文等
要旨
請求人は、原処分庁が請求人とP国国外関連者との使用許諾取引(以下「本件国外関連取引」という。)には比較対象取引が存在せず、基本三法と同等の方法が適用できないとして残余利益分割法と同等の方法により独立企業間価格を算定したことについて、請求人とQ国非関連者との間における使用許諾取引(以下「本件比較対象取引」という。)は、本件国外関連取引と使用許諾に係る製品種別及び技術が同種であり、また、使用許諾に係る条件に差異はあるものの、実質的に同様の状況にあるか、当該差異がロイヤルティ率に影響を及ぼすと結論付ける合理的な理由はないことから、これを比較対象取引として「独立価格比準法と同等の方法」を適用することができる旨主張する。
しかしながら、無形資産の使用許諾取引に「独立価格比準法と同等の方法」を適用する場合の比較対象取引の選定に当たっては、使用許諾に係る無形資産が「同種」であり、かつ使用許諾の時期、使用許諾の期間等の使用許諾に係る条件が「同様」であることが要件であるところ、本件国外関連取引と本件比較対象取引については、使用許諾に係る無形資産は「同種」であるが、①使用許諾開始時期、②使用許諾期間、③独占許諾・非独占許諾の許諾条件、④技術者派遣の有無及び⑤販売地域という使用許諾に係る条件が契約上も実態上も明らかに異なっているものと認められる。そして、本件においては、技術者派遣の有無、許諾条件の相違、許諾期間の制限の有無など、使用許諾に係る条件の差異が明らかに認められ、これらの差異は独立企業間価格(ロイヤルティ率)に影響を及ぼすものであり、その差異による具体的な影響額を調整することもできないものと認められることから、本件比較対象取引を使用して「独立価格比準法と同等の方法」を適用することはできない。
参照条文等
租税特別措置法第66条の4第1項、第2項 租税特別措置法施行令第39条の12第1項、第8項 租税特別措置法関係通達66の4(2)-1、66の4(2)-2、66の4(4)-1、66の4(4)-5、66の4(6)-1、66の4(6)-6
要旨
請求人が外国に所在する土地等を譲渡したことに係る譲渡所得の金額について、請求人は、①当該土地等の取得及び譲渡の各取引は外貨によって行っており、当該土地等の取得から譲渡までの間、円と外貨との交換が行われていないことから、本件において所得税法第57条の3の規定は適用されないこと、並びに②当該土地等の取得時及び譲渡時の各為替相場をもって取得価額及び譲渡価額をそれぞれ円換算するという原処分庁の採用した方法によれば、実現していない為替差益に課税することとなって許されないことなどを理由に、当該譲渡所得の金額は、外貨建てで算出した譲渡所得の金額を当該譲渡時の為替相場によって円換算して算出すべきである旨主張する。
しかしながら、譲渡所得に対する課税は、資産が譲渡によって保有者の支配を離れるのを機会に、その保有期間中の増加益、すなわち、当該資産の取得時と譲渡時の客観的価額との増差分を清算して課税しようとするものであり、これらの価額の算出に当たり、国内法である所得税法はその計算を円により行うことを前提としていることから、総収入金額又は取得費等の中に外貨で支払が行われる外貨建取引が含まれている場合には、当該取得時から当該譲渡時までの間に円と外貨との交換が行われていたか否かにかかわらず、当該外貨建取引の額について、当該取引を行った時における為替相場で円換算した上で計算するのが相当であり、所得税法第57条の3の規定はこの円換算方法について法令上明確化したものと解される。また、このような円換算によって算出した当該譲渡所得の金額には必然的に為替差益が含まれるところ、当該為替差益は、当該土地等の譲渡によって所得として実現したと解するのが相当である。
参照条文等
介護付有料老人ホームにおける住宅の貸付けの範囲の判定に当たっては、賃借人が日常生活を送るために必要な場所と認められる部分はすべて住宅に含まれると解されるから、これらの部分の貸付けは非課税となる住宅の貸付けに該当するとした事例
裁決事例集 第79集
要旨
請求人は、関係法人に有料老人ホーム施設として賃貸した建物のうち、介護職員が使用する事務室、スタッフステーション、宿直室、厨房等は、いずれも当該施設の入居者が使用するものではなく、住宅の貸付けに該当しないから非課税とならない旨主張する。しかしながら、消費税法上、非課税となる住宅の貸付けの範囲の判定に当たっては、住宅に係る賃借人が日常生活を送るために必要な場所と認められる部分はすべて住宅に含まれると解するのが相当であるところ、介護付有料老人ホームは、単なる寝食の場ではなく、入居した老人が介護等のサービスを受けながら日常生活を営む場であるから、介護付有料老人ホーム用の当該建物の内部に設置された事務室、スタッフステーション、宿直室、厨房等の介護サービスを提供するための施設は、入居者が日常生活を送る上で必要な部分と認められることから、これらの部分の貸付けは非課税となる住宅の貸付けに該当する。
参照条文等
消費税法第6条、別表第一第13号
要旨
請求人は、譲渡したA建物を、10年以上にわたって生活の拠点としており、また、贈与により取得して所有者になった日から売買契約締結の日の前後を通じて5か月の間、居住の意思を持って居住の用に供していたところ、租税特別措置法第35条第1項には、所有期間及び居住期間についての定めはないから、A建物の所有者になってからの居住期間が短いとしても、A建物は、同項に規定する個人が居住の用に供している家屋に該当する旨主張する。
しかしながら、租税特別措置法第35条第1項に規定する個人がその居住の用に供している家屋に該当するというためには、当該家屋を所有者として居住する意思を持って、客観的にもある程度の期間継続して生活の本拠としていたことを要すると解すべきであるところ、請求人がA建物の所有者となる前の居住期間は、同項の適用を判断するに当たり考慮すべき事実とはならず、また、請求人がA建物の所有者となった日前にA土地建物の買主から諸条件の提示を受けて購入申込みを受諾していることからすれば、同受諾した日以降は、A土地建物は買主に譲渡されることが予定されていたものといえるから、請求人がA建物の所有者となった日以降において、請求人は、A建物を所有者として居住する意思を持って居住の用に供していたものとは認められない。
したがって、請求人がA建物に居住していた全期間について、A建物を租税特別措置法第35条第1項に規定する個人が居住の用に供している家屋であると認めることはできない。
参照条文等
調査開始前に、請求人から関与税理士に従業員の横領行為発覚に伴う修正申告書の作成を依頼し、調査初日、同税理士から調査担当者に対して事実関係を説明するなどした後の修正申告書の提出は、「更正があるべきことを予知してされた」修正申告書の提出には当たらないとした事例
裁決事例集 第79集
要旨
原処分庁は、第一次修正申告書の提出は、国税通則法第65条第5項に規定する「調査があったことにより更正があるべきことを予知してされたものではないとき」には該当しない旨主張する。
しかしながら、①請求人は、請求人に対する税務調査の開始日の約4か月半前ころには、経理担当者による横領の事実を把握し、関与税理士に当該事実を報告し、その約半月後には当該横領に係る資料を当該関与税理士に提出して当該横領に関する修正申告書の作成作業を依頼するなどして、納税者本人において、その申告が不適正であることを発見しあるいはその端緒となるべき資料等を把握し、その後、②当該関与税理士は、事実関係の確認及び修正申告書の作成作業に時間を要していたところ、③当該関与税理士及び請求人代表者は、当該調査の開始日には、調査担当職員が帳簿調査を開始する前に、当該調査担当職員に対し、当該横領資料の写しを交付し、当該横領に係る事実関係を説明し、当該調査担当職員から当該横領の解明作業を当該関与税理士が行うことの了承を得たもので、税務当局の調査着手後、早期の段階において、納税者から修正申告書を提出する旨の申出がなされたということができる。一方、④当該調査担当職員は、当該調査の開始前において当該横領につながるような資料は保有しておらず、帳簿調査において、当該横領行為の一部について確認するにとどまり、その全容について確認していなかったところ、⑤当該調査により、当該横領に関する事実関係が新たに明らかになったものはなかったものと認められる。
以上によれば、上記申出を受けた当該調査担当職員は、当該申出に係る部分を除いて調査を行ったものであり、当該調査担当職員の調査により更正がなされることを予知されたと評価すべき事実を認めることはできず、第一次修正申告書は当該調査があったこととは別に自主的に提出されたものであり、調査があったことに基づいて提出されたと認められないことから、更正があるべきことを予知してされた修正申告書の提出には当たらない。
参照条文等
要旨
原処分庁は、請求人が本件各滞納法人の株主又は社員である旨主張する。
