裁決事例 裁決事例集 第64集

裁決事例 裁決事例集 第64集

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平成14年12月20日裁決

同族会社に支払った医療機器等の賃借料の額が過大であるとして、所得税法第157条を適用した更正処分は適法であるとした事例

裁決事例集 第64集 207頁

要旨

 請求人は、自己が取締役を務める同族会社との間で行った医療機器等の賃貸借契約はレンタル方式であるにもかかわらず、原処分庁は賃貸借契約に係る回収期間を経過した後の賃貸料の金額を所得税法第157条の規定を適用し、リース方式であると決めつけて当該賃貸料の金額を算出したことは、違法である旨主張する。
しかしながら、一般の賃貸業者においては、医療機器等を賃貸するとした場合、賃貸借期間経過後の賃貸料の金額を当初の契約に定められた金額の10分の1の金額としていることが認められるにもかかわらず、請求人が医療機器等の耐用年数を超えても、賃借料を減額することなく継続して当初の契約に定められた賃借料を支払っていることは、同族会社とその関係人であるがゆえになしえた経済的合理性を欠く行為又は計算であり、その結果、請求人の所得税の負担を不当に減少させていると認められるので、医療機器等の賃貸借契約がレンタル方式であるかリース方式であるかにかかわらず、所得税法第157条の規定を適用し、医療機器等ごとに、一般の賃貸業者が同種の医療機器等を賃貸する場合に賃貸借期間中に支払いを受ける賃貸料総額を月額賃貸料で除して賃貸料総額を回収する期間を算出し、当該回収期間経過後の賃貸料を当初の契約に定められた金額の10分の1に減額して請求人が支払うべき適正な賃借料を算出するのが相当と認められる。

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平成14年12月19日裁決

住宅取得資金の借換えのための貸付けに係る債権の担保のために受ける抵当権設定の登記に関する登録免許税については、租税特別措置法第74条の適用はないとした事例

裁決事例集 第64集 583頁

要旨

 租税特別措置法第74条に規定する「住宅用家屋の新築若しくは取得をするための資金の貸付け」とは、住宅用家屋を新築又は取得をするために受ける資金の貸付けであり、住宅用家屋の新築または取得をした後に当該貸付けを返済して新たに資金の貸付けを受ける場合の貸付けとは、その目的が明らかに異なるものであるから、本件軽減規定の対象となる住宅用家屋の新築又は取得のための資金の貸付けには含まれないと解するのが相当である。
 請求人は、租税特別措置法第41条(所得税の特例である住宅借入金等を有する場合の所得税額の特別控除)の適用において、同条に既定する「当該住宅の取得等に係る借入金又は債務の金額」には、一定の条件を満たす住宅取得資金の借換えによる借入金を含むと解されていることから、本件軽減規定も同様に解釈すべきである旨主張する。
 しかしながら、個人の所得に担税力を認めて課される所得税と登記や登録の背後に担税力を認めて課される登録免許税とは、そもそも課税の仕組みが異なるものであり、それぞれの規定ぶりも異にするものである。
 また、措置法は特例的な制度であることからすれば、その解釈適用に際しては、むやみに類推解釈や拡大解釈をすべきものではない。

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平成14年12月19日裁決

旧養老保険契約から新養老保険契約への転換がその後取り消されても、転換に伴って発生した収益を転換時に遡って修正するのではなく、取り消されたときの事業年度の損金として処理するとした事例

裁決事例集 第64集 301頁

要旨

 請求人は、税務上の課税関係が発生しないとの認識で、旧養老保険契約から新養老保険契約への転換を行ったものであり、税務上の課税関係が発生することが判明した後、本件契約転換を取り消したことにより、旧養老保険契約が復元されて新養老保険契約は本件転換時に遡って取り消され、本件転換時には収益及び費用は発生していないと主張する。
 しかしながら、法人の各事業年度の収益の額及び費用、損失の額は、法人税法第22条第4項において一般に公正妥当と認められる会計処理の基準に従って計算されると規定されており、この場合の各事業年度の収益又は費用、損失については、その発生原因が何であるかを問わず、当該事業年度中に生じたものはすべて当該事業年度に属する損益として認識することになる。
 したがって、既往の事業年度において収益に計上された取引が当該事業年度において契約解除等により取り消されたとしても、収益に計上された事業年度に遡ってその収益を取り消すという修正処理をするのではなく、当該事業年度の損失として処理するというのが一般的な会計処理であり、これを本件についてみると、本件契約転換は本件事業年度において行われ、本件事業年度末までに取り消された事実はないことから、本件契約転換によって発生した収益及び費用、損失の額は本件事業年度の益金及び損金の額に算入されることになる。

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平成14年12月19日裁決

更正の理由書に簿外収入の年月日の記載が欠けていても、それだけでは理由附記に不備があるとはいえず、また、請求人の経理担当者が行った仮装行為は請求人の行為と同一視でき重加算税の賦課は適法であるとした事例

裁決事例集 第64集 367頁

要旨

 請求人が、コンビニエンスストアの開店に際し、受け取った開店祝い金及び支出した開店祝賀会費用を簿外としていたとしてなされた本件更正に係る更正通知書の理由付記につき、請求人は、更正の根拠となった大学ノートに記載された入金年月日が摘示されておらず、理由附記に不備があるため、更正処分は違法である旨主張する。
 しかしながら、法人税法第130条第2項において、更正通知書に更正の理由を附記しなければならない旨が規定されているのは、青色申告制度の趣旨にかんがみ、原処分庁の判断の慎重、合理性を担保して、その恣意性を抑制するとともに、更正の理由を相手方に知らせて不服申立ての便宜を与える趣旨によるところ、本件通知書には、更正の原因となる事実を示す資料として大学ノートが、また、別紙において入金先及び入金額が摘示されおり、この趣旨を充足していると認められるため、入金年月日が摘示されていないことをもって、理由附記に不備があるということはできない。
 請求人は、活魚運搬車の水槽載替え(以下「本件取引」という。)に係る費用につき、本件取引の発注先(以下「本件取引先」という。)から収受した平成13年6月30日付の請求書(以下「本件請求書」という。)に基づいて平成13年6月期の修繕費としたものであって、請求人の経理担当者Lが、費用を繰上計上するため、本件取引先に依頼して本件請求書を発行してもらったとの事実はないから、重加算税を賦課した原処分は違法である旨主張する。
 しかしながら、本件取引先に対する調査によれば、Lが、活魚運搬車の引渡しを受けていないにもかかわらず、本件取引先に対して前倒しでの本件請求書の作成を依頼していた事実が認められ、そして、納税者の申告行為に重要な関係を有する部門(経理部門等)に所属し、相当な権限を有する地位にある者の隠ぺい又は仮装の行為は、特段の事情がない限り、納税者本人の行為と同視すべきところ、Lは請求人の経理担当責任者であり、請求人の確定申告書には経理担当者として同人の記名押印がされており、Lは請求人の申告行為に重要な関係を有する部門に所属し、相当な地位に就いていると認められるから、同人が行った行為は請求人の行為と同視すべきである。したがって、重加算税の賦課決定処分は適法である。

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平成14年12月19日裁決

虚偽の仲介契約書を作成し、取引先の関係者に対する受注謝礼金を販売手数料に仮装していたと認定し、重加算税の賦課は適法であるとした事例

裁決事例集 第64集 102頁

要旨

 請求人は、本件送金額につき、正当な取引価額に上乗せして本件取引先から支払を受けた預り金を返金したものであり、それを売上及び販売手数料にしたとしても課税標準額に影響せず、また、本件仲介契約書は、不慣れな担当者が社内説明のために作成したもので、脱税の目的のために作成されたものではないから、本件金員に係る重加算税の賦課(原処分)は違法である旨主張する。
 しかしながら、本件取引に係る売買契約書、当時の取引担当者の答述等によると、請求人は、本件送金額について、本件取引の仲介の対価でなく、本件取引先の関係人個人に対して支払われる謝礼金であるとの認識を持ちながら、虚偽の仲介契約書を作成することにより、あたかも販売手数料を支出したかのように装って損金経理し、その結果、確定申告において交際費課税を免れたものと認められ、請求人のこれらの行為は、隠ぺい又は仮装の事実に基づいて納税申告書を提出していたときに該当するため、原処分は適法である。

