裁決事例 裁決事例集 第66集

裁決事例 裁決事例集 第66集

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平成15年12月19日裁決

延滞税は適法に確定し、かつ、完納されていないから、督促処分は適法であるとした事例

裁決事例集 第66集 31頁

要旨

 請求人は、原処分庁が確定申告の早期審査の責任を果たさず、請求人の確定申告の審査及び修正申告のしょうようを遅延したもので、これは国税通則法施行令第26条の2に規定するいわゆる「人為による災害又は事故」に該当するから、修正申告をするまでの期間に対応する延滞税を免除すべきである旨主張し、延滞税に係る督促処分の取消しを求めている。
 しかしながら、本件延滞税は、適法に確定し、かつ、完納されていないから、本件督促処分は適法であって、違法、不当な点はない。
 仮に、請求人の主張どおり、延滞税を免除することができる場合に該当し、免除しないことが違法であるとしても、当然に免除の効果が発生するわけではないから、現実に免除がされておらず本件各延滞税が存在する以上、原処分の適法性に何ら影響はない。
 なお、確定申告の審査事務の処理の時期及び方法は税務署長の裁量にゆだねられており、少なくとも法定の更正の期間制限内の是正処理は法が当然予定しているところと解され、審査等を遅延したという請求人の主張には理由がない。また、国税通則法施行令第26条の2の「人為による異常な災害又は事故」は、当該災害又は事故が納税者の責に帰すべき事由により生じたものである場合は除かれるところ、本件では、請求人自身が誤った確定申告書を作成して提出したことから、原処分庁による指摘が必要となったものであり、そもそも請求人の責に帰すべき事由により生じた事態であるから、請求人の主張することは「人為による災害又は事故」に該当しない。

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平成15年12月17日裁決

約40年に1度行われた立木の譲渡であっても、山林の反復、継続的な育成、管理が行われていた場合には、事業として対価を得て行われる資産の譲渡に該当するとした事例

裁決事例集 第66集 309頁

要旨

 請求人は、「事業として行う資産の譲渡」というには、反復、継続が必須であるところ、約40年間立木の譲渡はなく今回初めて譲渡したものであって反復、継続していないこと、今回譲渡した立木は、当初3年程下草刈りをした後、10年後くらいに1回間伐しただけであり、以後27年間程度は何の手入れもしていないなど十分な育成、管理を行っていないことから、反復、継続の蓋然性があるともいえないこと、森林施業計画に係る森林の伐採の届出書は、育成、管理したことを証明するものではなく、森林施業計画の認定を受けたカラマツを伐採、譲渡したことをもって、反復、継続的に育成、管理していたとはいえないことから、本件立木の譲渡は課税資産の譲渡に該当しない旨主張する。
 しかしながら、山林の育成には長期間を要するのが通例であることから、山林の伐採又は譲渡が消費税法第2条第1項第8号の「事業として」に該当するかどうかは、伐採又は譲渡の反復性、継続性のみにより判断するのではなく、伐採又は譲渡の準備行為ともいえる山林の育成、管理の度合いも加味して総合的に判断すべきものと解されるところ、請求人は、森林法第11条第1項に規定する森林施業計画を定期的に作成し市町村の長にその認定を求めていること、P市長に対し「立木の伐採(譲渡)証明申請書」を提出し、本件譲渡が森林施業計画に基づくものであるとの証明を受けていること及びT広域森林組合のJ総務部長の「請求人が今回譲渡した立木は成長も悪くなく、手入れをしていたということは、はっきり分かった」との申述からすれば、本件立木の譲渡は、森林施業計画に基づき反復、継続的な育成、管理が行われていたと認めるのが相当である。
 以上のとおり、本件立木の譲渡は消費税法第2条第1項第8号に規定する「事業として対価を得て行われる資産の譲渡」に該当するとした本件更正処分は適法である。

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平成15年12月16日裁決

請求人の申告行為に重要な関係のある相当な権限を有する地位に就いている従業員の行った売上除外について、請求人の行為と同一視すべきであるとして、重加算税の賦課決定処分を認容した事例

裁決事例集 第66集 49頁

要旨

 重加算税制度の趣旨からすれば、隠ぺい又は仮装行為については、その行為者は納税者たる法人の代表者に限定されるものではなく、法人の代表者がその事実を知らなかったとしても、役員や従業員等で経営に参画していると認められる者及び納税者の申告行為に重要な関係のある相当な権限を有する地位に就いている者が事実を隠ぺいし又は仮装し、かつ、代表者がそれに基づき過少申告した場合は、当該法人の代表者が納税申告をするに当たり、隠ぺい又は仮装行為を知っていたか否かに左右されることなく、当該法人の行為と同一視されると解される。
 本件について判断すると、請求人の経理業務を任され、広範な経理業務に従事していた従業員Nは、売上げ及び売掛金については、「売掛残高一覧表」に真実の売上げを記載していたにもかかわらず、売上代金として受け取った手形の一部をNが開設した請求人名義の預金口座で取り立て着服する一方で、取引先に係る売上げ及び売掛金の入金の各金額を過少に記載し、経理帳簿を仮装していたことが認められる。
 そして、Nは、請求人の印鑑、通帳だけでなく、請求人の代表者の私印についても預けられるなど、その信頼は厚かったのであり、請求人の経理業務全般について任された上、決算や確定申告に関わる経理帳簿等の作成等に従事するとともに、請求人の確定申告書の「経理責任者自署押印」欄に自分の氏名を記名、押印し、これを提出していることからすると、請求人の申告行為に重要な関係のある相当な権限を有する地位に就いている従業員であると認められる。
 そうすると、Nは、請求人の申告行為に重要な関係のある相当な権限を有する地位に就いている従業員であり、同人の行為は請求人の行為と同一視すべきであるといわざるを得ない。

