裁決事例 裁決事例集 第55集

裁決事例 裁決事例集 第55集

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平成10年6月30日裁決

アメリカ合衆国の運送業者との契約に基づく引越貨物に係るキャリアー取引は、請求人が米軍又は米軍の公認調達機関に対して米軍の用に供するための役務の提供をなすものとは認められないため、消費税が免除されないとされた事例

裁決事例集 第55集 695頁

要旨

  1.  請求人は、アメリカ合衆国の運送業者とのキャリアー取引について、キャリアーが米軍に対して行っている取引の一環をなしている取引で、明らかに米軍の用に供する取引であることなどを理由に、所得税等臨特法第7条第1項が適用され、消費税が免除される旨主張するが、同項は、[1]事業者が、[2]米軍及び米軍の公認調達機関に対し、[3]米軍の用に供するため購入する課税資産の譲渡等を行った場合には、消費税を免除する旨規定しているところ、キャリアー取引は、請求人がキャリアーに対して役務の提供を行うものであり、請求人が米軍又は米軍の公認調達機関に対して米軍の用に供するための役務の提供をなすものとは認められず、上記[1]ないし[3]の要件を満たすものとはいえないから、同項の規定は適用されない。
  2.  また、請求人は、アメリカ合衆国の運送業者とのキャリアー取引について、所得税等臨特法第7条第1項の規定は適用されないとしても、キャリアー取引のうち日本国から日本国外への引越しについては、キャリアーとの契約上、日本国外にある目的地の港に到着するまで責任があることから、引越荷物の受渡場所は当該目的港であると考えられるので、消費税法第7条第1項第3号に掲げられている国内及び国内以外の地域にわたって行われる旅客若しくは貨物の輸送又は通信(以下「国際輸送等」という。)に該当するから消費税は免除されるべきである旨主張するが、キャリアー取引は、請求人が事業者として、キャリアーに対して軍人等の国際引越しに係るこん包、運送、保管、通関手続及び船積等の一環作業を行うという役務の提供を対価を得て行う取引であり、当該一環作業は、すべて日本国内において行われているものであるから、国際輸送等に該当するとは認められないこと等から、キャリアー取引のうちの日本国内から日本国外への引越しについて同号の規定は適用されない。
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平成10年6月30日裁決

請求人が負担した本件慰安旅行の参加従事員1人当たりの費用の額は、平成5年分192,003円、平成6年分449,918円及び平成7年分260,332円と、社会通念上一般的に行われている福利厚生行事としてはあまりにも多額であるから、当該従事員が受ける経済的利益は、給与所得として課税するのが相当とした事例

裁決事例集 第55集 248頁

要旨

 福利厚生行事が社会通念上一般的に行われているものと認められる範囲内のものである場合には、当該福利厚生行事の経済的利益については課税しないこととするのが相当と解されるところ、請求人の負担した本件慰安旅行に参加した役員及び従業員各人の1人当たりの費用(各人の家族等分を含む。)の平均額は、平成5年5月分が192,003円、平成6年5月分が449,918円及び平成7年5月分が260,332円であることから、社会通念上一般的に行われていると認められる範囲内の福利厚生行事としては、あまりにも多額であり、また、従業員等の家族等が参加し、その旅行費用までほとんど全額負担していることを考慮すると、本件慰安旅行が社会通念上一般的に行われていると認められる範囲内の福利厚生行事と同程度のものとは認められない。
 したがって、請求人は本件慰安旅行の実施によって、本件旅行参加者に対して経済的利益を供与したものと認められるので、本件旅行費用は、本件旅行参加者に支給した所得税法第28条に規定する給与等と認めるのが相当である。

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平成10年6月26日裁決

小作権を消滅させ、新たに建物の所有を目的とする借地権を設定したことによる権利金については、旧小作権部分と旧底地部分に係る収入金額とに区分して、長期・短期のそれぞれの譲渡所得金額を計算することが相当であるとした事例

裁決事例集 第55集 155頁

要旨

 請求人は、A土地の小作権を消滅させるための離作料を支払い、その直後に、A土地に隣接するB土地を含めた土地に建物の所有を目的とする新たな借地権を設定したことの対価として受領した権利金に係る譲渡所得の金額の計算に当たっては、離作料の額と同額の権利金を受け取って新借地人との間で本件借地権を設定したものであり、その経済的実質は、旧借地権者から新借地権者への借地権の移転とみることができ、借地権の内容に何らの変更がないのであるから、本件借地権取引によって所得は発生していない旨主張する。
 しかしながら、本件土地の賃貸借契約においては、A及びB土地の全体が新たな借地権の目的とされ、実際に建築された建物も本件土地全体を利用する状況にあることが認められ、A土地とB土地を格別区分して借地権が設定されたものではないことは明らかであるから、本件権利金を収入金額として区分するに当たっては、A土地とB土地の面積の比率により按分するのが相当である。
 また、請求人が主張するように、本件権利金のうちに占める離作料の額の割合が明らかであるとしても、それは本件権利金の使途の問題にすぎず、本件権利金が本件土地全体に借地権を設定することの対価として授受されたものであると解される以上、その割合が直ちにA及びB土地の収入金額に区分する際の割合にならないことは当然である。

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平成10年6月25日裁決

米国内国歳入法401kの掛金の拠出金は給与等の収入金額に当たるとした事例

裁決事例集 第55集 76頁

要旨

 請求人は、H社の企業年金プランのうち、米国内国歳入法第401条k項に規定する年金プランに加入し、掛金を拠出しているが、[1]当該掛金は、内国歳入法においては拠出時の給与の減額とされ、将来の年金受給時に課税されるものであること、[2]当該掛金は、請求人に現金等で支給されず、請求人が管理、支配できない給付に該当するものであること及び[3]請求人が将来米国の居住者として受給する年金の一部である掛金に課税することは、日米租税条約第23条(1)及び同条約の目的である「反二重課税」に反することから、我が国においては拠出時の給与として課税すべきではない旨主張する。
 しかしながら、401kプランの掛金として拠出するか又は給与として現金で受け取るかは請求人の任意であること、更に401kプランの掛金とする場合であっても、拠出割合及び投資対象については請求人の判断と責任において選択することとされていることなどから判断すると、本件掛金は、請求人がH社の使用人としての地位に基づいて役務の提供の対価として受け取った給与を請求人の意思と判断により、401kプランの掛金として拠出したものと認めるのが相当であり、本件掛金相当額は、所得税法第36条の規定により、各種所得の金額の計算上収入金額とすべき金額又は総収入金額に算入すべき金額に該当し、同法第28条第1項の規定により、給与所得に該当するものと認められる。

