裁決事例 裁決事例集 第54集

裁決事例 裁決事例集 第54集

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平成9年12月15日裁決

本件譲渡資産は、換価分割により取得したものではなく、代償分割により取得したものであるから、他の相続人に支払った代償金は譲渡所得の計算における取得費には該当しないとした事例

裁決事例集 第54集 210頁

要旨

 請求人は、本件譲渡資産は、家庭裁判所の調停案のとおり、他の相続人らが相続し、これを直ちに請求人が6,000万円で買い取る旨の遺産分割の合意を見るに至ったものであるから、他の相続人らからの取得額6,000万円を本件譲渡所得における取得価額とすべきであると主張する。
 しかしながら、上記の調停案は請求人が提案したものにすぎず、他の相続人らは一貫して金銭による分割を要求していたことからも係る調停案に合意していたとは認められない。
 かえって、最終調停期日に作成された調停調書によれば、請求人は、被相続人の遺産のすべてを単独取得し、その代償として他の相続人らに対し、6,000万円の支払義務があることを認める旨の調停が成立したことが認められるのであるから、請求人の本件遺産分割が換価分割であるとの主張は採用できず、代償分割によるものであるとして、譲渡所得の金額の計算上、本件代償金6,000万円を取得費の額に算入しなかった原処分は相当である。

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平成9年12月15日裁決

郵便局に郵便物を留め置く手続をしている場合の送達の時期は、当該郵便局に郵便物が留め置かれた時に送達の効力が生ずるとした事例

裁決事例集 第54集 1頁

要旨

 国税通則法第77条第2項において審査請求をすることができる期間は、「異議決定書の謄本の送達があった日の翌日から起算して1月以内にしなければならない」旨規定されており、「送達があった日」とは、書類が社会通念上送達を受けるべき者の支配下に入り、その内容を了知し得る状態になったと認められる時をいうと解されており、送達を受けるべき者が現実に書類の内容を了知していなくても送達の効力が生じることとなる。
 郵便規則第90条によれば、郵便物の受取人があらかじめ当該配達を受け持つ郵便局に旅行その他の事由によって不在となる期間(30日を限度とする。)を届け出ている場合には、その期間の郵便物を当該郵便局に留め置くことになっているものの、受取人が当該郵便局に出向けばいつでも自由に受領できる取扱いとなっており、当該郵便局に郵便物が留め置きされた時以後、その郵便物は受取人がいつでも受領可能であることからして、受取人は当該郵便物をその支配下に置き、その内容を了知し得る状態になったものと認められるから、郵便物が郵便局に留め置かれた時に送達の効力が生ずるものと解される。

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平成9年12月11日裁決

相続税評価額は審判所が算定した時価を上回っているとして、時価を上回る価額による処分の一部を取り消した事例

裁決事例集 第54集 420頁

要旨

 請求人は、本件宅地の存する地域は地価が異常に下落しており、相続開始日における時価が相続税評価額を下回っているから、本件通知処分は本件宅地の時価の解釈を誤った違法な処分であり、本件宅地の価額は請求人が依頼した不動産鑑定士の鑑定評価額によるべきである旨主張する。
 一方、原処分庁は、原処分庁が依頼した不動産鑑定士による本件宅地の鑑定評価額は相続税評価額を上回っているから、本件宅地の価額は相続税評価額によるべきである旨主張する。
 しかしながら、請求人が提出した鑑定評価書には、鑑定評価に採用した取引事例に不適当なものがみられるなど種々の不的確な点が認められることから、当該鑑定評価額は本件宅地の価額を表しているものとは認められず、また、原処分庁が提出した鑑定評価書の写しには、その鑑定を行った不動産鑑定士の氏名が明らかにされていないことから、本件宅地の価額を証明する証拠資料として採用することはできない。
 そこで、当審判所において、本件宅地と同一の用途地域内にある取引事例等を抽出し、これらの現況を確認し、土地価格比準表に準じて地域要因及び個別要因の格差補正を行う方法により本件宅地の価額を算定したところ、一部の宅地について、審判所が算定した価額が相続税評価額を下回っていることが認められたので、審判所が算定した価額を当該宅地の価額とするのが相当である。
 よって、本件通知処分はその一部を取り消すべきである。

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平成9年12月10日裁決

従業員であり請求人の母親である者の死亡に伴い支出した弔慰金及び香典は、事業と直接の関連を有し、客観的に通常かつ必要な費用であるとは認められないことから、必要経費に算入することはできないとした事例

