裁決事例 裁決事例集 第114集

裁決事例 裁決事例集 第114集

原文を表示
平成31年3月28日裁決

更正請求期限後においては、更正請求書に記載しなかった事由を通知処分の違法事由として新たに主張することは許されないとした事例(平成23年分の所得税並びに平成23年課税期間の消費税及び地方消費税の各更正の請求に対する更正をすべき理由がない旨の各通知処分・棄却)

裁決事例集 第114集

ポイント

 本事例は、更正の請求に対する通知処分の取消しを求める審査請求において、更正の請求期限である5年を経過した後に、更正請求書に記載しなかった事由を違法事由として新たに主張できないとしたものである。

要旨

 請求人は、原処分庁の実地調査に基づき期限後申告した平成23年分の売上げのうちの特定のものについて、金額誤りや収入計上時期に誤りがあり同年分の収入金額が過大であるから更正の請求(本件更正の請求)は認められるべきである旨主張する。しかしながら、請求人が主張する上記金額誤りや収入計上時期に誤りがあるとは認められない。
 また、請求人は、本件更正の請求において更正の請求事由としなかった上記特定の売上げ以外の他の収入についても収入金額が過大である旨を本審査請求において主張する。しかしながら、当該主張は、更正請求時には主張していなかった事由を審査請求において新たに主張するものであるところ、更正の請求が、法定申告期限から5年以内の請求期限を設け、その理由等を記載した更正請求書を課税庁に提出することを求めていることに鑑みれば、租税法律関係の早期安定及び税務行政の能率的な運営等を図る趣旨から、少なくとも更正請求期限を経過した後においては、更正請求書に記載しなかった事由を通知処分の違法事由として新たに主張することは許されないと解すべきである。

参照条文等

所得税法第36条第1項 国税通則法第23条第1項及び第3項国税通則法施行令第6条第2項

参考判決・裁決

最高裁昭和49年3月8日第二小法廷判決(民集28巻2号186頁) 最高裁昭和53年2月24日第二小法廷判決(民集32巻1号43頁)

原文を表示
平成31年3月26日裁決

事業の譲受人である請求人は滞納者と同一とみられる場所において事業を営んでいるとした事例(第二次納税義務の納付告知処分・棄却)

裁決事例集 第114集

ポイント

 本事例は、タクシー事業における車庫は、タクシー事業を営む者が事業活動を行っていくために、運行管理業務等を行う営業所と同視できる程度に重要かつ必要不可欠な場所であると認められることから、滞納者が車庫として使用していた場所を営業所としてタクシー事業を営んでいる請求人は社会通念上同一の場所と認められる場所で事業を営んでいると認められるとしたものである。

要旨

 請求人は、国税徴収法(平成28年法律第15号による改正前のもの。徴収法)第38条《事業を譲り受けた特殊関係者の第二次納税義務》に規定する「事業を営んでいる場所」とは、タクシー事業においては、道路運送法第5条《許可申請》第1項第3号に規定する営業所を指すと解するべきであり、車庫は営業所には含まれないから事業を営んでいる場所には当たらず、請求人は同一の場所で事業を営んでいるとはいえない旨主張する。
 しかしながら、徴収法第38条の「同一とみられる場所」とは、同一の場所のほか、社会通念上同一の場所と認められる場所をいうと解するのが相当であるところ、請求人は、第二次納税義務の納付告知処分時において、滞納法人が車庫として使用していた場所を営業所としてタクシー事業を営んでおり、同営業所は滞納法人の営業所とは地理的に異なった場所であるが、タクシー事業における車庫は、その確保が事業許可の要件となっているだけでなく、その場所についても営業所と近接していなければならないという制限があるなど、営業所と相互に密接に関連付けて利用・管理され、有機的一体として機能する財産の一部であり、また、車庫に保管されている営業用車両が収益を生み出す基礎となるというタクシー事業の特質に鑑みると、車庫は、タクシー事業を営む者が事業活動を行っていくために、運行管理業務等を行う営業所と同視できる程度に重要かつ必要不可欠な場所であると認められる。加えて、請求人の営業所は、滞納法人の営業所と、物理的に異なる場所とはいえ県道を挟んだ斜め向かいに位置し、いずれも当該県道に面しているほか、直線距離で42メートルしか離れていないことも踏まえると、請求人の事業と滞納法人の事業は外形的に同一性を有するということができるから、請求人の事業は社会通念上同一の場所と認められる場所で営まれているものと認められる。