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平成10年6月25日裁決

請求人の絵画の売買に係る業務については、人的、物的設備が備わっておらず、請求人が本件絵画業務に費やす精神的、肉体的労力は低く、自己の危険と計算における企画遂行性にも乏しいことが認められ、また、その営利性も極めて乏しいことから、本件絵画業務は事業所得を生ずべき事業としての社会的客観性を備えたものには該当しないとした事例

裁決事例集 第55集 53頁

要旨

 請求人は、請求人の絵画の売買に係る業務が開業以来赤字であるのは、事業戦略上の判断を誤ったため損失を招いただけであり、特定の画廊を通じて業務を行っているのはその方が効率的であったからであること等から、本件絵画業務は事業所得を生ずべき事業に該当する旨主張する。
 しかしながら、本件絵画業務についてみると、[1]絵画を販売、展示するための店舗を有していないこと、[2]購入した絵画は美術品ロッカーに保管されたままになっていること、[3]絵画業務の事務について専任の従業員を置かず、請求人の経営する法人の役員に行わせ、しかもその対価も支払っていないことから、本件絵画業務には、人的、物的設備が備わっているとは認められず、本件絵画業務に関する広告宣伝活動を一切していないことや画廊業者の同業者団体に加入していないこと及び古物営業法の営業許可を得ていないことから、外形的にも事業としての実態が認められない。
 また、絵画の購入から売却まですべて特定の画廊に任せて取引をしており、請求人が本件絵画業務において、精神的、肉体的労力をほとんど費やしていないものと認められ、自己の危険と計算において企画遂行しているとは認められない。
 さらに、本件絵画業務は、業務の開始当初の高額な絵画の購入に伴う借入金の利息等の負担が大きいにもかかわらず、[1]絵画の売買回数が極めて少なく、その売買点数も少ないこと、[2]平成4年以降の絵画の購入価額は少額のものがほとんどで、その売買差益もきん少なものであること、[3]業務を開始してから毎年損失となっていることなどから、相当期間継続して安定した収益を得ているとは認められず、その営利性も極めて乏しい。
 以上のことから、本件絵画業務は事業所得を生ずべき事業として社会的客観性を備えたものには該当しないと判断するのが相当である。

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平成10年6月24日裁決

収用交換等による譲渡が二以上の年にわたって行われた場合に当たるとして、収用交換等の譲渡所得の5,000万円特別控除の適用は受けられないとした事例

裁決事例集 第55集 292頁

要旨

 請求人は、請求人がR市に対して平成6年11月4日の契約により譲渡した乙土地に係る譲渡所得については、収用交換等の場合の譲渡所得等の5,000万円特別控除の特例が認められるべきである旨主張する。
 しかしながら、請求人は、本件収用事業のためにR市に対して平成5年3月2日に丙土地を、平成6年11月4日に乙土地をそれぞれ譲渡しているところであるが、乙土地及び丙土地は本件収用事業の事業地に含まれており、これらの譲渡は、一の収用事業に基づくものであると認められることから、租税特別措置法第33条の4第3項第2号に規定する「一の収用交換等に係る事業につき第1項に規定する資産の収用交換等による譲渡が二以上あった場合において、これらの譲渡が二以上の年にわたってされたとき」に該当すると認められる。
 そして、請求人は上記のとおり、丙土地を平成5年中に、乙土地を平成6年中に譲渡していることから、乙土地は、同号に規定する「当該資産のうち、最初に当該譲渡があった年において譲渡された資産以外の資産」に該当するので、同条第3項の規定により、本件譲渡に係る長期分離譲渡所得の計算に当たり、収用交換等の譲渡所得の5,000万円特別控除の特例を適用することはできないと認められる。

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平成10年6月23日裁決

被相続人の先代の相続財産の遺産分割について、家裁の調停が成立し、代償分割による代償金を請求人らが受領したことは、被相続人が先代から相続により取得した代償債権を請求人らが本件相続により取得したと解するのが相当であるとした事例

裁決事例集 第55集 452頁

要旨

 請求人らは、被相続人の先代の相続財産の遺産分割について、家庭裁判所の調停が成立し、代償分割による代償金を受領したことは、既に本件相続に係る相続税の申告に含め課税された不動産に係る持分権の一部を失う代わりに、先代の共同相続人の一人から代償金を受領したものであるから、代償金は持分権の譲渡代金であって相続財産ではなく、また、これにより生じた所得は、所得税法第9条第1項第15号により非課税となる旨主張する。
 しかしながら、請求人らは、本件調停によって被相続人に代位して代償金を取得したのであり、このことは、被相続人が先代から相続により取得した代償債権を、被相続人の死亡を原因として、請求人らが被相続人から取得したと解するのが相当であるので、本件相続開始日における代償債権の価額を評価して、当該価額を本件相続税の課税価格とすることが相当である。

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平成10年6月23日裁決

請求人所有の本件土地上に赤字法人である同族会社に対して地上権を無償で設定した後に本件土地と地上権を第三者に譲渡した行為は、所得税法第157条に該当するとした事例

裁決事例集 第55集 175頁

要旨

 請求人は、本件契約を同族会社が赤字法人であることを奇貨として譲渡代金の分散を図る目的でしたものではなく、また、原処分庁が所得税法第157条を適用したことは、借地権等の設定について、同法第59条第1項の規定の適用がないということについての納税者の予見可能性を無視したものであり、所得税基本通達59-5の趣旨に反し、著しく信頼を損なうものである旨主張する。
 しかしながら、請求人及び同族会社が本件底地及び本件地上権を譲渡するに至った一連の行為の事情からして、本件地上権を同族会社に無償贈与する合理的な理由を見いだすことはできず、また、無償贈与した行為は、請求人を同族関係者とする同族会社であるがゆえになし得た行為であり、経済的合理性を欠く行為と認められ、この行為が請求人の所得税の負担を不当に減少させていることが認められる。
 また、所得税法第59条第1項は、借地権等の設定について、みなし譲渡課税をする旨規定していないが、そのことをもって同法第157条の規定が適用できないとするものではない。