裁決事例集 第54集 141頁

要旨

 請求人は、従業員であり請求人の母親である者の死亡に伴い支出した本件弔慰金及び本件香典は、事業所得金額の計算上必要経費に算入すべきである旨主張する。
 しかしながら、本件弔慰金については、その理由があいまいであり、かつ、その金額の計算方法も不動産所得の基因となる建物の管理等の労務の対価及び建築後の経過年数を用いているなど合理性、整合性がないことから、事業と直接の関連を有し、客観的に通常かつ必要な費用であるとは認められない。
 また、本件香典については、葬儀費用の負担者は喪主である請求人であり、本件香典を手向けた者と本件香典の受取人は請求人自身であると認められることから、香典として経理処理等をしたことをもって、事業遂行上客観的に通常必要な費用であるとは認められない。仮に業務関連部分があるとしても、家事関連費とみるのが相当であるところ、業務遂行上必要である部分を明らかに区分することができず、所得税法施行令第96条に規定する経費に該当しない。
 よって、本件弔慰金及び本件香典はその全額について必要経費に算入することはできない。

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平成9年12月9日裁決

重加算税の賦課要件を充足するためには、過少申告行為とは別に隠ぺい又は仮装と評価すべき行為の存在を必要としているものであると解されるところ、原処分庁は隠ぺい又は仮装であると評価すべき行為の存在について何らの主張・立証をしておらず、隠ぺい又は仮装の事実を認めることはできないとした事例

裁決事例集 第54集 94頁

要旨

 国税通則法第68条第1項の規定によれば、重加算税の賦課決定処分については、納税者が国税の課税標準又は税額等の計算の基礎となるべき事実の全部又は一部を隠ぺい又は仮装し、その隠ぺい又は仮装したところに基づき納税申告書を提出したことが要件となっている。これは、重加算税の賦課要件を充足するためには、過少申告行為とは別に隠ぺい又は仮装と評価すべき行為の存在を必要としているものであると解される。
 原処分庁の主張は、請求人が意識的な過少申告を行ったものであるというにすぎず、隠ぺい又は仮装であると評価すべき行為の存在について何らの主張・立証をしておらず、また、当審判所の調査その他本件に関する全資料をもってしても、本件貸付金について隠ぺい又は仮装の事実を認めることはできない。
 したがって、重加算税の賦課決定処分のうち、争いのある部分については重加算税を賦課することは相当ではない。

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平成9年12月5日裁決

歯科技工を営む者が自ら原材料等を購入して、歯科補てつ物を製作し受注先に納入している場合の消費税の簡易課税制度における事業区分は、第四種事業(サ-ビス業)に該当するとした事例

裁決事例集 第54集 493頁

要旨

 請求人は、請求人の歯科技工所の事業形態は、原材料、中間材料、機械設備などをすべて自ら調達し、原材料等に物理的、科学的、機械的変化を施した歯科補てつ物を患者固有の口腔内に適合、機能できるように製作して受注先へ納入していることから第三種事業(製造業)に該当する旨主張する。
 しかしながら、請求人の事業をみると、もっぱら歯科医師等の受注先から補てつ物等を作成するうえでの具体的指示事項が記載されている技巧伝票及び石こうの歯形の提供を受けて歯科補てつ物等を作成して納入しているのであり、同物を何の制約等を受けることなく自由に作成できるものではない。請求人は、歯科医師が指示する形状、サイズ、材質等に従って歯科補てつ物を作成しなければならないのであり、歯科医師の指示によらず作成する歯科材料製造業等とは全く異なっている。
 また、請求人の事業は誰でも自由に行い得るものではなく、歯科医師ないし歯科技工士としての国家資格が認められた者でなければ行い得ないものであって、歯科医師は歯科医師及び歯科技工士以外の誰にも事業としての歯科補てつ物等の作成を依頼することができないことから、本件事業は歯科医師の指示に基づいて歯科医療に係る知識若しくは技能、技術を提供するものであり、歯科補てつ物等の作成も歯科医療行為の一環として行っているものと解するのが相当である。
 そうすると、本件事業は、歯科補てつ物等を製作する製造業としてよりも、歯科補てつ物等の製造、納入による歯科医療行為に付随するサービス提供事業である点にその本質があるものと解されることから、第四種事業(サービス業)に該当する。

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平成9年11月28日裁決

本件土地の売買に際し、請求人は確定申告した売買代金以外にも金銭を受領した事実があるとしてなされた更正処分について、その事実を認めるに足りる証拠はないとして、その全部を取り消した事例

裁決事例集 第54集 180頁

要旨

 原処分庁は、本件土地の売買に関する契約書として、売買価額を25,113,000円とする契約書(以下「甲契約書」という。)、売買価額を45,180,000円とする契約書(以下「乙契約書」という。)及び売買価額を60,240,000円とする契約書の3通が存在するが、本件土地の買受人の代理人の答述及び売買代金の支払等が記録されたメモ等の内容から、本件土地の売買価額は乙契約書に基づく45,180,000円と認めるのが相当である旨主張する。
 しかしながら、次の事実等を照らし合わせると、乙契約書が真に本件土地の売買を表すものと認定することはできない。