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平成14年12月17日裁決

交付要求が失効しているとして審査請求を却下した事例

裁決事例集 第64集 607頁

要旨

 請求人は、原処分庁が行った交付要求及び交付要求の解除請求に対する解除拒否通知は、違法・不当な処分であり、その全部の取消しを求める旨主張する。
 しかしながら、交付要求に係る執行機関である裁判所が競売手続の取消しを決定し、それに対する請求人の執行抗告も棄却されたことにより、取消決定が確定し、裁判所の差押えも抹消登記され、事件の終了も裁判所から請求人に通知されていることから、本件交付要求及び交付要求解除拒否通知は、その効力を失っており、本件審査請求は、その対象となる処分を欠く不適法なものである。

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平成14年12月16日裁決

財産評価基本通達196に定める評価方法は合理性を有すると認められるので、企業組合の出資の価額は同通達に定める評価方法に基づき評価するのが相当であるとした事例

裁決事例集 第64集 445頁

要旨

 請求人らは、L企業組合の脱退時の払戻金額は払込済出資金額50円であり、また、組合加入時の払込金額も1口当たり50円であるから、この金額が相続税法第22条に規定する時価、すなわち客観的交換価値に相当するので、L企業組合の出資の価額は、1口当たり50円で評価すべきである旨主張する。
 一般に、市場を通じて不特定多数の当事者間における自由な取引が形成されている場合には、これを時価とするのが相当であるが、本件出資のように取引相場のない資産にあっては、市場価格が形成されていないから、その時価を把握することは困難である。したがって、合理的と考えられる評価方法によってその時価を算定するほかなく、その評価方法が合理性を有する限り、それによって得られた評価額をもって「時価」を推定することに妨げはないというべきであると解されているところ、財産評価基本通達に定められた評価方法が合理的である限り、その評価方法によって評価した財産の価額は、特段の事情のない限り、相続税課税における財産の時価と認めるのが相当である。
 企業組合の出資の価額は、財産評価基本通達196の定めにより純資産価額に基づいて評価することとされており、この評価方法は企業組合の実態に照らして合理性を有するものと認められる。
 そして、請求人らは、当該出資の時価を立証するものとして、L企業組合定款第13条《脱退者の持分の払戻し》の定めをいうにすぎず、これによってはその立証があったと認めるには足りない(評価通達に定める評価方法によりえない特別な事情はない)から、財産評価基本通達196の定めに基づき評価するのが相当である。

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平成14年12月12日裁決

期限後申告を理由とした青色申告の承認の取消処分は税務署長の合理的な裁量の範囲内で行われた適法なものであるとした事例

裁決事例集 第64集 359頁

要旨

 請求人が本件確定申告書をその提出期限である平成12年11月30日までに提出していないことは、法人税法第127条第1項第4号に規定する青色申告の承認の取消事由に該当することは明らかである。
 請求人は、何者かから請求人に対する仕事上の妨害、代表者に対する身体への危害や生活妨害等を受けていたことにより、本件確定申告書の提出が遅延したことにやむを得ない事情があったと主張するが、当審判所に提出された資料等によっても、当審判所の調査によってもこれを認めるに足りる証拠はないので、請求人の主張を認めることはできず、本件取消処分は原処分庁の合理的裁量の範囲内で行われた適法なものであると認められる。

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平成14年12月12日裁決

確定申告書の提出から1年経過後になされた過少申告加算税の賦課決定処分に不当はないと判断した事例

裁決事例集 第64集 72頁

要旨

 請求人は、本件賦課決定処分は、本件確定申告書の提出から1年も経った後に一方的になされたものであるから不当である旨主張する。
 しかしながら、過少申告加算税は、国税通則法第65条第4項に規定する正当な理由がある場合を除き、単に過少申告であるという客観的事実のみによって課されるものであるところ、請求人は、過少申告をしたものであり、また、請求人の主張する事情は、本件修正申告書の提出により納付すべき税額の計算の基礎となった事実とは何ら関係がないから、これが同項に規定する正当な理由に該当しないことは明らかであり、さらに、請求人の場合、他に同項に規定する正当な理由があるとは認められない。
 したがって、本件賦課決定処分を不当ということはできず、この点に関する請求人の主張には理由がない。

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平成14年12月11日裁決

課税処分に対する審査請求中に行われた差押処分が適法であるとした事例

裁決事例集 第64集 126頁

要旨

 請求人は、滞納国税を徴収するために行われた不動産の差押処分に対して、[1]課税処分に対して審査請求中であること、[2]差押不動産は、農業者である請求人が所有する先祖伝来の土地であり、また、相続財産でない農地も含まれていること、[3]差押えに当たって事前に連絡がなかったことを理由として原処分が違法又は不当である旨主張する。
しかしながら、次のとおり、原処分を違法又は不当とする理由は認められない。
(1) 国税徴収法第47条第1項第1号は、滞納者が督促を受け、その督促された国税をその督促状を発した日から起算して10日を経過した日までに完納しないときは、徴収職員は、滞納者の財産を差し押さえなければならない旨規定しているところ、請求人は、督促日現在、本件滞納国税を完納していなかったのであるから、原処分は適法である。
なお、請求人が課税処分の取消しを求めた審査請求については、平成14年6月27日付で裁決がされているが、課税処分の一部が取り消されたにすぎないから、原処分の適法性に影響を及ぼすものではない。
(2) 国税通則法第105条第1項は、国税に関する法律の基づく処分に対する不服申立ては、その目的となった処分の効力、処分の執行又は手続の続行を妨げない旨規定しており、課税処分に係る審査請求中であっても、その課税処分の効力は妨げられないから、納付すべき税額は確定し、その国税が納期限までに完納されなければ、差押処分をすることは妨げられない。
(3) 農地については、国税徴収法第78条第1号において、滞納者がその国税の全額を徴収することができる財産で、換価が困難でなく、かつ、第三者の権利の目的となっていないものを提供したときは、その選択により、差押えをしないものとする旨規定されているが、請求人が、同条に規定する財産の提供を行った事実は認められない。
また、差押えの基礎となる滞納国税が相続税の場合に、相続財産以外の滞納者の所有財産を差し押さえてはならない旨を定めた法令の規定はない。
(4) 徴収職員が滞納者の財産を差し押さえるに当たり、滞納者に対し事前に連絡しなければならない旨を定めた法令の規定はない。

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平成14年12月6日裁決

請求人が不在の場合に請求人の勤務先へ郵便物が転送されるように手続をしていた場合、請求人が原処分に係る通知を受けた日は、原処分に係る通知書が請求人の勤務先に配達された日となり、その翌日から2か月を経過した日にした異議申立ては法定の不服申立期間を経過した後にされたものであるとした事例

裁決事例集 第64集 122頁

要旨

 請求人は、平成14年4月26日から休暇中であり、原処分のあったことを知った日は休暇明けの同年5月7日であるから、同年7月5日にした本件異議申立ては法定の不服申立期限までにされている旨主張する。
 しかしながら、国税通則法第77条第1項に規定する「処分に係る通知を受けた」とは、社会通念上、通知を了知できると認められる客観的状態に置かれることをいうと解され、郵便による場合には、郵便物が名あて人の住所等に配達されることがこれに当たると解される。
 したがって、請求人が原処分に係る通知を受けた日は、本件通知書が請求人の勤務先に配達された日となり、原処分に対する異議申立てに係る法定の不服申立期間は、その翌日から起算して2月以内である同年6月26日までとなるから、本件異議申立ては、法定の不服申立期間を経過した後にされたものということになる。