しかしながら、本件各滞納法人が所轄税務署長に提出した定款等の記載によれば、請求人が、本件各滞納法人の設立の際、本件各滞納法人に出資したとは認められず、直接的な資料により、請求人が本件各滞納法人の増資を引き受け、又は、出資を譲り受けた事実を認定することもできない。また、同族会社においては、所有と経営の分離が行われていない場合が多いから、役員等が会社を自由に操作している事実が認められる場合には、その事実は、当該役員等が当該会社の出資者であることをうかがわせる重要な間接事実となるが、請求人は、本件各滞納法人が経営する各店舗の売上金を集金した以外には、本件各滞納法人の経営に関与した事実は全く認められないから、請求人が本件各滞納法人を自由に操作していたということはできず、請求人が本件各滞納法人の実質的な出資者であると推認することもできない。さらに、本件各滞納法人が平成19年及び平成20年に提出した法人税申告書の別表二には、請求人が本件各滞納法人の株式又は出資を100%保有している旨記載されているが、本件各滞納法人が平成11年中に提出した法人税申告書の別表二には、株主として、請求人以外の者の氏名が記載され、平成12年から平成18年までの間に提出した法人税申告書の別表二には、請求人が本件各滞納法人の株主又は社員である旨の記載はないから、原処分庁が指摘する2年分の法人税申告書の別表二の記載のみから、請求人が本件各滞納法人の株主又は社員であったと認定することは到底できない。加えて、これら2年分の法人税申告書の決算業務を行った税理士法人の担当者は、だれが株主であるか分からなかったので、資産のオーナーである請求人を出資者とするのが妥当であると判断した旨の答述をするが、請求人が店舗不動産の登記名義人であるということと、本件各滞納法人の出資者がだれかということとは直接関係がないから、請求人が本件各滞納法人の出資者であることの根拠とはなり得ない。
以上のとおり、請求人が本件各滞納法人の同族会社の判定の基礎となる株主又は社員に該当すると認めるに足る証拠はないから、原処分は国税徴収法第37条第2号の要件を欠く違法な処分であるといわざるを得ず、その全部を取り消すのが相当である。
参照条文等
要旨
請求人らは、所得税法第23条の規定は、飽くまでも法律の施行地内にある金融機関からの受取利子についてのみ利子所得としているものであるから、P国の市中銀行であるK銀行の預金利子に係る所得は、利子所得ではなく雑所得に該当する旨主張する。
しかしながら、所得税法施行令第2条に規定する「銀行その他の金融機関」には国外の金融機関も含まれ、また、所得税基本通達2-12の「法律」には外国の法律も含まれると解されるころ、K銀行は、P国において、P国の銀行法の規定により預金又は貯金の受入業務を行うことが認められている市中銀行である。
そうすると、P国内に所在するK銀行に有する預金も、所得税法第2条第10号に規定する預貯金に該当し、当該預金の利子は、同法第23条第1項に規定する預貯金の利子に該当することから、当該預金の収入に係る所得は利子所得に該当する。
参照条文等
所得税法第2条第1項第10号、第23条 所得税法施行令第2条 所得税基本通達2-12(平19課個2-27による改正前のもの。)
請求人は、差し押さえられた債権に付されていた譲渡禁止特約につき悪意の譲受人と認められるから、滞納者から請求人への当該債権の譲渡は無効であり、当該債権が請求人に帰属することを前提に当該債権の差押処分の取消しを求める請求人の主張は、その前提を欠き採用できないとした事例
裁決事例集 第79集
要旨
請求人は、原処分庁が差し押さえた各債権は、当該差押処分の前に、滞納者から譲渡担保として譲り受け、債権譲渡登記により第三者対抗要件を具備したものとみなされたから、当該各債権は請求人に帰属する旨主張する。
しかしながら、原処分庁が差し押さえた各債権の一部については、原処分庁の取立て、差押えの解除、消滅、不存在により、差押えの効力が消滅したか生じなかったのであるから、請求人は、その部分についての差押えの取消しを求める法律上の利益を有せず、他の債権については、譲渡禁止特約が付されているところ、滞納者と請求人との間で交わされた集合債権譲渡契約書の「譲渡禁止特約の有・無」欄の「有」に丸印が付されていることからすれば、請求人は当該譲渡禁止特約につき悪意の譲受人と認められることから、滞納者から請求人への当該債権の譲渡は無効であり、当該債権が請求人に帰属することを前提に当該債権の差押処分の取消しを求める請求人の主張は、その前提を欠き採用できない。
参照条文等
国税徴収法第24条 民法第466条
旅券の番号、購入者の氏名及び生年月日が記載されていない購入者誓約書は、その提出した者が非居住者であることが確認できず、消費税法第8条第2項に規定する書類に当たらないことから、輸出物品販売場の免税の適用はできないとした事例
裁決事例集 第79集
要旨
請求人は、旅券の番号、購入者の氏名及び生年月日が記載されていない購入者誓約書は、たまたま、一部記入漏れとなっていたものにすぎないから、消費税法第8条第2項に規定する「当該物品が非居住者によって同条第1項に規定する方法により購入されたことを証する書類」に当たる旨主張する。
しかしながら、当該購入者誓約書の販売者氏名、上陸地、国籍、購入年月日、上陸年月日、品名、数量、単価及び販売価額の各欄には記載があるものの、当該購入者誓約書の「署名」欄はいずれも○○文字1文字しか記載されてないこと、当該購入者誓約書の旅券等の「番号」欄及び「購入者氏名及び生年月日」欄にはいずれも記載がないことからすれば、当該購入者誓約書では、当該購入者誓約書を請求人に提出した者が非居住者であるか否かを確認することができず、当該購入者誓約書は、記載された物品が非居住者によって消費税法第8条第1項に規定する方法により購入されたことを証する書類とはいえないから、請求人がこれを整理して保存していたとしても、当該購入者誓約書は、消費税法第8条第2項に規定する書類に当たらない。
参照条文等
差し押さえた株券に係る権利が滞納者に帰属するとの推定を覆す事実は認められず、また、当該株券に係る権利の取得につき滞納者に悪意又は重過失があったことを認めるべき証拠もないとして、当該権利が自己に帰属する旨の請求人の主張を排斥した事例
裁決事例集 第79集
要旨
滞納者の子である請求人は、原処分庁が差し押さえた株券に係る株式についての真の権利者は請求人である旨主張し、請求人の祖母が請求人に当該株式に係る株券を引き渡した旨記載されている文書が存在する。
ところで、当該原処分庁が差し押さえた株券は、請求人の祖母が、当該株式に係る株券についての除権判決を得るとともに、当該株式を滞納者に譲渡することについて、その発行会社であるC社の取締役会の承認を経た上で再発行された株券が滞納者に交付された後、滞納者が当該再発行株券のすべてを亡失したとして、C社に対してなされた平成20年4月23日付の株券喪失登録の申請に基づき、同社が滞納者に対して発行し、滞納者のために保管していたものであるところ、原処分庁所属の徴収職員が、滞納者がC社に対して有する当該株式に係る株券の再発行請求権を差し押さえた上で、C社が滞納者に対し発行し、滞納者に交付すべきものとして保管していた再発行株券を占有して差し押さえたものである。
そうすると、商法(平成17年法律第87号による改正前のもの。)第205条第2項の規定により、上記再発行株券が滞納者に交付された時点で、滞納者が当該再発行株券に係る株式についての権利を有すると推定され、また、会社法第131条第1項の規定により、当該株式についての権利は滞納者に帰属すると推定されることから、この推定を覆す事実が認められない限り、差押処分に当該株式についての権利の帰属を誤った違法があるということはできないこととなる。しかるに、滞納者が当該株式を祖母から譲り受けたこと及びその後における滞納者による株券喪失登録の申請に不自然な点は見当たらず、滞納者が当該株式についての権利が祖母から請求人に移転していることを知りながら、あるいは、重大な過失によってそのことを知らないままに、当該再発行株券の交付を受けたと認めるべき証拠も見当たらない上、請求人が当該株式についての権利を有していたことをうかがわせる証拠もないから、当該株式についての権利が滞納者に帰属するとの推定を覆す事実は認められず、したがって、請求人が当該株式の真の権利者である旨の請求人の主張には理由がない。
参照条文等
国税徴収法第56条第1項 商法(平成17年法律第87号による改正前のもの。)第205条 会社法第128条、第131条、第228条
要旨
請求人らは、3階建共同住宅の周囲に設けられた花壇、植木及び照明灯などの緑化設備は、公共道路の植込み及び街路灯と同じ役割を担っており、不特定多数の者の通行の用に供されている私道と一体として機能しているから、その公共的な利用状況をもって、その評価額は零円である旨主張する。
しかしながら、当該緑化設備は、その一部はコンクリートブロックにより当該私道とは区分されており、また、他の一部は当該私道に面しておらず、いずれも賃貸建物である当該3階建共同住宅の敷地内に設けられた構築物であって、当該私道そのものではないから、当該緑化設備の評価に当たり、財産評価基本通達24の定めは適用されない。また、財産評価基本通達24が不特定多数の者の通行の用に供されている私道を評価しないこととしているのは、その私道の廃止又は変更が制限されるなど、一定の利用制限を余儀なくされることから、換価性が著しく低く経済的価額を評価するまでに至らないことによるものと解されるところ、当該緑化設備は、経済的価額を評価するまでに至らないものとは認められないから、財産評価基本通達により難い特別な事情があるともいえない。
