裁決事例 裁決事例集 第62集
居住の用に供していた当該家屋を遺産分割により取得した者は租税特別措置法69条の3第2項に規定する「所有家屋に居住したことがない者」に当たらず、また、遺言執行費用を課税価格の計算上控除することはできないとした事例
裁決事例集 第62集 412頁
要旨
請求人は、本件相続により取得した本件土地につき、租税特別措置法第69条の3に規定する特定居住用宅地等に該当する旨主張するが、本件のように、被相続人と同居していた相続人がいない場合に同特例の適用を受けるには、本件土地を取得した相続人が「相続開始前3年以内に相続税法の施行地内にあるその者又はその者の配偶者の所有する家屋に居住したことがない者」であることが要件となるところ、請求人は、同期間において、前回の相続に係る未分割財産であった本件マンションに配偶者と共に居住し、その後、それに係る遺産分割によって同マンションを取得したもので、民法第896条及び第898条の規定により、請求人は上記要件に該当しないことになるため、本件土地は特定居住用宅地等に該当しない。
請求人は、民法上、遺言の執行に関する費用は相続財産の負担とされているから、本件遺言執行費用は相続税の課税価格の計算上控除できる旨主張するが、本件遺言執行費用は、本件弁護士と請求人との合意に基づき相続開始後に発生するものであるから、被相続人の債務ではなく、また、本件被相続人に係る葬式費用でもないから、課税価格の計算上、取得財産から控除することはできない。
自己が勤務する法人の親会社から付与されたストック・オプションに係る経済的利益は、請求人の非独立的ないし従属的な人的役務の提供の対価としての性質を有するから給与所得に該当するとした事例
裁決事例集 第62集 92頁
要旨
請求人は、自己が勤務しているK社の親会社であるG国法人H社から付与されたストック・オプションに係る経済的利益は、H社と雇用関係にないこと等から、一時所得に該当する旨主張する。
しかしながら、本件ストック・オプションは、H社のストック・オプションプランに基づき、請求人へストック・オプション付与契約書により付与されているところ、本件プラン及び本件付与契約書に記載された各規定のとおり、本件プランの目的として、人材の確保と当該人材に対する追加的インセンティブの供与が掲げられていること、本件ストック・オプションは、請求人が本件従業員等(H社及びH社の子会社の役員及び従業員をいう。)であることを前提に、対価として付与されたものであること、その行使は、請求人の本件従業員等としての一定期間の勤務をもって可能となること、その譲渡等は原則として禁止されていることが認められる。
これらのことからすると、本件利益は、請求人が本件従業員等たる地位に基づき、H社の株式を購入することができる権利を同社から付与され、本件従業員等として一定期間勤務することにより、これを行使して得たものであるということができる。換言すれば、本件利益は、請求人が、専らK社に勤務することに基づいて得られた経済的利益、すなわち、請求人の非独立的ないし従属的な人的役務の提供の対価としての性質をもった所得ということができるから、給与所得に該当すると解するのが相当である。
要旨
請求人は、本件独占販売権は、E国のG社から取得したものであるが、本件独占販売権に基づき、本件譲受け直前まで日本国内で営業活動をしていたのはG社の日本子会社H社であり、H社のノウハウ、人的資源等も引き継いでいることから「これらの権利に係る事業を行う者の住所地」は、H社の住所地(日本)であると認められ、本件独占販売権を取得した取引は、消費税法上、国内取引に当たると主張する。
しかしながら、本件支払金は、G社が保有する本件製品の独占販売店の権利の価値(独占販売により稼得することができる将来の収益)を認めてG社へ支払われたものであり、G社が本件独占販売権をH社又は請求人に付与することによって、G社自体が本件独占販売権に係る事業を行っていると認められる。そうすると、本件独占販売権の譲渡者であるG社の所在地はE国であるので国外取引となり、課税仕入れに該当しない。
租税特別措置法第41条第1項及び租税特別措置法施行令第26条第2項に規定する建築の意義には増改築も含まれると解すべきであるから住宅借入金等特別控除の適用要件に該当するとの請求人の主張を排斥した事例
裁決事例集 第62集 173頁
要旨
請求人は、建築基準法における建築には増改築が含まれるから、租税特別措置法(以下「措置法」第41条第1項及び租税特別措置法施行令(以下「措置法施行令」第26条第2項(以下、両規定を併せて「本件措置法規定等」という。)に規定する建築にも増改築が含まれると解すべきである旨主張する。
しかしながら、本件措置法規定等に規定する建築には、下記のとおり、増改築は含まれず、建築基準法における建築の意義とは別意に解するのが相当であり、請求人の主張は採用できない。
(1)措置法第41条第1項は、居住者が、[1]居住用家屋の新築、[2]居住用家屋で建築後使用されたことのないものの取得、[3]居住用家屋で建築後使用されたことのある家屋で政令で定めるものの取得、[4]その者の居住の用に供している家屋で政令で定めるものの増改築等をし、これらの家屋をその者の居住の用に供した場合において、一定の要件の下に、住宅借入金等特別控除の適用をする旨規定している。
(2)上記(1)の[3]の政令で定めるものは、措置法施行令第26条第2項第3号の規定によれば、当該家屋が耐火建築物である場合には、その取得の日以前25年以内に建築されたものであるとされている。
(3)上記(1)の[4]の「増改築等」とは、措置法第41条第4項において、当該居住者が所有している家屋につき行う増築、改築その他の政令で定める工事で当該工事に要した費用の額が百万円を超えるものであることその他の政令で定める要件を満たすものである旨規定している。
(4)措置法第41条第1項の規定から判断すると、上記(1)の[1]は、居住者自らが建築主となって新築した建物について規定し、[2]及び[3]は、居住者以外の者が建築した建物で居住者が承継取得したものについてそれぞれ規定したものであって、建物の建築後、居住の用に供されたことのない建物は[2]に、居住の用に供されたことのある建物は[3]に該当し、また、現に居住している者がその建物に増改築等をした場合が[4]に該当することになる。
