裁決事例 平成3年(1991年)

裁決事例 平成3年(1991年)

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平成3年12月26日裁決

別の意図で作成した仮装文書を誤って申告の際に使用し、過少申告した場合も重加算税を課し得るとした事例

裁決事例集 第42集 25頁

要旨

 請求人は、本件譲渡価額を十分承知しており、また、請求人は、事実を仮装した本件売買契約書を自ら作成し、本件物件譲渡に関し2種類の契約書が作成されていることについても十分承知していた。
 したがって、たとえ申告相談の際に本件売買契約書を取り違えて持参したという事情があったとしても、これに基づいて申告した本件においては、過少申告の意図をもって本件売買契約書を提示したか否かにかかわらず、国税通則法第68条第1項の要件を充足する。

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平成3年12月18日裁決

外国のオークションを通じて購入した本件テーブル等は、時の経過により価値が減少する資産に当たるとした事例

裁決事例集 第42集 102頁

要旨

 外国のオークションを通じて購入したテーブル3脚及び電気スタンド8台は、[1]美術年鑑等に登載された作者により限定して制作されたものでないこと及び[2]美術館の照明器具や絵画購入者などの来客接待用として事業の用に供することによりその経済的価値は減少するものと認められることから、減価償却資産に当たるとするのが相当である。

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平成3年12月18日裁決

源泉所得税の納税告知等の違法を理由として差押えの取消しを求めることはできないとした事例

裁決事例集 第42集 245頁

要旨

 納税告知は、既に確定した納付すべき源泉所得税の額を明らかにするとともに納税義務を履行するよう請求する処分であり、不納付加算税の賦課決定は同税の納税義務の確定を目的とする処分であるのに対し、差押えは既に確定している納税義務の強制的な履行を目的とする処分であるから、本件納税告知等と本件差押えとは、それぞれ別個の法律効果を目的とする独立した行政処分であり、したがって、仮に本件納税告知等に違法があったとしても、当該納税告知等が無効となるような重大かつ明白なかしがない限り、そのことにより本件差押えが違法となるものではないと解すべきであるところ、請求人は、本件滞納国税の額の確定に誤りがあり、これに基づく本件納税告知等が違法であることを理由として本件差押えの取消しを主張するが、本件納税告知等に重大かつ明白なかしはなく、かつ、その取消しもなされていないことが認められ、また、本件差押え自体については、国税徴収法第47条及び第73条の規定に基づいて適法になされていることが認められるから、本件納税告知等の違法を理由として本件差押えの取消しを求める請求人の主張は、失当である。

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平成3年12月18日裁決

路線価の付されていない私道に接する宅地の価額は、その私道と状況が類似する付近の道路に付された路線価に比準してその私道の仮路線価を評定し、その仮路線価に基づき計算した価額によって評価するのが相当であるとした事例

裁決事例集 第42集 229頁

要旨

 請求人は、本件私道に付される仮路線価は、いわゆる「基準価額」と同額とすべきである旨主張するが、この「基準価額」は、本件私道そのものが宅地であるとした場合の1平方メートル当たりの価額であるから本件私道の仮路線価とすることは相当ではない。
 そこで、本件私道の仮路線価は、本件私道と状況が類似する本件私道の北側に位置する道路に付された路線価を基として、道路の幅員、舗装の状況などの物理的状況及び上下水道、都市ガスの付設の有無などの経済的状況等を比較検討して求めるのが相当と認められる。
 したがって、本件宅地の価額は、以上の方法によって求められた本件私道の仮路線価を基に算定すべきである。

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平成3年12月13日裁決

給与所得者の特定支出(受講する研修)について、その活動の実態は、現地において教授陣と討論会を行ったり、国際会議に出席するなど、専ら、自らの調査研究のためと認められるところから、特定支出には該当しないとした事例

裁決事例集 第42集 54頁

要旨

 所得税法第57条の2第2項第3号でいう「受講する研修」とは、第三者が自己の有する技術又は知識を不特定多数の者に習得させることを目的として開設されている講座等において、その第三者から訓練又は講習を受けることにより、その技術又は知識を習得する、いわば受動的立場での研修をいうと解するのが相当である。
 請求人の海外における諸活動は、当初から定められたカリキュラム等に従っていたものではなく、地域的にも相当広範囲に行動しているなど、全体として、第三者が自己の有する技術又は知識を不特定多数の者に習得させることを目的として開設されている講座等において、その第三者から訓練又は講習を受けることによりその技術又は知識を習得するためのものとは認定できず、更に、請求人が海外の諸活動において習得した技術又は知識は、訓練又は講習を受けることにより習得できるものではないと認められるから、請求人の海外における諸活動は、本件研修には該当しないと認めるのが相当である。

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平成3年12月6日裁決

他人の依頼を受けて請求人の所得としてした確定申告に係る滞納国税について請求人の財産に対して行った差押えは違法ではないとした事例

裁決事例集 第42集 249頁

要旨

 請求人は、滞納国税が譲渡所得に起因するものであるところ、本件譲渡所得を請求人の所得として確定申告したのは、本件譲渡所得の真の所得者であるA男からの依頼があったためであり、本件滞納国税はA男から徴収すべきであるから、請求人の財産に対して行った差押えは違法である旨主張するが、所得税は、申告納税方式をとっているところ、申告納税制度における課税標準、税額等の申告は、納税者たる私人のする行為であるが、これに対しては、納付すべき税額の確定等公法上の法律効果が付与されており、したがって、納税義務者が第三者に帰属する所得を自己の名義で納税申告することは法の全く予定していないところであり、納税申告は、外観上一見して当該納税義務者本人のものでないと判断できるような場合でない限り、当該納税義務者本人に対して、納税義務の確定という公法上の法律効果を及ぼすものであって、その他の第三者に納税義務が生じることはないし、また、滞納処分は、それに先行する確定申告に係る行為とは別個独立の行政処分であるから、当該納税義務者に係る税額が確定申告により一応形式的に確定している場合には、確定申告書の記載内容のかしが客観的に明白、かつ、重大である場合を除いては、当該確定申告に、仮にかしが存するとしても、滞納処分が違法となることはないと解するのが相当であるところ、本件滞納国税が本件譲渡所得に起因するものであり、仮に、本件譲渡所得がA男に帰属すべきものであったとしても、本件申告書に重大かつ明白なかしがない以上、請求人以外の第三者であるA男が本件申告書により確定した税額の納税義務者となることはあり得ないのであるから、請求人の財産に対して行った差押えは違法である旨の請求人の主張には理由がない。

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平成3年12月2日裁決

本件特別奨励金は、雇用開発促進地域の雇用開発を促進するために支給されたものであっても、法人税法第42条第1項に規定する国庫補助金等には該当しないとした事例

裁決事例集 第42集 141頁

要旨

 請求人は、本件特別奨励金は事業所を設置又は整備することを目的として交付され、それには固定資産の取得又は改良することをも含んでいるから、本件特別奨励金は法人税法第42条第1項に規定する国庫補助金等に該当すると主張するが、本件特別奨励金は、雇用の拡大及び雇用の安定を図るために必要な助成及び援助の事業として支給されるものであり、事業所の設置又は整備に要した費用の額は、雇用対象者数に応じた支給額の限度として定められているにすぎない。また、当該費用には、動産等の賃借費用も含まれており、雇用労働者数が減少した場合には、その後の支給を停止することとしているので、本件特別奨励金は、固定資産の取得又は改良のみに充てられることを要件としているものではない。

