裁決事例 昭和54年(1979年)
要旨
得意先を構成員とする親ぼく団体は、定款又は規約等の定めがなく、その実態が人格のない社団等、任意組合又は得意先個人の単なる集合体にも当たらないこと、また、当該親ぼく団体は、請求人の値引収入を資金として、請求人の販売促進のための招待会を開催しているだけのものであるから、請求人と別個の団体とは認められず、したがって、当該親ぼく団体の事業は、請求人に内包される請求人の事業の一部であると解するのが相当である。
要旨
従業員等により外注加工賃として横領された金額を損金に算入する場合には、請求人は当該従業員に対して当該横領金相当額の損害賠償請求権を有しているのであるから、その債権の額を益金に算入すべきであって、その結果、請求人の所得金額は横領金の額を損金に算入しなかった場合と何ら異ならないこととなるから、原処分が当該横領金相当額を当該従業員等らに対する仮払金として処理し、その損金算入を認めなかったことは相当である。
要旨
租税特別措置法(昭和54年法律第15号による改正前のもの)第31条の2に規定する特定市街化区域農地等を譲渡した場合の長期譲渡所得の課税の特例は、確定申告書に市長の特定市街化区域農地である旨を証する書類の添付がある場合に限り適用されるものであるところ、市長が本件土地は現況宅地であると認定し、当該土地が市街化区域農地である旨を証する書類の交付を拒否している以上、当該土地の譲渡所得については、同条の規定の適用は認められない。
要旨
所得税法第64条第2項に規定する「保証債務の履行」とは、その実質において、債務者の債務等を保証人が肩代わりして弁済することをいうものであるところ、債務者の債務等とは、主たる債務及び主たる債務に従属する利息、違約金等保証債務の履行として債権者に対して弁済しなければならないものをいい、保証人が保証債務を履行するための借入金の利息、抵当権設定費用等債権者以外の者に対して支払ったものは含まれない。したがって、同項に規定する「その履行に伴う求償権」とは、保証債務の履行により同時に生ずる求償権をいうものであって、その求償権の額は保証債務の履行の額と同額であるはずであるというべきところ、民法上、債務の履行のための関連費用についての求償権があるとしても、これらの関連費用の額に相当する金額は同項に規定する「その履行に伴う求償権の額」に含まれると解することはできない。
要旨
交換契約により土地とその土地の上に建築した建物の一部を交換した場合における当該交換契約の内容が、土地の譲渡人が所有していた土地と請求人が当該土地の上に建築する建物の一部とを交換することを目的とするものであることにかんがみ、それぞれの交換資産の所有権の移転の時期については、当該交換契約書の文言上、別段の定めがない限り、建物の完成後のしかるべき時期に双方同時に移転することについて契約当事者の合意があったものと解するのが合理的であると認められることから、請求人が取得した当該土地の取得時期は、当該交換契約の締結の日ではなく、交換譲渡資産である建物の完成後、土地の譲渡人に当該建物を引き渡した日であると解するのが相当である。
要旨
事業所得とは、自己の計算と危険において対価を得て継続的に行われる業務から生ずる所得をいい、また、給与所得とは、雇用関係又はこれに準ずべき関係に基づく非独立的労務の対価をいい、両者の異同は、所得の生ずる業務の遂行ないしは労務の提供が、前者は自己の計算と危険において独立性をもってなされるのに対し、後者は対価支払者の支配、監督に服して非独立的になされるとともに自己の計算と危険を伴わないものであるところ、[1]請求人は自己の名による法律事務所を有し、使用人を使い継続的に弁護士業務を営んでいること、[2]本件顧問契約は、法律相談に応じて法律家としての意見を述べることの債務を負担しているものの、勤務時間、勤務場所の定めがなく、常時、数社と契約していること、[3]顧問契約の具体的内容とその履行の態様は、随時質問してくる法律問題について、依頼の都度請求人の事務所において専ら電話により口頭で応ずるものであること等の事実から、本件顧問契約に基づく労務の提供は、独立性を有し、請求人の計算と危険において営む弁護士業務の一環としてなされたものと認められるので、当該顧問料収入は、給与所得ではなく事業所得の収入金額に該当する。