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平成10年6月23日裁決

貸し付けている宅地の評価に当たって、借地権者が3棟の建物を建築しそれぞれ別の事業の用に供していたとしても、その土地全体が一人の借地権者に貸し付けられており、かつ分割されることなく相続されていることから、その土地全体を1画地の宅地として評価することが相当であるとした事例

裁決事例集 第55集 479頁

要旨

 請求人は、本件土地は借地権者の所有するガソリンスタンド、パチンコ店及びボウリング場に係る建物の敷地として最有効使用されているものであるから、建物の事業の用に供されている状況ごとに区分し、それぞれを1画地として評価すべきである旨主張する。
 しかしながら、本件土地はその全体が借地権者の事業に係る建物の敷地として一体として貸し付けられ、現実に借地権者の事業の用に供されていることが明らかであり、また、本件土地は分割されることなく、その全部を相続人が相続していることから、貸し付けられている土地全体を1利用単位、すなわち1画地の宅地と判断するのが相当である。

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平成10年6月10日裁決

非上場株式が「管理又は処分するのに不適当」と判断された事例

裁決事例集 第55集 615頁

要旨

 取引相場のない株式は、通常、売却できる見込がない場合が多いので、たとえ相続により取得した財産のほとんどが当該株式であり、かつ、当該株式以外に物納に充てるべき財産がないと認められるときであっても、物納制度の趣旨が相続税の納付の単なる手段であり、国がこれを換価し、その代金をもって財政収入に充てることにある以上、売却できる見込がない株式については、相続税法第42条第2項に規定する「管理又は処分をするのに不適当であると認める場合」に該当し、具体的に買受け希望者が見込まれる場合など一定の条件を満たすものについてのみ例外的に物納が許可されるものと解するのが相当である。
 相続税の課税は、相続による財産の取得という事実についてその財産的価値に担税力を認めて行われるものであり、一方、物納財産の管理又は処分の適否は、国が当該財産の管理又は処分により、金銭による納付があった場合と同等の経済的利益を将来現実に確保することができるか否かという観点から判断されるのであって、ある相続財産について、それが課税価格計算の基礎となった財産であっても、そのことから直ちに当該財産が物納財産として管理又は処分に適するということにはならず、管理又は処分をするのに不適当であるとされることもあり得ると解される。

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平成10年6月5日裁決

財産評価基本通達185のかっこ書に定める「通常の取引価額」は、評価会社の帳簿価額よりも鑑定評価書の鑑定評価額によることが相当であるとした事例

裁決事例集 第55集 581頁

要旨

 財産評価基本通達185のかっこ書に定める「通常の取引価額」について、原処分庁は、本件建物は相続開始日の約2年前に取得され取得価額が明らかであることから、この取得価額を基に減価償却費相当額を控除した金額、すなわち評価会社の帳簿価額により評価するのが相当である旨主張し、請求人は、請求人が求めた鑑定評価書の鑑定評価額によるべきである旨主張する。
 しかしながら、本件鑑定評価額は、その価格時点を本件相続開始日とし本件建物の再調達原価を求めた上、これを減価修正し、更に借家権の割合を控除して貸家の用に供されているものとして算出されているところ、その鑑定根拠については当審判所が調査した結果、特に不相当と認められる要素はない。
 そうすると、本件鑑定評価額は帳簿価額よりも時価を反映したものとして、これをもって財産評価基本通達185のかっこ書にいう「通常の取引価額」と認めるのが相当である。

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平成10年5月29日裁決

本件リフトは、租税特別措置法第45条の2に規定する中小企業者の機械等の特別償却の対象となる事業の用に供しているとは認められないとした事例

裁決事例集 第55集 370頁

要旨

 租税特別措置法第45条の2に規定する中小企業者の機械等の特別償却が適用されるためには、取得した機械等を適用対象事業の用に供していなければならないところ、リフトについては、[1]ロッヂに来場するにはリフトに搭乗しない限り困難であったとしても、リフトを利用するスキー客はロッヂを利用するか否かを問わずリフト料金を支払っていること、[2]リフトの操業なくしてロッヂ内事業が成り立たない関係にあるとしても、このことは、リフト事業を営業基盤としてロッヂ内事業が成り立っている関係を明らかにしているにすぎず、これらのことをもって、リフトをロッヂ内事業の用に供しているとはいえない。さらに、ロッヂ内事業に必要な資材等の運搬にも本件リフトを使用していないことから、本件リフトについて特別償却を適用することはできない。
 なお、クローラーキャリアについては、雪や土砂等の運搬を主目的とするもので車両運搬具に該当するので、特別償却を適用することはできない。

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平成10年5月28日裁決

取引及び登記等に事実の隠ぺい又は仮装が認められず、調査時にも事実の把握を困難にさせるような特段の行為が認められないなどとして、重加算税の賦課要件は満たしていないとした事例

裁決事例集 第55集 25頁

要旨

 原処分庁は、請求人が3区画の土地を譲渡したにもかかわらず、1区画分のみを確定申告し、調査時の指摘により修正申告したのは、その譲渡代金の使途目的があって計画的に行われたこと及び3区画分の譲渡所得に係る所得税の納付資金不足に起因したものと認められ、意図的に行われた過少申告であるとして重加算税の賦課決定処分をした。
 しかしながら、請求人に当該土地の譲渡に関する売買契約書の作成、所有権移転登記、譲渡代金の授受及び使途等について、何ら隠ぺい又は仮装の行為は認められず、また、確定申告後においても調査による事実の把握を困難にさせるような特段の行為は一切認められない上、請求人には資金ねん出方法として、原処分庁が指摘する方法以外にも多種多様の方法が可能であり、本件物件の譲渡に係る所得税の納付資金が不足しているとはいえず、さらに、請求人が本件申告等を任せていた次男において、譲渡の事実を隠ぺいする意図の下に1区画分のみを申告したものと認めるに足りる証拠はなく、本件においては、請求人に国税通則法第68条第1項に規定する仮装・隠ぺいの具体的事実が認められないことから、重加算税の賦課決定処分は、過少申告加算税の額を超える部分を取り消すべきである。

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平成10年5月28日裁決

本件土地は、土地区画整理法に基づく換地処分ではなく、換地処分前に当事者間で任意に交換したものであるから、従前の土地に存していた借地権は存せず、課税時期における現況、すなわち駐車場の敷地として賃貸している土地として評価すべきであるとした事例