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平成3年12月2日裁決

林道工事に係る受益者負担金は、その納入通知が相続開始後になされているので債務控除の対象にならないとした事例

裁決事例集 第42集 188頁

要旨

 本件林道工事はP県の補助事業として5か年計画による単年度予算に基づく単年度事業として行われているので、当該林道工事に係る受益者負担金額は、単年度工事請負契約を締結した後に、その請負金額(工事金額)を基に受益者に対して納入通知することによって確定するもので、当該工事の施行決定によって確定していたとは認められない。したがって、相続開始の日までに納入通知が発行されていない本件受益者負担金については、相続税の課税価格の計算上債務控除することはできない。

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平成3年11月30日裁決

数筆の宅地によって形成されている本件土地の評価は、各筆ごとに行うべきではなく、また、本件ため池について、原処分庁が現況により、本件ため池の価額を宅地比準方式によって評価したことは相当であるとした事例

裁決事例集 第42集 199頁

要旨

 請求人は、8筆の宅地によって形成されている一画地の本件土地の価額を評価する場合には、各筆の固定資産税評価額の合計額を基に評価する方法を認めるべきである旨主張するが、利用状況からすると、本件土地の価額は、二つの区画に区分して評価するのが相当である。
 また、本件のため池について、固定資産税が非課税であるとしても、現況が「公共の用に供するため池」でなく、開発規制もないこと、更に、本件ため池の一部が相続開始後に譲渡されている事実からすると、原処分庁が本件ため池の価額を宅地比準方式によって評価したことは相当である。

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平成3年11月19日裁決

請求人の従業員は、青色事業専従者である配偶者のみであるところ、従業員等のレクリェーションのため慰安旅行をし福利厚生費として処理したが、サラリーマン家庭が行う通常の家族旅行と何ら異なる点は認められないとして否認した事例

裁決事例集 第42集 44頁

要旨

 請求人は、本件慰安旅行費用のうち、請求人及び事業専従者である配偶者に要した費用は、従業員等のレクリェーション費用として必要経費の額に算入される旨主張するが、[1]本件旅行は、家族4人のみで毎年8月に、配偶者及び子女の都合・希望を聞いて実施されており、サラリーマン家庭が行う通常の家族旅行と何ら異なる点は認められないこと及び[2]本件以外にも同様の旅行を実施しているのに、本件旅行費用のみ必要経費になるとした理由も明らかでないことから、本件旅行は、他の企業が実施している従業員のための慰安旅行と変わらないという請求人の主観的理由のみで事業に関連性を持たせ、必要経費に該当すると判断したにすぎず、客観的にみて事業遂行上必要なものであるかが明らかでなく、通常の家族旅行との相違点も認められないため、家事上の経費と判断するのが相当である。

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平成3年11月14日裁決

固定資産課税台帳に登録された価額のない土地の登録免許税の課税標準額は、近傍宅地の価格を基にその土地の状況を考慮して算定した価格によるのが相当であるとした事例

裁決事例集 第42集 237頁

要旨

 固定資産課税台帳に登録された価額のない本件土地の登録免許税の課税標準額について、原処分庁は近傍宅地の単位当たりの価格に本件土地の面積を乗じた金額と認定しているが、近傍宅地と本件土地が類似しているとは認め難いので、近傍宅地の価格を基に本件土地の状況を考慮した価額によって登録免許税の課税標準の金額を認定するのが相当である。

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平成3年11月12日裁決

上場株式の相対取引による取引価額は、特段の事情がない限り証券取引所が公表した最終価格によるべきであるとした事例

裁決事例集 第42集 77頁

要旨

 請求人は、本件上場株式の相対取引の1株当たりの価格を一般に公正妥当と認められる時価すなわち証券取引所が公表した最終価格(公表価格)によらなかったことについて、特段の事情の存することの具体的主張と資料の提出をする必要があると解されるところ、請求人は証券会社に相談の上、公表価格から200円引きしたと主張するのみであるから、特段の事情があったと認めることはできず、本件相対取引の適正価格は、一般に妥当な本則に返って公表価格と認定せざるを得ない。
 なお、本件株式の公表価格がM&A目的下の価格であること及び大量注文を出せば当然下落することの事情については、単に憶測、仮定の域を出ず、かえって、本件株式の公表価格が本件取引日以降大勢として、常に当該公表価格以上を維持していた事実からすると、特段の事情に当たらないというべきである。

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平成3年11月1日裁決

刑事判決は、国税通則法第23条第2項第1号に規定する「判決等」には当たらないとした事例

裁決事例集 第42集 7頁

要旨

 国税通則法第23条第2項第1号の「判決」は、申告等に係る課税標準又は税額等の計算の基礎となった事実についての、私法行為又は行政行為上の紛争を解決することを目的とする民事事件の判決を意味し、犯罪事実の存否範囲を確定するにすぎない刑事事件の判決は含まれない。

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平成3年10月29日裁決

建造引当権の償却開始の時期は、建造引当権付きの船舶を実際に就航させた時又は代替船舶を発注した時とみるのが合理的であるとした事例

裁決事例集 第42集 113頁

要旨

 内航船舶に係る建造引当権の実質は就航権をあらわすものであるから、建造引当権を事業の用に供した時とは、建造引当権付きの船舶を実際に就航させた時又は代替船舶を発注した時とみるのが合理的であるところ、請求人が取得した建造引当権は当期中に事業の用に供したとは認められないから、本件建造引当権に係る減価償却費を損金の額に算入することはできないとした原処分が相当である。

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平成3年10月25日裁決

買換えにより取得した診療所の事業使用面積及び診療所の内装工事金額の事業使用面積については、請求人の主張に理由がなく、また、内装工事については、その内装工事をした事実がないとした事例

裁決事例集 第42集 170頁

要旨

  1.  取得した建物の事業使用面積106.5平方メートルのうち、現在台所と納戸として使用されている部分については、いずれも本件建物の裏手の居住専用玄関を入った一角に位置する台所と階段を上がった2階に位置する納戸となっており、診療室からは直接通じる構造にはなっていないこと、また、台所は待合室らしい造りとはなっていないこと及び納戸にはリハビリ用の器具備品も設置されていないこと等から、診療室(一角に患者専用の待合室が設けられている)のみが専ら事業に使用されていたとするのが相当であり、事業使用面積は、72.87平方メートルが相当である。
  2.  関係人の答述によれば、内装工事をしたとするA社は、昭和61年4月11日会社更生手続開始の申立てを行い、昭和63年1月13日に至り更生手続の廃止が決定され、破産した。また、会社更生法の申請時から操業を停止し、閉鎖したままであった。
     また、A社の領収証は、番号を付しており、市販の用紙を使用することはなかったにもかかわらず、請求人提出の本件内装工事に係るA社発行の領収証は、市販の領収証であった。
     以上のとおり、請求人は、本件内装工事を行ったとする主張を認めるに足る証拠を何ら提出せず、また、関係人の答述等からも明らかなとおり、本件内装工事代金を買換対象金額に算入することはできない。
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平成3年10月18日裁決