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平成14年12月5日裁決

債権差押処分に対して、被差押債権が請求人に帰属しないことを理由とする審査請求は、原処分の取消しを求めることに法律上の利益を有しないとして却下した事例

裁決事例集 第64集 114頁

要旨

 請求人は、原処分庁が差押処分を行った債権(預金)のうち、請求人名義ではない一部の債権は、請求人に帰属しない債権であり、当該差押処分は違法であるとして、その取消しを求めている。
 しかしながら、差押処分等の国税に関する処分に対し審査請求をすることができる者は、その処分の取消しを求めることに法律上の利益を有する者、すなわち当該処分によって直接自己の権利又は法律上の利益を侵害された者に限られる。この点、請求人は、本件個人名義債権が請求人に帰属しないことを理由として、原処分の取消しを求めるものであるが、請求人に帰属しない債権につき差押処分がなされたとしても、これにより権利又は法律上の利益が侵害されるのは当該債権の真正な帰属者であるとされる第三者であり、請求人が原処分により権利又は法律上の利益の侵害を受けるわけではない。
 したがって、本件個人名義債権の帰属に争いがあるというだけで、請求人が原処分の取消しを求めることに法律上の利益を有することにはならず、他に請求人が当該法律上の利益を有するとすべき事情も認められないのであるから、本件審査請求は不適法であるといわざるを得ない。

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平成14年12月5日裁決

請求人らのうちの一人とともに本件宅地上の建物に居住していた被相続人は、病院を退院後、相続開始の直前においては、長女の住所地に居住していたと認めるのが相当であるとして、本件宅地に小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例を適用することはできないとした事例

裁決事例集 第64集 519頁

要旨

 請求人らは、被相続人の住民票上の住所は、相続の開始の約1年前に被相続人の長女の住所地に変更しているものの、被相続人の生活の本拠は、本件宅地上の建物に被相続人の備品等が残されているなど、相続が開始するまで当該建物にあったのであるから、租税特別措置法第69条の3第1項の規定が適用されるべきである旨主張する。
 しかしながら、[1]被相続人は、退院後、当該長女の住所地において日常生活を送っていたこと、[2]被相続人は、所得税の申告等において、当該長女の夫の扶養親族となっていることなどから総合的に判断すると、被相続人は、相続開始の直前においては当該長女の住所地に居住していたと認めるのが相当であるので、請求人の主張を採用することはできない。

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平成14年12月4日裁決

所有権の帰属につき係争中の不動産は相続税延納担保として不適格であるとしてされた延納申請却下処分は、適法であるとした事例

裁決事例集 第64集 492頁

要旨

 請求人らは、延納申請に係る担保として提供した財産(土地)は、担保として適当であり、原処分庁が行なった相続税に係る延納申請却下処分は違法である旨主張する。
 しかしながら、延納の担保として提供される財産は、その担保に係る相続税額を確実に徴収することができる金銭的価値を有するものでなければならず、延納許可が取り消された場合に、国税通則法第52条第1項の規定に基づき、滞納処分の例により換価し、その換価代金を国税に充当することが困難と考えられる事情を有する財産は、延納の担保としては適当でないと解するのが相当である。
 本件担保物件は、その所有権の帰属につき訴訟において係争中の物件であって、仮に、原処分庁が本件担保物件を本件延納申請の担保として受け入れ、抵当権を設定したとしても、訴訟の結果によっては、当該抵当権によって本件担保物件を公売等で換価し国税に充当することができないおそれがあることは明らかである。

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平成14年12月4日裁決

消費税等の税額が法定申告期限内に納付され、これに係る確定申告書が法定申告期限後に提出された場合の無申告加算税の賦課決定処分は適法であるとした事例

裁決事例集 第64集 90頁

要旨

 請求人は、[1]本件確定申告書が期限後申告となったのは、税務職員の誤指導によるものであるから、国税通則法第66条第1項ただし書の「正当な理由」に該当する、[2]期限後申告が誤指導によるものであり、本件消費税等の税額を法定申告期限内に納付していることを考慮すれば、無申告加算税を課することは、請求人に酷すぎるものであり、同項ただし書の「正当な理由」に該当する、[3]本件消費税等の税額を法定申告期限内に納付しているのであるから、租税債権として確定することが可能であり、無申告加算税を賦課することは申告の適正を担保し申告納税制度を確保するために行政上の制裁として設けられた制度の趣旨からも不当である旨主張する。
 しかしながら、請求人が主張するような誤指導の客観的な事実を認めることができないこと、期限後申告となったのは、請求人が税務申告を委託した会計事務所職員が消費税について申告期限延長制度がないことを知らず、請求人の法人税の申告期限の延長が承認されていることから消費税等についても申告期限延長制度があるものと誤認していたためであり、消費税法の不知又は誤認であることから、「正当な理由」に該当しない。
 また、申告納税方式においては、確定申告書の提出が納税義務を確定させるために重要な意義を有することから、納税者の法定申告期限内の申告書提出義務の不履行に対して、同項の規定により、行政上の措置として、一律に無申告加算税が賦課されるものであり、当該申告書に係る税額が法定申告期限内に納付されたか否かにより、同項の規定の適用が左右されるものではない。

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平成14年12月4日裁決

被差押債権の第三債務者は、当該差押処分に対して審査請求ができる法律上の利益を有しないとして審査請求を却下した事例

裁決事例集 第64集 119頁

要旨

 請求人は、滞納処分による債権の差押えに対して、[1]滞納者に対して被差押債権を超える債権を有しているので相殺すべきであること、[2]差押えの前に本件債権を元従業員に譲渡したとする債権譲渡通知書が届き、当該債権譲渡は本件差押処分に先行するから滞納者に対する債務が存在しない旨主張して差押処分の取消しを請求する。
 しかしながら、差押処分等の国税に関する処分に対し、審査請求ができる者は、その処分の取消しを求めることに法律上の利益を有する者に限られると解されている。本件差押処分によって、国は滞納者に代わって債権者の立場に立つにとどまり、国と第三債務者たる請求人との関係は、私法上の債権者、債務者という関係にすぎないことになる。
 そうすると、請求人が任意に当該債務を履行しない場合は、国は、民事訴訟法に定める手続により被差押債権に係る債務名義を得たうえで、強制執行の手続を踏むほかはなく、請求人は、国が被差押債権取立てのための訴えを提起したときには、当該債務の不存在等差押え前から滞納者に対して有する一切の抗弁を主張して対抗することができるのであるから、債権者が滞納者から国に交代したことに伴い、法律上の不利益を受けることはない。
 したがって、被差押債権に係る債務が存在しないことを理由として本件差押処分の取消しを求める本件審査請求は、法律上の利益を欠いた不適法なものである。

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平成14年12月2日裁決

還付金の還付は公的見解の表示に当たらないから、本則課税による確定申告に係る還付金の還付後、簡易課税によるべきであるとした本件更正処分は信義誠実の原則に反せず、また、同申告に正当な理由があるということはできないとした事例