裁決事例集 第55集 511頁

要旨

 請求人らは、本件土地は、土地区画整理法に基づき甲土地との交換により取得したものであり、甲土地に存していた借地権は、同法の規定により本件土地に移行存続することから、本件土地の価額を財産評価基本通達25(貸宅地の評価)の(1)の定めにより評価すべきである旨主張するが、本件土地と甲土地の交換は土地区画整理法に基づく換地処分としてされたものではなく、土地区画整理事業における換地処分前に当事者間で任意にされたものである。
 したがって、本件土地と甲土地の交換が土地区画整理法に規定する換地処分でない以上、甲土地に存していた借地権が本件土地に移行存続することはないから、本件土地の価額は、その土地の課税時期における使用の現況、すなわち駐車場の敷地として賃貸していることに基づき財産評価基本通達86(貸し付けられている雑種地の評価)の(1)の定めにより評価するのが相当である。

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平成10年5月27日裁決

共有土地の持分の一部である財産の物納は、「管理又は処分をするのに不適当」と判断した事例

裁決事例集 第55集 623頁

要旨

 本件物納申請財産は、共有持分の一部であり、国において管理又は処分をするのに不適当な財産である。また、原処分庁は、請求人からの却下処分の猶予の要請に基づき、遺産分割の推移を相当期間見守っていたが、なお協議分割が整わない状態が続いたことから、本件却下処分を行ったものであり、請求人が主張するような違法・不当な点はない。
 また、本件却下処分に伴い、請求人の相続税は滞納となったことから、国税通則法第37条第1項の規定に基づき行われた督促処分は適法である。
 なお、物納申請却下処分及び督促処分に対する異議決定の内容を不服とする審査請求は、国税通則法第76条第1号の規定により認められないから、これら審査請求は不適法である。

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平成10年5月15日裁決

土地建物の譲渡に際し、架空の中間譲渡人を介在させて譲渡収入金額の圧縮を計ったとして、最終買受人の購入価額を譲渡収入金額と認定した原処分を相当と認めた事例

裁決事例集 第55集 108頁

要旨

 請求人は、本件土地建物を14,000,000円でG社に譲渡したものであり、さらに、G社がSに33,000,000円で譲渡したものである旨主張するが、[1]G社に譲渡したとする売買契約書は、後日、契約日付をさかのぼって作成されたものと認められること、[2]請求人がSから33,000,000円を受領した事実は明らかであり、その受領した金銭の全額を新たに取得した土地建物の取得資金に充てていることが認められることから、請求人は、G社を本件土地建物の中間譲渡人として介在させて、実体のない取引を仮装したものであり、実質は請求人が本件土地建物を33,000,000円でSに譲渡したものと認められる。

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平成10年4月30日裁決

被相続人が所有していた建物が火災で焼失した後に当該建物の敷地を相続により取得し、当該敷地をその後に譲渡した場合、相続人は、当該建物の所有者として居住の用に供していた事実は認められず、3,000万円特別控除の対象となる居住用財産の譲渡には該当しないとした事例

裁決事例集 第55集 341頁

要旨

 請求人は、本件建物が焼失するまでの間、当該建物で被相続人と生計を一にしており、被相続人が生存中に本件土地を所定の期限内に譲渡すれば特例の適用が受けられるところであり、被相続人の死亡により本件土地の現実の占有を承継し、また、財産的地位を包括的に承継しているから、相続により被相続人に属していた特例の適用を受けられる地位を承継しているので居住用財産の譲渡所得の特別控除の適用が認められるべきである旨主張する。
 しかしながら、本件特例は、譲渡所得者の帰属者の立場において適用されるべきものであるところ、請求人において本件建物を居住の用に供していたというためには、単に請求人が本件建物に居住していたあるいは被相続人と生計を一にしていたというだけでは足りず、請求人が本件建物の所有者として居住の用に供していたことを要件として判断すべきである。
 本件建物の所有者は被相続人であり、請求人は本件建物の所有者として居住の用に供していたとは認められないから、本件特例の適用は認められないと解するのが相当である。

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平成10年4月24日裁決

取引相場のない株式を純資産価額によって評価する場合に、租税負担の公平の観点から特別な理由があると認められるときは、法人税額等相当額を控除せずに評価することが妥当であるとした事例

裁決事例集 第55集 556頁

要旨

 被相続人が本件出資の取得に際し、著しく低額な価額で現物出資を行ったことは、多額の評価差額を創り出し、これを形式的に財産評価基本通達185を適用して法人税額等相当額を控除して計算することにより、相続税の負担の軽減を図るためのものであると推認されるところ、この場合に法人税額等相当額を控除して評価することは、他の納税者との間の実質的な租税負担の公平という観点からして看過ごし難いといわざるを得ず、加えて、税負担の累進性を補完するとともに富の再配分機能を通じて経済的平等を実現するという相続税法の立法趣旨からしても著しく不相当というべきであるから、本件には、財産評価基本通達に定める原則的な評価方法によらないことの特別な理由があると認められる。
 したがって、本件出資は、法人税額等相当額を控除せずに評価することが妥当である。

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平成10年4月24日裁決

土地譲渡益重課制度の適用除外に該当する旨の申告をしなかった場合には、同制度を適用して法人税額を減額することを求める旨の更正の請求は認められないとした事例

裁決事例集 第55集 16頁

要旨

 国税通則法第23条第1項第1号に規定する更正の請求は、納税申告書に記載した課税標準等若しくは税額等の計算が国税に関する法律の規定に従っていなかったこと等により過大であるときになしうるものであるから、所得計算の特例等で、一定事項の申告等を条件に所得金額、税額の減免をすべきものとされているものについて、その申告等をしなかった者は、後日その特例の適用を求めるために更正の請求をすることはできないと解すべきである。
 したがって、確定申告に際し、租税特別措置法第62条の3第4項又は第5項に規定する優良住宅地等のための譲渡等に対する土地譲渡益重課制度の適用除外に該当する旨の申告等をしなかった場合には、後日それらの規定を適用し、法人税額を減額すべきであるとする旨の更正の請求は認められない。