開発公社等を経由して取得した工業団地内の土地の取得時期について、旧地主から市開発公社が買収した時ではなく、請求人が協同組合から取得した時であるとした事例
裁決事例集 第19集 164頁
要旨
譲渡した土地は、旧地主から市開発公社及び協同組合を経由して請求人が取得したこととなっているが、それは、請求人ら組合員が公社に買収依頼をしたことにより、公社が本件土地を含む工業団地の土地を買収し、それを組合を経由して取得する形式をとったためであるから、当該土地の実質的な取得の日は、公社が取得を完了した昭和43年7月以前であるとの主張について、公社は請求人の代理人としてではなく公社自らが工業団地分譲事業として取得したものであることから、当該土地の取得時期は、公社の取得した日を請求人の取得した日と認めることはできず、組合と請求人との間において売買価額が確定した売買予約契約の締結の日である昭和45年4月1日と解すべきである。
要旨
交換により請求人が取得した土地は、交換の相手方である地方公共団体が公共的施設の建設用地に充てることを予定していたもので、他に売却することを目的とすることなく所有していた固定資産であり、かつ、請求人は当該取得土地を譲渡資産の直前の用途と同一の用途に供していることから、当該取得土地が棚卸資産に該当するとして、所得税法第58条第1項の交換の特例の適用がないとした原処分の認定は失当である。
要旨
請求人は確定申告書を作成するに当たり、固定資産を交換した場合の課税の特例の適用を受けるべく、[1]請求人の関係する団体事務員と相談の上、特例適用条文を所得税法第58条第1項と記載すべきところ、誤って租税特別措置法第33条の2と記載し、これが誤っていることに気付かずに提出したが、確定申告書に特例の適用を受ける旨の何らかの記載さえあれば、課税の対象とはされないものと信じていたこと、また、確定申告書には譲渡所得の計算明細等同条の適用を受けるための必要な書類のすべてが添付されていること、[2]請求人が[1]のように誤信したことについては、原処分庁の納税相談の機会を利用しなかったことなど請求人としても反省すべき点はあるが、税法の知識に乏しい請求人としては無理からぬことでもあり、さらに、確定申告書の作成について相談した団体事務員の税法に関する知識を過信した請求人のみにその責を負わせるのもいささか酷であると考えられることから、本件においては、所得税法第58条第1項と記載しなかったことについて、やむを得ない事情があったと認めるのが相当である。
要旨
関連会社から取得した株式の受贈益の価額の認定に関し、当該株式の取得価額の算定について、法人税法上の評価方法とされている法人税基本通達の定めによることなく、相続税法上の評価方法によっていることが、不当であるか否かをみるに、非上場株式で気配相場のない本件株式のように他に時価を算定するに足る具体的な評価方法が見当たらない場合には、相続税法上の評価方法を一つの基準として法人税の計算が行われており、かつ、当該計算方法が特に合理性を欠くものとは認められないことから、原処分庁が当該株式の取得価額を相続税財産評価に関する基本通達の例に準じて類似業種比準方式と純資産価額方式との併用方式により算定したことには合理性が認められる。
要旨
譲受人が本件農地の開発許可を受けるに際し提出した書類には、請求人の同意書があり、その開発に当たり地目を宅地に変更する登記をしているから、本件土地は譲受人に引き渡され、所有権が完全に移転していると認められ、また、売買契約書に代替地提供を条件とする条項はなく、覚書には、代替地の提供ができない場合には売買代金と同額で売り戻すとされているから、請求人の譲受人に対する売買代金と同額の金員の支払は、売買契約の解除によるものではなく、再売買によるものであるという原処分について、前記覚書以外の覚書によると代替地の提供が売買契約の条件であったと認められ、その契約時には、所有権移転登記ではなく、譲受人を権利者とする所有権移転請求権仮登記がされているところからみて、譲受人が所有権を確定的に取得したことはなかったことが明らかであるから、仮登記の抹消とともになされた前記金員の支払は、当該土地の再売買によるものではなく、本件譲渡契約を解除したことに伴う返還であると認定するのが相当であるから、原処分は取り消されるべきである。