したがって、当該緑化設備は、財産評価基本通達に則して、同通達97により評価すべきである。
参照条文等
過去5年以内に国税通則法第66条第6項の適用を受けていることを知らなかったとしても、同項に規定する「期限内申告書を提出する意思があつたと認められる場合」には該当しないとした事例
裁決事例集 第79集
要旨
請求人は、平成18年分の所得税の確定申告書の提出について国税通則法第66条第6項の規定が適用され、無申告加算税が課されなかったことを知らなかったから、平成20年分の所得税の確定申告書の提出について、「期限内申告書を提出する意思があつたと認められる場合」に該当する旨主張する。
しかしながら、請求人は、平成20年分の所得税の確定申告書が提出された日(平成21年3月18日)の前日から起算して5年前の日(平成16年3月18日)までの間において、平成18年分の所得税の確定申告書に係る所得税について国税通則法第66条第6項の規定の適用を受けているから、平成20年分の所得税の確定申告書の提出について国税通則法第66条第6項に規定する「期限内申告書を提出する意思があつたと認められる場合」には該当せず、同項の規定は適用されない。
また、「期限内申告書を提出する意思があつたと認められる場合」に該当するかどうかは、国税通則法施行令第27条の2第1項の各要件を満たすかどうかによって決せられ、請求人が平成18年分の所得税の確定申告書の提出について国税通則法第66条第6項の規定が適用されていた事実を知っていたか否かはその判断を左右するものではない。
参照条文等
要旨
請求人は、請求人が支給した役員給与のうち、①事前確定届出給与に関する届出書において、支給対象者とした役員に支給した役員給与は、事業年度首において年俸通知書により期末報酬額を期末に支給する旨を通知し、その旨を記載した事前確定届出給与に関する届出書を期限内に税務署長へ提出していること、②使用人兼務役員に対する給与は、年俸制に基づく年俸の金額から毎月支給する給与の金額を控除した差額を支払ったものであり、損金算入できない使用人兼務役員の使用人としての職務に対する賞与に該当しないことから、いずれも損金の額に算入されるべきである旨主張する。
しかしながら、①事前確定届出給与は、職務執行の開始の日から1月を経過する日までに役員給与の支給時期や支給金額が確定していることを要するところ、当該日までに、株主総会の決議等により、役員給与の支給すべき確定額及び確定時期を定めたとはいえず、事前確定届出給与に関する届出書において支給対象者とした役員に支給した役員給与は、事前確定届出給与に該当するとは認められないこと、また、②使用人兼務役員に対する給与は、上記役員給与と同様な経緯で支給時期及び支給金額が決定され、同日に支払われているが、当日に他の使用人に賞与を支払った事実もないことから、使用人としての職務に対する給与と認められないので、いずれも損金の額に算入することはできない。
参照条文等
法人税法第34条第1項、第2項 法人税法施行令第69条、第70条 法人税基本通達9-2-14、9-2-15、9-2-16
控除対象仕入税額の計算方法につき個別対応方式を選択してなされた申告に対して、課税仕入れの用途区分が誤っているとして同方式により再計算して行われた更正処分につき、錯誤を理由として一括比例配分方式に選択を変更して控除対象仕入税額の再計算を行うべきとして、その違法性を主張することは許されないとした事例
裁決事例集 第79集
要旨
請求人は、課税上の選択権を行使する過程において錯誤により選択を誤った場合には、法が定める更正の請求等の救済方法以外にも先例(最高裁平成2年6月5日判決)による救済が認められるべきであり、本件においては、請求人が納付税額が少なくなる方法を選択するという内心の意思を実行する過程において、単純な計算誤りにより仕入れに係る消費税額の計算方法の選択を誤ったものであるから、請求人が錯誤に基づいてした個別対応方式の選択の是正が認められるべきであるにもかかわらず、原処分庁が、確定申告における請求人の選択のまま個別対応方式により本件更正処分を行ったことは違法である旨主張する。
しかしながら、請求人において仕入れに係る消費税額の計算で個別対応方式を選択する過程において過誤又は勘違いがあったという事情は認められるものの、仮に当該事情が錯誤に当たるとしても、国税通則法においては、納税者が自主的判断によって提出した申告納税方式による国税の確定申告書に記載した課税標準等又は税額等の是正については、まず、修正申告又は更正の請求の手続を通じて行うべきことが予定されているところ、請求人は、当該事由に基づいて一括比例配分方式に選択を変更して仕入れに係る消費税額を計算したところで修正申告も更正の請求も行っていないのであるから、原処分庁が本件確定申告書において請求人が選択した個別対応方式によって仕入れに係る消費税額を再計算した本件更正処分を違法とする理由はない。
参照条文等
要旨
請求人は、外国法人であるD社及びE社との間で締結した○○機器に係る技術導入契約に基づき、契約当初及び契約譲渡後に支払った払込金は、独占販売権の対価であり、ロイヤリティは別途販売実績に応じて支払うこととされているから、所得税法第161条第7号イに規定する「工業所有権その他の技術に関する権利、特別の技術による生産方式若しくはこれらに準ずるもの」の使用料には該当しないから、本件納税告知処分は違法である旨主張する。
しかしながら、当該技術導入契約においてD社及びE社から請求人に対し、規制当局の承認を取得する権利や○○試験の実施、規制当局の承認の取得等のために技術情報を使用する権利が許諾され、請求人は実際にD社及びE社が独自に有する特定の技術についての情報を含む有用な情報の提供を受けていることからすると、請求人はライセンサーであるD社及びE社から開発権の許諾を受け、技術情報の提供を受けるための対価として払込金を支払っていたものとみるのが相当である。そして、提供された技術情報には○○機器の製造工程についての独自に開発された情報や特別に技術的価値を有する知識が含まれていることから、この技術情報は、所得税法第161条第7号イに規定する「特別の技術による生産方式若しくはこれらに準ずるもの」に該当し、請求人はD社及びE社から開発権の許諾に基づき技術情報の提供を受けて、当該技術情報を使用しているものと認められることから、当該払込金は、「技術等に係る実施権若しくは使用権の設定、許諾」の対価と認められ、所得税法第161条第7号イに規定する使用料に該当する。
参照条文等
所得税法第161条第7号イ 所得税基本通達161-22、161-23 日P租税条約第○条、第○条 日Q租税条約第○条、第○条
要旨
請求人は、請求人が不動産所得の金額の計算上必要経費に算入した本件ゴルフ代の支出に関し、賃貸物件の補修の必要性や家主である請求人に対するクレーム等を把握し、これらに対応することで、賃貸物件を優良なテナントに長く貸し付けることができるよう、テナントの代表者等に対するゴルフ接待を行うとともに、種々の情報を得て不動産の購入を容易にし、また、購入資金の融資の点でも有利になるよう、かつての勤務先である銀行の後輩等に対するゴルフ接待を行っていた旨主張する。
しかしながら、本件ゴルフ代についてみると、請求人が接待の相手方であると主張する者のうち、①請求人の主宰法人が所有する不動産のテナントについては、請求人の不動産所得に係る業務の遂行とは直接関係がなく、②請求人が所有する不動産のテナントの関係者についても、請求人が賃貸物件の補修の必要性や家主である請求人に対するクレーム等を把握するために、これらの者とゴルフをする必要があったとは認め難く、③かつての勤務先である銀行の後輩については、間接的に、請求人の不動産貸付業に有益な情報が得られる場合があるとしても、これらの者とゴルフをすることが、業務の遂行上直接必要であったとまではいい難く、さらに、④請求人はゴルフクラブの会員として、本件各年分を通じて、毎年相当の回数のプレーをしており、その大半を女子プロゴルファーと2人でプレーしている上、請求人が接待交際費に該当すると主張する上記各相手先とのゴルフについても、いずれも上記女子プロゴルファーを同伴させていることからすれば、本件ゴルフ代は、結局のところ、請求人の趣味・し好としてのゴルフプレーのために支出された家事上の経費であると評価せざるを得ず、家事費に該当するから、請求人の不動産所得の金額の計算上必要経費に算入することはできないというべきである。
参照条文等
固定資産課税台帳に本件各土地の台帳価格が付された後に、本件各土地に質的又は量的な形状の変化が生じたものとは認められないから、登録免許税法施行令附則第4項に規定する「特別の事情」はないとした事例
裁決事例集 第79集
要旨
請求人は、本件各土地の所有権移転登記を受けるに当たり、登録免許税の課税標準を登録免許税法施行令附則第3項第1号の規定に基づき、前年度における、固定資産課税台帳に登録された不動産の価格、いわゆる台帳価格により算定し、登録免許税を納付したが、本件各土地は請求人の申出により、当年度から固定資産課税台帳の台帳地目が宅地から雑種地に変更されており、前年度の台帳地目が宅地であることは、登記の時における現況(雑種地)と異なることから、このことは、同附則第4項に規定する、台帳価格を課税標準の額とすることが適当でない「特別の事情」に該当するため、当該課税標準は、登記の時における現況と一致する当年度の台帳価格によるべきである旨主張する。