(5)また、住宅借入金等特別控除は、住宅政策の一環として、個人の持家取得の促進及び居住水準の向上を図ることなどを目的として設けられた制度であり、上記(1)の[3]の既存住宅の取得については、その良質性を確保する趣旨から、上記(2)のとおり、建築後の経過年数に一定の制限が加えられている。
(6)ところで、建築基準法第1条《目的》は、同法は国民の生命、健康及び財産の保護を図るため、建築物の敷地、構造、設備及び用途に関して守られるべき最低の基準を定めた法律である旨規定しており、その趣旨目的は、上記(4)の住宅借入金等特別控除のそれとは異にしているから、本件措置法規定等の適用については必ずしも建築基準法における用語の意義をそのまま引用しなければならないものではない。
(7)上記(2)から(6)までに述べたことから判断すると、本件措置法規定等に規定する建築には増改築は含まれないと解するのが相当である。
請求人が採用した個別対応方式における課税資産の譲渡等に要するものとその他の資産の譲渡等に要するものとの区分方法は合理的基準の一つであるとして、異議決定で採用した一括比例配分方式による計算を排斥した事例
裁決事例集 第62集 462頁
要旨
原処分庁は、請求人が不動産の賃貸収入に係る課税仕入れの消費税額を個別対応方式により計算して申告したことについて、建物の建築費が「課税資産の譲渡等に要するもの」と「その他の資産の譲渡等に要するもの」に明確に区分されていないので、一括比例配分方式により課税仕入れの消費税額を計算すべきであると主張する。
しかしながら、請求人の建物の建築費の区分方法は、当該建築費の大部分を共通の資産の譲渡等に要するものであると認識した上で、これを建物の使用面積割合で課税資産の譲渡等に要するものと、その他の資産の譲渡等に要するものに区分するというものであって、合理的な基準の一つであると認められるところ、請求人の個別対応方式による課税仕入れの消費税の計算は正当である。
要旨
- 請求人は、法人税法第11条《実質所得者課税の原則》によりパナマ子会社の損失を請求人の所得金額に合算したものであり、また、「船舶所有権等に関する契約公正証書」によれば当該外航船舶の所有権は請求人にあると認められることからも、本件には租税特別措置法(以下「措置法」という。)第66の6条《内国法人に係る特定外国子会社等の留保金額の益金算入》は適用されないと主張する。
しかしながら、船舶は子会社の所有であること、また、法人税法第11条と措置法第66の6とはそれぞれ独立した規定として存在することが意図されているといえ、両者の適用関係が競合する場合には、まず、法人税法の特別法である措置法の規定が適用されることから、請求人の主張には理由がない。 - 請求人は、仮に、措置法第66の6の規定が適用されるとしても、パナマ子会社は株式を発行しておらず、同法第2項第1号の規定によって「発行済株式等」の保有割合を基準に判定される外国関係会社ひいては特定外国子会社等にも当たらないので、この点からも請求人にはタックスヘイブン対策税制の適用はないと主張する。
しかしながら、パナマ会社法は、発起人による「株式を取得することの合意」によって法人が設立でき、株式の発行自体が設立要件となっていないことからすると、パナマ法人が請求人の特定外国子会社等であるというためには、請求人が当該取得に合意した株式を所有していることが要件であるところ、[1]パナマ法人の設立時の役員が請求人の役員であること、[2]請求人が同社設立時の商業登記簿謄本の写しを保管していること、[3]請求人は、同社の発起人からなんらの権利を主張されることなく、支障なく業務運営を遂行していること及び[4]パナマ会社法においては株主が会社運営に直接関与する場合があることからすれば、発起人と請求人との間では、発行予定株式等の全部の譲渡に関する契約ないしこれに類する契約が黙示的にせよ締結されたものと推認されるから、このことによって請求人はパナマ法人を支配し得る単位化された物的持分としての法的地位を承継したものと認めるのが相当であることから、請求人の主張には理由がない。 - 請求人は、原処分は従来の法令の解釈を変更して突如としてなされ、一貫性を欠く恣意的な処分であるとし、また、請求人に対して「タックスヘイブン対策税制により申告すべし」との原処分庁の指導がなかったことから、信義誠実の原則に反すると主張する。
しかしながら、請求人がパナマ子会社の損失を所得金額に合算して申告したのは、請求人自身の独自の法令解釈により判断した結果であり、また、原処分庁は、請求人に対して「パナマ子会社についてタックスヘイブン対策税制が適用されない」という公式見解を示したことはないことから、信義誠実の原則が適用される余地はなく、請求人の主張には理由がない。
三者間で行った本件土地の交換は、所得税基本通達33-6の6《法律の規定に基づかない区画形質の変更に伴う土地の交換分合》に該当し、譲渡がなかったものとして取り扱われるとした事例
裁決事例集 第62集 130頁
要旨
原処分庁は、所得税基本通達33-6の6《法律の規定に基づかない区画形質の変更に伴う土地の交換分合》(以下、「本件通達」という。)にいう土地の区画形質の変更とは、一団の土地の登記地番及び所有権に基づく区画に対して、道路その他の公共施設の整備、不整形地の整理等によって区画を適正にし、土地の形状・土質を改良して適正な宅地を造成することをいうとの解釈に基づき、本件交換は、本件一団の土地全体について造成が行われておらず、請求人らがそれぞれ所有する各画地について行った造成工事は、区画形質の変更に際して行われたものではないので本件通達に定める交換分合には該当しない旨主張する。
しかしながら、本件通達の取扱いは、その経済実態から、土地所有者相互間における相隣関係の問題として単に土地の境界線を整理しただけとか不整形地であったところに道路を付け区画を整理するというのであれば、その土地の交換分合が土地所有者相互間において必要最小限の範囲内で行われた場合には、税務上はその交換分合による土地の譲渡はなかったものとする趣旨であり、本件通達にいう土地の区画形質の変更とは、土地の区画を整理し、又は土地の形状及び土質を変更し、利用しやすい土地にすることをいうと解され、必ずしも土地の形質の変更を伴わなければならないというものではない。