参照条文等

国税徴収法第38条

原文を表示
平成31年3月18日裁決

死亡した滞納者からその生前に無償譲渡等の処分により権利を取得した者は死亡後においても第二次納税義務を負うとされた事例(第二次納税義務の納付告知処分、納付催告書による督促処分・一部取消し)

裁決事例集 第114集

ポイント

 本事例は、納税者の国税の法定納期限の1年前の日以後に同人がその財産につき無償譲渡等の処分を行い、その後死亡した場合には、死亡後の第二次納税義務を負わせるかどうかの判定をしようとする時の現況において、死亡により相続人に承継された国税につき滞納が生じており、滞納処分を執行してもなおその徴収すべき額に不足すると認められ、かつ、その不足することが当該無償譲渡等の処分に基因すると認められるときは、当該無償譲渡等の処分により権利を取得した者は第二次納税義務を負うと解するのが相当であるとしたものである。

要旨

 請求人は、国税徴収法第39条《無償又は著しい低額の譲受人等の第二次納税義務》は、滞納者である主たる納税者が贈与等を行った場合の規定であるところ、被相続人から請求人への土地の贈与(本件贈与)は、請求人が被相続人(本件被相続人)から受けたものであって、相続人(本件相続人ら)から受けたものではないため、滞納者である主たる納税者(本件相続人ら)が請求人に対して贈与等を行った事実はなく、本件贈与は、本件被相続人の死亡後においては、国税徴収法第39条に規定する滞納者が行ったとの要件を満たさないから、滞納者であった本件被相続人が行った無償譲渡等の処分により権利を取得した請求人は、本件被相続人の死亡後においては、第二次納税義務を負わない旨主張する。
 しかしながら、納税者の国税の法定納期限の1年前の日以後に同人がその財産につき無償譲渡等の処分を行い、その後死亡した場合には、死亡後の第二次納税義務を負わせるかどうかの判定をしようとする時の現況において、死亡により相続人に承継された国税につき滞納が生じており、滞納処分を執行してもなおその徴収すべき額に不足すると認められ、かつ、その不足することが当該無償譲渡等の処分に基因すると認められるときは、当該無償譲渡等の処分により権利を取得した者は第二次納税義務を負うと解するのが相当である。
 ただし、本件各納付告知処分に係る納付すべき限度の額はそれぞれ○○○○円とされているところ、本件相続人らは、本件被相続人の死亡により本件被相続人の滞納国税の納付義務を承継している以上、当該納付すべき限度の額については、民法第900条及び第901条の規定によるその相続分によりあん分した額、すなわち、○○○○円を本件相続人らの相続分(2分の1)であん分して計算した額となる。そうすると、本件各納付告知処分に係る納付すべき限度の額は、それぞれ○○○○円となる。したがって、本件各納付告知処分は、納付すべき限度の額につき○○○○円を超える部分はいずれも違法となる。

参照条文等

国税徴収法第39条 国税通則法第5条

原文を表示
平成31年3月14日裁決

不動産開発に係る開発権の譲渡について、収益計上時期を繰り延べた事実はないとした事例( 平成26年11月1日から平成27年10月31日までの事業年度以後の法人税の青色申告の承認の取消処分、 平成26年11月1日から平成27年10月31日まで及び平成27年11月1日から平成28年10月31日までの各事業年度の法人税の各更正処分、 平成26年11月1日から平成27年10月31日までの課税期間の消費税及び地方消費税の更正処分並びに重加算税の賦課決定処分・全部取消し)