要旨
長期間借家していた建物及びその建物の存する土地を時価より低額で取得し、その取得後、直ちに当該建物及び土地を譲渡した場合においても、借家人の権利は、専ら家主に対する関係において生じている居住の権利であって、借家権の資産としての性質は、一般的には、比較的に稀薄なものであり、その取引の実情からみても、現在の段階では借地権のように普遍的に取引の対象とされる権利として成熟するまでに至っていないから、その譲渡について、借地権につき定められた所得税基本通達33-10の取扱いの類推適用を認める余地はないものといわざるを得ず、したがって、その譲渡による譲渡所得は、当該建物及び土地の所有権の譲渡による譲渡所得となり、当該譲渡所得は分離短期譲渡所得に該当する。
土地取得後これを利用することなく譲渡した場合には、その土地の取得に要した借入金の利子及び抵当権設定費用等は当該土地の取得費に算入すべきであるとした事例
裁決事例集 第17集 27頁
要旨
- 資産の利用を目的として資産を取得した場合におけるその資産の取得のための借入金の利子の性格は、当該資産を供した利用目的のための費用と観念するのが通常であって、その利用によって収入を得た場合においては、当該利子は、不動産所得の金額の計算上控除すべき必要経費に該当し、他方、資産を譲渡することにより値上がり益を得ることを目的として資産を取得した場合においては、資産取得のための借入金の利子のうち、譲渡の日までの部分に対応する金額は、譲渡収入を得るための通常、かつ、必要な費用と考えられ、資産の取得に要した金額に該当するものと解される。
- 資産の取得の目的は、取得者の内心に係る事柄であり、第三者がその真意を知ることは困難であること及び取得時の取得目的がその後において変更されることが少なくないことを考慮すると、資産の種類、性質、形状その他外形的に判断できる利用の結果等からみて、客観的にその目的及び目的の変更を認定するのが合理的であるから、たとえ個人がその内心においては業務の用又は居住等の用に供する目的で資産を取得した場合であっても、何らの用に供することなく譲渡した場合には、当初から値上がり益を得ることを目的として取得したものとして、取得のために要した借入金の利子は取得費に算入し、また、内心においては値上がり益を得る目的で資産を取得した場合であっても、その後において目的を変更して業務の用又は居住等の用に供した場合には、その時以後の期間に対応する借入金の利子は、業務上の必要経費又は家事費に当たると解するのが、それぞれ租税負担の合理性、衡平性の観点からみて相当である。
- 借入金の担保のための抵当権設定費用及び借入金債務返済契約の公正証書作成費用は、借入金債務に付随する費用であって借入金利子と同性質のものであるから、借入金利子が資産の取得費を構成するのと同様の理由によって資産の取得費に含まれると解するのが相当である。
要旨
請求人は某会社に勤務しながらアパートを所有し、その賃貸に係る不動産所得について青色申告書の提出をしているが、[1]本件アパートは、請求人の住居と同一の敷地内にあり、その規模は独立した部屋数が4で、入居者も3名程度の小規模な貸付けであること、[2]その貸付けから生ずる賃貸料は、固定資産税、管理費、減価償却費等所要の経費にも満たない金額であること、[3]請求人は某会社に勤務して安定収入を得、生活費の資の大部分は給与収入によって賄っていることから、本件アパートの貸付けは、社会通念上事業と称するに至る程度の規模とは認められず、したがって、本件アパートの貸付けによる不動産所得の計算上、請求人が青色事業専従者として請求人の妻に支払ったとする給与の額は所得税法第57条の規定による青色事業専従者給与の額に該当せず、必要経費に算入することができない。