本件交換は、本件通達に定める、一団の土地の利用増進を図るために行う土地の区画形質の変更に際し、相互にその区域内に所有する土地の交換分合を行った場合に該当し、四囲の状況からみて必要最小限の範囲内で行われた交換分合にも当たると認めるのが相当である。
そうすると、本件交換は本件通達に定める交換分合に該当し、譲渡がなかったものとされるから、本件更正処分はその全部を取り消すべきである。
要旨
請求人は、差押調書に記載された滞納税額に誤りがあるので、差押調書に瑕疵があり、瑕疵ある差押調書に基づいて行われた差押処分は無効である旨主張する。
しかしながら、数個の租税債権を差押債権として行われた差押処分は、各租税債権ごとに数個の差押処分が競合するものではなく、差押処分は1個であり、従って、原因となった租税債権の一部に数額の誤りがあっても、そのことによって、直ちに差押処分の効力が左右されるものではないと解されるところ、本件については、本件差押調書に記載された滞納国税の合計額は、その誤りが特に大きいとはいえないこと、及び滞納税額に誤りがなければ本件差押物件を差し押さえなかったであろう特段の事情があるとは認められないことからすれば、本件差押調書の滞納税額の記載の一部に誤りがあったというだけで、本件差押処分が無効ということはできない。
固定資産課税台帳上の地目が現況と異なることは「特別の事情」に当たり、その不動産の価額は、当該「特別の事情」を考慮して、登記官が認定することになるとした事例
裁決事例集 第62集 471頁
要旨
請求人は、本件土地の所有権移転登記に係る登録免許税の課税標準の基礎となる額につき、本件土地の状況は元所有者が現況を確認した平成4年4月22日以前から請求人が登記した平成12年5月1日及びその後も変わりないから、本件土地の価額は平成12年度の台帳価格をもって算定すべきである旨主張する。
しかしながら、原処分庁が現地調査の結果認定した本件土地の地目と固定資産課税台帳上の地目とが異なっていたものであり、この事実は租税特別措置法施行令第44条の3第2項に規定する「特別の事情」に該当するため、本件にあっては、台帳価格を基礎とすることができず、台帳価格を基礎とし、当該事情を考慮して登記官が認定した価額によることとなる。
要旨
請求人は、その経営する介護専用型有料老人ホームの入居者から収受した本件入居一時金の収益の計上時期につき、契約上、契約終了時にその返還義務を免除されるとされており、返還義務は入居契約時から契約終了までの間常に存在するから、本件入居一時金は契約終了時の収益に計上すべきであると主張する。
しかしながら、本件入居一時金は、入居者が終身にわたって介護を受ける権利を取得するために支払われるものであり、そして、請求人は、それについて特定保管の義務を負わず、実際にもホームの運転資金に当てられており、本件入居一時金を自己の所有として自由に利用できたものであるから、本件入居一時金はそれを収受した日の属する事業年度の益金の額に算入すべきである。
要旨
請求人は、簡易課税制度選択届出書の提出に当たって、原処分庁から簡易課税に関する説明が一切なかったことから、簡易課税とは単に消費税を算出する計算過程が簡単になるという認識しかなく、その提出は錯誤によるものであり無効であるから、本件課税期間について本則課税を認めるべきであると主張する。
しかしながら、簡易課税制度選択届出書が錯誤により無効となるのは、請求人の錯誤が、客観的に明白かつ重大なものである場合に限られると解すべきところ、本件簡易課税制度選択届出書は、本件課税期間から適法にその効力を有しているものと認められ、また、請求人はグループの営業担当者から消費税等の届出書の提出について指導を受けていることから、簡易課税制度の内容については十分知りえたものと認められる。
したがって、本件簡易課税制度選択届出書の提出は、請求人自身の判断に基づいてなされたものであり、提出に当たって請求人に本件簡易課税制度選択届出書の提出が無効となるような客観的に明白かつ重大な錯誤があったとは認められないから、請求人の主張には理由がない。
一時払いの生命保険契約上の権利を退職金の一部として受領し、その後当該生命保険契約を解約したことにより解約返戻金を受領した場合の一時所得の金額の計算上控除する金額は、一時払いした保険料に限られず、退職所得として課税された退職時における当該生命保険契約の解約返戻金相当額であるとした事例
裁決事例集 第62集 161頁
要旨
原処分庁は、請求人が法人役員を退任した際に生命保険契約上の権利を退職金の一部として一時払いの生命保険契約の契約者及び受取人の名義を請求人に変更することにより受領し、その後当該生命保険契約を解約したことにより解約返戻金を受領した場合、所得税法第34条第2項に規定する一時所得の金額の計算上控除する金額は、所得税法施行令第183条第2項に規定するとおり法人が一時払いした保険料に限られ、請求人が退職所得として課税された退職時における当該生命保険契約の解約返戻金相当額ではない旨主張する。
しかしながら、所得税法施行令第183条第2項は、生命保険契約等に基づく一時金に係る一時所得の金額の計算方法を完結的・網羅的に規定したものではなく、同項第2号は、生命保険契約等に基づく一時金に係る一時所得の金額の計算上、保険料総額のみしか控除できない旨を規定した特例規定ではないものと解され、当該一時金に係る一時所得の金額の計算に当たっては、保険料総額以外に所得税法第34条第2項に規定する収入を得るために支出した金額がある場合には、その支出した金額を一時所得に係る総収入金額から控除できるものと解される。
一時所得の金額の計算上控除する金額については、一般には保険料の額と解するのが相当であるとしても、本件においては、本件退職時解約返戻金相当額が保険料総額を上回っており、その上回った金額を含めて退職所得課税の対象となっていることから、その上回った金額は、所得税法第34条第2項に規定する一時所得の金額の計算上収入を得るために支出した金額に含まれると解するのが相当である。