時価より著しく低い価額で現物出資があった場合に利益を受けたか否かは、現物出資の前後における出資の価額の差額によって判断すべきであるとした事例

裁決事例集 第42集 174頁

要旨

 請求人は、本件現物出資により出資の価額は現物出資前より増加しているものの、その価額は実際の取得価額に満たないから、本件現物出資により利益を受けていない旨主張するが、時価より著しく低い価額で現物出資があった場合に利益を受けたか否かは、現物出資後における出資の価額とその前の価額との差額によって判断すべきである。

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平成3年10月9日裁決

駐車場として貸し付けていた本件土地は、事業に準ずるものの用に供する資産として政令で定めるものに該当せず、租税特別措置法第37条第1項の規定の適用は認められないとした事例

裁決事例集 第42集 271頁

要旨

 本件土地の駐車場としての貸付状況等は、[1]貸付契約が専ら口頭によるものであって契約書の作成もなく、契約期間の定めもないこと、[2]駐車場に係る施設等は、砕石敷き、フェンス、ラインロープ及び立て看板等であること、[3]貸付期間は昭和59年7月から昭和62年2月までで、貸付台数は2台から4台、各年の利益(収入金額から固定資産税、減価償却費等の経費を控除した金額)は、昭和59年が△15,451円、昭和60年が1,345円、昭和61年が27,155円であること等から、本件土地の貸付けは、租税特別措置法施行令第25条第2項に規定する「事業と称するにいたらない不動産の貸付け・・・で・・・相当の対価を得て継続的に行う」ものには該当せず、したがって、本件土地については租税特別措置法第37条第1項の規定の適用は認められない。

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平成3年8月1日裁決

裁判所の関与なくなされた当事者間の合意は、国税通則法第23条第2項第1号の更正の請求の事由(判決と同一の効力を有する和解その他の行為)には該当しないとした事例

裁決事例集 第42集 1頁

要旨

 国税通則法第23条第2項第1号の「判決と同一の効力を有する和解その他の行為」とは、国家機関としての裁判所がする私人間の紛争の法律的解決のための民事訴訟手続等におけるものを意味し、かつ、これに限定されている。

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平成3年7月25日裁決

顧問契約を締結している税理士が、重加算税の課税要件を満たす過少申告をした場合、これを請求人が認識していたか否かにかかわらず、請求人は重加算税を負うとした事例

裁決事例集 第42集 13頁

要旨

 税理士が、請求人に代わって行った税務申告等の行為は、納税義務者である請求人が行ったと同様に扱われるべきであるから、これに付随する重加算税の責任も、請求人が本件確定申告について不適正であることを認識していたか否かにかかわらず、当然請求人が負うと解すべきである。

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平成3年7月24日裁決

空港建設事業に係る漁業補償金の配分額のうちには、漁業に従事する長男に帰属する金額が含まれているとする請求人の主張を退けた事例

裁決事例集 第42集 31頁

要旨

 請求人は、C社から請求人に対し漁業共同組合を通じて支払われた空港建設事業に係る漁業補償金の配分額のうちには、漁業に従事する長男に帰属する金額が含まれていると主張するが、[1]漁業協同組合の配分は、同漁協の配分委員会で、組合員等について個々に決定され、それぞれ受領していること、[2]漁業補償金の配分額の訂正は、請求人のし意に基づき行われたこと、[3]請求人は、漁業者であるが、長男は、配分額の決定前は請求人の扶養親族であり、刺網漁業の許可を受けたのは組合員への配分額が確定する直前であること、[4]配分額は請求人が受領しており、その中から長男に支払った事実がないことから、請求人に帰属する本件漁業補償金は、配分委員会で決定された配分額であると認めるのが相当である。

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平成3年7月23日裁決

有価証券及び貸付金債権が請求人らの相続財産であるとした事例

裁決事例集 第42集 155頁

要旨

 [1]本件有価証券は、本件覚書により被相続人から被相続人が会長であったE社に贈与されており、請求人らの相続財産となるものではない旨、及び[2]被相続人のF社に対する本件貸付金債権は、本件覚書により被相続人がF社に対して放棄しているので、請求人らの相続財産となるものではない旨の請求人らの主張について、認定事実に基づき判断すると、[1]本件有価証券は、被相続人がその配当金を受領していることから、相続開始前においては被相続人により管理運用されていたものであり、本件有価証券中、(a)請求人が相続開始前に売却した贈与株式は、当初覚書(本件覚書が作成される前に作成されたもの)の記載等から、同人が被相続人から贈与により取得した後に売却したものと認めるのが相当であって、贈与株式の価額は、相続税法第19条“相続開始前3年以内に贈与があった場合の相続税額”の規定により請求人が取得した相続財産に加算すべきであり、また、(b)遺贈株式は、当初覚書の文面等から、被相続人と請求人A男及びB女(A男とB女を併せて「分家」という。)間において遺贈株式は被相続人の相続開始後分家の所有とする旨の合意がなされていると認められるので、A男及びB女に対し死因贈与がなされたと認めるのが相当であり、[2]本件貸付金債権は、相続開始日現在F社の借入金勘定に計上されていること及び当初覚書にはその帰属配分についての記載がないことから、請求人らに対する未分割の相続財産とするのが相当である。

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平成3年7月18日裁決

寄付金と認定されたグループ3社の共同社員旅行に係る請求人の負担額は、著しく合理性を欠く配分によるものであるとは認められないから、その全額が福利厚生費として損金の額に算入されるのが相当であるとした事例

裁決事例集 第42集 128頁

要旨

 企業グループに属する関係会社が共同して行事を行う場合、その共同行為により生じた経費は、合理的な基準により関係会社に配分されることを要するが、その配分比率は、必ずしも算術的に平等である必要はなく、合理的な理由がある限り、傾斜配分することも認められるものと解されるところ、本件グループ3社の共同社員旅行は、その目的・規模・行程、従業員の参加割合・負担額等からみて、社会通念上一般的に行われているレクリェーションのための旅行であること、その一人当たりの費用も通常要する額を著しく上回るものとは認められないこと、及びグループの中心となる法人が企画立案等を行っていることを総合すると、請求人の負担額は、著しく合理性を欠く配分によるものであるとは認められない。

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平成3年7月15日裁決

譲渡物件は、譲渡時まで約1年10か月の間空閑地であったが、譲渡に至る経緯等を総合すると、いまだ事業用資産としての従前の性質を失っていなかったと判断されるが、しかしながら、本件買換物件の賃貸料の額は相当の対価とはいえず、したがって、本件買換物件は事業用資産には該当しないので租税特別措置法第37条第1項の規定の適用は認められないとした事例