  1.  乙契約書は、作成時期が明らかでない上、仲介手数料は異なった金額が二段書きされているなど不自然な箇所がある。
  2.  本件土地の買受人の代理人の答述等は、その時々により内容が異なっており信用ができず、また、提出されたメモ等の記載内容も真実のものか疑わしいと言わざるを得ない。
  3.  本件土地の売買代金について検証できる部分は、25,113,000円だけであり、現金で支払ったとされる20,067,000円については証拠がない。

 以上から、請求人が本件土地の売買に際し、甲契約書記載の売買代金以外の金銭を受領した事実は認められず、また、ほかにもその受領の事実を認めるに足りる証拠はないので、本件土地の譲渡価額は、請求人が確定申告した25,113,000円であると認められる。
 よって、請求人の平成2年分の分離短期譲渡所得の金額は、申告に係る分離短期譲渡所得の金額と同額であるから、本件更正処分はその全部を取り消すべきである。

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平成9年11月27日裁決

当初申告に係る物納申請についてされた徴収猶予の効果は、その後に提出された修正申告に係る物納申請に対する徴収猶予には及ばないことから、修正申告に係る延滞税の納税義務があるとした事例

裁決事例集 第54集 59頁

要旨

  1.  原処分庁は、請求人の更正の請求に基づき、納付すべき税額を931,345,100円とする更正処分を行った。
     その後、請求人は、物納土地の面積の増加を避けるためか、納付すべき税額が310,389,500円増加する本件修正申告をしたものであり、これに附帯する本件延滞税については、国税通則法第60条第1項第2号及び同条第3項の規定により、これを納付する義務がある。
     また、国税通則法第29条第2項及び同法第20条の規定により、本件減額の更正処分の結果、当初申告に係る物納申請額は1,318,860,400円が931,345,100円へと減額になり、この減額後の金額の範囲内で徴収猶予の効果は存続しており、当初申告の物納申請に対してなされた徴収猶予の効果は、本件修正申告により納付すべき税額には及ばない。
  2.  請求人の主張するように、本件修正申告には本件更正の請求を上回って減額された(減額更正)金額が含まれているとしても、これが修正申告及び延滞税の納税義務には何ら影響を与えるものではなく、また原処分庁は減額の更正をしているのであるから、本件修正申告をしょうようするはずはなく、仮に、原処分庁が物納土地の増加を避けるための一方法として修正申告の方法がある旨を示唆したとしても、本件修正申告をするか否かは請求人の判断と責任においてされたものであるから、本件修正申告を適法でないとする理由とは認められず、本件延滞税を免除すべき事由に該当しない。
  3.  本件更正処分は極めて不公正であり、本件督促処分の違法性にも影響を及ぼす旨主張するが、督促処分は本件延滞税に係る処分であり、本件延滞税の納税義務は請求人が本件修正申告をすることに伴って生じているのであるから、この点に関する請求人の主張には理由がない。
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平成9年11月26日裁決

各年分の収入金額は、請求書控え及び預金通帳で十分把握し認識することができたにもかかわらず、毎月の収入金額をすべて600,000円に圧縮し、その金額を上回る部分を除外したところで、過少な課税標準額を記載した内容虚偽の申告書を作成して提出した行為は、事実の隠ぺいに該当するとした事例

裁決事例集 第54集 83頁

要旨

  1.  請求人は、みなし法人課税を選択し、平成4年分までその適用を受けていたものである。
     みなし法人課税の制度は、所得が連年一定であれば、事業主報酬の金額を調整することにより、節税が可能であるものの、所得の変動が多い場合には、税額の負担割合は通常より高くなる可能性を含んでいる。
     したがって、この制度を選択するに当たっては、自己の事業を的確に予測する能力と通常以上の適正な記帳が必要となり、申告に当たっては高度な計算手続が要求される。
     ところが、請求人は、収入金額を定額の月600,000円としか記帳しないのみならず、4年間にわたって総収入金額を7,200,000円と記載した確定申告書及び所得税青色申告決算書を提出していたことが認められる。このことは、確かに請求人が主張するように二重帳簿ではないけれども、実際の総収入金額を計上した場合には、請求人の負担が高くなることを認識していたと認められる。
     しかも、計上した収入金額と実際の収入金額との差額の総収入金額に占める割合は、平成4年分22.2パーセント、平成7年分では34.2パーセントに達する。
     以上のことから、7,200,000円を超えた金額は、請求人の主張するような単なる計上ミスというより、売上除外とみるのが相当であり、請求人が4年間の長きにわたって行った経理処理は、過少の申告が発生することを認識して行っていたものと認められ、事実の隠ぺいに該当する。
  2.  収入金額の3割程度の給与所得控除相当額を収入金額から控除して記帳するものと誤解していたとの請求人の主張は、4年間の総収入金額が7,200,000円と一定であることからすると不自然であり、また、税務調査の際に、税務職員の質問調査を受忍して帳簿書類等を提示するのは、法に定められたことであるから、請求書控えや預金通帳を提示したことをもって仮装、隠ぺいがないとはいえない。
  3.  重加算税の賦課決定処分をするに当たり、その理由を納税者に説明しなければならない旨定めた法令の規定はなく、説明するか否かは調査権限を有する税務職員の合理的な判断に委ねられていると解するのが相当であるから、請求人の主張する違法はない。
     なお、本件調査は、所得税法234条の規定に基づく質問検査権の行使であり、行政手続法の適用除外に該当する。
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平成9年11月19日裁決