裁決事例集 第64集 17頁

要旨

 請求人は、関与税理士の事務員が、請求人の消費税の申告方式について原処分庁に確認したところ、原処分庁の職員は本則課税である旨回答し、また、平成8年課税期間から平成11年課税期間の本則課税による確定申告が受理され、平成8年課税期間及び平成10年課税期間については、申告書に記載された還付金が還付されているなど、請求人の消費税の申告方式につき、原処分庁が本則課税であるとの公的見解を表示していたものであるから、本件更正処分は信義誠実の原則に反し、また、平成10年課税期間に係る申告(本件申告)には国税通則法第65条第4項所定の「正当な理由」がある旨主張する。
 しかしながら、原処分庁が請求人に対してその主張するような回答を行ったことは認められず、還付金の還付についても、消費税の申告方式が簡易課税であることを看過してなされたものであり、それをもって、当該申告書の記載内容が適正であるとの公的見解の表示ということはできないため、本件更正処分は信義誠実の原則に反しない。
 また、請求人は、平成元年課税期間から平成3年課税期間まで簡易課税を適用した確定申告書を提出しており、消費税の申告方式を十分熟知していたと推定され、そして、請求人の関与税理士の交代に際し、消費税の申告方式についての確認がされていないことなどからすると、請求人は、平成8年課税期間につき本則課税として申告し、消費税が還付されたことから、直ちにその申告方式が適正と認められたものと誤解し、平成9年課税期間以降も申告方式を誤ったまま申告したものと認めるのが相当であるため、本件申告に国税通則法第65条第4項所定の「正当な理由」があるとは認められない。

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平成14年11月28日裁決

代償債権の評価に当たり、その一部は、回収が著しく困難であると認定した事例

裁決事例集 第64集 469頁

要旨

 原処分庁は、本件代償債権(被相続人が、審査請求人Fを債務者として、第一次相続で取得した代償分割に係る債権)は、返済期限等の定めがなく、Fには経常的な所得が年間約1000万円前後あるので、回収不可能とはいえない旨主張する。
 しかしながら、Fが、仮に年間所得金額の全額を代償債務の返済に充てたとしても返済完了まで55年の期間を要することから、とうてい本件代償債権の全額が回収可能である債権であるとはいえない。
 したがって、本件代償債権の価額の評価に当たっては、財産評価基本通達205の定めに基づき、相続開始時におけるFの正味財産の価額を限度とし、回収が著しく困難であると見込まれる当該財産の価額を超える部分の金額については、本件代償債権の元本に算入しないとすることが相当である。

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平成14年11月26日裁決

自然医食品等は薬事法に規定する医薬品に該当しないから、医師の処方により購入しても、その購入費は医療費控除の対象にならないとした事例

裁決事例集 第64集 172頁

要旨

 審査請求人は、自然医食品等は、医師がその自然医学理論に基づく独自の治療法に不可欠な治療手段として処方した処方箋に基づき購入したものであり、これを薬事法上の医薬品とみなして医療費控除を適用すべきである旨主張する。
 しかしながら、自然医食品等は、薬事法第2条第1項に規定する医薬品に該当しないことが明らかであり、これを所得税法第73条及び同施行令第207条に規定する治療又は療養に必要な医薬品と解することができないから、本件自然医食品等購入費は医療費控除の対象とはならない。

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平成14年11月22日裁決

台帳価格のない建物の保存登記に係る登録免許税の課税標準額について、建築価額相当額が妥当であるとする主張を認容した事例

裁決事例集 第64集 565頁

要旨

 原処分庁は、固定資産課税台帳に登録された価格のない本件建物に係る登録免許税の課税標準を、法務局長通達により定められた「建物の課税標準価格認定要領」に従って認定したものであり、原処分は適法である旨主張する。
 しかしながら、原処分庁が適用した認定要領は、台帳価格のない建物に係る登録免許税の課税標準の額の認定の妥当性と課税の公平を図り、併せて登記事務の迅速な処理を図ることを目的とし、標準的な仕様・構造の建物についての適用を予定しているところ、本件建物は間仕切り及び特別の造作等のないワンフロアー形式で、天井、壁面及び床には化粧パネル等の装備がなく、構造がむき出しであり、認定要領をそのまま適用することが相当でない例外的な建物であると認められる。
 登録免許税の課税標準たる不動産の価額は当該登記の時における当該不動産の価額による(登録免許税法第10条第1項)こととされているから、本件建物に係る課税標準の額は、本件建物の時価によるものと解される。
 そして、本件建物の建築価額は通常の取引による客観的な価額と認められることから、本件建物の建築価額をもって時価とするのが相当であり、この価額を本件建物の登録免許税の課税標準の額とするのが妥当であるから、原処分はその全部を取り消すべきである。

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平成14年11月22日裁決

譲渡所得の金額の計算を誤ったのは、譲渡した土地は亡父が生前に事業用資産の買換えの場合の譲渡所得の課税の特例を適用して取得した買換資産であることを知らなかったためであること、また、老後の生活のため売却したものであること等の事情を課税処分において考慮すべきであるとの請求人の主張には理由がないとした事例

裁決事例集 第64集 78頁

要旨

 請求人は、譲渡した土地が亡父から相続した土地であったため、本件土地が買換資産であり、本件土地の譲渡時に別件土地の取得価額を引継価格として譲渡所得の金額が計算されることを知らなかったこと、及び家族の老後の面倒をみるという経済上の事情があることを考慮し、情状酌量により原処分の全部を取り消すべきであると主張する。
 しかしながら、租税法律主義の下、現行の租税法には課税処分において情状酌量をすべきとの規定はないことから請求人の主張には理由がない。
 また、本件更正処分は、請求人が確定申告書の提出に当たり、譲渡所得の金額の計算上、取得費に誤りがあったことに基因し、かつ、当該誤りを是正するために行われたもので、当初適正であった申告につきその後の事情の変更により過少申告となったことによるものではないことは明らかであるから、国税通則法第65条第4項に規定する「正当な理由」がある場合には該当せず、賦課決定処分は適法である。

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平成14年11月20日裁決

台湾の土地増値税は個人の所得を課税標準としていない税であるから外国所得税に該当しないとした事例

裁決事例集 第64集 185頁

要旨

 請求人は、台湾で納めた本件土地増値税は土地の譲渡に基因して納付する税であり、我が国の譲渡所得に係る税と類似性があるので外国税額控除の対象となる外国所得税に該当する旨主張する。
しかしながら、台湾の土地増値税は、無償譲渡の場合は受贈者、有償譲渡の場合は譲渡者、質権設定の場合は質権設定権者が納税義務者となること、所有者に対して10年ごとにその所有期間の評価差額に対して課するという基本概念があること、及び有償譲渡の場合の課税標準は現に獲得した利得ではなく譲渡時の評価額から所有開始時の評価額及び当該土地に改良のため支出した費用を控除した後の金額とされていることから、我が国の譲渡所得の所得税に相当する税には当たらないものと認められるので外国税額控除の対象となる外国所得税には該当しないと判断するのが相当である。

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平成14年11月15日裁決

国税通則法第65条第4項にいう「正当な理由があると認められるものがある場合」には、過少に税額を申告したことが納税者の税法の不知又は誤解であるとか、納税者の単なる主観的な事情に基づくような場合までを含むものではないとした事例

裁決事例集 第64集 65頁

要旨

 請求人は、原処分庁は本件確定申告書提出時点において、既に生命保険等の支払に関する調書の提出を受けていたのであるから、請求人に対して法定申告期限までに本件確定申告書の内容に誤りがある旨指摘し、それを是正するよう指導すべきであったのに、法定申告期限後相当期間を経過してから本件修正申告書の提出しょうようをしたもので、原処分庁の事務処理が遅かったことが原因であるから、国税通則法第65条第4項の「正当な理由がある場合」に該当する旨主張する。
 しかしながら、申告納税制度のもとにおける所得税の確定申告は、納税者自身の判断と責任においてなされるべきであるから、請求人自身の判断と責任において作成され提出された本件確定申告書の内容に誤りがあったことは、請求人自身の責任であるというべきである。
 また、請求人の場合、本件解約保険金等を平成10年分の一時所得の総収入金額に算入せず確定申告したことが真にやむを得ない理由によるとはいえず、過少申告加算税を賦課することが不当又は酷になるともいえないから、国税通則法第65条第4項に規定する正当な理由があるとは認められない。