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平成10年4月24日裁決

請求人が同族会社に支払った月額賃料と原処分庁が算定した類似建物月額賃料との差額が1.4倍ときん少であっても、所得税の負担を不当に減少させる結果となっているとして所得税法第157条の規定の適用をした課税処分は正当であるとした事例

裁決事例集 第55集 196頁

要旨

 請求人は、仮に類似建物月額賃料を一応の基準としても、本件月額賃料は類似建物月額賃料の1.4倍程度のものであり、類似建物月額賃料との比率の開差は極めて合理的な偏差の範囲にあり、著しく過大なものではないから、本件賃料の決定行為に不当なものはない旨主張する。
 しかしながら、所得税の負担を不当に減少させる結果となったか否かについては、単に基準となるべき適正な賃料との比率の開差の大小のみによって一律に判断すべきものではなく、その基準となるべき適正な賃料に基づいて算出した納付すべき税額と請求人が決定した賃料に基づいて算出した納付すべき税額とを比較し、その税額のかい離がどの程度であるかを考慮した上で判断すべきものと解するのが相当である。
 請求人の場合、本件病院用建物に係る本件月額賃料の決定は、同族会社とその関係人である請求人であるがゆえになしえた行為又は計算であることが認められ、請求人のこのような行為は、純経済人の行為として不自然・不合理な行為又は計算によるものであり、その結果本件月額賃料が不当に高額なものとなっており、請求人の所得税の負担を不当に減少させているものと認められる。

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平成10年4月15日裁決

預託金会員制ゴルフクラブの会員権証書の担保権者に対する引渡命令が適法であるとされた事例

裁決事例集 第55集 798頁

要旨

 預託金会員制ゴルフクラブの会員権証書は、商法第519条の有価証券には当たらないことから、本件ゴルフ会員権に対する質権設定を第三者に対抗するためには、民法第364条第1項に規定する指名債権質の対抗要件に基づき、質権設定者が確定日付ある証書によりこれをゴルフ場経営会社に通知し又は同社が確定日付ある証書によりこれを承諾することを要する。
 しかしながら、請求人及び滞納者は、これらの手続を経ていないことから、差押債権者たる原処分庁に対抗できず、原処分庁が請求人に対して行った本件会員証書の引渡命令は適法である。

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平成10年4月13日裁決

先の差押調書謄本が送達されたと認定し、これにより滞納国税の徴収権の消滅時効が中断され、その後に行われた差押処分が適法であるとされた事例

裁決事例集 第55集 787頁

要旨

 請求人は、土地権利証と白紙委任状を友人に渡したため、本件土地を譲渡されてしまったが、当該友人を刑事告発はしておらず、かつ、その代償の一部として金銭を受領しており、本件譲渡を事後において容認したものと認められ、課税処分は適法である。したがって、課税処分の違法を理由として本件差押処分の取消しを求めることはできない。
 なお、電話加入権の差押調書謄本は請求人の住所地に適法に送達されたと認められ、滞納国税の徴収権は消滅時効により消滅しておらず、また、請求人が滞納国税を納付しなかったため、原処分庁が本件差押処分を行ったものであり、原処分は適法である。

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平成10年4月2日裁決

相続税法第34条第1項の連帯納付義務は、相続税徴収の確保を図るため、相互に各相続人に課した特別の責任であって、各相続人の固有の納税義務が確定すれば、他の共同相続人に徴収手続を行うことができ、滞納者に徴収手続を尽くした後でなければ、共同相続人に徴収手続を行えないというものではないとされた事例

裁決事例集 第55集 608頁

要旨

 相続税法第34条第1項の相続税の連帯納付義務は、相続税徴収の確保を図るため、相互に各相続人に課した特別の責任であって、各相続人の納税義務の確定という事実が発生していれば法律上当然に生ずるものであり、格別の確定手続を要するものではない。
 また、連帯納付義務は、民法上の連帯保証債務に類似するものと解するのが相当であり、滞納者に徴収手続を尽くした後でなければ、共同相続人に徴収手続を行うことができないというものではない。
 したがって、各相続人の一部にその相続税額を滞納した者がある場合には、国税徴収に当たる所轄庁は、その他の相続人に対して、その相続により受けた利益の価額に相当する金額を限度として連帯納付義務の履行を求めることができる

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平成10年3月31日裁決

株式は祖母から死因贈与により請求人が既に取得したものであり、被相続人の相続財産を構成しないとした事例

裁決事例集 第55集 425頁

要旨

 原処分庁は、請求人名義の株式は請求人の父である被相続人が亡母(請求人の祖母)の相続により取得したものであることから、被相続人の相続財産である旨主張する。
 しかしながら、本件株式は、祖母が被相続人らのために相続財産として残す意図はなかったものとうかがえるところ、請求人の陳述及びxの答述によれば、祖母は請求人に対して本件株式の購入目的を告げており、死期の近づいた祖母は、購入していた本件株式等を4つに分け、請求人ら自分の孫にあててxに預けたこと、そして、xは祖母の死亡後1か月を経過したころ、請求人に引き渡したことが認められたことからすると、遅くともその時までに、祖母と請求人との間において、祖母が死亡したら本件株式を贈与する旨の死因贈与契約が成立していたと認めるのが相当であり、本件株式は、請求人の固有財産となる。
 したがって、本件株式が被相続人の相続財産に当たるとした原処分庁の認定には事実誤認があることから、本件株式の価額を相続財産の課税価格から差し引くべきである。

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平成10年3月31日裁決

請求人が取得した新規取得土地等の基準取得価額は、本件土地と造成工事とは一体として取引されたものであるから、本件土地と造成工事代金との合計額であり、また、本件土地の取得日は、造成工事が完了し宅地に地目変更された日であると認められるから、負債利子損金不算入期間の起算日は当該日の翌日であるとした事例