簡易課税制度選択届出書の提出があり、その後簡易課税制度不適用届出書の提出がないので、本件課税期間については簡易課税制度を適用した更正処分等は適法であるとした事例
裁決事例集 第62集 435頁
要旨
請求人は、設備投資に係る消費税等の還付を受ける目的で、本則課税を適用して申告したものであるが、消費税等の還付が受けられないのであれば本件申告書の取り下げを認めるべきであり、簡易課税制度を適用して行った更正処分等は違法、不当であると主張するが、本件申告書は、法令の規定に従った適法なものであり、自ら自由に取り消し、撤回をすることは許されず、また、請求人は簡易課税制度選択届出書を提出しているが、その後簡易課税制度不適用届出書の提出がないので、簡易課税制度を適用して行った更正処分等は適法である。
1月4日は国税通則法第10条第2項に規定する「その他一般の休日」に該当しないとして、審査請求人の年始の営業開始日である平成12年1月5日(水曜日)に提出された消費税及び地方消費税の確定申告書は期限後申告に該当するとしてなされた無申告加算税の賦課決定処分を適法と認定した事例
裁決事例集 第62集 16頁
要旨
請求人は、請求人をはじめとする出版業界では、年始の1月4日までを休日としており、1月4日は一般国民が慣行上休日としている一般の休日に該当するので、平成12年1月5日に提出した本件確定申告書は期限内申告である旨主張する。
しかしながら、一般の休日とは、日曜日、国民の祝日以外の全国的な休日をいい、1月2日及び3日は、この一般の休日に該当すると解されるが、1月4日については、年始の休日としている企業等が見受けられるとしても、行政機関及び金融機関等においては必ずしも休日とはされていないのであり、一般国民の慣行上の休日には当たらないと解されるので、国税通則法第10条第2項に規定する一般の休日には該当しないというべきである。
したがって、本件確定申告書の法定申告期限は、消費税法第45条第1項及び通則法第10条第2項の規定により、平成12年1月4日であるから、同月5日に提出された本件確定申告書は期限後申告書に該当する。
要旨
請求人は、平成11年中に支払った通勤費相当額は、給与収入を得るために必ず発生する必要な費用であるから、非課税所得として給与収入から除外するべきである旨主張する。
しかしながら、非課税所得となる通勤手当は、給与所得を有する者で通勤するものがその通勤に必要な交通機関の利用又は交通用具の使用のために支出する費用に充てるものとして通常の給与に加算して受ける通勤手当のうち、一般の通勤者につき通常必要であると認められる部分として政令で定めるものと規定されているところ、請求人が勤務する派遣会社は請求人に対して、このような通勤手当を支給していないため、請求人が平成11年中に支払った通勤費相当額があるとしても、これを非課税所得として給与収入から除外することはできない。
簡易課税制度選択事業者が、消費税の経理処理につき税抜経理方式をとっているからといって、本則課税による仕入れ税額控除が認められることにはならないとした事例
裁決事例集 第62集 444頁
要旨
新設法人で、かつ、簡易課税制度選択届出書を提出している請求人は、消費税等の経理処理について税抜経理方式をとっているから本則課税を認めるべきであると主張するが、当該届出書は本件課税期間を適用開始課税期間として適法にその効力を有しており、かつ、本件課税期間から事業を開始しているから、基準期間のない本件課税期間においては簡易課税制度を適用しなければならず、本則課税を適用する余地はない。
役員退職給与等の支給及びその金額について社員総会の承認を要する場合、その支給等に関する役員規定の理事会における承認をもって、本件死亡退任役員に係る退職慰労金等の債務が確定したということはできないとした事例
裁決事例集 第62集 258頁
要旨
請求人は、本件事業年度において、損金経理により未払金に計上した死亡退任した役員に対する役員退職慰労金及び弔慰金(本件退職慰労金等)の額は平成8年5月31日に開かれた理事会の決議に基づき制定された「役員規定」に依拠しているから、本件退任の事実をもって、本件退職慰労金等の支給金額が具体的に確定する旨主張する。
しかしながら、法人税法第22条第3項第2号には、原則として、債務の確定した費用のみを損金の額に算入する旨規定されているところ、本件役員規定において、役員退職慰労金等は社員総会の承認を得て支給する旨、退職慰労金等の額は社員総会において承認された額とする旨が定められているから、退職慰労金等を支給するか否か、及び支給金額を幾らとするかについては、いずれも社員総会の承認に委ねられていることが明らかであり、そして、本件事業年度中に、本件退職慰労金等の支給に関して社員総会で何ら決議がされていない以上、本件役員の退任を原因として、本件退職慰労金等の額が自動的に決せられ、請求人がその支払い義務を負うことになると解することはできず、本件事業年度中に、本件退職慰労金等に係る債務が確定したということはできない。
試験研究費の額が増額した場合等の法人税の特別控除(租税特別措置法第42条の4)について、修正申告により増加した法人税額に対応する控除の増額は認められないとした事例
裁決事例集 第62集 284頁
要旨
請求人は、租税特別措置法(平成9年法律第22号による改正前のもの)第42条の4《試験研究費の額が増加した場合等の法人税額の特別控除》第3項に規定する法人税の特別控除について、自主的に提出した修正申告により増加した法人税額に対応する金額については控除が認められるべきである旨主張するが、同項の適用については、「確定申告書等」にその控除を受ける金額の記載があり、かつ、当該金額の計算に関する明細書の添付がある場合に限られ、また、その控除される金額は、「当該申告に係るその控除を受けるべき金額」とされており(同条10項)、そして、ここにいう「確定申告書等」については、法人税法第2条第30号に規定する中間申告書及び同法第31号に規定する確定申告書(当該申告書に係る期限後申告書を含む。)とされ(措置法第2条第2項第11号)、「確定申告書等」には修正申告書が含まれないものであるから、請求人の主張には理由がない。