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平成14年11月13日裁決

国内に住所及び居所を有しなくなった後に納税管理人の届出書が提出されても、所得税法上の出国をしたことになるから、出国後に提出された確定申告書は期限後申告とされるとした事例

裁決事例集 第64集 196頁

要旨

 請求人は、国税通則法第117条には納税管理人の届出期限が定められておらず、請求人は国内に住所及び居所を有しないこととなった時の後ではあるが、納税管理人の届出書を提出し、翌年3月15日までに確定申告書を提出しているのであるから、所得税法上の出国をしたことにならず、当該確定申告書は期限内申告書である旨主張する。
 しかしながら、所得税法上の出国に当たるか否かは、所得税法第2条第1項第42号の規定により、請求人が国内に住所及び居所を有しないこととなった時までに納税管理人の届出書が提出されたか否かで判断すべきであるところ、請求人はその時までに当該届出書を提出しなかったのであり、所得税法上の出国をしたことになるから、出国後に提出された本件申告書は期限後申告書である。したがって、請求人の主張は採用できない。
 また、請求人は、国内に住所及び居所を有しないこととなる時までに納税管理人の届出書が提出されるよう会計事務所に手配したが、会計事務所の担当者がたまたま出勤していなかったため、当該届出書は請求人が国内に住所及び居所を有しないこととなった時の後に提出されたとして、期限後申告となったことには国税通則法第66条第1項ただし書きの正当な理由がある旨主張する。
 しかしながら、請求人の主張する事情は、請求人と担当者又は会計事務所との間の問題にすぎず、申告書を法定申告期限までに提出することを不可能とする真にやむを得ない理由に該当するとは認められないから、請求人の主張は採用できない。

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平成14年11月11日裁決

登録免許税を納付して登記を受けた後であっても一定の書類を添付した場合にはゆうじょ的に非課税規定の適用を認めるべきであるとの請求人の主張が排斥された事例

裁決事例集 第64集 574頁

要旨

 請求人は、登録免許税法第4条《公共法人等が受ける登記等の非課税》第2項(本件非課税規定)に規定する証明書(本件証明書)を添付せず、登録免許税法第9条《課税標準及び税率》の規定に基づいて登録免許税を納付したが、本件証明書を添付しなかったのは、原処分庁の職員や司法書士の指導不足等が原因であるから、後日、本件証明書を添付して還付通知請求をした場合でも、本件非課税規定が適用されるようゆうじょの計らいがあるべきであると主張する。
 しかしながら、請求人は登記申請時に本件証明書を添付しなかった以上、本件非課税規定を適用することはできず、また、登録免許税法には、本件証明書の添付がなかった場合でも登録免許税を非課税とする旨の規定、あるいは、ゆうじょ的に扱うべき規定もないことから、原処分庁の行った還付通知をすべき理由がない旨の通知処分は適法である。

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平成14年11月8日裁決

公売不動産の見積価額を減額する改訂は適正であるとした事例

裁決事例集 第64集 623頁

要旨

(1)本件見積価額と前回見積価額との開差は、原処分庁が本件公売財産を適正に評価した結果によって生じたものと認められる。
イ 本件の時点修正額は、本件公売財産の近隣にある本件公示地の価格を基準として、それぞれの算定時点の間における下落率(価額変動率)を基に算定されていることから、合理的かつ適正に求められた金額であり、原処分庁がこれを控除したことは相当である。
ロ 敷金の返還額は、本件公売財産の買受人の債務負担額となるから、これを控除したことは相当である。
ハ [1]本件土地については、第三者所有の建物があり、土地の利用、用途等が制約されるなど特殊な要因を含んだ市場性に極めて乏しい物件であると認められ、[2]過去10回の公売を実施し、見積価額を2度見直したにもかかわらず入札者がなかったことも、特殊な要因が影響したものと考えられることから、原処分庁が、これらの特殊な要因を考慮し、市場性減価額を控除したことは、合理的かつ適正なものといえる。
ニ 公売に当たっては、財産の所有者が任意に処分する場合よりも、市場性が極めて制限され、見積価額が低廉となるのが通例であるから、原処分庁が公売の特殊性を考慮したことは相当である。
なお、原処分庁は、公売の特殊性による減価率を前回見積価額の算定時の20%から30%に変更しているが、これは評価通達に定めた公売の特殊性の調整限度の範囲内において減額したものと認められる。
(2)請求人は、原処分庁が本件公売通知書に不適切な記載をしたために、過去10回の公売において入札者がいないという結果となったのであるから、これを根拠に本件公売財産を市場性に極めて乏しい物件であると判断したのは誤りであると主張する。
しかしながら、本件公売通知書は、本件公売財産の概要及び利用状況等を正確に記載していると認められるから、誤認等の生じる余地はないと考えられる。
(3)請求人は、原処分庁の見積価額の決定に係る評価算定基準に問題があるから、公売の特殊性を参酌する必要は認められない旨主張する。
しかしながら、原処分庁が決定した本件見積価額は、不動産鑑定士によって算定された本件鑑定価額を参考としており、請求人が主張する算定方法によって算定された評価額を基礎としたものといえる。そして、本件見積価額の算定に当たり、本件鑑定評価額から減価額を控除したことは、前記のとおり適正であるから、この点に関する請求人の主張には理由がない。
(4)当審判所が、財産評価基本通達に定める路線価の下落率を用いて、本件土地の公売時点の時価を算定すると、17,115,837円となる。そして、この金額は、本件見積価額の算定過程において原処分庁が算出した本件土地の時価、すなわち、本件鑑定評価額から時点修正額、本件敷金及び市場性減価額を控除した後の金額(公売の特殊性による減価額を控除する前の金額)である16,950,000円とほぼ同額となる。
このことは、本件見積価額が本件土地の公売時の時価を反映し、同時に、原処分庁の本件公売財産の算定が適正に行われていたことを裏付けるものであるといえる。

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平成14年11月6日裁決

課税期間開始前2年以上の間に営業収入はなかったとしても、多額の課税仕入れが発生しているから、消費税法基本通達1-4-8の適用はなく、本件課税期間は、消費税法施行令第20条に規定する「課税資産の譲渡等に係る事業を開始した日の属する課税期間」に当たらないとした事例

裁決事例集 第64集 531頁

要旨

 請求人は、過去2年以上にわたりゴルフ場の開業準備中であったのであるから消費税法基本通達1-4-8《過去2年以上課税資産の譲渡等がない場合の令第20条第1号の適用》の取扱いによるべきであると主張する。
 しかしながら、同基本通達は休眠会社が事業を再開した場合などについて、新設法人と同様に、消費税法施行令第20条第1号に規定する「課税資産の譲渡等に係る事業を開始した日の属する課税期間」に含めて取り扱う旨定めたものであり、同基本通達が2年以上にわたって「課税資産の譲渡等」のみならず「課税仕入れ等」がなかった場合を要件としているのは、課税期間開始前2年以上の間、営業収入は発生していなくとも、開業準備のための課税仕入れ等がある場合には、当該課税期間は「事業を開始した日の属する課税期間」に当たらないことを明らかにしたもので、当審判所においても相当な取扱いであると認めることができる。
 本件の場合、請求人は平成7年7月課税期間以降継続して本件ゴルフ場を開業するために土地の取得、造成工事等の準備を進め、平成11年4月に開場したことが認められ、この間、いったん事業を休業し平成11年7月課税期間中に事業を再開したという事実はないこと、また、その準備期間中に多額の課税仕入れが発生していることから、請求人の平成11年7月課税期間は上記基本通達の取扱いが適用される場合に当たらないものと認められる。