法人税法施行令第137条は「土地の使用の対価として相当の地代を収受しているときは、当該土地の使用に係る取引については正常な取引条件でなされたもの」と規定しているが、租税特別措置法第69条の3第1項の適用に当たっては、実際の支払地代により判断すべきであるとした事例

裁決事例集 第54集 481頁

要旨

 租税特別措置法第69条の3第1項に規定する被相続人の事業について、租税特別措置法施行令第40条第1項は「事業と称するに至らない不動産の貸付けその他これに類する行為で、相当の対価を得て継続的に行うものを含む」旨規定しており、この場合の「相当の対価を得て」とは、貸付等の用に供している資産の賃貸料が、貸付等の用に供している資産の固定資産税その他の必要経費を回収した後において、相当の利益を生ずるような対価を得ていることと解され、相当の対価を得ていたかどうかについては、相続開始の直前において、相当の対価を現実に得ていたかどうかという客観的事実により判断するものと解される。
 また、法人税法施行令第137条の規定及び法人税基本通達13-1-2及び13-1-7の取扱いは、いずれも法人が借地権の設定により他人に土地を使用させた場合の規定等であることから、これらの規定等は本件宅地の貸付けに関して適用することはできない。

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平成9年11月14日裁決

債務者である代表者が債務超過に陥っているか否かの判断に当たり、代表者が所有する個々の資産、負債の評価は、代表者が所有する請求人の株式を含め、時価評価(純資産価額方式)によることが相当であるとした事例

裁決事例集 第54集 274頁

要旨

 請求人は、請求人の代表者は債務超過の状態にあり、同人に対する貸付金に係る利息は回収困難であるから、法人税基本通達2-1-25の(1)及び(3)に該当する旨主張するが、同通達の(1)及び(3)は、元本そのものが不良債権化したという場合であって、そのような危機的状況が生じているかどうかの一つのメルクマ-ルを「債務超過」に求めているものであるから、債務超過の状態は実質的に判断すべきであり、債務者の個々の資産及び負債を時価評価して債務超過の状態にあるか否か、また、債務者の支払能力の有無等を総合して客観的に判断すべきものと解される。
そこで、請求人の株式を純資産価額方式により評価して代表者の資産負債の状況を見ると、同人が到底債務超過の状況にあるとは認められず、しかも債務の大部分は請求人からのものであるから、貸付金の元本自体の回収が危機的状況にあるとは認められない。
また、同人は換金可能な土地等の不動産、株式を有していること等から、利息を支払えないことにつき客観的にやむを得ない事情、すなわち「相当の理由」があるとは認められないから、上記通達の(1)及び(3)に該当しない。

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平成9年11月6日裁決

不動産売買契約の和解に伴う損失は、当該和解のあった日の属する事業年度の所得金額の計算上、損金の額に算入すべきものであって、国税通則法第23条第2項の規定により、そ及して所得金額を減額修正することはできないとした事例

裁決事例集 第54集 46頁

要旨

 法人の所得の計算につき、法人税法第22条第4項は法人の当該事業年度の収益の額及び費用、損失の額について、いわゆる権利確定主義を採っており、それが一般に公正妥当と認められる会計処理の基準であるから、法人の所得の計算については、当期において生じた損失は、その発生事由を問わず、当期に生じた益金と対応させて当期において経理処理すべきものであって、その発生事由が既往の事業年度の益金に対応するものであっても、その事業年度にさかのぼって損金として処理しないというのが一般的な会計処理であるということができる。
 本件和解によって本件譲渡物件に係る譲渡代金が減額されたとしても、その損失額は、本件和解のあった日の属する平成7年10月31日から平成8年9月30日までの事業年度の損金の額に算入すべきものであり、本件事業年度の経理処理及び納税義務には何ら影響を及ぼさないことになるから、本件更正の請求は、課税標準等又は税額等が過大であるとの更正すべき実体要件を欠くものといわざるを得ない。