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平成15年12月12日裁決

簡易課税制度を選択していた課税事業者が、免税事業者に該当する課税期間について課税事業者選択届出書を提出したとしても、当該課税期間において本則課税を適用して消費税の仕入れに係る消費税額を算出することは認められないとした事例

裁決事例集 第66集 341頁

要旨

 請求人は、課税事業者に該当することから簡易課税制度を選択したものであり、免税事業者であれば簡易課税制度を選択することもないし、消費税法第37条は法的効力も有しないところ、請求人の本件課税期間に係る基準期間の課税売上高は3000万円以下であり、免税事業者であるにもかかわらず、本件課税期間について課税事業者選択届出書を提出することにより、消費税法第9条第1項本文の特例規定の適用を放棄して課税事業者となったのであるから、本件課税期間の仕入れに係る消費税額の計算においては、消費税法第37条の規定の適用はなく、原則計算である同法第30条の規定により行うこととなる旨主張する。
 しかしながら、[1]請求人は平成7年3月23日に簡易課税選択届出書を提出した後、平成14年12月24日に簡易課税制度選択不適用届出書を提出しているが、それ以前に簡易課税制度選択不適用届出書を提出した事実は認めらないこと、[2]平成14年6月24日に適用開始日を本件課税期間の開始日とする課税期間特例選択届出書を提出した上で、本件課税期間について課税事業者選択届出書を提出していること及び[3]本件課税期間に係る基準期間における課税売上高は2億円以下であることから、期間において簡易課税制度の適用を受ける事業者であることは明らかである。
 消費税法第9条第4項に規定する課税事業者選択届出書を提出した事業者は、同条第1項本文の規定の適用はないのであるから同法第37条第1項のかっこ書きにある「同法第9条第1項本文の規定により消費税を納める義務を免除される事業者を除く」の規定により同法第37条の規定が適用されないと解する余地はないといわざるを得ず、請求人の主張は独自の見解に基づくものであるから、採用することはできない。
 以上のとおり、原処分庁が、請求人の本件課税期間の消費税等について簡易課税制度を適用して仕入れに係る消費税額を算出したことは相当と認められる。

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平成15年12月9日裁決

年の中途で死亡した被相続人の所得税の確定申告書を、相続人がその法定申告期限までに提出しなかったことについて、国税通則法第66条第1項に規定する「正当な理由」があるとは認められないとした事例

裁決事例集 第66集 40頁

要旨

 請求人らは、所得税法第125条の規定により所得税の確定申告書を提出すべき被相続人が年の中途で死亡した場合の申告期限が相続開始を知った日の翌日から4か月以内であることを知らなかったことは税務官庁の広報不足によるものであることから、無申告加算税を賦課しない場合の「正当な理由」に該当する旨主張する。
 しかしながら、請求人らの主張は、税法の不知を理由とするものであるから、国税通則法第66条第1項ただし書に規定する「正当な理由」があると認められる場合には該当せず、また、申告は、本来、納税義務のある者が自らの判断と責任においてなすべきものであるから、無申告加算税を賦課しない場合の正当な理由があると認められるか否かが税務官庁の広報活動の有無により左右されるものではない。
 そして、本件申告書が法定申告期限後に提出されるに至ったのは、相続人の一人が法定申告期限を誤解していたことによるものと推認されるから、「正当な理由」があると認められないことは明らかである。しかも、原処分庁には、確定申告の期限が掲載された各種の広報資料なども常備されており、請求人らにおいて申告等に疑問な点があれば,最寄りの税務官庁に問い合わせることもできたものである。
 以上のことからすると、請求人らの主張する当該事情は、「正当な理由」があると認められる場合に該当しない。

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平成15年12月5日裁決

合併に際して被合併法人の株主に交付されたいわゆる合併交付金が、被合併法人の利益の配当であるかの判定に当たり、合併契約書等にその旨の記載がない場合には、合併交付金が支払われた経緯、支払いを受けた株主の認識等を総合的に検討して判断するのが相当であるとした事例

裁決事例集 第66集 245頁

要旨

 原処分庁は、合併交付金が配当に代わる金銭である場合には、その旨が合併契約書等において明らかにされていなければならないと主張する。
 しかしながら、合併に際して被合併法人の株主に交付されたいわゆる合併交付金が、被合併法人の利益の配当であるかの判定に当たり、合併契約書等にその旨の明示又は記載がない場合には、当該合併交付金が支払われる経緯、支払いを受けた株主の認識等を総合的に検討し、実質的に、合併交付金のうちに利益の配当相当額があるかどうかを判断するのが相当である。
 そこで、合併契約書等において最終期の利益の配当として交付する旨の記載がない本件合併交付金について調査したところ、本件合併交付金は合併比率調整のための交付金とは認められず、最終期の利益の配当を行なう実情及び動機はあったことが認められ、被合併法人の法人株主のうち調査した4社及び個人株主であった全員が本件合併交付金を配当としてそれぞれ申告していることが確認できる。また、請求人は本件合併交付金の支払い時に利益の配当として所得税を源泉徴収しており、株主には配当金である旨を通知している。
 したがって、本件合併交付金の実質は、被合併法人の株主に対する最終期の利益の配当として交付された金銭であると認めるのが相当であるから、本件合併は、被合併法人の株主に対して請求人の株式以外の資産を交付していない適格合併となり、所得税法第25条第1項は適用されず、みなし配当の額は発生しない。