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平成14年10月25日裁決

住宅借入金等特別控除の対象となる家屋に該当するか否か(床面積基準)の判定に当たり、同一人の所有に属する一棟の建物は、区分所有建物として表示登記又は保存登記がなされていない限り、一個の建物であると解するのが相当であるとした事例

裁決事例集 第64集 274頁

要旨

 請求人は、本件家屋(鉄筋コンクリート造陸屋根7階建ての建物)は、その構造上区分された数個の部分を独立して住居、その他の用途に供することができるものであるから、住宅借入金等特別控除の対象となる家屋の床面積基準の判定に当たっては、本件家屋の登記簿等の形式的な記載ではなく、実質主義に照らし、本件居住用部分(本件家屋の6階及び7階部分)の床面積により判断されるべきである旨主張する。
 しかしながら、一棟の建物につき区分所有が成立するためには、建物の各部分が独立の構造を有し、構造上区分された各部分が独立して住居、店舗、事務所又は倉庫その他建物としての用に供することができるだけでは足りず、その各部分が所有権の客体として、取引上、別個のものとされることが必要で、その前提として、所有者において各部分を別個の建物とする意思が必須の要件であるとされている。
 そして、その意思が客観的に外部から認識され得るものでなければ、区分された部分が別個のものとして取引の対象とはなり得ないから、一棟の建物が同一人の所有に属するときは、区分された部分が別個のものであることを客観的に認識し得るものとして区分建物の表示登記又は保存登記がなされることを要すると解される。
 したがって、その登記がなされていない限り、同一人の所有に属する一棟の建物は一個の建物であるとするのが相当である。
 本件において請求人は、本件居住用部分を区分せず、本件家屋を一棟の建物として表示登記をし、請求人を所有者とする所有権保存登記をしているのであるから、本件居住用部分につき区分所有が成立していると解することはできず、本件家屋が一棟の建物を区分したものであると認めることはできない。
 そうすると、本件家屋が租税特別措置法施行令第26条第1項に規定する要件に該当するか否かの判定に当たっては、本件居住用部分のみで判断すべきでなく、本件家屋の床面積の2分の1以上に相当する部分が専ら居住の用に供されているか否かにより判断することとなる。

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平成14年10月25日裁決

集合債権譲渡担保契約に基づき譲渡された債権は譲渡担保財産として存続しているとして、国税徴収法第24条の譲渡担保権者に対する告知処分が適法であるとした事例

裁決事例集 第64集 593頁

要旨

 請求人は、債権の譲渡担保契約においては、契約時点で確定的に譲渡債権が譲渡担保権者に帰属し、第三者対抗要件を備えた時点、あるいは遅くとも担保権の実行通知をした時点で「譲渡担保財産」でなくなったとの主張をするが、いわゆる集合債権譲渡担保契約において、その担保権の実行方法や実行完了時期について特段の合意がない場合には、譲渡担保権者が譲渡債権を現実に第三債務者から取り立てて被担保債権の弁済に充当するまでは担保権の実行は完了しないと解され、その時点までは担保とされた譲渡債権は国税徴収法第24条にいう「譲渡担保財産」として存続すると解するのが相当である。

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平成14年10月24日裁決

あっせん手続等の一部が実施要領に従っていなかったとしても、そのことが特別控除の趣旨目的を滅却させるほど重大であるとまではいえない場合には、あっせん証明書が取り消されない限り、有効な証明書として特別控除の適用は認められるが、実体が伴っているかどうかの判断は最終的には課税庁の判断にゆだねられているとした事例

裁決事例集 第64集 256頁

要旨

 原処分庁は本件譲渡に係る農用地等の権利移動に係るあっせん手続が農水省通達(実施要領)に定める手続に沿ったものではないから農業振興地域の整備に関する法律(農振法)第18条の規定の趣旨に適合したものではなく、本件譲渡について本件特別控除を適用することはできない旨主張する。
 本件特別控除は農振法第23条第1項及び第18条の各規定に該当することを前提とするものであるから、課税庁はその該当性の判断に当たり現実に行われた農業委員会のあっせん事業が上記農振法の各規定に基づいて適正に行われたものかどうかの調査を行う場合も当然にあり得るが、その場合であっても、上記法令に違反することがその趣旨目的を滅却させるほど重大であり、あっせん証明書が無効なものであると評価できる場合はともかく、証明書が取り消されない限り有効な証明書として本件特別控除の適用は認められると解される。
 本件では、あっせん手続や証明書の発行手続に実施要領に従っていなかった点があったとしても、各認定事実によれば、このことが法の趣旨目的を滅却させるほど重大であり、あっせん証明書が無効なものであるとまでは認められないから、本件処分は取り消すのが相当である。

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平成14年10月18日裁決

消費税及び譲渡割に係る加算税の基礎となる税額は、それぞれに係る「納付すべき税額」を計算し、次いで、各々の「納付すべき税額」を合計した額であるとした事例

裁決事例集 第64集 53頁

要旨

 請求人は、地方税法附則第9条の9第1項の規定に基づき、本件更正処分により納付すべきこととなる消費税額と還付される譲渡割額とを差引計算した額を加算税の基礎とすべきである旨主張するが、加算税の計算に当たっては、まず、同法附則9条の4第1項の規定に従い、消費税及び譲渡割それぞれについて国税通則法第65条第1項に規定する「国税通則法第35条第2項の規定により納付すべき税額」を計算し、次いで、それらの合計額を加算税の計算の基礎とすべきものと解されるから、本件のように、消費税の「差引納付すべき税額」と譲渡割の「差引減少する譲渡割額」が同額である場合における加算税の計算の基礎となる税額は、消費税に係る「差引納付すべき税額」に相当する金額となる。

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平成14年10月8日裁決

建物利用権設定契約に基づく建物利用権の譲渡による所得は、総合長期譲渡所得に該当するとした事例

裁決事例集 第64集 135頁

要旨

 請求人は、本件建物利用権はその取得の経緯(預託した保証金の額が通常の建物賃貸契約における保証金と異なり分譲価額に相当する程度に高額であることなど)及び契約内容(建物利用権設定契約において、地代家賃の支払はなく、「自己の持家と同様に」専用使用ができ、相続等の包括承継の対象になる等記載されていることなど)からみて所有権と同等に扱われるべきであると主張する。
 しかしながら、請求人は本件建物利用権設定契約に基づき本件建物に利用権を有するもので、請求人は本件建物の所有権を取得しているのではないことは明らか(この点については請求人も自認している)であるから、本件建物利用権は租税特別措置法第31条第1項に規定する土地建物等には該当せず、本件建物利用権の譲渡による所得は所得税法第33条に規定する総合長期譲渡所得に該当する。

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平成14年10月8日裁決

物納申請がされた土地(分譲マンションの底地)について、相続税法第42条第2項ただし書にいう「管理又は処分をするのに不適当である」ものとは認められないとした事例

裁決事例集 第64集 505頁

要旨

 本件物納申請土地(分譲マンションの底地)については、賃貸借契約に、借地権譲渡の事前承諾条項がなく、かつ、借地権譲渡に当たり承諾料を徴さない旨の条項があることをもってしても、社会通念に照らし契約内容が貸主に著しく不利な貸地には当たらないと認定でき、相続税法第42条第2項ただし書にいう「管理又は処分をするのに不適当である」とは認められないので、同項ただし書を適用してなされた本件変更要求処分は違法である。