なお、「当該申告に係るその控除を受けるべき金額」とは、当該申告書に記載された控除税額そのものでなく、当該申告書に記載された事項を基礎として計算される正当額をいうものと解される。
税法の改正により減価償却資産の耐用年数が短縮された場合の減価償却費の処理方法については、明文の規定がなく理論により決するほかないとの請求人の主張が排斥した事例
裁決事例集 第62集 49頁
要旨
請求人は、税法の改正により減価償却資産の耐用年数が短縮された場合の減価償却費の処理方法については、明文の規定がなく理論により決するほかない旨主張する。
しかしながら、所得税法第49条、所得税法施行令第120条、第129条、第131条、耐用年数省令第1条、第4条及び平成10年改正省令附則第2項等の規定が存在するのであって、これらの規定によれば、税法に規定する耐用年数とは、その期間内で償却を完了させるということを意味するものではなく、減価償却費の額を算定するために必要な償却率を算出するための基礎となるものにすぎないと解するのが相当であり、このことは、税法の改正により耐用年数が短縮された場合においても何ら変わるものではないから、原処分庁が、本件建物の期首帳簿価額に、本件改正後の耐用年数に対応する償却率を乗ずることによって本件減価償却費の額を算定したことは適法である。
請求人は、株式譲渡契約に係る債務不履行を理由として約定解除権を行使した後、相手方との合意によりそれを撤回したと認められるから、その解除による違約金の取得に係る収益は、解除権行使の効力が生じた日の事業年度に帰属すると判断した事例
裁決事例集 第62集 236頁
要旨
請求人は、本件解除通知書の送付後も、本件株式譲渡契約に係る交渉が譲受人との間で継続されていたもので、その後における、本件覚書の作成時に同契約を解除した旨主張する。
しかしながら、当該交渉は、本件株式譲渡契約の法律関係を維持するために継続されていたというよりも、新たな譲受人に本件株式を譲渡するための契約締結の準備行為として行われていたものと認められ、そして、本件覚書による合意は、請求人による解除権の行使及び違約金の取得が有効にされたことを前提として、双方の合意により、その解除の意思表示を撤回したものと認められるから、本件解除による違約金の取得に係る収益は本件解除通知書が譲受人に到達した日(解除権行使の効力が生じた日)の属する本件事業年度に帰属する。
請求人は、株式譲渡契約に係る債務不履行を理由に約定解除権を行使した後、相手方との合意によりそれを撤回したと認められるから、その解除による違約金の取得に係る一時所得の収入すべき時期は、解除権行使の効力が生じた日であると判断した事例
裁決事例集 第62集 145頁
要旨
請求人は、本件解除通知書の送付後も、本件株式譲渡契約に係る交渉が譲受人との間で継続されていたもので、その後における、本件覚書の作成時に同契約を解除した旨主張する。
しかしながら、当該交渉は、本件株式譲渡契約の法律関係を維持するために継続されていたというよりも、新たな譲受人に本件株式を譲渡するための契約締結の準備行為として行われていたものと認められ、そして、本件覚書による合意は、請求人による解除権の行使及び違約金の取得が有効にされたことを前提として、双方の合意により、その解除の意思表示を撤回したものと認められるから、本件解除により取得した違約金は一時所得の収入金額に当たり、その収入すべき時期は、本件解除通知書が譲受人に到達した日(解除権行使の効力が生じた日)である。
法人成りしたことに伴い個人事業を廃止した年分の必要経費に算入した従業員退職金(預り金経理)は必要経費に算入できないとする原処分庁の主張を排斥した事例
裁決事例集 第62集 76頁
要旨
原処分庁は、請求人が個人事業を廃止していわゆる法人成りしたことに伴い個人事業を廃止した年分の必要経費に算入した従業員退職金について、退職金支給規定の支払事由に法人成りの定めがないこと及び労使協定書に従業員の有する全ての権利義務が法人へ承継される旨規定されていることから、従業員退職金の支払債務は法人成り後の退職金支給規定に規定された支給事由が生じたときに初めて発生すると解するべきであり、また、請求人らが預り金として会計処理した従業員退職金は実質的には未払金であり、長期にわたる未払いは経済的合理性を欠くものであるから、従業員退職金の債務は成立しておらず、必要経費に算入することはできない旨主張する。
しかしながら、関係者の答述及び従業員全員が請求人らに提出した退職所得の受給に関する申告書から、従業員退職金の支払について、労使間で事前の協議が整い、従業員にその協議内容を周知し、請求人らは従業員の了解の下に退職所得の受給に関する申告書の提出を受けたものと認められるから、従業員退職金の支払債務は成立していると判断するのが相当であり、退職金支給規定の記載内容の一部のみを取り上げて従業員退職金の債務が成立していないと判断することはできないから、従業員退職金を必要経費に算入できないとした更正処分はその全部を取り消すのが相当である。
本件寺院は人格のない社団に該当すると認められるから、信徒が伽藍新築工事のために寄附した金銭は寺院に帰属するとして、当該金銭を住職の事業所得として課税した原処分を取り消した事例
裁決事例集 第62集 37頁
要旨
原処分庁は、本件寺院は法人格もなく、権利能力なき社団にも該当しないことから、本件寺院の信徒が伽藍新築工事のために寄附した金銭は、本件寺院の住職である請求人の事業所得に係る総収入金額を構成する旨主張する。
しかしながら、本件寺院の寺院規則及び運営状況等から判断するに、本件寺院の実態は、[1]共同の目的、[2]組織、[3]団体の存続、[4]運営、[5]財産の管理等において、実質的に権利能力なき社団の要件を備えていることから、本件寺院は、税法上の人格のない社団等に該当すると認められる。
したがって、信徒が寄附した金銭は、本件寺院に帰属することから、原処分庁の主張は採用できない。
要旨