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平成15年11月25日裁決

帳簿の記帳を委託されていた者の仮装行為について、請求人の指示又は依頼に基づき架空計上を行ったものと認めることができると判断した事例

裁決事例集 第66集 69頁

要旨

 請求人は、請求人から帳簿の記帳を委託されていた者(以下「記帳担当者」という。)に仮装行為を指示した事実はなく、仮装行為を容易に発見できる専門的知識もないから、請求人の行為と同一視すべきではない旨主張するが、記帳担当者は、実際の現金及び預貯金の出し入れには一切関与しておらず、仕入等の架空計上による利益はもっぱら請求人が受けるものであって、記帳担当者には何らのメリットもないこと、請求人の収入金額は、年々減少していたが、平成11年分は一転して増額に転じていること、記帳担当者の申述は、具体的内容を持つものであり、他の事実から検証しても真実性の高いものであるといえることからすると、記帳担当者は、請求人の指示又は依頼に基づき本件架空計上を行ったものと認めることができる。
 したがって、請求人が国税通則法第68条第1項に規定する「事実の全部又は一部を隠ぺいし、又は仮装した」ということができる。

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平成15年11月21日裁決

適法な競売手続により落札された競落代金は、裁判所が評価した最低競売価額より相当高額になったとしても、課税資産の譲渡等の対価の額として相当であるとした事例

裁決事例集 第66集 322頁

要旨

 請求人は、裁判所の競売による建物の売却価額は創出された特異な価額であるから、裁判所評価額を税務計算における譲渡対価の額にすべきである旨主張する。
 しかしながら、競売手続は、裁判所により適法に行なわれており、また、民事執行法60条1項及び同法63条3項からみれば、裁判所評価額は落札可能な最低限度額を示したものであり、実際に売却された価額、すなわち、競売価額でないことは明らかである。
 さらに、譲渡とは、権利を他に移転することをいい、競売、公売、収用、物納又は現物出資等も含まれると解されるところ、抵当権を実行するための競売は、担保権の内容を実現する換価行為であり、競落人は、目的不動産の所有権を承継取得するものであるから、「資産の譲渡」に該当し、競落代金が譲渡対価の額となる。
 なお、請求人は、落札価額が特異な価額である旨主張するが、不動産の売買に当たっては、買主にとってその取得の必要性が大きければ大きいほど通常の取引価額を超えた売買が行なわれ、売買価額が高額になることは一般に見られるところであり、高額であるからといって、その売買価額が当該不動産の売買価額に当たらないという理由にはならない。

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平成15年11月20日裁決

取引相場のない株式について、純資産価額(相続税評価額によって計算した金額)を参酌した価額と取引価額の差額に相当する金額を経済的利益として一時所得と認定した事例

裁決事例集 第66集 155頁

要旨

 請求人は、請求人が代表取締役となっているE社の株式をF社から取得した本件取引は、利害関係のない第三者間の自由な経済取引であり、このような取引において成立した価額は客観的交換価値である時価そのものといえるから、請求人には経済的利益は発生しない旨主張する。
 ところで、所得税法第36条第1項に規定する経済的利益には、資産を低い対価で譲り受けた場合におけるその資産のその時における価額、すなわち時価とその対価の額との差額に相当する利益が含まれると解される。また、時価とは、その時点における客観的交換価値を指すものと解すべきであり、この交換価値とは、それぞれの財産の現況に応じ、不特定多数の当事者間において自由な取引が行われる場合に通常成立すると認められる価額であって、いわゆる市場価格をいうものと解される。
 ところが、E社の株式は、取引相場のない株式であり、かつ、適正と認められる売買実例及び類似法人で株式等の価額がある株式とは認められないので、所得税基本通達23~35共-9により純資産価額等を参酌して通常取引されると認められる価額を算定するのが相当であり、その価額の具体的な算定に当たっては、財産評価基本通達178以下の例によるのが相当である。
 そして、財産評価基本通達により算定したE社株式の時価と本件取引価額との差額に相当する金額については、経済的利益として享受したものと認められ、この経済的利益に係る所得は、利子所得、配当所得、不動産所得、事業所得、給与所得、退職所得、山林所得及び譲渡所得のいずれにも該当せず、かつ、営利を目的とする継続的な行為から生じた所得以外の一時の所得であって、労務その他の役務又は資産の譲渡の対価としての性質を有しないものであるから、所得税法第34条第1項に規定する一時所得に該当する。