しかしながら、登録免許税法施行令附則第4項に規定する「特別の事情」とは、登記の目的となる不動産に台帳価格が付された後に、当該不動産自体に同項に列挙する事由その他これらに類する事情により、質的又は量的な形状の変化が生じ、その結果、台帳価格が当該不動産の適正な時価を示しているということができず、これを登録免許税の課税標準たる不動産の価額とすることが適当でなくなった場合をいうものと解されるところ、本件各土地については、前年度の台帳価格が付された後に、本件各土地自体の状況に変化は認められず、質的又は量的な形状の変化が生じて、課税標準の額を同台帳価格とすることが適当でなくなった事情はなく、当年度に請求人の申出により台帳地目が変更されたとしても、これをもって「特別の事情」があるということはできない。
参照条文等
登録免許税法第10条、第31条、附則第7条 登録免許税法施行令附則第3項、第4項
請求人に支払われた弁護士費用賠償金に係る遅延損害金は、元勤務先の不法行為によって、請求人が支出を余儀なくされる弁護士費用という財産的損害を補てんするための賠償金であるから、非課税所得であるとした事例
裁決事例集 第79集
要旨
原処分庁は、弁護士費用賠償金に係る遅延損害金は、請求人が弁護士費用を支払わなければ得られたであろう利益(利息に相当する額)を補てんしているといえるから、所得(雑所得)を構成する旨主張する。
しかしながら、弁護士費用賠償金及び弁護士費用賠償金に係る遅延損害金は、判決において、請求人の元勤務先会社の不法行為と相当因果関係のある損害と認められて同社の負担とされ、同社に対し請求人への支払を命じられ、請求人は、その支払を受けたことにより、担税力を増加させる経済的利益を得たといえ、請求人の所得を構成するが、請求人は、同社の不法行為により、弁護士に訴訟の提起とその追行を委任することを余儀なくされたことによって、当該訴訟に係る弁護士費用の支払をしたことが認められる。
そうすると、弁護士費用賠償金及び弁護士費用賠償金に係る遅延損害金は、同社の不法行為によって、請求人が支出を余儀なくされる弁護士費用という財産的損害を補てんするための賠償金であるから、所得税法施行令第30条第2号に規定する非課税所得であると認められる。
参照条文等
所得税法(平成22年法律第6号による改正前のもの)第9条第1項第16号 所得税法施行令(平成22年政令第50号による改正前のもの)第30条第1号及び第2号
要旨
請求人は、①関係する法人に対する請求人の妻名義の貸付金の弁済金の一部を請求人の預金口座へ入金したこと、②請求人の妻名義の預金口座からの出金を、請求人名義の預金口座へ入金したこと及び請求人から関係会社の代表者への貸付けに充てたことについては、これらの請求人の妻名義の貸付金及び預金は、請求人の妻が請求人の預金を使い込んだという事実関係の下、請求人が請求人の妻の退職金により弁済を受けた金員が原資となっており、もともと請求人に帰属するものであるから、①②のいずれの資金の移動についても、相続税法第9条に規定する対価を支払わないで利益を受けた場合には該当せず、贈与により取得したとみなされることはない旨主張する。
しかしながら、請求人の妻が請求人の預金を使い込んだというのは請求人の憶測にすぎず、具体的な証拠書類も見当たらないことから、請求人の主張は採用することができない。
したがって、①②の資金移動は、相続税法第9条に規定する対価を支払わないで利益を受けた場合に該当し、贈与により取得したものとみなされる。
参照条文等
要旨
請求人は、F社に雇用されているにすぎず、F社からの収入は給与所得に該当する旨主張する。
しかしながら、請求人とF社の間の請負基本契約及び当事者間の取決めによれば、①請求人は、業務の遂行に関して、自己の責任において代替者を手配でき、その者が代替して業務を遂行できること、②請求人は、不可抗力により損害が生じた目的物に係る報酬をF社に請求できないこと、③請求人は、作業の方法や進行の段取りに関して、F社の指揮監督下にないこと、④請求人は、業務の遂行に関して、F社から時間的な拘束を受けていないことが認められ、⑤F社が請求人に無償で材料を支給し、用具等を貸与していることについては、合理的な理由が存することが認められる。
以上の諸要素を考慮すれば、請求人の業務は請負契約に基づくものであり、請求人は、自己の計算と危険において独立して業務を遂行していたものと認められるから、当該業務に係るF社からの収入は事業所得に該当する。
参照条文等
譲渡担保の目的とされた債権の譲渡に係る第三者対抗要件が滞納国税の法定納期限等以前に具備されていた事実は認められないから、当該債権が国税の法定納期限等以前に譲渡担保財産となったということはできないとした事例
裁決事例集 第79集
要旨
国税の法定納期限等以前に、将来発生すべき債権を目的として、債権譲渡の効果の発生を留保する特段の付款のない譲渡担保契約が締結されたとしても、国税の法定納期限等以前に債権譲渡登記や国税徴収法第15条第2項各号に掲げる書類によって債権譲渡の第三者対抗要件が具備されていない限り、同法第24条第1項の適用は妨げられないと解されるところ、本件譲渡担保契約は、本件滞納国税の法定納期限等以前に締結されていることは認められるものの、第三者対抗要件が具備されたのは、本件滞納国税の法定納期限等後であるから、本件債権が本件滞納国税の法定納期限等以前に譲渡担保財産となっているとはいえず、よって、本件については、同法第24条第8項の規定により同条第1項を適用することができないということはできない。
参照条文等
要旨
請求人は、請求人の贈与税及び相続税の申告書はいずれも請求人が関知しないものであるなどとして、これらの申告書による各申告は無効であるから、贈与税及び相続税の更正の請求を認めるべきである旨主張する。
しかしながら、贈与税及び相続税の更正の請求については、国税に共通の更正の請求の規定である国税通則法第23条第1項及び第2項と、贈与税及び相続税に特有の更正の請求の規定として相続税法第32条が規定されており、それ以外には規定はないところ、国税通則法第23条第1項各号に規定する更正の請求が認められる事由は、いずれも当該申告書に記載した、課税標準等若しくは税額等(第1号)、純損失等の金額(第2号)及び還付金の額に相当する税額(第3号)の計算が国税に関する法律の規定に従っていなかったこと又は当該計算に誤りがあったこととされており、当該申告書及びその申告自体が無効であることは更正の請求の事由とされていない。
また、国税通則法第23条第2項各号に規定する事由も、その申告の基礎となった事実に関する訴えについての判決等により当該基礎となった事実が申告と異なることとなったこと等であり、いずれも、その申告自体が無効であることは更正の請求の事由とされていない。
さらに、相続税又は贈与税の申告書を提出した者に係る更正の請求の特則である相続税法第32条に規定する更正の請求が認められる事由も、同条各号のいずれかに該当する場合であって、かつ、その申告に係る課税価格及び相続税額又は贈与税額が過大となったときとされているので、その申告自体が無効であることは、更正の請求の事由とされていない。
したがって、請求人が主張する「申告の無効」はこれら更正の請求の事由には該当しないので、「申告の無効」を事由とした更正の請求はいずれも不適法であり、請求人の主張は採用することができない。
参照条文等
要旨
請求人は、本件金員は、雇用主であるP市が全額を負担した労働の対価であること、勤務関係が終了したことによって初めて生じた給付であること及び一時金として支払われたことから、請求人が退職により一時に受ける給与であり、退職所得に該当する旨主張する。
しかしながら、本件金員が退職により一時に受ける給与に当たるというためには、それが、①退職すなわち勤務関係の終了という事実によって初めて給付されること、②従来の継続的な勤務に対する報償ないしその間の労務の対価の一部の後払の性質を有すること、③一時金として支払われること、との要件を備えることが必要であると解されるところ、本件金員は、従事員会が退会せん別金の給付に関する事業を廃止することに伴い従事員会から支払われたものであること、また、請求人と従事員会との間には雇用関係がないことからすれば、勤務関係の終了という事実によって初めて給付されるものと認められないから、退職所得には該当しない。
本件金員のうち、①退会せん別金相当額は従事員会が退会せん別金の給付に関する事業を廃止することに伴い従事員会から一時に支払われた清算金であり、②特別加算額は早期希望離職者の募集に応じたことに伴い従事員会から一時に支払われた金員であると認められることから、①及び②から成る本件金員は、臨時的・偶発的な所得であり、一時所得に該当する。
参照条文等
相続税法基本通達13-3ただし書の定めにより、他の共同相続人の債務等超過分を請求人の課税価格から控除するためには、債務等超過分を控除することが可能な者の合意が必要であるとした事例
裁決事例集 第79集
要旨