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平成9年11月6日裁決

地価の急落により時価が路線価を下回る、いわゆる逆転現象が生じているとして、鑑定評価額による申告がなされたが、相続開始日における時価は相続税評価額を上回っていることが認められるとして、原処分庁が相続税評価額により評価したことを相当と認めた事例

裁決事例集 第54集 375頁

要旨

 請求人は、本件各土地の存する地域は地価が急落しており、時価が路線価を下回る、いわゆる逆転現象が生じているので、不動産鑑定士の鑑定評価額による申告を認めるべきである旨主張する。
 しかしながら、本件鑑定評価額には次のとおり種々の不適切な点が認められることから、本件鑑定評価額が相続税法第22条に規定する時価を表しているものとは認められない。

  1.  本件鑑定評価書が採用した各取引事例は、その属する地域と本件各土地の近隣地域との特性に相当の相違がみられること及び底地の取引事例を活用していることなどから、不適切なものと認められる。
  2.  本件鑑定評価書が採用した収益事例は、その属する地域が本件各土地の近隣地域と同一需給圏とはいえないことから、不適切なものと認められる。
  3.  本件鑑定評価書が採用した公示地は、その属する地域と本件各土地の近隣地域との特性に相当の相違がみられることから、不適切なものと認められる。

 そこで、当審判所において本件各土地の相続開始日における価額について検討したところ、本件各土地の価額は、原処分庁が評価基本通達に基づいて評価した価額をいずれも上回っていることが認められた。
 よって、原処分庁が本件各土地の価額を相続税評価額により評価したことは相当と認められる。

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平成9年10月31日裁決

請求人は、区分所有建物であるマンションは一戸でも譲渡すれば、これに係る新規取得土地等に係る負債利子の損金不算入額の全額を損金に算入すべき旨主張するが、1棟の建物のうちの一部の区分所有物が譲渡されたというだけで、その敷地全体が譲渡されたと同じに扱うことはできないとした事例

裁決事例集 第54集 323頁

要旨

  1.  請求人は、[1]租税特別措置法第62条の2の規定の立法趣旨は、租税負担回避の防止、地価の高騰を抑制することにあるが、当該土地は、新築マンションを販売する目的で取得したのであるから租税負担回避目的の土地取得でないこと、また、地価が下落しており地価が高騰するおそれはない、[2]同法の規定の適用を受ける企業と受けない企業とで租税負担が不公平となるから同法の規定の適用はなく、累積損金不算入負債利子の全額を損金に算入すべきである旨主張する。
     しかしながら、同法は[1]新たな資金コストが生じないと認められるもの、[2]取得が節税又は投機目的ではないと認められるものを限定的に列挙し、新規取得土地等から除外しているところ、当該土地は除外される土地等に該当せず、請求人が主張する取得目的等の事情によって同法を適用しない規定も存しないから、当該土地は新規取得土地等に該当する。
  2.  請求人は、区分所有建物であるマンションの1戸でも譲渡すれば、[1]購入者は当該マンションの敷地全体を利用できること、[2]敷地の不動産登記がなされれば土地の所有権移転はできないことなどから、新規取得土地等の一部を譲渡しても全部を譲渡したことと同様に累積負債利子額を譲渡面積で按分して損金の額を計算するのではなく、全額を損金の額に算入すべきである旨主張する。
     しかしながら、一部の区分所有建物の所有者が敷地全体を利用できるとしても、1棟の建物のうちの一部の区分所有物が譲渡された場合に譲渡される敷地利用権は一部にとどまり、敷地全体が譲渡されたものとは異なるから、租税特別措置法第62条の2の規定の適用において、新規取得土地等を敷地とする1棟の建物のうち、一部の区分所有建物が譲渡されたというだけでその敷地全体が譲渡されたものと同じに扱うことはできない。
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平成9年10月15日裁決

住民票を異動したり、郵便受箱を撤去するなどした行為は、通知書の送達を回避することを意図してなされたものであり、請求人の住所は本件住所にあるとして、差置送達の効力を認めた事例