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平成15年11月19日裁決

ソフトウエアに係る著作権を侵害したとして外国法人に対し支払った金員は、所得税法第161条《国内源泉所得》第7号ロに規定する著作権の使用料に当たるとした事例

裁決事例集 第66集 200頁

要旨

 所得税法161条7号ロに規定する「著作権」とは、著作権法上の著作権と同義に解することが相当であるところ、「著作権の使用料」とは、所得税基本通達161-23のとおり、著作物の複製その他著作物の利用につき支払を受ける対価の一切をいうものと解され、その対価には、所得税基本通達161-7のとおり、当該対価等として支払われるものばかりでなく、当該対価等に代わる性質を有する損害賠償金その他これに類するもの(その支払が遅延したことに基づく遅延利息等に相当する金額も含む。)も含むと解することが相当である。
 これを本件についてみると、[1]本件和解金は、請求人が過去に本件ソフトウエアの著作権を侵害したことに対して支払われたものであること、[2]和解金には、ソフトウエアの新規購入分が含まれていないこと、[3]本件和解金は、本件ソフトウエアの単価×使用数の1.3倍で算出され、使用料を基礎としていることなどから判断すると、本件和解金は、著作権者に対して著作権の侵害により生じた著作権の使用料(本来、本件著作権者が得ていたであろう利益の喪失分)として支払われたものと解することが相当である。
 したがって、本件和解金は、実質的には、著作権の対価等に代わる性質を有するものと認められ、所得税法161条7号ロに規定する著作権の使用料に該当し、国内源泉所得となるから、所得税法212条1項の規定により所得税の源泉徴収の対象となる。

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平成15年11月7日裁決

納税申告書を運送事業者の行う宅配便を利用して発送した場合、国税通則法第22条に規定する郵便により提出された場合には該当しないとした事例

裁決事例集 第66集 1頁

要旨

 国税通則法第22条で規定する「郵便」とは、信書及びその他の物をあて先に送達する事業であり、郵便法第2条において国の行う事業とされていることから、運送事業者の行う宅配便が郵便でないことは明らかである。
 そうすると、本件確定申告書の提出について国税通則法第22条の規定の適用はなく、本件確定申告書は期限後申告書となる。

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平成15年11月5日裁決

請求人が譲渡した土地に所在していた建物は、請求人が生活の本拠として使用していたとは認められないとした事例

裁決事例集 第66集 224頁

要旨

 請求人は、譲渡した本件土地に所在していた本件家屋は居住を目的とした財産であり、租税特別措置法第36条の6及び同法第36条の2の適用要件を満たしている旨主張する。
 しかしながら、本件家屋の電気及び水道の各使用料が僅少であること、請求人の通勤届けが本件家屋以外の家屋(家族の居住家屋)の所在地からであること、本件土地に係る境界確認書等の書類には、本件家屋以外の家屋(家族の居住家屋)の所在地を記載してあること、本件家屋の近隣住民が請求人は本件家屋には住んでいなかった旨答述していること、から、本件家屋は、請求人が生活の本拠として居住の用に供していたものとは認められず、租税特別措置法第36条の6及び同法第36条の2の規定を適用することはできないとした。

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平成15年10月27日裁決

修士及び博士課程の授業料等並びに米国の大学への寄付金は弁護士業に係る事業所得の必要経費とすることはできないとした事例

裁決事例集 第66集 120頁

要旨

 弁護士業を営む請求人は、大学院の修士及び博士課程の授業料等並びに米国K大学への寄付金は業務遂行上必要な支出であるから事業所得の金額の計算上必要経費に算入される旨主張する。
 しかしながら、修士及び博士課程の専攻は、請求人の営む弁護士業と関連性を有していることは認められるものの、むしろ請求人の自己研鑽のため進学したものと認めるのが相当で、また、当該寄付金の支出は、請求人の善意的心情からのものと認められ、いずれも業務遂行上直接かつ通常必要なものとは認められず、事業所得を生ずべき業務について生じた費用ではないから、所得税法第37条第1項に規定する必要経費とすることはできない。

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平成15年10月24日裁決

厚生年金基金の解散に伴う残余財産の分配金について、当該分配金には将来支給を受ける加算年金の額が含まれているが、当該加算年金の額は、退職に基因して支払われたものでないとして一時所得であるとした事例

裁決事例集 第66集 134頁

要旨

 年金受給者である請求人は、本件基金の解散に伴う本件分配金には、請求人が本件基金から受給する加算年金のうち、既に受給した加算年金を除き、将来支給をうける加算年金の額(以下「本件加算年金受給残額」という)が含まれ、本件加算年金受給残額は、退職に基因して支払われた一時金に当たり、退職所得である旨及び退職所得として本件分配金の額から控除すべきである旨主張する。
 しかしながら、本件分配金は、本件基金の解散に基因して支払われるものであること及び既に退職した者でなく、引き続き勤務している者であっても支払われるものであることからすれば、退職に基因して支払われたものでないというべきである。また、本件分配金が本件基金の解散に伴う残余財産を分配したものであるのに対し、請求人の主張する本件加算年金受給残額は、請求人の最終基本給を基に算定されており、その計算の算定方法が全く異なる上、関連性のないことが認められる。
 したがって、本件分配金は、本件基金の解散という偶発的事由を発生原因とする一時金であり、請求人の退職に基因して支払われたものでなく、将来の年金給付の総額との関連性を有していないものであることからすれば、所得税法第30条第1項に規定する退職手当等とみなすことはできない。
 また、営利を目的とする継続的行為から生じた所得以外の一時の所得で労務その他の役務又は資産の譲渡の対価としての性質を有しないものであることからその全額が一時所得に当たることとなる。

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平成15年10月22日裁決

地方公共団体への土地の寄付が、所得税法第78条第2項第1号に規定する「その寄付をした者がその寄付によって設けられた設備を専属的に利用することその他特別な利益がその寄付をした者に及ぶと認められるもの」に該当するとした事例