請求人は、相続税法基本通達13-3ただし書は、債務等超過分を控除するに当たって共同相続人全員の合意が必要であるとは定めていないから、請求人の更正の請求における課税価格の計算上、債務等超過分を控除すべきである旨主張する。
しかしながら、当該通達は、共同相続人が法定相続分の割合に応じて負担することとした場合の債務及び葬式費用の金額が相続により取得した財産の価額を超えることとなる場合において、その債務等超過分を他の共同相続人の相続税の課税価格の計算上控除することとして申告があったときは、これを認める旨定めているところ、共同相続人の中に債務等超過分を控除することが可能な者が複数いる場合、それぞれが任意に債務等超過分を自己の相続税の課税価格の計算上控除して申告できるとすれば、債務等超過分が重複して控除されることも想定されることになり妥当でなく、当該通達がそのような事態まで許容する趣旨でないことは明らかであり、また、先に申告した者のみ控除が認められるとすることも公平性に欠け、妥当でない。
したがって、債務等超過分を控除することが可能な者が複数いる場合には、これらの者の間において、債務等超過分をどのように配分するかについての調整・合意がなされていることが前提になっていると解するのが相当であるところ、請求人は、債務等超過分を控除することが可能な他の共同相続人の合意を得ていないから、請求人の更正の請求における相続税の課税価格の計算上、他の共同相続人に生じた債務等超過分を控除することはできない。
参照条文等
事業年度末までに担保不動産の競売が実行されて売却価額が確定している金銭債権の個別評価額の計算においては、競落価額から競売予納金を控除した額が担保権実行による取立見込額となるとした事例
裁決事例集 第79集
要旨
原処分庁は、法人税法施行令第96条第1項第3号に規定する、個別評価金銭債権の額から控除する「担保権の実行により取立て等の見込みがあると認められる部分の金額」とは、貸金等のうち担保物の処分見込額に相当する金額をいうものと解されることから、当該金額の計算上、競売予納金を控除すべきでない旨主張する。
しかしながら、本件各貸出金の担保不動産のうちq物件及びs物件については、事業年度末までに競売が実行され、売却価額が確定しており、申立債権者(請求人)にはその売却価額から債務者が負担すべき競売費用が優先的に償還され、担保権者である請求人にはその残額が配当されることになるが、債務者から競売費用相当額部分を回収する見込みがない本件各貸出金については、q物件及びs物件の担保権によって担保されている部分の金額は、その売却価額から競売費用相当額を控除した残額とみるのが相当である。そして、各執行裁判所は競売手続上の費用に充てるものとして合理的と認められる金額を競売予納金の額としていることからすれば、本件事業年度末において見込まれるq物件及びs物件の競売費用相当額は競売予納金の額とするのが相当であり、請求人自らが競売予納金の額を取立不能の競売費用相当額であると認識して担保不動産に係る担保権によって担保されている部分の金額を算出していることを踏まえると、本件事業年度末において本件各貸出金のうち「担保権の実行により取立て等の見込みがあると認められる部分の金額」については、q物件及びs物件の売却価額から両物件に係る競売予納金の額を控除した額とみるのが相当である。
参照条文等
滞納者を契約者兼被保険者とし、保険金受取人を請求人とする生命保険契約に基づいて死亡保険金を受領した請求人は、国税徴収法第39条の規定により、滞納者が払込みをした保険料相当額の第二次納税義務を負うとした事例
裁決事例集 第79集
要旨
保険契約者が保険金の受取人を第三者とするいわゆる他人のための生命保険契約に基づく保険料の払込みは、保険会社に対して生命保険契約に基づく義務を履行するものではあるが、保険事故が発生したときに当該第三者に利益を与える目的を達成するために、自己の積極財産を減少させる行為であるから、保険金受取人は、保険事故が発生した場合、保険契約者の行った保険料の払込みという積極財産を減少させる行為によって、無償で保険金支払請求権を取得し、利益を受けたということができる。
そして、保険金の支払請求権は、保険事故の発生により、保険金受取人が原始取得するものであり、保険金は滞納者である保険契約者からではなく保険会社から支払われるものであるから、滞納者である保険契約者が保険金受取人に対して直接財産処分行為をしたとはいえないが、国税徴収法第39条の条文からすれば、滞納者の財産処分行為と保険金受取人の受けた利益との間に基因関係が認められれば足り、滞納者が保険金受取人に対して直接財産処分行為を行っていることまで要するものではないと解するのが相当である。
もっとも、国税徴収法第39条が、国税債権の確保のための詐害行為取消権の行使による逸出財産の取戻しを行うのと同様の効果を得ようとするものであること、同条にいう「無償譲渡等の処分」が、第三者に異常な利益を与える積極財産の減少行為をいうものと解され、本件のような被保険者が死亡した場合にその遺族に保険金が支払われる生命保険契約が、被保険者の死亡後における遺族の生活を保障するために締結されるものであり、保険料の払込みが当該契約に基づく債務の履行にすぎないことからすれば、保険契約者の職業や地位、資力、遺族の人数・年齢、国税の納付・徴収と保険料の払込みとの関係等を総合的に考慮して、当該保険料の払込みと保険事故発生後の保険金の支払が保険金受取人に異常な利益を与えるものであるといえない限り、保険料の払込みが国税徴収法第39条の「無償譲渡等の処分」に当たらないと解するのが相当である。
これを本件についてみると、本件滞納者は、滞納国税のほか多額の債務を抱えていた状況の下で、本件各滞納国税のうち法定納期限が最も古い国税の法定納期限の1年前の日以後本件滞納者が死亡するまでの納付回数は6回にとどまる一方、国税の月平均納付額の倍以上の保険料を毎月継続的に払い込んだこと、請求人が受領した死亡保険金の総額が極めて多額であって、遺族が請求人と成人していた子であることからすれば、本件滞納者が請求人とともに事業を営み、相当の収入を得ていたこと、また、一般的には遺族を受取人とする生命保険契約が、被保険者の死亡後における遺族の生活を保障するために締結されるものであり、本件においても、本件滞納者の死亡後における請求人と子の生活を保障するものとして締結されたものであると考えられることを考慮しても、本件各生命保険契約に基づいて本件滞納者がした保険料の払込みは、請求人に異常な利益を与えるための積極財産の減少行為として、国税徴収法第39条の無償譲渡等の処分に当たるといわざるを得ない。
そうすると、請求人は、本件滞納者が本件各生命保険契約に基づいてした保険料の払込みという無償譲渡等の処分により、本件滞納者の積極財産の減少額である払込保険料と同額の利益を受けたものと認められる。
参照条文等
要旨
請求人は、自らは○○士の資格を取得するための講習を行う社団法人であり、請求人が行う講習はその講習を行うことが法令において規定されていることから、当該講習に係る役務の提供は消費税法施行令第12条第2項第2号に掲げる事務に係る役務の提供に該当し、非課税取引である旨主張する。
しかしながら、消費税法施行令第12条第2項第2号の規定は、「国、地方公共団体、法別表第三に掲げる法人その他法令に基づき国又は地方公共団体の委託又は指定を受けた者が法令に基づき行う次に掲げる事務に係る役務の提供」であることを一体のものとして理解すべきであり、同号に掲げる事務(講習)は、これを「国、地方公共団体、法別表第三に掲げる法人その他法令に基づき国又は地方公共団体の委託又は指定を受けた者」が行う旨の規定がされている場合において初めて非課税取引に該当すると解される。本件においては、○○士の資格登録に係る法令において、資格登録の講習を行う者について、「国、地方公共団体、法別表第三に掲げる法人その他法令に基づき国又は地方公共団体の委託又は指定を受けた者」に限る旨の規定等は存在しないことから、請求人の行う当該講習に係る役務の提供は、消費税法施行令第12条第2項第2号に掲げる非課税取引に該当せず、請求人の主張には理由がない。
参照条文等
消費税法第6条第1項、別表第一第5号 消費税法施行令第12条第2項
要旨
請求人は、消費税法施行令第8条に規定する駐車場その他の施設の利用に伴って土地が使用される場合とは、アスファルト舗装、料金徴収設備、建物及び屋根などの施設を伴った駐車場を指すものと解され、本件各駐車場は、一般常識的に施設といわれるものは一切ない旨主張する。
しかしながら、消費税法施行令第8条の趣旨及び消費税法基本通達6-1-5の(注)1の定めから、駐車場施設として土地が使用される場合に、請求人が主張するような施設の利用も伴ってはじめて課税対象の取引としたものとまでは解されず、請求人は、本件各契約において、各賃借人に対して区画を指定した上で、車両を駐車させるという目的に限定して本件各駐車場を貸し付けているところ、本件各駐車場には砂利やアスファルトを敷き、場所によってはロープや白線、区画番号表示による区画を設けたり、車止めブロックを設置していることからすれば、請求人は、本件各駐車場につき、駐車場としての用途に応じる地面の整備や区画の設置等をしているものと認められ、本件各駐車場の貸付けは、駐車場その他の施設の利用に伴って土地が使用される場合に該当する。