裁決事例集 第42集 259頁

要旨

 譲渡物件のうち、甲土地上にあった共同住宅がすべて取り壊され、譲渡時まで約1年10か月の間空閑地のままであったが、譲渡に至る経緯等を総合すると、この期間は「相当の期間」の範囲を超えていないものと認められるので、本件土地は、譲渡時には事業用資産としての従前の性質を失っていなかったと判断されるが、しかしながら一方、買換資産として取得した貸店舗の年間賃貸料1,200,000円は、取得価額の0.3パーセントにしかならず、普通預金の利率に比しても極めて低廉であり、かつ、本件賃貸料の額から固定資産税及び借入金利息を控除すれば利益が生じないことが明らかであるから、相当の対価とはいえず、本件買換物件は事業用資産には該当しない。したがって、租税特別措置法第37条第1項の規定の適用を認めなかった原処分は相当である。

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平成3年7月10日裁決

得意先の役員に対しブランド商品の販売に係るロイヤリティ契約等に基づき支払った手数料は、交際費等に当たらないとした事例

裁決事例集 第42集 293頁

要旨

 請求人と得意先の代表者等との間におけるコミッション及びロイヤリティ契約は、得意先の代表者等が所有するブランド商品の販売に係るコミッションないしロイヤリティの支払に関して、請求人と得意先の代表者等との間で正当に取り交わされたものであると認められるから、この契約等に基づき、請求人が当該ブランド名を使用して商品販売を行ったことによりそのコミッションないしロイヤリティとして支払った手数料及び販売した商品のクレーム費用は、交際費等には該当しない。

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平成3年7月4日裁決

寺院が受け取る墓石業者、弁当業者及び仏壇業者からの謝礼金は周旋業(収益事業)に係る収益とすべきであるとした事例

裁決事例集 第42集 63頁

要旨

 墓石業者等は、それぞれ相当以前から請求人との間で取引を行っており、それぞれの業界における寺院との取引に確立した商慣習に従って本件謝礼金を支払っているものと認められ、しかも請求人が請求人の檀家からの要請があれば墓石業者等へ取り次ぐこととしていることからして、周旋業を営んでいるとするのが相当である。

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平成3年7月2日裁決

豪雨により水浸しになった帳簿を誤って廃棄した場合には、やむを得ない事由があるから青色申告の承認の取消は裁量権を逸脱した違法なものであるとの請求人の主張を排斥した事例

裁決事例集 第42集 147頁

要旨

 請求人主張の経緯で帳簿が紛失したとしても、請求人は帳簿書類を防水措置を講ずることなく収納していた等、日ごろから帳簿書類の保存について十分な配慮をしていたとはいえず、漏水で帳簿が水浸しになった後も適切な措置を講じていなかったことなどからすると、本件帳簿の紛失は、請求人の責めに帰することのできないやむを得ない事由に基づくものとはいえない。

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平成3年6月18日裁決

1. 現物出資により取得した出資の価額を純資産価額方式で算定する場合、会社が所有する土地の価額は相続税評価額ではなく通常取引される価額によるべきであるとした事例 2. 現物出資により取得した出資の価額を純資産価額方式で算定する場合、法人税等の税額に相当する金額を控除すべきでないとした事例

裁決事例集 第41集 53頁

要旨

  1.  現物出資により取得した出資の価額を相続税評価通達に定める純資産価額方式に準じて算定する場合、その算定の基礎となる会社が所有する土地の価額は、相続税評価額ではなく通常取引される価額によるべきである。
  2.  現物出資はもともと会社の事業活動の継続を前提として行われるのであるから、現物出資により取得した資産の価額を純資産価額方式で算定する場合、相続税評価通達186-2に定める「法人税等の税額に相当する金額」は控除すべきではない。
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平成3年6月12日裁決

内国法人につき解散等の事実が生じた場合における欠損金の繰戻しによる還付請求は、欠損事業年度の確定申告書を提出期限までに提出することはその要件とされていないとした事例

裁決事例集 第41集 240頁

要旨

 法人税法第81条第4項の規定によれば、内国法人につき解散等の事実が生じた場合における欠損金の繰戻しによる還付請求は、還付所得事業年度から欠損事業年度までの各事業年度について連続して青色申告書である確定申告書を提出し、かつ、解散等の事実が生じた日以後1年以内に還付請求書を提出することは適用要件とされているが、欠損事業年度の確定申告書を提出期限までに提出することはその要件とされていない。

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平成3年6月10日裁決

加算税の賦課決定の取消し又は変更に係る審査請求には請求の利益がないとした事例

裁決事例集 第41集 24頁

要旨

 加算税の賦課決定につき、原処分庁が異議決定で維持した処分の一部を審査請求の継続中に取消し又は変更することは、国税通則法第32条第2項の規定に基づきされたものであり、かつ、当該賦課決定は、当初の賦課決定において納付すべき税額が過大であったため、無申告加算税を過少申告加算税に変更するとともに重加算税の一部を減額したものであるから、これに係る審査請求にはその請求の利益がない。

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平成3年6月5日裁決

専任媒介契約に基づき受領した仲介手数料は、既に、媒介に係る取引当事者間の不動産売買契約が締結され、当該契約の効力は生じているから、当該仲介手数料を受領した日の属する事業年度の益金の額に算入すべきであるとした事例

裁決事例集 第41集 169頁

要旨

 請求人は、本件不動産売買契約は、[1]売買の対象となった土地及び建物のうち、建物は建築予定のものであっていまだ存在しないから、この部分は売買契約の効力が有効に成立していないこと、[2]建築予定の建物については、売買契約となっているが、請負契約と解すべきであること、及び[3]将来、建物が完成した場合に本契約を成立させるという売買予約又は建物完成を停止条件とする停止条件付売買契約とみるべきであることを理由に、媒介に係る役務の提供はいまだ完了していないから、当該売買契約後に受領した仲介手数料に係る収益は、受領日の属する事業年度の益金にはならないと主張するが、[1]建築予定の建物であっても、建築図面、仕様書き等から当該建物を目的物として特定可能な場合には売買契約は有効に成立すること、[2]本件不動産売買契約の形式及び内容からいっても請負契約と解すべき余地はないこと、及び[3]同様に売買予約又は建物完成を停止条件とする停止条件付売買契約とみるべき余地はないことから、本件不動産売買契約は有効に成立し、その効力は発生しているので、媒介に係る役務の提供は完了しているというべきである。したがって、請求人の受領した仲介手数料は、受領日の属する事業年度の益金の額に算入される。

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平成3年5月29日裁決

土地処分益計上の期ずれにより前年度分が減額更正、後年度分が増額更正となった場合、前年度分の過誤納金を後年度分の延滞税に充当したことは適法であるとした事例

裁決事例集 第41集 1頁

要旨

 法人税法は、各事業年度ごとに確定する税額であるから、後年度分の本税の延滞税額について前年度分の過誤納金を充当したことは適法である。

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平成3年5月29日裁決

本件土地の譲渡価額と時価との差額が生ずることについて合理的な理由があるとは認められないから、その差額は寄付金に該当するとした事例

裁決事例集 第41集 229頁

要旨

 原処分庁が採用した取引事例の譲渡価額は、本件土地に隣接し、かつ、大規模地であり本件土地との類似性は高く、当該取引事例を基に時点修正して時価を算定した原処分には合理性がある。本件土地は当該取引事例地よりも街路条件及び交通・接近条件で優れていること及び実測面積よりも少ない公簿面積によって原処分庁の時価算定が行われていることを考慮すると、本件土地の時価は、原処分庁の算定時価を上回るものと推認され、原処分庁の認定した時価は相当である。
 法人税法第37条第6項に規定するいわゆる低額譲渡の場合における「実質的に贈与又は無償の供与をしたと認められる金額」とは譲渡の対価の額と時価との差額が生ずること(無償性)について、合理的な理由が認められない場合のその差額をいうものと解されるところ、本件土地の時価と譲渡価額とに差額が生じることについて合理的な理由があるとは認められないから、この差額は寄付金に該当する。