裁決事例集 第66集 170頁

要旨

 特定寄付金とされる所得税法第78条第2項第1号の「国又は地方公共団体に対する寄付金」のうち、「その寄付をした者がその寄付によって設けられた設備を専属的に利用することその他特別な利益がその寄付をした者に及ぶと認められるもの」を除く旨の規定は、その寄付をした者が形式的には寄付したものであっても、それにより特別の利益を受ける場合には、実質的にみて寄付とはいえないので、かかるものを除く趣旨であると解される。
 請求人は、側溝をまっすぐに改修してもらうよう本件土地を買い上げ、P市に寄付したものであり、所得税法第78条に規定する寄付金控除に該当する旨主張する。
 しかしながら、本件寄付があり市道が拡幅されることとなったため、請求人の要望どおり、側溝の設置工事が行われており、また、旧市道が拡幅及び舗装されたことにより、主として当該市道を日常的に利用する請求人及び近隣住民の通行等の利便性が従来に比べ向上し、特に、自宅への進入路が狭くなっていた請求人は、市道として拡幅、舗装された部分に接する自宅玄関側敷地に新たに出入り口を設けるなど、本件寄付前に比べ利便性が向上したことが他の利用者以上に顕著であり、本件寄付の利益を最も享受しているといえることから、所得税法第78条第2項第1号に規定する「その寄付をした者がその寄付によって設けられた設備を専属的に利用することその他特別な利益がその寄付をした者に及ぶと認められるもの」に該当し、特定寄付金には該当しない。

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平成15年10月9日裁決

同一日に宅地と居住用家屋を異なる業者から取得した請求人が、宅地の取得に係る債務のみを有している場合には、住宅借入金等特別控除の適用はないとした事例

裁決事例集 第66集 182頁

要旨

 請求人は、本件家屋及び本件土地を、同一日にそれぞれ異なる業者から取得しているが、これは土地・建物の一括購入で、租税特別措置法施行令第26条第18項ではなく、同条第10項の同時取得に該当し、同時取得・一体借入れとして住宅借入金等特別控除の適用がある旨主張する。
 しかしながら、請求人は、住宅借入金等特別控除の適用の前提となる居住用家屋の取得に要する資金に充てるための借入金を有しておらず、また、請求人の場合、適用対象となる住宅借入金等を土地等の取得又は借入金等の形態による4つに分類されたグループ(同時取得・一体借入れ型、先行取得・一体借入れ型、先行取得・分離借入れ型、建築条件付以外の先行取得・分離借入れ型)のいずれにも該当しないので、住宅借入金等特別控除の適用をすることはできない。

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平成15年10月9日裁決

自動車共済契約に係る対人賠償共済金支払請求権の差押えが適法であるとした事例

裁決事例集 第66集 382頁

要旨

  1.  請求人は、原処分庁が原処分を行うにつき何ら催告等をせず、請求人の財産調査もしない旨主張するが、差押処分を行うに当たって事前連絡や財産調査をしなければならない旨定めた法令の規定はなく、事前連絡や財産状況の調査をしなかったことをもって、原処分が違法、不当となるということはできない。
  2.  請求人は、原処分庁が差し押さえた共済金支払請求権以外にも求償債権を有していることから当該債権を差し押さえるべきであると主張するが、原処分は、国税徴収法第47条《差押の要件》第1項第1号の規定に基づき適法に行われており、また、滞納者の所有する財産のうち、いかなる財産を差し押さえるかは、徴収職員の合理的な裁量にゆだねられていると解されるところ、原処分が合理的な裁量の範囲を逸脱したものと認めるに足りる証拠はないから、本件差押処分を不当とすることはできない。
  3.  請求人は、原処分庁が差し押さえた自動車共済に係る対人賠償共済金支払請求権が差押禁止財産に当たる旨主張するが、当該請求権は、自動車損害賠償保障法第18条に定めるところの差押禁止財産である直接請求権には該当せず、また、国税徴収法第75条の一般の差押禁止財産ないし同法第78条の条件付差押禁止財産及び差押禁止財産を定めた他の法律のいずれにも該当しないことから、原処分は適法である。
  4.  請求人は、請求人の家族は生活保護を受けているから国税徴収法第153条第1項第2号に該当するので、滞納処分の執行を停止し、差押えを解除すべきである旨主張するが、請求人は、[1]相当程度の稼動能力を有していること、[2]取立てには困難性がうかがわれるものの約4,100万円の求償債権を有していること等を考慮すると、原処分庁が国税徴収法第1項第2号に基づく滞納処分の執行停止をしなかったことには裁量権の逸脱はないと認められるので、原処分が違法であるとはいえない。
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平成15年9月25日裁決

すべての使用人に対して、雇用されている限り毎年誕生月に支給している誕生日祝金について、その支給形態等が、広く一般に社会的な慣習として行われているとは認められないとして所得税法第28条第1項に規定する給与等に当たるとした事例