要旨
租税特別措置法(昭和53年法律第11号による改正前のもの)第35条第1項の規定の適用について、個人が所有する唯一の居住用家屋を譲渡した場合には、複数所有する家屋のうちの一つを譲渡した場合と異なり、「主として」であると「従として」であろうと、その者が、その家屋に居住している事実が少しでも認められる限り、居住用の認定を緩やかに解釈して特例の適用を認めるべきであると主張するが、「その居住の用に供している家屋」とは、その者が生活の拠点として利用している家屋をいい、これに該当するかどうかは、その家屋への入居の目的、その者及び配偶者等の日常生活の状況その他の事情等を総合勘案して判断すべきであって、本件譲渡家屋は、請求人が管理を兼ねて請求人の仕事を処理するため旅館やホテルの利用に代えて一時的に利用したものであり、生活の拠点として居住の用に供していたものとは認められないから、当該家屋の譲渡所得については、同条同項の規定を適用することはできない。
要旨
企業支配に係る対価の額は、新たに他の企業を支配するために通常の価額を超えて支出される金額のほか、既に支配している企業に対する支配力を維持又は強化するために通常の価額を超えて支出される金額もこれに含まれると解されるところ、本件の場合、請求人が新たに取得した株式は、既に請求人が40パーセント強の株式を所有している会社の株式ではあるが、企業支配を更に強化することを目的として、発行済株式の100パーセントの株式を保有するべく取得したものであるから、これを株式の所有者によって企業支配の対価の有無を区別する理由はなく、同時に同一単価で請求人の役員から取得した株式についても、一般株主から取得した株式と同様に、その取得価額のうち通常の1株当たりの株式の価額を超えて支出した金額は、企業支配の対価と認めるのが相当である。
したがって、当該役員からの本件株式の取得は、高価買入れに当たらない。
要旨
所得税法第72条第1項に規定する災害に該当する人為による異常な災害とは、社会生活上通常予見し得る単なる不法行為によって発生した損害ではなく、予見及び回避不可能で、かつ、その発生が劇的な経過を経て発生した損害であることを要するものと解されるところ、離婚に際して夫婦の共有建物を調停で定めた分割線で分割するに当たり、当該分割線を超えて請求人の部分の一部が取り壊されたために生じた損害は、請求人がその部分の取壊しについて承諾しなかったとしても、分割線に近い柱を基準としてその柱の手前部分で取り壊すことが、建物の構造上の特性からみて首肯されるものであるから、通常生起する不法行為の一形態による損害にすぎす、当該建物の取壊しによる損害は、同項に規定する災害による損害に当たらない。
要旨
差押えに係る建物の実質的な所有者は、登記簿上の所有者たる滞納者ではなく、請求人であるとする主張について、所有者名義が滞納者となっているのは、請求人が債権者からの追求を免れるために通謀して行った虚偽の意思表示に基づくものであるとしても、[1]原処分庁が本件物件の所有者が外形と異なるかどうかについて関係者等を調査したのは原処分を行った後であること、[2]請求人が本件不動産の譲受けの対価の支払調書の照会に対して何らの回答もしていないこと等から、原処分庁は原処分当時に請求人等の真意につき悪意であったとは認められず、したがって、民法第94条第2項の規定により、滞納者への所有権移転登記の無効の主張は、これをもって原処分庁に対抗できず、本件差押処分に影響を及ぼすものではない。
要旨
債務超過となっていた旧会社からの事業の譲受けに際して取得した営業権を償却したことについて、請求人は設立直後から大手工事会社の下請業者の中でも第1位の地位を保ち、相当の業績をあげているが、これは旧会社が特別の費用を投じたことにより親会社から得てきた工事施行能力等に対する信用度を請求人がそのまま引き継いだからにほかならず、この信用度が正に営業権と認められ、その営業権の取得価額も、旧会社が投じた特別の費用の見積額によっており妥当と認められるから、その償却費の損金算入を認めるのが相当である。