参照条文等
差押えによる国税の徴収権の時効の「中断の事由が終了した時」とは、差押処分に係る財産の換価手続が終了した時又は差押えが解除された時をいうものと解するのが相当であるとした事例
裁決事例集 第79集
要旨
請求人は、差押えがされれば、いくら放置しても時効が進行しないというのであれば、甚だしく不当な結果になる上、差押権者による一方的な意思でなされる差押えは、比較的短期間で完了するのであるから、差押えによる時効中断の事由が終了した時を差押処分の手続自体の終了時である差押登記がされた時と解すべきであると主張する。
しかしながら、国税の徴収権の時効は、国税通則法第73条第1項各号掲記の事由又は民法第147条各号掲記の事由があった時に中断し、国税通則法第73条第1項各号に定める期間を経過した時又は時効中断の事由が終了した時から更に進行することになるところ、差押えにより国税の徴収権の時効が中断された場合、当該差押処分の効力が存続している間は、時効中断事由としての差押えが継続しているのであるから、差押えによる国税の徴収権の時効の「中断の事由が終了した時」とは、当該差押処分に係る財産の換価手続が終了した時又は差押えが解除された時をいうものと解するのが相当である。また、差押財産の換価の時期については、原処分庁の合理的な裁量にゆだねられていると解される上、大量かつ反復的に生じる滞納国税の徴収に当たり、画一的に差押え及び換価を実施することが必ずしも望ましいとはいえないこと、差押財産が有する様々な要因等から、差押財産を直ちに換価することが困難な場合もあること、差押財産を公売に付しても公売が成立しない場合もあること、滞納者は財産の差押えを受けたことによって国税の納付が禁止されるわけではなく、財産の差押えを受けた場合であっても早期に完納することが求められることからすれば、差押処分の効力が存続している間は時効が進行しないことをもって、甚だしく不当な結果を滞納者に招来するものであるということはできず、これを根拠に差押えによる時効中断の事由が終了した時を差押処分の手続自体の終了時である差押登記がされた時と解する請求人の主張は採用できない。
参照条文等
死亡保険金に係る一時所得の金額の計算上、借入金利息の支払のための借入金及び当該借入金に係る抵当権設定費用等は収入を得るために支出した金額に該当しないとした事例
裁決事例集 第79集
要旨
請求人は、①各変額保険契約の保険料の支払に充てる目的で借り入れた本件借入金の利息の支払のために締結した本件当座貸越契約に係る第二借入金は、当該各変額保険契約と別個独立のものではなく、一体のものとして捉えるべきであること、②本件借入金に係る本件長期総合ローン契約及び本件当座貸越契約の各融資契約につき本件借入金から支出した抵当権設定費用等は、当該各融資契約をしなければ変額保険契約に基づく本件保険金等を受け取ることができなかったものであるから、いずれも本件保険金等を得るために必要不可欠な支出であり、所得税法第34条第2項に規定する「その収入を得るために支出した金額」に該当する旨主張する。
しかしながら、所得税法第34条第2項が、一時所得の金額の計算における控除の対象を、「収入を得るために支出した金額(その収入を生じた行為をするため、又はその収入を生じた原因の発生に伴い直接要した金額に限る。)」と規定している趣旨は、一時所得に係る支出には、収入が得られた時はその控除項目としての意味をもつと同時に、一種の消費支出としての側面があることから、一時所得に係る収入、支出については、収入を生じた各行為又は各原因ごとに個別対応的に計算し、その反面、収入を生じない行為又は原因に係る支出は控除項目から除外することにあると解される。
このような趣旨にかんがみれば、「その収入を生じた原因の発生に伴い直接要した金額」とは、収入を得るために直接支出した金額など収入を生じた各原因ごとに直接支出した金額に限られると解するのが相当である。
そうすると、本件当座貸越契約は、本件長期総合ローン契約とは別個独立の契約であり、本件当座貸越契約に係る利息債務は、本件当座貸越契約を前提として発生する債務であるから、本件当座貸越契約に係る利息の支払は、収入を生じた原因の発生、すなわち、本件保険金等に係る変額保険契約の締結とは直接の関連性を有しないというべきである。
また、抵当権設定費用等は、いずれも、当該各融資契約の実行のために支出したものであり、これは、収入を生じない行為又は原因に係る支出であるから、そもそも控除項目に該当しないというべきである。
参照条文等
要旨
国税通則法第105条第1項ただし書は、国税に関する法律に基づく処分に対する不服申立てがあったときは、その国税の徴収のため差し押さえた財産の滞納処分による換価は、その財産の価額が著しく減少するおそれがあるとき、又は不服申立人から別段の申出があるときを除き、その不服申立てについての決定又は裁決があるまで、することができない旨規定しているところ、本件では、原処分庁が当初ないし第4次の各公売公告において、売却決定の日時を定めたのに対し、その都度請求人から不服申立てがなされ、同不服申立てについての決定又は裁決がなされる前に、予定されていた売却決定の日時が経過したため、売却決定が行われなかったものであり、その過程に何ら違法な点はない。そして、本件公売公告は、第4次公売公告等に対する不服申立手続についての裁決がなされた後、売却決定の日時等を変更する旨を公告したものであるから、適法である。
これに対し、請求人は、異議申立てにより前回までの売却決定が中止されたことから、本件公売公告も違法であると主張するが、本件不動産の売却決定が行われなかったのは、上記のとおり、国税通則法第105条第1項ただし書の規定によるのであって、公売処分に違法性があるためではない。また、請求人は、前回までの売却決定の中止決定等がなされていないとも主張するが、このような場合に中止決定等をしなければならない旨の規定はない。
また、請求人は、見積価額が低廉であるから本件公売公告が違法であるとも主張するが、本件見積価額公告及び決定処分はいずれも適法なものとして存在しているところ、本件公売公告は、売却決定の日時及び買受代金の納付期限を変更したものであり、見積価額の適否は、本件公売公告の適否に影響しない。
参照条文等
投資事業有限責任組合の法人組合員が純額方式により組合損益を計上している場合において、組合損益の計算上費用とされた株式の評価損は法人組合員においては損金の額に算入することはできないとした事例
裁決事例集 第79集
要旨
請求人は、投資事業有限責任組合は構成員課税となっており、当該組合が有する資産、負債等については出資割合に応じて各組合員に直接帰属することになるから、その帰属損益額の計算を純額方式により計算している場合であっても、当該組合が有する株式のうち組合員である請求人の出資割合に応じた部分については請求人が直接有しているとして評価損を計上することができる旨主張する。
しかしながら、組合員である法人が純額方式により組合事業に係る帰属損益額の計算をしている場合には、組合員が組合事業における配当金に係る収入や引当金に係る対象資産等を帳簿等で個別に計上しない等、組合事業における収入、原価、費用等及び資産、負債等の具体的な内容について、組合員が個別に認識することなく、その損益の計算結果だけを当該組合事業から受ける損益として認識しているものと考えられるところ、法人税法第33条第2項は、金銭債権を除く資産につき災害による著しい損傷その他の政令で定める事実が生じたことにより、当該資産の価額がその帳簿価額を下回ることとなった場合に、損金経理により資産の帳簿価額を減額することを要件として評価損を認めているから、資産等を自らの帳簿等で個別に計上することのない純額方式においては、組合事業における資産の評価損は組合員の損金の額に算入できないと解するのが相当である。そして、請求人は、純額方式により組合事業に係る損益を計算しているから、本件評価損を損金の額に算入することは認められない。
参照条文等
要旨
本件各預貯金の差押時点において、本件各差押財産の処分予定価額の合計額は滞納額を下回っていたと認められるが、本件納付告知処分の一部が取り消されることによって、本件各差押財産の処分予定価額が第二次納税義務の限度額を超過する状態になると認められる。
ところで、先行する課税処分と後続の徴収処分との関係については、課税処分が租税確定手続であり、後者が租税徴収手続であって、両者は別個の法律的効果の発生を目的とする別個独立の行為であるから、前者の違法は後者に承継されないと解するのが相当であり、第二次納税義務の徴収手続の場合も同様に、先行する納付告知処分に違法があったとしても、その違法性は当該第二次納税義務に係る国税を徴収するための滞納処分には直ちに承継されないと解するのが相当であるから、第二次納税義務に係る納付告知処分の一部が取り消されたとしても、そのことをもって直ちに当該第二次納税義務に係る国税を徴収するための滞納処分を違法ということはできない。