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平成14年10月2日裁決

代表者へのゴルフ会員権の譲渡は、名義変更停止期間中であったとはいえ、実体を伴った取引であるので、その譲渡に係る損失の計上は相当であるとした事例

裁決事例集 第64集 287頁

要旨

 請求人が、その所有していたゴルフ会員権を請求人の代表者に名義変更手続の停止中に譲渡し、その後、倶楽部側の都合により行われた預託金の償還期限の延長及び会員権の分割の手続きに請求人が同意をし、請求人名で手続きが行われているが、これをもって本件ゴルフ会員権の譲渡はなかったものというのは相当でなく、当倶楽部との関係においては名義人である請求人は将来名義変更が可能となった時点で、名義変更承認願い手続きに協力する義務を負っていたことから、代表者に代わって当該手続きを行ったにすぎないと解すべきである。
 また、本件ゴルフ会員権の譲渡は、単に税額を軽減させるために行った不自然かつ不合理な譲渡であるとは認められず、正常な経済行為と認められることから、本件譲渡に係る固定資産売却損の金額は、本件事業年度の所得金額の計算上損金の額に算入するのが相当である。

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平成14年10月2日裁決

相続により取得した財産に係る相続開始前における賃借権の取得時効の完成、賃借権の取得という事実が判決により後発的に確定した場合、当該判決は、取得時効の完成の確定という意味において、国税通則法第23条第2項1号にいう「判決」に当たり、当該事情は当該財産の評価上、しんしゃくすべきであるとした事例

裁決事例集 第64集 1頁

要旨

 本件において、請求人は、相続により取得した本件土地に係る立退請求訴訟において、同土地の耕作者から賃借権の取得時効を援用されたがそれを争い、同土地を何らの負担のない自用地として評価し、申告していたところ、相続開始前における賃借権の取得時効の完成を認定し、賃借権の取得を認容した本件判決が確定したものであるから、同判決は、請求人が申告に当たり本件土地の評価の基礎とした事実(何らの負担のない)と異なる事実、すなわち、相続開始時に取得時効が完成していたという事実が確定されたという意味において、国税通則法第23条第2項第1号にいう「判決」に当たり、そして、当該事情は、本件土地の評価上、しんしゃくされるべきであるから、本件判決が同号の「判決」に当たるとしてなされた本件更正の請求には、理由がある。

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平成14年9月30日裁決

請求人の営む事業は、消費税法施行令第57条第5項第4号に規定する第五種事業に該当するとした事例

裁決事例集 第64集 548頁

要旨

 請求人は、自己が営む事業につき、顧客先との間で取り交わした契約書の表題は「請負契約書」であり、その「業務の内容」の項において具体的な作業内容が明記されるとともに、請負金額は生産状況により調整する旨記載されており、この契約に基づいて役務を提供して対価を受け取っていたものであるから、製造業のうち役務の提供を行う事業に該当することとなり、消費税の簡易課税制度における事業区分上、第四種事業に該当する旨主張する。
 しかしながら、消費税の簡易課税制度を公平に適用するためには、日本標準産業分類を基礎として判定することが有用であるところ、請求人が顧客先に派遣する社員は、顧客先の社員の指揮命令を受けて作業に従事していること、請求人は、顧客先との間で、別途「覚書」を交わしており、それによれば、顧客先へ請求する役務の対価の額は派遣した社員の勤務時間や時間給を基礎として算定するとされ、実際にもこれによっていること等からすれば、当該役務の対価の額は、民法第632条が規定する請負契約において予定されている仕事の結果に対する報酬でなく、派遣した社員の労働の対価と認められることから、当該取引は、形式上、請負契約の体裁をとるものの、実質的には請負といえず、日本標準産業分類の大分類「サービス業」の中分類「その他の事業サービス業」の細分類の「労働者派遣業」(派遣するために雇用した労働者を、派遣先事業所からその業務の遂行等に関する指揮命令を受けてその事業所のための労働に従事させること)に該当し、事業区分について、より合理的な他の基準がないことから、請求人の営む事業は第五種事業に区分されるサービス業に当たると認められる。

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平成14年9月17日裁決

事業用借地権の設定に際して支払った一時金で返還されない金額は、借地権の取得価額に算入すべきであるとした事例

裁決事例集 第64集 311頁

要旨

 請求人は、借地借家法により新たに規定された事業用借地権は、改正前借地法上の借地権と明らかに内容が異なっており、現行法人税法にない新たな課税客体であり、換言すれば現行法人税法は歴史的・時系列的にみても、事業用借地権等を包含していないことは明らかであるから、法人税法施行令第12条《固定資産の範囲》を根拠とした本件更正処分は違法無効であると主張する。
 しかしながら、事業用借地権は、専ら事業の用に供する建物(居住の用に供するものを除く。)の所有を目的とし、かつ、存続期間を10年以上20年以下とする借地権をいうものとされ、普通借地権について適用される契約の更新に関する規定(借地借家法第3条ないし第8条)、建物買取請求権に関する規定(同法第13条)及び借地契約の更新後の建物再築の許可に関する規定(同法第18条)などが適用されない旨規定されているものの借地権であることには変わりがない。
 また、法人税法上の「土地の上に存する権利」から除外する規定も特に存しないことを考えあわせると、事業用借地権は法人税法上の「土地の上に存する権利」に含まれると解される。
 そうすると、本件土地を賃借するために土地所有者に支払った本件一時金で返還されない金額は、当該借地権の取得価額に算入すべきであると認められるので損金の額に算入できない。

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平成14年9月4日裁決

共同相続人が連帯納付責任を果たしてなお不足がある場合のみに納税保証人に納付義務が発生する旨の規定はなく、納税保証人に生じた還付金を、その保証に係る国税に充当することを制限する規定は存しないから、本件充当処分は適法であるとした事例

裁決事例集 第64集 35頁

要旨

 請求人は、滞納者の共同相続人が相続税法第34条の連帯納付の責任を果たしてもなお不足がある場合のみ、自己の相続税の納税保証人としての納付義務が発生するから、請求人の所得税還付金を納税保証に係る相続税の滞納国税に充当した処分は違法である旨主張する。
 しかしながら、国税通則法第52条において、納税保証人に対して国税を納付させるための要件が規定され、また、同法第57条において、還付を受けるべき者につき納付すべき国税があるときは、還付金を国税に充当しなければならない旨規定されている一方で、租税法上、共同相続人が連帯納付責任を果たしてなお不足がある場合のみに納税保証人の納付義務が発生する旨の規定はなく、連帯納付義務について本来の租税債務と別個に確定手続をとることは予想されていないからといって、共同相続人が連帯納付の責任を果たしてなお不足がある場合にのみ納税保証人の納付義務が発生するとは解されない。

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平成14年8月29日裁決

不動産の譲渡に際して収受した未経過固定資産税等相当額は、譲渡所得の金額の計算上、総収入金額に算入されるとした事例

裁決事例集 第64集 152頁

要旨

 請求人は、土地の譲渡に際して買受人から収受した、売却後の期間に対応する未経過固定資産税等相当額について、固定資産税等が期間コストの性質を有することを前提に、収受した金員は、実質的には立替金の清算であり、担税力を有するものではなく、このことは、未経過固定資産税等相当額について不当利得返還請求権が発生することからも裏付けられるとして、譲渡所得の総収入金額に算入すべきでない旨主張する。
 しかしながら、固定資産税等は、賦課期日である毎年1月1日現在において、固定資産台帳に所有者として登録されている者に対して課されるものであり、賦課期日後に所有者の異動が生じたからといって、課税関係に変動が生じるものではないから、賦課期日後に当該資産の所有者となった者は、固定資産税等の納税義務を負担するものではなく、また、譲渡人は、譲受人に対して未経過固定資産税等の求償権を取得するものでもない。そうすると、未経過固定資産税等相当名目での金員の授受は、当事者間の契約によって初めて生じる債権債務関係に基づいてなされるものであり、その性質は売買条件の一つにほかならず立替金の清算とはいい得ない。
 また、当該資産の所有関係の変動が当事者間の契約に基づいて生じた場合に、固定資産税等名目の金員の授受について、何らの取決めもなされないのであれば、当事者の意思解釈としては、そのような名目での金銭のやり取りはしない趣旨であることが通常であると思われるから、そのような場合に、当事者の合理的意思解釈に反して、不当利得返還請求権が発生する余地はない一方、固定資産税等名目の金員の授受を行うとの取決めがなされるのであれば、その授受は、まさに契約に基づいて行われるものであるから、固定資産税等名目で譲渡の際に授受された金員の性質が不当利得返還請求権の性質を有することもありえない。