要旨
所得税法上、譲渡所得には、棚卸資産(これに準ずる資産を含む。)の譲渡、その他営利を目的として継続的に行われる資産の譲渡によるものは含まれないから、土地に区画形質の変更を加えたり、水道その他の施設を設けて宅地等として譲渡した場合には、その所得の全部が事業所得又は雑所得に該当するものと解されるところ、譲渡所得に対する課税の本質は、資産の値上がりにより所有者に帰属する増加益を所得として、その資産の所有権の移転を機会にこれを清算して課税する趣旨のものであり、したがって、区画形質の変更等を加えた土地の譲渡であっても、その土地が極めて長期間引き続き所有されていたものであるときは、その譲渡による所得には、本来の譲渡所得の本質を有する部分も含んでいるとみるべきであるから、このような場合は、資産の譲渡による所得を譲渡所得と事業所得又は雑所得とに区分して課税することが相当である。
要旨
長期間所有していた山林を宅地造成して譲渡した場合の譲渡所得の収入金額とすべき宅地造成着手前の土地の価額について、原処分においては、当該土地の近隣地域等に所在する土地の通常の取引価額に各種の地域要因等を参酌して算定(1平方メートル当たり3,333円)しているが、本件の場合は、本件共同造成地内の山林を宅地造成着手直前に売買した事例があるので、これにより、当該土地の価額を算定(1平方メートル当たり3,939円)することが合理的である。
要旨
居住の用に供していた家屋の明渡しに際し受領する立退料は、仮にその立退料が借家権の消滅の対価に該当し、譲渡所得に係る収入であるとしても、借家権の譲渡は、租税特別措置法第35条第1項に規定する「土地若しくは土地の上に存する権利又は家屋の譲渡」に当たらないから、同条の規定は適用されない。
要旨
請求人が支出したとする弁護士費用は、その支出の事実が認められ、かつ、本件家屋の所有者から提起された明渡しを求める訴訟において、弁護士によって請求人の立場が有利になるように訴訟が進められ、和解に際し立退料の支払が行われたものと認められるから、その収入を得るために直接要した支出と認められる。
要旨
本件家屋の明渡しに際し受領した金員は、請求人が適法な賃借人としてではない居住者として受領したものであるから、その金員は立退料であり、これは営利を目的とする継続的行為から生じたものでなく一時的性質のもので、しかも労務その他の役務の対価たる性質も有しないものであるから、一時所得に係る収入金額に該当する。
要旨
請求人は、製品のすべてを請求人に納入している子会社5社から、従来、売上金額に一定の割合を乗じた額の経営指導料及び技術指導料を収受しており、また、これら子会社に金銭貸付けを行った場合には、契約に基づき一定の率による利子を収受していたところ、これら子会社のうちのA社及びB社の経営状態が悪化し、多額の欠損金額を生ずるに至ったため、既に確定的に発生していたA社及びB社に対する経営指導料の額及び技術指導料の額並びに利息の額の支払を免除した。経済的利益の供与であっても、その経済的利益の供与が合理的な理由に基づくものである場合には寄付金に該当しないと考えるべきことは請求人の主張のとおりであるが、A社及びB社の経営状態が債権者にとってその有する債権につき回収不能が生じたと認定し得るほど悪化しているとは認められず、また、親子会社が全体として統一した経営意思により経営されているいわゆる運命共同体的関係にあるとしても、そのことだけを理由として税務上親子会社個々の所得金額の計算について特別な観点から一般と異なる取扱いをすることは許されていないのであり、さらに、請求人が、本件各免除の代償として、A社及びB社から役務の提供を受け、又は履行すべき取引上の義務を免れるといった何らかの具体的反対給付を得るに至った事実が認められないのであるから、本件各免除によるA社及びB社に対する経済的利益の供与は、寄付金に該当するものといわざるを得ない。