裁決事例集 第114集

ポイント

 本事例は、原処分庁は、請求人が譲渡した不動産開発に係る開発権(本件開発権)の譲渡契約書(本件契約書)等には、本件開発権が決済日前に適法かつ有効に取引先に移転し取得され承継手続が全て完了している旨記載されていると主張するが、当該記載は、譲渡対価の支払条件等を定めたものであって、当該条件が成就されているとの趣旨ではないことから、原処分庁の主張はその前提を欠いているとしたものである。

要旨

 原処分庁は、本件開発権の譲渡の収益計上時期について、本件契約書等には、本件開発権が決済日前に適法かつ有効に取引先に移転し取得され承継手続が全て完了している旨記載されており、また、当該取引先が市から開発許可に基づく地位の承継承認通知書(本件通知書)の交付を受けた日が、当該取引先において本件開発権を使用収益できることとなった日であると認められることから、本件開発権は当該取引先が本件通知書の交付を受けた日に譲渡された旨主張する。
 しかしながら、本件開発権の譲渡に係る収入すべき権利が確定する時期は、請求人が本件契約書に定められた物又は権利の全てを引き渡し、当該取引先に移転又は取得させた時と認められるところ、請求人と当該取引先との清算合意書の締結時まで、その全てが引き渡されておらず、当該清算合意書が締結された日に収入すべき権利が確定したと認められることから、原処分の全部を取り消すべきである。

参照条文等

法人税法第22条第2項

原文を表示
平成31年3月1日裁決

過去の事業年度における仮装経理について、修正の経理を行わず、当事業年度の実際の材料仕入高を水増しした材料仕入高により帳簿書類を作成したことは、仮装に該当するとした事例(平成21年8月1日から平成22年7月31日まで、平成22年8月1日から平成23年7月31日まで、平成23年8月1日から平成24年7月31日まで、平成24年8月1日から平成25年7月31日まで、平成25年8月1日から平成26年7月31日まで、平成26年8月1日から平成27年7月31日まで及び平成27年8月1日から平成28年7月31日までの各事業年度の法人税の各更正処分、平成21年8月1日から平成22年7月31日まで、平成22年8月1日から平成23年7月31日まで、平成23年8月1日から平成24年7月31日まで、平成26年8月1日から平成27年7月31日まで及び平成27年8月1日から平成28年7月31日までの各事業年度の法人税の重加算税の各賦課決定処分、平成23年8月1日から平成24年7月31日まで、平成26年8月1日から平成27年7月31日まで及び平成27年8月1日から平成28年7月31日までの各事業年度の法人税の過少申告加算税の各賦課決定処分、平成27年8月1日から平成28年7月31日までの課税事業年度の地方法人税の更正処分及び重加算税の賦課決定処分並びに平成21年8月1日から平成22年7月31日までの課税期間の消費税及び地方消費税の更正処分及び重加算税の賦課決定処分・棄却)

裁決事例集 第114集

ポイント

 本事例は、請求人が、材料仕入高の水増し計上について、過去の事業年度における仮装経理の「修正の経理」として行った旨主張するが、当該仮装経理の金額を任意の金額で各事業年度に分けて材料仕入高を水増し計上することによって損金に算入したものであって、「修正の経理」の手続によらずに行ったものであるとしたものである。

要旨

 請求人は、請求人が各事業年度の損金の額に算入した材料仕入高は、過去の事業年度における仮装経理の「修正の経理」であるから、国税通則法(平成28年法律第15号による改正前のもの)第68条《重加算税》第1項に規定する「隠ぺいし、又は仮装し」に該当する事実はない旨主張する。
 しかしながら、請求人の代表取締役は、各事業年度において、実際とは異なる水増しした材料仕入高により帳簿書類が作成されていたことを認識していたと認められ、当該認識の下で請求人が水増しした材料仕入高を帳簿書類に計上したことは、行為の意味を理解しながら故意に事実をわい曲したものということができ、仮装したものというべきであるから、国税通則法第68条第1項に規定する「隠ぺいし、又は仮装し」に該当する。

参照条文等

国税通則法第68条第1項第70条第4項第74条の9第4項 法人税法第37条第130条第2項 行政手続法第14条第1項

原文を表示
平成31年2月20日裁決

本件建物の固定資産課税台帳の台帳価格は、登録免許税法第10条第1項に規定する価額(時価)を超えていると認められることから、固定資産評価基準に基づき本件建物の時価を算定した事例(登録免許税の還付通知をすべき理由がない旨の通知処分・全部取消し)