そして、国税徴収法第79条第2項第1号は、差押えに係る国税の一部の納付、充当、更正の一部の取消し、差押財産の値上りその他の理由により、その価額が差押えに係る国税及びこれに先立つ他の国税、地方税その他の債権の合計額を著しく超過すると認められるに至ったときは、差押財産の全部又は一部について、その差押えを解除することができる旨規定しており、後発的事由により超過差押えとなった場合の違法状態の是正措置が設けられているところ、同号の規定により差押えを解除するか否か、また、解除する場合に、どの財産の差押えを解除するかは徴収職員の合理的な裁量にゆだねられていると解されることからすれば、後発的事由により超過差押えとなった場合に、審判所が差押えを取り消す財産を選択し、当該財産の差押えを取り消すことは許されないと解される。
また、差押えの解除と取消しの法律的効果の相違も考慮すれば、後発的事由により超過差押えとなったとしても、審判所は差押処分の取消しをすることはできないと解される。
したがって、本件納付告知処分は一部を取り消すべきであるものの、これを理由として本件各差押処分の一部又は全部を取り消すことはできない。
参照条文等
要旨
請求人は、請求人が行った外国為替証拠金取引はその取引回数が約1,400回で、取引金額にすると130,000,000円を超える規模であり、1日に費やす時間も平均15時間に及ぶことからみて事業所得を生ずべき事業に該当する旨主張する。
しかしながら、ある経済的行為が所得税法施行令第63条第12号の「対価を得て継続的に行う事業」に該当するか否かは、当該経済的行為の営利性・有償性の有無、継続性・反復性の有無のほかに事業としての社会的客観性の有無が問題とされるべきであり、この観点からは、当該経済的行為の種類、自己の役割、人的・物的設備の有無、資金の調達方法、費やした精神的・肉体的労力の程度、その者の職業・社会的地位などの諸点を検討する必要がある。そして、一定の経済的行為が反復・継続して行われることによって事業として社会的客観性が認められるには、相当程度安定した収益を得られる可能性がなければならない。
これを本件についてみると、①一般に外国為替証拠金取引は投機性の高い取引であり、継続的に相当程度安定した収入が得られる可能性が乏しく、本来事業になじみがたい性格を有するものであること、②請求人は、自らが代表取締役を務める法人2社からの役員報酬により生計を立てていること、③請求人は、インターネット情報などを参考に取引を行っているが、外国為替証拠金取引の企画遂行に当たって相当程度の精神的・肉体的労力を要していると認められないこと、④外国為替証拠金取引のための積極的な資金調達が認められないこと、及び⑤外国為替証拠金取引を反復継続して行うための人的物的設備を有していないことが認められ、これらのことを考慮すると、請求人が行った外国為替証拠金取引は、事業として社会的客観性がいまだ認められず、「対価を得て継続的に行う事業」に該当するということはできない。
参照条文等
本件土地の賃貸借では権利金の授受に代えて相当の地代が授受されていたから、本件土地の評価において、財産評価基本通達25の定めによる借地権の価額は控除できないとした事例
裁決事例集 第79集
要旨
請求人は、相続により取得した貸宅地である本件土地について、財産評価基本通達25の定めに基づき、本件土地の自用地としての価額からその借地権の価額を控除した金額によって評価すべきである旨主張する。
しかしながら、貸宅地の評価において、借地権の価額を控除するのは、借地権の設定により、当該宅地の自用地としての価額のうち借地権部分に相当する経済的価値の地主から借地人への移転があり、借地人が経済的に相当の価額を有する借地権を取得したとみるべき経済的実態が存在するからであって、この場合、借地権部分に相当する経済的価値の移転の対価というべき権利金を授受することが広く行われていることからすると、借地権の設定に当たり権利金を授受する取引上の慣行があるにもかかわらず権利金を授受しなかった場合であっても、その土地の使用の対価として相当の地代を授受するときは、地主にとって経済的実態において自用地と異なることのない土地となることから、借地人への経済的価値の移転はなく、控除すべき借地権の価額もないこととなる。
これを本件についてみると、本件土地は、借地権の設定に際し、通常権利金を支払う取引上の慣行のある地域内にあるところ、本件土地の賃貸借契約は、権利金の授受に代えて相当の地代を授受する内容であったと認められることから、本件土地の借地権部分に相当する経済的価値の賃貸人から賃借人への移転があったとは認められず、また、本件相続開始日においても相当の地代を収受していたと認められる。
そうすると、本件土地の価額は、財産評価基本通達25の(1)の評価方法によることはできず、「相当の地代を支払っている場合等の借地権等についての相続税及び贈与税の取扱いについて」の6の定めにより、本件土地の自用地としての価額の100分の80に相当する金額によって評価するのが相当である。
参照条文等
相続税法第22条 財産評価基本通達25 「相当の地代を支払っている場合等の借地権等についての相続税及び贈与税の取扱いについて」1、3、6 法人税法施行令第137条 法人税基本通達13-1-2
要旨
預託金制から株式制に転換されたゴルフ会員権は、その転換の前後においてもゴルフ会員権としての資産の同一性を維持しており、また、この転換により請求人が保有することとなった本件株式に対して付与された価額(払込価額)は、発行会社の時価純資産価額を算出して決定されたものではなく、他社の預託金問題の解決事例にならって単に額面金額の50%と決定したものに過ぎず、預託金債権を回収し株式制ゴルフ会員権に転換することを目的として付与された、特に法的又は経済的な裏付けのない名目的な価額に過ぎないから、本件株式の帳簿価額は、預託金制ゴルフ会員権の帳簿価額を引き継ぐこととするのが相当であり、転換に伴い帳簿価額を減額することは認められない。
そして、本件株式は、一連の転換スキームに伴い取得したものと認められるところ、請求人が本件評価損が生じていると主張する平成19年8月期末における本件株式1株当たりの純資産価額は、本件株式取得時の1株当たりの純資産価額に比しておおむね50%以上下回っているとは認められない。そうすると、本件株式を発行する法人の資産状況が著しく悪化したとは認められないから、本件株式について評価損を計上することは認められない。
参照条文等
要旨
贈与税の連帯納付義務は、贈与税の徴収確保のために、当該贈与税の課税価格のうちに占める贈与者の贈与財産の価額の割合を乗じて計算した金額に相当する贈与税について、贈与財産の価額に相当する金額を限度として納付責任を負わせるものであり、贈与税についての課税処分によって主たる納税義務の税額が過大に認定されれば当該連帯納付義務の範囲も過大となる可能性がある一方、主たる課税処分の全部又は一部がその違法を理由に取り消されれば、当該連帯納付義務が消滅又は減少し得る関係にあるのであるから、国税徴収法第39条所定の第二次納税義務者と同様に、贈与税の連帯納付義務者も主たる課税処分により自己の権利若しくは法律上保護された利益を侵害され又は必然的に侵害されるおそれがあり、その取消しによってこれを回復すべき法律上の利益を有すると解するのが相当である。
参照条文等
海外駐在期間は、「居住の用に供されなくなった日から同日以後3年を経過する日の属する年の12月31日まで」の期間計算から除外することができないことから、租税特別措置法第41条の5の適用はないとした事例
裁決事例集 第79集
要旨
請求人は、租税特別措置法第41条の5に規定する本件特例の適用に当たって、本件特例の立法趣旨が生活環境の向上のための買換えの促進という点にあることを考慮し、杓子定規に文言解釈するのではなく、海外駐在していたという納税者固有の事情を勘案して、海外駐在期間は、「居住の用に供されなくなった日から同日以後3年を経過する日の属する年の12月31日まで」の期間計算より除外し、海外から帰国した時を居住の用に供さなくなった日であるとして本件特例を適用すべきである旨主張する。
しかしながら、本件特例の適用対象を、居住の用に供されなくなった日から同日以後3年を経過する日の属する年の12月31日までの間に譲渡された家屋に限った趣旨は、本件特例の適用対象となる居住用財産の範囲を明確に認識できるようにしたものと解され、この3年の期間計算について、各納税者の個別事情を認識することは予定しておらず、期間計算については形式的に行うことが法の趣旨に合致するというべきであるところ、請求人が譲渡した不動産は、居住の用に供されなくなってから約6年後に譲渡したものと認められるから、本件特例の対象となる居住用財産には該当しないことは明らかであり、本件特例を適用することはできない。
参照条文等
要旨
請求人は、本件申告書を法定申告期限までに提出しなかったのは、①消費税等に係る申告義務等については知らなかった、②原処分庁へ赴き、担当職員から本件開業届出書などを提出するよう指導を受け、それぞれ提出したが、その際、請求人の本件課税期間に係る消費税等の申告に関する説明は全くなかった、③原処分庁が事前に消費税等の申告書用紙を送付すべきであったのにこれを行わなかったことによるものであり、これらのことはいずれも国税通則法第66条第1項ただし書にいう「正当な理由があると認められる場合」に該当する旨主張する。