要旨
課税台帳に登録された価格のない家屋に係る登録免許税の課税標準とする価額については、[1]新築建物価格認定基準表による額又は[2]不動産取得税の課税標準額の算定基礎である家屋の価格に相当する額のいずれか低い価格によるのが相当である。
要旨
抵当権付きの土地を譲渡して、その代価をもって債権者に弁済した場合に、[1]請求人一家の収入は家族の生計を維持するのが限度であって、負債の返済はもちろん、その利息を支払うに足りる資金調達の目途が全くなく、近い将来においてもその資力を回復することができない状態にあったこと、[2]抵当権者の一部から本件土地を競売して債務及び利息の返済をするよう強く迫られていたこと等が認められるから、本件土地の譲渡による所得は、資力を喪失して債務を弁済することが著しく困難であり、かつ、強制換価手続の執行が避けられない場合の資産の譲渡による所得に該当し、非課税所得となる。
要旨
被相続人が相続開始日直前4日間に銀行の普通預金口座から引き出した現金(40,000,000円)については、被相続人の死亡直前の状況により、資産の取得、債務の返済、その他費消等のために支出された事実が認められないことから、当該現金は、相続開始時の手持現金と認めるのが相当である。
要旨
請求人は前年にした建物及び土地の譲渡について、当初、居住用財産の譲渡所得の特別控除の規定の適用を受けたが、これについては、後日その建物及び土地が居住用財産に当たらないことに気付き修正申告書を提出しているところであり、本年に譲渡した本件建物及び土地については、譲渡日まで請求人とその家族が日常居住していたことが認められるから、その譲渡につき居住用財産の譲渡所得の特別控除の規定を適用して申告したことは正当である。
しかしながら、本件建物及び土地は、居住の用と事業の用に供していた事実が認められるから、当該特別控除の規定の適用は、本件建物及び土地の居住用部分に対応する譲渡所得の金額に限られるというべきである。
要旨
請求人の経営する会社への本件建物及び土地の提供は、当該会社について営業の不振を理由として債務者から和議の申立てがあり、裁判所の認可に係る和議条件において債権者に対する一定金額の債務の弁済につき請求人が保証債務を負うものとされ、その債務の弁済を担保するために行われたものであるから、本件建物及び土地の譲渡は、保証債務を履行するための資産の譲渡で、かつ、求償権の行使ができなかったものに当たることが明らかである。
要旨
有限会社の減資の対償として交付を受けた資産(土地)について、当該会社の負債に係る抵当権が設定されていても、抵当権はその目的物の不動産等の担保価値を把握し、被担保債権の優先弁済を受けることを本質とするものであって、仮に、債権者による抵当権実行の段階に至っているとしても、譲受人としては抵当不動産の第三取得者として代位弁済(民法第500条)等の方法により、これを避けられるほか、譲渡人が担保的権利による制限がある場合の売主の担保責任(民法第567条)を負っており、いずれにしても譲渡人に対して求償権を有することとなるので、抵当権が設定されている当該資産の経済的価値には影響がないと解するのが相当である。
したがって、当該資産の交付によるみなし配当の収入金額を算定するに当たり、当該資産の時価から抵当権による被担保債権額を控除することはできない。
要旨
更正通知書が、住民登録がされ、かつ、確定申告書に記載された住所に送達されることなく、これと異なる居所(マンション)に送達されたとしても、当該住所には送達時において、家屋から電力供給設備のすべてが撤去されているなど請求人の居住の事実が認められず、また、原処分庁の職員は、当該居所において請求人が居住している事実を当該マンションの管理人の答述により確認しているから、当該更正通知書は適法に送達されたものと認めるのが相当である。
要旨