裁決事例集 第66集 212頁

要旨

 請求人は、本件誕生日祝金を請求人の誕生祝実施要領に基づき、各使用人の誕生月に独身者は10,000円、既婚者は15,000円を現金で支給しており、誕生日祝金の支給は、使用者と使用人との間に限らず広く一般に社会的な慣習として行われているので、本件誕生日祝金は、所得税基本通達28-5のただし書きに定める給与等として課税しなくて差し支えない結婚祝金品等に該当する旨主張する。
 しかしながら、ある金品の交付が、所得税基本通達28-5による例外的取扱いが認められるためには、少なくとも、その金品の交付が広く一般に社会的な慣習として行われていることを要するところ、本件誕生日祝金は、すべての使用人が、請求人に雇用されている限り、毎年誕生月に支給されるものであって、その支給形態等において、広く一般に社会的な慣習として行われているとは認められない。
 したがって、請求人の主張は採用できない。

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平成15年9月5日裁決

株式の売買代金が時価相当額より低額であるとして類似業種比準価額方式により評価し、売主に対して所得税更正処分等、買主に対して法人税更正処分等がそれぞれなされた場合において、売主側が提起した所得税更正処分等取消訴訟において当該処分等の取消判決が確定しても、買主側は国税通則法第23条第2項第1号に基づく更正の請求をすることはできないとした事例

裁決事例集 第66集 9頁

要旨

 請求人は、株式の売主側が提起した所得税更正処分等取消訴訟において株式の評価方法が否定されて取消判決(以下「本件判決」という。)が確定したことから、本件判決が国税通則法第23条第2項第1号に規定する判決に該当するとして本件更正の請求をしたものであるが、同項に規定する判決とは、申告等に係る課税標準等又は税額等の計算の基礎となった事実の得喪変更に関する訴訟に係る判決を意味するところ、本件判決は、株式の売主側が提起した所得税更正処分等取消訴訟についてなされた判決であり、本件判決によって、株式の買主である請求人に対する法人税更正処分等に係る課税標準等又は税額等の計算の基礎となった事実そのものを左右するものではないから、同項の規定による更正の請求をすることはできない。

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平成15年9月2日裁決

貸宅地の評価においては、一般に借地権価額控除方式には合理性があり、また、請求人らが採用した収益還元方式の「純収益」や「還元率」は標準化されたものとは認められないとして、請求人らの主張する評価方式を排斥した事例

裁決事例集 第66集 265頁

要旨

 財産評価基本通達では、貸宅地の価額は、借地権価額控除方式により評価するとしているが、この評価方法は、借地権の取引慣行のある地域では、底地価額は、単なる地代徴収権の価額にとどまらず、むしろ将来、借地権を併合して完全所有権とする潜在的価値に着目して価額形成されているのが一般的であると認められ、このような場合には、底地価額を借地権価額控除方式により評価するのが相当であると考えられることなどによるものであると解される。この評価方法は、相続税法第22条の趣旨及び財産評価基本通達の考え方に照らし、当審判所においても合理性を有するものと認められるから、請求人らの「宅地上の借地権の価額と貸宅地(底地)の価額との総和は自用地としての価額よりも低い水準にとどまるものであるから、評価基本通達が定める借地権価額控除方式により算定した価額を時価とするのは相当ではない」との主張は相当ではない。
 また、請求人らは、本件鑑定評価が収益還元方式による収益価格と底地取引事例から決定した底地権割合により求めた試算価格を加重平均する評価方法が合理的な評価方法であると主張する。
 しかしながら、収益還元方式は、標準化された適正な「純収益」を用いて、これを適正な「還元利率」で還元する必要があるところ、一般に、収益還元方式による土地の価額の測定においては、「純収益」の標準化や、「資本還元率」の設定に当たり、その客観的、理論的な算定方法も見いだし難い状況にあるものと認められ、本件鑑定評価においても、その根拠は示されていない。
 さらに、借地権割合については、原処分庁において、長年にわたり、借地権の売買実例価額、精通者意見価額等を基として評定され、公開されているものであるから、一定の地域における借地権の実勢価額を反映しているものと考えられるが、本件鑑定評価において収集した取引事例には底地割合にかなりのばらつきがあるということから、取引事例から求められた底地割合が、その地域の底地の実勢価額を反映し得るほどの指標性をもつものとは認め難いと言わざるを得ない。
 以上のことから、請求人らの主張する評価方法には、相続税法第22条の趣旨及び財産評価基本通達の考え方に照らして、いずれも合理性を有するものとは認めがたい。

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平成15年8月8日裁決

告知処分時において譲渡担保権の実行は完了しておらず、被担保債権は消滅していないから、譲渡担保権者の物的納税責任に関する告知処分は適法であるとした事例

裁決事例集 第66集 363頁

要旨

 請求人は、本件債権につき、第三債務者に対し、債権譲渡通知及び担保権の実行を通知するとともに、登記事項証明書を送付していることから、本件債権は、告知処分の時点において、既に請求人に移転し、滞納会社に復帰する可能性はなく、担保の目的たる財産でなかった旨主張するが、本件債権は、告知処分の時点において、いまだ第三債務者から請求人への支払いがなされておらず、請求人の滞納会社に対する被担保債権が消滅していないことから、譲渡担保権財産であると認められる。
 請求人は、譲渡担保契約について、請求人と滞納会社Gの破産管財人との間で破産法の否認権行使の対象となるか否かの訴訟が係属中にもかかわらず、その判決の出る前に請求人に対してなされた告知処分は不当である旨主張するが、当該告知処分は、国税徴収法に基づき適法になされたものであり、また、否認権行使の効果は、否認の対象となった債権譲渡行為が破産管財人と請求人との間でさかのぼって無効となるにすぎず、そうすると、否認権訴訟の裁判の結果が原処分庁の行った告知処分の適法性に影響を及ぼすものではない。
 請求人は、滞納会社Gの破産管財人が裁判所に提出した財産報告書によれば、告知処分の時点において、滞納会社Gには相当の財産があると思われることから、当該告知処分は国税徴収法第24条第1項に規定する要件を満たしていない旨主張するが、当審判所の調査によると、仮に請求人の主張する財産の価額を滞納会社Gから徴収できる価額とみても、告知処分時の同社の滞納国税の総額はそれを上回ることが認められる。したがって、滞納会社Gの財産につき滞納処分により徴収できるものの価額が滞納国税の総額に満たない(いわゆる徴収不足)と認められることから、請求人の主張には理由がない。