裁決事例集 第54集 4頁

要旨

 請求人は、平成8年3月14日にその住所を移転しており、本件通知書が送達された同月15日においては本件住所に請求人の住所はなかったのであるから、本件通知書の送達は無効である旨主張する。
 しかしながら、住所がどこにあるかについては、その場所に生活の本拠と認められるべき実質的な生活関係があるか否かによって判断すべきであるところ、具体的には、その者及び配偶者等家族構成員らの生活状況、その住所への移転目的その他の諸事情を総合的に勘案し、社会通念に照らして判断するのが相当である。本件は、請求人が住民票を異動したり、郵便受箱を撤去するなどした行為は、本件通知書の送達を回避することを意図してなされたものと認められ、請求人の住所は本件住所にあると認めるのが相当である。また、本件通知書は、透明なビニールケースに入れて密封した上、門柱に貼り付ける方法により送達されていることが認められるところ、同通知書はこれをもって請求人の了知し得べき状態に置かれたものとみるのが相当であり、かつ、同時点をもってその効力が生じたものと判断される。
 以上のことから、本件通知書は適法に送達されており、有効であると認められる。

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平成9年9月30日裁決

原処分庁が法定申告期限内に地価税の申告書が提出されていないことを内部資料によって確認した上、請求人の関与税理士事務所員に対し電話で問い合わせた直後に地価税申告書が提出された場合は、国税通則法第66条第3項にいう「調査があったことにより決定があるべきことを予知してされたものではないとき」に該当せず、同条第1項に規定する「納付すべき税額」とは法定申告期限後に提出された申告書に記載された納付すべき税額を指し、税の納付とは直接関係がなく、無申告加算税の基礎となる税額の計算において法定申告期限内に納付された税額を控除すべきではないとした事例

裁決事例集 第54集 72頁

要旨

 国税通則法第66条第3項にいう「調査」とは、実地調査等の納税者に対する直接的かつ具体的な、いわゆる外部調査はもちろんのこと、申告指導のような納税者が課税庁における検討を認識することができる程度の手続も調査の範囲に含まれ、「決定があるべきことを予知してされたものではないとき」に当たるためには、課税庁の調査を納税者が認識できる以前に自発的な意思に基づいて期限後申告書を提出した場合をいうものと解するのが相当である。
 請求人は、請求人関与税理士が法定申告期限前に作成した平成7年分の地価税の申告書について、内容を了解した上で記名押印して本件地価税申告書の作成を了し、提出方を請求人関与税理士に依頼して交付しており、当該申告書に係る地価税額の全額を法定納期限内に納付しているものの、原処分庁は、請求人の同年分の地価税の課税価格を請求人に係る資料等から算定した結果、申告義務があると見込まれたことから法定申告期限前に地価税の申告書等の用紙を請求人に送付し、法定申告期限内に同年分の地価税の申告書が提出されていないことを内部資料によって確認した上、請求人関与税理士事務所員に対し電話で同年分の地価税について申告書の作成を請求人から委任されているか、また地価税の申告書を提出しているか問い合わせを行っており、本件地価税申告書が提出されたのは、原処分庁から請求人関与税理士が当該問い合わせを受けた直後であることからすると、「調査があったことにより決定があるべきことを予知してされたものではないとき」に該当せず、「予知してされた」と認められる。
 国税通則法第66条第1項によれば、期限内申告書の提出がなかったことについて正当な理由があると認められる場合以外は、無申告加算税が賦課されることとされており、無申告加算税は納税申告書を法定申告期限までに提出しなかった者に対する行政制裁であるから、同条の規定は納付すべき税額が法定申告期限内に納付されていたとしてもその適用が左右されるものではなく、同条の規定する「納付すべき税額」とは、法定申告期限後に提出された申告書に記載された納付すべき税額を指し、税の納付とは直接関係がなく、無申告加算税の基礎となる税額の計算において法定申告期限内に納付された税額を控除すべきではないと解するのが相当である。

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平成9年9月29日裁決

非常勤の取締役3名に対して支給した役員報酬額は、当該取締役の職務の内容等に照らし不相当に高額であるので、当該取締役の職務の対価として相当であると認められる金額を超える部分の金額は、損金の額に算入することはできないとした事例

裁決事例集 第54集 306頁

要旨

 代表者の妻ら3名の取締役(以下「本件取締役」という。)に対して支払われた役員報酬額は、[1]本件取締役は業務執行権を有せず具体的な職務執行の内容が不明確であり、また、代表者の答述によれば、役員報酬額等は社員総会において支給総額を決定し、代表者及び他の役員一族でそれぞれ折半することとしていること等を併せ考慮すれば、本件取締役の職務内容は請求人の経営に深くかかわるものとは認められないこと、[2]請求人の各事業年度の売上高・売上総利益の伸び率に比較すると、当該各事業年度の本件取締役の支給額は、相当高い伸び率であると認められること、[3]本件取締役の役員報酬額は、いずれも請求人の類似法人で本件取締役と職務内容が類似すると認められる非常勤の取締役に対する役員報酬額の平均額と比較すると極めて高額であると認められること等から、本件取締役の役員報酬額はその職務の対価として相当ではなく、類似法人の平均的な役員報酬額を超える部分の金額は、不相当に高額な部分の金額であって損金の額に算入されないというべきである。