裁決事例集 第114集

ポイント

 本事例は、本件建物の固定資産課税台帳の台帳価格には、当該台帳価格が付された時点より前に生じた損耗が反映されておらず、当該損耗を考慮した上で、登録免許税法第10条第1項に規定する価額(時価)として、固定資産評価基準に基づき本件建物の適正な時価を算定すべきと判断したものである。

要旨

 原処分庁は、不動産の所有権移転登記における課税標準たる不動産の価額は、登録免許税法附則第7条《不動産登記に係る不動産価額の特例》により、固定資産課税台帳の台帳価格を基礎とした価額によることができるとされ、登記実務上も同様の取扱いがなされていることから、請求人が売買により取得した建物(本件建物)の所有権移転登記(本件登記)に係る課税標準たる不動産の価額は、同条の規定に基づく台帳価格(本件台帳価格)を基礎として正当に算定されている旨主張する。
 しかしながら、本件登記に係る課税標準の基礎となる本件台帳価格が何らかの理由により本件建物の時価を表していないという事情がない限り、登録免許税法第10条《不動産等の価額》第1項に規定する課税標準たる不動産の価額は、基本的には当該台帳価格によるべきであると解されるところ、本件台帳価格は、本件台帳価格が付された時点において本件建物に既に生じていたと推認される損耗(本件損耗)の事情が考慮されていないことからすると、本件登記に係る課税標準たる不動産の価額については、本件台帳価格によるのは相当ではなく、改めて本件損耗の事情を考慮して固定資産評価基準の定める評価方法に従ってその価額を算定し、当該価額をもって本件登記の時における登録免許税の課税標準額たる不動産の価額とすべきである。

参照条文等

登録免許税法第10条、附則第7条 最高裁平成25年7月12日第二小法廷判決(民集67巻6号1255頁) 平成30年6月14日裁決(裁決事例集№111)

原文を表示
平成31年2月20日裁決

請求人らが、相続により取得した建物の価額は、固定資産評価基準を基に財産評価基本通達に従って評価すべきであり、請求人の主張する不動産鑑定評価額には合理性が認められないとした事例(平成27年12月相続開始に係る相続税の各更正処分及び過少申告加算税の各賦課決定処分・一部取消し)

裁決事例集 第114集

ポイント

 本事例は、請求人が相続により取得した建物は、機能的、経済的観点から市場性が全く認められないため解体除去を要し、このことを前提として算定された不動産鑑定評価額が時価であるとの主張に対し、当該不動産鑑定評価額には合理性が認められないとした上で、固定資産評価基準が定める評価の方法によっては再建築費を適切に算定することができない特別の事情等は認められないから、同基準に従って決定した固定資産税評価額に依拠した相続税評価額は適正な時価であると判断したものである。

要旨

 請求人らは、相続により取得した家屋(本件家屋)及びその敷地(本件土地)について、本件家屋は、大改修を行っても収益性回復は困難で、機能的、経済的観点から市場性が全く認められないため、解体除去が必要であるとして本件家屋及び本件土地(併せて本件不動産)の最有効使用を判定した不動産鑑定士による鑑定評価書(本件鑑定評価書)には合理性があり、本件鑑定評価書に基づく価額が時価である旨、また、本件家屋の固定資産税評価額は一般常識からかけ離れた評価がされている旨主張する。
 しかしながら、本件家屋は、相続の開始時において、その一部が貸店舗や被相続人等の居宅として利用されていたことからすると、本件家屋には相応の経済価値があったと認められる。一方、本件鑑定評価書における最有効使用の判定に当たっては、不動産鑑定評価基準に定める現実の本件家屋の用途等を継続する場合の経済価値と本件家屋を解体除去した場合の解体除去費用等を適切に勘案した経済価値との十分な比較考量がされているとは認め難いことなどから、本件鑑定評価書に合理性があるとは認めるに足りず、本件土地の更地価格から本件家屋の解体除去費用を控除した本件鑑定評価書による価額が、本件不動産の時価を適正に評価したものであるとは認め難い。したがって、本件鑑定評価書に基づく請求人らの主張立証によって、財産評価基本通達の定めに従って評価した本件不動産の価額が時価であるとの事実上の推認を覆すには至らない。また、本件家屋の固定資産税評価額については、その価額を求めるに当たり、固定資産評価基準が定める評価の方法によっては再建築費を適切に算定することができない特別の事情又は固定資産評価基準が定める減点補正を超える減価を要する特別の事情は認められないから、固定資産評価基準に従って決定した固定資産税評価額が適正な時価であると推認される。ところで、当審判所の調査によると、本件家屋の固定資産税評価額は相続開始日前に遡及して一部減額されており、その減額前の固定資産税評価額に依拠した相続税評価額によりなされた原処分は、その一部を取り消すこととなる。