裁決事例集 第55集 391頁

要旨

 請求人は、本件土地を取得し、その後、当該土地の造成工事を別の業者に依頼したものであるから、租税特別措置法第62条の2第3項第3号に規定する新規取得土地等の基準取得価額は、土地の代金のみである旨主張するが、[1]当該土地の譲渡法人及び造成業者等との契約内容等から判断すると、当該土地の開発・造成工事等の内容は、当該土地の売買契約時に既に具体化していたこと及び[2]本件土地代金を支払うとともに造成工事代金を造成工事を施工する前に支払ったのは、譲渡法人の事情及び譲渡法人からの指示により行われたことなどから、当該土地と造成工事とは一体として取引されたものと認められるため、基準取得価額は土地代金と造成工事代金との合計額である。
 また、請求人及び原処分庁は、本件土地は平成4年3月31日受付で同日の売買を原因として所有権移転登記を経由していることなどから、同日を新規取得土地等の取得日とし、平成4年4月1日から平成5年3月31日までの事業年度について負債利子の損金不算入期間を平成4年4月1日から平成5年3月31日までの12月としているが、新規取得土地等を取得した日とは、当該土地等の引渡しを受けた日であると解されているところ、上記[1]及び[2]の事実並びに造成工事期間は、開発行為の許可を受けた平成4年8月27日から検査を受けた同年12月21日までの期間と認められること及び同年12月21日に宅地に地目変更されていることなどから、請求人は造成工事が完了し宅地に地目変更された平成4年12月21日に本件土地の引渡しを受けたものと認められるため、負債利子の損金不算入期間は、平成4年12月22日から平成5年3月31日までの3月となり、原処分はその全部を取り消すべきである。

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平成10年3月30日裁決

債権譲渡の通知がされた債権を差し押さえた後、譲渡担保財産であるとして譲渡担保権者に対してした告知処分が適法とされた事例

裁決事例集 第55集 742頁

要旨

 請求人と滞納会社の間で締結された運賃等売掛債権の譲渡契約に基づく債権譲渡の通知は、これを第三債務者に通知することによって、担保のため譲渡された債権が特定され、対抗要件が具備されることになるものの、これをもって譲渡担保権の実行が完了したということにはならず、差押処分の時点において本件債権は譲渡担保財産として存在していたと認められる。
 そこで、滞納国税の法定納期限等と本件契約による譲渡担保設定の時期について、その先後を検討すると、譲渡担保設定の日はいずれも滞納国税の法定納期限等の日に後れており、本件差押処分の時点において本件債権が譲渡担保財産として存在する限り、国税が優先することとなる。
 国税徴収法第24条第1項に規定する「国税に不足するとき」とは、同条第2項の通知を発するときの現況において納税者に帰属する財産で滞納処分により徴収できるものの価額が納税者の国税の総額に満たないと認められることをいい、その判定は、滞納処分を現実に執行した結果に基づいてする必要はないと解するのを相当とする。
 滞納会社が、平成8年11月11日に2回目の手形不渡事故を起こして事実上倒産したことは当事者双方に争いのないところであり、その事実からすれば、国税徴収法第24条第1項に規定する要件を満たすから、本件差押処分は同条第5項に規定する「前項の規定の適用を受ける差押」に該当する。

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平成10年3月20日裁決

本件譲渡家屋における電気・ガス・水道の使用状況等から判断すると、本件譲渡家屋に居住したとしても一時的な目的で入居したものと認められるので、居住用財産の課税の特例の適用はできないとした事例

裁決事例集 第55集 316頁

要旨

 請求人は本件土地を売却する契約をしたが、市街化調整区域に存する畑であった本件土地上に建物を建築できないことから、本件建物を請求人名義で建築した後、本件資産として売買の形式を採るとともに、本件特例を適用することにより租税負担の軽減を企図したものであり、本件工事請負契約書及び本件資産売買約定書に係る売買は真実の売買ではないとする請求人の主張は採用することがきない。
 請求人は、電気の使用開始が平成6年6月3日になったのは、請求人が入居したとする同年4月25日から6月3日までの間工事用配線を使用していたためであると主張しているが、建物が完成して入居した後1か月以上も工事用配線が存在することは通常考えにくく、むしろ、生活に必要な電気及び水道に加え、ガスの使用が可能となった同年7月2日以降が入居日と考えるのが自然であること及び同年4月25日には、電気、水道及びガスがすべて使える状態であったとする請求人の答述は信用できず、この点からも請求人の主張を採用することはできない。
 請求人は、生まれた時から本件資産の所在地と同じ町内に居住する両親及び弟と同居していたところ、結婚後の生活を営むために本件建物に入居した旨主張するが、通常、結婚が決まったとはいえ結婚前に、しかも建物完成前で、なおかつ電気及びガスが調う前に、それまで同居していた親元を離れ、急きょ独り住まいをしなければならない必要性はないものと認められ、仮に、住民登録の異動のとおり請求人が本件建物へ入居していたとしても、本件借入れの申込みは、請求人が本件特例の適用を受ける目的で行われていることから、請求人は本件建物へは本件特例の適用を受けるためのみの一時的な目的で入居したものと認められる。
 本件借入れを行った以前の段階で、すでに本件資産は売却する予定であり、購入者も決まっていたのであるから、請求人の婚約解消後は継続して生活することに堪え難い事情が生じたことから本件資産を売却したとの主張は採用できない。
 請求人の主張はいずれも理由がなく、本件建物は本件特例の対象となる居住用家屋とは認められないから、本件譲渡について本件特例を適用することはできない。

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平成10年3月13日裁決

企業会計上ファイナンスリースは資産の取得を原則としていることから、機械設備に係る減価償却費の損金算入を認めるべきとする請求人の主張に対し、リース契約の内容及び取引の実態から判断すると通常の賃貸借取引に該当するとした事例

裁決事例集 第55集 353頁

要旨

 請求人は、Q公社とリース契約を締結して使用することとなった大型精密機械について、企業会計上ファイナンスリースは資産の取得を原則としていることから、本件機械設備を自己所有資産とすることにより特別償却を含めた減価償却費の損金算入を認めるべきである旨主張する。
 しかしながら、リース取引の取扱いについては、税法上具体的な規定はないので、基本的には法人税法第22条第4項の規定にのっとり、一般に公正妥当と認められる会計処理の基準に従って会計処理されるべきであり、税務上リース取引について、これを法形式どおり一般の賃貸借と同様に取り扱うことに課税上の弊害があるものは別として原則的にはその法形式に従って会計処理を行うべきである。
 また、ファイナンスリースに係る法人税の取扱いについては、その経済的実質において一般の賃貸借と同様に取り扱うことに課税上の弊害があると認められるものについては売買取引等として取り扱うこととし、昭和53年通達でその処理の統一を図ることとしたものである。
 そうすると、本件リース取引について、リース契約の内容及び取引の実態から判断すると、本件機械設備は請求人がQ公社から取得したものではなく通常の賃貸借取引であることが認められ、また、昭和53年通達に定める売買として取り扱うリース取引にも該当しない。