請求人は、給与等の収入金額から支出した通勤費、宿泊費、衣服費、交際費、新聞雑誌費などの金額(以下「本件支出」という。)を必要経費として実額計算で控除すべきである旨主張するが、給与所得の算定に当たって実額で給与所得を求めるべきものとする法令の定めはないから、この点に関する請求人の主張には理由がない。
また、請求人は、本件支出が給与所得者の特定支出の控除の特例(以下「本件特例」という。)に該当するのであれば、その該当部分について本件特例を適用し、給与所得控除額を超える部分の金額を控除すべきである旨主張するが、本件確定申告書には、本件特例の適用を受ける旨及び特定支出の額の合計額の記載がなく、かつ、領収を証する書類その他の当該支出の事実及び金額を証する書類の添付もない上、本件確定申告書の提出の際にこれを提示した事実もないなど、本件支出は、本件特例の適用要件を満たしていない。
なお、請求人は、形式的判断で課税をするのではなく、常識的に必要な費用であるという実態を理解してほしい旨主張する。
しかしながら、給与所得の算定に当たって実額で給与所得を求めるべきものとする法令の定めがないことは先に述べたとおりである。
また、本件特例の控除の対象とされる特定支出の範囲もサラリーマン特有の支出として限定的なものとされているところ、本件支出のうち該当すると見る余地がある支出は旅費交通費と自家用車諸費用及びタクシー利用等の支出の合計額に限られるが、仮に当該金額が本件特例の要件に該当するとしても、当該金額が請求人の給与等に係る給与所得控除額を超えないことは明らかであるので、いずれにせよ本件特例を適用することはできない。
要旨
請求人は、本件費用の支払先等は明らかにできないが、本件費用は事業の継続を確保するうえで必要であるから損金の額に算入されるべきである旨主張するが、法人税法第22条第3項の規定により損金の額に算入される費用は、その支払先及び使途が明らかであることを要するところ、請求人は当審判所にそれを明らかにする具体的資料を提出せず、また当審判所の調査によってもそれを確認することができないことから、本件費用は損金の額に算入することはできない。
要旨
請求人は、地方自治法1条の2第3項に規定する特別地方公共団体の財産区(自治法上の財産区)に該当するから、その所有地の賃貸につき法人税の納税義務を負わない旨主張する。
しかしながら、請求人においては、その定例会がその議決機関とされ、区長及び役員が執行機関とされていること、請求人の収入及び支出は町の予算及び決算に編入されていない(町と別に決算を行っている)こと等の事実を総合すると、請求人は、名称こそ財産区と称しているが、その実態は自治会であり、法人税法上の人格のない社団等に該当すると認められるため、その所有地に係る不動産賃貸業(収益事業)につき、法人税の納税義務を負う。
要旨
請求人は、本件相続税の計算に当たり、本件被相続人の所有する本件土地に請求人の自宅を昭和52年に新築する際、被相続人と請求人との間で借地契約を締結し、これに基づき地代を支払っていたことなどから、本件土地は貸地(底地)である旨主張する。
しかしながら、本件土地の利用関係は、権利金の授受がなされておらず、かつ、地代の額が近隣の相場の半分以下であること、被相続人から請求人らに対して地代の額を上回る相当額の生活費の支払や現金の贈与がなされていることなどから、親子という特殊関係に基づく使用貸借であって、賃貸借ではないと解するべきである。
要旨
請求人は、揮発油税法の規定からすると、単なる混和が製造に当たらないと主張するが、揮発油税法では、揮発油の製造に関し、同法第6条に製造とみなす場合について規定しているほかに明確な定義規定が設けられておらず、「製造」の定義については社会通念に照らして解釈する必要があるところ、社会通念による製造の概念は、材料又は原料に物理的操作を加え、又は化学的変化を与えることによって一つの物を造り出す行為をいい、この場合、材料又は原料が新品であるか中古品であるかを問わず、また、素材であるか製品であるかを問わないと解されているから、揮発油の製造について定義する揮発油税法基本通達第9条1項の定めは正当なものと認められる。
したがって、揮発油に揮発油以外の物を混和して揮発油とする行為は揮発油の製造に、また、その混和を行う者は揮発油の製造者に該当することになり、当該製造者は、当該製造場から移出した揮発油について、揮発油税法等の規定するところにより、揮発油税等の納税義務者となる。
評価基本通達に定める路線価等を適用しないで土地の時価を算定するときは路線価の評価水準等を考慮する必要はなく、また、相続税法第17条に定めるあん分割合につき請求人らが申告に使用した端数処理の方法には合理性が認められないとした事例
裁決事例集 第62集 352頁
要旨
請求人らは、本件土地の価額は時価である取引価額に路線価の評価水準を乗じ、さらに、評価基本通達に定める各種減額を適用すべきである旨、また、原処分庁が更正する場合の相続税法第17条に規定するあん分割合は相続税法基本通達17-1の定めにより、請求人らが申告に使用した端数処理の方法を適用すべきである旨主張する。
しかしながら、評価基本通達に定める路線価等を適用しないで土地の時価を算定する場合に、路線価の評価水準を考慮する必要はなく、路線価等を基に画一的に時価を算定する場合に適用するものとしている各種の減額を適用する余地もない。
また、相続税法基本通達17-1は、合理的な端数処理を行っている場合には、納税者によって選択されたその端数処理によって相続税額を計算することができることとした取扱いであるが、本件は、請求人らが選択した端数処理の方法に明確な基準は見出せず、合理性があるものとは認められないから、原処分庁はその方法を選択できないのであって、相続税法17条の規定に基づいてした原処分庁のあん分割合に違法はなく、請求人の主張には理由がない。
上場株式等の現物出資及びその低額受入処理という相続税回避行為に係る非上場株式を純資産価額方式により評価するに当たり法人税等相当額を控除することは相当でないとした事例
裁決事例集 第62集 380頁
要旨