請求人の商品先物取引は、取引回数、取引数量等からみると、営利性・有償性及び継続性・反復性が認められるが、それが事業というためには、更に事業としての社会的客観性を要するものと解されるところ、商品の先物取引は投機性の強いものであって本来事業になじみ難い性格を有すること、請求人は生活の資のほとんどを畳製造業からの所得により得ていたこと、商品先物取引は商品取引所取引員所属の外務員の勧奨を受けて始め、その助言を受けて行っていたこと、商品の先物取引を行うために特別の人的物的施設を設けていなかったこと、必要経費も当該取引に直接要した費用以外に通常事業に付随する必要経費をほとんど要しなかったこと等の諸点を総合勘案すると、請求人の商品の先物取引程度のものは、一般社会通念に照らし、いまだ事業とは認められないものと解するのが相当である。
要旨
原処分においては、兄が相続財産として取得した本件土地の2分の1を、その後、弟である請求人が贈与を受けたものと認定しているが、[1]本件土地について、兄を単独相続人とする旨記載した本件遺産分割協議書には、他に建物、借地権、山林、株式等があるにもかかわらず、本件土地と当該建物のみを遺産分割の対象物件とし、当該物件を相続しないものとした請求人に対して他の遺産を分割することを記載しないなどのその記載内容が極めて不自然であること、[2]本件遺産分割協議書が作成された当時、請求人は自己の実印を兄の経営する会社の金庫に預けており、兄はこれを容易に使用し得る立場にあったこと等が認められ、さらに、本件土地の相続を原因とする所有権移転登記に係る裁判(請求人からの訴えに基づくもの)における請求人、兄及び請求人の叔母の供述等を総合して考えると、本件遺産分割協議書は、兄が借入れの際本件土地に抵当権設定の必要が生じたため、請求人に無断でこれを作成したものであり、これにより本件土地につき兄名義で所有権移転登記をしたものというべきである。
したがって、兄は遺産分割により本件土地の全部を単独所有した事実はなく、その持分の2分の1を請求人に贈与した事実もあり得ないことになる。
要旨
配偶者分べん費が、健康保険法第50条第1項の規定に基づき支給される分べん費と同一の法的性質を有することは明らかであるところ、その分べん費については、健康保険法の立法時の国会の審議において、その性質は分べんに対する費用であると説明されており、また、その後の数次にわたる法律改正の都度その額が増額された理由は当時の国会審議の過程からみても明らかであるとおり出産に係る医療機関への支出額が年々の社会的経済的生活環境の変化に伴って増加していることを考慮してなされたものであるところからみても、分べん費は専ら出産に伴って医療機関等に支出される費用を補てんするために支給されるものであると認められるから、これと同じ性質を有する配偶者分べん費も同様と認められ、医療費控除の対象となる医療費を補てんする保険金、損害賠償金その他これらに類するものに該当する。
要旨
被相続人と請求人らは、公正証書によりいったん土地を贈与する旨の合意をしたが、更にその翌日、被相続人はその合意を踏まえた上、遺言書を作成して、被相続人が死亡した時を期限として当該土地を請求人らに贈与する旨の意思を表示し、また、被相続人は公正証書を作成してから死亡するまでの間に、当該土地を名実ともに自己が使用、収益、処分し、請求人らはこれを黙認してきたものであるから、公正証書による合意の真の内容は、被相続人が将来において、所有権を請求人らに移転することを予定したものにすぎないと認められ、当該土地についての贈与の効力は、被相続人の死亡により確定的に生ずることとなったものといわざるを得ない。
要旨
本件賃借料が、自己の経理事務の用に供するために賃借している電子計算組織の使用料であるのに対し、本件事務受託手数料は、他の数社からの経理関係の事務の受託契約に基づく役務提供の対価であって、当該地の数社に対する電子計算組織の貸付けによる対価ではなく、したがって、本件賃借料と本件事務受託手数料との間には直接的な関係がないので、本件賃借料の額は、期間損益通達に基づき、その支払をした事業年度の損金の額に算入すべきである。
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