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平成10年3月11日裁決

相続開始前3年以内に贈与があった場合の当該贈与財産の価額を相続税の課税価格に加算したとしても、贈与税の課税関係が消滅するものではないとした事例

裁決事例集 第55集 466頁

要旨

 請求人は、本件定期預金については、相続税法第19条の規定により相続税の課税価格とみなして本件相続税の課税価格に加算しているから、贈与税の課税対象とはならない旨主張するが、同条の規定の趣旨は、相続税法が採用している相続税の累進税率の適用による税負担が、財産を生前贈与することによって軽減されて公平を欠く結果となることを考慮し、相続開始前3年以内の贈与財産の価額を相続税額の計算上、相続財産の価額に加算することにより所要の調整をすることにあると解されるところ、同条第1項の規定により相続税の課税価格とみなされた贈与財産については、贈与税が課税されることが前提とされたものであって、贈与財産の価額を相続税の課税価格に加算したからといって贈与税の課税関係が消滅するものではない。
 本件においては、贈与税の課税が相続税の課税関係より後になされているが、それをもって贈与税の課税の当否に何ら影響を及ぼすものではない。

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平成10年2月27日裁決

一括支払システム契約における代物弁済条項の国税債権者に対する効力が否定され、譲渡担保権者である銀行が国税徴収法第24条の物的納税責任を負うとされた事例

裁決事例集 第55集 719頁

要旨

 請求人は、本件代金債権が一括支払システムに基づく譲渡担保財産であることを知りながら滞納者の財産として差し押さえた本件差押えは違法・無効であり、したがって本件告知処分も無効である旨主張するが、本件代金債権は請求人等から提示を受けた書類等から滞納者の財産と認定して差し押さえたものであり、譲渡担保財産と知りながら差し押さえたものとは認められないことから、本件差押処分は適法である。
 また、請求人は、[1]原処分庁が国税徴収法第55条に基づく通知をした日現在、滞納会社に本件代金債権を担保として同額の貸付金を有していたところ、本件通知が発せられた時に請求人の滞納会社に対する貸金債権は何らの手続を要せずに弁済期が到来し、同時に担保のため譲渡した代金債権は貸金債権に充当される旨の一括支払システム契約の特約の効力により、本件代金債権は貸金債権の弁済に充当されたこと及び[2]仮にそうでないとしても、本件告知がされた時に本件特約の効力により本件代金債権は消滅している旨主張する。
 しかしながら、本件特約によると、請求人に告知等が到達した時には常にその譲渡担保権の実行が完了していることになり、常に告知等の要件である譲渡担保財産の存在が欠けることになるから、譲渡担保が国税の法定納期限等の後に設定され、国税に劣後している場合であっても、徴収職員が国税徴収法第24条に基づき、当該譲渡担保財産から国税を徴収する機会を事実上全く奪ってしまうことになる。このことは、法の規定にかかわらず、私人間の合意により、滞納処分の対象とならない譲渡担保財産を作り出すことにほかならず、国税徴収法第24条第5項及び第6項の規定の趣旨を完全に没却するものであるから、本件特約について、当事者間においてその効力を認めることはともかくとして、原処分庁に対しては、請求人は本件代金債権が譲渡担保財産でなくなったことを理由に、同条に基づく物的納税責任の追及を免れることはできないと解するのが相当である。

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平成10年2月27日裁決

地価税の評価に適用される路線価は、その年の1月1日の時価を表していないとして、近隣の土地の取引情報を基に評価した価額により地価税の申告がされたが、路線価は適正に評定されているとして、路線価に基づく更正処分を相当と認めた事例

裁決事例集 第55集 633頁

要旨

  1.  請求人は、路線価は半年以上も前の地価を調査して求められたものであり、その年の1月1日の時価を表しておらず、時価を上回っているのは明白であるから、路線価を採用して評価した更正処分は違法である旨主張する。
     しかしながら、路線価の評定の基となる売買実例価額等については、地価下落の状況を的確に反映したものとなるよう時点修正を行うなどしており、路線価は適正に評定されていると認められ、さらに、当審判所が、本件土地の価額を試算したところ、いずれの土地についても審判所の試算価額が原処分庁が評価した価額を上回っていることが認められた。
     よって、原処分庁が本件土地の価額を路線価に基づいて評価したことは相当と認められる。
  2.  請求人は、本件D土地は居住用として賃貸していた居住用の非課税の土地であり、原処分庁が課税時期に貸し付けていなかったことを理由として、自用地として評価したことは不当である旨主張する。
     しかしながら、地価税法第7条第2項に規定する他人の居住の用に供されている土地等に該当するかどうかは、その年の課税時期における状況により判定するものと解されているところ、本件D土地上に存する建物は、平成3年10月14日まで個人に居住用として貸し付けられていたが、その後平成4年1月28日に事務所として貸し付けられるまでの間は空室となっていたことが認められる。
     よって、原処分庁が平成4年分につきD土地は他人の居住の用に供されていなかったものとして、自用地として評価したことは相当と認められる。
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平成10年2月26日裁決

同族会社に対する本件委託業務は、不動産賃貸業の遂行上必要な業務とは認められず、かつ、同族会社が当該業務を履行したとする客観的な資料も認められないことから、請求人が本件契約に基づき不動産管理料を支払ったとしても、必要経費には算入されないとした事例

裁決事例集 第55集 43頁

要旨

 本件契約業務の具体的内容を検討すると、[1]当初から不動産管理業務を委託している不動産管理会社との交渉業務等を含む経営全般に関する知的判断業務は、請求人個人の責任と判断において行うべき性質のものであり、同族会社であるH社が当該業務を履行したとする客観的な資料がないこと、[2]その他の業務については、不動産管理会社への委託業務において十分可能であり、当該業務をH社に委託する必要性があるとは認められず、また、H社においてこれらの業務を行ったと認めるに足りる証拠がなく、当該業務を履行するために要した費用の計上も認められないことから判断すると、H社との本件契約業務は本件不動産賃貸業の遂行上必要な業務とは認められず、かつ、履行したとする客観的な資料も認められないことから、請求人が本件契約に基づき本件管理料を支払ったとしても所得税法第37条第1項に規定する必要経費には算入されない。