請求人は、本件出資及び本件株式の純資産価額方式による評価について、評価基本通達の定めに従って、法人税額等相当額を控除して評価すべきである旨主張するが、本件のように、ことさら評価差額を人為的に作出して相続税の軽減を図っているような場合に、評価基本通達を形式的、画一的に適用し、法人税額等相当額を控除することは、評価基本通達の趣旨に沿わないのみならず、このような計画的な行為を行うことのない納税者との間での租税負担の公平を著しく害し、又、富の再分配機能を通じて経済的平等を実現するという相続税法の立法趣旨に反する著しく不相当な結果をもたらすこととなるから、評価基本通達によらないことが相当と認められる特別な事情があるとして、法人税額等相当額を控除しないで計算したものをもって当該出資及び当該株式の時価とみるのが相当である。
要旨
請求人は、本件競走馬の保有に係る所得は事業所得に該当すると主張する。
しかしながら、競走馬の保有に係る業務が所得税法第27条第1項にいう事業に該当するかどうかは、単に、その営利性、有償性、継続性、反復性の有無のみならず、業務に費やした精神的・肉体的労力の程度、業務のための人的・物的設備の有無、投下資本の調達方法、その者の職業(職歴)、社会的地位、生活状況及び当該業務から相当程度の期間継続して安定した収益が得られる可能性が存するか否か等を総合的に検討し、一般社会通念に照らして判断するのが相当であるところ、平成6年から平成10年までの間における請求人の保有する本件登録馬の頭数は、登録期間が6月以上のものは1頭ないし3頭と少数である上、請求人は、本件競走馬の保有に当たり、特別な事業所や設備は設置していなく、請求人は、専属の従業員も雇用しておらず、その管理運営は専ら第三者に委託していること、請求人は、主として建設工事業の業務に基づく所得により生計を賄っていたこと、請求人の本件競走馬に係る所得は、平成10年分こそ利益を計上したが、平成5年分ないし平成9年分は専ら損失の金額を計上するのみであったこと等からすると、本件競走馬の保有は、事業所得の基因となる事業といえるための諸要素を欠くものというほかなく、いまだ所得税法施行令第63条第12号に規定する「対価を得て継続的に行う事業」とは認められないというべきである。
要旨
請求人は、居住用と居住用以外の建物の敷地となっている不動産につき持分で贈与を受けた場合には、贈与当事者の真意を汲んで配偶者の特別控除の特例の適否を判定すべきであると主張するが、当該特例は、生存配偶者の老後の生活安定に配慮する趣旨から、一生に一度限り、その取得した居住用財産の課税価格から2千万円を限度として控除することを、登記簿の謄本等の提出を要件として認める措置であり、その解釈は厳格にされるべきである。
したがって、本件においては、本件受贈財産のそのすべてが居住用家屋の敷地であるとはいえず、請求人の更正の請求には理由がない。
要旨
請求人は、土地の取得に際して売主に支払った固定資産税等について、その経済的実質を考慮すると租税公課そのものであるから、損金の額に算入すべきであると主張するが、土地等の非減価償却資産についても、法人税法第22条第4項、同法施行令第54条を適用し、資産の取得のために実質的に欠かせない費用と認められるものがあれば、それは「資産の購入のために要した費用」とするのが相当であるところ、本件において、買主である請求人は地方税法上の当該固定資産税等の納税義務者でないから、請求人が支払った当該金員は、固定資産税等として市町村に納付するものでなく、固定資産税等の負担なしに当該土地を取得できる対価として売主に支払う固定資産税等に相当するものといえるため、それは、本件土地の取得のために実質的に欠かせない費用であり、「資産の購入のために要した費用」として当該土地の購入の代価に加算するのが相当である。
要旨
請求人は、先輩からの言い伝えを信じて申告したにすぎず、ほ脱の意思をもっていなかったのであるから、請求人の行為は、国税通則法第70条第5項に規定する「偽りその他不正の行為」に該当しない旨主張する。
しかしながら、当審判所の調査の結果によれば、請求人は、各年分の確定申告に当たり、実際の給与等の収入金額を給与明細書等により承知し得たにもかかわらず、多額の金額を除外した後の金額を各年分の確定申告書の給与収入金額欄に記載し、その結果、多額の税額を免れていたことが認められる。
さらに、請求人が、過去に日本の法人に勤務していたことからして、同人において、800万円をも上回る金額が、非課税所得分の支給額として不相当に高額であると認識し得なかったとは到底認められず、同人は、合理的な根拠もなく恣意的に給与等の収入金額を除外して申告したものと認めるのが相当である。
これらのことからすれば、請求人が正当な税額を免れる目的で、所得金額をことさらに過少に記載した申告書を提出したことは明らかであり、請求人の行為は、本件規定における「偽りその他不正の行為」に該当する。
震災特例法の免税規定を知らずに登録免許税を納付した者が、その後、被災者証明書を添付して行った還付通知すべき請求に対してなされた、還付の通知をすべき理由がない旨の通知処分は適法とした事例
裁決事例集 第62集 480頁
要旨
請求人は、阪神・淡路大震災の被災者等に係る国税関係法律の臨時特例に関する法律(震災特例法)第37条《阪神・淡路大震災の被災者が新築又は取得した建物に係る所有権の保存登記等の免税》第1項の規定の存在を知らずに登録免許税を納付したもので、過誤納といえるから、所轄税務署長に対し還付通知すべきである旨主張する。
しかしながら、震災特例法第37条第1項は、新築又は取得をした建物で政令で定めるものの所有権の保存又は移転の登記については大蔵省令で定めるところにより受けるものに限り登録免許税を課さない旨規定し、震災特例法施行規則第20条第1項は、その登記申請書に市町村長の証明に係る書類で阪神・淡路大震災により所有建物に被害を受けた者の氏名及び住所並びに当該建物の所在地の記載があるものを添付しなければならない旨規定しており、そして、震災特例法には、登記申請時に証明書の添付がない場合でも当該免税規定の適用を受けることができるとするゆうじょ規定は存在しないため、本件で過誤納の事実があったということはできず、請求人の主張には理由がない。
要旨