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平成3年5月28日裁決

関係会社の資金繰りの用に供するため担保に提供した株式が回収不能となった場合に、当該回収不能相当額を、他の株式の譲渡に係る雑所得の収入金額から控除したりあるいは必要経費に算入したりすることはできないとした事例

裁決事例集 第41集 145頁

要旨

 請求人は、担保に提供した株式が担保流れとなった時点で、[1]株式の譲渡があったとみて所得税法第64条第1項の規定を適用し、当該回収不能相当額を他の株式の譲渡に係る雑所得の収入金額から控除するか、[2]貸付けに係る株式に損失が生じたとみて同法第51条第4項の規定を適用し、当該損失相当額を他の株式の譲渡に係る雑所得の必要経費に算入すべきであると主張するが、請求人は、本件株式を、当時利害関係を有していた請求人に立場上、資金繰り上の担保に供するため、関係会社に預けていたものであって、株式を譲渡したり貸し付けたりした事実は認められないから、請求人の主張は前提そのものを誤っており、当該回収不能相当額あるいは当該損失相当額を他の株式の譲渡に係る雑所得の収入金額から控除したり、あるいは必要経費に算入したりすることは認められない。

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平成3年5月16日裁決

外国人出向者の日本における税金を立替払した場合に源泉徴収義務を負うとした事例

裁決事例集 第41集 255頁

要旨

 請求人が、外国法人の出向元法人の依頼により、外国人出向者の日本における租税を日本の税務官署に納付し、これを出向元法人への立替金として経理処理しても、この立替金は、請求人が居住者である外国人出向者に対して給与等を支給したことになるから、請求人はこれに係る源泉徴収義務がある。

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平成3年5月10日裁決

譲渡収入金額を底地部分と権利部分にあん分する場合の更地価額について、売買契約が解除され成立していない契約の契約金額によることは適当でないとした事例

裁決事例集 第41集 103頁

要旨

 譲渡収入金額のあん分の基礎となる底地割合について、請求人は、本件土地の取得(昭和62年9月)後2月経過後に締結した売買契約金額を更地価額として算定した割合を基とすべきであると主張するが、[1]当該売買契約は解除され成立していないこと、また[2]当該契約金額は本件土地を取得した後2月後の価額であるから本件土地の取得時における更地価額と認めるのは適当ではない。原処分庁が更地価額として採用した鑑定評価額は、請求人が本件土地の取得資金を借り入れる際に鑑定したもので、その鑑定に至った事情からみても当該鑑定価額を本件土地の更地価額と認めるのが相当である。

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平成3年4月30日裁決

代償分割により取得した代償金について相続税の課税価格に算入すべき価額は、代償分割時における代償財産の通常取引される価額と相続税評価額の比により圧縮するのが相当であるとした事例

裁決事例集 第41集 302頁

要旨

 代償分割の方法により遺産の分割が行われ、代償財産として金銭が交付された場合、代償財産の交付を受けた者及び代償財産の交付をした者の相続税の課税価格の計算については、[1]相続開始の時と代償分割の時との間に遺産の価額が著しく変動しており、[2]その代償分割が裁判所における審判・調停・和解等により行われ、かつ、[3]代償分割の対象となった財産及びその財産の代償分割の時における通常取引される価額がすでに明らかになっており、その価額を明確に把握することができるときは、その相続開始の時における代償債権の価額を求める方法としては、次の算式によるのが相当である。

交付される金銭の額 × 当該金銭の交付者が遺産分割により取得した財産で代償分割
の対象となったものの相続開始時の価格(相続税評価額) 
当該金銭の交付者が遺産分割により取得した財産で代償分割
の対象となったものの代償分割時の通常取引価額
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平成3年4月23日裁決

事業を営む請求人が主宰する法人に対する貸付金(無利子)の資金を借入金でまかなっている場合の借入金利子は、必要経費に該当しないとした事例

裁決事例集 第41集 130頁

要旨

 所得税法第37条第1項に規定する必要経費とは、その支出が「業務について生じた」ものとして、業務との関連性が要求されるとともに、その関連性には通常かつ一般的に必要と認められる客観性がなくてはならないものと解するのが相当であるところ、請求人は自らが主宰する法人に対して無利子で貸し付けた場合の原資となった借入金に対応する借入金利子の額は、請求人の事業と密接な関係にあり、当該事業を遂行する上での必要から本件貸付けを行ったものであるから、本件借入金利子は請求人の事業所得に係る必要経費として認められるべきである旨主張するが、本件貸付けは請求人の事業と当該法人の事業が相互に取引先としての業務上の密接な関係があったことに起因するとは認めがたく、当該法人の代表取締役としての地位と責任に基づいて行われたものと認められるところから、請求人の事業の遂行上必要なものとは認められないので、本件借入金利子は請求人の事業所得の金額の計算上必要経費に算入することはできない。
 なお、原処分は、本件貸付金の原資となった借入金の利子の額の算定額に誤りがあるとして、その一部を取り消した。

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平成3年4月16日裁決

個人に対する土地建物の譲渡が、低額譲渡に該当するから、譲渡損失の金額は損益通算によって差し引くことはできないとした事例

裁決事例集 第41集 115頁

要旨

 譲渡した土地建物のうち、土地の譲渡価額は、地価公示法に規定する公示価格及び国土利用計画法に規定する標準価格を、相続税財産評価基準の路線価で除して求められる、公示価格比準倍率及び標準価格比準倍率を用いて算出した土地の価額の2分の1に満たないから、低額譲渡に該当する。
 したがって、当該土地建物の譲渡によって生じた損失の金額は、所得税法第59条“贈与等の場合の譲渡所得などの特例”第2項の規定により、なかったものとみなされる。

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平成3年3月29日裁決

いわゆる「つまみ申告」が重加算税の課税要件を満たすとした事例

裁決事例集 第41集 15頁

要旨

 認定事実を総合すれば、請求人は、自己の有価証券の継続的取引により多額の所得を得、しかもその所得があることを十分認識しており、かつ、申告の必要があることを十分認識していながら、それが課税の対象となることを回避するため、殊更それを除外して過少な所得金額を記載した内容虚偽の確定申告書を提出して本件雑所得のすべてを故意に秘匿したということができる。
 そうすると、請求人は、税額計算の基礎となるべき事実を隠ぺいしその隠ぺいしたところに基づいて納税申告書を提出したというべきである。