しかしながら、国税通則法第66条第1項ただし書にいう「正当な理由があると認められる場合」とは、災害、交通・通信の途絶など、期限内に申告ができなかったことについて、真に納税者の責めに帰することのできない客観的な事情があり、無申告加算税の趣旨に照らしても、なお、納税者に無申告加算税を賦課することが不当又は酷になる場合をいうものと解するのが相当であるところ、①納税者が税法を知らなかったことや誤解していたことに基づく場合など納税者自らの責任によるものはもちろんのこと、②原処分庁の担当職員が請求人に対し消費税等の説明をしなかったこと、③申告書用紙の送付がなかったことをもって、真に納税者の責めに帰することのできない客観的な事情がある場合に当たるとすることはできない。したがって、請求人が本件申告書を法定申告期限までに提出しなかったことについて、国税通則法第66条第1項ただし書にいう「正当な理由があると認められる場合」に該当するとは認められない。
参照条文等
要旨
請求人は、事業所得の金額の計算上総収入金額に算入しなかった金属スクラップの売却収入及び産業廃棄物等の収集運搬収入について、これらの取引の原始記録となる計量伝票や請求書の控えなどの保存の重要性を認識していなかったため、これらの原始記録を所得税の確定申告書の作成前に誤って処分したものであり、請求人には隠ぺいはない旨主張する。
しかしながら、請求人及び請求人の子であり事業専従者であるHは、金属スクラップの売却収入に係る精算書及び仕切書並びに産業廃棄物等の収集運搬収入に係る請求書の控えを確定申告前に故意に廃棄し、収入の事実を隠ぺいしていたものと認められる。
参照条文等
請求人が取得した家屋を1棟の建物として登記した上で、その一部を居住用部分としている場合において、区分所有の意思表示が客観的に認識できないことから、住宅借入金等特別控除の適用は認められないとした事例
裁決事例集 第79集
要旨
請求人は、租税特別措置法第41条第1項の適用に当たっては、取得した建物が、借入金、面積、使用割合の3条件についてその適否が判断されれば足り、所有権が登記されているか否かが問われるものではない旨主張する。
しかしながら、一棟の建物につき区分所有が成立するためには、建物の各部分が独立の構造を有し、区分された数個の部分で、独立して住居、店舗、事務所又は倉庫その他建物としての用に供することができるだけでは足らず、その各部分が所有権の客体として、取引上、別個の物とされることが必要であり、その前提として、所有者の各部分を各別の建物とする意思が必須の要件であるところ、右意思は客観的に外部から認識され得るものでなければ別個の物として取引の対象となり得ないから、一棟の建物が同一人の所有に属するときは、右意思を客観的に認識し得るものとして区分建物の表示登記又はその保存登記がなされることを要すると解すべく、右登記が経由されない限り同一人の所有に属する一棟の建物は一個の建物であると解するのが相当である。
本件家屋については、平成19年6月○日にこれを一棟の建物として表示登記が経由され、同月○日、一棟の建物として請求人のために所有権保存登記がなされたものであるから、本件家屋は一棟の建物として登記された一個の建物といわざるを得ず、本件居住用部分を区分所有したものと認めることはできない。
そして、請求人が居住の用に供している部分の割合は、本件家屋の床面積の2分の1以上でないことから、請求人は、住宅借入金等特別控除の適用を受けることができる家屋を取得したことにはならないので、同控除の適用はできない。
参照条文等
免税事業者が控除不足額の記載をして提出した還付申告書は、国税通則法第24条に規定する納税申告書に該当し、かつ、課税標準等又は税額等の計算が国税に関する法律の規定に従っていなかったときに該当するものであるから、仕入れに係る消費税額の控除不足額がないものとしてされた更正処分は適法であるとした事例
裁決事例集 第79集
要旨
請求人は、課税事業者選択届出特例承認申請の却下通知処分が取り消されないのであれば、請求人は免税事業者であることになるから、申告そのものが認められないはずであり、本件更正処分がされること自体が誤りである旨主張する。
しかしながら、国税通則法第24条は、納税申告書(還付金の還付を受けるための申告書を含む。以下同じ。)の提出があった場合において、その納税申告書に記載された課税標準等又は税額等の計算が国税に関する法律の規定に従っていなかったときは、当該申告書に係る課税標準等又は税額等を更正する旨規定している。
そして、免税事業者については、消費税法第30条第1項及び同法第52条第1項の規定の適用はなく、課税仕入れに係る消費税額を控除することはできないから、当該申告書に仕入れに係る消費税額の控除不足額の記載があっても、当該不足額に相当する消費税額の還付を受けることはできないところ、請求人が提出した本件還付申告書は、国税通則法第24条に規定する納税申告書に該当し、かつ、課税標準等又は税額等の計算が国税に関する法律の規定に従っていなかったときに該当するものであるから、仕入れに係る消費税額の控除不足額がないものとしてされた本件更正処分は適法である。
参照条文等
国税通則法第38条第1項各号に掲げる繰上請求事由があるときは、納税の猶予申請に係る国税がその猶予期間内に完納されることが確実であるとか、当該国税の徴収確保の上で全く支障がないなどの特段の事情がない限り、納税の猶予は認められないとした事例
裁決事例集 第79集
要旨
納税の猶予申請時点において、既に納税の猶予取消事由がある場合には、猶予に係る国税の確実な徴収ができなくなるおそれがあるのであるから、その猶予期間内に猶予に係る国税が完納されることが確実であるとか、徴収確保の上で全く支障がないなどの特段の事情がない限り、納税の猶予は認められないと解するのが相当であるところ、本件の納税の猶予申請時において、請求人には、国税通則法第49条第1項が規定する納税の猶予の取消事由としての同法第38条第1項第6号に該当する事実があり、上記の特段の事情は認められないから、本件の納税の猶予申請は認められないというべきである。
参照条文等
要旨
請求人は、請求人が業務及び管理を委託したD社の取締役であるEが行った車両売却による横領行為をその事実を了知していない請求人の行為と同視することはできない旨主張する。
しかしながら、Eは、請求人の代表取締役であるXと遠縁に当たり、D社の株主の中においては、Xに準ずる株式数を有し、D社の取締役として新車購入の見積りや車両売却処理などを含め車両に関する業務に従事していたことからすると、D社と密接な関係にあり、業務の運営上、D社において重要な地位・権限を有し、重要な役割を果たしていたものと認められる。
また、請求人は、その業務の大部分をD社に委託し、それにより経済活動を行っていたと認められるところ、Xは、売却される車両の車種や売却額などの内容を把握せずにEに処理を任せていた。
また、当該車両売却処理のほかには原始資料なしに起票するような経理処理は一切行われていない中で、D社の経理担当者らの間で同経理処理について疑問や注意が提起され、話題に上がっていたのであるから、D社の代表取締役であり請求人の代表取締役でもあるXにおいて、直接、Eや売却の相手方に具体的な売却額を聞き、確認を取れば容易に横領行為が発覚するものであり、請求人においてEが隠ぺい仮装行為を行ったことを容易に認識することができ、申告期限までにその是正や過少申告防止の措置を講ずることができたにもかかわらず、かかる横領行為を防止するための措置を講じた事実も認められない。
以上の各事実に照らし合わせると、Eによる隠ぺい行為は、D社の行為と同視できることはもちろん、業務の大部分をD社が行うことで経済活動を行っていた請求人の行為とも同視できるものと認めるのが相当である。
参照条文等
遺産分割調停の成立に基づきされた他の共同相続人からの更正の請求に係る減額更正処分の後に、請求人に対して行われた相続税法第35条第3項第1号の規定に基づく増額更正処分に違法はないとした事例
裁決事例集 第79集
要旨
請求人は、共同相続人らが共同で提出した相続税の申告を修正等する場合には、共同相続人らの間で協議の上、共同で修正申告又は更正の請求をすることが社会通念に合致するもので、請求人の同意がないままに先行してなされた他の共同相続人に対する相続税の還付手続は誤りであり、請求人に対する更正処分も誤りである旨主張する。
しかしながら、本件では、遺産が未分割のまま申告が行われた後、遺産分割調停の成立により共同相続人らの相続税額に増減が生じたため、他の共同相続人が更正の請求をし、原処分庁は、同人に対する減額更正処分をした後に、相続税法第35条第3項第1号の規定に基づき、職権で請求人に対する更正処分をしたのであり、その過程に何ら違法な点は見当たらない。相続税法は、同法第27条第4項で、共同で申告することができる旨を定めているに止まり、共同で修正申告又は更正の請求をしなければならない旨の規定はなく、また、同法第35条第3項第1号は、「更正の請求に基づき更正をした場合において」と規定し、減額更正処分が先行することを予定しているから、請求人に対する更正処分に先立ち、請求人の同意を得ずに他の共同相続人による更正の請求及び同更正の請求に対する原処分庁による減額更正処分がなされたとしても何ら違法ではない。
参照条文等
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