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平成14年8月20日裁決

外国法人の従業員であった時に付与されたストック・オプションを当該外国法人の子会社である内国法人に勤務していた時に行使して得た経済的利益が給与所得とされる場合の国内源泉所得の計算は、ストック・オプションの付与日から行使日までの期間を給与の総額の計算の基礎となった期間とするのが相当であるとした事例

裁決事例集 第64集 232頁

要旨

 請求人は、自己が勤務していた外国法人からストック・オプションを付与され、当該外国法人の子会社である内国法人に勤務していたときに権利行使して経済的利益を得たが、当該経済的利益は、行使時において当該外国法人と雇用関係にないこと等から、給与所得には該当しない旨主張する。しかしながら、当該経済的利益は、本件被用者等(当該外国法人及びその子会社の役員及び重要な被用者をいう。)たる地位に基づき当該外国法人の株式を購入することができる権利を同社から付与され、本件被用者等として一定期間勤務することにより、これを行使して得た利益、すなわち、請求人の非独立的ないし従属的な人的役務の提供の対価であるから、給与所得に該当する。
 請求人は、ストック・オプションに係る利益の発生原因はストック・オプションの権利行使が可能となったとき(来日前)に確定しているから、本件利益の全額が国内源泉所得に当たらず、非永住者である請求人にとって非課税である旨主張する。しかしながら、勤務が国内及び国外の双方にわたって行われた場合の所得税法第161条第8号イに規定する国内源泉所得については、所得税基本通達161-28に定める計算方式によることが合理的であり、同通達に定める「給与の総額の計算の基礎となった期間」は、本件ストック・オプションの付与日から行使日までの期間と解するのが相当であり、本件利益はその一部が国内源泉所得に当たる。

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平成14年7月22日裁決

原処分庁が財産評価基本通達に基づき評価した土地の価額はその土地の時価を上回るとした事例

裁決事例集 第64集 416頁

要旨

 請求人は、同族法人の株式の評価に当たり、当該同族法人の所有する本件土地の価額は、本件鑑定評価書を基に広大地補正率を適用して評価すべき旨主張し、これに対し、原処分庁は、当該土地の最有効利用は中高層の耐火共同住宅の敷地と認められ、戸建宅地開発を前提とする広大地補正率の適用はなく、路線価に基づき計算した当該土地の価額は、原処分庁が時価として試算した価額を下回るから適法である旨主張する。
 しかしながら、双方が主張する価額は、いずれも相続税法第22条に規定する時価として採用することはできないので、当審判所が採用した近隣の取引事例の取引価格及び公示地の公示価格を基に、本件相続開始時における本件土地の時価を算出したところ、当該価額は、原処分庁が財産評価基本通達に基づいて評価した価額を下回ることから、原処分庁の評価に係る価額は時価を超えているものと認められるので、本件更正処分はその一部を取り消すべきである。

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平成14年7月16日裁決

本件延滞税は、原処分庁の職員が確定申告書の収受時にその誤りを見逃したことに起因し、また、原処分庁の内部事情によりその誤りの指摘が遅延したことにより発生したものであるから課すべきではないとの請求人の主張を排斥した事例

裁決事例集 第64集 44頁

要旨

 請求人は、本件延滞税の計算期間について、原処分庁の内部事情により確定申告書の記載誤りの指摘が遅延したことにより設定されたもので、請求人の何ら関知しない期間であるから全く根拠がなく、本件延滞税の計算の起算日は、本件修正申告書を提出した日の翌日とすべきであり、また、本件延滞税は、原処分庁の職員が確定申告書の収受時に誤りを見逃したことに起因し、原処分庁にも責任があるので課すべきではない旨主張する。
 しかしながら、本件延滞税の計算期間は、法律の規定に従った適法なもので、確定申告書等の内容審査については、いつまでに了さなければならないとする法令の規定もなく、課税庁の裁量にゆだねられているなど、延滞税の計算期間に差異が生じたとしても、違法、不当となるものではなく、請求人が主張する延滞税の起算日は、請求人独自の見解で採用できない。
 また、確定申告書は、納税者自身の判断と責任において正しく記載の上、法定申告期限までに提出し、その記載内容については納税者自身がその責任を負うべきであるところ、原処分庁の職員が確定申告書の収受時にその内容をチェックしなかったとしても、それによって請求人が本件延滞税を免れる理由とはならない。

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平成14年7月11日裁決

再公売に係る公売財産の見積価額の決定は適正であるとした事例

裁決事例集 第64集 611頁

要旨

 請求人は、再公売に係る公売財産の見積価額が不当に低い価額となっている旨主張する。
 しかしながら、原処分庁が、先行公売に際して見積価額の決定に当たり基礎とした不動産鑑定士による鑑定評価額は、評価時点における客観的時価として適正であり、その後2回の公売が入札者がなく不成立となったことから、減価要因として時点修正及び新たに把握した個別要因等による減額を、鑑定評価額から控除したことは相当である。
 そして、これら減価額を控除した後の金額は、本件公売時点における客観的時価として適正であって、これから公売の特殊性を考慮して20%を控除した本件見積価額は相当であると認められる。

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平成14年7月9日裁決

建物附属設備のセール&リースバック取引を金融取引であると認定した事例

裁決事例集 第64集 324頁

要旨

 請求人は、本件賃貸借契約は20年契約であるが、5年後にK社の関係会社へ譲渡することが可能であるというオプション付であること、6年目以降の賃料が不確定であること及び賃貸借期間終了後に行われる物件の売却価格が不明であることから、賃貸借期間中に支払われる賃料の合計額がフルペイアウト要件を満たすとは明確にいえないと主張する。
 しかしながら、本件賃貸借契約に基づき請求人が受領する20年間の賃料の合計額は、「本件資産の購入簿価」とほぼ一致する金額に「20年間の社債利息」及び「社債発行費用償却分」を加えた金額となり、リース物件の取得価額及びその取引に係る付随費用の合計額のおおむね全部を支弁することになる。
 また、本件賃貸借契約には、原則として中途解約禁止条項があるものの、仮に、K社が中途で解約する場合には規定損害金を支払うことになっているので、賃料等の総額はリース物件の取得価額及びその取引に係る付随費用の合計額のおおむね全部を支弁することになる。
 以上のことから、本件賃貸借契約は、フルペイアウトに該当すると認められ、また、中途解約禁止条項が定められていることを併せ考えると、本件賃貸借契約は、リース取引に該当すると認められる。
 本件取引は、通常の売買や賃貸借と異なり、K社の保有資産のオフバランス化及び資金調達を目的とした中古資産のセール&リースバック取引であること等から、その経済的実質は売買代金の支払いという形式での金銭の貸付けと賃料の支払いという形式での元利金の返済であると認められ、実質的に金融取引と認められる。
 本件各更正処分は、本件取引が税務上金融取引に該当すると認定した上で、消費税等相当額を含めて授受された金額につき貸付金の額並びに返済額及び利息の額を算定しており、その返済額及び利息の額は通常の金融取引における元本と利息の区分計算の方法である元利均等残債方式により算定されていると認められ、この計算は相当と認められる。

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