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平成3年3月29日裁決

滞納法人が行った債権放棄と同法人の滞納国税の徴収不足との間に基因関係が認められるとした事例

裁決事例集 第41集 339頁

要旨

 請求人は、滞納法人の滞納国税の徴収不足は、請求人が債権放棄を受けたことに基因するものではない旨主張するが、原処分庁が滞納法人に対し、差押え等の執行ができた昭和59年1月17日の時点における滞納法人の主な資産はB社に対する貸付金及び手形債権であったことが認められるけれども、当時、B社は、事実上の倒産状態にあり、その実質的な資力を喪失していたことが認められ、したがって、原処分庁が、滞納法人がB社に対して有する債権の差押えをしてもその回収が見込めず、本件滞納国税を徴収できなかったことは明らかであるし、また、徴収法第39条に規定する徴収不足と無償譲渡等との間の基因関係について、同条の解釈としては、当該無償譲渡等の処分がなかったならば、徴収不足を生じなかったであろうということができる場合には、基因関係を認めるのが相当であるとされているところ、B社に係る債権債務を除いた滞納法人の純資産は84,297,111円であるのに、滞納法人が行った債権放棄の金額は67,792,041円となることが認められ、この債権放棄がなければ本件滞納国税にかかる徴収不足は生じなかったであろうということがいえるから、本件債権放棄と本件滞納国税の徴収不足との間の基因関係を認めることができるというべきである。

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平成3年3月29日裁決

特定資産の買換えの場合の圧縮記帳に伴う差益割合の計算に際し、解約違約金を譲渡費用に含めた事例

裁決事例集 第41集 381頁

要旨

 当初の契約の解約は、その目的が本件譲渡資産の譲渡の実現のためであり、その効果は専ら次の契約の譲渡に帰属することとなり、かつ、本件違約金は当初契約を合意解約するために支払われたものであるから、本件違約金は、次の契約の譲渡のために直接かつ通常必要な費用であると認めるのが相当である。
 そうすると、本件違約金は譲渡に要した経費に該当する。

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平成3年3月29日裁決

相続人らの名義の株式等について、相続財産と認定した事例

裁決事例集 第41集 290頁

要旨

 相続人らの名義の株式について、被相続人が生前配当金等の法定果実を収受していたこと、各名義人の印鑑が被相続人自身の取引に使用されていた印鑑と同一であること、及び各名義人はこれらの株式等の取得の時期に取得資金を有していたとは認め難いことから、被相続人の財産と認めるのが相当である。

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平成3年3月27日裁決

水産物地方卸売市場に出荷し歩戻しを受ける特定荷主に係る営業権の譲受け対価を事後に修正し追加払した場合、当該金員は営業権の対価とは認められず、寄付金に当たるとした事例

裁決事例集 第41集 219頁

要旨

 請求人は、営業権の売買価格について不確定要素があったことから、将来において売買価額を修正する補足的契約を締結することを前提に本件売買契約を締結したものであるから、その補足的契約として本件覚書を取り交わして支払った本件金員は営業権譲受けの対価である旨主張するが、そもそも将来における売買価額の修正を前提とした営業権の売買契約などというものは基本的にあり得ないと解されるところ、本件売買契約の締結に当たり将来における売買価額の修正を前提とされていたことを認めるに足りる証拠もなく、また、請求人は営業権を60,000,000円で譲り受ける旨の臨時株主総会の決議に基づき本件売買契約を締結し、締結後直ちに特定荷主として市場に参入していることからすれば、営業権の売買は、本件売買契約により完結したものと認めるのが相当である。
 また、売買契約締結後に生じた事情とされた譲渡人の資金需要と譲受人(請求人)の営業権譲受け後の販売実績なるものは、いずれも営業権の対価を増額して支払う理由とはなり得ない。
 そうすると、本件金員の支払は、譲渡人に対する長期貸付金との相殺によってされているところ、これは、譲渡人に対する経済的利益を無償で供与したものであるから寄付金に当たる。

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平成3年3月20日裁決

土地信託に係る建物の減価償却費を損金経理していないので認めなかった事例

裁決事例集 第41集 193頁

要旨

 減価償却費の損金算入は、法人税法第31条第1項の規定により、簿外資産であるか否かを問わず損金経理することを要件とし、損金経理には、その性質上損金経理がされたとみなす場合及び減価償却資産の全部又は一部を資産に計上しないで損金経理し、法人税法施行令第63条に規定する明細書にその資産の償却費の計算明細を記載して申告調整した場合が含まれるところ、本件信託建物は財務諸表に記載されておらず、その償却費は損金経理もされていないことから、いずれにも該当せず、償却費の損金算入は認められない。

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平成3年3月13日裁決

株券発行がない場合の株式の譲渡にあっては株券の交付を必要とせず、売買契約成立の日にその譲渡の効力が生ずるとした事例

裁決事例集 第41集 94頁

要旨

 請求人は、商法第205条“株式の譲渡方法”第1項の規定によれば、株式を譲渡する場合には株券の交付を要するものとされているところ、本件株式の場合は株券の発行がないから、請求人は株券を交付しておらず、したがって本件株式譲渡の効力は生じていない旨主張するが、そもそも同条項は、同法第226条“株券発行の時期”第1項の規定に基づき会社が遅滞なく株券を発行している場合に適用があるものと解され、会社はその設立以来、特段の合理的な理由もなく株券を発行していなかったものであるから、その譲渡に株券の交付を必要せず、本件株式の譲渡は売買契約成立の日にその効力が生じたものとみるべきである。

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平成3年3月6日裁決

土地区画整理組合から「宅地整備補償金」名義で交付を受けた補償金は、一時所得に該当するとした事例

裁決事例集 第41集 69頁

要旨

 請求人は、土地区画整理組合から交付を受けた「宅地整備補償金」について、[1]過大な減歩により生じた保留地の処分を起因としたいわゆる余剰金の返還で、過大減歩部分について現物で返還を受ける代わりに金銭を受領したものであるから課税関係は生じない、[2]仮に課税関係が生じるとしても土地区画整理法第94条“清算金”に規定する清算金と実質異ならないから、租税特別措置法第33条の4“収用交換等の場合の譲渡所得等の特別控除”の特例の適用を認めるべきである旨主張するが、当該補償金は、土地区画整理組合が保留地を売却したことにより生じた余剰金で、土地区画整理法第94条に規定する清算金とは異なる補償金であるので措置法第33条の4の特例の適用はなく、法人から交付を受けたものであるから一時所得の収入金額とするのが相当である。

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平成3年2月27日裁決

建物をその敷地の借地権とともに取得した後、短期間のうちに建物を取り壊した場合、当該借地権につきいわゆる無償返還の届出がされていても、当該建物の取得代価及び取壊し費用は、借地権の取得価格を構成するとした事例

裁決事例集 第41集 211頁

要旨

 同一所有者に属する土地及び建物のうち建物のみが譲渡された場合には、特段の事情がない限り、当然に敷地に対する借地権の設定があったものと推認される。また、建物を敷地の所有権又は借地権とともに取得した後、短期間内に当該建物の除却に着手するなど当初からその建物を除却してその敷地を利用することが明らかである場合には、当該建物の取得代価又はその未償却残額及び取壊し費用は、実質的にその敷地の所有権又は借地権の対価的性質をもつとみられるから、その取得価額を構成する。
 なお、土地賃貸借契約において、契約期間満了及び解除による契約終了時に、土地所有者に対して借地人が借地権の対価その他の名目を問わず何らの金員を請求しない旨の特約があったとしても、それは借地人が借地権価額を回収し得ないというだけであって、これがため、借地権取得のために投下された金員が借地権の取得価額でないという理由とはならない。