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平成10年2月26日裁決

請求人と滞納会社が共同して売却した本件不動産(土地は各別に所有、建物は共有)の売却代金について、不動産の持分に応じて配分を受けるのが相当であるから、請求人は受けた利益を限度として滞納国税につき第二次納税義務を負うとした事例

裁決事例集 第55集 757頁

要旨

 請求人は、[1]請求人所有の土地(以下「本件土地」という。)は滞納会社からの要請により購入したものであるが、通常の価額より高価で購入せざるを得なかったこと及び[2]共有建物(以下「本件建物」という。)にあった請求人の工場を閉鎖したことによる各損失の補てんを受けることを条件に滞納会社と共同での売却を承諾したものであり、当該損失補てんの額を売却代金の配分額に含めて受領したのであるから、合理的な理由があり、第二次納税義務を負うものではない旨主張する。
 しかしながら、上記[1]については、本件土地を通常の価額より高額で購入せざるを得なかった理由が証拠上明らかでなく、また、仮に通常の価額より高額で取得した土地が売却時の通常の価額より高額で売却できなかったとしても、損失を被ったということはできないこと及び上記[2]については、利益が生じている工場を直ちに閉鎖することは通常の経済人の選ぶところではなく、また、売却前の年間利益の5年分の損失補てんを相当とする理由についての主張・立証もないことから、請求人の主張は採用することができない。さらに、請求人の代表者親子が請求人及び滞納会社の発行済株式又は出資金額の過半を占め、双方の役員を兼ね、滞納会社の代表者も請求人の役員を兼ねていたこと及び本件建物の増築が請求人の計算によりなされてきたことからみて、請求人と滞納会社とは独立の経済人として相対する状況にあったとは認められず、また、請求人が明確な根拠をもって上記損失の額を滞納会社に要求していたとは認められない。
 したがって、請求人が配分を受けるべき金額は、本件土地の評価額及び本件建物の持分に応じた金額とするのが相当であり、それを超える金額について、請求人は滞納会社から無償による利益を受けたものと認められる。

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平成10年2月19日裁決

請求人に相続による納付義務の承継があったことを前提として行われた本件差押処分について、請求人が相続放棄をしているから違法である旨の主張が認められなかった事例

裁決事例集 第55集 1頁

要旨

 請求人は、被相続人の死亡当時被相続人と住所を同じくしており、また、請求人が被相続人の死亡当日に死亡届出を行っているのであるから、被相続人の死亡の日にその事実を知ったものと認めるのが相当である。
 また、請求人らがJセンターへ売却した不動産は、被相続人の死亡により相続財産となり、平成7年3月31日受付で相続を原因として請求人の法定相続分とは異なる持分による所有権移転登記がなされているから、請求人は、遅くとも当該登記受付の日までに、遺産分割協議書に署名捺印することにより被相続人が死亡した事実を知ったことになる。
 以上のとおり、請求人は民法第921条第2号に規定する同法第915条第1項の期間内に相続の放棄をしなかったときに該当するから、請求人がW家裁に相続放棄申述書を提出してなした相続の放棄は、同家裁の受理審判にかかわらず、それが効力を有するための実体的要件を欠いて無効であり、同法第921条の規定により単純承認したものとみなされる。
 したがって、請求人は、民法第920条の規定により、無限に被相続人の権利義務を承継し、相続人として国税通則法第5条第1項及び第2項の規定に基づき、法律上当然に被相続人の滞納国税のうち請求人の法定相続分である4分の1の額725,825円を承継し、この納付義務を負う。
 また、本件差押処分の手続に違法な点はない。

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平成10年1月30日裁決

買取りの申出のあった日から6か月を経過した後に譲渡した場合は、収用交換等の場合の特別控除を適用することはできないとした事例

裁決事例集 第55集 304頁

要旨

 請求人は、収用による譲渡が買取りの申出があった日から6か月を経過した日後にされたことについては争わず、[1]確定申告書に本件事業施行者が発行した本件収用証明書を添付したこと、[2]R県収用委員会が収用裁決の審理のために6か月以上を要したこと、[3]収用による譲渡が買取りの申出があった日から6か月を経過した日後にされた場合であっても、特別控除の適用が認められるとする通達の定めがあること及び[4]本件譲渡については本件特例の適用がある旨の税務相談室職員の指導を受けたことから、本件譲渡については本件特例を適用すべきである旨主張する。
 しかしながら、請求人は、[1]最初に買取りの申出があった日から6か月を経過した日後に本件土地を収用により譲渡したこと及び[2]本件事業施行者に対して補償金の支払請求をしていないことが認められるから、請求人の主張にはいずれも理由がなく、本件譲渡について本件特例を適用することはできない。

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平成10年1月29日裁決

単身赴任者に支給した帰郷交通費は、職務を遂行するための旅行でなく、帰郷に要する交通費の負担を軽減するために支給されたものであるとして、当該単身赴任者に対する給与所得に該当するとした事例

裁決事例集 第55集 273頁

要旨

 請求人は、単身赴任者に支給した帰郷交通費は、所得税法第9条第1項第4号に規定されている非課税とされる旅費である旨主張するが、当該帰郷交通費は、請求人が受給者の帰郷に要する交通費の負担を軽減するため、その費用の一部を補助する目的で給与関係内規の別居手当の一部として支給したものと認められることから、職務を遂行するための旅費には当たらず、同号に規定する非課税とされる旅費には当たらない。

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平成10年1月29日裁決

財産評価基本通達の定めにより配当還元方式で評価されることを利用して贈与税の負担の軽減を図る目的で取得した本件株式については、時価純資産価額を基に評価するのが相当であるとした事例

裁決事例集 第55集 533頁

要旨

 贈与者が取引相場のない株式である本件株式を取得した目的は、事業から生じる配当を期待したものではなく、本件株式が財産評価基本通達の定めにより配当還元方式で評価されることを利用して贈与税の負担の軽減を図るものと解されるところ、かかる目的のために取得した本件株式については、単に配当を期待するにとどまる少数株主を対象とした特例的な評価方法である配当還元方式を適用すると実質的な租税負担の公平を著しく害することとなるから、本件株式の評価に当たっては、当事者等が客観的な交換価値と認識し、それが不特定多数の当事者間でも通常成立すると認められる価額である時価純資産価額を基に評価するのが相当である。

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