参照条文等

相続税法第22条

原文を表示
平成31年2月15日裁決

各経費が収益事業と収益事業以外の事業とに共通する費用と認められ、当該各経費の収益事業への配賦については、個々の費用の性質及び内容などに応じた合理的な基準により配賦するのが相当であるとした事例( 平成23年10月1日から平成27年9月30日までの各事業年度の法人税の更正をすべき理由がない旨の各通知処分及び無申告加算税の各賦課決定処分、 平成24年10月1日から平成26年9月30日までの各課税事業年度の復興特別法人税の更正をすべき理由がない旨の各通知処分、 平成26年10月1日から平成27年9月30日までの課税事業年度の地方法人税の更正をすべき理由がない旨の通知処分・ 一部取消し)

裁決事例集 第114集

ポイント

 本事例は、請求人は、建物の区分所有等に関する法律第47条《成立等》第13項に基づき、法人税法の規定の適用については公益法人等とみなされ、公益法人等は収益事業を行う場合に限り、当該収益事業から生じた所得についてのみ法人税が課されるところ、収益事業と収益事業以外の事業とに共通する費用(共通費用)の配賦については、常に一律の基準で配賦するのではなく、個々の費用の性質及び内容などに応じた合理的な基準によりそれぞれ収益事業と収益事業以外の事業に配賦するのが相当であるとしたものである。

要旨

 原処分庁は、請求人が支払う委託費、点検費及び火災保険料(本件各経費)は、請求人が行う収益事業(本件収益事業)に直接要した費用とは認められず、また、本件各経費は、請求人が本件収益事業を行っていなくても発生するものであり、本件収益事業及び本件収益事業に付随する行為から生じた費用であるとはいえないから共通費用にも該当しない旨主張し、請求人は、本件各経費は共通費用に該当し、請求人の全ての収入の額のうち本件収益事業の収入の額の占める割合(本件収入割合)を乗じた金額で損金の額に算入すべきである旨主張する。
 しかしながら、本件各経費は、本件収益事業と本件収益事業以外の事業の両方について生じたもので本件収益事業に必要な費用であるから共通費用と認められ、また、本件収益事業への本件各経費の配賦については、常に一律の基準で配賦するのではなく、個々の費用の性質及び内容などに応じた合理的な基準によりそれぞれ収益事業と収益事業以外の事業に配賦するのが相当であるから、管理員の従事時間あん分割合や共用面積あん分割合などにより収益事業に配賦するのが合理的であり、原処分の一部を取り消すべきである。

参照条文等

法人税法第4条第1項同法第22条第3項 法人税基本通達15-2-5

原文を表示
平成31年2月7日裁決

売上金額を脱漏する目的で、取引先に依頼し、決済方法を変更したなどの事実があったとは認められないとして重加算税の賦課決定処分を取り消した事例( 平成27年6月1日から平成28年5月31日までの法人税の重加算税の賦課決定処分、 平成26年6月1日から平成27年5月31日までの課税期間の消費税及び地方消費税の重加算税の賦課決定処分・全部取消し)