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平成3年2月27日裁決

租税特別措置法第37条の2第2項の規定による修正申告書の提出が「その申告に係る国税についての調査があったことにより当該国税について更正があるべきことを予知してされたものでないとき」に当たらないとした事例

裁決事例集 第41集 5頁

要旨

(1)請求人は、修正申告書の提出以前においては、課税標準が未確定というべきであるから、所得金額に対する調査が行われることはあり得ないと主張するが、租税特別措置法第37条第4項の適用を受けた場合においては、買換資産の取得価額の見積額によって譲渡所得の金額を計算して確定申告をすることによって課税標準は確定すると解すべきであるし、また、同法第37条の2の規定は、修正申告書の提出以前において所得金額に対する調査ができない旨を規定したものではないこと、及び、(2)[1]原処分庁は、本件調査を行う時点において、本件譲渡物件について、請求人が確定申告書に添付した売買代金を700,000,000円とする売買契約書のほかに、売買代金を800,000,000円とする売買契約書が存在することを把握しており、[2]調査担当職員は、本件調査において[1]の事実を念頭において本件譲渡物件の取引経過及び売買契約書の作成経過並びに譲渡代金の受領経過等の調査を行っていることから、本件譲渡物件の分離課税の長期譲渡所得の金額についての調査があったと認めるのが相当であるし、また、売買代金を700,000,000円とした売買契約書に基づき、本件譲渡に関する売買契約書の作成経過等を調査されたことによって、請求人は、調査担当職員の調査が進行するに従い、本件譲渡物件の譲渡価額を除外して確定申告した事実が発覚し、やがて原処分庁によって更正されることを認識したと認めるのが相当であること等から、本件修正申告書の提出は、「その申告に係る国税についての調査があったことにより当該国税について更正があるべきことを予知してされたものでないとき」に当たらないというべきである。

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平成3年2月25日裁決

借地上の建物を譲渡した場合には、土地の上に存する権利も譲渡されたものとして租税特別措置法第63条の規定が適用されるとした事例

裁決事例集 第41集 365頁

要旨

 請求人は、本件建物の売買は契約書に明記されているとおり建物の売買であるから、仮にその対価が社会常識的に不自然であっても、その売買価額の中に借地権に相当する対価は含まれていない旨主張するが、本件建物を請求人が前所有者から取得し、また、本件建物の買主が請求人から買い入れたのは、単に建物自体を目的とするものではなく、本件土地の上に存する権利に経済的価値を認めた故にそれぞれが取引に応じたものであることは明らかであるから、本件建物の売買が土地の上に存する権利を含む売買であるとして、租税特別措置法第63条“土地の譲渡等がある場合の特別税率”に該当するとした原処分は相当である。

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平成3年2月5日裁決

同族会社への土地の貸付けは使用貸借による貸付けと認められ当該土地は事業用資産には該当しないと認定した事例

裁決事例集 第41集 355頁

要旨

 請求人は、[1]本件土地の借受人である同族会社が業績不振であることから賃料を免除しているが、賃貸料の授受がないとしても、賃貸であることには変わりはない、また、[2]租税特別措置法第69条の3“小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例”の取扱上、同族会社に貸し付けられている土地は、その貸付けが使用貸借であっても「事業の用に供されていた宅地等」に該当するものとして取り扱っているので、同法第37条“特定の事業用資産の買換えの場合の譲渡所得の課税の特例”の適用に当たってもこれと同様に取り扱うべきある旨主張するが、同法第69条の3と第37条の規定はその趣旨、目的を本質的に異にするものであるから、この点に関する請求人の主張は採用できない。当該土地の貸付けが賃貸借によるものではなく使用貸借による貸付けと認められる以上、当該土地の譲渡については、措置法第37条の適用はない。

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平成3年2月1日裁決

物上保証人である請求人が債務額を代位弁済した場合の所得税法第64条第2項の規定の適用上、物上保証人である請求人は代位弁済額のうち自己の負担割合を超える部分について連帯保証人に対して求償権を取得し、連帯保証人のうち償還をなす資力のないものがある場合においても、その償還資力がない者の負担部分も他の連帯保証人の間で分割負担されるものとして、求償権行使可能額を計算すべきであるとした事例

裁決事例集 第41集 160頁

要旨

 物上保証人であった請求人は、その所有する土地を譲渡し、その譲渡代金をもって保証債務額35,392,179円を代位弁済したとして、その弁済額全額について所得税法第64条“保証債務の履行のための譲渡の場合の課税の特例”第2項の規定を適用すべきであると主張するが、本件金銭消費貸借には、物上保証人のほかに連帯保証人が三名存し、物上保証人である請求人と連帯保証人との間には保証に際しての負担部分の特約が存在しないことから、物上保証人・連帯保証人相互間においてはその頭数に応じて平等に負担することになり、請求人は代位弁済額のうち自己の負担割合である4分の1に相当する部分を超える部分について連帯保証人に対して求償権を取得し、そして、連帯保証人のうちに償還をなす資力のない者がある場合においても、その償還資力がない者の負担部分も他の連帯保証人の間で分割負担することとされているから、結局、請求人の求償権行使可能額は、代位弁済額35,392,179円のうち自己の負担部分である4分の1に相当する額8,848,044円を控除した残額26,544,135円とするのが相当であり、同金額については保証債務の履行のための譲渡の場合の課税の特例の規定の適用はない。

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平成3年1月29日裁決

同族会社の判定の基礎となった株主が、その同族会社の滞納国税の内容及び発生過程を知らされていなくとも、国税徴収法第37条に規定する第二次納税義務は成立するとした事例

裁決事例集 第41集 335頁

要旨

 同族会社の判定の基礎となった株主である請求人は、第二次納税義務の告知の原因となった同社の滞納国税について、その内容及び発生過程を全く知らされていないため、右告知は納得できない旨主張するが、国税徴収法第37条の規定によれば、納税者(滞納会社)が同族会社で、その判定の基礎となった株主が当該納税者の事業の遂行に欠くことができない重要な財産を有し、かつ、当該財産に関して生ずる所得が当該納税者の所得となっている場合において、当該納税者がその供されている事業に係る国税を滞納し、その国税につき滞納処分をしても、なおその徴収すべき額に不足すると認められるときは、当該株主は、当該財産を限度として、その滞納に係る国税の第二次納税義務を負うものとされ、当該第二次納税義務を負うこととなる者が、第二次納税義務の告知の原因となった滞納国税について、その内容及び発生過程を知り得たか否かをその成立要件としているものではないと解されるところ、本件告知は、国税徴収法第37条の規定に従い適法に行われていることが認められ、したがって、この点に関する請求人の主張は失当である。