請求人は、原処分庁は滞納国税を相当額上回る価額の土地3筆と建物を差し押さえたのであるから、国税徴収法第48条《超過差押及び無益な差押の禁止》第1項に規定する超過差押えに該当する旨主張する。
しかしながら、当審判所の調査によれば、請求人は本件差押財産のほかに換価できる財産を有しておらず、差押財産である土地と建物は一体として請求人の居住の用に供されており、また、これらの全部に差押国税に優先する根抵当権が設定されていると認められるところ、仮に、原処分庁が差押財産のうちの一部の財産を差し押さえるとすると、分割することによって差押財産の経済的価値が害されることになり相当ではない。
以上のことからすれば、原処分庁のした差押処分は、差押財産の担保価値の維持、有効利用の見地、優先債権者への配当等を考慮した妥当なものといえるから、国税徴収法第48条第1項に規定する超過差押えには該当しない。
要旨
請求人は、配偶者に対する相続税額の軽減の特例の適用を受けるため提出した「遺産が未分割であることについてやむを得ない事由がある旨の承認申請」(以下「本件承認申請」という。)を却下する旨の処分(以下「本件却下処分」という。)は違法である旨主張するが、本件承認申請は、申請期限を徒過して提出されているは明らかであり、また、申告期限内に申請書の提出がなかった場合に税務署長の裁量により申請を認めることができる旨を定めた法令の規定もないことから、本件却下処分は適法であるといわざるを得ない。
要旨
請求人は、本件特別リベートは過去の建材仕入れに係るリベートとして受け取ったものであるが、仕入先F社と金額の協議が整っていないにもかかわらず、F社が一方的に請求人の事務所に置き去ったので収益に計上せず金庫に預かっていたものであると主張する。
しかしながら、本件特別リベートは、予め契約により定まっているものではないところ、F社は、請求人に対して過去の取引に係る特別リベートの精算であることを請求人の代表者に告げた上で現金を手渡したものであるので、F社からの通知により請求人が認識した日の属する事業年度の益金に計上するのが相当であるので更正処分は適法である。
しかし、請求人は、本件特別リベートの金額に不満を持ち、F社との協議が整うまで収益に計上しなくてよいとの認識で調査日現在まで金庫にそのまま預かっていたものと認められ、金員を受領した事実を隠ぺい又は仮装することを意図して収益を除外したとは認められないので、重加算税の賦課決定処分のうち過少申告加算税額を上回る部分は取り消すのが相当である。
要旨
請求人は、本件修正申告書は、原処分庁の度重なるしょうようによって、本件工事が個人的取引であると認識しつつも、請求人の無知によって誤って提出したものであるから無効である旨主張する。
しかしながら、本件工事に係る請求人の前代表者は本件調査に立ち会っており、また、修正申告のしょうようの際、原処分庁は現代表者と前代表者が同席しているところで、本件工事に係る売上及び原価が計上漏れとなっていることを指摘している事実が認められる。
さらに、本件修正申告書は調査終了後相当期間経過した日後に提出されていることから、請求人において十分に検討の上提出したものと認められる。
以上のとおり、請求人は、本件工事に係る売上及び原価が請求人に帰属することを十分認識して本件修正申告書を提出したものと認めるのが相当であり、本件修正申告書を提出したことについて明白かつ重大な錯誤があるとは認められないから、本件修正申告書は無効ではない。
要旨
請求人は、砂利採取業者による海砂採取に際して、同社から受領した金員(本件金員)は請求人の組合員に対する漁業補償金であり、組合員に帰属するものであるから、その配分金額が確定するまで仮受金として計上することが認められる旨主張する。
しかしながら、共同漁業権は漁協とその組合員全員に質的に分有され、漁協は漁業権の保有主体として管理機能を、組合員全員はその収益権能(漁業権行使権)をそれぞれ有していると解されるところ、本件金員は、請求人が砂利採取業社による共同漁業権設定水域外の水域における海砂採取に同意することに伴い受領した、請求人に帰属するものであって、所得税法施行令第94条(事業所得の収入金額とされる保険金等)第1項第2号に規定する補償金とは認められず、請求人の所得の計算上益金の額に算入すべき金額であるため、請求人の主張は採用できない。
請求人の被相続人が提出した確定申告書は、被相続人が現処分庁所属の担当職員の言われるままに署名押印し、その内容について納得せずに提出したものであり無効であるから、無効な確定申告により確定した滞納国税を徴収するため行われた差押処分も違法であるとの主張を排斥した事例
裁決事例集 第62集 505頁
要旨
請求人は、請求人の被相続人が原処分庁へ提出した確定申告書は、請求人の被相続人が原処分庁所属の担当職員に言われるままに署名押印し、その内容について納得せずに提出したものであり、無効であるから、無効な確定申告書に係る滞納国税を徴収するため行われた差押処分は違法である旨主張する。
しかしながら、担当職員が、被相続人の申立てに基づき確定申告書の金額欄に記載し、被相続人本人が確定申告書に署名押印した事実は認められるものの、担当職員が請求人の被相続人の意思に反して確定申告書の提出を強要したとする事実は認められない。
また、請求人の被相続人は当時年齢82歳と高齢ではあるものの、原処分庁所属の徴収担当職員と再三にわたり滞納国税の納付について相談を行い、納付の意思を示していたことなどから、確定申告書の内容について納得していたと認めるのが相当である。
なお、確定申告書の記載内容の過誤の是正については、錯誤が客観的に明白かつ重大であって、法が定めた方法以外に是正を許さないならば納税義務者の利益を著しく害すると認められる特段の事情がある場合でなければ錯誤の主張が許されないと解されているところ、本件についてはこれに該当する事実は無いと認められるから、その是正は更正の請求により行うべきである。
以上のとおり、請求人の主張には理由がなく、差押処分は適法に行われていると認められるから、原処分は適法である。
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