裁決事例集 第114集

ポイント

 本事例は、原処分庁が主張する売上金額を脱漏する目的で、取引先に依頼し、決済方法を変更した事実は認められず、国税通則法第68条第1項に規定する隠ぺいの事実は認められないとの判断をしたものである。

要旨

 原処分庁は、請求人の代表者(本件代表者)は銀行振込みでなければ売上げに計上されないことを認識した上で、取引先に決済方法を銀行振込みから小切手に変更するよう依頼して、請求人の売上げを脱漏したのだから、その行為は国税通則法(平成28年法律第15号による改正前のもの)(通則法)第68条《重加算税》第1項に規定する事実の隠ぺいに該当する旨主張する。
 しかしながら、決済方法が銀行振込みから小切手に変更されたのは、当該取引先の事情によるものであり、本件代表者が当該取引先に対して決済方法の変更を依頼した事実が確認できず、また、その他の証拠においても、本件代表者が売上代金を銀行振込みされなければ売上げに計上されないと認識していたことを裏付ける証拠も認められないことから、請求人に通則法第68条第1項に規定する事実の隠ぺいがあったとは認められない。

参照条文等

国税通則法第68条第1項

原文を表示
平成31年2月5日裁決

国税の担保の処分においても民法第389条第1項の適用があるとした事例(担保物処分のための差押処分・棄却)

裁決事例集 第114集

ポイント

 本事例は、国税を担保するために抵当権が設定された後に当該担保不動産上に建物が築造された場合には、当該担保不動産及び当該建物を一括して公売するために、国税通則法第52条第1項及び民法第389条第1項の規定に基づく担保権の実行として当該建物を差し押さえることができるとしたものである。

要旨

 請求人は、滞納国税(本件滞納国税)を徴収するためには、本件滞納国税を担保するための抵当権が設定された各不動産(本件各不動産)の差押えで十分であるなどとして、当該抵当権の設定後に当該各不動産上に築造された請求人の物置(本件物置)に対する差押処分(本件差押処分)は違法である旨主張する。
 しかしながら、民法第389条《抵当地の上の建物の競売》第1項は、民事執行における競売手続において、土地利用権のない建物の存続を図る形で売却することにより社会経済的損失を回避するとともに、競売手続の円滑な運営を目的として、土地の抵当権に内在する換価権を建物に拡大したものと解される。そして、かかる要請は、滞納処分における公売手続においても当てはまると解され、また、国税を担保するために設定された抵当権であっても、当該抵当権に内在する換価権の及ぶ範囲については実体法である民法に委ねていると解するのが相当であることからすると、国税の担保の処分においても民法第389条第1項が適用されると解される。そうすると、本件差押処分は、国税通則法第52条《担保の処分》第4項の規定に基づき行われたものではなく、本件各不動産及び本件物置を一括して公売に付すために同条第1項及び民法第389条第1項に基づく担保権の実行として行われたものであって、担保として提供された財産の処分の代金を滞納国税等に充ててなお不足があると認めることを要件とするものではないから、本件差押処分は適法である。

参照条文等

民法第389条第1項 国税通則法第52条第1項

参考判決・裁決

平29年10月16日裁決(裁決事例集No.109)

【 税務法規集に掲載する法令等の情報に関する注意事項 】

  • 本サービスは、デジタル庁が管理するe-Gov法令検索のデータ、国税庁がホームページを通じて提供する通達等の情報および国税不服審判所の公表裁決事例・裁決要旨を利用しています。
  • 法律の専門家が分類・整理した情報を元に、プログラムで自動的に法令等を解析し、関連する情報を統合的に閲覧できるように再編集していますが法令等の内容については、明白な誤りや文字種の統一などの形式的な点を除き、変更しておりません。
  • 各法令等の施行日等の情報は法令等の名称の横にある マークのボタンからご覧いただけます。また、当該法令の元データにもその情報表示部分からアクセスすることができます。
  • 本サービスの提供者は、デジタル庁および国税庁とは関係がなく、またこれらの機関を代表するものでもありません。
  • 本サービスの提供者は、表示される情報に誤りがないように努めていますが、利用者による本サービスの利用に関する結果に対して一切の責任を負いません。