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平成3年1月25日裁決

1. 請求人が土地の価額に影響を及ぼすと主張する諸要因は、路線価額に折込み済みであるとした事例 2. 借地権の目的となっている宅地は、評価通達によって評価すべきであり、収受している地代を基にして収益還元法によって評価すべきでないとした事例

裁決事例集 第41集 313頁

要旨

  1.  請求人は、本件宅地は、下水処理場に近接し、かつ、駅から遠い等地理的条件が悪いので、路線価額の2分の1相当額で評価すべきであると主張するが、本件宅地の正面路線価とした路線価額は、隣接する路線の価額に比べていずれも相当程度低くなっており、下水処理場に近接していること等の評価に影響する諸々の事情が折り込まれていることは明らかで、請求人の主張は採用できない。
  2.  請求人は、貸宅地は、自用地の場合と異なり、市場性又は換金性に欠けるとともに土地の価額が上昇しても地代の値上げもできない状況にあり、また、土地所有者が地代以外の収益を受領し得るのは借地権の譲渡承諾料あるいは増改築時の承諾料であるが、いずれも何十年に1回あるかないかわからないものであるから、実際に収受している地代を基として収益還元方式で評価すべきであると主張する。
     しかしながら、収益還元方式による評価は、対象不動産が将来生み出すであろうと期待される純収益を算定するために予測される諸要素を的確に把握すること、及び収益還元率を正しく定めなければならないが、これらの諸要素を客観的に把握することが困難であることから、これによる評価額は、相続財産の取得時の時価を性格に反映しているものとは認められず、理論的にはともかく、本件貸宅地の評価方法としては採用することができない。
     原処分は、本件貸宅地の価額を、評価通達及び評価基準に従って評価しているが、評価基準は、借地権及び底地部分の売買実例及び精通者の意見価格等を参考にして類似する地域ごとに定められており、特段不合理な点があるとは認められない。
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平成3年1月23日裁決

合資会社の無限責任社員の死亡退社により生じた持分払戻請求権に含まれるみなし配当相当額について源泉徴収義務を負うとした事例

裁決事例集 第41集 246頁

要旨

 合資会社の無限責任社員が死亡した場合、法定退社事由が生じ、その社員は退社するが、その有していた社員権は持分払戻請求権に転換し、これを相続人が承継取得することとなるところ、当該持分払戻請求権に含まれる所得税法第25条第1項第2号に規定するみなし配当は、死亡社員について社員権が持分払戻請求権に転換した時点において発生するものである。
 また、同法(昭和63年法律第109号による改正前のもの)第9条第1項第20号に規定する非課税所得は、相続人の相続及び受贈者の受贈自体による利得並びに相続人等が原始取得する利得で、相続、贈与財産とみなされるものに限られ、持分払戻請求権は、これに核当しない。
 したがって、退社社員の相続人に対し、払戻金を支払う会社は、それに含まれるみなし配当相当額について源泉徴収義務を負うこととなる。

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平成3年1月18日裁決

他人名義となっている定期貯金の真実の所有者は被相続人であると認定した事例

裁決事例集 第41集 271頁

要旨

 請求人は、本件定期貯金は被相続人の孫のものであり、その資金源は孫の母が毎月1~2万円の積立貯金をしてその満期時の昭和58年4月11日に本件定期貯金を設定したものである旨主張するが、本件定期貯金は同日以前からあった定期貯金が継続されているもので、また、主張する積立金額では孫の年齢からして、到底本件定期貯金の基となった定期貯金の額に達しないので、その主張は失当といわざるを得ない。
 [1]被相続人名義の他の定期貯金と本件定期貯金の届出住所、届出印鑑及び申込書の筆跡が同一であること、[2]本件定期貯金の利息と被相続人名義の定期貯金の利息とを合わせて別段預金とした上で現金にしているが、これに使用された印鑑がすべて同一であること、[3]被相続人には、本件定期貯金の基となった定期貯金と被相続人名義の定期貯金を設定した頃、土地譲渡代金が入金していたこと等からすると、本件定期貯金の資金源は譲渡代金と認められ、被相続人が非課税貯蓄に着目して孫の名義を使用して、本件定期貯金を設定したものと推認することができ、原処分は相当である。

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平成3年1月11日裁決

売上除外を行っていたと認定した上、売上除外金額については前2事業年度は売上除外した商品梱包個数から推計し、後2事業年度については前2事業年度の公表売上金額に対する売上除外割合を基礎として推計した事例

裁決事例集 第41集 178頁

要旨

 請求人が、仮名取引により売上除外を行っていることは明らかであり、納品書等資料の保存が十分でないことから、前2事業年度については発注伝票(控)に記載されている商品梱包個数と運送会社の運賃請求伝票に記載されている梱包数との開差個数を算出し、それに公表売上金額の1梱包当たりの平均単価を乗じて売上除外金額を推計しているのは合理性が認められ、かつ、計算は適正である。後2事業年度については前2事業年度の公表売上金額に対する売上除外割合を基礎として、売上除外金額を推計するのがより合理的である。

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平成3年1月11日裁決

相続税の納税猶予に係る猶予期限が確定した旨の通知は国税に関する法律に基づく処分には該当しないとした事例

裁決事例集 第41集 22頁

要旨

 相続税の納税猶予は、相続人が相続等により取得した農地を農業の用に供していく場合には、一定の要件の下にその農地の価額のうち、農業投資価格を超える部分に対する相続税の納税を猶予し、その相続人が死亡した場合等にその猶予分の相続税を免除する制度であるが、相続人の死亡等の前に農地を譲渡したり、農業を廃止した場合には、その納税猶予の期限が確定することとされている。請求人は、納税猶予の適用を受けたものの、その後において農業経営を廃止したことにより、租税特別措置法第70条の6第1項の規定に基づき納税猶予の期限が、特別の手続を必要とせずに当然に確定したものであって、「猶予期限が確定した相続税額の通知書」は、納税猶予の期限が確定した旨を念のため通知したものにすぎないから、この通知は、審査請求の対象となる処分ではない。

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平成3年1月7日裁決

国が請求人所有土地を駐留軍用地として10年間強制使用するについて請求人に対し損失補償金として一括で支払われた10年間の地代の収入すべき時期は、収用裁決に基づく請求人所有土地明渡しの日及び損失補償金全額の受領の日の属する年分であるとした事例

裁決事例集 第41集 78頁

要旨

 国が請求人所有土地を駐留軍用地として10年間強制使用するについて請求人に対して支払われた損失補償金の収入すべき時期について、請求人は、損失補償金は10年間の地代の一括前払であり前受収益に該当するものであるから、損失補償金を収受した昭和62年分の不動産所得の総収入金額とされる金額は収用裁決に基づく請求人所有土地明渡しの日である昭和62年5月15日から同年末までの期間に対応する金額とされるべきである旨主張するが、請求人は土地明渡しの時期において損失補償金の全額についてその支払を請求し得ることとなったものと認められ、また、請求人は、昭和62年3月25日、損失補償金の全額を受領したことから、請求人はその受領の時点で当該利得の全額を現実に支配管理し、自己のためにこれを享受しているというべきであり、したがって本件損失補償金はその全額が昭和62年分の不動産所得の総収入金額に算入されるべきである。

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