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平成15年7月29日裁決

土地改良区内の農地を宅地に転用して譲渡する場合に支払った土地改良法に規定するいわゆる農地転用決済金は譲渡費用には当たらないとした事例

裁決事例集 第66集 97頁

要旨

 農地転用決済金は土地改良法第42条第2項の規定に基づき土地改良区の土地の全部又は一部について組合員たる資格の喪失に際して、土地改良区の事業に関する権利義務の移転がない場合に、当該権利義務を清算するために徴収されるものであって、組合員たる資格に係る権利の目的である土地の譲渡とは直接関係がないことは明らかである。したがって、農地転用決済金は土地を譲渡するために直接かつ通常必要な費用とは認められず、かつその支払をしたことが土地の譲渡価額を増加させることになるとも認められないから、譲渡費用には該当しない。
 農地転用決済金として農地転用により農業を廃止又は縮小する組合員が将来の維持管理費に相当する費用を一括して支払うこととされていることは、組合員の減少により残存する組合員の負担が増加しないように措置する必要があるためであることが認められる。一般に土地改良区に参加した組合員は、維持管理費を毎年負担するのであるが、農地転用により農地を利用しなくなったときには、その後に支払うべき維持管理費を一括して支払わなければならないことになっているのであるから、農地転用決済金の本質は、農地という農業用資産について生じた費用とみることができるのであり、農業という業務について生じた費用として、必要経費に算入することが相当である。
 また、農地転用決済金は農地転用のときに一括して債務が確定する業務上の費用といえ、当該土地が農業用資産でなくなる時に生じた清算費用たる性質を有する支出であると解するのが相当であるから、必要経費への算入時期については、平成12年分の農業に係る事業所得の必要経費に算入するのが相当である。

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平成15年7月18日裁決

社会福祉法人の理事が県等から不正受給した補助金の一部を当該法人からの賞与とした所得税の申告について、当該不正受給に係る刑事事件の判決の確定を理由として更正の請求をすることはできないとした事例

裁決事例集 第66集 19頁

要旨

 A会の理事であった請求人は、請求人を被告とする刑事事件の判決が、請求人がA会の施設建設工事費を水増し請求し、県等から補助金を不正に受給した疑いについての審理を訴因とするものであり、原処分庁が当該補助金の一部を請求人が受領したことについて、賞与と認定したことと繋がるものであるから、当然に国税通則法第23条第2項第1号に規定する判決に該当するので、更正の請求を認めるべきである旨主張する。
 また、請求人が補助金を不正に受給したことは、刑事事件の判決により公序良俗に反するもので無効であるとされ、それにより、請求人は、私的に受領した補助金の返還をA会から請求されているのであるから、正に請求人に行った本件不正受給等の経済的成果がその行為の無効であることに基因して失われたものであり、このことは、取り消すことのできる行為が取り消されたものでもあるから、所得税法施行令第274条第1号及び第2号に規定する事由が生じ、所得税法第152条に規定する更正の請求の特例に該当するので、更正の請求を認めるべきであると主張する。
 しかしながら、国税通則法第23条第2項第1号にいう判決とは、申告等に係る課税標準等又は税額等の計算の基礎となった事実についての私法行為又は行政行為上の紛争を解決することを目的とする民事事件の判決を意味し、犯罪事実の存否範囲を確定するに過ぎない刑事事件の判決はこれに含まれないと解するのが相当であるところ、本件判決は請求人を被告人とする刑事事件の判決であるから、同号に規定する判決には該当しないことは明らかである。
 また、本件判決は、請求人の不正受給についての犯罪事実の存否範囲を判断したに過ぎず、認定賞与として課税した処分の計算の基礎となった事実である請求人の本件金員の受領について、民事上無効な行為であるか又は取り消すことができる行為であるかを判断したものではない。また、請求人は、A会から本件金員の返還を請求されているが、当審判所の調査の結果によっても、請求人が本件金員を返還した事実は認められないことから、請求人の本件金員の受領による経済的成果は未だ失われていないというべきである。しかも、同様に、請求人の本件金員の受領が取り消された事実も認められない。
 したがって、所得税法施行令第274条第1号及び第2号に規定する事由が生じたとは認められないので、この点に関する請求人の主張には理由がない。