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平成9年9月18日裁決

請求人は、本件先物取引は取引員に欺もうされた取引で無効あるいは取り消し得る取引であるとしているが、請求人の自己の意思と判断に基づく取引であるので、本件先物取引から生じた所得は請求人に帰属するとした事例

裁決事例集 第54集 115頁

要旨

 請求人は、本件先物取引は取引員に欺もうされて行ったものであり、無効あるいは取り消し得る取引であるので、本件先物取引から生じた所得は請求人に帰属しない旨主張する。
 しかしながら、[1]請求人が先物取引会社に対して差し入れている書面、[2]先物取引会社が請求人に対して取引成立の都度送付している売買報告書等、[3]請求人は先物取引会社の求めに応じて委託証拠金等の金員を支払っていること及び[4]失物取引会社は請求人から請求があった都度委託証拠金や帳尻金を支払っていることから、本件先物取引は、請求人が自己の意思と判断の下で先物取引会社に委託して行ったものと認められ、本件先物取引から生じた所得は請求人に帰属すると判断するのが相当である。

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平成9年7月31日裁決

不動産の譲渡による収入金額を認定した事例

裁決事例集 第54集 162頁

要旨

 原処分庁は、請求人が譲受人から売買代金とされる4,500万円を受領していることなどから、本件物件の譲渡価額が4,500万円であるとし、一方、請求人は当該金額の中には、過去の譲受人及び同人の父に対する貸付金の一部の返済金(500万円)が含まれている旨主張するので、当審判所が、本件物件が譲渡されるに至った経緯等を調査したところによれば、請求人が主張するとおり、当該金額の中には、過去の金銭貸借等の精算部分が含まれていると解釈せざるを得ないことから、本件物件の譲渡価額は、4,000万円であるとするのが相当であって、4,500万円であるとした原処分は、その全部を取り消すのが相当である。

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平成9年7月18日裁決

相続税法第32条第3号に規定する更正の請求をすることができる期間の起算日は、遺留分減殺請求訴訟の和解が成立した日であり、適法な期間内に提出された更正の請求を前提とした同法第35条第3項第1号の規定に基づく原処分も適法であるとした事例

裁決事例集 第54集 109頁

要旨

 請求人は、相続税法第32条第3号に規定する更正の請求をすることができる期間の起算日は、同条に定める「遺留分による減殺の請求があったこと」を知った日であり、本件においては、既に期間が徒過してなされた違法な更正の請求であることから、このような違法な更正の請求を前提としてなされた原処分も違法である旨主張する。
 しかしながら、同条に定める「遺留分による減殺の請求があったこと」を知った日の期間の起算日は、遺留分減殺請求訴訟の和解が成立した日と解されることから、本件更正の請求は適法な更正の請求であり、原処分庁が、本件更正の請求があったことにより相続税法第35条第3項第1号の規定に基づき原処分を行ったことは適法である。

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平成9年7月4日裁決

配当還元方式を利用することにより、相続税の負担の軽減を図る目的で本件株式を取得した本件のような場合には、実質的な租税負担の公平という観点から、配当還元方式を適用することはできないとした事例

裁決事例集 第54集 451頁

要旨

  1.  財産評価基本通達188-2に定める配当還元方式は、単に配当を期待する少数株主を対象とする特例的な評価方法であり、限定的に用いられるべき方法であるところ、請求人らの本件株式の取得から売却に至る一連の行為等から判断すれば、請求人らは、同基本通達で定める配当還元方式を利用することにより、相続税の負担の大幅な軽減を図る目的で本件株式を取得したものと推認されるので、このような場合には、実質的な租税負担の公平という観点から原処分庁が本件株式の価額の算定に当たり、配当還元方式が適用できないと判断したことは相当と認められる。
  2.  相続税法第22条に規定する時価とは、課税時期においてそれぞれの財産の現況に応じ、不特定多数の当事者間で自由な取引が行われる場合に通常成立すると認められる価額であると解されるところ、本件株式の発行会社は、各月末において客観的な時価による純資産価額を基に自社株式の1株当たりの単価を算定して各出資者に通知し、また、同社の株式の売買もこの価額で行われていることから、当該単価は、同社に出資する場合に適用される一般的な価額と認められるので、本件株式の評価に当たっては、課税時期に最も近い時期における本件株式の客観的な時価による純資産価額の1株当たりの単価を基に算定すべきである。
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平成9年7月2日裁決

わが国において韓国芸能人に支払った人的役務の提供に対する報酬は、日韓租税条約上免税にならないとした事例

裁決事例集 第54集 231頁

要旨

 請求人は、韓国の居住者である芸能人に対し、国内における芸能人としての人的役務の提供に対する報酬を支払っていたが、本件報酬は、日韓租税条約第6条(1)に規定する「産業上又は商業上の利得」に該当するところ、本件芸能人は請求人を代理人としているところから、同条約第4条(4)及び(5)により、請求人という独立の地位を有する代理人を通じて国内で役務提供をしている場合には国内に恒久的施設を有しないこととされるから、同条約第6条(1)により、本件報酬はわが国において免税となる旨主張する。しかしながら、本件報酬に係るわが国における課税権の有無は、本件報酬に係る別個の条項である日韓租税条約第12条(4)に規定する要件により判断するのであり、第6条(1)に規定する要件により判断すべきではないところ、第12条(4)によれば、わが国における恒久的施設の有無は要件とせず、役務提供が国内で行われ、その報酬の額が一定額を超えることを要件にわが国における課税権を認めていることから、請求人の主張は採用できない。
 また、本件報酬は芸能人が芸能人として自らの人的役務を提供することにより取得する報酬であるから、上述のとおり第6条(1)は無関係であり、第4条(4)(b)(ii)に規定する「第12条(4)に規定する芸能人の役務」を提供する場合とは、芸能プロダクション等が芸能人の人的役務を他者に提供することにより取得する所得の場合のみの規定であるから、同条項は本件報酬のわが国における課税権の有無の判断には無関係である。

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平成9年7月2日裁決

請求人が作成した土地売買契約書及び建物売買契約書は、土地の譲渡価額の圧縮を目的として形式的に作成されたもので、建物売買契約は存在せず、土地を譲渡したものであるとした事例

裁決事例集 第54集 344頁

要旨

 請求人は、土地及び建物の売買を取り決め、土地売買契約書と倉庫を建築して譲渡する建物売買契約書を取り交わしているが、国土法の規制により、勧告価格を超えて譲渡することができないため、本件倉庫を建築し、当初予定した利益相当額を確保することで合意したもので、実際の契約に基づき作成されており、この記載内容に事実と異なるものはないと主張する。
 しかしながら、[1]本件請負契約書に添付されたとする仕様書は存在しておらず、また、契約書の検査引渡しの時期は完成から10日以内と記載されているが、完成時に検査をして引渡しを受けた事実も認められない等、契約が実行されたとは、にわかに信用し難いこと、[2]契約金額の決済については通常あり得ない不自然な決済方法であること、[3]請求人は、工事の進行管理や関係諸官庁への手続きなどの事実行為を一切行っていないことが認められ、発注者としての危険と責任を負っていた客観的事実も認められないこと、[4]本件倉庫の売買先に対しては、積算根拠が細部にわたって記載されている見積書が作成されているのに対して、請求人の見積書には、ほとんどその記載がないことが認められ、そうすると、請求人の見積書は、その見積金額が本件建物売買契約書の契約金額と同額であるところから、この契約金額に合わせて便宜上作成されたものにすぎないと認められる。
 以上のことから、本件請負契約書は形式的に作成されたもので実体がなく、実質的には、倉庫の請負契約は請負業者と建物売買契約先との間で行われたと認められ、本件建物売買契約書の実体もありえない。
 そうすると、本件建物売買契約書は、本件土地の売買金額の一部を本件倉庫の工事代金に仮託するために形式的に作成されたとみるのが相当である。

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平成9年7月1日裁決

生命保険契約に基づく解約返戻金の支払請求権を差押え、解約権を行使してその給付を受け、配当処分を行う一連の滞納処分手続に違法はないとした事例

裁決事例集 第54集 505頁

要旨

  1.  異議審理庁は、異議申立ての趣旨等が不明であることを理由に却下の決定をしているが、審判所の調査の結果、異議申立てに不適法とするほどのかしは認められないから、本件審査請求は適法と認められる。
  2.  差押えに係る債権が請求人の母に帰属するのであれば、本件債権の差押え及び配当処分は請求人に不利益を及ぼさないから、本件配当処分の取消しを求める請求人の主張は理由がないこととなるが、当審判所が調査したところ次のとおりである。
     本件生命保険契約の契約者は、保険契約書上は請求人本人であり、その保険料は、請求人の勤務するJ有限会社の給料から毎月5,604円が差し引かれ、請求人本人が負担していたことが認められる。したがって、本件債権は請求人に帰属すると認めるのが相当である。
  3.  本件滞納国税の納付について、月々の支払可能額を納付する旨の申し出があったとしてもこれを徴収職員が承諾したとは認められず、また、徴収職員は滞納国税が完納されるまでは滞納処分手続を続行できるものと解されるから、原処分庁の一連の滞納処分に違法はない。

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