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平成15年7月9日裁決

偽りその他不正の行為を行なった者には、納税者本人のみならず、納税者の委任を受けた者も含まれるとした事例

裁決事例集 第66集 77頁

要旨

 請求人は、国税通則法第70条第5項は、不正行為の場合における期間制限の延長であり、仮に本件立退き料が譲渡費用に当たらないとしても、本件立退き料は悪意をもって申告したわけではないから、本件立退き料に係る更正処分は既に時効が成立しており、不適法な処分である旨主張する。
 しかしながら、偽りその他不正の行為を行なった者には、納税者本人のみならず、納税者の委任等を受けた者も含まれると解されているところ、請求人の委任を受けたGは偽った契約書に基づいて譲渡所得の申告を行なっており、申告の効果及び責任は請求人に帰属するから、国税通則法第70条第5項に該当するというべきである。
 また、国税通則法第70条第5項は、偽りその他不正の行為によって国税の全部又は一部を免れた納税者がある場合、これに対して適正な課税を行うことができるよう、更正の除斥期間を7年と定めたものであり、偽りその他不正の行為により免れた税額に相当する部分のみに限らず、当該年分の所得の全部を更正の対象として同条第5項を適用することができると解するのが相当である。

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平成15年7月3日裁決

相続税法第34条の連帯納付責任に基づく督促処分が適法であるとした事例

裁決事例集 第66集 289頁

要旨

  1.  請求人は、本来の納税義務者Aに対する延納許可から延納許可取消しまでの間に、原処分庁が適切な徴収手続をとらず、連帯納付義務者である請求人に多大な本税、利子税及び延滞税の負担を課していることは徴収権の濫用に当たる旨主張する。
     しかしながら、連帯納付義務は、相続税の徴収の確保を図るために課された特別の責任なのであるから、本来の納税義務者が現に十分な財産を有し、同人から固有の相続税の徴収を図ることが極めて容易であるにもかかわらず、原処分庁が同人又は第三者の利益を図り、あるいは、連帯納付義務者に損害を与える目的をもって、恣意的に、本来の納税義務者からの徴収を行わず、連帯納付義務者に対してその義務の履行を求めたという事情の存する場合には、徴収権の濫用があると評価できる余地もあると解されるが、延納の制度は、法が納税者の自発的な納税を本来の姿と考え、これを容易にするため当該措置を認めているものであり、延納等の措置を講ずることによって任意の納付の履行が期待できる限り原処分庁がこれを認めようとするのは当然のことである。
     したがって、延納を認めたことで結果的に本来の納税義務者の財産によって相続税の全てを納付することが不能になったとしても、そのことをもって原処分庁が故意に恣意的な徴収手続を行なったとまではいえず、原処分庁が請求人に対し連帯納付義務の履行を求めたとしても、徴収権の濫用に当たるとはいえない。
  2.  請求人は、原処分庁が連帯納付義務に係る賦課決定通知書を送付していないから、請求人の連帯納付義務は確定していない旨主張する。
     しかしながら、相続税法第34条第1項に規定される連帯納付義務は、相続税徴収の確保を図るため相互に各相続人等に課した特別の責任であり、各相続人等の固有の相続税の納税義務の確定という事実に照応して、法律上当然に生ずると解されているから、本件相続の共同相続人であるAの相続税の納税義務が有効に確定している以上、請求人の連帯納付義務は、格別の手続を要することなくAの納付義務の確定に照応して確定している。
  3.  請求人は、原処分庁が行ったAに対する延納の許可から延納許可の取消しまでの徴収手続に違法があるとして、請求人の連帯納付義務は消滅している旨主張する。
     しかしながら、延納の許可と連帯納付義務は異なる租税法規を根拠とするものである上、相続税法、国税通則法及び国税徴収法のいずれにも、請求人が主張するような延納の許可に関する違法等の存在によって連帯納付義務が消滅する旨を規定した条文は存在しない。
     むしろ、連帯納付義務は、法が相続税の徴収を確保するために各相続人等に課した特別の責任であること、延納の許可に当たって十分な担保を徴していても、担保価値の変動によって担保物を処分しても相続税が徴収できなくなる可能性があることを鑑みれば、原処分庁は、延納の許可の際に徴した担保を処分して徴収を確保する方法と、連帯納付義務者にその履行を求めて徴収を確保する方法を併存的に有していると解するのが相当である。
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平成15年7月3日裁決

自動車が盗難に遭い抹消登録されたことは、納付済みの自動車重量税の還付請求の理由にならないとした事例

裁決事例集 第66集 353頁

要旨

 請求人は、自動車重量税の立法趣旨は、自動車の走行によって道路が傷むことから道路の改修費用等に充てるため、自動車の使用者が、自動車の重量に応じて、自動車検査証の有効期間分の自動車重量税を前払い負担するというものである旨主張する。
 しかしながら、自動車重量税法の性格は、当該自動車が車両法による検査を受け、走行可能となるという法的地位あるいは利益を受ける権利を取得することに着目して課税される一種の権利創設税であると解されるのであり、自動車を走行させた期間に応じて負担すべきものといえないから、この点に関する請求人の主張は採用できない。
 また、請求人は、所有する本件自動車が盗難に遭った場合にも、災免法第8条第1項の規定の適用を認めるべきであり、納付済みの自動車重量税に対する本件自動車の自動車検査証の有効期間のうち未経過期間分に相当する金額は還付されるべきである旨主張する。
 しかしながら、盗難は、災免法第1条の規定する「震災、風水害、落雷、火災その他これらに類する災害」には含まれないと解されるから、本件自動車は、登録された後、盗難に遭ったことが認められるとしても、災免法第8条の被災自動車に該当しないので、この点に関する請求人の主張は採用できない。

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